説明

画像形成装置

【課題】記録媒体を反転させる反転機構を用いることなく、液滴で形成された画像を記録媒体の両面へ転写できるようにする。
【解決手段】硬化性溶液と吸液粒子とを第1転写体の表面に対して供給して前記硬化性溶液及び前記吸液粒子による第1層を形成する第1形成部と、前記第1層の表面に対して前記液滴を吐出して画像を形成する第1画像形成部と、前記画像が形成された前記第1層に刺激を付与し当該第1層を硬化させて当該第1層を記録媒体の一方の面へ転写する第1転写部と、硬化性溶液と吸液粒子とを第2転写体の表面に対して供給して前記硬化性溶液及び前記吸液粒子による第2層を形成する第2形成部と、前記第2層の表面に対して前記液滴を吐出して画像を形成する第2画像形成部と、前記画像が形成された前記第2層に刺激を付与し当該第2層を硬化させて当該第2層を前記記録媒体の他方の面へ転写する第2転写部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、中間転写ドラム10と、中間転写ドラム10上に外部からの刺激(エネルギー)により硬化可能な樹脂を含む硬化性溶液12Aを供給して硬化性溶液12Aにより形成された被硬化層12Bを形成する溶液供給装置12と、被硬化層12B上にインク滴14Aを吐出し画像Tを形成するインクジェット記録ヘッド14と、記録媒体Pを中間転写ドラム10と重ね合わせ、圧力を加えることにより記録媒体P上に画像Tが形成された被硬化層12Bを転写する転写装置16と、記録媒体P上に転写された被硬化層12Bを硬化する刺激を供給する刺激供給装置18と、を備える記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−68429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、記録媒体を反転させる反転機構を用いることなく、液滴で形成された画像を記録媒体の両面へ転写できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、第1転写体と、刺激に反応して硬化する硬化性溶液と液滴を吸収する吸液粒子とを前記第1転写体の表面に対して供給して、前記硬化性溶液及び前記吸液粒子による第1層を形成する第1形成部と、前記第1形成部によって形成された前記第1層の表面に対して前記液滴を吐出して画像を形成する第1画像形成部と、前記第1画像形成部によって画像が形成された前記第1層に刺激を付与し、当該第1層を硬化させて当該第1層を記録媒体の一方の面へ転写する第1転写部と、第2転写体と、刺激に反応して硬化する硬化性溶液と液滴を吸収する吸液粒子とを前記第2転写体の表面に対して供給して、前記硬化性溶液及び前記吸液粒子による第2層を形成する第2形成部と、前記第2形成部によって形成された前記第2層の表面に対して前記液滴を吐出して画像を形成する第2画像形成部と、前記第2画像形成部によって画像が形成された前記第2層に刺激を付与し、当該第2層を硬化させて当該第2層を前記記録媒体の他方の面へ転写する第2転写部と、を備える画像形成装置である。
【0006】
請求項2の発明は、前記第2転写部は、前記第2画像形成部によって画像が形成された前記第2層が前記第2転写体から転写され、当該第2層を搬送する第3転写体と、前記第3転写体に転写された前記第2層に刺激を付与し、当該第2層を硬化させて当該第2層を前記記録媒体の他方の面へ転写する硬化部と、を有する請求項1又は2に記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項3の発明は、前記第2転写部は、前記第2画像形成部によって画像が形成された前記第2層に刺激を付与して当該第2層を半硬化状態に硬化させて、当該第2層を前記第3転写体に転写する半硬化部を有する請求項2に記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項4の発明は、前記第3転写体は、前記記録媒体を吸着して搬送しながら前記第2層が転写される搬送部材である請求項2又は3に記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項5の発明は、前記第1転写体と前記第3転写体とが対向配置され、前記第1転写部及び前記硬化部のそれぞれが、前記記録媒体の両面に一括して前記第1層及び前記第2層のそれぞれを転写する請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項6の発明は、前記第1転写体と前記第2転写体とが対向配置され、前記第1転写部及び前記第2転写部のそれぞれが、前記記録媒体の両面に一括して前記第1層及び前記第2層のそれぞれを転写する請求項1に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1の構成によれば、記録媒体を反転させる反転機構を用いることなく、液滴で形成された画像を記録媒体の両面へ転写できる。
【0012】
本発明の請求項2の構成によれば、本構成を備えない構成に比べ、第2層の表面に形成された画像の劣化を抑制できる。
【0013】
本発明の請求項3の構成によれば、本構成を備えない構成に比べ、第2層の表面に形成された画像が劣化を抑制できる。
【0014】
本発明の請求項4の構成によれば、本構成を備えない構成に比べ、第2層が第3転写体から記録媒体へ転写される転写領域を長く確保することができる。
【0015】
本発明の請求項5の構成によれば、本構成を備えない構成に比べ、第1転写体及び第3転写体を配置する配置スペースを小さくできる。
【0016】
本発明の請求項6の構成によれば、本構成を備えない構成に比べ、第1転写体及び第2転写体を配置する配置スペースを小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】第2実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図3】第3実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図4】第4実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図5】搬送ベルト及び第2転写体の構成材料の一例を示す一覧表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0019】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0020】
本実施形態に係る画像形成装置10は、図1に示すように、後述の硬化性溶液16及び後述の吸液粒子17による第1層(以下、第1硬化性溶液層という)16Aが形成される第1転写体12と、後述の硬化性溶液16及び後述の吸液粒子17による第2層(以下、第2硬化性溶液層という)56Aが形成される第2転写体52と、第2転写体52に形成された第2硬化性溶液層56Aが第2転写体52から転写される第3転写体の一例としての搬送ベルト40と、を備えている。
【0021】
(搬送ベルト40)
搬送ベルト40は、記録媒体Pを吸着して搬送する搬送部材の一例であり、環状に形成されている。搬送ベルト40は、具体的には、シーム(継ぎ目)の無い無端ベルトで構成されている。なお、搬送ベルト40としては、シーム有りのベルトであってもよい。
【0022】
搬送ベルト40としては、例えば、各種の樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルフルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド,ポリアリルエーテル、環状オレフィン、トリメチルペンテン、フッソ系樹脂等)、各種のゴム(例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)を導電化処理したものが用いられる。なお、搬送ベルト40としては、ベルト内周側に酸化錫等により導電化処理されたフィルム、又はコロナ放電処理されたフィルムを含むベルトであってもよい。また、搬送ベルト40は、単層構成でもよいし、同種の材料又は異種の材料による積層構成でもよい。
【0023】
搬送ベルト40によって搬送される記録媒体Pとしては、例えば、用紙(具体的には普通紙、インクジェットコート紙、アート紙、ユポ紙,PETフィルム等)、樹脂等で形成されたフィルムなどが用いられる。なお、記録媒体Pとしては、これらに限られず、第1硬化性溶液層16A及び第2硬化性溶液層56Aが転写可能なものであればよい。
【0024】
