説明

画像形成装置

【課題】 省電力を実現する為に、ビデオコントローラとエンジン制御部の通信を中断する省電力モードがある。通信が中断状態においてはエンジン制御部とビデオコントローラ間で画像形成装置の状態変化を共有できなくなってしまう可能性がある。
【解決手段】 通信中断中に発生したステータスの状態変化を状態変化ステータスとして保持することにより、ビデオコントローラ102は、エンジン制御部103と通信が中断している間にステータスの変化が発生したことを状態変化ステータスによって認識することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録材に画像を形成する画像形成装置における、通信制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置は、制御手段としてビデオコントローラとエンジン制御部を有するものが知られている。ビデオコントローラとエンジン制御部は、互いに通信可能であり、画像形成装置の状態が変化したことをエンジン制御部により検知されると、エンジン制御部からビデオコントローラに対して状態変化の発生を通知する。そして、状態変化の発生を通知されたビデオコントローラは、画像形成装置の具体的な変化の情報を取得することで、ビデオコントローラとエンジン制御部との間で同期をとる制御を行っている。例えば、特許文献1には、状態変化通知信号を用いて画像形成装置内の状態が変化したことをエンジン制御部からビデオコントローラに通知し、通知されたビデオコントローラは画像形成装置内の状態変化のステータスを特定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−185294
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような方法により、エンジン制御部とビデオコントローラとが常に通信を行うことができる場合においては、画像形成装置の状態変化をリアルタイムで共有することができる。しかしながら、近年の画像形成装置においては、例えば待機電力を1W以下とする省電力モードを有するものがある。省電力モード中は、待機電力を削減するためにエンジン制御部とビデオコントローラの通信を中断する。このような通信が中断状態においてはエンジン制御部とビデオコントローラ間の同期が取れなくなってしまう。例えば、給紙カセットのステータスがあると検知されている状態で省電力モードとなり、省電力モード中に給紙カセットが取り外された後、再び取り付けられたとする。この状態で省電力モードが終わると、給紙カセットのステータスはあると検知されるのみで、省電力モード中に給紙カセットが着脱されたことが検知できない可能性があるという課題があった。
【0005】
本出願にかかる発明は、以上のような状況を鑑みてなされたものであり、エンジン制御部とビデオコントローラの通信が中断されているときの画像形成装置の状態変化についても、エンジン制御部とビデオコントローラで共有できるように制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、画像形成を行うための画像情報を制御するコントローラと、前記コントローラと通信可能であり、画像形成動作を制御するエンジン制御部と、を有する画像形成装置であって、前記コントローラと前記エンジン制御部との通信が中断されている状態において、画像形成装置の状態変化に関する情報を記憶する記憶手段を備え、前記エンジン制御部は、前記コントローラとの通信が再開されたときに、前記記憶手段に記憶されている状態変化に関する情報を前記コントローラに通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の構成によれば、エンジン制御部とビデオコントローラの通信が中断されているときの画像形成装置の状態変化についても、エンジン制御部とビデオコントローラで共有できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】画像形成装置の概略構成図
【図2】画像形成装置の動作を制御するハードウェア構成及びその機能からなる制御システムを示したブロック図
【図3】エンジン制御部103とビデオコントローラ102との通信状態を示した図
【図4】給紙カセット301の構成概略図
【図5】第1の実施形態におけるビデオコントローラ102とエンジン制御部103との通信を説明するフローチャート
【図6】第1の実施形態におけるビデオコントローラ102とエンジン制御部103の通信状態と、ステータスの変化について示したタイムチャート
【図7】第2の実施形態におけるビデオコントローラ102とエンジン制御部103との通信を説明するフローチャート
【図8】ビデオコントローラ102とエンジン制御部103の通信が中断する際の状態変化ステータスの初期値を示した表
