画像観察方法及び印刷物収納用具
【課題】自然なカラー画像を立体視して鑑賞する。
【解決手段】合成して1つのカラー画像を表示するための複数色として、第1の3原色RX,GX,BXと、この第1の3原色RX,GX,BXとは実質的に互いに排他的な分光分布特性を有した第2の3原色RZ,GZ,BZとを使用し、第1の画像を上記第1の3原色により、第2の画像を上記第2の3原色により同一の表示媒体上に重畳表示する。
【解決手段】合成して1つのカラー画像を表示するための複数色として、第1の3原色RX,GX,BXと、この第1の3原色RX,GX,BXとは実質的に互いに排他的な分光分布特性を有した第2の3原色RZ,GZ,BZとを使用し、第1の画像を上記第1の3原色により、第2の画像を上記第2の3原色により同一の表示媒体上に重畳表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体カラー画像を表示し、印刷し、これを観察するための画像観察方法及び印刷物収納用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、2眼式の立体画像再生には、左右独立ディスプレイ方式、パララックスバリア方式、時分割方式、偏光方式、赤青アナグリフ方式などがある。このような各種立体画像再生方式のうち、投影などの特殊な機構を用いることなく、2眼用の画像を重畳して表示し、あるいは印刷することが可能なものは、赤青アナグリフ方式のみである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、アナグリフ方式は、カラーアナグリフ方式も考案されているが、本来はカラー画像に使用できず、当然ながら色再現性がきわめて異常であり、モノクロ画像も含めて使用時に大きな違和感を生じるという不具合がある。
【0004】
したがって、写真や映画など、カラー画像を鑑賞するというレベルでの使用に耐える技術ではなく、従来より多くの人に認知はされているものの、一般的に広く普及するには至っていない。
【0005】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、きわめて自然にカラー画像を立体視して鑑賞することが可能な画像観察方法及び印刷物収納用具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、合成して1つのカラー画像を表示するための複数色として、第1の複数色と、この第1の複数色とは実質的に互いに排他的な分光分布特性を有した第2の複数色とを使用し、第1の画像を上記第1の複数色により、第2の画像を上記第2の複数色により同一の表示媒体上に重畳表示した表示画面を観察する画像観察方法であって、上記表示画面に当接される位置の少なくとも一部に、上記第1及び第2の複数色のうちの一方のみを選択的に透過する波長選択性光学フィルタを配設することにより、上記表示画面上の第1及び第2の画像のうちの一方のみを選択的に観察し得るようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記第1、第2の各画像は、それぞれ立体画像を構成する左右各眼用の単眼視画像であることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、複数色として、第1の3原色と、この第1の3原色と実質的に互いに排他的な分光分布特性を有した第2の3原色とを少なくとも使用し、第1の画像を上記第1の3原色を発色するインクにより、第2の画像を上記第2の3原色を発色するインクにより同一の表示媒体である同一の印刷面に重畳印刷した印刷物を収納する印刷物収納用具であって、上記印刷物を収納した状態で重畳印刷面に当接される位置の少なくとも一部に、上記第1及び第2の3原色のうちの一方のみを選択的に透過する波長選択性光学フィルタ材を配設したことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、上記請求項3記載の発明において、上記第1、第2の各画像は、それぞれ立体画像を構成する左右各眼用の単眼視画像であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、きわめて自然にカラー画像を立体視して鑑賞することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の具体的な実施の形態を説明するのに先立って、まず本発明の基本的な概念について説明する。
【0012】
図1は、一般的なカラーCRTディスプレイの蛍光体の分光分布特性を模式的に示したものである。但し、3原色RGB各色の蛍光体それぞれのピーク強度を1として規格化している。
【0013】
各蛍光体のピーク波長は、B=約450[nm]、G=約535[nm]、R=約620[nm]であり、人間の視覚のRGB感度特性のピークとほぼ同じであるが、その分布形状に関しては人間の視覚とさほど似ていない。
【0014】
すなわち、すなわち各蛍光体の分布の半値幅はB,G共に50〜60[nm]程度、Rでは30nm程度とかなり狭いものとなっているが、このような特性でも高い色再現性を実現できている。
【0015】
この点は別に奇異なわけではなく、撮像装置の受光分光感度特性については、いわば目の代わりをするものであるから、様々な周波数成分のスペクトラムを有する被写体のすべてに良好な色再現を求める場合には、視覚のRGB特性と高い一致度が必要になる一方で、表示装置はいわば被写体それ自体の代わりをするものであるから、結果的に人間の視覚のRGB受容体に対して、本来の刺激と同強度比率の刺激を与えることができさえすれば、高い色再現性を実現できることになる。
【0016】
したがって、左眼用の画像と右眼用の画像のそれぞれに、実質的に互いに排他的な分光分布特性を有する複数色、例えば加法混色の3原色であるRGBを使用して同一の表示媒体上に重畳表示し、且つそれを観察する側で、左眼レンズに左眼用の画像に合致した分光特性のみ透過可能な光学フィルタを、右眼レンズに右眼用の画像に合致した分光特性のみ透過可能な光学フィルタをそれぞれ配した観察メガネを用いるものとすれば、観察する人間の左眼及び右眼では、それぞれ視覚のRGB受容体に対して本来の刺激と同強度比率の刺激を与えられて、左眼用画像と右眼用画像をそれぞれ分離して高い色再現性で視認することができることになる。
【0017】
図2は、上記論点を補充するべく用いるもので、3波長型と呼ばれる代表的な高演色性蛍光灯に使用されている3蛍光体の分光分布特性の一例を模式的に示している。
【0018】
同図中、B,G,Rの各ピーク波長は人間の視覚のRGB感度特性のピーク波長に比較的近い435[nm]、545[nm]、615[nm]である。なお、現実の特性は強度10%程度以下に多少の「裾野」部分を持っているが、強度の強い主要部分についてはほぼこのような特性となる。
【0019】
蛍光灯は照明であるから、高い色再現性(=演色性)を得るためには、本来は平坦な(ブロードな)分光分布特性が必要となるものであるが、このようなRGB各蛍光体の半値幅がわずか10[nm]程度と極端に狭い、狭帯域特性のものであっても、実用上は高い演色性を得ることができる。
【0020】
いわんや、ディスプレイの場合は、人間の視覚のRGB受容体に適当な強度比率の刺激を与えることができるのであれば、狭帯域の光、あるいは複数の単色光であっても原理的にまったく問題はないことになる。
【0021】
このように図2は、本発明の実施に際して必須となる狭帯域の3原色を用いたカラー表示方式の有効性を示すものであると同時に、下記の各実施の形態のようなディスプレイを製作するにあたり、要求されるような狭帯域発光の蛍光体が現実に存在するということの一つの証左という意味も有している。
【0022】
(第1の実施の形態)
