画像接合方法、装置及びプログラム
【課題】 2つのオルソ画像をより自然に接合する。
【解決手段】
近似度算出プログラム(12a)が、ハードディスク装置(24)に格納される2つのオルソ画像データ(30)の重複部分の探索範囲で近似度を算出する。近似度2値化プログラム(12b)が、探索範囲内の近似度を最大の閾値で2値化し、ラベリング処理プログラム(12c)がラベル化し、細線化プログラム(12d)が細線化する。無指定探索線探索プログラム(12e)又は入口点指定接合線探索プログラム(12f)が、接合線決定基準線に沿った方向で近いラベルを探索しながら、探索したラベル内に接合線を設定する。ジャンプ区間に対しては、近似値の閾値を下げて、2値化、ラベリング処理および細線化を実行し、接合線決定基準線に沿った方向で近いラベルを探索しながら、探索したラベル内に接合線を設定することを繰り返す。
【解決手段】
近似度算出プログラム(12a)が、ハードディスク装置(24)に格納される2つのオルソ画像データ(30)の重複部分の探索範囲で近似度を算出する。近似度2値化プログラム(12b)が、探索範囲内の近似度を最大の閾値で2値化し、ラベリング処理プログラム(12c)がラベル化し、細線化プログラム(12d)が細線化する。無指定探索線探索プログラム(12e)又は入口点指定接合線探索プログラム(12f)が、接合線決定基準線に沿った方向で近いラベルを探索しながら、探索したラベル内に接合線を設定する。ジャンプ区間に対しては、近似値の閾値を下げて、2値化、ラベリング処理および細線化を実行し、接合線決定基準線に沿った方向で近いラベルを探索しながら、探索したラベル内に接合線を設定することを繰り返す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重複部分を有する2つの画像を接合する方法、装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
飛行機又は衛星から地上を精密に撮影することができる。これらの空中写真又は衛星画像は、撮影方向による歪みを解消した上で一定水平面上に投影される。この投影で得られた画像、即ち、投影画像を合成又は接合することで、広大な地域の表面を示す1枚の画像を得ることができる。個々の投影画像は、予め図化機により正射投影画像(オルソ画像)に変換されていることもある。特許文献1には、隣接する地域を部分的に重複して表示する地図や航空写真データ等のラスター画像データを、その部分的に重複する部分で接合する方法が記載されている。
【0003】
このような合成又は接合の目的のため、通常、飛行機又は衛星からの撮影では、被写体を一定以上にオーバーラップするようにして撮影する。図15は、このように部分的に重複して撮影された写真等が得られるオルソ画像の重複例を示す。一般的には、各オルソ画像は、よりランダムに1又は複数の他のオルソ画像と部分的に重複する。
【0004】
仮に垂直上方向から撮影された写真から生成されたオルソ画像でも、縁辺部分では建物や高架個所で多少の倒れ込みが生じる。勿論、斜めから撮影している場合には、ほとんどの建物で倒れ込みが生じる。そこで、合成の際には、目立たない個所に接合線を設定して、2つのオルソ画像を接合することになる。
【0005】
例えば、図16に示すように、画像重複部分で同じ建物が互いに反対方向に倒れ込んでいるオルソ画像を合成する場合がありうる。図16(A)は左オルソ画像を示し、同(B)は右オルソ画像を示す。この場合、建物を切断するように接合線を設定すると、図17に示すように、合成画像上で、その建物の形状が歪んでしまう。図17(A)は図16(A)に示す左オルソ画像を示し、同(B)は、図16(B)に示す右オルソ画像を示し、同(C)は、合成画像を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−351113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の方法は、航空写真における建物の倒れ込みを考慮していない。その結果、図17に示すように、倒れ込みを生じている建物上に接合線が設定されると、建物個所で接合ずれが生じ、建物の形状を損なうことになり、好ましくない。
【0008】
本発明は、コンピュータによる自動処理で効率的に、目立たない個所で2つの画像を接合する画像接合方法、装置及びプログラムを提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像接合方法は、互いに異なる方向からの撮影により得られる、少なくとも一部が重複する2つのオルソ画像データをコンピュータにより接合する方法であって、当該コンピュータの演算手段が、当該2つのオルソ画像データの重複部分に初期探索範囲を設定し、当該コンピュータの記憶手段に格納する初期探索範囲設定ステップと、当該演算手段が、当該初期探索範囲で当該2つのオルソ画像データの近似度を算出し、当該記憶手段に格納する近似度算出ステップと、当該演算手段が、当該近似度算出ステップで得られる当該近似度が所定近似度値以上の近似度値範囲にある画素を抽出し、その隣接する画素毎にグループ化して、接合線探索対象画素を抽出する前処理ステップと、当該演算手段が、当該接合線探索対象画素に従い、当該接合線探索対象画素の所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを探索し、当該所定のラベル及び探索した各ラベルに接合線を設定する接合線探索ステップと、当該演算手段が、当該接合線のジャンプ区間に対し、より小さい近似度値範囲で当該前処理ステップを実行させ、これで抽出される接合線探索対象画素に対して、当該接合線探索対象画素の所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを選択し、選択した各ラベルに接合線を設定する繰り返しステップと、当該演算手段により、当該接合線に従い当該2つのオルソ画像データを接合して、合成画像データを生成する接合ステップとを具備することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る画像接合装置は、互いに異なる方向からの撮影により得られる、少なくとも一部が重複する2つのオルソ画像データを接合する画像接合装置であって、当該2つのオルソ画像データの重複部分に初期探索範囲を設定する初期探索範囲設定手段と、当該初期探索範囲で当該2つのオルソ画像データの近似度を算出し、記憶手段に格納する近似度算出手段と、当該記憶手段から指定探索範囲内の当該近似度を読み出し、読み出した当該近似度が指定の近似度値範囲にある画素を抽出し、その隣接する画素毎にグループ化して、接合線探索対象画素を抽出する前処理手段と、当該前処理手段により生成される当該接合線探索対象画素のラベルのうちで、所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを探索し、当該所定のラベル及び探索した各ラベルに接合線を設定する接合線探索手段と、当該前処理手段及び当該接合線探索手段を制御する制御手段であって、1回目には当該指定探索範囲として当該初期探索範囲を指定し、当該指定の近似度値範囲として上限値範囲を指定して、当該前処理手段および当該接合線探索手段を実行させ、2回目以降では、設定済みの接合線のジャンプ区間を当該指定探索範囲とし、段階的に低減した近似度値範囲を当該指定の近似度値範囲として、当該前処理手段および当該接合線探索手段を実行させる制御手段と、当該接合線に従い当該2つのオルソ画像データを接合し、合成画像データを生成する合成手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る画像接合プログラムは、コンピュータに、互いに異なる方向からの撮影により得られる、少なくとも一部が重複する2つのオルソ画像データを接合させる画像接合プログラムであって、当該コンピュータに、当該2つのオルソ画像データの重複部分に初期探索範囲を設定させ、当該コンピュータの記憶手段に格納させる初期探索範囲設定機能と、当該初期探索範囲で当該2つのオルソ画像データの近似度を算出させ、当該記憶手段に格納させる近似度算出機能と、当該近似度算出機能で得られる当該近似度が所定近似度値以上の近似度値範囲にある画素を抽出させ、その隣接する画素毎にグループ化させて、接合線探索対象画素を抽出させる前処理機能と、当該接合線探索対象画素に従い、当該接合線探索対象画素の所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを探索させ、当該所定のラベル及び探索した各ラベルに接合線を設定させる接合線探索機能と、当該接合線のジャンプ区間に対し、より小さい近似度値範囲で当該前処理機能を実行させ、これで抽出される接合線探索対象画素に対して、当該接合線探索対象画素の所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを選択させ、選択した各ラベルに接合線を設定させる繰り返し機能と、当該接合線に従い当該2つのオルソ画像データを接合して、合成画像データを生成させる接合機能とを実現させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、2つのオルソ画像間で近似度の高い部分に接合線を設定でき、両画像をより自然に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例の概略構成ブロック図を示す。
【図2】3つの画像の重複範囲の説明例である。
【図3】本実施例による画像合成の動作フローチャートの一部である。
【図4】本実施例による画像合成の動作フローチャートの一部である。
【図5】2値化近似度データの画素分布例である。
【図6】入口指定接合線探索プログラムの詳細な動作フローチャートを示す。
【図7】図5に示す2値化近似度データに対する入口指定接合線探索プログラムによる処理過程の説明図である。
【図8】無指定接合線探索プログラムの詳細な動作フローチャートを示す。
【図9】図5に示す2値化近似度データに対して無指定接合線探索プログラムによる処理過程の説明図である。
【図10】探索範囲に対するジャンプ区間の説明例である。
【図11】図10に示すジャンプ区間に対して設定される探索範囲の説明例である。
【図12】図11に示すジャンプ区間に設定される探索範囲と、その中のジャンプ区間の説明例である。
【図13】図11に示すジャンプ区間に設定される探索範囲と、その中のジャンプ区間の説明例である。
【図14】図16に示す2つのオルソ画像を本実施例により接合した結果例である。
【図15】オルソ画像の重複の様子を示す模式図である。
【図16】画像重複部分で同じ建物が互いに反対方向に倒れ込んでいるオルソ画像の例である。
【図17】図16に示す画像の合成結果例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の一実施例の概略構成ブロック図を示す。本実施例の画像接合装置10は、CPU12、ROM14、RAM16、マウス18、キーボード20、表示装置22及びハードディスク装置(HDD)24を具備し、これらがバス26を介して相互に接続する。ROM14又はHDD24には、画像接合装置10の機能を実現するためにCPU12で動作するプログラムソフトウエアが格納されている。CPU12は、画像接合装置10の演算手段として、マウス18及びキーボード20によるユーザの指示に従い、RAM16及びHDD24を使って、以下に説明する接合処理を実行する。そのために、CPU12は、以下に説明する機能手段12a〜12gとしての機能を具備する。画像接合装置10は汎用コンピュータ又は専用コンピュータで実現され得る。
【0016】
