説明

画像形成装置

【課題】ファンを可及的に用いることなく排熱動作を行うことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】装置本体2の後方フレーム41には、縦方向に延びるダクト50が取り付けられている。ダクト50の下端側開口53が空気の入口用の開口となり、上端側開口54が空気の出口用の開口となる。第1基板P1が、ダクト50の内部に露出する状態で取り付けられ、第2基板P2が、下端側開口53の直下に取り付けられている。ダクト50内の空気は、第1、第2基板P1、P2の発する熱によって積極的に加熱され、いわゆる煙突効果が助長される。これにより、ファン等を付設することなく、ダクト50と通した排気が行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像形成処理を施す画像形成部に関し、特に排熱用のダクトを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、熱源となる部品や部材、それらを含む装置が種々備えられている。例えば、電力半導体素子等が搭載された電源用基板や、トナー像が転写されたシートに定着処理を施す定着装置などである。これら熱源装置が発する熱を機外へ排出するために、画像形成装置には排熱用のダクトが備えられている。
【0003】
上記のダクト端部には、一般に排熱を促進させるためにファンが取り付けられる。ファンの稼働によりダクト内に空気流が生成され、機内の暖気が前記空気流によって機外へ排出される。特許文献1には、装置本体内にダクトを縦方向に配置することで、いわゆる煙突効果による上昇気流と、前記ファンの吸気動作による空気流とによって、排気効率を向上させるようにした画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−287216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、排熱用のダクトには強制的に排気用空気流を発生させるファンを適用することが前提とされている。しかし、ファンを用いることは電力を消費することに繋がり、省エネルギー効果上は望ましくない。また、ファンの稼働によりどうしても駆動音が発生するので、静音環境に画像形成装置が配置される場合に好ましくない。
【0006】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたもので、ファンを可及的に用いることなく排熱動作を行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、シートに対して画像形成処理を施す画像形成部を収容する本体筐体と、前記本体筐体に装着され、熱を発生する熱源装置と、前記本体筐体に取り付けられ、下端側開口と上端側開口とを有し縦方向に延びるダクトと、を備え、前記熱源装置は、前記ダクト内の空気を加熱可能に前記本体筐体に取り付けられている。
【0008】
この構成によれば、縦方向に延びるダクト内の空気が前記熱源装置の発する熱によって積極的に加熱されるようになる。従って、ダクト内には比較的大きな上昇気流が生成されるようになり、いわゆる煙突効果が助長される。このような煙突効果によって、ファンの吸引力乃至は送風力を用いることなく、前記下端側開口から暖気を取り入れ上端側開口からこれを排気することが可能となる。
【0009】
上記構成において、前記熱源装置の少なくとも一部が、前記ダクトの内部に露出する状態で装着されていることが望ましい。この構成によれば、ダクトの内部に露出している熱源装置の一部にて、ダクト内の空気を効率良く加熱させることができる。
【0010】
上記構成において、前記熱源装置が、前記ダクトの下端側開口の近傍に位置するよう装着されていることが望ましい。この構成によれば、熱源装置が発する熱で加熱された空気が自ずと下端側開口からダクト内に進入するようになり、結果としてダクト内の空気を加熱させることができる。
【0011】
上記構成において、前記熱源装置が、発熱性の電気素子が搭載された基板であることは、好ましい実施形態の一つである。発熱性の電気素子が搭載された基板は、画像形成装置において最も大きな熱を発生する装置の一つである。この基板をダクト内の空気加熱用として用いることで、煙突効果を高めることができると共に、自身が発生する熱もダクトを通してダイレクトに排出させることができる。
【0012】
この場合、前記本体筐体を覆う外装部材をさらに備え、前記本体筐体は、前記画像形成部を収容する収容空間を区画する側板を含み、前記基板及び前記ダクトは、前記側板の外側面(後方フレーム面)と前記外装部材の内側面との間に配置され、前記外装部材の上端側に、前記ダクトの上端側開口と連通する排気口が備えられていることが望ましい。
【0013】