搬送ベルト40の内周側には、搬送ベルト40が巻き掛けられる被巻掛部材の一例としての複数の巻掛ロール42A、42B、42Cが設けられている。巻掛ロール42Aは、第1転写体12に対して、記録媒体Pの搬送方向における上流側(図1において左側)に配置され、巻掛ロール42Bは、巻掛ロール42A及び第1転写体12に対して、記録媒体Pの搬送方向における下流側(図1において右側)に配置されている。巻掛ロール42Cは、後述の加圧ロール48に対して、第1転写体12の配置側とは反対側(図1において下側)に配置されている。搬送ベルト40は、巻掛ロール42A、42B、42Cによって、角部が丸められた三角形状に支持されている。
【0025】
複数の巻掛ロール42A、42B、42Cのうちの1つ又は複数のロールが、搬送ベルト40をその外周側に押して搬送ベルト40に張力を付与している。また、複数の巻掛ロール42A、42B、42Cのいずれかが、回転駆動することにより、搬送ベルト40が一方向(図1において時計周り方向)へ回転する(循環移動する)ように構成されている。
【0026】
本実施形態では、記録媒体Pの先端が、後述の巻掛ロール13Aと後述の加圧ロール48との間に導入されるように、記録媒体Pが、図1における斜め下方向に搬送ベルト40に対して供給されるようになっている。また、搬送ベルト40は、搬送ベルト40に供給された記録媒体Pを静電力により搬送ベルト40の表面に付着させて、図1における左側から右側へ搬送するように構成されている。なお、搬送ベルト40としては、吸引力等により、記録媒体Pを搬送ベルト40の表面に付着させて搬送する構成であってもよい。この場合においては、搬送ベルト40は導電性を有する必要はない。
【0027】
搬送ベルト40の内周側には、搬送ベルト40によって搬送される記録媒体Pを平らに保つための平板(プラテン)44が設けられている。平板44は、後述の加圧ロール48の上流側に配置されている。
【0028】
なお、記録媒体Pを搬送する搬送部材としては、搬送ベルト40に限られず、例えば、外周面に記録媒体Pを付着させて搬送する搬送ドラムで構成されていてもよく、記録媒体Pを搬送可能なものであればよい。また、第2硬化性溶液層56Aが第2転写体52から転写される第3転写体としては、第2転写体52から第2硬化性溶液層56Aが転移可能である共にその転移した第2硬化性溶液層56Aが剥離可能なものであればよい。
【0029】
(第1転写体12)
第1転写体12は、具体的には、環状に形成された転写ベルトで構成されている。転写ベルトとしては、シーム(継ぎ目)の無い無端ベルトであっても、シーム有りのベルトであってもよい。第1転写体12は、記録媒体Pの幅と同等又はそれ以上の幅(軸方向長さ)を有している。
【0030】
第1転写体12の内周側には、第1転写体12が巻き掛けられる被巻掛部材の一例としての複数の巻掛ロール13A、13B、13C、13Dが設けられている。巻掛ロール13Aは、後述の第1硬化装置23に対して、記録媒体Pの搬送方向における上流側(図1において左側)に配置され、巻掛ロール13Bは、巻掛ロール13A及び第1硬化装置23に対して、記録媒体Pの搬送方向における下流側(図1において右側)に配置されている。
【0031】
巻掛ロール13Cは、巻掛ロール13Bに対して、記録媒体Pの搬送方向における下流側(図1において右側)であって、搬送ベルト40の配置側とは反対側(図1において上側)に配置されている。巻掛ロール13Dは、巻掛ロール13Aに対して、記録媒体Pの搬送方向における上流側(図1において左側)であって、搬送ベルト40の配置側とは反対側(図1において上側)に配置されている。第1転写体12は、巻掛ロール13A、13B、13C、13Dによって、角部が丸められた台形状に支持されている。
【0032】
複数の巻掛ロール13A、13B、13C、13Dのうちの1つ又は複数のロールが、第1転写体12をその外周側に押して第1転写体12に張力を付与している。また、複数の巻掛ロール13A、13B、13C、13Dのいずれかが、駆動部(図示省略)によって回転駆動することにより、第1転写体12が一方向(図1において反時計周り方向)へ回転する(循環移動する)ように構成されている。
【0033】
第1転写体12は、第1硬化性溶液層16Aを剥離可能な剥離性(離型性)を有している。また、第1転写体12には、例えば、平滑性の高い材料が選択される。具体的には、第1転写体12は、例えば、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)やPET(ポリエチレンテレフタレート)、透明ポリイミド、ポリアミドイミド,環状ノルノルネンポリマーなどで構成されている。なお、第1転写体12は、例えば、上記以外の各種の樹脂(例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、フッ素系樹脂等)、各種のゴム(例えば、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)により構成されていてもよい。また、第1転写体12は、ステンレス等の金属材料により構成してもよい。また、第1転写体12は、単層構成でもよいし、同種の材料又は異種の材料による積層構成でもよい。
【0034】
なお、第1転写体12は、第1硬化性溶液層16Aを剥離しやすくするための剥離層(離型層)を表面(外周面)に有していてもよい。剥離層に用いられる材料としては、例えば、フッ素系樹脂材料・シリコーンゴム等が挙げられる。
【0035】
また、第1転写体12としては、転写ベルトに限られず、例えば、転写ドラムであってもよく、第1硬化性溶液層16Aが形成可能である共に第1硬化性溶液層16Aが剥離可能なものであればよい。
【0036】
(第1形成部18)
第1転写体12の外周側(図1において上側)には、刺激に反応して硬化する硬化性溶液16と、インク滴(液滴の一例)を吸収する吸液粒子17と、を第1転写体12の表面に対して供給して第1硬化性溶液層16Aを形成する第1形成部18が設けられている。第1形成部18は、具体的には、第1転写体12の上部(巻掛ロール13Cから離れて巻掛ロール13Dに接触するまでの部分)に対向する位置に配置されており、第1転写体12における上記部分に対して硬化性溶液16及び吸液粒子17を供給するようになっている。
【0037】
なお、第1形成部18は、第1転写体12の外周側(図1において上側)において巻掛ロール13Cの上方に配置され、第1転写体12における巻掛ロール13Cに巻き掛けられている部分に対して硬化性溶液16及び吸液粒子17を供給する構成であってもよい。
【0038】
第1形成部18は、具体的には、第1転写体12の表面に対して硬化性溶液16及び吸液粒子17を供給可能な供給機構で構成されている。より具体的には、第1形成部18は、スリットダイで構成されており、一方向(具体的には、第1転写体12の幅方向)に沿って形成された吐出孔(スリット)18Aから第1転写体12の表面に硬化性溶液16及び吸液粒子17を吐出するようになっている。
【0039】
また、第1形成部18は、第1転写体12の幅方向(第1転写体12の回転方向と直交する方向)に沿って長さを有しており、その幅方向に沿った吐出長さが、第1転写体12における被吐出領域以上とされている。すなわち、第1形成部18は、第1転写体12に対してその幅方向に相対移動することなく、被吐出領域の幅方向(主走査方向)の1ラインに硬化性溶液16及び吸液粒子17を吐出可能に構成されている。
【0040】
そして、第1形成部18では、第1転写体12において後述の第1画像形成部20からインク滴が吐出される吐出領域に対して、第1硬化性溶液層16Aを形成するようになっている。具体的には、第1形成部18は、第1転写体12において第1画像形成部20が液滴を吐出可能な吐出可能領域の全面に、第1硬化性溶液層16Aを形成するようになっている。
【0041】
また、第1形成部18としては、スリットダイに限られず、他の供給機構を用いてもよい。また、第1形成部18としては、硬化性溶液16と吸液粒子17とを第1転写体12に対して別々に供給する構成であってもよい。
【0042】
(吸液粒子17)
吸液粒子17は、インクに対して吸液性を有する材料(吸液性材料)で構成されている。吸液性材料とは、吸液性材料とインクを受容する紫外線硬化樹脂媒体を質量比30:100で24時間混合した後、混合液中からフィルターにより吸液性材料を取り出した時、吸液性材料の質量がインク混合前に対して5%以上増加するものである。すなわち、吸液粒子17は、インク液体成分(例えば、水、水性溶媒)を取り込んで、インクによる画像を固定化する機能を有する。
【0043】
吸液性材料は、例えば樹脂や、表面親インク性を持たせた無機粒子(例えば、シリカ、アルミナ、ゼオライトなど)等が挙げられ、用いるインクに応じて選択される。
【0044】
具体的には、インクとして水性インクを用いる場合は、吸液性材料として吸水材料を用いることが望ましい。また、インクとして油性インクを用いる場合は、吸液性材料として吸油材料を用いることが望ましい。
【0045】
