説明

画像形成装置

【課題】配置される原稿のサイズを検出する技術を提供する。
【解決手段】実施形態の画像形成装置は、透過板と、発光体と、キャリッジと、イメージセンサ部と、制御部とを有する。透過板は、原稿が配置される。発光体は、透過板に向けて発光する。キャリッジは、発光体を搭載し、副走査方向に移動する。イメージセンサ部は、発光体からの光の反射光を受光して電子データに変換する。制御部は、キャリッジを予め定義されている複数の位置へ副走査方向に順次移動させ、移動した位置で発光体が発した光の反射光が、イメージセンサ部で電子データに変換されるように制御し、変換後の電子データに基づき、透過板上に配置されている原稿が移動位置に有るか否かを判定することで、原稿の副走査方向のサイズを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に記載の実施形態は、原稿台に配置される原稿のサイズを検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿台に配置される原稿のサイズを自動で検出し、検出したサイズのシートを用いてコピーやスキャンする画像形成装置がある。
【0003】
このような画像形成装置は、原稿台に配置される原稿に対し、原稿幅長(主走査方向の原稿の長さ)、原稿長(副走査方向の原稿の長さ)を複数の反射型センサを使って検出してから、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCIS(Contact Image Sensor)センサなどの画像読取デバイスでスキャンして原稿像を読み取る。
【0004】
また原稿幅長は画像読取りデバイスのスキャン方向(主走査方向)であることを利用して、画像読取りデバイスでラインスキャンすることで原稿幅の長さを検出する装置もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の原稿サイズの検出には、複数個のセンサを使う必要があり、機能を実現するためにはコストがかかる。また画像読取デバイスを用いて主走査方向の原稿幅長を検出する装置の場合でも、副走査方向の原稿長を検出する必要があるため、この原稿長を検出するためのセンサが複数必要となり、同様にコストがかかる。
【0006】
実施形態は上述した問題点を解決するためになされたものであり、画像読取デバイスを用いて、原稿台上に配置される原稿の副走査方向長さを検出する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の画像形成装置は、透過板と、発光体と、キャリッジと、イメージセンサ部と、制御部とを有する。透過板は、原稿が配置される。発光体は、透過板に向けて発光する。キャリッジは、発光体を搭載し、副走査方向に移動する。イメージセンサ部は、発光体からの光の反射光を受光して電子データに変換する。制御部は、キャリッジを予め定義されている複数の位置へ副走査方向に順次移動させ、移動した位置で発光体が発した光の反射光が、イメージセンサ部で電子データに変換されるように制御し、変換後の電子データに基づき、透過板上に配置されている原稿が移動位置に有るか否かを判定することで、原稿の副走査方向のサイズを検出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】画像形成装置の構成例を示す断面図である。
【図2】第1実施形態のスキャン部の構成例を示す模式図である。
【図3】原稿シートのサイズ別の設置状態を示す図であり、LT規格上の寸法例を示す図である。
【図4】第1実施形態の原稿サイズ検出の動作例を示すフローチャートである。
【図5】キャリッジの移動位置の一例を示し、移動の遷移例を示す図である。
【図6】第2実施形態のスキャン部の構成例を示す模式図である。
【図7】第2実施形態の原稿サイズ検出の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しつつ第1実施形態の態様について説明する。図1は、第1実施形態の画像形成装置(MFP:Multi Function Peripheral)の概略構成を示す縦断面図である。図1に示すように、画像形成装置100は、読取部Rと、像形成部Pとを備えている。
【0010】
読取部Rは、シート原稿およびブック原稿の画像をスキャンして読み取る機能を有し、また外部機器から画像形成装置100に送信される画像データを取得する機能を有している。読取部Rは、複数のミラーや受光素子を含むスキャン部10を備え、また原稿を所定の載置場所まで自動搬送可能な自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)9を備える。原稿トレイRtに載置される、自動原稿搬送装置9によって自動搬送される原稿や、原稿台に載置される原稿の画像は、スキャン部10によって読み取られる。
