説明

画像形成装置

【課題】ローラ軸心方向に移動可能に構成された排紙ローラから、該排紙ローラに帯電する静電気を安定的に除去することができる静電気除去機構を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】静電気除去機構を、一端が排紙ローラ15の回転軸35に導通され、他端が電気的に接地された板金フレームに導通されており、且つ、回転軸35の軸心方向の移動に伴って伸縮操作される弾性部材52を含んで構成する。これにより、排紙ローラ15が移動位置とは無関係に、排紙ローラ15と板金フレームとの間の導通状態を確実に確保することができるので、排紙ローラ15に帯電した静電気を板金フレームへ安定的に流すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコピー機、ファクシミリ機、あるいはプリンター装置等の画像形成装置に関し、その排紙部の静電気除去機構を改良したものである。
【背景技術】
【0002】
画像が定着処理されたのちの記録紙を紙受部へ送出するために、搬送路の終端には排紙部が設けられている。また、排紙部にシフト機構を設けて、記録紙を一定枚数ごとに横ずれした状態で送出して、記録紙の部数ごとの分別を容易化することも従来から広く知られている。例えば特許文献1の画像形成装置においては、排紙部に設けられた排紙ローラを、モータ動力によりローラ軸心方向へ移動可能に構成して、記録紙を一定枚数ごとに横ずれした状態で紙受部へ送出することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−030709号公報(段落番号0015、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の画像形成装置のように、排紙ローラがローラ軸心方向に移動可能に構成されている形態では、移動される排紙ローラとグランド電位にある本体フレームとの間に、静電気を除去するための導電路を確保することが難しい。このため、排紙ローラに帯電した静電気を安定的に除去することが困難であり、その点に改良の余地があった。
【0005】
本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたものであり、ローラ軸心方向に移動可能に構成された排紙ローラから、該排紙ローラに帯電する静電気を安定的に除去することができる静電気除去機構を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、回転軸35と、該回転軸35に装着されたローラ本体36とを含み、画像が定着された記録紙を紙受部7へ向かって送出する排紙ローラ15と、前記排紙ローラ15の全体を、前記回転軸35の軸心方向に沿って移動させる移動機構と、前記排紙ローラ15に帯電した静電気を除去するための静電気除去機構とを有する。
前記静電気除去機構は、一端が前記回転軸35に導通され、他端が前記排紙ローラ15の周辺に設けられて電気的に接地された接地部材51に導通されており、且つ、前記回転軸35の軸心方向の移動に伴って伸縮操作される弾性部材52を含む。そして、前記弾性部材52を介して、前記排紙ローラ15が、前記接地部材51に電気的に導通されていることを特徴とする。
【0007】
前記静電気除去機構が、前記回転軸35に導通した状態で装着されて、該回転軸35の移動機構による軸心方向の移動に伴って同行移動するブッシュ50を含み、前記弾性部材52の一端が前記ブッシュ50に導通されている形態を採ることができる。
【0008】
前記排紙ローラ15に対向配置されて、該排紙ローラ15と協同して前記記録紙を前記紙受部7へ向かって送出するニップローラ16を含むものとすることができる。
【0009】
前記排紙ローラ15は、前記移動機構より、常態位置と移動位置との間で移動操作されるように構成する。前記弾性部材52は、前記排紙ローラ15の軸心方向に伸縮変形可能に構成された圧縮コイル状のバネ本体53と、該バネ本体53の両端部から連出された二つのバネ腕54・55とを有する金属製の捩りコイルバネである。そして、前記バネ本体53の弾性力により、前記排紙ローラ15が移動位置から常態位置に、或いは常態位置から移動位置に移動されるように構成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、一端が回転軸35に導通され、他端が排紙ローラ15の周辺に設けられて電気的に接地された接地部材51に導通されており、且つ、回転軸35の軸心方向の移動に伴って伸縮操作される弾性部材52を含んで静電気除去機構を構成した。