説明

画像表示装置及び画像表示装置の製造方法

【課題】透明プラスチック前面パネルと画像表示パネルの間に透明充填材が密着配置される装置の製造法において、高温高湿下での長期信頼性試験で透明な粘着性樹脂シートと前面板の界面の気泡の発生を抑制する画像表示用装置を提供する。
【解決手段】画像表示パネルに、透明プラスチック前面パネルが、透明粘着シートを介して密着配置されている画像表示装置であって、50℃から100℃の環境温度において、透明粘着シートに気泡が発生しない画像表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)などの画像表示装置とその製造方法に関する。詳しくは、気泡の影響により画像表示用パネルの視認性を損なうことなく、さまざまな使用環境や使用状態から画像表示用パネルを保護する構造を備えた画像表示装置と該画像表示装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な画像表示装置として液晶表示装置を例示する。液晶表示装置に用いられる液晶パネルは、透明電極、画素パターンなどを表面に形成した厚さ約1mm程度のガラス基板の間に数ミクロン程度のギャップを介して液晶を充填、シールしてなる液晶セルとその外側両面に貼り付けた偏光板などの光学フィルム等からなる薄くて傷付きやすい表示部品である。このため、特に携帯電話、ゲーム機、デジタルカメラ、車載用途などでは、液晶パネルの前面に一定の空隙を置いて透明な前面パネルを設けた構造の液晶表示装置が一般的に用いられている。
【0003】
図1は、従来の液晶表示用装置の一例を示す模式的断面図である。透明な二枚のガラス1が、スペーサー2を介して相対峙する間に液晶3を封入した構造体が液晶表示セル4であり、そのガラス1の外側の片面または両面に偏光板等5が貼り付けられて液晶パネル6が構成される。
上記のような構成の液晶パネル6の一方には、反射板や導光板、拡散シートなどからなるバックライトユニット9が配置される。液晶パネル6の他方には、前面パネル7が空隙8を介して配置される。前面パネル7は透明な板であり、ガラスやアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透明プラスチックが用いられている。空隙8は、外部から加わる機械的な圧力の影響が、直接液晶パネル6に及ばないようにするために設けられているもので、携帯電話、ゲーム機、デジタルスチルカメラ等持ち運ぶことを前提とした機器に使用される液晶ディスプレイにおいて特に必要な構成である。
【0004】
透明な前面パネルの屈折率は1.4〜1.6、また液晶表示セルの視認側に貼られている偏光板の最外層を構成する透明プラスチックフィルムの屈折率は1.5〜1.6である。一方、空隙8は空気からなり(空気層)、その屈折率は1であるため、それぞれの界面においてフレネル反射による反射損を生じ、表示特性が大きく低下するという問題点があった。
【0005】
そこで、視認性を向上することを目的として、透明な粘着性樹脂シートを貼り合わせる等、空隙8を透明物質で置換した構造の製造法が種々検討されてきた(特許文献1、2、3及び4参照)。これらの特許によれば、フレネル反射による表示特性の低下は減少し、薄くとも耐衝撃性に優れ、特に薄型開発の著しいフラットパネルディスプレイに好ましく用いることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−241728号公報
【特許文献2】特開平8−327975号公報
【特許文献3】特開平9−6256号公報
【特許文献4】特開2003−29645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記方法では、高温高湿下での長期信頼性試験〔例えば、温度50℃、相対湿度95%での環境試験〕で前面パネルにポリカーボネートを用いた際、透明な粘着性樹脂シートと前面板の界面に気泡が発生し、透過光を散乱させ、視認性を低下させるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題点に着目し、透明プラスチック前面パネルと画像表示パネルの間に透明充填材が密着配置される画像表示装置の製造法において、高温高湿下での長期信頼性試験で透明粘着シートと透明プラスチック前面パネルの界面の気泡の発生を抑制することを特徴とする画像表示用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、透明充填材として透明粘着シートを用い、50℃から100℃の環境温度において、該透明粘着シートに気泡が発生しないようにすることによって、上記課題が解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見にもとづいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)画像表示パネルに、透明プラスチック前面パネルが、透明粘着シートを介して密着配置されている画像表示装置であって、50℃から100℃の環境温度において、透明粘着シートに気泡が発生しないことを特徴とする画像表示装置、及び
(2)画像表示パネルに、透明プラスチック前面パネルが、透明粘着シートを介して密着配置されている画像表示装置の製造方法であって、密着配置する前の、透明プラスチック前面パネルの含水率を、0.03%以下とすることを特徴とする上記(1)に記載の画像表示装置の製造方法、及び