HDD24には、接合対象のオルソ画像データ30がビットマップ形式で格納される。先に説明したように、HDD24に格納される各オルソ画像データ30は一般に、接合のために1又は複数の他のオルソ画像と重複している。HDD24にはまた、対象地域の地盤標高(DTM)データ32と、表層標高(DSM)データ34を格納しておく。HDD24に格納されるオルソ画像データ30は、同じ地上座標系上の地点上に画素値を有するように、規格化されており、DTMデータ32及びDSMデータ34もまた、オルソ画像データ30の各画素と同じ地点上の標高値からなる。こうすることにより、後述する処理が容易になるからである。勿論、オルソ画像データ30の画素、並びにDTMデータ32及びDSMデータ34の標高値が、互いに同じ地点を示すように規格化されていなくても、必要な計算時に補間により同じ地点上の値を算出するようにしてもよいことは明らかである。
【0017】
基本的には、2つのオルソ画像の重腹部分に対して接合線を決定することになるが、連続的に撮影された航空写真で得られるオルソ画像では、図2に示ように、3枚のオルソ画像A,B,Cが部分的に重複することがある。図2で、領域ABは、画像A,Bの重複部分を示し、領域ACは画像A,Cの重複部分を示し、領域BCは画像B,Cの重複部分を示し、領域ABCは画像A,B,Cの重複部分を示す。このように、3つ以上の画像が重なる部分がある場合、段階的に接合すればよい。即ち、何れか2つのオルソ画像を接合し、この接合で得られた合成画像に、部分的に重複する残る1つのオルソ画像を接合する。これを繰り返して、最終的に大きな合成画像を生成する。最初に接合する2つの画像を選択する方法として、例えば、最も多くの画像が重なる部分(図2の領域ABC)において、任意の2つの画像の組合せで近似度を算出し、最も近似する2つの画像を最初の接合処理の対象とする。従って、ここでは、2つの画像の接合線を決定し、接合する動作を説明するが、3つ以上の画像を合成する場合にも、そのまま適用可能である。
【0018】
図3及び図4は全体として、本実施例による画像合成の動作フローチャートを示す。
【0019】
CPU12は、ユーザの指定に従い、HDD24に格納されるオルソ画像データ30から、接合線を設定すべき2つの画像のオルソ画像データを対象画像として選択する(S1)。
【0020】
CPU12は、ステップS1で選択した2つの対象画像について、DSMデータ34とDTMデータ32の差分から建物部分を検出し、2つの対象画像のオルソ画像データから建物を示すデータを除去する(S2)。2つのオルソ画像データそのものから建物に相当する個所の画素値を0又は無効値等の一定値に置換しても良いが、その場合、後述する近似度分布の算出処理において、改めて建物の部分に対する近似度の計算結果を除外しなければならない。これを避けるには、例えば、2つのオルソ画像データの各画素に対応するフラグテーブル(建物フラグテーブル36)を用意し、建物の存在する画素に対して建物フラグを立てる。そして、建物部分を除外したい場合には建物フラグテーブル36を参照し、建物フラグが立っている画素を、処理対象から除外する。
【0021】
次に、CPU12は、ステップS1で選択した2つのオルソ画像の重複部分を検出して、接合線の探索範囲(初期探索範囲)を設定する(S3)。その際、建物フラグテーブル36を参照して、建物部分を探索範囲から除外してもよい。
【0022】
CPU12の近似度算出プログラム12aが、探索範囲内で、2つの対象画像データを対比し、近似度を算出する(S4)。算出された近似度データ38は、ステップS3で設定された探索範囲内での接合線の決定処理が終了するまで、HDD24(又はRAM16)に保持される。
【0023】
例えば、赤(R)、緑(G)及び青(B)に関する距離(例えば、RMS(Root Mean Square)値)、緑(G)値の距離又は差分絶対値、若しくは、輝度の距離又は差分絶対値を算出し、距離又は差分絶対値が小さいほど近似度が高いと評価する。本実施例では、近似度を0〜255の範囲で評価し、近似しているほど、値を大きくする。例えば、最大値(255)から距離又は差分絶対値を減算した結果を近似度とする。近似度は探索範囲内で分布しており、2つの対象画像データ間で相違の少ない個所ほど、近似度が高くなり、全く相違が無い個所では、近似度は255になる。
【0024】
近似度が高い部分ほど、接合線とした場合に不自然さの無い接合が可能になる。本実施例では、近似度が高い画素のつながった部分に接合線を先ず割り当て、接合線を割り当てできない部分(接合線のジャンプ区間)は、近似度を一段下げた近似度値範囲で、接合線を割り当てる。これは、近似度を2値化し、2値化の閾値を段階的に下げていくことで実現できる。但し、先に接合線探索の対象とした画素を再度の探索対象から除外する必要があるので、本実施例では、処理済みフラグを立てることで識別している。
【0025】
なお、一定の近似度値範囲の近似度の画素を抽出することでも、同じ処理を実現できる。例えば、最初の接合線探索では、近似度値が240以上の画素を接合線探索の対象画素とし、2回目では、近似度値が230から239までの画素を接合線探索の対象画素とし、3回目では、近似度値が220から229までの画素を接合線探索の対象画素とし、以下、同様の処理を実行する。このように、近似度値範囲を逐次的に下げながら接合線探索の対象画素を抽出し、接合線を割り当てていくことで、全体的に適切な接合線を決定する。
【0026】
まず、CPU12の近似度2値化プログラム12bが、探索範囲内の近似度を2値化する近似度閾値Tを、適当な最大値、例えば、240〜250で初期化する(S5)。そして、CPU12は、接合線決定の前処理として、近似度閾値Tによる2値化(S6)、ラベリング(S7)及び細線化(S8)を実行する。すなわち、近似度2値化プログラム12bが、ステップS4で算出された近似度データ38を近似度閾値Tで2値化して(S6)、近似値が近似度閾値T以上となる画素を抽出する。例えば、近似度閾値T以上の近似度を持つ画素にフラグ1を設定し、近似度閾値T未満の近似度を持つ画素にフラグ0を設定する。ラベリング処理プログラム12cが、2値化プログラム12bで抽出した画素を互いに隣接又は連続する画素同士でグループ化し、各グループに異なるラベル番号を付ける(S7)。このラベリング処理(S7)の際に、孤立した画素又は少数の画素からなるラベルを、ノイズと看做して除去する。細線化プログラム12dが、各ラベルの中心線を求めて細線化する(S8)。このような細線化処理のコンピュータプログラム自体は公知であり、どのようなアログリズムのものであってもよい。ステップS6〜S8からなる前処理により、以後の接合線探索処理の対象となる画素、すなわち接合線探索対象画素が抽出される。2値化及び細線化により得られる2値化近似度の画素分布とそのラベル値が、HDD24(又はRAM16)に2値化近似度データ40として一時的に保存される。細線化は、ラベル内の接合線設定処理を簡略化し高速化するのに役立つものの、このような負荷が許容可能であれば、細線化を省略しても良い。
【0027】
図5は、このような前処理(S6〜S8)を経た2値化近似度データ40の分布例を示す。隣接して連続する画素が1つのグループ(ラベル)を形成し、各グループがラベル番号で識別される。図5から分かるように、2値化(S6)及びラベリング処理(S7)により、接合線探索対象の画素が分断され、細線化(S8)により、同じラベル上で枝分かれが発生しうる。
【0028】
図5に示す例では、接合対象の画像が上側と下側に位置し、接合線は、基本的に、探索範囲の左右方向に設定され得る。そこで、探索範囲の中央に、接合線を決定するための基準線(接合線決定基準線)が仮想的に設定される。例えば、最初の探索領域のように、設定しようとする接合線の始点(探索範囲の入口点)と終点(探索範囲の出口点)のどちらも与えられない場合には、探索領域は、2つの対象画像の重複部分の中央に設定される。入口点と出口点が与えられる場合には、接合線決定基準線は入口点と出口点を結ぶ線であり、入口点と出口点との間で、接合線決定基準線の上下に所定幅の範囲を探索範囲とする。入口点と出口点は、変更可能な暫定的なものであるときと、変更できないものであるときがありうる。
【0029】
ステップS3で設定された探索範囲に対して、接合線の入口点が指定されていない場合(S9)、無指定接合線探索プログラム12eが、入口点を指定しない接合線探索処理を実行する(S10)。接合線の入口点が指定されている場合(S9)、入口指定接合線探索プログラム12fが、入口点指定の接合線探索処理を実行する(S11)。
【0030】
例えば、図2に示す例で、領域ABに対しては、ある程度自由に、画像A,Bから接合線を決定でき、領域ACに対しては、ある程度自由に、画像A,Cから接合線を決定できる。しかし、その後に、領域ABC,又は領域ABCに対して接合線を決定しようとした場合には、領域AB又は領域ACの接合線から、自ずと探索範囲における入口点が定まる。逆に、領域ABCにおける接合線を考慮して、領域ABと領域ACの接合線決定に対して、入口点を決定するのが良い場合もありうる。そこで、本実施例では、初期探索範囲に対してステップS9〜S11を用意している。もちろん、このような可能性が無ければ、ステップ10とステップS11の片方のみでもよい。
【0031】
無指定接合線探索プログラム12eは入口指定接合線探索プログラム12fを利用するので、まず、入口指定接合線探索プログラム12fによる接合線探索(S11)の動作を詳細に説明する。入口指定接合線探索プログラム12fは、その引数として、探索範囲、探索方向及び入口点を必要とする。図6は、入口指定接合線探索プログラム12fによる入口点指定の接合線探索処理(S11)の詳細なフローチャートを示す。図7は、図5に示す2値化近似度データに対してステップS11による処理過程の説明図である。図7では、入口点(○印で示す)と出口点(×印で示す)が共に接合線決定基準線上に位置する。出口点は指定されない場合もありうる。また、図6に示す接合線探索の過程で該当するラベル上に設定される、接合線の始点(S)と終点(E)に対応する画素に、×を付記してある。
【0032】
入口指定接合線探索プログラム12fは、2値化近似度データ40を参照し、指定入口点が探索範囲内のラベル上に位置するかどうかを判断し(S31)、指定入口点がラベル上に位置する場合には(S31)、当該ラベルを接合線探索対象となる注目ラベルとし、指定入口点を始点とする。図7に示す例では、指定入口点はどのラベルにも属していないが、仮に指定入口点が探索範囲内の何れかのラベルに属する場合には(S32)、そのラベルを注目ラベルとし、指定入口点を始点とする(S32)。そして、注目ラベル上で、探索方向(図7では、右方向)の最先側にあり、かつ、接合線決定基準線に最も近い画素を終点とする(S33)。
【0033】
CPU12のラベル内接合線設定プログラム12gが、注目ラベル上で始点と終点を最短距離、すなわち最小画素数で結ぶ画素を探索し、これらの各画素に接合線フラグを立てることで、注目ラベル内に接合線を設定する(S34)。接合線フラグは、接合線として採用される画素であることを示す。2点間を最短距離で接続する画素の探索は、迷路の入口と出口を最短距離で接続する公知のアルゴリズムを採用することで、容易に実現できるし、また、全ての可能性を試すことでも容易に実現できる。なお、注目ラベルの全画素には、接合線探索処理が終了していることを示す処理済みフラグを立て、これにより、以後の接合線探索処理の対象から除外する。
【0034】
そして、終点から探索方向に見て、異なるラベル上で終点に最も近い未通過画素を探索する(S35)。このとき、接続可能性を拡げるために、真上又は真下にある画素も、探索範囲に入れる。未通過画素は、いまだ接合線探索の対象となっていないラベルの画素であり、処理済みフラグの立っていない画素である。未通過画素が複数発見される場合には、接合線決定基準線に最も近い画素を採用する。
【0035】
また、入口点が探索範囲内のラベル上に位置しない場合(S31)、すなわち、図7に示す説明例の場合、入口指定接合線探索プログラム12fは、2値化近似度データ40を参照して、入口点から探索方向に見て、入口点に最も近い未通過画素を探索する(S36)。ステップS36でも、接続可能性を拡げるために、真上又は真下にある画素も、探索範囲に入れる。
