画像形成装置
【課題】複数のヘッドホルダをキャリッジに搭載したときの記録ヘッド相互の位置精度を高くする必要がある。
【解決手段】中間部材101には撓むことが可能な板状部材131が設けられ、キャリッジ5には一方向又は両方向に回転可能な偏心部材132が設けられ、板状部材131の上端部131aは、偏心部材132で押されて主走査方向と直交する副走査方向に変位可能であり、下端部131bは、ヘッドホルダ51Bの基準軸部材71側の背面に設けられた突き当て部158に当たって接触している変形可能部分101bの背面側に当たって接触し、中間部131cは、中間部材101の差し込み部101cに差し込まれることで、上端部131aが変位する方向への移動が規制され、上端部131aを変位させることで下端部131bが変位してヘッドホルダ51Bが副走査方向に移動する。
【解決手段】中間部材101には撓むことが可能な板状部材131が設けられ、キャリッジ5には一方向又は両方向に回転可能な偏心部材132が設けられ、板状部材131の上端部131aは、偏心部材132で押されて主走査方向と直交する副走査方向に変位可能であり、下端部131bは、ヘッドホルダ51Bの基準軸部材71側の背面に設けられた突き当て部158に当たって接触している変形可能部分101bの背面側に当たって接触し、中間部131cは、中間部材101の差し込み部101cに差し込まれることで、上端部131aが変位する方向への移動が規制され、上端部131aを変位させることで下端部131bが変位してヘッドホルダ51Bが副走査方向に移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)を記録ヘッドとして用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。
【0003】
ところで、液体吐出方式による画像形成装置において画像形成する場合には、ノズルから吐出される液滴の着弾精度が画像品質に大きく影響し、液滴の着弾精度が悪いと画像品質が低下することになるので、記録ヘッド位置を高精度に位置決めする必要がある。
【0004】
一方、記録ヘッドに吐出不良が発生した場合などユーザーの使用環境の下でヘッド交換を容易に行えるようにする必要がある。この場合も高い位置精度の再現性を持たせなければならない。
【0005】
従来、ヘッド交換時の位置決め精度を高めたものとして、複数の液体吐出ヘッドを搭載するヘッドホルダと、ヘッドホルダを着脱可能に保持するキャリッジとを有し、ヘッドホルダは、キャリッジに設けられたキャリッジ走査方向及び用紙搬送方向の位置決め基準に接する位置決め部を有するとともに、位置決め部が液体吐出ヘッドのヘッドホルダへの位置決め基準となっているものが知られている(特許文献1)。
【0006】
なお、記録ヘッドの位置決め構造としては、キャリッジは、主走査方向に設けられたメインキャリッジガイド軸及びサブキャリッジガイド軸に沿って往復移動するキャリッジ本体と、サブキャリッジを介しキャリッジ本体に対して回転自在、且つ副走査方向へ移動自在に搭載される記録ヘッドと、キャリッジ本体とサブキャリッジの間に介装され、記録ヘッドをメインキャリッジガイド軸及びサブキャリッジガイド軸に対してそれぞれ押圧付勢する第1及び第2の付勢部材とを備えるものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−037235号公報
【特許文献2】特開2007−190868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1に開示の構成にあっては、位置決め面と位置決めピンによってヘッドホルダのキャリッジに対する位置決めを行っており、構成が複雑になる。また、複数のヘッドホルダを備える場合、ヘッドホルダごとに位置決め部を必要とし、ヘッドホルダ相互の位置決めが難しく、ヘッド交換を容易に行うことができない。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、複数のヘッドホルダに搭載された記録ヘッドの相対位置精度を簡単な構成で高精度に位置決めできるようにして、ヘッド交換を容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、
1又は2以上の前記記録ヘッドを保持する第1ヘッドホルダ及び第2ヘッドホルダと、
前記第1、第2ヘッドホルダを保持するキャリッジと、を備え、
前記キャリッジは主走査方向に配設されたガイド部材に沿って移動可能であり、
前記キャリッジには前記ガイド部材と同じ方向に配設された基準部材を有し、
前記第1、第2ヘッドホルダは前記基準部材に着脱可能に引っ掛けられて保持され、
前記キャリッジには、撓むことが可能な板状部材と、一方向又は両方向に回転可能な偏心部材と、が設けられ、
前記板状部材の一端部は、前記偏心部材で押されて前記主走査方向と直交する副走査方向に変位可能であり、
前記板状部材の他端部は、前記第2ヘッドホルダの前記基準部材側の背面に位置し、
前記板状部材の中間部は、前記一端部が変位する方向への移動が規制され、
前記偏心部材を回転させることで、前記板状部材の一端部が前記副走査方向に変位し、前記他端部が前記一端部と反対方向に変位することで、前記第2ヘッドホルダが前記副走査方向に移動する
構成とした。
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、
1又は2以上の前記記録ヘッドを保持する第1ヘッドホルダ及び第2ヘッドホルダと、
前記第1、第2ヘッドホルダを保持するキャリッジと、を備え、
前記キャリッジは主走査方向に配設されたガイド部材に沿って移動可能であり、
前記キャリッジには前記ガイド部材と同じ方向に配設された基準部材を有し、
前記第1、第2ヘッドホルダは前記基準部材に着脱可能に引っ掛けられて保持され、
前記キャリッジと前記第1、第2ヘッドホルダとの間には中間部材が設けられ、
前記中間部材には撓むことが可能な板状部材が設けられ、前記キャリッジには一方向又は両方向に回転可能な偏心部材が設けられ、