【0011】
像形成部Pは、読取部Rにて原稿から読み取られた画像や外部機器から送信される画像データ等に基づいて、シートに現像剤像を形成する機能を有している。また、像形成部Pは、感光体2Y〜2K、現像ローラ3Y〜3K、ミキサ4Y〜4K、中間転写ベルト6、定着装置7および排出トレイ8を備えている。
【0012】
また画像形成装置100は、制御ボード800を有する。制御ボード800は、演算処理装置(たとえばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit))であるプロセッサ801、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)802、および、揮発性記憶装置、不揮発性記憶装置を有する記憶部であるメモリ803を含んでいる。プロセッサ801は、画像形成装置100における各種処理を行う役割を有しており、またメモリ803に予め格納されているプログラムを実行することにより種々の機能を実現する役割も有している。メモリ803は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、VRAM(Video RAM)、FROM(Flash Read Only Memory)、ハードディスクドライブ等から構成されることができ、画像形成装置100において利用される種々の情報やプログラムを格納する役割を有している。
【0013】
また画像形成装置100は、コントロールパネル810を有する。コントロールパネル810は、ユーザからの指示を受け付けるとともに、ユーザへ処理内容を表示する。
【0014】
以下、画像形成装置100における処理の一例として、コピー処理の概要について説明する。まず、ピックアップローラ51によりピックアップされたシートは、シート搬送路内に供給される。シート搬送路内に供給されたシートは、複数のローラ対によって所定の搬送方向へ向けて搬送される。
【0015】
自動原稿搬送装置9によって連続的に自動搬送される複数枚のシート原稿や、ユーザが原稿台に配置したシート原稿は、スキャン部10によって読み取られる。
【0016】
次に、読取部Rにて原稿から読み取られた画像データに対して制御ボード800が所定の画像処理を施す。その後、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)およびK(ブラック)の現像剤像をシートに転写するための感光体2Y、2M、2Cおよび2Kの感光面上に、画像処理後のデータの静電潜像が形成される。
【0017】
続いて、現像器におけるミキサ4Y〜4Kにより攪拌された現像剤が、現像ローラ(いわゆる、マグローラ)3Y〜3Kによって、上記のようにして静電潜像が形成された感光体2Y〜2Kに供給される。これにより、感光体の感光面上に形成された静電潜像が顕像化される。
【0018】
このようにして感光体上に形成された現像剤像は、中間転写ベルト6のベルト面上に転写され(いわゆる、一次転写)、中間転写ベルトの回転によって搬送される現像剤像は、所定の二次転写位置Tにて、搬送されるシート上に転写される。
【0019】
シート上に転写された現像剤像は、定着装置7にてシートに対して加熱定着される。現像剤象が加熱定着されたシートは、複数の搬送ローラ対によって搬送され、排出トレイ8上に順次排出される。
【0020】
次に、スキャン部10の内部構成の一例を図2に示す。スキャン部10は、原稿台ガラス11、ホームポジションセンサ12、プラテンセンサ13、キャリッジ14A、14B、光源部15、ミラーM1〜M3、レンズ16、CCDセンサユニット17、ルーラ18を有する。CCDセンサユニット17は、CCDセンサ17A、CCD基板17B、コントロール基板17Cを有する。
【0021】
原稿台ガラス11は、コピーやスキャン、FAX送信対象の原稿が配置される透過ガラス板であり、水平面(X−Y面)を形成する。ホームポジションセンサ12は、キャリッジ14BがZ軸方向の直下にあるかを検出するセンサであり、キャリッジ14A、14Bの初期位置となる箇所の上方に配置されている。プラテンセンサ13は、原稿を下方に押圧する圧盤(プラテン)の開閉状態を検知するセンサであり、圧盤が閉状態の場合に所定スイッチがオンとなり、開状態の場合にオフとなることで、圧盤の開閉が検知される。尚、第1実施形態では、圧盤は自動原稿搬送装置9と一体となっている。
【0022】
キャリッジ14Aは、光源部15とミラーM1とを搭載し、これらを一体として副走査方向(X軸方向)に移動させるための枠体であり、キャリッジ14Bは、ミラーM2、M3を搭載し、これらを一体として副走査方向に移動させるための枠体である。尚、第1実施形態は、キャリッジ14A、14Bは連動して一体となって移動するものとして説明し、キャリッジ14A、14Bのセットをキャリッジ14と称する。
