説明

画像表示用粒子および装置

【課題】透明基板および対向基板の間に1種類以上の粒子を封入し、基板間に電界を与えて粒子を飛翔移動させて画像を表示する画像表示装置において、粒子への帯電性の付与が充分に行なわれ、電界を形成した際に、粒子の理想的な飛翔が行なわれ、コントラストが十分で良好な画像が安定して得られる画像表示用粒子および装置方法を提供する。
【解決手段】該粒子として、微粒子を荷電制御剤の溶液により表面処理して得られた画像表示用粒子を用いる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クーロン力などを利用した粒子の飛翔移動に伴い画像を繰り返し画像表示、消去できる画像表示装置およびその画像表示用粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶(LCD)に代わる画像表示装置として、電気泳動方式、エレクトロクロミック方式、サーマル方式、2色粒子回転方式などの技術を用いた画像表示装置(ディスプレイ)が提案されている。これらの画像表示装置は、LCDに比べて、通常の印刷物に近い広い視野角が得られる、消費電力が小さい、メモリー機能を有している等のメリットから、次世代の安価な表示装置として考えられ、携帯端末用表示、電子ペーパー等への展開が期待されている。
【0003】最近、分散粒子と着色溶液からなる分散液をマイクロカプセル化し、これを対向する基板間に配置する電気泳動方式が提案されている。しかしながら、電気泳動方式では、液中に粒子が泳動するために液の粘性抵抗により応答速度が遅いという問題がある。また、低比重の溶液中に酸化チタンなどの高比重の粒子を分散させているために、沈降しやすく、分散状態の安定性維持が難しく、画像繰り返し安定性に欠けるという問題を抱えている。マイクロカプセル化にしても、セルサイズをマイクロカプセルレベルにし、見かけ上、このような欠点が現れ難くしているだけで、本質的な問題は何ら解決されていない。
【0004】以上のような溶液中での挙動を利用した電気泳動方式に対し、最近では溶液を使わず、色と帯電極性が異なる2種類の粒子を2枚の基板間において、静電界をかけて互いに異なる方向の基板に飛翔付着させる表示装置も提案されている。この方式は電気泳動方式に対し乾式であるから粒子の移動抵抗が小さく応答速度が速いという長所がある。このような乾式表示装置の動作メカニズムは、色および帯電極性の異なる2種類の粒子を混合したものを電極板で挟み込み、電極板に電圧を印加することで極板間に電界を発生させて極性の異なる帯電粒子を異なる方向へ飛翔させることにより表示素子として使用するものである。
【0005】ここで、特に粒子自身の帯電量は、電界により発生する力や、粒子同士ないしは極盤における付着力を制御する際に最も重要となるパラメータである。しかしながら、粒子の帯電性は粒子自身の材質によって支配され、粒子自体で精度良く帯電量制御することは困難である。また、微粒子を表示素子として考えた場合、色調はコントラストが明確となるよう白色および黒色の粒子であることが必須となる。これに対して汎用樹脂による重合微粒子はクリア色を呈しており、それが微粒子となった場合には光の乱反射により白色用の粒子として使用することが可能となる。しかしながら、黒色粒子を得るには粒子の重合過程でカーボンなどの顔料や染料を内添させる必要があり、それを達成するには非常に困難である。(例えば非特許文献1参照)
【0006】
【非特許文献1】日本画像学会「Japan Hardcopy'99 」論文集1999年7月21日、p 249〜252
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に鑑みて鋭意検討されたものであり、クーロン力などにより粒子を移動させて画像表示を行う画像表示装置において、粒子への帯電性の付与が充分に行なわれ、電界を形成した際に粒子の理想的な飛翔が行なわれ、コントラストが十分で良好な画像が安定して得られる画像表示用粒子および装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、微粒子を荷電制御剤の溶液により表面処理することにより、粒子への帯電性の付与が充分に行なわれ、電界を形成した際に粒子の飛翔が理想的に追従し、コントラストが十分で良好な画像が安定して得られることを見出し、本発明に至った。
【0009】すなわち本発明は、以下の画像表示用粒子及びの画像表示装置を提供するものである。
1.透明基板および対向基板の間に1種類以上の粒子を封入し、基板間に電界を与えて粒子を飛翔移動させて画像を表示する画像表示装置において用いられる画像表示用粒子であって、該粒子が微粒子を荷電制御剤の溶液により表面処理して得られたものであることを特徴とする画像表示用粒子。
