説明

画像記録システム及び画像記録方法

【課題】 透明インクを用いて視覚的効果に優れた任意の画像を記録することのできる画像記録システム及び画像記録方法を提供する。
【解決手段】 複数の刷版用データに基づいてカラーインク用の画像データを生成するとともに、複数の刷版用データのうちいずれか一の刷版用データを透明インク用のデータとして割り付け、透明インク用の画像データを生成する画像処理装置1と、記録媒体P上にカラーインクを吐出するカラーインク用記録ヘッド20と透明インクを吐出する透明インク用記録ヘッド21とを備える画像記録装置2とを備え、画像記録装置2は、画像処理装置1によって生成された各画像データに基づいて各インクを吐出するようにカラーインク用記録ヘッド20及び透明インク用記録ヘッド21を制御する制御部23を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録システム及び画像記録方法に係り、特に、カラーインクの他に透明インクを用いて画像記録を行う画像記録システム及び画像記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、グラビア印刷方式やフレキソ印刷方式などの製版を必要とする方式に比較して、簡便にかつ安価に画像を形成することができるという理由から、インクジェット方式の画像記録装置が多く用いられるようになってきている。
【0003】
しかしながら、一般に、インクジェット方式によって記録された画像は、画像の表面がざらつき光沢感がなく、画像表面の耐侯性、耐傷性にも欠ける。
【0004】
さらに近時は、様々な記録媒体に対応可能な画像記録装置として、光硬化型インクを用いたインクジェット方式の画像記録装置が知られている。これは、紫外線等の光に対して所定の感度を有する光開始剤が含有された光硬化型インクを用い、記録媒体上に着弾したインクに光を照射することで、インクを硬化させ記録媒体上に定着させるものである。このような光硬化型インクを用いたインクジェット方式の画像記録装置は、インク着弾後、光を照射することによりインクが瞬時に硬化するため、普通紙はもとより、インク受像層を持たずインク吸収性の全くないプラスチックや金属等の記録媒体に対しても画像記録を行うことが可能である。
【0005】
このように光硬化型インクを用いてインク受像層を持たない記録媒体に画像記録を行う場合には、インクが記録媒体に吸収されず、インク着弾部分が記録媒体表面に隆起した状態で、光の照射により硬化定着するため、記録媒体表面に不規則な凹凸が生じて画質が低下する。特に、顔料インクを用いた場合には、記録媒体表面に生ずる凹凸が顕著となるうえ、画像中の濃淡差による光沢感の違いから、画質の違和感を発生させる。
【0006】
このため、画像記録を行った後に後処理として画像記録面にラミネート加工を施すことが行われている。このようなラミネート加工技術としては、例えば、記録媒体にラミネート紙を張り合わせて圧着させることにより画像記録面をコーティングする技術や(例えば、特許文献1参照)、記録媒体の画像記録面に予めラミネート材を塗布しておき、画像記録後に加熱、加圧処理を行うことによってラミネート材を溶融させ表面にコーティングを施す技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、最近では、カラーインクによる画像記録を行った後に透明インクを吐出させることにより、カラーインクによって画像が記録された記録媒体をコーティングしてラミネート加工を施したのと同様の効果を得ようとする技術が提案されている。
【特許文献1】特公平2−14912号公報
【特許文献2】特開平9−70960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年、スクリーン印刷等においては、画像記録後に、記録画像の一部の領域にだけ透明のニス等を塗布することにより、記録された画像を立体的に見せる等の視覚的効果を得られるようにして、記録画像に付加価値を付ける画像記録技術が知られている。
【0009】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されているようなラミネート加工を施す技術によっては、画像の記録された記録媒体の全面にコーティングを施すことができるのみであり、画像のある部分だけを選んでコーティングしたり、画像の一部にのみコーティングを施したりすることはできない。また、従来提案されている透明インクを用いた画像記録の場合においても記録媒体全面に透明インクを吐出させることができるのみであり、ラミネート加工を施す場合と同様、任意の部分にのみ透明インクを吐出させる等のユーザーの要望に従った画像記録を行うことはできないという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は以上のような課題を解決すべくなされたものであり、透明インクを用いて視覚的効果に優れた任意の画像を記録することのできる画像記録システム及び画像記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明による画像記録システムは、複数の刷版用データに基づいてカラーインク用の画像データを生成するとともに、複数の前記刷版用データのうちいずれか一の前記刷版用データを透明インク用のデータとして割り付け、透明インク用の画像データを生成する画像処理装置と、
記録媒体上に前記カラーインクを吐出するカラーインク用記録ヘッドと前記透明インクを吐出する透明インク用記録ヘッドとを備える画像記録装置とを備え、
前記画像記録装置は、前記画像処理装置によって生成された前記各画像データに基づいて各インクを吐出するように前記カラーインク用記録ヘッド及び前記透明インク用記録ヘッドを制御する制御部を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、DTP装置等によって生成された複数の刷版用データに基づいて画像処理装置がカラーインク用の画像データと透明インク用の画像データとを生成し、画像記録装置は、画像処理装置によって生成された各画像データに基づいてカラーインク用記録ヘッド及び透明インク用記録ヘッドから各色のインクを吐出させ、画像記録を行うようになっている。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像記録システムにおいて、前記透明インク用の画像データは、2値の画像データであることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、画像処理装置は、DTP装置等によって生成された刷版用データに基づき、透明インク用の画像データとして2値の画像データを生成するようになっている。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像記録システムにおいて、前記画像記録装置は、前記2値の画像データのうちいずれの値のときに前記透明インク用記録ヘッドから前記透明インクを吐出するかを設定するインク吐出設定手段を備え、前記制御部は、前記インク吐出設定手段によって設定された結果に基づいて前記透明インクを吐出させるように前記透明インク用記録ヘッドを制御することを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、画像記録装置は、インク吐出設定手段によって透明インク用の2値の画像データのうちいずれの値のときに透明インクを吐出するかを設定し、この設定結果に基づいて透明インク用記録ヘッドから透明インクを吐出させるようになっている。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の画像記録システムにおいて、前記透明インク用記録ヘッドは、透明度の異なる2種類の前記透明インクを吐出する記録ヘッドであり、前記2値の画像データのうちいずれの値のときにいずれの透明度の前記透明インクを吐出するかを設定するインク選択設定手段を備え、前記制御部は、前記インク選択設定手段によって設定された結果に基づいて前記各透明インクを吐出させるように前記透明インク用記録ヘッドを制御することを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、画像記録装置は、透明度の異なる2種類の透明インクを吐出する透明インク用記録ヘッドを備えており、画像記録装置は、インク選択設定手段により透明インク用の2値の画像データのうちいずれの値のときにいずれの透明度の透明インクを吐出するかを設定し、この設定結果に基づいて透明インク用記録ヘッドから各透明インクを吐出させるようになっている。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像記録システムにおいて、前記カラーインク及び前記透明インクは、光を照射することによって硬化する光硬化型インクであり、前記カラーインク用記録ヘッド及び前記透明インク用記録ヘッドより吐出され前記記録媒体に着弾した前記各インクに対して光を照射する光照射装置を設けたことを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、記録媒体上に着弾したカラーインク及び透明インクに対して光が照射されることにより各インクが硬化定着し、所定の画像が形成されるようになっている。