説明

画像表示装置

【課題】尾引きのあるぼやけた画像表示となるのを防止し、さらに、各領域間(1画面全体)の明るさの均一性および各領域内における明るさの均一性をより高める。
【解決手段】電気光学変調装置(液晶表示パネル11)のパネル面を複数に区分して得られた各領域A1,A2,A3を照明する各領域ごとの固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35と、前記固体光源の点灯制御を行う光源制御部102とを有し、光源制御部102は、電気光学変調装置への画像データの書き込みに同期して前記各領域ごとの固体光源に対する点灯制御を行い、該点灯制御は、1画面分の画像データ書き込み期間において、前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域に対応する固体光源が消灯状態となるような点灯制御を行う。さらに、各領域間(1画面全体)の明るさの均一性および各領域内における明るさの均一性をより高めるための点灯制御などを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学変調装置を用いた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネル(以下では液晶装置という)などのホールド型の表示モードを有する電気光学変調装置を用いた画像表示装置は、動画像の表示を行う場合、この種の電気光学変調装置の特性により尾引きのあるぼやけた画像表示となる。これは、インパルス的な画像出力を行うCRT(陰極線管)ディスプレイにはない現象である。
【0003】
このような尾引きのあるぼやけた画像表示となるのを防止するためには、CRTと同じようにインパルス的な画像出力がなされるような制御を行えばよい。その一例としては、たとえば、電気光学変調装置(以下では、液晶装置を例にして説明する)を照明するための光を液晶装置面に対して間欠的に照射させる方法や、液晶装置を水平方向の走査線に沿って複数に区分して得られた各領域ごとにスクロールさせる方法がある(たとえば、特許文献1〜5参照)。
【0004】
特許文献1は、シャッタの開閉動作によって、光源からの光を液晶装置面に対して、1フィールド期間のある一定時間のみ照射させるような制御を行うものであり、光源からの光を液晶装置に対して間欠的に照射させる方法に分類されるものであるといえる。
【0005】
特許文献1は、具体的には、光源ランプから液晶装置を通って視聴者にいたる光路上にシャッタを配置し、このシャッタの開口率(1フィールド期間内において光を透過させる時間率)を制御することで、各フィールドにおいて一定時間のみ、視聴者に対して画像表示を行うように制御するものである。このようなシャッタ制御を行うことにより、尾引きのあるぼやけた画像表示となるのを防止するようにしている。また、シャッタを開く一定時間は1フィールド期間内の後半とすることによって、液晶装置の応答が安定状態となった時点で表示を行うようにしている。
【0006】
一方、特許文献2〜5は、帯状の光を液晶装置面を垂直方向にスクロールさせる方法に分類されるものである。
これら特許文献2〜5のうち、特許文献2は、光源からの光に循環的な偏向を生じさせるレンズアレイホイールを設け、このレンズアレイホイールによって、液晶装置上で光を循環的にスクロールさせるものである。また、この特許文献2においても、液晶装置の応答が遅いことを考慮して、点灯タイミングをそのブロックの書き込みに対して一定時間遅延させる制御を行っている。
【0007】
また、特許文献2には他の実施形態として、一部に渦巻き状の透明部分を有するスクロール円盤をレンズアレイホイールの代わりに設けて、このスクロール円盤を回転させることによって、渦巻状の光透過部を透過した光を液晶装置上でスクロールさせる方法も示されている。
【0008】
また、特許文献2〜5のうちの特許文献3〜5は、蛍光灯などの放電ランプを液晶装置の垂直方向の複数の領域に対応して配置し、各放電ランプの点灯を液晶装置の書き込みタイミングと同期して行うもので、それによって、尾引きのあるぼやけた画像表示となるのを防止している。また、これら特許文献3〜5においても、液晶装置の応答が遅いことを考慮して、画像データ書き込み中の領域に対応する放電ランプの点灯タイミングをその領域の書き込みに対して一定時間遅延させることが示されている。
【0009】
ところで、上述したような尾引きのあるぼやけた画像表示となるのを防止するために、上述した各特許文献1〜5に記載された技術、すなわち、インパルス的な画像出力がなされるような制御として、たとえば、液晶装置を照明するための光を液晶装置面に対して間欠的に照射させる方法や、液晶装置の各領域ごとに光スクロールさせる方法を採用すると、輝度が不足し、コントラストが低下して動画の迫力が低下するという問題が生じる。
これを解決するには、バックライトの輝度を高くすることが考えられるが、バックライトの輝度を高くすると、今度は元々輝度の低い場面などの画像において、画面全体画が白っぽくなるという問題が出てくる。
【0010】
これに対処する技術として、たとえば、特許文献6がある。特許文献6は、映像信号の輝度レベルを検出し、検出された最大輝度レベルに応じて各領域ごとの適応調光処理(光源固体の点灯制御と画素値の制御)を行うものである。これにより、最大輝度レベルの高い映像すなわち明るい映像の場合には、画像表示期間を長くして輝度を高くし、逆に、最大輝度レベルの低い映像すなわち暗い映像の場合には、画像表示期間を短くして、ボケの少ない切れのある動画を表示させるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−325715号公報
【特許文献2】特開2004−4463号公報
【特許文献3】特開2001−235720号公報
【特許文献4】特開2002−6815号公報
【特許文献5】特開平11−202286号公報
【特許文献6】特開平2002−40390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述の各特許文献1〜6のうちの各特許文献1〜5によれば、いずれも、尾引きのあるぼやけた画像表示となるのを防止する一定の効果は期待できると考えられる。
【0013】