【0036】
ステップS35,S36における近さの定量的基準として、原則的に、距離を算定したい画素と、基準となる画素との間のユークリッド距離の自乗、すなわち、前者と後者の画素間の水平方向画素数(例えば、接続線決定基準線に沿った画素数)の自乗と垂直方向画素数(例えば、接続線決定基準線に直交する軸線に沿った画素数)の自乗の和が考えられる。しかし、この演算は自乗を含むので、最終的な結果を得るまでに時間がかかる。そこで、本実施例では、より簡易に、前者と後者の画素間の水平方向画素数と垂直方向画素数の最大値、又は前者と後者の画素を接続する直線が通過する画素数を採用する。ステップS35,S36での近さの判定は、厳密な比較を要求しないので、自乗を含まない簡易な演算で済む後者の方法が便利である。
【0037】
ステップS35又はステップS36の探索の結果、未通過画素を発見できた場合(S37)、発見した画素が探索範囲の上辺上又は下辺上にあると、それ以上の接合線探索が不確実になる。そこで、発見した画素が探索範囲の上辺上又は下辺上のいずれでもない場合に(S38)、次のラベルで接合線を探索する。すなわち、発見した画素を含むラベルを注目ラベルとし、発見した画素を始点とする(S39)。そして、注目ラベル内に接合線を設定し(S33,S34)、次に接合線を設定すべきラベルを探索する(S35)。
【0038】
ステップS35又はステップS36の探索で未通過画素を発見できない場合(S37)、もしくは、発見した画素が探索範囲の端辺上にある場合(S38)には、探索範囲内に、もはや接合線を設定すべきラベルが存在しないことになるので、処理を終了する。接合線がつながらない区間は、ジャンプ区間として、後述するように、2値化のための近似度閾値Tを下げて、再度、接合線を探索することになる。
【0039】
無指定接合線探索プログラム12eによる接合線探索処理(S10)を説明する。無指定接合線探索プログラム12eは、形式的には、その引数として探索範囲を必要とするが、初回にしか実行されないので、グローバル変数に探索範囲を設定しておき、それを参照するようにしてもよい。図8は、無指定接合線探索プログラム12eの詳細な動作フローチャートを示す。図9は、図5に示す2値化近似度データに対してステップS10による処理過程の説明図である。ステップS10の接合線探索の過程で該当するラベル上に設定される、接合線の始点(S)と終点(E)に対応する画素に、×を付記してある。
【0040】
無指定接合線探索プログラム12eは、2値化近似度データ40を参照し、指定された探索範囲内で最大面積(最大画素数)のラベルを探索し、注目ラベル(処理対象のラベル)とする(S51)。最大面積のラベルは、接合線を設定するのに最も好ましいと考えられるからである。最大面積のラベルが複数存在する場合には、中心が接合線決定基準線に最も近いものを注目ラベルとする。このようなラベルも複数存在する場合には、探索領域の左右方向に見て中央に近いラベル、又は、適当なラベルを注目ラベルとする。
【0041】
理解を容易にするために、探索領域の接合線決定基準線は、図9に示すように、水平になっているものとする。注目ラベルの最左端にあり、且つ接合線決定基準線に最も近い画素を、注目ラベル内の接合線の始点とする(S52)。注目ラベルの最右端にあり、接合線決定基準線に最も近い画素を、注目ラベル内の接合線の終点とする(S53)。この始点と終点を、探索範囲内で、注目ラベルよりも左側のラベルと右側のラベルに対する接合線探索処理のために記憶する(S54)。
【0042】
注目ラベル上で、始点と終点を最短距離、すなわち最小画素数で接続する画素を探索し、これらの画素に接合線フラグを立てることで、接合線を設定する(S55)。ステップS34と同様のアルゴリズムを採用でき、ステップS34と同様に、注目ラベルの全画素には、接合線探索処理の対象となったことを示す処理済みフラグを立て、これにより、以後の接合線探索処理の対象から除外する。
【0043】
次に、ステップS51で決定された注目ラベルの左側に存在するラベルのうちで、接合線を設定すべきラベルを逐次的に探索し、それらのラベル内に接合線を設定する(S56)。具体的には、無指定接合線探索プログラム12eは、ステップS34で記憶した始点から初期探索範囲の左辺までの、接合線決定基準線を中心とする一定幅を探索範囲とし、ステップS34で記憶した始点を入口点とし、探索方向として左方向を指定して、入口点指定接合線探索プログラム12fを呼び出す。入口点指定接合線探索プログラム12fは、2値化近似度データ40を参照し、図6に示すフローに従い、ステップS51の注目ラベル(最大面積のラベル)よりも左側に位置するラベルの中から、逐次的に接合線を設定すべきラベルを決定し、その各ラベル内に接合線を設定する。
【0044】
同様に、ステップS51で決定された注目ラベルの右側に存在するラベルのうちで、接合線を設定すべきラベルを逐次的に探索し、それらのラベル内に接合線を設定する(S57)。具体的には、無指定接合線探索プログラム12eは、ステップS34で記憶した終点から初期探索範囲の右辺までの、接合線決定基準線を中心とする一定幅を探索範囲とし、ステップS34で記憶した終点を入口点とし、探索方向として右方向を指定して、入口点指定接合線探索プログラム12fを呼び出す。入口点指定接合線探索プログラム12fは、2値化近似度データ40を参照し、図6に示すフローに従い、ステップS51の注目ラベル(最大面積のラベル)よりも右側に位置するラベルの中から、逐次的に接合線を設定すべきラベルを決定し、その各ラベル内に接合線を設定する。
【0045】
以上の処理(S51〜S57)により、近似度閾値T以上の近似値を持つラベルに対して、接合線を設定するのに適した互いに接近するラベルを選択し、選択されたラベルに接合線を設定できる。
【0046】
無指定接合線探索処理(S10)の最初のラベルを最大面積のラベルとしたが、接合線決定基準線に沿った長さ(接合線決定基準線に射影したときの長さ)が最も長いラベルを最初の注目ラベルとしてもよい。
【0047】
ステップS10又はS11の後、設定された接合線が不連続になる区間(ジャンプ区間)があるかどうかを調べる(S12)。これは、例えば、初期探索範囲内で、右から左又は左から右に、設定済みの接合線の端点(始点又は終点)のつながりを追跡することで判明する。
【0048】
ジャンプ区間が無い場合(S13)、初期探索範囲内で連続する接合線が設計されたことになるので、マニュアルでの編集・修整を実行する(S23)。
【0049】
ジャンプ区間がある場合(S13)、近似度閾値Tを所定値(Δ)だけ小さくする(S14)。最初のジャンプ区間を探索範囲とし、探索範囲の入口点と出口点を設定する(S15)。
【0050】
ジャンプ区間が、接合線を探索するほどもないほどに短い場合、例えば、数画素程度の場合(S16)、探索範囲の入口点と出口点を直結する接合線を、入口点と出口点の間の画素上に設定する(S21)。
【0051】
ジャンプ区間が、ある程度以上の距離を有する場合(S16)、CPU12の近似度2値化プログラム12bが、ステップS15で設定された探索範囲に対し、ステップS4で算出された近似度データ38を近似度閾値Tで2値化する(S17)。2値化された近似度を、ステップS7と同様にラベリングし(S18)、ステップS8と同様の処理で細線化する(S19)。入口指定接合線探索プログラム12fが、入口点指定の接合線探索処理を実行する(S20)。ステップS20の結果で得られる接合線の終点は、出口点に一致しない場合がありうるが、その終点と出口点との間はジャンプ区間となる。
【0052】
ステップS21又はS20の後、次のジャンプ区間を探索する(S22)。初期探索範囲の他端に達する前に次のジャンプ区間を発見したら(S22)、次のジャンプ区間を探索範囲に設定して(S23)、ステップS16〜S21を繰り返す。
【0053】
次のジャンプ区間を発見することなしに、初期探索範囲の他端に到達したら(S22)、ステップS12に戻る。すなわち、ステップS20での接合線探索で発生する可能性のあるジャンプ区間を探索し(S12)、発見した場合には(S13)、近似度閾値TをΔだけ少なくして、ステップS15〜S21の接合線探索処理を繰り返す。
【0054】
最終的にジャンプ区間が無くなると(S13)、以上の処理で設定された接合線を、合成すべき2つの画像に対して表示装置22に表示し、オペレータによる編集又は修正を受け付ける(S24)。オペレータは、マウス18等を使って、接合線を手動で適宜に編集・修正する。CPU12は、このようにして確定した接合線で2つのオルソ画像を合成し(S25)。得られた合成画像データ42をHDD24に格納する。
【0055】
このようにして得られた合成画像に更に合成したいオルソ画像又は別の合成画像がある場合、図3において、これらの2つの画像を対象に選択して(S1)、ステップS2以降を繰り返せばよい。
【0056】
図3及び図4では、同じ近似度閾値Tに対する全部のジャンプ区間に対して接合線を探索及び設定してから、近似度閾値TをΔだけ小さくしたが、ジャンプ区間を発見する都度、当該ジャンプ区間内で近似度閾値を低減し、接合線を探索および設定しても良い。このような処理は、再帰的なプログラムにより容易に実現できる。
【0057】
図3及び図4に示すフローは、いわば、0〜255の値をもつ近似度の分布から、近似度分布の稜線を示す画素を抽出する処理に相当する。多値の近似度分布からその稜線を探索しても、同様に、適した接合線を決定できる。
【0058】
図10、図11、図12及び図13を参照して、ジャンプ区間における接合線の探索を概略的に説明する。
【0059】
図10は、ステップS3で設定される探索範囲に、1つのジャンプ区間が存在する場合を示す。図10で、実線は、ステップS10又はステップS11で探索された接合線を示し、破線は、ジャンプ区間の端点(入口点と出口点)間を結ぶ直線を示す。ジャンプ区間の端点は、当該端点と同じ側の接続線の始点又は終点である。ステップS15では、図10に示すジャンプ区間の端点間を接続する線に平行に一定幅Wの探索範囲を、図11に示すように設定する。幅Wは、接合対象の画像に応じて、適宜に選択設定される。
【0060】
図11に示す探索範囲に対して、ステップS17〜S20において接合線を探索した結果、図12に示すような接合線(実線)が得られ、破線で示すジャンプ区間が残存するとする。この場合、図12に示すジャンプ区間に対して、更に、近似度閾値TをΔだけ減らし(S14)、探索範囲を設定し(S15)、接合線を探索する(S17〜S20)。図13は、その探索結果を示す。依然として残るジャンプ区間に対して、再度、ステップS14〜S20を実行する。当該ジャンプ区間が一定の短距離以下であれば(S16)、直接、入口点と出口点を接続する(S21)。
【0061】
ジャンプ区間がなくなったら(S13)、ユーザは、マウス18等を使って、接合線を手動で適宜に編集・修正する(S24)。修正された接合線で2つのオルソ画像が合成され(S25)、得られた合成画像データ42がHDD24に格納される。
【0062】
図14は、図16に示す2つのオルソ画像を本実施例により接合した例を示す。図14(A)は左オルソ画像の重複部分を示し、同(B)は右オルソ画像の重複部分を示し、同(C)は接合結果を示す。接合線が、建物とその倒れ込みを回避して設定される。即ち、同じ建物の互いに逆方向に倒れ込んでいる画像が接合されることが無い。
【0063】
特定の説明用の実施例を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲に規定される本発明の技術的範囲を逸脱しないで、上述の実施例に種々の変更・修整を施しうることは、本発明の属する分野の技術者にとって自明であり、このような変更・修整も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
