説明

画像形成装置

【課題】濃度補正用画像に筋が入ることを抑制する。
【解決手段】画像形成装置は、画像形成部18、検知部50、スキュー量演算部66D、スキュー補正処理部61、出力部75、及び高解像度化処理部74を備える。高解像度化処理部74は、濃度補正に用いる濃度補正用画像を形成する場合に、印刷用画像を形成する場合に比べて高解像度で且つスキュー量が大きいほど高解像度の濃度補正用画像の画像データを、スキュー補正処理部に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体に静電潜像を形成するときに用いる露光装置として、複数の発光素子の配列された発光チップを主走査方向に複数配列した露光装置を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、複数の記録素子を配列した記録チップを主走査方向に複数配列してなる記録素子アレイを備えた画像形成装置が開示されている。また、特許文献1には、画像データの主走査方向のライン画像を、複数の画素列に分割し、分割した画素列の画像を副走査方向にずらして形成することによって、複数の記録素子の配列方向と感光体の回転軸方向(主走査方向)とのずれであるスキューを補正することが開示されている。
【0004】
また、電子写真方式の画像形成装置では、外部装置等から受け付けた多階調の画像の画像データにディザマトリクスを用いてディザ処理を施し、二値化することが行われている。そして、このディザ処理された画像データに応じて発光素子の点灯及び非点灯を調整することで、画像を形成している。
【0005】
ここで、ディザマトリクスを用いてディザ処理された後の画像データに、スキュー補正処理を行うと、筋が生じる場合がある。これは、画像を副走査方向にシフトさせた位置で、ディザマトリクスによって得られるパターンの形状変化が生じるためである。
【0006】
このような画像上に形成される筋を抑制する技術として、特許文献1には、記録チップ間の境界位置と、スキュー補正時の1ライン分の画像データの分割位置と、をずらすことが開示されている。また、特許文献2には、スキュー補正時の副走査方向への画像シフト位置を、ディザマトリクスの主走査方向のサイズの倍数の位置に一致させることが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2では、ディザマトリクスの適用位置と記録チップ間の境界位置とが一致したときに生じる筋を抑制することは困難であった。このため、画像形成装置において、形成する画像の濃度補正時に形成する濃度補正用画像にも筋が入り、濃度補正精度が劣化する場合があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、濃度補正用画像に筋が入ることを抑制することができる、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、感光体と、主走査方向に複数の発光素子の配列された発光チップを該主走査方向に複数配列した露光手段と、前記露光手段によって前記感光体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写体に転写することによって該被転写体上に画像を形成する転写手段と、前記主走査方向に対する前記発光チップの配列方向のずれ量を示すスキュー量を検知する検知手段と、濃度補正に用いる濃度補正用画像を前記画像として形成する場合に、印刷用画像を前記画像として形成する場合に比べて高解像度で且つ前記スキュー量が大きいほど高解像度の該濃度補正用画像の画像データをディザ処理によって生成する解像度変更手段と、ディザ処理された該画像データの画像を、主走査方向の予め設定された分割単位毎に前記スキュー量に応じて副走査方向にシフトさせることによりスキュー補正する補正手段と、を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、濃度補正用画像に筋が入ることを抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本実施の形態の画像形成装置の構成の一例を示す模式図である。
【図2】図2は、露光装置の構成の一例を示す模式図である。
【図3】図3は、主制御部を、ハードウェアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロック図である。
【図4】図4は、書込み制御部を示す機能ブロック図である。
【図5】図5は、画像形成処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6は、濃度補正用画像の画像データのイメージと、該濃度補正用画像の画像データを用いて画像形成装置で形成した濃度補正用画像と、の対応を、解像度毎に示した模式図である。
【図7】図7は、スキュー補正を行った場合と、2種類のスキュー補正を行った場合の各々と、におけるスキュー補正用画像の一例を示す模式図である。
【図8】図8は、本実施の形態の画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置の一の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態の画像形成装置10の構成を示す模式図である。
【0014】
画像形成装置10は、給紙トレイ12、画像形成部18、定着部40、主制御部42、及びセンサ46を備える。
【0015】
給紙トレイ12は、複数の記録媒体Pを収容する。記録媒体Pは、給紙ローラ14や図示を省略する搬送部によって、画像形成部18へと搬送される。
【0016】
画像形成部18は、各色の画像を形成する作像部32、及び搬送ベルト34を備える。画像形成部18は、記録媒体P及び後述する搬送ベルト34に画像を形成する。
【0017】
搬送ベルト34は、駆動ローラ36及びローラ38によって内側から支持されており、駆動ローラ36及びローラ38の回転に沿って搬送される。
【0018】
作像部32は、黒色のトナー像を形成する作像部32K、マゼンタのトナー像を形成する作像部32M、シアンのトナー像を形成する作像部32C、及びイエローのトナー像を形成する作像部32Yを備える。これらの各作像部32は、搬送ベルト32の搬送方向に沿って配列されている。
【0019】
作像部32Kは、主走査方向を回転軸方向として回転する感光体22K、感光体22Kを帯電する帯電装置24K、静電潜像を形成する露光装置20K、静電潜像をトナーにより現像する現像装置26K、トナー像を搬送ベルト34または記録媒体Pに転写する転写装置28K、及び感光体22K上の付着物を除去するクリーニング部材30Kを備える。作像部32M、32C、32Yについても同様に、感光体(22M、22C、22Y)、帯電装置(24M、24C、22Y)、露光部(20M、20C、20Y)、現像装置(26M、26C、26Y)、転写装置(28M、28C、28Y)、クリーニング部材(30M、30C、30Y)を備える。
【0020】
