説明

画像表示装置

【課題】 PI信号とSI信号の重畳信号を周囲に応じ制御する高細精度表示装置を提供する。
【解決手段】 PI信号とSI信号の混合電波を復調させ、復号化させ、クロマ処理をし、デイスプレイ表示をさせる高細精度表示装置で、デコーダ4で検出した両信号の重畳期間を示すON/OFF信号S1で、ビテオ・クロマ処理回路7の画質調整回路部に接続した切換スイッチ13を開閉し、ON/OFF信号S1がONのときは切換スイッチ13を開とし、画質調整が不可能になるようにしたものである。このため、SI表示が画質調整で消失せず、周囲状況に応じて調整することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に係り、Electronic Program Guid(EPG)等のサービス情報を表示可能な表示装置における画質調整の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図6を参照して従来のテレビ受信機を説明する。図6は、従来のテレビ受信機の略示ブロック回路図である。図6において、画像信号(以下、PI信号という)は、アナログ信号で、アンテナ20で受信された電波信号がチューナ1、IF回路2を経て、復調回路3aに入力され、次で、ビデオ7・クロマ処理回路7で処理がなされていた。
【0003】
一方、EPG、PPV(Pay Per View)等の画像情報、すなわち、Service Information(以下、SIという)信号は、デジタル信号であり、マイコンM等で前記PI信号とは別個に製作され、増幅され、オン スクリーン デイプレイ信号として伝送されていた。したがって、PI信号とSI信号とは復調等が別々に行われていた。
【0004】
前記別々に復調したPI信号及びSI信号は、重畳部10で重畳され、出力器9を経て出力信号として、表示部11に入力して表示されていた。このような方式の従来のテレビ受信機では、画像の画質調整は、重畳部10の重畳前に前記ビデオ・クロマト処理回路7の画質調整回路7aで調整部Ra、具体的には「ツマミ」をユーザ−が調整することによりコントロールが行われており、そのため、画像情報表示と画像の画質とは全く無関係であった。
【0005】
また、SI信号を表示するオンスクリーン回路としては、種々の方式が実用化されてお
り、色出力をシャントする表示文字信号挿入回路方式、色出力へのY入力をオンスクリー
ンRGBに切り替えてSI信号を表示する回路等の方式があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記画像情報表示と画像の画質調整とは、全く無関係のシステムでは、ユーザがSI表示をコントロールできないため、周囲の状況に応じた輝度で、SI表示ができないことがあるという問題があったが、ユーザが誤った調整で前記SI表示が出なくなるという恐れはなかった。
【0007】
一方、近時、例えば、デジタル放送対応テレビにおけるPI信号とSI信号との重畳を説明する。
【0008】
前記PI信号とSI信号は、例えばMPEG等のデジタル圧縮伝送方式では混合され、同時に伝送・受信され、アンテナ20、チューナ1、デジタル復調回路3を経て、デジタルデコーダ4で復号化され、ビデオ・クロマ処理7で処理が行われ、出力・表示されていた。この方式では、画質調整は前記混合された信号にビデオ・クロマ処理回路7で行われる。
【0009】
このシステムでは、画質調整回路の影響を受け、SI表示が消失する恐れが生じるという問題がある。
【0010】
今後、デジタル放送がますます増加する傾向にあるので、このSI表示が消失することに対応するSI情報の制御がますます重大な問題となるという予測がされる。
【0011】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、SI情報を見易く表示させるための技術をすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、特許請求の範囲に記載の構成を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の構成によれば、PI信号とSI信号が同時に表示されている場合は、SI信号に対してはユーザによる画質調整がされなくなるので、画質調整によってSI信号が見辛くなることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る高細精度表示装置の略示ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る高細精度表示装置の略示ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る高細精度表示装置の略示ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る高細精度表示装置の略示ブロック図
