説明

画像形成装置

【課題】記録材の種類に拘らず転写抜けが目立つことを抑えられる構造を実現する。
【解決手段】ユーザが画像を形成したい記録材と同種の記録材にテストチャートを形成し、このテストチャートを画像読取部で読み取る。そして、このテストチャートの所定の領域内での濃度差に基づき、トナー量を制御する。具体的には、濃度差が小さい場合には、変更前の(a)のルックアップテーブルを(b)のように殆ど変更しない。一方、濃度差が大きい場合、即ち、記録材の表面の凹凸が比較的大きい場合には、(c)のように入力信号に対する出力信号を大きくするように、ルックアップテーブルを変更して、トナー量を多くする。これにより、表面の凹凸が大きな記録材であっても転写抜けを抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスを用いて画像を形成する画像形成装置に関し、特に記録材の種類に応じて画像形成を行う構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置は、感光ドラムにトナー像を形成し、このトナー像を直接、或いは、中間転写体を介して記録材に転写し、トナー像を転写した記録材を定着装置により記録材に定着させる。このような画像形成装置の場合、記録材の種類によっては、一部で転写が十分に行われない場合がある。即ち、記録材の凹凸が大きい場合には、凹部でトナーが十分に転写されず、この部分で転写抜けが生じて、濃度差や色相差が大きくなるなど画質が低下し易い。
【0003】
このため従来から、操作パネルなどを用いて記録材のサイズや種類(以下、「記録材種」ともいう。)をユーザによって設定し、その設定に応じて現像条件、転写条件、定着処理条件又は画像処理などの画像形成条件を変える制御が行われている。また、画像形成時にユーザがホストコンピュータから記録材種を設定することにより、画像形成装置が、指定された記録材種に応じて画像形成条件を変える制御も行われている。
【0004】
一方で、記録材に応じた画像形成条件を、次のように設定する場合もある。即ち、給紙・搬送された記録材の表面を読み取った読取結果から、記録材表面の凹凸の深さや凹凸間隔を演算してグロス紙、普通紙、ラフ紙、OHTといった記録材の種類を判別する。そして、画像濃度、転写バイアスの設定、定着温度、プロセス速度などの画像形成条件を最適に設定する(特許文献1参照)。
【0005】
また、読み取りの分析については、記録材の表面をCCDセンサによって撮像し、この情報をフラクタル次元情報に変換して記録材の表面平滑度を検出する構成が提案されている(特許文献2参照)。更に、記録材を判別するセンサに対向する位置に発光源を設け、透過光を検出することにより、透過光による記録材の判別を行う構成が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−302208号公報
【特許文献2】特開平11−271037号公報
【特許文献3】特開2005−114866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
記録材の種類をユーザにより設定する場合、選択する記録材の種類が多くなければ、正確な画像形成条件の設定は難しい。例えば、同じ普通紙でも、メーカーによって、表面の凹凸の大きさが違う場合があり、このような点を考慮すると、選択する記録材の種類が多くなってしまい、ユーザによる設定作業が煩雑になる。
【0008】
一方、上述の各特許文献に記載された構造の場合、記録材自体を検知して、記録材の種類や表面平滑度を判定しているため、転写抜けを正確に予測することが難しく、また、検知に時間が掛かってしまう。例えば、記録材の表面を検知するにしても、記録材の抵抗、厚み、繊維密度のバラツキなどまでは検知できないため、転写抜けを正確に予測することは難しい。また、透過光を検知する構造の場合、記録材の繊維の密度のバラツキの影響を受けてしまい、純粋に表面形状のみを検知することが難しい。このように記録材自体を検知する場合、転写抜けを正確に予測することは難しく、記録材の種類によっては、転写抜けが目立ってしまう可能性がある。
【0009】
また、フラクタル次元を用いて演算する場合、撮像情報をある一定の閾値によって2値化し、この2値化情報を基にして黒画素数を計測する。次に撮像情報をさらに粗視化し、同じように2値化し、この2値化情報を基にして黒画素数を計測することを数回繰り返すため演算時間が非常に長くなる。したがって、特に1枚の中で記録材の表面平滑性のばらつきが大きい記録材などは、記録材上の複数ポイントの映像を検出する必要がある。このような場合、記録材の表面平滑性の検知自体に時間がかかり、画像形成装置のスループット(単位時間当たりのプリント枚数)が低下する。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑み、ユーザによる記録材種類の設定作業を行わない構造で、スループットの低下を抑えつつ、記録材の種類に拘らず転写抜けが目立つことを抑えられる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上にトナー像を形成する画像形成手段と、前記像担持体上に形成されたトナー像を記録材に転写する転写手段と、前記画像形成手段により形成するトナー像のトナー量を制御する制御手段と、を備えた画像形成装置において、前記画像形成手段により前記像担持体上に形成された所定のトナー像を、前記転写手段により所定の記録材に転写して得たテスト画像を読み取る画像読取手段を有し、前記制御手段は、前記画像読取手段により読み取ったテスト画像の所定の領域内での濃度の最高値と最低値との差である濃度差に基づき、前記画像形成手段により前記所定の記録材と同種の記録材に形成するトナー像のトナー量を制御する、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、実際にテスト画像を形成して、そのテスト画像の濃度差に基づいてトナー量を制御しているため、ユーザによる記録材種類の設定作業を行うことなく、記録材の種類に拘らず、転写抜けが目立つことを抑えられる。また、複雑な演算などが必要なく、スループットの低下を抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図。
