説明

画像形成装置

【課題】両面印刷時に用紙を反転させる用紙反転経路を有し、連続して両面印刷を行う場合に先行の用紙を反転させるための間隔を空けて後続の用紙を給紙する画像形成装置において、両面印刷と片面印刷が混在したときの生産性向上及び寿命向上を図る。
【解決手段】連続して両面印刷を行う場合には、先行の用紙を反転させるための間隔を空けて後続の用紙を給紙トレイから給紙する画像形成装置であって、片面印刷の後に両面印刷が要求されているか否かを判断し、片面印刷の後に両面印刷が要求されていると判断した場合には、少なくとも一枚の片面印刷を、両面印刷における一方の面の画像形成の後、他方の面が画像形成される前に行うように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、両面印刷可能な画像形成装置においては、用紙反転経路を備え、原稿の一方の画像面を用紙の一方の面(第1面という)に形成した後に、用紙反転経路によって用紙を反転させ、再給紙して原稿の他方の画像面を用紙の他方の面(第2面という)に画像形成している。
【0003】
このような画像形成装置においては、用紙反転経路内に複数枚の用紙を内蔵(保持)可能とし、両面印刷を開始したときには、図13に示すように、まず内蔵可能な枚数の第1面の画像形成を繰り返し、次いで、第2面の画像形成を行うようにしている。給紙の際には、用紙反転経路で用紙を反転させる時間を確保するため、一般的に、先行の用紙を反転させるために用紙一枚分の間隔を空けて後続の用紙を給紙している。
【0004】
このような用紙反転路内に複数枚の用紙を内蔵可能な画像形成装置において、片面印刷と両面印刷が混在する場合の生産性の向上を図るための各種技術が提案されている。例えば、特許文献1には、片面印刷、両面印刷が混在する場合、用紙反転経路内に可能な限り両面印刷の第1面を搬送させ、その後、片面と両面印刷の第2面を印刷順序に従って印刷する技術が記載されている。また、特許文献2には、両面の印刷終了のタイミングにおいて、次の原稿が片面で、かつ、更に次の原稿が両面であるとき、両面の枚数より片面の枚数のほうが小さい場合は、用紙の一方の面に画像形成を行い、もう一方の面に白紙画像形成を行うことで、両面印刷を継続する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−57409号公報
【特許文献2】特開2001−282050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、両面の連続印刷枚数が少ない場合のみ生産性が向上し、逆に、特許文献2に記載の技術においては、片面の連続印刷枚数が少ない場合にのみ生産性が向上する。何れの技術も、両面と片面の両方の連続印刷枚数が多い場合には生産性は向上しない。
【0007】
また、用紙反転経路で用紙を反転させる時間を確保するために給紙間隔を空けているときには現像装置や感光体は空回転しているが、この空回転は寿命に影響を及ぼすため、寿命の向上を図るには、この空回転を少なくするように給紙を行う必要がある。給紙間隔を空けない構成とすることも可能であるが、その場合は、用紙反転経路の搬送速度を上げる必要があり、より高価なモータを使用するためコスト高となる。また、そのモータは用紙を噛んでいるローラーの状態に応じて加速減速を繰り返すため、騒音にもつながるので好ましくない。
【0008】
本発明の課題は、両面印刷時に用紙を反転させる用紙反転経路を有し、連続して両面印刷を行う場合に先行の用紙を反転させるための間隔を空けて後続の用紙を給紙する画像形成装置において、両面印刷と片面印刷が混在したときの生産性向上及び寿命向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
用紙に画像を形成する画像形成部と、給紙トレイから用紙を給紙し、片面印刷時には前記画像形成部において一方の面に画像が形成された用紙を排出口に搬送し、両面印刷時には前記画像形成部により一方の面に画像が形成された用紙を用紙反転経路で反転して前記画像形成部に再給紙し、両面に画像が形成された用紙を排出口に搬送する搬送部と、を備え、前記用紙反転経路は、複数枚の用紙を保持可能であり、前記搬送部は、連続して両面印刷を行う場合には、先行の用紙を反転させるための間隔を空けて後続の用紙を前記給紙トレイから給紙する画像形成装置であって、
片面印刷の後に両面印刷が要求されているか否かを判断し、片面印刷の後に両面印刷が要求されていると判断した場合には、少なくとも一枚の片面印刷を、前記両面印刷における一方の面の画像形成の後、他方の面が画像形成される前に行うように制御する制御部を備える。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載発明において、
前記制御部は、連続する複数枚の片面印刷の後に、連続する複数枚の両面印刷が要求されている場合には、前記片面印刷の残りの枚数が前記用紙反転経路に現在収納可能な用紙枚数を下回っているか否かを判断し、下回っていると判断した場合に、前記両面印刷における一方の面の画像形成と前記残りの片面印刷とをこの順序で交互に行うように制御する。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載発明において、
前記制御部は、片面印刷の後に両面印刷が要求されている場合には、前記片面印刷のうち最後の片面印刷を最初の両面印刷における一方の面の画像形成の次に行うように制御する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、両面印刷時に用紙を反転させる用紙反転経路を有し、連続して両面印刷を行う場合に先行の用紙を反転させるための間隔を空けて後続の用紙を給紙する画像形成装置において、両面印刷と片面印刷が混在したときの生産性向上及び寿命向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像形成装置の概略構成例を示す図である。
【図2】画像形成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】印刷要求バッファーの構成及び動作を説明するための図である。
【図4】第1の実施の形態において図2のエンジン制御部により実行される印刷制御処理Aを示すフローチャートである。
