説明

画像記録用組成物、及び記録装置

【課題】官能基を有するウレタンプレポリマーを含まない画像記録用組成物を用いた場合に比べて、画像記録用組成物により形成された被硬化層の硬化後の層における、可とう性の向上された画像記録用組成物を提供する。
【解決手段】吸液成分と、紫外線硬化性モノマーと、界面活性剤と、官能基を有するウレタンプレポリマーと、を含有した画像記録用組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録用組成物、及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、中間転写体の表面に液体を付着させ、その液体上にインク滴を付着させてから、中間転写体上のインクを該液体とともに被印刷体へ転写する記録方法が提案されている。特許文献1では、このインク滴に先立って中間転写体上に付着される液体としては、インク滴の構成材料から染料または顔料を除いたものが用いられている。
【0003】
特許文献2では、中間転写体上に、着色剤を含む着色インクの流動性を低下させる第1材料を付与し、この材料上に着色インクを付与してインク像を形成し、記録媒体に形成される画像の耐擦過性を向上させる第2材料を付与した後に、この中間転写体上に形成されたインク像を記録媒体へ転写する記録方法が提案されている。そして、この第1材料としては、金属塩を含む液体が用いられ、第2材料としては、水溶性樹脂を含む液体が用いられている。
特許文献3では、基材の一方の面に、未硬化の電離放射線硬化樹脂組成物からなる中間転写層を設けた中間転写記録媒体を用いて、中間転写層へ任意の画像を印画し、該付かん転写層を被硬化体上へ転写移行させた後に、中間転写層の表面へ微細な凹凸を形成し、電離放射線で硬化させる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−212956号公報
【特許文献2】特開2005−170036号公報
【特許文献3】特開2006−76042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、官能基を有するウレタンプレポリマーを含まない画像記録用組成物を用いた場合に比べて、画像記録用組成物により形成された被硬化層の硬化後の層における、可とう性が向上された画像記録用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、吸液成分と、紫外線硬化性モノマーと、界面活性剤と、官能基を有するウレタンプレポリマーと、を含有した画像記録用組成物である。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記ウレタンプレポリマーが、プロピレンオキサイド構造を含む請求項1に記載の画像記録用組成物である。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記ウレタンプレポリマーが、エチレンオキサイド構造を含む請求項1または請求項2に記載の画像記録用組成物である。
【0009】
請求項4に係る発明は、官能基を有し、溶解度パラメータが9.6以下の疎水性モノマーを更に含有した請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像記録用組成物である。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記疎水性モノマーが、プロピレンオキサイド構造及びプロピレンオキサイド構造の少なくとも一方を有する請求項4に記載の画像記録用組成物である。
【0011】
請求項6に係る発明は、中間転写体と、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像記録用組成物を前記中間転写体へ供給する供給装置と、前記中間転写体上に供給された前記画像記録用組成物により形成された被硬化層に、水性溶媒を含む液滴を吐出する吐出装置と、前記液滴の吐出された前記被硬化層を前記中間転写体から記録媒体へ転写する転写装置と、前記被硬化層へ紫外線を照射する照射装置と、を備えた記録装置である。
請求項7に係る発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像記録用組成物を記録媒体へ供給する供給装置と、前記記録媒体上に供給された前記画像記録用組成物により形成された被硬化層に、水性溶媒を含む液滴を吐出する吐出装置と、前記液滴の吐出された前記被硬化層へ紫外線を照射する照射装置と、を備えた記録装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、官能基を有するウレタンプレポリマーを含まない画像記録用組成物を用いた場合に比べて、画像記録用組成物により形成された被硬化層の硬化後の層における、可とう性が向上された画像記録用組成物が提供される、という効果を奏する。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、ウレタンプレポリマーが、プロピレンオキサイド構造を含まない場合に比べて、容易に可とう性が調整される、とうい効果を奏する。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、ウレタンプレポリマーが、エチレンオキサイド構造を含まない場合に比べて、記録媒体への接着性が向上する、という効果を奏する。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、本発明における疎水性モノマーを含まない場合に比べて、画像記録用組成物の粘度上昇の抑制という効果を奏する。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、疎水性モノマーが、プロピレンオキサイド構造及びエチレンオキサイド構造を含まない場合に比べて、画像記録用組成物の可とう性が容易に調整される、という効果を奏する。
【0017】
請求項6及び請求項7に係る発明によれば、可とう性の向上された被硬化層が形成される、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態に係る記録装置の一例を示すも模式図である。
【図2】本実施の形態に係る記録装置の一例を示す模式図である。
【図3】本実施の形態に係る記録装置の一例を示す模式図である。
【図4】本実施の形態に係る記録装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施の形態の画像記録用組成物、及び記録装置について、詳細に説明する。
【0020】
<画像記録用組成物>
本実施の形態に係る画像記録用組成物は、吸液成分と、紫外線硬化性モノマーと、界面活性剤と、官能基を有するウレタンプレポリマーと、を含有した画像記録用組成物である。