【図2】画像処理部での処理の様子を示す模式図。
【図3】記録材条件最適モードのフローチャート。
【図4】第1の実施形態における記録材条件最適モードで出力するテストチャート。
【図5】記録材の種類によるトナーの転写状況を説明するための模式図。
【図6】第1の実施形態における記録材条件最適モード時の画像処理部での処理の様子を示す模式図。
【図7】第1の実施形態における、(a)は変更前のルックアップテーブルを、(b)は図5(a)の記録材についての変更後のルックアップテーブルを、(c)は図5(b)の記録材についての変更後のルックアップテーブルを、それぞれ示す図。
【図8】第1の実施形態におけるルックアップテーブル変更前後のトナーの転写状況を説明するための模式図。
【図9】第1の実施形態におけるルックアップテーブル変更のための係数の1例を示す図。
【図10】本発明の第2の実施形態における記録材条件最適モードで出力するテストチャート。
【図11】第2の実施形態における、(a)(b)は変更前のルックアップテーブルを、(c)(d)は変更後のルックアップテーブルを、それぞれ示す図。
【図12】第2の実施形態におけるルックアップテーブル変更前後のトナーの転写状況を説明するための模式図。
【図13】第2の実施形態におけるルックアップテーブル変更のための係数の1例を示す図。
【図14】本発明の第3の実施形態における記録材条件最適モードで出力するテストチャート。
【図15】第3の実施形態における、(a)は変更前の、(b)は表面の凹凸が比較的小さな記録材についての変更後の、(c)は表面の凹凸が比較的大きな記録材についての変更後の、それぞれのルックアップテーブルを示す図。
【図16】第3の実施形態で表面の凹凸が比較的小さな記録材に対する、(a)はルックアップテーブル変更前のベタ画像の、(b)(c)はルックアップテーブル変更前後のハーフトーン画像の、それぞれトナーの転写状況を説明するための模式図。
【図17】第3の実施形態で表面の凹凸が比較的大きな記録材に対する、(a)(c)はルックアップテーブル変更前後のベタ画像の、(b)はルックアップテーブル変更前のハーフトーン画像の、それぞれのトナーの転写状況を説明するための模式図。
【図18】第3の実施形態におけるルックアップテーブル変更のための係数の1例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図1ないし図9を用いて説明する。まず、図1を用いて本実施形態の画像形成装置の概略構成について説明する。
【0015】
[画像形成装置]
本実施形態の画像形成装置は、4色フルカラーのレーザビームプリンタであり、原稿載置部500、画像読取手段である画像読取部(スキャナ)600、レーザ書込部700、画像形成部800、不図示の給紙部等により構成される。画像読取部600において、画像走査が行われて撮像素子15によって得られた原稿画像の画像データは、入力画像信号として画像処理部1000に入力され、処理されるとともに、出力画像信号としてメモリに一旦格納される。ついで、一旦メモリに格納された出力画像信号はレーザ書込部700に入力される。
【0016】
画像形成部800は、制御手段である制御部Cの制御によってメモリからの出力画像信号が、レーザ書込部700(図1においては700Kのみ記載しているが、他ステーションも同様である)に入力されると画像形成動作を開始する。レーザ書込部駆動モータ71、ポリゴンミラー72、fθレンズ73、ミラー74,75,76及び図示しない半導体レーザ、補正レンズ等からなる。
【0017】
画像形成部800は、第1の像担持体としてドラム型の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)17Y、17M、17C、17K(以下4色まとめて17で代用)を備えている。感光ドラム17は、駆動手段(不図示)によって矢印方向にそれぞれ回転駆動され、画像形成手段を構成する。この画像形成手段としては、任意のものを採用し得る。本実施形態では、帯電手段である1次帯電装置19Y、19M、19C、19K(以下4色まとめて19で代用)により、感光ドラム17の表面を均一に帯電する。次いで、上述のレーザ書込部700により、帯電された感光ドラム17の表面に、カラー画像を色分解した光像又はこれに相当する光像を照射して画像の静電潜像を形成する。そして、現像装置20Y、20M、20C、20K(以下4色まとめて20で代用)により、感光ドラム17上の静電潜像を現像してトナー像をして可視化する。
【0018】
現像装置20は、イエロー(Y)トナー(イエロー現像剤)、マゼンタ(M)トナー(マゼンタ現像剤)、シアン(C)トナー(シアン現像剤)、ブラック(K)トナー(ブラック現像剤)を、それぞれ収納した現像器である。
【0019】
感光ドラム17上に形成されたトナー像は、1次転写部T1Y、T1M、T1C、T1Kで、第2の像担持体としての中間転写体(中間転写ベルト)30に転写される。即ち、感光ドラム17に中間転写体30を介して対向して配置された1次転写装置22Y、22M、22C、22K(以下4色まとめて22で代用)によって、感光ドラム17上のトナー像が中間転写体30上に1次転写される。
【0020】
