説明

画像形成装置

【課題】画像ノイズを防止することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像時には、汲み上げローラ30に液体現像剤を供給する液体現像剤供給機構32から液体現像剤が供給される。そして、規制ブレード34で規制された液体現像剤は、供給ローラ28を介して現像ローラ18に搬送される。現像待機に入る際には汲み上げローラ30と供給ローラ28との圧接状態を離間状態に設定する。なお、この際、液体現像剤供給機構32からの液体現像剤の供給を停止する。そして、供給ローラ28および現像ローラ18を駆動することにより、供給ローラ28に付着している液体現像剤が現像ローラ18に搬送される。現像ローラ18に搬送された液体現像剤は、クリーニングブレード24により除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置に関し、液体現像剤を用いてトナー像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、現像装置を用いて像担持体である感光体上に静電潜像がトナーにより現像される。そして、例えば、感光体上に現像された静電潜像が記録用紙に転写されて画像が形成されることになる。このような画像形成装置の転写プロセスでは、一般に静電転写方式が採用されている。
【0003】
トナー像を被転写体である用紙に転写する場合は、感光体に対向するように配置された用紙の裏面から転写ローラ等により電圧を印加し、感光体と記録用紙との間に電界を形成してこの電界によりトナー像を記録用紙に静電吸着させている。
【0004】
そして、その後、定着装置により加圧定着することにより転写されたトナー像を記録用紙に定着させている。
【0005】
ところで、この湿式現像装置における現像装置においては、従来よりキャリア液中にトナーを分散させた液体現像剤を搬送ローラを介して弾性部材である現像ローラに供給し、この現像ローラによって感光体上の静電潜像を現像するものが知られている。このような現像装置において、画像形成をする時でない場合すなわち非画像形成時においては、弾性部材である現像ローラは静止した状態である。
【0006】
弾性部材(現像ローラ)の表面の一部が他の部材(例えば搬送ローラ)と圧接している状態が続くと、弾性部材の表面の圧接部に圧縮ひずみが発生する。圧縮ひずみが発生した部分では部材間の圧接力が低下するため、弾性部材が再び回転を開始して画像形成する際、均一な液体現像剤の受け渡しができなくなり、弾性部材の回転周期で濃度ムラ(以下、ピッチムラと表記する)が発生する問題が生じる。
【0007】
以下に、ひずみ発生によりピッチムラが発生するメカニズムを説明する。
弾性部材の表面にひずみが生じている部分では、ひずみで凹んでいる部分に液体現像剤がより多く担持されていると考えられる。
【0008】
一方、液体現像剤を受け渡す側の部材と現像剤を受け取る側の部材とが対向部において同方向に回転している場合、液体現像剤は部材のニップ間を通過し、部材の速度比に応じた割合でそれぞれの部材に分配される。
【0009】
したがって、受け渡し側の部材にひずみがあり、その部分に現像剤がより多く担持されている場合、受け取り側の部材上の搬送量も増加する。
【0010】
また、液体現像剤を受け渡す側の部材と液体現像剤を受け取る側の部材が対向部において逆方向に回転している場合、受け渡し側の部材上の液体現像剤は、部材間のニップ部を通過せず、ニップ通過前に受け取り側の部材に搬送される。しかし、受け渡し側の部材表面にひずみが生じていると、この部分で圧接力が低下している為、液体現像剤は部材のニップ間をすり抜けやすくなる。このため、受け取り側の部材上の搬送量は減少する。
【0011】
このようなメカニズムで、弾性部材にひずみが発生していると、搬送される液体現像剤の量が増加あるいは減少する為、ひずみのある弾性部材の回転する周期で濃度ムラが発生すると考えられる。
【0012】
特許文献1では、作像後、現像待機時においては、ローラ間の離間を実行することによりローラの変形(例えば、ひずみ)等を防止する方式が提案されている。
【0013】
また、特許文献2においても離接手段を用いてローラ間を離間させて、ローラの変形を防止する方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2001−324877号公報
【特許文献2】特開平8−137279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
