説明

画像形成装置

【課題】 装置内部を冷却する冷却ファン等の回転部品が発生する騒音の低減を図った画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 画像形成装置100は,画像形成部1の他に,冷却ファン150と,騒音低減部600とを有している。騒音低減部600は,参照マイク610と,誤差検出マイク620と,逆位相スピーカー630と,信号処理部310とを有している。参照マイク610により集音された冷却ファン150の騒音を,信号処理部310に入力する。信号処理部310は,入力された音波の逆位相波形を生成する。逆位相スピーカー630は,その生成された逆位相波形の音波を発生させる。誤差検出マイク620は,冷却ファン150からの騒音と,逆位相スピーカー630からの逆位相音との合成音とを集音する。信号処理部310は,その合成音に基づいて,逆位相波形を修正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,画像形成装置に関する。さらに詳細には,装置内部を冷却する冷却ファン等から発生する騒音の低減を図った画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では,装置内部の各部が発熱する。例えば,画像形成を行う画像形成部や,転写されたトナー像をシートに定着する定着装置などが主な発熱源である。これらの発熱源および装置内部を冷却するために,画像形成装置の内部に冷却ファンが設けられることがある。
【0003】
しかし,冷却ファンは,その回転により騒音を発生する。このように回転駆動を受ける回転部品は,騒音を発生する。画像形成装置は,オフィス等で使用されるものであり,このような騒音を可能な限り抑制することが好ましい。そこで,このような騒音を抑制する消音装置が開発されてきている。例えば,特許文献1には,モーターやファン等の回転部品の騒音の周波数を検出する受信部と,検出した周波数情報を記憶する記憶部と,外部の音を収録する音収録部と,検出した騒音に対して逆位相の音声信号を生成する音声信号生成部と,その生成した音声信号を音として発生する音発生部とを有する消音装置(アクティブノイズキャンセラー:ANC)が開示されている(特許文献1の請求項1,2および図2,図4等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−171487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように騒音源とは別に,それとは逆位相の音波を別途発生させることにより消音する消音装置をアクティブノイズキャンセラーという。特許文献1に記載の消音装置では,音発生部は,予め記憶してある音波と逆位相の音波を発生させるのみである。そのため,ファンが所定の回転数で回転するような場合にはよい。しかし,ファンの回転数が時間的に変化するような場合には,その変化に応じた音波を生成することは困難である。すなわち,十分な消音効果が得られない。
【0006】
本発明は,前述した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,装置内部を冷却する冷却ファン等の回転部品が発生する騒音の低減を図った画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の画像形成装置は,画像形成装置の内部の回転部品を回転駆動する駆動部と,回転部品もしくは駆動部の回転音を受信する第1の音波受信部と,第1の音波受信部により受信された音波の逆位相波形を生成する逆位相波形生成部と,逆位相波形生成部により生成された逆位相波形の音波を発生する音波発生部と,回転部品もしくは駆動部の回転音と,音波発生部により発生される音波との合成音を受信する第2の音波受信部と,第2の音波受信部により受信される合成音を小さくするように,逆位相波形を修正して修正波形を生成する修正部とを有するものである。そして,音波発生部は,修正部による修正波形の生成後には,逆位相波形に代えて修正波形の音波を発生するものである。かかる画像形成装置では,冷却ファン等の回転部品や駆動部から
発せられる騒音を低減することができる。合成音を集音してフィードバックすることにより,修正部が逆位相波形を修正するために,騒音を低減する効果は高い。
【0008】
上記に記載の画像形成装置において,逆位相波形生成部は,画像形成装置の動作モードがスリープ状態である場合に,予め定めた第1の周波数閾値以上の周波数帯域について逆位相信号を生成するものであるとよい。ポップノイズの影響を受けやすい低音側の周波数帯域を除く周波数帯域で,騒音を低減することができるからである。
【0009】
上記に記載の画像形成装置において,逆位相波形生成部は,画像形成装置の動作モードが待機状態である場合に,第1の周波数閾値以上である第2の周波数閾値以上の周波数帯域について逆位相信号を生成するものであるとよい。ポップノイズの影響を受けやすい低音側の周波数帯域を除く周波数帯域で,騒音を低減することができるからである。
【0010】
上記に記載の画像形成装置において,逆位相波形生成部は,画像形成装置の動作モードが画像安定化処理中である場合に,第2の周波数閾値より大きい第3の周波数閾値以上の周波数帯域について逆位相信号を生成するとともに,画像形成装置の動作モードが厚紙に画像形成している状態である場合に,第3の周波数閾値より大きい第4の周波数閾値以上の周波数帯域について逆位相信号を生成するとともに,画像形成装置の動作モードが普通紙に画像形成している状態である場合に,第4の周波数閾値より大きい第5の周波数閾値以上の周波数帯域について逆位相信号を生成するものであるとよい。回転部品の回転が速い場合にも,ポップノイズの影響を受けにくい周波数帯域で,騒音を低減することができるからである。
