説明

画像形成装置

【課題】 トナー像が形成された記録シートの搬送経路を、切換部材により、排紙ローラに導く排紙経路と、反転ローラに導く反転経路とに簡単に切り換えられると共に、切換時における騒音を少なくする。
【解決手段】 トナー像が形成された記録シートSの搬送経路を、切換部材24により排紙ローラ27に導く排紙経路L1と、反転ローラ28に導く反転経路L2とに切り換えるにあたり、切換部材を回動させるカム30に、切換部材をバネ31により付勢させた状態で、第1回転伝達機構40により排紙ローラの回転をカムに伝達させる一方、第2回転伝達機構50により反転ローラの回転をカムに伝達させるようにし、制御装置62によって排紙ローラと反転ローラの回転及び反転ローラの回転方向を制御するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機等の画像形成装置に関するものである。特に、トナー像が形成された記録シートを排紙経路から排紙させる排紙ローラと、トナー像が形成された記録シートの搬送方向を反転経路において反転させて両面印刷経路に導く反転ローラとを備え、トナー像が形成された記録シートの搬送経路を回動する切換部材により切り換えて、上記の記録シートを排紙ローラに導く排紙経路と、反転ローラに導く反転経路とに切り換えるようにした画像形成装置において、記録シートの搬送経路の切換時における騒音を少なくすると共に、切換部材による搬送経路の切換を、別の装置を設けずに、上記の排紙ローラや反転ローラの回転により適切に制御できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機等の画像形成装置においては、従来から、記録シートの片面だけではなく、記録シートの両面にもトナー像を形成できるようにしたものが用いられている。
【0003】
そして、このように記録シートの両面にトナー像を形成できるようにした両面対応の画像形成装置においては、一般に、記録シートを排紙させる排紙ローラの他に、トナー像が形成された記録シートの搬送方向を反転経路において反転させて両面印刷経路に導く反転ローラを設け、トナー像が形成された記録シートの搬送経路を、切換部材により、上記の排紙ローラに導く排紙経路と、上記の反転ローラに導く反転経路とに切り換えるようにしている。
【0004】
ここで、上記のようにトナー像が形成された記録シートの搬送経路を切換部材によって切り換えるにあたっては、一般に、ソレノイドにより切換部材を回動させて切り換えを行うようにしている。
【0005】
しかし、記録シートにトナー像を形成する場合、一般に記録シートに転写されたトナー像を定着装置によって加熱定着させるため、その熱が上記のソレノイドに伝わり、特に、トナー像が形成された記録シートを上方に搬送させる場合には、定着装置の上部近傍にソレノイドが配置されることになり、定着装置からの放熱によってソレノイドの温度が大きく上昇して誤作動などが発生するため、ソレノイドを冷却させる冷却装置等を設けることが必要になり、コストが高くつくという問題があった。
【0006】
また、切換部材をソレノイドにより回動させて切り換えを行う場合、ソレノイドのON,OFFによって切換部材の回動が切り換わり、この切換部材が回動して落下する場合や、切換部材を回動させる軸とその軸受けとの間のがたつきなどによって、振動音や衝撃音が発生するという問題があった。
【0007】
また、従来においては、特許文献1に示されるように、切換部材に設けられたレバーを、付勢部材により付勢させた状態でカム部材に摺接させ、このカム部材をモータにより回転させて、上記のレバーを介して切換部材を回動させ、トナー像が形成された記録シートの搬送経路を、この切換部材によって切り換えるようにしたものが提案されている。
【0008】
しかし、この特許文献1に示されるものにおいては、カム部材を回転させるためのモータを別個に設ける必要があり、コストが高くつくと共に、このモータが定着装置の上部近傍に配置されて、その温度が上昇するため、このモータを冷却させる冷却装置等を設けることも必要になり、さらにコストが高くつくという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−247467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、トナー像が形成された記録シートを排紙経路から排紙させる排紙ローラと、トナー像が形成された記録シートの搬送方向を反転経路において反転させて両面印刷経路に導く反転ローラとを備え、回動する切換部材により、トナー像が形成された記録シートの搬送経路を、上記の記録シートを排紙ローラに導く排紙経路と、反転ローラに導く反転経路とに切り換えるようにした画像形成装置における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0011】
