説明

画像形成装置

【課題】標準画質と高画質が切り替え可能であり、且つ、定着装置の部品の長寿命化が可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体と、像像担持体のトナー像を1次転写する中間転写体と、中間転写体に転写されたトナー像を転写紙に移動させるための電界を作用する斤力部材と、中間転写体を介して斤力部材に対向する位置で斤力部材を押圧する2次転写部材と、2次転写部材を加圧する2次転写部材加圧手段と、を有し、2次転写部材は、長手方向両端に外径の異なる複数の軸部を含み、2次転写部材加圧手段は、複数の軸部に対する加圧位置の切り替えが可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は標準画質と高画質が切り替え可能であり、且つ、定着装置の部品の長寿命化が可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、中間転写部で紙上にトナーを転写し、その後、定着部でトナーを定着させて、複写印刷物を出力するが、ユーザからは市場にある様々な紙種に対して安定した画像品質で印刷を行うことが望まれている。
【0003】
オンデマンド印刷分野では、紙転写工程で高圧力を付与することで、種々の凹凸を持つ紙表面に対しても良好状態で画像印刷を行う技術が開発されており、当該技術は既に知られている。
【0004】
しかし、従来の2次転写高圧力付与機構は、強度と精度の両立のため、大型部品や複雑な装置構成を採用していた。そのため、価格が高価となってしまい、一般ユーザには高画質の印刷が可能な安価な画像形成装置は手に入りにくい現状にある。
【0005】
安価な画像形成装置は簡易な構成を採用しなければならないことが多いが、上記の高圧力の2次転写高圧力付与機構は複雑な構成であるため採用できない。そのため、安価な画像形成装置の画質は一般的なものとなってしまう。このような理由から簡易な構成を採用する画像形成装置については高品位な画像品質を求めることが難しい現状にある。
【0006】
また、ユーザが特定の紙種に対してのみ高品位な画像品質を指定するようなオンデマンドの画像品質の切り替え可能な画像形成装置についても、上記と同様に複雑な構成を必要とするため高価となる。こちらについても同じくユーザの手に入りにくい状況にある。
【0007】
オンデマンドでの画像品質の切り替えが可能な従来技術としては下記のものがある。
【0008】
特許文献1には定着装置におけるニップ圧力分布可変手段に関する技術が記載されている。具体的には、加圧ローラ内部に複数の支持部材を設け、その支持部材の位置を移動させることにより圧力分布を均一化する技術である。
【0009】
特許文献1の技術によれば、記録材の厚さや、仕上がりの光沢状態に応じて、定着荷重を増減させても、光沢低下、光沢ムラ、定着ムラ、定着強度不足、しわ等の無い、構造が簡単な定着装置、および当該定着装置を有する画像形成装置を提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記従来技術においては下記の問題が存在している。
【0011】
特許文献1に記載の技術は、定着装置のニップ圧力分布可変手段を持ち、ニップ圧力均一化を可能としているが、部品構成が複雑であり、簡易な部品構成が実現できていないという問題が存在する。
【0012】
また、上記の問題に関連し、定着装置のニップ圧力のモード選択についても同じく簡易な部品構成が実現できていないという問題が存在する。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、2次転写部の簡易な装置構成によって、標準画質モードと、高画質モードの切り替えが可能であり、且つ、定着装置の部品の長寿命化が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体の前記トナー像を1次転写する中間転写体と、前記中間転写体に転写された前記トナー像を転写紙に移動させるための電界を作用する斤力部材と、前記中間転写体を介して前記斤力部材に対向する位置で前記斤力部材を押圧する2次転写部材と、前記2次転写部材を加圧する2次転写部材加圧手段と、を有し、前記2次転写部材は、長手方向両端に外径の異なる複数の軸部を含み、前記2次転写部材加圧手段は、前記複数の軸部に対