画像形成装置
【課題】感光体の帯電動作時に帯電部材と感光体との間で流れる帯電電流の一方向性に起因したベルト状の帯電部材の電気抵抗変動を抑制することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体1と、ベルト状の帯電部材4と、ローラ状の対向電極7と、を有し、第2の支持ローラ6に巻き付けられた位置のベルト状の帯電部材4がローラ状の対向電極7に接触する第1の通電部位Paと、第1の支持ローラ5に巻き付けられた位置のベルト状の帯電部材4が感光体1に接触又は近接する第2の通電部位Pbと、が形成されている画像形成装置100は、第2の通電部位Pbに電流を流してベルト状の帯電部材4により感光体1を帯電させる際に、ベルト状の帯電部材4の表裏方向において第1の通電部位Paに流れる電流と第2の通電部位Pbに流れる電流の方向が逆方向となるように、第1、第2の通電部位Pa、Pbにおける通電を制御する制御手段400を有する構成とする。
【解決手段】感光体1と、ベルト状の帯電部材4と、ローラ状の対向電極7と、を有し、第2の支持ローラ6に巻き付けられた位置のベルト状の帯電部材4がローラ状の対向電極7に接触する第1の通電部位Paと、第1の支持ローラ5に巻き付けられた位置のベルト状の帯電部材4が感光体1に接触又は近接する第2の通電部位Pbと、が形成されている画像形成装置100は、第2の通電部位Pbに電流を流してベルト状の帯電部材4により感光体1を帯電させる際に、ベルト状の帯電部材4の表裏方向において第1の通電部位Paに流れる電流と第2の通電部位Pbに流れる電流の方向が逆方向となるように、第1、第2の通電部位Pa、Pbにおける通電を制御する制御手段400を有する構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式の画像形成装置における電子写真感光体(感光体)の帯電方式として、コロナ帯電方式よりも放電時のオゾンの発生が少ない帯電ローラ方式が広く利用されている。帯電ローラ方式では、一般に、ローラ状の帯電部材である帯電ローラを被帯電体である感光体の表面に接触させて、この帯電ローラに電圧(帯電電圧)を印加することで、帯電ローラと感光体との間の微小な空隙で発生する放電により感光体を帯電させる。
【0003】
尚、上記帯電ローラなどの帯電部材は、被帯電体である感光体の表面に必ずしも接触している必要はない。帯電部材と感光体との間に、ギャップ間電圧と補正パッシェンカーブで決まる放電可能領域さえ確実に保証されれば、例えば数10μmの空隙(間隙)を有して非接触に近接配置されていてもよい。ここでは、帯電部材を被帯電体に接触又は近接させて、微小な空隙で発生する放電により被帯電体を帯電させる方式を接触又は近接帯電方式又は単に接触帯電方式と呼ぶ。
【0004】
帯電ローラ方式は、感光体の帯電に際して印加する電圧が比較的低くてよいので経済的であるという利点を有している。又、帯電ローラ方式は、外径の小さなローラで帯電動作ができるため、高速化する際に、コロナ帯電装置と比べて帯電装置の小型化に適している利点がある。一般的には、帯電ローラの芯金に帯電電圧を印加し、帯電ローラの抵抗層の表面と感光体との間で放電を行うことで感光体を帯電させる。
【0005】
例えば帯電電圧を負極性とした場合、感光体の帯電に必要な帯電電流は、感光体から帯電ローラの芯金へと一方向に流れる。感光体の帯電に寄与する電流(帯電電流)は、DC電流成分が主体である。
【0006】
そのため、帯電電流の方向が常に同じ一方向の場合、帯電ローラの抵抗層に電気抵抗変動が発生する。この電気抵抗変動は、帯電電流を変動させるため、感光体の帯電電位(暗部電位)VDを変動させ、画像濃度変動の問題を発生させ易い。又、この電気抵抗変動は、帯電ローラに流れる電流値の影響が大きいことが知られている。そのため、感光体の感光層を薄くして静電容量を大きくした場合や、高速対応で大きな帯電電流を必要とする装置では、帯電ローラの抵抗層の電気抵抗変動も大きくなり易い。
【0007】
ここで、帯電ローラ方式においては、帯電電圧としてDC電圧成分(帯電DC電圧)とAC電圧成分(帯電AC電圧)とを重畳した振動電圧を用いて、帯電ローラと感光体との間で正逆両方向の放電を用い、感光体の帯電電位VDの安定化、均一化を図る方式がある。
【0008】
しかし、帯電ローラの抵抗層の電気抵抗変動に関しては、上述のように感光体の帯電時に流れるDC電流成分が支配的であるため、AC電圧成分を重畳してもこの電気抵抗変動の低減への効果は少ない。従って、帯電電圧として帯電DC電圧に帯電AC電圧を重畳しただけでは、上述のように静電容量の大きな感光体を使用する場合や高速対応のために帯電電流を大きくした場合に適応することは難しい。
【0009】
一方、帯電ローラに代えて、ベルト状の帯電部材である帯電ベルトを使用することが提案されている(特許文献1)。帯電ベルトは、一対の支持ローラに掛け渡されており、感光体と対向する支持ローラに帯電電圧を印加して、帯電ベルトを介して感光体を帯電させる。
【0010】
帯電ベルト方式は、感光体と接触する表面積を大きくできるため、帯電ローラと比較して汚れの蓄積などによる寿命を長くし易いなどの利点を有する。又、帯電部材がベルト状であることにより、帯電電流が流れる頻度を低減することができる。そのため、帯電部材の電気抵抗変動(電気抵抗上昇)の低減が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−138542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1の発明では、一方向にDC電流が流れる構成とされており、電気抵抗変動については考慮されていない。そのため、帯電ベルトの電気抵抗変動によって、帯電電流が変動することがあり、感光体の帯電電位の安定性が低下することがある。
【0013】
帯電ベルトの電気抵抗変動が生じる構成では、感光体の帯電電位を安定させるためには、定期的に帯電DC電圧を補正する制御を行う必要があり、その制御の間に画像形成が行えなくなるなどして、画像形成装置の生産性を低下させることが考えられる。
【0014】
従って、本発明の目的は、感光体の帯電動作時に帯電部材と感光体との間で流れる帯電電流の一方向性に起因したベルト状の帯電部材の電気抵抗変動を抑制することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、感光体と、少なくとも第1、第2の支持ローラに掛け渡されて回転し前記感光体を帯電させるベルト状の帯電部材と、前記ベルト状の帯電部材に接触するローラ状の対向電極と、を有し、前記第2の支持ローラに巻き付けられた位置の前記ベルト状の帯電部材が前記ローラ状の対向電極に接触して前記第2の支持ローラと前記対向電極との間で通電が可能とされた第1の通電部位と、前記第1の支持ローラに巻き付けられた位置の前記ベルト状の帯電部材が前記感光体に接触又は近接して前記第1の支持ローラと前記感光体との間で通電が可能とされた第2の通電部位と、が形成されている画像形成装置であって、前記第2の通電部位に電流を流して前記ベルト状の帯電部材により前記感光体を帯電させる際に、前記ベルト状の帯電部材の表裏方向において前記第1の通電部位に流れる電流と前記第2の通電部位に流れる電流の方向が逆方向となるように、前記第1、第2の通電部位における通電を制御する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、感光体の帯電動作時に帯電部材と感光体との間で流れる帯電電流の一方向性に起因したベルト状の帯電部材の電気抵抗変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置の模式的な断面図である。
【図2】DC放電特性の一例を示すグラフ図である。
【図3】第1、第2の通電部位における電流の方向を説明するための模式図である。
【図4】本発明の一実施例に係る概略制御ブロック図である。
【図5】V−I特性の一例を示すグラフ図である。
【図6】本発明の一実施例に係る画像形成動作のタイミングチャート図である。
【図7】本発明の他の実施例に係る画像形成装置の模式的な断面図である。
【図8】本発明の他の実施例に係る概略制御ブロック図である。
【図9】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置の模式的な断面図である。
【図10】本発明の更に他の実施例に係る概略制御ブロック図である。
【図11】帯電AC電圧のVppとVD電位の関係の一例を示すグラフ図である。
【図12】本発明の一実施例に係る制御のフローチャート図である。
【図13】本発明の他の実施例に係る制御のフローチャート図である。
【図14】本発明の更に他の実施例に係る制御のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。但し、以下の実施例に記載されている構成部品の寸法、形状、材質、その配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0019】
実施例1
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置100の概略構成を示す。本実施例では、画像形成装置100は、電子写真方式を採用したレーザービームプリンタである。
【0020】
1−1.感光体
画像形成装置100は、像担持体としての回転可能なドラム型の電子写真感光体(感光体)1を有する。
【0021】
本実施例では、感光体1は、負帯電性のアモルファスシリコン感光ドラムである。又、感光体1の外径は84mmであり、中心支軸を中心に500mm/secの周速度(プロセススピード)で図中矢印方向(時計回り)に回転駆動される。又、感光体1は、アルミニウム製シリンダ(導電性ドラム基体)1aの表面に感光層1bを備えて構成されている。この感光層1bの膜厚は、30μm程度である。
【0022】
尚、感光体1としては、OPC感光体(有機感光体)などの利用可能な任意のものを用いてもよい。
【0023】
1−2.帯電装置
画像形成装置100は、感光体1の周面を一様に帯電処理する帯電手段として、ベルト状の帯電部材を用いた帯電装置2を有する。
【0024】
帯電装置2は、ベルト状の帯電部材である帯電ベルト4を有する。帯電ベルト4は、無端状のベルトであり、複数の支持ローラ(懸架ローラ)としての第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6とに掛け渡されることにより、回転可能に支持されている。本実施例では、第1の支持ローラ5、第2の支持ローラ6は、図示しない支持部材によって回転可能に固定され、帯電ベルト4の回転動作ができる程度の張力が付与されている。ここで、支持ローラは少なくとも2つ設けられていればよいが、より多くてもよい。
【0025】
尚、帯電ベルト4は回転可能に保持されていればよく、安定して回転できる支持方法であれば他の支持方法を用いてもよい。
【0026】
本実施例では、帯電ベルト4は、導電性の弾性ゴム材料で作製されている。帯電ベルト4の厚さは、100μm〜1mm程度とされる。本実施例では、帯電ベルト4として、外径が24mmのチューブ状部材を用いた。本実施例では、第1、第2の支持ローラ5、6に張架された状態で、帯電ベルト4の周長は約75.5mmである。
【0027】
帯電ベルト4の体積抵抗率は、107〜1013Ωcm程度とされる。
【0028】
尚、帯電ベルト4は、その電気抵抗値が、感光体1を安定して帯電させることが可能な範囲に設定されていればよく、半導電性の樹脂材料や導電性の樹脂材料などを用いてもよい。
【0029】
本実施例では、第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6との間で帯電ベルト4を通して電流が殆ど流れないようにする。そのため、本実施例では、帯電ベルト4の移動方向における第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6との間の帯電ベルト4が両ローラに接触しない距離が約18mmに設定されている。これにより、第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6との間のベルトの抵抗が108〜1010Ωになるように設定されている。このように、帯電ベルト4の厚さよりも、帯電ベルト4の移動方向における上記第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6との間の帯電ベルト4が両ローラに接触しない距離の方が長い。
【0030】
本実施例では、第1の支持ローラ5は、付勢手段(加圧手段)としてのバネによって感光体1に向けて付勢され、帯電ベルト4を感光体1に押し付けている。これにより、帯電ベルト4は、感光体1の回転に従って、図中矢印方向(反時計回り)に従動回転する。そして、感光体1の回転方向(表面の移動方向)において帯電ベルト4と感光体1との接触部(帯電ニップ部)の上流側及び下流側に形成される帯電ベルト4と感光体1との微小な空隙(ギャップ)における放電により、感光体1が帯電処理される。
【0031】
尚、帯電ベルト4は、感光体1に接触させて従動回転させることに限定されるものではない。例えば、第2の支持ローラ6を駆動手段としてのモータにより駆動することにより帯電ベルト4を回転駆動してもよい。又、第1の支持ローラ5と感光体1とが対向する位置において帯電ベルト4と感光体1との間に微小な空隙を設け、上述のように第2の支持ローラ6により帯電ベルト4を回転駆動すると共に、この微小な空隙における放電により感光体1を帯電処理してもよい。
【0032】
本実施例では、第1の支持ローラ5としては、外径14mm、厚さ1.0mmの中空の導電性の金属ローラを用いている。第1の支持ローラ5は、帯電電圧印加手段としての帯電電源(高圧電源)S2に接続されている。これにより、帯電ベルト4を介して感光体1を帯電処理するために必要な所定のDC電圧を、第1の支持ローラ5に印加可能である。
【0033】
第1の支持ローラ5に印加されるDC電圧は、感光体1の静電容量などから決定される、パッシェン則に従うDC放電開始電圧Vth以上の電圧である。図2に示すように、目標とする帯電電位VDに応じたDC電圧が印加される。
【0034】
又、本実施例では、第2の支持ローラ6としては、外径10mm、厚さ1.0mmの中空の導電性の金属ローラを用いている。第2の支持ローラ6は、電気回路的に画像形成装置100の装置本体のアースに接続され、電気的に接地されている。
【0035】
そして、本実施例では、帯電装置2は、帯電ベルト4を挟んで第2の支持ローラ6と対向する位置に、ローラ状の対向電極である対向ローラ7が配置されている。本実施例では、対向ローラ7は、付勢手段(加圧手段)としてのバネによって第2の支持ローラ6に向けて付勢され、帯電ベルト4に押し付けられている。これにより、対向ローラ7は、帯電ベルト4の回転に従って従動回転する。
【0036】
本実施例では、対向ローラ7としては、外径10mm、厚さ1.0mmの中空の導電性の金属ローラを用いている。対向ローラ7には、偏り除去電圧印加手段としての偏り除去電源(高圧電源)S1が接続されている。これにより、後述するように帯電ベルト4の電気抵抗の偏りを低減するために必要な所定のDC電圧を、対向ローラ7に印加可能である。
【0037】
1−3.露光装置
画像形成装置100は、帯電処理された感光体1の周面に静電潜像(静電像)を形成する露光手段(情報書き込み手段)としての露光装置13を有する。本実施例では、露光装置13は、半導体レーザーを使用したレーザービームスキャナである。
【0038】
露光装置13は、図示しない画像読み取り装置などのホスト装置から画像形成装置100に送られた画像信号に対応して変調されたレーザー光を出力して、回転する感光体1の一様に帯電処理された周面を、露光位置において走査露光する。このレーザー光が照射された部分の電位の絶対値が低下することで、回転する感光体1の表面に、画像情報に対応した静電潜像が順次に形成されていく。
【0039】
尚、本実施例では、イメージ露光と反転現像の組み合わせにより、画像を形成する。即ち、一様に帯電された感光体1上のイメージ部(画像部)を露光装置13により露光する。そして、この露光により電位の絶対値が低下した露光部に、後述する現像装置11によって感光体1の帯電極性(本実施例では負極性)と同極性に帯電したトナーを付着させる。
【0040】
1−4.現像装置
画像形成装置100は、感光体1上の静電潜像に現像剤(トナー)を供給し静電潜像を可視化する現像手段としての現像装置11を有する。本実施例では、現像装置11は、現像剤としてトナー(非磁性トナー粒子)とキャリア(磁性キャリア粒子)とを備えた2成分現像剤を用いる2成分現像方式を採用している。
【0041】