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像記録システムにおいて、前記カラーインク及び前記透明インクは、紫外線を照射することによって硬化する紫外線硬化型インクであり、前記光照射装置から照射される光のうち少なくとも一部は紫外線であることを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、記録媒体上に着弾したカラーインク及び透明インクに対して紫外線が照射されることにより各インクが硬化定着し、所定の画像が形成されるようになっている。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の画像記録システムにおいて、前記各インクは、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクであることを特徴とする。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合系のカラーインク及び透明インクを用いて画像記録を行うようになっている。
【0025】
請求項8に記載の画像記録方法は、複数の刷版用データに基づいてカラーインク用の画像データを生成するとともに、複数の前記刷版用データのうちいずれか一の前記刷版用データを透明インク用のデータとして割り付け、前記透明インク用の画像データを生成する画像データ生成工程と、
前記各画像データに基づいて、前記カラーインクを吐出するカラーインク用記録ヘッドと前記透明インクを吐出する透明インク用記録ヘッドとから前記各インクを吐出することにより画像を記録する画像記録工程とを備えたことを特徴とする。
【0026】
請求項8に記載の発明によれば、DTP装置等によって生成された複数の刷版用データに基づいて画像処理装置がカラーインク用の画像データと透明インク用の2値のビットマップ形式の画像データとを生成し、画像記録装置は、画像処理装置によって生成された各画像データに基づいてカラーインク用記録ヘッド及び透明インク用記録ヘッドから各色のインクを吐出させ、画像記録を行うようになっている。
【0027】
請求項9に記載の画像記録方法は、請求項8に記載の画像記録方法において、前記画像データ生成工程は、前記透明インク用の画像データとして2値の画像データを生成することを特徴とする。
【0028】
請求項9に記載の発明によれば、画像データ生成工程において、DTP装置等によって生成された刷版用データに基づき、透明インク用の画像データとして2値の画像データを生成するようになっている。
【0029】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像記録方法において、前記2値の画像データのうちいずれの値のときに前記透明インク用記録ヘッドから前記透明インクを吐出するかを設定するインク吐出設定工程を備え、
前記画像記録工程は、前記インク吐出設定工程において設定された結果に従って行われることを特徴とする。
【0030】
請求項10に記載の発明によれば、インク吐出設定工程において透明インク用の2値の画像データのうちいずれの値のときに透明インクを吐出するかを設定し、この設定結果に基づいて透明インク用記録ヘッドから透明インクを吐出させるようになっている。
【0031】
請求項11に記載の発明は、請求項9に記載の画像記録方法において、前記透明インクによる画像記録工程は、透明度の異なる2種類の前記透明インクによって行われ、
前記2値の画像データのうちいずれの値のときにいずれの透明度の前記透明インクを吐出するかを選択するインク選択工程を備えるとともに、
前記画像記録工程は、前記インク選択工程において選択された結果に従って行われることを特徴とする。
【0032】
請求項11に記載の発明によれば、画像記録装置が透明度の異なる2種類の透明インクを吐出する透明インク用記録ヘッドを備える場合に、インク選択工程において透明インク用の2値の画像データのうちいずれの値のときにいずれの透明度の透明インクを吐出するかを設定するとともに、この設定結果に基づいて透明インク用記録ヘッドから各透明インクを吐出させるようになっている。
【発明の効果】
【0033】
請求項1に記載の発明によれば、カラーインク用の画像データとは別に、透明インク独自の画像データを生成し、これに基づいて画像記録を行うので、カラーインクによって描かれた画像の任意の一部分だけを選んで透明インクによりコーティングしたり、カラーインクによって描かれた画像の上に透明インクにより所定のパターンの画像を記録することができる。したがって、スクリーン印刷等において行なわれているように、記録画像の一部の領域にだけ透明のコーティングを施して記録された画像を立体的に見せるような優れた視覚的効果を得られる画像記録を行う等、ユーザの要望に応じた種々の画像記録を行うことができるという効果を奏する。
【0034】
請求項2に記載の発明によれば、透明インク用の画像データは2値の画像データであるため、透明インク用の画像データを独立したデータとして持っていてもデータ量がそれほど多くならず、データの転送及び出力を円滑に行うことができる。これにより、画像記録装置のメモリや処理能力を上げることなく透明インクを用いた種々の画像記録を行うことができるという効果を奏する。
【0035】
請求項3に記載の発明によれば、透明インク用の画像データに基づいて透明インクを吐出させる領域と吐出させない領域とを区別し、透明インクによる画像記録を行うことができるので、カラーインクによって描かれた画像の任意の一部分だけを選んで透明インクによりコーティングしたり、カラーインクによって描かれた画像の上に透明インクにより所定のパターンの画像を記録することができる。したがって、スクリーン印刷等において行なわれているように、記録画像の一部の領域にだけ透明のコーティングを施して記録された画像を立体的に見せるような視覚的効果を得られる画像記録を行う等、ユーザの要望に応じた種々の画像記録を行うことができるという効果を奏する。
【0036】
また、透明インク用の画像データは2値の画像データであるため、透明インクを吐出させる部分と吐出させない部分とを逆にしたい場合に、新たに画像データを生成しなくても透明インクを吐出させる部分と吐出させない部分の設定を反転させることによって容易に切り替えることができる。これにより、画像記録におけるユーザの選択の幅を広げ、より自由度の高い画像記録を行うことが可能となるという効果を奏する。
【0037】
請求項4に記載の発明によれば、透明度の異なる2種類の透明インクを用いて画像記録を行う場合に、透明インク用の画像データに基づいていずれの透明度の透明インクを吐出させるかを設定し、2種類の透明インクによる画像記録を行うことができるので、画像の任意の一部分をグロス調にコーティングし、他の部分をマット調にコーティングするというように透明インクを用いて様々なパターンの画像記録を行うことができる。したがって、ユーザの要望に応じて、優れた視覚的効果を得られる種々の画像記録を行うことができるという効果を奏する。
【0038】
また、透明インク用の画像データは2値の画像データであるため、透明度の異なる2種類の透明インクを用いて画像記録を行う際に、吐出させる透明インクの種類を逆にしたい場合、新たに画像データを生成しなくても2種類の透明インクそれぞれを吐出させる部分の設定を反転させることによって容易に切り替えることができる。これにより、画像記録におけるユーザの選択の幅を広げ、より自由度の高い画像記録を行うことが可能となるという効果を奏する。
【0039】
請求項5に記載の発明によれば、光硬化型インクを用いて画像記録を行った場合、インク吐出後に所定の光を照射することによりインクが硬化するので、長期間にわたって記録画像の画質を維持することができる。さらに、光硬化インクを画像記録に用いることにより、紙などのインク吸収性のよい記録媒体のみならず、樹脂フィルム等のインク吸収性の低い記録媒体、あるいはインク吸収性のない記録媒体に対しても高精細な画像記録を行うことができる。そして、このようなインクを用いて画像記録を行った場合に、カラーインクによって描かれた画像の任意の一部分だけを選んで透明インクによりコーティングしたり、カラーインクによって描かれた画像の上に透明インクにより所定のパターンの画像を記録することができ、ユーザの要望に応じて、優れた視覚的効果を得られる種々の画像記録を行うことができるという効果を奏する。
【0040】