前記板状部材の一端部は、前記偏心部材で押されて前記主走査方向と直交する副走査方向に変位可能であり、
前記板状部材の他端部は、前記第2ヘッドホルダの前記基準部材側の背面に位置し、
前記板状部材の中間部は、前記一端部が変位する方向への移動が規制され、
前記偏心部材を回転させることで、前記板状部材の一端部が前記副走査方向に変位し、前記他端部が前記一端部と反対方向に変位することで、前記第2ヘッドホルダが前記副走査方向に移動する
構成とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る画像形成装置によれば、複数のヘッドホルダに搭載された記録ヘッドの相対位置精度を簡単な構成で高精度に位置決めすることができ、ヘッド交換が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例の全体構成を示す外観斜視説明図である。
【図2】同装置のキャリッジ走査機構部の斜視説明図である。
【図3】ヘッドホルダをキャリッジに装着する前の状態を説明するキャリッジ部分の模式的斜視説明図である。
【図4】中間部材をキャリッジに装着した状態を説明するキャリッジ部分の斜視説明図である。
【図5】ヘッドホルダをキャリッジに装着した状態を説明するキャリッジ部分の斜視説明図である。
【図6】本発明の第1実施形態における第2ヘッドホルダの位置調整機構の説明に供する図8のC−C線に相当する断面説明図である。
【図7】同じくヘッドホルダを移動させた状態の図8のC−C線に相当する断面説明図である。
【図8】同じく中間部材の背面説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態における板状部材の保持構造の説明に供する要部斜視説明図である。
【図10】本発明の第3実施形態における偏心部材の保持構造の説明に供する要部斜視説明図である。
【図11】本発明の第4実施形態の説明に供する断面説明図である。
【図12】同じくヘッドホルダを移動させた状態の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同記録装置の全体構成を示す斜視説明図、図2は同じくキャリッジ走査機構部の斜視説明図である。
【0015】
この画像形成装置は、シリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体1と、記録装置本体1を支持する支持台2とを備えている。
【0016】
装置本体1の内部には、図示しない両側板にガイド部材であるガイドロッド3及びガイドステー4が掛け渡され、これらのガイドロッド3及びガイドステー4にキャリッジ5が矢示A方向に摺動可能に保持されている。
【0017】
キャリッジ5には、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のインク滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド6が搭載されている。各記録ヘッド6には図示しないが、各記録ヘッドにインクを供給するヘッドタンクが一体的に備えられている。
【0018】
そして、キャリッジ5を移動走査する主走査機構部10は、主走査方向の一方側に配置される駆動モータ11と、駆動モータ11によって回転駆動される駆動プーリ12と、主走査方向他方側に配置された従動プーリ13と、駆動プーリ12と従動プーリ13との間に掛け回された牽引部材であるタイミングベルト14とを備えている。なお、従動プーリ13は、図示しないテンションスプリングによって外方(駆動プーリ12に対して離れる方向)にテンションが架けられている。
【0019】
このキャリッジ5における主走査領域のうち、記録領域では、用紙20が吸引搬送部7によってキャリッジ5の主走査方向と直交する方向(副走査方向、用紙搬送方向:矢示B方向)に間欠的に搬送される。
【0020】
また、主走査領域のうち一方の端部側領域には、記録ヘッド6の維持回復を行う維持回復機構8が配置されている。さらに、主走査方向のキャリッジ移動領域外又は、上記主走査領域のうち他方の端部側領域には、記録ヘッド6のサブタンクに供給する各色のインクを収容したメインカートリッジ9が装置本体1に対して着脱自在に装着される。
【0021】
また、給紙手段21には、ロール紙(以下「用紙」という。)20がセットされているが、幅方向のサイズが異なるロール紙がセット可能である。給紙手段21から搬送された用紙20は、装置本体1の後方から前方に向けて、搬送手段により記録領域へ搬送される。そして、キャリッジ5を主走査方向に移動し、吸引搬送部7にて用紙20を間欠的に送りながら、記録ヘッド6を画像情報に応じて駆動して液滴を吐出させることによって、用紙20上に所要の画像が形成される。さらに、画像形成後の用紙20は、所定の長さにカットされ、装置本体1の正面側に配置された図示しない排紙トレイへ排出される。
【0022】
次に、キャリッジ部分の構成について図3ないし図5を参照して説明する。なお、図3はヘッドホルダをキャリッジに装着する前の状態を説明するキャリッジ部分の模式的斜視説明図、図4は中間部材をキャリッジに装着した状態を説明するキャリッジ部分の斜視説明図、図5はヘッドホルダをキャリッジに装着した状態を説明するキャリッジ部分の斜視説明図である。
【0023】
キャリッジ5には、黒用のヘッドホルダ51Aと、カラー用のヘッドホルダ51Bとが保持されている。本実施形態では、ヘッドホルダ51Aを第1ヘッドホルダ、ヘッドホルダ51Bを第2ヘッドホルダとする。
【0024】
ヘッドホルダ51Aには、副走査方向に千鳥状に配置されたブラックの液滴を吐出する2つの記録ヘッド6A、6Bが搭載されている。ヘッドホルダ51Bには、記録ヘッド6Aと副走査方向位置を同じくして、イエロー、マゼンタ、シアンの液滴を吐出する3つの記録ヘッド6C、6D、6Eが搭載されている。なお、前記のとおり、記録ヘッドを区別しないときは「記録ヘッド6」と称している。なお、ヘッドホルダ51A、51Bで保持する記録ヘッド6は1個でもよい。
【0025】
