説明

画像表示装置

【課題】高いコントラストを有し、環境によらずコントラストの変動と写りこみの影響を抑制することが可能となる画像表示装置を提供する。
【解決手段】前面板101と発光層104との間に設けられた周期構造105と、発光層を励起する励起源103とを備え、励起源の励起により発光層で生成された光を、周期構造および前面板を透過させて表示光106を得る画像表示装置100であって、周期構造は、前面板と平行な面内で周期的な屈折率分布を有し、つぎの式1の関係を満たす構造を有する。


但し、Neffは、周期構造の有効屈折率Nsubは、前面板を構成する媒質の屈折率

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高いコントラストを有し、周囲の環境によるコントラストの変動と写り込みの影響が小さい画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の構成の画像表示装置が提案されている。
その一例として、図10(a)の断面図に示されているような構成の画像表示装置が知られている。
図10(a)に示される画像表示装置1000は、前面板1001と発光層1003と、発光層1003を励起するための励起源1004で構成されている。
このような構成を複数個配列することで、画像表示装置1000が構成されている。
また、前面板1001は、可視光に対して透明な媒質で形成され、例えばガラスやプラスチックなどで形成される。
また、励起源1004は、例えば、基板上に電子放出素子と電極を配列し、前面板1001と発光層1003の間に、電極を設けることで構成される。
このような構成とし、電子放出素子に電界を加えることで電子が放出され、発光層1003に電子が供給されることで発光層1003で光が生成される。
あるいは、励起源1004の別の構成として、発光層1003の前面および裏面に陽極および陰極を設けることで構成される。
発光層1003で生成された光は、前面板1001を透過し、外部に抽出されることで、表示光1005となる。
【0003】
画像表示装置は、高いコントラストを有することが求められる。
明所下において画像表示装置のコントラストを向上させるためには、表示輝度を向上させると共に、外光反射光を低減させ、黒表示時の最低輝度を低減することが必要である。
ここで、外光反射光とは、外部から画像表示装置に入射した光が、画像表示装置内で反射され、外部に放出される光のことをいう。
さらに、外光反射光は、正反射光と拡散反射光に分類することができる。
画像表示装置の画面に垂直な方向をz軸とする。正反射光とは、z軸となす角度がθの方向から、画像表示装置に光を入射した場合に、画像表示装置によって反射される光のうち、入射面内において、z軸となす角度が−θの方向に放出される光のことをいう。
また、拡散反射光とは、画像表示装置に外光を入射した場合に、画像表示装置によって反射され、外部に放出される光のうち、正反射光以外の光のことをいう。
【0004】
画像表示装置1000において、外光1006が入射すると、光は前面板1001と励起源1004や励起源1004と発光層1003との界面および発光層1003の裏面において強い反射光が発生し、正反射光1007となる。
画像表示装置1000から反射された光は、周囲の蛍光灯や景色を反映した像を形成する。
反射光の光強度が大きいと、反射による像が画面内に認識され、画像表示装置の観賞を妨害する。このような現象を写り込みと呼ぶ。
また、画像表示装置1000において、表示光の輝度を高くするためには、発光層1003で発生した光が、外部に抽出される間の損失を低減することが重要である。
この損失の要因の一つとして、発光層1003と前面板1001との界面、あるいは前面板1001と外部領域との界面における全反射損失がある。
高屈折率媒質から低屈折率媒質に向けて光が伝搬すると、臨界角よりも大きな角度で伝搬する光は全反射され、高屈折率媒質に閉じ込められる。
このような光は、低屈折率媒質中に抽出されず、高屈折率媒質中を伝搬し、損失となる。
【0005】
全反射損失を低減し、表示光の輝度を増大させる手法として、屈折率が異なる媒質で形成された層と層の間に、周期構造を設ける手法が提案されている。
例えば、特許文献1では、図10(b)に示されているような構成の有機エレクトロルミネッセンス素子が記載されている。
図10(b)に示される画像表示装置(有機エレクトロルミネッセンス素子)1100は、前面板1101および透明電極1102、発光層1103、電極層1104で構成され、前面板1101と発光層1103の間に周期構造1105が設けられている。
この周期構造1105には、光の波長程度の長さの周期を有する屈折率分布構造が用いられている。
また、このような発光層1103は、発光層1103の内部で発生した光を回折させることによって、臨界角以内の角度で伝搬する光を増大させ、外部に抽出される光を増大できることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2991183号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した従来例の特許文献1における画像表示装置の構成では、外光反射が大きいという課題を有している。
すなわち、上記特許文献1の画像表示装置では、光の波長と同程度あるいはそれよりも小さい周期間隔を有する周期構造1105が用いられる。
このような周期構造1105に、外光1106が入射すると、反射光は、0次反射回折光1107と1次反射回折光1108、1109が発生する。
発生した0次回折光1107および1次回折光1108、1109は、外光の入射角度と波長および回折次数に応じて、異なる方向に伝搬し、前面板1101と外部との境界の臨界角以内の角度で伝搬する光が外部に射出され、外光反射光1110となる。
周期構造1105で発生した反射光は、0次回折光1107と1次回折光1108および1109のいずれかの光に分配されるため、各光線は大きな光強度を有している。
また、各光線の強度も、外光の入射角度や波長に応じて大きく変化する。
通常、明所下において画像表示装置を使用すると、環境に応じて、様々な方向から光が入射する。
外光の入射角度や波長によって、外部に射出される回折光とその光強度が大きく変動し、外光反射光1110の強度は大きく変動する。
また、外部に射出される各回折光1107および1109は、異なる方向に伝搬し、各方向に反射による像を形成する。各光線は、大きな光強度を有しているため、各回折光によって形成される像は、画像表示装置の観賞を妨害する写り込みとなる。
このように、特許文献1における画像表示装置の構成では、画像表示装置を使用する環境によって、コントラストの変動が大きく、写り込みの影響が大きい画像表示装置となる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、高いコントラストを有し、環境によらずコントラストの変動と写りこみの影響を抑制することが可能となる画像表示装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、つぎのように構成した画像表示装置を提供するものである。
本発明の画像表示装置は、前面板と発光層との間に設けられた周期構造と、前記発光層を励起する励起源とを備え、前記励起源の励起により前記発光層で生成された光を、前記周期構造および前記前面板を透過させて表示光を得る画像表示装置であって、
前記周期構造は、前記前面板と平行な面内で周期的な屈折率分布を有し、つぎの式1の関係を満たす構造を有することを特徴とする。


