説明

画像形成装置

【課題】搬送性能を向上させること。
【解決手段】画像形成装置1において、手差しユニット90は、内部に有するローラ92等と手差し側ガイド部材94と共に水平面内で回転して開いて、カセット側ガイド部材54と手差し側ガイド部材94とを露出させ、手差し側ガイド部材94は、ローラ92等でのジャム処理のために、鉛直面内で回動して開くよう構成されている。画像形成装置1は、さらに、ジャム処理時に開いた手差し側ガイド部材94を閉じる方向に付勢する第1付勢部材101と、手差し側ガイド部材94を予め定められた位置で静止させる第2付勢部材102と、を有する位置決め機構100を、さらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、より特定的には、画像形成を行うプロセスユニットに記録媒体(例えば用紙)を搬送する搬送機構を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置として、例えば以下の特許文献1に記載のものがある。この画像形成装置には、第1〜第4の給紙部が設けられる。第1給紙部と第2給紙部とは上下に配置され、第3給紙部と第4給紙部とは第2給紙部の下方で左右に配置される。各給紙部内に積載された用紙は、1枚ずつ通紙路に送り出される。また、画像形成装置の側部には、両面印刷のための循環路が設けられ、この循環路の下方には、手差し給紙部が設けられる。
【0003】
第2〜第4給紙部から転写領域に用紙を導く搬送経路には、第1給紙部から用紙を搬送経路に導く給紙搬送経路と、手差しユニットから用紙を搬送経路に導く手差し搬送経路が同一の合流点で合流している。この合流点の周囲に、給紙可動ガイドと手差し可動ガイドと手差しユニットが設けられている。
【0004】
給紙可動ガイドは、合流点より上流側の搬送経路と給紙搬送経路の間で、下端の軸の周りに回動可能に取り付けられている。給紙可動ガイドは給紙搬送経路のガイド面と、上流からの用紙を導く搬送経路のガイド面を有する。また給紙可動ガイドは図示しないばねにより給紙搬送経路を閉じる方向に付勢されている。
【0005】
手差し可動ガイドは、手差し搬送経路と搬送経路の間で、下端の軸の周りに回動可能に手差しユニットに取り付けられている。手差し可動ガイドは、手差し搬送経路のガイド面と、上流からの用紙を導く搬送経路のガイド面を有する。手差し可動ガイドは図示しないばねにより手差し搬送経路を閉じる方向に付勢されている。
【0006】
手差しユニットは、ジャム処理のために、第1給紙部の装置外側へ装置本体の奥側に設けた軸周りに水平方向に単独で開閉可能に取り付けられている。ジャムが発生すると、ユーザは、手差しユニットを手差し可動ガイドと共に奥側の軸周りに水平方向に開放する。その後、例えば、ユーザは、給紙可動ガイドを軸の周りにばねの付勢力に抗して、装置本体の外側に開き、給紙搬送経路内の用紙を取り除く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−137748号公報(第4頁〜第6頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の通り、給紙可動ガイドは、下端の軸の周りに回動可能で、給紙搬送経路を閉じる方向に付勢されている。手差し可動ガイドは、下端の軸の周りに回動可能で、手差し搬送経路を閉じる方向に付勢されている。そのため、給紙可動ガイド及び手差し可動ガイドにおける、上流からの用紙を導く搬送経路のガイド面は、鉛直方向に対し平行を維持できず傾く場合がある。この傾きに起因して、搬送経路から送り出された用紙は、搬送ローラ及びそれに圧接される従動ローラの間のニップへと正しく導入されずに、他のガイド部材に引っかかってしまい、用紙にスキューや耳折れが発生する場合があるという問題点があった。
【0009】
