説明

画像形成装置

【課題】本発明の目的は、装置を大型化することなく、記録媒体が電子写真方式の画像形成部を通過しない位置でインクジェット方式の画像形成部による記録が可能な画像形成装置を提供すること。
【解決手段】記録媒体を案内する第一の搬送経路と、前記第一の搬送経路を搬送される記録媒体に電子写真方式で画像を形成する第一の画像形成部99と、前記第一の搬送経路を通った記録媒体をその表裏面を反転させて再び前記第一の搬送経路へ案内するための第二の搬送経路と、前記第二の搬送経路を搬送される記録媒体にインクジェット方式で画像を形成する第二の画像形成部100と、前記第二の画像形成部100を、前記第二の搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する第二の記録位置から、前記第一の搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する第一の記録位置に移動させる移動機構と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成部とインクジェット方式の画像形成部を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を得るための方法としては、主に電子写真方式(トナー型)による方法と、インクジェット方式(インク型)による方法がある。これら2つの方法(記録方式)には、それぞれに長所がある。電子写真方式は高速化が可能であり、インクジェット方式はインクの色再現性に優れている。このお互いの長所を使い分けて画像形成する装置が提案されている。
【0003】
例えば特開2002−301838では、電子写真方式の画像形成部の後にインクジェット方式の画像形成部を配置することでお互いの長所を使い分けて画像形成する装置を達成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−301838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の画像形成装置では、記録媒体の搬送経路が、電子写真方式の画像形成部を通過してからインクジェット方式の画像形成部へと通じる経路となっている。したがって、インクジェット方式による画像のみを形成しようとしても、記録媒体は電子写真方式の画像形成部を通過することになる。よって、インクジェット方式による画像のみを形成する場合でも、記録媒体が電子写真方式の画像形成部を通過するため、その記録媒体の通過によって電子写真方式の画像形成部が耐久的に劣化する。
【0006】
例えば、記録媒体が普通紙とは種類の異なる封筒などの特殊紙の場合、電子写真方式の画像形成部における定着部によって、その記録媒体としての特殊紙にシワなどが生じるおそれがある。また、記録媒体が使用可能なサイズのうち小サイズ紙の場合、電子写真方式の画像形成部における定着部で記録媒体が通過しない部分の昇温などが生じ、定着部が劣化するおそれがある。
【0007】
また、電子写真方式の画像形成部又はインクジェット方式の画像形成部のいずれか一方で記録媒体の両面に印刷するといったユーザーの希望用途に沿った形での両面画像印刷を行おうとすると、装置が大型化してしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、装置を大型化することなく、記録媒体が電子写真方式の画像形成部を通過しない位置でインクジェット方式の画像形成部による記録が可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、記録媒体を案内する第一の搬送経路と、前記第一の搬送経路を搬送される記録媒体に電子写真方式で画像を形成する第一の画像形成部と、前記第一の搬送経路を通った記録媒体をその表裏面を反転させて再び前記第一の搬送経路へ案内するための第二の搬送経路と、前記第二の搬送経路を搬送される記録媒体にインクジェット方式で画像を形成する第二の画像形成部と、前記第二の画像形成部を、前記第二の搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する第二の記録位置から、前記第一の搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する第一の記録位置に移動させる移動機構と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、インクジェット方式の画像形成部を、第二の搬送経路における第二の記録位置と電子写真方式の画像形成部がある第一の搬送経路における第一の記録位置に自在に移動できる。そのため、記録媒体の片面に画像形成を行う場合又は記録媒体の両面に画像形成を行う場合の何れにおいても、インクジェット方式の画像形成部による記録位置の選択が可能となる。例えば、インクジェット方式の画像形成部による記録位置として、記録媒体が電子写真方式の画像形成部を通過しない記録位置の選択が可能となる。これにより、インクジェット方式による画像を形成する場合に、電子写真方式の第一の画像形成部を記録媒体が通過することによる、記録媒体の劣化及び電子写真方式の第一の画像形成部の劣化を防止することができる。
【0011】
また電子写真方式の画像形成部で画像を形成する第一の搬送経路又は再び第一の搬送経路に記録媒体を案内する第二の搬送経路に対して記録位置を移動することが可能なインクジェット方式の画像形成部を設けることで、装置の小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像形成装置の模式断面図
【図2】電子写真方式による両面画像形成を表す断面図
【図3】インクジェット方式による片面画像形成を表す断面図
【図4】インクジェット方式による両面画像形成時の1面目印刷方法を表す断面図