【0010】
但し、
Neffは、前記周期構造の有効屈折率
Nsubは、前記前面板を構成する媒質の屈折率
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高いコントラストを有し、環境によらずコントラストの変動と写りこみの影響が小さい画像表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1における画像表示装置の構成を説明するxz断面図。
【図2】本発明の実施例1における周期構造の構成例を説明する図であり、図2(a)は本発明の実施例1である画像表示装置に含まれる周期構造のxy断面図、図2(b)はxz断面図。
【図3】本発明の実施例1における画像表示装置の外部より、外光が入射したときに、周期構造で発生する反射回折光の伝搬の様子を説明する画像表示装置のxz断面図。
【図4】本発明の実施例1における画像表示装置の外部より、外光が入射したときに、周期構造で発生する透過回折光の伝搬の様子を説明する画像表示装置のxz断面図。
【図5】本発明の実施例1における回折光の次数を計算した結果を示すグラフ。
【図6】本発明の実施例1における外光反射率を計算した結果を示すグラフ。
【図7】本発明の実施例1における反射光の回折効率を計算した結果を示すグラフ。
【図8】本発明の実施例1における正反射率を計算した結果を示すグラフ。
【図9】本発明の実施例2における画像表示装置の構成を説明するxz断面図。
【図10】従来例における画像表示装置の構成を説明する図であり、図10(a)は従来例における画像表示装置の構成を示す断面図、図10(b)は特許文献1における画像表示装置の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態を、以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0014】
[実施例1]
まず、図1を用いて、画像表示装置の概略構成について説明する。
図1のxz断面図に示されている画像表示装置100は、前面板101とその背面に発光層104と周期構造105と励起源(励起手段)103とを備えている。
図1は、画像表示装置100の一部を示しており、このような構成を複数個配列し、各構成を光吸収性を有する媒質で形成されたブラックマトリクスで区切ることで、画像表示装置100が構成されている。
前面板101は、可視光に対して透明な媒質で形成されており、例えば、ガラスで形成されている。
発光層104は、例えば、蛍光体を含む膜となっており、可視波長域である350nm以上、800nm以下の波長域の波長を含む光を発光する媒質で形成されている。
周期構造105は、異なる屈折率を有する2種類以上の媒質で構成され、画面に平行なxy平面内において、周期的な屈折率分布を有する構造である。
【0015】
つぎに、図2を用いて本実施例における第1の媒質で形成された層中に、該第1の媒質とは異なる第2の媒質で形成された円柱構造が配列された周期構造105の構成例について説明する。
周期構造105は、第1の媒質で形成された層10に、第2の媒質で形成された円柱構造11が2次元的に周期的に配列された構造である。
周期構造105は、図中で示したベクトルA1およびA2を基本ベクトルとし、基本ベクトルの和あるいは差で表される位置に円柱11を三角格子状に配列した、三角格子構造を有している。
ベクトルA1は、周期構造の周期間隔12(格子周期12の長さ)をaとすると、(0.5a、√3a/2、0.0)のベクトルであり、ベクトルA2は(0.5a、−√3a/2、0.0)のベクトルである。
格子周期12の長さは、周期構造105に入射した光を複数の回折光に分配できる長さに設定されている。
前面板101は、外部領域である空気の屈折率よりも大きく、周期構造105の有効屈折率Neff以下の屈折率を有する媒質で構成されている。
【0016】
励起源103は、発光層104に電子を注入する手段を含んでいる。
例えば、励起源103は、基板上に電子放出素子と電極を配置し、発光層104の表面に電極を設けることで構成される。
より具体的には、発光層104と周期構造105の間に透明電極を配置し、該発光層側に電子放出素子を配置することにより構成される。
このような構成において、電子放出素子に電界を加えると、発光層104に向けて電子が放出され、発光層104に電子が供給され、光が発生する。
発生した光は、周期構造105および前面板101を透過し、外部に抽出されることで、+z方向に伝搬する表示光106となる。
画像表示装置100の外部から光が入射すると、光は外部領域と前面板101との界面を透過し、周期構造105に到達する。
周期構造105に到達した光は、周期構造105が有する2次元的に周期的な屈折率分布によって回折され、複数の回折光に分配される。
この回折光は、回折次数によって、異なる方向に伝搬する光となる。ここで、回折光のうち、+z方向に進む光を反射回折光、−z方向に進む光を透過回折光と呼ぶ。
【0017】
図3を用い、画像表示装置100の外部より、外光107が入射したときに、周期構造105で発生する反射回折光の伝搬の様子について説明する。
図3に示される画像表示装置は、図1と同様の構成を備えている。
反射回折光のうち、前面板101と外部領域との界面における臨界角よりも大きな角度で伝搬する光は、界面で全反射される。
全反射された光は、外部に放出されず、前面板101内を伝搬し、図3には示していないが、周囲に設けられたブラックマトリクスなどで吸収され、減衰する。この光を減衰光110と呼ぶ。
一方、臨界角よりも小さい角度で伝搬する回折光は、外部に放出され、外光反射光114となる。
また、外光がz軸に対して+θの角度で入射した場合に、z軸に対して−θの方向に伝搬する光を正反射光108とし、それ以外の方向に伝搬する光を拡散反射光109とする。
【0018】
図4を用い、画像表示装置100の外部より、外光107が入射したときに、周期構造105で発生する透過回折光の伝搬の様子について説明する。
図4に示される画像表示装置は、図1と同様の構成を備えている。
透過回折光は、複数の回折光に分配され、各回折次数に応じた方向に伝搬する。各回折光は、発光層104を伝搬し、発光層104の裏面で一部は反射され、一部は透過する。反射された光は、発光層104を再び伝搬し、周期構造105によって回折され、複数の回折光に分配される。
この回折光のうち、一部の光は、反射回折光となり、発光層104の裏面での反射と、周期構造105による回折を繰り返しながら、発光層104をxy面内方向に伝搬し、図4には示していないが、周囲に設けられたブラックマトリクスに到達し、吸収される。
前面板101を伝搬する回折光のうち、前面板101と外部との界面における臨界角よりも大きな角度で伝搬する光は、外部に放出されず、前面板内を伝搬し、ブラックマトリクスなどで吸収され、減衰する。
このときの減衰する光と、発光層104の裏面や周囲に設けられた側壁で吸収される光を合わせて、減衰光113と呼ぶ。
一方、臨界角よりも小さい角度で伝搬する回折光は、外部に放出され、外光反射光115となる。このとき、外光が入射する角度+θに対して、−θの方向に伝搬する光を正反射光111とし、それ以外の方向に伝搬する光を拡散反射光112と呼ぶ。
【0019】
つぎに、本実施例における画像表示装置100において、高いコントラストを有し、環境によらずコントラストの変動と写りこみの影響が小さい画像表示装置を得ることができる理由について説明する。
まず、前面板と周期構造の屈折率条件について説明する。
周期構造105は、つぎの式1の関係を満たす構造を備えている。