なお、これらの作像部32は、現像装置26Kで現像に用いるトナーの色が異なる以外は同じ構成である。また、これらの作像部32は、露光装置20が後述する構成である以外は、公知の電子写真方式であるため、詳細な説明を省略する。
【0021】
また、以下では、各作像部32に設けられた各部を総称して説明する場合には、C、M、Y、Kの符号を省略して説明する。
【0022】
画像形成部18に供給された記録媒体Pには、搬送ベルト34によって搬送され、作像部32によって順次トナー像が転写される。定着装置40は、記録媒体Pに転写されたトナー像を該記録媒体Pに定着させる。
【0023】
本実施の形態の画像形成装置10では、露光装置20は、複数の光学素子を感光体22の回転軸方向である主走査方向に沿って配列させた構成である。
【0024】
なお、上述したように、主走査方向とは、感光体22の回転軸方向に一致する方向を示す(図2中、矢印X方向参照)。また、後述する副走査方向とは、主走査方向に直交する方向を示す。
【0025】
図2には、露光装置20の一例を示した。
【0026】
図2に示すように、露光装置20は、複数の発光チップ44が主走査方向に沿って配列した構成である。各発光チップ44は、複数の発光素子44Aを主走査方向に沿って配列した構成である。発光素子44Aとしては、例えば、LED(Light Emitting Diode)が挙げられる。
【0027】
センサ46は、搬送ベルト34や記録媒体Pに形成された濃度補正用画像や、スキュー補正用画像や、光量補正用画像を読み取る。
【0028】
濃度補正用画像は、濃度補正に用いる画像であって、例えば、階調値(濃度)の異なる複数の領域を有する画像である。光量補正用画像は、露光装置20の各発光素子44Aから出射する光の光量を補正するために用いる画像である。光量補正用画像としては、例えば、予め定めた基準濃度の画像が挙げられる。
【0029】
スキュー補正用画像は、スキュー補正に用いる画像である。スキューとは、本実施の形態では、感光体22の回転軸方向と一致する方向である主走査方向に対する、発光素子44Aの配列方向のずれを示す。スキュー補正用画像としては、例えば、感光体22の主走査方向の一端から他端に渡って長い長尺状の画像や、感光体22の主走査方向の一端部と他端部とに形成される一対の画像等が挙げられる。
【0030】
センサ46としては、上記濃度補正用画像、スキュー補正用画像、光量補正用画像を検知する公知のセンサを用いればよい。例えば、センサ46としては、記録媒体Pまたは搬送ベルト34上に形成された各種画像(濃度補正用画像、スキュー補正用画像、光量補正用画像)を検知すると共に、これらの画像の有無や、これらの画像の濃度を検知する公知のセンサを用いればよい。
【0031】
なお、これらの濃度補正用画像、スキュー補正用画像、光量補正用画像は、搬送ベルト34上における、センサ46によって検知される位置に形成される。
【0032】
主制御部42は、画像形成装置10に設けられた装置各部を制御する。主制御部42は、CPU(Central Processing Unit)、後述する画像形成処理を実行する画像形成プログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)、データ等を記憶するRAM(Random Access Memory)、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。主制御部42は、画像形成装置10に設けられた装置各部に電気的に接続されている。
【0033】
図3には、主制御部42を、ハードウェアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロック図を示した。主制御部42は、画像処理部54、検知部50、及び書込み制御部52を備えている。検知部50には、センサ46が電気的に接続されている。センサ46は、検知部50に検知信号を出力する。
【0034】
検知信号は、搬送ベルト34上に形成された各種画像の検知タイミングや、各種画像の濃度を示す濃度情報を含む。検知部50は、センサ46から受け付けた検知信号を画像処理部54及び書込み制御部52に出力する。
【0035】
詳細には、検知部50は、センサ46から受け付けた検知信号が、濃度補正用画像、または光量補正用画像の検知信号である場合には、検知信号を画像処理部54へ出力する。また、検知部50は、センサ46から受け付けた検知信号が、スキュー補正用画像の検知信号である場合には、検知信号を画像処理部54及び書込み制御部52へ出力する。
【0036】
センサ46から受け付けた検知信号が、スキュー補正用画像、濃度補正用画像、及び光量補正用画像の何れの検知信号であるかの判断は、以下のようにすればよい。例えば、図示を省略する操作部がユーザによって操作されて、濃度補正指示を示す信号が入力され、画像形成部18で濃度補正用画像を形成した後に検知部50が検知信号を受け付けた場合には、検知部50は、濃度補正用画像の検知信号と判断すればよい。同様に、スキュー補正指示を示す信号が入力され、画像形成部18でスキュー補正用画像を形成した後に検知部50が検知信号を受け付けた場合には、検知部50は、スキュー補正用画像の検知信号と判断すればよい。同様に、スキュー補正指示を示す信号が入力され、画像形成部18で光量補正用画像を形成した後に検知部50が検知信号を受け付けた場合には、検知部50は、光量補正用画像の検知信号と判断すればよい。
【0037】
画像処理部54は、パーソナル・コンピュータ等の外部装置から印刷用画像の画像データ等を受け付け、RGBの多階調の画像データをCMYKの多階調の画像データに変換する。また、画像処理部54は、ディザ処理部54Aを備えており、予め定めたディザパターンを用いて、該多階調の画像データにディザ処理を行ない二値化する。そして、ディザ処理した印刷用画像の画像データを、書込み制御部52へ出力する。
【0038】
書込み制御部52は、印刷画像形成時には、検知部50から受け付けた検知信号及び画像処理部54から受け付けたディザ処理された印刷用画像の画像データを、各色の露光装置20に出力する。
【0039】
また、書込み制御部52は、濃度補正用画像形成時には、詳細は後述するが、印刷用画像より高解像度化された濃度補正用画像の画像データを、各色の露光装置20に出力する。
【0040】
書込み制御部52は、各色の作像部32に対応する複数の書込み制御部56(56K、56M、56C、56Y)を備えている。
【0041】
図4には、各書込み制御部56の構成を示した。なお、書込み制御部56K、書込み制御部56Y、書込み制御部56M、及び書込み制御部56Cは同じ構成であるため、総称して書込み制御部56として説明する。
【0042】
書込み制御部56は、入力画像制御部60、スキュー補正処理部61、LDデータ出力部64、解像度調整部68、転送レート制御部70、及び感光体駆動速度制御部72を備える。
【0043】
スキュー補正処理部61は、スキュー補正処理を行う。具体的には、スキュー補正処理部61は、ディザ処理された画像データの画像を、主走査方向に予め設定された複数のブロック毎に、スキュー量に応じて副走査方向にシフト(移動)させる。これによって、スキュー補正処理部61は、スキュー補正処理を行う。