以下本発明をカラーCRTディスプレイに適用した場合の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図3は、本発明の第1実施形態であるカラーCRTに用いられる6種類の蛍光体の分光分布特性の一例を示す。
【0024】
6種類の蛍光体は、RGBの各原色に対して2つずつ割り当てられており、2組の3原色を構成している。それぞれの組をXおよびZで表わすことにする。ピーク波長は
BX,BZ,GX,GZ,RX,RZ
の順に
435[nm],465[nm],520[nm],550[nm],605[nm],635nm[nm]
であり、半値幅はいずれも約20[nm]である。
【0025】
したがって、各同一原色のBXとBZ、GXとGZ、RXとRZの特性の裾野部分には、図中に示すようにX系とZ系の間で5[nm]に渡る若干のオーバーラップが存在するが、範囲も僅かであり、ピーク強度も低いことから、実用上十分な分離度を実現することができる。もちろん、上記図2で示した3波長型蛍光灯のように、さらに半値幅の小さなものを用いて裾野部分のオーバーラップをなくすものとすれば、きわめて効果的な改善例となる。
【0026】
また、上記ピーク波長は、人間の視覚のRGB感度特性のピーク波長約450[nm]、535[nm]、620[nm]を中心として、X系で15[nm]短く、Z系で15[nm]長く設定されている。
【0027】
このように、ピーク波長の視覚のRGB感度特性のピーク波長に対するずれがX系の色とZ系の色とを等しく設定することにより、視覚のRGB感度特性に対する寄与度がX,Zの両系ともほぼ等しくなる。
【0028】
したがって、同じ表示色に対する両系の発光強度、すなわち入力信号強度を共通にすることができる。これは換言すれば、同じ入力を与えれば同じ色が表示される、という効果を奏するものである。
【0029】
このような条件は必須ではなく、X系とZ系の色再現に多少の誤差があっても実用に供することは充分可能であるし、あるいは各系のRGB特性にマトリクス補正を加えるなどして、色再現誤差を低減することも可能である。
【0030】
図4は、本実施の形態に係るCRTの基本構造を示しており、基本的な構造自体は一般的なCRTと同様である。すなわち、電子銃11のカソード12から発射された電子ビーム13は、グリッド14にて収束され、輝度変調された後に偏向ヨーク15で射出方向を制御されて蛍光面16に輝点を結ぶ。
【0031】
以下、図5及び図6により一般的なCRTと本実施の形態に係るCRTとの構造の違いについて説明する。
【0032】
図5(A)は、一般的なシャドウマスク型カラーCRTの電子銃21a〜21cと蛍光面22との対応関係の一例を示す。インライン状に配置された3つの電子銃21a〜21cからの電子ビーム23は、シャドウマスク24によって蛍光面22に形成された3原色のそれぞれ対応する蛍光体のみに選択的に到達する。図5(B)は、この蛍光面22に形成された3原色R,G,Bの各蛍光体の配列状態を例示したものである。
【0033】
図6(A)は本実施の形態に係るシャドウマスク型カラーCRTの電子銃11と蛍光面16との対応関係の一例を示す。ここで電子銃11は、従来のインライン状の3つの電子銃を2段重ねにした、いってみればデュアルインライン配置とでも呼称すべき配置構成を有している。
【0034】
その上列にはX系の電子銃11a〜11cが、下列にはZ系の電子銃11d〜11fが配され、シャドウマスク17によって蛍光面16に形成された2組の3原色、計6色の蛍光体のみに選択的に到達するように構成されている。図7(B)は、この蛍光面16に形成された6色の蛍光体RX,RZ,GX,GZ,BX,BZの配列状態を例示したものである。
【0035】
図7は、上記CRTディスプレイを用いてステレオ画像を表示する場合の具体的な方法を示したものである。
【0036】
図7(1)に示す左眼用のL画像にX系の3原色RX,GX,BXを用い、図7(2)に示す右眼用のR画像にZ系の3原色RZ,GZ,BZを用いて、図7(3)に示すように一つの画面上に同時に重畳表示する。
【0037】
この重畳表示されたステレオ画像は、L,R両画像ともにRGB3原色情報を有したもの、すなわちフルカラー画像であるが、上述したように、X系とZ系は分光分布の重なり(オーバーラップ)が充分小さい、実質的に互いに排他的な分光分布特性を有している。
【0038】
そのため、左眼レンズ用に上記X系の分光特性のみ透過可能な光学フィルタを配し、右眼レンズ用に上記Z系の分光特性のみ透過可能な光学フィルタを配した、後述する観察メガネを用いるものとすれば、L画像とR画像とをそれぞれ分離して左眼と右眼で観察することが可能となり、結果として立体画像を観察することができる。
【0039】
なお、上述した「実質的に互いに排他的な分光分布特性」とは、すなわち「フィルタによって実用上使用可能な分離度で互いを分離可能な程度に、分光分布の重なり(オーバーラップ)が充分小さいような分光分布特性」を意味するものである。
【0040】
次いで図8により上記図7で示したような立体画像表示を実現する、カラーCRTディスプレイの信号処理回路の構成を説明する。
【0041】
ここでは、例えばNTSCビデオ信号におけるフィールド順次ステレオ信号のような時分割入力信号がLR分離部31に与えられるものとする。
【0042】
LR分離部31は、内部にバッファメモリを有し、与えられた画像信号に対して水平/垂直各走査信号やLR識別信号など同期信号の分離を行ない、これに基づいて、順次与えられる時分割入力信号をバッファ内に設けられたLおよびRの各専用記憶領域に順次記憶(データ更新)することによってL画像信号とR画像信号とを分離同時化し、所定の1フィールド間隔時点毎にこれを同時に読出してそれぞれX系処理部32とZ系処理部33とに同時に送出する。
【0043】
X系処理部32は、与えられたL画像信号に対して必要に応じて通常のビデオ信号と同様に同期信号の分離や映像信号処理等の処理を施して表示装置を駆動するための各種信号を生成するもので、生成されたX系の各種信号が出力部34へ送られる。
【0044】
Z系処理部33もX系処理部32と同様の信号処理を行なうものであり、LR分離部31から与えられたR画像信号からZ系の各種信号を生成して出力部34へ送る。
【0045】
出力部34は、例えば上記カラーCRTディスプレイとその駆動回路とで構成されるもので、与えられるX系,Y系の各種信号により左眼用のカラー画像と右眼用のカラー画像とを上述した如く重畳表示する。
【0046】
なお、上述した本実施の形態に係るカラーCRTディスプレイでは、通常の構造のものと比較して、電子銃の数が増えると共に、2倍の垂直密度の画素が必要となるため、製造が難しくなる場合も有り得る。この問題に対する解決策として本実施の形態の変形例を示す。
【0047】
すなわち、一般的なCRTと同様に3つの電子銃を有する構造とし、蛍光面の各蛍光体には1走査ライン毎にX系蛍光体RX,GX,BXとZ系蛍光体RZ,GZ,BZとを交互に塗布しておく。
【0048】
そしてL,Rの各画像を1ラインおきにインターレース状態で出力して描画させるように構成する。このときL,Rの各モノキュラ画像の垂直解像度は全走査線数の1/2に低下するが、立体画像としては両画像を融合して観察するので、この解像度の低下は事実上問題にはならないものである。
【0049】
また、そのCRTがノンインターレース走査型であるか、あるいはインターレース走査型であってもフィールドレートが100[Hz]以上の高速走査型であれば、フリッカを生じることはなく、鑑賞者に画像のちらつきによる違和感を与えることはない。
【0050】
なお、一般的な3つの電子銃を有するカラーCRTを用い、液晶シャッタを組込んだ眼鏡装置を用いて立体画像を観察する時分割提示方式とは異なり、本実施の形態でのL画像とR画像との像の分離は、ディスプレイの蛍光面に塗布した蛍光体の発光スペクトラムに拠っているものであるから、残光性の高い蛍光体を使用するものとすれば、たとえ低速で走査するインターレース走査型のカラーCRTであっても、フリッカの発生を回避することが可能となる。