ここで、キャリッジ5には、ガイドロッド3と同じ方向に基準部材としての基準軸部材71が設けられている。そして、ヘッドホルダ51A、51B(以下、区別しないときには、「ヘッドホルダ51」という。)には、基準軸部材71に着脱可能に嵌り込むフック形状の引っ掛け部53が設けられ、ヘッドホルダ51A、51Bは引っ掛け部53を基準軸部材71に引っ掛けることでキャリッジ5に保持されている。なお、基準軸部材71は円柱状、多角形状とすることができる。
【0026】
このように、基準軸部材71をキャリッジ5のガイド部材3と同じ方向に配置することで、副走査方向、高さ方向、あおり方向、主走査方向の傾きの位置精度が向上する。
【0027】
本実施形態において、ヘッド交換を行うとき、例えば記録ヘッド6A、6Bの交換を行うときには、ヘッドホルダ51を基準軸部材71から取り外し、交換後のヘッドホルダ51を基準軸部材71に引っ掛けて保持させる。
【0028】
これにより、交換したヘッドホルダ51のヘッド位置精度を再現できるとともに、他方のヘッドホルダ51のヘッド6に対しても高い位置精度を得ることができる。
【0029】
また、本実施形態では、基準軸部材71とヘッドホルダ51A、51Bとの間に介在する中間部材101を有している。
【0030】
中間部材101は、両端部に基準軸部材71と同じ方向に支持軸部材103が設けられ、キャリッジ5の両側壁に設けた貫通穴170で支持されている。
【0031】
次に、本発明の第1実施形態における第2ヘッドホルダの位置調整機構について図6ないし図8を参照して説明する。なお、図6は同実施形態の説明に供する図8のC−C線に相当する断面説明図、図7は同じくヘッドホルダを移動させた状態の図8のC−C線に相当する断面説明図、図8は同じく中間部材の背面説明図である。
【0032】
ヘッドホルダ51Aと中間部材101との間には、中間部材101のヘッドホルダ51Aの突き当て部158が当たって接触している変形可能部分101bを変形させることで、ヘッドホルダ51Aの副走査方向の位置を調整する調整機構130が設けられている。
【0033】
この調整機構130では、中間部材101には撓むことが可能な板状部材131が設けられ、キャリッジ5には一方向又は両方向に回転可能な偏心部材132が設けられている。
【0034】
この板状部材131の一端部である上端部131aは、偏心部材132で押されて主走査方向と直交する副走査方向に変位可能である。ここでは、偏心部材132は、板状部材131に対して副走査方向下流側に配置され、上端部131aを副走査方向上流側に押す構成としている。
【0035】
また、板状部材131の他端部である下端部131bは、ヘッドホルダ51Bの基準軸部材71側の背面に設けられた突き当て部158に当たって接触している変形可能部分101bの背面側(ヘッドホルダ51Bの突き当て部158が当たる面と反対の面側)に当たって接触している。
【0036】
さらに、板状部材131の中間部131cは、中間部材101の差し込み部101cに差し込まれることで、上端部131aが変位する方向への移動が規制されている。この場合、差し込み部101cは、中間部131cが副走査方向上下流側に変位することを規制する形状となる。
【0037】
この結果、板状部材131は、上端部131aが偏心部材132によって押される力点となり、中間部131cが支点となり、下端部131bが作用点となる、てこ部材と同様な働きをすることになる。
【0038】
一方、キャリッジ5側に設けられた偏心部材132は、キャリッジ5に一方向又は両方向に回転可能に保持されたロッド133に、板状部材131の上端部131aに当たって接触する偏心カム134が取り付けられ、ロッド133の端部には操作摘み部135が設けられている。
【0039】
このように構成したので、図6に示す状態から偏心部材132を回転させることで、図7に示すように、偏心カム134によって板状部材131の上端部131aが副走査方向上流側に押され、板状部材131が変形し、中間部131cを支点として、下端部131bが副走査方向下流側に変位する。
【0040】
これにより、中間部材101の変形可能部分101bがヘッドホルダ51B側(副走査方向下流側)に押され、結果として、ヘッドホルダ51Bが矢印方向である副走査方向下流側に押されて、ヘッドホルダ51Bは基準軸部材71を中心として矢印方向に回転し、ヘッドホルダ51Bの副走査方向位置が調整される。
【0041】
このヘッドホルダ51Bの副走査方向位置を調整することで、ヘッドホルダ51Bに搭載された記録ヘッド6C〜6Eとヘッドホルダ51Aに搭載された記録ヘッド6Aとの副走査方向位置を高精度に位置決めすることができる。
【0042】
このようにヘッドホルダ51Bの副走査方向位置を高精度に位置決めできることで、ヘッド交換を行った場合でも複数のヘッドホルダの記録ヘッド間の相対位置精度を高めることができて、ヘッド交換が容易になる。
【0043】
ここで、基準軸部材71を中心に、支点となる差し込み部101c周りに偏心部材132から力を加えて、ヘッドホルダ51Bを調整させる構成であるため、搬送方向に対して垂直な方向にヘッドホルダ51Bと中間部材101の接触面(突き当て部158と変形可能部分101bとの接触面)に力を加えないと、基準軸部材71中心の調整ができなくなるおそれがある。つまり、ヘッドホルダ51Bが基準軸部材71から離れる方向に力が加わるおそれがある。そこで、副走査方向に対して垂直な方向にヘッドホルダ51Bと中間部材101の接触面からの力が加わる構成にしている。
【0044】
次に、本発明の第2実施形態について図9を参照して説明する。なお、図9は同実施形態における板状部材の保持構造の説明に供する要部斜視説明図である。
【0045】
本実施形態では、中間部材101に、板状部材131の下端部131bに形成した貫通穴131dに嵌り込む凸部141を形成している。
【0046】
これにより、板状部材131の高さ方向位置及び主走査方向位置を規制している。
【0047】
次に、本発明の第3実施形態について図10を参照して説明する。なお、図10は同実施形態における偏心部材の保持構造の説明に供する要部斜視説明図である。