【0021】
本実施の形態の画像記録用組成物によれば、官能基を有するウレタンプレポリーを含んだ構成とすることで、該画像記録用組成物によって形成された被硬化層が記録媒体に転写されて紫外線照射によって硬化された後であっても、該官能基を有するウレタンプレポリマーを含まない画像記録用組成物を用いた場合に比べて、可とう性の向上した硬化層が得られると考えられる。
【0022】
なお、本実施の形態においては、被硬化層が紫外線照射によって硬化した層を、「硬化層」と称して説明する。
【0023】
次いで、本実施形態に係る画像記録用組成物を構成する各成分について詳細に説明する。
【0024】
(官能基を有するウレタンプレポリマー)
まず、本実施の形態の画像記録用組成物に含まれる、官能基を有するウレタンプレポリマーについて説明する
【0025】
官能基を有するウレタンプレポリマーは、ウレタンプレポリマーに官能基を導入してなる。なお、「プレポリマー」とは、本実施の形態では、紫外線照射によって硬化する前の状態にある画像記録用組成物中に含まれるポリマーを示す。
この官能基を有するウレタンプレポリマーは、画像記録用組成物に含まれるモノマーに対して相溶性を示す。
【0026】
このウレタンプレポリマーとしては、ポリエステルウレタンプレポリマー、ポリエーテルウレタンプレポリマー、ポリエーテルエステルウレタンプレポリマー、ポリカーボネートウレタンプレポリマー、及び各種ジアミン、トリアミン類などによる鎖延長剤とアクリレートさらにその加水分解生成物,および置換ヒドラジンなどのほか、グリコール類で本発明のエチレングリコール、プロピレン1,3グリコール類、一部ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ネオペンンチルグリコール、メチルプロパンジオール、各種ヒドロキシメチルシクロヘキサンなどのアルキレングリコール類を併用してジオール鎖延長剤としたもの、等が挙げられる。なかでも、水性インク親和性の観点から2官能基以上のアクリレートや、メタクリレート基をもつ低分子量のポリエステルウレタンプレポリマーが望ましい。
【0027】
また、ウレタンプレポリマーの市販品としては、(東亜合成製:M1600、M1200、M1960などの2から多官能ウレタンアクリレート類、同多官能M6100,M7100などのポリエステルアクリレート類、さらにダイセルサイテック製EBECRYL12ポリエーテルトリアクリレート,ポリエステル系ウレタンアクリレート同8804,ラクトン系ウレタンアクリレート同8402等が挙げられる。
【0028】
このウレタンプレポリマーは、硬化層の可とう性を向上させる観点から、ウレタンプレポリマー主鎖に、アルキレンオキサイド構造を有することが望ましい。
このアルキレンオキサイド構造としては、具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、ペンチレンオキサイド、ヘキシレンオキサイド、これらの組み合わせたもの(ランダム、ブロックの何れに組み合わされてもよい)が挙げられ、これらのアルキレンオキサイドの繰り返し数が2以上10000以下であるポリアルキレンオキサイドであってもよい。
【0029】
これらのアルキレンオキサイド構造の中でも、ウレタンプレポリマーは、プロピレンオキサイド構造、及びエチレンオキサイド構造の少なくとも一方を含むことが望ましく、双方を含むことが更に望ましい。
【0030】
プロピレンオキサイド構造を有するウレタンプレポリマーとしては、具体的には、末端アクリレート部位をもち各種分子量の異なるPPG構造(ポリプロピレングリコール構造)をもつジオール(分子量調整範囲1000〜30000程度)と芳香族系や脂肪族系(HDI,MDI)や各種イソシアネート類(TDI,MDI,ポリメリックMDI,TDDI,IPDI,XDI,その水添物等)を反応させてウレタン結合で結んだ両末端にアクリレート基またはメタクリレートのエステル結合でリニアーな構造をもつポリエステル系ウレタンプレポリマーが挙げられる。
また、エチレンオキサイド構造を有するウレタンプレポリマーとしては、具体的には、ポリエチレンオキサイド構造をもつポリエチレングリコール(分子量1000〜30000)や、多官能イソシアネート類等が挙げられる。この多官能イソシアネート類としては、ウレタン結合性基とアクリル基またはメタクリル基との間でエステル化したものが挙げられる。エチレンオキサイド構造を有するウレタンプレポリマーにおける光反応性アクリル残基の官能基数は、2から6(2官能から6官能)まで調整されるが、架橋による高粘化の抑制の観点から、2官能から3官能性が望ましい。
さらに、プロピレンオキサイド構造と、エチレンオキサイド構造と、の双方を有するウレタンプレポリマーとしては、具体的には、上記双方のPEO(ポリエチレンオキサイド構造)とPPGユニット(ポリプロピレングリコール構造)をもつポリオール類を混合して、ブロックコポリマーウレタン成分としてプレポリマー化し、末端にアクリ反応性基を有するジオール系ウレタン化する手法が挙げられる。
なお、この、ジオール成分には、ポリエーテル成分以外に、テトラメチレン、ブタジエン、ヘキサメチレンなどのアルキル成分や、ラクトン環や、カプロラクトン環や、ポリカーボネート類等のアクリルポリオールとの反応物を混合してもよい。
【0031】
ウレタンプレポリマーにおけるプロピレンオキサイド構造の含有量を調整することで、硬化層の可とう性が容易に調整される。また、ウレタンプレポリマーにおけるエチレンオキサイド構造の含有量を調整することで、中間体ベルト間の離型性とインク親和性及び硬化層の記録媒体への接着性が容易に調整される。
【0032】
そして、ウレタンプレポリマーが、プロピレンオキサイド構造と、エチレンオキサイド構造と、の双方を有すると、ウレタンプレポリマーにおける、プロピレンオキサイド構造と、エチレンオキサイド構造と、の配合比率(モル比)を調整することにより、画像記録用組成物による被硬化層の形成される記録媒体に合わせた表面張力の調整や、該画像記録用組成物により形成された被硬化層へのインクの濡れ性に応じた表面張力の調整や、記録媒体への硬化層の接着性、該硬化層の可とう性等が容易に調整される。
【0033】
ウレタンプレポリマーにおけるプロピレンオキサイド構造の含有率は、90モル%以下が望ましく、20モル%以上50モル%以下が更に望ましい。
【0034】
また、ウレタンプレポリマーにおけるエチレンオキサイド構造の含有率は、30モル%以上100モル%以下が望ましく、50モル%以上80モル%以下が更に望ましい。
【0035】
また、ウレタンプレポリマーが、プロピレンオキサイド構造と、エチレンオキサイド構造と、の双方を有する場合には、ウレタンプレポリマーにおけるプロピレンオキサイド構造と、エチレンオキサイド構造と、のモル比は、10:1から1:10の範囲内であることが望ましく、5:5から2:8の範囲内で調整されることがさらに望ましい。
