説明

画像表示装置

【課題】筐体8の前面開口部が光透過性の保護パネルによって塞がれ、該筐体8の内部には、保護パネルに面して表示器2が収容されている画像表示装置において、筐体内部の温度上昇を効果的に抑制する。
【解決手段】本発明に係る画像表示装置は、保護パネルと表示器2との間に形成された前面空間11と、前面空間11を包囲して形成された循環流路3、4、7、7と、循環流路7、7内に設置された1或いは複数のファン71、72と、前面空間11の上方又は下方を延びる循環流路と前面空間11との間に介在する隔壁とを具え、該隔壁には、複数の通気孔83が表示器2の幅方向に分散して開設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉構造を有する画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外若しくは屋外と同等の環境に設置される従来の画像表示装置においては、例えば図2に示す如く、筐体(92)の内部に、画像表示面(90)を有する液晶表示器(9)が収容されており、筐体(92)の前面開口部を透明ガラス製の保護パネル(91)によって塞ぐことにより、液晶表示器(9)の収容空間を密閉し、防水性と防塵性を確保することが行なわれている。
【0003】
又、筐体(92)の前面開口部と保護パネル(91)との対向面間には、防水シートやガスケット等を介在させて、防水性を高めることが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−309268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の如く密閉構造を有する画像表示装置においては、液晶表示器(9)から発生する熱が筐体(92)の内部に籠もり、電子部品の温度上昇による誤動作を引き起こす虞がある。
そこで本発明の目的は、密閉構造を有する画像表示装置において、筐体内部の温度上昇を効果的に抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像表示装置は、筐体(8)の開口部が光透過性の保護パネル(1)によって塞がれ、該筐体(8)の内部には、前記保護パネル(1)に面して表示器(2)が収容されており、
保護パネル(1)と表示器(2)との間に形成された前面空間(11)と、
前面空間(11)を包囲して形成された循環流路(3)(4)(7)(7)と、
循環流路(3)(4)(7)(7)内に設置された1或いは複数のファンと、
前面空間(11)の上方又は下方を延びる循環流路と前面空間(11)との間に介在し、複数の通気孔(83)が表示器(2)の幅方向に分散して開設されている隔壁(85)
とを具えている。
【0007】
上記本発明の画像表示装置においては、ファンが回転することによって、循環流路(3)から複数の通気孔(83)を経て前面空間(11)内に空気が送り込まれ、前面空間(11)を通過した空気は循環流路(4)に流れ込み、循環流路(7)(7)を流れた後に再び循環流路(3)から前面空間(11)内に流入する、循環流が発生する。
この際、複数の通気孔(83)から表示器(2)の前面空間(11)へ向かって空気が噴出され、これによって、前面空間(11)内には、表示器(2)の幅方向に分散して均一に流れる空気流が発生するため、この空気流によって表示器(2)の表面が効率的に冷却されることなる。
【0008】
具体的態様において、前記循環流路(3)(4)は、熱交換壁(87)を介して、外気に開放された開放流路(5)(6)と隣接している。
従って、循環流路(3)(4)(7)(7)を流れる空気と開放流路(5)(6)内の空気とが熱交換壁(87)を介して互いに熱交換し、循環流路(3)(4)(7)(7)を流れる空気の温度上昇が抑制される。
【0009】
又、具体的態様において、前記循環流路(3)(4)(7)(7)は、前面空間(11)の上方を表示器(2)の幅方向に延びる上部循環流路(3)と、前面空間(11)の下方を表示器(2)の幅方向に延びる下部循環流路(4)とを有し、上部循環流路(3)と前面空間(11)の間の隔壁(85)に複数の通気孔(83)が形成されると共に、下部循環流路(4)と前面空間(11)の間の隔壁(85)に複数の通気孔(83)が形成されている。
そして、上部循環流路(3)と下部循環流路(4)の内、一方の流路(3)の両側に吸気ファン(71)(71)が設置されると共に、他方の流路(4)の両側に排気ファン(72)(72)が設置されている。
【0010】
上記の具体的態様によれば、吸気ファン(71)(71)及び排気ファン(72)(72)が回転することによって、前記一方の流路(3)内の空気が複数の通気孔(83)を通じて前面空間(11)内へ送り込まれ、前面空間(11)を通過した空気は、複数の通気孔(83)を通じて前記他方の流路(4)へ流入する。該流路(4)へ流入した空気は、循環流路(7)(7)を経て、再び前記一方の流路(3)へ戻ることになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る画像表示装置によれば、表示器の表面が効率的に冷却されるため、筐体内部の温度上昇を効果的に抑制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である画像表示装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、従来の画像表示装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態である画像表示装置において形成される循環流路を説明する図である。