しかしながら、特許文献1は、シャッタを用いて光源からの光を液晶装置の全面に対して一定時間のみ照射させるような制御を行うものであり、シャッタを開く時間を1フィールド期間の後半の所定時間(たとえば、1フィールドの1/2または1/4の時間)としている。このため、1フィールド期間の画像データの書き込みは、シャッタの開く前までに行っておく必要があり、画像データを高速に書き込むことが要求される。また、シャッタとしてポリマ分散液晶や強誘電性液晶などの液晶を用いたシャッタを用いているため、開閉時の応答に問題もある。
【0014】
また、特許文献2は、スクロール照射を行わせるために、レンズアレイホイールまたはスクロール円盤を回転させる機構が必要となり、また、液晶装置上を決められたタイミングで光を正確にスクロールさせるための高精度な回転制御が必要となる問題がある。
【0015】
また、特許文献3〜5の技術は、液晶装置のバックライトとして、いずれも蛍光灯などの放電ランプを用いている。このため、瞬時点灯・瞬時消灯が行えないため、きめ細かな点灯制御が行ええないとともに、点灯・消灯を高精度なタイミングで行うのは困難であるという問題がある。また、放電ランプは、点灯の立ち上がり時に輝度ムラ・色ムラが生じるという問題もある。
また、特許文献6は、上述したように、適応調光処理を行うものであり、これにより、ボケの少ない切れのある動画を再生する際に所定の効果が期待できるものと考えられる。
【0016】
しかしながら、これら特許文献1〜6を用いても、液晶装置を用いた画像表示装置の画質向上には、さらなる課題も多い。たとえば、上述したように、各領域ごとに照明を行うような場合、各領域間(1画面全体)の明るさの均一性および各領域内における明るさの均一性をより高いものとする必要ある。
【0017】
各領域間(1画面全体)の明るさの均一性および各領域における明るさの均一性をより高めるために、拡散板やロッドインテグレータなどを設ける技術は従来から数多く提案されている。しかしながら、拡散板やロッドインテグレータを設けても領域間(1画面全体)の明るさの均一性および各領域における明るさの均一性が十分に得られるものではなく、さらなる改善が必要であった。
【0018】
そこで本発明は、瞬時点灯・瞬時消灯が可能で、点灯の立ち上がり時における輝度ムラ・色ムラの少ない照明を可能とし、かつ、尾引きのあるぼやけた画像表示となるのを防止し、さらに、各領域間(1画面全体)の明るさの均一性および各領域内における明るさの均一性をより高めることが可能な画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(1)本発明の画像表示装置は、電気光学変調装置の画像形成領域を複数に区分して得られた各領域を照明する各領域ごとの光源と、前記光源の点灯制御を行う光源制御部とを有し、前記光源点灯制御部は、前記電気光学変調装置への画像データの書き込みに同期して前記各領域ごとの光源に対する点灯制御を行い、該点灯制御は、1画面分の画像データ書き込み期間において、前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域に対応する光源が消灯状態となるような点灯制御であることを特徴とする。
【0020】
このように、光源を電気光学変調装置のパネル面の各領域に対応して設け、各領域ごとの固体光源に対し、1画面分の画像データ書き込み期間において、複数の領域のうち、少なくとも1つの領域に対応する固体光源が消灯状態となるような点灯制御を行うようにしているので、ある1画面(1フレーム)全体の表示状態が次のフレームまで保持されることがなくなり、尾引きのあるぼやけた画像表示となるのを抑制することができる。
【0021】
(2)前記(1)に記載の画像表示装置においては、前記光源は、固体光源であることが好ましい。
このように、光源として固体光源を用いることにより、瞬時点灯・瞬時消灯が可能で、点灯の立ち上がり時における輝度ムラ・色ムラの少ない照明が可能となる。また、瞬時点灯・瞬時消灯が可能であるということは、高精度でかつ自由なタイミングでの点灯制御が可能となり、これにより、きめ細かで高精度な点灯制御が可能となる。
【0022】
(3)前記(1)または(2)に記載の画像表示装置においては、前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域に対応する光源が消灯状態となるような点灯制御は、前記各領域ごとの光源が、順番に所定時間だけ点灯状態となる点灯制御であることが好ましい。
これにより、1画面を構成する複数の領域が、それぞれ対応する固体光源によって順次照明、すなわち、スクロール照明されるので、尾引きのあるぼやけた画像表示となるのを、より効果的に抑制することができる。
【0023】
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の画像表示装置において、前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域に対応する固体光源のみが消灯状態となるような点灯制御は、画像データの書き込みを行っている領域については、該領域における画像データの書き込みタイミングに対し所定時間だけ遅延させて該領域に対応する光源を点灯させることが好ましい。
これにより、たとえば、電気光学変調装置として液晶装置を用いた場合、液晶装置の応答が十分安定した状態となった時点で、該領域に対して照明を行うことができる。これによって、液晶装置の応答遅れを考慮した点灯制御を行うことができ、高品質な画像表示が可能となる。
【0024】
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像表示装置においては、前記光源制御部は、各領域ごとの光源に対し、前記各領域間の照度の均一性を高めるための点灯制御を行うことが好ましい。
これにより、1画面全体の照度の均一性を高めることができ、各領域の境界を目立たなくすることができる。なお、この点灯制御は、各領域ごとの光源に対し、点灯時間を制御する点灯時間制御(パルス幅変調を含む)、電圧制御などによって実現可能となる。
【0025】
(6)前記(5)に記載の画像表示装置においては、前記各領域間の照度の均一性を高めるための点灯制御は、前記各領域のうち照度の低い領域の照度に他の領域の照度を合わせる点灯制御であることが好ましい。
これにより、1画面全体の照度の均一性を高めることができる。
【0026】
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の画像表示装置においては、前記光源制御部は、各領域ごとの光源が複数の光源で構成されている場合、これら複数の光源に対し、各領域内における照度の均一性を高めるための点灯制御を行うことが好ましい。