また、弾性部材52を介して、排紙ローラ15を接地部材51に電気的に導通した。このように、弾性部材52を介して排紙ローラ15が接地部材51に電気的に導通されていると、移動機構により排紙ローラ15が移動された場合でも、排紙ローラ15の移動に伴う弾性部材52の一端と接地部材51との間隔距離の変動を弾性部材52が伸縮することで吸収できる。これにより、排紙ローラ15の移動位置とは無関係に、排紙ローラ15と接地部材51との間の導通状態を確実に確保することができるので、排紙ローラ15に帯電した静電気を接地部材51へ安定して流して、排紙ローラ15から静電気を除去することができる。
【0011】
本発明の画像形成装置は、静電気除去機構が回転軸35に導通した状態で装着されて、該回転軸35の移動機構による軸心方向の移動に伴って同行移動するブッシュ50を含み、弾性部材52の一端がブッシュ50に導通されている形態を採ることができる。これによれば、回転軸35の回転動作により弾性部材52の一端が摩耗することが防ぐことができるので、弾性部材52の一端の損耗を防ぐことができる。
【0012】
本発明の画像形成装置は、排紙ローラ15に対向配置されて、該排紙ローラ15と協同して記録紙を紙受部7へ向かって送出するニップローラ16を含むものとすることができる。このように、排紙ローラ15がニップローラ16と協同して記録紙を紙受部7に向かって送出する形態では、ニップローラ16との摩擦により排紙ローラ15に静電気が帯電しやすい。しかしながら、本発明によれば排紙ローラ15と接地部材51との間の導通状態を確実に確保することができるので、排紙ローラ15に帯電した静電気を接地部材51へ安定して流すことができる。
【0013】
移動機構より、排紙ローラ15が常態位置と移動位置との間で移動操作されるものとし、弾性部材52を構成するバネ本体53の弾性力により、排紙ローラ15が移動位置から常態位置に、或いは常態位置から移動位置に移動されるように構成することができる。つまり、弾性部材52に静電気除去機能のみならず、排紙ローラ15の常態位置への復帰機能、或いは排紙ローラ15の移動位置への移動機能を担わせることができる。これによれば、移動機構は、常態位置から移動位置の一方向、或いは移動位置から常態位置への一方向へ排紙ローラ15を移動させるものであれば足りるので、移動機構により排紙ローラ15を常態位置と移動位置との間で往復移動させる形態に比べて、移動機構の構造の簡素化を図ることができる。従って、移動機構のコストダウンを図って、画像形成装置の製造コストの低廉化に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る画像形成装置を構成する排紙部の平面図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図3】排紙部の平面図であり、排紙ローラが常態位置にある状態を示している。
【図4】排紙部の平面図であり、排紙ローラが移動位置にある状態を示している。
【図5】図3のA−A線断面図である。
【図6】図3のB−B線断面図である。
【図7】排紙部の縦断側面図であり、排紙ローラが常態位置にある状態を示している。
【図8】排紙部の縦断側面図であり、排紙ローラが移動位置にある状態を示している。
【図9】本発明に係る画像形成装置の別実施例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施例) 図1から図8は本発明に係る画像形成装置を、コピー機能とファクシミリ機能とを備えた複合機に適用した第1実施例を示す。なお、本実施例における前後、左右、上下とは、図中に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
【0016】
図2において、複合機1は、画像形成部2および定着器3等が配置された本体部4と、本体部4の上方に配置された画像読取部5と、本体部4の下方に配置された給紙カセット6などを備えている。本体部4の上部には画像が形成された記録紙が排出される紙受部7が設けられており、本体部4の内部には、給紙カセット6から紙受部7に至る記録紙の搬送路8が設けられている。搬送路8の上流側には画像形成部2が配置されており、搬送路8の下流側には定着器3が配置されている。画像読取部5の前方には、各種の操作ボタンを備えた操作パネル9が設けられている。
