説明

画像形成装置

【課題】カム機構を有する定着器を装備する場合に比べて装置が大型化することがなく、コストアップも最小限に抑えることが可能な画像形成装置を実現する。
【解決手段】トナー像が転写された媒体を加熱及び加圧処理して、前記媒体上に前記トナー像を定着させる定着部と、前記トナー像が定着された媒体を積載するトレイと、前記定着部を通過したトナー像が定着された媒体を斜め上方に送って前記トレイ上に放出する排出ローラと、前記排出ローラによる前記媒体の放出ルート上に位置するカール矯正部を有し、前記定着部でカールが発生した前記媒体が前記カール矯正部に突き当たって進むことで、前記媒体のカールを矯正する排出ガイドを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像が転写された用紙に高温、高圧を加え、トナー像を用紙に定着させる定着器を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスなどで使用される電子写真プリンタ等の画像形成装置は、A4サイズやB5サイズ等の普通紙に印刷を行うのが一般的である。しかしながら最近はニーズの多様化により、封筒や葉書等の特殊な用紙に印刷を行う機会も多くなってきている。このような封筒や葉書等の特殊用紙は定型紙である普通紙に比べると紙厚が厚いため、定着器における加圧力が普通紙に比べて大きくなり、そのためトナー像を用紙に定着させる際に、用紙にカールが発生することになる。
【0003】
そこで、このような紙厚が厚い特殊用紙にカールが発生するのを防止するために、使用する用紙の厚さによって加圧力をカム機構により変えられるようにした画像形成装置用の定着器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−006425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したカム機構を有する定着器を画像形成装置に装備する場合、複雑なメカ機構としてのカム機構を装置内に組み込まなければならず、装置が大型化し、コストもアップするという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明の画像形成装置は、トナー像が転写された媒体を加熱及び加圧処理して、前記媒体上に前記トナー像を定着させる定着部と、前記トナー像が定着された媒体を積載するトレイと、前記定着部を通過したトナー像が定着された媒体を斜め上方に送って前記トレイ上に放出する排出ローラと、前記排出ローラによる前記媒体の放出ルート上に位置するカール矯正部を有し、前記定着部でカールが発生した前記媒体が前記カール矯正部に突き当たって進むことで、前記媒体のカールを矯正する排出ガイドを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このようにした本発明は、排出ローラによる前記媒体の放出ルート上に位置するカール矯正部を有する排出ガイドを設けて、この排出ガイドにより厚紙や封筒あるいは葉書等の特殊用紙3で発生しやすい凹形状のカールを矯正する構成としているため、従来のカム機構を有する定着器を画像形成装置に装備する場合に比べて装置が大型化することもなく、コストアップも最小限に抑えることが可能になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施例の内部構成を示す側面図
【図2】MPTトレイ部分の拡大図
【図3】フェイスアップ排出トレイを閉じたときの部分拡大図
【図4】フェイスアップ排出トレイを開いたときの部分拡大図
【図5】第1の実施例で用いる排出ガイドを示す拡大図
【図6】図5の排出ガイドが未装着の状態の要部斜視図
【図7】図5の排出ガイドを装着した状態の要部斜視図
【図8】第1の実施例の作用を示す説明図
【図9】第1の実施例の作用を示す説明図
【図10】第2の実施例で用いる排出ガイドを示す拡大図
【図11】図10の排出ガイドを格納している状態の要部斜視図
【図12】図10の排出ガイドをプリンタ本体に装着した状態の要部斜視図
【図13】図10の排出ガイドを格納状態から引き出す工程を示す説明図
【図14】図10の排出ガイドを格納状態から引き出す工程を示す説明図
【図15】図10の排出ガイドを格納状態から引き出す工程を示す説明図