請求項6に記載の発明によれば、紫外線硬化型インクを用いて画像記録を行った場合、インク吐出後に紫外線を照射することによりインクが硬化するので、長期間にわたって記録画像の画質を維持することができる。さらに、紫外線硬化型インクを画像記録に用いることにより、紙などのインク吸収性のよい記録媒体のみならず、樹脂フィルム等のインク吸収性の低い記録媒体、あるいはインク吸収性のない記録媒体に対しても高精細な画像記録を行うことができる。そして、このようなインクを用いて画像記録を行った場合に、カラーインクによって描かれた画像の任意の一部分だけを選んで透明インクによりコーティングしたり、カラーインクによって描かれた画像の上に透明インクにより所定のパターンの画像を記録することができ、ユーザの要望に応じて、優れた視覚的効果を得られる種々の画像記録を行うことができるという効果を奏する。
【0041】
請求項7に記載の発明によれば、カチオン重合系インクはラジカル重合系インクと異なりその重合反応が空気中の酸素に阻害され難いため、短時間で硬化し、また硬化のために高出力の光源を必要としない。このため、大型の光源を搭載する必要がなく装置の小型化、軽量化を図ることができるとともに、コスト的にも安価になる。そして、このようなインクを用いて画像記録を行った場合にも、カラーインクによって描かれた画像の任意の一部分だけを選んで透明インクによりコーティングしたり、カラーインクによって描かれた画像の上に透明インクにより所定のパターンの画像を記録することができ、ユーザの要望に応じて、優れた視覚的効果を得られる種々の画像記録を行うことができるという効果を奏する。
【0042】
請求項8に記載の発明によれば、カラーインク用の画像データとは別に、透明インク独自の画像データを生成し、これに基づいて画像記録を行うので、カラーインクによって描かれた画像の任意の一部分だけを選んで透明インクによりコーティングしたり、カラーインクによって描かれた画像の上に透明インクにより所定のパターンの画像を記録することができる。したがって、スクリーン印刷等において行なわれているように、記録画像の一部の領域にだけ透明のコーティングを施して記録された画像を立体的に見せるような視覚的効果を得られる画像記録を行う等、ユーザの要望に応じた種々の画像記録を行うことができるという効果を奏する。
【0043】
請求項9に記載の発明によれば、透明インク用の画像データは2値の画像データであるため、透明インク用の画像データを独立したデータとして持っていてもデータ量がそれほど多くならず、データの転送及び出力を円滑に行うことができる。これにより、画像記録装置のメモリや処理能力を上げることなく透明インクを用いた種々の画像記録を行うことができるという効果を奏する。
【0044】
請求項10に記載の発明によれば、透明インク用の画像データに基づいて透明インクを吐出させる領域と吐出させない領域とを区別し、透明インクによる画像記録を行うことができるので、カラーインクによって描かれた画像の任意の一部分だけを選んで透明インクによりコーティングしたり、カラーインクによって描かれた画像の上に透明インクにより所定のパターンの画像を記録することができる。したがって、スクリーン印刷等において行なわれているように、記録画像の一部の領域にだけ透明のコーティングを施して記録された画像を立体的に見せるような視覚的効果を得られる画像記録を行う等、ユーザの要望に応じた種々の画像記録を行うことができるという効果を奏する。
【0045】
また、透明インク用の画像データは2値の画像データであるため、透明インクを吐出させる部分と吐出させない部分とを逆にしたい場合に、新たに画像データを生成しなくても透明インクを吐出させる部分と吐出させない部分の設定を反転させることによって容易に切り替えることができる。これにより、画像記録におけるユーザの選択の幅を広げ、より自由度の高い画像記録を行うことが可能となるという効果を奏する。
【0046】
請求項11に記載の発明によれば、透明度の異なる2種類の透明インクを用いて画像記録を行う場合に、透明インク用の画像データに基づいていずれの透明度の透明インクを吐出させるかを設定し、2種類の透明インクによる画像記録を行うことができるので、画像の任意の一部分をグロス調にコーティングし、他の部分をマット調にコーティングするというように透明インクを用いて様々なパターンの画像記録を行うことができる。したがって、ユーザの要望に応じて、優れた視覚的効果を得られる種々の画像記録を行うことができるという効果を奏する。
【0047】
また、透明インク用の画像データは2値の画像データであるため、透明度の異なる2種類の透明インクを用いて画像記録を行う際に、吐出させる透明インクの種類を逆にしたい場合、新たに画像データを生成しなくても2種類の透明インクそれぞれを吐出させる部分の設定を反転させることによって容易に切り替えることができる。これにより、画像記録におけるユーザの選択の幅を広げ、より自由度の高い画像記録を行うことが可能となるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明に係る画像記録システムの第一の実施形態を、図1及び図2を参照しつつ説明する。
【0049】
本実施形態において、画像記録システムは、例えば、図1に示すように、画像データを生成する画像処理装置1と、画像処理装置1から送られた画像データに基づき記録媒体Pに対して画像記録を行う画像記録装置2とを備えている。画像処理装置1は、原稿等の文字の入力やイラスト等の画像の制作、組版を行い刷版用データを生成するデスクトップパブリッシング装置3(以下「DTP装置」と称する。)によって生成された刷版用データを取得し、これに基づいて画像データを生成するようになっている。DTP装置3、画像処理装置1及び画像記録装置2は、それぞれ、インターフェース(以下「I/F」と称する。)を介して接続されており、相互間でデータの送受信が可能となっている。なお、各装置1,2,3の接続は、例えばUSB(Universal Serial Bus)、SCSI(Small Computer System Interface)等によることができるが、接続の規格及び方式はここに例示したものに限定されない。
【0050】
前述のように、本実施形態における画像処理装置1は、DTP装置3によって生成された刷版用データを取得し、これに基づいて画像データを生成するものである。DTP装置3は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、各種の処理プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)、各種データ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、外部記憶装置等(いずれも図示せず)を備えている。また、DTP装置3は、キーボードや操作パネル、マウス等からなる入力操作部(図示せず)を有しており、ユーザが入力操作部を操作することによって画像の入力や各種処理の選択、設定等を行うことができるようになっている。また、DTP装置は、入力操作部によって入力された画像又は図示しないスキャナ等によって読み込まれた画像や各種の処理メニュー等を表示する表示部(図示せず)を備えている。ユーザは、キーボードやマウス等の入力操作部を操作することによって表示部に表示される各種処理メニュー等を選択、設定することができるようになっている。
【0051】
DTP装置3には、例えば、原稿等の文字の入力やイラスト等の画像の制作、組版を行うための画像編集アプリケーションが予めインストールされてハードディスク等の外部記憶装置に格納されている。なお、画像編集アプリケーションは、予めDTP装置3にインストールされているものに限定されない。例えば、画像編集アプリケーションが格納されているCD−ROM等をCD−ROMドライブ等から挿入して読み込むようにしてもよい。CPUは、この画像編集アプリケーションをRAMの所定の作業領域に展開することにより、以下の処理を行うようになっている。なお、DTP装置3は、例えばWindows(登録商標)、UNIX(登録商標)、MacOS等の基本OS(Operating System)の下で動作するパーソナルコンピュータであり、前記画像編集アプリケーションは、基本OSの下で機能する応用ソフトである。
【0052】
ユーザが入力操作部を操作することによって選択された画像やスキャナ等によって読み込まれた画像について、例えば、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)からなるフルカラーの元画像データをDTP装置3が取得すると、DTP装置3のCPUは画像編集アプリケーションを読み出してRAMに展開し、この元画像データを構成する例えばRGB表色系の色データを、画像記録で用いる顔料系のインクの色セット(本実施形態においては、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)。)に対応した色成分を含んだKCMYの各色毎の刷版用データに変換する。なお、KCMYの各色に加えてライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、ライトイエロー(LY)を画像記録に用いることも可能であり、この場合には、これら各色のカラーインクに対応してそれぞれ刷版用データを生成するようになっている。
