説明

画像表示装置

【課題】ソケットやプラグを水や埃から保護することが可能な画像表示装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る画像表示装置は、画像表示パネルと、該画像表示パネルを収容する筐体2とを具え、該筐体2の背面壁22には、画像表示パネルに電源を供給するための電源コード7のプラグ71が嵌挿されるべきソケット6が設けられている。ここで、筐体2の背面壁22には、ソケット6を収容する収容部3が設けられ、該収容部3は、筐体2の背面壁22に開設された凹部4と、該凹部4の開口40を塞ぐ蓋体5とを接合して構成されている。凹部4と蓋体5との接合面には一対の溝31,32が凹設され、該一対の溝31,32は、凹部4と蓋体5とが接合された状態で互いに対向して、収容部3の内部から外部へ通じる貫通孔30を形成し、各接合面には前記溝を横切る第2の溝が凹設され、該第2の溝には第1シール部材が嵌合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示パネルを具えた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像表示装置は、画像表示パネルを収容する筐体を具えており、該筐体の背面を室内の壁に向けて床に設置し、或いは、室内の壁に取り付けて使用される(例えば特許文献1参照)。この様な画像表示装置には、画像表示パネルに電源を供給するための電源コードのプラグが嵌挿されるべきソケットを具えたものが多く存在している。該ソケットは、通常、画像表示パネルを収容する筐体の背面壁に後方に向けて設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−286987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像表示装置は、その殆どが屋内に設置することを前提として設計されたものであり、該画像表示装置には、画像表示パネルを水や埃から保護する対策が施されていなかった。このため、従来の画像表示装置を屋外に常設した場合、ソケットやプラグが水や埃に晒されてショートや発火の生じる虞があった。
【0005】
近年、画像表示パネルを具えた画像表示装置を屋外に常設することが望まれている。その理由として、該画像表示装置はその厚さ寸法が小さいこと等が挙げられる。厚さ寸法が小さいと、狭い場所への画像表示装置の設置が可能となる。
【0006】
そこで、電源コードとしてシール構造を有する専用コードを用いることにより、ソケットやプラグを水や埃から保護することが考えられる。しかしながら、専用コードは高価であるため、画像表示装置の製造コストが増大することになる。
【0007】
そこで本発明の目的は、ソケットやプラグを水や埃から保護することが可能な画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像表示装置は、画像表示パネルと、該画像表示パネルを収容する筐体とを具え、該筐体の前面壁には、画像表示パネルの画面を外部から視認可能にする画像表示窓が設けられる一方、該筐体の背面壁には、画像表示パネルに電源を供給するための電源コードのプラグが嵌挿されるべきソケットが設けられている。ここで、前記筐体の背面壁には、前記ソケットを収容する収容部が設けられ、該収容部は、前記筐体の背面壁に開設された凹部と、該凹部の開口を塞ぐ蓋体とを接合して構成されている。前記凹部と蓋体との接合面には一対の溝が凹設され、該一対の溝は、凹部と蓋体とが接合された状態で互いに対向して、収容部の内部から外部へ通じる貫通孔を形成し、各接合面には前記溝を横切る第2の溝が凹設され、該第2の溝にはシール部材が嵌合している。
【0009】
上記画像表示装置においては、凹部と蓋体とが接合されたとき、2つのシール部材が互いに密着して該2つのシール部材によって貫通孔が塞がれることになる。よって、貫通孔からの水や埃の浸入がシール部材により防止されることになる。
【0010】
又、上記画像表示装置においては、蓋体を開くことにより、ソケットに電源コードのプラグを嵌挿することが可能となる。ソケットにプラグを嵌挿した後、電源コードを一対の溝に嵌合させて蓋体を閉じることにより、電源コードは、収容部から貫通孔を通じて引き出されると共に、2つのシール部材によって隙間なく挟まれることになる。従って、貫通孔に電源コードを貫通させた場合でも、貫通孔からの水や埃の浸入がシール部材により防止されることになる。
【0011】
よって、上記画像表示装置によれば、該画像表示装置が外気に晒された場合であっても、収容部内のソケットやプラグは水や埃に晒され難い。斯くして、収容部は、貫通孔からの水及び/又は塵の浸入を防ぐシール構造を有することになる。