【0051】
(その他の実施の形態)
以下に説明する第2以降の各実施の形態に関して、表示、印刷で表わされるカラー画像の分光分布特性等については、基本的な原理等、上記第1の実施の形態と同様であるので、簡略的に説明するものとする。
【0052】
(第2の実施の形態)
本発明を発光ダイオード(LED)ディスプレイに適用した場合の第2の実施の形態について説明する。
【0053】
この場合、上記図4及び図6で示したカラーCRTディスプレイと同様に、従来は3原色RGBだけを使用していたLEDディスプレイで、上記図3に示したような分光分布特性を有するX系およびZ系それぞれの3原色RGB、都合6色のLEDを光源として置き換えた構成とすればよい。
【0054】
なお、通常のLEDディスプレイは、各画素に独立したLEDをアレイ状に配したLEDアレイディスプレイであって、この第2の実施の形態もそのようなものを仮定しているが、変形例として、例えば、カラーフィルタを用いない液晶表示パネルのような、透過型または反射型のモノクロ表示デバイスに、時分割で発光するカラー照明を組合わせたフィールドシーケンシャル方式とも呼称される面順次型のカラー表示装置であって、そのカラー照明用の光源としてLEDを拡散板を介して使用したものも考え得る。
【0055】
例えば、フィールドシーケンシャル方式の液晶表示パネルに光源としてのLEDを使用する場合、6種類のLEDを1サブフィールドに1種類ずつ
RX,RZ,GX,GZ,BX,BZ
の順序で点灯駆動し、且つ、例えばLEDとしてRXが点灯されているサブフィールド期間ではその点灯に同期させてモノクロの液晶表示パネルで左眼用のR成分の画像を表示させる、というように、6サブフィールドで1フィールドに相当する左右両眼用の画像を表示させることにより、結果として左右両眼用の画像を1枚の液晶表示パネルで重畳表示し得るものとなる。
【0056】
また、LEDディスプレイではないが、このようなフィールドシーケンシャル方式のカラー表示装置であって、そのカラー照明光源として上記第1の実施の形態と同様の蛍光体を複数の光源装置に対応させて配設したものも変形例として提示し得る。
【0057】
(第3の実施の形態)
以下本発明をカラー液晶ディスプレイに適用した場合の第3の実施の形態について説明する。
【0058】
この場合、一般的なカラー液晶表示パネルの場合、カラーコーディングは3原色RGBの点順次フィルタによって行なわれているから、これを上記図3で示したような分光透過特性を有したX系およびZ系それぞれの3原色RGB、都合6色で1画素を構成するようなカラーフィルタを有したものに置き換えればよい。
【0059】
(第4の実施の形態)
本発明をインクジェット式のプリンタに適用した場合を第4の実施の形態として図面を参照して説明する。
【0060】
インクジェット式のプリンタの場合、従来の着色は原理的には減法混色の3原色であるCy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(イェロー)の3つの補色インクを用いて行なわれる。
【0061】
なお、製品としてのプリンタでは、特にMgの理想特性との乖離が大きく、理想的なインクの特性が得られないことへの対策と、カラープリントだけではなく文書等の白黒プリントを行なう際の経済性を考慮して、第4色である黒(BK)のインクも使用されることが多いが、これは必須ではないから、本実施の形態に関しては、説明を簡略にして発明を明確化するために、発色特性の良好なCy,Mg,Yeの3つの補色インクを使用し、BKは使用しないものとする。
【0062】
図9は、一般的インクジェット式のプリンタで使用される3色インクの分光分布特性を模式するものである。これに対して図10は、本第4の実施の形態であるインクジェット式のプリンタに用いられる6種類のインクの分光分布特性の一例を示すものである。
【0063】
図10に示す6種類のインクは、減法混色の3原色である3つの補色Cy,Mg,Yeに対して2つずつ割り当てられて2組の3原色を構成している。それぞれの組をXおよびZで示すものとすると、
CyX,CyZ,MgX,MgZ,YeX,YeZ
となり、それら各色に対してピーク波長が2つずつ存在するが、補色であるために同じ組に関しては重複があるから、結局ピーク波長は、低周波側から順に
430[nm],470[nm],515[nm],555[nm],600[nm],640[nm]
の6つとなる。
【0064】
このインクジェット式のプリンタは、X系用の画像を印刷するために3つ、Z系用の画像を印刷するために3つの計6つのインクタンク及びこれらに対応したプリントヘッドを有しており、それぞれに上述の6色のインクが適用される。X系、Z系のそれぞれには、上述した図7及び図8と同様の方法でL画像、R画像が入力され、用紙に重畳印刷される。
【0065】
なお、従来の3原色のみに基づいたインクジェット式のプリンタでも、カラーインクとして6色を使用するものは存在しているから、そのインクタンクの搭載部にこの第4の実施の形態で説明した6色、すなわちCyX,CyZ,MgX,MgZ,YeX,YeZの各インクタンクを装着するものとし、さらに印刷制御系の回路を上記図8に対応した、左右両眼用の画像を重畳して印刷するものに変更すれば、比較的容易に本実施の形態を実現できる。
【0066】
なお、インクジェット式以外のプリンタ、例えば昇華型熱転写プリンタなどにも全く同様に適用できる。その場合、例えば従来使用していた3色のインクシートを上述した6色に変更すればよい。
【0067】
また、上記第4実施形態では3原色として反射媒体に適した減法混色のインク(色素)を使用したが、いわゆるスライド作成など透過型媒体に印画する場合など、目的によっては加法混色の3原色RGBのインク(色素)を用いても良い。
【0068】
(第5の実施の形態)
以下本発明を、上記第1乃至第4の実施の形態で説明したような表示画面または印刷物のステレオ画像を観察する観察メガネに適用した第5の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0069】
図12は、その観察メガネ41の外観構成を示すもので、ここでは一般的な近視、遠視、乱視等の視力矯正用のメガネと外観上はまったく同一の構成を有するものとして示している。
【0070】
しかして、観察メガネ41の左眼用のレンズには、L画像の分光分布特性に適応したX系フィルタ42を配し、一方、右眼用のレンズには、R画像の分光分布特性に適応したZ系フィルタ43を配している。
【0071】
図11は上記X系フィルタ42とZ系フィルタ43の分光分布特性を例示するものである。図11(1)に示すL画像=左眼用のX系フィルタ42と、図11(2)に示すR画像=右眼用のZ系フィルタ43は、共に等しい5つのカットオフ周波数
450[nm],492.5[nm],535[nm],597.5[nm],620[nm]
において急峻に変化する、いわゆるシャープカットバンドパス特性を有し、かつ互いに透過と遮断の周波数帯域が反転した関係になっている。
【0072】
そのため、上記第1内視第4の各実施の形態で説明した表示画面あるいは印刷物上に重畳表示(印刷)されているステレオ画像を観察すると、観察メガネ41の左眼用レンズのX系フィルタ42ではX系の3原色RX,GX,BX(またはCyX,MgX,YeX)のみ、右眼用レンズのZ系フィルタ43ではZ系の3原色RZ,GZ,BZ(またはCyZ,MgZ,YeZ)のみがそれぞれ透過する。したがって、L画像とR画像が分離され、左右各眼に個別に視認、観察される。
【0073】
なお、上記X系フィルタ42やZ系フィルタ43などの光学フィルタは、例えばガラスなどの透明部材に金属などの物質を多層薄膜コーティングすることによって製作することができる。
【0074】