上記問題点に鑑み、本発明は、記録媒体にスキュー又は耳折れ等の発生を低減し、搬送性能を向上させた搬送機構を備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、画像形成のためのプロセスユニットに記録媒体を搬送する画像形成装置であって、前記プロセスユニットの下方にそれぞれ配置され、記録媒体を収納する上側供給カセット及び下側供給カセットと、前記上側供給カセット及び前記下側供給カセットから記録媒体を取り出して送り出す、第1のローラ群及び第2のローラ群と、前記第1のローラ群からの記録媒体を案内する第1のガイド面と、前記第2のローラ群からの記録媒体を案内する第2のガイド面とを有するカセット側ガイド部材と、前記上側供給カセットと横方向に対向配置され、記録媒体が載置される手差しユニットと、前記手差しユニットから記録媒体を取り出して送り出す第3のローラ群と、前記第3のローラ群からの記録媒体を案内する第3のガイド面と、前記第2のガイド面と空隙をあけて横方向に対向配置されて、前記第2のローラ群からの記録媒体を該第2のガイド面と共同で案内する第4のガイド面と、を有する手差し側ガイド部材と、前記第1のガイド面、前記第3のガイド面、又は前記第2及び前記第4のガイド面により案内された記録媒体が導入され、上方の前記プロセスユニットに向けて記録媒体を送り出す縦搬送ローラ対と、を備えている。前記手差しユニットは、前記第3のローラ群と前記手差し側ガイド部材と共に水平面内で回転して開いて、前記カセット側ガイド部材と前記手差し側ガイド部材とを露出させる。前記手差し側ガイド部材は、前記第3のローラ群でのジャム処理のために、鉛直面内で回動して開くよう構成されている。前記画像形成装置は、さらに、前記ジャム処理時に開いた前記手差し側ガイド部材を閉じる方向に付勢する第1付勢部材と、前記手差し側ガイド部材を予め定められた位置で静止させる第2付勢部材と、を有する位置決め機構を、さらに備えている。
【発明の効果】
【0011】
上記構成により、記録媒体にスキュー又は耳折れ等の発生を低減し、搬送性能を向上させた搬送機構を備えた画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像形成装置の外観斜視図である。
【図2】図1の画像形成装置の内部構成を示す模式図である。
【図3】図2の供給カセット,手差しユニットの周囲の構成を示す断面図である。
【図4】搬送パスR1,R5及び共通の搬送パスRaの周囲を拡大して示す断面図である。
【図5】図2の手差しユニットを開けたときの画像形成装置1の斜視図である。
【図6】(A),(B)ともに、位置決め機構の構成を示す斜視図である。
【図7】(A)は、ガイド面の初期角度θを示す模式図であり、(B)は、初期角度θに対する第1及び第2の付勢部材の力量を示すグラフである。
【図8】(A)〜(C)は、ジャム処理時のマニュアル操作を示す模式図である。
【図9】(A)〜(C)は、ジャム処理後のマニュアル操作を示す模式図である。
【図10】(A)〜(C)は、初期角度をθ>45°にした場合に想定される問題点を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。なお、各図において、X軸、Y軸及びZ軸は、画像形成装置の左右方向(横方向)、奥行き方向(前後方向)及び高さ方向(上下方向)を示す。また、以下において、参照符号の後に続く、アルファベット大文字のY,M,C,Kは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒を表す。例えば、感光体ドラム10Yは、イエロー用の感光体ドラム10を意味する。
【0014】
(画像形成装置の概略構成について)
図1、図2において、画像形成装置1は、例えば複写機であり、本体2及び読み取り部4を備える。読み取り部4は、原稿を読み取って画像データを生成するスキャナである。本体2は、読み取り部4により生成された画像データに基づいて、記録媒体(例えば用紙)に画像を形成する。
【0015】
本体2の上段には、画像形成のためのプロセスユニット2aが設けられる。プロセスユニット2aは、図2に示すように、大略的に、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K、現像装置15Y,15M,15C,15K、中間転写ユニット20、レーザ走査ユニット30及び定着ユニット40を備えている。
【0016】