【0036】
上述のウレタンプレポリマー(官能基を含まないウレタンプレポリマー)の数平均分子量としては、ウレタンプレポリマーが、上述のアルキレンオキサイド構造を含まない場合には、1000以上30,000以下の範囲や、1000以上5000未満の範囲が挙げられる。
【0037】
一方、ウレタンプレポリマーが、上述のアルキレンオキサイド構造として、プロピレンオキサイド構造と、エチレンオキサイド構造と、の少なくとも一方を含む場合には、ウレタンプレポリマーの数平均分子量としては、1000以上30000以下の範囲1000以上5000未満の範囲が挙げられる。
【0038】
ウレタンプレポリマーが、上述のプロピレンオキサイド構造と、エチレンオキサイド構造と、の少なくとも一方を含む場合には、数平均分子量が上記範囲内とされていることで、紫外線照射による硬化時間(硬化するまでに要する時間)が画像記録用組成物に含まれる他の硬化性材料(紫外線硬化性モノマー等)に比べて遅くなることが抑制されると考えられる。
【0039】
なお、数平均分子量の測定は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される。このGPCによる数平均分子量の測定は、東ソー社製のHLC−8120GPCを使用し、カラム温度40℃、ポンプ流量0.4mL/分、検出器としてRI(GPC本体に内蔵されている)を用いる。データ処理は、あらかじめ分子量が既知の標準PEGの検量線(分子量1000以上での検量)を用いて、PEG換算分子量より分子量を得る。以下、数平均分子量の測定はこの方法による。
使用カラム:SuperAWM−H+SuperAWM−H+SuperAW3000
移動相:10mM LiBr+N−メチルピロリドン
注入量:20μl
サンプル濃度:0.1%(w/w)
【0040】
上記ウレタンプレポリマーに導入される官能基としては、紫外線硬化性の官能基(アクリル、メタクリル基)や、ビニル基なの光重合性の官能基が挙げられる。
【0041】
この紫外線硬化性の官能基としては、アクリル基、メタクリル基、エポキサクリレート及びその混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、紫外線硬化性基としては、かとう性の理由からアクリル基を用いることが望ましい。
【0042】
また、上記光反応性の官能基としては、1から多官能性アクリル残基からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、反応性と架橋密度調整の理由から2から3官能性アクリル基を用いることが望ましい。
【0043】
なお、ウレタンプレポリマーに導入される官能基は、ウレタンプレポリマー主鎖の末端に導入されていてもよく、ウレタンプレポリマー主鎖の側鎖として導入されていてもよい。また用いられるイソシアネート類の反応性を考慮して、未反応残基としてヒドロキシ基を導入しておいて、アクリル成分の反応性を調整してもよい。
【0044】
なお、本実施の形態における官能基を有するウレタンプレポリマーは、単官能であってもよく、多官能であってもよい。なお、画像記録用組成物に含まれる他の材料との相溶性の観点から、官能基の数は、1以上5以下が望ましく、2であることが更に望ましい。
【0045】
本実施の形態において用いられる、官能基を有するウレタンプレポリマーとしては、具体的には、分子量の調整されたポリエーテル成分と脂肪族ジイソシアネート成分の組み合わせでかとう性の優れる成分の等が挙げられ、中でも、ポリエーテルアクリレート成分で2から3官能性アクリル基をもつウレタンプレポリマーが望ましい。
【0046】
また、官能基を有するウレタンプレポリマーの市販品としては、東亜合成社製のM1600,東亜合成社製のM1100,1200,M6100,大阪有機化学社製のCN3211、ダイセル・サイテックのEBCRY12等が挙げられる。
【0047】
ウレタンプレポリマーに官能基を導入する方法としては、官能基を長鎖ジオールのモノマーの一部に用いる方法や、短鎖ジオールの一部に用いる方法や、ポリウレタンを重合してウレタンプレポリマーとした後、高分子反応で官能基を導入する方法などが挙げられる。またウレタン結合をもつモノマー成分と組み合わせて、例えばイソシアン酸構造のプロピレンオキサイド変性アクリレート類,エチレンオキサイド変性アクリレート類などと混合して、さらに可とう性や接着性の調整も可能である。
【0048】
本実施の形態の画像記録用組成物中における、官能基を有するウレタンプレポリマーの含有量としては、1質量%以上30質量%以下、または1質量%以上10質量%以下が挙げられる。本実施の形態の、官能基を有するウレタンプレポリマーは、分子量や、官能基の種類や数、及びその粘性等を調整することで、画像記録用組成物中において上記のような少ない添加量であっても、画像記録用組成物により形成された硬化層の、記録媒体への接着性が維持されつつ、且つ可とう性が実現されると考えられる。
【0049】
なお、官能基を有するウレタンプレポリマーの表面張力は、画像記録用組成物の粘性増加の抑制と、耐水性の低下の抑制の観点から、例えば、20mN/m以上50mN/m以下の範囲に調製されることがよい。
この表面張力は、官能基を有するウレタンプレポリマーの数平均分子量や骨格や官能基等によって調製される。
【0050】
(吸液成分)
次に、本実施の形態の画像記録用組成物に含まれる吸液成分について説明する。
【0051】
画像記録用組成物は、インク中の着色剤を固定化する材料として、インクを吸液する吸液成分を含む。この吸液成分は、吸液性材料を主成分として含む。なお「主成分」とは、全体に対し50質量%以上含む成分をいう。また吸液性材料とは、吸液性材料とインクを重量比30:100で24時間混合した後、混合液中からフィルターにより吸液性材料を取り出した時、吸液性材料の重量がインク混合前に対して5%以上増加するものである。
【0052】
吸液性材料としては、例えば樹脂(以下、吸液樹脂と称する場合がある)や、表面親インク性を持たせた無機粒子(例えば、シリカ、アルミナ、ゼオライトなど)等があげられ、用いるインクに応じて適宜選択される。
具体的には、インクとして水性インクを用いる場合は、吸液性材料として吸水材料を用いることが望ましい。また、インクとして油性インクを用いる場合は、吸液性材料として吸油材料を用いることが望ましい。
【0053】