【図5】印刷制御処理AでA4、片面5枚、両面10枚のジョブに基づく印刷を行った場合のジョブ開始からの各時間において印刷される面及びトータルの印刷所要時間を示す図である。
【図6】A4、片面5枚、両面10枚のジョブに基づく印刷を並び替えを行わずに行った場合のジョブ開始からの各時間において印刷される面及びトータルの印刷所要時間を示す図である。
【図7】第2の実施の形態において図2のエンジン制御部により実行される印刷制御処理Bを示すフローチャートである。
【図8】印刷制御処理BによってA4サイズ、片面5枚、両面10枚のジョブに基づく印刷を行った場合のジョブ開始からの各時間における処理内容および処理時間を示す図である。
【図9】印刷制御処理BによってA4サイズ、片面5枚、両面10枚のジョブに基づく印刷を行った場合であって、印刷要求が印刷中に追加されていく場合の、ジョブ開始からの各時間における処理内容およびトータルの所要時間を示す図である。
【図10】印刷制御処理BによってA3サイズ、片面5枚、両面10枚のジョブに基づく印刷を行った場合のジョブ開始からの各時間における処理内容およびトータルの所要時間を示す図である。
【図11】印刷制御処理BによってA4サイズ、片面1枚、両面5枚、片面1枚を2部印刷するジョブに基づいて印刷を行った場合のジョブ開始からの各時間における処理内容およびトータルの所要時間を示す図である。
【図12】印刷制御処理BによってA4サイズ、片面1枚、両面5枚、片面1枚を2部印刷及び後処理するジョブに基づいて印刷を行った場合のジョブ開始からの各時間における処理内容およびトータルの所要時間を示す図である。
【図13】A4両面印刷10枚を行った場合のジョブ開始からの各時間における処理内容およびトータルの所要時間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0015】
[第1の実施の形態]
先ず、図1を参照して、本実施の形態の画像形成装置100の装置構成を説明する。図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成装置本体101と、画像形成装置本体101の上部の画像読取装置102と、を備える。画像読取装置102は、ADF(Auto Document feeder)装置201と、スキャナ装置202と、を備える。
【0016】
ADF装置201の原稿台dに載置された原稿は搬送手段により搬送され、スキャナ装置202の光学系により原稿の片面又は両面の画像が走査露光され、原稿画像を反映する入射光がラインイメージセンサCCDに読み込まれる。
【0017】
上記ラインイメージセンサCCDにより光電変換されたアナログ画像信号は、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正及び画像圧縮処理等が施され、デジタルの画像データとなる。このデジタルの画像データ(デジタル画像データ)は、画像書き込みユニット3Y,3M,3C,3Kへ入力される。以下、各部の符号のY、M、C、Kは、それぞれ順に、イエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色を表すものとする。
【0018】
画像形成装置本体101は、複数の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kが縦列に配置されたタンデム型のカラー用の画像形成装置であり、画像形成部103、紙搬送部104を備える。
【0019】
画像形成部103は、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kと、像担持体としての中間転写体6と、2次転写ローラー7Aと、中間転写体用クリーニング手段8Aと、トナー像を定着させるための定着装置17と、を備える。
紙搬送部104は、給紙トレイ20A,20B,20C、給紙トレイ20A,20B,20Cにそれぞれ設けられている送り出しローラー21及び給紙ローラー22A、搬送ローラー22B,22C,22D、レジストローラー23、排紙ローラー24、排紙ゲート26、反転ゲート28、反転ローラー29等を備える。
【0020】
感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの各々は、それぞれ順に、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kに設けられている。
【0021】
Y色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、Y色のトナー像が形成される感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配置された、感光体ドラム1Y表面を帯電するY色用の帯電手段2Yと、その帯電面に画像パターンを露光して静電潜像を形成する画像書き込みユニット3Yと、その潜像面をY色のトナーで現像しトナー像を形成する現像装置4Yと、中間転写体6へのトナー像の転写後にトナーを除去する感光体ドラム用クリーニング手段8Yと、を有する。
【0022】
M色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、同様に、M色のトナー像が形成される感光体ドラム1Mと、感光体ドラム1Mの周囲に配置されたM色用の帯電手段2M、画像書き込みユニット3M、現像装置4M及び感光体ドラム用クリーニング手段8Mを有する。
【0023】
C色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、同様に、C色のトナー像が形成される感光体ドラム1Cと、感光体ドラム1Cの周囲に配置されたC色用の帯電手段2C、画像書き込みユニット3C、現像装置4C及び感光体ドラム用クリーニング手段8Cを有する。
【0024】
K色の画像を形成する画像形成ユニット10Kは、同様に、K色のトナー像が形成される感光体ドラム1K、感光体ドラム1Kの周囲に配置されたK色用の帯電手段2K、画像書き込みユニット3K、現像装置4K及び感光体ドラム用クリーニング手段8Kを有する。
【0025】