【図5】インクジェット方式による両面画像形成時の2面目印刷方法を表す断面図
【図6】インクジェット方式の画像形成部の構成を表す上面概略構成説明図
【図7】インクジェット方式の画像形成部の動作を表す断面動作説明図
【図8】画像形成を行うフローチャート図
【図9】画像形成を行うブロック図
【図10】第2実施形態のインクジェット方式による両面画像形成時の1面目の画像形成を表す断面図
【図11】第2実施形態のインクジェット方式による両面画像形成時の2面目の画像形成を表す断面図
【図12】第2実施形態のインクジェット方式による両面画像形成時の2面目の排出方法を表す断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
〔第1実施形態〕
図1〜図9を用いて、第1実施形態に係る画像形成装置について説明する。本実施形態では、画像形成装置として、電子写真方式及びインクジェット方式を用いたカラー画像形成装置を例示している。
【0015】
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す模式断面図である。ここでは、電子写真方式においては、色の異なる4色の画像形成部を中間転写ベルト下に並べて配置した中間転写タンデム方式を採用している。一方、インクジェット方式においては、シート搬送方向に対して直交する方向に設けたライン状の記録部で記録するライン方式を採用している。
【0016】
<シートの搬送プロセス>
記録媒体Sは記録媒体収納庫61,62に積載される形で収納されており、各給送手段71,72により画像形成タイミングに合わせて一枚ずつ給送される。前記給送手段71,72により送り出された記録媒体Sは、搬送パス70を通過する。その後、切替部材105により、第一の搬送経路を構成する搬送パス121か、第二の搬送経路へ記録媒体を案内する搬送パス131のいずれかに案内される。
【0017】
搬送パス121は、電子写真方式で画像を形成する第一の画像形成部99へ記録媒体Sを送る搬送パスであり、記録媒体を案内する第一の搬送経路を構成している。搬送パス131は、第一の搬送経路を通った記録媒体をその表裏面を反転させて再び前記第一の搬送経路へ案内するための第二の搬送経路へ記録媒体を案内する搬送パスである。
【0018】
記録媒体を案内する第一の搬送経路は、搬送パス121,122,により構成されている。この第一の搬送経路内に電子写真方式の第一の画像形成部99が位置している。記録媒体の表裏面を反転させて再び第一の搬送経路に案内する第二の搬送経路は、搬送パス133,132,111により構成されている。この第二の搬送経路内に移動可能なインクジェット方式の第二の画像形成部100が位置している。
【0019】
続いて、画像の作像プロセスについて、電子写真方式とインクジェット方式の各々を説明する。
【0020】
<電子写真方式による画像の作像プロセス>
前記切替部材105によって第一の画像形成部99に向けて案内された記録媒体Sは、第一の搬送経路を構成する搬送パス121を通過してレジストローラ対73へと搬送される。レジストローラ対73は記録媒体収納庫61,62から搬送されてくる記録媒体Sを突き当ててループを作成することにより記録媒体Sの先端を倣わせ斜行を修正する機能を有している。また、レジストローラ対73は、記録媒体Sへの画像形成のタイミング、即ち、像担持体上に担持されたトナー像に合わせて、所定のタイミングにて記録媒体Sを二次転写部へ搬送する機能を有している。
【0021】
レジストローラ対73は、斜行修正を行った後に、所望のタイミングにて二次転写部へ記録媒体Sを送り出す。二次転写部は、対向する二次転写内ローラ32および二次転写外ローラ41により形成される記録媒体Sへのトナー像転写ニップ部であり、所定の加圧力と静電的負荷バイアスを与えることで記録媒体S上にトナー像を転写させる。
【0022】
次に、二次転写部までの記録媒体Sの搬送プロセスに対して、同様のタイミングで二次転写部まで送られて来る画像の形成プロセスについて説明する。
【0023】
電子写真方式による画像形成部99は、主に像担持体と、これに作用するプロセス手段から構成されている。ここでは、画像形成部99は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の4セット存在する。勿論、色数は4色に限定されるものではなく、また色の並び順もこの限りではない。
【0024】
各画像形成部は、像担持体としての感光体11(11Y,11M,11C,11K)、プロセス手段としての帯電装置12(12Y,12M,12C,12K)、露光装置13(13Y,13M,13C,13K)、現像装置14(14Y,14M,14C,14K)、一次転写装置35(35Y,35M,35C,35K)、および感光体クリーナ15(15Y,15M,15C,15K)等から構成される。
【0025】
予め帯電装置12により表面を一様に帯電され、回転する感光体11に対し、送られてきた画像情報の信号に基づいて露光装置13が駆動され、潜像が形成される。感光体11上に形成された静電潜像は、現像装置14によるトナー現像を経て、感光体11上にトナー像として顕在化する。その後、一次転写装置35により所定の加圧力および静電的負荷バイアスが与えられ、中間転写ベルト31上にトナー像が転写される。その後、感光体11上に僅かに残った転写残トナーは感光体クリーナ15により回収され、再び次の画像形成に備える。
【0026】
次に、中間転写ベルト31について説明する。前記中間転写ベルト31は駆動ローラ33、テンションローラ34,36、および二次転写内ローラ32等のローラによって張架され、図中矢印A方向へと搬送駆動される。先述のY,M,C,Kの各画像形成部により並列処理される各色の画像形成プロセスは、中間転写ベルト31上に一次転写された上流色のトナー像上に重ね合わせるタイミングで行われる。その結果、最終的にはフルカラーのトナー像が中間転写ベルト31上に形成され、二次転写部へと搬送される。
