説明

画像表示装置

【課題】液晶ディスプレイの同一領域に異なるコンテンツを表示し、視野角を制御することで、視聴する位置に応じたコンテンツを視聴できる画像表示装置において、例えば左寄りの位置からは物理的に右端部については視認しづらいため、画像表示領域全体に画像が表示されていても視聴者に有効な情報として伝達されない可能性がある。
【解決手段】本発明は、ディスプレイ中に複数の部分画像表示領域を有し、そのそれぞれが異なる視野角特性を有する画像表示装置を提案するものである。例えば、ディスプレイ中央領域から左配置の部分画像表示領域には、ディスプレイ左寄りからの視線に対して有効に視認可能となるようなコンテンツを表示し、右配置の部分画像表示領域には、ディスプレイ右寄りからの視線に対して有効に視認可能となるようなコンテンツを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイの同一領域に異なるコンテンツや情報を同時に表示し、視野角を制御することで、視聴する位置に応じたコンテンツや情報を視聴することのできる画像表示装置はすでに提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−177357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、横方向にワイドな画像表示装置において、例えば左寄りに位置する場所からディスプレイを見た場合、物理的にディスプレイ右部については視認しづらいため、画像表示領域全体に画像が表示されていても視聴者に有効な情報として伝達されない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、かかる実情に鑑み、ディスプレイ中に複数の部分画像表示領域を有する画像表示装置であって、部分画像表示領域のそれぞれは、異なる視野角特性を有する画像表示装置を提案するものである。例えば、ディスプレイ中央領域から左配置の部分画像表示領域には、ディスプレイ左寄りからの視線に対して有効に視認可能となるようにコンテンツaを表示し、右配置の部分画像表示領域には、ディスプレイ右寄りからの視線に対して有効に視認可能となるようにコンテンツbを表示する。
【発明の効果】
【0005】
以上、説明したように本件発明に係る画像表示装置は、視野角を制御することで、1つの画像表示装置で複数の視聴者ごとに最適なコンテンツや情報の提供が可能となるという効果を有する。このとき、視野角特性を利用した表示に特化することにより、ディスプレイ端部の視認しにくい領域については特段の表示を行わないことで有効に画面表示領域を活用することができる。
【0006】
また、視聴者には他者の視聴するコンテンツは視認できないため、自身の視聴するコンテンツに集中することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、各発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0008】
<<実施形態>>
【0009】
<概要> 本件発明は、ディスプレイ中に複数の部分画像表示領域を有する画像表示装置であって、部分画像表示領域のそれぞれは、異なる視野角特性を有する画像表示装置である。
【0010】
図1から3は、本実施形態の画像表示装置の一例を示すものである。本画像表示装置は、ディスプレイ中に複数の部分画像表示領域を有し、部分画像表示領域のそれぞれが異なる視野角特性を有するため、画像を視聴する位置に応じて、異なるコンテンツを視聴可能とできる。例えば、図1では、ディスプレイ左寄りに位置する視聴者Aはコンテンツaを画面表示領域左部分にて視聴でき、ディスプレイ右寄りに位置する視聴者Bはコンテンツbを画面表示領域右部分にて視聴できる。このとき視聴者Aの位置からでは、画面表示領域右部分においては、黒い帯が表示されているのみであり、コンテンツbは視聴できない。同様に、視聴者Bの位置からでは、画面表示領域左部分においては、黒い帯が表示されているのみであり、コンテンツaは視聴できない。このとき、視聴者が視聴できる範囲は厳密に画面表示領域の半分である必要はなく、一部重畳する場合があってもよい(画面表示領域中央部分では両方のコンテンツを表示するための視野角特性を有する。)。視聴者A、Bは他のコンテンツの表示に惑わされることなく、それぞれのコンテンツa、bを集中して視聴することができる。
【0011】