帯電手段2Y及び画像書き込みユニット3Yと、帯電手段2M及び画像書き込みユニット3Mと、帯電手段2C及び画像書き込みユニット3Cと、帯電手段2K及び画像書き込みユニット3Kとは、それぞれ、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに色毎の静電潜像を形成する。
【0026】
画像書き込みユニット3Y,3M,3C,3Kの各々は、デジタル画像データに基づくレーザー光を出力するレーザー出力部とレーザー光を主走査方向に走査させる走査ミラー(ポリゴンミラー)と、ポリゴンミラーを回転させるポリゴンモータとを有する。具体的には、画像書き込みユニット3Y,3M,3C,3Kの各々は、デジタル画像データに基づくレーザー光をポリゴンミラーにより走査して、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kを露光する。これにより、感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上に画像の潜像(静電潜像)が形成される。
【0027】
現像装置4Y,4M,4C,4Kは、静電潜像が形成された感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの表面に帯電したトナーを付着させて静電潜像を現像する。現像装置4Y,4M,4C,4Kによる現像は、使用するトナー極性と同極性(本実施の形態においては、負極性)の直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスを用いた反転現像に基づくものである。
【0028】
像担持体としての中間転写体6は、環状のベルト部が回転動作可能に保持される。現像装置4Y,4M,4C,4Kにより感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上に形成されたトナー像は、中間転写体6の表面に転写される。
【0029】
ここで、上記した画像形成装置100による画像形成プロセスの概要について述べる。画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kにより形成された各色の画像は、使用するトナーと反対極性(本実施の形態においては、正極性)の1次転写バイアスが印加される1次転写ローラー7Y,7M,7C,7Kにより、回転動作する中間転写体6のベルト表面に逐次転写されて(1次転写)、合成されたカラー画像(カラートナー像)が形成される。カラー画像は中間転写体6から用紙Pへ転写される。
【0030】
給紙トレイ20A,20B,20C内に収容された用紙Pは、給紙トレイ20A,20B,20Cにそれぞれ設けられている送り出しローラー21及び給紙ローラー22Aにより給紙され、搬送ローラー22B,22C,22D、レジストローラー23等を経て、2次転写ローラー7Aに搬送され、用紙Pの一方の面(第1面)にカラー画像が転写される(2次転写)。
【0031】
そして、定着装置17により用紙Pが加熱されてカラー画像が用紙Pに定着される。これにより、用紙Pにカラー画像が画像形成される。そして、画像形成された用紙Pは、片面印刷時には排紙ゲート26により排紙経路26Aに導かれ、排紙ローラー24により挟持搬送されて排出口から機外の排紙トレイ25に排出される。転写後の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの周面上に残る転写残トナーは、感光体ドラム用クリーニング手段8Y,8M,8C,8Kによりクリーニングされ次の画像形成サイクルに移行する。
【0032】
両面印刷時には、第1面に画像形成され定着装置17から排出された用紙Pは、排紙ゲート26が切り換えられることにより排紙経路26Aから分岐され、通紙路27Aを経て反転ゲート28により反転搬送路27Bに導かれる。そして用紙Pは、反転ローラー29を通過した後、反転ローラー29の逆転により逆方向に搬送される。そして、用紙Pは、反転ゲート28が再給紙経路27C側に切り換えられることにより再給紙経路27Cに搬送され、搬送ローラー22Dにおいて合流する。反転ゲート28の再給紙経路27C側への切り換えとともに、排紙ゲート26は排紙経路26Aに切り換えられる。
【0033】
反転搬送された用紙Pは、レジストローラー23を経て再度2次転写ローラー7Aに搬送され、他方の面(第2面)にカラー画像が転写される。カラー画像が転写された用紙Pは、定着装置17により定着処理され、排紙ローラー24に挟持搬送されて機外の排紙トレイ25に排出される。一方、2次転写ローラー7Aにより用紙Pにカラー画像が転写された後、用紙Pが分離された中間転写体6は、中間転写体用クリーニング手段8Aにより残留トナーが除去される。
【0034】
本実施の形態では、片面印刷と共通の経路からはずれた、用紙を反転させるための経路(通紙路27A、反転搬送路27B及び再給紙経路27C)を総称して用紙反転経路という。用紙反転経路は複数枚の用紙を内蔵可能(保持)に構成されており、両面印刷が連続している場合には、生産性を向上させるため、まず用紙反転経路に内蔵可能な枚数の第1面の画像形成が繰り返され、次いで第2面の画像形成が行われる。第1面用に連続給紙する際には、反転ローラー29で先行の用紙を反転させるための時間を確保するため、用紙1枚分の間隔を空けて後続の用紙の給紙が行われる。用紙が反転された後は、反転された用紙と先行の用紙との間隔は調整され、連続して第2面用に再給紙することも可能となる。
ここで、本実施の形態において、用紙反転経路に内蔵可能な用紙枚数の上限は、A4が4枚、A3が3枚とする。
【0035】
次に、図2を参照して、画像形成装置100の制御ブロック図について説明する。
図2に示すように、画像形成装置100は、制御系として、全体制御部31と、エンジン制御部32と、スキャナ制御部33と、ADF制御部34と、を備えている。
【0036】
全体制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。具体的には、全体制御部31は、ROMに格納されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムを読み出してRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で各種処理を実行し、バスにより接続されたエンジン制御部32、スキャナ制御部33、ADF制御部34を介して画像形成装置100の各部を集中制御する。