【0023】
光源部15は、原稿台ガラス11に向けて可視光を照射する発光体であり、原稿台ガラス11に配置される原稿Sを照射する。ミラーM1〜M3は、光源部15から発せされる光の反射光をレンズ16に導くための反射ミラーである。尚、図2の一点鎖線矢印は、光源部15からレンズ16までの光の導き方向を示すものである。レンズ16は、ミラーM1〜M3からの光(光源部15の光の反射光)をCCDセンサユニット17のCCDセンサ17Aに集光させるレンズである。
【0024】
CCDセンサ17の内部構成について説明する。CCDセンサ17Aは、レンズ16で集光される光を、光電変換して電気信号(アナログ信号)に置き換えるラインセンサ(受光素子)であり、光の強弱を電気信号に変換する。CCD基板17Bは、CCDセンサ17Aの電荷状態等を制御し、CCDセンサ17Aで得られる電気信号をコントロール基板17Cに出力する基板である。コントロール基板17Cは、電気信号をデジタル信号(電子データ)に変換し、制御ボード800へ出力する基板であり、また制御ボード800からの制御信号を入力してCCD基板17Bへ荷電タイミング等の制御信号を出力する。
【0025】
ルーラ18は、原稿配置の基準となる位置をユーザに示す部位であり、原稿台ガラス11に固定されている。ルーラ18と原稿台ガラス11とでは段差が形成されているため、原稿Sの端部とルーラ18の端部18Aとが接することで、原稿Sの位置ズレを抑止することができる。ルーラ18には、目盛やシート規格サイズが把握できるマーク等がふられており、ユーザは、ルーラ18の目盛等や段差に従い、原稿を正規の位置に配置することができる。図2には、Y軸方向(主走査方向)に目盛等がふられ、Y軸方向に長く延びたルーラのみが示されているが、X軸方向(副走査方向)に目盛等がふられ、X軸方向に長く延びたルーラも原稿台ガラス11上に備えられている。
【0026】
キャリッジ14の移動制御や光源部15の露光制御、CCDセンサユニット17の制御、これらの同期制御は、制御ボード800により行われる。また、変換後のデジタル信号は、制御ボード800により画像データとして必要な補正処理が実施される。尚、キャリッジ14は、不図示のステッピングモータが用いられることで移動する。すなわち、制御ボード800がパルス信号をステッピングモータに出力し、ステッピングモータは、パルス信号に応じて回転し、キャリッジを移動させる。
【0027】
次に、シートサイズ別の設置状態を図3に示す。また以下の説明では、シートサイズの寸法規格をLT系統(ST、LT、13LG、LG等でサイズを区別する系統)であるものとして説明するが、A系統やB系統(A4、A3やB5、B4等でサイズを区別する系統)でもよい。尚、LT系統では、以下のようにサイズが規格化されている(以下は、「シート幅」×「シート長さ」の表記)。
STサイズ 215.9mm × 139.7mm
LTRサイズ 215.9mm × 279.4mm
13LGサイズ 215.9mm × 330.5mm
LGサイズ 215.9mm × 355.6mm
上記の規格サイズ名称と寸法との対応については、メモリ803に事前に記憶されている。また寸法ではなく、ステッピングモータに出力されるパルス信号を示すデータと規格サイズとの対応でもよい。
【0028】
図3からもわかるように、原稿を原稿台ガラス11上に配置してコピーやスキャン、FAX送信を実施する場合、従来の反射型センサを用いる手法では、各種原稿サイズを検出するために、検出サイズに応じて個別に複数のセンサが必要となる。例えばLGサイズの原稿長さを検出するためのセンサ、13LGサイズの原稿長さを検出するためのセンサ等、原稿長さを検出するためだけで複数のセンサが必要となる。原稿幅長の異なる原稿サイズを検出させるためには、さらにセンサ数が増加する。
【0029】
以下、この原稿サイズの検出を、原稿を読み取るCCDセンサを流用して検出する実装例について説明する。
【0030】
図4は、第1実施形態の動作例を示すフローチャートである。図4のフローチャートの制御は、制御ボード800のプロセッサ801が、メモリ803に記憶されている制御プログラムを演算実行することで行われるものとする。また制御の一部または全部をASIC802が行ってもよい。図4のフローチャートは、制御ボード800が主な動作主体となるように説明しているが、実際は上記のようにハードウェアとソフトウェアとが協働することで実現される。
【0031】
画像形成装置100の電源が投入されると、制御ボード800は、キャリッジ14が初期位置にあるかを判定する(ACT101)。これは、ホームポジションセンサ12から検知信号を受けたか否かにより判定される。キャリッジ14が初期位置に無い場合(ACT101、No)、制御ボード800は、ホームポジションセンサ12が検知するまでキャリッジ14を移動させる(ACT102)。
【0032】