【0027】
二次転写部において中間転写ベルト31から記録媒体S上にフルカラーのトナー像が二次転写され、その後、記録媒体Sは定着装置5へと搬送される。定着装置5は、対向するローラもしくはベルト等による所定の加圧力と、一般的にはヒータ等の熱源による加熱効果を加えて記録媒体S上にトナー像を溶融固着させる。
【0028】
定着装置5によってトナー像を溶融固着された記録媒体Sは、第一の搬送経路を構成する搬送パス122を通り搬送ローラ対74によって搬送される。搬送された記録媒体Sは排出ローラ対76により排出トレイ65上に積載される。
【0029】
また、省エネルギーの観点から、電子写真方式による画像形成部99で画像形成をしている間は、インクジェット方式による画像形成部100は動作しない構成をとっている。この動作の制御は、後述する制御部としてのコントローラ(CPU)90によって行われる。また、このとき、移動可能なインクジェット方式の画像形成部100は、第二の搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成することが可能な第二の記録位置に位置(移動)している。ここでは、第二の記録位置をインクジェット方式の画像形成部100の初期位置としている。
【0030】
<電子写真方式による両面画像の作像プロセス>
次に図2を用い電子写真方式で記録媒体Sに両面画像形成をする場合の説明を行う。
【0031】
定着装置5によってトナー像を溶融固着された記録媒体Sは、搬送パス122を通り搬送ローラ対74によって搬送される。更に搬送された記録媒体Sは排出ローラ対76により搬送されるが、排出ローラ対76は回転方向を正逆転させることが可能な反転ローラ対であり、記録媒体Sの後端を挟持したタイミングで回転方向を逆転する機能を持っている。
【0032】
逆転する排出ローラ対76により反転搬送された記録媒体Sは、反転切替部材107により第二の搬送経路を構成する搬送パス133に搬送される。記録媒体Sは搬送ローラ対84、レジストローラ対83、搬送ローラ対82により順次搬送され、第二の搬送経路を構成する搬送パス132を搬送される。次に搬送ローラ対82によって搬送される記録媒体Sは、切替部材108により第二の搬送経路を構成する搬送パス111に案内され、再び第一の搬送経路におけるレジストローラ対73に至る。その後の画像形成プロセスは前述したので省略する。
【0033】
そして、両面にトナー像を溶融固着された記録媒体Sは、搬送パス122を通り搬送ローラ対74によって搬送される。更に搬送された記録媒体Sは排出ローラ対76により排出トレイ65上に積載される。
【0034】
<インクジェット方式による片面画像の作像プロセス>
次に図3を用いてインクジェット方式による画像形成部100の説明をする。
【0035】
前記切替部材105によって第二の画像形成部100に向けて案内された記録媒体Sは、第二の搬送経路へ記録媒体を案内する搬送パス131を通過して、搬送ローラ対82によって第二の搬送経路を構成する搬送パス132に送られる。そして、搬送パス132に送られた記録媒体Sは、レジストローラ対83へと搬送される。
【0036】
なお、搬送ローラ対82は、前述した電子写真方式の両面画像形成プロセスにおいては正転することで、図で示すところの下方向に記録媒体Sを搬送したが、回転方向を正逆に切り替えることが可能である。したがって、搬送ローラ対82は、インクジェット方式による画像形成プロセスで画像形成する場合は、逆転して図で示すところの上方向に記録媒体Sを搬送できる。
【0037】
次にレジストローラ対83は搬送ローラ対82から搬送されてくる記録媒体Sを突き当ててループを作成することにより、記録媒体Sの先端を倣わせ斜行を修正する機能を持っている。また、記録媒体Sへの画像形成のタイミング、即ち、インクジェット方式の画像形成部のインク吐出タイミングに合わせて、記録媒体Sをインクジェット方式の画像形成部100へ搬送する機能を有している。
【0038】
前述のようにインクジェット方式による画像形成を行う際はレジストローラ対83が正逆転の切り替えが可能であることは言うまでもない。
【0039】
記録媒体Sはインクジェット方式による画像形成部100により画像情報に応じてインクが吐出されて画像が形成される。画像形成部100の記録部は、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の各記録ヘッド101Y,102M,103C,104Kを有する。
【0040】
図1に示すように、各々の記録ヘッド101Y,102M,103C,104Kは記録媒体の搬送方向と直交する方向の長さ分(幅分)のノズル列を持ったインクジェット方式のラインヘッドである。
【0041】
これら4本の記録ヘッド101Y,102M,103C,104Kからそれぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)のインクを選択的に吐出し、記録媒体Sに対しカラー画像を記録する。
【0042】
吐出するインクは、不図示のインクカートリッジから、不図示のポンプ、チューブによってそれぞれ対応する記録ヘッド101Y,102M,103C,104Kに供給される。勿論、色数は4色に限定されるものではなく、また色の並び順もこの限りではない。
【0043】
前記インクジェット方式によってインクを吐出された記録媒体Sは、逆転した搬送ローラ対84によって第二の搬送経路を構成する搬送パス133に搬送される。搬送された記録媒体Sは排出ローラ対76により排出トレイ65上に積載される。
【0044】