する加圧位置の切り替えが可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、2次転写部の簡易な装置構成によって、標準画質モードと、高画質モードの切り替えが可能であり、且つ、定着装置の部品の長寿命化が可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の2次転写部の構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の2次転写部の構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体概略図である。
【図4】本発明の実施形態に係る斤力ローラの構成図である。
【図5】本発明の実施形態に係る2次転写部のニップ圧力の分布を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
図3は、本実施形態に係るの画像形成装置全体の全体概要図である。まず、本実施形態に係る画像形成装置(タンデム型カラー複写機)の構成および動作概要を説明する。
【0019】
本実施形態に係る画像形成装置(カラー複写機1)は、装置本体中央部に位置する画像形成部1Aと、該画像形成部1Aの下方に位置する給紙部1Bと、画像形成部1Aの上方に位置する原稿搬送部1Cと、スキャナ部1Dとを有している。
【0020】
画像形成部1Aには、水平方向に延びる転写面を有する中間転写体としての中間転写ベルト21が配置されており、中間転写ベルト21の上面には、色分解色と補色関係にある色の画像を形成するための構成が設けられている。すなわち、補色関係にある色のトナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)による像を担持可能な像担持体としての感光体3Y、3M、3C、3Bが中間転写ベルト21の転写面に沿って並置されている。
【0021】
各感光体3Y、3M、3C、3Bは、それぞれ同じ方向(反時計回り方向)に回転可能なドラムで構成されており、その周りには、回転過程において画像形成処理を実行する帯電装置4Y、4M、4C、4B、現像装置8Y、8M、8C、8B、1次転写ローラ7Y、7M、7C、7B、および感光体クリーニング装置6Y、6M、6C、6Bが配置されている。また、画像形成部1Aの上部には露光装置5が配置されている。
【0022】
各現像装置8Y、8M、8C、8Bには、それぞれのカラートナーが収容されている。中間転写ベルト21は、駆動ローラ2Bと、従動ローラ2Aに掛け回されて感光体3Y、3M、3C、3Bとの対峙位置において同方向に移動可能な構成を有している。
【0023】
従動ローラ2Aと対向する位置には、中間転写ベルト21の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置10が設けられている。
【0024】
感光体3Yの表面が帯電装置4Yにより一様に帯電され、スキャナ部1Dからの画像情報に基づいて感光体3Y上に静電潜像が形成される。当該静電潜像はイエローのトナーを収容した現像装置8Yによりトナー像として可視像化され、当該トナー像は所定のバイアスが印加される1次転写装置7Yにより中間転写ベルト21上に1次転写される。
【0025】
他の感光体3M、3C、3Bでもトナーの色が異なるだけで同様の画像形成がなされ、それぞれの色のトナー像が中間転写ベルト21上に順に転写されて重ね合わせられる。転写後、感光体3Y、3M、3C、3B上に残留したトナーは、感光体クリーニング装置6Y、6M、6C、6Bにより除去される。図示しない除電ランプにより感光体3Y、3M、3C、3Bの電位が初期化され、次の作像工程に備えられる。
【0026】
給紙部1Bは、記録媒体としての用紙を積載収容する給紙トレイ1B1と、給紙トレイ1B1内の用紙Pを最上のものから順に1枚ずつ分離して給紙する給紙コロ(図示しない)と、給紙された用紙を搬送する搬送ローラ対1B2と、用紙が一旦停止され、斜めずれを修正された後、中間転写ベルト21上の画像の先端と搬送方向の所定位置とが一致するタイミングでニップに向けて送り出されるレジストローラ対1B3を有している。
【0027】
レジストローラ対1B3の上流には、紙表面の反射率を検知する図示しないセンサを持ち、前工程におけるセンサ出力と異なる値の場合は中間転写ベルト21、あるいは斥力ローラ2Cの切り替えを行う。