また、本体2の下段には、図1、図2に示すように、搬送機構2bが設けられる。搬送機構2bは、大略的に、供給カセット50,60,70,80及び手差しユニット90を備え、これらに積載された用紙をプロセスユニット2aへと搬送するための機構である。供給カセット50は、上側供給カセットの典型例であり、レーザ走査ユニット30の真下に配置される。供給カセット50の真下には供給カセット60が配置される。供給カセット60の真下に供給カセット70,80が配置される。また、供給カセット70,80は横方向に並んで配置される。以上の供給カセット60,70,80が下側供給カセットの典型例である。また、手差しユニット90は、供給カセット50に横方向に対向するよう、本体2に向かって右側面に設けられる。
【0017】
図2に示すように、現像装置15Y,15M,15C,15Kは、トナー収納部16Y,16M,16C,16K及び現像ローラ17Y,17M,17C,17Kを含む。中間転写ユニット20は、中間転写ベルト21を駆動ローラ22、従動ローラ23に無端状に保持したもので、1次転写ローラ24Y,24M,24C,24Kを備えている。
【0018】
画像形成処理において、各色の画像データで変調された光ビームがレーザ走査ユニット30から感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに照射され、感光体ドラム10上に静電潜像が形成される。次に、各色の静電潜像は、対応する色の現像装置15Y,15M,15C,15Kによって現像(トナー像化)される。このトナー像は1色毎に1次転写ローラ24Y,24M,24C,24Kから付与される電界によって中間転写ベルト21上に1次転写され、4色の画像が中間転写ベルト21上に重ね合わされる。
【0019】
画像形成処理において、用紙は、搬送機構2b内の搬送パスR1〜R5(詳細は後述)のいずれかを搬送され、縦搬送ローラ対の一例としての縦搬送ローラ121a,121bを経て、プロセスユニット2aに供給される。プロセスユニット2aにおいて、用紙は、レジストローラ124a,124bを経て、駆動ローラ22で支持されている中間転写ベルト21と2次転写ローラ27とのニップ部(2次転写部)に導入される。そして、2次転写ローラ27から付与される電界によって中間転写ベルト21から合成画像が用紙に2次転写される。その後、用紙は定着ユニット40にてトナーの加熱定着を施され、排出ローラ対130から用紙トレイ131上に排出される。
【0020】
また、用紙両面に画像形成する場合、第1面に画像形成された用紙が、反転ローラ対132にてスイッチバックされて折り返し搬送パスR6に送り出される。そして、送り出された用紙は、再度レジストローラ124a,124b、2次転写部及び定着ユニット40を通過することにより、第2面にも画像形成されて、排出ローラ対130から用紙トレイ131上に排出される。
【0021】
(搬送パスの概要について)
以下に、搬送パスR1〜R5について説明する。図2に示すように、搬送パスR1,R2,R3,R4は、供給カセット50,60,70,80に積載された用紙が搬送される経路である。搬送パスR1上には、第1のローラ群の典型例として、ピックアップローラ51、給紙ローラ52及び分離ローラ53が設けられる。搬送パスR2上には、第2のローラ群の一例として、ピックアップローラ61、給紙ローラ62及び分離ローラ63が設けられる。搬送パスR3上には、第2のローラ群の他の例として、ピックアップローラ71、給紙ローラ72及び分離ローラ73が設けられる。搬送パスR4上には、第2のローラ群のさらに他の例として、ピックアップローラ81、給紙ローラ82及び分離ローラ83が設けられる。また、搬送パスR5は、手差しユニット90に載置された用紙が通過する経路である。搬送パスR5上には、第3のローラ群の一例として、ピックアップローラ91、給紙ローラ92及び分離ローラ93が設けられる。
【0022】
各ピックアップローラ51,61,71,81は、自身の直ぐ上流の供給カセット50,60,70,80から用紙を取り込む。また、ピックアップローラ91は、直ぐ上流の手差しユニット90から用紙を取り込む。給紙ローラ52,62,72,82,92及び分離ローラ53,63,73,83,93はペアを構成し、各ペアの直ぐ上流のピックアップローラ51,61,71,81,91が取り出した用紙を1枚ずつに分離して、搬送パスR1,R2,R3,R4,R5上に乗せる。