【0020】
式1において、Nsubは、前面板101を構成する媒質の屈折率を表している。
周期構造105は、均質な屈折率を有する膜として近似し、そのときの屈折率を有効屈折率と定義する。
Neffは、周期構造105の有効屈折率を表しており、つぎの式2で表すことができる。

【0021】
式2において、Neffは周期構造の有効屈折率、ε1およびε2は、周期構造105を構成する第1の媒質および第2の媒質の誘電率を表している。
f1およびf2は、周期構造105に含まれる第1の媒質および第2の媒質の充填率を表しており、周期構造105のxy断面において各媒質が占める面積の割合を表している。
前面板101と周期構造105との界面で発生する外光反射光の強度は、前面板101と有効屈折率Neffを有する膜との界面における反射率に依存する。
前面板101と周期構造105の有効屈折率Neffとの屈折率の差が小さいほど、界面における反射率は小さくなり、外光反射光の強度は低減する。
外部領域と周期構造105との間に前面板101を配置する。そして、式1を満たすように、すなわち前面板101を構成する媒質の屈折率が、外部領域である空気の屈折率よりも大きく、周期構造105の有効屈折率Neff以下となるように、前面板101あるいは周期構造105を構成する。
これにより、周期構造105の有効屈折率Neffと隣接する領域の屈折率の差を小さくすることができ、周期構造105の表面で発生する外光反射光114の強度を低減することができる。これにより、外光反射光を低減し、高いコントラストを有する画像表示装置を得ることができる。
【0022】
つぎに、周期構造の格子周期条件について説明する。
本実施例における周期構造105の格子周期12の長さは、周期構造105に入射した光を複数の回折光に分配できる長さに決定される。
周期構造に光を入射させると、つぎの式3の関係を満たす回折次数の光が発生する。