10:画像接合装置
12:CPU
12a:近似度算出プログラム
12b:近似度2値化プログラム
12c:ラベリング処理プログラム
12d:細線化プログラム
12e:無指定接合線探索プログラム
12f:入口指定接合線探索プログラム
12g:ラベル内接合線設定プログラム
14:ROM
16:RAM
18:マウス
20:キーボード
22:表示装置
24:ハードディスク装置(HDD)
26:バス
30:オルソ画像データ
32:地盤標高データ(DTM)データ
34:表層標高(DSM)データ
36:建物フラグテーブル
38:近似度データ
40:2値化近似度データ
42:合成画像データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、重複部分を有する2つの画像を接合する方法、装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
飛行機又は衛星から地上を精密に撮影することができる。これらの空中写真又は衛星画像は、撮影方向による歪みを解消した上で一定水平面上に投影される。この投影で得られた画像、即ち、投影画像を合成又は接合することで、広大な地域の表面を示す1枚の画像を得ることができる。個々の投影画像は、予め図化機により正射投影画像(オルソ画像)に変換されていることもある。特許文献1には、隣接する地域を部分的に重複して表示する地図や航空写真データ等のラスター画像データを、その部分的に重複する部分で接合する方法が記載されている。
【0003】
このような合成又は接合の目的のため、通常、飛行機又は衛星からの撮影では、被写体を一定以上にオーバーラップするようにして撮影する。図15は、このように部分的に重複して撮影された写真等が得られるオルソ画像の重複例を示す。一般的には、各オルソ画像は、よりランダムに1又は複数の他のオルソ画像と部分的に重複する。
【0004】
仮に垂直上方向から撮影された写真から生成されたオルソ画像でも、縁辺部分では建物や高架個所で多少の倒れ込みが生じる。勿論、斜めから撮影している場合には、ほとんどの建物で倒れ込みが生じる。そこで、合成の際には、目立たない個所に接合線を設定して、2つのオルソ画像を接合することになる。
【0005】
例えば、図16に示すように、画像重複部分で同じ建物が互いに反対方向に倒れ込んでいるオルソ画像を合成する場合がありうる。図16(A)は左オルソ画像を示し、同(B)は右オルソ画像を示す。この場合、建物を切断するように接合線を設定すると、図17に示すように、合成画像上で、その建物の形状が歪んでしまう。図17(A)は図16(A)に示す左オルソ画像を示し、同(B)は、図16(B)に示す右オルソ画像を示し、同(C)は、合成画像を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−351113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の方法は、航空写真における建物の倒れ込みを考慮していない。その結果、図17に示すように、倒れ込みを生じている建物上に接合線が設定されると、建物個所で接合ずれが生じ、建物の形状を損なうことになり、好ましくない。
【0008】
本発明は、コンピュータによる自動処理で効率的に、目立たない個所で2つの画像を接合する画像接合方法、装置及びプログラムを提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像接合方法は、互いに異なる方向からの撮影により得られる、少なくとも一部が重複する2つのオルソ画像データをコンピュータにより接合する方法であって、当該コンピュータの演算手段が、当該2つのオルソ画像データの重複部分に初期探索範囲を設定し、当該コンピュータの記憶手段に格納する初期探索範囲設定ステップと、当該演算手段が、当該初期探索範囲で当該2つのオルソ画像データの近似度を算出し、当該記憶手段に格納する近似度算出ステップと、当該演算手段が、当該近似度算出ステップで得られる当該近似度が所定近似度値以上の近似度値範囲にある画素を抽出し、その隣接する画素毎にグループ化して、接合線探索対象画素を抽出する前処理ステップと、当該演算手段が、当該接合線探索対象画素に従い、当該接合線探索対象画素の所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを探索し、当該所定のラベル及び探索した各ラベルに接合線を設定する接合線探索ステップと、当該演算手段が、当該接合線のジャンプ区間に対し、より小さい近似度値範囲で当該前処理ステップを実行させ、これで抽出される接合線探索対象画素に対して、当該接合線探索対象画素の所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを選択し、選択した各ラベルに接合線を設定する繰り返しステップと、当該演算手段により、当該接合線に従い当該2つのオルソ画像データを接合して、合成画像データを生成する接合ステップとを具備することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る画像接合装置は、互いに異なる方向からの撮影により得られる、少なくとも一部が重複する2つのオルソ画像データを接合する画像接合装置であって、当該2つのオルソ画像データの重複部分に初期探索範囲を設定する初期探索範囲設定手段と、当該初期探索範囲で当該2つのオルソ画像データの近似度を算出し、記憶手段に格納する近似度算出手段と、当該記憶手段から指定探索範囲内の当該近似度を読み出し、読み出した当該近似度が指定の近似度値範囲にある画素を抽出し、その隣接する画素毎にグループ化して、接合線探索対象画素を抽出する前処理手段と、当該前処理手段により生成される当該接合線探索対象画素のラベルのうちで、所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを探索し、当該所定のラベル及び探索した各ラベルに接合線を設定する接合線探索手段と、当該前処理手段及び当該接合線探索手段を制御する制御手段であって、1回目には当該指定探索範囲として当該初期探索範囲を指定し、当該指定の近似度値範囲として上限値範囲を指定して、当該前処理手段および当該接合線探索手段を実行させ、2回目以降では、設定済みの接合線のジャンプ区間を当該指定探索範囲とし、段階的に低減した近似度値範囲を当該指定の近似度値範囲として、当該前処理手段および当該接合線探索手段を実行させる制御手段と、当該接合線に従い当該2つのオルソ画像データを接合し、合成画像データを生成する合成手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る画像接合プログラムは、コンピュータに、互いに異なる方向からの撮影により得られる、少なくとも一部が重複する2つのオルソ画像データを接合させる画像接合プログラムであって、当該コンピュータに、当該2つのオルソ画像データの重複部分に初期探索範囲を設定させ、当該コンピュータの記憶手段に格納させる初期探索範囲設定機能と、当該初期探索範囲で当該2つのオルソ画像データの近似度を算出させ、当該記憶手段に格納させる近似度算出機能と、当該近似度算出機能で得られる当該近似度が所定近似度値以上の近似度値範囲にある画素を抽出させ、その隣接する画素毎にグループ化させて、接合線探索対象画素を抽出させる前処理機能と、当該接合線探索対象画素に従い、当該接合線探索対象画素の所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを探索させ、当該所定のラベル及び探索した各ラベルに接合線を設定させる接合線探索機能と、当該接合線のジャンプ区間に対し、より小さい近似度値範囲で当該前処理機能を実行させ、これで抽出される接合線探索対象画素に対して、当該接合線探索対象画素の所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを選択させ、選択した各ラベルに接合線を設定させる繰り返し機能と、当該接合線に従い当該2つのオルソ画像データを接合して、合成画像データを生成させる接合機能とを実現させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、2つのオルソ画像間で近似度の高い部分に接合線を設定でき、両画像をより自然に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例の概略構成ブロック図を示す。
【図2】3つの画像の重複範囲の説明例である。
【図3】本実施例による画像合成の動作フローチャートの一部である。
【図4】本実施例による画像合成の動作フローチャートの一部である。
【図5】2値化近似度データの画素分布例である。
【図6】入口指定接合線探索プログラムの詳細な動作フローチャートを示す。
【図7】図5に示す2値化近似度データに対する入口指定接合線探索プログラムによる処理過程の説明図である。
【図8】無指定接合線探索プログラムの詳細な動作フローチャートを示す。
【図9】図5に示す2値化近似度データに対して無指定接合線探索プログラムによる処理過程の説明図である。
【図10】探索範囲に対するジャンプ区間の説明例である。
【図11】図10に示すジャンプ区間に対して設定される探索範囲の説明例である。
【図12】図11に示すジャンプ区間に設定される探索範囲と、その中のジャンプ区間の説明例である。
【図13】図11に示すジャンプ区間に設定される探索範囲と、その中のジャンプ区間の説明例である。
【図14】図16に示す2つのオルソ画像を本実施例により接合した結果例である。
【図15】オルソ画像の重複の様子を示す模式図である。
【図16】画像重複部分で同じ建物が互いに反対方向に倒れ込んでいるオルソ画像の例である。
【図17】図16に示す画像の合成結果例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の一実施例の概略構成ブロック図を示す。本実施例の画像接合装置10は、CPU12、ROM14、RAM16、マウス18、キーボード20、表示装置22及びハードディスク装置(HDD)24を具備し、これらがバス26を介して相互に接続する。ROM14又はHDD24には、画像接合装置10の機能を実現するためにCPU12で動作するプログラムソフトウエアが格納されている。CPU12は、画像接合装置10の演算手段として、マウス18及びキーボード20によるユーザの指示に従い、RAM16及びHDD24を使って、以下に説明する接合処理を実行する。そのために、CPU12は、以下に説明する機能手段12a〜12gとしての機能を具備する。画像接合装置10は汎用コンピュータ又は専用コンピュータで実現され得る。
【0016】
HDD24には、接合対象のオルソ画像データ30がビットマップ形式で格納される。先に説明したように、HDD24に格納される各オルソ画像データ30は一般に、接合のために1又は複数の他のオルソ画像と重複している。HDD24にはまた、対象地域の地盤標高(DTM)データ32と、表層標高(DSM)データ34を格納しておく。HDD24に格納されるオルソ画像データ30は、同じ地上座標系上の地点上に画素値を有するように、規格化されており、DTMデータ32及びDSMデータ34もまた、オルソ画像データ30の各画素と同じ地点上の標高値からなる。こうすることにより、後述する処理が容易になるからである。勿論、オルソ画像データ30の画素、並びにDTMデータ32及びDSMデータ34の標高値が、互いに同じ地点を示すように規格化されていなくても、必要な計算時に補間により同じ地点上の値を算出するようにしてもよいことは明らかである。
【0017】