すなわち、本発明においては、上記のように切換部材によってトナー像が形成された記録シートの搬送経路を切り換えるにあたり、記録シートの搬送経路の切換時における騒音を少なくすると共に、切換部材によって搬送経路を切り換えることが、別の装置を設けずに適切に行えるようにして、コストを低減できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明においては、上記のような課題を解決するため、トナー像が形成された記録シートを排紙経路から排紙させる排紙ローラと、トナー像が形成された記録シートの搬送方向を反転経路において反転させて両面印刷経路に導く反転ローラとを備え、トナー像が形成された記録シートの搬送経路を切り換える切換部材を回動させて、上記の記録シートを排紙ローラに導く排紙経路と、上記の反転ローラに導く反転経路とに切り換えるようにした画像形成装置において、上記の切換部材を回動させる回動部材と、この回動部材に対して切換部材を付勢させる付勢部材と、上記の排紙ローラの回転を回動部材に伝達させる第1回転伝達機構と、上記の反転ローラの回転を回動部材に伝達させる第2回転伝達機構と、上記の排紙ローラと反転ローラの回転及び反転ローラの回転方向を制御する制御装置とを設け、少なくとも上記の第2回転伝達機構に一方向にだけ回転を伝達させる一方向性回転伝達部材を設けると共に、上記の第1回転伝達機構と回動部材との間の摩擦力と第2回転伝達機構と回動部材との間の摩擦力とを異ならせるようにした。
【0013】
ここで、この画像形成装置において、切換部材を回動させる上記の回動部材にカム等を用いることができる。
【0014】
また、この画像形成装置において、上記の制御装置によって排紙ローラと反転ローラの回転及び反転ローラの回転方向を制御するにあたり、そのタイミングを検知するために、切換部材に導かれる記録シートを検知するシート検知装置を設けることが好ましい。
【0015】
そして、この画像形成装置においては、トナー像が形成された記録シートを反転ローラに導く前に、上記の制御装置によりこの反転ローラを、一時的に記録シートを反転ローラに導く方向と逆方向に回転させて、上記の切換部材を回動させ、この切換部材により記録シートを反転経路に案内させるようにし、この状態で、制御装置により上記の反転ローラを、記録シートを反転ローラに導く方向に回転させて、上記の記録シートを反転経路内に導くようにすることができる。
【0016】
また、上記の制御装置により上記の排紙ローラを、トナー像が形成された記録シートを排紙経路から排紙させる方向に回転させて、上記の切換部材を回動させ、この切換部材により上記の記録シートを排紙経路内に導くようにすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の画像形成装置においては、トナー像が形成された記録シートの搬送経路を切り換える切換部材を回動させて、記録シートを排紙ローラに導く排紙経路と、反転ローラに導く反転経路とに切り換えるにあたり、上記の制御装置によって排紙ローラと反転ローラの回転及び反転ローラの回転方向を制御すると共に、排紙ローラの回転を回動部材に伝達させる第1回転伝達機構と、反転ローラの回転を回動部材に伝達させる第2回転伝達機構とにより回動部材を回動させ、この回動部材により切換部材を回動させるようにしたため、切換部材や回動部材を回動させるためのソレノイドやモータを別個に設ける必要がなくなる。
【0018】
このため、本発明の画像形成装置においては、ソレノイドやモータを別個に設ける場合のように、定着装置からの放熱によってこれらに誤作動などが発生するということがなくなると共に、これらの装置やこれを冷却させる冷却装置等を設ける必要もなくなり、コストを低減できるようになる。
【0019】
また、本発明の画像形成装置においては、上記の切換部材を付勢部材により回動部材に対して付勢させた状態で、この回動部材により切換部材を回動させて、トナー像が形成された記録シートを、排紙ローラに導く排紙経路と、反転ローラに導く反転経路とに切り換えるようにしたため、記録シートの搬送経路を切り換える際に、切換部材が落下する等によって振動音や衝撃音が発生するのが抑制され、切換時における騒音を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示した概略説明図である。
