説明

画像記録用液体カートリッジ及び画像形成装置

【課題】封止部の開口面積が大きく、所定の強度を保持すると共に、特にガスが発生し易い尿素を含有する液組成が収容されている場合に、高温環境又は長期保存等による経時での変形が抑制された画像形成用液体カートリッジを提供する。
【解決手段】キャップ部に設けられ、キャップ部の口部を封止する封止膜138と、当該封止膜138の中心部に形成され、封止膜138を穿孔する穿孔具が当たる当り部140と、当り部140から封止膜138の外周部まで伸び、封止膜138より薄肉の第1破断部144と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体容器に画像記録用液体が収容された画像記録用液体カートリッジ及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク等の印刷用の液体を液滴として吐出する記録ヘッドを用いた液滴吐出記録方式の画像形成装置が知られている。
【0003】
このような液滴吐出記録方式の画像形成装置には、記録ヘッドや当該記録ヘッドに連通するメインタンクに、印刷用液体容器から液体を供給するものがある。
【0004】
例えば、液体容器の口部を封止する封止部を穿孔具で穿孔し、該液体容器から記録ヘッドにインクを供給するインク供給装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、封止部を薄膜とし、且つ封止部にインク穴を設け、穿孔具で薄膜を伸ばし、インク穴を大きく拡大することにより封止部を穿孔し、口部からインクを流出させている。
【0005】
また、液体容器の口部を閉塞する封止部において、穿孔具の先端が最初に当接する位置に十字状又は放射状の細溝を形成して、封止部をスムーズに穿孔し、かつ封止部の破損形状を所定の形に揃えることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
一方、樹脂成分や着色剤として顔料を用いたインクは、インク中の溶媒成分が蒸発して固化すると、固化したまま再溶解し難いため、インクを吐出するインクジェットヘッドのノズル先端部等にインクが堆積し、インクの不吐出や吐出方向曲がりを招来する一因となる。そして、ヘッド周りのメンテナンス時には、ワイピング等では付着インクを容易に除去することが困難となりメンテナンス性も損なわれる。このようなワイピング等によるインクの除去を容易にする方法の1つとして、インクに保湿剤や湿潤剤を含有する技術が知られており、該保湿剤等の例として尿素が知られている。例えば、ノズル近傍でインク組成物が乾燥固化したときの拭き取り性を改善するため、湿潤剤として尿素を含有したインク組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−290717号公報
【特許文献2】特開2007−38537号公報
【特許文献3】特開2009−221253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の液体容器では、穿孔具で薄膜を伸ばしてインク穴を拡大する方式であるか、又は穿孔具の先端が最初に当接する位置にのみ細溝を形成しているので、穿孔具の大きさ以上には、封止部の開口面積を広げることができない。
【0009】
また、インク等が尿素を含む組成では、高温環境に曝されたり長期保存時の経時により液中の尿素が分解し、アンモニアと炭酸ガスを発生する傾向がある。これは、pHがアルカリ性側にある液体を収容する場合に、特に顕著に現れる。尿素を含むインク等の液体を所定の容器に封入して保管、流通等する場合、経時等でガスが発生し、発生したガスで容器が膨張し外観を損なうほか、その膨らみで荷崩れや容器の破損を招くなどの支障を来たす場合がある。そのため、液体自体のみならず、カートリッジ等の充填体としても安定的に保持することができないとの課題がある。
【0010】
また、インク補充等のタイミングでインク等が収容された容器の蓋(キャップ)を外して装置に装填する場合、蓋を開けた際にインクが毀れたり、口部に付着したインク等で手が汚れる等、取り扱い性の観点から、汚れが生じない形態への改善に対する要求は高い。
【0011】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、封止部の開口面積が大きく、所定の強度を保持すると共に、特にガスが発生し易い尿素を含有する液組成でも、高温環境又は長期保存等による経時での容器変形が抑制された画像形成用液体カートリッジ、及び長期に亘り安定的な画像形成が行なえる画像形成装置を提供することを目的とし、該目的と達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を達成するための具体的手段として、第1の発明である画像形成用液体カートリッジは、
<1> 画像形成用液体を充填する口部が形成された容器本体と、前記口部に接続されたキャップ部と、前記キャップ部に設けられ、前記口部を封止する封止部と、前記封止部の中心部に形成され、前記封止部を穿孔する穿孔具が当たる当り部と、前記当り部から前記封止部の外周部まで伸び、厚みが0.1mm以上0.5mm以下であって前記封止部より薄肉の第1破断部と、前記容器本体に収容され、着色剤と尿素と水とを少なくとも含み、pHが7.5以上の画像形成用液体と、を備えている。
【0013】
前記<1>に記載の画像形成用液体カートリッジの構成によれば、アンモニア及び炭酸ガスを含むガスが著しく発生し易い画像形成用液体が収容されている場合に、厚みを0.1〜0.5mmとした薄肉な第1破断部を設けることで、カートリッジ内で発生したガスは第1破断部の部分を透過してカートリッジ外に抜けるので、カートリッジの形状が大きく変形する現象が解消され、比較的高い温度環境下に保持されたり長期に亘り保管されるような場合でも所期の形状からの変形が小さく抑えられ、ひいては積重ねた場合の荷崩れや容器破損などが防止される。また、封止部を穿孔具で穿孔する際には、この穿孔具が封止部の中心部に形成された当り部に当たることで、その当り部に応力が集中する。このため、封止部より薄肉の第1破断部において封止部の外周部側まで当り部から応力が伝わり易くなり、第1破断部全体を破断させることができ、もって封止部の開口面積は大きくなる。
【0014】
<2> 前記<1>に記載の画像形成用液体カートリッジでは、第1破断部は、前記当り部から前記封止部の外周部まで伸びた2以上の薄肉部を含む態様が有効である。封止部に形成された当り部を基点として複数本の薄肉部が伸びた構造であることで、衝撃強度を保持しつつも、ガス透過性がより良好になり、収容された液から発生するガス量が比較的多い場合でも、カートリッジの形状変形を効果的に防ぐことができる。
中でも、第1破断部は2〜3の薄肉部を有している態様が好ましい。この場合、封止部の開口面積をより増やしガス透過性を更に良好にしつつも、衝撃強度を保持することができる。
【0015】
<3> 前記<1>又は前記<2>に記載の画像形成用液体カートリッジにおいて、特に画像形成用液体中に含有される尿素の含有割合は、画像形成用液体の全質量に対して1.0質量%以上10.0質量%以下である場合が好ましい。
【0016】
尿素の液体中に占める比率(含有量)が前記範囲内であると、尿素等が分解して発生するガス量は比較的多くなりやすいが、このような組成の液体を収容するときにもカートリッジの変形が小さく抑えられ、比較的高い温度環境下に保持されたり長期に亘り保管された場合に、所期の形状からの変形が小さく抑えられ、ひいては積重ねた場合の荷崩れや容器破損等に対する防止効果が大きい。
【0017】
<4> 前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の画像形成用液体カートリッジにおいて、前記当り部の外周には、前記封止部より薄肉とされ、前記第1破断部と繋がり前記第1破断部の破断を誘導する破断誘導部が形成されていることが好ましい。
【0018】
前記<4>に記載の構成によれば、当り部に集中した応力が、そのまま当り部の外周に形成された、封止部より薄肉の破断誘導部に伝わって、該破断誘導部が破断する。そして、この破断によって、破断誘導部に繋がる第1破断部の破断を誘導することができる。
また、この破断誘導部が当り部の外周に形成されているので、当り部へ穿孔具をガイドすることもできる。
【0019】
<5> 前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の画像形成用液体カートリッジでは、前記当り部は、前記封止部の表面より凹んで、裏面から突出している態様が有効である。
【0020】
前記<5>に記載の構成によれば、穿孔具の先端が封止部の表面よりも中に入り込んで当り部に当るので、穿孔具との相対的ずれを防止することができる。また、当り部は裏面から突出しており、肉厚となっているため、穿孔具が当り部だけを突き抜け、破断部に波及しないことがない。
【0021】
<6> 前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の画像形成用液体カートリッジでは、第1破断部は、前記封止部を平面視したとき曲線状、好ましくはS字状の溝部とされ、好ましくは複数本形成されている。
【0022】
前記<6>に記載の構成によれば、第1破断部が曲線状の溝部とされているので、第1破断部の長さが例えば直線状の溝部とされた場合に比べて長くなり、破断長さを増して封止部の開口面積を大きくすることができる。この観点から、曲線状の形状の中でも、S字形状が好ましい。S字形状である場合、第1破断部の形状が一般的な穿孔具の形状に倣いにくくなり、封止部が穿孔具に貼り付いても、第1破断部が破断して封止部を開口するため、口部から液体を外部に流出させることができる。
また、このような曲線状の溝部とされた第1破断部が、封止部に複数本形成されているので、封止部の開口面積をより増やすことができる。
【0023】
<7> 前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載の画像形成用液体カートリッジにおいて、更に、前記封止部の外周部に沿って所定の間隔をあけて複数形成され、前記第1破断部と繋がった前記封止部より薄肉の第2破断部を備えていることが好ましい。
【0024】
前記<7>に記載の構成によれば、封止部を穿孔具で穿孔する際、第1破断部の破断により、第1破断部と繋がる第2破断部も破断することとなる。そして、第2破断部の一部が破断すると、封止部の外周部が開口するので、穿孔具を封止部から抜くときに、穿孔具との接触抵抗を減らすことができ、封止部の擦れクズの発生を防止できる。また、第2破断部は、複数設けられることにより穿孔具との接触抵抗を減らしつつ、またこれら複数の第2破断部間に所定の間隔が設けられていることにより封止部の外周部で破断しない箇所、すなわち封止部とキャップ部の結合箇所を残すことができ、封止部がキャップ部から剥がれ落ちることを防止することができる。
【0025】
<8> 前記<1>〜前記<7>のいずれか1つに記載の画像形成用液体カートリッジにおいて、キャップ部は、前記口部に打栓された形態が有効である。
【0026】
前記<8>に記載の構成によれば、キャップ部の構成をシンプルにすることができると共に、一般的な螺子キャップが必要とするトルク管理等の煩雑な作業がなくてもキャップ部と口部との確実な嵌合いを実現することができる。
【0027】
<9> 前記<1>〜前記<8>のいずれか1つに記載の画像形成用液体カートリッジでは、前記封止部よりも前記キャップ部の開口部側に設けられ、スリットが形成された弾性封止部を備えた形態が有効である。
【0028】
前記<9>に記載の構成によれば、口部を下に向けて容器をセットし、穿孔具をキャップ部内に挿入して封止部を穿孔する際、穿孔具が弾性封止部のスリットを押し広げた後、封止部を穿孔して開口する。また、開口した封止部から穿孔具を抜く際、画像形成用液体カートリッジに残った残液を弾性封止部が受け止め、穿孔具を弾性封止部から抜きとった後は、弾性封止部の弾性力により穿孔具により押し広げられたスリットが狭まる。これにより、残液がキャップ部から外部に漏れ出ることを防止できる。
【0029】
<10> 前記<1>〜前記<9>のいずれか1つに記載の画像形成用液体カートリッジにおいて、キャップ部は、筒体と、前記筒体の外周壁に突設された爪部とを備え、前記爪部は前記口部の内周壁に形成された係止部に係止されていることが好ましい。
【0030】
前記<10>に記載の構成によれば、液圧によりキャップ部が口部から抜けることを防止することができる。
【0031】
<11> 前記<1>〜前記<10>のいずれか1つに記載の画像形成用液体カートリッジにおいて、前記係止部が形成された前記口部の内周壁には、前記筒体の先端が拡径方向へ変形可能とするスペースが形成されていることが有効である。
【0032】
前記<11>に記載の構成によれば、例えば衝撃による内圧上昇で筒体の先端が拡径方向へ変形し、さらに爪部と係止部の係止が高まる。これにより、キャップ部が口部から抜けることを防止することができる。
【0033】
次に、第2の発明である画像形成装置は、
<12> 前記<1>〜前記<11>のいずれか1つに記載の画像形成用液体カートリッジと、該画像形成用液体カートリッジにおける第1破断部の形状と異なる形状を有し、封止部を穿孔する穿孔具と、を備えている。
【0034】
前記<12>に記載の画像形成装置の構成によれば、所期の位置にカートリッジの配置を容易に行なえると共に、穿孔具の形状を第1破断部の形状と異ならせることで、封止部が穿孔具に貼り付いても、第1破断部が破断して封止部を開口するため、口部から液体は外部に流出される。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、封止部の開口面積が大きく、所定の強度を保持すると共に、特にガスが発生し易い尿素を含有する液組成でも、高温環境又は長期保存等による経時での変形が抑制された画像形成用液体カートリッジを提供することができる。また、
本発明によれば、長期に亘り安定的な画像形成が行なえる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成用液体カートリッジを含むインクジェット記録装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】液体供給装置を全体的に示す斜視図である。
【図3】図2に示す台座の内部について操作レバーを中心に示す側面図であって、(a)は操作レバーが下方に位置する状態を示し、(b)は操作レバーが上方に位置する状態を示す。
【図4】穿孔部の構成を示す断面図である。
【図5】穿孔具の構成を具体的に示す構成図であって、(a)は穿孔具の分解図を示し、(b)は穿孔具の断面図を示す。