【図9】第2の実施形態におけるビデオコントローラ102とエンジン制御部103の通信状態と、ステータスの変化について示したタイムチャート
【図10】第3の実施形態におけるビデオコントローラ102とエンジン制御部103との通信を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0010】
(第1の実施形態)
本実施形態における画像形成装置の概略構成図を図1に示す。画像形成装置としてのレーザビームプリンタ101は、後述する図2に示されたビデオコントローラ102からプリント指示を受けると、記録材Sを給紙カセット301から給紙させる。給紙カセット301から記録材Sを給紙するために、給紙ローラ307を駆動し記録材Sを搬送路へと送り出す。給紙された記録材Sは、搬送ローラ1005や搬送ローラ1006によって搬送されレジストレーションローラ1007まで搬送される。その後、トップセンサ1008にて記録材Sの先端が検知され、記録材Sは画像形成部111へ搬送される。連続プリント中はトップセンサ1008で、記録材Sの先端又は後端を検知してから所定時間後に次の記録材Sを給紙させてスループットを保つ制御を行う。
【0011】
画像形成部111は感光ドラム1009、転写ローラ1010、帯電ローラ1011、現像装置1012を備える。感光ドラム1009は帯電ローラ1011によって均一な帯電がなされた後、レーザ露光装置1013より、後述する図2に示されたVIDEO信号107に対応したレーザ光Lを照射されて、表面に静電潜像が形成される。このように形成された静電潜像は現像装置1012によってトナーが付着させられてトナー像として可視化される。そして、感光ドラム1009が回転してトナー像が転写位置まで搬送される。感光ドラム1009の回転に同期して記録材Sも転写位置に搬送される。
【0012】
転写位置では、転写ローラ1010にトナー像と逆極性の電圧が印加されて、感光ドラム1009上のトナー像が記録材Sに転写される。トナー像が転写された記録材Sは、定着制御部109へ搬送され、加熱及び加圧されて、記録材Sにトナー像が定着される。トナー像が定着された記録材Sは、三連ローラ1016、中間排紙ローラ1017、排紙ローラ1018を搬送され、排紙トレイ1021に排紙され一連の印字動作を終える。なお、これら一連の処理は後述するエンジン制御部103によって制御される。なお、ここではモノクロの画像形成装置について説明したが、本発明はカラーの画像形成装置に用いることも可能である。
【0013】
次に、図2に画像形成装置の動作を制御するハードウェア構成及びその機能からなる制御システムを示したブロック図を示す。エンジン制御部103は、演算処理回路、ROM、RAM等を有し、ROMに予め書き込まれたプログラムに基づいて動作が実現される。そして、ビデオコントローラ102から送信されるプリント指示や画像情報を受信してプリントを行う。エンジン制御部103は、ビデオコントローラ102からプリント指示を受けると、画像形成装置の各部の駆動を制御する駆動制御部108、VIDEO信号107で送信される画像データに基づき画像を形成する画像形成部111、形成された画像を記録材に定着させる定着器を制御する定着制御部109のそれぞれに動作指示を出して画像形成動作の制御を行う。状態検知部110は、画像形成装置の各部の状態を検知するセンサ等の入力信号であり、状態検知部110の検知結果を示す入力信号に基づき、エンジン制御部103は画像形成装置の各部の状態の検知を行う。
【0014】
ビデオコントローラ102は、外部に接続されているPC113や、ユーザによる各種操作を行ったり、レーザビームプリンタの状態を表示したりするオペレーションパネル112や、エンジン制御部103と通信可能となっている。SCLK信号106は、ビデオコントローラ102とエンジン制御部103間の通信の同期クロック信号である。SC信号105は、SCLK信号106に同期してデータを送受信するためのデータ信号である。/CCRT信号104はエンジン制御部103が画像形成装置の状態変化を検知した場合にビデオコントローラ102に対して状態変化の発生を通知するための状態変化通知信号である。
【0015】
図3は、エンジン制御部103とビデオコントローラ102との通信状態を示した図である。エンジン制御部103が、画像形成装置内の状態変化を検知したときに、ビデオコントローラ102へ状態変化を通知する通知方法を説明する。状態検知部110によって、画像形成装置の状態変化が検知されると、エンジン制御部103に通知される。エンジン制御部103は、状態変化の情報を受信すると、情報に応じてステータスの値を変化させる。エンジン制御部103は、給紙カセット301の着脱やドアのオープンクローズなど画像形成装置の状態変化を受信すると、/CCRT信号104を用いて状態変化が発生したことをビデオコントローラ102に通知する。ビデオコントローラ102は、/CCRT信号104にて、画像形成装置の状態変化の発生を通知されると、エンジン制御部103に現在の画像形成装置のステータスを要求する。そして、エンジン制御部103から画像形成装置で変更があったステータスを通知してもらい、ビデオコントローラ102における画像形成装置のステータスをエンジン制御部103と同期した情報に書き換える。このようにビデオコントローラ102とエンジン制御部103は、画像形成装置の状態を共有するために、エンジン制御部103からビデオコントローラ102に、画像形成装置内で状態変化が発生すると情報を送信している。