この構成によれば、側板が前記収容空間内の熱を吸収する一種のヒートシンクとして機能し、これによって生成される側板の外側面と外装部材の内側面との間の暖気を、ダクト及び排気口を通して外部に排出させることができる。しかも、ダクト内の空気は基板が発する熱により加熱されるので、煙突効果によって上記暖気を効率良く排出することができる。
【0014】
上記構成において、前記ダクトは、前記側板と平行に縦方向に延びる底板を備え、前記基板は、前記底板に備えられた開口に嵌め込まれ、前記電気素子が前記ダクト内に突出した状態で、前記側板に取り付けられていることが望ましい。この構成によれば、ダクトに対する基板の組み付け、つまり、ダクト内の空気を加熱出来る態様での組み付けを簡易に行わせることができる。
【0015】
また、前記ダクトは、前記側板と平行に縦方向に延びる底板を備え、該底板は前記側板に対して所定間隔を置いて取り付けられ、前記基板は、前記所定間隔と略同じ間隔を置いて、前記下端側開口の下方において前記側板に取り付けられていることが望ましい。この構成によれば、基板から発せられる熱を効率良くダクト内に取り入れることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像形成装置において本体筐体内の熱を、煙突効果を利用して効率的に機外に排出させることができる。これにより、排熱用のダクトにファンを付設して強制的な空気流を発生させる必要性を低下させることができる。従って、画像形成装置に対して排熱のためのファンの設置を省く、或いは小容量のファンの適用で足りることとなり、省エネルギー効果、静音化効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を左斜め前方から見た斜視図である。
【図2】上記画像形成装置を右斜め後方から見た斜視図である。
【図3】上記画像形成装置の内部構造を示す断面図である。
【図4】本体フレームの後方フレームを示す斜視図である。
【図5】上記後方フレームに基板が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図6】上記後方フレームに、第1実施形態に係るダクトの一部が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図7】上記後方フレームに、第1実施形態に係るダクトが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図8】上記後方フレーム上に後外装板が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図9】第1実施形態に係るダクトの取り付け部分における、装置本体の縦断面図である。
【図10】上記後方フレームに、第2実施形態に係るダクトの一部が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図11】上記後方フレームに、第2実施形態に係るダクトが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図12】図10において、さらに上記後方フレームの上端に上外装板が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図13】図11において、さらに上記後方フレームの上端に上外装板が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図14】第2実施形態に係るダクトの取り付け部分における、装置本体の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の外観を示す斜視図、図3は、画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1は、いわゆる胴内排紙型の複写機を例示しているが、画像形成装置は、プリンタ、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよい。
【0019】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有し胴内空間(胴内排紙部24)を備えた装置本体2を含む。装置本体2は、シートに対して画像形成処理を施す。装置本体2は、略直方体形状の下部筐体21と、下部筐体21の上方に配設される略直方体形状の上部筐体22と、下部筐体21と上部筐体22とを連結する連結筐体23とを含む。下部筐体21には画像形成のための各種機器が収容され、上部筐体22には原稿画像を光学的に読み取るための各種機器が収容されている。下部筐体21、上部筐体22及び連結筐体23で囲まれる胴内空間が、画像形成後のシートを収容可能な胴内排紙部24とされている。連結筐体23は、装置本体2の右側面2Rに配置され、胴内排紙部24へシートを排出するための排出口961が設けられている。
【0020】