基本的には、2つのオルソ画像の重腹部分に対して接合線を決定することになるが、連続的に撮影された航空写真で得られるオルソ画像では、図2に示ように、3枚のオルソ画像A,B,Cが部分的に重複することがある。図2で、領域ABは、画像A,Bの重複部分を示し、領域ACは画像A,Cの重複部分を示し、領域BCは画像B,Cの重複部分を示し、領域ABCは画像A,B,Cの重複部分を示す。このように、3つ以上の画像が重なる部分がある場合、段階的に接合すればよい。即ち、何れか2つのオルソ画像を接合し、この接合で得られた合成画像に、部分的に重複する残る1つのオルソ画像を接合する。これを繰り返して、最終的に大きな合成画像を生成する。最初に接合する2つの画像を選択する方法として、例えば、最も多くの画像が重なる部分(図2の領域ABC)において、任意の2つの画像の組合せで近似度を算出し、最も近似する2つの画像を最初の接合処理の対象とする。従って、ここでは、2つの画像の接合線を決定し、接合する動作を説明するが、3つ以上の画像を合成する場合にも、そのまま適用可能である。
【0018】
図3及び図4は全体として、本実施例による画像合成の動作フローチャートを示す。
【0019】
CPU12は、ユーザの指定に従い、HDD24に格納されるオルソ画像データ30から、接合線を設定すべき2つの画像のオルソ画像データを対象画像として選択する(S1)。
【0020】
CPU12は、ステップS1で選択した2つの対象画像について、DSMデータ34とDTMデータ32の差分から建物部分を検出し、2つの対象画像のオルソ画像データから建物を示すデータを除去する(S2)。2つのオルソ画像データそのものから建物に相当する個所の画素値を0又は無効値等の一定値に置換しても良いが、その場合、後述する近似度分布の算出処理において、改めて建物の部分に対する近似度の計算結果を除外しなければならない。これを避けるには、例えば、2つのオルソ画像データの各画素に対応するフラグテーブル(建物フラグテーブル36)を用意し、建物の存在する画素に対して建物フラグを立てる。そして、建物部分を除外したい場合には建物フラグテーブル36を参照し、建物フラグが立っている画素を、処理対象から除外する。
【0021】
次に、CPU12は、ステップS1で選択した2つのオルソ画像の重複部分を検出して、接合線の探索範囲(初期探索範囲)を設定する(S3)。その際、建物フラグテーブル36を参照して、建物部分を探索範囲から除外してもよい。
【0022】
CPU12の近似度算出プログラム12aが、探索範囲内で、2つの対象画像データを対比し、近似度を算出する(S4)。算出された近似度データ38は、ステップS3で設定された探索範囲内での接合線の決定処理が終了するまで、HDD24(又はRAM16)に保持される。
【0023】
例えば、赤(R)、緑(G)及び青(B)に関する距離(例えば、RMS(Root Mean Square)値)、緑(G)値の距離又は差分絶対値、若しくは、輝度の距離又は差分絶対値を算出し、距離又は差分絶対値が小さいほど近似度が高いと評価する。本実施例では、近似度を0〜255の範囲で評価し、近似しているほど、値を大きくする。例えば、最大値(255)から距離又は差分絶対値を減算した結果を近似度とする。近似度は探索範囲内で分布しており、2つの対象画像データ間で相違の少ない個所ほど、近似度が高くなり、全く相違が無い個所では、近似度は255になる。
【0024】
近似度が高い部分ほど、接合線とした場合に不自然さの無い接合が可能になる。本実施例では、近似度が高い画素のつながった部分に接合線を先ず割り当て、接合線を割り当てできない部分(接合線のジャンプ区間)は、近似度を一段下げた近似度値範囲で、接合線を割り当てる。これは、近似度を2値化し、2値化の閾値を段階的に下げていくことで実現できる。但し、先に接合線探索の対象とした画素を再度の探索対象から除外する必要があるので、本実施例では、処理済みフラグを立てることで識別している。
【0025】
なお、一定の近似度値範囲の近似度の画素を抽出することでも、同じ処理を実現できる。例えば、最初の接合線探索では、近似度値が240以上の画素を接合線探索の対象画素とし、2回目では、近似度値が230から239までの画素を接合線探索の対象画素とし、3回目では、近似度値が220から229までの画素を接合線探索の対象画素とし、以下、同様の処理を実行する。このように、近似度値範囲を逐次的に下げながら接合線探索の対象画素を抽出し、接合線を割り当てていくことで、全体的に適切な接合線を決定する。
【0026】
まず、CPU12の近似度2値化プログラム12bが、探索範囲内の近似度を2値化する近似度閾値Tを、適当な最大値、例えば、240〜250で初期化する(S5)。そして、CPU12は、接合線決定の前処理として、近似度閾値Tによる2値化(S6)、ラベリング(S7)及び細線化(S8)を実行する。すなわち、近似度2値化プログラム12bが、ステップS4で算出された近似度データ38を近似度閾値Tで2値化して(S6)、近似値が近似度閾値T以上となる画素を抽出する。例えば、近似度閾値T以上の近似度を持つ画素にフラグ1を設定し、近似度閾値T未満の近似度を持つ画素にフラグ0を設定する。ラベリング処理プログラム12cが、2値化プログラム12bで抽出した画素を互いに隣接又は連続する画素同士でグループ化し、各グループに異なるラベル番号を付ける(S7)。このラベリング処理(S7)の際に、孤立した画素又は少数の画素からなるラベルを、ノイズと看做して除去する。細線化プログラム12dが、各ラベルの中心線を求めて細線化する(S8)。このような細線化処理のコンピュータプログラム自体は公知であり、どのようなアログリズムのものであってもよい。ステップS6〜S8からなる前処理により、以後の接合線探索処理の対象となる画素、すなわち接合線探索対象画素が抽出される。2値化及び細線化により得られる2値化近似度の画素分布とそのラベル値が、HDD24(又はRAM16)に2値化近似度データ40として一時的に保存される。細線化は、ラベル内の接合線設定処理を簡略化し高速化するのに役立つものの、このような負荷が許容可能であれば、細線化を省略しても良い。
【0027】
図5は、このような前処理(S6〜S8)を経た2値化近似度データ40の分布例を示す。隣接して連続する画素が1つのグループ(ラベル)を形成し、各グループがラベル番号で識別される。図5から分かるように、2値化(S6)及びラベリング処理(S7)により、接合線探索対象の画素が分断され、細線化(S8)により、同じラベル上で枝分かれが発生しうる。
【0028】
図5に示す例では、接合対象の画像が上側と下側に位置し、接合線は、基本的に、探索範囲の左右方向に設定され得る。そこで、探索範囲の中央に、接合線を決定するための基準線(接合線決定基準線)が仮想的に設定される。例えば、最初の探索領域のように、設定しようとする接合線の始点(探索範囲の入口点)と終点(探索範囲の出口点)のどちらも与えられない場合には、探索領域は、2つの対象画像の重複部分の中央に設定される。入口点と出口点が与えられる場合には、接合線決定基準線は入口点と出口点を結ぶ線であり、入口点と出口点との間で、接合線決定基準線の上下に所定幅の範囲を探索範囲とする。入口点と出口点は、変更可能な暫定的なものであるときと、変更できないものであるときがありうる。
【0029】
ステップS3で設定された探索範囲に対して、接合線の入口点が指定されていない場合(S9)、無指定接合線探索プログラム12eが、入口点を指定しない接合線探索処理を実行する(S10)。接合線の入口点が指定されている場合(S9)、入口指定接合線探索プログラム12fが、入口点指定の接合線探索処理を実行する(S11)。
【0030】
例えば、図2に示す例で、領域ABに対しては、ある程度自由に、画像A,Bから接合線を決定でき、領域ACに対しては、ある程度自由に、画像A,Cから接合線を決定できる。しかし、その後に、領域ABC,又は領域ABCに対して接合線を決定しようとした場合には、領域AB又は領域ACの接合線から、自ずと探索範囲における入口点が定まる。逆に、領域ABCにおける接合線を考慮して、領域ABと領域ACの接合線決定に対して、入口点を決定するのが良い場合もありうる。そこで、本実施例では、初期探索範囲に対してステップS9〜S11を用意している。もちろん、このような可能性が無ければ、ステップ10とステップS11の片方のみでもよい。
【0031】
無指定接合線探索プログラム12eは入口指定接合線探索プログラム12fを利用するので、まず、入口指定接合線探索プログラム12fによる接合線探索(S11)の動作を詳細に説明する。入口指定接合線探索プログラム12fは、その引数として、探索範囲、探索方向及び入口点を必要とする。図6は、入口指定接合線探索プログラム12fによる入口点指定の接合線探索処理(S11)の詳細なフローチャートを示す。図7は、図5に示す2値化近似度データに対してステップS11による処理過程の説明図である。図7では、入口点(○印で示す)と出口点(×印で示す)が共に接合線決定基準線上に位置する。出口点は指定されない場合もありうる。また、図6に示す接合線探索の過程で該当するラベル上に設定される、接合線の始点(S)と終点(E)に対応する画素に、×を付記してある。
【0032】
入口指定接合線探索プログラム12fは、2値化近似度データ40を参照し、指定入口点が探索範囲内のラベル上に位置するかどうかを判断し(S31)、指定入口点がラベル上に位置する場合には(S31)、当該ラベルを接合線探索対象となる注目ラベルとし、指定入口点を始点とする。図7に示す例では、指定入口点はどのラベルにも属していないが、仮に指定入口点が探索範囲内の何れかのラベルに属する場合には(S32)、そのラベルを注目ラベルとし、指定入口点を始点とする(S32)。そして、注目ラベル上で、探索方向(図7では、右方向)の最先側にあり、かつ、接合線決定基準線に最も近い画素を終点とする(S33)。
【0033】
CPU12のラベル内接合線設定プログラム12gが、注目ラベル上で始点と終点を最短距離、すなわち最小画素数で結ぶ画素を探索し、これらの各画素に接合線フラグを立てることで、注目ラベル内に接合線を設定する(S34)。接合線フラグは、接合線として採用される画素であることを示す。2点間を最短距離で接続する画素の探索は、迷路の入口と出口を最短距離で接続する公知のアルゴリズムを採用することで、容易に実現できるし、また、全ての可能性を試すことでも容易に実現できる。なお、注目ラベルの全画素には、接合線探索処理が終了していることを示す処理済みフラグを立て、これにより、以後の接合線探索処理の対象から除外する。
【0034】
そして、終点から探索方向に見て、異なるラベル上で終点に最も近い未通過画素を探索する(S35)。このとき、接続可能性を拡げるために、真上又は真下にある画素も、探索範囲に入れる。未通過画素は、いまだ接合線探索の対象となっていないラベルの画素であり、処理済みフラグの立っていない画素である。未通過画素が複数発見される場合には、接合線決定基準線に最も近い画素を採用する。
【0035】
また、入口点が探索範囲内のラベル上に位置しない場合(S31)、すなわち、図7に示す説明例の場合、入口指定接合線探索プログラム12fは、2値化近似度データ40を参照して、入口点から探索方向に見て、入口点に最も近い未通過画素を探索する(S36)。ステップS36でも、接続可能性を拡げるために、真上又は真下にある画素も、探索範囲に入れる。
【0036】
ステップS35,S36における近さの定量的基準として、原則的に、距離を算定したい画素と、基準となる画素との間のユークリッド距離の自乗、すなわち、前者と後者の画素間の水平方向画素数(例えば、接続線決定基準線に沿った画素数)の自乗と垂直方向画素数(例えば、接続線決定基準線に直交する軸線に沿った画素数)の自乗の和が考えられる。しかし、この演算は自乗を含むので、最終的な結果を得るまでに時間がかかる。そこで、本実施例では、より簡易に、前者と後者の画素間の水平方向画素数と垂直方向画素数の最大値、又は前者と後者の画素を接続する直線が通過する画素数を採用する。ステップS35,S36での近さの判定は、厳密な比較を要求しないので、自乗を含まない簡易な演算で済む後者の方法が便利である。