【図5】本発明の一実施形態に係る高細精度表示装置の略示ブロック図である。
【図6】従来のテレビ受信機の略示ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施形態を図1ないし図5を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る高細精度表示装置の略示ブロック図、図2は、本発明の一実施形態に係る高細精度表示装置の略示ブロック図、図3は、本発明の一実施形態に係る高細精度表示装置の略示ブロック図、図4は、本発明の一実施形態に係る高細精度表示装置の略示ブロック図、図5は、本発明の一実施形態に係る高細精度表示装置の略示ブロック図である。
【0017】
図1において、1はチューナ、3はデジタル復調器、4はデジタルデコーダ、7はビデオ・クロマ処理回路、7aは画質調整回路、Raは調整部、9は出力器、13は切換スイッチ、20はアンテナ、S1は、デジタルデコーダで検出されるPI信号とSI信号との重畳期間を示すON/OFF信号である。
【0018】
図において、送信元において、DCT処理され、量子化され、符号化されたPI信号とSI信号を混合した伝送伝波は、アンテナ20に入力される。例えば、伝送電波に12GHz帯のSHFが用いられた場合でも、一般的には直径20〜30cmのパラボラアンテナで受信できる。
【0019】
前記アンテナ20から供給される信号をチューナ1で受信しようとする電波を選択し・増幅し、周波数変換する。前記チューナ1は、LC共振回路の可変容量ダイオードと前記LC共振回路のLを切り換えるスイッチングダイオードを用いて、同調周波数を電子切換えする電子チューナを用いられている。
【0020】
前記周波数変換されたPI信号とSI信号は、デジタル復調器3で同期検波もしくは遅延検波が用いられ、送信時のデジタル変調方式、例えば、VSB、ASK、FSK、PSK、QAM、FDMの各方式に対応して復調される。このとき、伝送中の外部からの影響により生じた伝送誤りの訂正もなされる。
【0021】
復調させたデジタル信号、PI信号とSI信号共に、例えば、MPEG方式では、パケットデータ構造でデジタルデコーダ4に入力するので両者の弁別が可能となる。前記デジタルデコーダ4で、PI信号とSI信号を復号化し、前記復号化したPI信号が、静止系信号、動き系信号別に周波数変換等の処理がなされ、D/A変換器でアナログ信号となり、Y、U、V信号として出力される。
【0022】
一方、SI信号、例えばEPG信号もデータ信号として、前記PI信号にレイヤされて出力される。この場合において、PI信号とSI信号の重畳期間が、前記デジタルデコーダ4でパケットデータ構造のタイミングより検出され、ON/OFF信号S1として外部に出力される。
【0023】
前記デジタルデコーダ4からY、U、V信号は、ビデオ・クロマ処理回路7に入力される。前記ビデオ・クロマ処理回路7では、Y、U、V信号が入力され、個々には図示しないが色濃度調整回路と、色相調整回路と、明るさ調整回路とからなる画質調整回路7aを経てR、G、B信号として出力される。前記ビデオ・クロマ処理回路7からの信号が出力回路9で増幅され、ブラウン管等のディスプレイ表示装置11に入力され、当該ディスプレイ表示装置11を駆動する。
【0024】
前記画質調整は、前記色濃度および色相調整および明るさ調整の各調整回路の増幅度を調整することにより、ユーザコントロールによってなされるものであるが、前記ユーザコントロールの操作部に切換スイッチ13を設け、当該切換スイッチ13を、前記PI信号とSI信号の重畳期間検出ON/OFF信号S1で動作させるようになっている。
【0025】
また、前記ビデオ・クロマ処理回路7からの色差信号が出力回路9でビーム電流mとなり、同期・偏向回路を経て、受像回路に入力され、画像が形成されていた。
【0026】
上記構成の高細度表示装置の機能を説明する。高細度表示装置では、PI信号とSI信号の重畳期間を示すON/OFF信号S1をデジタルデコーダ4内でタイミング制御により検出する。また、前記の如く、ビデオ・クロマ回路7内の画質調整回路7aに調整部Raを経て接続されているユーザコントロールの操作部に切換スイッチ13が設けられている。
【0027】
前記ON/OFF信号S1が「ON」、すなわち両信号が重畳している場合(以下、「ON」という)には、前記スイッチ13を図示左側に動作させ、ユーザコントロール側が「切」の位置となり、ユーザコントロールにより色の濃さと輝度のコントロールを不可能とするものである。
【0028】