吸水材料としては、具体的には、例えば、ポリアクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸及びその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸およびその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸およびその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、ポリマレイン酸およびその塩、スチレン−マレイン酸及びその塩から構成される共重合体等、前記それぞれの樹脂のスルホン酸変性体、それぞれの樹脂のリン酸変性体等、等が挙げられ、望ましくは、ポリアクリル酸およびその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸およびその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、が挙げられる。これら樹脂は、未架橋でも架橋されていてもよい。
【0054】
また吸油材料としては、具体的には、例えば、ヒドロキシステアリン酸、コレステロール誘導体、ベンジリデンソルビトールといった低分子ゲル化剤や、ポリノルボルネン、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン共重合体、各種ロジン類等が挙げられ、望ましくは、ポリノルボルネン、ポリプロピレン、ロジン類が挙げられる。
【0055】
吸液成分は、固体の粒子状のものでもよく、エマルジョン等のように液体が被硬化層に分散した状態のものでもよく、半溶解した状態(例えばポリマーの架橋が切れて分子鎖が伸びた状態)のものでもよい。
【0056】
吸液成分の径(体積平均粒径)は、体積平均粒径が0.05μm以上25μmの範囲であることが望ましく、0.05μm以上5μm以下がより望ましい。
【0057】
吸液成分の比重は、画像記録用組成物に含まれる硬化性材料の比重よりも、相対的に小さいほうが好ましい。吸液成分の画像記録用組成物全体に対する比率は、質量比で、1%以上60%以下が望ましく、より望ましくは10%以上50%以下であり、さらに望ましくは20%以上40%以下である。
【0058】
吸液成分が吸液性材料を含む樹脂粒子である場合、樹脂粒子の調製方法としては、例えば、吸液性材料を含む樹脂をボールミルにより粉砕する方法等が挙げられる。
【0059】
(界面活性剤)
次に、本実施の形態の画像記録用組成物に含まれる界面活性剤について説明する。
【0060】
本実施の形態の画像記録用組成物に含まれる界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、アニオン性界面活性剤、またはノニオン性界面活性剤を用いることが望ましく、ノニオン性界面活性剤が特に望ましい。
【0061】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が使用され、望ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等が用いられる。
【0062】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物等が挙げられ、望ましくは、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物が挙げられる。
【0063】
その他、ポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤や、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤、スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント等も界面活性剤として使用される。
【0064】
これらの界面活性剤は単独で使用してもよいし、混合して使用してもよい。また界面活性剤の親水性/疎水性バランス(Hydrophile− Lipophile Barance、以下「HLB」と称する)は、溶解性等を考慮すると、8以上18以下が望ましい。
【0065】
上記親水基/疎水基バランス(HLB)は、以下の式(グリフィン法)により定義される。
・HLB=20×(親水部の式量の総和/分子量)
【0066】
なお、界面活性剤は、ノニオン系でHLB制御による吸液粒子、モノマー相溶性の理由から、シリコーン成分により変性されていることが望ましい。このシリコーン成分としては、具体的には、ジメチルシロキサン誘導体で側鎖変性されPPG,PEO成分とアクリル残基をもつ光反応性ももち、ある程度の粘性も必要である等が挙げられる。これらの界面活性剤をシリコーン成分により変性する方法としては、公知の方法を用いればよい。
【0067】
シリコーン成分により変性された界面活性剤としては、ポリエチレングリコール成分及びポリプロピレングリコール成分の少なくとも一方を側鎖として有する、ジメチルシリコーンポリマーが挙げられる。
【0068】
ここで、画像記録用組成物が、シリコーン変性された界面活性剤含む場合には、画像記録用組成物により形成された被硬化層の記録媒体への転写時に、記録媒体への密着性が低下する場合があるが、ウレタンプレポリマーとして、上述したエチレンオキサイド構造を含むウレタンプレポリマーを用い、このエチレンオキサイド構造の含有率を調整することで、被硬化層の記録媒体への密着性が向上し、且つ被硬化層へのインクの濡れ性も向上すると考えられる。
【0069】
なお、界面活性剤としては、紫外線硬化性基を有する界面活性剤を用いてもよい。この紫外線硬化性基としては、上記に「紫外線硬化性を有する官能基」として挙げた官能基が挙げられる。
【0070】
本実施の形態の画像記録用組成物中における、界面活性剤の含有量は、0.1質量%以上30質量%以下が望ましく、または0.5質量%以上10質量%以下が更に望ましい。
【0071】
(紫外線硬化性モノマー)
本実施の形態の画像記録用組成物に含まれる紫外線硬化性モノマーは、紫外線硬化性基を有するモノマーであればよい。
【0072】
本実施の形態の画像記録用組成物に、上述の、官能基を有するウレタンプレポリポリマーと、紫外線硬化性モノマーと、が併用されることによって、配合分散液の粘性低下による薄膜化と反応性の制御、吸液成分との相溶性、界面活性材均一分散性、その偏在抑制という効果が得られると考えられる。
【0073】
この紫外線硬化性基としては、上記に「紫外線硬化性を有する官能基」として挙げた官能基が挙げられる。中でも、紫外線硬化性モノマーに含まれるし紫外線硬化性基としては、揮発性、反応性、かとう性の理由からメタクリル基、アクリル基が望ましい。
【0074】
この紫外線硬化性モノマーとしては、具体的には、ペンチルグリコールジアクリレート、グリシドールジメタクリレート、シアヌルトリアクリルエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、グリセリルプロポキシトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートや各種ヒドロキシアクリレート類(HEA、HEMA,HPA,GDMA,PETA)及び特殊アクリレートとしてシアヌル酸変性アクリレート誘導体、ポリエチレングリコール変性アクリレート、ポリプロピレングリコール変性アクリレート類、フェール変性EO,POアクリレート、N−ビニルピロリドン等が挙げられ、これらの中の1種または複数種類が組み合わせて用いられる。