【0012】
上記画像表示装置の具体的構成において、前記凹部と蓋体との接合面には、複数箇所に前記一対の溝が凹設されており、前記第2の溝は、複数の溝を横切って凹設されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る画像表示装置は、ソケットやプラグを水や埃から保護することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置を示す斜視図である。
【図2】図2は、該画像表示装置を背面側から見た斜視図である。
【図3】図3は、該画像表示装置に設けられている凹部の拡大図である。
【図4】図4は、該画像表示装置の背面図である。
【図5】図5は、図4に示されるA−A線に沿う断面図である。
【図6】図6は、該画像表示装置の下面図である。
【図7】図7は、図6に示されるB領域の拡大図である。
【図8】図8は、該画像表示装置に設けられているソケットに電源コードのプラグを嵌挿させた状態を説明する断面図である。
【図9】図9は、該画像表示装置に設けられている収容部が有するシール構造を説明する斜視図である。
【図10】図10は、該画像表示装置に設けられている収容部が有するシール構造を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
図1に示す様に、本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、液晶表示パネル(1)と、該液晶表示パネル(1)を収容する筐体(2)とを具え、該筐体(2)の前面壁(21)には、液晶表示パネル(1)の画面(10)を外部から視認可能にする画像表示窓(20)が設けられている。
【0016】
図2に示す様に、筐体(2)の背面壁(22)には凹部(4)が開設されて、該凹部(4)は、4つの辺を有する略矩形の開口(40)を有している。図3に示す様に、凹部(4)を形成する底壁(41)には、映像信号や音声信号を受信及び/又は送信するためのケーブルが接続されるべき複数のコネクタ(60)〜(60)が、後方に向けて取り付けられている。
【0017】
又、凹部(4)を形成する上面壁(42)には、液晶表示パネル(1)に電源を供給するための電源コード(7)のプラグ(71)(図8参照)が嵌挿されるべきソケット(6)が下向きに取り付けられている。具体的には、凹部(4)を形成する上面壁(42)には、ソケット(6)を取り付けるための直方体状の取付け台(421)が形成されており、ソケット(6)は、図5に示す様に、該取付け台(421)の下面壁を貫通した状態で該下面壁に下向きに取り付けられている。
【0018】
図4及び図5に示す様に、凹部(4)の開口(40)は、該凹部(4)に接合された蓋体(5)によって塞がれている。具体的には、図3に示す様に凹部(4)は、該凹部(4)の開口(40)の4つの辺に沿って延びて該開口(40)を包囲する縁部(401)を有している。一方、蓋体(5)は、図4に示す様に4つの辺を有する略矩形の天板(50)を有し、該天板(50)の縁部には、図5に示す様に、4つの辺に沿って拡がる4つの側壁部(51)〜(51)が天板(50)に対して略垂直に立設されている。凹部(4)の開口(40)を蓋体(5)によって塞ぐことにより、凹部(4)の縁部(401)には蓋体(5)の4つの側壁部(51)〜(51)の先端面が面接触し、この状態で蓋体(5)を凹部(4)の縁部(401)にネジ留めすることにより、凹部(4)に蓋体(5)が接合されることになる。尚、図3には、ネジ留め用の複数のネジ孔(402)〜(402)が示されている。
【0019】
ここで、図3及び図5に示す様に、凹部(4)の縁部(401)は、凹部(4)の開口(40)の4つの辺の内の下辺(403)(図4も参照)に沿う領域にて筐体(2)の背面壁(22)から後方に突出し、これにより突出部(43)が形成されている。一方、図7に示す様に、蓋体(5)の4つの側壁部(51)〜(51)の内、天板(50)の下辺(503)(図4又は図5も参照)に沿って拡がる側壁部(51)には、突出部(43)が嵌合すべき嵌合凹部(511)が、突出部(43)の形状に応じて形成されている。従って、凹部(4)と蓋体(5)とが接合されたとき、嵌合凹部(511)の底面(512)には突出部(43)の先端面(431)が面接触することになる。
【0020】
斯くして、図5に示す様に、凹部(4)と蓋体(5)とから、コネクタ(60)やソケット(6)を収容する収容部(3)が形成されることになる。又、収容部(3)の内、蓋体(5)と突出部(43)とが筐体(2)の背面壁(22)から後方に突出することになる。