【0037】
ステップS35又はステップS36の探索の結果、未通過画素を発見できた場合(S37)、発見した画素が探索範囲の上辺上又は下辺上にあると、それ以上の接合線探索が不確実になる。そこで、発見した画素が探索範囲の上辺上又は下辺上のいずれでもない場合に(S38)、次のラベルで接合線を探索する。すなわち、発見した画素を含むラベルを注目ラベルとし、発見した画素を始点とする(S39)。そして、注目ラベル内に接合線を設定し(S33,S34)、次に接合線を設定すべきラベルを探索する(S35)。
【0038】
ステップS35又はステップS36の探索で未通過画素を発見できない場合(S37)、もしくは、発見した画素が探索範囲の端辺上にある場合(S38)には、探索範囲内に、もはや接合線を設定すべきラベルが存在しないことになるので、処理を終了する。接合線がつながらない区間は、ジャンプ区間として、後述するように、2値化のための近似度閾値Tを下げて、再度、接合線を探索することになる。
【0039】
無指定接合線探索プログラム12eによる接合線探索処理(S10)を説明する。無指定接合線探索プログラム12eは、形式的には、その引数として探索範囲を必要とするが、初回にしか実行されないので、グローバル変数に探索範囲を設定しておき、それを参照するようにしてもよい。図8は、無指定接合線探索プログラム12eの詳細な動作フローチャートを示す。図9は、図5に示す2値化近似度データに対してステップS10による処理過程の説明図である。ステップS10の接合線探索の過程で該当するラベル上に設定される、接合線の始点(S)と終点(E)に対応する画素に、×を付記してある。
【0040】
無指定接合線探索プログラム12eは、2値化近似度データ40を参照し、指定された探索範囲内で最大面積(最大画素数)のラベルを探索し、注目ラベル(処理対象のラベル)とする(S51)。最大面積のラベルは、接合線を設定するのに最も好ましいと考えられるからである。最大面積のラベルが複数存在する場合には、中心が接合線決定基準線に最も近いものを注目ラベルとする。このようなラベルも複数存在する場合には、探索領域の左右方向に見て中央に近いラベル、又は、適当なラベルを注目ラベルとする。
【0041】
理解を容易にするために、探索領域の接合線決定基準線は、図9に示すように、水平になっているものとする。注目ラベルの最左端にあり、且つ接合線決定基準線に最も近い画素を、注目ラベル内の接合線の始点とする(S52)。注目ラベルの最右端にあり、接合線決定基準線に最も近い画素を、注目ラベル内の接合線の終点とする(S53)。この始点と終点を、探索範囲内で、注目ラベルよりも左側のラベルと右側のラベルに対する接合線探索処理のために記憶する(S54)。
【0042】
注目ラベル上で、始点と終点を最短距離、すなわち最小画素数で接続する画素を探索し、これらの画素に接合線フラグを立てることで、接合線を設定する(S55)。ステップS34と同様のアルゴリズムを採用でき、ステップS34と同様に、注目ラベルの全画素には、接合線探索処理の対象となったことを示す処理済みフラグを立て、これにより、以後の接合線探索処理の対象から除外する。
【0043】
次に、ステップS51で決定された注目ラベルの左側に存在するラベルのうちで、接合線を設定すべきラベルを逐次的に探索し、それらのラベル内に接合線を設定する(S56)。具体的には、無指定接合線探索プログラム12eは、ステップS34で記憶した始点から初期探索範囲の左辺までの、接合線決定基準線を中心とする一定幅を探索範囲とし、ステップS34で記憶した始点を入口点とし、探索方向として左方向を指定して、入口点指定接合線探索プログラム12fを呼び出す。入口点指定接合線探索プログラム12fは、2値化近似度データ40を参照し、図6に示すフローに従い、ステップS51の注目ラベル(最大面積のラベル)よりも左側に位置するラベルの中から、逐次的に接合線を設定すべきラベルを決定し、その各ラベル内に接合線を設定する。
【0044】
同様に、ステップS51で決定された注目ラベルの右側に存在するラベルのうちで、接合線を設定すべきラベルを逐次的に探索し、それらのラベル内に接合線を設定する(S57)。具体的には、無指定接合線探索プログラム12eは、ステップS34で記憶した終点から初期探索範囲の右辺までの、接合線決定基準線を中心とする一定幅を探索範囲とし、ステップS34で記憶した終点を入口点とし、探索方向として右方向を指定して、入口点指定接合線探索プログラム12fを呼び出す。入口点指定接合線探索プログラム12fは、2値化近似度データ40を参照し、図6に示すフローに従い、ステップS51の注目ラベル(最大面積のラベル)よりも右側に位置するラベルの中から、逐次的に接合線を設定すべきラベルを決定し、その各ラベル内に接合線を設定する。
【0045】
以上の処理(S51〜S57)により、近似度閾値T以上の近似値を持つラベルに対して、接合線を設定するのに適した互いに接近するラベルを選択し、選択されたラベルに接合線を設定できる。
【0046】
無指定接合線探索処理(S10)の最初のラベルを最大面積のラベルとしたが、接合線決定基準線に沿った長さ(接合線決定基準線に射影したときの長さ)が最も長いラベルを最初の注目ラベルとしてもよい。
【0047】
ステップS10又はS11の後、設定された接合線が不連続になる区間(ジャンプ区間)があるかどうかを調べる(S12)。これは、例えば、初期探索範囲内で、右から左又は左から右に、設定済みの接合線の端点(始点又は終点)のつながりを追跡することで判明する。
【0048】
ジャンプ区間が無い場合(S13)、初期探索範囲内で連続する接合線が設計されたことになるので、マニュアルでの編集・修整を実行する(S23)。
【0049】
ジャンプ区間がある場合(S13)、近似度閾値Tを所定値(Δ)だけ小さくする(S14)。最初のジャンプ区間を探索範囲とし、探索範囲の入口点と出口点を設定する(S15)。
【0050】
ジャンプ区間が、接合線を探索するほどもないほどに短い場合、例えば、数画素程度の場合(S16)、探索範囲の入口点と出口点を直結する接合線を、入口点と出口点の間の画素上に設定する(S21)。
【0051】
ジャンプ区間が、ある程度以上の距離を有する場合(S16)、CPU12の近似度2値化プログラム12bが、ステップS15で設定された探索範囲に対し、ステップS4で算出された近似度データ38を近似度閾値Tで2値化する(S17)。2値化された近似度を、ステップS7と同様にラベリングし(S18)、ステップS8と同様の処理で細線化する(S19)。入口指定接合線探索プログラム12fが、入口点指定の接合線探索処理を実行する(S20)。ステップS20の結果で得られる接合線の終点は、出口点に一致しない場合がありうるが、その終点と出口点との間はジャンプ区間となる。
【0052】
ステップS21又はS20の後、次のジャンプ区間を探索する(S22)。初期探索範囲の他端に達する前に次のジャンプ区間を発見したら(S22)、次のジャンプ区間を探索範囲に設定して(S23)、ステップS16〜S21を繰り返す。
【0053】
次のジャンプ区間を発見することなしに、初期探索範囲の他端に到達したら(S22)、ステップS12に戻る。すなわち、ステップS20での接合線探索で発生する可能性のあるジャンプ区間を探索し(S12)、発見した場合には(S13)、近似度閾値TをΔだけ少なくして、ステップS15〜S21の接合線探索処理を繰り返す。
【0054】
最終的にジャンプ区間が無くなると(S13)、以上の処理で設定された接合線を、合成すべき2つの画像に対して表示装置22に表示し、オペレータによる編集又は修正を受け付ける(S24)。オペレータは、マウス18等を使って、接合線を手動で適宜に編集・修正する。CPU12は、このようにして確定した接合線で2つのオルソ画像を合成し(S25)。得られた合成画像データ42をHDD24に格納する。
【0055】
このようにして得られた合成画像に更に合成したいオルソ画像又は別の合成画像がある場合、図3において、これらの2つの画像を対象に選択して(S1)、ステップS2以降を繰り返せばよい。
【0056】
図3及び図4では、同じ近似度閾値Tに対する全部のジャンプ区間に対して接合線を探索及び設定してから、近似度閾値TをΔだけ小さくしたが、ジャンプ区間を発見する都度、当該ジャンプ区間内で近似度閾値を低減し、接合線を探索および設定しても良い。このような処理は、再帰的なプログラムにより容易に実現できる。
【0057】
図3及び図4に示すフローは、いわば、0〜255の値をもつ近似度の分布から、近似度分布の稜線を示す画素を抽出する処理に相当する。多値の近似度分布からその稜線を探索しても、同様に、適した接合線を決定できる。
【0058】
図10、図11、図12及び図13を参照して、ジャンプ区間における接合線の探索を概略的に説明する。
【0059】
図10は、ステップS3で設定される探索範囲に、1つのジャンプ区間が存在する場合を示す。図10で、実線は、ステップS10又はステップS11で探索された接合線を示し、破線は、ジャンプ区間の端点(入口点と出口点)間を結ぶ直線を示す。ジャンプ区間の端点は、当該端点と同じ側の接続線の始点又は終点である。ステップS15では、図10に示すジャンプ区間の端点間を接続する線に平行に一定幅Wの探索範囲を、図11に示すように設定する。幅Wは、接合対象の画像に応じて、適宜に選択設定される。
【0060】
図11に示す探索範囲に対して、ステップS17〜S20において接合線を探索した結果、図12に示すような接合線(実線)が得られ、破線で示すジャンプ区間が残存するとする。この場合、図12に示すジャンプ区間に対して、更に、近似度閾値TをΔだけ減らし(S14)、探索範囲を設定し(S15)、接合線を探索する(S17〜S20)。図13は、その探索結果を示す。依然として残るジャンプ区間に対して、再度、ステップS14〜S20を実行する。当該ジャンプ区間が一定の短距離以下であれば(S16)、直接、入口点と出口点を接続する(S21)。
【0061】
ジャンプ区間がなくなったら(S13)、ユーザは、マウス18等を使って、接合線を手動で適宜に編集・修正する(S24)。修正された接合線で2つのオルソ画像が合成され(S25)、得られた合成画像データ42がHDD24に格納される。
【0062】
図14は、図16に示す2つのオルソ画像を本実施例により接合した例を示す。図14(A)は左オルソ画像の重複部分を示し、同(B)は右オルソ画像の重複部分を示し、同(C)は接合結果を示す。接合線が、建物とその倒れ込みを回避して設定される。即ち、同じ建物の互いに逆方向に倒れ込んでいる画像が接合されることが無い。
【0063】
特定の説明用の実施例を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲に規定される本発明の技術的範囲を逸脱しないで、上述の実施例に種々の変更・修整を施しうることは、本発明の属する分野の技術者にとって自明であり、このような変更・修整も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
10:画像接合装置
12:CPU
12a:近似度算出プログラム
12b:近似度2値化プログラム
12c:ラベリング処理プログラム
12d:細線化プログラム
12e:無指定接合線探索プログラム
12f:入口指定接合線探索プログラム
12g:ラベル内接合線設定プログラム
14:ROM
16:RAM
18:マウス
20:キーボード
22:表示装置
24:ハードディスク装置(HDD)
26:バス
30:オルソ画像データ
32:地盤標高データ(DTM)データ
34:表層標高(DSM)データ
36:建物フラグテーブル
38:近似度データ
40:2値化近似度データ
42:合成画像データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる方向からの撮影により得られる、少なくとも一部が重複する2つのオルソ画像データをコンピュータにより接合する方法であって、