【0017】
画像読取部5の上方には自動原稿読取装置11が設けられており、枚葉状の原稿は自動原稿読取装置11を通すことにより連続して読み込むことができる。本などの綴られた原稿の画像は、画像読取部5の上面に設けられたプラテンガラスに載置することで読み込むことができる。
【0018】
図2に示すように、紙受部7に臨む搬送路8の終端には、定着器3によって画像が定着された記録紙を紙受部7へ向かって送出する排紙部12が設けられている。図6に示すように、排紙部12は、終端搬送路13を備える樹脂製のケース14を基体とするものであり、ケース14の内部には、排紙ローラ15、ニップローラ16などが配置されている。これら排紙ローラ15およびニップローラ16は、ケース14に対して前後方向に移動可能に構成された移動体17内に設けられている。移動体17は、図7に示すように後方側に位置する常態位置と、図8に示すように前方側に位置する移動位置との間で移動可能に構成されている。また、この移動体17の前後方向の移動に伴って、両ローラ15・16も常態位置と移動位置との間で往復移動するように構成されている。移動体17および両ローラ15・16は通常の状態においては後方寄りの常態位置にある(図7参照)。そして、記録紙を両ローラ15・16でニップした状態で、移動体17および両ローラ15・16を移動位置(図8参照)に移動させることで、記録紙を前方向に横ずれさせた状態で紙受部7に送り出すことができる。なお、図1において、符号23は、記録紙の排紙部12への送入タイミング等を検知するためのフィラーを示す。
【0019】
図7および図8に示すように、移動体17は、前後方向に伸びるベース壁18と、ベース壁18の前後端部から下方に伸びる前後一対の軸受腕19・19とを備える。図3および図5に示すように、ケース14には移動体17の装着を許す開口部20が形成されており、開口部20の左右方向のそれぞれの開口縁には、移動体17のベース壁18の左右端を受け止めて、移動体17を前後方向に移動させるためのレール体21が形成されている。移動体17のベース壁18の左右端の下面には部分的にリブ22が突設されており、リブ22がレール体21に接触することで、移動体17とレール体21との接触面を減じて、ケース14に対して移動体17をスムーズに移動させることができるようになっている。
【0020】
図7および図8に示すように、移動体17を移動させるための移動機構は、ギヤ機構で構成される。より詳しくは、移動機構は、ステッピングモータ25と、複数個の伝動ギヤ26と、伝動ギヤ26と噛合う終段ギヤ27と、前方側の軸受腕19に固定されて終段ギヤ27と噛合うラック28とで構成される。図7に示す常態位置からステッピングモータ25を回転駆動させることで、図8に示すように、移動体17、排紙ローラ15およびニップローラ16を前方の移動位置に移動させることができる。また、図8に示す移動位置からステッピングモータ25を逆方向に回転駆動させることで、図7に示すように、移動体17、排紙ローラ15およびニップローラ16を後方の移動位置に移動させることができる。
【0021】
図7の常態位置から前方の移動位置への移動量は、ステッピングモータ25に与えられるパルス電力量により制御される。図1、図7および図8に示すように、移動体17に臨むケース14の後方には、常態位置に復帰された移動体を検知するための復帰センサ30が設けられている。図3に示すように、復帰センサ30は、移動体17の後端から後方に向かって突設された検出片31と、検出片31の移動軌跡に臨んで対向配置された投光素子32と受光素子33とで構成される。ステッピングモータ25からの回転駆動力を受けて、移動体17が前方の移動位置から後方に移動されたとき、検出片31により投光素子32からの投光が遮られて受光素子33の受光量が減少することにより、移動体17が常態位置に復帰したことが検知される。
【0022】