【0023】
搬送パスR1〜R5は、途中で他のパスと合流している。詳細には、搬送パスR3,R4は、中間ローラ123a,123bのニップにて合流している。搬送パスR2,R3,R4は、中間ローラ123a,123bの下流に設けられた縦搬送ローラ122a,122bにて合流している。また、搬送パスR1,R2,R3,R4,R5は、縦搬送ローラ122a,122bの下流に設けられた縦搬送ローラ121a,121bのニップNa(図4参照)にて合流している。
【0024】
(搬送パスR1の詳細について)
図3に示すように、供給カセット50において、用紙は、底部50aに設けられた押上げ板50b上に積載される。また、供給カセット50の右斜め上方には、上述のピックアップローラ51と、給紙ローラ52及び分離ローラ53とが設けられている。ピックアップローラ51は、押上げ板50b上に積載された用紙を取り出す。取り出された用紙は、図4に示すように、搬送パスR1に乗せられた後、給紙ローラ52及び分離ローラ53の間のニップN1に導入される。給紙ローラ52及び分離ローラ53により、1枚の用紙のみが分離され、ニップN1を通過する。
【0025】
上述のニップN1の直ぐ下流には、カセット側ガイド部材54のガイド面F1が設けられる。ガイド面F1は、第1のガイド面の典型例であり、XY平面(略水平面)に対し右斜め上方に傾斜する。ニップN1を通過した用紙は、ガイド面F1に沿って搬送パスR1上を搬送され、ガイド面F1の下流で略上方に配置された縦搬送ローラ121a,121bのニップNaに導入される。
【0026】
(搬送パスR5の詳細について)
図3において、手差しユニット90は、ユーザが所望する用紙に画像を印刷するために設けられる。手差しユニット90は、給紙トレイ90a及び手差し給紙台90bを備える。給紙トレイ90aは、未使用時に画像形成装置の本体内に収納するために、図3の矢印Aで示すように鉛直(ZX平面)面内で回動可能であり、水平面(XY平面)に対し10°程度上方に傾斜した状態で静止する。この状態の時に、給紙トレイ90a上に用紙が載置される。また、手差し給紙台90bは、給紙トレイ90a上の用紙先端部分を上方に付勢する。
【0027】
上記手差し給紙台90bの上方には、ピックアップローラ91が設けられる。ピックアップローラ91には、手差し給紙台90bにより付勢された用紙の先端部分が当接する。このピックアップローラ91の直ぐ下流には、給紙ローラ92及び分離ローラ93のペアが設けられている。このピックアップローラ91の回転により、手差し給紙台90bから用紙が取り込まれる。取り込まれた用紙は、図4に示すように、搬送パスR5に乗せられた後、給紙ローラ92及び分離ローラ93の間のニップN5に導入される。給紙ローラ92及び分離ローラ93が回転することにより、1枚の用紙のみが分離され、ニップN5を通過する。
【0028】
ニップN5の直ぐ下流には、図4に示すように、手差し側ガイド部材94のガイド面F5が設けられる。ガイド面F5は、第3のガイド面の一例であり、XY平面に対し左上方に傾斜する。ニップN5を通過した用紙は、ガイド面F5に沿って搬送パスR5を搬送された後、ガイド面F5の下流にあるニップNaに導入される。
【0029】
(共通の搬送パスRaの詳細について)
引き続き、図4を参照する。カセット側ガイド部材54は、上述のガイド面F1に加え、ガイド面F1の右側方にガイド面Fa1を有する。具体的には、ガイド面Fa1は、第2のガイド面の一例であり、ガイド面F1の最上端から鉛真下方向に延びるよう形成される。なお、ガイド面Fa1は、上流からの用紙を共通の搬送経路Raに導入しやすいように、下端部分で左方向に広がっている。
【0030】
また、手差し側ガイド部材94は、上述のガイド面F5に加え、ガイド面F5の左側方にガイド面Fa2を有する。具体的には、ガイド面Fa2は、第4のガイド面の一例であり、ガイド面F5の最上端から鉛真下方向に延びている。なお、ガイド面Fa2は、ガイド面Fa1と同様の趣旨で、下端部分で右方向に広がっている。
【0031】