【0021】
図7に示す様に、凹部(4)と蓋体(5)との接合面の内、突出部(43)と側壁部(51)との接合面、即ち突出部(43)の先端面(431)と嵌合凹部(511)の底面(512)とには、複数箇所に一対の溝(31)(32)が凹設されている。各一対の溝(31)(32)は、凹部(4)と蓋体(5)とが接合された状態で互いに対向して、収容部(3)の内部から外部へ通じる貫通孔(30)を形成するものである。この様に形成される貫通孔(30)には、図8に示す様に、電源コード(7)やケーブルが貫通することになる。
【0022】
斯くして、上記画像表示装置においては、収容部(3)を形成する下面壁の内、筐体(2)の背面壁(22)と交叉する領域の外側に、電源コード(7)やケーブルが貫通すべき貫通孔(30)が形成されることになる。
【0023】
図3に示す様に、突出部(43)と側壁部(51)との接合面の内、突出部(43)側の接合面、即ち突出部(43)の先端面(431)には、複数の溝(31)を横切る第2の溝(33)が凹設されている(図5も参照)。該第2の溝(33)には、図5及び図10に示す様に、第1シール部材(81)が嵌合することになる。これと同様に、側壁部(51)側の接合面、即ち嵌合凹部(511)の底面(512)には、複数の溝(32)を横切る第2の溝(34)が凹設されている(図5参照)。該第2の溝(34)には、図5に示す様に、突出部(43)側の第2の溝(33)に嵌合されている第1シール部材(81)とは別の第1シール部材(82)が嵌合することになる。
【0024】
これら2つの第1シール部材(81)(82)は、凹部(4)と蓋体(5)とが接合されたときに互いに密着するものである。従って、凹部(4)と蓋体(5)とが接合されて形成される貫通孔(30)は、図5に示す様に2つの第1シール部材(81)(82)によって塞がれ、その結果、貫通孔(30)からの水や埃の浸入が第1シール部材(81)(82)により防止されることになる。
【0025】
図3に示す様に、凹部(4)側の接合面、即ち凹部(4)の縁部(401)には、収容部(3)の内部の空間を包囲する第3の溝(35)が第2の溝(33)に重なって凹設されている。該第3の溝(35)には、図9に示す様に、リング状の第2シール部材(83)が嵌合することになる。
【0026】
具体的には、第3の溝(35)は、凹部(4)と蓋体(5)とが接合されたときに蓋体(5)の4つの側壁部(51)〜(51)と重なることとなる位置にて、凹部(4)の開口(40)の4つの辺に沿って凹設されている。又、第3の溝(35)は、凹部(4)の開口(40)の4つの辺の内の上辺、左辺、右辺に沿う部分の幅寸法が、第2の溝(33)の幅寸法より小さくなっている。第2シール部材(83)は、凹部(4)と蓋体(5)とが接合されたときに、凹部(4)の開口(40)の4つの辺の内の下辺(403)に沿う部分が第1シール部材(81)に密着すると共に、該4つの辺の内の上辺、左辺、右辺に沿う部分が蓋体(5)の側壁部(51)〜(51)に密着するものである。従って、凹部(4)と蓋体(5)との接合面間からの水や埃の浸入が第2シール部材(83)により防止されることになる。
【0027】
上記画像表示装置においては、蓋体(5)を開くことにより、ソケット(6)に電源コード(7)のプラグ(71)を嵌挿することが可能となる。ここで、ソケット(6)は下向きに設けられている。従って、ソケット(6)に嵌挿されたプラグ(71)は、図8に示す様にソケット(6)から下向きに突出し、これに伴って、電源コード(7)はソケット(6)から下向きに延びることになる。従って、画像表示装置を、その背面を壁に向けて配設した場合、従来の如くプラグがソケットから後方に突出する画像表示装置に比べて、背面側のスペースが小さくて済む。
【0028】
ソケット(6)にプラグ(71)を嵌挿した後、電源コード(7)を一対の溝(31)(32)に嵌合させて蓋体(5)を閉じることにより、ソケット(6)から下向きに延びた電源コード(7)は、図8に示す様に、収容部(3)から筐体(2)の外側へ貫通孔(30)を通じてそのまま下向きに引き出されることになる。コネクタ(61)に接続されたケーブルも同様、収容部(3)から筐体(2)の外側へ貫通孔(30)を通じて下向きに引き出されることになる。従って、画像表示装置を、その背面を壁に向けて配設した場合、背面側のスペースは小さくて済む。
【0029】
よって、上記画像表示装置は、その背面を壁に近接させて床や地面に設置し、或いは、その背面を壁に近接させて該壁に取り付けることが可能である。
【0030】