【0075】
上記に挙げた紫外線硬化性モノマーの中でも、反応性とウレタンプレポリマー相溶性、及び粘性調整の理由から、単官能モノマーと多官能モノマーを併用し、インク相溶性と吸液粒子膨潤性がある程度あるトリメチロールプロパンEO変性アクリレート類やイソシアルヌ酸EO変性アクリレート類、ヒドロキシプロピルアクリレート類(単官能)およびその官能基数が2から3官能基をもつものが好ましくもちいられる。
【0076】
本実施の形態の画像記録用組成物中における、紫外線硬化性モノマーの含有量は、1質量%以上30質量%以下が望ましく、1質量%以上10質量%以下が更に望ましい。
【0077】
(画像記録用組成物に含まれる、その他の材料)
本実施の形態の画像記録用組成物には、上述の、官能基を有するウレタンプレポリマーと、吸液成分と、界面活性剤と、紫外線硬化性モノマーと、に加えて更に、下記の材料を加えた構成であってもよい。
【0078】
本実施の形態の画像記録用組成物は、官能基を有し、溶解度パラメータ(sp値)が7以上9.6以下の疎水性モノマーを更に含むことが望ましく、8以上9.6以下の疎水性モノマーを1種類以上含むことがさらに望ましい。
sp値が9.6以下のモノマー類としてはネオペンチルグリコールジアクリレート及びその誘導体、ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールの多官能体、各種エチレンオキサイド変性フェノキシアクリレート類、アルコキシアルキルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、じシクロペンタジエンアクリレートなどが挙げられる。
【0079】
画像記録用組成物中における、上記sp値を示す疎水性モノマーの総含有量は、1質量%以上30質量%以下の範囲内であることが望ましく、5質量%以上30質量%以下の範囲内であることが特に望ましい。
【0080】
本実施の形態の画像記録用組成物に、上記疎水性モノマーが併用されることによって、画像記録用組成物の高粘度化が抑制される。また、本実施の形態の画像記録用組成物に、上記疎水性モノマーが併用されることによって、被硬化層に吐出されたインクによる画像領域の吸液阻害や、画質ムラ、濃度ムラなども抑制されると考えられる。
【0081】
溶解度パラメータが上記範囲の疎水性のモノマーは、1種以上を混合して用いてもよいが、この疎水性モノマーは、単官能、2官能、または3官能であることが望ましく、単官能または2官能であることが更に望ましい。単官能、2官能、または3官能の疎水性モノマーが画像記録用組成物に含有されていることで、画像記録用組成物に含まれる吸液成分の凝集が抑制され、また、画像記録用組成物の高粘度化が抑制と分散均一性が制御されると考えられる。このため、画像記録用組成物によって形成された被硬化層の層厚のばらつきが抑制されると考えられる。
【0082】
この疎水性モノマーが有する官能基としては長鎖アルコキシ類をもつ、アルキル基や環状アルキル基、分岐アルコキシ基、シクロヘキシル、ジメチルシロキサン誘導体、という特性を示す官能基が挙げられ、具体的には、ラウリル基、ドデシル基、ヘキサメチレン基、ペンタエリスリトール誘導体、トリメチロールプロパン誘導体、シクロヘキシル誘導体,ブタンジオール、低分子ポリエチレングリコール(分子量200)誘導体等が挙げられる。
【0083】
これらの中でも、疎水性モノマーが有する官能基としては、ラウリル基、及びドデシル基が望ましい。
画像記録用組成物に含まれる、上述の、官能基を有するウレタンプレポリマーの硬化反応性は、その分子量、官能基数、官能基の種類、及び分岐状態等の影響を受けやすいが、画像記録用組成物内に、ラウリル基及びドデシル基の少なくとも一方を有する疎水性モノマーが併用されることで、画像記録用組成物に含まれる構成成分間の相溶性や、紫外線照射時における硬化反応の均一性が向上すると考えられるまた、硬化層の可とう性が更に向上すると考えられる。このため、画像記録用組成物により形成された被硬化層が記録媒体へ転写され、紫外線照射されて硬化層とされるときの紫外線照射時間が、例えば、200mJ/cm未満の光量、100msec照射であったとしても、硬化層の記録媒体への接着性の低下が更に抑制され、また、可とう性も更に向上すると考えられる。
【0084】
また、この疎水性モノマーは、アルキレンオキサイド構造を含んだ構成であることが望ましく、プロピレンオキサイド構造、及びエチレンオキサイド構造の少なくとも一方を含むことが更に望ましく、プロピレンオキサイド構造、及びエチレンオキサイド構造の双方を含むことが特に望ましい。
【0085】
以下、官能基を有し、sp値が9.6以下の疎水性モノマーの一例を以下に示す。尚、( )内の数字はsp値である。なお、sp値は、fedorsの方式により化合物の構造式より求められる。
【0086】
テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)(9.6)、シクロヘキシルアクリレート(CHA)(9.6)、イソボニルメタクリレート(IBXMA)(9.6)、エチルヘキシルアクリレート(HA)(8.9)、ドデシルメタクリレート(DMA)(8.8)、及びラウリルアクリレート(LA)(8.7)フェノキシ(エチレングリコール)n=4以上アクリレート(9.4)等の単官能疎水性モノマーやエトキシエチレンオキサイドアクリレート(8.3)、ジプロピレングリコール1000以上のジアクリレート(8.6)、1,6−ヘキサジオールアクリレート(9.6)、ポリオール主鎖を有するジアクリレート類(PEG200)(8.8),PEG400(8.5),PEG600(8.4)等、何れもダイセルサイテック社製)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(9.4)グリシドールジメタクリレート(9.1)等の2官能の疎水性モノマーや、
メトキシポリエチレングリコール(n=8):(9.3)、ペンタメチルピペリジルメタクリレート(8.7)、テトラヒドロフルアクリレート(9.2)、ジシクロペンタニルアクリレート(9.3)、ジまたはトリプロピレンクリコールアクリレート(9以上9.5以下)、アクリル酸ビニロキシエトキシ)エチル(8.7)、及びそのメタクリル酸誘導体(8.7)、エチレンオキサンド変性ポリプロピレングリコールジメタクリレート(8.2)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(9.4)、ポリプピレングリコール(8.2)、グリセンプロポキシトトリアクリレート(9.2)、トリメチロールエトキシトリアクリレート(9.1)など、各種ポリエーテル変性、脂環式アクリレート類からなるものが挙げられる。