2.荷電制御剤が、ニグロシン化合物、樹脂酸変成アジン、樹脂酸変成アジン化合物、4級アンモニウム塩、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、含金属アゾ化合物およびトリフェニルメタン誘導体から選ばれた少なくとも一種の化合物である上記1の画像表示用粒子。
3.表面処理が、溶剤に荷電制御剤を溶解した液に微粒子を添加した後、濾過により分離された微粒子を乾燥するものである上記1又は2の画像表示用粒子。
4.微粒子が、モノマーを重合させて得られたものである上記1〜3のいずれかの画像表示用粒子。
5.キャリアを用いてブローオフ法により測定・算出した表面電荷密度が、絶対値で5〜150μC/m2 である上記1〜4のいずれかの画像表示用粒子。
6.平均粒子径d0.5 が0.1〜50μmである上記1〜5のいずれかの画像表示用粒子。
7.体積固有抵抗1×1010Ω・cm以上の絶縁性粒子である上記1〜6のいずれかの画像表示用粒子。
8.上記1〜7のいずれかの画像表示用粒子を用いることを特徴とする画像表示装置。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の画像表示装置は、透明基板および対向基板の間に1種類以上の粒子を封入し、基板間に電界を与えて粒子を飛翔移動させて画像を表示する画像表示装置である。ここで粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力、極板との電気影像力、分子間力、さらに液架橋力、重力などが考えられる。このような画像表示装置には、図1に示すように2種類以上の色の異なる粒子を基板と垂直方向に移動させることによる表示方式と、図2に示すように1種類の色の粒子を基板と平行方向に移動させることによる表示方式があり、いずれへも適用できるが、安定性の上から、前者の方式に適用するのが好ましい。図3は画像表示装置の構造を示す説明図であり、対向する基板1、基板2及び粒子3により形成され、必要に応じて隔壁4が設けられる。
【0011】基板に関しては、基板1、基板2の少なくとも一方は装置外側から粒子の色が確認できる透明基板であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。画像表示装置としての可撓性の有無は用途により適宜選択され、例えば、電子ペーパー等の用途には可撓性のある材料、携帯電話、PDA、ノートパソコン類の携帯機器表示等の用途には可撓性のない材料が用いられる。
【0012】基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネートなどのポリマーシートや、ガラス、石英などの無機シートが挙げられる。基板厚みは、2〜5000μm、好ましくは5〜1000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ち難くなり、厚すぎると、表示機能としての鮮明さ、コントラストの低下が発生し、特に、電子ペーパー用途の場合には可撓性に欠ける。
【0013】本発明の画像表示装置では、電極を基板上に設ける場合と、その他の部位、例えば両端や隔壁や基板の外側に基板とは離して設ける場合とがある。電極を基板上に設けず、基板とは離して設ける場合は、基板外部表面に静電潜像を与え、その静電潜像に応じて発生する電界にて、所定の特性に帯電した色のついた粒子を基板に引き寄せあるいは反発させることにより、静電潜像に対応して配列した粒子を透明な基板を通して表示装置外側から視認する。なお、この静電潜像の形成は、電子写真感光体を用い通常の電子写真システムで行われる静電潜像を本発明の画像表示装置の基板上に転写形成する方法や、イオンフローにより静電潜像を基板上に直接形成する等の方法がある。
【0014】基板上に電極を設ける場合は、電極部位への外部電圧入力により、基板上の各電極位置に生じた電界により、所定の特性に帯電した色の粒子が引き寄せあるいは反発させることにより、静電潜像に対応して配列した粒子を透明な基板を通して表示装置外側から視認する。電極は透明基板上に透明かつパターン形成可能である導電性材料で形成され、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属やITO、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の透明導電金属酸化物をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、塗布法等で薄膜状に形成したものや、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダに混合して塗布したものが用いられる。