説明

画像表示装置

【課題】観察者の観察位置が変化した場合においても、観察対象を観察位置に追従させることで視認性を向上させる。
【解決手段】本発明に係る画像表示装置は、画像を表示する表示部と、表示部を観察する観察者を撮像して撮像情報を出力する撮像部と、撮像部から出力される撮像情報に基づいて、観察者の瞳の空間位置を検出する瞳位置検出処理と、瞳位置検出処理で検出した観察者の瞳の空間位置が、表示部前側の所定空間内に入るように表示部から出射される光束の方向を調整する光束方向調整処理と、を実行する制御部と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察者に対して画像を表示するための画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、射出瞳の大きな光学系を用いた網膜投影型の画像表示装置が提案されている。例えば、特許文献1や非特許文献1に示されているものである。このような画像表示装置は、射出瞳が大きいため、接眼鏡などの射出瞳が小さな光学系を覗くよりも観察者に負担が少ない。また、形状も薄型で携帯しやすいなどの利点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4605152号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「Head up and head mounted display performance improvements through advanced techniques in the manipulation of light.」,Paul. L. Wisely.,SPIE Vol.7327,2009年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、可搬型の情報処理装置が広く利用される中、特許文献1や非特許文献1に開示される射出瞳の大きい画像表示装置を適用することも考えられる。手持ち(可搬型)の情報処理装置を利用した場合、観察者の瞳に対する観察面が所定の位置関係でないと観察される像の一部が欠けてしまうことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような観察位置が所定範囲に限られた観察対象の視認性の向上を図るものであって、
そのため、本発明に係る画像表示装置は、
画像を表示する表示部と、
前記表示部を観察する観察者を撮像して撮像情報を出力する撮像部と、
前記撮像部から出力される撮像情報に基づいて、観察者の瞳の空間位置を検出する瞳位置検出処理と、
前記瞳位置検出処理で検出した観察者の瞳の空間位置が、前記表示部前側の所定空間内に入るように前記表示部から出射される光束の方向を調整する光束方向調整処理と、を実行する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上、本発明の画像表示装置によれば、観察者の観察位置が移動した場合においても、表示部から射出する光束の方向を調整することで、視認性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態1に係る画像表示装置の構成を示す図
【図2】実施形態1に係る表示部の構成を示す斜視図
【図3】実施形態1に係る画像表示装置と観察者眼球の位置関係を示す図(YZ面)
【図4】実施形態1に係る画像表示装置と観察者眼球の位置関係を示す図(XY面)
【図5】実施形態1に係る画像表示装置を手持ちする様子を示す図
【図6】実施形態1に係る射出瞳領域を説明するための図
【図7】実施形態1に係る射出瞳領域を説明するための斜視図
【図8】実施形態1に係る光束方向の調整を説明するための図
【図9】実施形態2に係る画像表示装置の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のある態様に係る画像表示装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る画像表示装置の構成を示している。本実施形態に係る画像表示装置100は、ユーザーに対して各種視覚的情報を提供する情報処理装置に組み込まれて利用される。本実施形態の画像表示装置100は、画像表示素子31、投影光学系32、駆動部33、表示部40、制御部20を主要な構成として有する。
【0011】