(3)画像表示パネルに、透明プラスチック前面パネルが、透明粘着シートを介して密着配置されている画像表示装置の製造方法であって、該透明プラスチック前面パネルを、13.3kPaから1.33Paの範囲で減圧処理することを特徴とする上記(1)に記載の画像表示装置の製造方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、視認性、光学特性、および高温高湿下での耐久性に優れる画像表示装置を提供することが可能である。特に、前面パネルをあらかじめ予備乾燥することで、前面パネルからの揮発性成分に起因するガスによる気泡の発生や、粘着力低下による剥離が改善され、長期信頼性に優れた画像表示装置を実現することができる。また、本発明による画像表示装置の製造方法によれば、保護パネルに気泡発生抑制のためのガスバリア処理を施す必要がなく、視認性に優れた保護パネル一体構造の画像表示装置を容易に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来の液晶表示用装置の一例を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における画像表示装置とは、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)パネル、有機ELディスプレイ(OELD)パネル、フィールドエミッションディスプレイ(FED)パネル、タッチパネル等の画像表示用パネルを用いた表示用装置である。
画像表示パネルとは、上記の画像表示装置に用いられる画像を表示するためのパネルであり、前面パネルと向かい合う表面が、ガラス、ポリカーボネート等のプラスチック板及びプラスチックフィルム等の透明基材からなるものであり、完全な画像表示パネル及びその中間品をも含むものである。また、透明基材の表面は、表面処理がなされているものであってもよい。表面処理は、反射防止性、帯電防止性、硬さ・耐摩耗性や潤滑性・耐食性や耐酸化性・耐熱性や断熱性・絶縁性・密着性・装飾性や美観などを向上させることが主な目的となる。具体的には、蒸着、スパッタリング、ハードコート、シランカップリング剤処理、めっき、エッチング、気相エッチング、プラズマ処理、紫外線照射処理、オゾン処理、印刷などが挙げられる。なお、ここで表面処理とは、既に表面処理されたシート状基板を粘着剤等で透明基材に貼りつけたものも含まれる。
【0013】
本発明における透明プラスチック前面パネルとは、画像表示パネルを保護するためのパネルであり、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などのプラスチック板やプラスチックフィルム等またはその混合樹脂基材などの透明基材からなるものである。また、透明基材の表面は、表面処理がなされているものであってもよい。表面処理は、反射防止性、帯電防止性、硬さ・耐摩耗性や潤滑性・耐食性や耐酸化性・耐熱性や断熱性・絶縁性・密着性・装飾性や美観などを向上させることが主な目的となる。具体的には、画像表示パネルでも記載したのと同様に、蒸着、スパッタリング、ハードコート、シランカップリング剤処理、めっき、エッチング、気相エッチング、プラズマ処理、紫外線照射処理、オゾン処理、印刷などが挙げられる。また、ここで表面処理とは、上記と同様に、既に表面処理されたシート状基板を粘着剤等で透明基材に貼りつけたものも含まれる。
【0014】
また、吸湿しすぎている透明プラスチック前面パネルを用いると透明プラスチック前面パネルと透明粘着シートの界面に気泡が発生するため、透明プラスチック前面パネルを乾燥させ最適な含水率を保っているものがよい。好ましい範囲としては、0.03質量%以下である。透明プラスチック前面パネルの含水率は質量変化から算出でき、0.03質量%以下であると気泡が発生しないために好ましい。なお、本方法による含水率の検出限界は0.001質量%である。
【0015】
透明プラスチック前面パネルの最適な含水率を保つための乾燥方法としては、加熱乾燥、減圧乾燥、乾燥剤を介した乾燥といった一般的ないかなる乾燥方法も適用可能である。これらのうち、加熱乾燥と減圧乾燥が好ましい。加熱乾燥の処理条件として好ましい範囲は40℃以上で、かつ透明プラスチック前面パネルの変形温度以下である。加熱温度が40℃以上であると透明プラスチック前面パネルと透明粘着シートの界面に気泡が発生することがない。
また、減圧乾燥の処理条件として好ましい範囲は、13.3kPa〜1.33Paである。
さらに、加熱乾燥と減圧乾燥を同時に行うことがより好ましい。
【0016】
本発明における透明粘着シートは下述の液状の透明充填材をシート状に硬化したものが好適に挙げられる。
本発明における透明粘着シートの厚みは、画像表示装置の仕様により自由に選択することができるが、好ましい範囲としては、0.1〜10mmの範囲である。厚みが0.1mm以上であると、外部からの応力を吸収することができ、一方、10mm以下であると透明性や良好な色相が維持される。
【0017】
本発明における液状の透明充填材としては、具体的には、熱硬化性モノマー若しくは光硬化性モノマー、それらのオリゴマー、又は、ポリマー若しくは該オリゴマーと該モノマーとの混合物に熱重合開始剤または光重合開始剤等を配合してなるもの、熱可塑性樹脂などが挙げられる。中でも、紫外線硬化性モノマーやそのオリゴマー若しくはポリマーと該モノマーとの混合物に光重合開始剤等を配合してなる液状物が好適に挙げられる。
また、透明プラスチック前面パネルと液晶パネルなどの画像表示パネルを接合するための粘着力を付与できる点から、液状の透明充填材は、架橋性のシリコーンゴム樹脂、架橋性のポリウレタンエラストマーその他の樹脂組成物(以下「反応性化合物」と称する場合がある。)が好適に使用できるが、特に、メタクリル酸若しくはアクリル酸、これらのエステル化合物その他誘導体(オリゴマーを含む。これらを以下、アクリル酸系誘導体という)、アクリル酸系誘導体のポリマー又はアクリル酸系誘導体とこのポリマーを含むことが好ましい。特に、短時間で光硬化できる点から、アクリル酸とその誘導体(オリゴマーを含む)を含むことがより好ましい。
【0018】