1次転写装置22は、1次転写ローラに、各色トナーの逆極性の電圧を図示しない1次転写電圧印加手段により印加することで、トナーの中間転写体30上への1次転写を行っている。このようにトナー像が1次転写されることにより、中間転写体30上(像担持体上)にトナー像が形成される。1次転写後の感光ドラム17は、表面に残ったトナー(残留トナー)がクリーナー24によって除去されて、次の画像形成に供される。
【0021】
中間転写体30上で重ねられた4色のトナー像は、2次転写部T2で、記録材23上に転写される。即ち、中間転写体30の回転によって、転写手段である2次転写装置54に搬送され、給紙搬送装置(不図示)によって搬送されてきた記録材23上に、一括して2次転写される。2次転写装置54は、2次転写外ローラ50と2次転写内ローラ51が中間転写体30を挟み対向してニップ部を形成して構成される。そして、中間転写体30上の4色トナー像がこのニップ部に進入すると同時に、図示しない給紙搬送装置より記録材23がこのニップ部に進入する。この時、電圧供給部より2次転写外ローラ50に電圧を印加することで、記録材23へのトナー像の転写が行われる。2次転写後の中間転写体30は、表面に残ったトナー(残留トナー)が中間転写体クリーナー27によって除去されて、次の画像形成に供される。
【0022】
4色のトナー像が転写された記録材23は、定着装置26へと搬送され、定着装置26によりトナー像が記録材へ定着し、その後、画像形成装置本体外部に排出される。ここで、本実施形態の画像形成装置の出力画像解像度は、例えば600dpi(ドット/インチ)であり、各色のレーザ書込部700は感光ドラム17表面を上記解像度で照射し、静電潜像を形成する。
【0023】
また、感光ドラム17は、マイナス帯電する有機半導体層を接地された金属製のシリンダ状の基板上に、電荷輸送層を含めた感光体層(例えば膜厚25μm)を塗布することにより構成される。このような感光ドラム17は、例えば外径80mmで矢示方向に320mm/sの周速(Vp)で駆動回転される。
【0024】
[画像処理部]
図2は本実施形態における、画像処理部1000を示している。画像処理部1000は、制御手段である制御部C内に配置され、上述のような画像読取部600やPCなどの外部端末から送られた信号に基づいて画像処理を行う。
【0025】
画像処理部1000に入力された入力画像信号Siは、画像処理部1000内の色分解処理部1001においてSiY、SiM、SiC、SiKの各色の入力画像信号に分解される。入力画像信号SiY、SiM、SiC、SiKは各色のルックアップテーブル1002Y、1002M、1002C、1002Kにより変換されて、出力画像信号SoY、SoM、SoC、SoKとして出力される。そして、出力画像信号SoY、SoM、SoC、SoKが各色のレーザ書込部700Y、700M、700C、700Kに入力される。即ち、ルックアップテーブルでは、それぞれ入力信号に対するトナー量(出力信号)が予め決められており、各色のルックアップテーブルに基づいて、画像形成手段により形成するトナー像のトナー量を制御している。このトナー量の制御は、例えば、PWM制御やレーザパワーの変更などのレーザによる制御の他、トナー帯電量などの他の条件を変更して行っても良い。
【0026】
また、画像処理部1000内においては、図2に示すように記録材判定部1010が設けられている。記録材判定部1010は、ユーザが使用する記録材に対して最適な画像形成を行えるように、上記各色のルックアップテーブル1002Y、1002M、1002C、1002Kの変更を実施する。ここで、上記したルックアップテーブル1002Y、1002M、1002C、1002Kをユーザが使用する記録材に最適になるように変更するために、本実施形態では、記録材条件最適モードを有する。
【0027】
[記録材条件最適モード]
図3は、記録材条件最適モードを示すフローチャートである。記録材条件最適モードを選択される(S1)と、ユーザが使用する記録材と同種の所定の記録材で、テストチャート(テスト画像)を出力する(S2)。即ち、ユーザが実際に出力したい画像を形成する記録材とテストチャートを形成する記録材とは同じ種類である。ここで、同じ種類とは、例えば、グロス紙、普通紙、エンボス紙、ラフ紙、OHTなどの種類が同じであり、好ましくは、記録材のメーカー、型番が同じもの、或いは、異なるメーカでも同等のものを言う。
【0028】
出力したテストチャートは、画像読取部600で読み込まれ(S3)、その出力結果が記録材判定部1010に入力される(S4)。そして、記録材判定部1010の判定結果に基づいて、ルックアップテーブル(LUT)を変更する(S5)。以下、具体的に説明する。
【0029】
まず、テストチャートに使用する画像パターンは、図4に示す様に、Y色、M色、C色、K色のそれぞれで単色ベタ画像であり、入力画像信号値はレベル255(256階調)である。ここで、本実施形態の画像形成装置における単色ベタ画像の単位面積当りに対するトナー載り量は、例えば、0.5mg/cmである。
【0030】
図5は、図4のようなテストチャートを出力した場合に、記録材の種類によるトナーの転写状況、ここでは2次転写部T2においてトナーが転写される様子を示した図である。図5(a)は、表面形状が平滑な記録材の場合であり、図5(b)は比較的表面の凹凸の大きい記録材である。同図から明らかなように、図5(a)においては平滑な記録材表面に対しITB(中間転写体30)上のトナーが一様に転写され、記録材の凹凸による地合い抜けの発生は無い。しかしながら図5(b)においては、凹凸のある記録材表面に対して、記録材の凹部に対してトナーが転写されていない。これは凹部においては、2次転写部T2において記録材表面に対してITBが離れすぎているため、2次転写電界によりトナーが飛翔しないためである。