前述したように、本実施形態では、インクジェット方式による画像のみを形成する場合に、記録媒体を、電子写真方式の第一の画像形成部99を通過させずに、第二の画像形成部100が位置する搬送パス133,132,111へ送る。そのため、インクジェット方式による画像のみを形成する場合に、電子写真方式の第一の画像形成部99を記録媒体が通過することによる、記録媒体の劣化及び電子写真方式の第一の画像形成部99の劣化を防止することができる。
【0045】
また、第二の画像形成部100を、第一の搬送経路(搬送パス122)と、記録媒体を再び第一の搬送経路へ案内するための第二の搬送経路(搬送パス133,132)との間に移動可能を設けている。そのため、画像形成部99,100を直列させる構成に比べて、装置の小型化を実現することができる。
【0046】
また、省エネルギーの観点からインクジェット方式による画像形成部100で画像形成をしている間は、電子写真方式による画像形成部99は動作しない(例えば定着装置5を加熱しない)構成をとっている。この動作の制御は、後述する制御部としてのコントローラ(CPU)90によって行われる。
【0047】
<インクジェット方式による両面画像の作像プロセス>
次に図4及び図5を用いてインクジェット方式による両面画像の作像プロセスを説明する。
【0048】
図4に示すように、1面目を印刷する場合、インクジェット方式の画像形成部100は後述するインクジェットヘッド支持フレーム200の回動軸201を中心として、移動機構を構成する駆動源(不図示)からの駆動が伝達されて回動する。すなわち、インクジェット方式の画像形成部100は、搬送パス132に対向する初期位置である第二の記録位置(図4中の点線位置)から矢印B方向に180度回転して、搬送パス122に対向する第一の記録位置に移動する。
【0049】
そして、記録媒体Sは、搬送パス70,121を通過してレジストローラ対73、二次転写内ローラ32及び二次転写外ローラ41、定着装置5を通過し、搬送ローラ対301により搬送パス122に搬送される。ここで、前記レジストローラ対73は、電子写真方式で画像形成する場合は記録媒体Sを突き当ててループを作成するが、インクジェット方式で画像形成する場合はループを作成しない単なる搬送ローラ対として機能する。また、第一の画像形成部99における定着装置5は加熱することなく、搬送手段として記録媒体Sを搬送路下流に搬送する。
【0050】
次に搬送ローラ対301は、インクジェット方式による両面画像の作像プロセスにおいて1面目用のレジストローラ対として機能する。即ち、搬送ローラ対301は、定着装置5から搬送されてくる記録媒体Sを突き当ててループを作成することにより、記録媒体Sの先端を倣わせ斜行を修正する機能を持っている。また、記録媒体Sへの画像形成のタイミング、即ち、インクジェット方式の画像形成部のインク吐出タイミングに合わせて、記録媒体Sをインクジェット方式の画像形成部100へ搬送する機能を有している。
【0051】
記録媒体Sはインクジェット方式による画像形成部100により画像情報に応じてインクが吐出されて画像が形成された後、搬送ローラ対74によって搬送される。搬送された記録媒体Sは排出ローラ対76により搬送されるが、排出ローラ対76は回転方向を正逆転させることが可能であり、記録媒体Sの後端を挟持したタイミングで回転方向を逆転する機能を持っている。
【0052】
次に図5に示すように、2面目を印刷する場合、インクジェット方式の画像形成部100は後述するインクジェットヘッド支持フレーム200の回動軸201を中心として、移動機構を構成する駆動源(不図示)からの駆動が伝達されて回動する。すなわち、インクジェット方式の画像形成部100は、1面目の記録位置である第一の記録位置(図5中の点線位置)から矢印C方向に180度回転して、搬送パス132に対向する初期位置である第一の記録位置に移動する。同時に後端が排出ローラ対76で挟持された記録媒体Sは、反転切替部材107により搬送パス133を通過し、搬送ローラ対84により搬送パス132に搬送される。
【0053】
ここで、搬送ローラ対84は、前述のように電子写真方式で記録媒体の片面及び両面に画像を形成する場合、及びインクジェット方式で記録媒体の片面に画像を形成する場合は搬送ローラ対として機能する。しかし、インクジェット方式で記録媒体の両面に画像を形成する場合は、インクジェット方式による両面画像の作像プロセスにおいて2面目用のレジストローラ対として機能する。即ち、搬送ローラ対84は、排出ローラ対76から反転搬送されてくる記録媒体Sを突き当ててループを作成することにより、記録媒体Sの先端を倣わせ斜行を修正する機能を持っている。また、記録媒体Sへの画像形成のタイミング、即ち、インクジェット方式の画像形成部100のインク吐出タイミングに合わせて、記録媒体Sをインクジェット方式の画像形成部100へ搬送する機能を有している。
【0054】
記録媒体Sはインクジェット方式による画像形成部100により画像情報に応じてインクが吐出されて画像が形成された後、レジストローラ対83、搬送ローラ対82により順次搬送パス132内を搬送される。ここで、前記レジストローラ対83は、インクジェット方式の画像形成部により記録媒体の両面に画像形成する場合はループを作成しない単なる搬送ローラ対として機能する。
【0055】
次に搬送ローラ対82によって搬送される記録媒体Sは切替部材108により搬送パス111に案内され、再び第一の搬送経路におけるレジストローラ対73に至る。両面にインクジェット方式による画像が形成された記録媒体Sは搬送パス122を通り搬送ローラ対74によって搬送される。搬送された記録媒体Sは排出ローラ対76により排出トレイ65上に積載される。
【0056】
なお、ここでは、インクジェット方式の画像形成部100により記録媒体の両面にインク塗布した後、搬送パス111および搬送パス122を通過させて排出ローラ対76によって排出トレイ65に記録媒体を排出する形態を例示した。しかし、インクジェット方式の画像形成部100により記録媒体の両面にインク塗布した後、レジストローラ対83、搬送ローラ対82をそれまでとは逆方向に回転させて、排出ローラ対76によって排出トレイ65に排出するように構成してもよい。ここで、前記逆方向とは、搬送パス132中の記録媒体Sを上方向へ搬送する方向である。
