説明

画像撮影装置及びプログラム

【課題】シャッタ釦が操作されてから撮像された画像を記録保存するまでの時間をシャッタ釦の操作の仕方によって制御できるようにする。
【解決手段】
CPU1は、シャッタ釦SKが操作された場合にその操作状況に基づいて標準撮影のための操作か否かを判別し、その判別結果に基づいて、カメラ撮像部10で撮像された撮影画像に対して施される標準処理を制御して当該撮影画像を記録保存する。すなわち、標準撮影のためのシャッタ釦SKの操作であれば、オートフォーカス実行後に画質調整処理を施した撮影画像を記録保存させ、標準撮影のためのシャッタ釦SKの操作ではなければ、オートフォーカス実行後の画質調整処理の一部を省略して撮影画像を記録保存させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像部で撮像された画像を記録保存する画像撮影装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像撮影装置(カメラ装置)における静止画撮影機能としては、例えば、通常撮影、高速撮影、連続撮影、パノラマ撮影などがあり、この通常撮影時においては、シャッタ釦が半押し操作の状態から全押し操作されると、オートフォーカス(AF)を実行したのち、撮像された撮影画像に対して手ぶれ補正処理やノイズ補正処理を施したり、色彩補正処理やコントラスト補正処理を施したりして、その撮影画像を記録保存するようにしている。この場合、オートフォーカス時における合焦待ち時間が長いために、高速撮影時においては、シャッタ釦が一気に全押し操作された際に、オートフォーカスからパンフォーカス(固定焦点)に切り替えることによって撮影の高速化を図るようにしている。このパンフォーカスは、例えば、1.5m以降から無限大までの全ての被写体に対して焦点が合ったように見せかけるもので、このようなパンフォーカスへの切り替えを可能とした技術として、従来では、AF機能付きのカメラにおいて迅速撮影が必要なモードが選択された場合に、オートフォーカスを中止して固定焦点にて撮影を行うようにした技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−90823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した先行技術にあっては、モード切り替えのためのユーザ操作が必要となるため、高速撮影(速写)には不向きである、という問題がある。
【0005】
本発明の課題は、シャッタ操作が行われてから撮像された画像を記録保存するまでの時間をシャッタ操作の仕方によって制御できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、撮像部で撮像された撮影画像を記録保存する画像撮影装置であって、撮影を指示するシャッタ操作が行われた場合にその操作状況に基づいて標準撮影のための操作か否かを判別する判別手段と、この判別手段による判別結果に基づいて、前記撮像部で撮像された撮影画像に対して施される標準処理を制御して当該撮影画像を記録保存させる処理制御手段と、を具備したことを特徴とする。
【0007】
請求項1に従属する発明として、前記判別手段は、前記シャッタ操作として全押し操作された場合に、半押し操作後の一時停止状態からの全押し操作か、一気に全押し操作されたかの操作状況に基づいて標準撮影のための操作か否かを判別する、ようにしたことを特徴とする請求項2記載の発明であってもよい。
【0008】
請求項1に従属する発明として、前記標準処理は、前記撮像部で撮像された撮影画像に対してその画質を調整するための画質調整処理を含み、前記処理制御手段は、前記判別手段によって標準撮影のためのシャッタ操作であると判別された際に、オートフォーカス実行後に前記画質調整処理を施した撮影画像を記録保存させ、前記判別手段によって標準撮影のためのシャッタ操作ではないと判別された際に、前記オートフォーカス実行後の前記画質調整処理を制御して当該撮影画像を記録保存させる、ようにしたことを特徴とする請求項3記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項3に従属する発明として、前記画質調整処理は、色彩補正処理、コントラスト補正処理、手振れ補正処理、ノイズ補正処理のうち、少なくともそのいずれかの補正処理である、ことを特徴とする請求項4記載の発明であってもよい。