これにより、個々の領域内の照度の均一性を高めることができる。なお、この点灯制御は、各領域における複数の光源に対し、前述したように、点灯時間を制御する点灯時間制御(パルス幅変調を含む)、電圧制御などを行うことで実現可能となる。
【0027】
(8)前記(7)に記載の画像表示装置においては、前記各領域内における照度の均一性を高めるための点灯制御は、前記各領域内のうち照度の低い部分の照度に他の部分の照度を合わせる点灯制御であることが好ましい。
これにより、個々の領域内の照度の均一性を高めることができる。
【0028】
(9)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の画像表示装置においては、前記各領域ごとの光源と前記電気光学変調装置の各領域との間に、各領域ごとの拡散板を設けることが好ましい。
このように、拡散板を設けることにより、光源からの光を液晶装置の対応する領域に対して高い均一性で照射することができる。また、拡散板は奥行き方向の寸法が小さいので、画像表示装置全体を小型化するに有利であるといった利点もある。
【0029】
(10)前記(9)に記載の画像表示装置においては、前記各領域ごとの拡散板は、前記光源からの光の拡散の度合いが各拡散板の面上で異なる拡散性能を有することが好ましい。
このような拡散性能を有する拡散板を用いることにより、より効果的に照度の均一性を高めることができ、それによって、各領域内での照度ムラを最小限に抑えることができる。
【0030】
(11)前記(10)に記載の画像表示装置においては、前記拡散性能は、前記光源からの光の拡散の度合いが前記領域の辺付近よりも該領域の中心付近でより大きい拡散性能であることが好ましい。
このような拡散性能を有する拡散板を用いることにより、より効果的に照度の均一性を高めることができ、各領域内での照度ムラを最小限に抑えることができる。
【0031】
(12)前記(9)〜(11)のいずれかに記載の画像表示装置においては、前記各領域ごとの拡散板と各領域ごとの光源との間に、他の領域に対応する固体光源からの光を遮蔽する遮蔽板を設けることも好ましい。
これにより、各領域ごとの固体光源からの光を対応する領域に効果的に照射させることができる。
【0032】
(13)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の画像表示装置においては、前記各領域ごとの光源と前記電気光学変調装置の各領域との間に、ロッドインテグレータを設けることが好ましい。
このように、ロッドインテグレータを設けることにより、各領域内における照度の均一性を高くすることができ、各領域内での照度ムラを最小限に抑えることができる。
【0033】
(14)前記(13)に記載の画像表示装置においては、前記各領域ごとのロッドインテグレータは、対応する領域において複数のロッドインテグレータを並べて構成されることが好ましい。
このように、個々の領域内で複数のロッドインテグレータを並べた構成することにより、該領域内において、照度の均一性をより一層高めることができ、各領域内での照度ムラを最小限に抑えることができる。
【0034】
(15)前記(14)に記載の画像表示装置においては、前記複数のロッドインテグレータの個々のロッドインテグレータは、その断面が正方形または正方形に近い形状であることが好ましい。
これにより、照度の均一性をより一層高めることができ、各領域内での照度ムラを最小限に抑えることができる。
【0035】
(16)前記(1)〜(15)のいずれかに記載の画像表示装置においては、前記画像データの画素値の制御が可能な画像データ表示制御部をさらに有し、該画像データ表示制御部により、前記領域の境界付近の照度と該領域の中心付近の照度との差をより小さくするための画素値の制御を行うことも可能である。
このように、各領域ごとにその領域内の画素値を制御することによっても該領域内の照度の均一性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態1に係るプロジェクタの光学系を概略的に示す図。
【図2】図1で示したプロジェクタを制御するためのプロジェクタ制御部の概要を示すブロック図。
【図3】固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35の点灯制御を説明するタイムチャート。
【図4】実施形態1で用いられる拡散板の拡散性能について説明する図。
【図5】固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35と拡散板121〜123との間に遮蔽板141,142を設けた例を示す図。
【図6】本発明の実施形態2に係るプロジェクタの光学系を概略的に示す図。
【図7】各領域A1,A2,A3に対応するロッドインテグレータを複数個のロッドインテグレータを並べて構成した場合の断面図。
【図8】3板式のプロジェクタの光学系を概略的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施形態では、ホールド型の表示モードを有する電気光学変調装置を用いた画像表示装置としてプロジェクタを例にとり、また、電気光学変調装置は液晶装置であるとして説明を行う。なお、以下に示す各実施形態では、説明の簡単化のため、液晶装置を単板式とした例が示されている。
【0038】
[実施形態1]
図1は本発明の実施形態1に係るプロジェクタの光学系を概略的に示す図である。図1(a)は側面図、図1(b)は平面図である。なお、この図1は実施形態1の説明に必要としない構成要素についての図示は省略されている。
【0039】
実施形態1に係るプロジェクタ10は、電気光学変調装置としての液晶装置11と、この液晶装置11のバックライトとしての役目をなす複数個(実施形態1では図1の破線枠内に示すように垂直方向に3個、水平方向に5個としている)の光源(発光ダイオード(LED)などの固体光源であるとする)L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35と、これら固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35と液晶装置11との間に設けられた拡散板121,122,123と、液晶装置11の光射出側に設けられた投写レンズ13とを有している。
【0040】