【0053】
さらに、本実施形態においては、各カラーインクに対応した各色毎の刷版用データとは別に特色の刷版用データを生成するようになっている。
【0054】
なお、このようにして生成される各色毎の刷版用データ及び特色の刷版用データは、例えば、ページ記述言語であるPS(Post Script)によって記述されたPSデータ形式のものである。
【0055】
ここで、特色の刷版用データとしては、例えば、以下のようなパターンがあり、ユーザは、画像編集アプリケーションを展開し、表示部に所定の画像編集画面を表示させて、この画像編集画面上でキーボード操作、又はマウスによるポイント選択操作等を行うことにより任意に特色の刷版用データのパターンを選択することができるようになっている。すなわち、特色の刷版用データとしては、文字データ等の特定のデータからなる部分とそれ以外の部分とを区別するパターン、前記画像編集画面上等で、ユーザ等が任意に選択、設定した範囲内とそれ以外の部分とを区別するパターン、カラーインクによって画像記録を行う部分とカラーインクによって画像記録が行われない部分とを区別するパターン、特定の色のカラーインクによって画像記録が行われる部分とそれ以外の部分とを区別するパターン、画像記録面全体について斜め方向、水平方向、又は垂直方向にストライプをかけるパターン、前記ストライプを組み合わせて網目状とするパターン等、1又は複数のパターンが用意されており、ユーザは任意にこれらのパターンを選択することによって特色の刷版用データが生成されるようになっている。なお、ここに示した特色の刷版用データのパターンは例示であり、他のパターンを選択できるようにしてもよい。また、これらのパターンを各種組み合わせたものを選択でき、任意に組み合わされたパターンの特色の刷版用データが生成されるようにしてもよい。また、記録画像全面に透明インクを吐出させる又は記録画像全面に透明インクを吐出させないような画像パターンを選択することができるようにしてもよい。
【0056】
DTP装置3は、入力操作部によって入力された画像又は図示しないスキャナ等によって読み込まれた画像の元画像データ及び入力操作部から入力された情報に基づいてKCMYの各色毎の刷版用データと特色の刷版用データとを生成すると、I/F4を介してこれらの刷版用データを画像処理装置1に送るようになっている。なお、画像処理装置1に刷版用データを送る際には、各刷版用データを個別に分けて送るようにしてもよいし、KCMYの各色毎の刷版用データ及び特色の刷版用データ全てをまとめて送るようにしてもよい。例えば、画像処理装置1のメモリ容量が大きい場合には刷版用データ全てをまとめて送るようにし、画像処理装置1のメモリ容量が小さい場合には刷版用データ全てを個別に分けて送るようにする等、画像処理装置1のメモリ容量や処理形態等に応じて刷版用データの送り方を切り替えるようにしてもよい。
【0057】
次に、画像処理装置1は、例えば、CPU5、各種の処理プログラム等を格納するROM6、各種データ等を一時記憶するRAM7等からなる制御部8を備えるパーソナルコンピュータであり、CPU5は、ROM6に格納されている所定のプログラムを読み出してRAM7の作業領域に展開し、当該プログラムに従って各種処理を実行するようになっている。さらに、画像処理装置1は、CD−ROMやその他の不揮発性メモリによって構成され(いずれも図示せず)各種のデータやプログラムを格納する外部記憶装置9、DTP装置3や画像記録装置2等の外部機器と接続するためのI/F10を備えている。
【0058】
また、画像処理装置1は、キーボードや操作パネル、マウス等からなる入力操作部11を有しており、ユーザが入力操作部11を操作することによって画像の入力や各種処理の選択、設定等を行うことができるようになっている。また、画像処理装置1は、入力操作部11によって選択され又は入力された画像、スキャナ等によって読み込まれた画像等の他、各種の処理メニュー等を表示する表示部12を備えている。ユーザは、キーボードやマウス等の入力操作部11を操作することによって表示部12に表示される各種処理メニュー等の選択、設定等を行うことができるようになっている。
【0059】
これらCPU5、ROM6、RAM7、外部記憶装置9、入力操作部11、表示部12、及びI/F10等の各部は、例えば、図示しないバスによって接続されており、CPU5は、これら画像処理装置1の各部を総括的に制御するようになっている。
【0060】
画像処理装置1は、例えば、RAM7等に、前記DTP装置3等から送られた刷版用データを記憶するようになっており、CPU5は、PSデータである刷版用データを画像として画像記録装置2から出力させることのできるビットマップ形式の画像データに変換するようになっている。すなわち、DTP装置3から送られた各色毎の刷版用データのうち、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の刷版用データについて、各カラーインク用の画像として画像記録装置2から出力させることのできるビットマップデータに変換し、各カラーインク用の画像データを生成するようになっている。さらに、本実施形態においては、DTP装置3から特色の刷版用データとして送られたデータを透明インク用の画像データとして割り付け、透明インク用の2値のビットマップ形式の画像データを生成するようになっている。
【0061】
すなわち、透明インク用の画像データは、透明インクを吐出させる画素と吐出させない画素とを「1」と「0」の値によって区別することにより透明インクによって描かれる画像パターンを表したものであり、CPU5は、RAM7に格納された刷版用データのうち、特色の刷版用データを透明インク用の画像データとし、例えば、DTP装置3からPSデータ形式で送られた特色の刷版用データ上の画像パターンを「1」と「0」の値によって区別することにより2値のビットマップデータに変換する。透明インク用の画像データは、画像データの「1」と「0」のうちいずれの値の画素に透明インクを吐出させるかを設定することによりDTP装置3において生成された特色の刷版用データ上の画像パターンが透明インクによって描かれるようになっている。
【0062】
次に、本実施の形態における画像記録装置2は、図2に示すように、シリアルプリント方式による画像記録装置2であり、この画像記録装置2には、平板状に形成され記録媒体Pを非記録面から支持するプラテン14が設けられている。
【0063】
プラテン14の上方には、プラテン14の長手方向に延在する棒状のガイドレール15が設けられている。このガイドレール15には、キャリッジ16が支持されており、キャリッジ16はキャリッジ駆動機構17(図1参照)によりガイドレール15に沿って主走査方向Xに往復移動自在となっている。
【0064】
また、画像記録装置2には、複数の搬送ローラ18等により構成され、主走査方向Xと直交する副走査方向Yに記録媒体Pを送るための記録媒体搬送機構19(図1参照)が設けられている。記録媒体搬送機構19は、搬送ローラ18を回転させることによって、画像記録時において、キャリッジ16の動作に合わせて記録媒体Pの搬送と停止とを繰り返し、記録媒体Pを副走査方向Yの上流側から下流側に間欠的に搬送するようになっている。
【0065】
図2に示すように、キャリッジ16には、本実施形態における画像記録装置2で使用される各色(ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)。)のカラーインクを記録媒体Pに吐出するノズル(図示せず)を形成してなるカラーインク用記録ヘッド20が副走査方向Yに沿って2つずつ、主走査方向Xに互いにずれて搭載されている。なお、画像記録装置2で使用されるインクはこれに限定されず、例えば、ライトイエロー(LY)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)等の各色のインクを使用することもできる。この場合には、各色に対応したカラーインク用記録ヘッドがキャリッジに搭載される。
【0066】
また、カラーインク用記録ヘッド20の副走査方向Yの下流側であって、各カラーインク用記録ヘッド20に対応する位置には、透明インク(T)を吐出するノズル(図示せず)を形成してなる透明インク用記録ヘッド21が搭載されている。
【0067】
キャリッジ16の主走査方向Xにおける両側部には、ノズルから記録媒体Pに吐出されたインクに対して紫外線を照射する光照射装置としての紫外線照射装置22が、カラーインク用記録ヘッド20及び透明インク用記録ヘッド21における副走査方向Yの上流側端部から下流側端部にわたってそれぞれ設けられている。
【0068】
紫外線照射装置22は、記録媒体Pの上に吐出され着弾したインクを硬化定着させる光として紫外線を照射する紫外線光源(図示せず)を有している。この紫外線光源としては、例えば高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、半導体レーザー、冷陰極管、エキシマーランプ、又はLED(Light Emitting Diode)等を適用することが可能である。