導電剤としてはベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムパークロレート等のカチオン性高分子電解質、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩等のアニオン性高分子電解質や導電性の酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム微粉末等が用いられる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障なければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。対向基板上には透明電極材料を使用することもできるが、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の非透明電極材料も使用できる。この場合の外部電圧印加は、直流あるいはそれに交流を重畳しても良い。各電極は帯電した粒子の電荷が逃げないように絶縁性のコート層を形成することが好ましい。このコート層は、負帯電粒子に対しては正帯電性の樹脂を、正帯電粒子に対しては負帯電性の樹脂を用いると粒子の電荷が逃げ難いので特に好ましい。
【0015】隔壁は各表示素子の四周に設けるのが好ましい。隔壁を平行する二方向に設けることもできる。これにより、基板平行方向の余分な粒子移動を阻止し、耐久繰り返し性、メモリー保持性を介助すると共に、基板間の間隔を均一にかつ補強し画像表示板の強度を上げることもできる。隔壁の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、スクリーン版を用いて所定の位置にペーストを重ね塗りするスクリーン印刷法や、基板上に所望の厚さの隔壁材をベタ塗りし、隔壁として残したい部分のみレジストパターンを隔壁材上に被覆した後、ブラスト材を噴射して隔壁部以外の隔壁材を切削除去するサンドブラスト法や、該基板上に感光性樹脂を用いてレジストパターンを形成し、レジスト凹部へペーストを埋込んだ後レジスト除去するリフトオフ法(アディティブ法)や、該基板上に、隔壁材料を含有した感光性樹脂組成物を塗布し、露光・現像により所望のパターンを得る感光性ペースト法や、該基板上に隔壁材料を含有するペーストを塗布した後、凹凸を有する金型等を圧着・加圧成形して隔壁形成する鋳型成形法等、種々の方法が採用される。さらに鋳型成形法を応用し、鋳型として感光性樹脂組成物により設けたレリーフパターンを使用する、レリーフ型押し法も採用される。
【0016】粒子は、流動性との関係から、球形であることが好ましい。平均粒子径d0.5 は、0.1〜50μmが好ましく、特に1〜30μmが好ましい。粒子径がこの範囲未満であると粒子の電荷密度が大きすぎて電極や基板への鏡像力が強すぎメモリー性はよいが、電界を反転した場合の追随性が悪くなる。反対に粒子径がこの範囲を超えると追随性は良いが、メモリー性が悪くなる。なお、本発明において平均粒子径d0.5 (μm)は、Mastersizer2000(Malvern instruments Ltd.) 測定機に各粒子を投入し、付属の解析ソフト(体積基準分布を基に粒子径分布、粒子径を算出するソフト)を用いて、粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値である。
【0017】粒子の帯電量は当然その測定条件に依存するが、画像表示装置における粒子の帯電量はほぼ、初期帯電量、基板との接触、他粒子との接触、経過時間に伴う電荷減衰に依存し、帯電した粒子の接触に伴う帯電挙動の飽和値が支配因子となっているということが分かっている。しかし、これは簡易測定では難しい。本発明者らは鋭意検討の結果、ブローオフ法においてキャリアを用いた測定法によって帯電量測定を行ない、これを表面電荷密度によって規定することにより、画像表示装置として適当な粒子の帯電量を予測できることを見出した。測定方法は詳しくは後で述べるが、ブローオフ法によって、粒子とキャリア粒子とを十分に接触させ、その飽和帯電量を測定することにより、該粒子に単位重量あたりの帯電量を測定することができる。そして、該粒子の粒子径と比重を別途求めることにより該粒子の表面電荷密度を算出することができる。