【図2】同実施形態の画像形成装置において、トナー像が形成された記録シートを排紙経路に導いて排紙させる状態を示した概略説明図である。
【図3】同実施形態の画像形成装置において、トナー像が形成された記録シートを反転経路に導く状態を示した概略説明図である。
【図4】同実施形態の画像形成装置において、反転経路に導かれた記録シートを両面印刷経路に導くと共に、トナー像が形成された記録シートを排紙経路に導いて排紙させる状態を示した概略説明図である。
【図5】同実施形態の画像形成装置において、トナー像が形成された記録シートの搬送経路を排紙経路と反転経路とに切り換える切換部材を回動させる構成を示した概略説明図である。
【図6】同実施形態の画像形成装置において、上記の切換部材を回動させるカム(回動部材)を回動させる機構を示した概略斜視図である。
【図7】同実施形態の画像形成装置において、排紙ローラと反転ローラの回転を制御して、切換部材を回動させる構成を示したブロック図である。
【図8】同実施形態の画像形成装置において、切換部材を回動させて、トナー像が定着された記録シートを搬送させる搬送経路を、反転経路と排紙経路との間で切り換える動作のタイミングを示したタイムチャートである。
【図9】同実施形態の画像形成装置において、カム(回動部材)を回動させる上記の機構により、反転ローラを逆転させて切換部材を下方に回動させる状態を示した概略説明図である。
【図10】同実施形態の画像形成装置において、カム(回動部材)を回動させる上記の機構により、反転ローラを正転させて、トナー像が形成された記録シートを反転経路に導く状態を示した概略説明図である。
【図11】同実施形態の画像形成装置において、カム(回動部材)を回動させる上記の機構により、排紙ローラを正転させて、切換部材を上方に回動させる状態を示した概略説明図である。
【図12】同実施形態の画像形成装置において、カム(回動部材)を回動させる上記の機構により、反転ローラを逆転させて、反転経路に導かれた記録シートを反転させて両面印刷経路に導くと共、排紙ローラを正転させて記録シートを排紙させる状態を示した概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、この発明の実施形態に係る画像形成装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る画像形成装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0022】
この実施形態の画像形成装置においては、図1に示すように、4つの感光体10を回転可能に設けると共に、各感光体10に対応させて、黄色,マゼンタ色,シアン色,黒色の異なった色彩のトナーを収容させた4つの現像装置11を設けている。
【0023】
そして、この画像形成装置においては、上記の各感光体10を回転させ、このように回転する各感光体10の表面を、それぞれ帯電装置12によって帯電させる。
【0024】
次いで、このように帯電された各感光体10の表面に対して、それぞれ潜像形成装置13により画像データに従った露光を行い、各感光体10の表面にそれぞれ静電潜像を形成し、このように静電潜像が形成された各感光体10に対して、それぞれ対応する現像装置11から所定の色彩のトナーを各感光体10の静電潜像部分に供給して現像を行い、各感光体10の表面にそれぞれの色彩のトナー像を形成する。
【0025】
そして、上記の各感光体10とローラ14に架け渡されて駆動される無端状になった中間転写ベルト15を介して対向する位置に設けられた各一次転写ローラ16により、各感光体10の表面に形成されたそれぞれの色彩のトナー像を、上記の中間転写ベルト15の上に順々に一次転写させて、この中間転写ベルト15の上にフルカラーのトナー像を形成する。一方、中間転写ベルト15に転写されずに各感光体10の表面に残留しているトナー等の残留物を、それぞれ第1クリーニング装置17によって各感光体10の表面から除去させる。
【0026】
そして、上記のように中間転写ベルト15の上に形成されたフルカラーのトナー像を、この中間転写ベルト15により二次転写ローラ18と対向する位置に導くようにする。
【0027】