画像表示素子31は、二次元方向に画像を形成する素子であって、LED表示素子、液晶表示素子などを利用することが可能である。投影光学系32は、1または複数のレンズで構成され、表示部40に対して、画像表示素子31に表示される画像を投影する。本実施形態では、この投影光学系32を駆動する駆動部33が設けられており、この駆動部33にて投影光学系32を移動させることで、表示部40から射出される光束の方向が調整される。ここで、光束の方向とは、画像表示装置の表示面側の面に対する、光束の出射角度をいう。本実施形態の駆動部33には、投影光学系32をx方向に移動させるx方向アクチュエータ331、y方向に移動させるy方向アクチュエータ332が使用されている。なお、このローカル座標系は、図に示すように、画像表示素子31に垂直な光軸をz軸、z軸に垂直な平面をxy平面にとった場合に設定される座標系である。
【0012】
表示部40は、観察者に対して像を観察させる表示面43を有して構成される。本実施形態では、表示面43を有する導光板42と、投影光学系32から出射される像を導光板42に入射させるプリズム41を備えて構成されている。この導光板42は、ホログラムなどの光学的回折素子421を間に有して構成されている。また、導光板42は、投影光学系32から出射され、プリズム41から入射した入射光を内面にて繰り返し反射させる。ここで、光が光学的回折素子421を通過すると、光は光学的回折素子421により回折される。この結果、画像表示装置100は、表示面43にて観察者に観察させる観察像を形成する。なお、表示部40は、表示面43から画像を投影できるのであれば、他の態様であっても良い。例えば、表示素子とフレネルレンズを組み合わせて、表示部としても良い。
【0013】
図2には、本実施形態の表示部40について、観察者が像を観察する際の様子が示されている。画像表示素子31、投影光学系32を備える投影部30から射出された光は、プリズム41を介して導光板42に入射され、導光板42に設けられた表示面43から出射されて観察像を形成する。図1はYZ平面について、画像表示装置100の構成を示しているが、図2の斜視図からも分かるように、実際には、Y方向のみならず、X方向にも導光板42は広がりを有しており、X方向へも光が伝搬してY方向と同様に光が射出する。結果的に導光板42全体から光束が射出するため、この画像表示装置は射出瞳の領域が大きく、観察者は画像表示装置に眼を近づけなくても全画角の光束を見渡すことができる。
【0014】
撮像部11は、CCDなどを用いて構成され、画像表示装置100と同じ筐体上に設置されている。この撮像部11にて観察者を撮像し、撮像して得られた撮像情報に基づいて制御装置20が観察者の瞳の空間位置を検出する。すなわち画像表示装置100に対する
観察者の瞳の相対位置関係を検出する手段として機能する。なお、撮像部11は、常に観察者の瞳を検出することが好ましいが、短かい間隔で間歇的に、観察者の瞳を検出してもよい。
【0015】
特に、この撮像部11は、制御装置20が検出した瞳に対してコントラスト法を用いて合焦する。制御部20は、合焦結果に基づいて撮像部11から観察者の瞳までの距離を計測することができる。具体的な仕組みとしては合焦により移動させた光学系の位置を検出し、あらかじめ内蔵してあるテーブルにて物体までの距離を検出する。これにより、制御部20は、撮像部11から観察者の瞳までの距離を計測することができる。このように本実施形態の制御部20は、画像表示装置100に対する観察者の瞳の空間(3次元)位置を検出することとしている。なお、撮像部11の合焦距離を利用することに代えて、撮像部11に2つのカメラを利用することで、観察者を立体撮像して瞳の空間位置を検出することとしてもよい。また、撮像部11以外に超音波センサー、赤外線センサーなどの補助センサーを設け、画像表示装置100から観察者の顔面までの距離を計測することで、瞳の空間位置を検出することとしてもよい。
【0016】
撮像部11として、2つのカメラ(以下「ステレオカメラ」と称する)を利用した観察者の瞳の空間位置検出は、以下のように実行される。ステレオカメラにて観察者を撮像し、コントラスト法で合焦し、2つのカメラそれぞれから撮像情報を取得する。2つの撮像情報間における瞳位置に対する視差、2つのカメラの光軸間距離(基線長)、カメラの焦点距離に基づき、三角測量の原理を使用することで、ステレオカメラから瞳位置までの距離を測定することが可能である。このようなステレオカメラを使用した距離測定については、例えば、特開平9−126759号公報に開示されているように、よく知られた技術であるため、その詳細については省略する。
【0017】
本実施形態では、このように撮像部11を用いて観察者の瞳を検出すると共に、撮像部11から観察者の瞳までの距離、すなわち、画像表示装置から観察者の瞳までの距離を計測し、画像表示装置と観察者の瞳との相対位置関係を計測することとしている。制御部20は、この計測結果に基づいて、駆動部33を駆動して、投影光学系32を移動させ、表示部40の表示面から出射される光束方向を調整する制御を実行する。
【0018】
では、撮像部11による観察者の瞳位置の検出について図を用いて説明する。図3は、YZ平面における画像表示装置100、撮像部11、表示部40の位置関係を示した図であり、図4は、XY平面における観察者眼球1の移動例を示した図となっている。