【0011】
上記に記載の画像形成装置において,回転部品のうちの少なくとも1つは,画像形成装置の内部を冷却する冷却ファンであるとよい。冷却ファンから発生する騒音を好適に低減することができるからである。
【0012】
上記に記載の画像形成装置において,第1の音波受信部は,冷却ファンの吸い込み側の位置に配置されているものであるとよい。ポップノイズの発生しにくい状況で,冷却ファンからの騒音を集音できるからである。
【0013】
上記に記載の画像形成装置において,第1の音波受信部は,冷却ファンの噴出し側の位置に配置されているものであるとよい。画像形成装置の外部に漏れる騒音に近い騒音を集音して,騒音を低減することができるからである。
【0014】
上記に記載の画像形成装置において,冷却ファンと第1の音波受信部との間には,冷却ファンにより発生される風を緩和する緩衝部材が配置されているとよい。ポップノイズを発生しにくい状況で,冷却ファンからの騒音を集音できるからである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば,装置内部を冷却する冷却ファン等の回転部品が発生する騒音の低減を図った画像形成装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係る画像形成装置を説明するための概略構成図である。
【図2】実施形態に係る画像形成装置の騒音低減部の構成を説明するための概念図である。
【図3】実施形態に係る画像形成装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係る画像形成装置の騒音低減部において参照マイクを冷却ファンの噴出し側または吸い込み側に配置した場合の周波数特性を示すグラフである。
【図5】実施形態に係る画像形成装置の騒音低減部において参照マイクを冷却ファンの噴出し側に配置した場合の周波数特性を示すグラフである。
【図6】実施形態に係る画像形成装置の騒音低減部において参照マイクを冷却ファンの吸い込み側に配置した場合の周波数特性を示すグラフである。
【図7】実施形態に係る画像形成装置において冷却ファンの発する音波と逆位相スピーカーの発する音波とこれらの合成音とを示すグラフである。
【図8】第1の実施形態に係る画像形成装置の騒音低減部による騒音低減処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】実施形態に係る画像形成装置の騒音低減部において参照マイクを冷却ファンの吸い込み側に配置した場合を説明するための概念図である。
【図10】実施形態に係る画像形成装置の別の騒音低減部を説明するための概念図(その1)である。
【図11】実施形態に係る画像形成装置の別の騒音低減部を説明するための概念図(その2)である。
【図12】第2の実施形態に係る画像形成装置での冷却ファンの回転数を示すグラフである。
【図13】第2の実施形態に係る画像形成装置の騒音低減部による騒音低減処理を説明するためのフローチャート(その1)である。
【図14】第2の実施形態に係る画像形成装置の騒音低減部による騒音低減処理を説明するためのフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,画像形成装置について,本発明を具体化したものである。
【0018】
(第1の実施形態)
1.画像形成装置
本形態の画像形成装置100は,図1に示すように,各色の画像形成部1Y,1M,1C,1Kを有するタンデム方式のカラーコピー機である。画像形成装置100は,1次転写ローラー111と,中間転写ベルト101と,2次転写ローラー115と,給紙カセット112と,搬送経路114と,定着装置130と,画像読取部210と,タッチパネル230とを有している。また,画像形成装置100は,冷却ファン150と,モーターMと,騒音低減部600と,制御部300とを有している。
【0019】
画像形成部1Y,1M,1C,1Kはそれぞれ,感光体ユニット20と,現像ユニット10とを有している。図1では,代表して1Yにより描かれている。感光体ユニット20は,感光体ドラム21を有している。感光体ドラム21は,トナー像を担持するための像担持体である。露光装置30は,感光体ドラム21の表面に静電潜像を書き込むためのものである。現像ユニット10は,感光体ドラム21上の静電潜像にトナーを付与して現像するためのものである。
【0020】
1次転写ローラー111と,中間転写ベルト101と,2次転写ローラー115とは,感光体ドラム21上に現像されたトナー像をシートPに転写するための転写部である。シートPは,給紙カセット112から給紙され,搬送経路114を通って,2次転写ローラー115の箇所でトナー像を転写される。トナー像を転写されたシートPは,その後定着装置130の箇所に搬送される。定着装置130は,シートPを加熱するとともに加圧し,トナー像をシートPに定着させるためのものである。
【0021】
画像読取部210は,画像読取部210の上に載置された原稿を画像イメージとして読み取るためのものである。タッチパネル230は,ユーザによる画像形成の指示を受け付けるための操作表示部である。
【0022】
冷却ファン150は,画像形成装置100の本体の内部を冷却するためのものである。そして,モーターMの回転駆動を受けて回転する回転部品である。モーターMは,冷却ファン150を回転駆動するための駆動部である。また,感光体ドラム21や1次転写ローラー111等の転写部等をも回転駆動させるものである。騒音低減部600は,冷却ファン150の発する騒音を低減するためのものである。制御部300は,騒音低減部600をも制御するためのものである。また,制御部300は,画像形成部1をはじめ,画像形成装置100の各部を制御する。なお,冷却ファン150および騒音低減部600の位置関係については,後に詳しく述べる。
