説明

画像形成装置

【課題】フレームとかみ合う爪を有する外装部品を有する画像形成装置において、爪の破損を低減すること。
【解決手段】補強部材21においては、XZ平面に沿って延びる複数の面(面211、面212、面213)が階段状に形成されている。補強部材21は、これら複数の面のうち、最下段の面の裏面において、底板13と溶接されている。補強部材21の背面側の端部は、Y軸正方向に屈曲している。補強部材21の背面側における屈曲部214の高さ(底板13の最低部からの高さ)はh2である。ここで、h2>h1である。また、屈曲部131と屈曲部214とは、Z方向において離間しており、その間隔はd1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成装置において、支持脚にかかる荷重が相互に等しくなるように、装置内部の各ユニットを配置する技術が記載されている。また、支持脚にかかる荷重の分布状態に合わせて、支持脚の弾性率を相互に異ならせる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−160081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、フレームとかみ合う爪を有する外装部品を有する画像形成装置において、爪の破損を低減する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る画像形成装置は、フレームを形成する柱と、前記フレームを形成する底板と、前記底板に接合され、第1方向において前記底板と離間している領域を有する補強部材と、前記領域において前記補強部材とかみ合う爪を有する外装部品とを有する。
【0006】
請求項2に係る画像形成装置は、前記底板に設けられた脚部を有し、前記補強部材は、前記脚部に対応する位置まで延びており、前記爪は、前記領域のうち、前記脚部と前記柱の間において前記補強部材とかみ合う。
【0007】
請求項3に係る画像形成装置において、前記脚部が下になるように前記画像形成装置を設置した場合、前記爪は、前記領域の上から前記補強部材とかみ合い、前記補強部材の前記爪がかみ合う部分は、前記底板の対応する部分よりも上まで延びている。
【0008】
請求項4に係る画像形成装置において、前記補強部材は、前記底板に対して第2方向において接合され、前記補強部材は、前記第2方向の厚みが前記底板よりも厚い。
【0009】
請求項5に係る画像形成装置において、前記フレームは、前記底板が広がる方向に対してある角度で接合された第1壁を有し、前記補強部材は、前記第1壁に接合されている。
【0010】
請求項6に係る画像形成装置において、前記底板は、階段状の形状を有している。
【0011】
請求項7に係る画像形成装置において、前記フレームは、前記底板が広がる方向に対してある角度で接合され、前記第1壁と異なる方向に広がる第2壁を有し、前記補強部材は、前記第1壁および前記第2壁に接合されている。
【0012】
請求項8に係る画像形成装置において、前記底板は、孔を有し、前記補強部材は、前記孔を覆う形状を有している。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る画像形成装置によれば、補強部材を有さない構成と比較して、爪の破損を低減することができる。
請求項2に係る画像形成装置によれば、脚部に力が加えられた場合において、補強部材を有さない構成と比較して、爪の破損を低減することができる。
請求項3に係る画像形成装置によれば、補強部材の爪がかみ合う部分が底板の対応する部分の上まで延びていない場合と比較して、爪の破損を低減することができる。
請求項4に係る画像形成装置によれば、補強部材が底板よりも薄い場合と比較して、脚部付近の強度を向上させることができる。
請求項5に係る画像形成装置によれば、補強部材が第1壁に接合されていない場合と比較して、脚部付近の強度を向上させることができる。
請求項6に係る画像形成装置によれば、補強部材が階段状の形状を有していない場合と比較して、脚部付近の強度を向上させることができる。
請求項7に係る画像形成装置によれば、補強部材が第2壁に接合されていない場合と比較して、脚部付近の強度を向上させることができる。
請求項8に係る画像形成装置によれば、補強部材が孔を覆わない形状を有している場合と比較して、画像形成装置内部から外部への物質の漏洩を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態に係る画像形成装置1の外観を示す斜視図。
【図2】画像形成装置1のフレームの概観の一例を示す斜視図。
【図3】補強部材21付近の拡大図。
【図4】図3のX−X断面における構造を示す図。
【図5】補強部材21における応力の伝達方向を示す模式図。
【図6】底板13を下から見た斜視図。
【図7】補強部材21の外観を示す図。
【図8】補強部材21の外観を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の外観を示す斜視図である。画像形成装置1は、複写機、プリンタ、スキャナ及びファクシミリとして機能する装置である。画像形成装置1は、用紙収納部2および操作パネル3を有する。以下では、画像形成装置1の構成要素間の位置関係を説明するため、3次元直交座標系を用いる。画像形成装置1を操作するユーザが画像形成装置1を正面(操作パネル3に正対する向き)から見たときの右方向がX軸、高さ方向(鉛直上向き)をY軸、奥行き方向(奥から手前に向かう向き)がZ軸の、それぞれ正方向である。用紙収納部2は、用紙(記録媒体の一例)を収納する容器である。操作パネル3は、画像形成装置1を操作するためのメニュー画面またはメッセージを表示し、ユーザからの各種指示または各種操作を受け付ける。画像形成装置1は、筐体と、内部機器とを有する。筐体は、フレームと外装部品とを有する。内部機器は、画像形成装置としての機能を実現するための機器であり、例えば、電子部品、感光体ドラム、及びローラーを含む。
【0016】