【0028】
感光体3Y、3M、3C、3Bから中間転写ベルト21上に1次転写されたトナー像(以下、トナーという)は、図示しない2次転写バイアス印加手段によりバイアス(AC、パルスなどの重畳を含む)が斥力ローラ2Cに印加され、中間転写ベルト21を介して2次転写ローラ9Bとの間で電界の作用により用紙の上に2次転写される。
【0029】
その後、表面にトナーを2次転写された用紙は、定着装置11にて熱と圧力の作用によって表面にトナーを強固に定着され、排出ローラ12を経て排出トレイ13から排出される。
【0030】
その他の構成として、手差しトレイ1A1、分離ローラ1A2、コンタクトガラス1C1、原稿台1C3、搬送ベルト9A、搬送駆動ローラ9C、両面画像形成装置20を有する。
【0031】
本実施形態における1次転写部の構成としては、中間転写ベルト21の裏面から(+)転写バイアスローラ(図示しない)が軸受(図示しない)と圧縮スプリング(図示しない)により中間転写ベルト21を介して感光体3Y、3M、3C、3Bに対向して所定の圧力により押圧されている。
【0032】
(+)転写バイアスローラの中間転写ベルト21に対して当接する位置は感光体3Y、3M、3C、3Bの中心位置に対して1〜2mm下流側にオフセットした位置に当接するよう設定する必要がある。(+)転写バイアスローラは、中間転写ベルト21に対して連れ廻りするようになっている。
【0033】
本実施形態に用いられる1次転写ローラ7Y、7M、7C、7Bは、金属芯金に中抵抗の電気特性を持つゴム材料を巻き付けた形態で構成されている。中抵抗の発泡ゴムで構成されており、その体積抵抗率は106〜1010Ω・cm、好ましくは107〜109Ω・cmの範囲が良い。材料は発泡ゴムに限定されることはなく、中抵抗のソリッドゴムでも同様に用いることが可能である。
【0034】
本実施形態の1次転写工程においては、1次転写ローラへの1次転写バイアス印加は、極性が(+)の定電流電源を用いており、電流設定値は、ほぼ20〜40μAの範囲である。
【0035】
本実施形態に用いられる斥力ローラ2Cは、金属芯金に中抵抗の電気特性を持つゴム材料を巻き付けた形態で構成されている。斥力ローラ2Cは中抵抗ソリッドゴムで構成されており、その体積抵抗率は106〜1010Ω・cm、好ましくは107〜109Ω・cmの範囲が良い。
【0036】
2次転写ローラ9Bは中抵抗の発泡ゴムで構成されており、その体積抵抗率は106〜1010Ω・cm、好ましくは107〜109Ω・cmが良い。
【0037】
本実施形態の2次転写工程においては、斥力ローラ2Cにはトナーと同極性の(−)極性のバイアスが印加されて定電流電源を用いており電流設定値は、ほぼ30〜50μAの範囲である。
【0038】
アースにつながっている2次転写ローラ9Bを対向として、中間転写ベルト21上の(−)極性のトナーを転写紙側へ押し出す方向に2次転写電界が印加されている。
【0039】
本実施形態に用いられる中間転写ベルト21は、具体例としては単層構成のベルトとしてPI(ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PC(ポリカーボネ−ト)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)等の材料にカーボン分散、あるいはイオン導電剤配合により抵抗調整した中抵抗樹脂により構成されている。
【0040】
その体積抵抗率は106〜1010Ω・cm、好ましくは108〜1010Ω・cmの範囲である。また、その表面抵抗率は106〜1012Ω/□、好ましくは108〜1012Ω/□の範囲である。
【0041】
また、厚みは50〜100μmの範囲であり、ヤング率(縦弾性率)は3000Mpa以上が望ましく、駆動による伸び、曲げ、しわ、波打ちに耐えるに十分な機械強度が必要である。
【0042】
中間転写ベルト21の他の実施例として、上記のPI(ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PC(ポリカーボネ−ト)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)等の材料にカーボン分散、あるいはイオン導電剤配合により抵抗調整した中抵抗樹脂の単層構成の中間転写ベルト21の表面側にのみ、ベルトの層自体の体積抵抗率よりもわずかに高抵抗の表層を設けたベルトを用いる場合でも同様に効果がある。表層の厚みとしては、1〜10μm程度が望ましい。