【0010】
請求項3に従属する発明として、前記処理制御手段は、前記判別手段によって標準撮影のためのシャッタ操作ではないと判別された際に、前記画質調整処理の全部あるいは一部を省略する、ようにしたことを特徴とする請求項5記載の発明であってもよい。
【0011】
請求項5に従属する発明として、画像撮影の終了時に、前記記録保存されている各画像ファイルの中から前記画質調整処理を省略して記録保存させた画像ファイルを特定し、この特定ファイルに対して前記画質調整処理を施す後処理手段を更に備えた、ことを特徴とする請求項6記載の発明であってもよい。
【0012】
請求項1に従属する発明として、前記標準処理は、前記撮像部で撮像された撮影画像をファイル化するための画像ファイル化処理を含み、前記処理制御手段は、前記判別手段によって標準撮影のためのシャッタ操作であると判別された際に、画像ファイル化に関する情報として予め任意に設定されている画像設定情報に基づいて前記画像ファイル化処理を実行して当該撮影画像を記録保存させ、前記判別手段によって標準撮影のためのシャッタ操作ではないと判別された際に、前記任意設定の画像設定情報に拘わらず、所定の画像設定情報に基づいて前記画像ファイル化処理を実行して当該撮影画像を記録保存させる、ようにしたことを特徴とする請求項7記載の発明であってもよい。
【0013】
請求項1に従属する発明として、前記標準処理は、前記撮像部で撮像された撮影画像をファイル化して記録保存する場合にその画像を圧縮して記録保存する画像圧縮処理であり、前記処理制御手段は、前記判別手段によって標準撮影のためのシャッタ操作であると判別された際に、前記画像圧縮処理を実行して当該撮影画像を記録保存させ、前記判別手段によって標準撮影のためのシャッタ操作ではないと判別された際に、前記画像圧縮処理を省略することによって当該撮影画像を非圧縮ファイルとして記録保存させる、ようにしたことを特徴とする請求項8記載の発明であってもよい。
【0014】
請求項8に従属する発明として、画像撮影の終了時に、前記記録保存されている各画像ファイルの中から前記非圧縮ファイルを特定し、この非圧縮ファイルに対して前記画像圧縮処理を実行する後処理手段を更に備えた、ことを特徴とする請求項9記載の発明であってもよい。
【0015】
請求項1に従属する発明として、前記標準処理は、前記撮像部で撮像された画像を記録保存した際にその画像を確認表示させるための画像表示処理を含み、前記処理制御手段は、前記判別手段によって標準撮影のためのシャッタ操作であると判別された際に、前記画像表示処理を実行させて当該画像を所定時間表示させたのち、前記撮像部で撮像された撮影画像をモニタ表示させ、前記判別手段によって標準撮影のためのシャッタ操作ではないと判別された際に、前記画像表示処理を省略して前記撮像部で撮像された撮影画像をモニタ表示させる、ようにしたことを特徴とする請求項10記載の発明であってもよい。
【0016】
また、上述した課題を解決するために請求項11記載の発明は、コンピュータに対して、撮影を指示するシャッタ操作が行われた場合にその操作状況に基づいて標準撮影のための操作か否かを判別する機能と、前記判別結果に基づいて、撮像部で撮像された撮影画像に対して施される標準処理を制御して当該撮影画像を記録保存する機能と、を実現させるためのプログラムを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シャッタ操作が行われてから撮像された画像を記録保存するまでの時間をシャッタ操作の仕方によって制御することができ、シャッタ操作の仕方を変えるだけで高速撮影にも対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】画像撮影装置として適用した撮影機能付き携帯電話装置の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図2】カメラ撮像部11の概略構成を示したブロック回路図。
【図3】カメラ起動が指示された際に実行開始される撮影機能(カメラ機能)の動作を示したフローチャート。
【図4】図3に続く動作を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1〜図4を参照して本発明の実施形態を説明する。