キャリッジ14が初期位置にある場合、すなわち、ホームポジションセンサ12がキャリッジ14を検知する場合(ACT101、Yes)、制御ボード800は、各種初期化動作を実行し、プラテンセンサ13から検知信号を受けるまで待機する(ACT103、ACT104、No)。プラテンセンサ13が自動原稿搬送装置9(プラテン)の開き状態から閉じ状態となるのを検知する場合(ACT104、Yes)、制御ボード800は、キャリッジ14が、移動の起点となる位置(以降の説明では開始位置と称する)に移動するように制御する(ACT105、ACT106、No)。キャリッジ14は、この制御に応じて開始位置に移動する。
【0033】
ここで、図5を参照して開始位置について説明する。本例では、開始位置は、副走査方向0の位置(ルーラ18の端部18Aの位置。以降「0位置」と称する)を基準とする場合、副走査方向での13LGサイズとLGサイズの間(330.5mmから355.6mmの間)の位置となる(図5の黒色太線矢印参照)。
【0034】
図4のフローチャートの説明に戻る。キャリッジ14が初期位置から開始位置まで移動すると(ACT106、Yes)、制御ボード800は、光源部15を制御して発光体を点灯させ、その反射光の強弱をCCDセンサユニット17に光電変換させ、デジタル信号を取得する(ACT107)。このとき、1ライン分の画像データが得られる。制御ボード800は、得られた画像データのエッジを検出することで、原稿が開始位置にあるか否かを判定する(ACT108)。エッジ検出については、例えば画像データの隣接画素間で差分をとり、閾値以上の差分値があれば当該箇所をエッジとする、などの手法があるが、態様はこれに限定されない。
【0035】
原稿を検出した場合(ACT108、Yes)、制御ボード800は、原稿の幅長、すなわち原稿の主走査方向の長さを検出する。原稿幅長は、例えばエッジの間隔長をmm単位に変換することで導出される。原稿幅長が215.9mmである場合(ACT109、Yes)、制御ボード800は、メモリ803に予め記憶されている対応関係に基づき、原稿サイズをLGであるものとし(ACT150A)、光源部15を消灯させ(ACT160)、原稿サイズの検出を終了する。
【0036】
ACT108の判定に説明を戻す。ACT108で、原稿が検出されなかった場合(ACT108、No)、制御ボード800は、開始位置からLT−Rサイズと13LGサイズとの間(279.4mmから330.5mmの間)の位置まで、キャリッジ14を副走査方向に動作させ(ACT110)、当該位置で、上記同様の読み取り処理、原稿有無の判定、原稿幅長の判定を行う(ACT111、112、113)。原稿が検知され(ACT112、Yes)、原稿幅長が215.9mmである場合(ACT113、Yes)、制御ボード800は原稿サイズを13LGであるものとし(ACT150B)、光源部15を消灯させて(ACT160)、終了となる。
【0037】
ACT112の判定で、原稿を検出しなかった場合(ACT112、No)、制御ボード800は、キャリッジ14をSTサイズとLT−Rサイズとの間(139.7mmから279.4mmの間)の位置まで副走査方向に移動させ(ACT114)、当該位置で上記同様に読み取り処理、原稿有無判定、原稿幅長判定を行う(ACT115、116、117)。原稿が検知され(ACT116、Yes)、原稿幅長が215.9mmである場合(ACT117、Yes)、制御ボード800は、原稿サイズをLT−Rであるものとし(ACT150C)、光源部15を消灯させて(ACT160)、終了となる。
【0038】
ACT116の判定で原稿を検出しなかった場合(ACT116、No)、制御ボード800は、キャリッジ14を0位置とSTサイズと間(0mmから139.7mmの間)の位置まで副走査方向に移動させ(ACT118)、当該位置で上記同様に読み取り処理、原稿有無判定、原稿幅長判定を行う(ACT119、120、123)。原稿が検知され(ACT120、Yes)、原稿幅長が215.9mmである場合(ACT123、Yes)、制御ボード800は、原稿サイズをSTであるものとし(ACT150D)、光源部15を消灯させて(ACT160)、終了となる。
【0039】
尚、ACT120で原稿を検出しなかった場合(ACT120、No)、またはACT109、ACT113、ACT117、ACT123の判定で、原稿幅長が215.9mmでなかった場合、制御ボード800は、原稿サイズをその他のサイズとし(ACT150E)、光源部15を消灯させて(ACT160)、終了となる。
【0040】
図4に示す動作の後は、検出された原稿サイズに応じてスキャン処理が実施される。
【0041】