【0043】
表面に高抵抗層を設けたベルトを用いるのは、特に樹脂中にカーボンを分散させて抵抗制御を行うタイプのベルトの場合、一度定着を通過して紙中の水分量が減少して抵抗が上昇した状態の紙への2次転写工程で発生する現象(カーボン分散状態のばらつきにより転写電流が集中して流れる経路ができて、その部分のトナーがはじき飛ばされて白く抜ける現象)があるが、ベルト表面に高抵抗層を設けることにより、転写電流の局所的な集中を緩和し、異常画像(いわゆる「白ポチ」)の改善ができるからである。
【0044】
更に中間転写ベルト21の他の実施例としては、PI(ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PC(ポリカーボネ−ト)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)等の材料にカーボン分散、あるいはイオン導電剤配合により抵抗調整した中抵抗樹脂により構成された基層50〜100μmの上に、ウレタン、NBR、CR等のゴム材料に同様にカーボン分散、あるいはイオン導電剤配合により抵抗調整した材料からなる弾性層を100〜500μm設け、表層には1〜10μm程度の厚みを持ったフッ素系のゴム、あるいは樹脂(あるいは、それらのハイブリッド材料でもよい)のコーティングを施したり、弾性材料のべたつきを抑えるために表面に微粒子を付着させた多層ベルトを用いる場合でも同様に効果がある。
【0045】
このような弾性中間転写ベルトを用いることで、転写材の紙繊維の密度が低い紙や、紙表面に50〜200μmの凹凸を有する、いわゆるエンボス紙といわれる種類の転写材においても、弾性層が凹部へ追従するため凹部へのトナー転写性が良好になるというベタ埋り改善効果が知られている。
【0046】
図1は、本実施形態に係る2次転写部の構成図であり、表面に凹凸形状を有する一般的にエンボス紙と呼ばれているような紙種に対応した高圧力のモード(モード1)に関する実施形態である。
【0047】
2次転写部の圧力切り替えに関する実施形態としては、まず、紙厚センサ(図示しない)、あるいは紙粗さセンサ(図示しない)により給紙部から搬送された転写紙の特性を検知する。
【0048】
当該検知の結果、エンボス紙と判断した場合には、図1に示すように2次転写ローラ9BはジャーナルA16a位置で加圧板A18aにより荷重P1にて、中間転写ベルト21を挟持した状態で、斥力ローラ2Cに対して押圧される。また、ユーザ自身が操作パネルやプリンタドライバにより適宜に紙種を選択しても良い。
【0049】
斥力ローラ2Cは、芯金2D上に弾性体として導電ゴム、あるいは導電発泡ゴムを成型して設けられている。両端部をベアリング(図示しない)により筐体に支持回転されている。斥力ローラ2C上の弾性体の外径形状は、中央部のゴム厚みが両端部のゴム厚みよりも0.1〜0.5mm程度厚く成型されており、いわゆる太鼓形状を有している。
【0050】
一方、2次転写ローラ9Bは、芯金9D上に弾性体として導電ゴム、あるいは導電発泡ゴムを成型して設けられている。芯金9Dの両端部にあるジャーナル16a、16bをベアリング17a、17bにより支持回転され、加圧板18aと加圧スプリング19aの作用により、中間転写ベルト21を挟持した状態で、斥力ローラ2Cに対してジャーナルA16a位置で加圧板A18aにより荷重P1にて押圧されている。上記の斥力ローラ2Cと、中間転写ベルト21、2次転写ローラ9Bの弾性圧接作用により2次転写ニップが形成されている。
【0051】
本実施形態においては、エンボス紙のような凹凸紙に対応するため、ニップ圧力を高圧力設定としている。およそ0.2〜0.4Mpaの範囲である。
【0052】
2次転写ローラ9Bの端部に設けられたジャーナルA16aは、ほぼ転写ローラ部と同じ芯金径になっており、斥力ローラ2Cに対して加圧している領域の近傍にあるため、この部分に対してベアリング17aを介して加圧板18aを押し当てることにより斥力ローラ2Cの撓み量は小さく抑えられる。同時に斥力ローラ2Cの太鼓形状の作用により高圧力でかつ均一なニップ圧力分布が得られる。
【0053】