【0016】
次に、具体的な画像形成装置のステータス変化の一例として、給紙カセット301を挙げて説明する。図4は、給紙カセット301の構成概略図である。給紙カセット301が画像形成装置に挿入されると、記録材サイズセンサ304にて給紙カセット301の挿入検知を行う。また給紙カセット挿入検知と同時に記録材サイズセンサ304の複数のセンサの出力の組み合わせから、給紙カセット301に積載されている記録材Sのサイズ検知を行う。
【0017】
記録材サイズセンサ304にて給紙カセット有りと判断されると、紙面センサ302にて記録材Sの紙面が検知されているかを確認する。紙面無しとなっていれば、リフターモータ306を駆動してカセット中板305を駆動し、記録材Sが紙面センサ302に検知されるまでリフトアップを行う。記録材Sが紙面センサ302に検知されれば、記録材Sは給紙可能な位置までリフトアップされたことになる。リフトアップ中に紙面センサ302にて記録材Sを検知し紙面有りとなると、カセット中板305のリフトアップを終了し、紙有無センサ303の検出値を確認する。紙有無センサ303にて記録材Sが検知され紙ありとなった状態でビデオコントローラ102からプリント指示をうけると、給紙ローラ307を駆動して記録材Sの給紙を行う。なお、給紙カセット301が挿入された状態から引き抜かれると、カセット中板305はリフトダウンを行う。エンジン制御部103は給紙カセット301のステータスとして、給紙カセット有無の検知結果、記録材のサイズの検知結果、紙有無の検知結果をそれぞれ保持している。これらのステータスに変化があった場合、エンジン制御部103はビデオコントローラ102にステータスに変化があったことを通知する。ビデオコントローラ102は、ステータスに変化があったことを通知されると、具体的に変化したステータスの内容を更新するために変化したステータスの内容の取得を行う。
【0018】
図5は、本実施形態におけるビデオコントローラ102とエンジン制御部103との通信を説明するフローチャートである。S501において、ビデオコントローラ102はユーザからの指示、又はビデオコントローラ102のリアルタイムクロックにより省電力モードへの移行指示が発生すると、エンジン制御部103に対して省電力モード移行指示を送信する。ビデオコントローラ102から省電力モード移行指示を受信すると、S502において、エンジン制御部103は給紙部の各センサの情報を記憶する。S503において、エンジン制御部103は省電力モードでビデオコントローラ102との通信中断中に発生する画像形成装置の状態変化を記憶するためおのステータスである状態変化ステータスを初期値に設定する。本実施形態においては、給紙カセット301のセンサの変化をエンジン制御部103において省電力モード中でも確認できるため、状態変化ステータスの初期値は変化なしとする。S504において、エンジン制御部103はビデオコントローラ102との通信中断のための処理を行う。S505において、エンジン制御部103は省電力モード時に不要な電源を停止して省電力モードへ移行する。
【0019】
S506において、エンジン制御部103は省電力モードから通常モードへ復帰する復帰指示があるか判断する。省電力モードからの復帰指示は電源SWがユーザにより操作された場合等に発生する。省電力モードからの復帰指示がない場合、S507において、エンジン制御部103はS502で保持した給紙部の各センサの情報と現在の給紙部の各センサの情報を比較し、給紙カセット301に状態変化が発生しているか否かを判断する。給紙カセット301に状態変化が発生している場合は、S508において、エンジン制御部103は状態変化ステータスを変化なしから変化ありに変更する。給紙カセット301に状態変化が発生していない場合は、S506に戻る。
【0020】
S506において、エンジン制御部103は省電力モードからの復帰指示がある場合、S509において、エンジン制御部103は省電力モードから復帰するために、各電源の立上げ処理、省電力モード中に中断していた状態検知部の再開処理を行う。さらに、駆動制御部、画像形成部、定着制御部の各部を画像形成が再開できる状態に復帰させる。S510において、エンジン制御部103はビデオコントローラ102との通信再開処理を行う。S511において、ビデオコントローラ102は、通信が再開されると状態変化ステータスに変化があるか否かを確認する。変化ありの場合は、S512において、ビデオコントローラ102は変化ありとなった部材に具体的にどのような変化があったのかをエンジン制御部103に問い合わせる。そして、変化の内容をエンジン制御部103から受け取ると、ビデオコントローラ102内のステータスを更新し、ビデオコントローラ102とエンジン制御部103とで画像形成装置の状態変化について同期をとる。一方、状態変化なしの場合は、S513においてビデオコントローラ102とエンジン制御部103は通信待機状態となる。