なお、固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35は、液晶装置11の画像形成面としてのパネル面をたとえば水平方向の走査線に沿って3つに区分して得られた各領域A1,A2,A3を照射するようにそれぞれの領域A1,A2,A3ごとに設けられる。すなわち、固体光源L11〜L15は、液晶装置11の領域A1に対応して設けられ、また、固体光源L21〜L25は、液晶装置11の領域A2に対応して設けられ、また、固体光源L31〜L35は、液晶装置11の領域A3に対応して設けられる。
【0041】
そして、固体光源L11〜L15と液晶装置11の領域A1との間には拡散板121が介在され、また、固体光源L21〜L25と液晶装置11の領域A2との間には拡散板122が介在され、また、固体光源L31〜L35と液晶装置11の領域A3との間には拡散板123が介在される。
これら各領域ごとに設けられた拡散板121,122,123は、液晶装置11の各領域A1,A2,A3において、各領域内の照度の均一性を高める機能を有している。
【0042】
図2は図1で示したプロジェクタを制御するための制御部(プロジェクタ制御部1という)の概要を示すブロック図である。プロジェクタ制御部1は、投写すべき画像データに対する処理を行う画像データ処理機能と固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35を点灯制御するための光源制御情報の生成を行う光源制御情報生成機能を有する画像データ表示制御部101と、画像データ表示制御部101によって生成された光源制御情報に基づいて固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35の点灯制御を行う光源制御部102と、画像データ表示制御部101で処理された画像データを所定のタイミングで液晶装置11に書き込むための処理を行う液晶装置ドライバ103などを有している。
【0043】
次に、固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35の点灯制御について説明する。上述したように、固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35は、液晶装置11のそれぞれ対応する領域A1,A2,A3を照射するものであるが、画像データの書き込みに同期して、固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35を、各フレーム内において、所定時間だけ点灯させるような点灯制御がなされる。この点灯制御は、画像データ表示制御部101で生成された光源制御情報に基づいて光源制御部102が行う。
【0044】
なお、この点灯制御を行う際、画像データの書き込みを行っている領域については、該領域における画像データの書き込みタイミングに対し、所定時間だけ遅延させて該領域に対応する固体光源を点灯させるような点灯制御がなされる。このような点灯制御は、画像データの書き込みに対する液晶装置の表示の応答の遅さを考慮したものである。
【0045】
図3は固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35の点灯制御を説明するタイムチャートである。
図3(a)はある1フレームにおける領域A1,A2,A3への書き込みを示すものである。T1は領域A1への書き込み開始時点、T2は領域A1への書き込み終了時点であり、T2で領域A1への書き込みが終了したあと、次の領域A2への書き込みが開始される。なお、ここでは、説明の簡単化のため、ある領域への書き込み終了時点と次の領域への書き込み開始時点は同じであるとして説明する。したがって、この場合、領域A1への書き込み終了時点T2は領域A2への書き込み開始時点でもある。また、T3は領域A2への書き込み終了時点であり、このT3は領域A3への書き込み開始時点でもある。また、T4は領域A3への書き込み終了時点である。
【0046】
図3(b)〜(d)は、各領域A1,A2,A3への書き込み終了時点T2,T3,T4からの各領域の液晶の応答を示すものである。すなわち、各領域A1,A2,A3におけるそれぞれの領域内の最下端の走査線への書き込みが行われれたのちの、該最下端の走査線に対する液晶の応答を示すものである。
【0047】
たとえば、図3(b)は、領域A1への書き込み終了時点T2からの該領域A1の液晶の応答を示すものである。この図3(b)からもわかるように、領域A1への書き込み終了時点T2すなわち領域A1の最下端の走査線への書き込み終了時点T2から、所定時間Td1後に、該領域A1の最下端の走査線の液晶はほぼ安定した応答状態となる。この領域A1の最下端の走査線の液晶がほぼ安定した応答状態となるタイミングをここでは、該領域A1全体の液晶がほぼ安定した応答状態となるタイミングであるとする。
【0048】
したがって、このタイミングで該領域A1に対応する固体光源L11〜L15を点灯させるような点灯制御を行うこと望ましい。これは、領域A1への書き込みの開始を基点に考えれば、図3(e)に示すように、領域A1への書き込みの開始時点T1から該領域A1全体の液晶がほぼ安定した応答状態となるタイミングまでの時間(これをTd2とする)が経過した後に、固体光源L11〜L15を点灯させればよいということである。
【0049】
また、領域A2に対応する固体光源L21〜L25の点灯制御も同様にして行う。すなわち、図3(c)に示すように、領域A2への書き込みの終了時点T3から所定時間Td1後に、該領域A2全体の液晶がほぼ安定した応答状態となるので、図3(f)に示すように、領域A2への書き込み開始時点T2から、該領域A2全体の液晶がほぼ安定した応答状態となるまでの時間Td2後に、固体光源L21〜L25を点灯させるような点灯制御を行う。また、領域A3に対応する固体光源L31〜L35に対しても同様の点灯制御を行う(図3(d)および(g)参照)。
【0050】
なお、各領域A1,A2,A3に対応するそれぞれの固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35の点灯時間は、それぞれ次の領域の固体光源が点灯を開始するまでの時間(これをTwで表す)とする。これにより、図3(e)〜(g)に示すように、各領域A1,A2,A3に対応する固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35は、順番に所定時間だけ点灯状態となる。