また、図1に示すような左右で異なる視野角特性を有する部分画像表示領域を有する画像表示装置以外にも、例えば図2に示すように、さらにディスプレイの中央部に視野角が20度程度の部分画像表示領域を備える画像表示装置であっても良い。この画像表示装置によって、ディスプレイ左寄りに位置する視聴者Aはコンテンツaを視聴し、ディスプレイ中央に位置する視聴者Cはコンテンツcを視聴し、ディスプレイ右寄りに位置する視聴者Bはコンテンツbを視聴できる。あるいは、ディスプレイを上方から見下ろす例として図3に示すように、ディスプレイ北部に位置する視聴者Aはコンテンツaを視聴し、ディスプレイ東部に位置する視聴者Bはコンテンツbを視聴し、ディスプレイ南部に位置する視聴者Cはコンテンツcを視聴し、ディスプレイ西部に位置する視聴者Dはコンテンツdを視聴できるように、それぞれの方角のみの視野角特性を有する部分画像表示領域を、ディスプレイ上のそれぞれの方角に該当する箇所に配置しても良い。もちろん、本実施例の画像表示装置における表示形態については、以上に示したもののみに限定されるものではなく、様々なバリエーションが想定される。
【0012】
<構成> 本件発明の機能ブロックの一例を図4に示した。 図4に示す本実施形態の「画像表示装置」(0400)は、「部分画像表示領域」(0401〜0406)を有する。
【0013】
「画像表示装置」(0400)は、画像を表示可能なディスプレイ(液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイなど)を有する装置一般を広く含む。
【0014】
「部分画像表示領域」(0401〜0406)は、それぞれ異なる視野角特性を有する。視野角特性とは、画面を見る方向(角度)によって見え方(コントラスト比や色)が異なる性質のことをいう。一般に液晶ディスプレイは、CRTディスプレイに比べ、視野角特性が狭い。本発明においてはこれを利用し、視聴者の位置に応じて異なるコンテンツを視聴可能とすることを目的とする。つまり、例えば、部分画像表示領域がディスプレイ中央領域から左右に配置されている場合には、左配置の部分画像表示領域(0401〜0403)は、ディスプレイ左寄りからの視線に対して有効に視認可能な視野角特性を有し、右配置の部分画像表示領域(0404〜0406)は、ディスプレイ右寄りからの視線に対して有効に視認可能な視野角特性を有する。したがって、視聴者Aは左配置の部分画像表示領域(0401〜0403)によって表示された画像を視認し、視聴者Bは右配置の部分画像表示領域(0404〜0406)によって表示された画像を視認する。これによって、視聴者A、Bとで異なるコンテンツの視聴が可能となる。
【0015】
なお、ディスプレイの画像表示領域の縦/横比は、3/8よりも小さな値であるとしてもよく、この場合にはディスプレイが横方向に長いことで、臨場感あふれる映像を視聴できるという利点を有する。ただし、ディスプレイの中央付近の位置からは画面の全体を視認可能であるが、左右に偏った位置からでは他方の端部の映像が視認しにくいといえる。このとき、上述のように視野角特性を利用した表示を行い、視認しにくい領域については特段の表示を行わないことで有効に画面表示領域を活用する。
【0016】
さらに、部分画像表示領域は、それぞれ異なる視野角特性を持たせるための視差バリアを有する場合がある。「視差バリア」とは、ディスプレイからの光の進行方向を制御し、バックライトから発する光の向きを分離するためのバリアをいう。これによって、先の例では左部に位置する視聴者と右部に位置する視聴者が視聴するコンテンツを異なるものとすることができる。図5に、視差バリアの例を模式的に示した。画像表示装置(0500)を俯瞰した様子を示した。図では、画像表示装置の下辺がディスプレイ表示面に相当する。ディスプレイ上に複数の視差バリアを設けることで、左右に光を分離し、視聴者A、Bに異なるコンテンツを視聴させることが可能となる。視聴者Aの位置からは0504〜0506の部分表示領域に表示されている画像は視差バリアにさえぎられて視認することはできず、また同様に視聴者Bの位置からは0501〜0503の部分表示領域に表示されている画像は視認できない。
【0017】
<具体例> 図6は、本画像表示装置におけるハードウエア構成の一例を示す概略図である。この図を利用して、画像表示装置の表示処理におけるそれぞれのハードウエア構成部の働きについて説明する。この図にあるように、画像表示装置は、「CPU(中央演算装置)」(0601)と、「メインメモリ」(0602)と、「グラフィックメモリ」(0603)とを備えている。また、「記憶装置(又は記憶媒体)」(0604)や、「受信チューナー」(0605)や、「インターフェース」(0606)も備えている。これらは、「システムバス」(0607)などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0018】