現像装置11内に収容された現像剤中のトナーは、キャリアとの摩擦により所定の極性(本実施例では負極性)に帯電する。トナーが付着したキャリアは、現像剤担持体としての現像スリーブ11aに担持されて、感光体1との対向部である現像位置へと搬送される。そして、感光体1の周面に形成された静電潜像のイメージ部分に現像剤中のトナーが転移することで、静電潜像はトナー像として現像される。現像スリーブ11aは、その外周面の一部を現像装置11の外部に露呈させて、現像装置11内に回転可能に配設されている。現像スリ−ブ11aに担持される、現像装置11内に収容された2成分現像剤の量は、図示しない規制ブレードによって規制される。これにより、現像スリ−ブ11a上に所定の層厚の現像剤層が形成される。又、現像スリーブ11aには、図示しない現像電圧印加手段としての現像電源(高圧電源)より、所定の現像電圧(現像バイアス)が印加される。これにより、現像スリーブ11aと感光体1との間に形成される電界の作用で、感光体1上に形成された静電潜像がトナー像として現像される。
【0042】
尚、現像方式は2成分現像方式に限定されるものではなく、現像剤としてキャリアを含まない1成分現像剤を用いる1成分現像方式など、他の利用可能な現像方式を任意に用いることができる。又、本実施例では、トナーの正規の帯電極性(現像装置が静電潜像を現像する際に意図されているトナーの帯電極性)は負極性であるが、トナーの正規の帯電極性は負帯電極性に限定されるものではなく、正極性であってもよい。
【0043】
1−5.転写装置
画像形成装置100は、感光体1上に形成されたトナー像を、被転写体としての記録材12に転写する転写手段として、ローラ状の転写部材である転写ローラ16を有する。転写ローラ16は、感光体1に向けて押圧されており、感光体1と転写ローラ16とが接触する転写部Nを形成している。
【0044】
感光体1上に形成されたトナー像は、転写部Nに搬送される。このとき、転写ローラ16には、図示しない転写電圧印加手段としての転写電源(高圧電源)より、トナーの帯電極性とは逆極性の転写電圧(転写バイアス)が印加される。これにより、転写ローラ16と感光体1との間に形成される電界の作用で、感光体1上のトナー像は、転写部Nにおいて感光体1と転写ローラ16とに挟持されて搬送される記録材12上へ静電的に転写される。
【0045】
1−6.定着装置
画像形成装置100は、記録材12に転写された未定着のトナー像を転写材12に定着させる定着手段として定着装置17を有する。
【0046】
転写部Nにおいてトナー像が転写された記録材12は、定着装置17へ搬送されて、ここで所定の熱量と圧力とを付与されて、その上へのトナー像の定着処理を受ける。その後、記録材12は、印刷物として画像形成装置100の外部へと出力される。
【0047】
1−7.クリーニング手段及び光除装置
転写部Nにおいて転写されずに感光体1上に残留したトナー(転写残トナー)は、クリーニング手段としてのクリーニングブレード14により、感光体1上から除去されて図示しない回収容器に回収される。これにより、感光体1はクリーニングされる。又、クリーニングブレード14により転写残トナーが除去された後に、感光体1の周面は、除電手段としての光除電装置15により露光される。これにより、感光体1の静電潜像履歴が消去される。こうして、感光体1上の位置は、再度、帯電位置へ戻り、以上のような画像形成動作が繰り返される。
【0048】
2.帯電ベルトの電気抵抗変動の抑制
次に、DC電流成分による帯電ベルト4の電気抵抗変動の低減方法について説明する。
【0049】
2−1.概要
本実施例の画像形成装置100では、帯電ベルト4は第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6とによって回転可能に支持されている。そして、本実施例では、概略、第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6に巻き付けられたそれぞれの位置で帯電ベルト4の表裏方向(厚さ方向)で流れるDC電流の方向が逆方向となるようにする。これは、帯電ベルト4の回転駆動時に、第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6に巻き付けられたそれぞれの位置で帯電ベルト4の表裏方向(厚さ方向)で逆方向のDC電流を通電させることで、電気抵抗変動を低減するためである。
【0050】
より具体的には、本実施例では、帯電装置2は、帯電ベルト4の電気抵抗の偏りを除去するための電流が流れる第1の通電部位Paと、感光体1を帯電させるための電流が流れる第2の通電部位Pbと、を有する。以下、更に詳しく説明する。
【0051】
2−2.第1の通電部位、第2の通電部位における電流
(a)制御態様
図3は、第1の通電部位Pa、第2の通電部位Pbにおける電流の方向を示す。又、図4は、偏り除去電源S1、帯電電源S2の制御態様を示す。
【0052】
図4に示すように、画像形成装置100の動作は、画像形成装置100に設けられたコントロール部(制御部)110が統括的に制御する。本実施例との関係では、コントロール部110には、出力制御部(高圧出力制御部)200、電流検知制御部300、制御手段としてのCPU400、記憶手段としての記憶部(メモリ)などを有する。出力制御部200は、CPU400からの指示により、偏り除去電源S1、帯電電源S2の出力を制御する。電流検知制御部300は、偏り除去電源S1に接続された第1の電流検知部(電流計)A1、帯電電源S2に接続された第2の電流検知部(電流計)A2の検知結果を処理してCPU400に入力する。CPU400は、記憶部500に記憶されたプログラム、データに従って画像形成装置100の各部を制御する。又、記憶部500には、CPU400が用いるプログラムやデータが格納されている他、後述するように電流検知結果が記憶される。
【0053】
(b)第1の通電部位における電流の向き
本実施例では、帯電装置2は、帯電ベルト4の電気抵抗の偏りを除去するために第2の支持ローラ6に巻き付けられた帯電ベルト4と対向ローラ7とが接触する第1の通電部位Paを有する。
【0054】
図3(a)、図4に示すように、対向ローラ7には、偏り除去電源S1が接続されており、任意のDC電圧を対向ローラ7に印加可能である。偏り除去電源S1は、出力制御部200に接続されている。出力制御部200は、CPU400からの信号を受け取り、偏り除去電源S1から対向ローラ7に印加する電圧の出力を制御する。又、帯電電源S1と対向ローラ7との間に流れるDC電流I1は、第1の電流検知部A1で測定される。第1の電流検知部A1で測定された電流I1の電流値は、電流検知制御部300で信号変換されてCPU400に送信され、CPU400によって記憶部500に記憶される。CPU400は、詳しくは後述するように、電流I1の電流値の測定結果に基づき、偏り除去電源S1から対向ローラ7に印加する電圧を制御する。
【0055】
ここで、電流I1の方向は、図3(a)に示すように、第2の支持ローラ6から対向ローラ7に向かう方向、即ち、帯電ベルト4の内側から外側に向かう方向である。そのため、電流I1の方向は、対向ローラ7から偏り除去電源S1に向かう方向である。
【0056】
(c)帯電動作
本実施例では、帯電装置2は、帯電ベルト4を用いて感光体1を帯電させるために第1の支持ローラ5に巻き付けられた帯電ベルト4と感光体1とが接触又は近接する第2の通電部位Pbを有する。
【0057】
本実施例では、帯電電源S2から第1の支持ローラ5にDC電圧を印加することで、第1の支持ローラ5に巻き付けられた帯電ベルト4と感光体1との接触部(帯電ニップ部)の近傍の微小な空隙に発生する放電を用いて、感光体1を帯電させる。
【0058】
帯電電源S2から第1の支持ローラ5に印加するDC電圧について更に説明する。本実施例では、帯電電源S2より供給されるDC電圧を第1の支持ローラ5に印加し、図2に示すDC放電特性を用いて感光体1を帯電させる。
【0059】
感光体1の目標とする帯電電位をVDとする場合、帯電電源S2から第1の支持ローラ5に印加するDC電圧Vdc2は、次式、
Vdc2=Vth+VD
で決定される。
【0060】
ここで、上記式中のVthは、図2に示されるDC放電開始電圧である。図2に示すように、放電開始電圧Vth以上の領域では、DC電圧と感光体1の帯電電位VDとの関係は、傾きα=1である。そのため、上記式により計算されるDC電圧Vdc2を帯電電源S2から第1の支持ローラ5に印加することによって、目標とする帯電電位VDを感光体1に形成することが可能である。
【0061】
但し、より具体的には、帯電位置から現像位置まで移動するまでの間の感光体1の帯電電位の減衰を考慮して、次のようにして帯電電源S2から第1の支持ローラ5に印加する電圧を計算する。即ち、本実施例の画像形成装置100では、放電開始電圧Vthは−480V、現像位置における目標帯電電位VD(目標VD)は−500Vである。そして、帯電位置から現像位置までの帯電電位VDの減衰量(暗減衰V)は100Vである。従って、この帯電電位VDの減衰量を考慮したDC電圧を帯電電源S2から第1の支持ローラ5に印加する。本実施例では、帯電位置における感光体1の帯電電位VDは、次式、
VD=目標VD+暗減衰V
となる。従って、本実施例では、
Vdc2=−480V−500V−100V
=−1080V
となる。このDC電圧が、帯電電源S2より第1の支持ローラ5へと供給される。
【0062】
(d)第2の通電部位における電流の向き及び電流値
図3(b)、図4に示すように、帯電電源S2と第1の支持ローラ5との間に流れるDC電流I2は、第2の電流検知部A2で測定される。第2の電検知部A2で測定された電流I2の電流値は、電流検知制御部300で信号変換されてCPU400に送信され、CPU400によって記憶部500に記憶される。この電流I2の電流値は、詳しくは後述するように、偏り除去電源S1から対向ローラ7に印加する電圧を制御するのに用いられる。
【0063】
ここで、本実施例の画像形成装置100では、感光体1の帯電極性は負極性であり、第1の支持ローラ5には、帯電電源S2から負極性のDC電圧が印加される。従って、第2の通電部位Pbにおいて帯電ベルト4に流れる電流I2の方向は、図3(b)に示すように、感光体1から第1の支持ローラ5に向かう方向、即ち、帯電ベルト4の外側から内側に向かう方向である。そのため、電流I2の方向は、第1の支持ローラ5から帯電電源S2に向かう方向である。
【0064】
本実施例の画像形成装置100では、現像位置における目標帯電電位VDである−500Vを得るために、第1の支持ローラ5に−1080VのDC電圧Vdc2を印加する場合、500μA程度の電流I2が、感光体1側より帯電ベルト4に流れる。
【0065】
(e)第1の通電部位Paと第2の通電部位Pbで流れる電流の関係
次に、第1の通電部位Paと第2の通電部位Pbでそれぞれ流れる、電流I1と電流I2の関係について説明する。
【0066】
本実施例の画像形成装置100では、第2の通電部位Pbで流れた電流I2の電流値と略同一のDC電流を、第1の通電部位Paにおいて、第2の通電部位Pbで流れたDC電流とは帯電ベルト4の表裏方向(厚さ方向)において逆方向に通電させる。上述のように、本実施例では、第2の通電部位Pbでは、帯電ベルト4の外側(感光体1側)から内側(第1の支持ローラ5側)に電流I2が流れる。従って、第1の通電部位Paでは、帯電ベルト4の内側(第2の支持ローラ6側)から外側(対向ローラ7側)に電流I1を流すようにして、この電流I1の電流値は、電流I2の電流値に可及的に(十分に)近付ける。
【0067】
より具体的には、本実施例では、第2の通電部位Pbで帯電ベルト4に流れる電流I2が、第2の電流検知部A2で測定される。その後、第1の通電部位Paで帯電ベルト4に流れる電流I1の電流値が上記測定された電流I2の電流値と略同一となるように、第1の電流検知部A1によって電流I1の電流値を測定しながら、偏り除去電源S1から第2の支持ローラ6に印加する電圧を制御する。
【0068】
本実施例では、第1の通電部位Paにおける、印加するDC電圧Vdc1と電流I1の電流値との関係は、図5のI−V特性で表される。例えば、500μA(絶対値)の電流I2と同等の電流を流すためには、160V(絶対値)程度のDC電圧Vdc1を、偏り除去電源S1から第2の支持ローラ6に印加する。
【0069】
以上のような制御により、帯電ベルト4に流れる電流の向きを、第1の通電部位Paと第2の通電部位Paとで逆方向とし、又その電流の絶対値を略同一にすることができる。
【0070】
2−3.制御フロー
次に、図12のフローチャートを参照して、本実施例の制御フローについて説明する。
【0071】
尚、本実施例では、上述のような第1の通電部位Paにおいて流れる電流を調整する調整制御を、非画像形成時として、画像形成信号が画像形成装置100に入力されてから実際に画像形成を開始するまでの間の準備動作時である前回転動作時に行う。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、非画像形成時としては、例えば、前回転動作時の他、次のものが挙げられる。画像形成装置100の主電源の投入後の準備動作時である前多回転動作時、画像形成終了後の整理(準備)動作時である後回転動作時、或いは連続画像形成時の一の記録材とその次の記録材との間に相当する紙間時である。これらのいずれのタイミングで上記調整制御を行ってもよい。
【0072】
本実施例では、画像形成信号の入力に伴い、制御手段としてのCPU400は、画像形成装置100を、以下の手順で制御する。
【0073】
先ず、S101において、CPU400は、画像形成信号が入力されると、感光体1の回転駆動を開始させると共に、光除電装置15による感光体1の露光を開始させる。
【0074】
次に、S102において、CPU400は、感光体1が定常回転に到達したことを検知したタイミングで、帯電電源S2から、現像位置における目標帯電電位VDを形成するためのDC電圧Vdc2を出力させる。ここで、例えば、Vdc2=−1080Vである。又、CPU400は、帯電電源S2からの電圧の出力を開始させた後、第2の電流検知部A2による電流I2の測定を開始させ、測定値を記憶部500に記憶させる。
【0075】
次に、S103において、CPU400は、偏り除去電圧電源S1から帯電ベルト4の電気抵抗の偏りを除去するためのDC電圧Vdc1を出力させる。又、CPU400は、偏り除去電源S1からの電圧の出力を開始させた後、第1の電流検知部A1による電流I1の測定を開始させ、測定値を記憶部500に記憶させる。
【0076】
その後、S104において、CPU400は、第1の電流検知部A1と第2の電流検知部A2で検知した電流I1と電流I2との電流値の差分の絶対値(ABS(I1−I2))が10μA以下になっているか否かを判定する。
【0077】
S104において条件を満たした場合、S105において、CPU400は、露光装置13を制御して、画像形成を開始する。その後、CPU400は、S106において画像形成終了命令を出すまで、画像形成動作を継続させる。そして、所定の枚数の画像形成を実施して画像形成終了命令を出した後(S106)、S107において、CPU400は、帯電電圧などの高圧出力、光除電装置15、感光体1の回転駆動を順次に停止させ、一連の画像形成動作を終了する。
【0078】
S104において条件を満たさなかった場合、S108において、CPU400は、電流I1と電流I2との電流値の大小関係を判定する。
【0079】
S108においてI1<I2(或いは|I1|>|I2|)と判断した場合、S109において、CPU400は、偏り除去電源S1が出力するDC電圧Vdc1の絶対値を小さくする方向に補正し、電流I1の絶対値を小さくするように補正する。本実施例では、Vdc1の極性は負であるため、CPU400は、Vdc1=Vdc1+ΔVの計算により、Vdc1は、その絶対値が小さくなる方向に補正される。
【0080】
一方、S108において、I1>I2(或いは|I1|<|I2|)と判断した場合、S110において、CPU400は、S109の場合とは逆に、Vdc1の絶対値を大きくする方向に補正し、電流I1の絶対値を大きくするように補正する。この場合、CPU400は、Vdc1=Vdc1−ΔVの計算により、Vdc1を補正する。
【0081】
そして、S111において、CPU400は、S109又はS110で更新されたVdc1を出力させる。
【0082】
その後、処理はS104に戻り、S104の条件が満たされるまで、S108〜S111の一連の動作フローが繰り返される。
【0083】
ここで、S109、S110における補正量ΔVについて説明する。
【0084】
本実施例では、1回の補正量ΔVは1Vと設定している。この1回の補正量は、図5に示す帯電ベルト4のV−I特性を考慮して決定している。即ち、図5に示すV−I特性の傾きは、ΔI/ΔV=1300μA/200V程度である。従って、ΔVを1Vに設定することで、1回の補正で約6.5μAの電流調整が可能である。