【0037】
例えば、全体制御部31は、操作表示部301から画像形成条件等が入力されるとともに、スキャナ装置202により原稿の画像データが入力される(ジョブ情報が入力される)と、入力されたジョブ情報に基づいて印刷要求データ(以下、印刷要求という)を生成し、エンジン制御部32に出力する。印刷要求には、印刷対象の画像データを特定するための情報(例えば、画像ID)や、画像形成条件(例えば、片面印刷/両面印刷、用紙サイズ、濃度等)の情報が含まれる。
【0038】
エンジン制御部32は、CPU、ROM、RAM等により構成される。エンジン制御部32は、画像形成部103及び紙搬送部104に接続されており、全体制御部31からの印刷要求に基づいて、CPUとROMに格納されているプログラムとの協働により画像形成部103及び紙搬送部104を制御し、印刷を行わせる。
【0039】
具体的に、エンジン制御部32は、全体制御部31から受信した印刷要求を格納するための印刷要求バッファー321を有しており、印刷要求バッファー321に格納されている印刷要求及び第2面の印刷待ち状況に基づいて後述する印刷制御処理A(図4参照)を実行し、画像形成部103及び紙搬送部104を制御して印刷を行わせる。
【0040】
図3の(a)〜(d)に、印刷要求バッファー321の動作の一例を示す。図3(a)〜(d)に示すように、印刷要求バッファー321は、印刷要求を格納するための複数のバッファーを有している。各バッファーには、先頭から昇順にバッファーNO.が対応付けられている。
【0041】
図3(a)は、印刷要求が書き込まれていない印刷要求バッファー321を示している。この状態で全体制御部31から印刷要求1が受信されると、図3(b)に示すように、NO.1のバッファーに印刷要求1が書き込まれる。次いで、この状態で全体制御部31から印刷要求2が受信されると、図3(c)に示すように、バッファーNO.2のバッファーに印刷要求2が書き込まれる。ここで、先頭のバッファーNO.1の印刷要求1に基づいて給紙が行われると、図3(d)に示すように、印刷要求1が印刷要求バッファー321から削除される。印刷要求バッファー321に格納されている残りの印刷要求(ここでは印刷要求2)のバッファーNO.は繰り上げられる。
【0042】
即ち、エンジン制御部32は、全体制御部31から印刷要求を受信すると、受信した印刷要求を印刷要求バッファー321の先頭のバッファー(NO.の小さいバッファー)から順に書き込んでいき、末尾のバッファー(ここではNO.5のバッファー)まで印刷要求の書き込みが終了すると、全体制御部31からの印刷要求の受信を停止する。所定のタイミングになると、エンジン制御部32は、印刷制御処理Aで決定したNO.のバッファーから印刷要求を取り出し、印刷要求の内容に基づいて画像形成部103に画像形成を行わせるとともに紙搬送部104に用紙の給紙を行わせた後、その印刷要求を削除する。
【0043】
なお、両面印刷の印刷要求(両面印刷要求)の場合は、印刷要求に基づいて第1面の印刷を行った後、エンジン制御部32は、その印刷要求に含まれる第2面に関する情報(第2面に印刷すべき画像の画像ID等)をRAMの所定領域に記憶し、用紙反転経路に現在収納されている用紙の枚数や現在収納されている各用紙の第2面に印刷すべき画像データを特定する情報等を管理する。第2面に関する情報は、例えば、上述の印刷要求バッファー321のように、先に入ってきたものから順に番号を付して管理され、印刷が終了すると削除される。
【0044】
スキャナ制御部33は、スキャナ装置202に接続されており、全体制御部31からの指示に従ってスキャナ装置202の動作を制御する。
ADF制御部34は、ADF装置201に接続されており、全体制御部31からの指示に従ってADF装置201の動作を制御する。
【0045】
操作表示部301は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、全体制御部31から入力される表示信号の指示に従って表示画面上に各種操作ボタンや装置の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。LCDの表示画面上は、透明電極を格子状に配置して構成された感圧式(抵抗膜圧式)のタッチパネルに覆われており、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号として全体制御部31に出力する。また、操作表示部301は、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備え、ボタン操作による操作信号を全体制御部31に出力する。
【0046】
次に、画像形成装置100の動作について説明する。
図4に、エンジン制御部32により実行される印刷制御処理Aのフローチャートを示す。この印刷制御処理Aは、全体制御部31からジョブ開始が通知された際に実行される。
【0047】
まず、印刷要求バッファー321に印刷要求が存在するか否か、又は、第2面の印刷待ちの用紙が存在するか否かが判断される(ステップS1)。第2面の印刷待ちの用紙が存在するか否かは、用紙反転経路に用紙が存在するか否かにより判断される。これは、例えば、RAMの所定領域に第2面に関する情報が格納されているか否かにより判断することができる。
【0048】
印刷要求バッファー321に印刷要求が存在する、又は、第2面の印刷待ちの用紙が存在すると判断されると(ステップS1;YES)、次の印刷(P1とする)が片面印刷か否かが判断される(ステップS2)。
ここで、次の印刷P1の内容は、以下のようにして判断される。
まず、第2面の印刷待ちの用紙が存在する場合、印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求が参照され、NO.1の印刷要求が片面印刷か両面印刷かが判断される。印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求が片面印刷である場合は、次の印刷P1は両面印刷の第2面であると判断される。ここで、第2面の印刷待ちの用紙が存在する場合に先に片面を印刷してしまうと画像形成された用紙の排出順序に狂いが生じる。そのため、第2面の印刷待ちの用紙が存在する場合には、片面印刷を行う前に第2面の印刷待ちの用紙に第2面の印刷を行う。一方、第2面の印刷待ちの用紙が存在する場合であって印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求が両面印刷であると判断された場合、現在用紙反転経路に収納されている用紙枚数が内蔵可能枚数の上限であるか否かが判断され、内蔵可能枚数の上限であると判断されると、次の印刷P1は両面印刷の第2面であると判断される。内蔵可能枚数の上限ではないと判断されると、次の印刷P1は両面印刷の第1面であると判断される。