また、本実施の形態では、観察メガネ41を単純に通常の視力矯正用のメガネと同一の構成であるものとして説明したが、その形状等は限定されるものではなく、例えば視力矯正用のメガネ使用の有無に関係なく装着可能なオーバーグラスタイプのものとしてもよいし、さらには視力矯正用のメガネの使用者に対して、該メガネの上部に重ねて装着するクリップオンタイプのものとすることも容易に考えられる。
【0075】
(第6の実施の形態)
以下本発明を、上記第4の実施の形態で説明したプリンタによって印刷された写真プリントなどの印刷物を収納し、必要に応じて持ち運ぶためのカードキャリアとしても機能するプリントホルダに適用した第6の実施の形態について図面を参照して説明する。
図13(A)は、そのようなプリントホルダ51の外観構成を示すもので、図13(B)は同図(A)のb−b線に沿った一部断面構造を示す。ここでは、1枚の印刷物52を若干の余裕を持って収納するべく、一対のシート53,54の周囲3方を貼着し袋状にして形成したものとする。
【0076】
ここで、シート53,54の少なくとも一方、例えばシート53は透明なフィルム状で構成されるものとし、印刷物52の印刷面をこのシート53に向けて挿入することで、印刷物52を汚すことなくその印刷内容を観賞することを可能としている。
【0077】
しかるにこの透明なシート53は、単なる透明部材ではなく、上記図12で示したX系フィルタ42またはZ系フィルタ43と同等の透過分光分布特性を有しているものとする。
【0078】
したがって、L画像とR画像とが重畳印刷された印刷物52を挿入した場合には、L画像またはR画像のみが選択的に観察できることになり、本来であれば左右の画像が重畳して印刷されているために不自然に「ぶれた」画像となっているステレオ写真などを意識することなく、あたかも通常の単眼視の印刷物のように取り扱うことが可能となる。
【0079】
なお、本実施の形態の変形例として、例えば複数枚数の写真プリントを収納可能な写真アルバムにおいて、その観察面の保護シートをX系フィルタ42またはZ系フィルタ43と同等の透過分光分布特性を有した部材で構成するものも考えられる。この変形例においても、上記図13に示したものと同様の効果を奏することが可能となる。
【0080】
上記第1乃至第6の実施の形態によれば、フルカラーでステレオ画像を観察することができ、従来の赤青分離方式のアナグリフのような色再現性において異常な感覚を生じることがない。
【0081】
また、偏光メガネ方式のステレオ画像の鑑賞方法などのように、偏光を利用していないので、例えば液晶表示パネルのように、他の目的で偏光を使用している構造のものにも適用できる。
【0082】
さらに、CRTディスプレイや液晶表示パネル、LEDディスプレイ等の光像を直接出力する表示装置のみならず、印刷物においてもステレオ画像を(広義の意味で)「表示」することが可能となる。
【0083】
加えて、上記直接裸眼で視認した場合には左右両眼の画像が重畳されているために不自然に「ぶれた」画像となっている印刷物であっても、上記第6の実施の形態で示したようなプリントホルダやアルバムを利用することによって、通常の単眼視の画像と同等に取り扱うことが可能となる。
【0084】
なお、上記各実施の形態においては、左右両眼用の2つの画像を重畳した画像を表示または印刷し、これを観察するものとして説明したが、分光分布特性における波長の設定を適切に設定すれば、3つ以上の系の画像を重畳して表示させるものにも拡張することが可能となる。
【0085】
これは、ステレオ画像への応用以外にも、例えば一連の動作を連続的に示す分解写真など、複数の画像を重畳表示しつつ単独の画像の観察も必要になるような用途や、ある出来事の原因と過程、及び結果など、画像としては全く内容の異なる複数の画像を1つの印刷物に重畳する用途など、アイデア次第で任意の用途に適用することが可能となる。
【0086】
その他、本発明は上記実施の形態に限らず、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能であるものとする。
【0087】
さらに、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の基本概念を説明するための、一般的なカラーCRTディスプレイの蛍光体の分光分布特性を示す図。
【図2】本発明の基本概念を説明するための、一般的な3波長型蛍光灯の蛍光体の分光分布特性を示す図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るカラーCRTディスプレイの蛍光体の分光分布特性を示す図。
【図4】同実施の形態に係るカラーCRTディスプレイの構造を示す図。
【図5】一般的なシャドウマスク型カラーCRTの電子銃と蛍光体との対応関係の一例を示す図。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るシャドウマスク型カラーCRTの電子銃と蛍光体との対応関係の一例を示す図。
【図7】同実施の形態に係る左眼用画像と右眼用画像の重畳表示方法を示す図。
【図8】同実施の形態に係る信号処理系統の構成を例示するブロック図。
【図9】一般的なインクジェット式のプリンタで使用されるカラーインクの分光分布特性を示す図。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係るインクジェット式のプリンタで使用されるカラーインクの分光分布特性を示す図。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る観察メガネに使用する各光学フィルタの分光分布特性を示す図。
【図12】同実施の形態に係る観察メガネの外観構成を示す図。
【図13】本発明の第6の実施の形態に係るプリントホルダの構成を示す図。
【符号の説明】
【0089】
11…電子銃、12…カソード、13…電子ビーム、14…グリッド、15…偏向ヨーク、16…蛍光面、17…シャドウマスク、21a〜21c…電子銃、22…蛍光面、23…電子ビーム、24…シャドウマスク、31…LR分離部、32…X系処理部、33…Z系処理部、34…出力部、41…観察メガネ、42…X系フィルタ、43…Z系フィルタ、51…プリントホルダ、52…印刷物、53…(透明)シート、54…シート。
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体カラー画像を表示し、印刷し、これを観察するための画像観察方法及び印刷物収納用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、2眼式の立体画像再生には、左右独立ディスプレイ方式、パララックスバリア方式、時分割方式、偏光方式、赤青アナグリフ方式などがある。このような各種立体画像再生方式のうち、投影などの特殊な機構を用いることなく、2眼用の画像を重畳して表示し、あるいは印刷することが可能なものは、赤青アナグリフ方式のみである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、アナグリフ方式は、カラーアナグリフ方式も考案されているが、本来はカラー画像に使用できず、当然ながら色再現性がきわめて異常であり、モノクロ画像も含めて使用時に大きな違和感を生じるという不具合がある。
【0004】
したがって、写真や映画など、カラー画像を鑑賞するというレベルでの使用に耐える技術ではなく、従来より多くの人に認知はされているものの、一般的に広く普及するには至っていない。