【0019】
撮像部11にて得られた撮像情報に基づいて、撮像部11に対する観察者眼球1の瞳の位置と、撮像部11から瞳までの距離Lが分かる。また、図3に示されるように装置自体の構成から、
h:表示面43の中心線C1から撮像部11までのY方向の距離
α:撮像部11の撮像面の中心線C2と表示面43の中心線C1とのなす角
が得られる。
ここで、表示面43の中心線C1とは、表示面43の上下、左右の座標中心を通り、表示面に垂直な線をいう。また、撮像部11の撮像面の中心線とは、撮像部11の撮影レンズの光軸を通る線をいう。
【0020】
ここで、例えば図4に示されるように、観察者眼球1が撮影され、瞳1aの位置が検出された場合を考えてみる。いま、瞳1aの位置は撮像部11に内蔵される撮像素子上でX方向の値を0、Y方向の値をY1であるとする。
【0021】
撮像部11に取り付けられた撮影レンズの焦点距離fとY1の値から、撮像部11の中
心線C2と、撮像部11と観察者の瞳1aを結ぶ線Aとのなす角βは、次式で求められる。
β=tan-1(Y1/f)
ここで、
表示面43の中心線C1から観察者の瞳までのY方向の距離をDとすると、次式がなりたつ。
【0022】
(h−D)/L=sin(α−β)
よって、Dは、
D=h−Lsin(α−β)
で求めることができる。
【0023】
また、表示面43の中心から瞳までの中心線C1(Z方向)上の距離Sは、
S=Lcos(α−β)
で求めることができる。
【0024】
このようにD、Sを求めることで、画像表示装置に対して観察者の瞳が空間上どの位置にあるかを求めることが可能である。なお、上記説明では、観察者の瞳がY方向にずれている場合のみを説明したが、X方向についても同様の手法にて求めることが可能である。また、表示面43の中心線C1や、撮像部11の撮像面の中心線C2等を用いて、hやαを定義したが、画像表示装置に対して観察者の瞳が空間上どの位置にあるかを求めることができれば、他の基準線を用いてもよい。
【0025】
では、このような画像表示装置の構成において、観察者に対して良好な表示画像を提供するための制御について説明する。図5は、本実施形態に係る画像表示装置が組み込まれた画像表示装置を手に持って利用するときの様子を示した図である。このような場合、画像表示装置と観察者の相対位置が所定の関係に保たれないと、画像表示装置に表示される画像を視認することが困難な場合がある。特に、高齢者が利用する場合には、筋力の低下などの理由から、ある程度重量のある画像表示装置を好適な位置に維持して保持することは困難な状況も考えられる。
【0026】
図6は、画像表示装置100の表示部40と、表示部40から射出する光束の様子を示した模式図である。図6の矢印は、表示面43の各位置から出射される光束のうち、紙面に対して、最も上向きの光束と最も下向きの光束を模式的に描いている。例えば表示面43のA点から出射された最も上向きの光束はL1、最も下向きの光束はL2で示されている。実際には、表示面43の各位置から発散光が出射されるため、図示していない方向の角度であって、紙面に対して、最も上向きの光束と、最も下向きの光束と、の間に出射される光束も存在する。観察者は、観察者眼球1に届く光のみを知覚することができる。
【0027】
ここで、表示面43の各位置から光束が出射されているが、観察者眼球1に対して、同じ角度で入射する光束は、全て同じ情報を有し、異なる角度で入射する光束は、異なる情報を有している。すなわち、観察者が、表示面43から出射される光束から全ての情報を得るには、表示面43上の何れかの位置からの最も上向きの光束と、表示面43上の何れかの最も下向きの光束と、観察者眼球1に届く必要がある。何故なら、このような条件を満たせば、表示面43から出射された光束のうち、全ての角度からの光束が観察者眼球1に届くためである。
【0028】
従って、表示部43から出射される光束により表示される画像全体を見渡すためには、表示面43から出射される全ての光束を含む位置、すなわち、最も上向きの光束の下方部と、最も下向きの光束の上方部の間の領域(斜線部)に観察者眼球1を位置させる必要が
ある。この図ではY方向について示しているが、X方向についても同様である。
【0029】
図7は、図6に示す領域の様子を立体的に示した図であって、表示部40の表示面側前方に四角錐の空間領域が形成されることとなる。観察者の瞳がこの四角錐の空間領域内に存在するときには、観察者は表示面43から出射される光束により表示される画像全体を見渡すことが可能となる。一方、この空間領域外に位置するときには、画像の一部が欠けた状態で観察されることとなる。この空間領域を以後、射出瞳領域と呼ぶこととする。射出瞳領域は、表示面43からの距離が長くなるにしたがって小さくなることが分かる。したがって、例えば、画像表示装置を手に持って使用する場合に、表示面43と観察者眼球1からの距離が長くなると、表示面43と平行な面内において射出瞳領域は狭くなる。このとき、常に、表示面43から出射される光束により表示される画像全体を見るために、観察者眼球1を射出瞳領域に留めるには、腕や顔の位置を細かく調整しなければならない。そうすると、観察者の負担が増してしまう。