【図4】図4は、該画像表示装置の要部を示す断面図である。
【図5】図5は、図4とは異なる位置における断面図である。
【図6】図6は、ベゼルの一部破断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明の一実施形態である画像表示装置は、図1に示す如く、それぞれ合成樹脂製のベゼル(81)とバックキャビネット(82)を互いに接合固定してなる筐体(8)を具え、該筐体(8)の前面開口部から後述の保護パネル(1)が露出しており、該保護パネル(1)を透して画像の視認が可能となっている。
【0014】
筐体(8)の内部には、図4に示す如く、画像表示面(20)を有する液晶表示器(2)が収容され、筐体(8)の前面開口部は透明な強化ガラス製の保護パネル(2)によって塞がれている。これによって筐体(8)は密閉構造を有している。
【0015】
筐体(8)の内部には、図3に示す如く、液晶表示器(2)の前面空間(11)の上方に、液晶表示器(2)の幅方向に延びる上部循環流路(3)が形成されると共に、前面空間(11)の下方に、液晶表示器(2)の幅方向に延びる下部循環流路(4)が形成されている(図4〜図6参照)。
【0016】
上部循環流路(3)と下部循環流路(4)とは、液晶表示器(2)の左右両側に形成された2つの側部循環流路(7)(7)によって互いに繋がっており、前面空間(11)を包囲するループ状の閉じられた循環流路(3)(4)(7)(7)が形成されている。
【0017】
側部循環流路(7)(7)には、上部循環流路(3)の両端部に対向して、吸気ファン(71)(71)が設置されると共に、下部循環流路(4)の両端部に対向して、排気ファン(72)(72)が設置されている。
【0018】
図4〜図6に示す如くベゼル(81)には、前面空間(11)と下部循環流路(4)とを仕切る隔壁(85)に、前面空間(11)に沿って複数の通気孔(83)が開設されている。又、前面空間(11)と上部開放流路(5)とを仕切る隔壁(85)にも、前面空間(11)に沿って複数の通気孔(83)が開設されている(図3参照)。
【0019】
又、図3に示す如く、上部循環流路(3)の上方には、上部循環流路(3)に沿って延びる上部開放流路(5)が形成され、下部循環流路(4)の下方には、下部循環流路(4)に沿って延びる下部開放流路(6)が形成されている。
【0020】
図4〜図6に示す如く下部循環流路(4)と下部開放流路(6)とは熱交換壁(87)を介して互いに隣接している。又、同様に、上部循環流路(3)と上部開放流路(5)とは熱交換壁(87)を介して互いに隣接している。
尚、熱交換壁(87)は、表面積を拡大するべく両面が波板状に形成されている。
【0021】
図5に示す如く、下部開放流路(6)に面する隔壁(86)には、下部開放流路(6)に沿って複数の通気孔(84)が開設され、これらの通気孔(84)は外気と繋がっている。同様に、上部開放流路(5)に面する隔壁(86)にも、下部開放流路(6)に沿って複数の通気孔(84)が開設され、これらの通気孔(84)は外気と繋がっている。
【0022】
図3に示す様に、吸気ファン(71)(71)及び排気ファン(72)(72)が回転すると、吸気ファン(71)(71)によって上部循環流路(3)内へ送り込まれた空気が、複数の通気孔(83)から前面空間(11)へ向かって噴出され、前面空間(11)を通過した空気は、複数の通気孔(83)から下部循環流路(4)内へ流入し、下部循環流路(4)内の空気は排気ファン(72)(72)によって側部循環流路(7)(7)へ吸入される。
この結果、図3中に矢印で示す空気の循環が発生する。
【0023】
筐体(8)の内部においては、液晶表示器(2)が最も大きな熱原であり、特に液晶表示器(2)の前面から多量の熱が発せられるが、本発明に係る画像表示装置においては、図3に示す如く、複数の通気孔(83)から液晶表示器(2)の前面空間(11)へ向かって空気が勢いよく噴出される。これによって、前面空間(11)内には、表示器(2)の幅方向に分散して均一に流れる高速の空気流が発生するため、この空気流によって液晶表示器(2)の表面が高い熱伝達率で効率的に冷却されることになる。
【0024】
液晶表示器(2)から発生する熱によって、循環流路(3)(4)(7)(7)を循環する空気は温度が上昇するが、図5に矢印で示す様に、下部循環流路(4)を流れる空気と下部開放流路(6)内の空気とが、熱交換壁(87)を介して互いに熱交換し、循環流路(3)(4)(7)(7)を循環する空気の温度上昇が抑制される。