【0005】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、きわめて自然にカラー画像を立体視して鑑賞することが可能な画像観察方法及び印刷物収納用具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、合成して1つのカラー画像を表示するための複数色として、第1の複数色と、この第1の複数色とは実質的に互いに排他的な分光分布特性を有した第2の複数色とを使用し、第1の画像を上記第1の複数色により、第2の画像を上記第2の複数色により同一の表示媒体上に重畳表示した表示画面を観察する画像観察方法であって、上記表示画面に当接される位置の少なくとも一部に、上記第1及び第2の複数色のうちの一方のみを選択的に透過する波長選択性光学フィルタを配設することにより、上記表示画面上の第1及び第2の画像のうちの一方のみを選択的に観察し得るようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記第1、第2の各画像は、それぞれ立体画像を構成する左右各眼用の単眼視画像であることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、複数色として、第1の3原色と、この第1の3原色と実質的に互いに排他的な分光分布特性を有した第2の3原色とを少なくとも使用し、第1の画像を上記第1の3原色を発色するインクにより、第2の画像を上記第2の3原色を発色するインクにより同一の表示媒体である同一の印刷面に重畳印刷した印刷物を収納する印刷物収納用具であって、上記印刷物を収納した状態で重畳印刷面に当接される位置の少なくとも一部に、上記第1及び第2の3原色のうちの一方のみを選択的に透過する波長選択性光学フィルタ材を配設したことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、上記請求項3記載の発明において、上記第1、第2の各画像は、それぞれ立体画像を構成する左右各眼用の単眼視画像であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、きわめて自然にカラー画像を立体視して鑑賞することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の具体的な実施の形態を説明するのに先立って、まず本発明の基本的な概念について説明する。
【0012】
図1は、一般的なカラーCRTディスプレイの蛍光体の分光分布特性を模式的に示したものである。但し、3原色RGB各色の蛍光体それぞれのピーク強度を1として規格化している。
【0013】
各蛍光体のピーク波長は、B=約450[nm]、G=約535[nm]、R=約620[nm]であり、人間の視覚のRGB感度特性のピークとほぼ同じであるが、その分布形状に関しては人間の視覚とさほど似ていない。
【0014】
すなわち、すなわち各蛍光体の分布の半値幅はB,G共に50〜60[nm]程度、Rでは30nm程度とかなり狭いものとなっているが、このような特性でも高い色再現性を実現できている。
【0015】
この点は別に奇異なわけではなく、撮像装置の受光分光感度特性については、いわば目の代わりをするものであるから、様々な周波数成分のスペクトラムを有する被写体のすべてに良好な色再現を求める場合には、視覚のRGB特性と高い一致度が必要になる一方で、表示装置はいわば被写体それ自体の代わりをするものであるから、結果的に人間の視覚のRGB受容体に対して、本来の刺激と同強度比率の刺激を与えることができさえすれば、高い色再現性を実現できることになる。
【0016】
したがって、左眼用の画像と右眼用の画像のそれぞれに、実質的に互いに排他的な分光分布特性を有する複数色、例えば加法混色の3原色であるRGBを使用して同一の表示媒体上に重畳表示し、且つそれを観察する側で、左眼レンズに左眼用の画像に合致した分光特性のみ透過可能な光学フィルタを、右眼レンズに右眼用の画像に合致した分光特性のみ透過可能な光学フィルタをそれぞれ配した観察メガネを用いるものとすれば、観察する人間の左眼及び右眼では、それぞれ視覚のRGB受容体に対して本来の刺激と同強度比率の刺激を与えられて、左眼用画像と右眼用画像をそれぞれ分離して高い色再現性で視認することができることになる。
【0017】
図2は、上記論点を補充するべく用いるもので、3波長型と呼ばれる代表的な高演色性蛍光灯に使用されている3蛍光体の分光分布特性の一例を模式的に示している。
【0018】
同図中、B,G,Rの各ピーク波長は人間の視覚のRGB感度特性のピーク波長に比較的近い435[nm]、545[nm]、615[nm]である。なお、現実の特性は強度10%程度以下に多少の「裾野」部分を持っているが、強度の強い主要部分についてはほぼこのような特性となる。
【0019】
蛍光灯は照明であるから、高い色再現性(=演色性)を得るためには、本来は平坦な(ブロードな)分光分布特性が必要となるものであるが、このようなRGB各蛍光体の半値幅がわずか10[nm]程度と極端に狭い、狭帯域特性のものであっても、実用上は高い演色性を得ることができる。
【0020】
いわんや、ディスプレイの場合は、人間の視覚のRGB受容体に適当な強度比率の刺激を与えることができるのであれば、狭帯域の光、あるいは複数の単色光であっても原理的にまったく問題はないことになる。
【0021】
このように図2は、本発明の実施に際して必須となる狭帯域の3原色を用いたカラー表示方式の有効性を示すものであると同時に、下記の各実施の形態のようなディスプレイを製作するにあたり、要求されるような狭帯域発光の蛍光体が現実に存在するということの一つの証左という意味も有している。
【0022】
(第1の実施の形態)
以下本発明をカラーCRTディスプレイに適用した場合の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図3は、本発明の第1実施形態であるカラーCRTに用いられる6種類の蛍光体の分光分布特性の一例を示す。
【0024】
6種類の蛍光体は、RGBの各原色に対して2つずつ割り当てられており、2組の3原色を構成している。それぞれの組をXおよびZで表わすことにする。ピーク波長は
BX,BZ,GX,GZ,RX,RZ
の順に
435[nm],465[nm],520[nm],550[nm],605[nm],635nm[nm]
であり、半値幅はいずれも約20[nm]である。
【0025】
したがって、各同一原色のBXとBZ、GXとGZ、RXとRZの特性の裾野部分には、図中に示すようにX系とZ系の間で5[nm]に渡る若干のオーバーラップが存在するが、範囲も僅かであり、ピーク強度も低いことから、実用上十分な分離度を実現することができる。もちろん、上記図2で示した3波長型蛍光灯のように、さらに半値幅の小さなものを用いて裾野部分のオーバーラップをなくすものとすれば、きわめて効果的な改善例となる。
【0026】
また、上記ピーク波長は、人間の視覚のRGB感度特性のピーク波長約450[nm]、535[nm]、620[nm]を中心として、X系で15[nm]短く、Z系で15[nm]長く設定されている。
【0027】
このように、ピーク波長の視覚のRGB感度特性のピーク波長に対するずれがX系の色とZ系の色とを等しく設定することにより、視覚のRGB感度特性に対する寄与度がX,Zの両系ともほぼ等しくなる。
【0028】
したがって、同じ表示色に対する両系の発光強度、すなわち入力信号強度を共通にすることができる。これは換言すれば、同じ入力を与えれば同じ色が表示される、という効果を奏するものである。
【0029】
このような条件は必須ではなく、X系とZ系の色再現に多少の誤差があっても実用に供することは充分可能であるし、あるいは各系のRGB特性にマトリクス補正を加えるなどして、色再現誤差を低減することも可能である。
【0030】
図4は、本実施の形態に係るCRTの基本構造を示しており、基本的な構造自体は一般的なCRTと同様である。すなわち、電子銃11のカソード12から発射された電子ビーム13は、グリッド14にて収束され、輝度変調された後に偏向ヨーク15で射出方向を制御されて蛍光面16に輝点を結ぶ。
【0031】
以下、図5及び図6により一般的なCRTと本実施の形態に係るCRTとの構造の違いについて説明する。
【0032】