一方、第2面の印刷待ちの用紙が存在しない場合、印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求が参照され、NO.1の印刷要求が片面印刷の場合は、次の印刷P1は片面印刷であると判断され、NO.1の印刷要求が両面印刷の場合は、次の印刷P1は両面の第1面の印刷であると判断される。
【0049】
次の印刷P1が片面印刷ではない、即ち、両面の第1面又は第2面あると判断されると(ステップS2;NO)、処理はステップS4に移行する。
次の印刷P1が片面印刷であると判断されると(ステップS2;YES)、次の次の印刷(P2とする)が両面印刷の第1面であるか否かが判断される(ステップS3)。次の次の印刷P2が両面印刷の第1面であるか否かの判断は、上述のように、用紙反転経路の用紙収納状況(空き状況)と印刷要求バッファー321のNO.2の印刷要求により判断される。次の次の印刷P2が両面の第1面ではないと判断されると(ステップS3;NO)、処理はステップS4に移行する。
【0050】
ステップS4においては、印刷開始タイミングとなるまで待機される(ステップS4)。ここで、印刷開始タイミングは、原則的に、前回の印刷開始時刻から所定時間間隔tが経過した時点であるが、直前の印刷及び印刷P1の双方が両面印刷の第1面である場合は、用紙反転経路で先行の用紙を反転させるための時間間隔tがプラスされる。これにより、用紙1枚分の間隔を空けて第1面印刷用の用紙が給紙される。
【0051】
印刷開始タイミングが到来すると、画像形成部103及び紙搬送部104が制御され、印刷P1が実行される(ステップS5)。
印刷P1が終了すると、印刷P1において両面印刷の第2面が印刷されたか否かが判断され、両面印刷の第2面が印刷されたと判断された場合(ステップS6;YES)、RAMの所定領域の先頭に格納されている第2面に関する情報が削除され(ステップS7)、処理はステップS1に戻る。印刷P1において、両面の第2面以外が印刷されたと判断された場合(ステップS6;NO)、印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求が削除され、第1面の場合は印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求における第2面に関する情報がRAMに格納され(ステップS8)、処理はステップS1に戻る。
【0052】
一方、ステップS3において、次の次の印刷P2が両面印刷の第1面であると判断されると(ステップS3;YES)、印刷開始タイミングとなるまで待機される(ステップS9)。ここで、印刷開始タイミングは、原則的に、前回の印刷開始時刻から所定時間間隔t経過した時点である。
【0053】
印刷開始タイミングが到来すると、画像形成部103及び紙搬送部104が制御され、印刷P2が先に実行される(ステップS10)。そして、印刷要求バッファー321のNO.2の印刷要求が削除されるとともに、印刷要求バッファー321のNO.2の印刷要求における第2面に関する情報がRAMに格納される(ステップS11)。
【0054】
次いで、印刷開始タイミングとなるまで待機され(ステップS12)、印刷開始タイミングが到来すると、画像形成部103及び紙搬送部104が制御され、印刷P1が実行される(ステップS13)。そして、印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求が削除され(ステップS14)、処理はステップS1に戻る。
【0055】
ステップS1において、印刷要求バッファー321に印刷要求が存在せず、かつ、第2面印刷待ちの用紙も用紙反転経路に存在しないと判断されると(ステップS1;NO)、印刷制御処理Aは終了する。
【0056】
図5は、上記印刷制御処理Aによって、A4サイズ、片面5枚、両面10枚のジョブに基づく印刷を行った場合の、ジョブ開始からの経過時間と各時間において印刷する面(片面、両面の第1面、第2面の別)及び排出する用紙(片面、両面の別及び番号)を示す図である。ここで、時間軸の単位は、1枚の用紙の片方の面を印刷するのに必要な単位時間tである(以下に示す図6、図8〜13においても同様である)。
図5に示すように、印刷制御処理Aでは、まず、片面4枚が連続印刷され(時間1〜4)、最後の片面の印刷は、順番を入れ替えて最初の両面印刷の第1面の後に行われる(時間5〜6)。次いで、両面印刷の第1面の印刷が用紙反転経路の内蔵可能枚数の上限まで行われる(時間7〜11)。ここでは、用紙反転経路で用紙を反転させる時間を確保するため、1単位時間空けて次の印刷が行われる。先に第1面を印刷した用紙が用紙反転経路を経由して再給紙位置に戻ってくると、再給紙位置に戻ってきた用紙に対する第2面の印刷と、新たに給紙する用紙に対する第1面の印刷と、が交互に行われる(時間12〜24)。第1面の印刷が全て終了すると、用紙反転経路内の第2面の連続印刷が行われる(時間25〜27)。
【0057】
図6は、A4サイズ、片面5枚、両面10枚を印刷するジョブに基づく印刷を並び替え無しで実行した場合の、ジョブ開始からの経過時間と各時間において印刷する面(片面、両面の第1面、第2面の別)及び排出する用紙(片面、両面の別及び番号)面を示す図である。
図6に示すように、まず、片面5枚が連続印刷され(時間1〜5)、次いで、両面印刷の第1面の印刷が内蔵可能枚数の上限まで行われる(時間6〜12)。ここでは、用紙反転経路で用紙を反転させる時間を確保するため、1単位時間空けて次の印刷が行われる。先に第1面を印刷した用紙が用紙反転経路を経由して再給紙位置に戻ってくると、再給紙位置に戻ってきた用紙に対する第2面の印刷と、新たに給紙する用紙に対する第1面の印刷と、が交互に行われる(時間13〜25)。第1面の印刷が全て終了すると、用紙反転経路内の第2面について連続印刷が行われる(時間26〜28)。