【0051】
各領域A1,A2,A3に対応する固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35に対して、図3に示すような点灯制御を行うことで、CRTと同様なインパルス的な表示制御が可能となる。これにより、ホールド型の表示モードを有する液晶装置特有の尾引きのあるぼやけた画像表示となるのを防ぐことができる。
【0052】
なお、各領域A1,A2,A3に対応する固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35は、順番に所定時間だけ点灯状態となるが、視聴者は明るさを積分した状態で見ることになるため、視聴者には1フレーム分(領域A1,A2,A3)全体が点灯状態となっているかのように見える。
【0053】
また、この点灯制御を行う際、画像データの書き込みを行っている領域については、該領域における画像データの書き込みタイミングに対し、所定時間だけ遅延させて該領域に対応する固体光源を点灯させるような点灯制御、すなわち、書き込み開始から、所定時間Td2だけ遅延させて該領域の固体光源を点灯させるような点灯制御を行うようにしている。これによって、液晶装置が安定状態となった時点で固体光源を点灯させることができ、このような点灯制御を行うことによって、高品質な画像表示が可能となる。
【0054】
また、この実施形態1では、固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35に対応して拡散板121,122,123を設けているので、液晶装置11の各領域A1,A2,A3の照度の均一性を高めることができる。
【0055】
また、光源として固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35を用いることにより、瞬時点灯・消灯が可能で、かつ、輝度ムラ・色ムラの少ない照明が可能となる。また、瞬時点灯・瞬時消灯が可能であるということは、高精度でかつ自由なタイミングでの点灯制御が可能となり、これにより、図3に示すようなきめこまかい点灯制御を容易に実現することができる。
【0056】
なお、各領域A1,A2,A3間の照度すなわち1画面全体の照度をより均一なものとし、また、個々の領域A1,A2,A3内の照度をより均一なものとするために、実施形態1に係るプロジェクタでは次の(a)〜(c)に示すような対策をとる。
【0057】
(a)各領域A1,A2,A3ごとの固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35に対し、各領域間の照度の均一性をより高めるための点灯制御を行う。
【0058】
この点灯制御は、画像データ表示制御部101の有する光源制御情報生成機能によってで生成された光源制御情報に基づいて光源制御が行うものである。この場合の光源制御としては、たとえば、各領域A1,A2,A3ごとの固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35の電圧制御、点灯時間制御(パルス幅変調を含む)などを各領域ごとに行うといった点灯制御が考えられる。このとき、各領域A1,A2,A3のなかで最も照度の低い領域を基準として、その最も照度の低い領域の照度に他の領域の照度を合わせるというような点灯制御を行う。
このような光源制御を行うことによって、液晶装置11における各領域間の照度の均一性をより高いものとすることができる。
【0059】
なお、各領域A1,A2,A3ごとの固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35の点灯制御を行う際、各領域A1,A2,A3内において照度の均一性を高めるように、各領域A1,A2,A3ごとの固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35を各領域の個々の固体光源を個別に点灯制御させることも可能である。
【0060】
たとえば、領域A1を例に取れば、該領域A1に対応する5個の固体光源L11〜L15に対し、5個の固体光源L11〜L15を個々に点灯制御(上述したように、電圧制御、点灯時間制御など)を行うことにより、領域A1内の照度の均一性をより高くする。
【0061】
このような点灯制御を各領域A1,A2,A3ごとに行うことによって、各領域A1,A2,A3において、領域内の照度の均一性も高めることができ、それにより、各領域間の照度をより均一なものとすることができる。なお、この場合の各領域A1,A2,A3内における照度の均一性を高めるための点灯制御は、各領域内において照度の低い部分の照度に他の部分の照度を合わせるような点灯制御を行う。
【0062】
(b)各拡散板121,122,123は、各領域A1,A2,A3における領域の中心付近(中心を含むものとする)と領域の辺付近(辺を含むものとする)との照度ムラを小さくすることができるような拡散性能を有した拡散板とする。
【0063】
これを実現するには、各領域A1,A2,A3ごとに設置された拡散板121,122,123の光の拡散の度合いが1つの拡散板の面上で異なるものを使用する。具体的には、各領域A1,A2,A3ごとの固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35の配列が図1のような配列であった場合、液晶装置11の各領域A1,A2,A3は、各拡散板121,122,123の水平方向の中心軸に沿った中心付近の照度が、各拡散板121,122,123の辺付近の照度よりも高くなるのが一般的である。したがって、両者の照度の差が小さくなるように、各拡散板121,122,123の中心付近の拡散の度合いが辺付近の拡散の度合いよりもより大きい拡散性能を有する拡散板を用いる。
【0064】
図4は実施形態1で用いられる拡散板(図4では拡散板121を例示する)の拡散性能について説明する図である。なお、この図4は図1における拡散板121および液晶装置11の領域A1部分を拡大して示す図である。図4からもわかるように、拡散板121は、中心付近の拡散の度合いが拡散板の辺121a付近よりも大きい拡散性能を有している。
このような拡散性能を有した拡散板121,122,123を用いることによって、液晶装置11の各領域A1,A2,A3は、それぞれの領域内で照度の均一性がより高いものとなる。
【0065】