【0023】
上記式3において、λは入射光の波長、Ninは入射光が伝搬する領域の屈折率、Noutは反射回折光あるいは透過回折光が伝搬する領域の屈折率を表している。
θinは入射光の入射方向と周期構造に垂直な方向との間の角度、Λは周期構造の周期間隔、mは回折次数で任意の整数を表している。
図5は、本実施例における画像表示装置において、外光を入射させ、そのときに発生する反射回折光の最大の次数を示した図である。
図5において、横軸は周期構造105の格子周期12の長さ、縦軸は発生する反射回折光の回折次数の最大値を表している。
上記式3において、入射光および回折光が伝搬する領域の屈折率NinおよびNoutを、一般的に用いられているガラス基板の屈折率と同じ1.5とし、外光の入射角度θinを、周期構造に対して垂直な方向となる0度とした。
波長は、長い波長になるほど高次の回折光が出にくいことから、可視域で長波長側に相当する波長を選択し、700nmとした。
図5に示すように、周期構造105の周期間隔12(格子周期の長さ12)が1μm以上の長さにすることで、2次以上の高次の回折光が発生し、従来の構成における周期構造よりも多数の回折光を発生することができる。
さらに、望ましくは、周期構造105の周期間隔12(格子周期の長さ12)を1.5μm以上の長さにすることで、3次以上のさらに高次の回折光が発生し、更に多数の回折光を発生させることできる。
【0024】
このような格子周期を有する構造に対して、外光107が入射すると、多数の反射回折光と透過回折光に分配される。
図3において、周期構造で発生した反射光は、0次反射回折光(正反射光)108と、1次および2次あるいはそれ以上の次数を有する多数の反射回折光109、110に分配される。
このとき、反射光は多数の反射回折光に分配されるため、各光線の強度は小さい値となる。外光反射光114は、強度が小さい多数の反射回折光109、110を積算した光となる。
同様に、図4において、透過光は0次透過回折光と、1次および2次あるいはそれ以上の次数を有する多数の透過回折光に分配される。
各透過回折光は発光層の裏面で反射されたのち、周期構造105に入射し、さらに多数の透過回折光に分配されたのち、一部の透過回折光111、112が外光反射光115となる。
外光は、外部に射出される間に多数の透過回折光に分配されるため、透過回折光111、112の各光線の強度は非常に小さい値となる。
外光反射光115は、多数の強度が小さい透過回折光111、112を積算した光となる。
外光の入射角度や波長が変動しても、外光は多数の反射回折光および透過回折光に分配されるため、各光線の強度の変動が小さく、これら多数の光線を積算した光である外光反射光114および外光反射光115の変動も小さくなる。
また、各光線の強度が小さいため、各回折光によって形成される反射による像は観察されにくくなる。
これらの効果によって、本実施例における画像表示装置100の構成によって、周囲の環境によらず、コントラストの変動が小さく、写り込みの影響が小さい画像表示装置を得ることができる。
なお、格子周期12の長さが大きくなると、高次の回折光の強度が小さくなり、0次回折光の強度が増大するため、前記で述べたように、正反射光(0次反射回折光)が増大し表示光の輝度が低減する。
周期構造の格子周期の長さは、3μm以下が望ましく、さらに望ましくは、2.5μm以下の周期とすることが望ましい。
これらの範囲の周期間隔を有する周期構造を設けることで、高いコントラストを有し、環境によらずコントラストの変動と写り込みの影響が小さい画像表示装置を得ることができる。
【0025】
さらに、本実施例における画像表示装置100は、広い視野角において、表示光の輝度の変動を小さくすることができる。
画像表示装置100において、発光層104で発生する光は、様々な方向に伝搬する。
各方向から周期構造105に入射した光は回折され、0次光と1次および2次あるいはそれ以上の次数の多数の透過回折光と反射回折光に分配される。
このとき、透過回折光は、広い角度範囲において様々な方向に伝搬する、光強度の差が小さい回折光となる。反射回折光は、発光層104を伝搬し、発光層104の裏面で反射され、再び周期構造105に入射し、多数の回折光に分配される。
同様に、このとき透過回折光は、広い角度範囲において様々な方向に伝搬する、光強度の差が小さい回折光となる。
これらの透過回折光のうち、外部に射出される光を積算した光が表示光となる。各方向に射出される表示光は、様々な角度から周期構造105に入射した光から生成された、多数の透過回折光を積算した光となる。
そのため、周期構造105に入射する光の角度や強度が各方向に射出される表示光の輝度に与える影響が小さく、広い視野範囲において、表示光の輝度の差が小さい特性を得ることができる。
【0026】
また、本実施例において、周期構造105を設け、構造を適切に設計することで、外光反射光を低減することができる。
図3において、外光を回折させ、減衰光110を発生させると、他の回折光の強度が減少するため、外部に放出される外部反射光114を減少させることができる。
また、外光反射光114が、正反射光108と拡散反射光109に分配されることによって、周期構造105を設けない場合と比べて、正反射光108が低減する。
また、図4に示す透過回折光のうち、減衰光113が大きくなると、他の回折光の強度が減少するため、外部に放出される外光反射光115は減少する。
また、外光反射光115が、正反射光111と拡散反射光112に分配されることによって、周期構造105を設けない場合と比べて、正反射光111が低減する。
以上より、本実施例における画像表示装置100において、周期構造105を前面板101と発光層104の間に設け、周期構造105を適切に設計することで、回折光を発生させ、減衰光を発生させることができる。
そして、減衰光を発生させることによって、外光反射光を低減することができる。
さらに、周期構造105によって回折光を発生させることで、外光反射光を正反射光と拡散反射光に分配し、正反射光を低減させることができる。
【0027】
さらに、本実施例における画像表示装置100に含まれる周期構造105の一例について説明する。
図2の周期構造105において、格子周期12は1700nm、円柱11の直径13は1450nmの長さを有しており、周期構造105のxz断面における長さ14は、1450nmの長さを有している。
円柱11を構成する第2の媒質の屈折率を2.2、周囲の領域10を構成する第1の媒質の屈折率は1.5となっている。
前面板101は屈折率が1.5の媒質、発光層104は屈折率が1.5の媒質で形成されている。
また、発光層104の背面には励起源103が配置されており、その背面の領域は真空となっている。
【0028】
図6は、このような画像表示装置において、外光を入射させたときの外光反射光の強度を示した図である。
図6の横軸は、外光の入射方向と、画面に垂直な方向との間の角度を示しており、縦軸は、外光反射率を示している。
さらに、図6には、従来の構成における周期構造を含む画像表示装置の外光反射率を示した。図6において、破線602は、従来の構成の特性を示しており、実線601は、本実施例における構成の特性を示している。
従来の構成における周期構造は、図2の周期構造105において、格子周期12の長さが波長と同程度である700nmとし、円柱11の直径13が600nm、xz断面における長さ14が600nmの長さを有している。
円柱11の幅13は、本実施例の一例として示した周期構造105において、xy断面における第1の媒質と第2の媒質が占める面積の比が同じになるように決定した。
また、xz断面における長さ14は、本実施例の一例として示した周期構造105を構成する円柱11の幅13と断面の長さ14の比と同じになるように決定した。
円柱11および周囲の領域10、前面板101、発光層104を構成する媒質の屈折率は、本実施例と同じ屈折率を有している。
なお、前面板101と外部領域との界面における反射光および発光層と背面領域との界面からの反射光は無視している。
また、外光反射率の計算は、転送行列法を用いて行った。
図6に示すように、従来の構成では、外光が5度付近、43度付近、62度付近および75度以上の方向から入射すると、外光反射率が急激に大きくなる。
これは、この方向から外光が入射する環境で画像表示装置を使用すると、外光反射が大きくなり、コントラストが低下することを示している。
一方、本実施例の構成では、図6に示すように、外光の入射角度が変化しても外光反射率の変動が小さい特性を得ることが出来る。これにより、周囲の環境によらず、コントラストの変動が小さい画像表示装置を得ることができる。
【0029】
つぎに、図7を用いて、本実施例にかかる画像表示装置100において、外光を画像表示装置100に入射させ、周期構造105で発生する各反射回折光の回折効率について説明する。
図7の横軸は反射回折光の回折次数を示しており、縦軸は、回折効率を示している。
さらに図7には、従来の構成における周期構造を含む画像表示装置に、同じ条件の外光を入射させたときの各回折光の回折効率を示した。
図7において、黒い棒線は本実施例における構成の特性を示しており、斜線で示した棒線は、従来の構成の特性を示している。
各反射回折光は、それぞれ異なる方向に伝搬し、反射による像を形成する。
回折効率が大きい回折光は、強い反射光を生成し、画像表示装置の観賞を妨害する写り込みの要因となる。
入射した外光は、人の眼にとって敏感な波長550nmの光とし、画像表示装置に垂直な方向に対して45度の方向から入射した。
従来の構成における周期構造は、前記と同じ構成を有している。図7に示すように、従来の構成と比べて本実施例における周期構造105によって、各次数の回折効率が小さく、多数の回折光を発生することができる。
本実施例にかかる構成によって、各回折光によって形成される反射による像の強度を小さくすることができ、画像表示装置の観賞を妨害する写り込みを軽減することができる。
【0030】
以上に説明したように、本実施例の画像表示装置100の構成によれば、図2で示した周期構造105を前面板101と発光層104の間に設けることによって、外光反射光が低減し、高いコントラストを有する画像表示装置を実現することができる。
さらに、周期構造105の格子周期12の長さが1.0μm以上の周期構造105を設け、多数の反射回折光を発生させることによって、環境の変動によるコントラストの変動を低減し、写り込みの影響が小さい画像表示装置を実現することができる。
【0031】
ここでは、周期構造105は、つぎの式4の関係を満たす媒質で構成することが望ましい。