【図16】第2の実施例の作用を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明による画像形成装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は第1の実施例の内部構成を示す側面図で、ここでは画像形成装置としてのプリンタを示している。図2はMPTトレイ部分の拡大図、図3はフェイスアップ排出トレイを閉じたときの部分拡大図、図4はフェイスアップ排出トレイを開いたときの部分拡大図である。
【0011】
図1に示したように、本プリンタにはA4用紙等の定型サイズの普通紙(媒体)1をセットするための用紙カセット2と、普通紙1より紙厚が厚い封筒、葉書、厚紙等の特殊用紙(媒体)3をセットするためのMPTトレイ(手差しトレイ)4を備えている。このプリンタでは、厚さが坪量122g/mまでの用紙は用紙カセット2を利用し、それ以外の封筒、葉書、厚紙等の特殊用紙3はMPTトレイ4を利用するものとしている。このMPTトレイ4は、プリンタ本体の正面に開閉自在に設けられ、またこのMPTトレイ4には特殊用紙3の幅に合わせ移動させることが可能なガイドが設けられている。
【0012】
用紙カセット2は、プリンタ本体の底部側に引き出し可能に設けられており、その給紙口側の上方には、用紙カセット2にセットされた普通紙1を給紙するための給紙ローラ5と給紙サブローラ6が設けられ、また用紙カセット2には給紙ローラ5により普通紙1が複数枚繰り出されたとき、その複数枚の普通紙1を1枚のみに分離する分離ローラ7が給紙サブローラ6と当接するように設けられている。
【0013】
給紙ローラ5により繰り出され、給紙サブローラ6により搬送される普通紙1の搬送路の下流側には中間搬送ローラ対8が配置され、更にその下流側には普通紙1の斜行を矯正するレジストローラ対9が配置されている。このレジストローラ対9の前後には、普通紙1の位置の検知に用いられる検知信号を出力する給入センサ10と、普通紙1に転写する画像形成のためのタイミング信号を出力する画像形成タイミングセンサ11が設けられていて、普通紙1は画像形成タイミングセンサ11で検知された後、画像形成部に搬送されるものとなっている。
【0014】
一方、特殊用紙3をセットするMPTトレイ4の先端側には、MPTトレイ4から特殊用紙3を繰り出して給紙するためのMPT給紙ローラ12と、特殊用紙3が1枚ずつ分離されるようにするための分離フレーム13が設けられていて、MPT給紙ローラ12によりMPTトレイ4から給紙された特殊用紙3を搬送する搬送路は用紙カセット2からの搬送路とつながっており、特殊用紙3は斜行を矯正するレジストローラ対9を経て画像形成部に搬送されるものとなっている。このMPTトレイ4は、使用しない場合は図2に示したように閉じられ、プリンタ本体に格納可能になっている。
【0015】
画像形成部は、転写ローラ14、イメージドラムカートリッジ15、及び定着ユニット16を備えており、イメージドラムカートリッジ15にはトナーを供給するためのトナーカートリッジ17が装着されている。また、定着ユニット16は図示しない熱源を有するヒートローラ18と、このヒートローラ18に圧接された加圧ローラ19を備えており、イメージドラムカートリッジ15によって形成されたトナー像を転写ローラ14により普通紙1や特殊用紙3上に転写し、そのトナー像を高熱高圧処理により普通紙1や特殊用紙3に定着させるものとなっている。
【0016】
用紙搬送方向における定着ユニット16の下流には、用紙の排出を検知する排出検知センサ20と、用紙が普通紙1か特殊用紙3かに応じて搬送方向を切り替える切り替えガイド21が設けられている。この切り替えガイド21は図3に示した矢印m方向及び図4に示した矢印n方向に回転可能な排出ローラ22の回転軸を中心に図3に破線で示した位置Aまたは実線で示した位置Bに変化するものとなっていて、定着ユニット16でトナー像が定着された用紙が普通紙1の場合、切り替えガイド21は位置Bに変化して普通紙1をフェイスダウン排出トレイ27側へ導き、また定着ユニット16でトナー像定が定着された用紙が特殊用紙3の場合は、切り替えガイド21が位置Aに変化して特殊用紙3をフェイスアップ排出トレイ29側に導くものとなっている。
【0017】
排出ローラ22には排出ローラ25と28が圧接しており、排出ローラ22と排出ローラ25によりフェイスダウン排出トレイ27側に送られる普通紙1の搬送路の終端には排出ローラ対26が設けられていて、この排出ローラ対26により普通紙1は矢印Cで示したフェイスダウン排出ルートのように放出されてフェイスダウン排出トレイ27上に集積される。特殊用紙3は、排出ローラ22と排出ローラ28により矢印Dで示したフェイスアップ排出ルート(放出ルート)のように斜め上方に向かって放出され、フェイスアップ排出トレイ29上に積載される。