【0031】
次に、上記の出力されたテストチャートを原稿載置部にセットし、画像読取部600において読み込む。即ち、画像形成手段により中間転写体30上に形成された所定のトナー像、2次転写装置54により所定の記録材に転写して得たテストチャートを、画像読取部600で読み込む。読み込まれたテストチャートは、図6に示す様に、テスト入力画像信号SiTとして、画像処理部1000に入力される。
【0032】
ここで、記録材条件最適モードにおいては、上記のテスト入力画像信号SiTは色分解処理部1001において色分解され各色のテスト入力画像信号SiTY、SiTM、SiTC、SiTKとして、記録材判定部1010に送られる。記録材判定部1010では、送られたテスト入力画像信号SiTY、SiTM、SiTC、SiTKから、各色の濃度差を求める。
【0033】
即ち、テストチャートの所定の領域内(本実施形態では各色のテストチャートの全域)で濃度の最高値と最低値との差である濃度差を求めるべく、この領域内における最大濃度を示す画像信号値と、最小濃度値を示す画像信号値を抽出する。そして、この抽出した信号値から濃度差を求め、この濃度差に基づき、画像形成手段により所定の記録材と同種の記録材(ユーザが画像を形成したい記録材)に形成するトナー像のトナー量を制御する。
【0034】
具体的には、上述の濃度差が所定の値以上(例えば、256階調で50以上)である場合に、上述の各色のルックアップテーブル1002Y、1002M、1002C、1002Kを変更する。また、この変更は、濃度差が大きいほど、トナー量が多くなるように(単位面積当りのトナー載り量を増加させるように)、予め決められた変換テーブルにしたがって行う。
【0035】
図7は、このように各色のルックアップテーブルを変更する変換テーブルの1例を示している。図7(a)は記録材条件最適モードを実施する前のルックアップテーブルである。一方、図7(b)は図5(a)のように平滑な記録材について記録材条件最適モード実施後のルックアップテーブルであり、図7(c)は図5(b)のように凹凸が比較的大きな記録材について記録材条件最適モード実施後のルックアップテーブルである。
【0036】
同図から明らかなように、図7(b)は図7(a)と比較して、ほぼ変わらないテーブルとなっている。これは記録材の表面の凹凸が無いため、ルックアップテーブルをほとんど変える必要が無いためである。これに対して、図7(c)は、図7(a)と比較して、全体的にトナーの載り量を多くするようにルックアップテーブルを変更している。
【0037】
ここで、図5(b)のように表面の凹凸が大きい記録材について、図7(c)のように全体的にトナーの載り量を多くする理由について、図8を用いて説明する。図8(a)は、図5(b)のような表面の凹凸が大きい記録材について、2次転写部T2において転写抜けが発生する様子を、模式的に示した図である。同図から明らかなように、記録材の表面の凹部においては、ITBより転写されるトナーが少なくなっていることが分かる。即ち、転写抜けが生じていることが分かる。ここで凹部においてトナーの載り量が極端に少ない場合、記録材の表面が露出してしまい、凸部との見た目のコントラスト差が大きくなり、転写抜けが目立ってしまう。また、記録材の表面が露出していなくても、極端に凹部のトナーが少ないと濃度が大きくなり、やはり目立ってしまう。
【0038】
そこで、図8(b)のようにトナーの載り量を増加させ、凹部の表面をある程度覆えるくらいにトナーを転写させることで、見た目のコントラスト差を小さくすることが効果的な手段となる。ここで、トナー載り量は凹部とそれ以外の部分で異なるため、濃度差が生じることは避けられないが、トナーが極端に少なくなることはないので、濃度差が目立つことは抑えられる。
【0039】
図9は、記録材判定部1010において、入力されたテスト入力画像信号SiTY、SiTM、SiTC、SiTKから、1例としてC色トナーの濃度差に対して出力信号を変更するための倍率を示している。即ち、C色トナーの最大濃度を示す画像信号値SiTCmaxと最小濃度を示す画像信号値SiTCminの差分SiTCmax−SiTCminによって、上記のルックアップテーブル1002Cを変える様子を示している。
【0040】
出力信号倍率であるAは、ルックアップテーブル1002Cを変更する際に出力信号値を積算する倍率である。本実施形態では、出力されたテストチャートにおける最大濃度と最小濃度の差分が大きい記録材、即ち表面の凹凸の大きい記録材に対するほど、トナーの載り量が多くなるように制御される。他の色についても同様である。
【0041】
以上のように、記録材条件最適モードにより、トナーの載り量を制御することで、表面に凹凸のある記録材について、それら凹凸での転写抜けを目立たなくさせることが可能となる。即ち、本実施形態の場合、実際にテストチャートを形成して、そのテストチャートの濃度差に基づいてトナー量を制御している。このため、記録材の表面を読み込んで転写抜けを予測する構成よりも、正確に転写抜けを予測できる。この結果、記録材の種類に拘らず、転写抜けや濃度差が目立つことを抑えられる。また、ルックアップテーブルを変更するだけであるため、複雑な演算などが必要なく、スループットの低下を抑えられる。
【0042】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、図10ないし図13を用いて説明する。なお、画像形成装置の構成及び制御の主だった点については、第1の実施形態と略同様であるため、以下、異なる点を中心に説明する。
【0043】