【0069】
本実施形態に用いられるインクは、光としての紫外線が照射されることにより硬化する性質を具備する光硬化型インクであり、主成分として、少なくとも重合性化合物(公知の重合性化合物を含む。)と、光開始剤と、色材とを含むものである。上記光硬化型インクは、重合性化合物としてラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるが、この両系のインクが本実施形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能である。また、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施形態に用いられるインクとして適用してもよい。しかしながら、酸素による重合反応の阻害作用が少ない又は無いカチオン重合系インクの方が機能性、汎用性に優れるため、特に、カチオン重合系インクを用いることが好ましい。カチオン重合系インクは、少なくともオキセタン化合物,エポキシ化合物,ビニルエーテル化合物等のカチオン重合性化合物と、光カチオン開始剤と、色材とを含む混合物である。
【0070】
また、記録媒体Pとしては、普通紙、再生紙、光沢紙等の各種紙、各種布地、各種不織布、樹脂、金属、ガラス等の種々の材質からなる記録媒体Pが適用可能である。また、記録媒体Pの形態としては、ロール状、カットシート状、板状等の各種形態が適用可能である。
【0071】
また、画像記録装置2には、画像記録装置2の各部を制御するための制御部23が設けられており、この制御部23は、例えば、各種の処理を行うCPU24、各種の処理プログラム等を格納するROM25、所定の作業領域を備えるとともに画像データ等を一時記憶するRAM26等を備えている。制御部23は、ROM25等に記録された処理プログラムをRAM26の作業領域に展開してCPU24によりこの処理プログラムを実行するようになっている。
【0072】
また、制御部23には、I/F27を介して画像処理装置1から画像データが送られるようになっており、前記画像処理装置1から送られたカラーインクの画像データ及び透明インクの画像データはRAM26に格納されるようになっている。
【0073】
また、画像記録装置2には、例えばキーボードや操作パネルにより構成され、透明インクを吐出させるか否かを設定するインク吐出設定手段としての入力操作部28が設けられている。ユーザは、入力操作部28を操作することにより、例えば、透明インク用の画像データ中の「1」と「0」のうち、いずれの値に対応する画素に透明インクを吐出させるかを選択し設定することができるようになっており、入力操作部28から入力された情報は、制御部23に送られるようになっている。
【0074】
例えば、透明インク用の画像データが、カラーインクを吐出する領域とほぼ等しい領域に対応する画素を「1」とし、これ以外の領域に対応する画素を「0」で表すものである場合、ユーザが、「1」の値に対応する部分に透明インクを吐出させ、「0」の値に対応する部分に透明インクを吐出させないように入力操作部28から選択、設定すると、図3(a)に示すように、カラーインクを吐出する領域とほぼ等しい領域にのみカラーインクで描かれた画像をコーティングするように透明インクが吐出され、それ以外の部分には透明インクが吐出されない。これに対して、ユーザが、「0」の値に対応する部分に透明インクを吐出させ、「1」の値に対応する部分に透明インクを吐出させないように入力操作部28から選択、設定すると、図3(b)に示すように、カラーインクを吐出する領域とほぼ等しい領域以外の部分にのみ透明インクが吐出される。
【0075】
なお、入力操作部28の構成は、ここに例示したものに限定されない。また、入力操作部28から入力できる情報はここに例示したものに限定されず、各種の画像記録条件等を設定することができるようにしてもよい。また、画像記録装置2に各種の操作状況や画像データ等を表示することのできる表示部(図示せず)を設けて、この表示部に透明インク用の画像データ、又は透明インク用の画像データとカラーインク用の画像データ全てを印刷イメージとして表示させ、ユーザが表示部に表示された印刷イメージを確認しながら入力操作部28を操作することにより透明インク用の画像データ中の「1」と「0」のうち、いずれの値のときに透明インクを吐出させるか等を設定することができるようにしてもよい。
【0076】
また、制御部23は、画像処理装置1から送られてきた画像データ及び入力操作部28から入力された情報等に基づいてカラーインク用記録ヘッド20及び透明インク用記録ヘッド21を動作させる。これにより、各記録ヘッド20,21から所定量のインクが吐出され、記録媒体P上に所定の画像が記録されるようになっている。
【0077】
さらに、制御部23は、キャリッジ駆動機構17を制御してキャリッジ16をガイドレール15に沿って主走査方向Xに往復移動させるとともに、キャリッジ16の動作に合わせて記録媒体Pを副走査方向Yに搬送させるように、記録媒体搬送機構19の動作を制御するようになっている。
【0078】
また、制御部23は、紫外線光源から紫外線を照射させるように紫外線照射装置22を制御するようになっている。
【0079】
次に、本実施形態における画像記録方法について説明する。
【0080】
DTP装置3から各色毎の刷版用データ及び特色の刷版用データが送られると、画像処理装置1のCPU5は、ROM6又は外部記憶装置9に格納されている画像処理プログラムを読み出してRAM7の作業領域に展開し、このプログラムにしたがってPSデータである各色毎の刷版用データ及び特色の刷版用データをビットマップ形式のカラーインク用の画像データ、透明インク用の画像データにそれぞれ変換する。
【0081】
画像処理装置1によってカラーインク用の画像データ、透明インク用の画像データが生成されると、生成されたこれらの画像データのうち、透明インク用の画像データのみに当該画像データが透明インク用のものであることを示す識別情報が付加され、この透明インク用の画像データを含めた全ての画像データがI/F10,27を介して、順次画像記録装置2に送られる。
【0082】
なお、例えば、画像処理装置1に、画像データを圧縮処理するデータ圧縮手段(図示せず)を設けて、画像データを送る際には、各画像データに圧縮処理等を施すようにしてもよい。さらに、画像処理装置1に、生成された画像データを一時的に保存するスプーラ(図示せず)を備えて、生成された画像データを一旦スプーラに保存した後、画像記録装置2の処理能力、出力能力等に応じて画像データを順次画像記録装置2に送るようにしてもよい。
【0083】
I/F10,27を介して画像処理装置1から送られた各画像データは、画像記録装置2のRAM26に格納される。
【0084】
画像記録装置2による画像記録動作を開始する場合には、まず、ユーザは、インク吐出決定手段としての入力操作部28を操作することにより、透明インク用の画像データについて、画像データの「1」と「0」のいずれの値に対応する部分に透明インクを吐出させるかを選択し入力する。入力操作部28からの入力信号は制御部23に送られる。
【0085】
透明インク用の画像データについて、画像データの「1」と「0」のいずれの値に対応する部分に透明インクを吐出させるかが選択され、画像記録を開始する準備が整備されると、制御部23は、紫外線照射装置22の紫外線光源を点灯させる。また、制御部23が記録媒体搬送機構19を制御することにより記録媒体Pが順次副走査方向Yの上流側から下流側に間欠搬送される。さらに、制御部23がキャリッジ駆動機構17を制御することによりキャリッジ16を記録媒体Pの上を主走査方向Xに沿って往復移動させるとともに、制御部23は各記録ヘッド20,21を制御することにより所定量のインクを所定の画素に吐出させる。記録媒体P上に吐出されたインクに紫外線照射装置22から紫外線が照射されることによりインクが硬化定着し、記録媒体P上に画像が記録される。
【0086】
以上より、本実施形態によれば、カラーインクによって描かれた画像の任意の一部分だけを選んで透明インクによりコーティングしたり、カラーインクによって描かれた画像の上に透明インクにより所定のパターンの画像を記録することができる。したがって、スクリーン印刷等において行なわれているように、記録画像の一部の領域にだけ透明のコーティングを施して記録された画像を立体的に見せるような視覚的効果を得られる画像記録を行う等、ユーザの要望に応じた種々の画像記録を行うことが可能となる。
【0087】
また、透明インク用の画像データは2値の画像データであるため、透明インクを吐出させる部分と吐出させない部分とを逆にしたい場合に、新たに画像データを生成しなくても透明インクを吐出させる部分と吐出させない部分の設定を反転させることによって容易に切り替えることができる。これにより、画像記録におけるユーザの選択の幅を広げ、より自由度の高い画像記録を行うことが可能となる。