【0087】
次に、画像記録用組成物に含まれていてもよい他の硬化性材料について説明する。
画像記録用組成物に含まれる、紫外線硬化性基を有する成分(上記の紫外線硬化性モノマー)は、紫外線の照射によって硬化する硬化性材料として機能するが、画像記録用組成物には、硬化性材料として、さらに、下記の硬化性材料を添加してもよい。
【0088】
硬化性材料としては、紫外線硬化性のモノマー、紫外線硬化性のマクロマー、紫外線硬化性のオリゴマー、および紫外線硬化性のプレポリマー等が挙げられる。
【0089】
この紫外線硬化性のモノマーとしては、例えば、アルコール/多価アルコール/アミノアルコール類のアクリル酸エステル、アルコール/多価アルコール類のメタクリル酸エステル、アクリル脂肪族アミド、アクリル脂環アミド、アクリル芳香族アミド類等の硬化性材料;エポキシモノマー、オキセタンモノマー、ビニルエーテルモノマー等の硬化性材料;などが挙げられる。上記紫外線硬化性のマクロマー、紫外線硬化性のオリゴマー、紫外線硬化性のプレポリマーとしては、これらモノマーを所定の重合度で重合させたものの他、エポキシ、ウレタン、ポリエステル、ポリエーテル骨格に、アクリロイル基やメタクリロイル基の付加した、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルメタクリレート等が挙げられる。
【0090】
また、画像記録用組成物に含まれる上記硬化材料は、シリコーン変性されているシリコーン化合物であることが望ましい。
【0091】
また、画像記録用組成物には、紫外線硬化反応を進行させるための紫外線重合開始剤を含んでいることが望ましい。さらに、画像記録用組成物は、必要に応じて、重合反応をより進行させるための、反応助剤、重合促進剤等を含んでいてもよい。
【0092】
画像記録用組成物における紫外線硬化反応がラジカル反応により進行する場合には、紫外線重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、チオキサントン系、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシケトン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アミノケトン、α−アミノアルキルフェノン、モノアシルフォスフィンオキサイド、ビスアシルフォスフィンオキサイド、ヒドロキシベンゾフェノン、アミノベンゾフェノン、チタノセン型、オキシムエステル型、オキシフェニル酢酸エステル型などが挙げられる。
また画像記録用組成物における紫外線硬化反応がカチオン反応により進行する場合には、紫外線重合開始剤としては、例えば、アリールスルホニウム塩、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、アレン−イオン錯体誘導体、トリアジン系開始剤等が挙げられる。
【0093】
また、本実施形態に係る画像記録用組成物には、ワックスやゴム状物質類を混合しても良い。
【0094】
また、本実施形態に係る画像記録用組成物には、インクの成分を被硬化層上や内部で固定化する成分(以下、「固定化成分」と称する場合がある)をさらに含んでいてもよい。
【0095】
固定化成分としては、例えば、インクの成分(例えば色材)を吸着する成分、インクの成分(例えば色材)を凝集または増粘させる成分等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0096】
また、画像記録用組成物には、上記硬化反応に寄与する成分を溶解または分散するための水や有機溶媒を含んでいてもよい。
【0097】
また、画像記録用組成物は、硬化層を着色制御する目的で、各種色材を含んでいてもよい。
【0098】
また、画像記録用組成物は、粘度を調製する等の目的から、熱可塑性樹脂を含有してもよい。該熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボーネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン、ポリエーテル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレンとそのアクリルモノマー共重合体およびそのブレンド物等が挙げられる。
【0099】
本実施の形態の画像記録用組成物の表面張力は、例えば、20mN/m以上50mN/m以下の範囲が挙げられる。
【0100】
尚、画像記録用組成物は粘度5mPa・s以上30000mPa・s以下で本実施形態では用いられ、また、画像記録用組成物の粘度は、インクの粘度よりも高いことがよい。
上記粘度は、以下の方法により測定される値であり、本明細書に記載の粘度は下記方法により測定された値である。
粘度計としてはTV−22(東機産業製)を用いて、ずり速度=2.25から750(1/s)で、15℃での粘度(mPa・s)を計測したものである。尚、本明細書における表記はずり速度10s−1のものである。
【0101】
また、画像記録用組成物は、常温(25℃)において低揮発性または不揮発性であることがよい。ここで、低揮発性とは大気圧下において沸点が200℃以上であることを意味する。また、不揮発性とは大気圧下において沸点が300℃以上であることを意味する。
【0102】
(インク)
次いで、本実施形態において用いられるインクについて詳細に説明する。なお、このインクは、本発明の記録装置において被硬化層に吐出される液滴に相当する。
インクは水性インク、油性インク共に使用することができるが、環境性の点で水性インクが使用される。水性インク(以下、単にインクと称する)は、記録材に加え、インク溶媒(例えば、水、水溶性有機溶媒)を含んでいる。また、必要に応じて、その他、添加剤を含んでいてもよい。
【0103】
まず、記録材について説明する。記録材としては、主に色材が挙げられる。色材としては、染料、顔料のいずれも用いることができるが、顔料であることがよい。これらの色材としては、公知の材料を用いればよい。
【0104】
記録材としては、その他、親水性のアニオン染料、直接染料、カチオン染料、反応性染料、高分子染料等や油溶性染料等の染料類、染料で着色したワックス粉・樹脂粉類やエマルション類、蛍光染料や蛍光顔料、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、フェライトやマグネタイトに代表される強磁性体等の磁性体類、酸化チタン、酸化亜鉛に代表される半導体や光触媒類、その他有機、無機の電子材料粒子類などが挙げられる。
【0105】
記録材の含有量(濃度)は、例えばインクに対して5質量%以上30質量%以下の範囲が挙げられる。