胴内排紙部24として利用される前記胴内空間は、装置本体2の前面及び左側面において外部に開放されている。ユーザーは、これらの開放部分から手を差し入れ、胴内排紙部24から画像形成後のシートを取り出すことが可能である。前記胴内空間の底面241は、下部筐体21の上面で区画され、排出口961から排出されたシートが積載される。
【0021】
下部筐体21には、画像形成処理が施されるシートを収容する給紙カセット211が装着されている。給紙カセット211は、下部筐体21(装置本体2)の前面2Fから手前方向に引出可能である。この給紙カセット211は、自動給紙用に設けられたカセットである。
【0022】
装置本体2の右側面2Rには、ユーザーに手差し給紙を行わせるためのマルチトレイユニットMが装着されている。マルチトレイユニットMは、手差しシートが載置される給紙トレイ213と、前記手差しシートを下部筐体21内の画像形成部へ搬入する給紙ユニット214とを含む。給紙トレイ213は、その下端部において下部筐体21に対して開閉自在に取り付けられており、不使用時は閉状態とされる。ユーザーは、手差し給紙を行う場合、給紙トレイ213を開き、その上にシートを載置する。
【0023】
図2に示すように、装置本体2の後面2Bには、後面側外装部材201が取り付けられている。この外装部材201の内側には、上下方向(縦方向)に延びる排熱用のダクト50が配置されている。外装部材201の上端付近には、ダクト50から排出される空気(暖気)を外部へ排出させるための排気口202が穿孔されている。このダクト50及びその周辺構造については、後記で詳述する。
【0024】
上部筐体22の前面には、操作パネルユニット25が突出して設けられている。操作パネルユニット25は、LCDタッチパネル251のほか、テンキー、スタートキーなどを含み、ユーザーからの各種の操作指示の入力を受け付ける。ユーザーは、操作パネルユニット25を通じて、印刷されるシートの枚数等を入力したり、印刷濃度等を入力したりすることができる。
【0025】
上部筐体22の上には、画像が読み取られる原稿を所定の原稿読取位置(第1コンタクトガラス222)へ自動供給するADF(Automatic Document Feeder)装置3が取り付けられている(図3では省いている)。ADF装置3は、その後端縁において上部筐体22に対して回動可能に取り付けられ、読み取られる原稿が載置される原稿トレイ31と、前記原稿読取位置を経由して前記原稿を搬送する搬送部32と、読取後の原稿が排出される原稿排出トレイ33とを含む。
【0026】
続いて、図3に基づいて、装置本体2の内部構造を説明する。下部筐体21の内部には、上方から順に、トナーコンテナ99Y、99M、99C、99Bk、中間転写ユニット92、画像形成部93、露光ユニット94、及び上述の給紙カセット211が収容されている。
【0027】
画像形成部93は、フルカラーのトナー像を形成するために、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各トナー像を形成する4つの画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkを備える。各画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体ドラム11と、この感光体ドラム11の周囲に配置された、帯電器12、現像装置13、一次転写ローラー14及びクリーニング装置15とを含む。
【0028】
感光体ドラム11は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム11としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電器12は、感光体ドラム11の表面を均一に帯電する。帯電後の感光体ドラム11の周面は、露光ユニット94によって露光され、静電潜像が形成される。
【0029】
現像装置13は、感光体ドラム11上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム11の周面にトナーを供給する。現像装置13は、2成分現像剤用のものであり、攪拌ローラー16、17、磁気ローラー18、及び現像ローラー19を含む。攪拌ローラー16、17は、2成分現像剤を攪拌しながら循環搬送することで、トナーを帯電させる。磁気ローラー18の周面には2成分現像剤層が担持され、現像ローラー19の周面には、磁気ローラー18と現像ローラー19との間の電位差によってトナーが受け渡されることにより形成されたトナー層が担持される。現像ローラー19上のトナーは、感光体ドラム11の周面に供給され、前記静電潜像が現像される。
【0030】
一次転写ローラー14は、中間転写ユニット92に備えられている中間転写ベルト921を挟んで感光体ドラム11とニップ部を形成し、感光体ドラム11上のトナー像を中間転写ベルト921上に一次転写する。クリーニング装置15は、トナー像転写後の感光体ドラム11の周面を清掃する。
【0031】