【0044】
詳細には、スキュー補正処理部61は、ラインメモリ62及び補正値算出部66を備える。
【0045】
ラインメモリ62は、複数のラインメモリ62A〜62Dを含んで構成されている。各ラインメモリ62A〜62Dは、各々、主走査方向の1ライン分のライン画像データを格納する。各ラインメモリ62A〜62Dに格納されるライン画像データは、入力画像制御部60によって順次格納、及び更新される。
【0046】
入力画像制御部60は、画像処理部54から入力された印刷用画像の画像データや、後述する解像度調整部68から受け付けた濃度補正用画像の画像データ等を受け付け、受け付けた画像データについて、ライン画像データをラインメモリ62に出力する。
【0047】
入力画像制御部60は、発振器60A、カウンタ60B、クリア信号発生部60C、及びラインメモリ更新信号出力部60Dを備える。
【0048】
発振器60Aは、高周波クロックを発振する。発振器60Aのクロックは、分周によって、発振器固有値の1/P(Pは整数)倍の周波数に切り替え可能に構成されている。そして、書込み制御部56は、この発振器60Aが生成するクロックに基づいて動作する。
【0049】
また、上述したように、入力画像制御部60は、濃度補正用画像の形成時には、後述する解像度調整部68から濃度補正用画像の画像データ及び濃度補正用画像の解像度を示す情報を受け付ける。そして、入力画像制御部60は、濃度補正用画像の形成時には、印刷用画像の形成時に対して、N倍のクロックを発振器60Aで生成させる。この“N”は、刷用画像の解像度に対する、濃度補正用画像の解像度の比率(N倍)(Nは整数)を示す。なお、この“N”を示す情報は、発振器60Aのクロック変更信号として、後述する解像度調整部68から受け付ける。なお、本実施の形態において、印刷用画像の解像度は予め設定されているものとする。
【0050】
カウンタ60Bは、画像形成部18で主走査方向の1ドット分の画像形成に要する時間をカウントする。クリア信号発生部60Cは、カウンタ60Bが規定値に達すると、ラインクリア信号を生成する。そして、クリア信号発生部60Cは、生成したラインクリア信号を、カウンタ60B、ラインメモリ更新信号出力部60D、及び露光装置20へ出力する。カウンタ60Bは、ラインクリア信号を受け付けると、カウンタ値を“0”にリセットする。
【0051】
ラインメモリ更新信号出力部60Dは、画像処理部54から印刷用画像の画像データを受け付けた場合、すなわち、印刷用画像の形成時には、ラインクリア信号を1回受けつける度にラインメモリ更新信号をラインメモリ62へ出力する。一方、入力画像制御部60は、濃度補正用画像の画像データを受け付けた場合、すなわち濃度補正用画像の形成時には、ラインメモリ62の更新周期を変更し、ラインクリア信号がN回生成される度に、ラインメモリ更新信号をラインメモリ62へ出力する。すなわち、濃度補正用画像の形成時には、入力画像制御部60Dは、ラインメモリ62の更新周期を1/Nに変更する。なお、この“N”とは、上述した、印刷用画像の解像度に対する、濃度補正用画像の解像度の比率である“N”と同じ数値である(以下、同様とする)。そして、このラインメモリ62の更新周期を示す情報(すなわち、1/Nを示す情報)は、解像度調整部68から受け付ける。
【0052】
ラインメモリ62は、副走査方向に連続する主走査方向4ライン分のライン画像データを、1ライン画像データずつ別々のラインメモリ62A〜62Dに格納する。詳細には、ラインメモリ62は、印刷用画像の形成時には、印刷用画像の画像データについて、主走査方向の4ライン分のライン画像データを、1ライン分ずつラインメモリ62A〜62Dに格納する。また、ラインメモリ62は、濃度補正用画像の形成時には、濃度補正用画像の画像データについて、主走査方向の4ライン分のライン画像データを、1ライン分ずつラインメモリ62A〜62Dに格納する。
【0053】
なお、本実施の形態では、ラインメモリ62が、4つのラインメモリ62A〜62Dを有する場合を説明するが、発生する可能性のある最大のスキュー量に対応するライン数分のラインメモリを有する構成であればよく、4つのラインメモリに限られない。
【0054】
そして、ラインメモリ62は、ラインメモリ更新信号を1回受け付ける度に、各ラインメモリ62A〜62Dに格納されているライン画像データの内の、古い(最も先に記憶した)ライン画像データから順に、新しい(次のラインの)ライン画像データへ更新する。このように、ラインメモリ62は、ラインメモリ62A〜62Dに4ライン分のライン画像データを保持し、古いデータから順に上書きし消去するという更新処理を繰り返す。
【0055】
このラインメモリ62のラインメモリ62A〜62Dに格納されたライン画像データの読出しのタイミングは、補正値算出部66によって制御される。
【0056】
補正値算出部66は、スキューを補正するための補正値を算出する。
【0057】
補正値算出部66は、詳細には、スキュー補正エリア算出部66A、スキュー量記憶部66B、読出し制御部66C、スキュー量演算部66D、及びスキュー補正値演算部66Eを備える。
【0058】
スキュー補正エリア算出部66A及びスキュー量演算部66Dは、検知部50から、スキュー補正用画像の検知結果である検知信号を受け付ける。
【0059】
スキュー補正エリア算出部66Aは、検知部50から受け付けた検知信号からスキューの発生箇所を算出し、スキュー補正エリアを算出する。スキュー補正エリアとは、画像データの画像を主走査方向に複数の分割単位に分割したときの、スキュー補正対象となる分割単位の該主走査方向における位置を示している。スキュー補正エリア算出部66Aは、公知の算出方法を用いて、該検知信号からスキュー補正エリアを算出する。スキュー補正エリア算出部66Aは、算出したスキュー補正エリアを示す情報を、読出し制御部66Cに出力する。
【0060】
なお、予めスキュー補正エリアを予め定めてスキュー補正エリア算出部66Aに記憶しておいてもよい。この場合には、スキュー補正エリア算出部66Aは、記憶しているスキュー補正エリアを示す情報を、読出し制御部66Cに出力すればよい。
【0061】
スキュー量演算部66Dは、検知部50から受け付けた検知信号から、スキュー量を演算する。このスキュー量の演算は、公知の方法を用いればよい。スキュー量記憶部66Bは、スキュー量演算部66Dで演算したスキュー量を記憶する。
【0062】
スキュー補正値演算部66Eは、スキュー量演算部66Dが演算したスキュー量から、スキューを補正するためのスキュー補正値を公知の方法を用いて演算する。そして、得られたスキュー補正値を、読出し制御部66Cへ出力する。
【0063】
読出し制御部66Cは、スキュー補正エリア算出部66Aから受け付けたスキュー補正エリアを示す情報と、スキュー補正値演算部66Eから受け付けたスキュー補正値とから、各ラインメモリ62A〜62Dに格納されているライン画像データの読出しを制御する。詳細には、読出し制御部66Cは、スキュー補正エリアを示す情報と、スキュー補正値とから、各ラインメモリ62A〜62Dに格納されているライン画像データから分割単位毎に画素データ群を読取る。