吸水材料としては、具体的には、例えば、ポリアクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸及びその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸及びその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸及びその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、ポリマレイン酸及びその塩、スチレン−マレイン酸及びその塩から構成される共重合体等、前記それぞれの樹脂のスルホン酸変性体、それぞれの樹脂のリン酸変性体等、等が挙げられ、望ましくは、ポリアクリル酸及びその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸及びその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、またはフタル酸モノ(メタ)アクリルエステル及びその塩から構成される共重合体が挙げられる。これら樹脂は、未架橋でもジビルベンゼン等で0.1〜5%程度架橋されていてもよい。
【0046】
また吸油材料としては、具体的には、例えば、ヒドロキシステアリン酸、コレステロール誘導体、ベンジリデンソルビトールといった低分子ゲル化剤や、ポリノルボルネン、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン共重合体、各種ロジン類等が挙げられ、望ましくは、ポリノルボルネン、ポリプロピレン、ロジン類が挙げられる。
【0047】
(硬化性溶液16)
硬化性溶液16は、外部からの刺激(エネルギー)により硬化する硬化性材料を少なくとも含んでいる。ここで、硬化性溶液16に含有される「外部からの刺激(エネルギー)により硬化する硬化性材料」とは、外部からの刺激(エネルギー)によって硬化し、「硬化性樹脂」となる材料を意味する。具体的には、例えば、硬化性のモノマー、硬化性のマクロマー、硬化性のオリゴマー、硬化性のプレポリマー等が挙げられる。
【0048】
硬化性材料としては、例えば、紫外線硬化性材料、電子線硬化性材料、熱硬化性材料等が挙げられる。紫外線硬化性材料は、硬化がしやすく、他のものに比べ硬化速度も速く、取り扱いやすい。電子線硬化性材料は、重合開始剤が不要であり、硬化後の層の着色制御が実施しやすい。熱硬化性材料は、大掛りな装置を必要とすることなく硬化される。なお、硬化性材料は、これらに限られず、例えば湿気、酸素等により硬化する硬化性材料を適用してもよい。なお、ここで言う硬化性材料は、硬化後は不可逆である。
【0049】
紫外線硬化性材料を硬化することにより得られる「紫外線硬化性樹脂」としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂などが挙げられる。そして、その硬化性溶液16は、紫外線硬化性のモノマー、紫外線硬化性のマクロマー、紫外線硬化性のオリゴマー、及び紫外線硬化性のプレポリマーの少なくとも1種を含んでいる。また、硬化性溶液16は、紫外線硬化反応を進行させるための紫外線重合開始剤を含んでいることが望ましい。さらに硬化性溶液16は、必要に応じて、重合反応をより進行させるための、反応助剤、重合促進剤等を含んでいてもよい。
【0050】
ここで、紫外線硬化性のモノマーとしては、例えば、アルコール/多価アルコール/アミノアルコール類のアクリル酸エステル、アルコール/多価アルコール類のメタクリル酸エステル、アクリル脂肪族アミド、アクリル脂環アミド、アクリル芳香族アミド類等のラジカル硬化性材料;エポキシモノマー、オキセタンモノマー、ビニルエーテルモノマー等のカチオン硬化性材料;などが挙げられる。上記紫外線硬化性のマクロマー、紫外線硬化性のオリゴマー、紫外線硬化性のプレポリマーとしては、これらモノマーを重合させたものの他、エポキシ、ウレタン、ポリエステル、ポリエーテル骨格に、アクリロイル基やメタクリロイル基の付加した、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルメタクリレート等のラジカル硬化性材料が挙げられる。
【0051】
電子線硬化性材料を硬化することにより得られる「電子線硬化性樹脂」としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。そして、その硬化性溶液16は、電子線硬化性のモノマー、電子線硬化性のマクロマー、電子線硬化性のオリゴマー、及び電子線硬化性のプレポリマーの少なくとも1種を含んでいる。
【0052】
ここで、電子線硬化性のモノマー、電子線硬化性のマクロマー、電子線硬化性のオリゴマー、電子線硬化性のプレポリマーとしては、紫外線硬化性の材料と同じものが挙げられる。
【0053】
熱硬化性材料を硬化することにより得られる「熱硬化性樹脂」としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。そして、その硬化性溶液16は、熱硬化性のモノマー、熱硬化性のマクロマー、熱硬化性のオリゴマー、及び熱硬化性のプレポリマーの少なくとも1種を含んでいる。また重合の際に硬化剤を添加してもよい。また、硬化性溶液16は、熱硬化反応を進行させるための熱重合開始剤を含んでもよい。
【0054】
ここで、熱硬化性のモノマーとしては、例えば、フェノール、ホルムアルデヒド、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン、シアヌリル酸アミド、尿素、グリセリン等のポリアルコール、無水フタル酸、無水マレイン酸、アジピン酸等の酸などが挙げられる。熱硬化性のマクロマー、熱硬化性のオリゴマー、熱硬化性のプレポリマーとしては、これらのモノマーを重合させたものや、エポキシプレポリマー、ポリエステルプレポリマーなどが挙げられる。
【0055】
以上のように、硬化性材料は、紫外線、電子線、熱等の外部エネルギーにより硬化(例えば、重合反応が進行することによる硬化)するものであれば何でもよい。
【0056】
また、硬化性溶液には、上記硬化反応に寄与する主成分(モノマー、マクロマー、オリゴマー、及びプレポリマー、重合開始剤等)を溶解又は分散するための水や有機溶媒を含んでいてもよい。但し、当該主成分の比率が例えば30質量%以上、望ましくは60質量%以上、より望ましくは90質量%以上の範囲が挙げられる。
【0057】
(第1画像形成部20)
第1形成部18に対する第1転写体12の回転方向下流側には、第1形成部18によって形成された第1硬化性溶液層16Aの表面に対して、吸液粒子17に吸収される液滴を吐出して画像を形成する第1画像形成部20が、第1転写体12の外周側(図1において上側)に設けられている。
【0058】
第1画像形成部20は、例えば、第1転写体12の回転方向上流側から順に、黒色のインク滴を吐出する吐出部20Kと、シアン色のインク滴を吐出する吐出部20Cと、マゼンタ色のインク滴を吐出する吐出部20Mと、イエロー色のインク滴を吐出する吐出部20Yと、を備えて構成されている。
【0059】
具体的には、第1画像形成部20は、インクジェット方式によってインク滴を複数のノズルから吐出するインクジェット記録ヘッドで構成されている。このインクジェット記録ヘッドは、圧電式(ピエゾ)、サーマル式などにより駆動され、相対移動する第1硬化性溶液層16Aの表面にインク滴を吐出するように構成されている。このように、第1画像形成部20では、第1硬化性溶液層16Aの表面にインク滴を吐出することにより、インク滴を第1硬化性溶液層16Aの表面に供給するようになっている。
【0060】
第1画像形成部20では、制御部(図示省略)によって、使用するノズル及び吐出タイミングが画像情報に基づき決定され、インク滴を吐出することにより、画像情報に応じた画像を形成するようになっている。
【0061】
また、第1画像形成部20は、第1転写体12の幅方向(第1転写体12の回転方向と直交する方向)に沿って長さを有しており、その幅方向に沿った吐出長さが、第1転写体12における被吐出領域以上とされている。すなわち、第1画像形成部20は、第1転写体12に対してその幅方向に相対移動することなく、被吐出領域の幅方向(主走査方向)の1ラインにインク滴を吐出可能に構成されている。
【0062】
また、第1画像形成部20が吐出するインクとしては、溶媒として水性溶媒を含む水性インク、溶媒として油性溶媒を含む油性インク、紫外線硬化型インク、相変化型ワックスインクなどが挙げられる。これらインクの構成については、吸液粒子17に吸収される限りにおいては、特に制限はなく、公知の構成のものが適用される。
【0063】
なお、第1画像形成部20としては、インクジェット記録ヘッドに限らず、第1転写体12の表面に対してインク滴を吐出可能な吐出機構であればよい。
【0064】
(加圧部材22)