前記ON/OFF信号S1が「OFF」、すなわち両信号が重畳していない場合(以下、「OFF」という)には、前記スイッチ13を図示右側に動作させ、ユーザコントロール側が「入」の位置となり、通常のユーザコントロールにより色の濃さと輝度のコントロールを可能とするものである。
【0029】
このようにして、SI信号がある場合にはユーザコントロールをすることができない。したがって、PI信号の調整による画質調整の影響で、SI信号の画面表示が消失することがない。
【0030】
本発明に係る高細度表示装置は、上記構成の図1の〔実施形態〕で説明した高細度表示装置に限定されるものでなく、他の多くの実施形態があり、いずれも本発明の技術思想に含まれるものである。以下、図2ないし図5を参照して、他の実施形態の数例を説明する。
【実施例2】
【0031】
図2を参照して、本発明に係る高細度表示装置の他の実施形態を説明する。図2において、高細度表示装置で、ビデオ・クロマ回路7内でPI信号とSI信号を画質調整回路7aの前段部に分離部7cを設け、PI信号とSI信号が、当該分離部7cで分離される。さらに、前記ビデオ・クロマ回路7と出力回路9間の接続部に切換スイッチ13aを設けると共に、前記画像信号PIとSI信号の分離部7cと前記切換スイッチ13a間に、前記SI信号のバイパス回路15が設けられている。
【0032】
上記構成において、デジタルデコーダ4内でタイミング制御により検出した前記重畳期間を示すON/OFF信号S1の「ON」により、切換スイッチ13aを図示点線で示す下側に位置させ、前記バイパス回路15が「入」の位置となり、前記バイパス回路15を介して前記SI信号のみが出力器9に入力させる。したがって、SI表示が消失する恐れがなくなる。
【0033】
前記ON/OFF信号S1が「OFF」の場合には、切換スイッチ13aを図示実線で示す上側に位置させ、前記バイパス回路15が「切」の位置となり、前記バイパス回路が遮断され、PI信号のみが出力器9に入力する。そして、通常のユーザコントロールにより、調整部Raを調整することにより画質調整が可能となるものである。
【実施例3】
【0034】
図3を参照して、本発明に係る高細度表示装置のさらに他の実施形態を説明する。
【0035】
図3において、高細度表示装置で、ディスプレイ表示画面の明るさを検出する検出器として、出力器9の出力ビ−ム電流mの検出器を設ける。前記検出は、電源回路9bの出力電流を検出することにより容易に可能である。
【0036】
また、ユーザコントロールで調整されるビデオ・クロマ処理回路7の画質調整回路7aの調整部Raの接続線に前記重畳期間を示すON/OFF信号S1で動作する切換スイッチ13bが設けられている。
【0037】
前記ON/OFF信号S1が「ON」の場合、前記切換スイッチ13bが図示左側の点線の位置、出力ビ−ム電流m側と接続する「入」となり、前記出力ビ−ム電流mに係る検出値S2、すなわちディスプレイ表示画面の明るさに応じて、前記調整部Raを調整され、前記ビデオ・クロマ回路7内の画質調整回路7aが調整される。これにより、周囲状況に応じた画面の調整が可能となる。
【0038】
前記ON/OFF信号S1が「OFF」の場合には、前記切換スイッチ13bが図示右側の実線の位置、出力ビ−ム電流m側とは遮断される「切」となり、ユーザコントロール側と接続する「入」となり、前記出力ビ−ム電流mに係る検出値S2と前記調整部Raとは無関係となり、通常のユーザコントロールで前記画質調整回路7aの調整部Raが調整されることになる。
【実施例4】
【0039】
図4を参照して、本発明に係る高細度表示装置のさらに他の実施形態を説明する。
【0040】
図4においては、高細度表示装置で、ビデオ・クロマ処理回路7内の画質調整回路7aを調整するユーザコントロールに対して調整部Raと固定部Rbを設け、両者の比により、前記画質調整回路7aの調整範囲が制限される。さらに、前記固定部Rbの短絡スイッチ13cを設け、前記重畳期間を示すON/OFF信号S1で、前記短絡スイッチ13cを作動させるようになっている。
【0041】
前記ON/OFF信号S1が「ON」のときは、前記短絡スイッチ13cが図示左側点線の「切」の位置となり、調整部Raと固定部Rbが直列に接続されることになる。そのため、前記画質調整回路7aの調整範囲が制限を受ける。
【0042】
このようにすることにより、画質調整により画面の消失を生ずる恐れがなくなる。
【0043】
前記ON/OFF信号S1が「OFF」の場合は、前記短絡スイッチ13cが図示右側実線の「入」の位置となり、前記固定部Rbが短絡され、調整部Raのみにより、通常のユーザコントロールで前記ビデオ・クロマ回路7内の画質調整回路7aが調整されることになる。
【実施例5】
【0044】
図5を参照して、本発明に係る高細度表示装置のさらに他の実施形態を説明する。
【0045】