図5(A)は、一般的なシャドウマスク型カラーCRTの電子銃21a〜21cと蛍光面22との対応関係の一例を示す。インライン状に配置された3つの電子銃21a〜21cからの電子ビーム23は、シャドウマスク24によって蛍光面22に形成された3原色のそれぞれ対応する蛍光体のみに選択的に到達する。図5(B)は、この蛍光面22に形成された3原色R,G,Bの各蛍光体の配列状態を例示したものである。
【0033】
図6(A)は本実施の形態に係るシャドウマスク型カラーCRTの電子銃11と蛍光面16との対応関係の一例を示す。ここで電子銃11は、従来のインライン状の3つの電子銃を2段重ねにした、いってみればデュアルインライン配置とでも呼称すべき配置構成を有している。
【0034】
その上列にはX系の電子銃11a〜11cが、下列にはZ系の電子銃11d〜11fが配され、シャドウマスク17によって蛍光面16に形成された2組の3原色、計6色の蛍光体のみに選択的に到達するように構成されている。図7(B)は、この蛍光面16に形成された6色の蛍光体RX,RZ,GX,GZ,BX,BZの配列状態を例示したものである。
【0035】
図7は、上記CRTディスプレイを用いてステレオ画像を表示する場合の具体的な方法を示したものである。
【0036】
図7(1)に示す左眼用のL画像にX系の3原色RX,GX,BXを用い、図7(2)に示す右眼用のR画像にZ系の3原色RZ,GZ,BZを用いて、図7(3)に示すように一つの画面上に同時に重畳表示する。
【0037】
この重畳表示されたステレオ画像は、L,R両画像ともにRGB3原色情報を有したもの、すなわちフルカラー画像であるが、上述したように、X系とZ系は分光分布の重なり(オーバーラップ)が充分小さい、実質的に互いに排他的な分光分布特性を有している。
【0038】
そのため、左眼レンズ用に上記X系の分光特性のみ透過可能な光学フィルタを配し、右眼レンズ用に上記Z系の分光特性のみ透過可能な光学フィルタを配した、後述する観察メガネを用いるものとすれば、L画像とR画像とをそれぞれ分離して左眼と右眼で観察することが可能となり、結果として立体画像を観察することができる。
【0039】
なお、上述した「実質的に互いに排他的な分光分布特性」とは、すなわち「フィルタによって実用上使用可能な分離度で互いを分離可能な程度に、分光分布の重なり(オーバーラップ)が充分小さいような分光分布特性」を意味するものである。
【0040】
次いで図8により上記図7で示したような立体画像表示を実現する、カラーCRTディスプレイの信号処理回路の構成を説明する。
【0041】
ここでは、例えばNTSCビデオ信号におけるフィールド順次ステレオ信号のような時分割入力信号がLR分離部31に与えられるものとする。
【0042】
LR分離部31は、内部にバッファメモリを有し、与えられた画像信号に対して水平/垂直各走査信号やLR識別信号など同期信号の分離を行ない、これに基づいて、順次与えられる時分割入力信号をバッファ内に設けられたLおよびRの各専用記憶領域に順次記憶(データ更新)することによってL画像信号とR画像信号とを分離同時化し、所定の1フィールド間隔時点毎にこれを同時に読出してそれぞれX系処理部32とZ系処理部33とに同時に送出する。
【0043】
X系処理部32は、与えられたL画像信号に対して必要に応じて通常のビデオ信号と同様に同期信号の分離や映像信号処理等の処理を施して表示装置を駆動するための各種信号を生成するもので、生成されたX系の各種信号が出力部34へ送られる。
【0044】
Z系処理部33もX系処理部32と同様の信号処理を行なうものであり、LR分離部31から与えられたR画像信号からZ系の各種信号を生成して出力部34へ送る。
【0045】
出力部34は、例えば上記カラーCRTディスプレイとその駆動回路とで構成されるもので、与えられるX系,Y系の各種信号により左眼用のカラー画像と右眼用のカラー画像とを上述した如く重畳表示する。
【0046】
なお、上述した本実施の形態に係るカラーCRTディスプレイでは、通常の構造のものと比較して、電子銃の数が増えると共に、2倍の垂直密度の画素が必要となるため、製造が難しくなる場合も有り得る。この問題に対する解決策として本実施の形態の変形例を示す。
【0047】
すなわち、一般的なCRTと同様に3つの電子銃を有する構造とし、蛍光面の各蛍光体には1走査ライン毎にX系蛍光体RX,GX,BXとZ系蛍光体RZ,GZ,BZとを交互に塗布しておく。
【0048】
そしてL,Rの各画像を1ラインおきにインターレース状態で出力して描画させるように構成する。このときL,Rの各モノキュラ画像の垂直解像度は全走査線数の1/2に低下するが、立体画像としては両画像を融合して観察するので、この解像度の低下は事実上問題にはならないものである。
【0049】
また、そのCRTがノンインターレース走査型であるか、あるいはインターレース走査型であってもフィールドレートが100[Hz]以上の高速走査型であれば、フリッカを生じることはなく、鑑賞者に画像のちらつきによる違和感を与えることはない。
【0050】
なお、一般的な3つの電子銃を有するカラーCRTを用い、液晶シャッタを組込んだ眼鏡装置を用いて立体画像を観察する時分割提示方式とは異なり、本実施の形態でのL画像とR画像との像の分離は、ディスプレイの蛍光面に塗布した蛍光体の発光スペクトラムに拠っているものであるから、残光性の高い蛍光体を使用するものとすれば、たとえ低速で走査するインターレース走査型のカラーCRTであっても、フリッカの発生を回避することが可能となる。
【0051】
(その他の実施の形態)
以下に説明する第2以降の各実施の形態に関して、表示、印刷で表わされるカラー画像の分光分布特性等については、基本的な原理等、上記第1の実施の形態と同様であるので、簡略的に説明するものとする。
【0052】
(第2の実施の形態)
本発明を発光ダイオード(LED)ディスプレイに適用した場合の第2の実施の形態について説明する。
【0053】
この場合、上記図4及び図6で示したカラーCRTディスプレイと同様に、従来は3原色RGBだけを使用していたLEDディスプレイで、上記図3に示したような分光分布特性を有するX系およびZ系それぞれの3原色RGB、都合6色のLEDを光源として置き換えた構成とすればよい。
【0054】
なお、通常のLEDディスプレイは、各画素に独立したLEDをアレイ状に配したLEDアレイディスプレイであって、この第2の実施の形態もそのようなものを仮定しているが、変形例として、例えば、カラーフィルタを用いない液晶表示パネルのような、透過型または反射型のモノクロ表示デバイスに、時分割で発光するカラー照明を組合わせたフィールドシーケンシャル方式とも呼称される面順次型のカラー表示装置であって、そのカラー照明用の光源としてLEDを拡散板を介して使用したものも考え得る。
【0055】
例えば、フィールドシーケンシャル方式の液晶表示パネルに光源としてのLEDを使用する場合、6種類のLEDを1サブフィールドに1種類ずつ
RX,RZ,GX,GZ,BX,BZ
の順序で点灯駆動し、且つ、例えばLEDとしてRXが点灯されているサブフィールド期間ではその点灯に同期させてモノクロの液晶表示パネルで左眼用のR成分の画像を表示させる、というように、6サブフィールドで1フィールドに相当する左右両眼用の画像を表示させることにより、結果として左右両眼用の画像を1枚の液晶表示パネルで重畳表示し得るものとなる。
【0056】
また、LEDディスプレイではないが、このようなフィールドシーケンシャル方式のカラー表示装置であって、そのカラー照明光源として上記第1の実施の形態と同様の蛍光体を複数の光源装置に対応させて配設したものも変形例として提示し得る。
【0057】
(第3の実施の形態)
以下本発明をカラー液晶ディスプレイに適用した場合の第3の実施の形態について説明する。
【0058】
この場合、一般的なカラー液晶表示パネルの場合、カラーコーディングは3原色RGBの点順次フィルタによって行なわれているから、これを上記図3で示したような分光透過特性を有したX系およびZ系それぞれの3原色RGB、都合6色で1画素を構成するようなカラーフィルタを有したものに置き換えればよい。