アクリル酸系誘導体としては、アクリル酸又はメタクリル酸、それらの誘導体等がある。アクリル酸及びメタクリル酸以外の具体例としては、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等のアルキルメタクリレート;メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、n−オクチルアクリレート等のアルキルアクリレート;ベンジルメタクリレート等のアラルキルメタクリレート;ベンジルアクリレート等のアラルキルアクリレート;ブトキシエチルメタクリレート等のアルコキシアルキルメタクリレート;ブトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキルアクリレート;N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアミノアルキルメタクリレート;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノアルキルアクリレート;ジエチレングリコールエチルエーテルのメタクリル酸エステル、トリエチレングリコールブチルエーテルのメタクリル酸エステル、ジプロピレングリコールメチルエーテルのメタクリル酸エステル等のポリアルキレングリコールアルキルエーテルのメタクリル酸エステル;ジエチレングリコールエチルエーテルのアクリル酸エステル、トリエチレングリコールブチルエーテルのアクリル酸エステル、ジプロピレングリコールメチルエーテルのアクリル酸エステル等のポリアルキレングリコールアルキルエーテルのアクリル酸エステル;ヘキサエチレングリコールフェニルエーテルのメタクリル酸エステル等のポリアルキレングリコールアリールエーテルのメタクリル酸エステル;ヘキサエチレングリコールフェニルエーテルのアクリル酸エステル等のポリアルキレングリコールアリールエーテルのアクリル酸エステル;シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、メトキシ化シクロデカトリエンメタクリレート、イソボルニルアクリレート、メトキシ化シクロデカトリエンアクリレート等の脂環式基を有するメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル、ヘプタデカフロロデシルメタクリレート等のフッ素化アルキルメタクリレート;ヘプタデカフロロデシルアクリレート等のフッ素化アルキルアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、グリセロールメタクリレート、グリセロールアクリレート等の水酸基を有するメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等のグリシジル基を有するメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;アクリルアミド等が挙げられる。これらは、単独又は2種類以上を併用することができる。
【0019】
本発明において、上記のアクリル酸系誘導体として重合性不飽和結合を分子内に1個有する化合物と共に、重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物を使用することができる。このような重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物としては、ビスフェノールAジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリエレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。
【0020】
アクリル酸系誘導体のうち重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物としては、さらに、一般式(a)
【0021】
【化1】

【0022】
(式(a)中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、m及びnはそれぞれ独立に、1〜20の整数を示す。)で示されるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のジアクリレート化合物、これらのアクリロイル基をメタクリロイル基に換えた化合物、一般式(b)
【0023】
【化2】

【0024】
(式(b)中、m及びnはそれぞれ独立に、1〜10の整数を示す。)で示されるビスフェノールAのエピクロルヒドリン変性物とアクリル酸の付加エステル化物、これらのアクリロイル基をメタクリロイル基に換えた化合物、一般式(c)
【0025】
【化3】

【0026】
(式(c)中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、m及びnはそれぞれ独立に、1〜20の整数を示す。)で示されるリン酸のアルキレンオキシド付加物のジアクリレート化合物、これらのアクリロイル基をメタクリロイル基に換えた化合物、一般式(d)
【0027】
【化4】

【0028】
(式(d)中、m及びnはそれぞれ独立に、1〜10の整数を示す。)で示されるフタル酸のエピクロリン変性物とアクリル酸の付加エステル化物、これらのアクリロイル基をメタクリロイル基に換えた化合物、一般式(e)
【0029】
【化5】

【0030】
(式(e)中、m及びnはそれぞれ独立に、1〜20の整数を示す。)で示される1,6−ヘキサンジオールのエピクロリン変性物とアクリル酸の付加エステル化物(アクリロイル基を一分子中に2個有するもの)、これらのアクリロイル基をメタクリロイル基に換えた化合物、一般式(f)
【0031】
【化6】