また、この画像形成装置の下部に設けられた各給紙カセット19或いは手差しトレイ20から適当な記録シートSを選択して給紙ローラ21により給紙し、この記録シートSを送りローラ22により中間転写ベルト15と二次転写ローラ18との間に導くようにする。
【0028】
そして、このように中間転写ベルト15と二次転写ローラ18との間に導かれた記録シートSに、中間転写ベルト15の上に形成されたフルカラーのトナー像を二次転写ローラ18によって二次転写させる。また、記録シートSに転写されずに中間転写ベルト15の表面に残留しているトナー等の残留物を、第2クリーニング装置23によって中間転写ベルト15の表面から除去させる。
【0029】
そして、上記のようにフルカラーのトナー像が転写された記録シートSを定着装置24に導き、この定着装置24により転写されたフルカラーのトナー像を記録シートSに定着させる。
【0030】
その後、このようにフルカラーのトナー像が定着された記録シートSを定着装置24の上に設けられた送りローラ22により搬送し、この記録シートSをシート検知装置25によって検知し、その上方に設けられた三角形状の切換部材26を回動させるようにしている。
【0031】
そして、トナー像が定着された記録シートSを、排紙経路L1を通して排紙させるにあたっては、図2に示すように、切換部材26を上方に回動させて、この切換部材26により上記の記録シートSを排紙経路L1内に導き、この排紙経路L1を通して回転する排紙ローラ27により排紙させる。
【0032】
一方、トナー像が定着された記録シートSを、反転経路L2において反転させて両面印刷経路L3に導くにあたっては、先ず、図3に示すように、切換部材26を下方に回動させて、この切換部材26により上記の記録シートSを反転経路L2内に案内すると共に、この反転経路L2を通して上記の記録シートSの排紙方向に回転する反転ローラ28に導き、この反転ローラ28により上記の記録シートSの後端が反転経路L2内に導入されるまで、記録シートSの排紙方向に搬送させる。
【0033】
その後、図4に示すように、上記の反転ローラ28を排紙方向とは逆方向に回転させると共に、上記の切換部材26を上方に回動させ、反転経路L2内に導入された上記の記録シートSを反転させて、その後端側から逆方向に搬送させ、切換部材26の上を通して、この記録シートSを送りローラ22により両面印刷経路L3に導くようにする。また、このように切換部材26を上方に回動させて、記録シートSを両面印刷経路L3に導くにあたり、トナー像が定着された次の記録シートS、或いは先に両面印刷経路L3に導かれて両面にトナー像が定着された記録シートSを、上記の切換部材26により排紙経路L1内に導き、この排紙経路L1を通して回転する排紙ローラ27により排紙させるようにしている。
【0034】
そして、この実施形態においては、上記の切換部材26を回動させるにあたり、図5及び図6に示すように、この切換部材26を回動させる回動部材にカム30を用い、このカム30の外周に上記の切換部材26をバネ31からなる付勢部材によって圧接させるようにしている。
【0035】
そして、このカム30を回転させる第1摩擦ローラ32に対して、排紙ローラ27の回転を伝達させる第1回転伝達機構40と、反転ローラ28の回転を伝達させる第2回転伝達機構50とからそれぞれ回転を伝達させるようにしている。
【0036】
ここで、排紙ローラ27の回転を上記の第1摩擦ローラ32に伝達させる第1回転伝達機構40においては、上に位置する排紙ローラ27を回転駆動させる第1ギア41に第2ギア42を噛み合わせ、さらにこの第2ギア42に第3ギア43を噛み合わせると共に、この第3ギア43に一方向にだけ回転を伝達する一方向性回転伝達部材の第2摩擦ローラ44を設け、この第2摩擦ローラ44を上記の第1摩擦ローラ32に接触させて、この第2摩擦ローラ44の回転を第1摩擦ローラ32に伝達させるようにしている。
【0037】
また、反転ローラ28の回転を上記の第1摩擦ローラ32に伝達させる第2回転伝達機構50においては、上に位置する反転ローラ28を回転駆動させる第4ギア51に第5ギア52を噛み合わせと共に、この第5ギア52に一方向にだけ回転を伝達する一方向性回転伝達部材の第3摩擦ローラ53を設け、この第3摩擦ローラ53に第4摩擦ローラ54を接触させ、さらにこの第4摩擦ローラ54を上記の第1摩擦ローラ32に接触させて、この第4摩擦ローラ54の回転を第1摩擦ローラ32に伝達させるようにしている。
【0038】
