説明

画像形成装置

【課題】ペーパーフィーダーに本体部が積載された画像形成装置の転倒を今まで以上に抑制可能とする。
【解決手段】ペーパーフィーダー2側に設けられると共に本体部3のベースに対して上方に所定の隙間を空けて配置され、ペーパーフィーダー2に対する本体部3の上方への移動を規制する係止部4を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機や複合機等の画像形成装置には、記録用紙に対して画像形成を行う本体部に加えて、ペーパーフィーダーがオプション機器として搭載される場合がある。
このペーパーフィーダーは、本体部に対して供給する記録用紙を収容し、必要に応じて本体部に対して記録用紙を供給するものである。
そして、ペーパーフィーダーを搭載する画像形成装置では、一般的に設置スペースの増大を防止するために、ペーパーフィーダーの上に本体部が積載されることでペーパーフィーダーと本体部とが一体化されている。
【0003】
なお、上述のようなペーパーフィーダーを搭載する画像形成装置のオフィス等への設置は、サービスマンによって行われる。
より詳細には、先に設置面に配置されたペーパーフィーダーに対して、サービスマンがビスや手ネジを用いて本体部を締結することによって画像形成装置が組み立てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−262010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ペーパーフィーダー上に本体部が積載されると、画像形成装置の背丈が高くなり、ペーパーフィーダーを搭載しない場合よりも重心位置が高くなり、転倒しやすくなる。
このため、従来の画像形成装置においては、ペーパーフィーダーを搭載する画像形成装置が容易に横滑りして転倒しないように、ペーパーフィーダーのキャスターを設置面に対して浮かせる等の対策を行っている。
【0006】
しかしながら、巨大地震等の緊急事態により大きな振動が発生した場合には、上記対策を行っている場合であっても、画像形成装置の転倒を完全に防ぐことは難しい。ただし、震災時等の被害を最小限に食い止めるためにも、画像形成装置をより転倒し難い構造とすることが好ましい。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ペーパーフィーダーに本体部が積載された画像形成装置の転倒を今まで以上に抑制可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段として、本発明は、以下の構成を採用する。
【0009】
第1の発明は、記録用紙に対して画像を形成する本体部と、上記記録用紙を収容すると共に必要に応じて上記本体部に対して上記記録用紙を供給するペーパーフィーダーとを備え、上記ペーパーフィーダー上に上記本体部が積載されて配置される画像形成装置であって、上記ペーパーフィーダー側に設けられると共に上記本体部のベースに対して上方に所定の隙間を空けて配置され、上記ペーパーフィーダーに対する上記本体部の上方への移動を規制する係止部を備えるという構成を採用する。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記本体部の上記ベースに対して設けられる位置決め穴と、上記ペーパーフィーダー側に設けられると共に上記位置決め穴に嵌合する嵌合部を有する位置決めピンとを備えるという構成を採用する。
【0011】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記係止部と上記本体部の上記ベースとの隙間高さが、上記位置決めピンの嵌合部の上記位置決め穴よりも上方に突出する領域の高さよりも小さく設定されているという構成を採用する。
【0012】
第4の発明は、上記第2または第3の発明において、上記位置決めピンが、上記嵌合部の上方に当該嵌合部よりも小径の絞り部を有するという構成を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、ペーパーフィーダーに対する本体部の上方への移動を規制する係止部が、ペーパーフィーダーに設けられると共に本体部のベースに対して上方に隙間を空けて配置されている。
このため、本発明によれば、上記隙間の範囲で本体部がペーパーフィーダーに対して相対移動することが可能となっている。
【0014】
つまり、本発明においては、本体部がペーパーフィーダーに対して剛結合されていない。このため、本体部がペーパーフィーダーに対して剛結合されている場合と比較して、画像形成装置全体で見た場合に、一種の柔構造とされている。
柔構造である場合には、外部から振動が加えられた際に構造体自体で変化することによって振動を吸収し、剛構造であるよりも倒壊し難くなる。
【0015】
より詳細に説明すると、本発明においては、係止部が本体部のベースに対して上方に隙間を空けて配置されているため、外部から強い振動が加えられた際に、本体部とペーパーフィーダーとの境界領域を節として画像形成装置が曲がることができる。
このように画像形成装置が曲がる、すなわち本体部とペーパーフィーダーとが相対移動することによって、外部から加えられた振動を吸収し、画像形成装置が転倒を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態における複写機の分解図である。
【図2】本発明の第1実施形態における複写機が備えるペーパーフィーダーの上部を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態における複写機が備える係止部を含む要部断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態における複写機が備える位置決めピンを含む要部断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態における複写機が備える位置決めピンを含む要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る画像形成装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。また、以下の図面においては、本発明の画像形成装置の一例として複写機を挙げて説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の複写機1の分解図である。また、図2は、ペーパーフィーダー2の上部を示す斜視図である。