終端搬送路13の下流側に排置された排紙ローラ15は、前後方向に伸びる回転軸35と、回転軸35の所定位置に装着された計5つのローラ本体36とを含み、図示しないモータからの駆動力を受けて回転駆動される。図7および図8において、符号40はモータからの回転駆動力を回転軸35に伝える駆動機構の終段ギヤを、符号41は終段ギヤ40からの回転駆動力を受ける受動ギヤを、符号42は受動ギヤに装着された円筒状の受動筒を示す。回転軸35の後端部の断面形状は、平滑面を有する非円形状に形成されており、これに対応して、受動筒42には回転軸35の後端部の進入を許す断面非円形状の連結穴が開設されている。以上より、図7および図8に示すように、移動体17の移動に伴って排紙ローラ15の回転軸35が前後方向に移動されると、回転軸35が受動筒42に対して退出および進入操作される。また、移動体17の移動に伴って排紙ローラ15の回転軸35が前後方向に移動したときにも、断面非円形状の回転軸35が受動筒42の連結穴の内周面で受けとめられることで、モータからの回転駆動力を回転軸35に伝動することができる。
【0023】
図3および図7に示すように、排紙ローラ15と協同して記録紙の紙受部7への送出操作を行うニップローラ16は、移動体17の上壁44に設置された回転軸45と、該回転軸45に装着されたローラ本体46とを含む従動ローラであり、排紙ローラ15の駆動回転に伴って従動回転される。図3において符号47は、ニップローラ16に対応して移動体17の上壁44に設けられた開口を示す。
【0024】
排紙ローラ15は、前後の幅寸法が異なる二種のローラ本体36を備えている。詳しくは、排紙ローラ15の回転軸35には、前後の幅方向が小さな3つのリング形のローラ本体361と、該ローラ本体361よりも前後の幅寸法が大きな2つの円柱状のローラ本体362とが交互に装着されており、ニップローラ16のローラ本体46は、前後の幅寸法が大きな円柱状のローラ本体362の上方位置に設けられている。
【0025】
以上のような構成からなる排紙部12においては、静電気が帯電した記録紙を排紙ローラ15およびニップローラ16がニップすることにより、或いはニップローラ16と排紙ローラ15とが摩擦回転することにより、静電気が排紙ローラ15に帯電することがある。かかる静電気を除去するため、本実施形態に係る複合機においては、静電気除去機構が設けられている。
【0026】
図3および図7等に示すように、静電気除去機構は、回転軸35に導通した状態で装着されたブッシュ50と、一端が回転軸35に導通され、他端が排紙部12の近傍に設けられて電気的に接地された板金フレーム(接地部材)51(図6参照)に導通されている弾性部材52を含む。弾性部材52は、排紙ローラ15の軸心方向に伸縮変形可能に構成された圧縮コイル状のバネ本体53と、該バネ本体53の両端部から連出された第1および第2の二つのバネ腕54・55とを有する金属製の捩りコイルバネである。バネ本体53は、開口部20に並行してケース14に形成されたバネ室56内に収納されており、移動体17からバネ室56内に向かって伸びる操作片57により圧縮操作される。より具体的には、移動体17の常態位置から移動位置への移動に伴って、バネ本体53は操作片57によりバネ室56内で圧縮操作される(図3および図4参照)。
【0027】
図3および図5に示すように、バネ本体53の後端部から連出された第1バネ腕54は、左右方向に伸びる第1水平片541と、第1水平片541の左端部から後方向に向かって伸びる第2水平片542と、第2水平片の後端部から下方向に向かって伸びる垂直片543とで構成されている。垂直片543の下端は上方に折り返されて接触片544とされている。第1水平片541および第2水平片542は、移動体17の上壁44の上面に凹み形成された凹部58内に配置されており、第1水平片541の中途部は、固定片59により凹部58の上面に固定されている。ブッシュ50は、回転軸15に装置されて、回転軸15の軸心方向の移動に伴って同行移動されるように構成されている。このブッシュ50の外面に、接触片544の先端が、垂直片543の弾性力を受けて押圧状態で接触されている。
【0028】
図3に示すように、第2バネ腕55は、前方に伸びる第1水平片551と、第1水平片551の前端から右方向に向かって伸びる第2水平片552とを含む。図6に示すように、第2水平片552の先端部(右端部)には、右斜め上方に折曲された接触片553が形成されており、この接触片553の先端は、電気的に接地された板金フレーム51の下面に押圧状態に接触されている。図3に示すように、第2バネ腕55の第1水平片551と第2水平片552の屈曲部は、ビス60によりケース14の上面に固定されている。
【0029】