イエロー用トナーコンテナ99Y、マゼンタ用トナーコンテナ99M、シアン用トナーコンテナ99C、及びブラック用トナーコンテナ99Bkは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCBk各色に対応する画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkの現像装置13に、図略の供給経路を通して各色のトナーを供給する。
【0032】
露光ユニット94は、光源やポリゴンミラー、反射ミラー、偏向ミラーなどの各種の光学系機器を有し、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkの各々に設けられた感光体ドラム11の周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
【0033】
中間転写ユニット92は、中間転写ベルト921、駆動ローラー922及び従動ローラー923を備える。中間転写ベルト921上には、複数の感光体ドラム11からトナー像が重ね塗りされる(一次転写)。重ね塗りされたトナー像は、給紙カセット211又は給紙トレイ213から供給されるシートに、二次転写部98において二次転写される。
【0034】
給紙カセット211は、複数のシートが積層されてなるシート束を収納する。給紙カセット211の右端側の上部には、ピックアップローラー212が配置されている。ピックアップローラー212の駆動により、給紙カセット211内のシート束の最上層のシートが1枚ずつ繰り出され、搬入搬送路26へ搬入される。一方、給紙トレイ213に載置されたシートは、給紙ユニット214の給紙ローラー215の駆動によって、搬入搬送路26へ搬入される。
【0035】
搬入搬送路26の下流側には、二次転写部98、後述する定着ユニット97及び排紙ユニット96を経由して排出口961まで延びるシート搬送路28が設けられている。シート搬送路28の上流部分は、下部筐体21に形成された内壁と、反転搬送ユニット29の内側面を形成する内壁との間に形成されている。なお、反転搬送ユニット29の外側面は、両面印刷の際にシートを反転搬送する反転搬送路291の片面を構成している。シート搬送路28の、二次転写部98よりも上流側にはレジストローラー対27が配置されている。シートは、レジストローラー対27にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、二次転写部98に送り出される。
【0036】
連結筐体23の内部には、定着ユニット97と排紙ユニット96とが収納されている。定着ユニット97は、定着ローラーと加圧ローラーとを含み、二次転写部98においてトナー像が二次転写されたシートを加熱及び加圧することで、定着処理を施す。定着処理されたカラー画像付のシートは、定着ユニット97の下流に配置されている排紙ユニット96により、排出口961から胴内排紙部24に向けて排出される。
【0037】
上部筐体22の上面には、第1コンタクトガラス222と第2コンタクトガラス223とが嵌め込まれている。第1コンタクトガラス222は、ADF装置3から自動給送される原稿シートの読取用に設けられている。第2コンタクトガラス223は、手置きされる原稿シートの読取用に設けられている。
【0038】
上部筐体22の内部には、原稿情報を光学的に読み取るための走査機構224と撮像素子225とが収容されている。走査機構224は、光源、移動キャリッジ、反射ミラー等を含み、原稿からの反射光を撮像素子225に導く。撮像素子225は、前記反射光をアナログ電気信号に光電変換する。前記アナログ電気信号は、A/D変換回路(図略)でデジタル電気信号に変換された後、露光ユニット94に入力される。
【0039】
[ダクトの第1実施形態]
続いて、第1実施形態に係るダクト50について、図4〜図9に基づいて説明する。図4は、装置本体2の外表面を形成する外装部材の内側に位置し、筐体構造を形成する本体フレーム40(本体筐体)を、その後方から見た斜視図である。ここでは、後述する第1基板P1及び第2基板P2(熱源装置)及びダクト50が装着される前の状態を示している。
【0040】
本体フレーム40は、所定間隔を置いて配置される平板状の前方フレーム(図略)及び後方フレーム41(側板)と、これら両フレームの上に配置される上部フレーム42と、前記両フレームの間に水平に架設される天フレーム431、中フレーム432及び底フレーム433とで構成されている。本体フレーム40の周面は外装部材で覆われ、後方フレーム41は図2に示す後面側外装部材201によって覆われることになる。
【0041】
前方フレーム及び後方フレーム41との間の収容空間には、上述のトナーコンテナ99Y、99M、99C、99Bk、中間転写ユニット92、画像形成部93、露光ユニット94、及び給紙カセット211等が収容される。上部フレーム42は、上述の上部筐体22に対応するもので、走査機構224及び撮像素子225が収納されると共に、その上面において第1コンタクトガラス222及び第2コンタクトガラス223を保持する。