【0030】
そのため、本実施形態では、検出された観察者の瞳の位置が、射出瞳領域に含まれるように制御することで、観察者の負担を軽減することとしている。では、この制御について図8を用いて説明する。
【0031】
図8は、本実施形態において、観察者の瞳がZ方向にS、Y方向にDだけずれた状態を示したものであり、射出瞳領域から外れた状態を示している。この場合、観察者は全画角の光束を見渡すことができない。
【0032】
ここで、表示面43の中心C1と瞳とを結ぶ線Bを考え、表示面43の中心から射出した光束がBに平行な光線となるようにすることで、観察者の瞳の中心に表示部40の射出瞳の中心が移動し、観察者の瞳が射出瞳領域内に位置することとなり、観察者は全画角の光束を見渡すことができるようになる。なお、表示面43から観察者の瞳までの距離が長い場合には、いくら出射される光束の方向を調整しても射出瞳領域内に入らないことが考えられる。そのような場合、表示部40に観察者眼球をもっと近づけるようにメッセージを表示させる、音あるいは別途設けた表示灯(LED)などを用い、観察者に対して注意を喚起するようにしてもよい。
【0033】
制御部20は、撮像部11からの撮像情報に含まれる画像情報と合焦情報に基づいて、観察者の瞳の空間位置を測定し、それをもとに駆動部33を駆動して投影光学系32を移動させ、表示面43から射出される光束の向きを変化させて常に観察者が表示面43全体を見渡せるようにする。
【0034】
では、どのようにして観察者の瞳を射出瞳領域内に位置させるかを説明する。具体的には、表示面43の中心から射出した光束がBに平行な光線となるように制御することで実行される。
【0035】
初期状態では、画像表示素子31の中心から射出した光線は投影光学系32を通ったあと、投影光学系32の光軸に対して平行に射出される。一方、本実施形態では、投影光学系32を移動させるための駆動部33として2つのアクチュエータ331、332が設けられている。これらは、それぞれ投影光学系32のローカル座標系のx方向、y方向に投影光学系32を移動させることが可能である。本実施形態では、撮像部11で取得した撮像情報に基づいて観察者の瞳位置を検出し、瞳位置に応じて駆動部33を制御することで、表示面43の中心から出射した光束がBに平行な光線となるようにしている。
【0036】
ここで、表示面43の中心線C1とBとのなす角をγとすると、投影光学系32をローカル座標系のy方向に距離dだけ移動させることで、画像表示素子31の中心から射出し
た光線はBと平行に射出されることとなる。
ただし、撮像部11の焦点距離fとする場合、
d=ftanγ
このように、撮像部11にて観察者の瞳を検出し、表示部40から射出される光束の向きを調整することで、例えば、手持ちの画像表示装置において、手ぶれが生じた場合にも観察者は画像全体を見渡すこと可能となる。
なお、実施形態1では、投影光学系32の代わりに画像表示素子31を移動させても同様な効果が得られる。
【0037】
(実施形態2)
実施形態1においては、投影光学系32を移動させることで、表示部40の表示面43から出射される光束方向を調整することとしていた。光束方向の調整は、この形態に限らず、表示面43の方向(より具体的には、表示面43に対する垂線の方向)を変化させることにて行うこととしてもよい。
【0038】
図9は、本発明の実施形態(実施形態2)に係る画像表示装置の構成を示す図である。本実施形態では、表示部40の表示面43の方向を調整することで、表示面123からの光束の方向が調整される。なお、前述の実施形態と同符号の構成については、実質、同じ機能を有するものであるため、ここでの説明は省略する。本実施形態では、画像表示素子31、投影光学系32、プリズム41と導光板42を含む表示部40は、第2筐体52上に設置されている。そして、撮像部11は、画像表示装置100の第1筐体51に設置されている。本実施形態では、第1筐体51に対して、第2筐体52の方向を変化させることで、表示面43の向く方向を変化させることが可能である。
【0039】