そして、図1に示すように、本実施形態の複写機1は、ペーパーフィーダー2と、本体部3とを備えており、ペーパーフィーダー2上に本体部3が積載されて配置された構成を有する。
【0019】
ペーパーフィーダー2は、本体部3に供給される記録用紙を収容し、必要に応じて収容する記録用紙を本体部3に対して供給するものである。
そして、このペーパーフィーダー2は、周知のように、カセットや給紙ユニット等を備えている。
【0020】
カセットは、積層された記録用紙を収容する部分であり、脱着可能に構成されている。
給紙ユニットは、カセットに収容された記録用紙を本体部3に対して搬送するものである。
なお、このペーパーフィーダー2の下面側四隅には、キャスター2aが取り付けられており、ペーパーフィーダー2及び複写機1を容易に移動可能とされている。
【0021】
また、ペーパーフィーダー2は、骨格となる金属製のベース2bと、当該ベース2bを囲う樹脂性のカバー2cとを備えている。
そして、本体部3が載置されるペーパーフィーダー2の上面には、カバー2cが設けられておらず、ベース2bが露出された状態とされている。
【0022】
本体部3は、周知のように、画像読取ユニット、画像形成ユニット、定着ユニット、搬送ユニット等を備えている。
【0023】
画像読取ユニットは、原稿ガラス面上に載置された原稿の画像に光を照射し、その反射光を受光することによって原稿の画像を画像データとして読み取るものであり、原稿ガラス面と平行に設けられたガイドレールに沿って往復動するキャリッジを有している。このキャリッジ内には、原稿ガラス面上に載置された原稿の表面に光を照射するためのLEDやキセノンランプ等の各種ランプからなる光源と、その原稿からの反射光を順次反射して集光レンズに導くミラー群と、集光レンズによって集められた光を電気信号に変換するCCDやCMOS等のイメージセンサとを含んで構成されていて、多くの光学系の機器類を含んで構成されている。
【0024】
画像形成ユニットは、複写機1がカラー複写機の場合、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色にそれぞれ対応した感光体ドラムを有し、各感光体ドラムには、静電潜像書き込み用のビーム光の出力を行うレーザ光出力装置、そのビーム光を感光体ドラムに導く偏向ミラー、ビーム光のfθ補正を行なうfθレンズ、ビーム光を感光体ドラムの軸方向に走査させるポリゴンミラー等の多くの光学系の機器類で構成されるレーザスキャニングユニットがそれぞれ設けられていると共に、帯電器、クリーニング装置及び除電装置等がそれぞれ設けられている。
また、画像形成ユニットは、感光体ドラムにトナーを供給することによって静電潜像を現像する現像装置、感光体ドラム上に形成されたトナー像を記録用紙に対して転写する転写装置等を備えている。
【0025】
定着ユニットは、加熱ローラを含んで構成され、記録用紙に転写されたトナー像を記録用紙に定着させることができるように構成されている。
【0026】
搬送ユニットは、本体部3のカセットに収容された記録用紙あるいはペーパーフィーダー2から本体部3に供給される記録用紙を、本体部3の内部において搬送するものである。
【0027】
また、本体部3は、骨格となる金属製のベース3aと、当該ベース3aを囲う樹脂性のカバー3bとを備えている(図3参照)。
そして、ペーパーフィーダー2と接続される本体部3の下面には、カバー3bが設けられておらず、ベース3aが露出された状態とされている。
【0028】
このような複写機1では、画像読取ユニットによって読み取られた画像データに基づいて、画像形成ユニットでトナー像が形成される。そして、トナー像が記録用紙に転写され、記録用紙に転写されたトナー像が定着ユニットによって記録用紙に定着される。
【0029】
そして、本実施形態の複写機1では、図2に示すように、ペーパーフィーダー2の上部に対して、本体部3のベースに係合することによって本体部3のペーパーフィーダー2に対する上方への移動を規制する係止部4が複数設けられている。
【0030】
各係止部4は、ペーパーフィーダー2の正面に設けられたレバー4aを移動させることによってロック位置と解放位置との間で水平移動可能に構成されている。なお、係止部4がロック位置に配置された場合には本体部3の移動が規制され、係止部4が解放位置に配置された場合には本体部3をペーパーフィーダー2と乖離させることが可能となる。
【0031】
図3は、ロック位置に配置された係止部4を含む要部断面図である。
この図に示すように、本実施形態の複写機1は、係止部4がロック位置に配置されている場合にて、係止部4が本体部3のベース3aに対して上方に所定の隙間を空けて配置されるように構成されている。
【0032】
また、本実施形態の複写機1では、図2に示すようにペーパーフィーダー2の上部に対して、位置決めピン5が設けられている。
図4は、位置決めピン5の含む要部断面図である。
この図に示すように、本実施形態の複写機1においては、本体部3のベース3aに対して位置決め穴3cが設けられており、当該位置決め穴3cに対して位置決めピン5が嵌合することによってペーパーフィーダー2に対する本体部3の位置決めが行われる。
【0033】
本実施形態において位置決めピン5は、高さ方向において全領域が位置決め穴3cの開口径よりも僅かに小さな直径とされた嵌合部とされている。
また、位置決めピン5は、ペーパーフィーダー2上に本体部3が載置された状態において、その先端が位置決め穴3cから上方に突出するように高さ設定されている。
【0034】