【0018】
ここで、矢印Dで示したフェイスアップ排出ルートは、矢印Cで示したフェイスダウン排出ルートに比べて用紙搬送ルートがフラットの形状となっているため、腰の強い特殊用紙3の搬送には適している。従って、本実施例のプリンタでは、用紙カセット2から繰り出される普通紙1の場合はフェイスダウン排出ルートを、MPTトレイ4から繰り出される特殊用紙3の場合はフェイスアップ排出ルートを利用するものとしている。
【0019】
本実施例において、フェイスダウン排出トレイ27はプリンタ本体の上面に形成されており、フェイスアップ排出トレイ29はプリンタ本体の背面側に開閉可能に設けられている。このフェイスアップ排出トレイ29は先部側と後部側がその連結部分に設けた回転支点23により折り畳めるようになっており、先部側にはスライド片24が収納可能になって、使用しない場合には、スライド片24を収納し、先部側と後部側を折り畳んで図3に示したように閉じ、プリンタ本体に格納可能になっている。
【0020】
次に本実施例で用いる排出ガイド30について説明する。図5は排出ガイド30を示す拡大図で、同図(a)は上側から見た斜視図、同図(b)は下側から見た斜視図である。
図6は排出ガイド30が未装着の状態の要部斜視図、図7は排出ガイド30を装着した状態の要部斜視図である。
【0021】
排出ガイド30はモールド成形品であって、上面側一端にユーザーが持つための把手部31、下面側一端にプリンタ本体に取り付ける係合部32がそれぞれ設けられており、またフェイスアップ排出トレイ29上に突出する部分は特殊用紙3のカールを矯正するためのカール矯正部33として形成されている。このカール矯正部33は図示したようにくの字状あるいは湾曲条に形成されていることが望ましい。
【0022】
排出ガイド30の寸法については次のとおりである。排出ガイド30の幅W1方向の長さは30mmとなっていて、同軸上に設けられる排出ローラ28間の距離W2方向の長さ50mmより狭くなっている。長手方向の長さは全長で60mmあり、カール矯正部33はその中心より手前側のL1方向の長さは30mm、先端側のL2方向の長さは30mmとなっている。
【0023】
この形状は葉書のサイズ(100mm×148mm、)のカールに適した形状になっており、幅方向W1方向の長さは葉書のサイズの約3分の1、長手方向の長さは2分の1を基準にしている。
尚、この排出ガイド30の形状については一例であり、プリンタの印刷速度や、定着ユニット16の性能によりカールの矯正に適した設計とすることが望ましい。
【0024】
排出ガイド30をプリンタ本体(装置本体)に装着するときには、把手部31を指で摘んで係合部32を図6に示すプリンタ本体に設けられた取り付け孔34に差し込むことで図7に示したようにカール矯正部33がフェイスアップ排出トレイ29上に突出するように装着することが可能である。このように排出ガイド30は係合部32をプリンタ本体側の取り付け孔34に差し込むだけで簡単に装着することが可能であることから、プリンタが印刷中であってもすぐに装着することができ、短時間で特殊用紙3のカールに対処することが可能である。取外す場合は、把手部31を指で摘んで持ち上げれば良い。取り付け孔34はプリンタ本体側の排出ローラ28の上方位置に設けられている。
【0025】
上述した構成による第1の実施例の作用について説明する。尚、以下に説明する各部の動作は、図示しない記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない制御部により制御されるものとする。
図8、図9は第1の実施例の作用を示す説明図で、図8は排出ガイド30が未装着の場合の特殊用紙排出時の動作工程を示し、また図9は排出ガイド30を装着した場合の特殊用紙排出時の動作工程を示している。この図8及び図9では、フェイスアップ排出トレイ29はプリンタ本体にから開かれ、先部側が後部側から延びるよう展開されていて、スライド片24もフェイスアップ排出トレイ29から突出するように引き出されている。
【0026】
まず、図6に示したように排出ガイド30が未装着の場合、特殊用紙3は定着ユニット16のヒートローラ18と加圧ローラ19によって高熱による加熱及び高圧による加圧処理によりトナー像が定着された後、排出センサ20を通過して、図8(a)に示したように排出ローラ22の方向に搬送されるが、定着ユニット16での高熱による加熱及び高圧による加圧処理と排出センサ20周辺の排出ルートの形状によって、特殊用紙3には凹形状のカールが発生する。