【0032】
(式(f)中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、3個のmはそれぞれ独立に、1〜20の整数を示す。)で示されるリン酸のアルキンオキシド付加物のトリアクリレート化合物、これらのアクリロイル基をメタクリロイル基に換えた化合物、一般式(g)
【0033】
【化7】

【0034】
(式(g)中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、m、m′及びm″はそれぞれ独立に、1〜20の整数を示す。)で示されるトリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加物のトリアクリレート化合物、これらのアクリロイル基をメタクリロイル基に換えた化合物などが挙げられる。これらのモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
本発明において、重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物として、高分子量架橋剤を使用することができる。高分子量架橋剤としては、次のものがある。
(a)ジアルコール化合物のジ(メタ)アクリレート、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコ−ル等のポリアルキレングリコールとアクリル酸又はメタクリル酸を反応させて得られるものである。
(b)エポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレート、例えば、ポリエチレングリコール、ポリブロピレングリコール、ポリブチレングリコ−ル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテルなどの分子内にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂とアクリル酸又はメタクリル酸を反応させて得られるものである。
(c)両末端が水酸基であるポリエステルのジ(メタ)アクリレート;詳しくは、まずポリエステルポリオールを、飽和多塩基酸と多価アルコールを反応させて製造する。飽和多塩基酸としては、アゼライン酸、アジピン酸、セバチン酸等の脂肪族ジカルボン酸があり、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等がある。このようなポリエステルポリオールとアクリル酸又はメタクリル酸を反応させることによりポリエステルのジ(メタ)アクリレートを得ることができる。
【0036】
(d)ポリウレタンのジ(メタ)アクリレート;ここで、ポリウレタンは多価アルコール化合物と多価イソシアネート化合物を反応させて得られるものである。多価アルコールとしては、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ポリ1,2−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール・ブロックコポリマー、エチレングリコール−テトラメチレングリコールコポリマー、メチルペンタンジオール変性ポリテトラメチレングリコール、プロピレングリコール変性ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加体、ビスフェノールFのプロピレンオキシド付加体、水添ビスフェノールFのプロピレンオキシド付加体等があり、多価イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加されたトリレンジイソシアネート、水素添加されたキシリレンジイソシアネート、水素添加されたジフェニルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等のジイソシアネート、さらには上記したジイソシアネートの重合体、又は、ジイソシアネートの尿素変性体、ビュレット変性体等がある。このようなポリウレタンであって多価アルコール過剰で反応させて得られる末端に水酸基を有する化合物を、アクリル酸又はメタクリル酸と反応させることによりポリウレタンのジ(メタ)アクリレートを得ることができる。
【0037】
(e)ポリウレタンをヒドロキシル基と反応性二重結合を有する化合物と反応させて得られる化合物;ここで、ポリウレタンの原料となる多価アルコールと多価イソシアネート化合物は前記と同じである。このようなポリウレタンであって多価イソシアネート過剰で反応させて得られる末端にイソシアネート基を有する化合物を、ヒドロキシル基と反応性二重結合を有する化合物と反応させることにより、反応性二重結合末端ポリウレタンとすることができる。ヒドロキシル基と反応性二重結合を有する化合物としては、2−ヒドロキエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、エチレングリコール−プロピレングリコール・ブロックコポリマーモノアクリレート、エチレングリコール−テトラメチレングリコールコポリマーモノアクリレート、カプロラクトン変性モノアクリレート(商品名プラクセルFAシリーズ、ダイセル化学社製)、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のアクリル酸誘導体、2−ヒドロキエチルメクリレート、2−ヒドロキシプロピルメクリレート、3−ヒドロキシプロピルメクリレート、4−ヒドロキシブチルメクリレート、ポリエチレングリコールモノメクリレート、ポリプロピレングリコールモノメクリレート、エチレングリコール−プロピレングリコール・ブロックコポリマーモノメクリレート、エチレングリコール−テトラメチレングリコールコポリマーモノメクリレート、カプロラクトン変性モノメクリレート(商品名プラクセルFMシリーズ:ダイセル化学社製)、ペンタエリスリトールトリメタクリレート等のメタクリル酸誘導体等がある。