【0058】
図5と図6を比較すると、図6に示すように、従来のように並び替えを行わないで上記ジョブに基づく印刷を行った場合は、トータルで28単位時間かかったのに対し、印刷制御処理Aによる印刷では、図5に示すように、トータルの所要時間は27単位時間であった。即ち、印刷制御処理Aによって印刷を行ったほうが1単位時間だけ所要時間が短くなり、生産性が向上していることがわかる。また、何も印刷しないで現像装置や感光体が空回転している時間が少なくなっていることがわかる。
【0059】
このように、印刷制御処理Aでは、片面印刷の後に両面印刷を行う場合に、最後の片面の印刷を両面の第1面の印刷の後に行うように制御することにより、生産性及び装置寿命を向上させることができる。
【0060】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態の構成は、第1の実施の形態で図1、2を用いて説明したものと同様であるので説明を援用する。以下、第2の実施の形態の動作について説明する。
【0061】
図7に、エンジン制御部32により実行される印刷制御処理Bのフローチャートを示す。この印刷制御処理Bは、全体制御部31からジョブ開始が通知された際に実行される。
【0062】
まず、印刷要求バッファー321に印刷要求が存在するか否か、又は、第2面の印刷待ちの用紙が存在するか否かが判断される(ステップS21)。第2面の印刷待ちの用紙が存在するか否かは、用紙反転経路に用紙が存在するか否かにより判断される。これは、例えば、RAMの所定領域に第2面に関する情報が格納されているか否かにより判断することができる。
【0063】
印刷要求バッファー321に印刷要求が存在する、又は、第2面の印刷待ちの用紙が存在すると判断されると(ステップS21;YES)、次の印刷が第2面の印刷か否かが判断される(ステップS22)。
ここで、次の印刷の内容は、以下のようにして判断される。
まず、第2面の印刷待ちの用紙が存在する場合、印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求が参照され、NO.1の印刷要求が片面印刷か両面印刷かが判断される。印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求が片面印刷である場合は、次の印刷は両面印刷の第2面であると判断される。ここで、第2面の印刷待ちの用紙が存在する場合に片面を印刷してしまうと画像形成された用紙の排出順序に狂いが生じる。そのため、第2面の印刷待ちの用紙が存在する場合には、片面印刷を行う前に第2面の印刷待ちの用紙に第2面の印刷を行う。一方、第2面の印刷待ちの用紙が存在する場合であって印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求が両面印刷であると判断された場合、現在用紙反転経路に収納されている用紙枚数が内蔵可能枚数の上限であるか否かが判断され、内蔵可能枚数の上限であると判断されると、次の印刷は両面印刷の第2面であると判断される。第2面の印刷待ちの用紙が存在する場合であって、現在用紙反転経路に収納されている用紙枚数が内蔵可能枚数の上限ではない場合、若しくは、第2面の印刷待ちの用紙が存在しない場合は、次の印刷が第2面の印刷ではないと判断される。
【0064】
次の印刷が第2面の印刷であると判断されると(ステップS22;YES)、処理はステップS26に移行する。
次の印刷が第2面の印刷ではないと判断されると(ステップS22;NO)、印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求は片面印刷であるか否かが判断される(ステップS23)。印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求が片面印刷ではないと判断されると(ステップS23;NO)、処理はステップS26に移行する。
【0065】
一方、印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求が片面印刷であると判断されると(ステップS23;YES)、印刷要求バッファー321において、バッファーNO.が最小の両面印刷要求の検索が行なわれ、ヒットした場合は、印刷要求のバッファーNO.が変数Aに格納される(ステップS24)。
【0066】
次いで、ステップS24の検索においてヒットした印刷要求が存在し、かつ以下の条件式1が満たされるか否かが判断される(ステップS25)。
条件式1:
(A−1)<(用紙反転経路に内蔵可能な上限枚数−現在用紙反転経路内に収納されている用紙枚数)
上記ステップS25の判断は、一又は連続する複数枚の片面印刷の後に両面印刷が要求されている場合であって、最初の両面印刷要求までに存在する片面印刷の印刷要求の数が用紙反転経路に現在収納可能な用紙枚数を下回っている場合にYESとなる。
上記判断がYESとなった場合、印刷順序を変更して変数Aに格納されているNO.の印刷要求を先に印刷し、次いでNO.1の印刷要求を印刷しても、画像形成された用紙の排出順序が狂うことなく入力された順序で排出を行うことができる。
ステップS24の検索においてヒットした印刷要求が存在しないか、又は条件式1が満たされていないと判断された場合(ステップS25;NO)、処理はステップS26に移行する。
【0067】
ステップS26においては、印刷開始タイミングとなるまで待機される(ステップS26)。印刷開始タイミングは、原則的に、前回の印刷開始時刻から所定時間間隔tが経過した時点であるが、直前の印刷及び今回の印刷の双方が両面印刷の第1面である場合は、用紙反転経路で用紙を反転させる時間を確保するため、さらに、先行の用紙を反転させるための時間間隔tがプラスされる。これにより、用紙1枚分の間隔を空けて第1面印刷用の用紙が給紙される。
【0068】
印刷開始タイミングが到来すると、画像形成部103及び紙搬送部104が制御され、印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求に基づく印刷が実行される(ステップS27)。
【0069】