一方で、ローラ上のトナーを除去するクリーニング手段としては、現像ローラから感光体への現像が行われた残余のトナーを除去するため、現像ローラ上に設けられる構成が一般的である。
【0016】
上記文献においてはローラの変形等を防止する方式としてローラ間を離間させる方式が提案されているが、各ローラ上に液体現像剤の薄層を形成したまま、長時間放置した場合、キャリア液が揮発してトナー成分が固化する可能性がある。
【0017】
固化したトナーは、各ローラ等の表面に付着、または、ローラ間のニップ領域近傍で滞留し動かなくなる可能性があり、次の作像動作時において、現像ローラのクリーニング手段まで搬送されることなく、画像ノイズとなってしまう可能性がある。
【0018】
また、現像ローラの表面で薄層として固化したトナーは、クリーニング手段のブレードエッジに噛みこみ、ブレードエッジや現像ローラを傷つける可能性があり、それによって、画像ノイズとなって現れる可能性もある。
【0019】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、画像ノイズを防止することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明のある局面に従う画像形成装置は、現像剤を供給する現像剤供給部と、現像剤供給部から現像剤の供給を受ける汲み上げ部材と、汲み上げ部材に当接され、現像剤供給部により供給された現像剤の量を規制して、剰余の現像剤を除去する規制部材と、像担持体にトナー像を形成するために現像剤を担持する現像部材と、現像部材に当接され、現像部材に残存した現像剤を除去するためのクリーニング部材と、汲み上げ部材および現像部材とそれぞれ接触して設けられ、汲み上げ部材から供給される現像剤を現像部材に搬送するための搬送部材と、作像終了後、待機状態に入る前に、汲み上げ部材と搬送部材との接触を離間させるための離間機構と、搬送部材および現像部材の少なくとも一方の駆動を制御する駆動部とを備える。現像剤供給部は、作像終了後、待機状態に入る前に、汲み上げ部材に対する現像剤の供給を停止し、駆動部は、離間機構による汲み上げ部材と搬送部材との離間後、搬送部材に付着している現像剤を現像部材に受け渡し、現像部材に設けられたクリーニング部材で当該現像剤を除去するように搬送部材および現像部材の少なくとも一方の駆動を制御する。
【0021】
好ましくは、離間機構は、搬送部材と現像部材との接触を離間させることも可能であり、離間機構は、離間機構による汲み上げ部材と搬送部材との離間後、搬送部材に付着している現像剤を現像部材に受け渡した後、搬送部材と現像部材とを離間させる。
【0022】
好ましくは、駆動部は、汲み上げ部材の駆動を制御することが可能であり、駆動部は、現像剤供給部による現像剤の供給停止後、汲み上げ部材に対して供給した現像剤が規制部材に到達するまで汲み上げ部材を回転させた後、停止させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のある局面に従う画像形成装置において、現像剤供給部は、作像終了後、待機状態に入る前に、汲み上げ部材に対する現像剤の供給を停止し、駆動部は、離間機構による汲み上げ部材と搬送部材との離間後、搬送部材に付着している現像剤を現像部材に受け渡し、現像部材に設けられたクリーニング部材で当該現像剤を除去するように搬送部材および現像部材の少なくとも一方の駆動を制御する。したがって、離間した後の搬送部材に付着している現像剤を現像部材に搬送し、現像部材で現像剤を除去することが可能となるため、部材間のひずみを防止するとともに、部材に現像剤が固化することを防止して画像ノイズを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に従う湿式画像形成装置の一例について説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う現像待機の際の現像装置の動作について説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に従う現像装置100の動作処理について説明するフロー図である。
【図4】本発明の実施の形態に従う現像装置100の停止動作について説明するフロー図である。
【図5】本発明の実施の形態の変形例に従う現像待機の際の現像装置の動作について説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態の変形例に従う現像装置100の停止動作について説明するフロー図である。