【0064】
詳細には、読出し制御部66Cは、画像データの画像の主走査方向の一端の画素側から他端の画素側に向かって順に、主走査方向の予め定めた分割単位毎に、画素データ群を読取り、順次、LDデータ出力部64へ出力する。この画素データ群の読み取り時には、読出し制御部66Cは、スキュー補正エリアに対応する位置では、ラインメモリ62A〜62Dの内、スキュー補正値に応じて副走査方向にシフトしたラインのライン画像データを記憶したラインメモリ62A〜62Dの何れかから、画素データ群を読み取る。このため、読出し制御部66Cによる読出し制御によって、スキュー量に応じて副走査方向にシフトした位置の分割画素列の画素データ群が順次ラインメモリ62A〜62Dから読み出され、LDデータ出力部64へ出力される。
【0065】
なお、本実施の形態では、画像データを主走査方向に分割するときの分割単位を示す情報は、予め定められているものとする。そして、この分割単位を示す情報は、書込み制御部56に予め記憶されているものとする。
【0066】
なお、このスキュー量に応じて副走査方向にシフトさせる単位である、画像データの主走査方向の分割単位は、任意の値を定めればよい。なお、この分割単位は、ディザ処理された画像データの画像を、隣接する発光チップ44間の境界に対応する位置で分割するように定めることが好ましい。画像データの主走査方向の分割単位を、このように設定することで、濃度補正用画像に生じる筋を更に抑制することができる。
【0067】
解像度調整部68は、濃度補正用画像の形成時に、印刷用画像を形成する場合に比べて高解像度で且つスキュー量が大きいほど高解像度の濃度補正用画像の画像データ、及び該濃度補正用画像の解像度を示す情報を、入力画像制御部60を介してスキュー補正処理部61に出力する。入力画像制御部60では、受け付けた濃度補正用画像の画像データを、上述したように、主走査方向の1ラインのライン画像データ毎に、ラインメモリ62に出力する。
【0068】
解像度調整部68は、詳細には、高解像度化処理部74、出力部75、ディザ処理部76、基本濃度補正画像記憶部77、及び出力部78を備える。
【0069】
基本濃度補正画像記憶部77は、予め定めた解像度の濃度補正用画像である基本濃度補正用画像の画像データを予め記憶している。なお、基本濃度補正用画像記憶部77は、ディザ処理のなされていない、多階調の該画像データを予め記憶する。この予め定めた解像度とは、印刷画像の解像度以上の解像度であればよい。本実施の形態では、基本濃度補正用画像記憶部77は、印刷画像の解像度と同じ解像度の濃度補正用画像である基本濃度補正用画像を予め記憶する。
【0070】
高解像度化処理部74は、補正値算出部66で演算されたスキュー量に基づいて、印刷用画像より高解像度で、且つ、スキュー量が大きいほど高解像度の濃度補正用画像を形成するための各種条件を設定する。
【0071】
詳細には、高解像度化処理部74は、スキュー量読取部74A、ディザマトリクス設定部74B、及び駆動条件設定部74Cを備える。
【0072】
スキュー量読取部74Aは、スキュー量演算部66Dで演算されたスキュー量をスキュー量記憶部66Bから読み取り、ディザマトリクス設定部74Bへ出力する。ディザマトリクス設定部74Bは、印刷画像の解像度より大きい解像度で且つ解像度の異なる複数種類のディザマトリクスを予め記憶している。このディザマトリクスとは、多階調画像を2値化するときの用いるパターンであり、ディザパターンとも称される。ディザ処理では、多階調の画像データの画像を、M×M画素(Mは整数)の閾値からなるディザマトリクスに応じたブロック毎に分割し、ブロック毎に該ディザマトリクスの閾値と比較することで、ブロック毎に2値化を行う。
【0073】
解像度の異なる複数種類のディザマトリクスを用いると、各ディザマトリクスを用いてディザ処理を行うことで得られた2値化された画像データの画像の解像度は、異なるものとなる。具体的には、この解像度の異なる複数種類のディザマトリクスとしては、ディザパターンの大きさの異なる(すなわち、M×M画素に対応するディザパターンにおける、該Mの値が異なる)ディザマトリクスが挙げられる。このMの値が大きいディザマトリクスほど、ディザ処理を行うことで得られる2値化された画像データの画像の解像度は小さくなる(ドットの大きさが大きい)。一方、このMの値が大きいディザマトリクスほど、ディザ処理を行うことで得られる2値化された画像データの画像の解像度は大きくなる(ドットの大きさが小さい)。
【0074】
そして、ディザマトリクス設定部74Bは、印刷用画像の解像度より大きい解像度の画像がディザ処理によって得られるように、印刷用画像の解像度より大きく且つ解像度の異なる複数種類のディザマトリクスを予め記憶している。そして、ディザマトリクス設定部74Bは、解像度を示す情報と、該解像度を実現するために用いるディザマトリクスを示す情報と、を対応づけて予め記憶している。
【0075】
ディザマトリクス設定部74Bは、スキュー量演算部66Dから読み取ったスキュー量が大きいほど、高い解像度の情報に対応するディザマトリクスを示す情報を読み取ることによって、多階調の基本濃度補正用画像の画像データのディザ処理に用いるディザマトリクスを設定する。
【0076】
これによって、ディザマトリクス設定部74Bは、印刷用画像より高解像度で、且つ、スキュー量が大きいほど高解像度のディザマトリクスを、基本濃度補正用画像の画像データのディザ処理に用いるディザマトリクスとして設定する。また、ディザマトリクス設定部74Bは、該ディザマトリクスの設定によって、濃度補正用画像の解像度を決定する。
【0077】
そして、ディザマトリクス設定部74Bは、設定したディザマトリクスを示す情報を、ディザ処理部76へ出力する。また、ディザマトリクス設定部74Bは、設定したディザマトリクスに対応する解像度、すなわち、濃度補正用画像の解像度を示す情報を、出力部75及び駆動条件設定部74Cへ出力する。
【0078】
駆動条件設定部74Cは、ディザマトリクス設定部74Bから受け付けた、濃度補正用画像の解像度を示す情報に基づいて、画像形成装置10の駆動条件を設定する。
【0079】
駆動条件は、感光体22の回転速度、濃度補正用画像の画像データを出力部75から入力画像制御部60へ出力するときの転送レート、ラインメモリ62の更新周期、主走査方向の1ライン分の画像形成時における発光素子44Aの発光時間の割合、及び発光素子44Aを駆動するための駆動電流、の少なくとも1つである。
【0080】
駆動条件設定部74Cは、濃度補正用画像の解像度と、予め定められている印刷用画像の解像度と、に基づいて、駆動条件を設定する。
【0081】
具体的には、予め記憶した印刷画像の解像度に対する、ディザマトリクス設定部74Bから受け付けた濃度補正用画像の解像度の比率がN倍であるとする。
【0082】
この場合、駆動条件設定部74Cは、濃度補正用画像形成時には、露光装置20の駆動電流を印刷画像形成時の1/Nに設定、または1ラインの画像形成における発光素子44Aの発光時間を印刷画像形成時の1/Nに設定する。