【0048】
本実施形態では、偏心部材132のカム134をキャリッジ5に設けた円弧状部分151によって保持することで高さ方向位置及び副走査方向位置を規制し、また、主走査方向は偏心部材132のロッド133を挿入するキャリッジ5の穴に対して、偏心部材132のロッド133の外側部分133aの径を大きくすることで規制している。
【0049】
次に、本発明の第4実施形態について図11及び図12を参照して説明する。なお、図11は同実施形態の説明に供する断面説明図、図12は同じくヘッドホルダを移動させた状態の断面説明図である。
【0050】
本実施形態では、偏心部材132は、板状部材131に対して副走査方向上流側に配置され、板状部材131の上端部131aを副走査方向下流側に押す構成としている。そして、板状部材131の他端部である下端部131bは、ヘッドホルダ51Bの基準軸部材71側の背面に設けられた突き当て部158に当たって接触している変形可能部分101bの背面側とを接合固定している。
【0051】
また、板状部材131の中間部131cは、中間部材101の差し込み部101cに差し込まれることで、上端部131aが変位する方向への移動が規制されている。この場合、差し込み部101cは、中間部131cが副走査方向下流側に変位することを規制する形状となる。
【0052】
このように構成したので、図11に示す状態から偏心部材132を回転させることで、図12に示すように、偏心カム134によって板状部材131の上端部131aが副走査方向下流側に押され、板状部材131が変形し、中間部131cを支点として、下端部131bが副走査方向上流側に変位する。
【0053】
これにより、中間部材101の変形可能部分101bがヘッドホルダ51B側と反対側(副走査方向上流側)に引かれ、結果として、ヘッドホルダ51Bが矢印方向である副走査方向上流側に引かれて、ヘッドホルダ51Bは基準軸部材71を中心として矢印方向に回転し、ヘッドホルダ51Bの副走査方向位置が調整される。
【0054】
このヘッドホルダ51Bの副走査方向位置を調整することで、ヘッドホルダ51Bに搭載された記録ヘッド6C〜6Eとヘッドホルダ51Aに搭載された記録ヘッド6Aとの副走査方向位置を高精度に位置決めすることができる。
【0055】
上記各実施形態では、キャリッジとヘッドホルダとの間に中間部材を有し、中間部材に板状部材を設ける構成で説明しているが、中間部材を設けない構成とすることもできる。この場合には、板状部材をキャリッジに設けて、キャリッジの板状部材を設ける部分を前記実施形態の中間部材と同様な構成とすればよい。
【0056】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0057】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0058】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0059】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0060】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1 装置本体
5 キャリッジ
6、6A〜6D 記録ヘッド
10 キャリッジ走査機構部
51、51A、51B ヘッドホルダ
53 引っ掛け部
71 基準軸部材(基準部材)
130 調整機構
131 板状部材
132 偏心部材
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)を記録ヘッドとして用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。
【0003】
ところで、液体吐出方式による画像形成装置において画像形成する場合には、ノズルから吐出される液滴の着弾精度が画像品質に大きく影響し、液滴の着弾精度が悪いと画像品質が低下することになるので、記録ヘッド位置を高精度に位置決めする必要がある。
【0004】
一方、記録ヘッドに吐出不良が発生した場合などユーザーの使用環境の下でヘッド交換を容易に行えるようにする必要がある。この場合も高い位置精度の再現性を持たせなければならない。
【0005】
従来、ヘッド交換時の位置決め精度を高めたものとして、複数の液体吐出ヘッドを搭載するヘッドホルダと、ヘッドホルダを着脱可能に保持するキャリッジとを有し、ヘッドホルダは、キャリッジに設けられたキャリッジ走査方向及び用紙搬送方向の位置決め基準に接する位置決め部を有するとともに、位置決め部が液体吐出ヘッドのヘッドホルダへの位置決め基準となっているものが知られている(特許文献1)。
【0006】
なお、記録ヘッドの位置決め構造としては、キャリッジは、主走査方向に設けられたメインキャリッジガイド軸及びサブキャリッジガイド軸に沿って往復移動するキャリッジ本体と、サブキャリッジを介しキャリッジ本体に対して回転自在、且つ副走査方向へ移動自在に搭載される記録ヘッドと、キャリッジ本体とサブキャリッジの間に介装され、記録ヘッドをメインキャリッジガイド軸及びサブキャリッジガイド軸に対してそれぞれ押圧付勢する第1及び第2の付勢部材とを備えるものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−037235号公報
【特許文献2】特開2007−190868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1に開示の構成にあっては、位置決め面と位置決めピンによってヘッドホルダのキャリッジに対する位置決めを行っており、構成が複雑になる。また、複数のヘッドホルダを備える場合、ヘッドホルダごとに位置決め部を必要とし、ヘッドホルダ相互の位置決めが難しく、ヘッド交換を容易に行うことができない。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、複数のヘッドホルダに搭載された記録ヘッドの相対位置精度を簡単な構成で高精度に位置決めできるようにして、ヘッド交換を容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、