【0023】
2.騒音低減部
本形態の騒音低減部600の概略構成を図2に示す。騒音低減部600は,図2に示すように,参照マイク610と,誤差検出マイク620と,逆位相スピーカー630と,信号処理部310とを有している。
【0024】
参照マイク610は,冷却ファン150の発する回転音を受信する音波受信部である。参照マイク610は,冷却ファン150の噴出し側の位置もしくは吸い込み側の位置に配置されている。つまり,冷却ファン150から送風される風の下流側の位置もしくは上流側の位置に配置されている。ただし,後述する逆位相音の位相および振幅を調整する制御を行うには,参照マイク610を冷却ファン150の噴出し側の位置に配置することが好ましい。そして,参照マイク610は,冷却ファン150からそれほど離れていない位置に配置されている。冷却ファン150からの騒音を好適に集音するためである。
【0025】
誤差検出マイク620は,冷却ファン150の発する回転音と逆位相スピーカー630の発する逆位相音との合成音を受信するための音波受信部である。誤差検出マイク620は,冷却ファン150および逆位相スピーカー630からやや離れた位置に配置されている。冷却ファン150からの音波と逆位相スピーカー630からの音波との合成音を好適に集音するためである。したがって,冷却ファン150と誤差検出マイク620との間の距離は,冷却ファン150と参照マイク610との間の距離よりも長い。なお,誤差検出マイク620は,冷却ファン150と逆位相スピーカー630とを結ぶ線分上以外の位置に配置されている。合成音を好適に受信するためである。
【0026】
逆位相スピーカー630は,信号処理部310により生成された逆位相波形の音波を発する音波発生部である。ここで逆位相波形の音波とは,参照マイク610により検出された音波と逆位相の波形の音波のことである。そして逆位相スピーカー630は,後述するように,逆位相波形に修正が加えられた後には,逆位相波形に代えてその修正後の修正波形の音波を発生するものである。逆位相スピーカー630は,冷却ファン150の位置からそれほど離れていない位置に配置されている。冷却ファン150と逆位相スピーカー630との間の距離は,冷却ファン150と誤差検出マイク620との間の距離よりも短い。
【0027】
信号処理部310は,参照マイク610により受信された音波の逆位相波形を生成するための逆位相波形生成部である。信号処理部310は,逆位相波形を修正して修正波形を生成するための修正部も兼ねている。この修正は,後述するように,誤差検出マイク620で受信される合成音が小さくするように実行される。つまり,信号処理部310は,誤差検出マイク620により受信された合成音をフィードバックすることにより修正波形を生成するのである。
【0028】
3.画像形成装置の制御系
本形態の画像形成装置100の制御系を示すブロック図を図3に示す。画像形成装置100は,図1や図2に示したものの他に,画像処理部360と,ROM410と,RAM420と,データ記憶部430と,通信部440とを有している。
【0029】
画像処理部360は,画像読取部210により読み取られた画像イメージを加工するためのものである。ROM410およびRAM420は,画像形成装置100の本体に付属されている記憶部である。RAM420は,画像イメージを電子データ化する際に作業領域として使用される。データ記憶部430は,電子データ化された各種データを保存しておくための記憶部である。通信部440は,画像形成装置100の外部のネットワーク500と相互に通信するためのものである。
【0030】
騒音低減部600では,参照マイク610により受信された音波の波形情報が,信号処理部310に入力される。そして,信号処理部310は,逆位相波形を生成して逆位相スピーカー630にその波形情報を送信する。なお,信号処理部310には,誤差検出マイク620からも波形情報が入力されるようになっている。逆位相波形を修正するためである。
【0031】
4.マイクの配置位置と冷却ファンの騒音
ここで,参照マイク610の位置を変えた場合に,冷却ファン150から発せられる騒音がどのように変わるかについて説明する。参照マイク610を配置する位置とは,前述のように,冷却ファン150の噴出し側と吸い込み側とのいずれかの位置である。
【0032】
参照マイク610が冷却ファン150の噴出し側の位置にあるときと,冷却ファン150の吸い込み側の位置にあるときとで,冷却ファン150から噴出される風の流れは異なっている。冷却ファン150の噴出し側に参照マイク610が配置されている場合には,参照マイク610が風の流れの障害となるからである。したがって,参照マイク610をいずれの位置に配置するかにより,参照マイク610で検出される音波の周波数特性は異なっている。
【0033】
参照マイク610の配置による周波数特性の違いを図4に示す。図4の横軸は,参照マイク610により検出された音波の周波数(Hz)である。図4の縦軸は,その周波数の音圧レベル(dB)である。図4に示すように,参照マイク610を冷却ファン150の噴出し側に配置した場合と,吸い込み側に配置した場合とを比較すると,周波数が数百Hz以上の高音側の周波数帯域では,両者に差異はみられない。一方,周波数が数百Hz以下の低音側の周波数帯域では,噴出し側に配置した場合の音圧レベルは,吸い込み側に配置した場合の音圧レベルよりも高い。
【0034】