【0038】
硬化物の強靭さの点から、高分子量架橋剤としては、ポリウレタンのジ(メタ)アクリレートすなわち反応性二重結合末端ポリウレタン(特に反応性二重結合が(メタ)アクリロイル基に基づくもの)が好ましい。さらに、これらのうち、ポリウレタンのジオール成分がポリプロピレングリコールやポリテトラメチレングリコールからなるものがより好ましく、ジオール成分がポリプロピレングリコールやポリテトラメチレングリコールで、ジイソシアネート成分がイソホロンジイソシアネートであるポリウレタンを使用するものが特に好ましい。
【0039】
高分子量架橋剤の合成方法は塊状重合、溶液重合、懸濁重合及び乳化重合等の既知の重合方法を使用することができる。これらの方法は、前記アクリル酸系誘導体ポリマーの合成にも利用できる。
【0040】
本発明の反応性化合物として、上記のアクリル酸系誘導体及び高分子量架橋剤以外に、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン等の重合性不飽和結合を分子内に1個有する化合物を使用することができる。また、上記のアクリル酸系誘導体及び高分子量架橋剤以外の化合物であって、重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物(ジビニルベンゼン等)を使用することもできる。
【0041】
(メタ)アクリルポリマー等のアクリル酸系誘導体ポリマーの合成方法としては、上述のように、溶液重合、懸濁重合、乳化重合及び塊状重合等の既知の重合方法を用いることができるが、溶液重合あるいは塊状重合が好ましい。重合開始剤としては、熱によりラジカルを発生する化合物を用いることができ、具体的には、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド、ジドデシルパーオキシドの様な有機過酸化物や、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]のようなアゾ系化合物が挙げられる。また、光によりラジカルを発生する化合物(光重合開始剤)も重合開始剤として使用することができる。具体例としては、後記する光重合開始剤がある。
【0042】
本発明において樹脂硬化物は高温時のクリープ特性を改善するために、一部架橋されていることが好ましい。架橋させる方法としては(メタ)アクリロイル基(メタクリロイル基又はアクリロイル基を意味する)を分子内に2個以上有する(メタ)アクリル酸エステル等のアクリル酸系誘導体(ただし、重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物)や高分子量架橋剤を前記液状の透明充填材に加える方法や、エポキシ樹脂を加える方法が挙げられる。
ここで、(メタ)アクリル酸エステルは、エステル交換反応によって作製されたものが好ましい。エステル交換反応によって作製された(メタ)アクリル酸エステルモノマー中には触媒残渣が少ないことから高温での樹脂の着色を低減することができ、画像表示装置の信頼性を長期にわたって保つことができる。
【0043】
活性エネルギー線硬化性液状物を硬化させるために、活性エネルギー線が照射されるが、このとき、さらに、光重合開始剤を配合することが好ましい。しかし、電子線の照射により重合させる場合などには重合開始剤を使用しなくてもよい。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイン系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩等の公知の材料から選ぶことができる。これらは、特に、紫外線に対し感度を有する。
【0044】
光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ―1,2−ジフェニルエタン―1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等の芳香族ケトン化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンジル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、β−(アクリジン−9−イル)アクリル酸のジエステル化合物;9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、1,7−ジアクリジノヘプタン等のアクリジン化合物;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等が挙げられる。
また、特に、樹脂組成物を着色させないものとしては1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)及びこれらを組み合わせたものが好ましい。また、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物を含む光重合開始剤が好ましい。
さらに、シートの臭気を減らすためにはオリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)が好ましい。これらの光重合開始剤は複数を組み合わせて使用しても良い。
【0045】
本発明における液状の透明充填材としては、アクリル酸系誘導体ポリマー 10〜80質量部、アクリル酸系誘導体(ただし、重合性不飽和結合を分子内に1個有する化合物)15〜89.49質量部及びアクリル酸系誘導体(ただし、重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物)又は高分子量架橋剤 0.5〜50質量部を含有してなる樹脂組成物が好ましい。さらに、重合開始剤を0.01〜5質量部含有することができ、上記成分とあわせて、総量で100質量部となるように使用することが好ましい。ここで、各成分は前記に説明したものが使用できる。