印刷が終了すると、両面印刷の第2面が印刷されたか否かが判断され、両面印刷の第2面が印刷されたと判断された場合(ステップS28;YES)、RAMの所定領域の先頭に格納されている第2面の情報が削除され(ステップS29)、処理はステップS21に戻る。両面印刷の第2面以外が印刷されたと判断された場合(ステップS28;NO)、印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求が削除され、第1面の場合は印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求における第2面に関する情報がRAMに格納され(ステップS30)、処理はステップS21に戻る。
【0070】
一方、ステップS25において、ステップS24の検索においてヒットした印刷要求が存在し、かつ条件式1が満たされていると判断された場合(ステップS25;YES)、印刷開始タイミングとなるまで待機される(ステップS31)。ここで、印刷開始タイミングは、原則的に、前回の印刷開始時刻から所定時間間隔t経過した時点である。
【0071】
印刷開始タイミングが到来すると、画像形成部103及び紙搬送部104が制御され、印刷要求バッファー321のNO.Aの印刷要求に基づく第一面の印刷が行われる(ステップS32)。そして、印刷要求バッファー321のNO.Aの印刷要求が削除される(ステップS33)。
【0072】
次いで、印刷開始タイミングとなるまで待機され(ステップS34)、印刷開始タイミングが到来すると、画像形成部103及び紙搬送部104が制御され、印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求に基づく印刷が実行される(ステップS35)。そして、印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求が削除され、第1面の場合は印刷要求バッファー321のNO.1の印刷要求における第2面に関する情報がRAMに格納され(ステップS36)、処理はステップS21に戻る。
【0073】
ステップS21において、印刷要求バッファー321に印刷要求が存在せず、かつ、第2面印刷待ちの用紙が用紙反転経路に存在しないと判断されると(ステップS21;NO)、印刷制御処理Bは終了する。
【0074】
図8は、上記印刷制御処理Bによって、A4サイズ、片面5枚、両面10枚のジョブに基づく印刷を行った場合の処理結果を示す図である。図8(a)は、ジョブ開始からの経過時間の時間軸と各時間において印刷する面(片面、両面の第1面、第2面の別)及び排出する用紙(片面、両面の別及び番号)を示す図である。図8(b)は、図8(a)の各時間における印刷要求バッファー321の印刷要求格納状態を示す図である。印刷要求が格納されているバッファーには、格納されている印刷要求が片面印刷の何枚目か又は両面印刷の何枚目かを示す情報が示されている。斜線は処理された印刷要求である。図8(c)は、図8(a)の各時間における用紙反転経路内に収納されている枚数を示す図である。
【0075】
図8(a)に示すように、印刷制御処理Bでは、まず、片面2枚が連続印刷された後(時間1〜2)、3番目に印刷要求された片面の3枚目を印刷する前に、6番目の印刷要求である両面第1面の印刷が行われる(時間3)。同様に、4番目に印刷要求された片面の4枚目を印刷する前に、7番目の印刷要求の両面第1面が印刷される(時間5)。同様に、4番目の印刷要求である4枚目の片面の前に、8番目の印刷要求の両面第1面が印刷される(時間7)。即ち、片面印刷5枚のうち、3枚目の片面印刷の印刷要求が先頭に来た時点で片面印刷の残りの数は3であり、用紙反転経路の収納可能枚数は4であるから、片面印刷の残りの数は用紙反転経路の収納可能枚数を下回る。よって、片面印刷の残りの3枚の印刷は、両面印刷の第1面と交互に(両面印刷の後に)行われる。
このように、印刷制御処理Bで順番を入れ替えて印刷を行うことにより、トータルの印刷所要時間が25となり、並びかえを行わない場合のトータルの印刷所要時間28(図6参照)に比べて3単位時間速くなっており、生産性が向上している。また、何も印刷されずに現像装置や感光体が空回転する時間がなくなっていることがわかる。
【0076】
図8では、印刷要求バッファー321に印刷要求がすでに5つたまっている場合を例として示したが、図9では、図8と同様にA4サイズ、片面5枚、両面10枚のジョブを印刷制御処理Bで印刷する場合であって、ジョブ開始時に印刷要求は一つしかなく、一枚印刷する度に印刷要求が2つ追加される場合の処理結果を示している。図9中の斜線は、処理された印刷要求であることを示し、星印は、追加された印刷要求であることを示す。図9に示すように、印刷要求を順次追加した場合においても、印刷制御処理Bを実行することによりトータルの印刷所要時間が28単位時間から26単位時間に短縮されることがわかる。
【0077】
図10に、図8のジョブ内容の用紙サイズをA3としたときの印刷制御処理Bの処理結果を示す。用紙サイズを変更した場合においても、トータルの印刷時間が短縮され、現像装置や感光体の空回転もなくなっていることがわかる。
【0078】
図11に、上記印刷制御処理Bによって、A4サイズ、片面1枚、両面5枚、片面1枚を2部印刷するジョブに基づいて印刷を行った場合の処理結果を示す。この場合においても、ジョブで指定されたとおりの片面1→両面5→片面1→片面1→両面5→片面1の順で印刷する場合に比べてトータルの印刷時間が3単位時間短縮される。
【0079】
図12に、画像形成装置100に後処理装置を接続した場合であって、上記印刷制御処理BによってA4サイズ、片面1枚、両面5枚、片面1枚を2部印刷及び後処理するジョブに基づいて印刷を行った場合の処理結果を示す。この場合、後処理の時間確保のために部間で5時間単位あける必要があるが、図12(a)に示すように、印刷制御処理Bでは、1部目の最初の片面を両面第1面の後に印刷し、1部目の最後の片面の前に2部目の最初の両面印刷要求の第1面を印刷し、部間で2部目の2つめの両面印刷の第1面を印刷する。従って、片面1枚→両面5枚→片面1枚→部間の待機→片面1枚→両面5枚→片面1枚という印刷要求の順序で印刷を行った場合(トータル印刷所要時間35)に比べて印刷時間が4単位時間短縮される。また、現像装置や感光体の空回転も11→7単位時間に低減することができる。
【0080】