図2は、画像形成装置1のフレームの概観の一例を示す斜視図である。この図は、画像形成装置1の背面側から見た図である。フレームは、背板12、底板13、柱14、柱15、柱16、梁17、梁18、梁19、支持部材20、及び補強部材21を有する(図2において補強部材21は省略されている)。これらの部材は、例えば亜鉛めっき鋼板により形成されている。背板12は、画像形成装置1の背面のXY平面上に設けられる。背板12は、矩形の部材であり、底面側において底板13と溶接されている。背板12の外周は、底板13と溶接される辺を除いて、Z軸負方向に屈曲している。画像形成装置1の背面には、屈曲した背板12と底板13とで囲まれた空間が形成される。底板13には、二つのフット41(脚部の一例)がY軸負方向に向かって突出するようにネジ止めされている。画像形成装置1を床面に設置する際、底板13から突出する2つのフット41と、図示されていない画像形成装置1の正面の底板から突出する2つのフットとが、フレーム(すなわち画像形成装置1)を支持する。柱14、柱15、及び柱16は、Y軸方向に沿って延びる部材である。柱14及び柱15は、画像形成装置1の正面の柱となる部材である。柱14は、画像形成装置1を正面から見て右端に設けられ、柱15は、左端に設けられる。柱16は、画像形成装置1を正面から見て、背板12の左上端部分に設けられる。柱16は、底面側の一部が背板12と底板13とで囲まれた空間に入り込んでおり、背板12に溶接及びネジ止めされている。梁17、梁18、及び梁19は、Z軸方向に沿って延びる部材である。梁17は、一端が柱14の上端に、他端が背板12にネジ止めされている。梁18は、一端が柱15に、他端が背板12にネジ止めされている。梁19は、一端が柱15の上端に、他端が柱16の上端にネジ止めされている。支持部材20は、Z軸方向に沿って延び、フレームの両側面となる部材である。一方の側面の支持部材20は、背板12及び柱14にネジ止めされている。図示されていない、他方の側面のトレー支持部材は、背板12及び柱15にネジ止めされている。支持部材20は、筐体の内部側に、用紙収納部2をZ軸方向に滑らせるためのレールを有しており、用紙収納部2を支持する。補強部材21は、底板13を補強する部材である。なお、図2においては、図面が煩雑になるのを避けるため、ネジ穴等の詳細な形状は省略されている。
【0017】
図3は、補強部材21付近の拡大図を示す。なお、この図では、柱16は省略されている。この図には、底板13、補強部材21、およびカバー31が示されている。カバー31は、外装部品の一例である。この例で、カバー31は、合成樹脂により形成されている。カバー31は、フレームとかみ合わせるための爪311を有する。爪311は、補強部材21とかみ合わせられている。
【0018】
図4は、図3のX−X断面における、底板13、補強部材21、およびカバー31の構造を示す図である。底板13は、XZ平面に沿って延びる平板である。底板13の厚み(Y軸方向(第2方向の一例)の厚み)は1.0mmである。底板13の背面側の端部および正面側の端部は、それぞれY軸正方向に屈曲している。底板13の背面側における屈曲部131の高さ(底板13の最低部からの高さ)はh1である。高さh1は、12mmである。また、底板13は、絞り132を有する。絞り132は、他の部分よりもY軸正方向に突出した部分であり、底板13における応力を分散させるために設けられている。補強部材21においては、XZ平面に沿って延びる複数の面(面211、面212、面213)が階段状に形成されている。補強部材21は、これら複数の面のうち、最下段の面の裏面において、底板13と溶接されている。補強部材21は、底板13に対してY軸正方向(上)おいて接合されており、上に位置する。補強部材21の背面側の端部は、Y軸正方向に屈曲している。補強部材21の背面側における屈曲部214の高さ(底板13の最低部からの高さ)はh2である。ここで、h2>h1であり、具体的には、高さh2は13mmである。すなわち、高さh2と高さh1との差は、1.0mmである。また、屈曲部131と屈曲部214とは、Z方向(第1方向の一例)において離間しており、その間隔はd1である。間隔d1は、例えば1.9mmである。また、屈曲部214から面213までの距離d2は、28.1mmである。補強部材21において、面213よりも正面側の部分はY軸正方向に屈曲している。この屈曲部215と、底板13の正面側における屈曲部133とはZ軸方向において離間しており、その距離はd3である。
【0019】
カバー31において、爪311はZ軸正方向に延びている。爪311の先端は、Y軸負方向に屈曲している。爪311の屈曲した先端部分が、補強部材21の屈曲部214とかみ合っている。すなわち、(フット41が下になるように画像形成装置1を設置した場合)爪311は、屈曲部131と屈曲部214とが離間している領域の上から、補強部材21とかみ合っている。既に説明したように、屈曲部214は屈曲部131よりも高い位置まで延びている。すなわち、補強部材21において、爪311がかみ合う部分は、屈曲部131(底板13の対応する部分)よりも上まで延びている。
【0020】
例えば、画像形成装置1の運搬中など、フット41に不測の力が加えられる場合がある。このような場合、フット41に加えられた力により、底板13は変形する。このとき、特に底板13と補強部材21とが離間している領域においては、底板13の変形よりも補強部材21の変形の方が小さくなる。補強部材21を有さず、爪311が底板13と直接かみ合う場合、底板13の変形により、爪311が破損してしまう場合がある。画像形成装置1においては、補強部材21を有さない場合と比較して、爪311の破損が低減される。
【0021】