図2は、本実施形態に係る2次転写部の構成図である。本実施形態は、一般的に標準紙と呼ばれている表面が平滑な紙種の場合のモードである。
【0054】
2次転写部の圧力切り替えに関する実施形態としては、紙厚センサ(図示しない)、あるいは紙粗さセンサ(図示しない)により給紙部1Bより搬送された転写紙Pの特性を検知し、その検知結果により、標準紙と判断した場合は、2次転写ローラ9BはジャーナルB16b位置で加圧板B18bにより荷重P2(P1>P2)にて、中間転写ベルト21を挟持した状態で、斥力ローラ2Cに対して押圧される。また、ユーザ自身が操作パネルやプリンタドライバにより適宜に紙種を選択しても良い。
【0055】
斥力ローラ2Cは、芯金2D上に弾性体として導電ゴム、あるいは導電発泡ゴムを成型して設けられている。両端部をベアリング(図示しない)により筐体に支持回転されている。斥力ローラ2C上の弾性体の外径形状は、中央部のゴム厚みが両端部のゴム厚みよりも0.1〜0.5mm程度厚く成型されており、いわゆる太鼓形状を有している。
【0056】
一方、2次転写ローラ9Bは、芯金9D上に弾性体として導電ゴム、あるいは導電発泡ゴムを成型して設けられている。芯金9Dの両端部にあるジャーナル16a、16bをベアリング17a、17bにより支持回転され、加圧板18bと加圧スプリング19bの作用により、中間転写ベルト21を挟持した状態で、斥力ローラ2Cに対してジャーナルB16b位置で加圧板B18bにより荷重P1にて押圧されている。上記の斥力ローラ2Cと、中間転写ベルト21、2次転写ローラ9Bの弾性圧接作用により2次転写ニップが形成されている。
【0057】
本実施形態においては、標準紙に対応するため、ニップ圧力が低圧力設定となっており、およそ0.05〜0.2Mpaの範囲である。
【0058】
2次転写ローラ9Bの端部に設けられたジャーナルB16bは、2次転写ローラ9Bの一方のジャーナルB16bよりも芯金径が小さくなっており、斥力ローラ2Cに対して加圧している領域から距離があるため、この部分に対してベアリング17bを介して加圧スプリング19bにより加圧板18bを押し当てることにより2次転写ローラ9Bの撓み量は大きくなるものの斥力ローラ2Cの太鼓形状の作用により低圧力でかつ均一なニップ圧力分布が得られる。
【0059】
加圧板18aと加圧板18bの切り替えは、カム(図示しない)が2対設けられており押し上げる加圧板が選択される。
【0060】
上記の実施形態においては、低圧力モード、高圧力モードのいずれのモードにおいてもローラ長手方向に渡って均一な2次転写圧力分布を得ることができ、しかも通常は低い圧力設定のモードを使用するため機能部品に過剰な負荷を与えることない。よって部品の長寿命化も達成することができる。
【0061】
図4は、本実施形態に係る斤力ローラの構成図である。斥力ローラ2C、および2Dの実施形態としては、以下のものがある。
【0062】
芯金2Dの形状は、内径φ20/外径φ24。斥力ローラ2Cは、弾性層厚み4mm/外径φ32としている。
【0063】
斥力ローラ2Cは、太鼓形状を有しており、図4(a)〜(c)に示すような外径形状の実施形態が可能である。
【0064】
d1=φ32、d2=φ32.5〜φ33.0、d1とd2の外径の差は、0.5〜1.0mmの範囲が望ましい。
【0065】
図4(a)の台形形状の場合、平坦部L1は、ほぼローラの中央に設けられL1=50〜100mmの範囲が望ましい。
【0066】
図4(b)、(c)についても、それぞれ最も外径の大きい部分は、ほぼ中央部に設定している。
【0067】
図5は本実施形態に係る2次転写部のニップ圧力の分布を示す図である。2次転写部のニップ圧力をジャーナルA16aの加重位置で加重圧力を高圧とした場合(モード1)と、ジャーナルB16bの加重位置で加重圧力を低圧(モード2)とした場合の、それぞれのローラ長手方向の2次転写ニップ圧力分布がどう変化するかについて説明している。
【0068】
従来技術として、センサ等で紙厚を検知して、その紙厚に応じて転写電流や転写圧力といった転写条件の切り替え、あるいは定着温度や定着ニップ幅といった定着条件の切り替え等のプロセス条件やマシン設定条件の切り替えを行う方法については既に開示され、公知技術として知られている。
【0069】
図5のaは、2次転写部のニップ圧力を低圧(加重位置はジャーナルB16b位置)(モード2)とした場合とした場合の、ニップ圧力分布を示している(平均圧力:小/圧力偏差:小)。