このように参照マイク610を配置する位置により,測定される音圧レベルは異なる。しかし実際には,冷却ファン150から発せられる騒音がそれほど異なるわけではない。しかし,参照マイク610が冷却ファン150の噴出し側の位置に配置されている場合には,参照マイク610は,音圧に加えて風圧をも拾ってしまう。この風圧によるノイズを一般にポップノイズや吹かれという。このポップノイズは,測定した音波の低音側に現れる。
【0035】
一方,冷却ファン150の吸い込み側に参照マイク610を配置した場合には,参照マイク610がこのようなポップノイズを拾うことはない。そのため,低音側の音を打ち消すためには,参照マイク610を冷却ファン150の吸い込み側の位置に配置するほうがよい。
【0036】
ただし,ユーザーが聞く画像形成装置100の外部に漏れ出た音の波形は,冷却ファン150の噴出し側で測定される音の波形により近い。したがって,ポップノイズの影響のない高音側の音を打ち消すためには,参照マイク610を冷却ファン150の噴出し側の位置に配置するほうがよい。このように,冷却ファン150の噴出し側の位置と吸い込み側の位置とのいずれに参照マイク610を配置するかについては,一長一短である。
【0037】
4−1.噴出し側
図5は,参照マイク610を冷却ファン150の噴出し側に配置したときの音圧レベルを示すグラフである。図5の横軸および縦軸は,図4と同様である。図5には,冷却ファン150を回転駆動するモーターMへの印加電圧を変化させた場合における周波数特性の違いが示されている。
【0038】
図5に示すように,モーターMに印加する印加電圧が12Vのときには,ピークP1,P2がある。ピークP1は,400Hz近傍にあり,ピークP2は,800Hz近傍にある。ピークP1は,冷却ファン150の基本周波数であると考えられる。ピークP2は,冷却ファン150の第1高調波であると考えられる。また,モーターMに印加する印加電圧が10Vのときには,ピークP3,P4はそれぞれ,基本周波数および第1高調波であると考えられる。このような基本周波数および高調波を騒音低減制御に用いるか否かは自由である。
【0039】
図5に示すように,モーターMに印加する印加電圧が大きいほど,冷却ファン150から発せられる騒音の音圧レベルは大きい。前述したように,モーターMの印加電圧が大きいほど,冷却ファン150の回転数が大きくなるからである。図5では,図4に示した噴出し側と同様に,周波数の小さい低音側の周波数帯域で音圧レベルが大きい。
【0040】
また,図5の領域R1は,モーターMに印加する印加電圧が12Vのときに,ポップノイズを拾ってしまう領域である。すなわち,参照マイク610により集音される波形の信頼性の低い領域である。図5の領域R2は,モーターMに印加する印加電圧が10Vのときに,ポップノイズを拾ってしまう領域である。すなわち,参照マイク610により集音される波形の信頼性の低い領域である。ここで,領域R1は,領域R2に比べて広い。領域R2より高音側の周波数帯域にまで位置している。つまり,冷却ファン150の回転数が速いほど,ポップノイズは高音側の周波数帯域にまで及ぶ。
【0041】
4−2.吸い込み側
図6は,参照マイク610を冷却ファン150の吸い込み側に配置したときの音圧レベルを示すグラフである。図6の横軸および縦軸は,図4と同様である。図6には,冷却ファン150を回転駆動するモーターMの出力電圧を変化させた場合における周波数特性の違いが示されている。
【0042】
図6に示すように,参照マイク610を冷却ファン150の吸い込み側に配置した場合には,高音側の周波数帯域では,噴出し側(図5参照)の場合とほとんど変わらない。一方,低音側の周波数帯域では,モーターMの印加電圧が小さい場合には,音圧レベルは高音側と比較してやや上昇している。しかし,モーターMの印加電圧が大きい場合には,音圧レベルのこのような上昇はほとんどみられない。
【0043】
4−3.噴出し側と吸い込み側との比較
冷却ファン150を噴出し側に配置した場合(図5)と吸い込み側に配置した場合(図6)との比較について説明する。冷却ファン150を回転駆動するモーターMに印加する印加電圧が6Vおよび8Vの線では,図5と図6との間に違いがほとんどみられない。一方,モーターMに印加する印加電圧が10Vおよび12Vの線では,図5と図6との間で顕著な違いがある。
【0044】
前述のように,冷却ファン150を噴出し側に配置した場合(図5)には,低音側の周波数帯域で音圧レベルが上昇する。その音圧レベルの上昇,すなわち測定値のズレは,モーターMへの印加電圧が大きいほど,大きい。モーターMの回転数を速くするほど,参照マイク610に当たる風圧が大きいものとなるからである。上記のように,参照マイク610の配置によって,音圧レベルの強度分布は様々であり,それぞれの強度に応じて逆位相波形を生成する必要がある。
【0045】
5.騒音低減方法の基本的原理
ここで本形態の騒音低減方法の基本的な原理について説明する。図7は,ある時刻における音波の波形を表したグラフである。また,実際には種々の周波数の波形の重ね合わせであるが,理解の簡単のために,図7では単音の周波数の波形が描かれている。図7の上段のグラフ(図7(A))は,冷却ファン150の発する音波の波形を示すグラフである。図7の中段のグラフ(図7(B))は,逆位相スピーカー630の発する音波の波形を示すグラフである。図7の下段のグラフ(図7(C))は,冷却ファン150の発する音波と逆位相スピーカー630の発する音波との合成音の波形を示すグラフである。
【0046】