本実施形態の場合、記録材条件最適モードを選択されると、ユーザが使用する記録材で、図10に示すような、2次色ベタ画像のテストチャート(テスト画像)を出力する。即ち、本実施形態のテストチャートは、複数の色のトナー像を重ねて形成した画像である。具体的には、Y色とM色とを重ねたR(レッド)色のベタ画像、Y色とC色とを重ねたG(グリーン)色のベタ画像、M色とC色とを重ねたB(ブルー)色のベタ画像のテストチャート(テスト画像)を出力する。また、各色のベタ画像の単位面積当りに対するトナー載り量は、0.5mg/cmであり、第1の実施形態と同様である。
【0044】
ここで、本実施形態においても、記録材条件最適モードで、上述の図6に示したように、画像読取部600で読み込んだテスト入力画像信号SiTは、色分解処理部1001において色分解される。そして、各色のテスト入力画像信号SiTY、SiTM、SiTC、SiTKとして、記録材判定部1010に送られる。記録材判定部1010では、送られたテスト入力画像信号SiTY、SiTM、SiTC、SiTKから、各色の濃度差を求める。
【0045】
即ち、テストチャートの所定の領域内(本実施形態では各色のテストチャートの全域)で濃度の最高値と最低値との差である濃度差を求めるべく、この領域内における最大濃度を示す画像信号値と、最小濃度値を示す画像信号値を抽出する。そして、この抽出した信号値から濃度差を求め、この濃度差に基づき、画像形成手段により所定の記録材と同種の記録材(ユーザが画像を形成したい記録材)に形成するトナー像のトナー量を制御する。
【0046】
具体的には、上述の濃度差が所定の値以上(例えば、256階調で50以上)である場合に、上述の各色のルックアップテーブル1002Y、1002M、1002C、1002Kを変更する。また、この変更は、濃度差が大きいほど、複数の色のトナー像のうち、記録材に転写した後の最上層となる色のトナー像のトナー量が多くなるように(単位面積当りのトナー載り量を増加させるように)、予め決められた変換テーブルにしたがって行う。また、濃度差が大きいほど、複数の色のトナー像のうちの他の色のトナー像のトナー量を少なくするように(単位面積当りのトナー載り量を現象させるように)、予め決められた変換テーブルにしたがって行う。なお、記録材条件最適モードのフローチャート、及び画像処理部1000における処理の様子については、上述の第1の実施形態における図3、及び図6と同様であるため省略する。
【0047】
図11は、このように各色のルックアップテーブルを変更する変換テーブルの1例を示している。ここでは、簡単のためB色のテストチャート(C色とM色の2次色)により、記録材最適モードを行った場合、すなわちC色とM色のルックアップテーブル1002C、1002Mの変更の様子を示す。なお、表面の凹凸のほとんどない平滑な記録材については、第1の実施形態と同様にほとんどルックアップテーブルの変更の必要がないため、ここでは説明を省略する。以下、第1の実施形態における図5(b)のように表面の凹凸の大きい記録材について記録材最適モードを行った場合について述べる。
【0048】
図11(a)は、記録材条件最適モードを実施する前のM色のルックアップテーブル1002Mであり、図11(b)は記録材条件最適モードを実施する前のC色のルックアップテーブル1002Cである。一方、図11(c)は記録材条件最適モードを実施した後のM色のルックアップテーブル1002Mであり、図11(d)は上記の記録材条件最適モードを実施した後のC色のルックアップテーブル1002である。
【0049】
同図から明らかなように、変更後のM色のルックアップテーブル図11(c)では、変更前の図11(a)よりも出力信号値を大きくし、M色のトナー載り量を増加させている。これらに対して、変更後のC色のルックアップテーブル図11(d)では、変更前の図11(b)よりも出力信号値を小さくし、C色のトナー載り量を減少させている。
【0050】
ここで、図5(b)のように表面の凹凸が大きい記録材について、M色トナーについては全体的にトナーの載り量を多くし、C色トナーについては全体的にトナーの載り量を少なくする理由について、図12を用いて説明する。
【0051】
図12(a)は図5(b)のような表面の凹凸が大きい記録材について、2次転写部T2において転写抜けが発生する様子を、模式的に示した図である。同図から明らかなように、記録材の表面の凹部においては、ITBより転写されるトナーが少なくなっていることを示している。即ち、濃度差が大きくなっている。
【0052】
ここで、凹部においてトナーの載り量が少ない場合、記録材上で上層側(最上層)に転写されるべきM色トナーがほとんど転写されず、転写されるトナーのほとんどは、他の色であるC色トナーとなる。この結果、凹部の色相がB色と大きく離れてしまい、凸部との見た目の色相差についても大きくなる。
【0053】
そこで、図12(b)のようにM色トナーの載り量を多くする。ここで、濃度差が大きいほど、即ち、凹凸が大きいほど、M色トナーの載り量が多くなるようにする。一方、M色トナーを多くしても、記録材側の層であるC色トナーの量が変わらなければ、転写能力の限界があるため、M色トナーが転写される量は変わらない場合がある。そこで、M色トナーの載り量を多くすると共に、C色トナーの載り量を少なくするようにする。M色トナーを多くする割合とC色トナーを少なくする割合とは、同じとすることが好ましい。また、C色トナーは、濃度差が大きいほど、載り量が少なくなるようにする。これにより、記録材の凹部における見た目の色層をB色の色相に近づけることができ、凹部と凸部の見た目の色相差を小さくし、表面の凹凸による転写抜けを目立たなくできる。
【0054】
なお、上述の説明では、2色を重ねた場合について説明したが、3色、4色などの複数色を重ねた場合でも同様である。即ち、これら複数色のうち、記録材に転写された後に最上層となる色のトナーの量を増やし、それ以外の複数の色のトナーの量は減らす。この減らす量は、全体として最上層のトナーを増やした量と同じ割合とし、且つ、複数の色同士で減らす割合を同じとすることが好ましい。これにより色相の変化を抑えることができる。なお、転写能力によっては、他の色のトナーの量を減らさなくても良い場合もある。