【0027】
ここで、特殊用紙3のカールについて説明する。葉書等に代表される特殊用紙3は普通紙1より紙厚の厚い厚紙であり、トナー像を定着する際、熱源を備えたヒートローラ18に接する表面は加圧ローラ19に接する裏面よりも高温に加熱されるため、水分の蒸発に伴う紙繊維の収縮がヒートローラ18に接する表面側で勝り、そのため特殊用紙3にはヒートローラ18に接する面をカールの内側にしたカールが発生する。一般にプリンタではヒートローラ18が上側、加圧ローラ19が下側になるように構成されるため、特殊用紙3には両端が反り上がった凹形状のカールが発生することになる。
【0028】
排出センサ20が特殊用紙3を検知すると切り替えガイド21は図3に破線で示した位置Aに切り替えられ、排出ローラ22は矢印n方向に回転する。その後、特殊用紙3は矢印n方向に回転している排出ローラ22と28によって挟持され、図8(b)に示したようにフェイスアップ排出ルートつまり矢印D方向ヘと搬送されるが、排出ローラ28の下流側にはカールを矯正するものが何もないため、図8(c)に示したように搬送された特殊用紙3はトナー像定着時のカール状態のままフェイスアップ排出トレイ29上に放出され、積載されることになる。
【0029】
一方、図9に示したように排出ガイド30をプリンタ本体に装着した場合、特殊用紙3は定着ユニット16のヒートローラ18と加圧ローラ19によって高熱による加熱及び高圧による加圧処理によりトナー像が定着された後、排出センサ20を通過して、図9(a)に示したように排出ローラ22の方向に搬送される。この場合も定着ユニット16での高熱による加熱及び高圧による加圧処理と排出センサ20周辺の排出ルートの形状によって、特殊用紙3には凹形状のカールが発生する。
【0030】
排出センサ20が特殊用紙3を検知すると切り替えガイド21は図3に破線で示した位置Aに切り替えられ、排出ローラ22は矢印n方向に回転する。その後、特殊用紙3は矢印n方向に回転している排出ローラ22と28によって挟持され、フェイスアップ排出ルート(放出ルート)ヘと送られるが、その際特殊用紙3は、図9(b)に示したようにフェイスアップ排出トレイ29上に突出してフェイスアップ排出ルート上に位置している排出ガイド30のカール矯正部33に突き当たり、このカール矯正部33に沿って進んで行く。この動作によって特殊用紙3には凹形状のカールの反りと逆方向の力が加えられ、これによりカールが矯正されて、カールが軽減されるか、微小の凸形状のカールがついた状態に改善された後、特殊用紙3は、図9(c)に示したようにフェイスアップ排出トレイ29上に放出され、積載されることになる。
【0031】
以上説明したように第1の実施例では、フェイスアップ排出トレイ29上に突出する排出ガイド30をプリンタ本体に装着し、この排出ガイド30により厚紙や封筒あるいは葉書等の特殊用紙3で発生しやすい凹形状のカールを矯正する構成としているため、従来のカム機構を有する定着器を画像形成装置に装備する場合に比べて装置が大型化することがなく、コストアップも最小限に抑えることが可能になるという効果が得られる。
【実施例2】
【0032】
次に第2の実施例について説明する。この第2の実施例におけるプリンタの構成は図1に示した第1の実施例と同様である。図10は第2の実施例における排出ガイド35を示す拡大図で、同図(a)は上側から見た斜視図、同図(b)は下側から見た斜視図である。図11は排出ガイド35が未装着の状態の要部斜視図、図12は排出ガイド35を装着した状態の要部斜視図である。この第2の実施例の排出ガイド35はフェイスアップ排出トレイ29に格納でき、かつフェイスアップ排出トレイ29の一部として利用できるようにしたものである。
【0033】
排出ガイド35は第1の実施例における排出ガイド30と同様にモールド成形品であって、特殊用紙3のカールを矯正するためのカール矯正部33は第1の実施例と同様に形成されている。排出ガイド30の幅W1方向の長さは30mmとなっていて、同軸上に設けられる排出ローラ28間の距離W2方向の長さ50mmより狭くなっている。長手方向の長さは全長で60mmあり、カール矯正部33はその中心より手前側のL1方向の長さは30mm、先端側のL2方向の長さは30mmとなっている。
【0034】