図7(A)のグラフの横軸は,冷却ファン150からの距離を示している。原点は,冷却ファン150の位置である。図7(B)および図7(C)の原点も,図7(A)と同様ものとして描いてある。逆位相スピーカー630は,冷却ファン150の近くの位置に配置されており,誤差検出マイク620は,冷却ファン150から離れた位置に配置されているからである。したがって,冷却ファン150と逆位相スピーカー630とのいずれの位置を原点としてもよい。図7の各グラフの縦軸はいずれも,音波の振幅を示している。図7の上段のグラフおよび中段のグラフにおける振幅は2Aである。
【0047】
図7の上段のグラフと図7の中段のグラフとを比較すると次のようである。ここで,これらのグラフの原点を周期の開始地点とすると,原点から4Bだけ離れた地点がその周期の終了地点である。
冷却ファンからの距離 B 2B 3B 4B
冷却ファンの音波の振幅の値 ―A 0 A 0
逆位相スピーカーからの音波の振幅の値 A 0 −A 0
このように,逆位相スピーカー630の音波(図7の中段のグラフ)の位相は,冷却ファン150の音波(図7の上段のグラフ)の位相と逆位相となっている。
【0048】
そして,冷却ファン150から発せられる音波と,逆位相スピーカー630から発せられる音波とを重ね合わせることにより,図7の下段のグラフに示すように合成音の波形が得られる。図7の下段のグラフでは,合成音の波形は定常的にゼロである。
【0049】
ただし,実際には,合成音の波形にはノイズがのる。このノイズには種々の原因が考えられる。そのうちの一つとして,冷却ファン150の音波を完全に打ち消す波形を得ることが困難であることが挙げられる。そのために,信号処理部310により生成される逆位相波形にフィードバックを施す。
【0050】
その逆位相波形にフィードバックを施すために,誤差検出マイク620を用いる。ここで,誤差検出マイク620により測定される音波の振幅がゼロであればよい。これにより,合成音の波形は,より定常的にゼロに近い波形となる。
【0051】
6.騒音低減フロー
図8に,本形態に係る騒音低減フローを説明するためのフローチャートを示す。まず,参照マイク610により,冷却ファン150の発する騒音を計測する(S101)。ここで,冷却ファン150が一定速度で回転している場合には,冷却ファン150が発する音の波形はほぼ同じ波形の繰り返しである。次に,信号処理部310が,計測された音波の逆位相音,すなわち逆位相波形を生成する(S102)。次に,逆位相スピーカー630がその生成された逆位相音を発する(S103)。次に,誤差検出マイク620により,冷却ファン150からの音波と逆位相スピーカー630からの音波とを合成した合成音を計測する(S104)。
【0052】
次に,信号処理部310は,計測した合成音の波形がゼロになるように,振幅および位相を調整する(S105)。例えば,合成波の振幅が冷却ファン150の振幅と同じ向きであった場合には,逆位相波形の振幅を大きくする。逆に,合成波の振幅が冷却ファン150の振幅と逆向きであった場合には,逆位相波形の振幅を小さくする。
【0053】
次に,騒音低減制御の終了指示があったか否かを確認する(S106)。騒音低減制御の終了指示があった場合には(S015:Yes),騒音低減制御を終了する。騒音低減制御の終了指示が未だない場合には(S105:No),S105に進む。つまり,フィードバックをかけ続ける。
【0054】
以上説明したように,本形態の画像形成装置100は,冷却ファン150から発生する騒音を参照マイク610により測定し,その音波の逆位相波形の音波を逆位相スピーカー630から発生させることにより,騒音を低減させるものである。また,騒音と逆位相音との合成音を測定する誤差検出マイク620を有しているため,信号処理部310により生成される音波にフィードバックをかけることができる。
【0055】
7.変形例等
7−1.マイクのスクリーン
本形態では,冷却ファン150の噴出し側の位置に参照マイク610を配置することとした。その際に,参照マイク610は,剥き出しの状態で配置されている。しかし,参照マイク610に,冷却ファン150からの風の影響を少なくするスクリーン部材を配置することとしてもよい。これにより,前述したポップノイズや吹かれと呼ばれる現象の発生を抑制することができる。
【0056】
例えば,図10に示すように,参照マイク610にスポンジ710を被せることとしてもよい。また,図11に示すように,冷却ファン150と参照マイク610との間にポップガード720を配置することとしてもよい。これらスポンジ710やポップガード720は,冷却ファン150により発生される風を緩和する緩衝部材である。
【0057】
7−2.その他の回転部品
本形態では,騒音源として冷却ファン150を例に挙げて説明した。しかし,画像形成装置100の内部には,冷却ファン150以外にも,感光体ドラム21や,定着装置130や,1次転写ローラー111や,2次転写ローラー115や,中間転写ベルト101などのように,回転駆動を受けて回転する回転部品がある。これらの回転部品の回転もしくはモーターMの回転により騒音が発生する。本形態では,フィードバックを行うことにより,これらの回転部品もしくは駆動部から発生する騒音も低減させることができる。
【0058】
7−3.基本周波数
図5や図6に示すように,基本周波数近傍で音圧レベルが高いものとなっている。そのため,冷却ファン150の基本周波数近傍の音圧レベルを減少させれば,その場合であっても騒音を打ち消す効果がある。したがって,冷却ファン150の基本周波数の近傍,例えば基本周波数±50Hzの範囲内の周波数帯域について,信号処理部310が逆位相波形を生成することとすればよい。
【0059】
8.まとめ