なお、本実施形態の複写機1においては、係止部4と本体部3のベース3aとの隙間高さd1が、位置決めピン5の位置決め穴3cよりも上方に突出する領域の高さd2よりも小さく設定されている。
【0035】
また、図4に示すように、例えば、複数の位置決め穴3cのうち、いくつか(本実施形態においては1つ)を丸孔とし、残り(本実施形態においては1つ)を長孔としても良い。
【0036】
このような本実施形態の複写機1においては、ペーパーフィーダー2に対する本体部3の上方への移動を規制する係止部4が、ペーパーフィーダー2に設けられると共に本体部3のベース3aに対して上方に隙間を空けて配置されている。
このため、本実施形態の複写機1によれば、上記隙間の範囲で本体部3がペーパーフィーダー2に対して相対移動することが可能となっている。
【0037】
つまり、本実施形態の複写機1においては、本体部3がペーパーフィーダー2に対して剛結合されていない。このため、本体部3がペーパーフィーダー2に対して剛結合されている場合と比較して、複写機1の全体で見た場合に、一種の柔構造とされている。
柔構造である場合には、外部から振動が加えられた際に構造体自体で変化することによって振動を吸収し、剛構造であるよりも倒壊し難くなる。
【0038】
より詳細に説明すると、本実施形態の複写機1においては、係止部4が本体部3のベース3aに対して上方に隙間を空けて配置されているため、外部から強い振動が加えられた際に、本体部3とペーパーフィーダー2との境界領域を節として複写機1が曲がることができる。
このように複写機1が曲がる、すなわち本体部3とペーパーフィーダー2とが相対移動することによって、外部から加えられた振動を吸収し、複写機1が転倒を抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態の複写機1においては、本体部3のベース3aに対して設けられる位置決め穴3cと、ペーパーフィーダー2側に設けられると共に位置決め穴3cに嵌合する嵌合部を有する位置決めピン5とを備えている。
このため、係止部4と本体部3のベース3aとの間に僅かに隙間がある場合であっても、ペーパーフィーダー2と本体部3との位置関係を正確に合わせることが可能となる。
【0040】
また、本実施形態の複写機1においては、係止部4と本体部3のベース3aとの隙間高さd1が、位置決めピン5の位置決め穴3cよりも上方に突出する領域の高さd2よりも小さく設定されている。
このため、本実施形態の複写機1においては、外部より予期せぬ大きな振動が加わり、係止部4と本体部3のベース3aとの隙間高さd1が埋まるまで本体部3が上方に移動した場合であっても、位置決めピン5が位置決め穴3cから抜けることを防止することができる。
したがって、本実施形態の複写機1によれば、本体部3がペーパーフィーダー2から落下することを防止することができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0042】
図5は、本実施形態の複写機が備える位置決めピン5Aを含む要部断面図である。
この図に示すように、本実施形態の複写機が備える位置決めピン5Aは、位置決め穴3cに嵌合する嵌合部5Aaと、嵌合部5Aaの上方に当該嵌合部5Aaよりも小径の絞り部5Abを有する。
【0043】
このような本実施形態の複写機においては、位置決めピン5Aが嵌合部5Aaの上方に当該嵌合部5Aaよりも小径の絞り部5Abを有するため、本体部3をペーパーフィーダー2上に載置する際に、位置決めピン5Aを容易に位置決め穴3cに挿入することができる。
【0044】
また、地震等によって万が一、係止部4が破損するほどの大きなエネルギーによって本体部3が持ち上げられた場合であっても、絞り部5Abによって位置決めピン5Aが位置決め穴3cから抜け出すことをより確実に防止することができる。
【0045】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0046】
例えば、上述の例では、画像形成装置を複写機としたが、プリンタ、ファクシミリ装置又はこれらの機能を備えた複合機とすることもできる。
【符号の説明】
【0047】
1……複写機(画像形成装置)、2……ペーパーフィーダー、3……本体部、3a……ベース、4……係止部、5,5A……位置決めピン、5Aa……嵌合部、5Ab……絞り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録用紙に対して画像を形成する本体部と、前記記録用紙を収容すると共に必要に応じて前記本体部に対して前記記録用紙を供給するペーパーフィーダーとを備え、前記ペーパーフィーダー上に前記本体部が積載されて配置される画像形成装置であって、
前記ペーパーフィーダー側に設けられると共に前記本体部のベースに対して上方に所定の隙間を空けて配置され、前記ペーパーフィーダーに対する前記本体部の上方への移動を規制する係止部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記本体部の前記ベースに対して設けられる位置決め穴と、
前記ペーパーフィーダー側に設けられると共に前記位置決め穴に嵌合する嵌合部を有する位置決めピンと
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記係止部と前記本体部の前記ベースとの隙間高さが、前記位置決めピンの嵌合部の前記位置決め穴よりも上方に突出する領域の高さよりも小さく設定されていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記位置決めピンは、前記嵌合部の上方に当該嵌合部よりも小径の絞り部を有することを特徴とする請求項2または3記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−247740(P2012−247740A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121611(P2011−121611)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】