本実施形態は、画像撮影装置として撮影機能(カメラ機能)付きの携帯電話装置に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話装置の基本的な構成要素を示したブロック図である。
この携帯電話装置は、例えば、2つの筐体(操作部筐体、表示部筐体)が開閉可能に取り付けられた折り畳み自在なもので、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)、画像撮影を行う撮影機能などを備えている。
【0020】
CPU1は、記憶部2内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話装置の全体動作を制御する中核的な中央演算処理装置である。記憶部2は、内部メモリであり、図示しないプログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図3及び図4に示す動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムが格納され、また、そのデータ領域には、撮影機能によって撮影された撮影画像がファイル化されて記録保存される画像メモリMなどが設けられている。記録メディア3は、着脱自在な可搬型メモリで、例えば、SDカード、ICカードなどによって構成されたもので、この記録メディア3に画像メモリMを設けて撮影画像を記録保存するようにしてもよい。メモリ4は、ワーク領域を有する内部メモリである。
【0021】
電話通信部5は、図示しない無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備え、例えば、音声通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能の動作時に最寄りの基地局(図示せず)との間でデータの送受信を行うもので、音声通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのち、音声信号処理部6を介して通話用スピーカSPから音声出力させ、また、通話用マイクMCからの入力音声データを音声信号処理部6から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのち、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナから発信出力させる。
【0022】
操作部7は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行うもので、撮影機能(カメラ機能)をON(オン)/OFF(オフ)するカメラ釦CKやシャッタ釦SKなどを有し、CPU1は、操作部7からの入力信号に応じた処理を実行する。このシャッタ釦SKは、半押しと、全押しの2段押し形式の釦によって構成され、CPU1は、シャッタ釦SKが全押し操作された場合に、半押し操作後の一時停止状態からの全押し操作であるか、一気に全押し操作されたかの操作状況に基づいて、標準撮影のためのシャッタ操作(半押し後の全押し操作)であるか、高速撮影(速写)のためのシャッタ操作(一気に全押し操作)であるかを判別するようにしている。表示部8は、高精細液晶あるいは有機ELなどを使用したもので、画像撮影の際に取り込んだキャプチャ画像をスルー表示(モニタ表示)したり、カメラ撮影されて記録保存されている保存画像などを表示したりする。RTC(リアルタイムクロックモジュール)9は、時計部を構成するもので、CPU1は、RTC9から現在日時を取得する。
【0023】
カメラ撮像部10は、デジタルカメラ機能(撮影機能)を構成するもので、このカメラ撮像部10によって撮像された撮影画像は、所定の形式にファイル化されて記憶部2あるいは記録メディア3の画像メモリMに記録保存される。ここで、シャッタ釦SKが操作された際に、CPU1は、標準撮影のためのシャッタ操作(半押し状態からの全押し操作)であれば、カメラ撮像部10によって撮像された撮影画像に対して標準処理を施したのち、画像メモリMに記録保存するようにしている。
【0024】