【0057】
以上のように、インクジェット方式による両面画像の作像プロセスは、電子写真方式による両面画像の作像プロセスに対し、記録媒体Sの搬送経路は同一である。また、電子写真方式におけるレジストローラ対73、二次転写内ローラ32、二次転写外ローラ41、定着装置5は記録媒体Sを搬送する搬送手段として機能する。さらに、1面目の搬送ローラ対301及び2面目の搬送ローラ対84は、記録媒体Sの先端を倣わせ斜行を修正し、インクジェット方式の画像形成部のインク吐出タイミングに合わせて、記録媒体Sをインクジェット方式の画像形成部100へ搬送するレジストローラ対として機能する。また、インクジェット方式による両面画像の作像プロセスは、インクジェット方式による片面画像の作像プロセスに対し、1面目の搬送経路が異なる。片面画像形成時はレジストローラ対83が記録媒体Sの斜行修正及びインクジェット方式の画像形成部のインク吐出タイミングに合わせたインクジェット方式の画像形成部100への搬送を行う。これに対し、両面画像形成時(2面目)は前記レジストローラ対83は記録媒体Sの斜行補正を行うことなく、搬送手段として機能する。
【0058】
<電子写真方式とインクジェット方式の併用による両面画像の作像プロセス>
次に図4及び図5を用いて電子写真方式とインクジェット方式の併用による両面画像の作像プロセスを説明する。
【0059】
本構成における記録媒体Sの搬送経路としては、前述の電子写真方式による両面画像搬送経路及びインクジェット方式による両面画像搬送経路と同一である。
【0060】
但し、インクジェット方式による両面画像の作像プロセスとしては、インクジェット方式の画像形成部100が回動軸201を中心として回転する。即ち、1面目を印刷する場合はインクジェット方式の画像形成部100が搬送パス122に対向し、2面目を印刷する場合はインクジェット方式の画像形成部100が搬送パス132に対向する。これに対し、本構成においては記録媒体Sの両面に画像を形成するために、インクジェット方式の画像形成部100は搬送パス132に対向させる。すなわち、インクジェット方式の画像形成部100は、搬送パス132に対向する初期位置である第二の記録位置に位置する。
【0061】
記録媒体収納庫61,62に収納された記録媒体Sは搬送パス70,121,122を経由して後端が排出ローラ対76に挟持されるまで搬送される。その間、レジストローラ対73、二次転写内ローラ32及び二次転写外ローラ41、搬送ローラ対301、搬送ローラ対74は記録媒体Sを搬送するためだけの搬送手段として動作し、定着装置5は加熱することなく前記複数のローラ対と同様に搬送手段として動作する。
【0062】
そして、前述のインクジェット方式による両面画像の2面目と同一の作像プロセス、電子写真方式による両面画像の2面目と同一の作像プロセスにより、記録媒体Sに両面画像が形成される。
【0063】
即ち、排出ローラ対76により後端が挟持された記録媒体Sは、反転切替部材107により搬送パス133を通過し、レジスト機能を有する搬送ローラ対84によりインクジェット方式の画像形成部100のインク吐出タイミングに合わせて搬送される。
【0064】
記録媒体Sはインクジェット方式による画像形成部100により画像情報に応じてインクが吐出されて画像が形成された後、レジストローラ対83、搬送ローラ対82により順次搬送パス132内を搬送される。次に搬送ローラ対82によって搬送される記録媒体Sは切替部材108により搬送パス111に案内され、再び第一の搬送経路におけるレジストローラ対73に至る。そして、記録媒体Sは電子写真方式による作像プロセスにより二次転写部にて未定着トナー像が転写され、定着装置5によりトナー像を溶融固着される。その後、記録媒体Sは搬送パス122を経由して搬送ローラ対74により搬送され、排出ローラ対76により排出トレイ65上に積載される。
【0065】
以上のように、本構成における両記録方式の併用による作像プロセスとしては、最初にインクジェット方式で印刷し、次に電子写真方式で印刷している。従って、1枚の記録媒体の1面目と2面目を電子写真方式、インクジェット方式の何れを選択するかは、予めユーザが設定し、作像プロセスどおり1面目はインクジェット方式、2面目は電子写真方式で印刷する両面画像のこともあれば、2面目をインクジェット方式で予め印刷し、1面目を電子写真方式で印刷する両面画像のこともある。
【0066】
上記のように、電子写真方式とインクジェット方式の併用により両面画像印刷を行う場合、定着装置5の熱影響を極力受けないよう、インクジェット方式の画像形成部100に記録媒体Sが搬送されるまでは定着装置5を加熱させない。また、インクジェット方式の画像形成部100は定着装置5の直上でなく、なるべく離れた位置に配置することが好適である。
【0067】
<インクジェットヘッド回転支持構成>
次にインクジェット方式の画像形成部100を回転可能に支持し移動させる移動機構について、図6及び図7を用いて説明する。図6はインクジェット方式の画像形成部の構成を表す上面概略構成説明図、図7はインクジェット方式の画像形成部の動作を表す断面動作説明図である。
【0068】