【図6】インクカートリッジの構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像形成用液体カートリッジのキャップ部の構成を示す断面図であり、キャップ部が口部に接続(打栓)される前の状態を示す図である。
【図8】キャップ部の構成を示す断面図であり、キャップ部が口部に接続(打栓)された後の状態を示す図である。
【図9】キャップ本体の平面図(キャップ本体開口部側から見た図)である。
【図10】本発明の実施形態に係る画像形成用液体カートリッジの作用を説明する図であり、(a)は封止膜が穿孔具によって穿孔される前の様子を示す図であり、(b)は穿孔された後の様子を示す図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る画像形成用液体カートリッジのキャップ部の構成を示す断面図である。
【図12】弾性封止部材の正面図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る画像形成用液体カートリッジの作用を説明する図であり、(a)は穿孔具による穿孔前の状態を示し、(b)は穿孔具による穿孔途中の状態を示し、(c)は穿孔具による穿孔後の状態を示す。
【図14】キャップ本体の他の例の平面図(キャップ本体開口部側から見た図)である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の画像形成用液体カートリッジ及びこれを備えた画像形成装置について、詳細に説明する。
【0038】
本発明に係る画像形成用液体カートリッジは、画像形成用液体を給排する口部が形成された容器本体、及び該容器本体の口部に接続され、該口部を封止する封止部が設けられたキャップ部を備えた液体収納容器に、少なくとも着色剤と尿素と水とを含有する画像形成用液体が充填された、画像形成装置に着脱可能な補充用の画像形成用液体充填済み容器である。キャップ部の封止部には、その中心部に該封止部を穿孔する穿孔具が当たる当り部が形成されると共に、該当り部から封止部の外周部まで伸びる厚み0.1mm以上0.5mm以下の第1破断部が設けられている。
【0039】
本発明においては、特に容器本体の口部を封止する封止部において、その中心部に該封止部を穿孔する穿孔具が当たる当り部が設けられることで、当り部に応力が集中するので、薄肉の第1破断部において応力が伝わり易く第1破断部全体を破断し易くすると共に、該当り部から封止部の外周部に向かって伸びる第1破断部を、封止部より薄肉な0.1〜0.5mmの厚みとすることで、第1破断部の部分において、画像形成用液体に含まれる尿素から発生したガスが透過し、カートリッジ内のガスが所定量以下に維持されるようになるので、カートリッジ形状が大きく変形する現象が抑制される。これにより、外力に対する衝撃強度をある程度維持しながらも、封止部における開口面積を大きく確保しながら、荷崩れや容器破損などが懸念される変形が防止される。
【0040】
はじめに、本発明における画像形成用液体について詳述する。
本発明における画像形成用液体は、少なくとも着色剤と尿素と水とを含有する水系の液体組成物であり、例えば、インクジェット記録用インク、印刷用インク、塗料などの画像記録に用いられる着色液体である。
画像形成用液体が例えばインクジェット記録用インク組成物である場合、着色剤、尿素、及び水に加え、樹脂粒子やワックス粒子などの高分子成分、有機溶剤、及び界面活性剤などの各種添加剤等を含有していてもよい。
【0041】
(着色剤)
本発明における画像形成用液体は、着色剤の少なくとも一種を含有し、着色組成物として構成される。着色剤としては、公知の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である色材であることが好ましく、特に顔料が好ましい。顔料は、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。
【0042】
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジスアゾ顔料、アゾレーキ顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。有機顔料は、一種単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
具体的には、シアン顔料の例として、C.I.ピグメント・ブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、16、17:1、22、25、56、60、C.I.バットブルー4、60、63等が挙げられ、(銅)フタロシアニン顔料が好ましく、特にC.I.ピグメント・ブルー15:3が好ましい。
また、マゼンタ顔料の例として、C.I.ピグメント・レッド48,57,122,184,188,C.I.ピグメント・バイオレット19等が挙げられ、キナクリドン顔料が好ましく、特にC.I.ピグメント・レッド122、及びC.I.ピグメント・バイオレット19が好ましい。
【0043】
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたもの、具体的にはファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
また、カーボンブラックの具体例として、Raven7000,Raven5750,Raven5250,Raven5000 ULTRAII,Raven 3500,Raven2000,Raven1500,Raven1250,Raven1200,Raven1190 ULTRAII,Raven1170,Raven1255,Raven1080,Raven1060,Raven700(以上、コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R,Regal330R,Regal660R,Mogul L,Black Pearls L,Monarch 700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch 900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Monarch 1400(以上、キャボット社製)、Color Black FW1, Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black 18,Color Black FW200,Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex35,Printex U,Printex V,Printex140U,Printex140V,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black4(以上、デグッサ社製)、No.25,No.33,No.40,No.45,No.47,No.52,No.900,No.2200B,No.2300,MCF−88,MA600,MA7,MA8,MA100(以上、三菱化学社製)等を挙げることができる。但し、これらに限定されるものではない。
【0044】
本発明においては、着色剤として含有される顔料を、顔料分散剤(好ましくは水不溶性樹脂)で被覆して液中に分散させることが好ましい。これにより、顔料粒子を微粒径にして存在させることができ、分散後には高い分散安定性が得られる。この場合、顔料は必ずしも粒子表面の全体が被覆されている必要はなく、場合により粒子表面の少なくとも一部が被覆された状態であってもよい。
【0045】
顔料の好ましい形態としては、液安定性及び吐出安定性の観点から、例えば、(1)カプセル化顔料、(2)自己分散顔料、(3)樹脂分散顔料、又は(4)界面活性剤分散顔料等の水分散性顔料を好適に挙げることができる。
(1)カプセル化顔料は、ポリマー微粒子に顔料を含有させてなるポリマーエマルジョンであり、詳しくは、親水性水不溶性の樹脂で顔料を被覆し顔料表面の樹脂層にて親水化することで顔料を水に分散したものである。
(2)自己分散顔料は、表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性及び水溶性の少なくともいずれかを示す顔料、詳しくは、主にカーボンブラックなどを表面酸化処理して親水化し、顔料単体が水に分散するようにしたものである。
(3)樹脂分散顔料は、質量平均分子量50,000以下の水溶性高分子化合物により分散された顔料である。
(4)界面活性剤分散顔料は、界面活性剤により分散された顔料である。
上記のうち、好ましい例は(1)カプセル化顔料、又は(2)自己分散顔料であり、特に好ましい例は(1)カプセル化顔料である。顔料が樹脂で被覆された被覆顔料として液体(例えばインク組成物)中に存在する場合に、尿素を含有することで乾燥固化したときの拭き取り性が改善され、このような液体組成の場合に本発明の効果がより効果的に奏される。
【0046】
ここで、前記(2)自己分散顔料について略説する。
例えば自己分散型カーボンブラックは、カーボンブラック(顔料)の表面に−COOH、−CHO、−OH、−SOH及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上等の官能基(分散性付与基)を有するように処理された顔料であって、分散剤を別途配合せずとも、水系のインク組成物中で均一に分散し得るものである。なお、ここでいう「分散」とは、自己分散型カーボンブラックが分散剤なしに水中に安定に存在している状態をいい、分散している状態のもののみならず、溶解している状態のものも含むものとする。自己分散型カーボンブラックが配合された画像形成用液体(例えばインク組成物)は、分散安定性が高く、またインク組成物の粘度が適度なものとなるので、カーボンブラックをより多く含有させることが可能となり、特に普通紙に対して色濃度に優れた画像を形成することができる。
【0047】
自己分散型カーボンブラックを調製するには、真空プラズマ等の物理的処理や化学的処理により、官能基又は官能基を含んだ分子を顔料の表面に配位、グラフト等の化学的結合をさせること等によって得ることができる。例えば、特開平8−3498号公報に記載の方法によって得ることができる。また、自己分散型カーボンブラックは、市販品を利用することも可能であり、好ましい例としては、オリエント化学工業(株)製のマイクロジェットシリーズ、キャボット社製のCAB−O−JETシリーズ等が挙げられる。
自己分散型カーボンブラックとしては、顔料の表面にカルボキシル基(−COOH)を有する自己分散型カーボンブラックが好ましい。
【0048】
続いて、前記(1)カプセル化顔料について詳述する。
カプセル化顔料の樹脂は、限定されるものではないが、水と水溶性有機溶剤の混合溶媒中で自己分散能又は溶解能を有し、かつアニオン性基(酸性)を有する高分子化合物であるのが好ましい。この樹脂は、通常は数平均分子量が1,000〜100,000の範囲程度のものが好ましく、3,000〜50,000の範囲程度のものが特に好ましい。また、この樹脂は、有機溶剤に溶解して溶液となるものが好ましい。樹脂の数平均分子量は、この範囲内であると顔料における被覆膜として又はインクとした際の塗膜としての機能を発揮することができる。樹脂は、アルカリ金属や有機アミンの塩の形で用いられるのが好ましい。
【0049】
カプセル化顔料の樹脂の具体例としては、熱可塑性、熱硬化性あるいは変性のアクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリアミド系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、シリコーン系、又はフッ素系の樹脂;塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はポリビニルブチラール等のポリビニル系樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂等のポリエステル系樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等のアミノ系材料、あるいはそれらの共重合体又は混合物などのアニオン性基を有する材料などが挙げられる。
これら樹脂のうち、アニオン性のアクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(以下、「アニオン性基含有アクリルモノマー」という。)及び必要に応じて該アニオン性基含有アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン基からなる群より選ばれる1個以上のアニオン性基を有するアクリルモノマーが挙げられ、中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマーが特に好ましい。
【0050】
カルボキシル基を有するアクリルモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
【0051】
カプセル化顔料は、上記の成分を用いて、従来の物理的、化学的方法により製造することができる。例えば、特開平9−151342号、特開平10−140065号、特開平11−209672号、特開平11−172180号、特開平10−25440号、又は特開平11−43636号の各公報に記載の方法により製造することができる。具体的には、特開平9−151342号及び特開平10−140065号の各公報に記載の転相乳化法と酸析法等が挙げられ、中でも、分散安定性の点で転相乳化法が好ましい。
【0052】
転相乳化法は、基本的には、自己分散能又は溶解能を有する樹脂と顔料との混合溶融物を水に分散させる自己分散(転相乳化)方法である。また、この混合溶融物には、上記の硬化剤又は高分子化合物を含んでなるものであってもよい。ここで、混合溶融物とは、溶解せず混合した状態、溶解して混合した状態、又はこれら両者の状態のいずれの状態を含むものをいう。「転相乳化法」のより具体的な製造方法は、特開平10−140065号に記載の方法が挙げられる。
なお、転相乳化法及び酸析法のより具体的な方法については、特開平9−151342号、特開平10−140065号の各公報に記載を参照することができる。
【0053】
前記顔料としては、顔料分散剤のうち水不溶性樹脂を用い、顔料の表面の少なくとも一部が水不溶性樹脂で被覆されたカプセル化顔料、例えば水不溶性樹脂粒子に顔料が含有されているポリマーエマルジョンが好ましく、より詳しくは、水不溶性樹脂で顔料の少なくとも一部を被覆し、顔料表面に樹脂層を形成して水に分散させ得る態様が好ましい。
【0054】
着色剤(特に顔料)の画像形成用液体中における含有量としては、発色性、粒状性、インク安定性、吐出信頼性の観点から、画像形成用液体の全固形分に対して、0.1〜15質量%となる量が好ましく、0.5〜12質量%となる量がより好ましい。