このように、印刷制御処理Bでは、片面印刷の後に両面印刷を行う場合に、最後の片面の印刷を両面の第1面の印刷の後に行うように制御することにより、生産性及び装置寿命を向上させることができる。
【0081】
以上説明したように、画像形成装置100は、連続して両面印刷を行う場合には、先行の用紙を反転させるための間隔を空けて後続の用紙を給紙トレイから給紙する画像形成装置であって、エンジン制御部32は、片面印刷の後に両面印刷が要求されているか否かを判断し、片面印刷の後に両面印刷が要求されていると判断した場合には、少なくとも一枚の片面印刷を、両面印刷における一方の面の画像形成の後、他方の面が画像形成される前に行うように制御する。
【0082】
従って、両面印刷と片面印刷が混在したときの生産性向上及び寿命向上を図ることが可能となる。
【0083】
例えば、第1の実施の形態に記載のように、連続する複数枚の片面印刷の後に両面印刷が要求されている場合、複数枚の片面印刷のうち最後の片面印刷を最初の両面印刷における一方の面の画像形成の次に行うように制御することで、順番を入れ替えることなく印刷を行う場合に比べてトータルの印刷所要時間を少なくとも片面1枚分以上短縮することができる。現像装置や感光体の空回転も少なくとも片面1枚分以上低減することができる。
【0084】
また、例えば、第2の実施の形態に記載のように、連続する複数枚の片面印刷の後に、連続する複数枚の両面印刷が要求されている場合、片面印刷の残りの枚数が用紙反転経路に現在収納可能な用紙枚数を下回っているか否かを判断し、下回っていると判断した場合に、両面印刷における一方の面の画像形成と残りの片面印刷とをこの順序で交互に行うように制御することで、順番を入れ替えることなく印刷を行う場合に比べてトータルの印刷所要時間を少なくとも前記片面印刷の残りの枚数分短縮することができる。現像装置や感光体の空回転についても少なくとも前記片面印刷の残り枚数分低減することができる。
【0085】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の好適な一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
【0086】
例えば、上記実施の形態においては、スキャナ装置202により入力された画像データに基づいて印刷を行う場合を例にとり説明したが、画像形成装置100が通信部を備える構成とし、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークを介して接続されるPC等の外部装置から入力された画像データに基づいて印刷を行うこととしてもよい。
【0087】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として、ROM、不揮発性メモリー、ハードディスク等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0088】
その他、画像形成装置100の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0089】
1Y,1M,1C,1K 感光体ドラム
2Y,2M,2C,2K 帯電手段
3Y,3M,3C,3K 画像書き込みユニット
4Y,4M,4C,4K 現像装置
6 中間転写体
7Y,7M,7C,7K 1次転写ローラー
8A 中間転写体用クリーニング手段
8Y,8M,8C,8K 感光体ドラム用クリーニング手段
10Y,10M,10C,10K 画像形成ユニット
17 定着装置
20A,20B,20C 給紙トレイ
21 送り出しローラー
22A 給紙ローラー
22B,22C,22D 搬送ローラー
23 レジストローラー
24 排紙ローラー
25 排紙トレイ
26 排紙ゲート
27A 通紙路
27B 反転搬送路
27C 再給紙経路
31 全体制御部
32 エンジン制御部
321 印刷要求バッファー
33 スキャナ制御部
34 ADF制御部
103 画像形成部
104 紙搬送部
201 ADF装置
202 スキャナ装置
301 操作表示部
100 画像形成装置
101 画像形成装置本体
102 画像読取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成部と、給紙トレイから用紙を給紙し、片面印刷時には前記画像形成部において一方の面に画像が形成された用紙を排出口に搬送し、両面印刷時には前記画像形成部により一方の面に画像が形成された用紙を用紙反転経路で反転して前記画像形成部に再給紙し、両面に画像が形成された用紙を排出口に搬送する搬送部と、を備え、前記用紙反転経路は、複数枚の用紙を保持可能であり、前記搬送部は、連続して両面印刷を行う場合には、先行の用紙を反転させるための間隔を空けて後続の用紙を前記給紙トレイから給紙する画像形成装置であって、
片面印刷の後に両面印刷が要求されているか否かを判断し、片面印刷の後に両面印刷が要求されていると判断した場合には、少なくとも一枚の片面印刷を、前記両面印刷における一方の面の画像形成の後、他方の面が画像形成される前に行うように制御する制御部を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、連続する複数枚の片面印刷の後に、連続する複数枚の両面印刷が要求されている場合には、前記片面印刷の残りの枚数が前記用紙反転経路に現在収納可能な用紙枚数を下回っているか否かを判断し、下回っていると判断した場合に、前記両面印刷における一方の面の画像形成と前記残りの片面印刷とをこの順序で交互に行うように制御する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、連続する複数枚の片面印刷の後に両面印刷が要求されている場合には、前記複数枚の片面印刷のうち最後の片面印刷を最初の両面印刷における一方の面の画像形成の次に行うように制御する請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−33079(P2013−33079A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168150(P2011−168150)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】