又、電源コード(7)やケーブルを一対の溝(31)(32)に嵌合させて蓋体(5)を閉じることにより、電源コード(7)やケーブルは、図8に示す様に2つの第1シール部材(81)(82)によって隙間なく挟まれることになる。従って、貫通孔(30)に電源コード(7)やケーブルを貫通させた場合でも、貫通孔(30)からの水や埃の浸入が第1シール部材(81)(82)により防止されることになる。
【0031】
よって、上記画像表示装置によれば、該画像表示装置が外気に晒された場合であっても、収容部(3)内のソケット(6)、プラグ(71)、コネクタ(61)は水や埃に晒され難い。斯くして、凹部(4)と蓋体(5)とから形成された収容部(3)は、貫通孔(30)や接合面間からの水及び塵の浸入を防ぐシール構造を有するものとなっている。
【0032】
更に又、上記画像表示装置においては、第3の溝(35)は、凹部(4)の開口(40)の4つの辺の内の上辺、左辺、右辺に沿う部分の幅寸法が、第2の溝(33)の幅寸法より小さくなっている。従って、収容部(3)が有する防水性及び防塵性は向上することとなっている。
【0033】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記画像表示装置には、第3の溝(35)が蓋体(5)側の接合面に設けられた構成を採用してもよい。又、上記画像表示装置には、貫通孔(30)が1箇所にだけ設けられた構成を採用してもよい。
【0034】
上記画像表示装置においては、貫通孔(30)は、収容部(3)を形成する下面壁に設けられていたが、本発明はこれに限られるものではない。貫通孔(30)は、収容部(3)を形成する内面壁、具体的には収容部(3)を形成する下面壁の他に、上面壁、左側面壁、又は右側面壁に設けられてもよい。但し、この場合、貫通孔(30)は、内面壁の内、筐体(2)の背面壁(22)と交叉する領域の外側に形成されることになる。これにより、画像表示装置を設置する状態に応じて、収容部(3)から電源コード(7)やケーブルを、下方以外に、上方、左方、又は右方に引き出すことが可能になる。従って、画像表示装置の設置場所に応じて、より良い配線が可能となる。
【0035】
又、上記画像表示装置には、シール構造を有しない構成を採用してもよい。この構成においても、収容部(3)内に、ソケット(6)と、該ソケット(6)に嵌挿されたプラグ(71)とが収容されることになる。従って、従来の該画像表示装置に比べれば、収容部(3)内のソケット(6)やプラグ(71)は水や埃に晒され難くなる。
【0036】
更に、上記画像表示装置に採用した各種構成は、液晶表示パネル(1)を具えた画像表示装置に限らず、プラズマ表示パネルや有機EL(Electro-Luminescence)表示パネル等、種々の画像表示パネルを具えた画像表示装置に適用することが出来る。
【符号の説明】
【0037】
(1) 液晶表示パネル(画像表示パネル)
(10) 画面
(2) 筐体
(20) 画像表示窓
(21) 前面壁
(22) 背面壁
(3) 収容部
(30) 貫通孔
(31)(32) 溝
(33)(34) 第2の溝
(35) 第3の溝
(4) 凹部
(40) 開口
(42) 上面壁
(5) 蓋体
(6) ソケット
(7) 電源コード
(71) プラグ
(81)(82) 第1シール部材
(83) 第2シール部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示パネルと、該画像表示パネルを収容する筐体とを具え、該筐体の前面壁には、画像表示パネルの画面を外部から視認可能にする画像表示窓が設けられる一方、該筐体の背面壁には、画像表示パネルに電源を供給するための電源コードのプラグが嵌挿されるべきソケットが設けられている画像表示装置において、
前記筐体の背面壁には、前記ソケットを収容する収容部が設けられ、該収容部は、前記筐体の背面壁に開設された凹部と、該凹部の開口を塞ぐ蓋体とを接合して構成されており、前記凹部と蓋体との接合面には一対の溝が凹設され、該一対の溝は、凹部と蓋体とが接合された状態で互いに対向して、収容部の内部から外部へ通じる貫通孔を形成し、各接合面には前記溝を横切る第2の溝が凹設され、該第2の溝にはシール部材が嵌合していることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記凹部と蓋体との接合面には、複数箇所に前記一対の溝が凹設されており、前記第2の溝は、複数の溝を横切って凹設されている請求項1に記載の画像表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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