【0042】
後方フレーム41には、当該後方フレーム41の一部を垂直に切り起こすことにより形成された第1支持片411及び第2支持片412が突設されている。第1支持片411は後方フレーム41の上側に突設され、第2支持片412は第1支持片411の略真下に突設されている。第1及び第2支持片411、412は、それぞれ、上下方向に長い長方形の各頂点に位置する4つの切り起こし片からなり、各々の切り起こし片の先端は後方フレーム41と平行な面となるよう垂直に折り曲げられた折り曲げ面とされている。
【0043】
図5は、第1支持片411及び第2支持片412にそれぞれ第1基板P1及び第2基板P2が取り付けられた状態を示す斜視図である。第1及び第2基板P1、P2は、パワー半導体モジュールや電源素子などの発熱性の電気素子が、その表面側に搭載された長方形の回路基板である。これら第1及び第2基板P1、P2は、画像形成装置1が稼働状態にあるときに通電され、熱を発生する。第1及び第2基板P1、P2は、長手方向が上下方向に沿うように配置され、その裏面側の四隅において各々、第1支持片411及び第2支持片412にて支持固定されている。
【0044】
図6及び図7は、後方フレーム41に、第1実施形態に係るダクト50が取り付けられた状態を示す斜視図である。ダクト50は、上下方向に長く、水平方向の断面が左右方向に細長い矩形形状のダクトであり、断面コ字型のチャンネル部材51と、このチャンネル部材51の開口部を覆う蓋板52との組み立て体からなる。
【0045】
図6に示すように、チャンネル部材51は、後方フレーム41と平行に縦方向に延びる底板511と、この底板511の上下方向の中間に穿孔された開口512と、底板511の左右端縁から立設された側板513とを含む。開口512は、上下方向に長い長方形の開口であって、第1基板P1の外形サイズよりも僅かに大きいサイズを有している。図9も参照して、チャンネル部材51の上端部は、上方に向かう底板511が後方へ90°湾曲された湾曲面514とされ、その先端縁は側板513の先端縁よりも後方に僅かに突出している。この湾曲面514に対応して、側板513の上端部には後方に僅かに突出する延長部515が設けられている。また、チャンネル部材51の下端部516は、第2基板P2の上端に隣接している。
【0046】
蓋板52は、長方形の平板であり、一対の側板513の先端縁間に架け渡されている。蓋板52の上下方向の長さはチャンネル部材51の湾曲面514を除いた長さとほぼ同じであり、その上端部には後方に向けて垂直に折り曲げられた折り曲げ部521が形成されている。折り曲げ部521の突出長は、延長部515の突出長と同じである。折り曲げ部521が延長部515の下縁に沿うように、蓋板52はチャンネル部材51の開口部を覆うように取り付けられる。これにより空気の流通空間D(図9参照)を備えたダクト50が形成される。
【0047】
このダクト50の下端側開口53が空気の入口用の開口となり、上端側開口54が空気の出口用の開口となる。下端側開口53は画像形成装置1の据え付け面と平行な開口であるのに対し、流通空間Dが湾曲面514によって90°湾曲される結果、上端側開口54は前記据え付け面と直交する開口となっている。
【0048】
チャンネル部材51の底板511も、第1支持片411によって後方フレーム41に対して所定間隔を置いて支持されている。図9に示すように、第1基板P1は、平板状の配線板61と、この配線板の上にマウントされた電気素子62とからなる。配線板61は、開口512に嵌め込まれ、底板511が後方フレーム41に対して有している間隔とほぼ同じ間隔を後方フレーム41に対して置いて、第1支持片411により支持されている。一方、電気素子62はダクト50の流通空間Dに露出している。従って、ダクト50の流通空間D内の空気は、電気素子62が発する熱により加熱される。
【0049】
第2基板P2は、同様に、平板状の配線板63と、この配線板の上にマウントされた電気素子64とからなる。第2基板P2は、下端側開口53の直ぐ下方に配置され、配線板63はチャンネル部材51の底板511が後方フレーム41に対して有している間隔とほぼ同じ間隔を後方フレーム41に対して置いて、第2支持片412により支持されている。従って、電気素子64が発する熱により加熱された空気が、下端側開口53を通してダクト50の流通空間Dに流入し、結果として流通空間D内の空気が加熱されることになる。
【0050】
図8に示すように、第1、第2基板P1、P2及びダクト50の後方フレーム41への組み付けが終えられたならば、その上に後面側外装部材201(図2も参照)が取り付けられる。すなわち第1、第2基板P1、P2及びダクト50は、後方フレーム41の外側面と後面側外装部材201の内側面との間に配置されている。外装部材201の上端付近の排気口202は、ダクト50の上端側開口54と対向している。