【0083】
また、駆動条件設定部74Cは、濃度補正用画像形成時には、ラインメモリ更新周期を、印刷用画像形成時の1/Nに設定する。
【0084】
また、駆動条件設定部74Cは、濃度補正用画像形成時には、ラインメモリ更新信号出力部60Dによるラインメモリ更新信号の周期変倍(1/Nとする)にあわせて、感光体22の駆動速度を印刷用画像形成時の1/Nに設定する。
【0085】
また、駆動条件設定部74Cは、濃度補正用画像形成時には、解像度調整部68の出力部75から入力画像制御部60に出力する、濃度補正用画像の画像データの転送レートを、画像処理部54から入力画像制御部60への印刷用画像の画像データの転送レートの1/Nに設定する。
【0086】
そして、駆動条件設定部74Cは、設定した各駆動条件を出力部78へ出力する。出力部78は、駆動条件設定部74Cから受け付けた各駆動条件を、転送レート制御部70、感光体駆動速度制御部72、入力画像制御部60、及びLED制御部64Aへ出力する。
【0087】
転送レート制御部70は、駆動条件設定部74Cから、駆動条件として濃度補正用画像の画像データの転送レートを示す情報を受け付ける。そして、受け付けた転送レートで濃度補正用画像の画像データを転送するように、出力部75を制御する。
【0088】
感光体駆動速度制御部72は、駆動条件設定部74Cから、駆動条件として感光体22の回転速度を示す情報を受け付ける。感光体駆動速度制御部72は、濃度補正用画像形成時には、受け付けた回転速度で感光体22を回転するように画像形成部18の図示を省略する駆動部を制御する。
【0089】
LDデータ出力部64は、駆動条件設定部74Cから、駆動条件として、露光装置20の駆動電流を示す情報、または1ラインの画像形成における発光素子44Aの発光時間の割合を示す情報を受け付ける。LDデータ出力部64のLED制御部64Aでは、濃度補正用画像形成時に、該駆動電流または該発光時間の割合に応じたLED制御信号を、露光装置20へ出力する。露光装置20では、上家付けたLED制御信号に応じた駆動電流を各発光素子44Aに印加、または該発光時間の割合に応じた駆動信号を各発光素子44Aに出力する。
【0090】
ディザ処理部76は、ディザマトリクス設定部74Bで設定されたディザマトリクスを用いて、基本濃度補正用画像記憶部77に記憶されている基本濃度補正用画像の多階調の画像データにディザ処理を行う。このディザ処理によって、ディザ処理部76は、印刷用画像より高解像度で、且つ、スキュー量が大きいほど高解像度の濃度補正用画像の画像データを生成する。ディザ処理部76は、得られた濃度補正用画像の画像データを出力部75へ出力する。
【0091】
出力部75は、ディザ処理部76から受け付けた濃度補正用画像の画像データを、転送レート制御部70によって設定された転送レートで入力画像制御部60へ出力する。また、出力部75は、ディザマトリクス設定部74Bから受け付けた、濃度補正用画像の解像度を示す情報を、入力画像制御部60へ出力する。
【0092】
次に、画像形成装置10における画像形成処理の流れを説明する。図5は、本実施の形態に係る画像形成装置10における、画像形成処理の流れを示すフローチャートである。
【0093】
画像形成装置10の主制御部42では、主制御部42がパーソナル・コンピュータ等の外部装置から印刷ジョブを受けつけると、画像形成処理を行うための画像形成プログラムをROMから読み取り、図5に示す処理を実行する。
【0094】
まず、主制御部42は、スキュー補正を実行するか否かを判断する(ステップS100)。主制御部42では、例えば、図示を省略する操作部がユーザによって操作指示されることによって、スキュー補正指示を示す信号を該操作部から受け付けたときに、スキュー補正実行を判断する(ステップS100:Yes)。なお、図示を省略する操作部がユーザによって操作指示されることによって、スキュー補正指示を示す信号が入力されると、主制御部42は、該信号を、図示を省略するメモリに記憶してもよい。そして、主制御部42は、このメモリに、スキュー補正指示を示す信号が記憶されている場合に、ステップS100で肯定判断してもよい。なお、該メモリに記憶されたスキュー補正指示を示す信号は、画像形成装置10の図示を省略する電源スイッチが操作されて画像形成装置10の装置各部に電力が供給される度に、クリア(消去)するようにすればよい。
【0095】
なお、主制御部42が、スキュー補正を実行しないと判断した場合には(ステップS100:No)、後述するステップS114へ進む。
【0096】
次いで、画像処理部54が、スキュー補正用画像を形成する(ステップS102)。詳細には、画像処理部54には、予め多階調のスキュー補正用画像の画像データが記憶されている。そして、画像処理部54のディザ処理部54Aでは、該スキュー補正用画像の画像データに、印刷用画像の画像データのディザ処理時に用いるディザマトリクスと同じディザマトリクスを用いてディザ処理を行い、書込み制御部52へ出力する。書込み制御部52では、スキュー補正用画像の画像データを受け付けると、各色の書込み制御部56における入力画像制御部60、ラインメモリ62、及びLDデータ出力部64で、上述した印刷用画像の画像データの処理時を同じ処理を行う。これによって、画像形成部18は、搬送ベルト34上にスキュー補正用画像を形成する。
【0097】
次いで、検知部50がスキュー補正用画像を検知する(ステップS104)。検知部50は検知したスキュー補正用画像の検知結果を示す検知信号を、補正値算出部66へ出力する。
【0098】
スキュー量演算部66Dは、検知部50から受け付けたスキュー補正用画像の検知信号に基づいて、スキュー量を演算し、スキュー量記憶部66Bに記憶する(ステップS106、ステップS108)。すると、スキュー補正値演算部66Eが、スキュー量記憶部66Bに記憶されたスキュー量を用いてスキュー補正値を演算し、読出し制御部66Cに出力する(ステップS110)。
【0099】
そして、スキュー補正エリア算出部66Aは、検知部50から受け付けたスキュー補正用画像の検知信号に基づいて、スキュー補正エリアを算出し、読出し制御部66Cに出力する(ステップS112)。
【0100】
次に、主制御部42が、濃度補正を実行するか否かを判断する(ステップS114)。主制御部42では、例えば、図示を省略する操作部がユーザによって操作指示されることによって、濃度補正指示を示す信号を該操作部から受け付けたときに、濃度補正実行を判断する(ステップS114:Yes)。なお、図示を省略する操作部がユーザによって操作指示されることによって、濃度補正指示を示す信号が入力されると、主制御部42は、該信号を、図示を省略するメモリに記憶してもよい。そして、主制御部42は、このメモリに、濃度補正指示を示す信号が記憶されている場合に、ステップS114で肯定判断してもよい。なお、該メモリに記憶された濃度補正指示を示す信号は、画像形成装置10の図示を省略する電源スイッチが操作されて画像形成装置10の装置各部に電力が供給される度に、クリア(消去)するようにすればよい。
【0101】