【0085】
尚、ΔVの値は、例えば帯電ベルト4の電気抵抗値などにより変化するので、I−V特性を考慮して、ΔVの値を適宜設定することができる。
【0086】
次に、S104における電流差の判定基準の決定方法について説明する。
【0087】
本実施例では、電流I1と電流I2との電流値の差分の絶対値が10μA以下になるようにする。これは、帯電ベルト4の電気抵抗の変動に起因する感光体1の帯電電位の変動を十分に抑制するためである。本実施例では、第2の通電部位Pbで流れる電流I2が500μA(絶対値)程度である。従って、第1の通電部位Paで流れる電流I1が、500μA(絶対値)に対して2%以下となるように設定している。このような電流差に設定することで、第1の通電部位Paを設けて帯電ベルト4の電気抵抗の偏りを除去しない場合と比較して、約2倍以上、電気抵抗の変動による帯電ベルト4の寿命を確保することが可能となることが分かった。例えば、帯電ベルト4の電気抵抗の変動に起因する帯電ベルト4の使用時間(寿命)が100時間以上(約500K枚/A4サイズ紙)という、高い耐久性を確保することが可能となる。
【0088】
ここで、電流I1と電流I2の電流値、及びその電流差は、例えば感光体1の種類や回転周速、使用する帯電ベルト4の電気抵抗値などに応じて、適宜決定することができる。その際、電流I1と電流I2との電流値の差分の設定、通電時間による電気抵抗の変動量、及び感光体1の帯電電位の安定性などを考慮して、適宜決定することができる。
【0089】
尚、本実施例では、偏り除去電源S1の出力の制御方法として定電圧方式を用いている。しかし、偏り除去電源S1の出力を定電流制御してもよい。その場合、I1≒I2に制御すればよい。当然、上記同様、所定の電流差の範囲内となるようにしてもよい。但し、定電流制御を用いる場合は、偏り除去電源S1、帯電電源S2の電圧負荷に上限リミッタを設け、感光体1へのリークなどが発生しないようにすることが望ましい。
【0090】
以上の制御フローにより、第2の通電部位Pbにおいて帯電ベルト4の外側から内側に流れた電流I2に対し、第1の通電部位Paにおいて、絶対値が略同一で、向きが逆方向の電流I1を通電させることが可能となる。
【0091】
2−4.制御タイミング
次に、図6のタイミングチャートを参照して、画像形成時の各部の制御タイミングについて説明する。
【0092】
図6に示すように、感光体1の回転動作が安定した後、タイミングt1(約500ms後)に、帯電電源S2から第1の支持ローラ5に対し、現像位置における目標帯電電位VDである−500Vを得るための、−1080VのDC電圧Vdc2を出力する。これとほぼ同時に、第2の電流検知部A2による電流I2の測定を開始する。
【0093】
その後、タイミングt2において、偏り除去電源S1から、対向ローラ7に対し、帯電ベルト4の電気抵抗の偏りを除去するためのDC電圧Vdc1を出力する。これとほぼ同時に、第1の電流検知部A1による電流I1の測定を開始する。
【0094】
その後、電流I1と電流I2の電流値の検知結果に基づいて、第1の通電部位Paで第2の通電部位Pbとは絶対値が略同一で向きが逆方向の電流が流れるように、図12に示すフローチャートに従ってVdc1が補正される。
【0095】
その後、画像形成が終了したタイミングt3において、高圧電源、光除電装置15及び電流検知部A1、A2などが同時にoffされ、最後に感光体1の駆動が停止されて、一連の画像形成動作が終了する。
【0096】
このように、本実施例の画像形成装置100は、感光体1と、少なくとも第1、第2の支持ローラ5、6に掛け渡されて回転し感光体1を帯電させるベルト状の帯電部材4と、ベルト状の帯電部材4に接触するローラ状の対向電極7と、を有する。又、この画像形成装置100では、第2の支持ローラ6に巻き付けられた位置のベルト状の帯電部材4がローラ状の対向電極7に接触して第2の支持ローラ6と対向電極7との間で通電が可能とされた第1の通電部位Paが形成されている。又、この画像形成装置100では、第1の支持ローラ5に巻き付けられた位置のベルト状の帯電部材4が感光体1に接触又は近接して第1の支持ローラ5と感光体1との間で通電が可能とされた第2の通電部位Pbが形成されている。そして、画像形成装置100は、第2の通電部位Pbに電流を流してベルト状の帯電部材により感光体1を帯電させる際に、次のような制御を行う制御手段400を有する。即ち、制御手段400は、ベルト状の帯電部材4の表裏方向において第1の通電部位Paに流れる電流と第2の通電部位Pbに流れる電流の方向が逆方向となるように、第1、第2の通電部位Pa、Pbにおける通電を制御する。
【0097】
特に、本実施例では、画像形成装置100は、ローラ状の対向電極7に電圧を印加する第1の電圧印加手段S1と、第1の支持ローラ5に電圧を印加する第2の電圧印加手段S2と、を有する。又、本実施例では、画像形成装置100は、第1の電圧印加手段S1に流れる電流を検知する第1の電流検知手段A1と、第2の電圧印加手段S2に流れる電流を検知する第2の電流検知手段A2と、を有する。そして、制御手段400は、本実施例では、第1、第2の電流検知手段A1、A2によって検知された電流値の差分が所定値以下となるように第1、第2の電圧印加手段S1、S2の少なくとも一方の出力を制御して、第1、第2の通電部位における通電を制御する。特に、本実施例では、第1の電圧印加手段S1の出力を制御する例について説明したが、例えば第2の電圧印加手段S2の出力が変更されるような場合には、第1、第2の電圧印加手段S1、S2の出力を制御することができる。
【0098】
以上、本実施例によれば、帯電ベルト4の表裏に対して、第1の通電部位Paと第2の通電部位Pbとで逆方向に電流を流すことで、帯電ベルト4に流れる一方向のDC電流に起因する帯電ベルト4の電気抵抗変動を低減することが可能となる。
【0099】
尚、画像形成中に、第1の通電部位Pa及び第2の通電部位Pbで流れる電流を測定し、適宜、偏り除去電源S1から供給されるDC電圧の補正を行うことも可能である。
【0100】
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。図7は、本実施例に係る画像形成装置100の概略構成を示す。本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0101】
実施例1では、帯電部材として帯電ベルト4のみを用いた。しかし、DC帯電を用いた接触又は近接帯電方式では、画像形成装置100内に浮遊しているトナーやトナーの外添材などが付着するなどして、帯電部材たる帯電ベルト4の汚れが発生し易い。又、感光体に接触するクリーニング手段の感光体の長手方向における接触圧力分布のムラなどにより、感光体の回転方向又は長手方向において削れムラなどが発生することがある。この場合、感光体の感光層の膜厚ムラが発生するため、感光体の表面電位ムラが発生することがある。
【0102】
そこで、本実施例では、図7に示すように、帯電装置2は、第1の帯電部材としての帯電ベルト4に加えて、第2の帯電部材としての帯電ローラ3を有する構成とする。そして、帯電ベルト4を用いて感光体1の帯電処理を行った後、感光体1の回転方向下流に配置した帯電ローラ3を用いて更に感光体1の帯電処理を行い、感光体の表面電位ムラを低減する。即ち、複数回の放電部位を設けることで、より均一に感光体1を帯電させる。
【0103】
1.帯電装置の構成
本実施例では、帯電装置2は、第1の帯電部材として、実施例1と同様の帯電ベルト4を有する。帯電ベルト4は、第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6とによって支持されている。又、本実施例では、帯電装置2は、第2の帯電部材としての帯電ローラ3を有する。帯電ローラ3は、感光体1の回転方向(表面の移動方向)において帯電ベルト4の下流側に配置されている。
【0104】
本実施例では、帯電ローラ3は、金属製の芯金部3bの表面に、弾性体で形成された単層の抵抗層3aを備えて構成されている。本実施例では、帯電ローラ3の外径は14mm、芯金3bの直径は6mmである。又、帯電ローラ3の抵抗層3aの体積抵抗率は、104〜107Ωcm程度とされる。
【0105】
本実施例では、帯電ローラ3は、付勢手段(加圧手段)としてのバネによって感光体1に向けて付勢され、感光体1に押し付けられている。これにより、帯電ローラ3は、感光体1の表面に安定して接触している。尚、バネ加圧以外の方法を用いて帯電ローラ3を感光体1に押圧させてもよい。帯電ローラ3は、感光体1の回転に従って従動回転する。
【0106】
尚、帯電ローラ3の構成及びその電気抵抗値は、特に限定されるものではなく、一般的に用いられる帯電ローラを適宜用いることができる。
【0107】
又、帯電ローラ3は、感光体1に接触させて従動回転させる構成に限定されるものではない。例えば、駆動手段としてのモータにより駆動することにより帯電ローラ3を回転駆動してもよい。又、帯電ローラ3と感光体1との間に微小な空隙を設け、上述のように帯電ローラ3を回転駆動すると共に、この微小な空隙における放電により感光体1を帯電処理してもよい。
【0108】
本実施例では、帯電ローラ3への電圧印加は、帯電ローラ3と接触するように対向して取り付けられている金属製の対向ローラ7により行う。本実施例では、帯電ローラ3の回転方向において、対向ローラ7と帯電ローラ3との接触部は、帯電ローラ3と感光体1との接触部から約180度の位置にある。帯電ローラ3の芯金3bは導電性の金属であるが、高圧電源は接続されていない。
【0109】
対向ローラ7は、実施例1のものと同様の構成とされている。本実施例では、対向ローラ7は、実施例1と同様に第2の支持ローラ6と対向する位置で帯電ベルト4と接触することに加えて、帯電ローラ3に接触する。対向ローラ7には、帯電電圧印加手段としての第2の帯電電源(高圧電源)S3が接続されている。これにより感光体1を帯電処理するために必要な所定のDC電圧を、対向ローラ7に印加可能である。このように、本実施例では、対向ローラ7は、帯電ベルト4と帯電ローラ3の両方に接触している。
【0110】
本実施例では、第2の帯電電源S3から帯電ローラ3にDC電圧を印加することで、帯電ローラ3と感光体1との接触部(第2の帯電ニップ部)の近傍の微小な空隙に発生する放電を用いて、感光体1を帯電させる。
【0111】
上述のような構成により、帯電ローラ3は、表面から給電される。そのため、後述するように、帯電ローラ3の抵抗層3aの表面と芯金3bとの間で、帯電ローラ3の回転時に、電流方向が180°逆転する。従って、帯電ローラ3の電気抵抗変動を低減させることが可能である。
【0112】
又、本実施例では、第2の支持ローラ6には、偏り除去電圧印加手段としての偏り除去電源(高圧電源)S4が接続されている。これにより、後述するように帯電ベルト4の電気抵抗の偏りを低減するために必要な所定のDC電圧を、第2の支持ローラ6に印加可能である。
【0113】
本実施例の帯電装置2は、実施例1と同様に、帯電ベルト4の電気抵抗の偏りを除去するための電流が流れる第1の通電部位Paと、帯電ベルト4が感光体1を帯電させるための電流が流れる第2の通電部位Pbと、を有する。又、本実施例では、帯電装置2は、帯電ローラ3が感光体1を帯電させるための電流が流れる第3の通電部位Pcを有する。更に、本実施例では、帯電装置2は、対向ローラ7から帯電ローラ6に給電するための電流が流れる第4の通電部位Pdも有する。
【0114】
更に説明すると、本実施例では、帯電装置2は、帯電ベルト4の電気抵抗の偏りを除去するために第2の支持ローラ6に巻き付けられた帯電ベルト4と対向ローラ7とが接触する第1の通電部位Paを有する。第1の通電部位Paにおいて帯電ベルト4に流れる電流の方向は、第2の支持ローラ6から対向ローラ7に向かう方向、即ち、帯電ベルト4の内側から外側に向かう方向である。
【0115】
又、本実施例では、帯電装置2は、帯電ベルト4を用いて感光体1を帯電させるために第1の支持ローラ5に巻き付けられた帯電ベルト4と感光体1とが接触又は近接する第2の通電部位Pbを有する。第2の通電部位Pbにおいて帯電ベルト4に流れる電流の方向は、感光体1から第1の支持ローラ5に向かう方向、即ち、帯電ベルト4の外側から内側に向かう方向である。
【0116】
又、本実施例では、帯電装置2は、帯電ローラ3を用いて感光体1を帯電させるために帯電ローラ3と感光体1とが接触又は近接する第3の通電部位Pcを有する。第3の通電部位Pcにおいて帯電ローラ3に流れる電流の方向は、感光体1から帯電ローラ3に向かう方向、即ち、帯電ローラ3の外側から内側に向かう方向である。
【0117】
更に、本実施例では、帯電装置2は、対向ローラ7と帯電ローラ3とが接触する第4の通電部位Pdを有する。第4の通電部位Pdにおいて帯電ローラ3に流れる電流の方向は、帯電ローラ3から対向ローラ7に向かう方向、即ち、帯電ローラ3の内側から外側に向かう方向である。
【0118】
図8は、第1の帯電電源S2、第2の帯電電源S3、偏り除去電源S4の制御態様を示す。
【0119】
図8に示すように、第1の支持ローラ5、対向ローラ7、第2の支持ローラ6には、それぞれ第1の帯電電源S2、第2の帯電電源S3、偏り除去電源S4が接続されている。第1の帯電電源S2、第2の帯電電源S3、偏り除去電源S4は、それぞれ任意のDC電圧を第1の支持ローラ5、対向ローラ7、第2の支持ローラ6に印加可能である。各高圧電源S2、S3、S4は、出力制御部200に接続されている。出力制御部200は、CPU400からの信号を受け取り、各高圧電源S2、S3、S4の出力を制御する。又、第1の帯電電源S2と第1の支持ローラ5との間に流れるDC電流I2は、第2の電流検知部A2で測定される。又、第2の帯電電源S3と対向ローラ7との間に流れるDC電流I3は、第3の電流検知部A3で測定される。又、偏り除去電源S4と第2の支持ローラ6との間に流れるDC電流I4は、第4の電流検知部A4で測定される。各電流検知部A2、A3、A4で測定された電流I2、I3、I4の電流値は、電流検知制御部300で信号変換されてCPU400に送信され、CPU400によって記憶部500に記憶される。
【0120】
2.制御フロー
次に、図13のフローチャートを参照して、本実施例の制御フローについて説明する。
【0121】
尚、実施例1と同様、本実施例では、第1の通電部位Paに流れる電流の調整制御を、非画像形成時として、画像形成信号が画像形成装置100に入力されてから実際に画像形成を開始するまでの間の準備動作時である前回転動作時に行う。但し、実施例1にて説明したように、本発明はこれに限定されるものではない。
【0122】
本実施例では、画像形成信号の入力に伴い、制御手段としてのCPU400は、画像形成装置100を、以下の手順で制御する。
【0123】
先ず、S201において、CPU400は、画像形成信号が入力されると、感光体1の回転駆動を開始させると共に、光除電装置15による感光体1の露光を開始させる。
【0124】
次に、S202において、CPU400は、感光体1が定常回転に到達したことを検知したタイミングで、第1の帯電電源S2から、現像位置における目標帯電電位VDを形成するためのDC電圧Vdc2(本実施例では、−1300V)を出力させる。又、CPU400は、第1の帯電電源S2からの電圧の出力を開始させた後、第2の電流検知部A2による電流I2の測定を開始させ、測定値を記憶部500に記憶させる。
【0125】
次に、S203において、CPU400は、次のタイミングで、第2の帯電電源S3、偏り除去電源S4から、DC電圧Vdc3、Vdc4をそれぞれ出力させる。即ち、第1の帯電電源S2による電圧印加で帯電された感光体1の部分が、感光体1の回転によって帯電ローラ3と感光体1との接触部位に到達するタイミングである。又、CPU400は、各高圧電源S3、S4からの電圧の出力を開始させた後、第3の電流検知部A3、第4の電流検知部A4による電流I3、電流I4のそれぞれの測定を開始させ、測定値を記憶部500に記憶させる。
【0126】
ここで、本実施例では、第2の帯電電源S3が出力するDC電圧Vdc3を−780Vに設定している。即ち、本実施例では、帯電ベルト4により帯電され、帯電ローラ3と感光体1との接触部位に到達した際の、感光体1の帯電電位と略同じ電圧を印加している。又、本実施例では、偏り除去電源S4が出力するDC電圧Vdc4の初期値は−600Vに設定している。
【0127】
その後、S204において、CPU400は、第2の電流検知部A2と第4の電流検知部A4で検知した電流I2と電流I4との電流値の差分の絶対値(ABS(I4−I2))が10μA以下になっているか否かを判定する。
【0128】