【0046】
本発明において、重合開始剤としては、光重合開始剤又は熱重合開始剤を使用することができる。上記配合において、重合開始剤として光重合開始剤を使用するときは、その使用量は、樹脂材料100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、重合開始剤として熱重合開始剤を使用するときは、その使用量は、0.01〜1質量部が好ましく、光重合開始剤と熱重合開始剤を併用するときは、それぞれこれらの量範囲で使用することが好ましい。
【0047】
本発明において、液状の透明充填材は、非反応性溶剤を含んでいないことが好ましい。液状の透明充填材が非反応性溶剤を含んでいると透明プラスチック前面パネルと液晶パネルとを透明充填材を介して密着した後に加温加圧、減圧脱気、乾燥などの後処理によりその除去が必要となる。除去をしないと、密着を低下させ、長期信頼性を損なう。
【0048】
本発明では、上述の液状の透明充填材に、必要に応じて各種添加剤を配合してもよい。例えば、消泡効果を有する添加剤、光の透過率や色合いを調整するための色素、装置の長期信頼性を向上させるための紫外線吸収剤や酸化防止剤、粘度を調整するための粘度調整剤、粘着力を強化するためのポリマー添加剤(例えば、タッキファイヤ等)、画像表示パネル表面や保護パネル表面との濡れ性を制御する界面活性剤、揮発性の低い可塑剤等を配合することが可能である。特に、消泡効果を有する添加剤の使用は、画像表示装置製造時の気泡の発生を容易に抑制し、生産性を高めることが可能であるため好ましい。これら各種添加剤の使用量は、画像表示パネルと保護パネルとの間に透明樹脂層を密着配置した画像表示装置の表示性能及び信頼性等に弊害のない範囲であれば、特に制約はない。
【0049】
本発明における紫外線照射装置としては、市販されている一般的な紫外線照射装置を使用することができる。光源としては低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LEDなどが挙げられるが、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプがより好ましい。また、コンベアで移送する連続式の照射装置、1枚ずつ照射するバッチ式の装置のいずれも使用することができる。二酸化炭素や窒素などの不活性ガスにより雰囲気中の酸素濃度を低減した状態で紫外線を照射することは、酸素による硬化阻害を低減することが出来るためより好ましい。
【0050】
本発明における画像表示装置の製造方法は、透明プラスチック前面パネルに透明粘着シートをラミネートし、その後、液晶表示パネルにラミネートする工程と、液晶表示パネルにラミネートし、その後、透明プラスチック前面パネルに透明粘着シートをラミネートする工程を用いることができる。ラミネートの方法としては、気泡が入らない方法であれば使用することができる。方法としては加熱ラミネート、加圧ラミネート、真空ラミネート等挙げられるが、真空ラミネートがより好ましい。また、真空ラミネート後にオートクレーブ機を用いて脱泡することがより好ましい。
【実施例】
【0051】
実施例1
透明プラスチック前面パネル〔厚さ1mmのポリカーボネート板(40mm×50mm)MR58:三菱ガス化学(株)製〕を、80℃、13.3Paの条件で3時間、防爆乾燥機にて乾燥処理した。その後、市販の透明なアクリル系粘着シート(厚み175μm)を貼り合わせ、真空プレス機にて液晶表示用パネル(35mm×45mm)と貼合わせることにより、液晶表示用装置を得た。
作製した本発明の液晶表示用装置を高温下での長期信頼性試験を実施した。条件としては、湿度制御をしていない80℃の環境下で24時間処理したものと、50℃、相対湿度95%の環境下で24時間処理したものに関し、顕微鏡観察することにより、透明粘着シートと透明プラスチック前面パネルの界面の気泡の発生の有無を評価した。結果を表1に示す。評価基準としては、気泡が確認されたものは×とし、特に異常が見られなかった場合を○とした。
なお、透明プラスチックの前面パネルの含水率は、乾燥処理の前後での質量減少から算出した。
【0052】
実施例2
透明プラスチック前面パネルの乾燥処理条件を、35℃、13.3Paとし、乾燥時間を5時間としたこと以外は実施例1と同様にして、液晶表示用装置を得た。実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0053】
実施例3
透明プラスチック前面パネルの乾燥処理条件を、100℃、33.3kPaとし、乾燥時間を5時間としたこと以外は実施例1と同様にして、液晶表示用装置を得た。実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0054】
実施例4
透明プラスチック前面パネルの乾燥処理条件を、100℃、13.3Paとしたこと以外は実施例1と同様にして、液晶表示用装置を得た。実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0055】
実施例5
透明プラスチック前面パネルの乾燥処理条件を、40℃、13.3kPaとしたこと以外は実施例1と同様にして、液晶表示用装置を得た。実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0056】
実施例6