【図7】本発明の実施の形態に従う離間機構の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明においては同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一であるものとする。
【0026】
本発明の実施の形態においては、画像形成装置の一例として湿式画像形成装置について代表的に説明するが乾式画像形成装置についても同様に適用することが可能である。
【0027】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に従う湿式画像形成装置の一例について説明する図である。
【0028】
図1を参照して、本発明の実施の形態に従う湿式画像形成装置には、ドラム状の像担持体である感光体12が設けられ、感光体12の周辺には矢印で示す回転方向の順に現像装置100の現像ローラ18、感光体12から記録用紙に対して転写するための転写ローラ10、感光体12に残留したキャリア液のトナー付着力を弱めるために設けられたプレクリーニングローラ20、残留したキャリア液を除去するためのクリーニング部材であるクリーニングブレード22、帯電装置14および露光装置16がそれぞれ配設される。また、湿式画像形成装置には、装置全体を制御するコントローラ200が設けられ、プリントジョブに応じて作像動作等を実行するために各部に対して指示を与えるものとする。
【0029】
現像装置100は、現像ローラ18と、供給ローラ28と、汲み上げローラ30と、各ローラの駆動を制御する駆動部50と、汲み上げローラ30に液体現像剤を供給する液体現像剤供給機構32と、液体現像剤供給機構32から供給された液体現像剤を汲み上げローラ30に案内するガイド部材38と、汲み上げローラ30に供給された液体現像剤の液量を適量に規制して、剰余の液体現像剤を除去するための規制ブレード34と、汲み上げローラ30から滴下した液体現像剤あるいは規制ブレード34で規制された液体現像剤を回収する回収槽36と、現像ローラ18に対して設けられ、現像ローラ18に残留した液体現像剤(キャリア液)を除去するためのクリーニング部材であるクリーニングブレード24と、クリーニングブレード24により除去された液体現像剤を回収する回収槽26とを含む。
【0030】
互いに隣接している汲み上げローラ30と供給ローラ28とは接触領域において同一方向に回転するものとする。また、互いに隣接している供給ローラ28と現像ローラ18とは接触領域において互いに反対方向に回転するものとする。反対方向とすることにより供給ローラ28から現像ローラ18への液体現像剤を効率的に供給することが可能となる。なお、供給ローラ28の表面粗さ(Rz)は3〜7μm程度の粗面のものが用いられ、濡れ性によって均一な薄層となる。なお、本例においては、供給ローラ28と現像ローラ18とは接触方向において反対方向に回転する場合について説明するが、同一方向に回転させることも可能である。他のローラについても同様である。
【0031】
各ローラ等は、円柱状であり、本例では、その断面部分が示されている。
なお、クリーニングブレード24は、ゴム体であっても剛体であっても良い。ゴム体は、ウレタンゴムや、NBRゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。剛体の場合には、ポリプロピレン、ABS、ポリカーボネート等の樹脂類や、アルミ、アルマイト、SUS、真鍮などの金属類が挙げられる。
【0032】
なお、クリーニングブレード24は、感光体12上に対する現像後の現像ローラ18に残留したキャリア液を除去する。なお、本例においては、残留したキャリア液を掻き取る構成としてクリーニングブレード24を現像ローラ18の回転方向に対してカウンタ当接した構成を一例として図示しているが、残留したキャリア液を掻き取ることが可能な構成であれば特にその当接の方向等には限定されない。その他のクリーニングブレードについても同様である。また、本例においては、クリーニングブレードを用いて残留したキャリア液を除去する構成について説明しているが、ウェブロール状の紙,布等を感光体に圧接し、巻き取り移動させながら残留したキャリア液を除去するいわゆるウェブクリーニングを採用することも可能である。また、バイアスを印加してトナーを引き付けるようにしてもよい。他のクリーニングブレードについても同様である。
【0033】
現像ローラ18には、規制された一定量の液体現像剤が供給され、図示しない現像前チャージャにより現像ローラ18上の液体現像剤中に含まれるトナーに電荷が与えられる。その後、現像ローラ18により感光体12に搬送された荷電されたトナーは感光体12上において画像部を現像する。