ここで、記憶装置はCPUにて実行される各種プログラムなどを記憶している。また、メインメモリは記憶装置に記憶されているプログラムを実行するために読み出しと同時にそのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。さらに、このメインメモリや記憶装置にはそれぞれ複数のメモリアドレスが割り当てられており、CPUで実行されるプログラムは、そのメモリアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやり取りを行い、処理することが可能となっている。
【0019】
また、受信チューナーは、コンテンツデータを受信する機能を備える。インターフェースは、受信チューナーにて受信したコンテンツデータをメインメモリに伝送する機能などを備える。
【0020】
インターフェースにてコンテンツの表示命令(電源ON、チャンネル選択など)が取得されることにより、受信チューナーなどを介してコンテンツaと、コンテンツbとがそれぞれ記憶装置のメインメモリのアドレス(1)(2)に保持される。さらに、記憶装置のアドレス(α)に記憶されている画像表示プログラムPがメインメモリのワーク領域上(3)に展開される。このとき、まず、コンテンツ表示プログラムPは、「メインメモリのアドレス(1)(2)のデータをグラフィックメモリに格納せよ」との命令を送出する。この命令にしたがって、メインメモリのアドレス(1)(2)に記憶されているコンテンツaとコンテンツbとが読み出され、CPUにて画像表示のための処理が行われる。このとき、例えば、ディスプレイ中央領域から左配置の部分画像表示領域には、ディスプレイ左寄りからの視線に対して有効に視認可能となるようにコンテンツaを表示し、右配置の部分画像表示領域には、ディスプレイ右寄りからの視線に対して有効に視認可能となるようにコンテンツbを表示するなどの処理を行う。
【0021】
<効果> 本件発明は、ディスプレイ中に複数の部分画像表示領域を有する画像表示装置であって、部分画像表示領域のそれぞれは、異なる視野角特性を有する画像表示装置である。視野角を制御することで、1つの画像表示装置で複数の視聴者ごとに最適なコンテンツや情報の提供が可能となる。例えば、ディスプレイ中央領域から左配置の部分画像表示領域には、ディスプレイ左寄りからの視線に対して有効に視認可能となるようにコンテンツaを表示し、右配置の部分画像表示領域には、ディスプレイ右寄りからの視線に対して有効に視認可能となるようにコンテンツbを表示する。このとき、横方向にワイドな表示装置の場合には、ディスプレイの左右に偏った位置からでは他方の端部の映像が視認しづらいという問題点が生じることがあったが、視野角特性を利用した表示に特化することにより、視認しにくい領域については特段の表示を行わないことで有効に画面表示領域を活用することができる。
【0022】
また、本件発明を車載用のディスプレイに応用する場合には、運転手側には地図を表示し、助手席側にはDVDや放送コンテンツを表示することができ、両者が自身に必要な情報を集中して視聴できる。さらに、本件発明を業務用モニタに応用する場合には、顧客には提案資料を、販売員には内部資料を表示することができ、顧客に開示したくない資料を用いて有効に営業活動を行うことができる。
【0023】
<<その他の実施形態>>
【0024】
<概要> 本件発明は、上記画像表示装置を基本として複数の部分画像表示領域のそれぞれをディスプレイの画像表示領域の全部とし、またさらに以下に示すような画像出力部を有することで、例えば図9に示すように左から視聴する視聴者に対して野球中継とバッターのデータ画面の2画面を全画面にて同時表示し、右から視聴する視聴者に対しては別の局の放送番組と電子番組表の2画面を全画面にて同時表示する、などの表示を可能とする画像表示装置も提供する。
【0025】
あるいは、図10に示すように左から視聴する視聴者に対しては字幕あり映画を全画面表示し、右から視聴する視聴者に対しては字幕無し映画を全画面表示する、などの表示を可能とする画像表示装置も提供する。また、図11に示すように左から視聴する視聴者に対してはデータ放送のデータ画像を全画面表示し、右から視聴する視聴者に対してはそのデータ放送の同一チャンネルのデータを除く画像を全画面表示する、などの表示を可能とする画像表示装置も提供する。また、図12に示すように左から視聴する視聴者に対しては放送番組を全画面表示し、右から視聴する視聴者に対してはその放送ネットワークの電子番組表を全画面表示する、などの表示を可能とする画像表示装置も提供する。
【0026】
<構成> 本件発明におけるその他の実施形態に関する機能ブロックの一例を、図7に示す。 図7に示すその他の実施形態の「画像表示装置」(0700)は、「部分画像表示領域」(0701、0702、0703、・・・)を有する。なお、この「画像表示装置」および「部分画像表示領域」については既に記載済みであるのでその説明は省略する。