【0051】
以上の構成を備える画像形成装置1によれば、縦方向に延びるダクト50内の空気が第1、第2基板P1、P2の発する熱によって積極的に加熱されるようになる。特に、第1基板P1は、その発熱源である電気素子62が流通空間D内に露出し、直接的にダクト50内の空気を加熱している。また、第2基板P2は下端側開口53の直下に配置され、電気素子64によって加熱された空気がダクト50内に導入され易い配置とされている。
【0052】
ここでダクト50は、縦方向に延びるダクトであるので、装置本体2内の暖気がダクト50内に進入すると、いわゆる煙突効果によって下端側開口53から上端側開口54へ向かう空気流が発生する。加えて、第1、第2基板P1、P2が熱を発しダクト50内の空気を加熱することで、ダクト50内には大きな上昇気流が生成されるようになり、上記煙突効果が助長される。つまり、ダクト50内の加熱空気が上昇気流によって上端側開口54及び排気口202を通して機外に排出される一方で、当該排出によって負圧となった下端側開口53付近の空気がダクト50内へ導入されるようになる。そして、第1、第2基板P1、P2はダクト50の流通空間Dへ熱を供給し続けるので、流通空間Dでは上昇気流が常に生成されるものである。このような煙突効果によって、ファンの吸引力乃至は送風力を用いることなく、下端側開口53から暖気を取り入れ上端側開口54からこれを排気することが可能となる。
【0053】
[ダクトの第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るダクト50Aについて、図10〜図14に基づいて説明する。ダクト50Aは、第1実施形態のダクト50のような湾曲面514を有さない、直進状のダクトである。ダクト50Aは、上下方向に長く、水平方向の断面が左右方向に細長い矩形形状のダクトであり、断面コ字型のチャンネル部材55と、このチャンネル部材55の開口部を覆う蓋板56との組み立て体からなる。図10は、後方フレーム41にチャンネル部材55が取り付けられた状態を、図11は、後方フレーム41にダクト50Aが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0054】
チャンネル部材55は、後方フレーム41と平行に縦方向に延びる底板551と、この底板551の上下方向の中間に穿孔された開口552と、底板551の左右端縁から立設された側板553とを含む。底板551は、その上端部554から下端部555まで真っ直ぐに伸びる平板であって、上端部554は本体フレーム40の上端まで延び、下端部555は第2基板P2の上端に隣接している。開口552には、第1基板P1が嵌め込まれている。
【0055】
蓋板56は、長方形の平板であり、一対の側板553の先端縁間に架け渡されている。蓋板56の上下方向の長さは、チャンネル部材55の上下方向長さとほぼ同じである。蓋板56のチャンネル部材55への取り付けにより、空気の流通空間D(図14参照)を備えたダクト50Aが形成される。ダクト50Aの下端側開口57が空気の入口用の開口となり、上端側開口58が空気の出口用の開口となる。なお、第1支持片411及び第2支持片412による支持構造については、第1実施形態と同様である。
【0056】
図12は、図10において、後方フレーム41の上端に上外装板203が取り付けられた状態を、図13は、図11において、上外装板203が取り付けられた状態を各々示す斜視図である。上外装板203には、ダクト50Aの上端側開口58に対向する位置に、排気口204が形成されている。
【0057】
このような第2実施形態に係るダクト50Aによっても、先に第1実施形態において説明した煙突効果によって、ファン等を用いることなく、装置本体2内の暖気を機外に排出させることができる。すなわち、第1、第2基板P1、P2が熱を発しダクト50A内の空気を加熱することで、ダクト50A内には大きな上昇気流が生成されるようになり、下端側開口57から導入された空気が、上端側開口58及び排気口204を通して、装置本体2の上面から外部へ排出されるものである。
【0058】
以上説明した本発明によれば、画像形成装置1において本体筐体内の熱を、ダクト50、50A内の空気を熱源としての第1、第2基板P1、P2によって積極的に加熱させるので、煙突効果を助長させて暖気を効率的に機外に排出させることができる。加えて、第1、第2基板P1、P2が発する熱も、機外へ効率良く排出できる。これにより、排熱用のダクトにファンを付設して強制的な空気流を発生させる必要性を低下させることができる。従って、画像形成装置1に対して排熱のためのファンの設置を省くことができる、或いはファンが必要であるとしても小容量のファンの適用で足りることとなり、省エネルギー効果、さらには静音化効果を得ることができる。
【0059】