まず、図6によりインクジェット方式の画像形成部100の支持方法を説明する。インクジェット方式の画像形成部100には、記録媒体Sの搬送方向と直交する幅方向の最大長さ(最大幅)より外側両端に突起部100aが一体的に形成されている。またインクジェットヘッド支持フレーム200は、上フレーム202a、下フレーム202b、側面フレーム202cから構成される。また、インクジェット方式の画像形成部100とインクジェットヘッド支持フレーム200の間には、圧縮バネ203が配置される。前記構成において、インクジェット方式の画像形成部100は、記録媒体の搬送方向である上下方向は上フレーム202a、下フレーム202b、記録媒体の幅方向である前後方向は側面フレーム202cによって位置が規制される。それと共に、インクジェット方式の画像形成部100は圧縮バネ203によりインクジェットヘッド支持フレーム200に対し可動自在となる。ここで、搬送パス132は内ガイド132aと外ガイド132bで構成されるが、前記突起部100aは前記内ガイド132aに当接する。これにより、インクジェット方式の画像形成部100と記録媒体Sの距離を適正に保持する。
【0069】
次に図7によりインクジェット方式の画像形成部100の回転方法を説明する。側面フレーム202cには回動軸201が設けられている。インクジェット方式の画像形成部100はインクジェットヘッド支持フレーム200が前記回動軸201を中心に180度回転可能である。従って、インクジェット方式の画像形成部100は、搬送パス132に対向する第二の記録位置、搬送パス122に対向する第一の記録位置の何れにも移動可能な構成となる。
【0070】
図7(a)は前述のようにインクジェット方式の画像形成部100が搬送パス132に対向し、突起部100aが内ガイド132aに当接している。この状態において、前述のようにインクジェット方式による片面と、両面2面目の画像形成が行われる。
【0071】
インクジェット方式の画像形成部100を搬送パス122側に回転する際、図7(b)に示すように、不図示の移動係止手段により画像形成部100を矢印a方向に移動させ、内ガイド132aに対し回転するのに十分な位置まで画像形成部100を退避する。その後、インクジェット方式の画像形成部100はインクジェットヘッド支持フレーム200の回動軸201を中心として、駆動源(不図示)からの駆動が伝達されて矢印B方向に180度回転し、搬送パス122に対向する。
【0072】
その後、図7(c)に示すように、上記移動係止手段がインクジェットヘッド支持フレーム200に対するインクジェット方式の画像形成部100の係止を解除し、画像形成部100を矢印b方向に移動させる。ここで、搬送パス122は搬送パス132と同様に、内ガイド122aと外ガイド122bで構成されるが、図7(d)に示すように突起部100aが外ガイド122bに当接し、インクジェット方式の画像形成部100と記録媒体Sの距離を適正に保持する。この状態において、前述のようにインクジェット方式による、両面インクジェット方式の場合の1面目と、両面電子写真方式とインクジェット方式の混在時の両面1面目の画像形成が行われる。
【0073】
そして、インクジェット方式の画像形成部100を搬送パス132側に回転する際、前述と同様に不図示の移動係止手段により画像形成部100を外ガイド122bに対し回転するのに十分な位置まで退避する。そして、インクジェット方式の画像形成部100はインクジェットヘッド支持フレーム200の回動軸201を中心として、駆動源(不図示)からの駆動が伝達されて図7(d)の矢印C方向に180度回転し搬送パス132に対向する。その後、上記移動係止手段がインクジェットヘッド支持フレーム200に対するインクジェット方式の画像形成部100の係止を解除し、突起部100aが内ガイド132aに当接し、前述した図7(a)の状態に戻る。
【0074】
<電子写真方式とインクジェット方式に関するプロセス>
ここで、各記録方式による片面印刷、記録方式が同一の両面印刷、記録方式が混在する両面印刷の方法について、電子写真方式とインクジェット方式の使い分けに関して説明する。
【0075】
画像形成装置には、図9に示すように、装置全体の動作を制御する制御部としてのコントローラ90が配置されている。コントローラ90は、記録媒体収納庫61,62に収納されている記録媒体Sが、電子写真方式による画像形成部99に適合するのか、インクジェット方式による画像形成部100に適合するのか、電子写真方式による画像形成部99及びインクジェット方式による画像形成部100のどちらにも適合するのかを、あらかじめ記録されている。
【0076】
例えば電子写真方式による画像形成が適合する紙種としては、普通紙や64g以下の薄紙やOHPが挙げられる。またインクジェット方式による画像形成が適合する紙種としては、インクジェットコート紙やエンボス紙や封筒等があり、紙サイズとしてはA4以下の紙サイズであるA4やB5やLGLやSTMTといった小サイズ紙が挙げられる。
【0077】
記録媒体Sおよび画像データに応じて画像形成部を選択して画像形成を行うフローチャート図を図8、ブロック図を図9に示す。
【0078】
画像形成装置に対して、例えば外部装置からプリント信号、及び画像データが入力され、不図示の操作部からユーザが設定した記録媒体の種類に関する情報が入力されたときのコントローラ90の動作を以下に説明する。
【0079】
なお、記録媒体の種類に関する情報は、記録媒体収納庫61,62などに配置された記録材の種類を自動で判別するセンサからの入力されるようにしてもよい。
【0080】
外部装置からのプリント信号が片面画像であれば(S11)、電子写真方式による画像形成部99とインクジェット方式による画像形成部100から適合する画像形成部を選択する。
【0081】
適合する画像形成部が電子写真方式であれば画像データを送り、電子写真方式による画像形成部99で画像形成を行う(S13)。適合する画像形成部がインクジェット方式であれば画像データを送り、切替部材105が動作して(S15)第二の搬送経路の各ローラ対が逆転を初め(S16)、第二の記録位置に位置するインクジェット方式による画像形成部100で画像形成を行う(S17)。
【0082】
次にS11で片面画像ではなく両面画像と判定されると、両面とも電子写真方式で画像形成するかを判定する(S18)。両面とも電子写真方式で画像形成すると判定すると、電子写真方式による画像形成部99で1面目の画像形成を行う(S19)。その後、反転切替部材107が動作して(S20)再び電子写真方式による画像形成部99で2面目の画像形成を行う(S21)。