使用する透明プラスチック前面パネルを、厚さ1mmのアクリル樹脂板(40mm×50mm)(MR200:三菱レイヨン(株)製〕としたこと以外は、実施例1と同様にして液晶表示用装置を得た。実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0057】
比較例1
透明プラスチック前面パネルの乾燥処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、液晶表示用装置を得た。実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0058】
比較例2
透明プラスチック前面パネルの乾燥処理条件を、35℃、101kPaとしたこと以外は実施例1と同様にして、液晶表示用装置を得た。実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0059】
比較例3
透明プラスチック前面パネルの乾燥処理条件を、25℃、33.3kPaとしたこと以外は実施例1と同様にして、液晶表示用装置を得た。実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0060】
比較例4
透明プラスチック前面パネルの乾燥処理条件を、35℃、33.3kPaとしたこと以外は実施例1と同様にして、液晶表示用装置を得た。実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0061】
比較例5
透明プラスチック前面パネルの乾燥処理条件を、25℃、13.3Paとしたこと以外は実施例1と同様にして、液晶表示用装置を得た。実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0062】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の画像表示装置は、視認性、光学特性、および高温高湿下での耐久性に優れる。特に、前面パネルからの揮発性成分に起因するガスによる気泡の発生や、粘着力低下による剥離が改善され、長期信頼性に優れた画像表示装置である。また、本発明の製造方法によれば、保護パネルに気泡発生抑制のためのガスバリア処理を施す必要がなく、視認性に優れた保護パネル一体構造の画像表示装置を容易に製造することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1:ガラス
2:スペーサー
3:液晶
4:液晶表示セル
5:偏光板等
6:液晶パネル
7:前面パネル
8:空隙
9:バックライトユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示パネルに、透明プラスチック前面パネルが、透明粘着シートを介して密着配置されている画像表示装置であって、50℃から100℃の環境温度において、透明粘着シートに気泡が発生しないことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
透明プラスチック前面パネルが、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂のいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記透明プラスチック前面パネルの含水率が、0.03質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
透明プラスチック前面パネルが、ガスバリア膜を含まないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項5】
画像表示パネルが、プラズマディスプレイパネル、液晶ディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル、又はフィールドエミッションディスプレイパネルのいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項6】
画像表示パネルに、透明プラスチック前面パネルが、透明粘着シートを介して密着配置されている画像表示装置の製造方法であって、密着配置する前の、透明プラスチック前面パネルの含水率を、0.03質量%以下の範囲にすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記透明プラスチック前面パネルを、40℃以上で、かつ該透明プラスチック前面パネルの変形温度以下の温度で加熱処理する工程を含むことを特徴とする、請求項6に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記加熱処理する工程を、画像表示パネルと透明粘着シートとを密着配置する前に行うことを特徴とする、請求項7に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項9】
画像表示パネルに、透明プラスチック前面パネルが、透明粘着シートを介して密着配置されている画像表示装置の製造方法であって、該透明プラスチック前面パネルを、13.3kPaから1.33Paの範囲で減圧処理することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記減圧処理する工程を、画像表示パネルと透明粘着シートとを密着配置する前に行うことを特徴とする、請求項9に記載の画像表示装置の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−137726(P2012−137726A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114163(P2011−114163)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】