上述のガイド面Fa1,Fa2は空隙をあけて互いに横方向に対向する。この空隙が共通の搬送パスRaとして用いられる。つまり、供給カセット60,70,80からの用紙は、縦搬送ローラ122a,122bから、その下流側に設けられた搬送パスRaに導入される。導入された各用紙は、共通の搬送パスRa内をガイド面Fa1,Fa2に沿って案内され、その下流側かつ上方に設けられた縦搬送ローラ121a,121bのニップNaに導入される。
【0032】
(ジャム処理用の機構について)
また、手差しユニット90は、ジャム処理時にユーザにより操作されるドアとしても機能するために、図5に示すように、画像形成装置1に向かって右奥に上下方向に平行な回転軸A3を有している。手差しユニット90は、回転軸A3を中心として水平面内で回転可能に構成される。手差しユニット90の開けることにより、カセット側ガイド部材54及び手差し側ガイド部材94が露出する。
【0033】
また、ジャム処理の容易さと、共通の搬送パスRaの搬送性能との両立のために、本画像形成装置1は、位置決め機構100を備えている。図6(A),(B)は、図5の点線枠内、つまり手差し側ガイド部材94の第1の側端面Fs1周辺を拡大して示した図である。第1の側端面Fs1は、ガイド面Fa2と概ね直交しかつZ軸と平行な側端面である。なお、このような側端面は2つあるが、第1の側端面Fs1は、手差しユニット90を閉じた時に、画像形成装置1に向かって手前側の方である。また、第2の側端面Fs2は、図5に示すように、ガイド面Fs2を挟んで第1の側端面Fs2と実質的に対向しており、手差しユニット90を閉じた時に、画像形成装置1の正面からみて奥側に位置する。
【0034】
図6(A),(B)において、上述の側端面Fs1の周辺には、位置決め機構100の構成の一部として、回転軸A2と、軸受部材101と、第1及び第2の付勢部材102,103とが設けられる。
【0035】
回転軸A2は、側端面Fs1の下端から突出する。軸受部材101は、手差しユニット90に固定され、ユーザのマニュアル操作により鉛直面内で回転軸A2を回転可能に支持する。なお、図6(B)には、便宜上、軸受部材101及び以下の第1付勢部材102は図示されていない。
【0036】
第1付勢部材102は、例えば引張りコイルばねである。引張りコイルばねの両端にはフックが設けられている。一方のフックは、一方の側端面であってかつ回転軸A2の上方で形成された孔104に係止される。また、他方のフックは、軸受部材101に形成された孔105に係止される。第1付勢部材102は、手差し側ガイド部材94(つまり搬送パスR5)を閉じる方向の力(図4中の矢印Cで示す方向)を与える。
【0037】
第2付勢部材103は、典型的にはねじりコイルばねである。このねじりコイルばねのコイル部分は、上述の回転軸A2に挿通される。また、ねじりコイルばねの両端部の腕は折り曲げられており、一方の腕は、一方の側端面に形成された孔106に挿通される。また、他方の腕は、手差しユニット90に形成された孔107に挿通される。第2付勢部材103は、手差し側ガイド部材94(つまり搬送パスR5)を開く方向の力(図4の矢印Cと逆方向)を与える。
【0038】
ここで、ガイド面Fa2の初期角度θを以下の通り定義する。初期角度θは、図7(A)に示すように、手差しユニット90を開いた時にガイド面Fa2がZ軸となす角度である。手差しユニット90を開いた時、この初期角度θにてガイド面Fa2は静止する。ここで、θが0°の時、ガイド面Fa2はZ軸と平行であり、搬送パスR5を開く方向を正とする。初期角度θが0°≦θ≦45°の範囲内になるように、第1付勢部材102及び第2付勢部材103の力量は選ばれる。例えば図7(B)に示すように、第1及び第2の付勢部材102,103の力量を概ね2.1[N]にすると、初期角度θは約12.6°になる。
【0039】
上述の回転軸A2と、軸受部材101と、第1及び第2の付勢部材102,103、孔104〜107と同様の構成は、第2の側端面Fs2(図5参照)に設けられる。また、回転軸A2と、軸受部材101と、第1及び第2の付勢部材102,103、孔104〜107と同様の構成は、好ましくは、カセット側ガイド部材54の両側端面Fs3,Fs4(図5参照)にも設けられる。
【0040】