この形状についても第1の実施例と同様に葉書のサイズ(100mm×148mm、)のカールに適した形状になっており、幅方向は葉書のサイズの約3分の1、長手方向は2分の1を基準にしている。
第1の実施例と形状的に異なるのは、排出ガイド35の一端両側に弾性を有する一対の爪部36を相対向するように形成し、この一対の爪部36を利用して排出ガイド35をフェイスアップ排出トレイ29の前部側の特殊用紙積載面に格納できるようにしていることである。爪部36の先端は対向する方向に突出した鉤上に形成されている。
【0035】
本実施例においても、フェイスアップ排出トレイ29は先部側と後部側がその連結部分に設けた回転支点23により折り畳めるようになっており、先部側にはスライド片24が収納可能になって、使用しない場合には、スライド片24を収納し、先部側と後部側折り畳んで閉じ、プリンタ本体に格納可能になっている。
【0036】
図11は排出ガイド35を格納している状態を要部斜視図、図12は排出ガイド35をプリンタ本体に装着した状態を要部斜視図である。図11に示したようにプリンタ本体側の排出ローラ28の上方位置に、排出ガイド35の幅に合わせた取り付け部41が設けられ、この取り付け部41の中央部に、取り付け部41の底面から排出ガイド35の厚み分だけ上方に位置するように排出ガイド嵌合リブ38が設けられている。この排出ガイド嵌合リブ38と取り付け部41の間に排出ガイド35の一端を嵌合させることで、図12に示したように排出ガイド35をフェイスアップ排出トレイ29上に突出するようにプリンタ本体に取り付けることができる。
【0037】
図13〜図15は排出ガイド35を格納状態から引き出す工程を示す説明図で、それぞれの図において(a)は斜視図、(b)は底面図、(c)は(b)における部分39の拡大図である。図13(a)、(b)に示したように排出ガイド35は、一対の爪部36がフェイスアップ排出トレイ29の中央部に設けられた2本の平行な溝部37にスライド可能(摺動可能)に嵌合されていて、爪部36の先端が溝部37の縁に係合しており、この構造によって通常の場合、排出ガイド35はフェイスアップ排出トレイ29の前部側中央位置で特殊用紙積載面に格納されている。それぞれの溝部37の一端は幅広に形成されており、この部分には図13(c)に示したように突起部40が形成されている。
【0038】
排出ガイド35をフェイスアップ排出トレイ29の一部として使用する場合には、排出ガイド35を矢印E方向へスライド移動させ、図14(a)、(b)に示したように排出ガイド35をフェイスアップ排出トレイ29の先端から突出する状態にする。このようにすることで特殊用紙3が大型の用紙であっても対応することができる。
【0039】
また、排出ガイド35をフェイスアップ排出トレイ29から取り外す場合には、図15(a)、(b)に示したように排出ガイド35の爪部36が溝部37の一端に達するまで、排出ガイド35を矢印F方向へ押し戻す。これにより爪部36が溝部37の幅広部分に形成されている突起部40を乗り上げて図15(c)の状態になる。この状態では排出ガイド35の爪部36の先端とフェイスアップ排出トレイ29の溝部37の縁との係合が解除され、爪部36が溝部37の幅広部分に位置するため、排出ガイド35を図15(a)に示した矢印G方向に持ち上げることで爪部36が溝部37から抜け、排出ガイド35をフェイスアップ排出トレイ29から簡単に取り外すことができる。
【0040】
取り外した排出ガイド35は、プリンタ本体に設けられた排出ガイド嵌合リブ38を利用して図12で説明したようにプリンタ本体に取り付けられる。
このようにフェイスアップ排出トレイ29の一部を排出ガイド35に利用してフェイスアップ排出トレイ29の積載面を短くしても、葉書等のカールし易い特殊用紙3は、もともと長さが短いので、問題なく排出することができる。
【0041】
上述した構成による第2の実施例の作用について説明する。尚、第2の実施例においても各部の動作は、図示しない記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない制御部により制御されるものとする。
図16は第2の実施例の作用を示す説明図で、排出ガイド35をプリンタ本体に装着した場合の特殊用紙排出時の動作工程を示している。尚、排出ガイド35を装着していない状態での動作は、第1の実施例と同様であるので、説明を省略する。
【0042】