【0021】
図6は、本実施形態におけるビデオコントローラ102とエンジン制御部103の通信状態と、ステータスの変化について示したタイムチャートである。通信中断の前後で、カセット状態ステータスは同じカセット有りを示している。よって、ビデオコントローラ102は通信中断から復帰後、カセット状態ステータスを確認するだけでは、通信中断中の給紙カセット301の状態を確認することができない。一方、状態変化ステータスは、通信中断中に状態変化が発生したこと、すなわちここでは給紙カセット301がオープンされたことにより、ステータスが変化なしから変化ありに変わっている。再び給紙カセット301がクローズされても、状態変化ステータスは変化ありのままなので、ビデオコントローラ102は通信中断から復帰後、状態変化ステータスを確認することで、通信中断中に給紙カセット301に変化が生じていたことがわかる。そして、具体的なステータスの変化の内容をエンジン制御部103に問い合わせることで、通信中断中に発生した状態変化をビデオコントローラ102とエンジン制御部103とで同期させることができる。
【0022】
このように、ビデオコントローラ102は、エンジン制御部103と通信が中断している間にステータスの変化が発生したことを状態変化ステータスによって認識することができる。よって、通信中断から復帰後、状態変化ステータスを確認することで通信中断中に画像形成装置で発生したステータスの変化がわかり、通信が中断したとしてもビデオコントローラ102とエンジン制御部103との間でステータスの状態変化を共有することができる。また、状態変化ステータスとしてステータスの変化あり、又は変化なしという状態のみを記憶することにより、状態変化の履歴をすべて記憶しておくことに比べメモリを節約できる。
【0023】
なお、本実施形態においては、状態変化ステータスの対象を給紙カセット301として説明したが、給紙カセット301に限定されるものではなく、例えば画像形成装置のドアの開閉の状態や、排紙ユニットの着脱状態等を対象としてもよい。また、状態変化ステータスの通知方法は有線の信号線を用いるとして説明したが、有線の信号線に限られるものではなく、例えば無線の通信等を用いてもよい。また通信手段はクロック同期通信を用いるとして説明したが、クロック同期通信に限られるものではなく、例えば歩調同期通信等を用いてもよい。また、本実施形態においては、エンジン制御部103から状態変化ステータスを通知した後、ビデオコントローラ102がエンジン制御部103に具体的なステータスを問い合わせる例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、エンジン制御部103から状態変化ステータスを通知した後、ビデオコントローラ102からの問い合わせがなくとも、具体的なステータスを通知することも可能である。
【0024】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、ビデオコントローラ102とエンジン制御部103との通信中断中に発生した画像形成装置内の状態変化を、状態変化ステータスとして、変化あり、変化なしという2つの状態にて記憶する場合について説明した。しかし、省電力モード中の状態変化の発生を検知できないような場合においては、通信中断の前後で状態変化を確実に特定できない場合も考えられる。そこで本実施形態においては、通信中断中の状態変化ステータスを、変化あり、変化なし、変化不定という3つの状態で記憶する場合について説明する。なお、画像形成装置の構成、ビデオコントローラ102とエンジン制御部103との通信方法等、先の第1の実施形態と同様の構成については、同様の符号を付し、ここでの詳しい説明は省略する。
【0025】
図7は、本実施形態におけるビデオコントローラ102とエンジン制御部103との通信を説明するフローチャートである。S701において、ビデオコントローラ102はユーザからの指示、又はビデオコントローラ102のリアルタイムクロックにより省電力モードへの移行指示が発生すると、エンジン制御部103に対して省電力モード移行指示を送信する。ビデオコントローラ102から省電力モード移行指示を受信すると、S702において、エンジン制御部103は給紙部の各センサの情報を記憶する。S703において、エンジン制御部103は省電力モードでビデオコントローラ102との通信中断中に発生する画像形成装置の状態変化を記憶するためおのステータスである状態変化ステータスを初期値に設定する。本実施形態においては、給紙カセット301のセンサの変化をエンジン制御部103において省電力モード中は確認できないため、図8に示すように状態変化ステータスの初期値は変化なし又は不定とする。S704において、エンジン制御部103はビデオコントローラ102との通信中断のための処理を行う。S705において、エンジン制御部103は省電力モード時に不要な電源を停止して省電力モードへ移行する。