以上のような構成からなる排紙部12においては、図3および図7に示すように、通常の状態では移動体17は常態位置にあり、同様に、排紙ローラ15およびニップローラ16も常態位置にある。このように移動体17が常態位置にあるとき、弾性部材52のバネ本体53はバネ室56内で自然長に近い伸長状態となっている。また、図5に示すように、弾性部材52の第1バネ腕54の接触片544がブッシュ50の外面に押圧状態で接触することで、弾性部材52と回転軸35との電気的な導通状態が確保されている。加えて、弾性部材52の第2バネ腕55の接触片553が、押圧状態で板金フレーム51に接触することで、弾性部材52と板金フレーム51との電気的な導通状態が確保されている。以上より、弾性部材52を介して、排紙ローラ15と板金フレーム51との間の電気的な導通状態が確保されるため、排紙ローラ15に帯電した静電気を板金フレーム51に安定的に逃がすことができる。
【0030】
紙受部7に対して記録紙を横ずれさせて排出する場合には、排紙ローラ15とニップローラ16とで記録紙をニップするたびに、排紙ローラ15等を移動位置に動かして、記録紙を前後方向に横ずれさせる。より詳しくは、駆動機構のステッピングモータ25を駆動させて、所定の移動位置まで移動体17、排紙ローラ15、およびニップローラ16を移動させて、両ローラ15・16でニップされた記録紙を前後方向に移動させて、記録紙を紙受部7に横ずれした状態で送出する。
【0031】
図4および図8に示すように、移動体17等を移動位置まで移動させたとき、移動体17の操作片57を介した移動操作力を受けて、バネ室56内で弾性部材52のバネ本体53は圧縮状態とされる。また、先の常態位置の場合と同様に、弾性部材52の第1バネ腕54の接触片544がブッシュ50の外面に押圧状態で接触することで、弾性部材52と回転軸35との電気的な導通状態が確保されている。加えて、弾性部材52の第2バネ腕55の接触片553が板金フレーム51に接触することで、弾性部材52と板金フレーム51との電気的な導通状態が確保されている。以上より、排紙ローラ15等が移動位置に移動したときにも、弾性部材52を介して排紙ローラ15と板金フレーム51との間の電気的な導通状態が確保され、排紙ローラ15が常態位置にある場合と同様に、排紙ローラ15に帯電した静電気を板金フレーム51に逃がすことができる。
【0032】
すなわち、移動機構により排紙ローラ15が移動された場合でも、排紙ローラ15の移動に伴うブッシュ50と板金フレーム51との間隔距離の変動を弾性部材52が伸縮することで吸収できる。従って、排紙ローラ15が移動位置とは無関係に、排紙ローラ15と板金フレーム51との間の導通状態を確実に確保することができるので、排紙ローラ15に帯電した静電気を板金フレーム51へ安定して流して、排紙ローラ15から静電気を除去することができる。
【0033】
(第2実施例) 図9に、本発明の第2実施例を示す。この第2実施例においては、先のギヤ機構で構成される移動機構に代えて、移動機構をソレノイド70で構成した点が、先の第1実施例と異なる。また、弾性部材52に、静電気除去機能に加えて、移動体17および排紙ローラ15等を移動位置から常態位置に復帰させるための復帰機能を担わせた点が、先の第1実施例と異なる。
【0034】
詳しくは、移動機構は、ソレノイド70と、ソレノイド70のプランジャー71に連結された作動アーム72とで構成される。ソレノイド70は、コイルが内蔵されたハウジング73と、ハウジング73から前後方向に進退移動できるように構成された可動鉄芯であるプランジャー71とを含み、コイルに通電を行うと、プランジャー71が後方向に進出操作されるように構成されている。作動アーム72は、軸74を中心に回転可能に構成されており、その一端がプランジャー71の突出端に連結軸75を介して連結されており、他端が移動体17の操作片57の前後方向の移動軌跡に臨んでいる。また、プランジャー71の後方向への進出操作に伴って、作動アーム72の他端が前方に移動するように軸74を中心に回転操作され、これにより、移動体17の操作片57を前方方向に押圧操作して、移動体17が前方に移動操作されるように構成されている。弾性部材52を含む他の部材の構成は、先の第1実施例と変わるところがないので、その説明は省略する。
【0035】
本実施例に係る複合機(画像形成装置)においては、通常の状態においては、移動体17は、圧縮コイルバネである弾性部材52のバネ本体53からの付勢力を受けて、後方寄りの常態位置にある。この状態からソレノイド70のコイルに通電を行うと、プランジャー71が後方向に進出操作され、これに伴い作動アーム72が軸74を中心に前方に回転して、操作片57を前方に押圧操作する。これにより、移動体17が前方に移動し、該移動体17および排紙ローラ15等が移動位置に移動される。ソレノイド70のコイルへの通電を停止すると、弾性部材52のバネ本体53からの付勢力を受けて、移動体17等は常態位置に復帰する。