【0088】
なお、本実施形態においては、画像処理装置1の側で生成される透明インクの画像データは、透明インクを吐出させる画素と吐出させない画素とを「1」と「0」の値によって区別するのみとし、「1」と「0」のいずれの値のときに透明インクを吐出するかは画像記録装置2の側で選択、設定するようにしたが、画像処理装置1の側で生成される透明インクの画像データはここに例示したものに限定されない。例えば、「1」の値の画素には透明インクを吐出し、「0」の値の画素には吐出しないというように「1」と「0」の値をそれぞれ透明インクの吐出、不吐出と対応付けた画像データを画像処理装置1の側で生成するようにしてもよい。また、この場合には、画像記録装置2の入力操作部28を操作することによって、画像処理装置1の側で設定された「1」と「0」の値と透明インクの吐出、不吐出との対応付けを反転させる設定を行うことができるようにしてもよい。
【0089】
なお、本実施形態においては、DTP装置3、画像処理装置1、画像記録装置2がそれぞれ一台ずつ接続されている場合を想定して説明したが、DTP装置3、画像処理装置1、画像記録装置2は、それぞれ複数接続されていてもよい。例えば、一台の画像記録装置2に対して複数の画像処理装置1が対応付けられる場合や、一台の画像処理装置1に対して複数のDTP装置3が対応付けられる場合には、例えば、ネットワークを通じてそれぞれの装置1,2,3が接続されるようにしてもよい。なお、このように複数の装置1,2,3が接続される場合には、各装置1,2,3は互いにケーブル等で直接接続されていてもよいし、プリンタサーバ等のネットワークアダプタ等を介して接続されていてもよい。また、イーサネット(Ethernet;登録商標)等の回線によって接続されるようにしてもよい。
【0090】
また、本実施形態においては、DTP装置3と画像処理装置1とはそれぞれ別個のパーソナルコンピュータによって構成されているものとしたが、DTP装置3と画像処理装置1との構成はこれに限定されず、例えば、DTP装置3と画像処理装置1とが1台のパーソナルコンピュータで構成されていてもよい。
【0091】
また、本実施形態では、画像処理装置1を画像記録装置2とは別個に設けるものとしたが、画像処理装置1は画像記録装置2に内蔵されていてもよい。
【0092】
また、本実施形態では、画像処理装置1のCPU5は、PSデータである刷版用データをビットマップ形式の画像データに変換するようにしたが、CPU5によって変換されるデータ形式はこれに限定されず、画像として画像記録装置2から出力させることのできるデータ形式であればいかなる形式であってもよい。
【0093】
また、本実施形態においては、各色のカラーインクを吐出するカラーインク用記録ヘッド20を副走査方向Yに沿って2つずつ配置するとともに、透明インク用記録ヘッド21を各カラーインク用記録ヘッド20の副走査方向Yの下流側であって各カラーインク用記録ヘッド20に対応する位置に1ずつ配設するようにしたが、各記録ヘッド20,21の配設位置や個数はこれに限定されるものではなく、例えば、透明インク用記録ヘッドを各カラーインク用記録ヘッドの副走査方向の下流側であって各カラーインク用記録ヘッドに対応する位置に、副走査方向に沿って2つずつ、主走査方向に互いにずらしてキャリッジに搭載させるようにしてもよい。
【0094】
さらに、例えば、カラーインク用記録ヘッドの主走査方向における両側部に、主走査方向に互いにずらし副走査方向に沿って2つの透明インク用記録ヘッドをそれぞれ搭載させるとようにしてもよい。なお、この場合、透明インクは、カラーインク用記録ヘッドよりもキャリッジの移動方向の下流側に位置する透明インク用記録ヘッドのみから吐出させるようにする。これによりカラーインクによって記録された画像を透明インクによってコーティングすることができる。
【0095】
また、図4に示すように、キャリッジ16が往方向Zに移動しているときのみ各カラーインク用記録ヘッド40及び透明インク用記録ヘッド41からインクの吐出を行うようにするとともに、各カラーインク用記録ヘッドの往方向Zにおける下流側側部に、4つの透明インク用記録ヘッドを主走査方向Xに互いにずらし副走査方向Yに沿って2ずつ搭載させるようにしてもよい。なお、この場合には、紫外線照射装置42をキャリッジ16の往方向Zにおける下流側のみに設ける構成とすることができる。なお、この場合でも、紫外線照射装置42は、キャリッジ16の往方向Zにおける下流側及び上流側の両方に設けるようにしてもよい。
【0096】
また、本実施形態において画像記録装置1は、キャリッジ16に搭載された記録ヘッド20,21を主走査方向Xに往復移動させるとともに、記録媒体Pを副走査方向Yに搬送させながら、各記録ヘッド20,21からインクを吐出させて、画像を形成するシリアルプリント方式の画像記録装置1としたが、プリンタ本体に固定された各記録ヘッドからインクを吐出させるとともに、記録媒体を搬送させながら、画像を形成するラインプリント方式の画像記録装置としてもよい。
【0097】
また、本実施形態では、紫外線を照射することにより硬化するインクを用いて画像記録を行うものとしたが、インクは必ずしもこれには限定されず、例えば、紫外線、電子線、X線、可視光線、赤外線等の電磁波といった紫外線以外の光を照射することにより硬化するインクであってもよい。この場合、インクには、紫外線以外の光で重合して硬化する重合性化合物と、紫外線以外の光で重合性化合物同士の重合反応を開始させる光開始剤とが適用される。また、紫外線以外の光で硬化する光硬化型のインクを用いる場合は、紫外線光源に代えて、その光を照射する光源を適用する。さらに、光を照射することなく硬化するインクを適用してもよい。
【0098】
その他、本発明が上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
【0099】
次に、本発明に係る画像記録システム及び画像記録方法の第二の実施形態について説明する。なお、第二の実施形態は、画像処理装置の画像データの生成に関する制御構成を異にするものであるので、以下においては、特に第一の実施形態と異なる点について説明する。
【0100】
本実施形態において、DTP装置は、第一実施形態と同様の入力操作部及び制御部を備えており、例えば、ユーザが入力操作部を操作することによって選択された画像や、スキャナ等によって読み込まれた画像のRGB表色系の色データに基づいて、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)。)に対応した色成分を含んだKCMYの各色毎のPSデータである刷版用データを生成するようになっている。
【0101】
また、DTP装置は、第一実施形態同様、I/Fを介して画像処理装置と接続されており、生成した各色毎の刷版用データをI/Fを介して画像処理装置に送るようになっている。
【0102】
画像処理装置は、第一実施形態と同様に、例えば、CPU、各種の処理プログラム等を格納するROM、各種データ等を一時記憶するRAM等(いずれも図示せず)からなる制御部を備えるパーソナルコンピュータである。
【0103】
また、画像処理装置は、ユーザが画像の入力や各種処理の選択、設定等を行うことのできるキーボードや操作パネル、マウス等からなる入力操作部(図示せず)を備えている。特に、本実施形態に置いては、入力操作部は、インク吐出設定手段として、例えば、DTP装置から送られた各色毎の刷版用データのうちのいずれかの色の刷版用データを透明インク用の刷版用データとして割り付けるように選択し入力することができるようになっている。ユーザは、入力操作部を操作することにより、KCMYの各色のうち任意の色を透明インクに変更するように選択し入力することができ、このような入力がされたときは、選択された色の刷版用データが透明インク用の刷版用データとして割り付けられるようになっている。
【0104】
また、画像処理装置は、入力操作部によって選択され又は入力された画像、スキャナ等によって読み込まれた画像等の他、各種の処理メニュー等を表示する表示部を備えている。ユーザは、キーボードやマウス等の入力操作部を操作することによって表示部に表示される各種処理メニュー等を選択することができるようになっている。
【0105】
画像処理装置のCPUは、DTP装置から送られた各色毎の刷版用データに基づいて、PSデータである刷版用データを画像として画像記録装置から出力させることのできるビットマップ形式の画像データに変換するようになっている。すなわち、CPUは、DTP装置から送られた各色毎の刷版用データのうち、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の刷版用データについて、各カラーインク用の画像として画像記録装置から出力させることのできるビットマップデータに変換し、各カラーインク用の画像データを生成するようになっている。
【0106】