【0026】
S706において、エンジン制御部103は省電力モードから通常モードへ復帰する復帰指示があるか判断する。省電力モードからの復帰指示は電源SWがユーザにより操作された場合等に発生する省電力モードから復帰するまで復帰指示の監視を行う。S706において、エンジン制御部103は省電力モードからの復帰指示がある場合、S707において、エンジン制御部103は省電力モードから復帰するために、各電源の立上げ処理、省電力モード中に中断していた状態検知部の再開処理を行う。さらに駆動制御部、画像形成部、定着制御部の各部画像形成が再開できる状態に復帰される。S708において、エンジン制御部103はS702で保持した給紙部の各センサの情報と現在の給紙部の各センサの情報を比較し、給紙カセット301に状態変化が発生しているか否かを判断する。給紙カセット301に状態変化が発生している場合は、S709において、エンジン制御部103は状態変化ステータスを変化なしから変化ありに変更する。給紙カセット301に状態変化が発生していない場合は、状態変化ステータスを変更しない。
【0027】
S710において、エンジン制御部103はビデオコントローラ102との通信再開処理を行う。S711において、ビデオコントローラ102は、通信が再開されると状態変化ステータスに変化があるか否かを確認する。変化ありの場合は、S712において、ビデオコントローラ102は変化ありとなった部材に具体的にどのような変化があったのかをエンジン制御部103に問い合わせる。そして、変化の内容をエンジン制御部103から受け取ると、ビデオコントローラ102内のステータスを更新し、ビデオコントローラ102とエンジン制御部103とで画像形成装置の状態変化について同期をとる。一方、状態変化なしの場合は、S713においてビデオコントローラ102とエンジン制御部103は通信待機状態となる。また、状態変化ステータスが不定の場合は、オペレーションパネル112にメッセージを表示し、ユーザにより画像形成装置の設定を再度指定してもらうことを促す、又は省電力モードに移行する前の状態で動作を行う等を選択し、S713においてビデオコントローラ102とエンジン制御部103は通信待機状態となる。
【0028】
図8は、ビデオコントローラ102とエンジン制御部103の通信が中断する際の状態変化ステータスの初期値を示した表である。通信が中断する際の状態変化ステータスの初期値は、通信が中断する際の対象センサの状態によって決まる。例えば、給紙カセット301の状態は、記録材サイズセンサ304によって、給紙カセット301が検知されているか否かで決まる。紙面検知状態は、紙面センサ302によって紙面が検知されているか否かで決まる。紙有無検知状態は、紙有無センサ303によって、記録材が検知されているか否かで決まる。以下、状態変化ステータスの初期値の決め方について説明する。
【0029】
801はカセット無しの状態である。この場合は、カセットの有無のみで状態変化ステータスを決定することができる。状態変化ステータスの初期値は変化なしとする。802はリフトアップ開始前の状態である。この場合は、通信中断中に同一の紙サイズで記録材の種類を変更された場合、記録材の変更を検知することができない。よって、状態変化ステータスの初期値は不定とする。803はリフトアップ途中の状態である。この場合は、先の802と同様に通信中断中に同一の紙サイズで記録材の種類を変更された場合、記録材の変更を検知することができない。よって、状態変化ステータスの初期値は不定とする。804はリフトアップ完了でカセット紙無しが確定している状態である。この場合は、通信中断中に給紙カセット301がオープンされた場合は、中板が落ちて紙面センサ302の出力が無しになる。よって、給紙カセット301の開閉検知を行うことができるため、状態変化ステータスの初期値は変化なしとする。805はリフトアップ完了で紙有りが確定している状態である。この場合は、先の804と同様に通信中断中に給紙カセット301がオープンされた場合は、中板が落ちて紙面センサ302の出力が無しになる。よって、給紙カセット301の開閉検知を行うことができるため、状態変化ステータスの初期値は変化なしとする。
【0030】