S204において条件を満たした場合、S205において、CPU400は、露光装置13を制御して、画像形成を開始する。その後、CPU400は、S206において画像形成終了命令を出すまで、画像形成動作を継続させる。そして、所定の枚数の画像形成を実施して画像形成終了命令を出した後(S206)、S207において、CPU400は、帯電電圧などの高圧出力、光除電装置13、感光体1の回転駆動を順次に停止させ、一連の画像形成動作を終了する。
【0129】
S204において条件を満たさなかった場合、S208において、CPU400は、電流I2と電流I4との電流値の大小関係を判定する。
【0130】
S208においてI4<I2(或いは|I4|>|I2|)と判断した場合、S209において、CPU400は、偏り除去電源S4が出力するDC電圧Vdc4の絶対値を小さくする方向に補正し、電流I4の絶対値を小さくするように補正する。本実施例では、Vdc4の極性は負であるため、CPU400は、Vdc4=Vdc4+ΔVの計算により、Vdc4は、その絶対値が小さくなる方向に補正される。
【0131】
一方、S208において、I4>I2(或いは|I4|<|I2|)と判断した場合、S210において、CPU400は、S209の場合とは逆に、Vdc4の絶対値を大きくする方向に補正し、電流I4の絶対値を大きくするように補正する。この場合、CPU400は、Vdc4=Vdc4−ΔVの計算により、Vdc4を補正する。
【0132】
そして、S211において、CPU400は、S209又はS210で更新されたVdc4を出力させる。
【0133】
その後、処理はS204に戻り、S204の条件が満たされるまで、S208〜S211の一連の動作フローが繰り返される。
【0134】
ここで、S209、S210における1回の補正量ΔVは1Vであり、実施例1と同じ値である。
【0135】
このように、本実施例では、画像形成装置100は、第1の支持ローラ5に電圧を印加する第2の電圧印加手段S2と、ローラ状の対向電極7に電圧を印加する第3の電圧印加手段S3と、第2の支持ローラ6に電圧を印加する第4の電圧印加手段S4と、を有する。又、画像形成装置100は、感光体1を帯電させるローラ状の帯電部材であって、感光体1と接触又は近接する第3の通電部位Pcを形成すると共に、ローラ状の対向電極7が表面に接触することで、表面側から電圧が供給されるローラ状の帯電部材3を有する。又、画像形成装置は、第2の電圧印加手段S2に流れる電流を検知する第2の電流検知手段A2と、第3の電圧印加手段S3に流れる電流を検知する第3の電流検知手段A3と、第4の電圧印加手段S4に流れる電流を検知する第4の電流検知手段A4と、を有する。そして、本実施例では、制御手段400は、第2、第4の電流検知手段A2、A4によって検知された電流値の差分が所定値以下となるようにする。そのために、制御手段400は、第2、第4の電圧印加手段S2、S4の少なくとも一方の出力を制御して、第1、第2の通電部位Pa、Pbにおける通電を制御する。特に、本実施例では、第4の電圧印加手段S1の出力を制御する例について説明したが、例えば第2の電圧印加手段S2の出力が変更されるような場合には、第2、第4の電圧印加手段S2、S4の出力を制御することができる。
【0136】
以上の制御フローにより、第2の通電部位Pbにおいて帯電ベルト4の外側から内側に流れた電流I2に対し、第1の通電部位Paにおいて、絶対値が略同一で、向きが逆方向の電流I4を通電させることが可能となる。そのため、本実施例によれば、帯電ベルト4の表裏に対して、第1の通電部位Paと第2の通電部位Pbとで逆方向に電流を流すことで、帯電ベルト4に流れる一方向のDC電流に起因する帯電ベルト4の電気抵抗変動を低減することが可能となる。
【0137】
又、本実施例では、帯電ベルト4の電気抵抗の安定化に加え、帯電ローラ3を帯電ベルト4の下流に配置して複数回帯電処理を行うことで、実施例1よりも均一に感光体1を帯電させることができ、より安定した画像形成ができる。
【0138】
又、帯電ローラ3に対しては、対向ローラ7を用いてその表面より電圧を印加することで、帯電ローラ3の電気抵抗変動も抑制することができる。
【0139】
実施例3
次に、本発明の他の実施例について説明する。図9は、本実施例に係る画像形成装置100の概略構成を示す。本実施例の画像形成装置において、実施例1、2の画像形成装置のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0140】
本実施例では、実施例2の画像形成装置100に対し、帯電ローラ3に印加するDC電圧にAC電圧を重畳させる。これにより、感光体1の帯電電位の均一性を更に向上させる。又、本実施例では、対向ローラ7と第2の支持ローラ6との間でAC電流が流れないようにするために、第2の支持ローラ6に印加するDC電圧にもAC電圧を重畳させる。
【0141】
1.帯電装置の構成
本実施例では、対向ローラ7に電圧を印加する第2の帯電電圧印加手段としての第2の帯電電源S5は、DC電圧(帯電DC電圧)とAC電圧(帯電AC電圧)とを重畳した振動電圧を対向ローラ7に印加可能である。又、本実施例では、第2の支持ローラ6に電圧を印加する偏り除去電圧印加手段としての偏り除去電源S6は、DC電圧とAC電圧とを重畳した振動電圧を第2の支持ローラ6に印加可能である。
【0142】
ここで、実施例2と同様に、帯電ローラ3の芯金3bは、導電性の金属であるが、高圧電源は接続されていない。本実施例では、第2の帯電電源S5、偏り除去電源S6の出力するAC電圧のピーク間電圧Vppの設定は同じ値として、周波数fは同位相とした。このように、AC電圧のVppを同じ値として、周波数fを同位相とすることで、対向ローラ7と第2の支持ローラ6との間で帯電ベルト4を介してほぼAC電流が流れないようになっている。
【0143】
図10は、第1の帯電電源S2、第2の帯電電源S5、偏り除去電源S6の制御態様を示す。
【0144】
図10に示すように、第1の支持ローラ5、対向ローラ7、第2の支持ローラ6には、それぞれ第1の帯電電源S2、第2の帯電電源S5、偏り除去電源S6が接続されている。第1の帯電電源S2、第2の帯電電源S5、偏り除去電源S6は、それぞれ任意のDC電圧を第1の支持ローラ5、対向ローラ7、第2の支持ローラ6に印加可能である。又、本実施例では、第2の帯電電源S5、偏り除去電源S6は、上記DC電圧に所定のAC電圧を重畳させて対向ローラ7、第2の支持ローラ6に印加可能である。各高圧電源S2、S5、S6は、出力制御部200に接続されている。出力制御部200は、CPU400からの信号を受け取り、各高圧電源S2、S5、S6の出力を制御する。又、第1の帯電電源S2と第1の支持ローラ5との間に流れるDC電流I2は、第2の電流検知部A1で測定される。又、第2の帯電電源S5と対向ローラ7との間に流れるDC電流I5は、第5の電流検知部A5で測定される。又、偏り除去電源S6と第2の支持ローラ6との間に流れるDC電流I6は、第6の電流検知部A6で測定される。各電流検知部A2、A5、A6で測定された電流I2、I5、I6の電流値は、電流検知制御部300で信号変換されてCPU400に送信され、CPU400によって記憶部500に記憶される。
【0145】
ここで、本実施例における帯電ローラ3による感光体1の帯電特性について説明する。
【0146】
図11は、帯電ベルト4を用いて感光体1を帯電させない条件で、帯電ローラ3のみを用いて感光体1を帯電させた場合の感光体1の帯電電位VDを測定した結果である。又、図11は、次のようにして現像位置で測定した感光体1の帯電電位VDを測定した結果を示す。即ち、第2の帯電電源5によって、対向ローラ7に−580VのDC電圧Vdc5を印加すると共に、第2の帯電電源S5と偏り除去電源S6が印加するAC電圧のピーク間電圧Vppを可変調整して測定した結果である。この時のAC電圧の周波数fは4KHzである。
【0147】
図11より、Vpp=1000Vで、帯電電位VDが収束していることが分かる。本実施例では、帯電ローラ3に印加するAC電圧のピーク間電圧Vppを1050Vに設定した。これは、感光体1の帯電電位が収束するポイント(Vpp=1000V)に対し、帯電電位VDの安定領域に余裕を持たせるためである。
【0148】
このピーク間電圧Vppの値は、用いる感光体1の静電容量などから決定されるパッシェン側に従うDC放電開始電圧Vthの2倍以上の電圧に設定されることが望ましい。AC電圧のピーク間電圧Vppとしては、一般的なAC電圧を重畳した場合に、感光体1の帯電電位VDが安定領域となるVppを用いればよい。
【0149】
2.制御フロー
次に、図14のフローチャートを参照して、本実施例の制御フローについて説明する。
【0150】
尚、実施例1と同様、本実施例では、第1の通電部位Paに流れる電流の調整制御を、非画像形成時として、画像形成信号が画像形成装置100に入力されてから実際に画像形成を開始するまでの間の準備動作時である前回転動作時に行う。但し、実施例1にて説明したように、本発明はこれに限定されるものではない。
【0151】
本実施例では、画像形成信号の入力に伴い、制御手段としてのCPU400は、画像形成装置100を、以下の手順で制御する。
【0152】
先ず、S301において、CPU400は、画像形成信号が入力されると、感光体1の回転駆動を開始させると共に、光除電装置15による感光体1の露光を開始させる。
【0153】
次に、S302において、CPU400は、感光体1が定常回転に到達したことを検知したタイミングで、第1の帯電電源S2から現像位置における目標帯電電位VDを形成するためのDC電圧Vdc2(本実施例では、−1300V)を出力させる。又、CPU400は、第1の帯電電源S2からの電圧の出力を開始させた後、第2の電流検知部A2による電流I2の測定を開始させ、測定値を記憶部500に記憶させる。
【0154】
次に、S303において、CPU400は、次のタイミングで、第2の帯電電源S5、偏り除去電源S6から、それぞれDC電圧Vdc5、Vdc6にAC電圧を重畳させた電圧を同期させて出力させる。即ち、第2の帯電電源S2による電圧印加で帯電された感光体1の部位が、感光体1の回転によって帯電ローラ3と感光体1との接触部位に到達するタイミングである。又、CPU400は、各高圧電源S5、S6からの電圧の出力を開始させた後、第5の電流検知部A5、第6の電流検知部A6による電流I5、電流I6のそれぞれの測定を開始させ、測定値を記憶部500に記憶させる。
【0155】
ここで、本実施例では、第2の帯電電源S5が出力するDC電圧Vdc5を−780Vに設定している。即ち、本実施例では、帯電ベルト4により帯電され、帯電ローラ3と感光体1との接触部位に到達した際の、感光体1の帯電電位と略同じ電圧を印加している。又、本実施例では、偏り除去電源S6が出力するDC電圧Vdc6の初期値は−600Vに設定している。
【0156】
その後、S304において、CPU400は、第2の電流検知部A2と第5の電流検知部A5で検知した電流I2と電流I4との電流値の差分の絶対値(ABS(I6−I2))が10μA以下になっているか否かを判定する。
【0157】
S304において条件を満たした場合、S305において、CPU400は、露光装置15を制御して、画像形成を開始する。その後、CPU400は、S306において画像形成終了命令を出すまで、画像形成動作を継続させる。そして、所定の枚数の画像形成を実施して画像形成終了命令を出した後(S306)、S307において、CPU400は、帯電電圧などの高圧出力、光除電装置13、感光体1の回転駆動を順次に停止させ、一連の画像形成動作を終了する。
【0158】
S304において条件を満たさなかった場合、S308において、CPU400は、電流I2と電流I6との電流値の大小関係を判定する。
【0159】
S308においてI6<I2(或いは|I6|>|I2|)と判断した場合、S309において、CPU400は、偏り除去電源S6が出力するDC電圧Vdc6の絶対値を小さくする方向に補正し、電流I6の絶対値を小さくするように補正する。本実施例では、Vdc6の極性は負であるため、CPU400は、Vdc6=Vdc6+ΔVの計算により、Vdc6は、その絶対値が小さくなる方向に補正される。
【0160】
一方、S308において、I6>I2(或いは|I6|<|I2|)と判断した場合、S310において、CPU400は、S309の場合とは逆に、Vdc6の絶対値を大きくする方向に補正し、電流I6の絶対値を大きくするように補正する。この場合、CPU400は、Vdc6=Vdc6−ΔVの計算により、Vdc6を補正する。
【0161】
そして、S311において、CPU400は、S309又はS310で更新されたVdc6を出力させる。
【0162】
その後、処理はS304に戻り、S304の条件が満たされるまで、S308〜S311の一連の動作フローが繰り返される。
【0163】
ここで、S309、S310における1回の補正量ΔVは1Vであり、実施例1と同じ値である。
【0164】
以上の制御フローにより、第2の通電部位Pbにおいて帯電ベルト4の外側から内側に流れた電流I2に対し、第1の通電部位Paにおいて、絶対値が略同一で、向きが逆方向の電流I4を通電させることが可能となる。そのため、本実施例によれば、帯電ベルト4の表裏に対して、第1の通電部位Paと第2の通電部位Pbとで逆方向に電流を流すことで、帯電ベルト4に流れる一方向のDC電流に起因する帯電ベルト4の電気抵抗変動を低減することが可能となる。
【0165】
又、本実施例では、帯電ローラ3を用いてAC帯電を行うことができるため、実施例2よりも更に均一に感光体1を帯電させることができ、更に安定した画像形成ができる。
【0166】
又、帯電ローラ3に対しては、対向ローラ7を用いてその表面より電圧を印加することで、帯電ローラ3の電気抵抗変動も抑制することができる。
【0167】
尚、上述の各実施例では、画像形成装置は、単一の感光体を有し、感光体から記録材にトナー像を転写するものとして説明した。しかし、本発明は、画像形成装置の基本構成を何らこの態様に限定するものではない。当業者には周知のように、例えば、カラー画像形成装置として、それぞれが感光体を有する画像形成部を複数有する画像形成装置がある。このような画像形成装置としては、各画像形成部で感光体に形成したトナー像を、中間転写体に順次に一次転写した後に記録材に一括して二次転写する二次転写方式、又は記録材担持体に担持された記録材に直接順次に転写する直接転写方式が知られている。本発明は、これらいずれの構成の画像形成装置にも等しく適用できるものである。
【符号の説明】
【0168】
1 感光体
2 帯電装置
3 帯電ローラ
4 帯電ベルト
5 第1の支持ローラ
6 第2の支持ローラ
7 対向ローラ
Pa 第1の通電部位
Pb 第2の通電部位
Pc 第3の通電部位
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式の画像形成装置における電子写真感光体(感光体)の帯電方式として、コロナ帯電方式よりも放電時のオゾンの発生が少ない帯電ローラ方式が広く利用されている。帯電ローラ方式では、一般に、ローラ状の帯電部材である帯電ローラを被帯電体である感光体の表面に接触させて、この帯電ローラに電圧(帯電電圧)を印加することで、帯電ローラと感光体との間の微小な空隙で発生する放電により感光体を帯電させる。
【0003】
尚、上記帯電ローラなどの帯電部材は、被帯電体である感光体の表面に必ずしも接触している必要はない。帯電部材と感光体との間に、ギャップ間電圧と補正パッシェンカーブで決まる放電可能領域さえ確実に保証されれば、例えば数10μmの空隙(間隙)を有して非接触に近接配置されていてもよい。ここでは、帯電部材を被帯電体に接触又は近接させて、微小な空隙で発生する放電により被帯電体を帯電させる方式を接触又は近接帯電方式又は単に接触帯電方式と呼ぶ。
【0004】
帯電ローラ方式は、感光体の帯電に際して印加する電圧が比較的低くてよいので経済的であるという利点を有している。又、帯電ローラ方式は、外径の小さなローラで帯電動作ができるため、高速化する際に、コロナ帯電装置と比べて帯電装置の小型化に適している利点がある。一般的には、帯電ローラの芯金に帯電電圧を印加し、帯電ローラの抵抗層の表面と感光体との間で放電を行うことで感光体を帯電させる。
【0005】
例えば帯電電圧を負極性とした場合、感光体の帯電に必要な帯電電流は、感光体から帯電ローラの芯金へと一方向に流れる。感光体の帯電に寄与する電流(帯電電流)は、DC電流成分が主体である。
【0006】
そのため、帯電電流の方向が常に同じ一方向の場合、帯電ローラの抵抗層に電気抵抗変動が発生する。この電気抵抗変動は、帯電電流を変動させるため、感光体の帯電電位(暗部電位)VDを変動させ、画像濃度変動の問題を発生させ易い。又、この電気抵抗変動は、帯電ローラに流れる電流値の影響が大きいことが知られている。そのため、感光体の感光層を薄くして静電容量を大きくした場合や、高速対応で大きな帯電電流を必要とする装置では、帯電ローラの抵抗層の電気抵抗変動も大きくなり易い。
【0007】