一方、主制御部42が、濃度補正を実行しないと判断すると(ステップS114:No)、ステップS134へ進む。
【0102】
スキュー量読取部74Aは、スキュー量記憶部66Bからスキュー量を読み取る(ステップS116)。次に、ディザマトリクス設定部74Bが、スキュー量記憶部66Bで読み取ったスキュー量に応じた解像度のディザマトリクスを設定する(ステップS118)。
【0103】
次に、駆動条件設定部74Cが、ディザマトリクス設定部74Bから受け付けた濃度補正用画像の解像度を示す情報に基づいて、駆動条件を設定する(ステップS120)。次に、ディザ処理部76が、ディザマトリクス設定部74Bで設定されたディザマトリクスを用いて、基本濃度補正用画像記憶部77に記憶された基本濃度補正用画像の画像データにディザ処理を行う(ステップS122)。
【0104】
次に、出力部78が、駆動条件設定部74Cで設定された駆動条件を、転送レート制御部70を介して出力部75、LED制御部64A、及び感光体駆動速度制御部72へ出力する(ステップS124)。
【0105】
次に、出力部75が、ディザ処理部76から受け付けた濃度補正用画像の画像データを、転送レート制御部70によって設定された転送レートで入力画像制御部60へ出力する。また、出力部75は、ディザマトリクス設定部74Bから受け付けた、濃度補正用画像の解像度を示す情報を、入力画像制御部60へ出力する(ステップS126)。
【0106】
次に、画像形成部18が、濃度補正用画像を形成する(ステップS128)。
【0107】
次に、検知部50が、搬送ベルト34上に形成された濃度補正用画像のセンサ46による検知結果である検知信号を検知する(ステップS130)。
【0108】
次いで、画像処理部54は、検知部50がステップS130で検知した検知信号に基づいて、印刷画像の画像データについて、公知の濃度補正処理を行う(ステップS132)。
【0109】
次に、主制御部42は、ステップS134で濃度補正された印刷画像の画像データを用いて、印刷画像を形成する印刷画像形成処理を実行(ステップS134)した後に、本ルーチンを終了する。
【0110】
上記画像形成処理を実行することによって、濃度補正用画像の形成時には、印刷用画像の形成時に比べて、高解像度で且つスキュー量が大きいほど高解像度の濃度補正用画像を形成することができる。
【0111】
図6には、濃度補正用画像の画像データのイメージと、該濃度補正用画像の画像データを用いて画像形成装置10で形成した濃度補正用画像と、の対応を、解像度毎に示した。
【0112】
印刷用画像と同じ解像度のディザパターンを用いてディザ処理した濃度補正用画像の画像データ(図6(A)中、画像データ80A参照)を用い、印刷画像と同じ駆動条件で濃度補正用画像を形成する。この場合には、形成される濃度補正用画像は、図6(A)中の画像82Aに示す画像となる。なお、図6中、長さQは、主走査方向1ライン分の画像の長さに相当する。
【0113】
一方、図6(B)に示すように、印刷用画像の2倍(N=2)の解像度のディザパターンを用いてディザ処理した濃度補正用画像の画像データ(図6(B)中、画像データ80B参照)を用い、上述した駆動条件におけるNの値を“2”に設定することで濃度補正用画像を形成する。この場合には、形成される濃度補正用画像は、図6(B)中の画像82Bに示すように、印刷用画像と解像度とした濃度補正用画像(図6(A)中の画像82A参照)に比べて、高解像度となる。
【0114】
また、図6(C)に示すように、印刷用画像の4倍(N=4)の解像度のディザパターンを用いてディザ処理した濃度補正用画像の画像データ(図6(C)中、画像データ80C参照)を用い、上述した駆動条件におけるNの値を“4”に設定することで濃度補正用画像を形成する。この場合には、形成される濃度補正用画像は、図6(C)中の画像82Cに示すように、印刷用画像と解像度とした濃度補正用画像(図6(A)中の画像82A参照)に比べて、高解像度となる。
【0115】
このように、本実施の形態の画像形成装置10では、上記画像形成処理を実行することによって、濃度補正用画像の形成時には、印刷用画像の形成時に比べて、高解像度で且つスキュー量が大きいほど高解像度の濃度補正用画像を形成する。
【0116】
本実施の形態の画像形成装置10では、スキュー量が大きいほど印刷用画像の形成時に比べてより高解像度の濃度補正用画像を形成するので、濃度補正用画像に、筋の発生することを抑制することができる。
【0117】
また、本実施の形態の画像形成装置10では、濃度補正時には、該濃度補正用画像を検知した検知結果に基づいて、濃度補正を行うので、高精度の濃度補正を行うことができる。
【0118】
また、本実施の形態の画像形成装置10では、スキュー量が大きいほど高解像度の濃度補正用画像を形成する。このため、逆に、画像形成装置10では、スキュー量が小さいほど、印刷用画像より高解像度で、且つより低解像度の濃度補正用画像を形成することとなる。このため、画像形成装置10では、上述した“N”の値をより小さくすることで、駆動時間を短縮することができ、濃度補正用画像の形成に要する時間の短縮を図ることができる。
【0119】
また、上述のように、駆動条件設定部74Cは、予め記憶した印刷画像の解像度に対する、ディザマトリクス設定部74Bから受け付けた濃度補正用画像の解像度の比率がN倍であるとする。この場合、濃度補正用画像形成時には、駆動条件設定部74Cが、露光装置20の駆動電流を印刷画像形成時の1/Nに設定、または1ラインの画像形成における発光素子44Aの発光時間を印刷画像形成時の1/Nに設定する。
【0120】
このため、濃度補正画像形成時に要する時間の短縮を図ることができる。
【0121】
また、本実施の形態の画像形成装置10では、駆動条件設定部74Cは、濃度補正用画像形成時には、ラインメモリ更新信号出力部60Dによるラインメモリ更新信号の周期変倍(1/Nとする)にあわせて、感光体22の駆動速度を印刷用画像形成時の1/Nに設定する。
【0122】
このため、濃度補正画像形成時に要する時間の短縮を図ることができる。
【0123】
また、本実施の形態の画像形成装置10では、駆動条件設定部74Cは、濃度補正用画像形成時には、解像度調整部68の出力部75から入力画像制御部60に出力する、濃度補正用画像の画像データの転送レートを、画像処理部54から入力画像制御部60への印刷用画像の画像データの転送レートの1/Nに設定する。
【0124】
このため、濃度補正画像形成時に要する時間の短縮を図ることができる。
【0125】
また、本実施の形態の画像形成装置10では、ディザ処理された画像データの画像を、隣接する発光チップ44間の境界に対応する位置で分割するように定めることによって、濃度補正用画像に生じる筋を更に抑制することができる。
【0126】