【0018】画像表示装置においては、用いる粒子の粒子径は小さく、重力の影響はほぼ無視できるほど小さいため、粒子の比重は粒子の動きに対して影響しない。しかし、粒子の帯電量においては、同じ粒子径の粒子で単位重量あたりの平均帯電量が同じであっても、粒子の比重が2倍異なる場合に保持する帯電量は2倍異なることとなる。従って、画像表示装置に用いられる粒子の帯電特性は比重に無関係な表面電荷密度(単位、μC/m2 )で評価するのが好ましいことが分かった。ここで、表面電荷密度は大きいほど良いというものではない。画像表示装置においては粒子の粒子径が大きいときは主に電気影像力が飛翔電界(電圧)を決定する因子となる傾向が強いため、この粒子を低い電界(電圧)で動かすためには帯電量は低い方が良いこととなる。また、粒子の粒子径が小さい時は分子間力・液架橋力等の非電気的な力が飛翔電界(電圧)決定因子となることが多いため、この粒子を低い電界(電圧)で動かすためには帯電量が高い方が良いこととなる。また、これは粒子の表面性(材料、形状)にも大きく依存するため一概に粒子径と帯電量で規定することができないが、粒子の表面電荷密度が適当である場合に、粒子は異なる極性の電極の方向へ電界により移動する機能を果たすことになる。
【0019】本発明者らは平均粒子径が0.1〜50μmの粒子においては、キャリアを用いてブローオフ法により測定した粒子の表面電荷密度が絶対値で、5μC/m2以上150μC/m2 以下である場合に画像表示装置として使用できる粒子と成り得ることを見出した。表面電荷密度がこの範囲未満だと電界の変化に対する応答速度が遅くなり、メモリー性も低くなる。表面電荷密度がこの範囲を超えると電極や基板への鏡像力が強すぎ、メモリー性はよいが、電界を反転した場合の追随性が悪くなる。このブローオフ法においては、両端に網を張った円筒容器中に粒子とキャリアの混合体を入れ、一端から高圧ガスを吹き込んで粒子とキャリアとを分離し、網の目開きから粒子のみをブローオフ(吹き飛ばし)する。この時、粉体が容器外に持ち去った帯電量と等量で逆の帯電量がキャリアに残る。そして、この電荷による電束の全てはファラデーケージで集められ、この分だけコンデンサーに充電される。そこでコンデンサー両端の電位を測定することにより粉体の電荷量は、Q=CV (C:コンデンサー容量、V:コンデンサー両端の電圧)として求められる。そして、この帯電量と別途測定した該粒子の平均粒子径および比重とから表面電荷密度が求められる。
【0020】粒子を負又は正に帯電させる方法は、特に限定されないが、コロナ放電法、電極注入法、摩擦法等の粒子を帯電する方法が用いられる。なお、粒子はその帯電電荷を保持する必要があるので、体積固有抵抗が1×1010Ω・cm以上の絶縁性粒子が好ましく、特に1×1012Ω・cm以上の絶縁性粒子が好ましい。
【0021】本発明は、透明基板および対向基板の間に1種類以上の粒子を封入し、クーロン力などにより粒子を飛翔移動させ画像を表示する画像表示装置において、該粒子として微粒子を荷電制御剤の溶液により表面処理して得られた画像表示用粒子を用いるものである。この表面処理は、溶剤に荷電制御剤を溶解した液に微粒子を添加した後、濾過により分離された微粒子を乾燥することにより行なわれる。荷電制御剤を溶剤に溶解させ、その溶液で微粒子を表面処理することにより、荷電制御剤が微粒子表面に固定化され、微粒子の帯電制御が可能となる。
【0022】原料の微粒子は、球形であることが好ましいため、モノマーから重合させて得ることが多い。必要に応じて粒子径をそろえるために分級操作も行なわれる。又、それ以外でも、樹脂を粉砕分級することによっても得ることができる。樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフイン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられ、特に基板との付着力を制御する上から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。2種以上混合することもできる。
【0023】荷電制御剤は溶剤に可溶でありかつ帯電制御が可能であるものであれば特に制限はなく、荷電制御剤として市販されているものが好適に用いられる。例えば、ニグロシン化合物、樹脂酸変成アジン、樹脂酸変成アジン化合物、4級アンモニウム塩、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、含金属アゾ化合物、トリフェニルメタン誘導体などが挙げられる。また、荷電制御剤を選択することにより、帯電制御と同時に黒色または濃紫色に染色が可能であり、黒色表示用微粒子を得ることができる。すなわち、上記中で、ニグロシン化合物、樹脂酸変成アジン、樹脂酸変成アジン化合物、含金属アゾ化合物は溶解させた溶液にて粉体の染色が可能である。