【0027】
そして、このその他の実施形態の特徴点は、複数の部分画像表示領域のそれぞれが、ディスプレイの画像表示領域の全部である点と、以下に示すようなさまざまな「画像出力部」(0704)をさらに有する点である。
【0028】
なお、「複数の部分画像表示領域のそれぞれが、ディスプレイの画像表示領域の全部である」とは、部分画像表示領域のそれぞれの視野角特性に応じて、例えば左から見た場合に表示される画像がディスプレイの画像表示領域の全部となり、右から見た場合にも表示される画像がディスプレイの画像表示領域の全部となるような表示形態をいう。このような表示形態は、具体的には例えば図8に示すように部分画像表示領域を左視野角と右視野角とが交互になるよう視差バリアを配置するなどして実現することができる。
【0029】
この図にあるように、左からの視聴者Aは斜線で示す部分画像領域0801、0802、0803・・・を視聴することができるので、左方向からディスプレイを視聴した場合、例えば8:3のディスプレイの全画面に画像が表示されて見えることになる。ただし、部分画像表示領域0804,0805,0806・・・における画像を視認することはできないので、例えば本来720×480の解像度を有する表示画像は、横の解像度が半分の360×480の表示画像になる。また同様に、右方向からディスプレイを視聴した場合、部分画像表示領域0804、0805,0806・・・を視認することができるので、例えば横の解像度が半分になった表示画像が8:3のディスプレイの全画面に表示されて見える、という具合である。
【0030】
そして、このその他の実施形態の表示装置では、そのディスプレイ上の全画面表示において、さまざまな「画像出力部」の機能によって図9から図12に示すような画像表示が行われる。なお、以下に示す各画像出力部は、CPUやビデオチップ、ビデオメモリやそれらを制御するアプリケーションによって実現されると良い。
【0031】
(表示例1) 図9に示すように、本実施形態のその他の例1では、例えば左から画面を視聴するとチューナー1にて受信した野球中継とデータ放送とが全画面表示される。一方、右から画面を視聴するとチューナー2にて受信したドラマと電子番組表とが全画面表示される、という具合である。この表示例1のように、全画面表示にてそれぞれの視野角方向に複数の画面を出力するためには、画像出力部が「複数画面出力部」であれば良い。なお、「複数画面出力部」とは、複数の部分画像表示領域ごとに複数の画面を出力する機能を有する画像出力部である。具体的にはCPUなどの演算処理による解像度の間引き処理や、例えばチューナー1とチューナー2のそれぞれで受信した放送番組などのデータを、それぞれの視野角に対応する部分表示領域へ出力するための制御処理などによって実現することができる。
【0032】
そして、図に示すように、左から見た場合、全画面中の左半分が放送画像である「動画像」が表示されており、右半分にはデータ放送画像である「(ほぼ)静止画」が表示されている。一方、右から見た場合、逆に全画面中の左半分に電子番組表である「(ほぼ)静止画像」が表示され、右半分には放送画像である「動画像」が表示されている。すなわち、この表示例では、図9(a)で示すように部分画像領域で静止画像と動画像とが交互に表示されていることになる。ここで、隣接した部分表示領域のそれぞれに別の動きをする動画像が表示されると、その隣接部分は視聴者にちらついて視認されることになる。また、視差バリアを利用するなどして、この隣接した部分表示領域は左右に異なる視野角特性を有し、基本的に同時には視認できないよう構成されているものの、視聴位置などによっては、視聴者は隣接した部分表示領域の双方、とりわけその隣接部分を視認することができてしまう。したがって、この図9で示す表示例のように、隣接する部分表示領域において静止画像と動画像とが交互に表示されるよう構成することで、この「ちらつき」の視認を抑えることができるようになる。
【0033】