ここで、帯電ローラ方式においては、帯電電圧としてDC電圧成分(帯電DC電圧)とAC電圧成分(帯電AC電圧)とを重畳した振動電圧を用いて、帯電ローラと感光体との間で正逆両方向の放電を用い、感光体の帯電電位VDの安定化、均一化を図る方式がある。
【0008】
しかし、帯電ローラの抵抗層の電気抵抗変動に関しては、上述のように感光体の帯電時に流れるDC電流成分が支配的であるため、AC電圧成分を重畳してもこの電気抵抗変動の低減への効果は少ない。従って、帯電電圧として帯電DC電圧に帯電AC電圧を重畳しただけでは、上述のように静電容量の大きな感光体を使用する場合や高速対応のために帯電電流を大きくした場合に適応することは難しい。
【0009】
一方、帯電ローラに代えて、ベルト状の帯電部材である帯電ベルトを使用することが提案されている(特許文献1)。帯電ベルトは、一対の支持ローラに掛け渡されており、感光体と対向する支持ローラに帯電電圧を印加して、帯電ベルトを介して感光体を帯電させる。
【0010】
帯電ベルト方式は、感光体と接触する表面積を大きくできるため、帯電ローラと比較して汚れの蓄積などによる寿命を長くし易いなどの利点を有する。又、帯電部材がベルト状であることにより、帯電電流が流れる頻度を低減することができる。そのため、帯電部材の電気抵抗変動(電気抵抗上昇)の低減が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−138542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1の発明では、一方向にDC電流が流れる構成とされており、電気抵抗変動については考慮されていない。そのため、帯電ベルトの電気抵抗変動によって、帯電電流が変動することがあり、感光体の帯電電位の安定性が低下することがある。
【0013】
帯電ベルトの電気抵抗変動が生じる構成では、感光体の帯電電位を安定させるためには、定期的に帯電DC電圧を補正する制御を行う必要があり、その制御の間に画像形成が行えなくなるなどして、画像形成装置の生産性を低下させることが考えられる。
【0014】
従って、本発明の目的は、感光体の帯電動作時に帯電部材と感光体との間で流れる帯電電流の一方向性に起因したベルト状の帯電部材の電気抵抗変動を抑制することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、感光体と、少なくとも第1、第2の支持ローラに掛け渡されて回転し前記感光体を帯電させるベルト状の帯電部材と、前記ベルト状の帯電部材に接触するローラ状の対向電極と、を有し、前記第2の支持ローラに巻き付けられた位置の前記ベルト状の帯電部材が前記ローラ状の対向電極に接触して前記第2の支持ローラと前記対向電極との間で通電が可能とされた第1の通電部位と、前記第1の支持ローラに巻き付けられた位置の前記ベルト状の帯電部材が前記感光体に接触又は近接して前記第1の支持ローラと前記感光体との間で通電が可能とされた第2の通電部位と、が形成されている画像形成装置であって、前記第2の通電部位に電流を流して前記ベルト状の帯電部材により前記感光体を帯電させる際に、前記ベルト状の帯電部材の表裏方向において前記第1の通電部位に流れる電流と前記第2の通電部位に流れる電流の方向が逆方向となるように、前記第1、第2の通電部位における通電を制御する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、感光体の帯電動作時に帯電部材と感光体との間で流れる帯電電流の一方向性に起因したベルト状の帯電部材の電気抵抗変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置の模式的な断面図である。
【図2】DC放電特性の一例を示すグラフ図である。
【図3】第1、第2の通電部位における電流の方向を説明するための模式図である。
【図4】本発明の一実施例に係る概略制御ブロック図である。
【図5】V−I特性の一例を示すグラフ図である。
【図6】本発明の一実施例に係る画像形成動作のタイミングチャート図である。
【図7】本発明の他の実施例に係る画像形成装置の模式的な断面図である。
【図8】本発明の他の実施例に係る概略制御ブロック図である。
【図9】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置の模式的な断面図である。
【図10】本発明の更に他の実施例に係る概略制御ブロック図である。
【図11】帯電AC電圧のVppとVD電位の関係の一例を示すグラフ図である。
【図12】本発明の一実施例に係る制御のフローチャート図である。
【図13】本発明の他の実施例に係る制御のフローチャート図である。
【図14】本発明の更に他の実施例に係る制御のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。但し、以下の実施例に記載されている構成部品の寸法、形状、材質、その配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0019】
実施例1
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置100の概略構成を示す。本実施例では、画像形成装置100は、電子写真方式を採用したレーザービームプリンタである。
【0020】
1−1.感光体
画像形成装置100は、像担持体としての回転可能なドラム型の電子写真感光体(感光体)1を有する。
【0021】
本実施例では、感光体1は、負帯電性のアモルファスシリコン感光ドラムである。又、感光体1の外径は84mmであり、中心支軸を中心に500mm/secの周速度(プロセススピード)で図中矢印方向(時計回り)に回転駆動される。又、感光体1は、アルミニウム製シリンダ(導電性ドラム基体)1aの表面に感光層1bを備えて構成されている。この感光層1bの膜厚は、30μm程度である。
【0022】
尚、感光体1としては、OPC感光体(有機感光体)などの利用可能な任意のものを用いてもよい。
【0023】
1−2.帯電装置
画像形成装置100は、感光体1の周面を一様に帯電処理する帯電手段として、ベルト状の帯電部材を用いた帯電装置2を有する。
【0024】
帯電装置2は、ベルト状の帯電部材である帯電ベルト4を有する。帯電ベルト4は、無端状のベルトであり、複数の支持ローラ(懸架ローラ)としての第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6とに掛け渡されることにより、回転可能に支持されている。本実施例では、第1の支持ローラ5、第2の支持ローラ6は、図示しない支持部材によって回転可能に固定され、帯電ベルト4の回転動作ができる程度の張力が付与されている。ここで、支持ローラは少なくとも2つ設けられていればよいが、より多くてもよい。
【0025】
尚、帯電ベルト4は回転可能に保持されていればよく、安定して回転できる支持方法であれば他の支持方法を用いてもよい。
【0026】
本実施例では、帯電ベルト4は、導電性の弾性ゴム材料で作製されている。帯電ベルト4の厚さは、100μm〜1mm程度とされる。本実施例では、帯電ベルト4として、外径が24mmのチューブ状部材を用いた。本実施例では、第1、第2の支持ローラ5、6に張架された状態で、帯電ベルト4の周長は約75.5mmである。
【0027】
帯電ベルト4の体積抵抗率は、107〜1013Ωcm程度とされる。
【0028】
尚、帯電ベルト4は、その電気抵抗値が、感光体1を安定して帯電させることが可能な範囲に設定されていればよく、半導電性の樹脂材料や導電性の樹脂材料などを用いてもよい。
【0029】
本実施例では、第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6との間で帯電ベルト4を通して電流が殆ど流れないようにする。そのため、本実施例では、帯電ベルト4の移動方向における第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6との間の帯電ベルト4が両ローラに接触しない距離が約18mmに設定されている。これにより、第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6との間のベルトの抵抗が108〜1010Ωになるように設定されている。このように、帯電ベルト4の厚さよりも、帯電ベルト4の移動方向における上記第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6との間の帯電ベルト4が両ローラに接触しない距離の方が長い。
【0030】
本実施例では、第1の支持ローラ5は、付勢手段(加圧手段)としてのバネによって感光体1に向けて付勢され、帯電ベルト4を感光体1に押し付けている。これにより、帯電ベルト4は、感光体1の回転に従って、図中矢印方向(反時計回り)に従動回転する。そして、感光体1の回転方向(表面の移動方向)において帯電ベルト4と感光体1との接触部(帯電ニップ部)の上流側及び下流側に形成される帯電ベルト4と感光体1との微小な空隙(ギャップ)における放電により、感光体1が帯電処理される。
【0031】
尚、帯電ベルト4は、感光体1に接触させて従動回転させることに限定されるものではない。例えば、第2の支持ローラ6を駆動手段としてのモータにより駆動することにより帯電ベルト4を回転駆動してもよい。又、第1の支持ローラ5と感光体1とが対向する位置において帯電ベルト4と感光体1との間に微小な空隙を設け、上述のように第2の支持ローラ6により帯電ベルト4を回転駆動すると共に、この微小な空隙における放電により感光体1を帯電処理してもよい。
【0032】
本実施例では、第1の支持ローラ5としては、外径14mm、厚さ1.0mmの中空の導電性の金属ローラを用いている。第1の支持ローラ5は、帯電電圧印加手段としての帯電電源(高圧電源)S2に接続されている。これにより、帯電ベルト4を介して感光体1を帯電処理するために必要な所定のDC電圧を、第1の支持ローラ5に印加可能である。
【0033】
第1の支持ローラ5に印加されるDC電圧は、感光体1の静電容量などから決定される、パッシェン則に従うDC放電開始電圧Vth以上の電圧である。図2に示すように、目標とする帯電電位VDに応じたDC電圧が印加される。
【0034】
又、本実施例では、第2の支持ローラ6としては、外径10mm、厚さ1.0mmの中空の導電性の金属ローラを用いている。第2の支持ローラ6は、電気回路的に画像形成装置100の装置本体のアースに接続され、電気的に接地されている。
【0035】
そして、本実施例では、帯電装置2は、帯電ベルト4を挟んで第2の支持ローラ6と対向する位置に、ローラ状の対向電極である対向ローラ7が配置されている。本実施例では、対向ローラ7は、付勢手段(加圧手段)としてのバネによって第2の支持ローラ6に向けて付勢され、帯電ベルト4に押し付けられている。これにより、対向ローラ7は、帯電ベルト4の回転に従って従動回転する。
【0036】
本実施例では、対向ローラ7としては、外径10mm、厚さ1.0mmの中空の導電性の金属ローラを用いている。対向ローラ7には、偏り除去電圧印加手段としての偏り除去電源(高圧電源)S1が接続されている。これにより、後述するように帯電ベルト4の電気抵抗の偏りを低減するために必要な所定のDC電圧を、対向ローラ7に印加可能である。
【0037】
1−3.露光装置
画像形成装置100は、帯電処理された感光体1の周面に静電潜像(静電像)を形成する露光手段(情報書き込み手段)としての露光装置13を有する。本実施例では、露光装置13は、半導体レーザーを使用したレーザービームスキャナである。
【0038】
露光装置13は、図示しない画像読み取り装置などのホスト装置から画像形成装置100に送られた画像信号に対応して変調されたレーザー光を出力して、回転する感光体1の一様に帯電処理された周面を、露光位置において走査露光する。このレーザー光が照射された部分の電位の絶対値が低下することで、回転する感光体1の表面に、画像情報に対応した静電潜像が順次に形成されていく。
【0039】
尚、本実施例では、イメージ露光と反転現像の組み合わせにより、画像を形成する。即ち、一様に帯電された感光体1上のイメージ部(画像部)を露光装置13により露光する。そして、この露光により電位の絶対値が低下した露光部に、後述する現像装置11によって感光体1の帯電極性(本実施例では負極性)と同極性に帯電したトナーを付着させる。
【0040】
1−4.現像装置
画像形成装置100は、感光体1上の静電潜像に現像剤(トナー)を供給し静電潜像を可視化する現像手段としての現像装置11を有する。本実施例では、現像装置11は、現像剤としてトナー(非磁性トナー粒子)とキャリア(磁性キャリア粒子)とを備えた2成分現像剤を用いる2成分現像方式を採用している。
【0041】
現像装置11内に収容された現像剤中のトナーは、キャリアとの摩擦により所定の極性(本実施例では負極性)に帯電する。トナーが付着したキャリアは、現像剤担持体としての現像スリーブ11aに担持されて、感光体1との対向部である現像位置へと搬送される。そして、感光体1の周面に形成された静電潜像のイメージ部分に現像剤中のトナーが転移することで、静電潜像はトナー像として現像される。現像スリーブ11aは、その外周面の一部を現像装置11の外部に露呈させて、現像装置11内に回転可能に配設されている。現像スリ−ブ11aに担持される、現像装置11内に収容された2成分現像剤の量は、図示しない規制ブレードによって規制される。これにより、現像スリ−ブ11a上に所定の層厚の現像剤層が形成される。又、現像スリーブ11aには、図示しない現像電圧印加手段としての現像電源(高圧電源)より、所定の現像電圧(現像バイアス)が印加される。これにより、現像スリーブ11aと感光体1との間に形成される電界の作用で、感光体1上に形成された静電潜像がトナー像として現像される。
【0042】
尚、現像方式は2成分現像方式に限定されるものではなく、現像剤としてキャリアを含まない1成分現像剤を用いる1成分現像方式など、他の利用可能な現像方式を任意に用いることができる。又、本実施例では、トナーの正規の帯電極性(現像装置が静電潜像を現像する際に意図されているトナーの帯電極性)は負極性であるが、トナーの正規の帯電極性は負帯電極性に限定されるものではなく、正極性であってもよい。
【0043】
1−5.転写装置
画像形成装置100は、感光体1上に形成されたトナー像を、被転写体としての記録材12に転写する転写手段として、ローラ状の転写部材である転写ローラ16を有する。転写ローラ16は、感光体1に向けて押圧されており、感光体1と転写ローラ16とが接触する転写部Nを形成している。
【0044】
感光体1上に形成されたトナー像は、転写部Nに搬送される。このとき、転写ローラ16には、図示しない転写電圧印加手段としての転写電源(高圧電源)より、トナーの帯電極性とは逆極性の転写電圧(転写バイアス)が印加される。これにより、転写ローラ16と感光体1との間に形成される電界の作用で、感光体1上のトナー像は、転写部Nにおいて感光体1と転写ローラ16とに挟持されて搬送される記録材12上へ静電的に転写される。
【0045】
1−6.定着装置
画像形成装置100は、記録材12に転写された未定着のトナー像を転写材12に定着させる定着手段として定着装置17を有する。
【0046】
転写部Nにおいてトナー像が転写された記録材12は、定着装置17へ搬送されて、ここで所定の熱量と圧力とを付与されて、その上へのトナー像の定着処理を受ける。その後、記録材12は、印刷物として画像形成装置100の外部へと出力される。
【0047】
1−7.クリーニング手段及び光除装置
転写部Nにおいて転写されずに感光体1上に残留したトナー(転写残トナー)は、クリーニング手段としてのクリーニングブレード14により、感光体1上から除去されて図示しない回収容器に回収される。これにより、感光体1はクリーニングされる。又、クリーニングブレード14により転写残トナーが除去された後に、感光体1の周面は、除電手段としての光除電装置15により露光される。これにより、感光体1の静電潜像履歴が消去される。こうして、感光体1上の位置は、再度、帯電位置へ戻り、以上のような画像形成動作が繰り返される。
【0048】
2.帯電ベルトの電気抵抗変動の抑制
次に、DC電流成分による帯電ベルト4の電気抵抗変動の低減方法について説明する。
【0049】
2−1.概要
本実施例の画像形成装置100では、帯電ベルト4は第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6とによって回転可能に支持されている。そして、本実施例では、概略、第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6に巻き付けられたそれぞれの位置で帯電ベルト4の表裏方向(厚さ方向)で流れるDC電流の方向が逆方向となるようにする。これは、帯電ベルト4の回転駆動時に、第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6に巻き付けられたそれぞれの位置で帯電ベルト4の表裏方向(厚さ方向)で逆方向のDC電流を通電させることで、電気抵抗変動を低減するためである。