【0083】
次にS18で両面とも電子写真方式で画像形成しないと判定すると、両面ともインクジェット方式で画像形成するか判定する(S22)。両面ともインクジェット方式で画像形成すると判定すると、第一の搬送経路内を搬送される記録媒体に画像形成する第一の記録位置に移動したインクジェット方式の画像形成部100で1面目の画像形成を行う(S23)。もしくは第二の搬送経路内を搬送される記録媒体に画像形成する第二の記録位置に移動したインクジェット方式の画像形成部100で1面目の画像形成を行う(S23)。その後、インクジェット方式の画像形成部100が、1面目の記録位置とは異なる反対側の記録位置に回転移動し、2面目の画像形成を行う。即ち、第1面に画像形成したときに対向する搬送パスとは反対側の搬送パスに対向する位置に回転し、インクジェット方式の画像形成部100で2面目の画像形成を行う(S24)。
【0084】
次にS22で両面ともインクジェット方式で画像形成しないと判定すると、片面は電子写真方式、もう一方の片面はインクジェット方式で画像形成すると判定する(S25)。そして1面目、2面目によらず、まず第二の搬送経路の搬送パス133,132内を搬送されている記録媒体に対してインクジェット方式の画像形成部100で片面の画像形成を行う(S26)。その後、第一の搬送経路の搬送パス122内を搬送されている記録媒体に対して電子写真方式の画像形成部99でもう一方の片面の画像形成を行う(S29)。
【0085】
本実施形態によれば、インクジェット方式の画像形成部100を、第二の搬送経路における第二の記録位置と電子写真方式の画像形成部99がある第一の搬送経路における第一の記録位置に自在に移動できる。そのため、記録媒体の片面に画像形成を行う場合又は記録媒体の両面に画像形成を行う場合の何れにおいても、インクジェット方式の画像形成部100による記録位置の選択が可能となる。例えば、インクジェット方式の画像形成部100による記録位置として、記録媒体が電子写真方式の画像形成部99を通過しない記録位置の選択が可能となる。これにより、記録媒体が電子写真方式の画像形成部99を通過しない位置でインクジェット方式の画像形成部100による記録が可能である。したがって、インクジェット方式による画像を形成する場合に、電子写真方式の第一の画像形成部99を記録媒体が通過することによる、記録媒体の劣化及び電子写真方式の第一の画像形成部99の劣化を防止することができる。
【0086】
また電子写真方式の画像形成部99で画像を形成する第一の搬送経路又は再び第一の搬送経路に記録媒体を案内する第二の搬送経路に対して記録位置を移動することが可能なインクジェット方式の画像形成部100を設けることで、装置の小型化を実現できる。
【0087】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態を図10より図12に基づいて説明する。
【0088】
<インクジェット方式による両面画像形成の作像プロセス>
第1実施形態においてインクジェット方式による両面画像形成の作像プロセスでは、記録媒体Sを加熱なしの定着装置5を経由して搬送したが、定着装置5を経由しないで両面画像形成も可能である。
【0089】
図10は本構成を示すものであり、第1実施形態に対し中間切替部材302、中間パス303、中間トレイ304を追加している。中間パス303は、インクジェット方式の第二の画像形成部100による第一の記録位置と、電子写真方式の第一の画像形成部99との間において、第一の搬送経路から分岐して設けられた搬送パスである。中間切替部材302は、第一の搬送経路に切り替え可能に設けられ、第一の記録位置にてインクジェット方式の第二の画像形成部100に画像が形成された記録媒体を中間パス303へ案内するための切替部材である。中間トレイ304は、中間パス303に案内された記録媒体を一時的に積載する積載部材である。なお、中間切替部材302の動作は前述したコントローラ90によって制御される。
【0090】
1面目の画像形成時は第1実施形態におけるインクジェット方式による片面画像の作像プロセスと同一ではあるが、2面目の画像形成を行うために排出ローラ対76により記録媒体Sの後端を一旦挟持する。そして図11に示すように、インクジェット方式の画像形成部100は第一の搬送経路の搬送パス122に対向するよう回転し、記録媒体Sは反転切替部材107により搬送パス122に搬送される。
【0091】
ここで、搬送ローラ対74は第1実施形態では記録媒体Sを搬送するための単なる搬送ローラ対であったが、本実施形態ではレジストローラ機能を有する。即ち、記録媒体Sの先端を突き当ててループを作成することにより記録媒体Sの先端を倣わせ斜行補正を行い、インクジェット方式の画像形成部100のインク吐出タイミングに合わせて記録媒体Sを搬送する。
【0092】
インクジェット方式の画像形成部100で2面目の画像形成が行われた記録媒体Sは、搬送ローラ対301により搬送され、中間切替部材302により中間パス303に至り、中間トレイ304上に一時的に積載される。このとき、記録媒体Sの後端は搬送ローラ対301により挟持されている。
【0093】
そして図12に示すように、排出ローラ対76、搬送ローラ対74、搬送ローラ対301は、前記2面目の画像形成時と反対方向に回転することで、両面ともにインクジェット方式の画像形成部100で画像形成された記録媒体Sが排出トレイ上に積載される。
【0094】
上記構成により、電子写真方式の画像形成部99の主たる構成要素である中間転写ベルト31、定着装置5などを動作させることなしに、搬送パス内だけでインクジェット方式の画像形成部100による両面画像形成の作像プロセスが実現可能となる。
【0095】