(表示例2) 図10に示すように、本実施形態のその他の例2では、例えば左から画面を視聴するとDVDプレイヤーなどの外部映像再生装置から取得した映画の画像が字幕付きにて全画面表示される。一方、右から画面を視聴すると同様にして取得した映画画像が字幕無しにて全画面表示される、という具合である。この表示例2のように、全画面表示にてそれぞれの視野角方向に字幕ありの画像と字幕なしの画像とを出力するためには、画像出力部が「字幕なし画像出力部」と「字幕あり画像出力部」であれば良い。なお、「字幕なし画像出力部」とは、複数の部分画像表示領域のいずれか一に字幕なし画像を出力する画像出力部であり、「字幕あり画像出力部」とは、複数の部分画像表示領域の他の一に前記字幕なし画像に字幕を付加した字幕あり画像を出力する画像出力部である。具体的には、CPUなどの演算処理による解像度の間引き処理や、字幕のOSD(オンスクリーンディスプレイ)表示処理、あるいは取得した映像データをそれぞれの視野角に対応する部分表示領域へ出力するための制御処理などによって実現することができる。なお、この出力は一の映像ソースを利用して、片方にはその映像ソースをそのまま出力することで字幕なし画像を出力し、他方はその映像ソースに字幕を重畳させて出力することで字幕あり画像を出力する、という構成であっても良い。あるいは、二の映像ソースから字幕なし画像と字幕あり画像をそれぞれ取得し、それぞれ出力するような構成であっても良い。これにより、例えば必要のない字幕が表示され画像細部が遮られることにストレスを覚えるような視聴者と、字幕を必要とする視聴者とが一のディスプレイで同時に視聴することができるようになる。
【0034】
また、この表示例における「字幕」とは文字放送における字幕も含むものである。したがって、本実施形態の画像表示装置を利用すれば、例えば左方向には難聴者向けに文字放送字幕が重畳された映像を表示し、右方向には健常者向けに文字放送字幕が重畳されておらず隅々まで視認可能な映像を表示することで、難聴者も健常者も同時に映像を楽しめるバリアフリーを実現することができる。
【0035】
そして、この表示例においては、図10(a)に示すように隣接する部分表示領域で表示されるのは字幕表示部分を除けば同じ動きをする動画像であるので、たとえ視聴位置が微妙な位置であっても「ちらつき」の視認を抑えることができる。また、字幕の表示を図に示すようなブラックマスク部分に表示すれば、ブラックマスク部分は静止画像であるので、さらに「ちらつき」の視認を抑える効果が期待できる。
【0036】
(表示例3) 図11に示すように、本実施形態のその他の例3では、例えば左から画面を視聴するとチューナー1にて受信した野球中継が全画面表示される。一方、右から画面を視聴するとその野球中継に関するデータ放送が全画面表示される、という具合である。この表示例3のように、全画面表示にてそれぞれの視野角方向に放送番組とデータ放送の画面とを出力するためには、画像出力部が「データ画像出力部」と「データ除外画像出力部」であれば良い。なお、「データ画像出力部」とは、複数の部分画像表示領域のいずれか一にデータ放送のデータ画像を出力する画像出力部であり、「データ画像除外出力部」とは、複数の部分画像表示領域の他の一に前記データ放送の同一チャンネルのデータを除く画像を出力する画像出力部である。具体的にはCPUなどの演算処理による解像度の間引き処理や、ヘッダ情報に基づくデータ放送か否かの識別処理、あるいは例えばチューナー1で受信した放送番組の映像データとデータ放送とを、それぞれの視野角に対応する部分表示領域へ出力するための制御処理などによって実現される。これにより、ユーザーはリモコンや放送受信装置本体のボタンを操作しなくとも左右に移動したりディスプレイを回転させたりするだけで放送番組とデータ放送とを視聴することができる。
【0037】
そして、この表示例においても、図11(a)に示すように隣接する部分表示領域で静止画像と動画像とが交互に表示されるので、たとえ視聴位置が微妙な位置であっても「ちらつき」の視認を抑えることができる。
【0038】
(表示例4) 図12に示すように、本実施形態のその他の例4では、例えば左から画面を視聴するとチューナー1にて受信したドラマが全画面表示される。一方、右から画面を視聴するとそのドラマの放送ネットワークの電子番組表が全画面表示される、という具合である。この表示例4のように、全画面表示にてそれぞれの視野角方向に放送番組と電子番組表の画面とを出力するためには、画像出力部が「放送画像出力部」と「電子番組表出力部」であれば良い。なお、「放送画像出力部」とは、複数の部分画像表示領域のいずれか一に放送の画像を出力する画像出力部であり、「電子番組表出力部」とは、複数の部分画像表示領域の他の一に前記放送ネットワークの番組表を出力する画像出力部である。具体的にはCPUなどの演算処理による解像度の間引き処理や、電子番組表をOSD(オンスクリーンディスプレイ)表示するための処理、あるいは受信した放送番組などの映像データとその電子番組表を表示するためのデータとをそれぞれの視野角に対応する部分表示領域へ出力するための制御処理などによって実現される。これにより、ユーザーはリモコンや放送受信装置本体のボタンを操作しなくとも左右に移動したりディスプレイを回転させたりするだけで放送番組と電子番組表とを視聴することができる。
【0039】