当該コンピュータの演算手段が、当該2つのオルソ画像データの重複部分に初期探索範囲を設定し、当該コンピュータの記憶手段に格納する初期探索範囲設定ステップと、
当該演算手段が、当該初期探索範囲で当該2つのオルソ画像データの近似度を算出し、当該記憶手段に格納する近似度算出ステップと、
当該演算手段が、当該近似度算出ステップで得られる当該近似度が所定近似度値以上の近似度値範囲にある画素を抽出し、その隣接する画素毎にグループ化して、接合線探索対象画素を抽出する前処理ステップと、
当該演算手段が、当該接合線探索対象画素に従い、当該接合線探索対象画素の所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを探索し、当該所定のラベル及び探索した各ラベルに接合線を設定する接合線探索ステップと、
当該演算手段が、当該接合線のジャンプ区間に対し、より小さい近似度値範囲で当該前処理ステップを実行させ、これで抽出される接合線探索対象画素に対して、当該接合線探索対象画素の所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを選択し、選択した各ラベルに接合線を設定する繰り返しステップと、
当該演算手段により、当該接合線に従い当該2つのオルソ画像データを接合して、合成画像データを生成する接合ステップ
とを具備することを特徴とする画像接合方法。
【請求項2】
当該前処理ステップにおいて、当該接合線探索対象画素が細線化されていることを特徴とする請求項1に記載の画像接合方法。
【請求項3】
更に、当該コンピュータの演算手段が、当該接合線のジャンプ区間が所定距離以内の場合に、当該ジャンプ区間内を接続する接合線を設定するステップを具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像接合方法。
【請求項4】
当該所定のラベルが、当該接合線探索対象画素のラベルの内で最も面積の大きなラベルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像接合方法。
【請求項5】
当該所定のラベルが、当該接合線探索対象画素のラベルの内で当該2つのオルソ画像から所定の距離に設定される接合線決定基準線に沿った長さが最も長いラベルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像接合方法。
【請求項6】
当該接合線探索ステップが、当該所定のラベルから、当該2つのオルソ画像から所定の距離に設定される接合線決定基準線に沿った一方向に逐次的に所定方向に近いラベルを探索するステップと、当該接合線決定基準線に沿った一方向とは反対の方向に近いラベルを探索するステップを具備することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像接合方法。
【請求項7】
当該所定のラベルが、当該初期探索範囲に設定される入口点を含むラベル、及び、当該入口点に最も近い当該接合線探索対象画素のラベルの何れかであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像接合方法。
【請求項8】
当該繰り返しステップが、当該ジャンプ区間の検出の都度、実行されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像接合方法。
【請求項9】
同じ近似度値範囲に対する当該接合線探索対象画素の各ラベルへの接合線の設定を完了した後に、当該繰り返しステップを実行することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像接合方法。
【請求項10】
更に、当該演算手段が、当該記憶手段に記憶される地盤標高データと表層標高データを参照し、当該近似度算出ステップの前に、当該近似度算出ステップの処理対象となる当該2つのオルソ画像から建物を除外する建物除外ステップを具備することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の画像接合方法。
【請求項11】
互いに異なる方向からの撮影により得られる、少なくとも一部が重複する2つのオルソ画像データを接合する画像接合装置であって、
当該2つのオルソ画像データの重複部分に初期探索範囲を設定する初期探索範囲設定手段と、
当該初期探索範囲で当該2つのオルソ画像データの近似度を算出し、記憶手段に格納する近似度算出手段と、
当該記憶手段から指定探索範囲内の当該近似度を読み出し、読み出した当該近似度が指定の近似度値範囲にある画素を抽出し、その隣接する画素毎にグループ化して、接合線探索対象画素を抽出する前処理手段と、
当該前処理手段により生成される当該接合線探索対象画素のラベルのうちで、所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを探索し、当該所定のラベル及び探索した各ラベルに接合線を設定する接合線探索手段と、
当該前処理手段及び当該接合線探索手段を制御する制御手段であって、1回目には当該指定探索範囲として当該初期探索範囲を指定し、当該指定の近似度値範囲として上限値範囲を指定して、当該前処理手段および当該接合線探索手段を実行させ、2回目以降では、設定済みの接合線のジャンプ区間を当該指定探索範囲とし、段階的に低減した近似度値範囲を当該指定の近似度値範囲として、当該前処理手段および当該接合線探索手段を実行させる制御手段と、
当該接合線に従い当該2つのオルソ画像データを接合し、合成画像データを生成する合成手段
とを具備することを特徴とする画像接合装置。
【請求項12】
当該前処理手段は、当該接合線探索対象画素を細線化する手段を具備することを特徴とする請求項11に記載の画像接合装置。
【請求項13】
更に、当該接合線のジャンプ区間が所定距離以内の場合に、当該ジャンプ区間内を接続する接合線を設定する手段を具備することを特徴とする請求項11又は12に記載の画像接合装置。
【請求項14】
当該所定のラベルが、当該1回目において、当該接合線探索対象画素のラベルの内で最も面積の大きなラベルであることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の画像接合装置。
【請求項15】
当該所定のラベルが、当該1回目において、当該接合線探索対象画素のラベルの内で当該2つのオルソ画像から所定の距離に設定される接合線決定基準線に沿った長さが最も長いラベルであることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の画像接合装置。
【請求項16】
当該制御手段は、当該1回目において、当該所定のラベルから、当該2つのオルソ画像から所定の距離に設定される接合線決定基準線に沿った一方向に逐次的に所定方向に近いラベルを探索する処理と、当該接合線決定基準線に沿った一方向とは反対の方向に近いラベルを探索する処理を当該接合線探索手段に実行させることを特徴とする請求項14又は15に記載の画像接合装置。
【請求項17】
当該所定のラベルが、当該初期探索範囲に設定される入口点を含むラベル、及び、当該入口点に最も近い当該接合線探索対象画素のラベルの何れかであることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の画像接合装置。
【請求項18】
当該記憶手段が地盤標高データと表層標高データを記憶し、
更に、当該近似度算出手段による近似度算出の前に、当該近似度算出手段の処理対象となる当該2つのオルソ画像から建物を除外する建物除外手段を具備することを特徴とする請求項11乃至17の何れか1項に記載の画像接合装置。
【請求項19】
コンピュータに、互いに異なる方向からの撮影により得られる、少なくとも一部が重複する2つのオルソ画像データを接合させる画像接合プログラムであって、当該コンピュータに、
当該2つのオルソ画像データの重複部分に初期探索範囲を設定させ、当該コンピュータの記憶手段に格納させる初期探索範囲設定機能と、
当該初期探索範囲で当該2つのオルソ画像データの近似度を算出させ、当該記憶手段に格納させる近似度算出機能と、
当該近似度算出機能で得られる当該近似度が所定近似度値以上の近似度値範囲にある画素を抽出させ、その隣接する画素毎にグループ化させて、接合線探索対象画素を抽出させる前処理機能と、
当該接合線探索対象画素に従い、当該接合線探索対象画素の所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを探索させ、当該所定のラベル及び探索した各ラベルに接合線を設定させる接合線探索機能と、
当該接合線のジャンプ区間に対し、より小さい近似度値範囲で当該前処理機能を実行させ、これで抽出される接合線探索対象画素に対して、当該接合線探索対象画素の所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを選択させ、選択した各ラベルに接合線を設定させる繰り返し機能と、
当該接合線に従い当該2つのオルソ画像データを接合して、合成画像データを生成させる接合機能
とを実現させるための画像接合プログラム。
【請求項20】
当該前処理機能が、当該コンピュータに当該接合線探索対象画素を細線化させる機能を有することを特徴とする請求項19に記載の画像接合プログラム。
【請求項21】
更に、当該コンピュータに、当該接合線のジャンプ区間が所定距離以内の場合に、当該ジャンプ区間内を接続する接合線を設定させる機能を実現することを特徴とする請求項19又は20に記載の画像接合プログラム。
【請求項22】
当該所定のラベルが、当該接合線探索対象画素のラベルの内で最も面積の大きなラベルであることを特徴とする請求項19乃至21のいずれか1項に記載の画像接合プログラム。
【請求項23】
当該所定のラベルが、当該接合線探索対象画素のラベルの内で当該2つのオルソ画像から所定の距離に設定される接合線決定基準線に沿った長さが最も長いラベルであることを特徴とする請求項19乃至21のいずれか1項に記載の画像接合プログラム。
【請求項24】
当該接合線探索機能が、当該所定のラベルから、当該2つのオルソ画像から所定の距離に設定される接合線決定基準線に沿った一方向に逐次的に所定方向に近いラベルを探索する機能と、当該接合線決定基準線に沿った一方向とは反対の方向に近いラベルを探索する機能を当該コンピュータに実現させることを特徴とする請求項22又は23に記載の画像接合プログラム。
【請求項25】
当該所定のラベルが、当該初期探索範囲に設定される入口点を含むラベル、及び、当該入口点に最も近い当該接合線探索対象画素のラベルの何れかであることを特徴とする請求項19乃至21のいずれか1項に記載の画像接合プログラム。
【請求項26】
当該繰り返し機能が、当該ジャンプ区間の検出の都度、実行されることを特徴とする請求項19乃至25の何れか1項に記載の画像接合プログラム。
【請求項27】
同じ近似度値範囲に対する当該接合線探索対象画素の各ラベルへの接合線の設定を完了した後に、当該繰り返し機能が実行されることを特徴とする請求項19乃至25の何れか1項に記載の画像接合プログラム。
【請求項28】
更に、当該記憶手段に記憶される地盤標高データと表層標高データを参照し、当該近似度算出機能の前に、当該近似度算出機能の処理対象となる当該2つのオルソ画像から建物を除外する建物除外機能を当該コンピュータに実現させることを特徴とする請求項19乃至27の何れか1項に記載の画像接合プログラム。
【請求項1】
互いに異なる方向からの撮影により得られる、少なくとも一部が重複する2つのオルソ画像データをコンピュータにより接合する方法であって、
当該コンピュータの演算手段が、当該2つのオルソ画像データの重複部分に初期探索範囲を設定し、当該コンピュータの記憶手段に格納する初期探索範囲設定ステップと、
当該演算手段が、当該初期探索範囲で当該2つのオルソ画像データの近似度を算出し、当該記憶手段に格納する近似度算出ステップと、