【0055】
前記顔料分散剤は、顔料を分散させた際の易分散化及び分散後の分散安定化を図ることができる。顔料分散剤としては、顔料を水相中で分散させる機能を持つ化合物の中から適宜選択することができる。顔料分散剤の例としては、ノニオン性化合物、アニオン性化合物、カチオン性化合物、両性化合物等が挙げられる。例えば、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独重合体又は共重合体等が挙げられる。α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、酢酸ビニル、酢酸アリル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、クロトン酸エステル、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、芳香族基を置換してもよいアクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、芳香族基を置換してもよいメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、ビニルアルコール、並びにこれら化合物の誘導体等が挙げられる。
【0056】
前記α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独重合体又は共重合体を高分子分散剤として用いることができる。具体的には、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0057】
本発明における画像形成用液体は、着色剤として、顔料の表面の少なくとも一部が水不溶性樹脂で被覆されたカプセル化顔料を含有することが好ましい。
前記水不溶性樹脂としては、例えば、〔1〕以下に示す一般式(1)で表される繰り返し単位(a)とイオン性基を有する繰り返し単位(b)とを含むポリマー、〔2〕塩生成基含有モノマー(c)由来の構成単位とスチレン系マクロマー(d)及び/又は疎水性モノマー(e)由来の構成単位とを含むポリマー、等が挙げられ、前記〔1〕ポリマーが好ましい。前記ポリマー〔2〕の詳細については、特開2009−84501号公報の段落0012〜0031に記載された詳細を参照することができる。
「不溶性」とは、25℃の水系媒体にポリマーを混合したときに、水系媒体に溶解するポリマーの量が、混合した全ポリマーに対する質量比として10質量%以下であることをいう。
【0058】
以下、〔1〕一般式(1)で表される繰り返し単位(a)とイオン性基を有する繰り返し単位(b)とを含むポリマーについて具体的に説明する。
【0059】
このポリマーは、下記一般式(1)で表される繰り返し単位の少なくとも一種と、イオン性基を有する繰り返し単位の少なくとも一種とを含み、必要に応じて、更に、一般式(1)で表される繰り返し単位以外の他の疎水性繰り返し単位や、非イオン性の官能基を持つ親水性繰り返し単位などの他の構造単位を含むことができる。
【0060】
<(a)一般式(1)で表される繰り返し単位>
【化1】

【0061】
一般式(1)において、Rは水素原子、メチル基、又はハロゲン原子を表し、Lは、−COO−、−OCO−、−CONR−、−O−、又は置換もしくは無置換のフェニレン基を表し、Rは水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。なお、Lで表される基中の*印は、主鎖に連結する結合手を表す。Lは、単結合、又は2価の連結基を表す。Arは、芳香環から誘導される1価の基を表す。
【0062】
前記一般式(1)において、Rは水素原子、メチル基、又はハロゲン原子を表し、好ましくはメチル基を表す。
【0063】
は、−COO−、−OCO−、−CONR−、−O−、又は置換もしくは無置換のフェニレン基を表す。Lがフェニレン基を表す場合、無置換が好ましい。Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を表す。
【0064】
は単結合、又は2価の連結基を表す。前記2価の連結基としては、好ましくは炭素数1〜30の連結基であり、より好ましくは炭素数1〜25の連結基であり、更に好ましくは炭素数1〜20の連結基であり、特に好ましくは炭素数1〜15の連結基である。
中でも、最も好ましくは、炭素数1〜25(より好ましくは1〜10)のアルキレンオキシ基、イミノ基(−NH−)、スルファモイル基、及び、炭素数1〜20(より好ましくは1〜15)のアルキレン基やエチレンオキシド基[−(CHCHO)−,n=1〜6]などの、アルキレン基を含む2価の連結基等、並びにこれらの2種以上を組み合わせた基などである。
【0065】
Arは、芳香環から誘導される1価の基を表す。
Arで表される1価の基の芳香環としては、特に限定されないが、ベンゼン環、炭素数8以上の縮環型芳香環、ヘテロ環が縮環した芳香環、又は2以上のベンゼン環が縮環した芳香環が挙げられる。
【0066】
前記「炭素数8以上の縮環型芳香環」は、少なくとも2以上のベンゼン環が縮環した芳香環、少なくとも1種の芳香環と該芳香環に縮環して脂環式炭化水素で環が構成された炭素数8以上の芳香族化合物である。具体的な例としては、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アセナフテンなどが挙げられる。
【0067】
前記「ヘテロ環が縮環した芳香環」とは、ヘテロ原子を含まない芳香族化合物(好ましくはベンゼン環)と、ヘテロ原子を有する環状化合物とが縮環した化合物である。ここで、ヘテロ原子を有する環状化合物は、5員環又は6員環であることが好ましい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子が好ましい。ヘテロ原子を有する環状化合物は、複数のヘテロ原子を有していてもよい。この場合、ヘテロ原子は互いに同じでも異なっていてもよい。
芳香環が縮環したヘテロ環の具体例としては、フタルイミド、アクリドン、カルバゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
【0068】
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を形成するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、及びビニルエステル類などのビニルモノマー類を挙げることができる。
【0069】
本発明において、主鎖をなす原子に連結基を介して芳香環を有する疎水性の構造単位では、芳香環は連結基を介して水不溶性樹脂の主鎖をなす原子と結合され、水不溶性樹脂の主鎖をなす原子に直接結合しない構造を有するので、疎水性の芳香環と親水性構造単位との間に適切な距離が維持されるため、水不溶性樹脂と顔料との間で相互作用が生じやすく、強固に吸着して分散性がさらに向上する。
【0070】
更には、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を形成するモノマーの具体例としては、下記のモノマーなどを挙げることができる。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0071】
【化2】

【0072】
【化3】

【0073】
【化4】

【0074】
前記(a)一般式(1)で表される繰り単位中のArとしては、被覆された顔料の分散安定性の観点から、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、アクリドン、又はフタルイミドから誘導される1価の基であることが好ましい。
【0075】
前記繰り返し単位は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位のポリマー中における含有割合は、ポリマーの全質量に対して、5〜25質量%の範囲が好ましく、より好ましくは10〜18質量%の範囲である。この含有割合は、5質量%以上であると、白抜け等の画像故障の発生を顕著に抑制できる傾向となり、また、25質量%以下とするとポリマーの重合反応溶液(例えば、メチルエチルケトン)中での溶解性低下による製造適性上の問題が生じない傾向となり好ましい。
【0076】
<他の疎水性繰り返し単位>
ポリマー〔1〕は、疎水性構造単位として、前記一般式(1)で表される繰り返し単位以外の他の疎水性繰り返し単位を更に有してもよい。他の疎水性繰り返し単位としては、例えば、親水性構造単位に属しない(例えば親水性の官能基を有しない)例えば(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、及びビニルエステル類などのビニルモノマー類、主鎖をなす原子に連結基を介して芳香環を有する疎水性構造単位、等に由来の構造単位を挙げることができる。これらの構造単位は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0077】
前記(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらのうち(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルが好ましい。中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、特にメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが好ましい。
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N−アリル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
前記スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、n−ブチルスチレン、tert−ブチルスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレン、ビニルナフタレン等などが挙げられ、中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
前記ビニルエステル類としては、例えば、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどのビニルエステル類が挙げられる。中でも、ビニルアセテートが好ましい。
【0078】
<(b)イオン性基を有する繰り返し単位>
イオン性基を有する繰り返し単位としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホネート基などのイオン性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、及びビニルエステル類等の、イオン性官能基を有するビニルモノマー類を挙げることができる。イオン性基を有する繰り返し単位は、対応するモノマーの重合により導入できるが、重合後のポリマー鎖にイオン性基を導入したものでもよい。
【0079】
これらのうち、アクリル酸、メタクリル酸に由来の繰り返し単位が好ましく、アクリル酸由来の構造単位もしくはメタクリル酸由来の構造単位のいずれか又は両方を含むことが好ましい。
【0080】
このポリマー〔1〕は、(b)イオン性基を有する繰り返し単位の割合がポリマー全質量の15質量%以下であって、イオン性基を有する繰り返し単位として少なくとも(メタ)アクリル酸由来の構造単位を含む態様が好ましい。
(b)イオン性基を有する繰り返し単位の含有量がポリマー全質量の15質量%以下であると、分散安定性に優れる。中でも、(b)イオン性基を有する繰り返し単位の割合は、分散安定性の観点から、5質量%以上15質量%以下が好ましく、7質量%以上13質量%以下がより好ましい。
【0081】
このポリマー〔1〕は、水性のインク組成物中において安定的に存在することができ、例えばインクジェットヘッド等での凝集物の付着、堆積を緩和し、付着した凝集物の除去性にも優れる。このような観点から、前記(a)一般式(1)で表される繰り返し単位以外の疎水性構造単位、及び前記「(b)イオン性基を有する繰り返し単位」以外の他の親水性構造単位をさらに有していてもよい。
【0082】
<親水性繰り返し単位>
前記他の親水性構成単位としては、非イオン性の親水性基を有するモノマーに由来の繰り返し単位が挙げられ、例えば、親水性の官能基を有する(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、及びビニルエステル類等の、親水性の官能基を有するビニルモノマー類を挙げることができる。
【0083】
「親水性の官能基」としては、水酸基、アミノ基、(窒素原子が無置換の)アミド基、及び後述のポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドが挙げられる。
【0084】
非イオン性の親水性基を有する親水性繰り返し単位を形成するモノマーとしては、エチレン性不飽和結合等の重合体を形成しうる官能基と非イオン性の親水性の官能基とを有していれば、特に制限はなく、公知のモノマーから選択することができる。具体的な例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、アミノプロピルアクリレート、アルキレンオキシド重合体を含有する(メタ)アクリレートを好適に挙げることができる。
【0085】
非イオン性の親水性基を有する親水性繰り返し単位は、対応するモノマーの重合により形成することができるが、重合後のポリマー鎖に親水性の官能基を導入してもよい。
【0086】
非イオン性の親水性基を有する親水性繰り返し単位は、アルキレンオキシド構造を有する親水性の構造単位がより好ましい。アルキレンオキシド構造のアルキレン部位としては、親水性の観点から、炭素数1〜6のアルキレンが好ましく、炭素数2〜6のアルキレンがより好ましく、炭素数2〜4のアルキレンが特に好ましい。また、アルキレンオキシド構造の重合度としては、1〜120が好ましく、1〜60がより好ましく、1〜30が特に好ましい。
【0087】
また、非イオン性の親水性基を有する親水性繰り返し単位は、水酸基を含む親水性の繰り返し単位であることも好ましい態様である。繰り返し単位中の水酸基数としては、特に制限はなく、水不溶性樹脂の親水性、重合時の溶媒や他のモノマーとの相溶性の観点から、1〜4が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2が特に好ましい。
【0088】