【0050】
より具体的には、本実施例では、帯電装置2は、帯電ベルト4の電気抵抗の偏りを除去するための電流が流れる第1の通電部位Paと、感光体1を帯電させるための電流が流れる第2の通電部位Pbと、を有する。以下、更に詳しく説明する。
【0051】
2−2.第1の通電部位、第2の通電部位における電流
(a)制御態様
図3は、第1の通電部位Pa、第2の通電部位Pbにおける電流の方向を示す。又、図4は、偏り除去電源S1、帯電電源S2の制御態様を示す。
【0052】
図4に示すように、画像形成装置100の動作は、画像形成装置100に設けられたコントロール部(制御部)110が統括的に制御する。本実施例との関係では、コントロール部110には、出力制御部(高圧出力制御部)200、電流検知制御部300、制御手段としてのCPU400、記憶手段としての記憶部(メモリ)などを有する。出力制御部200は、CPU400からの指示により、偏り除去電源S1、帯電電源S2の出力を制御する。電流検知制御部300は、偏り除去電源S1に接続された第1の電流検知部(電流計)A1、帯電電源S2に接続された第2の電流検知部(電流計)A2の検知結果を処理してCPU400に入力する。CPU400は、記憶部500に記憶されたプログラム、データに従って画像形成装置100の各部を制御する。又、記憶部500には、CPU400が用いるプログラムやデータが格納されている他、後述するように電流検知結果が記憶される。
【0053】
(b)第1の通電部位における電流の向き
本実施例では、帯電装置2は、帯電ベルト4の電気抵抗の偏りを除去するために第2の支持ローラ6に巻き付けられた帯電ベルト4と対向ローラ7とが接触する第1の通電部位Paを有する。
【0054】
図3(a)、図4に示すように、対向ローラ7には、偏り除去電源S1が接続されており、任意のDC電圧を対向ローラ7に印加可能である。偏り除去電源S1は、出力制御部200に接続されている。出力制御部200は、CPU400からの信号を受け取り、偏り除去電源S1から対向ローラ7に印加する電圧の出力を制御する。又、帯電電源S1と対向ローラ7との間に流れるDC電流I1は、第1の電流検知部A1で測定される。第1の電流検知部A1で測定された電流I1の電流値は、電流検知制御部300で信号変換されてCPU400に送信され、CPU400によって記憶部500に記憶される。CPU400は、詳しくは後述するように、電流I1の電流値の測定結果に基づき、偏り除去電源S1から対向ローラ7に印加する電圧を制御する。
【0055】
ここで、電流I1の方向は、図3(a)に示すように、第2の支持ローラ6から対向ローラ7に向かう方向、即ち、帯電ベルト4の内側から外側に向かう方向である。そのため、電流I1の方向は、対向ローラ7から偏り除去電源S1に向かう方向である。
【0056】
(c)帯電動作
本実施例では、帯電装置2は、帯電ベルト4を用いて感光体1を帯電させるために第1の支持ローラ5に巻き付けられた帯電ベルト4と感光体1とが接触又は近接する第2の通電部位Pbを有する。
【0057】
本実施例では、帯電電源S2から第1の支持ローラ5にDC電圧を印加することで、第1の支持ローラ5に巻き付けられた帯電ベルト4と感光体1との接触部(帯電ニップ部)の近傍の微小な空隙に発生する放電を用いて、感光体1を帯電させる。
【0058】
帯電電源S2から第1の支持ローラ5に印加するDC電圧について更に説明する。本実施例では、帯電電源S2より供給されるDC電圧を第1の支持ローラ5に印加し、図2に示すDC放電特性を用いて感光体1を帯電させる。
【0059】
感光体1の目標とする帯電電位をVDとする場合、帯電電源S2から第1の支持ローラ5に印加するDC電圧Vdc2は、次式、
Vdc2=Vth+VD
で決定される。
【0060】
ここで、上記式中のVthは、図2に示されるDC放電開始電圧である。図2に示すように、放電開始電圧Vth以上の領域では、DC電圧と感光体1の帯電電位VDとの関係は、傾きα=1である。そのため、上記式により計算されるDC電圧Vdc2を帯電電源S2から第1の支持ローラ5に印加することによって、目標とする帯電電位VDを感光体1に形成することが可能である。
【0061】
但し、より具体的には、帯電位置から現像位置まで移動するまでの間の感光体1の帯電電位の減衰を考慮して、次のようにして帯電電源S2から第1の支持ローラ5に印加する電圧を計算する。即ち、本実施例の画像形成装置100では、放電開始電圧Vthは−480V、現像位置における目標帯電電位VD(目標VD)は−500Vである。そして、帯電位置から現像位置までの帯電電位VDの減衰量(暗減衰V)は100Vである。従って、この帯電電位VDの減衰量を考慮したDC電圧を帯電電源S2から第1の支持ローラ5に印加する。本実施例では、帯電位置における感光体1の帯電電位VDは、次式、
VD=目標VD+暗減衰V
となる。従って、本実施例では、
Vdc2=−480V−500V−100V
=−1080V
となる。このDC電圧が、帯電電源S2より第1の支持ローラ5へと供給される。
【0062】
(d)第2の通電部位における電流の向き及び電流値
図3(b)、図4に示すように、帯電電源S2と第1の支持ローラ5との間に流れるDC電流I2は、第2の電流検知部A2で測定される。第2の電検知部A2で測定された電流I2の電流値は、電流検知制御部300で信号変換されてCPU400に送信され、CPU400によって記憶部500に記憶される。この電流I2の電流値は、詳しくは後述するように、偏り除去電源S1から対向ローラ7に印加する電圧を制御するのに用いられる。
【0063】
ここで、本実施例の画像形成装置100では、感光体1の帯電極性は負極性であり、第1の支持ローラ5には、帯電電源S2から負極性のDC電圧が印加される。従って、第2の通電部位Pbにおいて帯電ベルト4に流れる電流I2の方向は、図3(b)に示すように、感光体1から第1の支持ローラ5に向かう方向、即ち、帯電ベルト4の外側から内側に向かう方向である。そのため、電流I2の方向は、第1の支持ローラ5から帯電電源S2に向かう方向である。
【0064】
本実施例の画像形成装置100では、現像位置における目標帯電電位VDである−500Vを得るために、第1の支持ローラ5に−1080VのDC電圧Vdc2を印加する場合、500μA程度の電流I2が、感光体1側より帯電ベルト4に流れる。
【0065】
(e)第1の通電部位Paと第2の通電部位Pbで流れる電流の関係
次に、第1の通電部位Paと第2の通電部位Pbでそれぞれ流れる、電流I1と電流I2の関係について説明する。
【0066】
本実施例の画像形成装置100では、第2の通電部位Pbで流れた電流I2の電流値と略同一のDC電流を、第1の通電部位Paにおいて、第2の通電部位Pbで流れたDC電流とは帯電ベルト4の表裏方向(厚さ方向)において逆方向に通電させる。上述のように、本実施例では、第2の通電部位Pbでは、帯電ベルト4の外側(感光体1側)から内側(第1の支持ローラ5側)に電流I2が流れる。従って、第1の通電部位Paでは、帯電ベルト4の内側(第2の支持ローラ6側)から外側(対向ローラ7側)に電流I1を流すようにして、この電流I1の電流値は、電流I2の電流値に可及的に(十分に)近付ける。
【0067】
より具体的には、本実施例では、第2の通電部位Pbで帯電ベルト4に流れる電流I2が、第2の電流検知部A2で測定される。その後、第1の通電部位Paで帯電ベルト4に流れる電流I1の電流値が上記測定された電流I2の電流値と略同一となるように、第1の電流検知部A1によって電流I1の電流値を測定しながら、偏り除去電源S1から第2の支持ローラ6に印加する電圧を制御する。
【0068】
本実施例では、第1の通電部位Paにおける、印加するDC電圧Vdc1と電流I1の電流値との関係は、図5のI−V特性で表される。例えば、500μA(絶対値)の電流I2と同等の電流を流すためには、160V(絶対値)程度のDC電圧Vdc1を、偏り除去電源S1から第2の支持ローラ6に印加する。
【0069】
以上のような制御により、帯電ベルト4に流れる電流の向きを、第1の通電部位Paと第2の通電部位Paとで逆方向とし、又その電流の絶対値を略同一にすることができる。
【0070】
2−3.制御フロー
次に、図12のフローチャートを参照して、本実施例の制御フローについて説明する。
【0071】
尚、本実施例では、上述のような第1の通電部位Paにおいて流れる電流を調整する調整制御を、非画像形成時として、画像形成信号が画像形成装置100に入力されてから実際に画像形成を開始するまでの間の準備動作時である前回転動作時に行う。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、非画像形成時としては、例えば、前回転動作時の他、次のものが挙げられる。画像形成装置100の主電源の投入後の準備動作時である前多回転動作時、画像形成終了後の整理(準備)動作時である後回転動作時、或いは連続画像形成時の一の記録材とその次の記録材との間に相当する紙間時である。これらのいずれのタイミングで上記調整制御を行ってもよい。
【0072】
本実施例では、画像形成信号の入力に伴い、制御手段としてのCPU400は、画像形成装置100を、以下の手順で制御する。
【0073】
先ず、S101において、CPU400は、画像形成信号が入力されると、感光体1の回転駆動を開始させると共に、光除電装置15による感光体1の露光を開始させる。
【0074】
次に、S102において、CPU400は、感光体1が定常回転に到達したことを検知したタイミングで、帯電電源S2から、現像位置における目標帯電電位VDを形成するためのDC電圧Vdc2を出力させる。ここで、例えば、Vdc2=−1080Vである。又、CPU400は、帯電電源S2からの電圧の出力を開始させた後、第2の電流検知部A2による電流I2の測定を開始させ、測定値を記憶部500に記憶させる。
【0075】
次に、S103において、CPU400は、偏り除去電圧電源S1から帯電ベルト4の電気抵抗の偏りを除去するためのDC電圧Vdc1を出力させる。又、CPU400は、偏り除去電源S1からの電圧の出力を開始させた後、第1の電流検知部A1による電流I1の測定を開始させ、測定値を記憶部500に記憶させる。
【0076】
その後、S104において、CPU400は、第1の電流検知部A1と第2の電流検知部A2で検知した電流I1と電流I2との電流値の差分の絶対値(ABS(I1−I2))が10μA以下になっているか否かを判定する。
【0077】
S104において条件を満たした場合、S105において、CPU400は、露光装置13を制御して、画像形成を開始する。その後、CPU400は、S106において画像形成終了命令を出すまで、画像形成動作を継続させる。そして、所定の枚数の画像形成を実施して画像形成終了命令を出した後(S106)、S107において、CPU400は、帯電電圧などの高圧出力、光除電装置15、感光体1の回転駆動を順次に停止させ、一連の画像形成動作を終了する。
【0078】
S104において条件を満たさなかった場合、S108において、CPU400は、電流I1と電流I2との電流値の大小関係を判定する。
【0079】
S108においてI1<I2(或いは|I1|>|I2|)と判断した場合、S109において、CPU400は、偏り除去電源S1が出力するDC電圧Vdc1の絶対値を小さくする方向に補正し、電流I1の絶対値を小さくするように補正する。本実施例では、Vdc1の極性は負であるため、CPU400は、Vdc1=Vdc1+ΔVの計算により、Vdc1は、その絶対値が小さくなる方向に補正される。
【0080】
一方、S108において、I1>I2(或いは|I1|<|I2|)と判断した場合、S110において、CPU400は、S109の場合とは逆に、Vdc1の絶対値を大きくする方向に補正し、電流I1の絶対値を大きくするように補正する。この場合、CPU400は、Vdc1=Vdc1−ΔVの計算により、Vdc1を補正する。
【0081】
そして、S111において、CPU400は、S109又はS110で更新されたVdc1を出力させる。
【0082】
その後、処理はS104に戻り、S104の条件が満たされるまで、S108〜S111の一連の動作フローが繰り返される。
【0083】
ここで、S109、S110における補正量ΔVについて説明する。
【0084】
本実施例では、1回の補正量ΔVは1Vと設定している。この1回の補正量は、図5に示す帯電ベルト4のV−I特性を考慮して決定している。即ち、図5に示すV−I特性の傾きは、ΔI/ΔV=1300μA/200V程度である。従って、ΔVを1Vに設定することで、1回の補正で約6.5μAの電流調整が可能である。
【0085】
尚、ΔVの値は、例えば帯電ベルト4の電気抵抗値などにより変化するので、I−V特性を考慮して、ΔVの値を適宜設定することができる。
【0086】
次に、S104における電流差の判定基準の決定方法について説明する。
【0087】
本実施例では、電流I1と電流I2との電流値の差分の絶対値が10μA以下になるようにする。これは、帯電ベルト4の電気抵抗の変動に起因する感光体1の帯電電位の変動を十分に抑制するためである。本実施例では、第2の通電部位Pbで流れる電流I2が500μA(絶対値)程度である。従って、第1の通電部位Paで流れる電流I1が、500μA(絶対値)に対して2%以下となるように設定している。このような電流差に設定することで、第1の通電部位Paを設けて帯電ベルト4の電気抵抗の偏りを除去しない場合と比較して、約2倍以上、電気抵抗の変動による帯電ベルト4の寿命を確保することが可能となることが分かった。例えば、帯電ベルト4の電気抵抗の変動に起因する帯電ベルト4の使用時間(寿命)が100時間以上(約500K枚/A4サイズ紙)という、高い耐久性を確保することが可能となる。
【0088】
ここで、電流I1と電流I2の電流値、及びその電流差は、例えば感光体1の種類や回転周速、使用する帯電ベルト4の電気抵抗値などに応じて、適宜決定することができる。その際、電流I1と電流I2との電流値の差分の設定、通電時間による電気抵抗の変動量、及び感光体1の帯電電位の安定性などを考慮して、適宜決定することができる。
【0089】
尚、本実施例では、偏り除去電源S1の出力の制御方法として定電圧方式を用いている。しかし、偏り除去電源S1の出力を定電流制御してもよい。その場合、I1≒I2に制御すればよい。当然、上記同様、所定の電流差の範囲内となるようにしてもよい。但し、定電流制御を用いる場合は、偏り除去電源S1、帯電電源S2の電圧負荷に上限リミッタを設け、感光体1へのリークなどが発生しないようにすることが望ましい。
【0090】
以上の制御フローにより、第2の通電部位Pbにおいて帯電ベルト4の外側から内側に流れた電流I2に対し、第1の通電部位Paにおいて、絶対値が略同一で、向きが逆方向の電流I1を通電させることが可能となる。
【0091】
2−4.制御タイミング
次に、図6のタイミングチャートを参照して、画像形成時の各部の制御タイミングについて説明する。
【0092】
図6に示すように、感光体1の回転動作が安定した後、タイミングt1(約500ms後)に、帯電電源S2から第1の支持ローラ5に対し、現像位置における目標帯電電位VDである−500Vを得るための、−1080VのDC電圧Vdc2を出力する。これとほぼ同時に、第2の電流検知部A2による電流I2の測定を開始する。
【0093】
その後、タイミングt2において、偏り除去電源S1から、対向ローラ7に対し、帯電ベルト4の電気抵抗の偏りを除去するためのDC電圧Vdc1を出力する。これとほぼ同時に、第1の電流検知部A1による電流I1の測定を開始する。
【0094】
その後、電流I1と電流I2の電流値の検知結果に基づいて、第1の通電部位Paで第2の通電部位Pbとは絶対値が略同一で向きが逆方向の電流が流れるように、図12に示すフローチャートに従ってVdc1が補正される。
【0095】
その後、画像形成が終了したタイミングt3において、高圧電源、光除電装置15及び電流検知部A1、A2などが同時にoffされ、最後に感光体1の駆動が停止されて、一連の画像形成動作が終了する。
【0096】