そして、この実施形態においては、上記の第1摩擦ローラ32と第4摩擦ローラ54との間の摩擦力が、上記の第1摩擦ローラ32と第2摩擦ローラ44との間の摩擦力よりも大きくなるようにし、上記の第2摩擦ローラ44の回転が停止している状態で、上記の第4摩擦ローラ54が回転すると、これに伴って第1摩擦ローラ32及びカム30が回転するようにしている。
【0039】
また、この実施形態においては、上記の排紙ローラ27と反転ローラ28の回転を制御して、上記の切換部材26を回動させるにあたり、図7に示すように、画像形成装置に設けられたCPU60に対して、操作パネル(図示せず)等の画像形成条件出力手段61から片面印刷や両面印刷等の画像形成条件や、上記のシート検知装置25による記録シートSの検知情報等を出力し、このCPU60に設けられた制御装置62により、排紙ローラ27を回転させる排紙ローラ駆動モータ27a及び反転ローラ28を回転させる反転ローラ駆動モータ28aを制御し、排紙ローラ27と反転ローラ28の回転及び反転ローラ28の回転方向を制御するようにしている。
【0040】
次に、上記の切換部材26を回動させて、トナー像が定着された記録シートSを搬送させる搬送経路を、上記の反転経路L2と排紙経路L1との間で切り換える動作を図8に示すタイムチャートに基づいて説明する。
【0041】
ここで、両面印刷を行うために、図3に示すように、切換部材26を下方に回動させて、この切換部材26により記録シートSを反転経路L2内に導くにあたっては、レジストセンサ(図示せず)がONされて、記録シートSがシート検知装置25に導かれるまでに、上記の排紙ローラ27を停止させた状態で、上記の反転ローラ28を一時的に記録シートSの排紙方向とは逆方向に回転(逆転)させる。このようにすると、図9に示すように、第2回転伝達機構50における第4ギア51と第5ギア52を介して一方向性の第3摩擦ローラ53が回転し、この第3摩擦ローラ53の回転が第4摩擦ローラ54を介して第1摩擦ローラ32に伝達され、この第1摩擦ローラ32と共に上記のカム30が回転し、このカム30の回転に伴い、上記の切換部材26が上記のバネ31に抗して下方に回動されるようになる。
【0042】
そして、記録シートSがシート検知装置25に導かれて、シート検知装置25がONされると、上記の反転ローラ28を記録シートSの排紙方向に回転(正転)させる。このようにすると、図10に示すように、上記の一方向性の第3摩擦ローラ53は回転方向が逆方向であるため回転せず、切換部材26がカム30によって下方に回動された状態で維持される。この結果、シート検知装置25を通過した記録シートSが反転経路L2内に案内されて上記の反転ローラ28導かれ、この反転ローラ28により記録シートSが排紙方向に搬送されるようになる。
【0043】
次いで、記録シートSの後端がシート検知装置25を通過して、シート検知装置25がOFFされると、記録シートSの後端が反転経路L2内に導かれるまで、上記の反転ローラ28を記録シートSの排紙方向に回転(正転)させ続ける一方、上記の排紙ローラ27を排紙方向に一時的に回転させる。このようにすると、図11に示すように、上記の第1回転伝達機構40における第1ギア41、第2ギア42及び第3ギア43を介して一方向性の第2摩擦ローラ44が回転し、この第2摩擦ローラ44の回転が上記の第1摩擦ローラ32に伝達され、この第1摩擦ローラ32と共に上記のカム30が上記の場合とは逆方向に回転し、このカム30の回転に伴い、上記のバネ31により切換部材26が上方に回動されるようになる。
【0044】
その後、上記の反転ローラ28を記録シートSの排紙方向とは逆方向に回転(逆転)させて、図4に示すように、反転経路L2内に導かれた記録シートSを反転させて、その後端側から逆方向に搬送させ、上記の切換部材26の上を通して、この記録シートSを両面印刷経路L3に導くようにすると共に、上記の排紙ローラ27を排紙方向に回転させ、トナー像が定着された次の記録シートS、或いは先に両面印刷経路L3に導かれて両面にトナー像が定着された記録シートSを、上記の切換部材26により排紙経路L1内に導き、この排紙経路L1を通して回転する排紙ローラ27により排紙させるようにする。
【0045】
ここで、上記のように反転ローラ28を記録シートSの排紙方向とは逆方向に回転(逆転)させると共に、排紙ローラ27を排紙方向に回転させた場合、図12に示すように、上記の第2回転伝達機構50における第4ギア51と第5ギア52を介して一方向性の第3摩擦ローラ53が回転し、この第3摩擦ローラ53の回転が第4摩擦ローラ54を介して第1摩擦ローラ32に伝達されると共に、上記の第1回転伝達機構40における第1ギア41、第2ギア42及び第3ギア43を介して一方向性の第2摩擦ローラ44が回転し、この第2摩擦ローラ44の回転が第1摩擦ローラ32に伝達されるようになり、上記の第4摩擦ローラ54と第2摩擦ローラ44とによる第1摩擦ローラ32への回転の伝達が相殺されると共に、上記のバネ31による付勢力により、切換部材26が上方に回動された状態で維持されるようになる。