そして、下部開放流路(6)内の空気は、通気孔(84)を経て外気と通じているので、下部開放流路(6)内の空気の入れ替わりによって、下部開放流路(6)内の空気の熱は外部へ放散される。
【0025】
同様に、上部循環流路(3)を流れる空気と上部開放流路(5)内の空気とが、熱交換壁(87)を介して互いに熱交換し、循環流路(3)(4)(7)(7)を循環する空気の温度上昇が抑制される。
そして、上部開放流路(5)内の空気は、通気孔(84)を経て外気と通じているので、上部開放流路(5)内の空気の入れ替わりによって、上部開放流路(5)内の空気の熱は外部へ放散される。
【0026】
尚、上部開放流路(5)及び下部開放流路(6)には、必要に応じてファンを設置し、上部開放流路(5)及び下部開放流路(6)内の空気に流れを与えることによって、熱交換壁(87)を介した熱交換の効率を上げることが出来る。
【0027】
上記画像表示装置によれば、循環流路(3)(4)(7)(7)を経て前面空間(11)を流れる均一な空気流によって、液晶表示器(2)の表面が効率的に冷却され、この結果、筐体(8)内部の電子部品の温度上昇が効果的に抑制される。
【0028】
特に、上記画像表示装置においては、上部循環流路(3)の両側に2つの吸気ファン(71)(71)が設置されて、両吸気ファン(71)(71)から上部循環流路(3)内へ空気が送り込まれるので、上部循環流路(3)内の空気圧は十分に高くなり、これによって複数の通気孔(83)からは十分な量の空気流が噴出することになる。
この結果、高い冷却効果が得られる。
【0029】
画像表示装置を公共施設等に設置する場合、その設置スペースに制約があることが多い。この様な場合、液晶表示器等を冷却するためのファンとして大型のファンを設置することは困難であるが、本発明の構成によれば、小型のファンであってもその送風量で十分に高い冷却効果が得られる。
【0030】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、図3に示す吸気ファン(71)と排気ファン(72)は、上下の位置関係を逆転させて設置することも可能である。これによって、前面空間(11)内を下から上へ向かう空気流が発生することになる。
【0031】
又、前面空間(11)の下流側の複数の通気孔(83)は、液晶表示器(2)の幅方向に延びる1つのスリット孔に替えることが可能である。
更に又、前面空間(11)の上流側の上部開放流路(5)と熱交換壁(87)は省略することも可能である。
【符号の説明】
【0032】
(1) 保護パネル
(11) 前面空間
(2) 液晶表示器
(20) 画像表示面
(3) 上部循環流路
(4) 下部循環流路
(5) 上部開放流路
(6) 下部開放流路
(7) 側部循環流路
(71) 排気ファン
(72) 排気ファン
(8) 筐体
(81) ベゼル
(82) バックキャビネット
(83) 通気孔
(84) 通気孔
(87) 熱交換壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の開口部が光透過性の保護パネルによって塞がれ、該筐体の内部には、前記保護パネルに面して表示器が収容されている画像表示装置において、
保護パネルと表示器との間に形成された前面空間と、
前面空間を包囲して形成された循環流路と、
循環流路内に設置された1或いは複数のファンと、
前面空間の上方又は下方を延びる循環流路と前面空間との間に介在し、複数の通気孔が表示器の幅方向に分散して開設されている隔壁
とを具えていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記循環流路は、熱交換壁を介して、外気に開放された開放流路と隣接している請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記循環流路は、前面空間の上方を表示器の幅方向に延びる上部循環流路と、前面空間の下方を表示器の幅方向に延びる下部循環流路とを有し、上部循環流路と前面空間の間の隔壁に複数の通気孔が形成されると共に、下部循環流路と前面空間の間の隔壁に複数の通気孔が形成されている請求項1又は請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
上部循環流路と下部循環流路の内、一方の流路の両側に吸気ファンが設置されると共に、他方の流路の両側に排気ファンが設置されている請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
上部循環流路と下部循環流路に沿って上部開放流路と下部開放流路が形成され、上部循環流路と上部開放流路の間に熱交換壁が介在すると共に、下部循環流路と下部開放流路の間に熱交換壁が介在している請求項4に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−215675(P2012−215675A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80066(P2011−80066)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】