ここで、標準処理とは、各種の画質調整処理として、後述する手振れ補正処理、ノイズ補正処理、色彩補正処理、コントラスト補正処理のほか、画像の実質的な内容を変えずにそのサイズを縮小することによって圧縮(可逆圧縮)してファイル化する画像圧縮処理を含み、また、保存直後においてその保存画像ファイルをユーザに確認させるための画像表示処理を含む処理である。一方、シャッタ釦SKが操作された際に、標準撮影のための操作ではない場合、つまり、高速撮影のためのシャッタ操作(一気の全押し操作)であれば、撮影画像に対して施される標準処理を制御して記録保存するようにしている。ここで、標準処理を制御とは、上述した標準処理の中から手振れ補正処理、色彩補正処理、コントラスト補正処理、画像圧縮処理、画像表示処理を省略することである。つまり、標準処理の一部を省略することを意味しているが、その全てを省略したり、処理全体あるいは一部を簡素化したりするようにしてもよい。
【0025】
図2は、カメラ撮像部10の概略構成を示したブロック回路図である。
撮影レンズ系11からの被写体像は、絞り機構12を通して、CCDなどの撮像素子13に結像される。光学系駆動部14は、撮影レンズ系11内のレンズ位置を制御して焦点合わせを行ったり、絞り機構12の絞り量を可変して露出調整を行ったりするもので、測距センサ、光量センサなどを含むセンサ部15からの出力に基づいてCPU1は、光学系駆動部14の動作を制御する。駆動回路16は、撮像素子13によって光電変換された各画素対応の電荷を画像信号として順次取り出してアナログ処理回路17に与える。このアナログ処理回路17は、入力された画像信号に色分離、ゲイン調整、ホワイトバランスなどを施すもので、A/D変換回路18によってデジタル変換された画像データは、バッファレジスタ19に一時記憶される。信号処理回路20は、画像データを輝度信号及び色差信号に変換出力する処理回路である。
【0026】
次に、本実施形態における携帯電話装置の動作概念を図3及び図4に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなど伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。なお、図3及び図4は、携帯電話装置の全体動作のうち、本実施形態の特徴部分の動作概要を示したフローチャートであり、この図3及び図4のフローから抜けた際には、全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。
【0027】
図3及び図4は、カメラ起動が指示された際に実行開始される撮影機能の動作を示したフローチャートである。
先ず、CPU1は、撮影機能をON(オン)/OFF(オフ)するカメラ釦CKがオン操作されてカメラ起動が指示されると、カメラ撮像部10の駆動を開始させたのち(図3のステップS1)、カメラ撮像部10によって撮像された撮影画像を取り込んで表示部8にスルー表示(モニタ表示)させる(ステップS2)。そして、オートフォーカスがオン状態となっていれば、オートフォーカスの駆動を開始させたのち(ステップS3)、操作部7でいずれかの操作が行われるまで操作待ち状態となる(ステップS4)。
【0028】
いま、いずれかの操作が行われた場合には(ステップS4でYES)、それがシャッタ釦SKであるか(ステップS5)、カメラ釦CKによるオフ操作(撮影機能の終了操作)であるかを調べ(ステップS6)、その他の操作であれば(ステップS6でNO)、その操作に応じた処理として、例えば、手動露出調整処理、あるいは撮影画像を保存する際の画像サイズを任意に設定する設定情報などを行って(ステップS7)、操作待ち状態に戻る(ステップS4)。
【0029】
シャッタ釦SKが操作された場合には(ステップS5でYES)、図4のフローに移り、シャッタ釦SKの操作は半押し操作かを調べ(ステップS17)、半押し操作であれば(ステップS17でYES)、一時的に焦点を固定するためにフォーカスロックをカメラ撮像部10に対して指示する(ステップS18)。そして、半押し操作が解除されたかを調べ(ステップS19)、半押し操作が解除されたときには(ステップS19でYES)、上述の操作待ち状態に戻る(図3のステップS4)。
【0030】
また、半押し操作がそのまま継続されていれば(ステップS19でNO)、半押し状態から全押し操作が行われたか(半押し操作後の一時停止状態から全押し操作が行われたか)を調べ(ステップS20)、半押し操作のままであれば(ステップS20でNO)、上述のステップS19に戻るが、半押し状態から全押し操作が行われたときには(ステップS20でYES)、カメラ撮像部10によって撮像された撮影画像をキャプチャしたのち(ステップS21)、シャッタ音を発生出力させると共に、上述のスルー表示(モニタ表示)をオフ(消去)させる(ステップS22)。