【0034】
感光体12の表面は、帯電装置14により所定の表面電位に一様に帯電される。そして、その後、露光装置16により画像情報の露光を行ない、感光体12の表面に静電潜像を形成する。次いで、感光体12上の静電潜像は、上述したように現像ローラ18によりトナーおよびキャリア液を含む液体現像剤で現像され、感光体12の表面にトナー像が形成される。このとき、トナーだけでなくキャリア液も感光体12の表面に付着する。
【0035】
次に、感光体12上に形成されたトナー像は、所定の電圧が印加された転写ローラ10等と対向する位置(転写位置)に移動し、当該転写位置において搬送ベルト4を介して搬送された記録用紙に対してトナー像が形成される。具体的には、転写ローラ10に対して所定の電圧が印加され、感光体12と記録用紙との間に電界が形成されて、この電界によりトナー像を記録用紙に静電吸着させる。これにより記録用紙上にトナー像が形成される。
【0036】
そして、トナー像が転写された記録用紙は、搬送ベルト4を介して定着装置へと搬送される。
【0037】
定着装置は、定着ローラ2Aと、加圧ローラ2Bとを含む。
定着装置において、内部にそれぞれヒータ(熱源)を内蔵した定着ローラ2Aおよび加圧ローラ2Bにより熱と圧力により記録用紙へ転写されたトナー像を固着させる定着プロセスが実行され、定着工程が終了する。なお、本例においては、定着ローラ2Aおよび加圧ローラ2Bにそれぞれヒータ(熱源)が設けられる場合について説明するが、いずれか一方とすることも可能である。
【0038】
そして、定着装置においてトナー像が定着された後、図示しない排紙機構により装置外に排出される。
【0039】
液体現像剤は、キャリア液である絶縁性液体と、静電潜像を現像するトナーと、トナーを分散させる分散剤とを主要成分としている。
【0040】
キャリア液としては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば特に制限することなく使用することができるが、例えば、不揮発性のキャリア液として、パラフィン系のモレスコホワイト(P−40,P−70,P−120)(松村石油研究所)を挙げることができる。
【0041】
また、揮発性のキャリア液として、イソパラフィン系のIPソルベント(IP−1016,IP−1620,IP−2028,IP−2835)およびIPクリーンHX(出光興産株式会社)、あるいは、イソパラフィン系のアイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM(エクソンモービル社)を挙げることができる。
【0042】
液体現像剤の調製方法としては、一般に用いられる技法に基づいて調製することができる。たとえば、結着剤樹脂と顔料とを所定の配合比で、加圧ニーダ、ローラミルなどを用いて溶融混練して均一に分散させ、得られた分散体をたとえばジェットミルによって微粉砕する。得られた微粉末をたとえば風力分級機などにより分級することで、所望の粒径の着色トナーを得ることができる。そして、得られたトナー粒子をキャリア液としての絶縁性液体と所定の配合比で混合する。この混合物をボールミル等の分散手段により均一に分散させ、液体現像剤を得ることができる。トナー濃度としては10〜50質量%程度が好ましい。
【0043】
トナーの平均粒径は、湿式画像形成方式を採用しているため、0.1μm〜5μmとすることが可能である。0.1μm未満では現像性が大きく低下し、5μmより大きい粒径では画像品位が低下するため、0.1〜5μmに設定することが望ましい。
【0044】
以下においては、画像形成後の現像待機の際において本実施の形態に従うローラの変形等を防止する方式について説明する。
【0045】
図2は、本発明の実施の形態に従う現像待機の際の現像装置の動作について説明する図である。
【0046】
図2を参照して、ここでは、現像装置100の主要部の構成が示されている。
図2(A)は、現像装置100の画像形成時における状態を説明する図である。
【0047】
汲み上げローラ30に液体現像剤を供給する液体現像剤供給機構32から液体現像剤が供給される。そして、規制ブレード34で規制された液体現像剤は、供給ローラ28を介して現像ローラ18に搬送される。
【0048】
図2(B)は、汲み上げローラ30と供給ローラ28とが離間した状態を説明する図である。まず、現像待機に入る際には本例においては、汲み上げローラ30と供給ローラ28との圧接状態を離間状態に設定する。なお、この際、液体現像剤供給機構32からの液体現像剤の供給を停止するものとする。