ポリマー〔1〕としては、親水性繰り返し単位と疎水性繰り返し単位(前記一般式(1)で表される構造繰り返しを含む)との組成は各々の親水性、疎水性の程度にも影響するが、親水性繰り返し単位の割合が15質量%以下であることが好ましい。このとき、疎水性繰り返し単位は、水不溶性樹脂の質量全体に対して、80質量%を超える割合であるのが好ましく、85質量%以上であるのがより好ましい。
親水性繰り返し単位の含有量が15質量%以下であると、単独で水性媒体中に溶解する成分量が抑えられ、顔料の分散などの諸性能が良好になり、インクジェット記録時には良好なインク吐出性が得られる。
【0089】
親水性繰り返し単位の好ましい含有割合は、水不溶性樹脂の全質量に対して、0質量%を超え15質量%以下の範囲であり、より好ましくは2〜15質量%の範囲であり、更に好ましくは5〜15質量%の範囲であり、特に好ましくは8〜12質量%の範囲である。
【0090】
芳香環の水不溶性樹脂中に含まれる含有割合は、水不溶性樹脂の全質量に対して、27質量%以下であるのが好ましく、25質量%以下であるのがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。中でも、15〜20質量%であるのが好ましく、17〜20質量%の範囲がより好ましい。芳香族環の含有割合が前記範囲内であると、耐擦過性が向上する。
【0091】
以下、ポリマー〔1〕の具体例(モル比(質量%)、重量平均分子量Mw、酸価)を列挙する。但し、本発明においては、下記に限定されるものではない。
・フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(50/45/5)
・フェノキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/35/29/6)
・フェノキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(50/44/6)
・フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(30/55/10/5)
・ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(60/30/10)
・(M−25/M−27)混合物/エチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比:15/75/10、MW49400、酸価65.2mgKOH/g)
・(M−25/エチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比:18/69/13、MW41600、酸価84.7mgKOH/g)
・(M−28/M−29)混合物/エチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比:15/85/10、MW38600、酸価65.2mgKOH/g)
・(M−28)/エチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比:20/73/7、MW45300、酸価45.6mgKOH/g)
【0092】
(尿素)
本発明における画像形成用液体は、尿素を含有する。尿素は、着色剤を含む液体組成物が付着して増粘ないし固化した場合に、ワイピング等によるクリーニング性が向上する。
【0093】
尿素の画像形成用液体中における含有量としては、画像形成用液体の全質量に対して、1.0質量%以上10.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下がより好ましい。
尿素の含有量が1.0質量%以上であると、液体が付着した場合に拭き取り易く、例えばインクジェット記録用インクを調製したときには、吐出ヘッドに付着したインクをワイピングで容易に除去しやすくメンテナンス性が向上する一方、尿素等の分解に伴なうアンモニアガス及び炭酸ガスの発生が多くなり、後述するように所定の厚みを有する薄肉の第1破断部を設けたことによる効果が高い。また、尿素の含有量が10.0質量%以下であると、画像中に含まれる尿素及びその誘導体の吸湿によるベタツキ防止、ブロッキング防止の点で有利である。
【0094】
(水)
本発明における画像形成用液体は、水を含有して水系に調製される。水の含有量は、特に制限はないが、10〜99質量%の範囲が好ましく、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
【0095】
(樹脂粒子)
本発明における画像形成用液体は、水不溶性樹脂の粒子を含有することができる。水不溶性の樹脂粒子を、顔料を被う前記樹脂以外に含有することにより、画像形成用液体の記録媒体への定着性及び画像の耐擦過性をより向上させることができる。
画像形成用液体(例えばインク組成物)が樹脂粒子を含有する場合に、尿素を含有することで、乾燥固化したときの拭き取り性が改善され、このような液体組成の場合に本発明の効果がより効果的に奏される。
【0096】
ここでの水不溶性樹脂とは、樹脂を105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマーをいい、インクの連続吐出性及び吐出安定性が向上する観点から、その溶解量は好ましくは5g以下であり、更に好ましくは1g以下である。前記溶解量は、水不溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。
【0097】
水不溶性の樹脂粒子としては、例えば、熱可塑性、熱硬化性あるいは変性のアクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリアミド系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、シリコーン系、又はフッ素系の樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はポリビニルブチラール等のポリビニル系樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂等のポリエステル系樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等のアミノ系材料、あるいはそれらの共重合体又は混合物などの樹脂の粒子が挙げられる。これらのうち、アニオン性のアクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(アニオン性基含有アクリルモノマー)及び必要に応じて該アニオン性基含有アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。前記アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン酸基からなる群より選ばれる1以上を有するアクリルモノマーが挙げられる。中でも、カルボキシル基を有するアクリルモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等)が好ましく、特にはアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
【0098】
水不溶性の樹脂粒子としては、吐出安定性及び顔料を含む系の液安定性(特に分散安定性)の観点から、自己分散性樹脂粒子が好ましい。自己分散性樹脂とは、界面活性剤の不存在下、転相乳化法により分散状態としたとき、ポリマー自身の官能基(特に酸性基又はその塩)により、水性媒体中で分散状態となりうる水不溶性ポリマーをいう。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルション)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。
自己分散性樹脂においては、インク組成物に含有されたときのインク定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる自己分散性樹脂であることが好ましい。
【0099】
自己分散性樹脂の乳化又は分散状態、すなわち自己分散性樹脂の水性分散物の調製方法としては、転相乳化法が挙げられる。転相乳化法としては、例えば、自己分散性樹脂を溶媒(例えば、水溶性有機溶剤等)中に溶解又は分散させた後、界面活性剤を添加せずにそのまま水中に投入し、自己分散性樹脂が有する塩生成基(例えば、酸性基)を中和した状態で、攪拌、混合し、前記溶媒を除去した後、乳化又は分散状態となった水性分散物を得る方法が挙げられる。
【0100】
また、自己分散性樹脂における安定な乳化又は分散状態とは、水不溶性ポリマー30gを70gの有機溶剤(例えば、メチルエチルケトン)に溶解した溶液、該水不溶性ポリマーの塩生成基を100%中和できる中和剤(塩生成基がアニオン性であれば水酸化ナトリウム、カチオン性であれば酢酸)、及び水200gを混合、攪拌(装置:攪拌羽根付き攪拌装置、回転数200rpm、30分間、25℃)した後、該混合液から該有機溶剤を除去した後でも、乳化又は分散状態が、25℃で、少なくとも1週間安定に存在し、沈殿の発生が目視で確認できない状態であることをいう。
【0101】
また、自己分散性樹脂における乳化又は分散状態の安定性は、遠心分離による沈降の加速試験によっても確認することができる。遠心分離による、沈降の加速試験による安定性は、例えば、上記の方法により得られた樹脂粒子の水性分散物を、固形分濃度25質量%に調整した後、12000rpmで一時間遠心分離し、遠心分離後の上澄みの固形分濃度を測定することによって評価できる。
遠心分離前の固形分濃度に対する遠心分離後の固形分濃度の比が大きければ(1に近い数値であれば)、遠心分離による樹脂粒子の沈降が生じない、すなわち、樹脂粒子の水性分散物がより安定であることを意味する。本発明においては、遠心分離前後での固形分濃度の比が0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましく、0.95以上であることが特に好ましい。
【0102】
自己分散性樹脂は、分散状態としたときに水溶性を示す水溶性成分の含有量が10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましい。水溶性成分を10質量%以下とすることで、樹脂粒子の膨潤や樹脂粒子同士の融着を効果的に抑制し、より安定な分散状態を維持することができる。また、水性インク組成物の粘度上昇を抑制でき、例えば、水性インク組成物をインクジェット法に適用する場合に、吐出安定性がより良好になる。
ここで水溶性成分とは、自己分散性樹脂に含有される化合物であって、自己分散性樹脂を分散状態にした場合に水に溶解する化合物をいう。前記水溶性成分は自己分散性樹脂を製造する際に、副生又は混入する水溶性の化合物である。
【0103】
水不溶性樹脂の主鎖骨格としては、特に制限はなく、例えば、ビニルポリマー、縮合系ポリマー(エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、セルロース、ポリエーテル、ポリウレア、ポリイミド、ポリカーボネート等)が挙げられる。中でも、特にビニルポリマーが好ましい。
【0104】
ビニルポリマー及びビニルポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−181549号公報及び特開2002−88294号公報に記載されているものを挙げることができる。また、解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する連鎖移動剤や重合開始剤、イニファーターを用いたビニルモノマーのラジカル重合や、開始剤或いは停止剤のどちらかに解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する化合物を用いたイオン重合によって高分子鎖の末端に解離性基を導入したビニルポリマーも使用できる。
また、縮合系ポリマーと縮合系ポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−247787号公報に記載されているものを挙げることができる。
【0105】
自己分散性樹脂の粒子は、自己分散性の観点から、親水性の構成単位と芳香族基含有モノマーに由来する構成単位とを含む水不溶性ポリマーを含むことが好ましい。
【0106】
前記「親水性の構成単位」は、親水性基含有モノマーに由来するものであれば特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であってもノニオン性親水性基であってもよい。前記親水性基は、自己分散促進の観点、形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離基であることがより好ましい。前記解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が好ましい。
【0107】
親水性基含有モノマーは、自己分散性と凝集性の観点から、解離性基含有モノマーであることが好ましく、解離性基とエチレン性不飽和結合とを有する解離性基含有モノマーであることが好ましい。解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
【0108】
前記不飽和カルボン酸モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
前記不飽和スルホン酸モノマーの具体例としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。
前記不飽和リン酸モノマーの具体例としては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
前記解離性基含有モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル系モノマーがより好ましく、特にはアクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
【0109】
自己分散性樹脂の粒子は、自己分散性の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価が25〜100mgKOH/gであるポリマーを含むことがより好ましい。更に、前記酸価は、自己分散性の観点から、30〜90mgKOH/gであることがより好ましく、35〜65mgKOH/gであることが特に好ましい。特に、酸価は、25mgKOH/g以上であると、自己分散性の安定性が良好になり、100mgKOH/g以下であると凝集性が向上する。
【0110】
前記芳香族基含有モノマーは、芳香族基と重合性基とを含む化合物であれば特に制限はない。前記芳香族基は芳香族炭化水素に由来する基であっても、芳香族複素環に由来する基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、芳香族炭化水素に由来する芳香族基であることが好ましい。