以上,詳細に説明したように,本実施の形態に係る画像形成装置は,冷却ファン150の発する音波を計測するとともに,その計測した音波と逆位相の逆位相波形を生成してその逆位相波形の音波を逆位相スピーカー630から発するものである。この逆位相スピーカー630から発せられる音波により,冷却ファン150により発せられる音は低減される。また,常にフィードバックがかかっているので,冷却ファン150以外に騒音を発生している場合にも,その騒音を低減することができる。これにより,騒音を低減することのできる画像形成装置が実現されている。
【0060】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,画像形成装置は,片面印刷のものであっても,両面印刷のものであってもよい。また,カラー印刷のものに限らない。カラー印刷でない場合には,画質低下判定値については,1色のみについて算出すればよい。そして,画像形成装置は,プリンターであってもよい。また,読み取った画像を印刷ジョブとして公衆回線により送信する画像読取装置および画像形成装置に適用することができる。もちろん,複合機であってもよい。また,トナーの種類によらず適用できる。
【0061】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。本形態の画像形成装置の機械的構成は,第1の実施形態の画像形成装置100とほぼ同様である。本形態の画像形成装置が第1の実施形態の画像形成装置100と異なる点は,冷却ファン150が噴出し側に配置されていることと,騒音低減部600により実行される騒音低減制御である。したがって,その相違点を中心に説明する。
【0062】
1.冷却ファンの回転数
本形態の画像形成装置の機械的構成は,第1の実施形態の画像形成装置100とほぼ同じであるため,第1の実施形態と同様に画像形成装置100と表記することとする。ただし本形態では,冷却ファン150を噴出し側の位置に配置することとし,吸い込み側の位置には配置しない。前述したように,逆位相音の位相および振幅を調整する制御を行うには,参照マイク610を冷却ファン150の噴出し側の位置に配置することが好ましいからである。
【0063】
そして本形態では,冷却ファン150の回転数を,自由に制御することとする。その場合,画像形成装置100の内部で発生する熱量に応じて,冷却ファン150の回転数を設定すればよい。つまり,画像形成を行わない待機時には冷却ファン150の回転数の値として低速の回転数を設定し,画像形成を行う画像形成時には冷却ファン150の回転数の値として高速の回転数を設定するのである。
【0064】
図12は,冷却ファン150の回転数を設定する場合の1例を示すグラフである。図12の横軸は,時間である。図12の縦軸は,冷却ファン150の回転数である。図12に示すように,画像形成を行わない待機中の場合には,冷却ファン150の回転数として毎分1000回転とする。ここで待機中における冷却ファン150の回転数は,厚紙に画像形成を行う場合の冷却ファン150の回転数より小さい。そして,厚紙に画像形成を行う場合の冷却ファン150の回転数は,普通紙に画像形成を行う場合の冷却ファン150の回転数より小さい。
【0065】
画像形成を行う場合には,画像形成に供するシートが普通紙であるかそれより厚みの厚い厚紙であるかによって冷却ファン150に設定する回転数を変える。普通紙に画像形成を行う場合には,冷却ファン150に設定する回転数として毎分3000回転とする。つまり,冷却ファン150の回転数を上昇させるのである。厚紙に画像形成を行う場合には,冷却ファン150に設定する回転数として毎分2000回転とする。つまり,待機中の後に厚紙に画像形成を行う場合には,冷却ファン150の回転数を上昇させる。普通紙に画像形成を行った後に厚紙に画像形成を行う場合には,冷却ファン150の回転数を下降させるのである。これにより,画像形成装置100の内部を好適に冷却することができる。
【0066】
しかし,図4および図5の説明のところで述べたように,冷却ファン150の回転数が大きいほど,低音側の周波数帯域の測定は困難である。その場合には,信号処理部310により生成される逆位相波形は,冷却ファン150からの騒音を打ち消すのに必ずしも好適でないことがある。騒音の高周波成分を打ち消すことはできても,騒音の低周波成分を打ち消すことは困難である。さらには,冷却ファン150の音波の波形と逆位相スピーカー630の波形とが重なり合うことで,振幅が増大するおそれもある。つまり,騒音が大きくなるおそれがある。
【0067】
したがって本形態では,測定の困難な低周波領域をカットした逆位相音を発生させる。つまり,予め定めた周波数閾値以上の周波数帯域のみ成分をもつ逆位相音を発生させるのである。そのため,逆位相音における周波数閾値未満の周波数帯域の成分はゼロである。この周波数閾値として,冷却ファン150の回転数により異なった値を設定することとすればよい。冷却ファン150の回転数が大きいほど,この周波数閾値を高音側に設定すればよい。
【0068】
そのために,画像形成装置100の動作モードに応じて,異なる周波数閾値を設定する。その場合には,次のような関係式が成り立つ。
A < B < C < D < E
A:動作モードがスリープ中の場合に適用する周波数閾値
B:動作モードが待機中の場合に適用する周波数閾値
C:動作モードが画像安定化処理中の場合に適用する周波数閾値
D:厚紙に画像形成中の場合に適用する周波数閾値
E:普通紙に画像形成中の場合に適用する周波数閾値
【0069】
2.騒音低減フロー
本形態の騒音低減フローについて図13のフローチャートにより説明する。
【0070】
S210:
まず,画像形成装置100の動作モードを確認する。画像形成装置100の動作モードがスリープ中である否かを確認する(S210)。ここで,動作モードがスリープ中である場合には(S210:Yes),後述するS211に進む。動作モードがスリープ中でない場合には(S210:No),S220に進む。
【0071】
S220:
S220では,画像形成装置100の動作モードが待機中であるか否かを判断する。動作モードが待機中である場合には(S220:Yes),後述するS221に進む。動作モードが待機中でない場合には(S220:No),S230に進む。
【0072】
S230:
S230では,画像形成装置100の動作モードが画像安定化処理中であるか否かを判断する。画像安定化処理とは,画像読取部210により読み取られた画像イメージを加工して,より鮮明な画像イメージとする処理をいう。動作モードが画像安定化処理中である場合には(S230:Yes),後述するS231に進む。動作モードが画像安定化処理中でない場合には(S230:No),S240に進む。
【0073】
S240:
S240では,画像形成装置100の動作モードが印刷中であるシートの種類を判断する。動作モードが厚紙を印刷中である場合には(S240:Yes),後述するS241に進む。動作モードが普通紙を印刷中である場合には(S240:No),S251に進む。
【0074】
S211以降:
S211では,冷却ファン150の回転による騒音を参照マイク610により測定する。次に,信号処理部310が,測定された音波の周波数特性を解析する(S212)。続いて,信号処理部310が,予め定めた周波数閾値A以上の周波数帯域について,逆位相波形を生成する(S213)。それに加えて,逆位相スピーカー630が,生成された逆位相波形の音波を発生する(S213)。
【0075】
S221以降:
S221では,冷却ファン150の回転による騒音を参照マイク610により測定する。次に,信号処理部310が,測定された音波の周波数特性を解析する(S222)。続いて,信号処理部310が,予め定めた周波数閾値B以上の周波数帯域について,逆位相波形を生成する(S223)。それに加えて,逆位相スピーカー630が,生成された逆位相波形の音波を発生する(S223)。
【0076】
S231以降:
S231では,冷却ファン150の回転による騒音を参照マイク610により測定する。次に,信号処理部310が,測定された音波の周波数特性を解析する(S232)。続いて,信号処理部310が,予め定めた周波数閾値C以上の周波数帯域について,逆位相波形を生成する(S233)。それに加えて,逆位相スピーカー630が,生成された逆位相波形の音波を発生する(S233)。
【0077】
S241以降:
S241では,冷却ファン150の回転による騒音を参照マイク610により測定する。次に,信号処理部310が,測定された音波の周波数特性を解析する(S242)。続いて,信号処理部310が,予め定めた周波数閾値D以上の周波数帯域について,逆位相波形を生成する(S243)。それに加えて,逆位相スピーカー630が,生成された逆位相波形の音波を発生する(S243)。
【0078】
S251以降:
S251では,冷却ファン150の回転による騒音を参照マイク610により測定する。次に,信号処理部310が,測定された音波の周波数特性を解析する(S252)。続いて,信号処理部310が,予め定めた周波数閾値E以上の周波数帯域について,逆位相波形を生成する(S253)。それに加えて,逆位相スピーカー630が,生成された逆位相波形の音波を発生する(S253)。
【0079】
以上説明したように,本形態では画像形成装置100の動作モードに応じて異なる周波数閾値(A〜E)を設定して,その周波数閾値(A〜E)以上の周波数帯域について逆位相波形を生成するとともに,その逆位相波形を逆位相スピーカー630から発生させる。これにより,騒音の低減を図った画像形成装置が実現されている。
【0080】
3.変形例
3−1.騒音低減フロー
本形態では,画像形成装置100の動作モードを詳細に分類して,その動作モードに応じて,冷却ファン150の騒音低減フローを実施することとした。しかし,動作モードの分類を,もっと粗くしても構わない。例えば,図14に示すように,スリープ中または待機中の場合と,画像形成中の場合との2つの場合に分類することとしてもよい。逆に,もっと細かくしてもよい。
【0081】
まず,画像形成装置100の動作モードがスリープ中である否かを確認する(S310)。動作モードがスリープ中である場合には(S310:Yes),S311に進む。そうでなければ(S310:No),S320に進む。S320では,動作モードが待機中であるか否かを判断する。動作モードが待機中である場合には(S320:Yes),S311に進む。動作モードが待機中でない場合には(S320:No),S321に進む。
【0082】
S311では,冷却ファン150の回転による騒音を参照マイク610により測定する。次に,信号処理部310が,測定された音波の周波数特性を解析する(S312)。続いて,信号処理部310が,予め定めた周波数閾値A以上の周波数帯域について,逆位相波形を生成する(S313)。それに加えて,逆位相スピーカー630が,生成された逆位相波形の音波を発生する(S313)。
【0083】
S321では,冷却ファン150の回転による騒音を参照マイク610により測定する。次に,信号処理部310が,測定された音波の周波数特性を解析する(S322)。続いて,信号処理部310が,予め定めた周波数閾値B以上の周波数帯域について,逆位相波形を生成する(S323)。しかし,逆位相スピーカー630が,生成された逆位相波形の音波を発生しない(S323)。
【0084】