図4に示す制御により、キャリッジ14は、図5に示す開始位置から点線矢印で示す位置に順次移動し、移動ごとに原稿有無の判定が行われる。本例では0位置から遠方となる位置を開始位置とし、0位置へ向かうように順次移動するように制御しているが(図5の一点鎖線矢印参照)、0位置から遠方へ向けて移動する制御であってもよい。このように移動方向を逆向きにすることで、ACT105、ACT106での移動距離が短くなるため、時間を短縮させることができる。
【0042】
尚、移動方向を逆向きにする場合、開始位置は、0位置からSTサイズの位置の間となり、キャリッジ14は順次遠方へ移動する。またACT108、ACT112、ACT116、ACT120の原稿検出処理では、制御ボード800は、原稿がある場合にキャリッジを次の位置まで移動させ、原稿が無い場合に、原稿サイズを確定する(図4において、当該判定処理のYesとNoが逆転する)。ACT150A〜ACT150Eでの確定サイズは、ACT150Aで「その他のサイズ」となり、ACT150BでSTサイズ、ACT150CでLTRサイズ、ACT150Dで13LGサイズ、ACT150EでLGサイズとなる。ACT110、ACT114、ACT118の移動位置もサイズに応じた位置となる。また原稿幅長の判定は、原稿が検出されているうちに行われるものとする。
【0043】
(第2実施形態)
第1実施形態では、キャリッジ14を初期位置から遠方の開始位置まで移動させてから原稿の検出を行っているが(ACT101〜ACT106参照)、ACT105、ACT106の移動制御は、スキャン処理を行う毎に実施されるため、その分サイズ検出に時間を要することとなる。また一方、キャリッジの移動を逆方向とし、遠方へ向かう方向とする場合、原稿サイズを確定した後に引き続きスキャン処理を行うときに、遠方から再度初期位置へ戻る必要があり、この戻りに時間を要することとなる。
【0044】
第2実施形態では、初期化でキャリッジが初期位置へ移動した後に、キャリッジを遠方の開始位置に移動させ、その後、トリガが発生するまで待機する実装例について説明する。
【0045】
図6は、第2実施形態のスキャン部の構成例を示す模式図である。尚、第2実施形態のスキャン部10Aは、第1実施形態で説明した画像形成装置100に、スキャン部10に換えて組み入れられているものとする。スキャン部10Aは、センサ21を有し、これ以外は第1実施形態のスキャン部10と同様である。センサ21は、キャリッジ14が自己のZ軸方向直下にあるかを検出するセンサである。センサ21は、本例では副走査方向において13LGサイズからLGサイズまでの間に位置している。その他の構成は、第1実施形態と同様であるため、ここでの説明は割愛する(図1、図2参照)。
【0046】
図7のフローチャートを参照しつつ、第2実施形態の動作例を説明する。画像形成装置100の電源が投入されると、制御ボード800は、第1実施形態と同様にキャリッジ14が初期位置にあるかを判定し(ACT101)、初期位置に無い場合(ACT101、No)、初期位置までキャリッジ14を移動させる(ACT102)。
【0047】
キャリッジ14が初期位置にある場合(ACT101、Yes)、制御ボード800は、次にキャリッジ14が開始位置にあるかをセンサ21の検知信号の有無を基に判定する(ACT201)。キャリッジ14が開始位置に無い場合(ACT201、No)、制御ボード800は、センサ21が検知するまでキャリッジ14を移動させる(ACT105A)。キャリッジ14が開始位置まで移動すると(ACT201、Yes)、制御ボード800は、プラテンセンサ13が検知するまで待機する(ACT103、ACT104、No)。プラテンセンサ13が自動原稿搬送装置9(プラテン)の開き状態から閉じ状態となるのを検知する場合(ACT104、Yes)、制御ボード800は、光源部15を点灯させ、CCDセンサユニット17による当該位置(開始位置)での読み取りが行われる(ACT107)。以降の動作は第1実施形態と同様であるため、ここでの説明は割愛する(図4参照)。ACT160の光源消灯が行われ、原稿サイズの検出処理が終わった場合、キャリッジ14は初期位置に戻りスキャン処理が行われ、当該スキャン処理が終了次第、開始位置に戻る。この戻り処理はACT201、ACT105Aと同様である。
【0048】
第2実施形態では、キャリッジ14の開始位置上方にセンサ21を設けたが、これは当該位置がサイズ検知動作の基準となる位置であり、より正確な位置決めを要するからである。正確性を求めず、ステッピングモータの駆動のみでの位置決めでよい場合は、センサ21を設けなくてもよい。
【0049】
第1実施形態でも第2実施形態で説明したセンサ21を設ける実装でもよい。
【0050】
第1、第2実施形態では、CCDセンサユニットを固定させ、キャリッジを用いて光源等を移動させているが、光源、ミラー、レンズ、CCDセンサユニットを一体のユニット(キャリッジ)とし、このユニット全体を副走査方向に移動させる実装でもよい。また第1、第2実施形態では、CCDイメージセンサを画像読取デバイスとしているが、CISセンサであってもよい。