また、前記重合性基は、縮重合性の重合性基であっても、付加重合性の重合性基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、付加重合性の重合性基であることが好ましく、エチレン性不飽和結合を含む基であることがより好ましい。
【0111】
芳香族基含有モノマーは、芳香族炭化水素に由来する芳香族基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマーであることが好ましい。芳香族基含有モノマーは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。芳香族基含有モノマーとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー等が挙げられる。中でも、ポリマー鎖の親水性と疎水性のバランスとインク定着性の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及びフェニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0112】
自己分散性樹脂は、(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含むアクリル系樹脂が好ましく、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含むアクリル系樹脂が好ましく、更には、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含み、その含有量が10質量%〜95質量%であることが好ましい。芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーの含有量が10質量%〜95質量%であることで、自己乳化又は分散状態の安定性が向上し、更にインク粘度の上昇を抑制することができる。
自己分散状態の安定性、芳香環同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、15質量%〜90質量%であることがより好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
【0113】
前記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、前記芳香族基含有モノマーと解離性基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限はない。中でも、ポリマー骨格の柔軟性やガラス転移温度(Tg)制御の容易さの観点から、アルキル基含有モノマー(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、)であることが好ましい。
【0114】
自己分散性樹脂の粒子を構成する水不溶性ポリマーの分子量としては、重量平均分子量で3000〜20万であることが好ましく、5000〜15万であることがより好ましく、10000〜10万であることが更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定される。GPCの詳細については、既述した通りである。
【0115】
自己分散性樹脂の粒子を構成する水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構造単位(好ましくは、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位)を共重合比率として自己分散性樹脂粒子の全質量の15〜80質量%を含むことが好ましい。
また、水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは(メタ)アクリル酸のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことがより好ましい。
【0116】
以下、樹脂粒子を形成する水不溶性樹脂の具体例を挙げる。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。なお、括弧内は、共重合成分の質量比を表す。
・フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(50/45/5)
・フェノキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/35/29/6)
・フェノキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(50/44/6)
・フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(30/55/10/5)
・ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(35/59/6)
・スチレン/フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(10/50/35/5)
・ベンジルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(55/40/5)
・フェノキシエチルメタクリレート/ベンジルアクリレート/メタクリル酸共重合体(45/47/8)
・スチレン/フェノキシエチルアクリレート/ブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(5/48/40/7)
・ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(35/30/30/5)
・フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/メタクリル酸共重合体(12/50/30/8)
・ベンジルアクリレート/イソブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(93/2/5)
・メチルメタクリレート/メトキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/アクリル酸共重合体(44/15/35/6)
・スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(62/35/3)
・メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/51/4)
【0117】
樹脂粒子を形成する不溶性樹脂は、有機溶媒中で合成されたポリマーを含み、該ポリマーはカルボキシル基を有し、該ポリマーのカルボキシル基の一部又は全部は中和され、水を連続相とするポリマー分散物(分散体)として調製されたものであることが好ましい。すなわち、水不溶性樹脂粒子の製造は、有機溶媒中でポリマーを合成する工程と、前記ポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部が中和された水性分散物とする分散工程とを設けて行なうことが好ましい。
前記分散工程は、次の工程(1)及び工程(2)を含むことが好ましい。
・工程(1):ポリマー(水不溶性ポリマー)、有機溶媒、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を、攪拌する工程
・工程(2):前記混合物から前記有機溶媒を除去する工程
【0118】
前記工程(1)は、まずポリマー(水不溶性ポリマー)を有機溶媒に溶解させ、次に中和剤と水性媒体を徐々に加えて混合、攪拌して分散体を得る処理であることが好ましい。このように、有機溶媒中に溶解した水不溶性ポリマー溶液中に中和剤と水性媒体を添加することで、強いせん断力を必要とせずに、より保存安定性の高い粒径の自己分散性樹脂粒子を得ることができる。混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
また、前記工程(2)においては、前記工程(1)で得られた分散体から、減圧蒸留等の常法により有機溶剤を留去して水系へと転相することで自己分散性樹脂粒子の水性分散物を得ることができる。得られた水性分散物中の有機溶媒は実質的に除去されており、有機溶媒の量は、好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。
【0119】
樹脂粒子の画像形成用液体(例えばインク組成物)中における含有量としては、画像形成用液体の全質量に対して、0.5〜10質量%が好ましく、1〜9質量%がより好ましい。樹脂粒子の含有量が0.5質量%以上であると、画像の耐擦過性が向上する。また、樹脂粒子の含有量が10質量%以下であると、インク組成物を調整したときに長期に亘る吐出安定性の点で有利である。
【0120】
(その他成分)
本発明における画像形成用液体としてインクジェット記録用のインク組成物を調製する場合には、上記成分に加え、必要に応じて添加剤などの他の成分を含むことができる。他の成分としては、例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、インク組成物を調製後に直接添加してもよく、インク組成物の調製時に添加してもよい。具体的には、特開2007−100071号公報の段落番号[0153]〜[0162]に記載のその他の添加剤などが挙げられる。
【0121】
画像形成用液体(例えばインクジェット記録用のインク組成物)のpHは、7.5以上とする。pHが7.5を下回る範囲では、液体が付着したの拭き取り性が悪く、また、液中の尿素の分解が起こりにくくガスを発生し難いが、7.5以上になると比較的高い温度環境や長期に亘る経時に起因して、尿素等が分解しアンモニアガス及び炭酸ガスを発生しやすくなり、容器の膨張等による変形、ひいては積荷したときの荷崩れや破損が発生する。
pHは、尿素等の分解でガス発生しやすい点及び画像形成用液体の安定性などの観点から、8.0以上が好ましい。pHの上限値は、インクジェットヘッドに使用している部材への悪影響の点で10.0、より好ましくは9.5が好ましい。
前記pHは、pH測定装置(例えば、HORIBA社製、pHメーターD−50)によって25℃で測定される値である。pHの調整は、酸性化合物又は塩基性化合物を用いて適宜行なうことができる。酸性化合物又は塩基性化合物としては、通常用いられる化合物(例:硫酸や水酸化ナトリウムなど)を特に制限なく用いることができる。
【0122】
<画像形成用液体カートリッジ及び画像形成装置>
次に、本発明の実施形態に係る画像形成用液体カートリッジ及び画像形成装置について、図面を参照して具体的に説明する。なお、図中、同一又は対応する機能を有する部材(構成要素)には同じ符号を付して適宜説明を省略する。
【0123】
−全体構成−
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成用液体カートリッジを含むインクジェット記録装置の全体構成を示す概略図である。
【0124】
図1に示すように、インクジェット記録装置1は、用紙等の記録媒体Pが収容される記録媒体収容部12と、記録媒体Pに画像を記録する画像記録部14と、記録媒体収容部12から画像記録部14へ記録媒体Pを搬送する搬送手段16と、画像記録部14によって画像が記録された記録媒体Pが排出される記録媒体排出部18と、を備えている。
【0125】
画像記録部14は、液滴を吐出する液滴吐出ヘッドの一例として、インク滴を吐出して記録媒体に画像を記録する液滴吐出装置(以下、「インクジェットヘッド」という)10Y、10M、10C、10Kを備えている。なお、インクジェットヘッド10Y、10M、10C、10Kを総称する場合に、「インクジェットヘッド10Y〜10K」と示す場合がある。
【0126】
また、インクジェットヘッド10Y〜10Kは、ノズル(図示省略)が形成されたノズル面22Y〜22Kをそれぞれ有している。このノズル面22Y〜22Kは、インクジェット記録装置1での画像記録が想定される記録媒体Pの最大幅と同程度か、又はそれ以上の記録可能領域を有している。
【0127】
さらに、インクジェットヘッド10Y〜10Kは、記録媒体Pの搬送方向の下流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色の順で並列に並べられており、その各色に対応したインク滴を、圧電方式によって、複数のノズルから吐出し、画像を記録する構成となっている。なお、インクジェットヘッド10Y〜10Kにおいて、インク滴を吐出させる構成は、サーマル方式等の他の方式によって吐出させる構成であってもよい。
【0128】
インクジェット記録装置1には、液体を貯留する貯留部として、各色のインクを貯留するメインインクタンク21Y、21M、21C、21K(以下、21Y〜21Kと示す)が設けられている。このメインインクタンク21Y〜21Kから、各インクジェットヘッド10Y〜10Kへインクが供給される。なお、インクジェットヘッド10Y〜10Kへ供給されるインクとしては、水性インク、油性インク、溶剤系インク等、各種インクの使用が可能である。
【0129】
搬送手段16は、記録媒体収容部12内の記録媒体Pを1枚ずつ取り出す取出ドラム24と、画像記録部14のインクジェットヘッド10Y〜10Kへ記録媒体Pを搬送しその記録面(表面)をインクジェットヘッド10Y〜10Kに対面させる搬送体としての搬送ドラム26と、画像が記録された記録媒体Pを記録媒体排出部18へ送り出す送出ドラム28と、を有している。そして、取出ドラム24、搬送ドラム26、送出ドラム28は、それぞれ記録媒体Pがその周面に静電的吸着手段、或いは吸引や粘着などの非静電的吸着手段によって保持されるように構成されている。
【0130】
また、取出ドラム24、搬送ドラム26、送出ドラム28には、それぞれ記録媒体Pの搬送方向下流側端部を挟んで保持する保持手段としてのグリッパー30が、例えば2組ずつ備えられており、これら3個のドラム24、26、28は、それぞれその周面に記録媒体Pを、グリッパー30によってこの場合は2枚まで保持可能に構成されている。そして、グリッパー30は、各ドラム24、26、28の周面に2つずつ形成された凹部24A、26A、28A内に設けられている。
【0131】
具体的には、各ドラム24、26、28の凹部24A、26A、28A内の予め定められた位置に、各ドラム24、26、28の回転軸32に沿って回転軸34が支持されており、この回転軸34には、その軸方向に間隔をおいて複数のグリッパー30が固定されている。したがって、回転軸34が、図示しないアクチュエーターによって正逆両方向に回転することにより、グリッパー30が各ドラム24、26、28の周方向に沿って正逆両方向に回転し、記録媒体Pの搬送方向下流側端部を挟んで保持したり、離したりするようになっている。