冷却ファン150の回転数が高くなると,冷却ファン150の近傍に配置されている参照マイク610に冷却ファン150の風が強く当たる。そのために,冷却ファン150の発する音波の低周波数領域を正確に検出することが困難である。つまり,この場合に冷却ファン150の音波を正確に打ち消すことは困難である。したがって,この場合には逆位相スピーカー630から音波を発生させないこととする。逆位相スピーカー630から適正でない音波を発生させれば,騒音を打ち消すどころか,かえって騒音となるおそれがあるからである。
【0085】
4.まとめ
以上,詳細に説明したように,本実施の形態に係る画像形成装置は,冷却ファン150の発する音波を計測するとともに,その計測した音波と逆位相の逆位相波形を生成してその逆位相波形の音波を逆位相スピーカー630から発するものである。この逆位相スピーカー630から発せられる音波により,冷却ファン150により発せられる音は低減される。また,常にフィードバックがかかっているので,冷却ファン150以外に騒音を発生している場合にも,その騒音を低減することができる。これにより,騒音を低減することのできる画像形成装置が実現されている。
【0086】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,画像形成装置は,片面印刷のものであっても,両面印刷のものであってもよい。また,カラー印刷のものに限らない。カラー印刷でない場合には,画質低下判定値については,1色のみについて算出すればよい。そして,画像形成装置は,プリンターであってもよい。また,読み取った画像を印刷ジョブとして公衆回線により送信する画像読取装置および画像形成装置に適用することができる。もちろん,複合機であってもよい。また,トナーの種類によらず適用できる。
【符号の説明】
【0087】
1…画像形成部
10…現像ユニット
20…感光体ユニット
21…感光体ドラム
30…露光装置
100…画像形成装置
150…冷却ファン
210…画像読取部
230…タッチパネル
300…制御部
310…信号処理部
600…騒音低減部
610…参照マイク
620…誤差検出マイク
630…逆位相スピーカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成装置であって,
前記画像形成装置の内部の回転部品を回転駆動する駆動部と,
前記回転部品もしくは前記駆動部の回転音を受信する第1の音波受信部と,
前記第1の音波受信部により受信された音波の逆位相波形を生成する逆位相波形生成部と,
前記逆位相波形生成部により生成された逆位相波形の音波を発生する音波発生部と,
前記回転部品もしくは前記駆動部の回転音と,前記音波発生部により発生される音波との合成音を受信する第2の音波受信部と,
前記第2の音波受信部により受信される合成音を小さくするように,逆位相波形を修正して修正波形を生成する修正部とを有し,
前記音波発生部は,
前記修正部による修正波形の生成後には,逆位相波形に代えて修正波形の音波を発生するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって,
前記逆位相波形生成部は,
画像形成装置の動作モードがスリープ状態である場合に,
予め定めた第1の周波数閾値以上の周波数帯域について逆位相信号を生成するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置であって,
前記逆位相波形生成部は,
画像形成装置の動作モードが待機状態である場合に,
前記第1の周波数閾値以上である第2の周波数閾値以上の周波数帯域について逆位相信号を生成するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置であって,
前記逆位相波形生成部は,
画像形成装置の動作モードが画像安定化処理中である場合に,
前記第2の周波数閾値より大きい第3の周波数閾値以上の周波数帯域について逆位相信号を生成するとともに,
画像形成装置の動作モードが厚紙に画像形成している状態である場合に,
前記第3の周波数閾値より大きい第4の周波数閾値以上の周波数帯域について逆位相信号を生成するとともに,
画像形成装置の動作モードが普通紙に画像形成している状態である場合に,
前記第4の周波数閾値より大きい第5の周波数閾値以上の周波数帯域について逆位相信号を生成するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載の画像形成装置であって,
前記回転部品のうちの少なくとも1つは,
画像形成装置の内部を冷却する冷却ファンであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置であって,
前記第1の音波受信部は,
前記冷却ファンの吸い込み側の位置に配置されているものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5に記載の画像形成装置であって,
前記第1の音波受信部は,
前記冷却ファンの噴出し側の位置に配置されているものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置であって,
前記冷却ファンと前記第1の音波受信部との間には,前記冷却ファンにより発生される風を緩和する緩衝部材が配置されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−35137(P2013−35137A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170465(P2011−170465)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】