特殊用紙3は定着ユニット16のヒートローラ18と加圧ローラ19によって高熱による加熱及び高圧による加圧処理によりトナー像が定着された後、排出センサ20を通過して、図16(a)に示したように排出ローラ22の方向に搬送される。この場合も定着ユニット16での高熱による加熱及び高圧による加圧処理と排出センサ20周辺の排出ルートの形状によって、特殊用紙3には凹形状のカールが発生する。
【0043】
排出センサ20が特殊用紙3を検知すると切り替えガイド21は図3に破線で示した位置Aに切り替えられ、排出ローラ22は矢印n方向に回転する。その後、特殊用紙3は矢印n方向に回転している排出ローラ22と28によって挟持され、フェイスアップ排出ルートヘと搬送されるが、その際特殊用紙3は、図16(b)に示したようにフェイスアップ排出トレイ29上に突出している排出ガイド35のカール矯正部33に突き当たり、このカール矯正部33に沿って進んで行く。この動作によって特殊用紙3には凹形状のカールの反りと逆方向の力が加えられ、これによりカールが矯正されて、カールが軽減されるか、微小の凸形状のカールがついた状態に改善された後、特殊用紙3は、図16(c)に示したようにフェイスアップ排出トレイ29上に放出されることになる。
【0044】
以上説明したように第2の実施例でも、フェイスアップ排出トレイ29上に突出する排出ガイド35をプリンタ本体に装着し、この排出ガイド35により厚紙や封筒あるいは葉書等の特殊用紙3で発生しやすい凹形状のカールを矯正する構成としているため、第1の実施例と同様に従来のカム機構を有する定着器を画像形成装置に装備する場合に比べて装置が大型化することもなく、コストアップも最小限に抑えることが可能になるという効果が得られる。しかも、この第2の実施例では、排出ガイド35をフェイスアップ排出トレイ29の一部として利用することもできるので、部品点数を増やすことなく機能を満足できるという効果が得られる。
尚、上述した各実施例では、画像形成装置としてプリンタを例にして説明したが、用紙反転ユニットを備えた複合機等についても同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 普通紙
2 用紙カセット
3 特殊用紙
4 MPTトレイ
5 給紙ローラ
6 給紙サブローラ
7 分離ローラ
8 中間搬送ローラ対
9 レジストローラ対
10 給入センサ
11 画像形成タイミングセンサ
12 MPT給紙ローラ
13 分離フレーム
14 転写ローラ
15 イメージドラムカートリッジ
16 定着ユニット
17 トナーカートリッジ
18 ヒートローラ
19 加圧ローラ
20 排出検知センサ
21 切り替えガイド
22 排出ローラ
23 回転支点
24 スライド片
25 排出ローラ
26 排出ローラ対
27 フェイスダウン排出トレイ
28 排出ローラ
29 フェイスアップ排出トレイ
30 排出ガイド
31 把手部
32 係合部
33 カール矯正部
34 取り付け孔
35 排出ガイド
36 爪部
37 溝部
38 排出ガイド嵌合リブ
40 突起部
41 取り付け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が転写された媒体を加熱及び加圧処理して、前記媒体上に前記トナー像を定着させる定着部と、
前記トナー像が定着された媒体を積載するトレイと、
前記定着部を通過したトナー像が定着された媒体を斜め上方に送って前記トレイ上に放出する排出ローラと、
前記排出ローラによる前記媒体の放出ルート上に位置するカール矯正部を有し、前記定着部でカールが発生した前記媒体が前記カール矯正部に突き当たって進むことで、前記媒体のカールを矯正する排出ガイドを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記トレイは装置本体に設けられ、
前記排出ガイドは前記装置本体に着脱自在に装着可能としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記排出ガイドは、前記装置本体から取り外したとき、前記排出トレイの媒体積載面側にスライド可能に取り付けられ、前記排出トレイの先端から突出させて前記排出トレイの一部として利用可能にしたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−73120(P2013−73120A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213543(P2011−213543)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】