第1画像形成部20に対する第1転写体12の回転方向下流側には、インク滴が吐出された第1硬化性溶液層16Aを記録媒体Pへ加圧する加圧部材22が、第1転写体12を内周側及び外周側から挟むようにして設けられている。
【0065】
具体的には、加圧部材22は、第1転写体12が巻き掛けられた巻掛ロール13Aと、搬送ベルト40の内周側に配置された加圧ロール48と、を備えて構成されている。加圧部材22では、加圧ロール48が巻掛ロール13A側へ圧力を加えた状態で、記録媒体Pが第1転写体12と搬送ベルト40とで挟まれて搬送されるようになっている。
【0066】
これにより、巻掛ロール13Aから巻掛ロール13Bまでの第1転写体12と搬送ベルト40とが対向する対向領域(転写領域)において、第1転写体12の表面の第1硬化性溶液層16Aが記録媒体Pの表面(一方の面(図1における上面))に接触した状態を維持するようになっている。
【0067】
(第1硬化装置23)
加圧部材22に対する第1転写体12の回転方向下流側には、第1画像形成部20によって画像が形成された第1硬化性溶液層16Aを記録媒体Pの表面に転写する第1転写部の一例としての第1硬化装置23が、第1転写体12の内周側に設けられている。この第1硬化装置23が、転写領域において、記録媒体Pの表面に接触した状態の第1硬化性溶液層16Aに刺激を付与することにより硬化性溶液16を硬化させて、その第1硬化性溶液層16Aが第1転写体12から記録媒体Pの表面へ転写されるようになっている。
【0068】
第1硬化装置23は、記録媒体Pに接触した状態の第1硬化性溶液層16Aへ第1転写体12を介して刺激(エネルギー)を供給するように構成されている。従って、第1転写体12は、刺激を第1硬化性溶液層16Aへ伝える機能を有する。例えば、下記のように、刺激として紫外線や電子線を用いる場合には、第1転写体12は紫外線や電子線を透過する機能を有し、刺激として熱を用いる場合には、第1転写体12は熱を伝達させる機能を有する。
【0069】
なお、第1硬化装置23の配置位置は、第1転写体12の内周側に限られず、第1転写体12の外周側、例えば、搬送ベルト40の内周側に配置されていてもよい。すなわち、後述の第3硬化装置93を、第1硬化装置23として用いてもよい。この場合では、第1転写体12は、刺激を第1硬化性溶液層16Aへ伝える機能を有する必要はない。搬送ベルト40の内周側に配置される場合には、搬送ベルト40及び記録媒体Pが、刺激を第1硬化性溶液層16Aへ伝える機能を有する必要がある。
【0070】
第1硬化装置23の種類は、適用する硬化性溶液16に含まれる硬化性材料の種類に応じて選択される。具体的には、例えば、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化性材料を適用する場合、第1硬化装置23としては第1硬化性溶液層16Aに紫外線を照射する紫外線照射装置を適用する。
【0071】
また、電子線の照射により硬化する電子線硬化性材料を適用する場合、第1硬化装置23として第1硬化性溶液層16Aに電子線を照射する電子線照射装置を適用する。
【0072】
また、熱の付与により硬化する熱硬化性材料を適用する場合、第1硬化装置23として第1硬化性溶液層16Aに熱を付与する熱付与装置を適用する。
【0073】
ここで、紫外線照射装置としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、デイープ紫外線ランプ、マイクロ波を用い外部から無電極で水銀灯を励起するランプ、紫外線レーザー、キセノンランプ、UV−LED光(波長360〜400nm光源)などが適用される。
【0074】
また、電子線照射装置としては、例えば、走査型/カーテン型等があり、カーテン型はフィラメントで生じた熱電子を、真空チャンバー内のグリッドによって引き出し、さらに高電圧(例えば70乃至300kV)によって、一気に加速させ、電子流となり、窓箔を通過して、大気側に放出する装置がある。
【0075】
また、熱付与装置としては、例えば、ハロゲンランプ、セラミックヒータ、ニクロム線ヒータ、マイクロ波加熱、赤外線ランプ、電磁誘導方式の加熱装置などが適用される。
【0076】
(第1除去装置24)
第1硬化装置23に対する第1転写体12の回転方向下流側には、第1転写体12の表面に残留している硬化性溶液16を除去する第1除去装置24が、第1転写体12の外周側に設けられている。具体的には、第1除去装置24は、第1転写体12の側方(図1における右側)に配置され、第1転写体12において巻掛ロール13Bから巻掛ロール13Cまでの部分に対向している。
【0077】
第1除去装置24は、第1転写体12に接触して、第1転写体12に残留した硬化性溶液16を掻き取る除去部材24Aを備えている。除去部材24Aは、例えば、ゴム材料でできた板状のブレードで構成されている。また、第1除去装置24は、除去部材24Aが掻き取った硬化性溶液16を収容する収容部24Bを備えている。収容部24Bは、第1転写体12への対向側が開放された箱体で構成され、除去部材24Aが掻き取って落下した硬化性溶液16を受ける受け部となっている。
【0078】
(第2転写体52)
第2転写体52は、搬送ベルト40の側方(図1における右側)に配置され、搬送ベルト40において巻掛ロール42Bから巻掛ロール42Cまでの部分に対向している。また、第2転写体52は、具体的には、転写ドラムで構成されている。転写ドラムとしては、例えば円筒状基体と、当該基体表面に被覆される表面層と、を有する構成が挙げられる。
【0079】
円筒状基体の材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等が挙げられる。表面層の材質としては、例えば、各種の樹脂[例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、フッ素系樹脂等]、各種のゴム(例えば、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)等が挙げられる。表面層は、単層構成でもよいし、積層構成でもよい。
【0080】
また、第2転写体52としては、搬送ベルト40よりも表面自由エネルギーが低いものを用いることが好ましい。例えば、搬送ベルト40としてポリプロピレン(39mN/m)又はTMP(34mN/m)を用いる場合では、第2転写体52の表面層の材料として例えば、ETFE(29mN/m)が用いられる。また、例えば、図5に示す材料の中から、搬送ベルト40の表面自由エネルギーが第2転写体52の表面自由エネルギーよりも高くなるように、搬送ベルト40の材料及び第2転写体52の表面層の材料が、適宜選択される。これにより、搬送ベルト40の濡れ性が第2転写体52の濡れ性よりも良くなり、第2転写体52から搬送ベルト40へ第2硬化性溶液層56Aが転移しやすくなる。
【0081】
第2転写体52は、記録媒体Pの幅と同等又はそれ以上の幅(軸方向長さ)を有している。第2転写体52は、駆動部(図示省略)によって回転駆動することにより、第2転写体52が一方向(図1において反時計周り方向)へ回転するように構成されている。
【0082】
なお、第2転写体52としては、転写ドラムに限られず、例えば、転写ベルトであってもよく、第2硬化性溶液層56Aが形成可能である共に第2硬化性溶液層56Aが剥離可能なものであればよい。
【0083】
(第2形成部58)
第2転写体52の外周側(図1において左斜め下側)には、刺激に反応して硬化する硬化性溶液16と、インク滴(液滴の一例)を吸収する吸液粒子17と、を第2転写体52の表面に対して供給して第2硬化性溶液層56Aを形成する第2形成部58が設けられている。
【0084】
第2形成部58は、具体的には、第1形成部18と同様に、第2転写体52の表面に対して硬化性溶液16及び吸液粒子17を供給可能な供給機構で構成されている。より具体的には、第2形成部58は、スリットダイで構成されており、一方向(具体的には、第2転写体52の幅方向)に沿って形成された吐出孔(スリット)58Aから第2転写体52の表面に硬化性溶液16及び吸液粒子17を吐出するようになっている。
【0085】
また、第2形成部58は、第2転写体52の幅方向(第2転写体52の回転方向と直交する方向)に沿って長さを有しており、その幅方向に沿った吐出長さが、第2転写体52における被吐出領域以上とされている。すなわち、第2形成部58は、第2転写体52に対してその幅方向に相対移動することなく、被吐出領域の幅方向(主走査方向)の1ラインに硬化性溶液16及び吸液粒子17を吐出可能に構成されている。
【0086】
そして、第2形成部58では、第2転写体52において後述の第2画像形成部60からインク滴が吐出される吐出領域に対して、第2硬化性溶液層56Aを形成するようになっている。具体的には、第2形成部58は、第2転写体52において第2画像形成部60が液滴を吐出可能な吐出可能領域の全面に、第2硬化性溶液層56Aを形成するようになっている。
【0087】