【0032】
式4において、Nsubは前面板101を構成する媒質の屈折率、N12は周期構造105を構成する第1の媒質および第2の媒質のうち、屈折率が低い方の媒質の屈折率を表している。
周期構造105を構成する第1の媒質あるいは第2の媒質のうち、屈折率が低い方の媒質を第3の媒質と呼ぶ。
前面板101と周期構造105との界面で発生する正反射光の強度は、前面板101と周期構造105を構成する第1の媒質および第2の媒質との各界面における反射率に依存する。
第3の媒質が前面板101よりも低い屈折率を有する場合、入射角度が大きい光は前面板101と第3の媒質との界面で全反射される。画像表示装置100の外部から光が入射すると、光は外部領域である空気と前面板101との界面で屈折され、前面板101内を伝播し、周期構造105に入射する。
入射角度が大きい光が入射すると、光は空気と前面板101との界面における臨界角に近い角度で前面板101内を伝播する。
第3の媒質が外部領域である空気に近い屈折率を有する場合、前面板101と第3の媒質との界面における臨界角は、空気と前面板101との界面における臨界角と近くなる。
画像表示装置100の外部から入射角度が大きい光が入射すると、前面板101と第3の媒質との界面の反射率は全反射に近い大きな値となり、正反射率が増大する。
異なる媒質の界面における臨界角は、光が透過する側の媒質の屈折率を入射する側の媒質の屈折率で除算した値のアークサインで決定される。この除算した値が小さくなると、臨界角が小さくなり、入射角度が大きい光に対して、正反射率が増大する。
【0033】
図8を用いて、本実施例の画像表示装置100において、外光を入射させ、周期構造105で発生する正反射率について説明する。
図8の横軸は第1の媒質の屈折率を前面板の屈折率で除算した値を示し、縦軸は正反射率を示している。
入射した外光は、波長400nmから700nmを含む光とし、画像表示装置100に垂直な方向に対して0度から90度の範囲で入射した。
画像表示装置100および周期構造105は、図1および図2と同じ構成とし、格子周期12は1700nm、円柱11の直径13は850nm、周期構造105のxz断面における長さ14は、850nmの長さを有している。
前面板101、発光層104、周期構造105を構成する第2の媒質の屈折率は図1の構成と同じとし、周期構造105を構成する第1の媒質の屈折率を変化させている。
なお、前面板101と外部領域との界面における反射光および発光層104と背面領域との界面からの反射光は無視している。
また、正反射率の計算は、転送行列法を用いて行った。
図8に示すように、第1の媒質の屈折率を前面板の屈折率で除算した値を大きくすることで、正反射率を低減することができる。
特に、第1の媒質の屈折率を前面板の屈折率で除算した値が0.8以上のとき、正反射率を低減することができる。
以上より、本実施例にかかる画像表示装置100において、周期構造105および前面板101を、式4の条件を満たす媒質で構成することで、正反射率を低減し、写り込みの影響が小さい画像表示装置が得られることを示した。
【0034】
また、第1の媒質と第2の媒質の屈折率を、周期構造105に隣接する層を構成する媒質の屈折率に近づけると、周期構造105と隣接する層との界面において、屈折率の差によって生じる反射を低減することができる。
そして、画像表示装置の外光反射率を低減することができる。
周期構造105の有効屈折率を、周期構造105に隣接する層を構成する媒質の屈折率に近づけることで、周期構造105と隣接する層との界面で発生する反射を低減することができる。
例えば、本実施例においては、周期構造105に隣接する励起源103の電極および前面基板101の屈折率と、周期構造105の有効屈折率を近づけることで周期構造105で発生する外光反射光を低減することができる。
周期構造105の有効屈折率が、つぎの式5の条件を満たすように、周期構造を構成する第1の媒質および第2の媒質、各媒質の充填率f1、f2を選択することが望ましい。