なお、本実施の形態では、スキュー量演算部66Dは、検知部50から受け付けた検知信号から、公知の方法を用いてスキュー量を演算する場合を説明した。しかし、スキュー量演算部66Dは、スキュー補正用画像を、発光チップ44に配列されている発光素子44Aの数に対応する画素数毎に複数の分割単位に分割し、該分割した分割単位毎にスキュー量を算出してもよい。そして、スキュー補正値演算部66Eでは、この各分割単位毎のスキュー量に応じて、隣接するスキュー補正エリア毎のスキュー補正値を演算し、読出し制御部66Cに出力してもよい。この場合、スキュー補正値演算部66Eでは、隣接するスキュー補正エリア間の段差が最小になるように、スキュー補正エリアごとにスキュー補正値を演算すればよい。
【0127】
このようにすれば、形成された画像に、主走査方向に沿って配列された複数の発光チップ44間に対応する領域間に対応するずれ(段差)が発生することを抑制することができる。
【0128】
図7には、スキュー補正を行った場合と、2種類のスキュー補正を行った場合の各々と、におけるスキュー補正用画像の一例を示した。
【0129】
図7に示すように、スキュー補正を行わなかった場合、感光体22上には、各発光チップ44に対応するスキュー補正エリアP1〜P3の境界で段差のある画像90が形成される。そして、スキュー補正エリア毎ではなく、複数の発光チップ44の配列方向全体の主走査方向に対するずれ量を演算する、公知のスキュー量演算を行った場合には、画像90に比べてスキュー補正は行われるものの、スキュー補正エリアP1〜P3の境界で段差のある画像92が形成される。なお、図7中、点線92Aは、スキュー補正無の場合の画像形成位置を示し、実線92Bは、スキュー補正有の場合の画像形成位置を示す。
【0130】
そして、隣接するスキュー補正エリア間の段差が最小になるように、スキュー補正エリアごとにスキュー補正値を演算して、スキュー補正エリア毎のスキュー補正を行った場合には、スキュー補正エリアP1〜P3の境界の段差の抑制された画像94が形成される。なお、図7中、点線94Aは、スキュー補正無の場合の画像形成位置を示し、実線94Bは、スキュー補正有の場合の画像形成位置を示す。
【0131】
すなわち、図7に示すように、スキュー補正値演算部66Eで、隣接するスキュー補正エリア間の段差が最小になるように、スキュー補正エリアごとにスキュー補正値を演算すると、主走査方向に沿って配列された複数の発光チップ44間に対応する領域で生じるずれ(段差)を抑制することができる。このため、本実施の形態の画像形成装置10では、隣接するスキュー補正エリア間の段差が最小になるように、スキュー補正エリアごとにスキュー補正値を演算することが好ましい。
【0132】
なお、図5では図示を省略したが、印刷画像形成処理(ステップS134)の前に、その他の補正処理を行ってもよい。例えば、各色の画像の色ずれを補正するための公知の色ずれ補正処理や、露光装置20の光量を補正するための公知の光量補正処理等を行ってもよい。ただし、これらのその他の補正処理は、印刷画像形成処理(ステップS134)、及び濃度補正処理(ステップS114〜ステップS132)の処理より前に行うことが好ましい。
【0133】
このように、濃度補正処理の前に、光量補正処理を実行することによって、濃度補正処理時に形成する濃度補正用画像を適切な光量で形成することができる。
【0134】
なお、本実施の形態では、画像形成装置10は、複数の作像部32(32K、32M、32C、32Y)を有する、所謂、タンデム型の画像形成装置10である場合を説明したが、1つの作像部32を備えた構成であってもよい。また、本実施の形態では、画像形成装置10は、感光体22から記録媒体Pに画像を転写する構成である場合を説明したが、中間転写体を介して記録媒体Pに画像を転写する構成であってもよい。
【0135】
なお、本実施の形態の画像形成装置10で実行される画像形成プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また、本実施の形態の画像形成装置10で実行される画像形成プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0136】
さらに、本実施の形態の画像形成装置10で実行される画像形成プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施の形態の画像形成装置10で実行される画像形成プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0137】
また、本実施の形態の画像形成装置10で実行される画像形成プログラムは、上述した各部(検知部50、書込み制御部52、画像処理部54)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから画像形成プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、検知部50、書込み制御部52、及び画像処理部54が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0138】
なお、上記実施の形態では、本実施の画像形成装置10を、プリンタ機能を有する画像形成装置に適用した例を挙げて説明するが、プリンタ機能と、コピー機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも1つの機能と、を有する複合機に適用してもよい。
【0139】
図8は、本実施の形態の画像形成装置10のハードウェア構成例を示すブロック図である。本図に示すように、画像形成装置10は、コントローラ270とエンジン部(Engine)260とをPCI(Peripheral Component Interface)バスで接続した構成となる。コントローラ270は、画像形成装置全体の制御と描画、通信、図示しない操作部からの入力を制御するコントローラである。エンジン部260は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部260には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0140】
コントローラ270は、CPU271と、ノースブリッジ(NB)273と、システムメモリ(MEM−P)272と、サウスブリッジ(SB)274と、ローカルメモリ(MEM−C)277と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)276と、ハードディスクドライブ(HDD)278とを有し、ノースブリッジ(NB)273とASIC276との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス275で接続した構成となる。また、MEM−P272は、ROM(Read Only Memory)272aと、RAM(Random Access Memory)272bと、をさらに有する。
【0141】
CPU271は、画像形成装置100の全体制御をおこなうものであり、NB273、MEM−P272およびSB274からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0142】