1又は2以上の前記記録ヘッドを保持する第1ヘッドホルダ及び第2ヘッドホルダと、
前記第1、第2ヘッドホルダを保持するキャリッジと、を備え、
前記キャリッジは主走査方向に配設されたガイド部材に沿って移動可能であり、
前記キャリッジには前記ガイド部材と同じ方向に配設された基準部材を有し、
前記第1、第2ヘッドホルダは前記基準部材に着脱可能に引っ掛けられて保持され、
前記キャリッジには、撓むことが可能な板状部材と、一方向又は両方向に回転可能な偏心部材と、が設けられ、
前記板状部材の一端部は、前記偏心部材で押されて前記主走査方向と直交する副走査方向に変位可能であり、
前記板状部材の他端部は、前記第2ヘッドホルダの前記基準部材側の背面に位置し、
前記板状部材の中間部は、前記一端部が変位する方向への移動が規制され、
前記偏心部材を回転させることで、前記板状部材の一端部が前記副走査方向に変位し、前記他端部が前記一端部と反対方向に変位することで、前記第2ヘッドホルダが前記副走査方向に移動する
構成とした。
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、
1又は2以上の前記記録ヘッドを保持する第1ヘッドホルダ及び第2ヘッドホルダと、
前記第1、第2ヘッドホルダを保持するキャリッジと、を備え、
前記キャリッジは主走査方向に配設されたガイド部材に沿って移動可能であり、
前記キャリッジには前記ガイド部材と同じ方向に配設された基準部材を有し、
前記第1、第2ヘッドホルダは前記基準部材に着脱可能に引っ掛けられて保持され、
前記キャリッジと前記第1、第2ヘッドホルダとの間には中間部材が設けられ、
前記中間部材には撓むことが可能な板状部材が設けられ、前記キャリッジには一方向又は両方向に回転可能な偏心部材が設けられ、
前記板状部材の一端部は、前記偏心部材で押されて前記主走査方向と直交する副走査方向に変位可能であり、
前記板状部材の他端部は、前記第2ヘッドホルダの前記基準部材側の背面に位置し、
前記板状部材の中間部は、前記一端部が変位する方向への移動が規制され、
前記偏心部材を回転させることで、前記板状部材の一端部が前記副走査方向に変位し、前記他端部が前記一端部と反対方向に変位することで、前記第2ヘッドホルダが前記副走査方向に移動する
構成とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る画像形成装置によれば、複数のヘッドホルダに搭載された記録ヘッドの相対位置精度を簡単な構成で高精度に位置決めすることができ、ヘッド交換が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例の全体構成を示す外観斜視説明図である。
【図2】同装置のキャリッジ走査機構部の斜視説明図である。
【図3】ヘッドホルダをキャリッジに装着する前の状態を説明するキャリッジ部分の模式的斜視説明図である。
【図4】中間部材をキャリッジに装着した状態を説明するキャリッジ部分の斜視説明図である。
【図5】ヘッドホルダをキャリッジに装着した状態を説明するキャリッジ部分の斜視説明図である。
【図6】本発明の第1実施形態における第2ヘッドホルダの位置調整機構の説明に供する図8のC−C線に相当する断面説明図である。
【図7】同じくヘッドホルダを移動させた状態の図8のC−C線に相当する断面説明図である。
【図8】同じく中間部材の背面説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態における板状部材の保持構造の説明に供する要部斜視説明図である。
【図10】本発明の第3実施形態における偏心部材の保持構造の説明に供する要部斜視説明図である。
【図11】本発明の第4実施形態の説明に供する断面説明図である。
【図12】同じくヘッドホルダを移動させた状態の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同記録装置の全体構成を示す斜視説明図、図2は同じくキャリッジ走査機構部の斜視説明図である。
【0015】
この画像形成装置は、シリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体1と、記録装置本体1を支持する支持台2とを備えている。
【0016】
装置本体1の内部には、図示しない両側板にガイド部材であるガイドロッド3及びガイドステー4が掛け渡され、これらのガイドロッド3及びガイドステー4にキャリッジ5が矢示A方向に摺動可能に保持されている。
【0017】
キャリッジ5には、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のインク滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド6が搭載されている。各記録ヘッド6には図示しないが、各記録ヘッドにインクを供給するヘッドタンクが一体的に備えられている。
【0018】
そして、キャリッジ5を移動走査する主走査機構部10は、主走査方向の一方側に配置される駆動モータ11と、駆動モータ11によって回転駆動される駆動プーリ12と、主走査方向他方側に配置された従動プーリ13と、駆動プーリ12と従動プーリ13との間に掛け回された牽引部材であるタイミングベルト14とを備えている。なお、従動プーリ13は、図示しないテンションスプリングによって外方(駆動プーリ12に対して離れる方向)にテンションが架けられている。
【0019】
このキャリッジ5における主走査領域のうち、記録領域では、用紙20が吸引搬送部7によってキャリッジ5の主走査方向と直交する方向(副走査方向、用紙搬送方向:矢示B方向)に間欠的に搬送される。
【0020】