当該演算手段が、当該近似度算出ステップで得られる当該近似度が所定近似度値以上の近似度値範囲にある画素を抽出し、その隣接する画素毎にグループ化して、接合線探索対象画素を抽出する前処理ステップと、
当該演算手段が、当該接合線探索対象画素に従い、当該接合線探索対象画素の所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを探索し、当該所定のラベル及び探索した各ラベルに接合線を設定する接合線探索ステップと、
当該演算手段が、当該接合線のジャンプ区間に対し、より小さい近似度値範囲で当該前処理ステップを実行させ、これで抽出される接合線探索対象画素に対して、当該接合線探索対象画素の所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを選択し、選択した各ラベルに接合線を設定する繰り返しステップと、
当該演算手段により、当該接合線に従い当該2つのオルソ画像データを接合して、合成画像データを生成する接合ステップ
とを具備することを特徴とする画像接合方法。
【請求項2】
当該前処理ステップにおいて、当該接合線探索対象画素が細線化されていることを特徴とする請求項1に記載の画像接合方法。
【請求項3】
更に、当該コンピュータの演算手段が、当該接合線のジャンプ区間が所定距離以内の場合に、当該ジャンプ区間内を接続する接合線を設定するステップを具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像接合方法。
【請求項4】
当該所定のラベルが、当該接合線探索対象画素のラベルの内で最も面積の大きなラベルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像接合方法。
【請求項5】
当該所定のラベルが、当該接合線探索対象画素のラベルの内で当該2つのオルソ画像から所定の距離に設定される接合線決定基準線に沿った長さが最も長いラベルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像接合方法。
【請求項6】
当該接合線探索ステップが、当該所定のラベルから、当該2つのオルソ画像から所定の距離に設定される接合線決定基準線に沿った一方向に逐次的に所定方向に近いラベルを探索するステップと、当該接合線決定基準線に沿った一方向とは反対の方向に近いラベルを探索するステップを具備することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像接合方法。
【請求項7】
当該所定のラベルが、当該初期探索範囲に設定される入口点を含むラベル、及び、当該入口点に最も近い当該接合線探索対象画素のラベルの何れかであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像接合方法。
【請求項8】
当該繰り返しステップが、当該ジャンプ区間の検出の都度、実行されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像接合方法。
【請求項9】
同じ近似度値範囲に対する当該接合線探索対象画素の各ラベルへの接合線の設定を完了した後に、当該繰り返しステップを実行することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像接合方法。
【請求項10】
更に、当該演算手段が、当該記憶手段に記憶される地盤標高データと表層標高データを参照し、当該近似度算出ステップの前に、当該近似度算出ステップの処理対象となる当該2つのオルソ画像から建物を除外する建物除外ステップを具備することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の画像接合方法。
【請求項11】
互いに異なる方向からの撮影により得られる、少なくとも一部が重複する2つのオルソ画像データを接合する画像接合装置であって、
当該2つのオルソ画像データの重複部分に初期探索範囲を設定する初期探索範囲設定手段と、
当該初期探索範囲で当該2つのオルソ画像データの近似度を算出し、記憶手段に格納する近似度算出手段と、
当該記憶手段から指定探索範囲内の当該近似度を読み出し、読み出した当該近似度が指定の近似度値範囲にある画素を抽出し、その隣接する画素毎にグループ化して、接合線探索対象画素を抽出する前処理手段と、
当該前処理手段により生成される当該接合線探索対象画素のラベルのうちで、所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを探索し、当該所定のラベル及び探索した各ラベルに接合線を設定する接合線探索手段と、
当該前処理手段及び当該接合線探索手段を制御する制御手段であって、1回目には当該指定探索範囲として当該初期探索範囲を指定し、当該指定の近似度値範囲として上限値範囲を指定して、当該前処理手段および当該接合線探索手段を実行させ、2回目以降では、設定済みの接合線のジャンプ区間を当該指定探索範囲とし、段階的に低減した近似度値範囲を当該指定の近似度値範囲として、当該前処理手段および当該接合線探索手段を実行させる制御手段と、
当該接合線に従い当該2つのオルソ画像データを接合し、合成画像データを生成する合成手段
とを具備することを特徴とする画像接合装置。
【請求項12】
当該前処理手段は、当該接合線探索対象画素を細線化する手段を具備することを特徴とする請求項11に記載の画像接合装置。
【請求項13】
更に、当該接合線のジャンプ区間が所定距離以内の場合に、当該ジャンプ区間内を接続する接合線を設定する手段を具備することを特徴とする請求項11又は12に記載の画像接合装置。
【請求項14】
当該所定のラベルが、当該1回目において、当該接合線探索対象画素のラベルの内で最も面積の大きなラベルであることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の画像接合装置。
【請求項15】
当該所定のラベルが、当該1回目において、当該接合線探索対象画素のラベルの内で当該2つのオルソ画像から所定の距離に設定される接合線決定基準線に沿った長さが最も長いラベルであることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の画像接合装置。
【請求項16】
当該制御手段は、当該1回目において、当該所定のラベルから、当該2つのオルソ画像から所定の距離に設定される接合線決定基準線に沿った一方向に逐次的に所定方向に近いラベルを探索する処理と、当該接合線決定基準線に沿った一方向とは反対の方向に近いラベルを探索する処理を当該接合線探索手段に実行させることを特徴とする請求項14又は15に記載の画像接合装置。
【請求項17】
当該所定のラベルが、当該初期探索範囲に設定される入口点を含むラベル、及び、当該入口点に最も近い当該接合線探索対象画素のラベルの何れかであることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の画像接合装置。
【請求項18】
当該記憶手段が地盤標高データと表層標高データを記憶し、
更に、当該近似度算出手段による近似度算出の前に、当該近似度算出手段の処理対象となる当該2つのオルソ画像から建物を除外する建物除外手段を具備することを特徴とする請求項11乃至17の何れか1項に記載の画像接合装置。
【請求項19】
コンピュータに、互いに異なる方向からの撮影により得られる、少なくとも一部が重複する2つのオルソ画像データを接合させる画像接合プログラムであって、当該コンピュータに、
当該2つのオルソ画像データの重複部分に初期探索範囲を設定させ、当該コンピュータの記憶手段に格納させる初期探索範囲設定機能と、
当該初期探索範囲で当該2つのオルソ画像データの近似度を算出させ、当該記憶手段に格納させる近似度算出機能と、
当該近似度算出機能で得られる当該近似度が所定近似度値以上の近似度値範囲にある画素を抽出させ、その隣接する画素毎にグループ化させて、接合線探索対象画素を抽出させる前処理機能と、
当該接合線探索対象画素に従い、当該接合線探索対象画素の所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを探索させ、当該所定のラベル及び探索した各ラベルに接合線を設定させる接合線探索機能と、
当該接合線のジャンプ区間に対し、より小さい近似度値範囲で当該前処理機能を実行させ、これで抽出される接合線探索対象画素に対して、当該接合線探索対象画素の所定のラベルから逐次的に所定方向に近いラベルを選択させ、選択した各ラベルに接合線を設定させる繰り返し機能と、
当該接合線に従い当該2つのオルソ画像データを接合して、合成画像データを生成させる接合機能
とを実現させるための画像接合プログラム。
【請求項20】
当該前処理機能が、当該コンピュータに当該接合線探索対象画素を細線化させる機能を有することを特徴とする請求項19に記載の画像接合プログラム。
【請求項21】
更に、当該コンピュータに、当該接合線のジャンプ区間が所定距離以内の場合に、当該ジャンプ区間内を接続する接合線を設定させる機能を実現することを特徴とする請求項19又は20に記載の画像接合プログラム。
【請求項22】
当該所定のラベルが、当該接合線探索対象画素のラベルの内で最も面積の大きなラベルであることを特徴とする請求項19乃至21のいずれか1項に記載の画像接合プログラム。
【請求項23】
当該所定のラベルが、当該接合線探索対象画素のラベルの内で当該2つのオルソ画像から所定の距離に設定される接合線決定基準線に沿った長さが最も長いラベルであることを特徴とする請求項19乃至21のいずれか1項に記載の画像接合プログラム。
【請求項24】
当該接合線探索機能が、当該所定のラベルから、当該2つのオルソ画像から所定の距離に設定される接合線決定基準線に沿った一方向に逐次的に所定方向に近いラベルを探索する機能と、当該接合線決定基準線に沿った一方向とは反対の方向に近いラベルを探索する機能を当該コンピュータに実現させることを特徴とする請求項22又は23に記載の画像接合プログラム。
【請求項25】
当該所定のラベルが、当該初期探索範囲に設定される入口点を含むラベル、及び、当該入口点に最も近い当該接合線探索対象画素のラベルの何れかであることを特徴とする請求項19乃至21のいずれか1項に記載の画像接合プログラム。
【請求項26】
当該繰り返し機能が、当該ジャンプ区間の検出の都度、実行されることを特徴とする請求項19乃至25の何れか1項に記載の画像接合プログラム。
【請求項27】
同じ近似度値範囲に対する当該接合線探索対象画素の各ラベルへの接合線の設定を完了した後に、当該繰り返し機能が実行されることを特徴とする請求項19乃至25の何れか1項に記載の画像接合プログラム。
【請求項28】
更に、当該記憶手段に記憶される地盤標高データと表層標高データを参照し、当該近似度算出機能の前に、当該近似度算出機能の処理対象となる当該2つのオルソ画像から建物を除外する建物除外機能を当該コンピュータに実現させることを特徴とする請求項19乃至27の何れか1項に記載の画像接合プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−272093(P2010−272093A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125858(P2009−125858)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000213909)朝日航洋株式会社 (30)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000213909)朝日航洋株式会社 (30)
【Fターム(参考)】
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