【0070】
装置立ち上げ後の2次転写部ニップ圧力の初期モード設定は、図2で説明したように低圧(モード2)(標準紙対応)の設定になっている。このモード2では、平均圧力は低いものの、ジャーナルB16bへの加圧により2次転写ローラ9B自体の撓みは大きいものの、斥力ローラ2Cの太鼓形状の作用により長手方向での圧力偏差を小さく抑えることが可能である。
【0071】
図5のbは、モード2の加重位置(ジャーナルB16b位置)のままで、加重圧力のみを高圧P1とした場合の圧力分布を示している(平均圧力:中/圧力偏差:大)。2次転写圧力のみを高圧設定に切り替えて圧力アップした場合、斥力ローラ2C、2次転写ローラ9Bの芯金が更に大きく撓んでしまうため、ローラ長手方向で見ると両端部では圧力が上がるものの中央部ではほとんど圧力が上がらない分布となる。
【0072】
しかも、両端部と中央部の圧力偏差が非常に大きくなってしまうため、ローラ長手方向で凹凸転写性に偏差が発生し、特にエンボス紙に対しては中央部での凹凸転写性不良となってしまう。
【0073】
また、転写紙上平坦部においてもローラ長手方向で2次転写電流にムラが出てしまうため、転写ムラ(画像濃度ムラ)の不具合が発生してしまう。
【0074】
図5のcは、2次転写部のニップ圧力を高圧(加重位置はジャーナルA16a位置)(モード1)とした場合とした場合の、ニップ圧力分布を示している(平均圧力:大/圧力偏差:小)。
【0075】
モード1のエンボス紙対応(高圧)時には、加圧位置をジャーナルA16aに切り替え、更に荷重を高圧P1設定への切り替えもあわせて行う。これにより平均圧力を高くできるとともに、斥力ローラ2Cの太鼓形状作用によりローラ長手方向での圧力偏差を小さく抑えることができる。
【0076】
図6は、本実施形態に係る画像形成装置の制御を示すフローチャートである。転写紙の表面の凹凸(粗さ)もしくは転写紙の厚さによってモード1、モード2の切り替えを行う動作を説明している。
【0077】
まず、印刷ジョブが実行されると、給紙動作が開始される(ステップS601)。次に紙厚センサおよび紙粗さセンサにより給紙部から搬送された転写紙の特性を検知する(ステップS602)。
【0078】
標準紙以外(エンボス紙等、紙の厚さもしくは粗さ、もしくは双方が所定値以上の転写紙)であると検知した場合(ステップS602/YES)は、2次転写部の2次転写ローラはモード1(ジャーナルA16aの加重位置で加重圧力は高圧)で転写を行う(加圧板A・ON)(ステップS603)。
【0079】
標準紙であると検知した場合(ステップS602/NO)は、2次転写部の2次転写ローラはモード2(ジャーナルB16bの加重位置で加重圧力は低圧)で転写を行う(加圧板B・ON)(ステップS604)。
【0080】
全ての印刷ジョブが終了したら(ステップS605/YES)、2次転写ローラの加圧板をA・BはジャーナルA16a・ジャーナルB16bから離れ、OFF状態となる(ステップS606)。
【0081】
全ての印刷ジョブが終了していない場合は(ステップS605/NO)、給紙動作を再開する(ステップS601)。
【0082】
上述した実施形態は以下のようにすることもできる。
【0083】
本実施形態の画像形成装置は、2次転写部材加圧手段は、加圧力の切り替えが可能であることを特徴とする。
【0084】
本実施形態の画像形成装置は、転写紙表面の凹凸を検知する凹凸検知手段と、転写紙の厚さを検知する紙厚検知手段と、を有し、凹凸検知手段と紙厚検知手段の検知結果に基づいて2次転写部材加圧手段の加圧位置および加圧力の切り替えが可能であることを特徴とする。
【0085】
本実施形態の画像形成装置は、斥力部材は、長手方向に沿って延在する芯金および芯金上に被覆された被覆部材から構成され、被覆部材は、弾性体または発泡体であり、長手方向中央部の外径が両端の外径よりも大きいことを特徴とする。
【0086】
本実施形態の画像形成装置は、表面にトナー像を形成する像担持体と、像担持体上からトナー像を転写される中間転写体と、中間転写体の内側にあり中間転写体上のトナー像を転写紙上に移動させる電界を作用させる斥力部材と、中間転写体を挟持して斥力部材に対して押圧される2次転写部材と、中間転写体を挟持して2次転写部材を斥力部材に対して押圧する2次転写加圧手段と、を有し、2次転写部材の両端部には外径の異なる複数の軸部を有し、2次転写加圧手段は複数の軸部に対する押圧位置を切り替える手段を有することを特徴とする。