このように、本実施例の画像形成装置100は、感光体1と、少なくとも第1、第2の支持ローラ5、6に掛け渡されて回転し感光体1を帯電させるベルト状の帯電部材4と、ベルト状の帯電部材4に接触するローラ状の対向電極7と、を有する。又、この画像形成装置100では、第2の支持ローラ6に巻き付けられた位置のベルト状の帯電部材4がローラ状の対向電極7に接触して第2の支持ローラ6と対向電極7との間で通電が可能とされた第1の通電部位Paが形成されている。又、この画像形成装置100では、第1の支持ローラ5に巻き付けられた位置のベルト状の帯電部材4が感光体1に接触又は近接して第1の支持ローラ5と感光体1との間で通電が可能とされた第2の通電部位Pbが形成されている。そして、画像形成装置100は、第2の通電部位Pbに電流を流してベルト状の帯電部材により感光体1を帯電させる際に、次のような制御を行う制御手段400を有する。即ち、制御手段400は、ベルト状の帯電部材4の表裏方向において第1の通電部位Paに流れる電流と第2の通電部位Pbに流れる電流の方向が逆方向となるように、第1、第2の通電部位Pa、Pbにおける通電を制御する。
【0097】
特に、本実施例では、画像形成装置100は、ローラ状の対向電極7に電圧を印加する第1の電圧印加手段S1と、第1の支持ローラ5に電圧を印加する第2の電圧印加手段S2と、を有する。又、本実施例では、画像形成装置100は、第1の電圧印加手段S1に流れる電流を検知する第1の電流検知手段A1と、第2の電圧印加手段S2に流れる電流を検知する第2の電流検知手段A2と、を有する。そして、制御手段400は、本実施例では、第1、第2の電流検知手段A1、A2によって検知された電流値の差分が所定値以下となるように第1、第2の電圧印加手段S1、S2の少なくとも一方の出力を制御して、第1、第2の通電部位における通電を制御する。特に、本実施例では、第1の電圧印加手段S1の出力を制御する例について説明したが、例えば第2の電圧印加手段S2の出力が変更されるような場合には、第1、第2の電圧印加手段S1、S2の出力を制御することができる。
【0098】
以上、本実施例によれば、帯電ベルト4の表裏に対して、第1の通電部位Paと第2の通電部位Pbとで逆方向に電流を流すことで、帯電ベルト4に流れる一方向のDC電流に起因する帯電ベルト4の電気抵抗変動を低減することが可能となる。
【0099】
尚、画像形成中に、第1の通電部位Pa及び第2の通電部位Pbで流れる電流を測定し、適宜、偏り除去電源S1から供給されるDC電圧の補正を行うことも可能である。
【0100】
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。図7は、本実施例に係る画像形成装置100の概略構成を示す。本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0101】
実施例1では、帯電部材として帯電ベルト4のみを用いた。しかし、DC帯電を用いた接触又は近接帯電方式では、画像形成装置100内に浮遊しているトナーやトナーの外添材などが付着するなどして、帯電部材たる帯電ベルト4の汚れが発生し易い。又、感光体に接触するクリーニング手段の感光体の長手方向における接触圧力分布のムラなどにより、感光体の回転方向又は長手方向において削れムラなどが発生することがある。この場合、感光体の感光層の膜厚ムラが発生するため、感光体の表面電位ムラが発生することがある。
【0102】
そこで、本実施例では、図7に示すように、帯電装置2は、第1の帯電部材としての帯電ベルト4に加えて、第2の帯電部材としての帯電ローラ3を有する構成とする。そして、帯電ベルト4を用いて感光体1の帯電処理を行った後、感光体1の回転方向下流に配置した帯電ローラ3を用いて更に感光体1の帯電処理を行い、感光体の表面電位ムラを低減する。即ち、複数回の放電部位を設けることで、より均一に感光体1を帯電させる。
【0103】
1.帯電装置の構成
本実施例では、帯電装置2は、第1の帯電部材として、実施例1と同様の帯電ベルト4を有する。帯電ベルト4は、第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6とによって支持されている。又、本実施例では、帯電装置2は、第2の帯電部材としての帯電ローラ3を有する。帯電ローラ3は、感光体1の回転方向(表面の移動方向)において帯電ベルト4の下流側に配置されている。
【0104】
本実施例では、帯電ローラ3は、金属製の芯金部3bの表面に、弾性体で形成された単層の抵抗層3aを備えて構成されている。本実施例では、帯電ローラ3の外径は14mm、芯金3bの直径は6mmである。又、帯電ローラ3の抵抗層3aの体積抵抗率は、104〜107Ωcm程度とされる。
【0105】
本実施例では、帯電ローラ3は、付勢手段(加圧手段)としてのバネによって感光体1に向けて付勢され、感光体1に押し付けられている。これにより、帯電ローラ3は、感光体1の表面に安定して接触している。尚、バネ加圧以外の方法を用いて帯電ローラ3を感光体1に押圧させてもよい。帯電ローラ3は、感光体1の回転に従って従動回転する。
【0106】
尚、帯電ローラ3の構成及びその電気抵抗値は、特に限定されるものではなく、一般的に用いられる帯電ローラを適宜用いることができる。
【0107】
又、帯電ローラ3は、感光体1に接触させて従動回転させる構成に限定されるものではない。例えば、駆動手段としてのモータにより駆動することにより帯電ローラ3を回転駆動してもよい。又、帯電ローラ3と感光体1との間に微小な空隙を設け、上述のように帯電ローラ3を回転駆動すると共に、この微小な空隙における放電により感光体1を帯電処理してもよい。
【0108】
本実施例では、帯電ローラ3への電圧印加は、帯電ローラ3と接触するように対向して取り付けられている金属製の対向ローラ7により行う。本実施例では、帯電ローラ3の回転方向において、対向ローラ7と帯電ローラ3との接触部は、帯電ローラ3と感光体1との接触部から約180度の位置にある。帯電ローラ3の芯金3bは導電性の金属であるが、高圧電源は接続されていない。
【0109】
対向ローラ7は、実施例1のものと同様の構成とされている。本実施例では、対向ローラ7は、実施例1と同様に第2の支持ローラ6と対向する位置で帯電ベルト4と接触することに加えて、帯電ローラ3に接触する。対向ローラ7には、帯電電圧印加手段としての第2の帯電電源(高圧電源)S3が接続されている。これにより感光体1を帯電処理するために必要な所定のDC電圧を、対向ローラ7に印加可能である。このように、本実施例では、対向ローラ7は、帯電ベルト4と帯電ローラ3の両方に接触している。
【0110】
本実施例では、第2の帯電電源S3から帯電ローラ3にDC電圧を印加することで、帯電ローラ3と感光体1との接触部(第2の帯電ニップ部)の近傍の微小な空隙に発生する放電を用いて、感光体1を帯電させる。
【0111】
上述のような構成により、帯電ローラ3は、表面から給電される。そのため、後述するように、帯電ローラ3の抵抗層3aの表面と芯金3bとの間で、帯電ローラ3の回転時に、電流方向が180°逆転する。従って、帯電ローラ3の電気抵抗変動を低減させることが可能である。
【0112】
又、本実施例では、第2の支持ローラ6には、偏り除去電圧印加手段としての偏り除去電源(高圧電源)S4が接続されている。これにより、後述するように帯電ベルト4の電気抵抗の偏りを低減するために必要な所定のDC電圧を、第2の支持ローラ6に印加可能である。
【0113】
本実施例の帯電装置2は、実施例1と同様に、帯電ベルト4の電気抵抗の偏りを除去するための電流が流れる第1の通電部位Paと、帯電ベルト4が感光体1を帯電させるための電流が流れる第2の通電部位Pbと、を有する。又、本実施例では、帯電装置2は、帯電ローラ3が感光体1を帯電させるための電流が流れる第3の通電部位Pcを有する。更に、本実施例では、帯電装置2は、対向ローラ7から帯電ローラ6に給電するための電流が流れる第4の通電部位Pdも有する。
【0114】
更に説明すると、本実施例では、帯電装置2は、帯電ベルト4の電気抵抗の偏りを除去するために第2の支持ローラ6に巻き付けられた帯電ベルト4と対向ローラ7とが接触する第1の通電部位Paを有する。第1の通電部位Paにおいて帯電ベルト4に流れる電流の方向は、第2の支持ローラ6から対向ローラ7に向かう方向、即ち、帯電ベルト4の内側から外側に向かう方向である。
【0115】
又、本実施例では、帯電装置2は、帯電ベルト4を用いて感光体1を帯電させるために第1の支持ローラ5に巻き付けられた帯電ベルト4と感光体1とが接触又は近接する第2の通電部位Pbを有する。第2の通電部位Pbにおいて帯電ベルト4に流れる電流の方向は、感光体1から第1の支持ローラ5に向かう方向、即ち、帯電ベルト4の外側から内側に向かう方向である。
【0116】
又、本実施例では、帯電装置2は、帯電ローラ3を用いて感光体1を帯電させるために帯電ローラ3と感光体1とが接触又は近接する第3の通電部位Pcを有する。第3の通電部位Pcにおいて帯電ローラ3に流れる電流の方向は、感光体1から帯電ローラ3に向かう方向、即ち、帯電ローラ3の外側から内側に向かう方向である。
【0117】
更に、本実施例では、帯電装置2は、対向ローラ7と帯電ローラ3とが接触する第4の通電部位Pdを有する。第4の通電部位Pdにおいて帯電ローラ3に流れる電流の方向は、帯電ローラ3から対向ローラ7に向かう方向、即ち、帯電ローラ3の内側から外側に向かう方向である。
【0118】
図8は、第1の帯電電源S2、第2の帯電電源S3、偏り除去電源S4の制御態様を示す。
【0119】
図8に示すように、第1の支持ローラ5、対向ローラ7、第2の支持ローラ6には、それぞれ第1の帯電電源S2、第2の帯電電源S3、偏り除去電源S4が接続されている。第1の帯電電源S2、第2の帯電電源S3、偏り除去電源S4は、それぞれ任意のDC電圧を第1の支持ローラ5、対向ローラ7、第2の支持ローラ6に印加可能である。各高圧電源S2、S3、S4は、出力制御部200に接続されている。出力制御部200は、CPU400からの信号を受け取り、各高圧電源S2、S3、S4の出力を制御する。又、第1の帯電電源S2と第1の支持ローラ5との間に流れるDC電流I2は、第2の電流検知部A2で測定される。又、第2の帯電電源S3と対向ローラ7との間に流れるDC電流I3は、第3の電流検知部A3で測定される。又、偏り除去電源S4と第2の支持ローラ6との間に流れるDC電流I4は、第4の電流検知部A4で測定される。各電流検知部A2、A3、A4で測定された電流I2、I3、I4の電流値は、電流検知制御部300で信号変換されてCPU400に送信され、CPU400によって記憶部500に記憶される。
【0120】
2.制御フロー
次に、図13のフローチャートを参照して、本実施例の制御フローについて説明する。
【0121】
尚、実施例1と同様、本実施例では、第1の通電部位Paに流れる電流の調整制御を、非画像形成時として、画像形成信号が画像形成装置100に入力されてから実際に画像形成を開始するまでの間の準備動作時である前回転動作時に行う。但し、実施例1にて説明したように、本発明はこれに限定されるものではない。
【0122】
本実施例では、画像形成信号の入力に伴い、制御手段としてのCPU400は、画像形成装置100を、以下の手順で制御する。
【0123】
先ず、S201において、CPU400は、画像形成信号が入力されると、感光体1の回転駆動を開始させると共に、光除電装置15による感光体1の露光を開始させる。
【0124】
次に、S202において、CPU400は、感光体1が定常回転に到達したことを検知したタイミングで、第1の帯電電源S2から、現像位置における目標帯電電位VDを形成するためのDC電圧Vdc2(本実施例では、−1300V)を出力させる。又、CPU400は、第1の帯電電源S2からの電圧の出力を開始させた後、第2の電流検知部A2による電流I2の測定を開始させ、測定値を記憶部500に記憶させる。
【0125】
次に、S203において、CPU400は、次のタイミングで、第2の帯電電源S3、偏り除去電源S4から、DC電圧Vdc3、Vdc4をそれぞれ出力させる。即ち、第1の帯電電源S2による電圧印加で帯電された感光体1の部分が、感光体1の回転によって帯電ローラ3と感光体1との接触部位に到達するタイミングである。又、CPU400は、各高圧電源S3、S4からの電圧の出力を開始させた後、第3の電流検知部A3、第4の電流検知部A4による電流I3、電流I4のそれぞれの測定を開始させ、測定値を記憶部500に記憶させる。
【0126】
ここで、本実施例では、第2の帯電電源S3が出力するDC電圧Vdc3を−780Vに設定している。即ち、本実施例では、帯電ベルト4により帯電され、帯電ローラ3と感光体1との接触部位に到達した際の、感光体1の帯電電位と略同じ電圧を印加している。又、本実施例では、偏り除去電源S4が出力するDC電圧Vdc4の初期値は−600Vに設定している。
【0127】
その後、S204において、CPU400は、第2の電流検知部A2と第4の電流検知部A4で検知した電流I2と電流I4との電流値の差分の絶対値(ABS(I4−I2))が10μA以下になっているか否かを判定する。
【0128】
S204において条件を満たした場合、S205において、CPU400は、露光装置13を制御して、画像形成を開始する。その後、CPU400は、S206において画像形成終了命令を出すまで、画像形成動作を継続させる。そして、所定の枚数の画像形成を実施して画像形成終了命令を出した後(S206)、S207において、CPU400は、帯電電圧などの高圧出力、光除電装置13、感光体1の回転駆動を順次に停止させ、一連の画像形成動作を終了する。
【0129】
S204において条件を満たさなかった場合、S208において、CPU400は、電流I2と電流I4との電流値の大小関係を判定する。
【0130】
S208においてI4<I2(或いは|I4|>|I2|)と判断した場合、S209において、CPU400は、偏り除去電源S4が出力するDC電圧Vdc4の絶対値を小さくする方向に補正し、電流I4の絶対値を小さくするように補正する。本実施例では、Vdc4の極性は負であるため、CPU400は、Vdc4=Vdc4+ΔVの計算により、Vdc4は、その絶対値が小さくなる方向に補正される。
【0131】
一方、S208において、I4>I2(或いは|I4|<|I2|)と判断した場合、S210において、CPU400は、S209の場合とは逆に、Vdc4の絶対値を大きくする方向に補正し、電流I4の絶対値を大きくするように補正する。この場合、CPU400は、Vdc4=Vdc4−ΔVの計算により、Vdc4を補正する。
【0132】
そして、S211において、CPU400は、S209又はS210で更新されたVdc4を出力させる。
【0133】
その後、処理はS204に戻り、S204の条件が満たされるまで、S208〜S211の一連の動作フローが繰り返される。
【0134】
ここで、S209、S210における1回の補正量ΔVは1Vであり、実施例1と同じ値である。
【0135】
このように、本実施例では、画像形成装置100は、第1の支持ローラ5に電圧を印加する第2の電圧印加手段S2と、ローラ状の対向電極7に電圧を印加する第3の電圧印加手段S3と、第2の支持ローラ6に電圧を印加する第4の電圧印加手段S4と、を有する。又、画像形成装置100は、感光体1を帯電させるローラ状の帯電部材であって、感光体1と接触又は近接する第3の通電部位Pcを形成すると共に、ローラ状の対向電極7が表面に接触することで、表面側から電圧が供給されるローラ状の帯電部材3を有する。又、画像形成装置は、第2の電圧印加手段S2に流れる電流を検知する第2の電流検知手段A2と、第3の電圧印加手段S3に流れる電流を検知する第3の電流検知手段A3と、第4の電圧印加手段S4に流れる電流を検知する第4の電流検知手段A4と、を有する。そして、本実施例では、制御手段400は、第2、第4の電流検知手段A2、A4によって検知された電流値の差分が所定値以下となるようにする。そのために、制御手段400は、第2、第4の電圧印加手段S2、S4の少なくとも一方の出力を制御して、第1、第2の通電部位Pa、Pbにおける通電を制御する。特に、本実施例では、第4の電圧印加手段S1の出力を制御する例について説明したが、例えば第2の電圧印加手段S2の出力が変更されるような場合には、第2、第4の電圧印加手段S2、S4の出力を制御することができる。
【0136】
以上の制御フローにより、第2の通電部位Pbにおいて帯電ベルト4の外側から内側に流れた電流I2に対し、第1の通電部位Paにおいて、絶対値が略同一で、向きが逆方向の電流I4を通電させることが可能となる。そのため、本実施例によれば、帯電ベルト4の表裏に対して、第1の通電部位Paと第2の通電部位Pbとで逆方向に電流を流すことで、帯電ベルト4に流れる一方向のDC電流に起因する帯電ベルト4の電気抵抗変動を低減することが可能となる。
【0137】
又、本実施例では、帯電ベルト4の電気抵抗の安定化に加え、帯電ローラ3を帯電ベルト4の下流に配置して複数回帯電処理を行うことで、実施例1よりも均一に感光体1を帯電させることができ、より安定した画像形成ができる。
【0138】
又、帯電ローラ3に対しては、対向ローラ7を用いてその表面より電圧を印加することで、帯電ローラ3の電気抵抗変動も抑制することができる。
【0139】
実施例3