この際、前述のように、ユーザが任意の色の刷版用データを透明インク用の刷版用データに割り付けるように選択した場合には、CPUは、選択された色の刷版用データに基づいて透明インク用の2値のビットマップ形式の画像データを生成するようになっている。すなわち、CPUは、RAMに格納された刷版用データのうち、選択された色の刷版用データについては透明インク用の画像データとし、「1」と「0」の値によって表される2値の画像データに変換する。
【0107】
本実施形態において、画像記録システムを構成する画像記録装置の構成については、第一の実施形態と同一であるため、その説明を省略する。
【0108】
なお、その他の構成は、第一実施形態のものと同様であるので、その説明を省略する。
【0109】
次に、本実施形態における画像記録方法について説明する。
【0110】
DTP装置から画像処理装置にPSデータである刷版用データが送られると、画像処理装置のCPUは、各色毎の刷版用データに基づいて、ビットマップ形式の画像データを生成する。この際、ユーザが、任意の色の刷版用データを透明インク用の刷版用データに割り付けるように入力操作部から選択し入力した場合には、CPUは、選択された色の刷版用データに基づいて透明インク用の画像データとして2値のビットマップ形式の画像データを生成する。
【0111】
画像処理装置によって生成された画像データのうち、透明インク用の画像データのみに当該画像データが透明インク用のものであることを示す識別情報が付加され、この透明インク用の画像データを含めた全ての画像データがI/Fを介して画像記録装置に送られる。画像記録装置に画像データが送られると、ユーザは、画像記録装置の入力操作部を操作することによって、透明インク用の画像データ中の「1」と「0」のうち、いずれの値に対応する画素に透明インクを吐出させるかを選択し設定する。その後、画像記録装置は、この画像データ及び入力操作部から入力された情報に基づいて各カラーインク用記録ヘッド及び透明インク用記録ヘッドから各色のインクを吐出させ、記録媒体上に吐出されたインクに紫外線照射装置から紫外線が照射されることによりインクが硬化定着し、記録媒体上に画像が記録される。
【0112】
以上のように、本実施形態によれば、DTP装置によって生成された各色毎の刷版用データのうちの任意の色の刷版用データを透明インク用の刷版用データとして割り付け透明インク用の画像データを生成するので、特色用の刷版用データを別途生成することなく透明インクを用いた画像記録を行うことができ、画像データ量を少なく抑えながら画像の任意の一部分だけを選んで透明インクによりコーティングしたり、カラーインクによって描かれた画像の上に透明インクにより所定のパターンの画像を記録することができる。したがって、透明インクを用いてユーザの要望に応じた種々の画像記録を行うことが可能となる。
【0113】
また、透明インク用の画像データは2値の画像データであるため、透明インクを吐出させる部分と吐出させない部分とを逆にしたい場合に、新たに画像データを生成しなくても透明インクを吐出させる部分と吐出させない部分の設定を反転させることによって容易に切り替えることができる。これにより、画像記録におけるユーザの選択の幅を広げ、より自由度の高い画像記録を行うことが可能となる。
【0114】
なお、本発明が本実施の形態に限られないことは、第一の実施形態と同様である。
【0115】
次に、図5を参照しつつ、本発明に係る画像記録システムの第三の実施形態について説明する。なお、第三の実施形態は、画像記録装置の透明インク用記録ヘッドの構成等について第一の実施形態及び第二の実施形態と異なるものであるので、以下においては、特に第一の実施形態及び第二の実施形態と異なる点について説明する。
【0116】
本実施形態においては、第一の実施形態と同様に、DTP装置によって画像記録装置の各色のカラーインクに対応した各色毎の刷版用データ及び特色の刷版用データが生成され、DTP装置によって生成された各刷版用データが画像処理装置に送られるようになっている。
【0117】
また、画像処理装置は、第一の実施形態と同様に、DTP装置から送られた各刷版用データに基づいて、ビットマップ形式の画像データを生成する。このとき、各色毎の刷版用データについては各色に対応するカラーインク用の画像データが生成され、特色の刷版用データについては透明インク用の画像データとして割り付けられ、画素ごとに「1」と「0」の値で表された2値のビットマップデータが生成されるようになっている。
【0118】
画像処理装置によって生成された画像データのうち、透明インク用の画像データのみに当該画像データが透明インク用のものであることを示す識別情報が付加され、この透明インク用の画像データを含めた全ての画像データがI/Fを介して画像記録装置に送られるようになっている。
【0119】
次に、図5に示すように、本実施形態において、画像記録装置のキャリッジ16には、本実施形態における画像記録装置で使用される各色(ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)。)各色のカラーインクを記録媒体Pに吐出するカラーインク用記録ヘッド50が副走査方向Yに沿って2つずつ、主走査方向Xに互いにずれて搭載されている。
【0120】
また、キャリッジ16の上において両端部に位置するカラーインク用記録ヘッド50の主走査方向Xの下流側であって、各カラーインク用記録ヘッド50に対応する位置には、グロス調の透明インク(GT)を吐出するグロス透明インク用記録ヘッド51が搭載されている。また、キャリッジ16の上において中央部に位置するカラーインク用記録ヘッド50の主走査方向Xの下流側であって、各カラーインク用記録ヘッド50に対応する位置には、マット調の透明インク(MT)を吐出するマット透明インク用記録ヘッド52が搭載されている。ここで、グロス調の透明インクとマット調の透明インクとは、例えば、インクの透明度が異なっており、画像記録を行った場合に、記録画像の表面の質感や光沢感の仕上がりが異なるものである。なお、グロス透明インク用記録ヘッド51及びマット透明インク用記録ヘッド52の配置は、ここに例示したものに限定されず、各透明インク用記録ヘッド51,52がカラーインク用記録ヘッド50の主走査方向Xの下流側であって、各カラーインク用記録ヘッド50に対応する位置に交互に配置されるようにしてもよい。
【0121】
キャリッジ16の主走査方向Xにおける両側部には、各記録ヘッド50,51,52から記録媒体に吐出されたインクに対して紫外線を照射する光照射装置としての紫外線照射装置22が、カラーインク用記録ヘッド50及び各透明インク用記録ヘッド51,52における副走査方向Yの上流側端部から下流側端部にわたってそれぞれ設けられている。
【0122】
画像記録装置は、例えばキーボードや操作パネルにより構成され、前記2値の画像データのうちいずれの値のときにグロス調、マット調いずれの透明度の前記透明インクを吐出するかを設定するインク選択設定手段としての入力操作部(図示せず)を備えている。ユーザは、入力操作部を操作することにより、例えば、透明インク用の画像データ中の「1」と「0」のうち、いずれの値に対応する画素にグロス調の透明インクを吐出させ、いずれの値に対応する画素にマット調の透明インクを吐出させるかを選択し設定することができるようになっている。
【0123】
例えば、透明インク用の画像データが、カラーインクを吐出する領域とほぼ等しい領域に対応する画素を「1」とし、これ以外の領域に対応する画素を「0」で表すものである場合、ユーザが、「1」の値に対応する部分にグロス調の透明インクを吐出させ、「0」の値に対応する部分にマット調の透明インクを吐出させるように入力操作部から選択、設定すると、図6に示すように、カラーインクを吐出する領域とほぼ等しい領域にカラーインクで描かれた画像をコーティングするようにグロス調の透明インクが吐出され、それ以外の部分には斜線で示したようにマット調の透明インクが吐出される。
【0124】
なお、その他の構成は、第一実施形態のものと同様であるので、同一個所には同一符号を付してその説明を省略する。
【0125】
次に、本実施形態における画像記録方法について説明する。
【0126】
DTP装置から画像処理装置にPSデータである刷版用データが送られると、画像処理装置のCPUは、各色毎の刷版用データ及び特色の刷版用データに基づいて、ビットマップ形式のカラーインク用の画像データ及び透明インク用の画像データを生成する。
【0127】
画像処理装置によって生成された画像データのうち、透明インク用の画像データのみに当該画像データが透明インク用のものであることを示す識別情報が付加され、この透明インク用の画像データを含めた全ての画像データがI/Fを介して画像記録装置に送られる。
【0128】
画像記録装置に画像データが送られると、ユーザは、画像記録装置の入力操作部を操作することによって、透明インク用の画像データ中の「1」と「0」のうち、いずれの値に対応する画素にグロス調の透明インクを吐出させ、いずれの値に対応する画素にマット調の透明インクを吐出させるかを選択し設定する。その後、画像記録装置は、この画像データ及び入力操作部から入力された情報に基づいて各カラーインク用記録ヘッド50及び各透明インク用記録ヘッド51,52から各色のインクを吐出させ、記録媒体P上に吐出されたインクに紫外線照射装置22から紫外線が照射されることによりインクが硬化定着し、記録媒体P上に画像が記録される。