【0087】
本実施形態の画像形成装置は、2次転写加圧手段の複数の押圧位置切り替え動作に連動して、加圧力も切り替えられることを特徴とする。
【0088】
本実施形態の画像形成装置は、給紙部と2次転写部の間の転写紙搬送領域に設けられた転写紙表面の凹凸を検知する粗さセンサと、転写紙表面粗さが一定値より大きくなったことを判断する回路と、この回路の判断によってON/OFFされるスイッチを有し、これらの判断結果に基づいて、2次転写加圧手段の押圧位置切り替え動作が行われることを特徴とする。
【0089】
本実施形態の画像形成装置は、斥力部材は基体の上に中抵抗の弾性体、または発泡体を有しており、斥力部材は中央部の外径が両端部の外径より大きい太鼓形状を有することを特徴とする。
【0090】
本実施形態の画像形成装置は、2次転写部材の最大加圧時の撓み量は、斥力部材の長手方向における直径の偏差の1/2に略等しいことを特徴とする。
【0091】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体的に様々な修正および変更が可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 カラー複写機(画像形成装置)
1A 画像形成部
1B 給紙部
1B1 給紙トレイ
1B2 搬送ローラ対
1B3 レジストローラ対
1C 原稿搬送部
1D スキャナ部
2A 従動ローラ1
2B 駆動ローラ
2C 斥力ローラ
2D 斥力ローラ芯金
3Y、M、C、B 感光体
4Y、M、C、B 帯電装置
5 露光装置
6Y、M、C、B 感光体クリーニング装置
7Y、M、C、B 1次転写ローラ
8Y、M、C、B 現像装置
9A 搬送ベルト
9B 2次転写ローラ
9C 搬送駆動ローラ
9D 2次転写ローラ芯金
10 中間転写ベルトクリーニング装置
11 定着装置
12 排出ローラ
13 排出トレイ
16a ジャーナルA
16b ジャーナルB
17a ベアリングA
17b ベアリングB
18a 加圧板A
18b 加圧板B
19a 加圧スプリングA
19b 加圧スプリングB
21 中間転写ベルト
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【特許文献1】特開2009−128877号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体の前記トナー像を1次転写する中間転写体と、
前記中間転写体に転写された前記トナー像を転写紙に移動させるための電界を作用する斤力部材と、
前記中間転写体を介して前記斤力部材に対向する位置で前記斤力部材を押圧する2次転写部材と、
前記2次転写部材を加圧する2次転写部材加圧手段と、を有し、
前記2次転写部材は、長手方向両端に外径の異なる複数の軸部を含み、
前記2次転写部材加圧手段は、前記複数の軸部に対する加圧位置の切り替えが可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記2次転写部材加圧手段は、加圧力の切り替えが可能であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
転写紙表面の凹凸を検知する凹凸検知手段と、
転写紙の厚さを検知する紙厚検知手段と、を有し、
前記凹凸検知手段と前記紙厚検知手段の検知結果に基づいて前記2次転写部材加圧手段の加圧位置および加圧力の切り替えが可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記斥力部材は、長手方向に沿って延在する芯金および前記芯金上に被覆された被覆部材から構成され、
前記被覆部材は、弾性体または発泡体であり、長手方向中央部の外径が両端の外径よりも大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−98613(P2012−98613A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247657(P2010−247657)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】