図9は、本実施形態におけるビデオコントローラ102とエンジン制御部103の通信状態と、ステータスの変化について示したタイムチャートである。図9(a)は、状態変化ステータスの初期値が変化なしで、通信中断から復帰後に状態変化ステータスを決めることができる場合である。図9(b)は、状態変化ステータスの初期値が不定で、通信中断から復帰後に状態変化ステータスを決めることができる場合である。図9(c)は、状態変化ステータスの初期値が不定で、通信中断から復帰後に状態変化ステータスを決めることができない場合である。
【0031】
図9(a)は、カセット状態ステータスは、通信中断の前と後で同じカセット有りとなっているが、先の804や805で説明したように、給紙カセット301がオープンされると中板が落ちるため、状態変化を検知することができる。図9(b)も、図9(a)と同じく、給紙カセット301がオープンされると中板が落ちるため、状態変化を検知することができる。一方、図9(c)は、通信中断中に給紙カセット301がオープンされているが、先の802、803で説明したように、例えば給紙カセット301のリフトアップの最中に省電力モードに入り、その状態で給紙カセット301がオープンされた場合等では復帰時に給紙カセット301の状態の変化が検知できないため、通信中断中に給紙カセット301がオープンされたことを通信中断から復帰後に検知できない。よって、状態変化ステータスは不定のままとなり、オペレーションパネル112にメッセージを表示し、ユーザにより画像形成装置の設定を再度指定してもらうことを促す、又は省電力モードに移行する前の状態で動作するなどを行う。
【0032】
このように、ビデオコントローラ102は、エンジン制御部103と通信が中断している間にステータスの変化が発生したことを状態変化ステータスによって認識することができる。よって、通信中断から復帰後、状態変化ステータスを確認することで、通信中断中に画像形成装置で発生したステータスの変化がわかり、通信が中断したとしても、ビデオコントローラ102とエンジン制御部103との間でステータスの状態変化を共有したり、ユーザに再設定を促したりすることができる。
【0033】
なお、本実施形態においては、状態変化ステータスの対象を給紙カセット301として説明したが、給紙カセット301に限定されるものではなく、例えば画像形成装置のドアの開閉の状態や、排紙ユニットの着脱状態等を対象としてもよい。また、状態変化ステータスの通知方法は有線の信号線を用いるとして説明したが、有線の信号線に限られるものではなく、例えば無線の通信等を用いてもよい。また通信手段はクロック同期通信を用いるとして説明したが、クロック同期通信に限られるものではなく、例えば歩調同期通信等を用いてもよい。また、本実施形態においては、エンジン制御部103から状態変化ステータスを通知した後、ビデオコントローラ102がエンジン制御部103に具体的なステータスを問い合わせる例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、エンジン制御部103から状態変化ステータスを通知した後、ビデオコントローラ102からの問い合わせがなくとも、具体的なステータスを通知することも可能である。
【0034】
(第3の実施形態)
第1の実施形態においては、ビデオコントローラ102とエンジン制御部103との通信中断中に発生した画像形成装置内の状態変化を、状態変化ステータスとして、変化あり、変化なしという2つの状態にて記憶する場合について説明した。第2の実施形態においては、ビデオコントローラ102とエンジン制御部103との通信中断中に発生した画像形成装置内の状態変化を、状態変化ステータスとして、変化あり、変化なし、不定という3つの状態にて記憶する場合について説明した。しかし、状態変化ステータスで検知する対象はあらかじめ決められていた。そこで、本実施形態においては、状態変化ステータスを検知する対象をユーザにより指定できる場合について説明する。なお、画像形成装置の構成、ビデオコントローラ102とエンジン制御部103との通信方法等、先の第1の実施形態と同様の構成については、同様の符号を付し、ここでの詳しい説明は省略する。
【0035】
図10は、本実施形態におけるビデオコントローラ102とエンジン制御部103との通信を説明するフローチャートである。本実施形態では、通信中断中の状態変化を検知する部材を予めビデオコントローラ102から指定する。S1001において、ビデオコントローラ102は通信中断中に状態変化を検知する部材をエンジン制御部103に指定する。S1002において、ビデオコントローラ102はユーザからの指示、又はビデオコントローラ102のリアルタイムクロックにより省電力モードへの移行指示が発生すると、エンジン制御部103に対して省電力モード移行指示を送信する。ビデオコントローラ102から省電力モード移行指示を受信すると、S1003において、エンジン制御部103はS1001で指定された部材の現在の情報を保持する。
【0036】