【0106】
記録材の体積平均粒径は、例えば10nm以上1000nm以下の範囲が挙げられる。
記録材の体積平均粒径とは、記録材そのものの粒径、または記録材に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒径をいう。体積平均粒径の測定装置には、マイクロトラックUPA粒度分析計9340(Leeds&Northrup社製)を用いた。その測定は、インク4mlを測定セルに入れ、所定の測定法に従って行った。なお、測定時の入力値として、粘度にはインクの粘度を、分散粒子の密度は記録材の密度とした。
【0107】
次に、水溶性有機溶媒について説明する。水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が使用される。
【0108】
水溶性有機溶媒は、少なくとも1種類以上使用してもよい。水溶性有機溶媒は、含有量としては例えば1質量%以上70質量%以下の範囲で用いられる。
【0109】
次に、水について説明する。水としては、特に不純物が混入することを防止するという観点から、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水を使用することが望ましい。
【0110】
次に、その他の添加剤について説明する。インクには、界面活性剤を添加してもよい。
【0111】
これら界面活性剤の種類としては、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、望ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が用いられる。
【0112】
また、インクには、その他、浸透性を調製する目的で浸透剤、インク吐出性改善等の特性制御を目的でポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等や、導電率、pHを調製するために水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属類の化合物等、その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調製剤、導電剤、紫外線吸収剤、およびキレート化剤等も添加される。
【0113】
次に、インクの好適な特性について説明する。まず、インクの表面張力は、例えば20mN/m以上45mN/m以下の範囲が挙げられる。
【0114】
ここで、表面張力としては、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値を採用した。
【0115】
インクの粘度は、例えば1.5mPa・s以上30mPa・s以下の範囲が挙げられる。ここで、粘度としては、レオマット115(Contraves製)を測定装置として用いて、測定温度は23℃、せん断速度は1400s−1の条件で測定した値を採用した。
【0116】
なお、インクは、上記構成に限定されるものではない。記録材以外に、例えば、液晶材料、電子材料など機能性材料を含むものであってもよい。
【0117】
<記録装置>
次に、本実施の形態の画像記録用組成物が適用される記録装置について説明する。
本実施形態に係る記録装置は、中間転写体と、前述の画像記録用組成物を中間転写体上に供給する供給装置と、中間転写体上に供給された前記画像記録用組成物により形成された被硬化層に、前述のインクを吐出する吐出装置と、前記インクが吐出された被硬化層を中間転写体から記録媒体に転写する転写装置と、紫外線を照射することによって被硬化層を硬化させる照射装置と、を有する。
【0118】
また、本実施形態に係る記録装置の別の態様は、前述の画像記録用組成物を記録媒体上に供給する供給装置と、前記記録媒体上に供給された画像記録用組成物により形成された被硬化層に、前述のインクを吐出する吐出装置と、紫外線を照射することによって被硬化層を硬化させる照射装置と、を有する。
【0119】
次いで、本実施形態に係る記録装置について図面を参照しつつ説明する。なお、同じ機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0120】
図1は、第1実施形態に係る記録装置を示す構成図である。
【0121】
第1実施形態に係る記録装置101は、図1に示すように、例えば、中間転写ドラム(中間転写体)10、中間転写ドラム10上にアニオン性の吸液材料と外部からの刺激(エネルギー)により硬化する硬化性樹脂前駆体とを少なくとも含有する画像記録用組成物12Aを供給して画像記録用組成物12Aにより形成された被硬化層12Bを形成する溶液供給装置12と、被硬化層12B上にインク滴14Aを吐出し画像Tを形成するインクジェット記録ヘッド14と、記録媒体Pを中間転写ドラム10に重ね合わせ圧力を加えることにより画像Tが形成された被硬化層12Bを記録媒体P上に転写する転写装置16と、記録媒体P上に転写された被硬化層12Bに紫外線を照射する硬化する刺激を供給する照射装置18と、を含んで構成されている。
【0122】
また、中間転写ドラム10の回転方向における転写装置16の下流には、中間転写ドラム10表面に残留する被硬化層12Bの残留物の除去、当該残留物以外の異物(記録媒体Pの紙粉等)等の付着物の除去を行うためのクリーニング装置20が配置されている。
【0123】
中間転写ドラム10は、例えば円筒状基体と、当該基体表面に被覆される表面層と、を有する構成が挙げられる。中間転写ドラム10は、記録媒体Pの幅と同等またはそれ以上の幅(軸方向長さ)を有している。
円筒状基体の材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等が挙げられる。
表面層の材質としては、例えば、各種の樹脂[例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、フッ素系樹脂等]、各種のゴム(例えば、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)等が挙げられる。表面層は、単層構成でもよいし、積層構成でもよい。
【0124】
溶液供給装置12は、例えば、画像記録用組成物12Aを収納する筐体12C内に、当該画像記録用組成物12Aを中間転写ドラム10へ供給する供給ローラ12Dと、供給された画像記録用組成物12Aにより形成された被硬化層12Bの層厚を規定するブレード12Eと、を含んで構成されている。
【0125】
溶液供給装置12は、その供給ローラ12Dが中間転写ドラム10に連続的に接触するようにしてもよいし、中間転写ドラム10から離間する構成としてもよい。また、溶液供給装置12は、独立した溶液供給システム(図示せず)より画像記録用組成物12Aを筐体12Cへ供給させ、画像記録用組成物12Aの供給がとぎれないようにしてもよい。