また、第2形成部58としては、スリットダイに限られず、他の供給機構を用いてもよい。また、第2形成部58としては、硬化性溶液16と吸液粒子17とを第2転写体52に対して別々に供給する構成であってもよい。
【0088】
(第2画像形成部60)
第2形成部58に対する第2転写体52の回転方向下流側には、第2形成部58によって形成された第2硬化性溶液層56Aの表面に対して、吸液粒子17に吸収される液滴を吐出して画像を形成する第2画像形成部60が、第2転写体52の外周側(図1において右斜め下側)に設けられている。
【0089】
第2画像形成部60は、例えば、第2転写体52の回転方向上流側から順に、黒色のインク滴を吐出する吐出部60Kと、シアン色のインク滴を吐出する吐出部60Cと、マゼンタ色のインク滴を吐出する吐出部60Mと、イエロー色のインク滴を吐出する吐出部60Yと、を備えて構成されている。
【0090】
具体的には、第2画像形成部60は、インクジェット方式によってインク滴を複数のノズルから吐出するインクジェット記録ヘッドで構成されている。このインクジェット記録ヘッドは、圧電式(ピエゾ)、サーマル式などにより駆動され、相対移動する第2硬化性溶液層56Aの表面にインク滴を吐出するように構成されている。このように、第2画像形成部60では、第2硬化性溶液層56Aの表面にインク滴を吐出することにより、インク滴を第2硬化性溶液層56Aの表面に供給するようになっている。
【0091】
第2画像形成部60では、制御部(図示省略)によって、使用するノズル及び吐出タイミングが画像情報に基づき決定され、インク滴を吐出することにより、画像情報に応じた画像を形成するようになっている。
【0092】
また、第2画像形成部60は、第2転写体52の幅方向(第2転写体52の回転方向と直交する方向)に沿って長さを有しており、その幅方向に沿った吐出長さが、第2転写体52における被吐出領域以上とされている。すなわち、第2画像形成部60は、第2転写体52に対してその幅方向に相対移動することなく、被吐出領域の幅方向(主走査方向)の1ラインにインク滴を吐出可能に構成されている。
【0093】
また、第2画像形成部60が吐出するインクとしては、溶媒として水性溶媒を含む水性インク、溶媒として油性溶媒を含む油性インク、紫外線硬化型インク、相変化型ワックスインクなどが挙げられる。これらインクの構成については、吸液粒子17に吸収される限りにおいては、特に制限はなく、公知の構成のものが適用される。
【0094】
なお、第2画像形成部60としては、インクジェット記録ヘッドに限らず、第2転写体52の表面に対してインク滴を吐出可能な吐出機構であればよい。
【0095】
(第2硬化装置63)
第2画像形成部60に対する第2転写体52の回転方向下流側には、第2画像形成部60によって画像が形成された第2硬化性溶液層56Aに刺激を付与して第2硬化性溶液層56Aを半硬化状態に硬化させて搬送ベルト40の表面に転写する半硬化部の一例としての第2硬化装置63が、第2転写体52の内周側に設けられている。
【0096】
なお、半硬化状態とは、第2硬化性溶液層56Aが画像固定はされているが全体に完全硬化していない状態である。すなわち、まだ硬化する余地が記録媒体上で残された状態であり、後述の第3硬化装置93により、第2硬化性溶液層56Aがさらに硬化可能で転写・定着が可能な状態である。
【0097】
第2硬化装置63は、搬送ベルト40に接触した状態の第2硬化性溶液層56Aへ第2転写体52を介して刺激(エネルギー)を供給するように構成されている。従って、第2転写体52は、刺激を第2硬化性溶液層56Aへ伝える機能を有する。例えば、下記のように、刺激として紫外線や電子線を用いる場合には、第2転写体52は紫外線や電子線を透過する機能を有し、刺激として熱を用いる場合には、第2転写体52は熱を伝達させる機能を有する。
【0098】
なお、第2硬化装置63の配置位置は、第2転写体52の内周側に限られず、第2転写体52の外周側、例えば、搬送ベルト40の内周側に配置されていてもよい。この場合では、第2転写体52は、刺激を第2硬化性溶液層56Aへ伝える機能を有する必要はない。搬送ベルト40の内周側に配置される場合には、搬送ベルト40が、刺激を第2硬化性溶液層56Aへ伝える機能を有する必要がある。
【0099】
第2硬化装置63の種類は、適用する硬化性溶液16に含まれる硬化性材料の種類に応じて選択される。具体的には、例えば、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化性材料を適用する場合、第2硬化装置63としては第2硬化性溶液層56Aに紫外線を照射する紫外線照射装置を適用する。
【0100】
また、電子線の照射により硬化する電子線硬化性材料を適用する場合、第2硬化装置63として第2硬化性溶液層56Aに電子線を照射する電子線照射装置を適用する。
【0101】
また、熱の付与により硬化する熱硬化性材料を適用する場合、第2硬化装置63として第2硬化性溶液層56Aに熱を付与する熱付与装置を適用する。
【0102】
ここで、紫外線照射装置としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、デイープ紫外線ランプ、マイクロ波を用い外部から無電極で水銀灯を励起するランプ、紫外線レーザー、キセノンランプ、UV−LEDなどが適用される。
【0103】
また、電子線照射装置としては、例えば、走査型/カーテン型等があり、カーテン型はフィラメントで生じた熱電子を、真空チャンバー内のグリッドによって引き出し、さらに高電圧(例えば70乃至300kV)によって、一気に加速させ、電子流となり、窓箔を通過して、大気側に放出する装置がある。
【0104】
また、熱付与装置としては、例えば、ハロゲンランプ、セラミックヒータ、ニクロム線ヒータ、マイクロ波加熱、赤外線ランプ、電磁誘導方式の加熱装置などが適用される。
(第2除去装置64)
第2硬化装置63に対する第2転写体52の回転方向下流側には、第2転写体52の表面に残留している硬化性溶液16を除去する第2除去装置64が、第2転写体52の外周側に設けられている。
【0105】
第2除去装置64は、第2転写体52に接触して、第2転写体52に残留した硬化性溶液16を掻き取る除去部材64Aを備えている。除去部材64Aは、例えば、ゴム材料でできた板状のブレードで構成されている。また、第2除去装置64は、除去部材64Aが掻き取った硬化性溶液16を収容する収容部64Bを備えている。収容部64Bは、第2転写体52への対向側が開放された箱体で構成され、除去部材64Aが掻き取って落下した硬化性溶液16を受ける受け部となっている。
【0106】
(第3硬化装置93)
搬送ベルト40の内周側には、搬送ベルト40に転写された第2硬化性溶液層56Aに刺激を付与し、第2硬化性溶液層56Aを硬化させて第2硬化性溶液層56Aを記録媒体Pの裏面(他方の面(図1における下面))へ転写する硬化部の一例としての第3硬化装置93が、第1硬化装置23と対向する位置に設けられている。この第3硬化装置93が、転写領域において、記録媒体Pの裏面に接触した状態の第2硬化性溶液層56Aに刺激を付与することにより硬化性溶液16を硬化させて、その第2硬化性溶液層56Aが搬送ベルト40から記録媒体Pの裏面へ転写されるようになっている。
【0107】
第3硬化装置93は、記録媒体Pに接触した状態の第2硬化性溶液層56Aへ搬送ベルト40を介して刺激(エネルギー)を供給するように構成されている。従って、搬送ベルト40は、刺激を第2硬化性溶液層56Aへ伝える機能を有する。例えば、下記のように、刺激として紫外線や電子線を用いる場合には、搬送ベルト40は紫外線や電子線を透過する機能を有し、刺激として熱を用いる場合には、搬送ベルト40は熱を伝達させる機能を有する。
【0108】
なお、第3硬化装置93の配置位置は、搬送ベルト40の内周側に限られず、搬送ベルト40の外周側、例えば、第1転写体12の内周側に配置されていてもよい。すなわち、第1硬化装置23を第3硬化装置93として用いてもよい。この場合では、搬送ベルト40は、刺激を第2硬化性溶液層56Aへ伝える機能を有する必要はない。第1転写体12の内周側に配置される場合には、第1転写体12及び記録媒体Pが、刺激を第2硬化性溶液層56Aへ伝える機能を有する必要がある。
【0109】
第3硬化装置93の種類は、適用する硬化性溶液16に含まれる硬化性材料の種類に応じて選択される。具体的には、例えば、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化性材料を適用する場合、第3硬化装置93としては第2硬化性溶液層56Aに紫外線を照射する紫外線照射装置を適用する。
【0110】
また、電子線の照射により硬化する電子線硬化性材料を適用する場合、第3硬化装置93として第2硬化性溶液層56Aに電子線を照射する電子線照射装置を適用する。
【0111】