【0046】
なお、片面印刷だけを行い、トナー像が定着された記録シートSを、排紙経路L1を通して排紙する場合にも、上記の場合と同様に、反転ローラ28を記録シートSの排紙方向とは逆方向に回転(逆転)させると共に、排紙ローラ27を排紙方向に回転させ、切換部材26が上方に回動された状態で維持されるようにする。
【符号の説明】
【0047】
10 感光体
11 現像装置
12 帯電装置
13 潜像形成装置
14 ローラ
15 中間転写ベルト
16 一次転写ローラ
17 第1クリーニング装置
18 二次転写ローラ
19 給紙カセット
20 手差しトレイ
21 給紙ローラ
22 送りローラ
23 第2クリーニング装置
24 定着装置
25 シート検知装置
26 切換部材
27 排紙ローラ
27a 排紙ローラ駆動モータ
28 反転ローラ
28a 反転ローラ駆動モータ
30 カム(回動部材)
31 バネ(付勢部材)
32 第1摩擦ローラ
40 第1回転伝達機構
41 第1ギア
42 第2ギア
43 第3ギア
44 一方向性の第2摩擦ローラ
50 第2回転伝達機構
51 第4ギア
52 第5ギア
53 一方向性の第3摩擦ローラ(一方向性回転伝達部材)
54 第4摩擦ローラ
60 CPU
61 画像形成条件出力手段
62 制御装置
L1 排紙経路
L2 反転経路
L3 両面印刷経路
S 記録シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が形成された記録シートを排紙経路から排紙させる排紙ローラと、トナー像が形成された記録シートの搬送方向を反転経路において反転させて両面印刷経路に導く反転ローラとを備え、トナー像が形成された記録シートの搬送経路を切り換える切換部材を回動させて、上記の記録シートを排紙ローラに導く排紙経路と、上記の反転ローラに導く反転経路とに切り換えるようにした画像形成装置において、上記の切換部材を回動させる回動部材と、この回動部材に対して切換部材を付勢させる付勢部材と、上記の排紙ローラの回転を回動部材に伝達させる第1回転伝達機構と、上記の反転ローラの回転を回動部材に伝達させる第2回転伝達機構と、上記の排紙ローラと反転ローラの回転及び反転ローラの回転方向を制御する制御装置を設け、少なくとも上記の第2回転伝達機構に一方向にだけ回転を伝達させる一方向性回転伝達部材を設けると共に、上記の第1回転伝達機構と回動部材との間の摩擦力と第2回転伝達機構と回動部材との間の摩擦力とを異ならせたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、上記の回動部材がカムで構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置において、上記の切換部材に導かれる記録シートを検知するシート検知装置を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置において、トナー像が形成された記録シートを反転ローラに導く前に、この反転ローラを上記の制御装置により一時的に記録シートを反転ローラに導く方向と逆方向に回転させて上記の切換部材を回動させ、この切換部材により記録シートを反転経路に案内させ、この状態で、上記の反転ローラを制御装置により記録シートを反転ローラに導く方向に回転させて、上記の記録シートを反転経路内に導くことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の画像形成装置において、上記の制御装置により上記の排紙ローラを、トナー像が形成された記録シートを排紙経路から排紙させる方向に回転させて上記の切換部材を回動させ、この切換部材により上記の記録シートを排紙経路内に導くことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−6726(P2012−6726A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144924(P2010−144924)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】