S1004において、エンジン制御部103は省電力モードでビデオコントローラ102との通信中断中に発生する画像形成装置の状態変化を記憶するためおのステータスである状態変化ステータスを初期値に設定する。なお、初期値の設定方法は、先の第1の実施形態におけるS503、又は先の第2の実施形態におけるS703で説明した方法で行う。S1005において、エンジン制御部103はビデオコントローラ102との通信中断のための処理を行う。S1006において、エンジン制御部103は省電力モード時に不要な電源を停止して省電力モードへ移行する。なお、省電力モード以降の制御は、先の第1の実施形態のS506〜S513、又は先の第2の実施形態のS706〜S713で説明した方法で行う。
【0037】
このように、ビデオコントローラ102は、エンジン制御部103と通信が中断している間にステータスの変化が発生したことを状態変化ステータスによって認識でき、さらに状態変化ステータスによって検知する対象の部材を選択することができる。これにより、ユーザの意図に応じた状態検知を行うことが可能となる。
【0038】
なお、本実施形態においては、状態変化ステータスの通知方法は有線の信号線を用いるとして説明したが、有線の信号線に限られるものではなく、例えば無線の通信等を用いてもよい。また通信手段はクロック同期通信を用いるとして説明したが、クロック同期通信に限られるものではなく、例えば歩調同期通信等を用いてもよい。また、本実施形態においては、エンジン制御部103から状態変化ステータスを通知した後、ビデオコントローラ102がエンジン制御部103に具体的なステータスを問い合わせる例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、エンジン制御部103から状態変化ステータスを通知した後、ビデオコントローラ102からの問い合わせがなくとも、具体的なステータスを通知することも可能である。
【符号の説明】
【0039】
101 レーザビームプリンタ
102 ビデオコントローラ
103 エンジン制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成を行うための画像情報を制御するコントローラと、
前記コントローラと通信可能であり、エンジンの画像形成動作を制御するエンジン制御部と、を有する画像形成装置であって、
前記コントローラと前記エンジン制御部との通信が中断されている状態において、通信が中断される前の状態から通信が中断されているときの状態が変化したことを検知すると、状態が変化したことを示す画像形成装置の状態変化に関する情報を記憶する記憶手段を備え、
前記エンジン制御部は、前記コントローラとの通信が再開されたときに、前記記憶手段に記憶されている状態変化に関する情報を前記コントローラに通知した後、状態変化したステータスを検知し、前記コントローラと共有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記状態変化に関する情報により通信中断中に状態変化があったことを通知されると、状態変化したステータスの通知を前記エンジン制御部に要求することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記エンジン制御部は、前記状態変化に関する情報により状態変化があったと判断すると、状態変化したステータスを前記コントローラに通知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記コントローラと前記エンジン制御部との通信は、省電力モードになることによって中断されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、状態変化に関する情報として、状態変化の有無が判断できない不定であるというステータスを有し、
前記コントローラは、前記状態変化に関する情報として不定が通知されたときは、ユーザに画像形成装置の設定を再度指定してもらう、又は通信が中断する前の状態であると判断することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記エンジン制御部に対して通信中断中に状態変化の有無を検知する部材を予め指定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記コントローラと前記エンジン制御部の通信が中断中の状態変化を検知するための検知手段を有し、
前記エンジン制御部は、前記検知手段による検知結果に基づき、前記記憶手段に記憶される状態変化に関する情報を更新することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−86395(P2013−86395A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230003(P2011−230003)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】