【0049】
次に、図2(C)は、供給ローラ28に付着している液体現像剤を現像ローラ18に搬送する場合を説明する図である。図示しない駆動部50により供給ローラ28および現像ローラ18を駆動することにより、供給ローラ28に付着している液体現像剤が現像ローラ18に搬送される。なお、汲み上げローラ30も駆動部50により駆動することにより汲み上げローラ30に付着している余分な液体現像剤も規制ブレード34側へ搬送される。
【0050】
次に、図2(D)は、現像ローラ18に設けられたクリーニングブレード24により液体現像剤を除去する場合を説明する図である。
【0051】
ここで示されているように現像ローラ18に搬送された液体現像剤は、図示しない駆動部50の回転に従いクリーニングブレード24により除去されることになる。なお、汲み上げローラ30についても規制量を超える余分な液体現像剤は規制ブレード34で規制されることになる。
【0052】
図3は、本発明の実施の形態に従う現像装置100の動作処理について説明するフロー図である。
【0053】
図3を参照して、プリント指令があった場合(ステップS2)には、コントローラ200は、作像動作を指示する(ステップS4)。
【0054】
次に、コントローラ200は、プリント指令があるかどうかを判断する(ステップS6)。コントローラ200は、プリント指令があると判断した場合(ステップS6においてYES)には、再び作像動作を指示する(ステップS4)。
【0055】
一方で、次のプリント指令が無いと判断した場合(ステップS6においてNO)には、停止動作を指示する(ステップS8)。そして、処理を終了する(エンド)。
【0056】
図4は、本発明の実施の形態に従う現像装置100の停止動作について説明するフロー図である。
【0057】
図4を参照して、まず、コントローラ200は、現像剤の停止を指示する(ステップS10)。具体的には、液体現像剤供給機構32からの液体現像剤の供給を停止させる。
【0058】
次に、コントローラ200は、離間動作を指示する(ステップS12)。具体的には、図2(B)で説明したように汲み上げローラ30と供給ローラ28とを離間させる。離間動作を実行する離間機構については後述する図7で説明する。
【0059】
次に、コントローラ200は、ローラの駆動を指示する(ステップS14)。具体的には、図2(C)で説明したように、コントローラ200は、駆動部50に指示して、供給ローラ28および現像ローラ18を駆動して供給ローラ28に付着している液体現像剤を現像ローラ18に搬送する。
【0060】
次に、コントローラ200は、所定期間が経過したかどうかを判断する(ステップS16)。具体的には、離間動作を実行してから所定期間、ローラを駆動させたかどうかを判断する。当該所定期間は、供給ローラ28および現像ローラ18を駆動して供給ローラ28に付加している液体現像剤が現像ローラ18に搬送されて現像ローラ18の回転駆動により現像ローラ18に搬送された液体現像剤がクリーニングブレード24で除去されるまでに必要な時間に設定される。すなわち、当該所定期間、供給ローラ28および現像ローラ18を駆動することにより供給ローラ28および現像ローラ18に付着している液体現像剤はクリーニングブレード24により除去されることになる。なお、汲み上げローラ30についても同様に駆動して規制ブレード34で余分な液体現像剤は規制されることになる。
【0061】
そして、コントローラ200は、当該所定期間が経過したと判断した場合(ステップS16においてYES)には、ローラの停止を指示する(ステップS18)。具体的には、コントローラ200は、駆動部50に指示して、現像ローラ18等の駆動を停止させる。
【0062】
そして、処理を終了する(エンド)。すなわち、ローラの駆動を停止させて現像待機へと移行させる。
【0063】
本発明の実施の形態に従う方式においては、現像待機の際に離間動作を実行することにより、ローラ等のひずみを解消することが可能である。ローラ等のひずみによる画像ノイズは、柔らかいローラと硬いローラとの組み合わせのときに顕著に現れる。柔らかいローラはより大きく歪み、永久歪み量は、一般的に柔らかい材料で大きいからである。一般的に汲み上げローラは、印刷などで用いられる金属に溝を彫ったアニックスローラが用いられ、供給ローラおよび現像ローラは弾性ローラを用いることが一般的である。したがって、本例の如く、汲み上げローラ30と供給ローラ28とを離間させることにより画像ノイズを防止することが可能である。供給ローラ28と現像ローラ18との間のひずみは、硬度の組み合わせによりひずみを防止することが可能である。