また、図6(A),(B)に示すように、ガイド面Fa2の長手方向の一方端には、2個の突起108がガイド面Fa2に対し垂直に設けられている。図示は省略しているが、同様の突起108は他方端にも設けられている。ここで、長手方向は、図4に示すように、手差しユニット90が閉じている場合には、Y軸方向と平行な方向である。各突起108のガイド面Fa2を基準とする高さは、共通の搬送パスRaからの用紙がニップNaに正しく導入可能な値(例えば2〜3mm程度)に設計される。また、2個の突起108の間の距離は、本画像形成装置1が対応可能な最大の用紙に合わせて設計される。
【0041】
(ジャム処理について)
上述のような構成の画像形成装置において、ジャム処理は以下のように行われる。画像形成時、図8(A)に示すように、ガイド面Fa1,Fa2は、突起108の高さに相当する間隔(例えば2〜3mm)で水平方向に対向している。手差しユニット90に積載された用紙に画像を形成する場合、用紙は搬送パスR5を搬送される。この時、もしニップN5で紙詰まりが発生した場合、ユーザは、マニュアル操作で、図8(B)に示すように手差しユニット90を開ける。これにより、ガイド面Fa2が初期角度θだけ傾く。ユーザは、手差しユニット90を必要な分だけ開け、その後、図8(C)に示すように手差し側ガイド部材94を指などを開き、用紙を取り除く。
【0042】
用紙を取り除いた後、ユーザは、手差し側ガイド部材94から指を離す。この時、上述の位置決め機構100の各付勢部材101,102により、ガイド面Fa1,Fa2は、図9(A)に示すようにZ軸に対し初期角度θで傾く。指を離した後、ユーザは、図9(B)から図9(C)に示すように手差しユニット90を閉じる。この間、ガイド面Fa2がガイドFa1に接近していき、両突起108がガイド面Fa1に当接した後、ガイド面Fa1,Fa2は図4の矢印B,Cの方向に付勢される。最終的に、ガイド面Fa1,Fa2は、突起108の高さに相当する間隔(例えば2〜3mm)で水平方向に対向し、縦搬送ローラ121a,121bのニップNaの直ぐ上流の初期位置に復帰する。
【0043】
以上説明した通り、本位置決め機構100により、両ガイド面Fa1,Fa2は、手差しユニット90を開けた時、2種類の付勢部材101,102により初期角度θで傾く。また、手差しユニット90を閉じた時、2個の突起108により、ガイド面Fa1,Fa2の間隔は確保されるとともに、共通の搬送パスRaはニップNaの直ぐ上流に復帰する。したがって、搬送パスRaからニップNaへと用紙が正しく導入され、該用紙にスキュー又は耳折れが発生することを低減することが可能になる。このように、本位置決め機構100を備えることにより、搬送性能を向上させた画像形成装置を提供することが可能となる。
【0044】
また、前述の通り、初期角度θは0°≦θ≦45°である。もし、θ>45°となってしまうと、図10(A)〜(C)に示すように、手差しユニット90を閉じる際、ガイド面Fa2が、ガイド面Fa1に当たった後、下方向に回り込んでしまい、手差しユニット90を正しく閉じることができないおそれがある。これを防止するために、初期角度θは0°≦θ≦45°とされている。
【0045】
(付記)
以上の実施形態では、2個の突起108は両方ともに、ガイド面Fa2に設けられていた。しかし、これに限らず、2個の突起は両方ともガイド面Fa1に設けられていても良いし、2個の突起の一方がガイド面Fa1に、他方はガイド面Fa2に設けられていても構わない。
【0046】
また、以上の実施形態では、第1付勢部材101として引張りコイルばねを、第2付勢部材102としてねじりコイルばねを挙げた。しかし、これに限らず、他の手段で、第1及び第2付勢部材101,102を実現しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る定着装置は、搬送性能を向上させることが可能であり、複写機以外にも、タンデム方式の電子写真プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等に適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 画像形成装置
2a プロセスユニット
2b 搬送機構