【0031】
そして、このキャプチャ画像に対してその画質を調整する各種の画質調整処理として、このキャプチャ画像をデータ処理することで電子的(デジタル的)な手振れ補正処理を行う(ステップS23)。例えば、どのような手振れであるか、自然な画像に対して手振れの状態はどうかによってその手振れの特徴を見出して逆変換の補正を行ったり、揺れの周波数が低い場合には揺れが大きいという揺れ周波数の特徴から補正を行ったり、複数枚の画像を合成することで補正を行ったりする。なお、レンズ、シャッタースピード、感度などを調節する光学的な手振れ補正を行うようにしてもよい。
【0032】
次に、キャプチャ画像に対してその画質を調整する各種の画質調整処理として、光学的なノイズなどを除去するノイズ補正処理を施したり(ステップS24)、画像全体が最適な色彩や最適なコントラストとなるように調整する色彩補正処理やコントラスト補正処理を施したりする(ステップS25)。このような画質調整処理を施したのち、その撮影画像をファイル化して保存するが、それに先立って、任意に設定されている画像設定情報としての「「画質サイズ」を読み出し(ステップS26)、この「画質サイズ」に基づいて当該キャプチャ画像(撮影画像)をファイル化して圧縮する画像圧縮処理を行う(ステップS27)。これによって画像の実質的な内容を変えずにそのサイズのみが縮小されることになる。そして、この圧縮画像ファイルを記憶部2あるいは記録メディア3の画像メモリMに記録保存させる(ステップS28)。このように撮影画像をファイル化して保存したのちは、この保存画像をユーザに確認させるために、所定時間(例えば、1秒間)、表示部8に表示させたのち(ステップS29)、上述のスルー表示(モニタ表示)に戻してから(ステップS30)、上述の操作待ち状態となる(図3のステップS4)。
【0033】
一方、シャッタ釦SKが操作された場合(図3のステップS5でYES)、高速撮影(速写)のために、それが一気に全押し操作されたときには(図4のステップS17でYES)、カメラ撮像部10によって撮像された撮影画像をキャプチャし(ステップS31)、シャッタ音を発生出力させると共に上述のスルー表示(モニタ表示)をオフ(消去)させる(ステップS32)。そして、カメラ撮像部10から取り込んだキャプチャ画像に対し、その画質を調整する処理として、光学的なノイズなどを除去するノイズ補正処理を施す(ステップS33)。
【0034】
ここで、上述したように半押し状態からの全押し操作では、各種の画質調整処理として、手振れ補正処理、ノイズ補正処理、色彩補正処理、コントラスト補正処理を施すようにしたが、高速撮影の場合の全押し操作では、手振れ補正処理、色彩補正処理、コントラスト補正処理を省略して、上述のノイズ補正処理を施すようにしている。そして、予めデフォルト値として決められている画像設定情報としての「画質サイズ」を読み出し(ステップS34)、この「画質サイズ」に基づいて当該撮影画像をファイル化して記録保存するが、高速撮影の場合には、上述した画像圧縮処理を省略することによって非圧縮ファイルとして保存する(ステップS35)。そして、高速撮影(速写)を行ったことを示す速写フラグ(図示省略)を当該画像ファイル(保存ファイル)に付加したのち(ステップS36)、上述のスルー表示(モニタ表示)に戻してから(ステップS30)、上述の操作待ち状態となる(図3のステップS4)。
【0035】
以下、上述と同様に、シャッタ釦SKが操作される毎に、その操作状況(半押し状態からの全押し操作あるいは一気な全押し操作)に応じて上述の動作が行われる。ここで、カメラ釦CKによるオフ操作(撮影機能の終了操作)が行われると(図4のステップS6でYES)、画像メモリMからその先頭の画像ファイルを読み出し(ステップS8)、その画像ファイルに速写フラグが付加されているかを調べる(ステップS9)。ここで、速写フラグが付加されてなれば、標準撮影が行われた場合であるから(ステップS9でNO)、次の画像ファイルを読み出し指定する処理に移るが(ステップS15)、速写フラグが付加されていれば、高速撮影が行われた場合であるから(ステップS9でYES)、この高速撮影された画像ファイルを上述の標準撮影時と同様の画像ファイルとするための後処理として、画像メモリMから読み出した画像ファイルを展開して元の画像、つまり、上述のステップS13を実行する前の画像(画像圧縮処理を行う前の画像)に復元したのち、上述のステップS23と同様の手振れ補正処理(電子的な手振れ補正処理)を施すと共に(ステップS10)、上述のステップS25と同様の色彩補正処理及びコントラスト補正処理を施す(ステップS11)。