【0036】
以上のように本実施例によれば、移動機構は、常態位置から移動位置の一方向へ排紙ローラ15を移動させるソレノイド70であれば足りる。従って、ギヤ機構により排紙ローラ15を常態位置と移動位置との間で往復移動させる形態に比べて、移動機構の構造の簡素化を図ることができる。これにより、移動機構のコストダウンを図って、画像形成装置の製造コストの低廉化に貢献できる。なお、排紙ローラ15に帯電された静電気は、排紙ローラ15の位置とは無関係に、弾性部材52を介して板金フレーム51に流すことができる点は、先の第1実施例と同様である。
【0037】
上記実施例においては、静電気除去機構がブッシュ50を含むものとし、弾性部材52の一端がブッシュ50に導通されていたが、本発明はこれに限られず、弾性部材52の一端が回転軸35に直接的に導通されている形態を採ることができる。
【0038】
また、上記第2実施例においては、弾性部材52に、移動体17等を移動位置から常態位置に復帰させるための復帰機能を担わせていたが、これに代えて、弾性部材52に、移動体17等を常態位置から移動位置に移動させるための移動機能を担わせる形態を採ることができる。当該形態によれば、移動機構は、移動位置から常態位置の一方向へ排紙ローラ15を移動させるソレノイド70であれば足りるので、ギヤ機構により排紙ローラ15を常態位置と移動位置との間で往復移動させる形態に比べて、移動機構の構造の簡素化を図ることができる。これにより、移動機構のコストダウンを図って、画像形成装置の製造コストの低廉化に貢献できる。
【符号の説明】
【0039】
1 画像形成装置(複合機)
7 紙受部
12 排紙部
15 排紙ローラ
16 ニップローラ
35 回転軸
36 ローラ本体
50 ブッシュ
51 接地部材(板金フレーム)
52 弾性部材
53 バネ本体
54 バネ腕
55 バネ腕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、該回転軸に装着されたローラ本体とを含み、画像が定着された記録紙を紙受部へ向かって送出する排紙ローラと、
前記排紙ローラの全体を、前記回転軸の軸心方向に沿って移動させる移動機構と、
前記排紙ローラに帯電した静電気を除去するための静電気除去機構と、
を有し、
前記静電気除去機構が、
一端が前記回転軸に導通され、他端が前記排紙ローラの周辺に設けられて電気的に接地された接地部材に導通されており、且つ、前記回転軸の軸心方向の移動に伴って伸縮操作される弾性部材を含み、
前記弾性部材を介して、前記排紙ローラが、前記接地部材に電気的に導通されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記静電気除去機構が、前記回転軸に導通した状態で装着されて、該回転軸の移動機構による軸心方向の移動に伴って同行移動するブッシュを含み、
前記弾性部材の一端が前記ブッシュに導通されている、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記排紙ローラに対向配置されて、該排紙ローラと協同して前記記録紙を前記紙受部へ向かって送出するニップローラを含む、請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記排紙ローラは、前記移動機構より、常態位置と移動位置の間で移動操作されるようになっており、
前記弾性部材が、前記排紙ローラの軸心方向に伸縮変形可能に構成された圧縮コイル状のバネ本体と、該バネ本体の両端部から連出された二つのバネ腕とを有する金属製の捩りコイルバネであり、
前記バネ本体の弾性力により、前記排紙ローラが移動位置から常態位置に、或いは常態位置から移動位置に移動されるように構成されている、請求項1又は2又は3記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−68750(P2013−68750A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206569(P2011−206569)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】