【0055】
図13は、記録材判定部1010において、入力されたテスト入力画像信号SiTM、SiTCから、M色トナーの濃度差及びC色トナーの濃度差に対して出力信号を変更するための倍率を示している。即ち、M色トナーの濃度差SiTMmax−SiTMminと、C色トナーの濃度差SiTCmax−SiTCminとの加算値によって、上記のルックアップテーブル1002M、1002Cを変える様子を示している。
【0056】
ここで、M色トナーの濃度差SiTMmax−SiTMminは、M色トナーの最大濃度を示す画像信号値SiTMmaxと最小濃度を示す画像信号値SiTMminの差分である。また、C色トナーの濃度差SiTCmax−SiTCminは、C色トナーの最大濃度を示す画像信号値SiTCmaxと、最小濃度を示す画像信号値SiTCminの差分である。
【0057】
出力信号倍率であるFは、ルックアップテーブル1002Mを変更する際に出力信号値を積算する倍率であり、出力信号倍率であるGは、ルックアップテーブル1002Cを変更する際に出力信号値を積算する倍率である。本実施形態では、出力されたテストチャートにおける最大濃度と最小濃度の差分が大きい記録材、すなわち表面の凹凸の大きい記録材に対するほど、M色トナーの載り量を多くし、C色トナーの載り量を少なくなるように制御される。その他の2次色のトナーの関係についても、更には2次色以上の複数色のトナーの関係についても、同様である。
【0058】
以上のように、記録材条件最適モードにより、トナーの載り量を制御することで、表面に凹凸のある記録材について、それら凹凸での転写抜けを目立たなくさせ、色相差を抑えることができる。
【0059】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について、図14ないし図18を用いて説明する。なお、画像形成装置の構成及び制御の主だった点については、第1の実施形態と略同様であるため、以下、異なる点を中心に説明する。
【0060】
本実施形態の場合、記録材条件最適モードを選択されると、ユーザが使用する記録材で、図14に示すような、階調画像のテストチャート(テスト画像)を出力する。即ち、本実施形態のテストチャートは、濃度が所定のレベルよりも小さい中間階調画像と、濃度が所定のレベル以上の高濃度画像とを組み合わせたものである。図14では、階調を段階的に変更してハーフトーン画像とベタ画像とを形成している。また、図14はC色の階調画像であるが、他のY、M、K色においても同様の階調画像を形成する。
【0061】
なお、濃度が所定のレベルとは、本実施形態の場合、階調が200(256階調)である場合とし、200未満を中間階調画像、200以上を高濃度画像としている。具体的には、階調を5段階に分け、最も濃度の高い高濃度部の入力信号値はレベル255、2番目の高濃度部がレベル200としている。そして、レベル255、200を高濃度画像として扱っている。一方、3番目に濃度が高いレベル150、4番目のレベル100、最も濃度が低いレベル50を中間階調画像として扱っている。また、階調画像の中で最も濃度の高いベタ画像の単位面積当りに対するトナー載り量は、0.5mg/cmであり、第1の実施形態と同様である。
【0062】
ここで、本実施形態においても、記録材条件最適モードで、上述の図6に示したように、画像読取部600で読み込んだテスト入力画像信号SiTは、色分解処理部1001において色分解される。そして、各色のテスト入力画像信号SiTY、SiTM、SiTC、SiTKとして、記録材判定部1010に送られる。記録材判定部1010では、送られたテスト入力画像信号SiTY、SiTM、SiTC、SiTKから、各色の濃度差を求める。
【0063】
即ち、テストチャートの所定の領域内(本実施形態では各色のテストチャートの各階調の領域)で濃度の最高値と最低値との差である濃度差を求めるべく、この領域内における最大濃度を示す画像信号値と、最小濃度値を示す画像信号値を抽出する。そして、この抽出した信号値から濃度差を求め、この濃度差に基づき、画像形成手段により所定の記録材と同種の記録材(ユーザが画像を形成したい記録材)に形成するトナー像のトナー量を制御する。
【0064】
具体的には、濃度差が、次述する所定の範囲或いは所定の値以上である場合に、上述の各色のルックアップテーブル1002Y、1002M、1002C、1002Kを変更する。また、この変更は、各階調ごとに増減するように、予め決められた変換テーブルにしたがって行う。即ち、画像形成装置により中間階調画像を形成する場合に、中間階調画像の濃度差が第1の所定値よりも大きく、第1の所定値よりも大きい値である第2の所定値よりも小さい場合にトナー量を割増する。これに対して、濃度差が第2の所定値以上である場合にはトナー量を割増しない。一方、画像形成装置により高濃度画像を形成する場合に、テストチャートのうちの高濃度画像の濃度差が第2の所定値以上である場合にトナー量を割引する。これに対して、濃度差が第2の所定値よりも小さい場合にはトナー量を割引しない。
【0065】
また、中間階調画像でトナー量を多くする場合、階調が低いほど、トナー量を多くしても良い。一方、高濃度画像でトナー量を少なくする場合、階調が高いほど、トナー量を少なくしても良い。
【0066】
第1の所定値は、例えば、各階調の濃度差が5〜10とし、各階調で統一しても変更しても良い。即ち、各階調でレベル5や10としても良いし、レベル50で5、レベル100で7、レベル150で10のように、段階的に変更しても良い。また、第2の所定値は、例えば、各階調の濃度差の中央値、即ち、レベル50の場合は25、レベル100の場合は50、レベル150の場合は75、レベル200の場合は100、レベル255の場合は123とする。