【0036】
そして、上述のステップS26〜S28と同様に、任意に設定されている画像設定情報としての「画質サイズ」を読み出し(ステップS12)、この「画質サイズ」に応じて当該画像に上述のステップS13と同様の画像圧縮処理を施したのち(ステップS13)、この画像ファイルを画像メモリMに再保存する(ステップS14)。そして、次の画像ファイルを読み出し指定し(ステップS15)、指定ファイルは最終のファイルであるかを調べ(ステップS16)、以下、最終の画像ファイルが指定されるまで上述のステップS9に戻って、同様の動作を繰り返す。
【0037】
以上のように、本実施形態においてCPU1は、シャッタ釦SKが操作された場合にその操作状況に基づいて標準撮影のための操作であるか否かを判別し、その判別結果に基づいて、カメラ撮像部10で撮像された撮影画像に対して施される標準処理を制御して当該撮影画像を記録保存するようにしたので、シャッタ釦SKが操作されてから撮像された画像を記録保存するまでの時間をシャッタ釦SKの操作の仕方によって制御することができ、シャッタ操作の仕方を変えるだけで高速撮影にも対応可能となる。
【0038】
CPU1は、シャッタ釦SKが全押し操作された場合に、半押し操作後の一時停止状態からの全押し操作か、一気に全押し操作されたかの操作状況に基づいて標準撮影のための操作か否かを判別するようにしたので、簡単な操作によって標準撮影と高速撮影との切り替えが可能となる。
【0039】
標準処理は、カメラ撮像部10で撮像された撮影画像に対してその画質を調整するための画質調整処理を含み、標準撮影のためのシャッタ釦SKの操作であれば、オートフォーカス実行後に画質調整処理を施した撮影画像を記録保存させ、標準撮影のためのシャッタ釦SKの操作ではなければ、オートフォーカス実行後の画質調整処理を制御して撮影画像を記録保存させるようにしたので、従来のように、オートフォーカスをパンフォーカスに切り替えなくても、画像を記録保存するまでの時間を短縮することができる。
【0040】
画質調整処理は、色彩補正処理、コントラスト補正処理、手振れ補正処理、ノイズ補正処理であり、そのうち色彩補正処理、コントラスト補正処理、手振れ補正処理を省略するようにしたので、大幅な時間短縮が可能となる。
【0041】
カメラ撮影終了時に、保存されている各画像ファイルの中から高速撮影時に画質調整処理を制御(一部を省略)して記録保存させた画像ファイルを特定し、この特定ファイルに対して、省略した画質調整処理を施す後処理を行うようにしたから、高速撮影によって時間の短縮を図ったとしても標準撮影時と同様の画像を得ることができる。
【0042】
CPU1は、シャッタ釦SKの操作が標準撮影のための操作であれば、任意設定の画像設定情報に基づいて画像ファイル化処理を実行して記録保存させ、標準撮影のための操作ではなければ、所定(デフォルト)の画像設定情報に基づいて画像ファイル化処理を実行して記録保存させるようにしたので、例えば、任意設定の画像設定情報に基づいてファイル化された場合のファイル容量に対して、デフォルトの画像設定情報に基づいてファイル化された場合のファイル容量が小さければ、それだけ画像ファイル化処理の処理時間を短縮することができる。
【0043】
また、シャッタ釦SKの操作が標準撮影のための操作であれば、画像圧縮処理を実行して記録保存させ、標準撮影のための操作ではなければ、画像圧縮処理を省略して当該撮影画像を非圧縮ファイルとして記録保存させるようにしたので、画像圧縮を行うための処理時間が不要となり、それだけ時間短縮が可能となる。
【0044】
また、カメラ釦CKによるオフ操作(撮影機能の終了操作)が行われた際に、画像メモリM内の各画像ファイルの中から非圧縮ファイル画像圧縮処理を特定し、この特定ファイルに対して高速撮影時に省略した画像圧縮処理を実行する後処理を行うようにしたので、シャッタ釦SKが操作されてから撮像された画像を記録保存するまでの時間を短縮するために、画像圧縮処理を省略しても、撮影終了時には標準撮影時と同様の画像ファイルとすることができる。