(c)画像データ表示制御部101の画像データ処理機能を用いて各領域A1,A2,A3内における画素の画素値を制御する。このように、各領域内の画素の画素値を制御することによって、各領域内における照度の均一性を高めることが可能である。
【0066】
なお、上述の(a)〜(c)に示す処理は、それぞれを単独で用いることによって、所定の効果は得られるが、それぞれを組み合わせることによってより大きな効果が期待できる。
以上の(a)〜(c)を採用することにより、各領域A,A2,A3の照度の均一性をより高めることができ、また、1画面全体の照度の均一性をより高めることができる。
【0067】
また、上述の(a)〜(c)の少なくとも1つを行った上で、各領域ごとにその領域の最大輝度レベルに合わせた適応調光処理(固体光源の点灯制御と画像処理による画素値の制御)を行うことも可能である。なお、この適応調光処理は、動画の場合は、フレーム単位または連続する数フレーム単位で行う。
【0068】
なお、実施形態1において、固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35と拡散板121,122,123との間には、他の領域に対応する固体光源からの光を遮蔽する遮蔽板を設けるようにしてもよい。
【0069】
図5は図1において固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35と拡散板121〜123との間に遮蔽板141,142を設けた例を示す図である。この図5に示すような遮蔽板を設けることによって、各領域対応の固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35から光は、それぞれ対応する拡散板のみに入射され、それによって、液晶装置11の対応する領域A1,A2,A3を高精度に照射することができる。
【0070】
また、拡散板121,122,123としてホログラフィックディフューザを用いることも可能であり、ホログラフィックディフューザを用いることで、より一層、均一性の高い照度を得ることができる。また、長方形に近い楕円形の整形投影なども可能となる。
【0071】
[実施形態2]
図6は本発明の実施形態2に係るプロジェクタの光学系を概略的に示す図である。図6(a)は側面図で、図6(b)は平面図である。なお、この図6は実施形態2の説明に必要としない構成要素についての図示は省略されている。
【0072】
この図6に示す実施形態2に係るプロジェクタ20が実施形態1のプロジェクタ10と異なるのは、実施形態1で用いられている拡散板121,122,123の代わりにロッドインテグレータ201,202,203を用いた点であり、図1と同一部分には同一符号が付されている。
【0073】
ロッドインテグレータ201は固体光源L11〜L15と液晶装置11の領域A1との間に設けられ、ロッドインテグレータ202は固体光源L21〜L25と液晶装置11の領域A2に対応して設けられ、ロッドインテグレータ203は固体光源L31〜L35と液晶装置11の領域A3に対応して設けられている。
【0074】
また、実施形態2におけるプロジェクタ20では、図6に示すように、ロッドインテグレータ201,202,203のそれぞれ光入射側には各固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35に対応して集光レンズ211〜215、221〜225、231〜235(集光レンズ221〜225、231〜235は図示せず)が設けられる。また、各ロッドインテグレータ201,202,203のそれぞれの光射出側には、1枚の集光レンズ24が設けられる。
なお、ロッドインテグレータ201,202,203は、たとえば、ガラス製のものまたは中空で内面が反射幕で覆われたものなどが使用される。
【0075】
このように、各固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35と液晶装置11の各領域A1,A2,A3との間にロッドインテグレータ201,202,203を設けることにより、固体光源L11〜L15からの光は、それぞれ対応する集光レンズ211〜215によってロッドインテグレータ201に入射され、ロッドインテグレータ201を通過した後、集光レンズ24によって液晶装置11の領域A3に照射される。
【0076】
また、固体光源L21〜L25からの光は、それぞれ対応する集光レンズ221〜225によってロッドインテグレータ202に入射され、ロッドインテグレータ202を通過した後、集光レンズ24によって液晶装置11の領域A2に照射される。また、固体光源L31〜L35からの光は、それぞれ対応する集光レンズ231〜235によってロッドインテグレータ203に入射され、ロッドインテグレータ203を通過した後、集光レンズ24によって液晶装置11の領域A1に照射される。
【0077】
なお、実施形態2においても、実施形態1と同様、尾引きのあるぼやけた画像表示となるのを防ぐための固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35の点灯制御については、実施形態1の説明で用いた図2に示すようなプロジェクタ制御部1が図3に示すような動作を行わせることによって実施形態1と同様に実施できるので、その説明は省略する。
【0078】
なお、実施形態2では、集光レンズ24の存在により、ロッドインテグレータ201から射出される固体光源L11〜L15からの光は、液晶装置11の領域A3に照射され、ロッドインテグレータ202から射出される固体光源L21〜L25からの光は、液晶装置11の領域A2に照射され、ロッドインテグレータ203から射出される固体光源L31〜L35からの光は、液晶装置11の領域A1に照射されるので、液晶装置の領域A1からA2,A3の順で表示を行うには、固体光源L31〜L35,L21〜L25,L11〜L15の順で点灯させるようにする。
【0079】
この実施形態2によれば、実施形態1と同様、尾引きのあるぼやけた画像表示となるのを防止できることは勿論、固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35と各領域A1,A2,A3との間にロッドインテグレータ201,202,203を設けているので、液晶装置11の各領域A1,A2,A3において、各領域内の照度の均一性をより高めることができる。
【0080】
また、実施形態2に係るプロジェクタの場合も実施形態1に係るプロジェクタと同様、照度の均一性をより一層高めるため、実施形態1に係るプロジェクタで説明した(a)〜(c)の対策をとることが望ましい。