【0024】具体的には、負荷電制御剤として、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤として、ニグロシン染料、トリフエニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、弗素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
【0025】溶剤は荷電制御剤が溶解し、かつ、微粒子の膨潤や溶解がないものであれば良く、通常アルコールが好適に用いられる。処理方法は、溶剤に荷電制御剤を0.1〜10%程度を添加し、ミキサー等で攪拌して溶解させる。得られた溶液を濾過して未溶解分を除去し、濾液に微粒子を添加して再度ミキサー等で攪拌する。この混合液から濾過により処理された微粒子を取り出し、オーブン等で乾燥させて画像表示用粒子が得られる。
【0026】帯電制御剤と着色剤を併用しても良く、用いられる着色剤としては、以下に例示すような、有機又は無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭などがある。黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどがある。橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKなどがある。
【0027】赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレツド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどがある。紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどがある。青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどがある。緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGなどがある。
【0028】体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトなどがある。更に、塩基性、酸性、分散、直接染料などの各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルーなどがある。これらの着色剤は、単独で或いは複数組合せて用いることができる。
【0029】本発明の画像表示装置における透明基板と対向基板の間隔は、粒子が飛翔移動でき、コントラストを維持できれば良いが、通常10〜5000μm、好ましくは10〜500μmに調整される。対向する基板間の空間における粒子の体積占有率は10〜80%が好ましく、更に好ましくは10〜60%である。80%を超える場合には粒子の移動の支障をきたし、10%未満の場合にはコントラストが明確でなくなり易い。
【0030】本発明の画像表示装置は、ノートパソコン、PDA、携帯電話などのモバイル機器の画像表示部、電子ブック、電子新聞などの電子ペーパー、看板、ポスター、黒板などの掲示板、コピー機、プリンター用紙代替のリライタブルペーパー、電卓、家電製品の画像表示部、ポイントカードの画像表示部などに用いられる。
【0031】
【実施例】次に実施例を示して、本発明を更に具体的に説明する。但し本発明は以下の実施例により限定されるものではない。なお、各実施例および比較例において、平均粒子径および表面電荷密度の測定を次のように行なった。
(1)平均粒子径d0.5Mastersizer2000(Malvern instruments Ltd.)測定機に各粒子を投入し、付属の解析ソフト(体積基準分布を基に粒子径分布、粒子径を算出するソフト)を用いて、粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値を平均粒子径(μm)とする。
(2)表面電荷密度(μC/m2
ブローオフ粉体帯電量測定装置として東芝ケミカル(株)製のTB−200を用いた。キャリアとして正帯電性・負帯電性の2種類のものを用い、それぞれの場合の単位面積あたり電荷密度(単位:μC/m2 )を測定した。すなわち、正帯電性キャリア(相手を正に帯電させ自らは負に帯電しやすいキャリア)としてパウダーテック(株)製のF963−2535を、負帯電性キャリア(相手を負に帯電させ自らは正に帯電しやすいキャリア)としてパウダーテック粒子のF921−2535を用いた。測定された帯電量と別途測定した該粒子の平均粒子径d0.5 及び比重とから表面電荷密度を求めた。なお、平均粒子径d0.5 は上述の方法により、また、比重は、株式会社島津製作所製比重計(商品名:マルチボリウム密度計H130)を用いて測定した。