【0132】
つまり、グリッパー30は、その先端部が各ドラム24、26、28の周面から若干突出するように回転することで、取出ドラム24の周面と搬送ドラム26の周面とが対面する受渡位置36において、取出ドラム24のグリッパー30から搬送ドラム26のグリッパー30へ記録媒体Pを受け渡すようになっており、搬送ドラム26の周面と送出ドラム28の周面とが対面する受渡位置38において、搬送ドラム26のグリッパー30から送出ドラム28のグリッパー30へ記録媒体Pを受け渡すようになっている。
【0133】
また、インクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド10Y〜10Kをメンテナンスするメンテナンスユニット(図示省略)を備えている。メンテナンスユニットは、インクジェットヘッド10Y〜10Kのノズル面を覆うキャップ、予備吐出(空吐出)された液滴を受ける受け部材、ノズル面を清掃する清掃部材、ノズル内のインクを吸引するための吸引装置等を有しており、メンテナンスユニットがインクジェットヘッド10Y〜10Kに対向する対向位置に移動し、各種のメンテナンスを行う。また、メンテナンスユニットには後述する洗浄液が供給される。
【0134】
次に、インクジェット記録装置1の画像記録動作について説明する。
【0135】
記録媒体収容部12から取出ドラム24のグリッパー30により1枚ずつ取り出されて保持された記録媒体Pは、取出ドラム24の周面に吸着されつつ搬送され、受渡位置36において、取出ドラム24のグリッパー30から搬送ドラム26のグリッパー30へ受け渡される。
【0136】
搬送ドラム26のグリッパー30により保持された記録媒体Pは、その搬送ドラム26に吸着されつつインクジェットヘッド10Y〜10Kの画像記録位置まで搬送され、そのインクジェットヘッド10Y〜10Kから吐出されるインク滴により、記録面に画像が記録される。
【0137】
記録面に画像が記録された記録媒体Pは、受渡位置38において、搬送ドラム26のグリッパー30から送出ドラム28のグリッパー30へ受け渡される。そして、送出ドラム28のグリッパー30により保持された記録媒体Pは、その送出ドラム28に吸着されつつ搬送され、記録媒体排出部18へ排出される。以上のように、一連の画像記録動作が行われる。
【0138】
メインインクタンク21Y〜21Kには、液体供給装置40が接続される。液体供給装置40は、メインインクタンク21Y〜21Kやメンテナンスユニットにインクや洗浄液を供給する。
【0139】
−液体供給装置−
図2は、液体供給装置40を全体的に示す斜視図である。
液体供給装置40は三段の棚状の筐体41と、筐体41に備えられる5個のタンクユニット42Y,42M,42C,42K,42Wから構成される。尚、タンクユニット42Y,42M,42C,42K,42Wを総称する場合に、「タンクユニット42Y〜42W」と示す場合がある。タンクユニット42Y〜42Wはそれぞれ略立方体を呈する。
【0140】
タンクユニット42Y,42M,42C,42Kはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインクを充填しており、タンクユニット42Wは洗浄液を充填している。タンクユニット42Y〜42Wは筐体41の台座44から着脱自在であり、液体を供給先に供給する交換式の供給タンクである。
【0141】
筐体41の中段の台座44には、タンクユニット42Yとタンクユニット42Mが設けられる。筐体41の上段の台座44には、タンクユニット42Cとタンクユニット42Kとタンクユニット42Wが設けられる。タンクユニット42Yはメインインクタンク21Yに、タンクユニット42Mはメインインクタンク21Mに、タンクユニット42Cはメインインクタンク21Cに、タンクユニット42Kはメインインクタンク21Kに、タンクユニット42Wはメンテナンスユニットにそれぞれ対応する配管を介して接続されている。
【0142】
各タンクユニット42Y〜42Wは、それぞれの接続先(供給先)であるメインインクタンク21Y〜21Kやメンテナンスユニットよりも重力方向において上方に設けられ、水頭差によってインクまたは洗浄液を接続先に供給する。
【0143】
筐体41の台座44には、各タンクユニット42Y〜42Wに対応して操作レバー48Y,48M,48C,48K,48Wが設けられる。操作レバー48Y,48M,48C,48K,48Wはタンクユニット42Y〜42Wの交換時に作業者によって上下方向に操作される。
【0144】
筐体41の右側上部付近には操作盤50が取り付けられる。操作盤50には、操作スイッチ52と複数の表示灯54が備えられる。メインインクタンク21Y〜21Kいずれかのインクまたはメンテナンスユニットの洗浄液の液量が予め定められた量まで減少したとき、対応する表示灯54が点灯し、操作者にタンクユニット42Y〜42Wの交換が促さられる。
【0145】
以下、各タンクユニット42Y〜42Wの構成や操作レバー48Y〜48Wの構成は同一であるので、1つのタンクユニット42Y及び操作レバー48Yについて具体的に説明する。尚、符号の添え字「Y」も適宜省略する。
【0146】
図3は、図2に示す台座44の内部について操作レバー48を中心に示す側面図である。尚、図3の(a)は操作レバー48が下方に位置する状態を示し、図3の(b)は操作レバー48が上方に位置する状態を示す。
【0147】
操作レバー48は、2つのレバーアーム60を有している(1つは不図示)。各レバーアーム60は回転軸62を介して台座44に支持されており、操作レバー48は回転軸62を中心に回転操作自在とされる。レバーアーム60には、長孔64や後述する係合ピン66と係合するための切り欠き溝68が形成される。この切り欠き溝68は、回転軸62を中心とした円周に沿って形成されており、係合ピン66との係合状態においてタンクユニット42を取り外すことを禁止する構成となっている。
【0148】
以上のような操作レバー48には、台座44の内部であってタンクユニット42に対向する位置に配置された穿孔部70が接続されている。穿孔部70は、操作レバー48の操作位置に応じて上下に動作させられる。具体的には、穿孔部70はレバーアーム60の間に配置されており、穿孔部70の両側端に設けられる側端ピン72をレバーアーム60に形成された長孔64にはめ込む形で操作レバー48に接続されており、穿孔部70は操作レバー48の回転操作に応じて、穿孔部70の側面に設けられた、図示しない2個の門状のガイド部材に沿って上下に移動させられる。
【0149】
後述するように、穿孔部70が操作レバー48によって上方に動作されるとタンクユニット42に挿入され(差し込まれ)、穿孔部70によってタンクユニット42が開封され、タンクユニット42から液体(インク)が排出される。
【0150】
図4は、穿孔部70の構成を示す断面図である。
穿孔部70は、ベース部材74と、ベース部材74の凹部74Aに設けられると共に上方に向けて開口し、当該開口を囲む囲み部材76と、囲み部材76の内部に設けられる受け部材78と、受け部材78の内部に配置される穿孔具80から構成される。
【0151】
囲み部材76は、ベース部材74に対してねじ82で固定される。囲み部材76の底面の中央には、孔が予め設けられる。また、ベース部材74の凹部74Aの底面の中央にも囲み部材76の孔よりも一回り小さい孔が予め設けられる。
【0152】
受け部材78は、ゴム材からなると共に大略管状を呈し、管部84と、管部84の一端から外方に伸びる受け部86を備える。管部84の他端はベース部材74の凹部74Aの底に密着させられると共に、受け部86は囲み部材76の底に密着させられる。ベース部材74の凹部74Aに形成された孔には、液体の供給先と接続するための配管46の一端が接続される。穿孔具80の基部は配管46の端面に取り付けられ、穿孔具80はその先端部が上方を向いた状態で固定される。
【0153】
図5は、穿孔具80の構成を具体的に示す構成図である。図5(a)は穿孔具80の分解図を示し、図5(b)は穿孔具80の断面図を示す。
【0154】
穿孔具80は、2枚の板を互いに直角に組み合わせて形成される。具体的には、2枚の板の内の一方の板はその基部側から延びる溝を有し、他方の板はその先端側から延びる溝を有し、それら溝を互いに他方の板に挿入して組み合わせることで穿孔具80が形成される。各板同士は組み合わされた後、溶接あるいは接着材などで固定される。図示の如く、穿孔具80の先端側においては先端中心に向けて傾斜される傾斜部80Aが形成されると共に、断面視においては放射状、具体的には十文字状を呈する。即ち、穿孔具80は全体として十字針状を呈する。
【0155】
そして、このような穿孔具80は、穿孔部70が操作レバー48によって上方に動作されるとタンクユニット42に差し込まれる。
【0156】
−カートンユニット−
次に、カートンユニット90について説明する。図6は、カートンユニット90の構成を示す斜視図である。
【0157】
カートンユニット90は、略立方体状を呈している。このカートンユニット90は、本実施形態に係る画像形成用液体カートリッジ110と、その液パック113を収容するカートン(紙箱)112とから構成されている。
【0158】
画像形成用液体カートリッジ110は、液パック113と、キャップ部94とを備えている。液パック113は、柔軟性を有し、例えばポリエチレンからなる略立方体状を呈しており、液体(インク)を収容している。液パック113には、液体を充填する口部114が形成されている。この口部114には、キャップ部94が接続されており、カートン112にはそのキャップ部94を露出させるための開口116が設けられる。
なお、液パック113をカートン112に収容した上でカートンアダプタ92に装着するのは、液パック113をカートン112に収容した状態の方が液パック113のみの状態よりも取り扱いが平易であり、液パック113のカートンアダプタ92への装着が容易となるからである。
また、液パック113には、キャップ部94以外の空気孔などは設けられておらず、液パック113は液体の排出に伴ってつぶれるようになっている。
【0159】
図7は、本実施形態に係る画像形成用液体カートリッジ110のキャップ部94の構成を示す断面図であり、キャップ部94が口部114に接続(打栓)される前の状態を示す図である。図8は、キャップ部94の構成を示す断面図であり、キャップ部94が口部114に接続(打栓)された後の状態を示す図である。
【0160】
キャップ部94は、インクが充填された液パック113の口部114に打栓されて接続される。このキャップ部94は樹脂材からなり、防塵キャップ120と、キャップ本体122と、を主に備える。
【0161】
防塵キャップ120は、キャップ本体122の外側先端に取り付けられ、カートンユニット90の輸送時や保管時にキャップ本体122内に塵等が入り込むことを防止するものである。したがって、カートンユニット90の使用時にはキャップ本体122から取り外される。また、防塵キャップ120は、爪部120Aを有しており、この爪部120Aをキャップ本体122に形成された係止部124に係止させることにより、防塵キャップ120がキャップ本体122から抜けることを抑制している。
防塵キャップ120の内壁とキャップ本体122の内周壁122Cとの間には、防塵キャップ120を押さえる押さえ板126と、防塵キャップ120を支える支え板128が設けられている。
【0162】
押さえ板126は、円筒状に形成されており、中心部に押さえ板126を貫通した貫通部126Aが形成されている。支え板128は、キャップ本体122の内周壁122Cに支持されており、押さえ板126と同様に、円筒状に形成され、中心部に貫通部126Aと連通する支え板128を貫通した開口部128Aが形成されている。
【0163】
同様に、キャップ本体122も、円筒状に形成されており、中心部にキャップ本体122を貫通した貫通部122Aが形成されている。キャップ本体122の内側(液パック113側)先端部の外周壁122Bには、爪部130が突設されている。爪部130は、キャップ本体122が液パック113の口部114に打栓された際に、口部114の内周壁114Aに形成された係止部132に係止される。この爪部130は、第1傾斜部130Aと第2傾斜部130Bとを備えている。第2傾斜部130Bは、第1傾斜部130Aよりも傾斜角度が大きくされ(緩やかとされ)、キャップ本体122が口部114に打栓され易くなっている。逆に、第1傾斜部130Aは、第2傾斜部130Bよりも傾斜角度が小さくされ(急とされ)、キャップ本体122が口部114から抜け難くなっている。
なお、キャップ本体122の内側先端部の外周壁122Bと、係止部132が形成された口部114の内周壁114Aとの間には、キャップ本体122の内側先端部が拡径方向へ変形可能とするスペース134が形成されている。
【0164】
また、キャップ本体122の外周壁122Bには、Oリング136が取り付けられている。このOリング136は、キャップ本体122が口部114に打栓された際に、キャップ本体122と口部114との間に形成される隙間から液漏れすることを防止する。
【0165】
また、キャップ本体122の内周壁122C中央部には、貫通部122Aを閉塞して、口部114を封止する封止膜138が設けられている。
【0166】
図9は、キャップ本体122の平面図(キャップ本体122開口部側から見た図)である。
キャップ本体122に設けられた封止膜138は、平面視が円形状とされ、その直径が穿孔具80の横幅の長さよりも大きくされている。このような封止膜138は、当該封止膜138の中心部に形成され、上述の穿孔具80の先端が当たる平面視が円形状の当り部140と、この当り部140の外周を囲いキャップ本体122に結合された囲い部142と、この囲い部142を横断して当り部140から封止膜138の外周部まで伸び、これら当り部140及び囲い部142より薄肉の第1破断部144と、を主に備えている。
【0167】
当り部140は、囲い部142の表面よりへこんで、裏面から突出している。
また、第1破断部144の形状は、穿孔具80の形状と異なるように形成されており、本実施形態では、第1破断部144は、封止膜138を平面視したとき略S字の曲線状の溝部とされ、放射状に3本形成されている。
【0168】
このような第1破断部144の一端には、封止膜138に破断誘導部146が繋がっている。破断誘導部146は、当り部140と囲い部142との間に形成され、当り部140と囲い部142を接続している。この破断誘導部146は、これら当り部140及び囲い部142よりも薄肉とされ、第1破断部144の破断を誘導する。また、破断誘導部146は、封止膜138を平面視したとき輪状の溝部とされている。すなわち、当り部140が外周に形成された溝部から上(キャップ本体122開口部側)に突出した形となる。