【0081】
なお、実施形態2に係るプロジェクタにおいては、ロッドインテグレータ201,202,203を用いているので、各領域A1,A2,A3内の照度は、より均一性の高いものとなる。したがって、実施形態1で説明した(b)は、実施形態2においては、ロッドインテグレータを用いることで高い均一性が得られると考えられるが、照度の均一性をより一層高めるために、たとえば、図7に示すように、ロッドインテグレータを各領域A1,A2,A3においてそれぞれ複数個のロッドインテグレータで構成することも可能である。
【0082】
図7は各領域A1,A2,A3に対応するロッドインテグレータを複数個のロッドインテグレータを並べて構成した場合の断面図である。なお、図7において、領域A1に対応する個々のロッドインテグレータをロッドインテグレータ201a,201b,・・・,201e、領域A2に対応する個々のロッドインテグレータをロッドインテグレータ202a,202b,・・・,202e、領域A3に対応する個々のロッドインテグレータをロッドインテグレータ203a,203b,・・・,203eで表す。
【0083】
この図7の例では、各領域A1,A2,A3における複数のロッドインテグレータは、各領域ごとに設けられた固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35と1対1で対応する数(水平方向に5個、垂直方向に3個)だけ設けた例が示されている。
【0084】
また、図7からもわかるように、各ロッドインテグレータ201a,201b,201c,・・・は、断面が正方形または正方形に近い形状をなし、このようなロッドインテグレータ201a,201b,201c,・・・を各領域A1,A2,A3内で水平方向に並べて配置している。
【0085】
各領域A1,A2,A3に対応するロッドインテグレータを図7に示すような構成とすることによって、各領域A1,A2,A3内の照度の均一性をより一層高めることが可能となり、各領域A1,A2,A3における領域の中心付近(中心を含むものとする)と領域の辺付近(辺を含むものとする)との照度ムラをより小さくすることができる。
【0086】
なお、図7の例では、各ロッドインテグレータ201a,201b,201c,・・・は、固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L3に対して1対1で対応する数だけ設けた例が示されているが、1対1である必要はないことは勿論である。
【0087】
また、実施形態1と同様、光源として固体光源L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35を用いることにより、瞬時点灯・消灯が可能で、かつ、輝度ムラ・色ムラの少ない照明が可能となる。また、瞬時点灯・瞬時消灯が可能であるということは、高精度でかつ自由なタイミングでの点灯制御が可能となるので、きめこまかい点灯制御を容易に実現することができる。
【0088】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。
たとえば、実施形態1および実施形態2では、固体光源L11〜L15、L21〜L25、L31〜L35は、各領域A1,A2,A3ごとの固体光源が、順番に所定時間だけ点灯状態となる点灯制御、すなわち、ある1つの領域に対応する固体光源が点灯しているときは、他の領域に対応する固体光源は消灯状態となるような点灯制御を行ったが、これに限られるものではない。たとえば、書き込み中の領域に対応する固体光源のみを消灯し、それ以外のすべての領域に対応する固体光源は点灯状態とするというような点灯制御も可能である。
【0089】
また、実施形態1および実施形態2では、液晶装置11のある1つの領域に対応する固体光源としては、水平方向に1列に並べられた5個の固体光源で構成するようにしたが、これに限られるものではなく、それぞれの領域の大きさや形状に応じて、垂直方向および水平方向に任意の数の固体光源を配置した構成とすることが可能である。
また、2次元方向に発光可能な棒状の固体光源があれば、各領域における光源として、その棒状の固体光源を必要な本数だけ設けるようにすることも可能である。
【0090】
また、実施形態1および実施形態2では、説明の簡単化のため、液晶装置が単板式の例が示されているが、単板式であっても、白色光のLEDなどの固体光源とカラーフィルタを用いることによってカラー表示が可能であることは勿論である。
また、カラー表示を可能とするための方法としては、R(赤)、G(緑)、B(青)のそれぞれの液晶装置を設けた3板式としてもよいことは勿論であり、実施形態1および実施形態2で説明した内容は3板式の場合にも同様に適用できる。
【0091】
図8は3板式のプロジェクタの光学系を概略的に示す平面図である。この図8は、実施形態2の図6で示したロッドインテグレータ201,202,203を用い場合の構成を示している。図8に示すように、赤用、緑用、青用のそれぞれの液晶装置11R,11G,11Bがクロスダイクロイックプリズム31の3面を囲むように設けられている。
【0092】
そして、これら液晶装置11R,11G,11Bに対応して、それぞれの液晶装置11R,11G,11Bの領域A1,A2,A3ごとのロッドインテグレータ201,202,203(図8は平面図であるため、ロッドインテグレータ201のみが示されている)と、LEDなどの各色用の固体光源として、赤用の固体光源L11R〜L15R,L21R〜L25R,L31R〜L35R、緑用の固体光源L11G〜L15G,L21G〜L25G,L31G〜L35G、青用の固体光源L11B〜L15B,L21B〜L25B,L31B〜L35Bが設けられる。
【0093】
また、図8は平面図であるため、固体光源L11R〜L15R、固体光源L11G〜L15G、固体光源L11B〜L15Bのみが示されている。その他、実施形態2の説明で用いた図6と同様に、それぞれ対応する集光レンズ211〜215とそれぞれ液晶装置側の集光レンズ24、投写レンズ13などが設けられ、さらに、図6では省略されているが、偏光板32なども設けられている。
【0094】
このような3板式のプロジェクタにおいても、それぞれの色用の固体光源に対し、図3で説明したような動作を行わせることが可能であり、また、実施形態1および実施形態2で説明した(a)〜(b)と同様の対策を行うことで、各液晶装置11R,11G,11Bの各領域間および各領域内における照度の均一性をより一層高めることが可能である。