【0129】
以上のように、本実施形態によれば、カラーインクによって描かれた画像の任意の一部分だけを選んでグロス調又はマット調の透明インクによりコーティングしたり、カラーインクによって描かれた画像の上に各種の透明インクにより所定のパターンの画像を記録することができる。したがって、スクリーン印刷等において行なわれているように、記録画像の一部の領域にだけ透明のコーティングを施して記録された画像を立体的に見せたり、グロス調、マット調の2種類の透明インクを用いることにより画像の質感を部分的に変化させたりするような優れた視覚的効果を得られる画像記録等、ユーザの要望に応じた種々の画像記録を行うことが可能となる。
【0130】
また、透明インク用の画像データは2値の画像データであるため、グロス調とマット調という透明度の異なる2種類の透明インクを用いて画像記録を行う際に、吐出させる透明インクの種類を逆にしたい場合、新たに画像データを生成しなくても2種類の透明インクそれぞれを吐出させる部分の設定を反転させることによって容易に切り替えることができる。これにより、画像記録におけるユーザの選択の幅を広げ、より自由度の高い画像記録を行うことが可能となる。
【0131】
なお、各記録ヘッド50,51,52の配置は、ここに例示したものに限定されない。例えば、図7に示すように、各カラーインク用記録ヘッドの往方向Zにおける下流側側部に、グロス透明インク用記録ヘッド61及びマット透明インク用記録ヘッド62をそれぞれ主走査方向Xに互いにずらし副走査方向Yに沿って2つずつ搭載し、キャリッジ16が往方向Zに移動しているときのみ各カラーインク用記録ヘッド60、グロス透明インク用記録ヘッド61及びマット透明インク用記録ヘッド62からインクの吐出を行うようにしてもよい。なお、この場合には、紫外線照射装置22をキャリッジ16の往方向Zにおける下流側のみに設ける構成とすることができる。なお、この場合でも、紫外線照射装置22は、キャリッジ16の往方向Zにおける下流側及び上流側の両方に設けるようにしてもよい。
【0132】
また、本実施形態においても、第二の実施形態に示したように、DTP装置において特色の刷版用データを生成せずに、画像処理装置において各色毎の刷版用データのうちのいずれか一つを透明インク用の画像データとして割り付けるようにしてもよい。
【0133】
また、本発明が本実施の形態に限られないことは、第一の実施形態及び第二の実施形態と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明に係る画像記録システムの構成の概略を示した要部ブロック図である。
【図2】本発明に係る画像記録システム及び画像記録方法に適用される画像記録装置の第一の実施形態の構成を示す要部上面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る画像記録システム及び画像記録方法を用いて画像記録を行った場合の記録画像の断面図である。図3(a)はカラーインクを吐出する領域とほぼ等しい範囲の画素に透明インクを吐出させた場合の記録画像の断面図であり、図3(b)はカラーインクを吐出する領域以外とほぼ等しい範囲の画素に透明インクを吐出させた場合の記録画像の断面図である。
【図4】図2に示す画像記録装置のカラーインク用記録ヘッド及び透明インク用記録ヘッドの配置の一変形例の構成を示す要部上面図である。
【図5】本発明に係る画像記録システム及び画像記録方法に適用される画像記録装置の第三の実施形態の構成を示す要部上面図である。
【図6】本発明の第三の実施形態に係る画像記録システム及び画像記録方法を用いて画像記録を行った場合の記録画像の断面図である。
【図7】図5に示す画像記録装置のカラーインク用記録ヘッド及び透明インク用記録ヘッドの配置の一変形例の構成を示す要部上面図である。
【符号の説明】
【0135】
1 画像処理装置
2 画像記録装置
3 DTP装置
5 CPU
8 制御部
11 入力操作部
12 表示部
20 カラーインク用記録ヘッド
21 透明インク用記録ヘッド
23 制御部
24 CPU
28 入力操作部
51 グロス透明インク用記録ヘッド
52 マット透明インク用記録ヘッド
P 記録媒体
X 主走査方向
Y 副走査方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の刷版用データに基づいてカラーインク用の画像データを生成するとともに、複数の前記刷版用データのうちいずれか一の前記刷版用データを透明インク用のデータとして割り付け、透明インク用の画像データを生成する画像処理装置と、
記録媒体上に前記カラーインクを吐出するカラーインク用記録ヘッドと前記透明インクを吐出する透明インク用記録ヘッドとを備える画像記録装置とを備え、
前記画像記録装置は、前記画像処理装置によって生成された前記各画像データに基づいて各インクを吐出するように前記カラーインク用記録ヘッド及び前記透明インク用記録ヘッドを制御する制御部を備えたことを特徴とする画像記録システム。
【請求項2】
前記透明インク用の画像データは、2値の画像データであることを特徴とする請求項1に記載の画像記録システム。
【請求項3】
前記画像記録装置は、前記2値の画像データのうちいずれの値のときに前記透明インク用記録ヘッドから前記透明インクを吐出するかを設定するインク吐出設定手段を備え、前記制御部は、前記インク吐出設定手段によって設定された結果に基づいて前記透明インクを吐出させるように前記透明インク用記録ヘッドを制御することを特徴とする請求項2に記載の画像記録システム。
【請求項4】
前記透明インク用記録ヘッドは、透明度の異なる2種類の前記透明インクを吐出する記録ヘッドであり、前記2値の画像データのうちいずれの値のときにいずれの透明度の前記透明インクを吐出するかを設定するインク選択設定手段を備え、前記制御部は、前記インク選択設定手段によって設定された結果に基づいて前記各透明インクを吐出させるように前記透明インク用記録ヘッドを制御することを特徴とする請求項2に記載の画像記録システム。
【請求項5】
前記カラーインク及び前記透明インクは、光を照射することによって硬化する光硬化型インクであり、前記カラーインク用記録ヘッド及び前記透明インク用記録ヘッドより吐出され前記記録媒体に着弾した前記各インクに対して光を照射する光照射装置を設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像記録システム。
【請求項6】
前記カラーインク及び前記透明インクは、紫外線を照射することによって硬化する紫外線硬化型インクであり、前記光照射装置から照射される光のうち少なくとも一部は紫外線であることを特徴とする請求項5に記載の画像記録システム。
【請求項7】
前記各インクは、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の画像記録システム。
【請求項8】
複数の刷版用データに基づいてカラーインク用の画像データを生成するとともに、複数の前記刷版用データのうちいずれか一の前記刷版用データを透明インク用のデータとして割り付け、前記透明インク用の画像データを生成する画像データ生成工程と、
前記各画像データに基づいて、前記カラーインクを吐出するカラーインク用記録ヘッドと前記透明インクを吐出する透明インク用記録ヘッドとから前記各インクを吐出することにより画像を記録する画像記録工程とを備えることを特徴とする画像記録方法。
【請求項9】
前記画像データ生成工程は、前記透明インク用の画像データとして2値の画像データを生成することを特徴とする請求項8に記載の画像記録方法。
【請求項10】
前記2値の画像データのうちいずれの値のときに前記透明インク用記録ヘッドから前記透明インクを吐出するかを設定するインク吐出設定工程を備え、
前記画像記録工程は、前記インク吐出設定工程において設定された結果に従って行われることを特徴とする請求項9に記載の画像記録方法。
【請求項11】
前記透明インクによる画像記録工程は、透明度の異なる2種類の前記透明インクによって行われ、
前記2値の画像データのうちいずれの値のときにいずれの透明度の前記透明インクを吐出するかを選択するインク選択工程を備えるとともに、
前記画像記録工程は、前記インク選択工程において選択された結果に従って行われることを特徴とする請求項9に記載の画像記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−88529(P2006−88529A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277044(P2004−277044)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】