再び図3を参照する。屈曲部131と屈曲部214とが離間している領域は、X軸方向に沿って延びている。底板13は、フット41を取り付けるための孔を有している(この孔は図3においては見えない)。フット41はネジ部を有しており、底板13の孔は、フット41のネジ部に応じたネジ溝を有している。フット41は、底板13にネジ止めされる。補強部材21は、フット41が取り付けられる位置(フット41に相当する位置)まで延びており、底板13のネジ孔に相当する位置に孔216を有している。孔216はネジ溝を有しておらず、フット41は補強部材21に対しては固定されない。また、補強部材21は、フット41に対応する位置に絞り217を有している。爪311は、X軸方向においては、フット41の位置と柱16の位置との間において、補強部材21とかみ合っている。補強部材21と底板13とは、爪311とかみ合う部分とフット41との間の部分(図3の点A)、および爪311と柱16との間の部分(図3の点B)において溶接されている。
【0022】
図5は、補強部材21における応力の伝達方向を示す模式図である。補強部材21は、背板12および柱16に溶接により接合されている。背板12および柱16は、それぞれ、底板13が広がる方向(XZ平面)に対して決められた角度(例えば垂直)に接合されている。背板12は、XY平面に平行な壁面(第1壁の一例)を構成する。柱16は、YZ平面に平行な壁面(第2壁の一例)を構成する。フット41に加えられた力は、補強部材21を介して背板12および柱16に分散して伝達される。
【0023】
図6は、底板13を下から見た斜視図である。底板13は、孔134を有している。孔134は、例えば底板13を他の構造の画像形成装置に転用したときに、部品をはめ合わせるための孔である。補強部材21は、孔134を覆う(孔をふさぐ)形状を有している。補強部材21が孔134を覆わない形状を有していると、例えば、画像形成装置の内部が故障により発熱した場合、溶けた化学物質が孔134を介して画像形成装置の外部に漏洩することがある。しかし、補強部材21が孔134を覆う形状を有していれば、孔134を覆わない場合と比較して、化学物質の漏洩が低減する。
【0024】
図7および図8は、補強部材21の外観を示す図である。補強部材21は、階段状の形状に加え、リブ(リブ218a〜c)を有している。これら複数のリブにより、図5に示される応力の伝達方向が決められる。
【0025】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち、2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0026】
底板13の形状は実施形態で説明したものに限定されない。例えば、底板13は、フット41を取り付けるための孔134を有していなくてもよい。また、底板13は、絞り132を有していなくてもよい。
【0027】
補強部材21の形状は実施形態で説明したものに限定されない。例えば、補強部材21は、階段状の形状やリブを有していなくてもよい。また、補強部材21は、背板12および柱16のうち少なくともいずれか一方と接合されていなくてもよい。
【0028】
実施形態で説明した部材の寸法および部材同士が接合されている角度はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0029】
1…画像形成装置、2…用紙収納部、3…操作パネル、12…背板、13…底板、14…柱、15…柱、16…柱、17…梁、18…梁、19…梁、20…支持部材、21…補強部材、31…カバー、41…フット、131…屈曲部、132…絞り、133…屈曲部、134…孔、211…面、212…面、213…面、214…屈曲部、215…屈曲部、216…孔、217…絞り、218…リブ、311…爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームを形成する柱と、
前記フレームを形成する底板と、
前記底板に接合され、第1方向において前記底板と離間している領域を有する補強部材と、
前記領域において前記補強部材とかみ合う爪を有する外装部品と
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記底板に設けられた脚部を有し、
前記補強部材は、前記脚部に対応する位置まで延びており、
前記爪は、前記領域のうち、前記脚部と前記柱の間において前記補強部材とかみ合う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記脚部が下になるように前記画像形成装置を設置した場合、
前記爪は、前記領域の上から前記補強部材とかみ合い、
前記補強部材の前記爪がかみ合う部分は、前記底板の対応する部分よりも上まで延びている
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記補強部材は、前記底板に対して第2方向において接合され、
前記補強部材は、前記第2方向の厚みが前記底板よりも厚い
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記フレームは、前記底板が広がる方向に対してある角度で接合された第1壁を有し、
前記補強部材は、前記第1壁に接合されている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記底板は、階段状の形状を有している
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記フレームは、前記底板が広がる方向に対してある角度で接合され、前記第1壁と異なる方向に広がる第2壁を有し、
前記補強部材は、前記第1壁および前記第2壁に接合されている
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記底板は、孔を有し、
前記補強部材は、前記孔を覆う形状を有している
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−24974(P2013−24974A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157939(P2011−157939)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】