図5においては、高細度表示装置で、ビデオ・クロマ処理回路7内の画質調整回路を調整する調整部Raに対して切換スイッチ13dを設け、当該切換スイッチ13dの固定接点部をユーザコントロールの一の端子に、当該切換スイッチ13dの切換接点部の一を調整部Ra側に、切換接点部の他の一を出力回路9のバイアス回路9a側と接続したものである。
【0046】
前記切換スイッチ13dを前記重畳期間を示すON/OFF信号S1が「ON」の場合は、図示右側点線の位置となり、前記バイアス回路9aを調整することにより出力器9の動作点が調整され、ビーム電流mが変化し、PI信号とSI信号が表示する画像全体として調整されることになる。したがって、画質調整により、SI情報の表示が消失することはなく、周囲状況に応じた画面の調整も可能となる。
【0047】
前記ON/OFF信号S1が「OFF」の場合は、図示右側実線の位置となり、通常のユーザコントロールで、前記調整部Raを調整することにより、前記ビデオ・クロマ回路7内の画質調整回路7aが調整されることになる。
【0048】
なお、図示しないが、重畳期間を示すON/OFF信号S1により自己保持機構を用い、当該ON/OFF信号S1で出力器9の動作点が調整しても差し支えない。
【符号の説明】
【0049】
1…チューナ
3…デジタル復調器
4…デジタルデコーダ
7…ビデオ・クロマ処理回路
9…出力器
13…切換スイッチ
13a…切換スイッチ
13b…切換スイッチ
13c…短絡スイッチ
13d…切換スイッチ
15…バイパス回路
20…アンテナ
Ra…調整部
Rb…固定部
M…マイコン
m…出力器からのビーム電流
1…PI信号とSI信号の重畳期間を示すON/OFF信号
2…ビーム電流の検出信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置において、
符号化された画像信号とサービス情報信号とを含むデジタル放送信号を受信する受信部と、
前記受信部で受信されたデジタル放送信号に含まれる前記符号化された画像信号及びサービス情報信号を復号する復号部と、
前記復号部で復号された画像信号に基づく第1の画像、及び前記復号部で復号された前記サービス情報信号に基づく第2の画像を表示可能な表示部と、
前記表示部に表示される画像の画質をユーザ操作により調整するための画質調整部と、を備え、
前記復号された画像信号に基づく第1の画像と前記復号されたサービス情報信号に基づく第2の画像とを重畳して表示する場合は、
前記画質調整部により画質が調整された前記画像信号と、前記画質調整部をバイパスした前記サービス情報信号とを合成することによって、前記第2の画像について前記画質調整部による画質の調整が為されないように構成したことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
画像表示装置において、
符号化された画像信号とサービス情報信号とを含むデジタル放送信号を受信する受信部と、
前記受信部で受信されたデジタル放送信号に含まれる前記符号化された画像信号及びサービス情報信号を復号する復号部と、
前記復号部で復号された画像信号に基づく第1の画像、及び前記復号部で復号された前記サービス情報信号に基づく第2の画像を表示可能な表示部と、
前記表示部に表示される画像の画質をユーザ操作により調整するための画質調整部と、を備え、
前記復号された画像信号に基づく第1の画像と前記復号されたサービス情報信号に基づく第2の画像とを重畳して表示する場合は、
前記画質調整部を通して画質が調整された前記画像信号と、前記画質調整部を通さない前記サービス情報信号とを合成することによって、前記第2の画像について前記画質調整部による画質の調整が為されないように構成したことを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像表示装置において、
前記画質調整部は、表示画像の明るさ、色の濃さ、及び色相を調整するための手段を含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記サービス情報信号は、番組情報を含むことを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−101399(P2011−101399A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285287(P2010−285287)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【分割の表示】特願2007−144356(P2007−144356)の分割
【原出願日】平成9年7月14日(1997.7.14)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000233136)株式会社日立アドバンストデジタル (76)
【Fターム(参考)】