【0064】
そして、離間動作後において供給ローラ28に付着している余分な液体現像剤を現像ローラ18に搬送し、現像ローラ18に設けられたクリーニングブレード24で除去する。当該処理により現像待機に移行する前にローラに付着している液体現像剤を除去することが可能であるためローラ上のトナーの固化を防止し、画像ノイズの原因を排除するとともに、クリーニングブレード24や現像ローラ18等の磨耗を防止することができる。
【0065】
(変形例)
図5は、本発明の実施の形態の変形例に従う現像待機の際の現像装置の動作について説明する図である。
【0066】
図5を参照して、ここでは、現像装置100の主要部の構成が示されている。
図5(A)には、図2(C)で説明したように供給ローラ28に付着している液体現像剤が現像ローラ18に搬送された場合が示されている。図示しない駆動部50により供給ローラ28および現像ローラ18を駆動することにより、供給ローラ28に付着している液体現像剤が現像ローラ18に搬送される。なお、汲み上げローラ30も駆動部50により駆動することにより汲み上げローラ30に付着している余分な液体現像剤も規制ブレード34側へ搬送される。
【0067】
図5(B)には、供給ローラ28に付着している液体現像剤が現像ローラ18に搬送された後、さらに現像ローラ18と供給ローラ28とが離間した状態が示されている。供給ローラ28に付着している液体現像剤が現像ローラ18に搬送された後であるため、供給ローラ28を現像ローラ18から離間させても余分な液体現像剤は付着していない。
【0068】
そして、図5(C)に示されるように、現像ローラ18を駆動部50により駆動することにより現像ローラ18に搬送された液体現像剤がクリーニングブレード24により除去されることになる。なお、汲み上げローラ30についても規制量を超える余分な液体現像剤は規制ブレード34で規制されることになる。
【0069】
現像装置100の動作処理については、図3で説明したのと同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
【0070】
図6は、本発明の実施の形態の変形例に従う現像装置100の停止動作について説明するフロー図である。
【0071】
図4を参照して、まず、コントローラ200は、現像剤の停止を指示する(ステップS10)。具体的には、液体現像剤供給機構32からの液体現像剤の供給を停止させる。
【0072】
次に、コントローラ200は、離間動作を指示する(ステップS12)。具体的には、図2(B)で説明したように汲み上げローラ30と供給ローラ28とを離間させる(第1の状態)。離間動作を実行する離間機構については後述する図7で説明する。
【0073】
次に、コントローラ200は、ローラの駆動を指示する(ステップS14)。具体的には、図2(C)で説明したように、コントローラ200は、駆動部50に指示して、供給ローラ28および現像ローラ18を駆動して供給ローラ28に付着している液体現像剤を現像ローラ18に搬送する。
【0074】
次に、コントローラ200は、第1期間が経過したかどうかを判断する(ステップS20)。具体的には、離間動作を実行してから第1期間、ローラを駆動させたかどうかを判断する。当該第1期間は、供給ローラ28および現像ローラ18を駆動して供給ローラ28に付加している液体現像剤が現像ローラ18に搬送されるまでに必要な時間に設定される。
【0075】
次に、コントローラ200は、第1期間が経過したと判断した場合(ステップS20においてYES)には、離間動作を指示する(ステップS22)。具体的には、図5(B)で説明したように現像ローラ18と供給ローラ28とを離間させる(第2の状態)。
【0076】
次に、コントローラ200は、第2期間が経過したかどうかを判断する(ステップS24)。具体的には、離間動作を実行してから第2期間、ローラを駆動させたかどうかを判断する。当該第2期間は、現像ローラ18を駆動して現像ローラ18に付加している液体現像剤がクリーニングブレード24により除去されるまでに必要な時間に設定される。なお、汲み上げローラ30についても同様に駆動して規制ブレード34で余分な液体現像剤は規制されることになる。
【0077】
そして、コントローラ200は、第2期間が経過したと判断した場合(ステップS24においてYES)には、ローラの停止を指示する(ステップS26)。具体的には、コントローラ200は、駆動部50に指示して、現像ローラ18等の駆動を停止させる。