【0059】
(第4の実施の形態)
本発明をインクジェット式のプリンタに適用した場合を第4の実施の形態として図面を参照して説明する。
【0060】
インクジェット式のプリンタの場合、従来の着色は原理的には減法混色の3原色であるCy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(イェロー)の3つの補色インクを用いて行なわれる。
【0061】
なお、製品としてのプリンタでは、特にMgの理想特性との乖離が大きく、理想的なインクの特性が得られないことへの対策と、カラープリントだけではなく文書等の白黒プリントを行なう際の経済性を考慮して、第4色である黒(BK)のインクも使用されることが多いが、これは必須ではないから、本実施の形態に関しては、説明を簡略にして発明を明確化するために、発色特性の良好なCy,Mg,Yeの3つの補色インクを使用し、BKは使用しないものとする。
【0062】
図9は、一般的インクジェット式のプリンタで使用される3色インクの分光分布特性を模式するものである。これに対して図10は、本第4の実施の形態であるインクジェット式のプリンタに用いられる6種類のインクの分光分布特性の一例を示すものである。
【0063】
図10に示す6種類のインクは、減法混色の3原色である3つの補色Cy,Mg,Yeに対して2つずつ割り当てられて2組の3原色を構成している。それぞれの組をXおよびZで示すものとすると、
CyX,CyZ,MgX,MgZ,YeX,YeZ
となり、それら各色に対してピーク波長が2つずつ存在するが、補色であるために同じ組に関しては重複があるから、結局ピーク波長は、低周波側から順に
430[nm],470[nm],515[nm],555[nm],600[nm],640[nm]
の6つとなる。
【0064】
このインクジェット式のプリンタは、X系用の画像を印刷するために3つ、Z系用の画像を印刷するために3つの計6つのインクタンク及びこれらに対応したプリントヘッドを有しており、それぞれに上述の6色のインクが適用される。X系、Z系のそれぞれには、上述した図7及び図8と同様の方法でL画像、R画像が入力され、用紙に重畳印刷される。
【0065】
なお、従来の3原色のみに基づいたインクジェット式のプリンタでも、カラーインクとして6色を使用するものは存在しているから、そのインクタンクの搭載部にこの第4の実施の形態で説明した6色、すなわちCyX,CyZ,MgX,MgZ,YeX,YeZの各インクタンクを装着するものとし、さらに印刷制御系の回路を上記図8に対応した、左右両眼用の画像を重畳して印刷するものに変更すれば、比較的容易に本実施の形態を実現できる。
【0066】
なお、インクジェット式以外のプリンタ、例えば昇華型熱転写プリンタなどにも全く同様に適用できる。その場合、例えば従来使用していた3色のインクシートを上述した6色に変更すればよい。
【0067】
また、上記第4実施形態では3原色として反射媒体に適した減法混色のインク(色素)を使用したが、いわゆるスライド作成など透過型媒体に印画する場合など、目的によっては加法混色の3原色RGBのインク(色素)を用いても良い。
【0068】
(第5の実施の形態)
以下本発明を、上記第1乃至第4の実施の形態で説明したような表示画面または印刷物のステレオ画像を観察する観察メガネに適用した第5の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0069】
図12は、その観察メガネ41の外観構成を示すもので、ここでは一般的な近視、遠視、乱視等の視力矯正用のメガネと外観上はまったく同一の構成を有するものとして示している。
【0070】
しかして、観察メガネ41の左眼用のレンズには、L画像の分光分布特性に適応したX系フィルタ42を配し、一方、右眼用のレンズには、R画像の分光分布特性に適応したZ系フィルタ43を配している。
【0071】
図11は上記X系フィルタ42とZ系フィルタ43の分光分布特性を例示するものである。図11(1)に示すL画像=左眼用のX系フィルタ42と、図11(2)に示すR画像=右眼用のZ系フィルタ43は、共に等しい5つのカットオフ周波数
450[nm],492.5[nm],535[nm],597.5[nm],620[nm]
において急峻に変化する、いわゆるシャープカットバンドパス特性を有し、かつ互いに透過と遮断の周波数帯域が反転した関係になっている。
【0072】
そのため、上記第1内視第4の各実施の形態で説明した表示画面あるいは印刷物上に重畳表示(印刷)されているステレオ画像を観察すると、観察メガネ41の左眼用レンズのX系フィルタ42ではX系の3原色RX,GX,BX(またはCyX,MgX,YeX)のみ、右眼用レンズのZ系フィルタ43ではZ系の3原色RZ,GZ,BZ(またはCyZ,MgZ,YeZ)のみがそれぞれ透過する。したがって、L画像とR画像が分離され、左右各眼に個別に視認、観察される。
【0073】
なお、上記X系フィルタ42やZ系フィルタ43などの光学フィルタは、例えばガラスなどの透明部材に金属などの物質を多層薄膜コーティングすることによって製作することができる。
【0074】
また、本実施の形態では、観察メガネ41を単純に通常の視力矯正用のメガネと同一の構成であるものとして説明したが、その形状等は限定されるものではなく、例えば視力矯正用のメガネ使用の有無に関係なく装着可能なオーバーグラスタイプのものとしてもよいし、さらには視力矯正用のメガネの使用者に対して、該メガネの上部に重ねて装着するクリップオンタイプのものとすることも容易に考えられる。
【0075】
(第6の実施の形態)
以下本発明を、上記第4の実施の形態で説明したプリンタによって印刷された写真プリントなどの印刷物を収納し、必要に応じて持ち運ぶためのカードキャリアとしても機能するプリントホルダに適用した第6の実施の形態について図面を参照して説明する。
図13(A)は、そのようなプリントホルダ51の外観構成を示すもので、図13(B)は同図(A)のb−b線に沿った一部断面構造を示す。ここでは、1枚の印刷物52を若干の余裕を持って収納するべく、一対のシート53,54の周囲3方を貼着し袋状にして形成したものとする。
【0076】
ここで、シート53,54の少なくとも一方、例えばシート53は透明なフィルム状で構成されるものとし、印刷物52の印刷面をこのシート53に向けて挿入することで、印刷物52を汚すことなくその印刷内容を観賞することを可能としている。
【0077】
しかるにこの透明なシート53は、単なる透明部材ではなく、上記図12で示したX系フィルタ42またはZ系フィルタ43と同等の透過分光分布特性を有しているものとする。
【0078】
したがって、L画像とR画像とが重畳印刷された印刷物52を挿入した場合には、L画像またはR画像のみが選択的に観察できることになり、本来であれば左右の画像が重畳して印刷されているために不自然に「ぶれた」画像となっているステレオ写真などを意識することなく、あたかも通常の単眼視の印刷物のように取り扱うことが可能となる。
【0079】
なお、本実施の形態の変形例として、例えば複数枚数の写真プリントを収納可能な写真アルバムにおいて、その観察面の保護シートをX系フィルタ42またはZ系フィルタ43と同等の透過分光分布特性を有した部材で構成するものも考えられる。この変形例においても、上記図13に示したものと同様の効果を奏することが可能となる。
【0080】
上記第1乃至第6の実施の形態によれば、フルカラーでステレオ画像を観察することができ、従来の赤青分離方式のアナグリフのような色再現性において異常な感覚を生じることがない。
【0081】
また、偏光メガネ方式のステレオ画像の鑑賞方法などのように、偏光を利用していないので、例えば液晶表示パネルのように、他の目的で偏光を使用している構造のものにも適用できる。
【0082】