なお、第1破断部144の肉厚は、破断誘導部146の肉厚と同一である。
【0169】
第1破断部144の厚みとしては、0.1mm以上0.5mm以下の範囲であることが好ましい。第1破断部の厚みが0.1mmを下回ると、薄すぎるために落下させる等して外力が加わったときの衝撃強度が足らず、内容物が漏れ出るおそれがある。また、第1破断部の厚みが0.5mmを超えると、穿孔時に破断し難くなるばかりか、尿素の分解により発生したガスが透過し難くなり、尿素を含む液体を収容した場合の容器形状を維持することができない。
第1破断部144の厚みは、上記同様の理由から、0.1mm以上0.4mm以下の範囲が好ましく、0.2mm以上0.3mm以下の範囲が特に好ましい。
【0170】
また、上記厚みに調整してガス透過性を確保するためには、第1破断部の材質は、ポリオレフィンが望ましく、その中ではポリエチレンが好ましい。
【0171】
更に、ガス透過性を確保するには、第1破断部144の溝部の幅長も関係してくるが、第1破断部144の厚みの範囲では、幅長は0.01mm〜2.0mm程度とすることが、衝撃強度との両立を実現する観点から好ましい。
【0172】
一方、第1破断部144の他端には、第2破断部148が繋がっている。第2破断部148は、封止膜138の外周部に沿って形成され、当り部140及び囲い部142よりも薄肉とされている。また、第2破断部148は、封止膜138を平面視したとき所定の間隔をあけて形成された輪状の溝部とされている。
【0173】
次に、本実施形態に係る画像形成用液体カートリッジ110の作用について説明する。
図10は、本実施形態に係る画像形成用液体カートリッジ110の作用を説明する図であり、(a)は封止膜138が穿孔具80によって穿孔される前の様子を示す図であり、(b)は穿孔された後の様子を示す図である。なお、図10(b)の封止膜138の穿孔状態は、模式的に表したものであり、実際の穿孔状態とは異なる。
【0174】
本実施形態に係る画像形成用液体カートリッジ110の封止膜138は、図10(a)及び(b)に示すように、穿孔具80によって穿孔される。ここで、封止膜138を穿孔具80で穿孔する際、この穿孔具80が図9に示す封止部の中心部に形成された当り部140に当たることで、その当り部140に応力が集中する。このため、封止膜138より薄肉の第1破断部144において封止膜138の外周部側まで当り部140から応力が伝わり易くなり、第1破断部144全体を破断させることができ、もって封止膜138の開口面積を大きくすることができる。
【0175】
また、当り部140の外周には、封止膜138より薄肉とされ、第1破断部144と繋がり当該第1破断部144の破断を誘導する破断誘導部146が形成されているので、当り部140に集中した応力が、そのまま当り部140の外周に形成された、封止膜138(当り部140及び囲い部142)より薄肉の破断誘導部146に伝わって、当該破断誘導部146が破断する。そして、この破断によって、破断誘導部146に繋がる第1破断部144の破断を誘導することができる。
また、この破断誘導部146が当り部140の外周に形成されているので、当り部140へ穿孔具80をガイドすることもできる。
【0176】
また、当り部140は、封止膜138(囲い部142)の表面よりへこんで、裏面から突出しているので、穿孔具80の先端が封止膜138の表面よりも中に入り込んで当り部140に当るので、穿孔具80のずれを小さくすることができる。また、当り部140は裏面から突出しており、肉厚となっているため、穿孔具80が当り部140を突き抜けることがない。
【0177】
また、第1破断部144が略S字の曲線状の溝部とされているので、第1破断部の長さが例えば直線状の溝部とされた場合に比べて長くなり、破断長さを増して封止膜138の開口面積を大きくすることができる。また、このような曲線状の溝部とされた第1破断部144が、封止膜138に複数本形成されているので、封止膜138の開口面積をより増やすことができる。
また、S字は、穿孔具80の形状(十文字状)と異なることとなり、封止膜138が穿孔具80に貼り付いても、第1破断部144が破断して封止膜138を開口するため、口部114から液体を外部に流出させることができる。
【0178】
また、キャップ本体122は、封止膜138の外周部に沿って形成され、第1破断部144と繋がり、封止膜138(当り部140及び囲い部142)より薄肉の第2破断部148、を備えるため、封止膜138を穿孔具80で穿孔する際、第1破断部144の破断により、第1破断部144と繋がる第2破断部148も破断することとなる。そして、第2破断部148の少なくとも一部が破断すると、封止膜138の外周部が開口するので、穿孔具80を封止膜138から抜くときに、穿孔具80との接触抵抗を減らすことができ、封止膜138の擦れクズの発生を防止できる。
【0179】
また、第2破断部148を複数設けることにより、穿孔具80との接触抵抗を減らしつつ、これら複数の第2破断部148間で所定の間隔をあけることにより、封止膜138の外周部で破断しない箇所、すなわち封止膜138とキャップ本体122の結合箇所を残すことができ、封止膜138がキャップ本体122から剥がれ落ちることを防止することができる。
【0180】
また、キャップ部94は、口部114に打栓される構成であるため、キャップ部94の構成をシンプルにすることができるとともに、一般的な螺子キャップが必要とするトルク管理等の煩雑な作業がなくてもキャップ部94と口部114との確実な嵌合いを実現することができる。
【0181】
また、キャップ部94は、筒体のキャップ本体122と、キャップ本体122の外周壁122Bに突設された爪部130を備え、爪部130は口部114の内周壁114Aに形成された係止部132に係止されるので、液圧によりキャップ部94が口部114から抜けることを防止することができる。
【0182】
また、係止部132が形成された口部114の内周壁114Aには、筒体とされたキャップ本体122の先端が拡径方向へ変形可能とするスペース134が形成されているので、例えば衝撃による内圧上昇でキャップ本体122の先端が拡径方向へ変形し、さらに爪部130と係止部132の係止が高まる。これにより、キャップ部94が口部114から抜けることを防止することができる。
【0183】
なお、画像形成用液体カートリッジ110にインクが充填されてなる印刷用液体充填済み容器は、インクを充填する口部114が形成された液パック113を用意するステップと、液パック113にインクを充填するステップと、口部114に上述のようなキャップ部94を打栓するステップと、によって製造され得る。
【0184】
次に、上記実施形態とは別の他の実施形態について説明する。
図11は、本発明の他の実施形態に係る画像形成用液体カートリッジのキャップ部の構成を示す断面図である。
【0185】
本発明の他の実施形態に係る画像形成用液体カートリッジ200は、前記実施形態に係る画像形成用液体カートリッジ110の構成と同様であるが、キャップ部94の支え板128の代わりとして弾性封止部材202を備えている。
【0186】
弾性封止部材202は、キャップ部94の内部で封止膜138よりもキャップ部94の開口部側に取り付けられており、封止膜138と共に口部114を封止するものであるが、封止膜138と異なり、後述するように封止膜138を穿孔した後も口部114を封止することができるものである。
【0187】
弾性封止部材202と封止膜138との間の距離L1は、封止膜138から穿孔具80を抜くタイミングと、弾性封止部材202から穿孔具80を抜くタイミングとの時間差をつけるという点で長い方が好ましく、例えば10.0mmである。封止膜138とキャップ本体122の内側先端(画像形成用液体カートリッジ200側)との間の距離L2は、特に限定されないが、例えば14.3mmである。
なお、封止膜138近辺の貫通部122Aの直径R1は、例えば21.4mmであり、押さえ板126により形成される貫通部126Aの直径R2は、例えば15.5mmである。
【0188】
図12は、弾性封止部材202の正面図である。
弾性封止部材202は、シリコーンゴムからなり、弾性を有すると共に円盤状を呈する。弾性封止部材202の直径R3は、特に限定されないが、例えば32.0mmである。
【0189】
この弾性封止部材202の円状面の中央には、一側から他側に貫通する一文字状のスリット(切り込み)204が設けられる。このスリット204は、弾性封止部材202の弾性力により通常は閉じられており、当該スリット204からの液体の流出入は不可とされている。しかし、穿孔具80により封止膜138を穿孔する際、スリット204は、穿孔具80によって押し広げられて、当該スリット204からの液体の流出可能となる。
【0190】
スリット204の長さL3は、例えば20.0mmである。また、穿孔具80の横幅W1は、特に限定されないが、本実施形態では例えば15.0mmとされている。また、穿孔具80の厚みTは、例えば1.0mmである。
【0191】
次に、画像形成用液体カートリッジ200の作用について説明する。
図13は、本発明の他の実施形態に係る画像形成用液体カートリッジ200の作用を説明する図であり、(a)は穿孔具80による穿孔前の状態を示し、(b)は穿孔具80による穿孔途中の状態を示し、(c)は穿孔具80による穿孔後の状態を示す。
【0192】
図13(a)及び(b)に示すように、穿孔具80がキャップ部94の内部に挿入されると、弾性封止部材202のスリット204は穿孔具80によって矩形状に押し広げられる。なお、押し広げられる前の一文字状のスリット204の長さを上記L3とした場合、穿孔具80によって押し広げられた後の矩形状のスリット204の4辺の合計の長さは10%以内の範囲で増加し、2×L3から2×L×110%の範囲の長さとなる。
【0193】
穿孔具80によって封止膜138が突き破られると、液パック113内部の液体が下方に流出し始める。液体は穿孔具80の外壁面と矩形状に押し広げられたスリットの内壁面によって確保される空間206を通じて配管46まで導かれ、配管46を通って接続先であるメインインクタンク21に供給されることとなる。穿孔具80が注射針のように中空の針から構成され、中空部分を介して液体を排出させる場合に比べると、液体を排出させるための流路(空間206)には液体の排出を阻害するような流路壁が形成されることがなく、液体が口部近傍に溜まることがない。即ち、穿孔具80の外壁面とスリットの内壁面によって確保される流路(空間206)は液体の完全なる排出に資する構成と言える。
【0194】
図13(b)の状態から穿孔具80が口部114から引き抜かれると、弾性封止部材202のスリット204は図13(c)に示すように弾性封止部材202の弾性力により一文字状に復帰する。このため、液パック113に液体が残されていたとしても残液が漏れ出ることを防止できる。
【0195】
なお、上記では特定の実施形態の構成を中心に詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであり、例えば上述の複数の実施形態は、適宜、組み合わされて実施可能である。また、以下の変形例を、適宜、組み合わせてもよい。
【0196】
上記の実施形態では、第1破断部144は図9に示すように、溝部が破断誘導部146から3本伸びた形状を有する場合を中心に説明したが、第1破断部の溝部は3本に限られるものではなく、2本又は4本以上であってもよい。落下等の外力に対する衝撃強度を確保するとともに容器中で発生したガスの透過量を確保する観点から、輪状の破断誘導部の周囲を2本〜5本の溝部で均等に2〜5の領域に分割された形態が好ましく、2本〜3本の溝部で2〜3の均等領域に分割された形態がより好ましい。
例えば輪状の破断誘導部の周囲に2本の溝部を設けて封止膜138が2つの均等領域に分割される場合、図14に示すように、第1破断部144は、溝部が破断誘導部146から2本伸びた形態を有する形状に構成される。
【0197】
例えば、上記の実施形態では、液パック113をカートン112に収容した上でカートンアダプタ92に装着させるように構成したが、カートン112を用いることなく液パック113を直接カートンアダプタ92に装着させるようにしてもよい。
【0198】
また、第1破断部144の肉厚は、破断誘導部146の肉厚と同一である場合を説明したが、第1破断部144の肉厚を、破断誘導部146の肉厚よりも厚くしてもよい。これにより、当り部140に集中した応力で、第1破断部144よりも先に破断誘導部146を破断させ、確実に第1破断部144の破断を誘導することができる。
逆に、第1破断部144の肉厚を、破断誘導部146の肉厚よりも薄くすることもできる。これにより、破断誘導部146が全て破断して当り部140が剥がれ落ちることを防止することができる。
【0199】
また、当り部140は、囲い部142の表面より凹んで、裏面から突出している場合を説明したが、当り部140と囲い部142との表面差は無くてもよいし、逆に、囲い部142の裏面より凹んで、表面から突出していてもよい。表面から突出していると、穿孔具80が当り部140に最初にあたることを確実とすることができる。
【実施例】
【0200】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0201】
(実施例1)
[インクの調製]
−水不溶性ポリマー1の合成−
攪拌機及び冷却管を備えた1000mlの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加え、窒素雰囲気下で72℃に加熱した。これに、メチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.86g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、及びメチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応させた後、メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.40gを溶解した溶液を加え、80℃に昇温し、4時間加熱した。得られた反応溶液を大過剰量のヘキサンに2回再沈殿させ、析出した樹脂を乾燥させることにより、96gの水不溶性ポリマー1を得た。
得られた水不溶性ポリマーの組成をH−NMRにより確認した。また、GPCにより求めた重量平均分子量(Mw)は、43300であった。更に、JIS規格(JIS K 0070:1992)に記載の方法で水不溶性ポリマーの酸価を求めたところ、64.6mgKOH/gであった。
【0202】
−樹脂被覆マゼンタ顔料分散体の調製−
以下に示す組成中の成分を混合し、ビーズミルでφ0.1mmジルコニアビーズを用いて3〜6時間分散した。続いて、得られた分散体を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、マゼンタ顔料の濃度が15.0質量%である樹脂被覆マゼンタ顔料分散体を調製した。