【0078】
そして、処理を終了する(エンド)。すなわち、ローラの駆動を停止させて現像待機へと移行させる。
【0079】
本発明の実施の形態の変形例に従う方式においては、現像待機の際に離間動作を実行することにより、現像ローラ、供給ローラ、汲み上げローラのそれぞれの圧接状態を離間させることにより、各ローラのひずみを解消することが可能である。そして、離間動作後において供給ローラ28に付着している余分な液体現像剤を現像ローラ18に搬送し、現像ローラ18に設けられたクリーニングブレード24で除去する。当該処理により現像待機に移行する前にローラに付着している液体現像剤を除去することが可能であるためローラ上のトナーの固化を防止し、画像ノイズの原因を排除するとともに、クリーニングブレード24や現像ローラ18等の磨耗を防止することができる。特に、現像ローラと供給ローラ間の圧接状態も離間するためニップ領域近傍で滞留し動かなくなるトナーも除去することが可能となる。
【0080】
また、現像ローラ18と供給ローラ28とを離間させた後は、供給ローラ28の駆動を停止するようにしても良い。また、汲み上げローラ30についても同様に、汲み上げローラに対する液体現像剤供給機構32からの液体現像剤の供給が停止した後、規制ブレードに当該液体現像剤が到達するまで汲み上げローラ30を回転させた後、停止させるようにしても良い。当該処理により液体現像剤が無い状態での無駄な空回転を抑制することが可能である。これにより、規制ブレード、クリーニングブレード等の磨耗を抑制することが可能である。
【0081】
(離間機構)
図7は、本発明の実施の形態に従う離間機構の一例を説明する図である。
【0082】
図7を参照して、ここでは離間機構として、図示しないモータにより中心軸52を中心に回転可能な偏心カム40と、汲み上げローラ30と連結された連結部材46とが設けられる。連結部材46と筐体等の固定部材との間にはバネ42が設けられる。バネ42は、固定部材から離間する方向に付勢されている。偏心カム40が中心軸52を中心に回転することにより連結部材46が偏心カム40により押圧されて連結部材46とともに汲み上げローラ30の位置が調節される。具体的には、偏心カム40に押圧されてバネ42の付勢力に対向する向きに連結部材46を押し下げる。
【0083】
また、供給ローラ28と連結された連結部材48が設けられる。連結部材48と筐体等の固定部材との間にはバネ44が設けられる。バネ44は、固定部材から離間する方向に付勢されている。また、連結部材48には中央部分にスライド溝49が設けられており、スライド溝49に汲み上げローラ30の中心軸30Aが嵌め込まれた状態となっている。スライド溝49は、汲み上げローラ30の中心軸30Aがスライド溝49に沿って移動可能なように設けられており、本例においては、後述するが汲み上げローラ30の中心軸30Aがスライド溝49の端部領域に到達した後、さらに汲み上げローラ30の中心軸30Aの位置が変化する。具体的には、汲み上げローラ30の中心軸30Aが連結部材48のスライド溝49の端部領域を押圧して、バネ44の付勢力に対抗する向きに連結部材48を押し下げる。
【0084】
図7(A)は、汲み上げローラ30、供給ローラ28、現像ローラ18がそれぞれ圧接状態である場合が示されている。この場合には、偏心カム40は、連結部材46を押圧していない状態である。バネ42の付勢力に従って、固定部材から離間する方向に汲み上げローラ30と連結されている連結部材46が押し上げられ、汲み上げローラ30と供給ローラ28とが圧接される状態となっている。また、バネ44の付勢力に従って、固定部材から離間する方向に供給ローラ28と連結されている連結部材48が押し上げられ、供給ローラ28と現像ローラ18とが圧接される状態となっている。
【0085】
図7(B)は、汲み上げローラ30が供給ローラ28から離間する状態である場合が示されている。この場合には、偏心カム40は、連結部材46を押圧した状態(第1の状態)である場合が示されている。コントローラ200は、図示しないモータに指示して偏心カム40の回転を指示する。偏心カム40が回転して連結部材46を押圧することによりバネ42の付勢力に対抗して、連結部材46が押し下げられ、連結部材46と連結されている汲み上げローラ30は、圧接状態である供給ローラ28から離間する状態となる。なお、この場合、汲み上げローラ30の中心軸30Aは、連結部材48のスライド溝49に沿って移動するがスライド溝49の端部領域に到達しておらず、連結部材48の位置はバネ44の付勢力に従って押し上げられた状態であり、連結部材48と連結されている供給ローラ28の位置は図7(A)の状態と同じである。