NB273は、CPU271とMEM−P272、SB274、AGP275とを接続するためのブリッジであり、MEM−P272に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0143】
MEM−P272は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM272aとRAM272bとからなる。ROM272aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM272bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0144】
SB274は、NB273とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB274は、PCIバスを介してNB273と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部なども接続される。
【0145】
ASIC276は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP275、PCIバス、HDD278およびMEM−C277をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC276は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC276の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C277を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部260との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC276には、PCIバスを介してFCU(Facsimile Control Unit)230、USB(Universal Serial Bus)240、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース250が接続される。操作表示部220はASIC276に直接接続されている。
【0146】
MEM−C277は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD(Hard Disk Drive)278は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0147】
AGP275は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P272に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にする。
【符号の説明】
【0148】
10 画像形成装置
18 画像形成部
20 露光部
22 感光体
24 帯電装置
26 現像装置
28 転写装置
34 搬送ベルト
42 主制御部
44 発光チップ
44A 発光素子
50 検知部
52、56 書込み制御部
54 画像処理部
60 入力画像制御部
61 スキュー補正処理部
62、62A〜62D ラインメモリ
64 LDデータ出力部
66 補正値算出部
66D スキュー量演算部
66C 読出し制御部
68 解像度調整部
74 高解像度化処理部
74B ディザマトリクス設定部
78、75 出力部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0149】
【特許文献1】特開2007−145001号公報
【特許文献2】特開2009−27683号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
主走査方向に複数の発光素子の配列された発光チップを該主走査方向に複数配列した露光手段と、
前記露光手段によって前記感光体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を被転写体に転写することによって該被転写体上に画像を形成する転写手段と、
前記主走査方向に対する前記発光チップの配列方向のずれ量を示すスキュー量を検知する検知手段と、
濃度補正に用いる濃度補正用画像を前記画像として形成する場合に、印刷用画像を前記画像として形成する場合に比べて高解像度で且つ前記スキュー量が大きいほど高解像度の該濃度補正用画像の画像データをディザ処理によって生成する解像度変更手段と、
ディザ処理された該画像データの画像を、主走査方向の予め設定された分割単位毎に前記スキュー量に応じて副走査方向にシフトさせることによりスキュー補正する補正手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記補正手段は、
前記ディザ処理された画像データの画像を、隣接する前記発光チップ間の境界に対応する位置で前記主走査方向に複数の前記分割単位に分割し、前記ディザ処理された画像データの画像を、該分割単位毎に前記スキュー量に応じて副走査方向にシフトさせる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記解像度変更手段は、
前記スキュー量が大きいほど高解像度のディザマトリクスを設定する第1設定手段と、
濃度補正に用いる多階調の基本画像の画像データを、設定された前記ディザマトリクスを用いてディザ処理するディザ処理手段と、
ディザ処理された前記基本画像の画像データを、前記濃度補正用画像の画像データとして前記補正手段に出力する第2出力手段と、
該濃度補正用画像の解像度に応じて、画像形成装置本体の駆動条件を設定する第2設定手段と、
を備えた請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記補正手段は、
前記ディザ処理された画像データにおける、主走査方向の1ライン分のライン画像データの各々を格納した複数のラインメモリと、
前記スキュー量に応じて、前記複数のラインメモリの内の何れかに格納されたライン画像データから前記分割単位毎に画素データ群を読取り、前記第1出力手段に出力する読出し制御手段と、
を有する、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記駆動条件は、前記感光体の回転速度、前記濃度補正用画像の画像データを前記補正手段に出力するときの転送レート、前記複数のラインメモリの更新周期、主走査方向の1ライン分の画像形成時における前記発光素子の発光時間の割合、及び前記発光素子を駆動するための駆動電流の少なくとも1つである請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−15570(P2013−15570A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146375(P2011−146375)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】