<樹脂被覆マゼンタ顔料分散体の組成>
・C.I.ピグメント・レッド122顔料粉末 ・・・10.0部
(Cromophtal Jet Magenta DMQ、チバ・ジャパン社製;マゼンタ顔料)
・前記水不溶性ポリマー1(水不溶性樹脂) ・・・4.0部
・メチルエチルケトン(有機溶剤) ・・・30.5部
・1mol/lNaOH水溶液(中和剤) ・・・5.6部
・イオン交換水 ・・・98.7部
【0203】
−ポリマー分散体の調製−
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。反応容器内温度を75℃に保ちながら、メチルメタクリレート158.4g、メトキシエチルアクリレート54.0g、ベンジルメタクリレート126.0g、メタクリル酸21.6g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬工業(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、これに「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で3時間攪拌した後、さらに「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、85℃に昇温して、さらに2.5時間攪拌を続けることにより、重合体溶液を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、68000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出、使用カラムはTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製))であった。
次に、得られた重合体溶液668.3gを秤量し、イソプロパノール388.3g、1モル/LのNaOH水溶液145.7ml(中和度60%)を加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次に、蒸留水720.1gを20ml/minの速度で滴下し、水分散化した。その後、大気圧下にて反応容器内温度80℃で2時間、85℃で2時間、90℃で2時間保った後、反応容器内を減圧し、イソプロパノール、メチルエチルケトン、及び蒸留水を合計で913.7g留去し、以下に示す固形分濃度28.0%のポリマー分散体Cを得た。なお、以下に示すポリマー分散体C中の各構成単位の右下に付した数字は「質量比」を表す。
【0204】
【化5】

【0205】
−マゼンタインクの調製−
上記で得られた分散体を用いて、下記に示す組成を有するインクを調液し、さらに0.2μmのメンブレンフィルターで濾過することにより、インクM−1を調製した。
<インクM−1の組成>
・前記樹脂被覆マゼンタ顔料分散体 ・・・5質量%(マゼンタ顔料の固形分)
・サンニックスGP−250 ・・・10質量%
(ニューポールGP−250 三洋化成工業(株)製)
・トリエチレングリコールモノメチルエーテル・・・3質量%
・ジプロピレングリコール ・・・5質量%
・前記ポリマー分散体C ・・・7質量%(共重合体の固形分)
・EM46D(カルナバワックス) ・・・1質量%
・尿素 ・・・5質量%
・オルフィン E1010 ・・・0.5質量%
(ノニオン系界面活性剤、日信化学工業(株)製)
・プロキセルXL2 ・・・0.3質量%
(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、AVECIA社製)
・イオン交換水 ・・・残量
【0206】
得られたインクM−1のpHを測定したところ、8.5であった。pHの測定は、東亜DKK(株)製のpHメータWM−50EGを用い、水性インクを原液のまま25℃±1℃にて行なった。
【0207】
また、前記インクM−1の調製において、尿素の添加量を下記表1に示すように変更したこと以外は、インクM−1の調製と同様にして、複数のインクを調製すると共に、各インクに対して上記同様の方法でpHを測定した。測定結果を下記表1に示す。
【0208】
[画像形成装置の準備]
画像形成装置として、図1〜図10に示す構造と同様の構成を有するインクジェット記録装置を準備した。
上記より得られたマゼンタ色のインクM−1を、図6に示す構造を有するポリエチレン製の画像形成用液体カートリッジ110に充填し、これをカートン(紙箱)112に収容してインクカートリッジ(画像記録用液体カートリッジ)90を作製した。このインクカートリッジは、インクジェット記録装置におけるカートリッジアダプタ92に装着され、タンクユニット42を構成している。また、インクカートリッジ90のキャップ本体122に設けられた封止部138には、第1破断部の例として、溝幅0.5mm、及び下記表1に示す数及び肉厚を有する溝部が設けられている。
【0209】
[評価]
作製されたインクカートリッジ及びこれを装着したインクジェット記録装置について、以下に示す試験、評価を行なった。試験、評価の結果は、下記表1に示す。
【0210】
−1.容器膨張性−
調製したインクM−1を1200mlのポリエチレン製の画像形成用液体カートリッジに充填した後、キャップを圧力を掛けて栓をした。その後、この容器の高さ方向(図6のY方向)中央部における幅長Wをノギスで測り、その後60℃の恒温条件下に1ヶ月間保管した。保管後、この容器の同じ場所の幅長Wをノギスで測り、増加率(%;=W/W×100)を算出して容器膨張の程度を評価した。
容器の膨張は、外観、積荷したときの荷崩れや破損などの点で、3%以下に抑えられていると良好であり、製品品質上は2%以下に抑えられていることが望ましい。
【0211】
−2.落下試験−
10Lの成型液体容器フジテーナー(登録商標;藤森工業社製)に水を10L入れ、図8〜図10と同様の構造を有するキャップで栓をし、専用の段ボールに収納した。これを高さ1.5mの位置から5回落下させる落下試験を行ない、試験後のキャップの破損状況を目視にて確認し、下記の評価基準にしたがって評価した。落下試験は、キャップ部の強度をみるための試験であり、内容物としてインクの代わりに水を入れて行なった。
<評価基準>
○:5回落下させても破損はみられなかった。
△:4〜5回の落下回数で破損し、内容物が漏れ出た。
×:3回以内の落下回数で破損し、内容物が漏れ出た。
【0212】
−3.拭き取り性−
充分に洗浄したスライドガラス上に10μlのインク滴を形成し、40℃で3時間乾燥させた。綿ガーゼに純水を含ませ、水が垂れない程度に絞った後、200g/cmの荷重を掛けて乾燥したインク滴を拭き取り、下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:スライドガラス上にインクの形状が認識できない程度まで拭き取れた。
B:スライドガラス上にインクが僅かに残るが、インクのほとんどはガーゼに付着した。
C:スライドガラス上にインクがほとんど残り、ガーゼへのインク付着は僅かしか得られなかった。
D:ほとんどインクを拭き取ることができなかった。
【0213】
【表1】

【0214】
(実施例2)
実施例1で調製したインクM−1(尿素添加量=5質量%)について、47質量%硫酸あるいは50質量%水酸化ナトリウムを用いて下記表2に示すようにpHを調整したこと以外は、前記インクM−1の調製と同様にして、pHの異なる各インクを調製すると共に、試験、評価を行なった。試験、評価の結果は、下記表2に示す。
【0215】
【表2】

【0216】
(実施例3)
実施例1で調製したインクM−1について、マゼンタ顔料分散体5質量%(マゼンタ顔料の固形分)を、以下に示す各色の分散体に代えたこと以外は、前記インクM−1の調製と同様にして、顔料種の異なるインクK−1、C−1、Y−1をそれぞれ調製した。
【0217】
また、調製したインクK−1、C−1、Y−1のそれぞれに対し、実施例1〜2と同様の試験、評価を行なった。
試験、評価を行なった結果、実施例1〜2とほぼ同様の効果を奏することを確認した。
【0218】
−インクK−1の調製−
上記のインクM−1の調製において、樹脂被覆マゼンタ顔料分散体5質量%(マゼンタ顔料の固形分)を、下記の樹脂被覆カーボンブラック分散体2質量%(カーボンブラックの固形分)及び樹脂被覆シアン顔料分散体0.5質量%(シアン固形分)に代えたこと以外は、インクM−1の調製と同様にして、インクK−1を調製した。
≪樹脂被覆カーボンブラック分散体の調製≫
前記樹脂被覆マゼンタ顔料分散体の調製において、マゼンタ顔料PB15:3顔料粉末を同量(10.0部)のカーボンブラック(NIPEX180−IQ、degussa社製)に代えたこと以外は、樹脂被覆マゼンタ顔料分散体の調製と同様にして、樹脂被覆カーボンブラック分散体を調製した。
≪樹脂被覆シアン顔料分散体の調製≫
前記樹脂被覆マゼンタ顔料分散体の調製において、マゼンタ顔料PB15:3顔料粉末を同量(10.0部)のPB15:3顔料粉末(大日精化社製、フタロシアニンブルーA220)に代えたこと以外は、樹脂被覆カーボンブラック分散体の調製と同様にして、樹脂被覆シアン顔料分散体を調製した。
【0219】
−インクC−1の調製−
上記のインクM−1の調製において、樹脂被覆マゼンタ顔料分散体5質量%(マゼンタ顔料の固形分)を、前記樹脂被覆シアン顔料分散体3質量%(シアン固形分)に代えたこと以外は、インクM−1の調製と同様にして、インクC−1を調製した。
【0220】
−インクY−1の調製−
上記のインクM−1の調製において、樹脂被覆マゼンタ顔料分散体5質量%(マゼンタ顔料の固形分)を、下記の樹脂被覆イエロー顔料分散体4.5質量%(イエロー固形分)に代えたこと以外は、インクM−1の調製と同様にして、インクY−1を調製した。
≪樹脂被覆イエロー顔料分散体の調製≫
前記樹脂被覆イエロー顔料分散体の調製において、マゼンタ顔料PB15:3顔料粉末を同量(10.0部)のピグメント・イエロー74(イエロー顔料)に代えたこと以外は、樹脂被覆マゼンタ顔料分散体の調製と同様にして、樹脂被覆シアン顔料分散体を調製した。
【符号の説明】
【0221】
1・・・インクジェット記録装置(画像形成装置)
80・・・穿孔具
94・・・キャップ部
110・・・画像形成用液体カートリッジ
113・・・液パック
114・・・口部
122・・・キャップ本体
122B・・・外周壁
130・・・爪部
132・・・係止部
134・・・スペース
138・・・封止膜
140・・・当り部
144・・・第1破断部
146・・・破断誘導部
148・・・第2破断部
200・・・画像形成用液体カートリッジ
202・・・弾性封止部材(弾性封止部)
204・・・スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成用液体を給排する口部が形成された容器本体と、
前記口部に接続されたキャップ部と、
前記キャップ部に設けられ、前記口部を封止する封止部と、
前記封止部の中心部に形成され、前記封止部を穿孔する穿孔具が当たる当り部と、
前記当り部から前記封止部の外周部まで伸び、厚みが0.1mm以上0.5mm以下であって前記封止部より薄肉の第1破断部と、
前記容器本体に収容され、着色剤と尿素と水とを少なくとも含み、pHが7.5以上の画像形成用液体と、
を備えた画像形成用液体カートリッジ。
【請求項2】
前記第1破断部は、前記当り部から前記封止部の外周部まで伸びた2以上の薄肉部を含む請求項1に記載の画像形成用液体カートリッジ。
【請求項3】
前記尿素の前記画像形成用液体中における含有割合が、画像形成用液体の全質量に対して1.0質量%以上10.0質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の画像形成用液体カートリッジ。
【請求項4】
前記当り部の外周には、前記封止部より薄肉とされ、前記第1破断部と繋がり前記第1破断部の破断を誘導する破断誘導部が形成されている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成用液体カートリッジ。
【請求項5】
前記当り部は、前記封止部の表面より凹んで、裏面から突出している請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成用液体カートリッジ。
【請求項6】
前記第1破断部は、前記封止部を平面視したとき曲線状の溝部とされている請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像形成用液体カートリッジ。
【請求項7】
前記第1破断部は、前記封止部を平面視したときS字状の溝部とされている請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成用液体カートリッジ。
【請求項8】
更に、前記封止部の外周部に沿って所定の間隔をあけて複数形成され、前記第1破断部と繋がった前記封止部より薄肉の第2破断部を備えた請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の画像形成用液体カートリッジ。
【請求項9】
前記キャップ部は、前記口部に打栓されている請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の画像形成用液体カートリッジ。
【請求項10】
前記封止部よりも前記キャップ部の開口部側に設けられ、スリットが形成された弾性封止部を備えた請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の画像形成用液体カートリッジ。
【請求項11】
前記キャップ部は、筒体と、前記筒体の外周壁に突設された爪部とを備え、前記爪部は前記口部の内周壁に形成された係止部に係止されている請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の画像形成用液体カートリッジ。
【請求項12】
前記係止部が形成された前記口部の内周壁には、前記筒体の先端が拡径方向へ変形可能とするスペースが形成されている請求項11に記載の画像形成用液体カートリッジ。
【請求項13】
請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の画像形成用液体カートリッジと、
前記画像形成用液体カートリッジにおける第1破断部の形状と異なる形状を有し、封止部を穿孔する穿孔具と、
を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−171151(P2012−171151A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33988(P2011−33988)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】