【0035】
式5において、Nは周期構造105に隣接する層を構成する媒質の屈折率を表している。
さらに望ましくは、つぎの式6の条件を満たすことで、外光反射率を更に低減した画像表示装置を得ることができる。

【0036】
周期構造105を構成する第1の媒質および第2の媒質、各媒質の充填率f1、f2を制御し、周期構造105の有効屈折率と高次の回折光の強度を適切に設計する。
これにより、表示光の輝度を増大させると共に、外光反射を低減させ、高いコントラストを有する画像表示装置を得ることが出来る。
【0037】
また、本発明に含まれる周期構造105を構成する第1の媒質および第2の媒質は、本実施例で示した媒質とは異なる媒質でもよい。
第1の媒質と第2の媒質の屈折率の差を大きくすることで、周期構造105で発生する高次の回折光の強度を強くすることができ、前記で述べたように、画像表示装置の正反射光(0次反射回折光)の低減効果と、表示光の輝度の増大効果を向上させることができる。
【0038】
また、本発明に含まれる周期構造105のyz断面における長さ14は、本実施例とは異なる長さを有していても良い。
yz断面の長さ14を変動させると、表示光および外光の各入射角度に対する各回折次数の回折効率が変動する。発光層104で生成された光は、様々な角度で周期構造105に入射する。
一方、外光は、外部領域から前面板101に入射する際に屈折し、前面板101と外部領域との臨界角以内の浅い角度で周期構造105に入射する。
そのため、周期構造105に求められる最適な回折特性は、表示光と外光とで異なる特性となる。
周期構造105のyz断面における長さ14を適切に設計することで、拡散反射光を低減すると共に、表示光の輝度を向上させることができる。
よって、つぎの式7の条件を満たすように、yz断面の長さ14を選択することが望ましい。