【0032】実施例1エタノールに、酸荷電制御剤:ボントロンE84(オリエント化学製:サリチル酸系金属錯体)5重量%をミキサーで溶解し、濾過により未溶解分を除去した後、該濾液にパーノックCFB200W−40(白色ウレタン粒子:大日本インキ製)を添加して攪拌し、得られた混合液を5Cの濾紙で濾過し、110℃で乾燥した。得られた画像表示粒子の平均粒子径および表面電荷密度の測定結果を第1表に示す。
【0033】実施例2実施例1において荷電制御剤をボントロンE89(オリエント化学製:フェノール系縮合物)とした以外は、実施例1と同様にして画像表示粒子を作製した。平均粒子径および表面電荷密度の測定結果を第1表に示す。
【0034】実施例3実施例1において荷電制御剤をボントロンN07(オリエント化学製:ニグロシン化合物)とし、微粒子をパーノックCFB620C−40(黒色ウレタン粒子:大日本インキ製)とした以外は、実施例1と同様にして画像表示粒子を作製した。平均粒子径および表面電荷密度の測定結果を第1表に示す。
【0035】実施例4実施例1において荷電制御剤をボントロンN21(オリエント化学製:樹脂酸変性アジン)とし、微粒子をパーノックCFB101−40(クリア色ウレタン粒子:大日本インキ製)とした以外は、実施例1と同様にして画像表示粒子を作製した。平均粒子径および表面電荷密度の測定結果を第1表に示す。
【0036】比較例1実施例1においての荷電制御剤を用いなかった以外は実施例1と同様にして画像表示粒子を作製した。平均粒子径および表面電荷密度の測定結果を第1表に示す。
【0037】
【表1】


【0038】
【発明の効果】本発明の画像表示装置は、透明基板および対向基板の間に1種類以上の粒子を封入し、基板間に電界を与えて粒子を飛翔移動させて画像を表示する画像表示装置において、該粒子として微粒子を荷電制御剤の溶液により表面処理した画像表示用粒子を用いるものであるが、このような画像表示用粒子を用いることによって、粒子への帯電性の付与が充分に行なわれ、電界を形成した際に粒子の理想的な飛翔が行なわれ、コントラストが十分で良好な画像が安定して得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像表示装置における表示方式を示す説明図である。
【図2】本発明の画像表示装置における表示方式を示す説明図である。
【図3】本発明の画像表示装置の構造の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1、2:基板
3:粒子
4:隔壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】 透明基板および対向基板の間に1種類以上の粒子を封入し、基板間に電界を与えて粒子を飛翔移動させて画像を表示する画像表示装置において用いられる画像表示用粒子であって、該粒子が微粒子を荷電制御剤の溶液により表面処理して得られたものであることを特徴とする画像表示用粒子。
【請求項2】 荷電制御剤が、ニグロシン化合物、樹脂酸変成アジン、樹脂酸変成アジン化合物、4級アンモニウム塩、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、含金属アゾ化合物およびトリフェニルメタン誘導体から選ばれた少なくとも一種の化合物である請求項1に記載の画像表示用粒子。
【請求項3】 表面処理が、溶剤に荷電制御剤を溶解した液に微粒子を添加した後、濾過により分離された微粒子を乾燥するものである請求項1または請求項2に記載の画像表示用粒子。
【請求項4】 微粒子が、モノマーを重合させて得られたものである請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示用粒子。
【請求項5】 キャリアを用いてブローオフ法により測定・算出した表面電荷密度が、絶対値で5〜150μC/m2 である請求項1〜4のいずれかに記載の画像表示用粒子。
【請求項6】 平均粒子径d0.5 が0.1〜50μmである請求項1〜5のいずれかに記載の画像表示用粒子。
【請求項7】 体積固有抵抗1×1010Ω・cm以上の絶縁性粒子である請求項1〜6のいずれかに記載の画像表示用粒子。
【請求項8】 請求項1〜7のいずれかの画像表示用粒子を用いることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2003−255404(P2003−255404A)
【公開日】平成15年9月10日(2003.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−318567(P2002−318567)
【出願日】平成14年10月31日(2002.10.31)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】