【0045】
また、シャッタ釦SKの操作が標準撮影のための操作であれば、カメラ撮像部10で撮像された撮影画像を保存した際にその保存済み画像を所定時間(例えば、1秒間)確認表示させるが、この撮影画像をモニタ表示させ、標準撮影のための操作ではなければ、上述の保存済み画像の確認表示を省略するようにしたので、次の撮影に移行するまでの処理時間の短縮化が可能となり、高速撮影に適したものとなる。
【0046】
また、上述した実施形態においては、シャッタ釦SKが全押し操作された場合に、半押し操作後の一時停止状態からの全押し操作か、一気に全押し操作されたかの操作状況に基づいて標準撮影のための操作か否かを判別するようにしたが、上述のような2段押し方式に限らず、例えば、シャッタ釦SKをスライド式としたり、回転式としたりするようにした場合であっても、その操作状況に基づいて標準撮影のための操作か否かを判別するようにしてもよい。
【0047】
また、上述した実施形態においては、手振れ補正処理、色彩補正処理、コントラスト補正処理を省略したが、高速撮影時には更にノイズ補正を省略するようにしてもよい。また、高速撮影には、手振れ補正処理、色彩補正処理、コントラスト補正処理、ノイズ補正などのうち、そのいずれか一つあるいは複数の補正処理を時間と画質との関係を考慮して省略したり処理を簡素化したりするようにしてもよい。
【0048】
なお、画像圧縮処理を省略して非圧縮ファイルを記録保存する場合にはデフォルト値としての画像サイズを読み出すステップS34を省略するようにしてもよい。また、画像圧縮処理を省略して非圧縮ファイルを記録保存する場合に限らず、標準撮影のためのシャッタ操作の場合には、高圧縮を行い、標準撮影のためのシャッタ操作ではない場合には、低圧縮を行うようにしてもよい。この場合、画像圧縮の度合いに応じて「画質モード」として、最最高画質モード、高画質モード、標準画質モードを選択するようにしてもよい。なお、圧縮率は最最高画質モード<高画質モード<標準画質モードの関係にある。また、標準処理として、手振れ補正処理、ノイズ補正処理、色彩補正処理、コントラスト補正処理、画像圧縮処理を例示したが、これに限らず、任意の画質調整処理であってもよい。
【0049】
また、上述した実施形態においては、シャッタ釦SKの操作が標準撮影のための操作であれば、カメラ撮像部10で撮像された撮影画像を保存した際にその保存済み画像を確認表示させるようにしたが、保存する直前の画像を確認表示させるようにしてもよい。
その他、上述した実施形態においては、画像撮影装置として撮影機能(カメラ機能)付きの携帯電話装置に適用した場合を例示したが、携帯電話装置に限らず、撮影機能付きのPDA、音楽プレイヤー、ゲーム機器、それらの複合機、あるいはデジタルカメラ自体であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 CPU
2 記憶部
3 記録メディア
7 操作部
8 表示部
10 カメラ撮像部
11 撮影レンズ系
12 絞り機構
13 撮像素子
14 光学系駆動部
15 センサ部
16 駆動回路
17 アナログ処理回路
18 A/D変換回路
19 バッファレジスタ
20 信号処理回路
SK シャッタ釦
M 画像メモリ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部で撮像された撮影画像を記録保存する画像撮影装置であって、
撮影を指示するシャッタ操作が行われた場合にその操作状況に基づいて標準撮影のための操作か否かを判別する判別手段と、
この判別手段による判別結果に基づいて、前記撮像部で撮像された撮影画像に対して施される標準処理を制御して当該撮影画像を記録保存させる処理制御手段と、
を具備したことを特徴とする画像撮影装置。
【請求項2】
前記判別手段は、前記シャッタ操作として全押し操作された場合に、半押し操作後の一時停止状態からの全押し操作か、一気に全押し操作されたかの操作状況に基づいて標準撮影のための操作か否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像撮影装置。
【請求項3】
前記標準処理は、前記撮像部で撮像された撮影画像に対してその画質を調整するための画質調整処理を含み、