【0039】
式7において、Dは周期構造105のyz断面における長さ14、wは周期構造105に含まれる円柱構造11の前面板(画面)に平行な面内における直径を表している。
さらに望ましくは、つぎの式8の条件を満たすように、yz断面の長さ14を選択することで、更に拡散反射光を低減すると共に、表示光の輝度を増大することができる。

【0040】
周期構造105のyz断面における長さを適切に設計することで、表示光の輝度を増大させと共に、拡散反射光を低減し、高いコントラストを有する画像表示装置を得ることができる。
【0041】
なお、本発明に含まれる前面板101は、可視光に対して透明な材料であればよく、プラスチックで形成してもよい。
また、励起源103は、基板上に電子放出素子と電極を配置し、発光層104の裏面に電極を設けることで構成してもよい。
このような構成において、電子放出素子に電界を加えると、発光層に向けて電子が放出され、発光層104に電子が供給され、発光層104の中で光が発生する。あるいは励起源103は、前面板101と発光層104との間および発光層104の裏面に陽極と陰極を設けた構成であってもよい。
両電極間に電流を印加し、電子と正孔を注入することで、発光層104で光を発生させることができる。
あるいは、励起源103は、基板上に電極を配置し、発光層104の前面あるいは背面に、セルと電極を配列した構成としてもよい。
セルには、電流を流すことによって、プラズマを発生し、紫外線を発生するガスが封入されている。
このような構成とし、セルに含まれるガスに電流を流すと、紫外線が発生し、蛍光体粒子に照射されることで、蛍光体粒子が励起される。
周期構造105は、図5で示した構造に制限されるものではなく、異なる構造パラメータを有する構造であってもよい。
【0042】
三角格子構造は、構造の対称性がよく、周期構造に入射する光の角度依存性が少ないため、画像表示装置100からの外光反射光あるいは表示光の強度の角度依存性を低減することができる。あるいは、周期構造105は、三角格子構造でなくてもよく、例えば、正方格子構造や長方格子構造、等の方形格子状に配列された方形格子構造であってもよい。
このような構造は、被加工基板にレジストを塗布し、2回の2光束干渉露光と現像を行うことでパターン付きのレジストマスクを形成し、被加工基板をエッチングすることで、容易に作製することができる。あるいは、1次元的に周期な屈折率分布を有する構造、3次元的に周期的な屈折率分布を有する構造であってもよい。
さらに、周期構造105は、異なる屈折率を有する3種類以上の媒質で構成してもよい。
あるいは前面板101と同じ媒質で構成しても良い。発光層104は、蛍光体粒子を、蛍光体粒子と同じ屈折率を有する媒質中に分散させて配置することで構成してもよい。
このような構成にすることで、蛍光体粒子とその周囲との境界で、屈折率の差によって発生する散乱反射を低減することができ、発光層で発生する拡散反射を抑制することができる。
発光層104は、本実施例で示した屈折率を有する媒質以外の媒質でもよい。
【0043】
[実施例2]
図9を用いて、実施例2における発光層が、赤色、緑色、青色のそれぞれの色の光を発生する色毎の各発光層で構成され、これらの色毎の各発光層には、それぞれ同じ媒質および同じ構造を有する周期構造が配置されている画像表示装置の構成例について説明する。
図9のxz断面図に示されている画像表示装置200は、前面板201と、赤色、緑色、青色の各色を表示する画素202、203、204で構成され、画素202、203、204は前面板201の背面に配置されている。
各画素は光吸収性を有する媒質で形成された隔壁210によって区切られている。
図9には、3つの画素202、203、204を示しており、このような画素を複数個配列することで、画像表示装置200が構成されている。
前面板201は、可視光に対して透明な媒質で形成されており、例えば、ガラスで形成されている。
画素202、203、204は、発光層205、206、207と周期構造209と励起源208で構成されている。
周期構造209は、発光層205、206、207の前面に配置され、励起源208は、発光層205、206、207と前面板201との間に配置されている。
各画素の発光層205、206、207には、赤色、緑色、青色の各波長の光を発生する蛍光体を含んでいる。
【0044】
周期構造209は、異なる屈折率を有する2種類の媒質で構成され、xy平面内において、周期的な屈折率分布を有する構造である。
また、屈折率分布の周期は、1μm以上の長さを有している。
各画素202、203、204には、同じ媒質および同じ構造を有する周期構造209が配置されている。
励起源208は、発光層204、205、206に電子を注入する手段を含む層である。
例えば、励起源208は、基板上に電子放出素子と電極を配置し、発光層102の表面に電極を設けることで構成される。
このような構成において、電子放出素子に電界を加えると、発光層に向けて電子が放出され、発光層に204、205、206に電子が供給され、発光する。
発生した光は、周期構造209および前面板201を透過し、外部に抽出されることで、表示光となる。
【0045】
本実施例2にかかる画像表示装置200において、周期構造209のxy平面内における屈折率分布の周期を1μm以上の長さとする。
そして、周期構造209を構成する媒質、周期構造209中に含まれる各媒質の充填率を適切に設計することで、周期構造209の有効屈折率を制御し、周期構造209のxz断面における長さを適切に設計する。
これにより、実施例1で述べたように、各画素における表示光の輝度を向上させると共に、外光反射率を低減し、コントラストの変動と写り込みの影響が小さい画像表示装置を得ることができる。
本実施例2にかかる画像表示装置200において、各画素202、203、204に同じ媒質および構造を有する周期構造209を用いても、各画素で表示輝度の変動が小さい画像表示装置を得ることができる。
周期構造209のxy平面内における屈折率分布の周期は1μm以上の長さを有しており、様々な方向から周期構造209に入射した光は多数の回折光に分配される。
各回折光の強度は小さく、また入射光の波長の変動による強度の変動も小さくなる。
表示光は、様々な角度から周期構造105に入射した光から生成された、多数の透過回折光を積算した光となる。
そのため、周期構造105に入射する光の波長が変動しても、表示光の輝度の変動は小さく、各画素において表示光の輝度の差が小さい特性を得ることができる。
このため、画素によって異なる構造を作製しなくてもよく、画像表示装置の作製が容易となる。
【0046】
なお、本実施例2にかかる画像表示装置200において、各画素に含まれる周期構造209は、互いに異なる構造としてもよい。あるいは、赤色、緑色あるいは青色に相当する画素202、203、204の、いずれか一つの画素に設ける周期構造と、他の画素に設ける周期構造とが異なる構成であってもよい。
これによって、同じ構造を有する周期構造を各画素に配置した場合と比べて、正反射光、拡散反射光の抑制効果および表示光の増大効果をより向上させ、高いコントラストを有する画像表示装置を得ることができる。
また、各画素に設ける周期構造は、互いにyz断面における厚さが異なっていてもよい。あるいは、周期構造の周期や構成する媒質が、画素ごとに異なる長さを有する構造であってもよい。
実施例1と同様に、本発明に含まれる周期構造は、三角格子構造でなくてもよく、例えば、正方格子構造や長方格子構造であってもよい。あるいは1次元的、3次元的な屈折率分布を有する構造を用いることができる。
周期構造は、異なる屈折率を有する3種類以上の媒質で構成してもよい。
【符号の説明】
【0047】
100:画像表示装置
101:前面板
103:励起手段
104:発光層
105:周期構造
106:表示光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面板と発光層との間に設けられた周期構造と、前記発光層を励起する励起源とを備え、前記励起源の励起により前記発光層で生成された光を、前記周期構造および前記前面板を透過させて表示光を得る画像表示装置であって、
前記周期構造は、前記前面板と平行な面内で周期的な屈折率分布を有し、つぎの式1の関係を満たす構造を有することを特徴とする画像表示装置。