次に、本発明の他の実施例について説明する。図9は、本実施例に係る画像形成装置100の概略構成を示す。本実施例の画像形成装置において、実施例1、2の画像形成装置のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0140】
本実施例では、実施例2の画像形成装置100に対し、帯電ローラ3に印加するDC電圧にAC電圧を重畳させる。これにより、感光体1の帯電電位の均一性を更に向上させる。又、本実施例では、対向ローラ7と第2の支持ローラ6との間でAC電流が流れないようにするために、第2の支持ローラ6に印加するDC電圧にもAC電圧を重畳させる。
【0141】
1.帯電装置の構成
本実施例では、対向ローラ7に電圧を印加する第2の帯電電圧印加手段としての第2の帯電電源S5は、DC電圧(帯電DC電圧)とAC電圧(帯電AC電圧)とを重畳した振動電圧を対向ローラ7に印加可能である。又、本実施例では、第2の支持ローラ6に電圧を印加する偏り除去電圧印加手段としての偏り除去電源S6は、DC電圧とAC電圧とを重畳した振動電圧を第2の支持ローラ6に印加可能である。
【0142】
ここで、実施例2と同様に、帯電ローラ3の芯金3bは、導電性の金属であるが、高圧電源は接続されていない。本実施例では、第2の帯電電源S5、偏り除去電源S6の出力するAC電圧のピーク間電圧Vppの設定は同じ値として、周波数fは同位相とした。このように、AC電圧のVppを同じ値として、周波数fを同位相とすることで、対向ローラ7と第2の支持ローラ6との間で帯電ベルト4を介してほぼAC電流が流れないようになっている。
【0143】
図10は、第1の帯電電源S2、第2の帯電電源S5、偏り除去電源S6の制御態様を示す。
【0144】
図10に示すように、第1の支持ローラ5、対向ローラ7、第2の支持ローラ6には、それぞれ第1の帯電電源S2、第2の帯電電源S5、偏り除去電源S6が接続されている。第1の帯電電源S2、第2の帯電電源S5、偏り除去電源S6は、それぞれ任意のDC電圧を第1の支持ローラ5、対向ローラ7、第2の支持ローラ6に印加可能である。又、本実施例では、第2の帯電電源S5、偏り除去電源S6は、上記DC電圧に所定のAC電圧を重畳させて対向ローラ7、第2の支持ローラ6に印加可能である。各高圧電源S2、S5、S6は、出力制御部200に接続されている。出力制御部200は、CPU400からの信号を受け取り、各高圧電源S2、S5、S6の出力を制御する。又、第1の帯電電源S2と第1の支持ローラ5との間に流れるDC電流I2は、第2の電流検知部A1で測定される。又、第2の帯電電源S5と対向ローラ7との間に流れるDC電流I5は、第5の電流検知部A5で測定される。又、偏り除去電源S6と第2の支持ローラ6との間に流れるDC電流I6は、第6の電流検知部A6で測定される。各電流検知部A2、A5、A6で測定された電流I2、I5、I6の電流値は、電流検知制御部300で信号変換されてCPU400に送信され、CPU400によって記憶部500に記憶される。
【0145】
ここで、本実施例における帯電ローラ3による感光体1の帯電特性について説明する。
【0146】
図11は、帯電ベルト4を用いて感光体1を帯電させない条件で、帯電ローラ3のみを用いて感光体1を帯電させた場合の感光体1の帯電電位VDを測定した結果である。又、図11は、次のようにして現像位置で測定した感光体1の帯電電位VDを測定した結果を示す。即ち、第2の帯電電源5によって、対向ローラ7に−580VのDC電圧Vdc5を印加すると共に、第2の帯電電源S5と偏り除去電源S6が印加するAC電圧のピーク間電圧Vppを可変調整して測定した結果である。この時のAC電圧の周波数fは4KHzである。
【0147】
図11より、Vpp=1000Vで、帯電電位VDが収束していることが分かる。本実施例では、帯電ローラ3に印加するAC電圧のピーク間電圧Vppを1050Vに設定した。これは、感光体1の帯電電位が収束するポイント(Vpp=1000V)に対し、帯電電位VDの安定領域に余裕を持たせるためである。
【0148】
このピーク間電圧Vppの値は、用いる感光体1の静電容量などから決定されるパッシェン側に従うDC放電開始電圧Vthの2倍以上の電圧に設定されることが望ましい。AC電圧のピーク間電圧Vppとしては、一般的なAC電圧を重畳した場合に、感光体1の帯電電位VDが安定領域となるVppを用いればよい。
【0149】
2.制御フロー
次に、図14のフローチャートを参照して、本実施例の制御フローについて説明する。
【0150】
尚、実施例1と同様、本実施例では、第1の通電部位Paに流れる電流の調整制御を、非画像形成時として、画像形成信号が画像形成装置100に入力されてから実際に画像形成を開始するまでの間の準備動作時である前回転動作時に行う。但し、実施例1にて説明したように、本発明はこれに限定されるものではない。
【0151】
本実施例では、画像形成信号の入力に伴い、制御手段としてのCPU400は、画像形成装置100を、以下の手順で制御する。
【0152】
先ず、S301において、CPU400は、画像形成信号が入力されると、感光体1の回転駆動を開始させると共に、光除電装置15による感光体1の露光を開始させる。
【0153】
次に、S302において、CPU400は、感光体1が定常回転に到達したことを検知したタイミングで、第1の帯電電源S2から現像位置における目標帯電電位VDを形成するためのDC電圧Vdc2(本実施例では、−1300V)を出力させる。又、CPU400は、第1の帯電電源S2からの電圧の出力を開始させた後、第2の電流検知部A2による電流I2の測定を開始させ、測定値を記憶部500に記憶させる。
【0154】
次に、S303において、CPU400は、次のタイミングで、第2の帯電電源S5、偏り除去電源S6から、それぞれDC電圧Vdc5、Vdc6にAC電圧を重畳させた電圧を同期させて出力させる。即ち、第2の帯電電源S2による電圧印加で帯電された感光体1の部位が、感光体1の回転によって帯電ローラ3と感光体1との接触部位に到達するタイミングである。又、CPU400は、各高圧電源S5、S6からの電圧の出力を開始させた後、第5の電流検知部A5、第6の電流検知部A6による電流I5、電流I6のそれぞれの測定を開始させ、測定値を記憶部500に記憶させる。
【0155】
ここで、本実施例では、第2の帯電電源S5が出力するDC電圧Vdc5を−780Vに設定している。即ち、本実施例では、帯電ベルト4により帯電され、帯電ローラ3と感光体1との接触部位に到達した際の、感光体1の帯電電位と略同じ電圧を印加している。又、本実施例では、偏り除去電源S6が出力するDC電圧Vdc6の初期値は−600Vに設定している。
【0156】
その後、S304において、CPU400は、第2の電流検知部A2と第5の電流検知部A5で検知した電流I2と電流I4との電流値の差分の絶対値(ABS(I6−I2))が10μA以下になっているか否かを判定する。
【0157】
S304において条件を満たした場合、S305において、CPU400は、露光装置15を制御して、画像形成を開始する。その後、CPU400は、S306において画像形成終了命令を出すまで、画像形成動作を継続させる。そして、所定の枚数の画像形成を実施して画像形成終了命令を出した後(S306)、S307において、CPU400は、帯電電圧などの高圧出力、光除電装置13、感光体1の回転駆動を順次に停止させ、一連の画像形成動作を終了する。
【0158】
S304において条件を満たさなかった場合、S308において、CPU400は、電流I2と電流I6との電流値の大小関係を判定する。
【0159】
S308においてI6<I2(或いは|I6|>|I2|)と判断した場合、S309において、CPU400は、偏り除去電源S6が出力するDC電圧Vdc6の絶対値を小さくする方向に補正し、電流I6の絶対値を小さくするように補正する。本実施例では、Vdc6の極性は負であるため、CPU400は、Vdc6=Vdc6+ΔVの計算により、Vdc6は、その絶対値が小さくなる方向に補正される。
【0160】
一方、S308において、I6>I2(或いは|I6|<|I2|)と判断した場合、S310において、CPU400は、S309の場合とは逆に、Vdc6の絶対値を大きくする方向に補正し、電流I6の絶対値を大きくするように補正する。この場合、CPU400は、Vdc6=Vdc6−ΔVの計算により、Vdc6を補正する。
【0161】
そして、S311において、CPU400は、S309又はS310で更新されたVdc6を出力させる。
【0162】
その後、処理はS304に戻り、S304の条件が満たされるまで、S308〜S311の一連の動作フローが繰り返される。
【0163】
ここで、S309、S310における1回の補正量ΔVは1Vであり、実施例1と同じ値である。
【0164】
以上の制御フローにより、第2の通電部位Pbにおいて帯電ベルト4の外側から内側に流れた電流I2に対し、第1の通電部位Paにおいて、絶対値が略同一で、向きが逆方向の電流I4を通電させることが可能となる。そのため、本実施例によれば、帯電ベルト4の表裏に対して、第1の通電部位Paと第2の通電部位Pbとで逆方向に電流を流すことで、帯電ベルト4に流れる一方向のDC電流に起因する帯電ベルト4の電気抵抗変動を低減することが可能となる。
【0165】
又、本実施例では、帯電ローラ3を用いてAC帯電を行うことができるため、実施例2よりも更に均一に感光体1を帯電させることができ、更に安定した画像形成ができる。
【0166】
又、帯電ローラ3に対しては、対向ローラ7を用いてその表面より電圧を印加することで、帯電ローラ3の電気抵抗変動も抑制することができる。
【0167】
尚、上述の各実施例では、画像形成装置は、単一の感光体を有し、感光体から記録材にトナー像を転写するものとして説明した。しかし、本発明は、画像形成装置の基本構成を何らこの態様に限定するものではない。当業者には周知のように、例えば、カラー画像形成装置として、それぞれが感光体を有する画像形成部を複数有する画像形成装置がある。このような画像形成装置としては、各画像形成部で感光体に形成したトナー像を、中間転写体に順次に一次転写した後に記録材に一括して二次転写する二次転写方式、又は記録材担持体に担持された記録材に直接順次に転写する直接転写方式が知られている。本発明は、これらいずれの構成の画像形成装置にも等しく適用できるものである。
【符号の説明】
【0168】
1 感光体
2 帯電装置
3 帯電ローラ
4 帯電ベルト
5 第1の支持ローラ
6 第2の支持ローラ
7 対向ローラ
Pa 第1の通電部位
Pb 第2の通電部位
Pc 第3の通電部位
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
少なくとも第1、第2の支持ローラに掛け渡されて回転し前記感光体を帯電させるベルト状の帯電部材と、
前記ベルト状の帯電部材に接触するローラ状の対向電極と、
を有し、
前記第2の支持ローラに巻き付けられた位置の前記ベルト状の帯電部材が前記ローラ状の対向電極に接触して前記第2の支持ローラと前記対向電極との間で通電が可能とされた第1の通電部位と、
前記第1の支持ローラに巻き付けられた位置の前記ベルト状の帯電部材が前記感光体に接触又は近接して前記第1の支持ローラと前記感光体との間で通電が可能とされた第2の通電部位と、
が形成されている画像形成装置であって、
前記第2の通電部位に電流を流して前記ベルト状の帯電部材により前記感光体を帯電させる際に、前記ベルト状の帯電部材の表裏方向において前記第1の通電部位に流れる電流と前記第2の通電部位に流れる電流の方向が逆方向となるように、前記第1、第2の通電部位における通電を制御する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ローラ状の対向電極に電圧を印加する第1の電圧印加手段と、
前記第1の支持ローラに電圧を印加する第2の電圧印加手段と、
前記第1の電圧印加手段に流れる電流を検知する第1の電流検知手段と、
前記第2の電圧印加手段に流れる電流を検知する第2の電流検知手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記第1、第2の電流検知手段によって検知された電流値の差分が所定値以下となるように前記第1、第2の電圧印加手段の少なくとも一方の出力を制御して、前記第1、第2の通電部位における通電を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の支持ローラに電圧を印加する第2の電圧印加手段と、
前記ローラ状の対向電極に電圧を印加する第3の電圧印加手段と、
前記第2の支持ローラに電圧を印加する第4の電圧印加手段と、
前記感光体を帯電させるローラ状の帯電部材であって、前記感光体と接触又は近接する第3の通電部位を形成すると共に、前記ローラ状の対向電極が表面に接触することで、表面側から電圧が供給されるローラ状の帯電部材と、
前記第2の電圧印加手段に流れる電流を検知する第2の電流検知手段と、
前記第3の電圧印加手段に流れる電流を検知する第3の電流検知手段と、
前記第4の電圧印加手段に流れる電流を検知する第4の電流検知手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記第2、第4の電流検知手段によって検知された電流値の差分が所定値以下となるように、前記第2、第4の電圧印加手段の少なくとも一方の出力を制御して、前記第1、第2の通電部位における通電を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項1】
感光体と、
少なくとも第1、第2の支持ローラに掛け渡されて回転し前記感光体を帯電させるベルト状の帯電部材と、
前記ベルト状の帯電部材に接触するローラ状の対向電極と、
を有し、
前記第2の支持ローラに巻き付けられた位置の前記ベルト状の帯電部材が前記ローラ状の対向電極に接触して前記第2の支持ローラと前記対向電極との間で通電が可能とされた第1の通電部位と、
前記第1の支持ローラに巻き付けられた位置の前記ベルト状の帯電部材が前記感光体に接触又は近接して前記第1の支持ローラと前記感光体との間で通電が可能とされた第2の通電部位と、
が形成されている画像形成装置であって、
前記第2の通電部位に電流を流して前記ベルト状の帯電部材により前記感光体を帯電させる際に、前記ベルト状の帯電部材の表裏方向において前記第1の通電部位に流れる電流と前記第2の通電部位に流れる電流の方向が逆方向となるように、前記第1、第2の通電部位における通電を制御する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ローラ状の対向電極に電圧を印加する第1の電圧印加手段と、
前記第1の支持ローラに電圧を印加する第2の電圧印加手段と、
前記第1の電圧印加手段に流れる電流を検知する第1の電流検知手段と、
前記第2の電圧印加手段に流れる電流を検知する第2の電流検知手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記第1、第2の電流検知手段によって検知された電流値の差分が所定値以下となるように前記第1、第2の電圧印加手段の少なくとも一方の出力を制御して、前記第1、第2の通電部位における通電を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の支持ローラに電圧を印加する第2の電圧印加手段と、
前記ローラ状の対向電極に電圧を印加する第3の電圧印加手段と、
前記第2の支持ローラに電圧を印加する第4の電圧印加手段と、
前記感光体を帯電させるローラ状の帯電部材であって、前記感光体と接触又は近接する第3の通電部位を形成すると共に、前記ローラ状の対向電極が表面に接触することで、表面側から電圧が供給されるローラ状の帯電部材と、
前記第2の電圧印加手段に流れる電流を検知する第2の電流検知手段と、
前記第3の電圧印加手段に流れる電流を検知する第3の電流検知手段と、
前記第4の電圧印加手段に流れる電流を検知する第4の電流検知手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記第2、第4の電流検知手段によって検知された電流値の差分が所定値以下となるように、前記第2、第4の電圧印加手段の少なくとも一方の出力を制御して、前記第1、第2の通電部位における通電を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−109293(P2013−109293A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256282(P2011−256282)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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