また、熱の付与により硬化する熱硬化性材料を適用する場合、第3硬化装置93として第2硬化性溶液層56Aに熱を付与する熱付与装置を適用する。
【0112】
ここで、紫外線照射装置としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、デイープ紫外線ランプ、マイクロ波を用い外部から無電極で水銀灯を励起するランプ、紫外線レーザー、キセノンランプ、UV−LEDなどが適用される。
【0113】
また、電子線照射装置としては、例えば、走査型/カーテン型等があり、カーテン型はフィラメントで生じた熱電子を、真空チャンバー内のグリッドによって引き出し、さらに高電圧(例えば70乃至300kV)によって、一気に加速させ、電子流となり、窓箔を通過して、大気側に放出する装置がある。
【0114】
また、熱付与装置としては、例えば、ハロゲンランプ、セラミックヒータ、ニクロム線ヒータ、マイクロ波加熱、赤外線ランプ、電磁誘導方式の加熱装置などが適用される。
【0115】
以上のように、本実施形態では、第3硬化装置93、搬送ベルト40及び第2硬化装置63によって、第2画像形成部60によって画像が形成された第2硬化性溶液層56Aに刺激を付与し、第2硬化性溶液層56Aを硬化させて第2硬化性溶液層56Aを記録媒体の裏面へ転写する第2転写部が構成されている。
【0116】
(第1実施形態に係る作用)
次に、第1実施形態に係る作用を説明する。
【0117】
本実施形態に係る画像形成装置10では、まず、第2転写体52が回転し、図1に示すように、第2形成部58から第2転写体52に対して硬化性溶液16及び吸液粒子17が供給されて、第2画像形成部60の吐出可能領域に対して、第2硬化性溶液層56Aが形成される。
【0118】
次に、第2形成部58によって形成された第2硬化性溶液層56Aは、第2画像形成部60に対向する対向位置へ搬送され、当該対向位置において吐出部60Y、60M、60C、60Kから画像情報に基づいた各色のインク滴が、第2硬化性溶液層56Aの表面へ吐出される。これにより、第2硬化性溶液層56Aの表面がインクを吸収し、第2硬化性溶液層56Aの表面にカラー画像が形成される。
【0119】
次に、カラー画像が形成された第2硬化性溶液層56Aは、搬送ベルト40に対する転写領域に搬送され、当該転写領域において搬送ベルト40に接触する。搬送ベルト40に接触した状態の第2硬化性溶液層56Aは、第2硬化装置63により第2転写体52を介して半硬化状態にされて搬送ベルト40に転写される。第2硬化性溶液層56Aが搬送ベルト40に転写されると、第2硬化性溶液層56Aの表面側(外側)に形成されたカラー画像は、搬送ベルト40の表面側(内側)を向いた状態となる。
【0120】
次に、搬送ベルト40に転写された第2硬化性溶液層56Aは、記録媒体Pに対する転写領域に搬送される。
【0121】
一方、第1転写体12では、回転する第1転写体12に対して、第1形成部18から硬化性溶液16及び吸液粒子17が供給されて、第1画像形成部20の吐出可能領域に対して、第1硬化性溶液層16Aが形成される。
【0122】
次に、第1形成部18によって形成された第1硬化性溶液層16Aは、第1画像形成部20に対向する対向位置へ搬送され、当該対向位置において吐出部20Y、20M、20C、20Kから画像情報に基づいた各色のインク滴が、第1硬化性溶液層16Aの表面へ吐出される。これにより、第1硬化性溶液層16Aの表面がインクを吸収し、第1硬化性溶液層16Aの表面にカラー画像が形成される。
【0123】
次に、カラー画像が形成された第1硬化性溶液層16Aは、記録媒体Pに対する転写領域に搬送され、当該転写領域において記録媒体Pの表面(図1における上面)に接触する。このとき、搬送ベルト40に転写された第2硬化性溶液層56Aも、記録媒体Pに対する転写領域に搬送され、当該転写領域において記録媒体Pの裏面(図1における下面)に接触する。
【0124】
記録媒体Pの表面に接触した状態の第1硬化性溶液層16Aは、第1硬化装置23により第1転写体12を介して硬化されて記録媒体Pの表面に転写される。記録媒体Pの裏面に接触した状態の第2硬化性溶液層56Aは、第3硬化装置93により搬送ベルト40を介して硬化されて記録媒体Pの裏面に転写される。このように、第1硬化性溶液層16A及び第2硬化性溶液層56Aのそれぞれは、記録媒体Pの表面及び裏面のそれぞれに対して一括して転写され、記録媒体Pの両面に画像が形成される。
【0125】
本実施形態では、第1硬化性溶液層16A及び第2硬化性溶液層56Aのそれぞれに対して独立してカラー画像を形成し、カラー画像が形成された第1硬化性溶液層16A及び第2硬化性溶液層56Aのそれぞれを記録媒体Pの表面及び裏面のそれぞれに転写するので、記録媒体Pを反転させる反転機構を用いることなく、カラー画像が記録媒体Pの両面へ転写される。すなわち、記録媒体Pを搬送方向上流側へ送り戻すことなく、記録媒体Pを一方向へ搬送して記録媒体Pの両面へ画像が形成される。
【0126】
また、本実施形態では、第2硬化性溶液層56Aを一旦搬送ベルト40に転写することで、第2硬化性溶液層56Aの表面側(外側)に形成されたカラー画像が、搬送ベルト40の表面側(内側)を向いた状態となる。これにより、カラー画像が搬送ベルト40の外周側を向いた状態で搬送される場合に比べ、カラー画像が伸び縮みしにくく、画像の劣化が抑制される。また、搬送ベルト40に搬送される第2硬化性溶液層56Aの外面が外部から擦られた場合でも、画像への影響が小さく、画像の劣化が抑制される。
【0127】
また、本実施形態では、第2転写体52の第2硬化性溶液層56Aは、第2硬化装置63により半硬化状態にされて搬送ベルト40に転写される。第2硬化性溶液層56Aが硬化されない状態で搬送ベルト40によって搬送される場合に比べ、カラー画像が滲みにくく、画像の劣化が抑制される。
【0128】
また、本実施形態では、搬送ベルト40によって記録媒体Pを吸着して搬送しながら、第1硬化性溶液層16A及び第2硬化性溶液層56Aを転写するので、当該転写領域が長く確保される。また、搬送ベルト40によって記録媒体Pを吸着して搬送することで、記録媒体Pの平滑な状態を保ちながら、第1硬化性溶液層16A及び第2硬化性溶液層56Aが記録媒体Pに転写される。
【0129】
また、本実施形態では、第1転写体12と搬送ベルト40とが対向配置されて第1硬化性溶液層16A及び第2硬化性溶液層56Aが一括で転写されるので、第1転写体12及び搬送ベルト40を配置する配置スペースが小さくなる。
【0130】
なお、第1硬化性溶液層16Aを記録媒体Pに転写する位置と、第2硬化性溶液層56Aを記録媒体Pへ転写する位置は、図1における左右方向にずれていてもよい。
【0131】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る画像形成装置について説明する。図2は、第2実施形態に係る画像形成装置の構成に示す概略図である。なお、第1実施形態と同一機能を有する部分については、同一符号を付して、適宜、説明を省略する。
【0132】
第2実施形態に係る画像形成装置210では、搬送ベルト40の内周側に、搬送ベルト40が巻き掛けられる被巻掛部材の一例としての複数の巻掛ロール42A、42B、42C、42Dが設けられている。
【0133】
巻掛ロール42Cは、第2硬化装置63に対して、搬送ベルト40の回転方向における下流側(図2において左側)に配置され、巻掛ロール42Dは、巻掛ロール42C及び第2硬化装置63に対して、搬送ベルト40の回転方向における上流側(図2において右側)に配置されている。搬送ベルト40は、巻掛ロール42A、42B、42C、42Dによって、角部が丸められた台形状に支持されている。
【0134】
複数の巻掛ロール42A、42B、42C、42Dのうちの1つ又は複数のロールが、搬送ベルト40をその外周側に押して搬送ベルト40に張力を付与している。また、複数の巻掛ロール42A、42B、42C、42Dのいずれかが、回転駆動することにより、搬送ベルト40が一方向(図2において時計周り方向)へ回転する(循環移動する)ように構成されている。
【0135】
また、第2実施形態に係る画像形成装置210では、第2転写体52は、第1転写体12と同様に構成された転写ベルトによって構成されている。また、第2転写体52としては、搬送ベルト40よりも表面自由エネルギーが低いものを用いることが好ましい。例えば、搬送ベルト40としてポリプロピレン(39mN/m)又はTMP(34mN/m)を用いる場合では、第2転写体52として、例えば、ETFE(29mN/m)が用いられる。また、例えば、図5に示す材料の中から、搬送ベルト40の表面自由エネルギーが第2転写体52の表面自由エネルギーよりも高くなるように、搬送ベルト40の材料及び第2転写体52の材料が、適宜選択される。これにより、搬送ベルト40の濡れ性が第2転写体52の濡れ性よりも良くなり、第2転写体52から搬送ベルト40へ第2硬化性溶液層56Aが転移しやすくなる。