そして、この表示例においても、図12(a)に示すように隣接する部分表示領域で静止画像と動画像とが交互に表示されるので、たとえ視聴位置が微妙な位置であっても「ちらつき」の視認を抑えることができる。また、画像表示領域の縦/横比が3/8よりも小さな値である、超ワイドビューのディスプレイにおいて上記表示例1から4のような表示を行うことで、横方向に長く臨場感あふれる映像を左右別々に視聴することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本件発明を説明するための概念図
【図2】本件発明の表示形態のその他の例を示した図(その1)
【図3】本件発明の表示形態のその他の例を示した図(その2)
【図4】本件発明の構成の一例を示した図
【図5】本件発明の視差バリアの一例を示した図
【図6】本件発明のハードウエア構成の一例を示す概略図
【図7】本件発明のその他の構成の一例を示した図
【図8】本件発明の視差バリアの、また別の一例を示した図
【図9】本件発明のその他の表示形態の例を示した図(その1)
【図10】本件発明のその他の表示形態の例を示した図(その2)
【図11】本件発明のその他の表示形態の例を示した図(その3)
【図12】本件発明の表示形態のその他の例を示した図(その4)
【符号の説明】
【0041】
0400 画像表示装置
0401 部分画像表示領域(左配置)
0402 部分画像表示領域(左配置)
0403 部分画像表示領域(左配置)
0404 部分画像表示領域(右配置)
0405 部分画像表示領域(右配置)
0406 部分画像表示領域(右配置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ中に複数の部分画像表示領域を有する画像表示装置であって、
部分画像表示領域のそれぞれは、異なる視野角特性を有する画像表示装置。
【請求項2】
部分画像表示領域は、ディスプレイ中央領域から左右に配置され、
左配置の部分画像表示領域は、ディスプレイ左寄りからの視線に対して有効に視認可能な視野角特性を有し、
右配置の部分画像表示領域は、ディスプレイ右寄りからの視線に対して有効に視認可能な視野角特性を有する
請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
部分画像表示領域は、それぞれ異なる視野角特性を持たせるための視差バリアを有する請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
複数の部分画像表示領域のそれぞれは、ディスプレイの画像表示領域の全部であり、
複数の部分画像表示領域ごとに複数の画面を出力する複数画面出力部を有する請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項5】
複数の部分画像表示領域のそれぞれは、ディスプレイの画像表示領域の全部であり、
複数の部分画像表示領域のいずれか一に字幕なし画像を出力する字幕なし画像出力部と、
複数の部分画像表示領域の他の一に前記字幕なし画像に字幕を付加した字幕あり画像を出力する字幕あり画像出力部と、
を有する請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項6】
複数の部分画像表示領域のそれぞれは、ディスプレイの画像表示領域の全部であり、
複数の部分画像表示領域のいずれか一にデータ放送のデータ画像を出力するデータ画像出力部と、
複数の部分画像表示領域の他の一に前記データ放送の同一チャンネルのデータを除く画像を出力するデータ除外画像出力部と、
を有する請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項7】
複数の部分画像表示領域のそれぞれは、ディスプレイの画像表示領域の全部であり、
複数の部分画像表示領域のいずれか一に放送の画像を出力する放送画像出力部と、
複数の部分画像表示領域の他の一に前記放送ネットワークの番組表を出力する番組表出力部と、
を有する請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項8】
ディスプレイの画像表示領域の縦/横比は、3/8よりも小さな値である請求項1から7のいずれか一に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−279245(P2007−279245A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103538(P2006−103538)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】