但し、
Neffは、前記周期構造の有効屈折率
Nsubは、前記前面板を構成する媒質の屈折率
【請求項2】
前記発光層は、350nm以上、800nm以下の波長域の波長を含む光を発光する媒質で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記周期構造は、該周期構造の周期間隔が1μm以上、3μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記周期構造は、該周期構造の周期間隔が1.5μm以上、2.5μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記周期構造は、つぎの式4の関係を満たす構造を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像表示装置。



但し、
N12は、前記周期構造を構成する複数の媒質のうちの、屈折率が小さい方の媒質の屈折率
【請求項6】
前記周期構造は、前記前面板と平行な面内で2次元的に周期的な屈折率分布を有していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記周期構造は、三角格子状または方形格子状の屈折率分布を有することを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記周期構造は、第1の媒質で形成された層中に、該第1の媒質とは異なる第2の媒質で形成された円柱構造を周期的に配列した構造であって、つぎの式7の関係を満たす構造を有することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の画像表示装置。



但し、
Dは、前記円柱構造の前記前面板(画面)に垂直な方向の長さ
wは、前記円柱構造の前記前面板(画面)に平行な面内における直径
【請求項9】
前記周期構造は、第1の媒質で形成された層中に、該第1の媒質とは異なる第2の媒質で形成された円柱構造を周期的に配列した構造であって、つぎの式8の関係を満たす構造を有することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の画像表示装置。



但し、
Dは、前記円柱構造の前記前面板(画面)に垂直な方向の長さ
wは、前記円柱構造の前記前面板(画面)に平行な面内における直径
【請求項10】
前記励起源は、前記発光層と前記周期構造の間に透明電極を配置し、前記発光層側に電子放出素子を配置することにより構成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記発光層は、蛍光体粒子を、該蛍光体粒子の屈折率と同じ屈折率を有する媒質中に分散させた層で構成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記発光層が、赤色、緑色、青色のそれぞれの色の光を発生する色毎の各発光層で構成され、
前記周期構造として、前記色毎の各発光層には、それぞれ同じ媒質および同じ構造を有する周期構造が配置されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−28066(P2011−28066A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174961(P2009−174961)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】