【0136】
また、第2実施形態に係る画像形成装置210では、第2転写体52の内周側に、搬送ベルト40へ転写される第2硬化性溶液層56Aを平らに保つための平板(プラテン)84が設けられている。平板(プラテン)84は、巻掛ロール13Aと巻掛ロール13Bとの間に配置されている。
【0137】
また、第2実施形態に係る画像形成装置210では、第2硬化装置63は、搬送ベルト40の内周側に配置されている。第2硬化装置63は、巻掛ロール42Cと巻掛ロール42Dとの間に配置されている。
【0138】
また、第2実施形態に係る画像形成装置210では、第2画像形成部60に対する第2転写体52の回転方向下流側には、インク滴が吐出された第2硬化性溶液層56Aを搬送ベルト40へ加圧する加圧部材62が、第2転写体52を内周側及び外周側から挟むようにして設けられている。
【0139】
具体的には、加圧部材62は、第2転写体52が巻き掛けられた巻掛ロール13Aと、搬送ベルト40の内周側に配置された加圧ロール88と、を備えて構成されている。加圧部材62では、加圧ロール88が巻掛ロール13A側へ圧力を加えた状態で、第2硬化性溶液層56Aが第2転写体52と搬送ベルト40とで挟まれて搬送されるようになっている。
【0140】
これにより、巻掛ロール13Aから巻掛ロール13Bまでの第2転写体52と搬送ベルト40とが対向する対向領域(転写領域)において、第2転写体52の表面の第2硬化性溶液層56Aが搬送ベルト40の表面に接触した状態を維持するようになっている。
【0141】
また、第2実施形態に係る画像形成装置210では、搬送ベルト40の外周側に、巻掛ロール42Dと、巻掛ロール13A及び加圧ロール88との間の部分で搬送ベルト40を帯電させる帯電ロール72が設けられている。また、第2実施形態に係る画像形成装置210では、搬送ベルト40の内周側に、巻掛ロール42Bと巻掛ロール42Dとの間の部分で搬送ベルト40を除電する除電ロール74が設けられている。
【0142】
(第2実施形態に係る作用)
次に、第2実施形態に係る作用を説明する。
【0143】
本実施形態に係るに係る画像形成装置210では、第1実施形態に係る画像形成装置10と同様に、まず、第2転写体52が回転し、図2に示すように、第2形成部58から第2転写体52に対して硬化性溶液16及び吸液粒子17が供給されて、第2画像形成部60の吐出可能領域に対して、第2硬化性溶液層56Aが形成される。
【0144】
次に、第2形成部58によって形成された第2硬化性溶液層56Aは、第2画像形成部60に対向する対向位置へ搬送され、当該対向位置において吐出部60Y、60M、60C、60Kから画像情報に基づいた各色のインク滴が、第2硬化性溶液層56Aの表面へ吐出される。これにより、第2硬化性溶液層56Aの表面がインクを吸収し、第2硬化性溶液層56Aの表面にカラー画像が形成される。
【0145】
次に、カラー画像が形成された第2硬化性溶液層56Aは、搬送ベルト40に対する転写領域に搬送され、当該転写領域において搬送ベルト40に接触する。搬送ベルト40に接触した状態の第2硬化性溶液層56Aは、第2硬化装置63により搬送ベルト40を介して半硬化状態にされて搬送ベルト40に転写される。第2硬化性溶液層56Aが搬送ベルト40に転写されると、第2硬化性溶液層56Aの表面側(外側)に形成されたカラー画像は、搬送ベルト40の表面側(内側)を向いた状態となる。
【0146】
次に、搬送ベルト40に転写された第2硬化性溶液層56Aは、記録媒体Pに対する転写領域に搬送される。
【0147】
一方、第1転写体12では、回転する第1転写体12に対して、第1形成部18から硬化性溶液16及び吸液粒子17が供給されて、第1画像形成部20の吐出可能領域に対して、第1硬化性溶液層16Aが形成される。
【0148】
次に、第1形成部18によって形成された第1硬化性溶液層16Aは、第1画像形成部20に対向する対向位置へ搬送され、当該対向位置において吐出部20Y、20M、20C、20Kから画像情報に基づいた各色のインク滴が、第1硬化性溶液層16Aの表面へ吐出される。これにより、第1硬化性溶液層16Aの表面がインクを吸収し、第1硬化性溶液層16Aの表面にカラー画像が形成される。
【0149】
次に、カラー画像が形成された第1硬化性溶液層16Aは、記録媒体Pに対する転写領域に搬送され、当該転写領域において記録媒体Pの表面(図2における上面)に接触する。このとき、搬送ベルト40に転写された第2硬化性溶液層56Aも、記録媒体Pに対する転写領域に搬送され、当該転写領域において記録媒体Pの裏面(図2における下面)に接触する。
【0150】
記録媒体Pの表面に接触した状態の第1硬化性溶液層16Aは、第1硬化装置23により第1転写体12を介して硬化されて記録媒体Pの表面に転写される。記録媒体Pの裏面に接触した状態の第2硬化性溶液層56Aは、第3硬化装置93により搬送ベルト40を介して硬化されて記録媒体Pの裏面に転写される。このように、第1硬化性溶液層16A及び第2硬化性溶液層56Aのそれぞれは、記録媒体Pの表面及び裏面のそれぞれに対して一括して転写され、記録媒体Pの両面に画像が形成される。
【0151】
本実施形態では、第1硬化性溶液層16A及び第2硬化性溶液層56Aのそれぞれに対して独立してカラー画像を形成し、カラー画像が形成された第1硬化性溶液層16A及び第2硬化性溶液層56Aのそれぞれを記録媒体Pの表面及び裏面のそれぞれに転写するので、記録媒体Pを反転させる反転機構を用いることなく、カラー画像が記録媒体Pの両面へ転写される。すなわち、記録媒体Pを搬送方向上流側へ送り戻すことなく、記録媒体Pを一方向へ搬送して記録媒体Pの両面へ画像が形成される。
【0152】
また、本実施形態では、第2硬化性溶液層56Aを一旦搬送ベルト40に転写することで、第2硬化性溶液層56Aの表面側(外側)に形成されたカラー画像が、搬送ベルト40の表面側(内側)を向いた状態となる。これにより、カラー画像が搬送ベルト40の外周側を向いた状態で搬送される場合に比べ、カラー画像が伸び縮みしにくく、画像の劣化が抑制される。また、搬送ベルト40に搬送される第2硬化性溶液層56Aの外面が外部から擦られた場合でも、画像への影響が小さく、画像の劣化が抑制される。
【0153】
また、本実施形態では、第2転写体52の第2硬化性溶液層56Aは、第2硬化装置63により半硬化状態にされて搬送ベルト40に転写される。第2硬化性溶液層56Aが硬化されない状態で搬送ベルト40によって搬送される場合に比べ、カラー画像が滲みにくく、画像の劣化が抑制される。
【0154】
また、本実施形態では、搬送ベルト40によって記録媒体Pを吸着して搬送しながら、第1硬化性溶液層16A及び第2硬化性溶液層56Aを転写するので、当該転写領域が長く確保される。また、搬送ベルト40によって記録媒体Pを吸着して搬送することで、記録媒体Pの平滑な状態を保ちながら、第1硬化性溶液層16A及び第2硬化性溶液層56Aが記録媒体Pに転写される。
【0155】
また、本実施形態では、第1転写体12と搬送ベルト40とが対向配置されて第1硬化性溶液層16A及び第2硬化性溶液層56Aが一括で転写されるので、第1転写体12及び搬送ベルト40を配置する配置スペースが小さくなる。
【0156】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る画像形成装置について説明する。図3は、第3実施形態に係る画像形成装置の構成に示す概略図である。なお、第2実施形態と同一機能を有する部分については、同一符号を付して、適宜、説明を省略する。
【0157】
第2実施形態に係る画像形成装置210では、第2転写体52が、搬送ベルト40における巻掛ロール42Cと巻掛ロール42Dとの間の部分(下側部分)に対向していたが、第3実施形態に係る画像形成装置310では、第2転写体52が、搬送ベルト40における巻掛ロール42Aと巻掛ロール42Bとの間の部分(上側部分)であって、かつ、第1転写体12よりも搬送ベルト40の回転方向上流側で対向している。
【0158】
また、第2硬化装置63は、第2転写体52の内周側に配置されており、巻掛ロール13Aと巻掛ロール13Bとの間に配置されている。また、平板44は、加圧ロール88まで、図3における左側へ延びて設けられている。
【0159】
第3実施形態の構成によれば、第2実施形態と同様の作用を奏する。また、第3実施形態の構成によれば、図2に示す第2実施形態の構成に比べ、図3における上下方向の装置長さが小さくなる。
【0160】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る画像形成装置について説明する。図4は、第4実施形態に係る画像形成装置の構成に示す概略図である。なお、第1実施形態と同一機能を有する部分については、同一符号を付して、適宜、説明を省略する。
【0161】