さらに、CRTディスプレイや液晶表示パネル、LEDディスプレイ等の光像を直接出力する表示装置のみならず、印刷物においてもステレオ画像を(広義の意味で)「表示」することが可能となる。
【0083】
加えて、上記直接裸眼で視認した場合には左右両眼の画像が重畳されているために不自然に「ぶれた」画像となっている印刷物であっても、上記第6の実施の形態で示したようなプリントホルダやアルバムを利用することによって、通常の単眼視の画像と同等に取り扱うことが可能となる。
【0084】
なお、上記各実施の形態においては、左右両眼用の2つの画像を重畳した画像を表示または印刷し、これを観察するものとして説明したが、分光分布特性における波長の設定を適切に設定すれば、3つ以上の系の画像を重畳して表示させるものにも拡張することが可能となる。
【0085】
これは、ステレオ画像への応用以外にも、例えば一連の動作を連続的に示す分解写真など、複数の画像を重畳表示しつつ単独の画像の観察も必要になるような用途や、ある出来事の原因と過程、及び結果など、画像としては全く内容の異なる複数の画像を1つの印刷物に重畳する用途など、アイデア次第で任意の用途に適用することが可能となる。
【0086】
その他、本発明は上記実施の形態に限らず、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能であるものとする。
【0087】
さらに、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の基本概念を説明するための、一般的なカラーCRTディスプレイの蛍光体の分光分布特性を示す図。
【図2】本発明の基本概念を説明するための、一般的な3波長型蛍光灯の蛍光体の分光分布特性を示す図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るカラーCRTディスプレイの蛍光体の分光分布特性を示す図。
【図4】同実施の形態に係るカラーCRTディスプレイの構造を示す図。
【図5】一般的なシャドウマスク型カラーCRTの電子銃と蛍光体との対応関係の一例を示す図。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るシャドウマスク型カラーCRTの電子銃と蛍光体との対応関係の一例を示す図。
【図7】同実施の形態に係る左眼用画像と右眼用画像の重畳表示方法を示す図。
【図8】同実施の形態に係る信号処理系統の構成を例示するブロック図。
【図9】一般的なインクジェット式のプリンタで使用されるカラーインクの分光分布特性を示す図。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係るインクジェット式のプリンタで使用されるカラーインクの分光分布特性を示す図。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る観察メガネに使用する各光学フィルタの分光分布特性を示す図。
【図12】同実施の形態に係る観察メガネの外観構成を示す図。
【図13】本発明の第6の実施の形態に係るプリントホルダの構成を示す図。
【符号の説明】
【0089】
11…電子銃、12…カソード、13…電子ビーム、14…グリッド、15…偏向ヨーク、16…蛍光面、17…シャドウマスク、21a〜21c…電子銃、22…蛍光面、23…電子ビーム、24…シャドウマスク、31…LR分離部、32…X系処理部、33…Z系処理部、34…出力部、41…観察メガネ、42…X系フィルタ、43…Z系フィルタ、51…プリントホルダ、52…印刷物、53…(透明)シート、54…シート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成して1つのカラー画像を表示するための複数色として、第1の複数色と、この第1の複数色とは実質的に互いに排他的な分光分布特性を有した第2の複数色とを使用し、第1の画像を上記第1の複数色により、第2の画像を上記第2の複数色により同一の表示媒体上に重畳表示した表示画面を観察する画像観察方法であって、
上記表示画面に当接される位置の少なくとも一部に、上記第1及び第2の複数色のうちの一方のみを選択的に透過する波長選択性光学フィルタを配設することにより、上記表示画面上の第1及び第2の画像のうちの一方のみを選択的に観察し得るようにしたことを特徴とする画像観察方法。
【請求項2】
上記第1、第2の各画像は、それぞれ立体画像を構成する左右各眼用の単眼視画像であることを特徴とする請求項1記載の画像観察方法。
【請求項3】
複数色として、第1の3原色と、この第1の3原色と実質的に互いに排他的な分光分布特性を有した第2の3原色とを少なくとも使用し、第1の画像を上記第1の3原色を発色するインクにより、第2の画像を上記第2の3原色を発色するインクにより同一の表示媒体である同一の印刷面に重畳印刷した印刷物を収納する印刷物収納用具であって、
上記印刷物を収納した状態で重畳印刷面に当接される位置の少なくとも一部に、上記第1及び第2の3原色のうちの一方のみを選択的に透過する波長選択性光学フィルタ材を配設したことを特徴とする印刷物収納用具。
【請求項4】
上記第1、第2の各画像は、それぞれ立体画像を構成する左右各眼用の単眼視画像であることを特徴とする請求項3記載の印刷物収納用具。
【請求項1】
合成して1つのカラー画像を表示するための複数色として、第1の複数色と、この第1の複数色とは実質的に互いに排他的な分光分布特性を有した第2の複数色とを使用し、第1の画像を上記第1の複数色により、第2の画像を上記第2の複数色により同一の表示媒体上に重畳表示した表示画面を観察する画像観察方法であって、
上記表示画面に当接される位置の少なくとも一部に、上記第1及び第2の複数色のうちの一方のみを選択的に透過する波長選択性光学フィルタを配設することにより、上記表示画面上の第1及び第2の画像のうちの一方のみを選択的に観察し得るようにしたことを特徴とする画像観察方法。
【請求項2】
上記第1、第2の各画像は、それぞれ立体画像を構成する左右各眼用の単眼視画像であることを特徴とする請求項1記載の画像観察方法。
【請求項3】
複数色として、第1の3原色と、この第1の3原色と実質的に互いに排他的な分光分布特性を有した第2の3原色とを少なくとも使用し、第1の画像を上記第1の3原色を発色するインクにより、第2の画像を上記第2の3原色を発色するインクにより同一の表示媒体である同一の印刷面に重畳印刷した印刷物を収納する印刷物収納用具であって、
上記印刷物を収納した状態で重畳印刷面に当接される位置の少なくとも一部に、上記第1及び第2の3原色のうちの一方のみを選択的に透過する波長選択性光学フィルタ材を配設したことを特徴とする印刷物収納用具。
【請求項4】
上記第1、第2の各画像は、それぞれ立体画像を構成する左右各眼用の単眼視画像であることを特徴とする請求項3記載の印刷物収納用具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−300658(P2007−300658A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157827(P2007−157827)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【分割の表示】特願2002−64136(P2002−64136)の分割
【原出願日】平成14年3月8日(2002.3.8)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【分割の表示】特願2002−64136(P2002−64136)の分割
【原出願日】平成14年3月8日(2002.3.8)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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