【0067】
なお、記録材条件最適モードのフローチャート、及び画像処理部1000における処理の様子については、上述の第1の実施形態における図3、及び図6と同様であるため省略する。
【0068】
図15は、このように各色のルックアップテーブルを変更する変換テーブルの1例を示している。図15(a)は、記録材条件最適モード実施前のルックアップテーブルである。図15(b)は、表面の凹凸は存在するが比較的軽微な記録材について記録材条件最適モードを実施した後のルックアップテーブルである。図15(c)は、表面の凹凸が比較的大きな記録材について記録材条件最適モードを実施した後のルックアップテーブルである。
【0069】
図15(b)からわかるように、表面の凹凸の比較的軽微な記録材については、図15(a)から中間階調画像の領域のみにおいて、トナー量を増加するようにルックアップテーブルの変更を行っている。即ち、トナーの量を割増している。また、図15(c)からわかるように、表面の凹凸の比較的大きな記録材については、図15(a)から高濃度画像の領域のみにおいて、トナー量を減少させるようにルックアップテーブルの変更を行っている。
【0070】
ここで、表面の凹凸の比較的軽微な記録材については、図15(b)のように中間階調画像の領域のみについて、トナーの載り量を増加させる理由について、図16を用いて説明する。図16(a)は表面の凹凸が比較的軽微な記録材について、高濃度画像である所謂ベタ画像が2次転写部T2において転写抜けが発生する様子を模式的に示した図である。これに対して、図16(b)は表面の凹凸が比較的軽微な記録材について、中間階調画像である所謂ハイライトのハーフトーン画像が2次転写部T2において転写抜けが発生する様子を模式的に示した図である。
【0071】
図16(a)に示したベタ画像の場合、記録材の表面の凹部においては、ITBより転写されるトナーが少なくなっているものの、全体のトナー量が多いため、凹部と凸部の濃度差がそれほど目立たない。しかしながら図16(b)に示したハーフトーン画像の場合、ITB上のトナー量が少ない上に、記録材の表面の凹部においては、ITBより転写されるトナーがさらに少なくなってしまう。このため、僅かの転写抜けでも記録材の表面が極端に露出してしまい、記録材表面の凹部と凸部の見た目のコントラストが大きくなってしまう。
【0072】
そこで、本実施形態の場合には、図15(b)のように中間階調画像においてのみ、トナー載り量を増加させている。また、階調が低い、トナー量が少ない画像ほど、トナー載り量の増加率を大きくしている。そして、記録材の凹部における極端な記録材の表面の露出を抑えることで、図16(c)に示すように、凹部と凸部の見え方の差が抑えられる。これに対して、凹部と凸部との濃度差が目立たない高濃度画像に関しては、トナーの載り量を変更しないようにしている。なお、本実施形態の場合、画像読取部600で読み取った濃度差が第1の所定値よりも大きく、第2の所定値よりも小さい場合が、表面の凹凸が比較的軽微な記録材に該当する。
【0073】
一方、表面の凹凸の比較的大きな記録材については、図15(c)のように高濃度画像の領域のみ、トナーの載り量を減少させる理由について、図17を用いて説明する。図17(a)は表面の凹凸が比較的大きな記録材について、高濃度画像である所謂ベタ画像が2次転写部T2において転写抜けが発生する様子を模式的に示した図である。これに対して、図17(b)は表面の凹凸が比較的大きな記録材について、中間階調画像である所謂ハイライトのハーフトーン画像が2次転写部T2において転写抜けが発生する様子を模式的に示した図である。
【0074】
図17(a)に示したベタ画像の場合、及び、図17(b)のハーフトーン画像の場合のいずれにおいても、記録材の表面の凹部においては、ITBより転写されるトナーが極端に少ない。即ち、凹凸の差が大きすぎて、トナーの量に拘らず凹部内にトナーがほとんど転写されない。この場合、図17(a)のほうが、図17(b)よりも、凹部と凸部の濃度差が目立ってしまう。即ち、図17(a)のほうが凸部に存在するトナー量が多いため、ほとんどトナーがない凹部との濃度差がより大きくなってしまう。
【0075】
そこで、図15(c)のように高濃度画像のみ、トナー載り量を減少させている。また、階調が大きい、トナー量が多い画像ほど、トナー載り量の減少率を大きくしている。そして、図17(c)に示す様に、凹部と凸部の見え方の差を抑えるようにしている。即ち、凸部側の濃度を下げて、凹部との濃度差を抑えている。一方、中間階調画像は、凸部の濃度がそもそも低いため、トナー載り量を少なくしても、凹部と凸部の見え方の変化が少ない。このため、中間階調画像については、トナー載り量を変更しないようしている。なお、本実施形態の場合、画像読取部600で読み取った濃度差が第2の所定値以上の場合が、表面の凹凸が比較的大きな記録材に該当する。
【0076】
図18は、記録材判定部1010において、入力されたテスト入力画像信号SiTCから、夫々の5段階の階調(255、200、150、100、50)において、C色トナーの濃度差に対して出力信号を変更するための倍率を示している。即ち、C色トナーの最大濃度を示す画像信号値SiTCmaxと最小濃度を示す画像信号値SiTCminの差分SiTCmax−SiTCminによって、ルックアップテーブル1002Cを変える様子を示している。
【0077】
図18(a)はレベル50領域におけるテーブル変更、図18(b)はレベル100領域におけるテーブル変更、図18(c)はレベル150領域におけるテーブル変更を示している。本実施形態では、ここまでを中間階調画像として扱っている。一方、図18(d)はレベル200領域におけるテーブル変更、図18(e)はレベル255領域におけるテーブル変更を示している。本実施形態では、この二つのレベルを高濃度画像として扱っている。