【0051】
また第1、第2実施形態と同様な制御で、8.5スクウェアサイズ(215.9×215.9mm)も検出が可能となり、また原稿の縦置き、横置きにも適用させることができる。また原稿サイズの規格はLT系統やA、B系統以外にも適用可能であり、またメモリに記憶されている対応関係を変更することで、ユーザが指定したサイズも検出することが可能となる。
【0052】
第1、第2実施形態では、圧盤(プラテン)が開き状態から閉じ状態となることを、サイズ検出開始のトリガとして説明したが、ユーザがコピー、スキャン、FAX送信の動作を開始させるためのスタートキーの押下をトリガとしても構わない。
【0053】
第1、第2実施形態により、キャリッジの位置を移動させながら画像の有無を判定することにより、反射型フォトセンサなどのハードウェアが不要となる。
【0054】
透過板は、実施形態の原稿ガラス台11に対応し、発光体は、実施形態の発光部15に対応する。イメージセンサ部は、実施形態のCCDセンサユニット17に対応し、制御部は、実施形態の制御ボード800に対応する。第1センサは、実施形態のプラテンセンサ13に対応し、第2センサは、センサ21に対応する。
【0055】
以上に詳説したように、本実施形態では、原稿サイズを検出する際に画像読取デバイスを流用することで、原稿サイズ検出用のセンサを設けることが不要となる。よって、原稿サイズを検出するために要するコストを削減させることができる。
【0056】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0057】
9 自動原稿搬送装置、10 スキャン部、11 原稿台ガラス、12 ホームポジションセンサ、13 プラテンセンサ、14A、14B キャリッジ、15 光源部、16 レンズ、17 CCDセンサユニット、17A CCDセンサ、17B CCD基板、17C コントロール基板、18 ルーラ、21 センサ、100 画像形成装置、M1、M2、M3 ミラー、P 像形成部、R 読取部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が配置される透過板と、
前記透過板に向けて発光する発光体と、
前記発光体を搭載し、副走査方向に移動するキャリッジと、
前記発光体からの光の反射光を受光して電子データに変換するイメージセンサ部と、
前記キャリッジを予め定義されている複数の位置へ副走査方向に順次移動させ、移動した位置で前記発光体が発した光の反射光が、前記イメージセンサ部で電子データに変換されるように制御し、該変換後の電子データに基づき、前記透過板上に配置されている原稿が前記移動位置に有るか否かを判定することで、前記原稿の副走査方向のサイズを検出する制御部と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記イメージセンサ部は、ラインセンサであり、
前記制御部は、前記移動位置に原稿があると判定する場合、前記電子データから前記原稿の主走査方向のサイズを検出する画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、さらに、
原稿を前記透過板に押圧する盤の開閉を検知する第1センサを有し、
前記制御部は、前記盤の状態が開状態から閉状態になったのを前記センサが検知する場合に前記キャリッジの移動を開始する
画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、さらに、
前記キャリッジが移動の起点となる位置にあるかを検知する第2センサを有し、
前記制御部は、前記第2センサの検知を受けた後に、前記キャリッジを前記移動の起点となる位置から移動させる
画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記移動の起点となる位置は、前記複数の位置のうちで、前記透過板上に設けられる原稿配置の基準位置から最も遠方の位置であり、
前記制御部は、前記キャリッジを、前記移動の起点となる位置から前記透過板の原稿配置の基準位置に向けて副走査方向に移動させる
画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記予め定義されている複数の位置は、シートの規格サイズに応じて定義される
画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−38780(P2013−38780A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−169685(P2012−169685)
【出願日】平成24年7月31日(2012.7.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】