また、主走査領域のうち一方の端部側領域には、記録ヘッド6の維持回復を行う維持回復機構8が配置されている。さらに、主走査方向のキャリッジ移動領域外又は、上記主走査領域のうち他方の端部側領域には、記録ヘッド6のサブタンクに供給する各色のインクを収容したメインカートリッジ9が装置本体1に対して着脱自在に装着される。
【0021】
また、給紙手段21には、ロール紙(以下「用紙」という。)20がセットされているが、幅方向のサイズが異なるロール紙がセット可能である。給紙手段21から搬送された用紙20は、装置本体1の後方から前方に向けて、搬送手段により記録領域へ搬送される。そして、キャリッジ5を主走査方向に移動し、吸引搬送部7にて用紙20を間欠的に送りながら、記録ヘッド6を画像情報に応じて駆動して液滴を吐出させることによって、用紙20上に所要の画像が形成される。さらに、画像形成後の用紙20は、所定の長さにカットされ、装置本体1の正面側に配置された図示しない排紙トレイへ排出される。
【0022】
次に、キャリッジ部分の構成について図3ないし図5を参照して説明する。なお、図3はヘッドホルダをキャリッジに装着する前の状態を説明するキャリッジ部分の模式的斜視説明図、図4は中間部材をキャリッジに装着した状態を説明するキャリッジ部分の斜視説明図、図5はヘッドホルダをキャリッジに装着した状態を説明するキャリッジ部分の斜視説明図である。
【0023】
キャリッジ5には、黒用のヘッドホルダ51Aと、カラー用のヘッドホルダ51Bとが保持されている。本実施形態では、ヘッドホルダ51Aを第1ヘッドホルダ、ヘッドホルダ51Bを第2ヘッドホルダとする。
【0024】
ヘッドホルダ51Aには、副走査方向に千鳥状に配置されたブラックの液滴を吐出する2つの記録ヘッド6A、6Bが搭載されている。ヘッドホルダ51Bには、記録ヘッド6Aと副走査方向位置を同じくして、イエロー、マゼンタ、シアンの液滴を吐出する3つの記録ヘッド6C、6D、6Eが搭載されている。なお、前記のとおり、記録ヘッドを区別しないときは「記録ヘッド6」と称している。なお、ヘッドホルダ51A、51Bで保持する記録ヘッド6は1個でもよい。
【0025】
ここで、キャリッジ5には、ガイドロッド3と同じ方向に基準部材としての基準軸部材71が設けられている。そして、ヘッドホルダ51A、51B(以下、区別しないときには、「ヘッドホルダ51」という。)には、基準軸部材71に着脱可能に嵌り込むフック形状の引っ掛け部53が設けられ、ヘッドホルダ51A、51Bは引っ掛け部53を基準軸部材71に引っ掛けることでキャリッジ5に保持されている。なお、基準軸部材71は円柱状、多角形状とすることができる。
【0026】
このように、基準軸部材71をキャリッジ5のガイド部材3と同じ方向に配置することで、副走査方向、高さ方向、あおり方向、主走査方向の傾きの位置精度が向上する。
【0027】
本実施形態において、ヘッド交換を行うとき、例えば記録ヘッド6A、6Bの交換を行うときには、ヘッドホルダ51を基準軸部材71から取り外し、交換後のヘッドホルダ51を基準軸部材71に引っ掛けて保持させる。
【0028】
これにより、交換したヘッドホルダ51のヘッド位置精度を再現できるとともに、他方のヘッドホルダ51のヘッド6に対しても高い位置精度を得ることができる。
【0029】
また、本実施形態では、基準軸部材71とヘッドホルダ51A、51Bとの間に介在する中間部材101を有している。
【0030】
中間部材101は、両端部に基準軸部材71と同じ方向に支持軸部材103が設けられ、キャリッジ5の両側壁に設けた貫通穴170で支持されている。
【0031】
次に、本発明の第1実施形態における第2ヘッドホルダの位置調整機構について図6ないし図8を参照して説明する。なお、図6は同実施形態の説明に供する図8のC−C線に相当する断面説明図、図7は同じくヘッドホルダを移動させた状態の図8のC−C線に相当する断面説明図、図8は同じく中間部材の背面説明図である。
【0032】
ヘッドホルダ51Aと中間部材101との間には、中間部材101のヘッドホルダ51Aの突き当て部158が当たって接触している変形可能部分101bを変形させることで、ヘッドホルダ51Aの副走査方向の位置を調整する調整機構130が設けられている。
【0033】
この調整機構130では、中間部材101には撓むことが可能な板状部材131が設けられ、キャリッジ5には一方向又は両方向に回転可能な偏心部材132が設けられている。
【0034】
この板状部材131の一端部である上端部131aは、偏心部材132で押されて主走査方向と直交する副走査方向に変位可能である。ここでは、偏心部材132は、板状部材131に対して副走査方向下流側に配置され、上端部131aを副走査方向上流側に押す構成としている。
【0035】
また、板状部材131の他端部である下端部131bは、ヘッドホルダ51Bの基準軸部材71側の背面に設けられた突き当て部158に当たって接触している変形可能部分101bの背面側(ヘッドホルダ51Bの突き当て部158が当たる面と反対の面側)に当たって接触している。
【0036】
さらに、板状部材131の中間部131cは、中間部材101の差し込み部101cに差し込まれることで、上端部131aが変位する方向への移動が規制されている。この場合、差し込み部101cは、中間部131cが副走査方向上下流側に変位することを規制する形状となる。
【0037】
この結果、板状部材131は、上端部131aが偏心部材132によって押される力点となり、中間部131cが支点となり、下端部131bが作用点となる、てこ部材と同様な働きをすることになる。
【0038】
一方、キャリッジ5側に設けられた偏心部材132は、キャリッジ5に一方向又は両方向に回転可能に保持されたロッド133に、板状部材131の上端部131aに当たって接触する偏心カム134が取り付けられ、ロッド133の端部には操作摘み部135が設けられている。
【0039】
このように構成したので、図6に示す状態から偏心部材132を回転させることで、図7に示すように、偏心カム134によって板状部材131の上端部131aが副走査方向上流側に押され、板状部材131が変形し、中間部131cを支点として、下端部131bが副走査方向下流側に変位する。
【0040】