【0078】
出力信号率であるS1、S2、S3、S4、S5は、夫々の階調におけるテーブル変更の際に出力信号値に積算する倍率である。図18での各階調におけるテーブル変更の結果を反映し、上記の5階調間を補正することで、図15(b)及び(c)のようにルックアップテーブル1002Cが変更される。本実施形態では、出力されたテストチャートの濃度が第1の所定値と第2の所定値との間となる記録材、即ち、表面の凹凸が比較手軽微な記録材の場合、中間階調画像のみトナー載り量を増やしている。一方、出力されたテストチャートの濃度が第2の所定値以上の記録材、即ち、表面の凹凸が比較的大きな記録材の場合、高濃度画像のみトナー載り量を増やしている。その他の色についても同様である。
【0079】
以上のように、記録材条件最適モードにより、トナーの載り量を制御することで、表面に凹凸のある記録材について、それら凹凸での転写抜けを目立たなくさせ、濃度差を抑えることができる。
【0080】
<他の実施形態>
上述の各実施形態では、中間転写体を用いてタンデム型の構造に本発明を適用した場合について説明した。但し、中間転写体を用いずに、感光ドラムから直接記録材にトナー像を転写する直接転写方式の構造にも、本発明は好ましく適用できる。この場合、感光ドラムが特許請求の範囲の像担持体に該当する。また、タンデム型の構造以外に、複数色の現像器を回転体に支持し、1個の感光ドラムに対して、順次トナー像を形成する、所謂1ドラム型の画像形成装置にも、本発明は適用可能である。更に、複数色のトナーを用いた画像形成装置以外に、単色のトナーを用いた画像形成装置にも適用可能である。
【0081】
また、画像読取部は、画像形成装置本体(上述の画像形成装置から画像読取部600を除いた部分)と一体に設けても良いし、別体に設けて、画像形成装置本体と通信可能に接続するようにしても良い。また、上述の第1、第2、第3の実施形態は、適宜組み合わせて実施しても良い。
【符号の説明】
【0082】
23・・・記録材、30・・・中間転写体(像担持体)、54・・・2次転写装置(転写手段)、6000・・・画像読取部(画像読取手段)、1002Y、1002M、1002C、1002K・・・ルックアップテーブル、C・・・制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体上にトナー像を形成する画像形成手段と、
前記像担持体上に形成されたトナー像を記録材に転写する転写手段と、
前記画像形成手段により形成するトナー像のトナー量を制御する制御手段と、を備えた画像形成装置において、
前記画像形成手段により前記像担持体上に形成された所定のトナー像を、前記転写手段により所定の記録材に転写して得たテスト画像を読み取る画像読取手段を有し、
前記制御手段は、前記画像読取手段により読み取ったテスト画像の所定の領域内での濃度の最高値と最低値との差である濃度差に基づき、前記画像形成手段により前記所定の記録材と同種の記録材に形成するトナー像のトナー量を制御する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、入力信号に対するトナー量が予め決められたルックアップテーブルに基づいて、前記画像形成手段により形成するトナー像のトナー量を制御し、前記濃度差が所定の値以上である場合に、前記ルックアップテーブルを変更する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記濃度差が大きいほど、トナー量を多くする、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記テスト画像は、複数の色のトナー像を重ねて形成した画像であり、
前記制御手段は、前記濃度差が大きいほど、前記複数の色のトナー像のうち、記録材に転写した後の最上層となる色のトナー像のトナー量を多くする、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記濃度差が大きいほど、前記複数の色のトナー像のうちの他の色のトナー像のトナー量を少なくする、
ことを特徴とする、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記テスト画像は、濃度が所定のレベルよりも小さい中間階調画像であり、
前記制御手段は、前記画像形成手段により前記中間階調画像を形成する場合に、前記濃度差が第1の所定値よりも大きく、前記第1の所定値よりも大きい値である第2の所定値よりも小さい場合にトナー量を割増し、前記濃度差が前記第2の所定値以上である場合にはトナー量を割増しない、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記テスト画像は、前記中間階調画像に加えて、濃度が前記所定のレベル以上の高濃度画像を有し、
前記制御手段は、前記画像形成手段により前記高濃度画像を形成する場合に、前記テスト画像のうちの前記高濃度画像の前記濃度差が前記第2の所定値以上である場合にトナー量を割引し、前記濃度差が前記第2の所定値よりも小さい場合にはトナー量を割引しない、
ことを特徴とする、請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−33167(P2013−33167A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169753(P2011−169753)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】