第1筐体51に対して第2筐体52の方向を変化変化させる駆動部は、第1筐体51上に配置され、回転軸に歯車55が設けられたサーボモーター54、同じく第1筐体51上に配置され、第2筐体52に回転可能に接する滑車53、第2筐体52上に配置され、前述の歯車とかみ合うように配置されたピニオン56を備えて構成されている。このような構成により、第2筐体52は第1筐体51に対し、図に示す回動中心を中心としてYZ平面内で回動し、表示面43の方向を変化させることが可能となる。制御部20は、撮像部11から得られる撮像情報に基づいて、サーボモーター54を駆動することで、表示面43から出射される光束が、観察者眼球1の方向を向くように制御することが可能となる。なお、図示されている構成は、X軸を中心に回動する機構であるが、図示しないY軸を中心に回動する機構によって、Y軸を中心に回動させることとしている。
【0040】
本実施形態においても、図6で説明したように、観察者の瞳位置を検出して、表示部40から出射される光束が線Bの方向を向くように制御することで、手に持っている画像表示装置100に手ぶれが生じた場合であっても、観察者は広い表示領域を見渡すことができる。本実施形態では表示部40から出射される光束の方向調整は、第1筐体51に対して第2筐体を回動させることで行われる。制御部20は、撮像部11で観察者を撮影して得られた撮像情報から角度γを計算し、角度γに応じた制御信号をサーボモーター54に出力することで第2筐体52を回動させる。その結果、表示面43から出射される光束は線Bの方向に近づき、観察者の瞳は射出瞳領域内に位置することとなる。
【0041】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0042】
11…撮像部、12…撮影レンズ、20…制御部、30…投影部、31…画像表示素子、
32…投影光学系、331…x方向アクチュエータ、332…y方向アクチュエータ、33…駆動部、40…表示部、41…プリズム、42…導光板、421…光学的回折素子、43…表示面、51…第1筐体、52…第2筐体、53…滑車、54…サーボモーター、55…歯車、56…ピニオン、100…画像表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部と、
前記表示部を観察する観察者を撮像して撮像情報を出力する撮像部と、
前記撮像部から出力される撮像情報に基づいて、観察者の瞳の空間位置を検出する瞳位置検出処理と、前記瞳位置検出処理で検出した観察者の瞳の空間位置が、前記表示部前側の所定空間内に入るように前記表示部から出射される光束の方向を調整する光束方向調整処理と、を実行する制御部と、を備えることを特徴とする
画像表示装置。
【請求項2】
前記表示部前側の所定空間は、前記表示部の射出瞳領域であることを特徴とする
請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記表示部は、光を導光する導光板を有することを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記表示部は、画像表示素子と、前記画像表示素子から出射される光を前記導光板に入射させる投影光学系を備え、
前記投影光学系の位置を移動させる駆動部を備え、
前記制御部が実行する前記光束方向調整処理は、前記駆動部により前記投影光学系を移動させることで、前記表示部から出射される光束の方向を調整することを特徴とする
請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記表示部は、画像表示素子と、前記画像表示素子から出射される光を前記導光板に入射させる投影光学系を備え、
前記画像表示素子の位置を移動させる駆動部を備え、
前記制御部が実行する前記光束方向調整処理は、前記駆動部により前記画像表示素子を移動させることで、前記表示部から出射される光束の方向を調整することを特徴とする
請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記光束方向調整処理は、前記表示部の方向を変更することで、前記表示部から出射される光束の方向を調整することを特徴とする
請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記瞳位置検出処理は、前記撮像部の合焦距離に基づいて、観察者の瞳の空間位置を検出することを特徴とする
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記撮像部は、ステレオカメラであり、
前記瞳位置検出処理は、ステレオカメラから出力される複数の撮像情報に基づいて、観察者の瞳の空間位置を検出することを特徴とする
請求項1から請求項7の何れか1項に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−65001(P2013−65001A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−188262(P2012−188262)
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】