また、第1、第2基板P1、P2及びダクト50、50Aは、後方フレーム41の外側面と外装部材201の内側面との間に配置され、外装部材201の上端側に、ダクト50、50Aの上端側開口と連通する排気口202、204が備えられている。従って、後方フレーム41(本体フレームの側板)が、前方フレーム及び後方フレーム41との間の収容空間に配置された機器類が発する熱を吸収する一種のヒートシンクとして機能し、これによって生成される後方フレーム41と外装部材201との間の暖気を、ダクト50、50A及び排気口202、204を通して外部に排出させることができる。しかも、ダクト50、50A内の空気は第1、第2基板P1、P2が発する熱により加熱されるので、煙突効果によって上記暖気を効率良く排出することができる。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採ることができる。
【0061】
(1)上記実施形態では、ダクト内の空気を加熱する熱源装置として第1、第2基板P1、P2を例示した。これに代えて、画像形成装置1に通常搭載されている部品類で発熱するもの、例えば駆動モーター等を加熱源としても良い。或いは、定着ユニット97の排熱配管とダクト50、50Aの流通空間Dの空気とを熱交換させても良い。
【0062】
(2)上記実施形態では、第1基板P1をダクト50、50Aの内部に、第2基板P2をダクト50、50Aの直下に配置する例を示した。これに代えて、第1、第2基板P1、P2の双方をダクト50、50Aの内部に配置しても良いし、ダクト50、50Aの直下に配置しても良い。あるいは、複数の縦型ダクトをデュアル配置し、各々のダクトの内部若しくは直下に熱源装置(基板)を配置するようにしても良い。
【0063】
(3)上記実施形態では、第1基板P1の電気素子62を流通空間D内に露出させる例を示した。これに代えて、第1基板P1の配線板61の裏面側からヒートシンクを突設させ、電気素子62ではなく前記ヒートシンクを流通空間D内に露出させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0064】
1 画像形成装置
2 装置本体
40 本体フレーム(本体筐体)
41 後方フレーム(側板)
50、50A ダクト
51、55 チャンネル部材
511、551 底板
52 蓋板
53、57 下端側開口
54、58 上端側開口
61、63 配線板
62、64 電気素子
93 画像形成部
P1 第1基板(熱源装置)
P2 第2基板(熱源装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに対して画像形成処理を施す画像形成部を収容する本体筐体と、
前記本体筐体に装着され、熱を発生する熱源装置と、
前記本体筐体に取り付けられ、下端側開口と上端側開口とを有し縦方向に延びるダクトと、を備え、
前記熱源装置は、前記ダクト内の空気を加熱可能に前記本体筐体に取り付けられている、画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記熱源装置の少なくとも一部が、前記ダクトの内部に露出する状態で装着されている、画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記熱源装置が、前記ダクトの下端側開口の近傍に位置するよう装着されている、画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記熱源装置が、発熱性の電気素子が搭載された基板である、画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記本体筐体を覆う外装部材をさらに備え、
前記本体筐体は、前記画像形成部を収容する収容空間を区画する側板を含み、
前記基板及び前記ダクトは、前記側板の外側面と前記外装部材の内側面との間に配置され、
前記外装部材の上端側に、前記ダクトの上端側開口と連通する排気口が備えられている、画像形成装置。
【請求項6】
請求項2を引用する請求項5に記載の画像形成装置において、
前記ダクトは、前記側板と平行に縦方向に延びる底板を備え、
前記基板は、前記底板に備えられた開口に嵌め込まれ、前記電気素子が前記ダクト内に突出した状態で、前記側板に取り付けられている、画像形成装置。
【請求項7】
請求項3を引用する請求項5に記載の画像形成装置において、
前記ダクトは、前記側板と平行に縦方向に延びる底板を備え、該底板は前記側板に対して所定間隔を置いて取り付けられ、
前記基板は、前記所定間隔と略同じ間隔を置いて、前記下端側開口の下方において前記側板に取り付けられている、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−3459(P2013−3459A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136506(P2011−136506)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】