【0095】
また、実施形態1および実施形態2では、液晶装置11のパネル面を3つの領域に区分した例で説明したが、領域数は3つに限られるものではないことは勿論である。
また、実施形態1および実施形態2では、ホールド型の表示モードを有する電気光学変調装置を用いた画像表示装置としてプロジェクタを例にとって説明したが、プロジェクタに限らず、たとえば、液晶テレビジョンなどの直視型の画像表示装置であってもよい。
【符号の説明】
【0096】
10…実施形態1のプロジェクタ、11…液晶装置、13…投写レンズ、121,122,123…拡散板、101…画像データ表示制御部、102…光源制御部、103…液晶装置ドライバ、141,142…遮蔽板、L11〜L15,L21〜L25,L31〜L35…固体光源、A1,A2,A3…領域、20…実施形態2のプロジェクタ、24…集光レンズ、201,202,203…ロッドインテグレータ、211〜215…集光レンズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学変調装置の画像形成領域を複数に区分して得られた各領域を照明する各領域ごとの光源と、
前記光源の点灯制御を行う光源制御部とを有し、
前記光源点灯制御部は、前記電気光学変調装置への画像データの書き込みに同期して前記各領域ごとの光源に対する点灯制御を行い、該点灯制御は、1画面分の画像データ書き込み期間において、前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域に対応する光源が消灯状態となるような点灯制御であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記光源は、固体光源であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像表示装置において、
前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域に対応する光源が消灯状態となるような点灯制御は、前記各領域ごとの光源が、順番に所定時間だけ点灯状態となる点灯制御であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域に対応する光源のみが消灯状態となるような点灯制御は、画像データの書き込みを行っている領域については、該領域における画像データの書き込みタイミングに対し所定時間だけ遅延させて該領域に対応する光源を点灯させることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記光源制御部は、各領域ごとの光源に対し、前記各領域間の照度の均一性を高めるための点灯制御を行うことを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像表示装置において、
前記各領域間の照度の均一性を高めるための点灯制御は、前記各領域のうち照度の低い領域の照度に他の領域の照度を合わせる点灯制御であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記光源制御部は、各領域ごとの光源が複数の光源で構成されている場合、これら複数の光源に対し、各領域内における照度の均一性を高めるための点灯制御を行うことを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像表示装置において、
前記各領域内における照度の均一性を高めるための点灯制御は、前記各領域内のうち照度の低い部分の照度に他の部分の照度を合わせる点灯制御であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記各領域ごとの光源と前記電気光学変調装置の各領域との間に各領域ごとの拡散板を設けたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像表示装置において、
前記各領域ごとの拡散板は、前記光源からの光の拡散の度合いが各拡散板の面上で異なる拡散性能を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像表示装置において、
前記拡散性能は、前記光源からの光の拡散の度合いが前記領域の辺付近よりも該領域の中心付近でより大きい拡散性能であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記各領域ごとの拡散板と各領域ごとの光源との間に他の領域に対応する光源からの光を遮蔽する遮蔽板を設けたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記各領域ごとの光源と前記電気光学変調装置の各領域との間に、各領域ごとのロッドインテグレータを設けたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項14】
請求項13に記載の画像表示装置において、
前記各領域ごとのロッドインテグレータは、対応する領域において複数のロッドインテグレータを並べて構成されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項15】
請求項14に記載の画像表示装置において、
前記複数のロッドインテグレータの個々のロッドインテグレータは、その断面が正方形または正方形に近い形状であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の画像表示装置において、前記画像データの画素値の制御が可能な画像データ表示制御部をさらに有し、該画像データ表示制御部により、前記領域の境界付近の照度と該領域の中心付近の照度との差をより小さくするための画素値の制御を行うことを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−116351(P2009−116351A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4350(P2009−4350)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【分割の表示】特願2004−341595(P2004−341595)の分割
【原出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】