これにより、中間部材101の変形可能部分101bがヘッドホルダ51B側(副走査方向下流側)に押され、結果として、ヘッドホルダ51Bが矢印方向である副走査方向下流側に押されて、ヘッドホルダ51Bは基準軸部材71を中心として矢印方向に回転し、ヘッドホルダ51Bの副走査方向位置が調整される。
【0041】
このヘッドホルダ51Bの副走査方向位置を調整することで、ヘッドホルダ51Bに搭載された記録ヘッド6C〜6Eとヘッドホルダ51Aに搭載された記録ヘッド6Aとの副走査方向位置を高精度に位置決めすることができる。
【0042】
このようにヘッドホルダ51Bの副走査方向位置を高精度に位置決めできることで、ヘッド交換を行った場合でも複数のヘッドホルダの記録ヘッド間の相対位置精度を高めることができて、ヘッド交換が容易になる。
【0043】
ここで、基準軸部材71を中心に、支点となる差し込み部101c周りに偏心部材132から力を加えて、ヘッドホルダ51Bを調整させる構成であるため、搬送方向に対して垂直な方向にヘッドホルダ51Bと中間部材101の接触面(突き当て部158と変形可能部分101bとの接触面)に力を加えないと、基準軸部材71中心の調整ができなくなるおそれがある。つまり、ヘッドホルダ51Bが基準軸部材71から離れる方向に力が加わるおそれがある。そこで、副走査方向に対して垂直な方向にヘッドホルダ51Bと中間部材101の接触面からの力が加わる構成にしている。
【0044】
次に、本発明の第2実施形態について図9を参照して説明する。なお、図9は同実施形態における板状部材の保持構造の説明に供する要部斜視説明図である。
【0045】
本実施形態では、中間部材101に、板状部材131の下端部131bに形成した貫通穴131dに嵌り込む凸部141を形成している。
【0046】
これにより、板状部材131の高さ方向位置及び主走査方向位置を規制している。
【0047】
次に、本発明の第3実施形態について図10を参照して説明する。なお、図10は同実施形態における偏心部材の保持構造の説明に供する要部斜視説明図である。
【0048】
本実施形態では、偏心部材132のカム134をキャリッジ5に設けた円弧状部分151によって保持することで高さ方向位置及び副走査方向位置を規制し、また、主走査方向は偏心部材132のロッド133を挿入するキャリッジ5の穴に対して、偏心部材132のロッド133の外側部分133aの径を大きくすることで規制している。
【0049】
次に、本発明の第4実施形態について図11及び図12を参照して説明する。なお、図11は同実施形態の説明に供する断面説明図、図12は同じくヘッドホルダを移動させた状態の断面説明図である。
【0050】
本実施形態では、偏心部材132は、板状部材131に対して副走査方向上流側に配置され、板状部材131の上端部131aを副走査方向下流側に押す構成としている。そして、板状部材131の他端部である下端部131bは、ヘッドホルダ51Bの基準軸部材71側の背面に設けられた突き当て部158に当たって接触している変形可能部分101bの背面側とを接合固定している。
【0051】
また、板状部材131の中間部131cは、中間部材101の差し込み部101cに差し込まれることで、上端部131aが変位する方向への移動が規制されている。この場合、差し込み部101cは、中間部131cが副走査方向下流側に変位することを規制する形状となる。
【0052】
このように構成したので、図11に示す状態から偏心部材132を回転させることで、図12に示すように、偏心カム134によって板状部材131の上端部131aが副走査方向下流側に押され、板状部材131が変形し、中間部131cを支点として、下端部131bが副走査方向上流側に変位する。
【0053】
これにより、中間部材101の変形可能部分101bがヘッドホルダ51B側と反対側(副走査方向上流側)に引かれ、結果として、ヘッドホルダ51Bが矢印方向である副走査方向上流側に引かれて、ヘッドホルダ51Bは基準軸部材71を中心として矢印方向に回転し、ヘッドホルダ51Bの副走査方向位置が調整される。
【0054】
このヘッドホルダ51Bの副走査方向位置を調整することで、ヘッドホルダ51Bに搭載された記録ヘッド6C〜6Eとヘッドホルダ51Aに搭載された記録ヘッド6Aとの副走査方向位置を高精度に位置決めすることができる。
【0055】
上記各実施形態では、キャリッジとヘッドホルダとの間に中間部材を有し、中間部材に板状部材を設ける構成で説明しているが、中間部材を設けない構成とすることもできる。この場合には、板状部材をキャリッジに設けて、キャリッジの板状部材を設ける部分を前記実施形態の中間部材と同様な構成とすればよい。
【0056】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0057】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0058】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0059】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0060】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1 装置本体
5 キャリッジ
6、6A〜6D 記録ヘッド
10 キャリッジ走査機構部
51、51A、51B ヘッドホルダ
53 引っ掛け部
71 基準軸部材(基準部材)
130 調整機構
131 板状部材
132 偏心部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、
1又は2以上の前記記録ヘッドを保持する第1ヘッドホルダ及び第2ヘッドホルダと、
前記第1、第2ヘッドホルダを保持するキャリッジと、を備え、
前記キャリッジは主走査方向に配設されたガイド部材に沿って移動可能であり、
前記キャリッジには前記ガイド部材と同じ方向に配設された基準部材を有し、
前記第1、第2ヘッドホルダは前記基準部材に着脱可能に引っ掛けられて保持され、