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では、電子写真方式、インクジェット方式ともに、色の異なる画像形成部(記録部)を4つ使用しているが、この使用個数、配置順などは限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定すれば良い。
【0096】
また前述した実施形態では、コントローラが、記録媒体の種類やサイズに応じて、使用する画像形成部を選択する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものでもない。例えば、使用する画像形成部を、操作部(不図示)あるいはパーソナルコンピュータなどの外部装置(不図示)からの情報によりユーザが適宜選択する構成としても良い。また、記録媒体の種類(紙種)やサイズなども前述した実施形態に例示されたものに限定されるものではない。
【0097】
また前述した実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良い。また、中間転写体を使用し、該中間転写体に各色のトナー像を順次重ねて転写し、該中間転写体に担持されたトナー像を記録媒体に一括して転写する画像形成装置に限定されるものでもない。例えば、記録媒体担持体を使用し、該記録媒体担持体に担持された記録媒体に各色のトナー像を順次重ねて転写する画像形成装置であっても良い。これらの画像形成装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0098】
S …記録媒体
5 …定着装置
11 …感光体
31 …中間転写ベルト
32 …二次転写内ローラ
41 …二次転写外ローラ
73 …レジストローラ対
74 …搬送ローラ対
76 …排出ローラ対
82,84 …搬送ローラ対
83 …レジストローラ対
90 …コントローラ
99 …第一の画像形成部
100 …第二の画像形成部
101Y,102M,103C,104K …記録ヘッド
105,108 …切替部材
106,111,121,122,131,132,133 …搬送パス
107 …反転切替部材
301 …搬送ローラ対
302 …中間切替部材
303 …中間パス
304 …中間トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を案内する第一の搬送経路と、
前記第一の搬送経路を搬送される記録媒体に電子写真方式で画像を形成する第一の画像形成部と、
前記第一の搬送経路を通った記録媒体をその表裏面を反転させて再び前記第一の搬送経路へ案内するための第二の搬送経路と、
前記第二の搬送経路を搬送される記録媒体にインクジェット方式で画像を形成する第二の画像形成部と、
前記第二の画像形成部を、前記第二の搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する第二の記録位置から、前記第一の搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する第一の記録位置に移動させる移動機構と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第一の画像形成部と前記第二の画像形成部と前記移動機構の動作を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記第二の画像形成部により記録媒体の両面に画像を形成する時に、前記第二の画像形成部を、前記第一の記録位置又は前記第二の記録位置に移動して記録媒体の1面目に画像形成を行い、前記1面目の記録位置とは異なる前記第一の記録位置又は前記第二の記録位置に移動して記録媒体の2面目に画像形成を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第一の画像形成部により記録媒体の片面に画像を形成する時、前記第一の画像形成部により記録媒体の両面に画像を形成する時、及び前記第二の画像形成部により記録媒体の片面に画像を形成する時に、前記第二の画像形成部を、前記第二の記録位置に移動して記録媒体に画像形成を行うことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第二の画像形成部により記録媒体に画像を形成する時に、前記第一の画像形成部における定着装置を加熱することなく記録媒体を搬送する搬送手段としてのみ動作させることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
給送手段から送られた記録媒体を、前記第一の搬送経路又は前記第二の搬送経路に案内する切替部材を設け、前記切替部材の動作を前記制御部で制御することを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に画像形成装置。
【請求項6】
前記第二の画像形成部による第一の記録位置と前記第一の画像形成部との間に、前記第一の搬送経路から分岐した中間パスと、前記第一の記録位置にて前記第二の画像形成部に画像が形成された記録媒体を前記中間パスへ案内するための中間切替部材と、を有し、
前記第一の記録位置に位置する第二の画像形成部により画像が形成されて前記第一の画像形成部に向かう記録媒体を前記中間切替部材により前記中間パスに案内することを特徴とする請求項5に画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−103457(P2013−103457A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250323(P2011−250323)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】