第4実施形態では、記録媒体Pとして、画像形成後に予め定められた大きさに切断されて用いられる連続用紙が用いられている。この連続用紙は、搬送方向下流側に配置された駆動軸76と、搬送方向下流側に配置された従動軸78と、に巻き掛けられており、張力が付与された状態となっている。そして、駆動軸76が回転することにより、連続用紙は、従動軸78から巻き出されて駆動軸76へ搬送されるようになっている。
【0162】
また、第4実施形態に係る画像形成装置410は、第1実施形態の画像形成装置10における搬送ベルト40及び第3硬化装置93を有せず、第2転写体52に形成された第2硬化性溶液層56Aが第2転写体52から直接、記録媒体Pへ転写される構成となっている。
【0163】
なお、第4実施形態に係る画像形成装置410では、第2硬化装置63は、第2画像形成部60によって画像が形成された第2硬化性溶液層56Aに刺激を付与して第2硬化性溶液層56Aを完全硬化させて記録媒体Pの裏面に転写する硬化部として機能するようになっている。
【0164】
また、本実施形態では、この第2硬化装置63によって、第2画像形成部60によって画像が形成された第2硬化性溶液層56Aに刺激を付与し、第2硬化性溶液層56Aを硬化させて第2硬化性溶液層56Aを記録媒体の裏面へ転写・定着する第2転写部が構成される。
【0165】
(第4実施形態に係る作用)
次に、第4実施形態に係る作用を説明する。
【0166】
本実施形態に係る画像形成装置410では、まず、第2転写体52が回転し、図4に示すように、第2形成部58から第2転写体52に対して硬化性溶液16及び吸液粒子17が供給されて、第2画像形成部60の吐出可能領域に対して、第2硬化性溶液層56Aが形成される。
【0167】
次に、第2形成部58によって形成された第2硬化性溶液層56Aは、第2画像形成部60に対向する対向位置へ搬送され、当該対向位置において吐出部60Y、60M、60C、60Kから画像情報に基づいた各色のインク滴が、第2硬化性溶液層56Aの表面へ吐出される。これにより、第2硬化性溶液層56Aの表面がインクを吸収し、第2硬化性溶液層56Aの表面にカラー画像が形成される。
【0168】
次に、カラー画像が形成された第2硬化性溶液層56Aは、記録媒体Pに対する転写領域に搬送される。
【0169】
一方、第1転写体12では、回転する第1転写体12に対して、第1形成部18から硬化性溶液16及び吸液粒子17が供給されて、第1画像形成部20の吐出可能領域に対して、第1硬化性溶液層16Aが形成される。
【0170】
次に、第1形成部18によって形成された第1硬化性溶液層16Aは、第1画像形成部20に対向する対向位置へ搬送され、当該対向位置において吐出部20Y、20M、20C、20Kから画像情報に基づいた各色のインク滴が、第1硬化性溶液層16Aの表面へ吐出される。これにより、第1硬化性溶液層16Aの表面がインクを吸収し、第1硬化性溶液層16Aの表面にカラー画像が形成される。
【0171】
次に、カラー画像が形成された第1硬化性溶液層16Aは、記録媒体Pに対する転写領域に搬送され、当該転写領域において記録媒体Pの表面(図4における上面)に接触する。このとき、第2転写体52の第2硬化性溶液層56Aも、記録媒体Pに対する転写領域に搬送され、当該転写領域において記録媒体Pの裏面(図4における下面)に接触する。
【0172】
記録媒体Pの表面に接触した状態の第1硬化性溶液層16Aは、第1硬化装置23により第1転写体12を介して硬化されて記録媒体Pの表面に転写される。記録媒体Pの裏面に接触した状態の第2硬化性溶液層56Aは、第2硬化装置63により第2転写体52を介して硬化されて記録媒体Pの裏面に転写される。このように、第1硬化性溶液層16A及び第2硬化性溶液層56Aのそれぞれは、記録媒体Pの表面及び裏面のそれぞれに対して一括して転写され、記録媒体Pの両面に画像が形成される。
【0173】
本実施形態では、第1硬化性溶液層16A及び第2硬化性溶液層56Aのそれぞれに対して独立してカラー画像を形成し、カラー画像が形成された第1硬化性溶液層16A及び第2硬化性溶液層56Aのそれぞれを記録媒体Pの表面及び裏面のそれぞれに転写するので、記録媒体Pを反転させる反転機構を用いることなく、カラー画像が記録媒体Pの両面へ転写される。すなわち、記録媒体Pを搬送方向上流側へ送り戻すことなく、記録媒体Pを一方向へ搬送して記録媒体Pの両面へ画像が形成される。
【0174】
また、本実施形態では、第1転写体12と第2転写体52とが対向配置されて第1硬化性溶液層16A及び第2硬化性溶液層56Aが一括で転写されるので、第1転写体12及び第2転写体52を配置する配置スペースが小さくなる。
【0175】
なお、第1硬化性溶液層16Aを記録媒体Pに転写する位置と、第2硬化性溶液層56Aを記録媒体Pへ転写する位置は、図4における左右方向にずれていてもよい。
【0176】
また、第4実施形態に係る画像形成装置410によれば、搬送ベルト40を有さない分、画像形成装置410の装置サイズの小型化が図れる。
【0177】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成しても良い。
【符号の説明】
【0178】
10 画像形成装置
12 第1転写体
16 硬化性溶液
16A 第1硬化性溶液層(第1層の一例)
17 吸液粒子
18 第1形成部
20 第1画像形成部
23 第1硬化装置(第1転写部の一例)
40 搬送ベルト(第2転写部の一例、第3転写体の一例、搬送部材の一例)
52 第2転写体
56A 第2硬化性溶液層
58 第2形成部
60 第2画像形成部
63 第2硬化装置(半硬化部の一例)
93 第3硬化装置(硬化部の一例)
210 画像形成装置
310 画像形成装置
410 画像形成装置
P 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1転写体と、
刺激に反応して硬化する硬化性溶液と液滴を吸収する吸液粒子とを前記第1転写体の表面に対して供給して、前記硬化性溶液及び前記吸液粒子による第1層を形成する第1形成部と、
前記第1形成部によって形成された前記第1層の表面に対して前記液滴を吐出して画像を形成する第1画像形成部と、
前記第1画像形成部によって画像が形成された前記第1層に刺激を付与し、当該第1層を硬化させて当該第1層を記録媒体の一方の面へ転写する第1転写部と、
第2転写体と、
刺激に反応して硬化する硬化性溶液と液滴を吸収する吸液粒子とを前記第2転写体の表面に対して供給して、前記硬化性溶液及び前記吸液粒子による第2層を形成する第2形成部と、
前記第2形成部によって形成された前記第2層の表面に対して前記液滴を吐出して画像を形成する第2画像形成部と、
前記第2画像形成部によって画像が形成された前記第2層に刺激を付与し、当該第2層を硬化させて当該第2層を前記記録媒体の他方の面へ転写する第2転写部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記第2転写部は、
前記第2画像形成部によって画像が形成された前記第2層が前記第2転写体から転写され、当該第2層を搬送する第3転写体と、
前記第3転写体に転写された前記第2層に刺激を付与し、当該第2層を硬化させて当該第2層を前記記録媒体の他方の面へ転写する硬化部と、
を有する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2転写部は、
前記第2画像形成部によって画像が形成された前記第2層に刺激を付与して当該第2層を半硬化状態に硬化させて、当該第2層を前記第3転写体に転写する半硬化部を有する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第3転写体は、前記記録媒体を吸着して搬送しながら前記第2層が転写される搬送部材である請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1転写体と前記第3転写体とが対向配置され、
前記第1転写部及び前記硬化部のそれぞれが、前記記録媒体の両面に一括して前記第1層及び前記第2層のそれぞれを転写する請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1転写体と前記第2転写体とが対向配置され、
前記第1転写部及び前記第2転写部のそれぞれが、前記記録媒体の両面に一括して前記第1層及び前記第2層のそれぞれを転写する請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−49255(P2013−49255A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189952(P2011−189952)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】