前記キャリッジには、撓むことが可能な板状部材と、一方向又は両方向に回転可能な偏心部材と、が設けられ、
前記板状部材の一端部は、前記偏心部材で押されて前記主走査方向と直交する副走査方向に変位可能であり、
前記板状部材の他端部は、前記第2ヘッドホルダの前記基準部材側の背面に位置し、
前記板状部材の中間部は、前記一端部が変位する方向への移動が規制され、
前記偏心部材を回転させることで、前記板状部材の一端部が前記副走査方向に変位し、前記他端部が前記一端部と反対方向に変位することで、前記第2ヘッドホルダが前記副走査方向に移動する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
液滴を吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、
1又は2以上の前記記録ヘッドを保持する第1ヘッドホルダ及び第2ヘッドホルダと、
前記第1、第2ヘッドホルダを保持するキャリッジと、を備え、
前記キャリッジは主走査方向に配設されたガイド部材に沿って移動可能であり、
前記キャリッジには前記ガイド部材と同じ方向に配設された基準部材を有し、
前記第1、第2ヘッドホルダは前記基準部材に着脱可能に引っ掛けられて保持され、
前記キャリッジと前記第1、第2ヘッドホルダとの間には中間部材が設けられ、
前記中間部材には撓むことが可能な板状部材が設けられ、前記キャリッジには一方向又は両方向に回転可能な偏心部材が設けられ、
前記キャリッジには、撓むことが可能な板状部材と、一方向又は両方向に回転可能な偏心部材と、が設けられ、
前記板状部材の一端部は、前記偏心部材で押されて前記主走査方向と直交する副走査方向に変位可能であり、
前記板状部材の他端部は、前記第2ヘッドホルダの前記基準部材側の背面に位置し、
前記板状部材の中間部は、前記一端部が変位する方向への移動が規制され、
前記偏心部材を回転させることで、前記板状部材の一端部が前記副走査方向に変位し、前記他端部が前記一端部と反対方向に変位することで、前記第2ヘッドホルダが前記副走査方向に移動する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記中間部材には、前記板状部材の高さ方向及び主走査方向に位置を定める突部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記偏心部材の高さ方向及び媒体送り方向に沿う方向に位置を定める突部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、
1又は2以上の前記記録ヘッドを保持する第1ヘッドホルダ及び第2ヘッドホルダと、
前記第1、第2ヘッドホルダを保持するキャリッジと、を備え、
前記キャリッジは主走査方向に配設されたガイド部材に沿って移動可能であり、
前記キャリッジには前記ガイド部材と同じ方向に配設された基準部材を有し、
前記第1、第2ヘッドホルダは前記基準部材に着脱可能に引っ掛けられて保持され、
前記キャリッジには、撓むことが可能な板状部材と、一方向又は両方向に回転可能な偏心部材と、が設けられ、
前記板状部材の一端部は、前記偏心部材で押されて前記主走査方向と直交する副走査方向に変位可能であり、
前記板状部材の他端部は、前記第2ヘッドホルダの前記基準部材側の背面に位置し、
前記板状部材の中間部は、前記一端部が変位する方向への移動が規制され、
前記偏心部材を回転させることで、前記板状部材の一端部が前記副走査方向に変位し、前記他端部が前記一端部と反対方向に変位することで、前記第2ヘッドホルダが前記副走査方向に移動する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
液滴を吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、
1又は2以上の前記記録ヘッドを保持する第1ヘッドホルダ及び第2ヘッドホルダと、
前記第1、第2ヘッドホルダを保持するキャリッジと、を備え、
前記キャリッジは主走査方向に配設されたガイド部材に沿って移動可能であり、
前記キャリッジには前記ガイド部材と同じ方向に配設された基準部材を有し、
前記第1、第2ヘッドホルダは前記基準部材に着脱可能に引っ掛けられて保持され、
前記キャリッジと前記第1、第2ヘッドホルダとの間には中間部材が設けられ、
前記中間部材には撓むことが可能な板状部材が設けられ、前記キャリッジには一方向又は両方向に回転可能な偏心部材が設けられ、
前記キャリッジには、撓むことが可能な板状部材と、一方向又は両方向に回転可能な偏心部材と、が設けられ、
前記板状部材の一端部は、前記偏心部材で押されて前記主走査方向と直交する副走査方向に変位可能であり、
前記板状部材の他端部は、前記第2ヘッドホルダの前記基準部材側の背面に位置し、
前記板状部材の中間部は、前記一端部が変位する方向への移動が規制され、
前記偏心部材を回転させることで、前記板状部材の一端部が前記副走査方向に変位し、前記他端部が前記一端部と反対方向に変位することで、前記第2ヘッドホルダが前記副走査方向に移動する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記中間部材には、前記板状部材の高さ方向及び主走査方向に位置を定める突部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記偏心部材の高さ方向及び媒体送り方向に沿う方向に位置を定める突部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−63526(P2013−63526A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202179(P2011−202179)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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