【0086】
図7(C)は、現像ローラ18と供給ローラ28とが離間する状態である場合が示されている。コントローラ200は、図示しないモータにさらに指示して偏心カム40の回転を指示する。具体的には、図7(B)の状態からさらに偏心カム40を中心軸52を中心に回転させて連結部材46を押圧する(第2の状態)。連結部材46を押圧することによりバネ42の付勢力に対応して、連結部材46がさらに押し下げられる。また、汲み上げローラ30の中心軸30Aは、連結部材48のスライド溝49に沿って移動するが、スライド溝49の端部領域に到達した場合には、汲み上げローラ30の中心軸30Aが連結部材48のスライド溝49の端部領域を押圧して、バネ44の付勢力に対抗する向きに連結部材48を押し下げる。連結部材48と連結されている供給ローラ28は、圧接状態である現像ローラ18から離間する状態となる。
【0087】
これにより、現像ローラ18、供給ローラ28、汲み上げローラ30とがそれぞれ離間した状態となる。
【0088】
なお、本例においては、現像ローラ18、供給ローラ28、汲み上げローラ30とがそれぞれ離間する離間機構について説明したが、汲み上げローラ30のみを離間させる場合には、偏心カム40と、汲み上げローラ30と連結された連結部材46およびバネ42のみの構成とすることにより実現するようにしても良い。
【0089】
なお、当該離間機構は一例であり、特に当該構成に限定されるわけではなく、汲み上げローラ30、供給ローラ28、現像ローラ18を離間させることが可能な構成であればどのような構成でも良い。
【0090】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0091】
2A 定着ローラ、2B 加圧ローラ、4 搬送ベルト、10 転写ローラ、12 感光体、14 帯電装置、16 露光装置、18 現像ローラ、20 プレクリーニングローラ、22,24 クリーニングブレード、26,36 回収槽、28 供給ローラ、30 汲み上げローラ、32 液体現像剤供給機構、34 規制ブレード、38 ガイド部材、40 偏心カム、42,44 バネ、46,48 連結部材、49 スライド溝、50 駆動部、100 現像装置、200 コントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を供給する現像剤供給部と、
前記現像剤供給部から現像剤の供給を受ける汲み上げ部材と、
前記汲み上げ部材に当接され、前記現像剤供給部により供給された現像剤の量を規制して、剰余の現像剤を除去する規制部材と、
像担持体にトナー像を形成するために現像剤を担持する現像部材と、
前記現像部材に当接され、前記現像部材に残存した現像剤を除去するためのクリーニング部材と、
前記汲み上げ部材および前記現像部材とそれぞれ接触して設けられ、前記汲み上げ部材から供給される前記現像剤を前記現像部材に搬送するための搬送部材と、
作像終了後、待機状態に入る前に、前記汲み上げ部材と前記搬送部材との接触を離間させるための離間機構と、
前記搬送部材および前記現像部材の少なくとも一方の駆動を制御する駆動部とを備え、
前記現像剤供給部は、前記作像終了後、前記待機状態に入る前に、前記汲み上げ部材に対する前記現像剤の供給を停止し、
前記駆動部は、前記離間機構による前記汲み上げ部材と前記搬送部材との離間後、前記搬送部材に付着している現像剤を前記現像部材に受け渡し、前記現像部材に設けられたクリーニング部材で当該現像剤を除去するように前記搬送部材および前記現像部材の少なくとも一方の駆動を制御する、画像形成装置。
【請求項2】
前記離間機構は、前記搬送部材と前記現像部材との接触を離間させることも可能であり、
前記離間機構は、前記離間機構による前記汲み上げ部材と前記搬送部材との離間後、前記搬送部材に付着している現像剤を前記現像部材に受け渡した後、前記搬送部材と前記現像部材とを離間させる、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記汲み上げ部材の駆動を制御することが可能であり、
前記駆動部は、前記現像剤供給部による前記現像剤の供給停止後、前記汲み上げ部材に対して供給した現像剤が前記規制部材に到達するまで前記汲み上げ部材を回転させた後、停止させる、請求項1または2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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