前記処理制御手段は、前記判別手段によって標準撮影のためのシャッタ操作であると判別された際に、オートフォーカス実行後に前記画質調整処理を施した撮影画像を記録保存させ、前記判別手段によって標準撮影のためのシャッタ操作ではないと判別された際に、前記オートフォーカス実行後の前記画質調整処理を制御して当該撮影画像を記録保存させる、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像撮影装置。
【請求項4】
前記画質調整処理は、色彩補正処理、コントラスト補正処理、手振れ補正処理、ノイズ補正処理のうち、少なくともそのいずれかの補正処理である、
ことを特徴とする請求項3記載の画像撮影装置。
【請求項5】
前記処理制御手段は、前記判別手段によって標準撮影のためのシャッタ操作ではないと判別された際に、前記画質調整処理の全部あるいは一部の実行を省略する、
ようにしたことを特徴とする請求項3記載の画像撮影装置。
【請求項6】
画像撮影の終了時に、前記記録保存されている各画像ファイルの中から前記画質調整処理を省略して記録保存させた画像ファイルを特定し、この特定ファイルに対して前記画質調整処理を施す後処理手段を更に備えた、
ことを特徴とする請求項5記載の画像撮影装置。
【請求項7】
前記標準処理は、前記撮像部で撮像された撮影画像をファイル化するための画像ファイル化処理を含み、
前記処理制御手段は、前記判別手段によって標準撮影のためのシャッタ操作であると判別された際に、画像ファイル化に関する情報として予め任意に設定されている画像設定情報に基づいて前記画像ファイル化処理を実行して当該撮影画像を記録保存させ、前記判別手段によって標準撮影のためのシャッタ操作ではないと判別された際に、前記任意設定の画像設定情報に拘わらず、所定の画像設定情報に基づいて前記画像ファイル化処理を実行して当該撮影画像を記録保存させる、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像撮影装置。
【請求項8】
前記標準処理は、前記撮像部で撮像された撮影画像をファイル化して記録保存する場合にその画像を圧縮して記録保存する画像圧縮処理であり、
前記処理制御手段は、前記判別手段によって標準撮影のためのシャッタ操作であると判別された際に、前記画像圧縮処理を実行して当該撮影画像を記録保存させ、前記判別手段によって標準撮影のためのシャッタ操作ではないと判別された際に、前記画像圧縮処理を省略することによって当該撮影画像を非圧縮ファイルとして記録保存させる、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像撮影装置。
【請求項9】
画像撮影の終了時に、前記記録保存されている各画像ファイルの中から前記非圧縮ファイルを特定し、この非圧縮ファイルに対して前記画像圧縮処理を実行する後処理手段を更に備えた、
ことを特徴とする請求項8記載の画像撮影装置。
【請求項10】
前記標準処理は、前記撮像部で撮像された画像を記録保存した際にその画像を確認表示させるための画像表示処理を含み、
前記処理制御手段は、前記判別手段によって標準撮影のためのシャッタ操作であると判別された際に、前記画像表示処理を実行させて当該画像を所定時間表示させたのち、前記撮像部で撮像された撮影画像をモニタ表示させ、前記判別手段によって標準撮影のためのシャッタ操作ではないと判別された際に、前記画像表示処理を省略して前記撮像部で撮像された撮影画像をモニタ表示させる、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像撮影装置。
【請求項11】
コンピュータに対して、
撮影を指示するシャッタ操作が行われた場合にその操作状況に基づいて標準撮影のための操作か否かを判別する機能と、
前記判別結果に基づいて、撮像部で撮像された撮影画像に対して施される標準処理を制御して当該撮影画像を記録保存する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−177743(P2010−177743A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15179(P2009−15179)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】