50,60,70,80 供給カセット
90 手差しユニット
52,92 給紙ローラ
53,93 分離ローラ
54 カセット側ガイド部材
94 手差し側ガイド部材
121a,121b 縦搬送ローラ
R1〜R5 搬送パス
Ra 共通の搬送パス
N1,N5,Na ニップ
F1,F5,Fa1,Fa2 ガイド面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成のためのプロセスユニットに記録媒体を搬送する画像形成装置であって、
前記プロセスユニットの下方にそれぞれ配置され、記録媒体を収納する上側供給カセット及び下側供給カセットと、
前記上側供給カセット及び前記下側供給カセットから記録媒体を取り出して送り出す、第1のローラ群及び第2のローラ群と、
前記第1のローラ群からの記録媒体を案内する第1のガイド面と、前記第2のローラ群からの記録媒体を案内する第2のガイド面とを有するカセット側ガイド部材と、
前記上側供給カセットと横方向に対向配置され、記録媒体が載置される手差しユニットと、
前記手差しユニットから記録媒体を取り出して送り出す第3のローラ群と、
前記第3のローラ群からの記録媒体を案内する第3のガイド面と、前記第2のガイド面と空隙をあけて横方向に対向配置されて、前記第2のローラ群からの記録媒体を該第2のガイド面と共同で案内する第4のガイド面と、を有する手差し側ガイド部材と、
前記第1のガイド面、前記第3のガイド面、又は前記第2及び前記第4のガイド面により案内された記録媒体が導入され、上方の前記プロセスユニットに向けて記録媒体を送り出す縦搬送ローラ対と、を備え、
前記手差しユニットは、前記第3のローラ群と前記手差し側ガイド部材と共に水平面内で回転して開いて、前記カセット側ガイド部材と前記手差し側ガイド部材とを露出させ、
前記手差し側ガイド部材は、前記第3のローラ群でのジャム処理のために、鉛直面内で回動して開くよう構成されており、
前記画像形成装置は、さらに、
前記ジャム処理時に開いた前記手差し側ガイド部材を閉じる方向に付勢する第1付勢部材と、前記手差し側ガイド部材を予め定められた位置で静止させる第2付勢部材と、を有する位置決め機構を、さらに備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1付勢部材は、引張りコイルばねであり、
前記第2付勢部材は、前記手差し側ガイド部材を予め定められた位置で静止させるために、前記手差し側ガイド部材を開く方向に付勢する、ねじりコイルばねである、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記手差し側ガイド部材は、前記手差しユニットが開いた時、該手差しユニットを閉じることが可能な位置で静止する、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記手差しユニットが開いた時、前記第4のガイド面が鉛直方向に対し0°以上45°以下の範囲内に静止する、請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記位置決め機構は、前記第2のガイド面と前記第4のガイド面との空隙を確保するために、該第2のガイド面又は該第4のガイド面に突起を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記カセット側ガイド部材は、前記第1のローラ群でのジャム処理のために、鉛直面内で回動可能に構成されており、
前記位置決め機構は、
前記カセット側ガイド部材に、前記ジャム処理時に開いた前記カセット側ガイド部材を閉じる方向に付勢する第3付勢部材と、前記カセット側ガイド部材を予め定められた位置で静止させる第4付勢部材と、をさらに有する、請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−86968(P2013−86968A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232541(P2011−232541)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】