【0126】
溶液供給装置12は、上記構成に限られず、公知の供給法(塗布法:例えば、バーコーター塗布、スプレー方式の塗布、インクジェット方式の塗布、エアーナイフ方式の塗布、ブレード方式の塗布、ロール方式の塗布等)などを利用した装置が適用される。
【0127】
インクジェット記録ヘッド14は、例えば、中間転写ドラム10の回転方向上流側から、ブラックインクを吐出するための記録ヘッド14Kと、シアンインクを吐出するための記録ヘッド14Cと、マゼンタインクを吐出するための記録ヘッド14Mと、イエローインクを吐出するための記録ヘッド14Yと、の各色の記録ヘッドを含んで構成されている。無論、記録ヘッド14の構成は上記構成に限られず、例えば、記録ヘッド14Kのみで構成してもよいし、記録ヘッド14C、記録ヘッド14M、および記録ヘッド14Yのみで構成してもよい。
【0128】
各記録ヘッド14は、例えば、記録媒体Pの幅と同等またはそれ以上の幅を持つライン型インクジェット記録ヘッドが用いられるが、従来のスキャン型のインクジェット記録ヘッドを用いてもよい。各記録ヘッド14のインク吐出方式は、圧電素子駆動型、発熱素子駆動型等、インク吐出可能な方式であれば制限はない。
【0129】
各記録ヘッド14は、例えば、中間転写ドラム10の回転方向上流側から記録ヘッド14K、記録ヘッド14C、記録ヘッド14M、および記録ヘッド14Yの順で直列に配置されている。
【0130】
各記録ヘッド14は、中間転写ドラム10表面とヘッドのノズル面との距離が例えば0.3乃至0.7mm程度にして配置されている。また、各記録ヘッド14は、例えば、その長手方向が中間転写ドラムの回転方向と交差(望ましくは直交)して配設されている。
【0131】
転写装置16は、中間転写ドラム10に対し押し当てて配置される加圧ロール16Aを含んで構成されている。加圧ロール16Aは、例えば、上記中間転写ドラム10の材料構成のごとく構成される。
【0132】
照射装置18は、画像記録用組成物12A(これにより形成された被硬化層12B)に紫外線を照射する紫外線照射装置である。
【0133】
この紫外線照射装置としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、デイープ紫外線ランプ、マイクロ波を用い外部から無電極で水銀灯を励起するランプ、紫外線レーザー、キセノンランプ、UV−LEDなどが適用される。
【0134】
紫外線の照射条件としては、画像記録用組成物12A(これにより形成された被硬化層12B)が硬化される条件であれば、特に制限はないが、例えば、高圧水銀灯120W/cm出力密度で2秒間照射する。
【0135】
なお、それぞれ硬化された状態とは、被硬化層12Bが照射装置18により硬化された硬化層に浸透性の用紙(普通紙)を重ね、200g荷重をかけても転写がおこらない状態をいう。
【0136】
記録媒体Pとしては、浸透媒体(例えば、普通紙や、コート紙等)、非浸透媒体(例えば、アート紙、樹脂フィルム、金属フィルムなど)、いずれも適用される。なお、樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルム、ポリフェニレンオキシド(PPO)フィルムなどが挙げられる。また、金属フィルムとしては、アルミフィルムが挙げられる。記録媒体は、これらに限られず、その他、半導体基板など工業製品も含まれる。
【0137】
以下、本実施形態に係る記録装置101の画像記録プロセスにつき、説明する。
【0138】
本実施形態に係る記録装置101では、中間転写ドラム10が回転駆動され、まず、溶液供給装置12により、中間転写ドラム10表面に画像記録用組成物12Aを供給して、被硬化層12Bを形成する。
【0139】
ここで、被硬化層12Bの厚みは、特に制限はないが、例えば、1μm以上50μm以下の範囲に調製される。
【0140】
また、例えば、被硬化層12Bの厚みをインク滴14Aが被硬化層12Bの最下層まで到達しない程度とすれば、記録媒体Pへの転写後では被硬化層12Bのうちインク滴14Aが存在する領域が露出せず、インク滴14Aが存在しない領域が硬化後には保護層として機能する。
【0141】
次に、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aを吐出し、中間転写ドラム10上に供給された被硬化層12Bに当該インク滴14Aを付与する。インクジェット記録ヘッド14は所定の画像情報に基づき、被硬化層12Bの所定の位置にインク滴14Aを付与する。
【0142】
この際、インクジェット記録ヘッド14によるインク滴14Aの吐出は、中間転写ドラム10上で行われる。つまり、ドラム表面がたわみのない状態で被硬化層12Bにインク滴14Aの吐出がなされる。
【0143】
次に、転写装置16により記録媒体Pを中間転写ドラム10と挟み込んで、被硬化層12Bに圧力を加えることで、記録媒体P上に、インク滴14Aにより画像が形成された被硬化層12Bが転写される。
【0144】
次に、照射装置18により、被硬化層12Bを硬化させることで、インク滴14Aによる画像Tが硬化性樹脂により記録媒体P上で定着される。これにより、インク滴14Aによる画像Tが含まれる硬化性樹脂層(画像層)が記録媒体Pに形成される。
【0145】
なお、本実施の形態においては、上記に説明した画像記録用組成物を用いることから、記録媒体P上に形成された硬化層(被硬化層12Bが硬化した後状態)の記録媒体Pへの密着性は、1N/25mm以上で、且つ、ショアD硬度(JIS K7215)は、80度以下とされ、記録媒体Pへの接着性が維持されつつ、且つ硬化層の可とう性が実現されると考えられる。
【0146】
被硬化層12Bが記録媒体Pへ転写された後の中間転写ドラム10表面に残った被硬化層12Bの残留物や異物をクリーニング装置20により除去し、再び、中間転写ドラム10上に、溶液供給装置12により画像記録用組成物12Aを供給して被硬化層12Bを形成し、画像記録プロセスが繰り返される。
【0147】
以上のようにして、本実施形態に係る記録装置101では、画像記録が行われる。
【0148】
図2は、第2実施形態に係る記録装置を示す構成図である。
【0149】
第2実施形態に係る記録装置102は、図2に示すように、第1実施形態における中間転写ドラム10の代わりに中間転写ベルト(中間転写体)22を配置した形態である。
【0150】
中間転写ベルト22は、例えば、2つの支持ロール22A、および加圧ロール16B(転写装置16)により内周面側から張力を掛けつつ回転可能に支持されて配設されている。
【0151】
中間転写ベルト22は、記録媒体Pの幅と同等またはそれ以上の幅(軸方向長さ)を有している。
中間転写ベルト22は、例えば、各種の樹脂[例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、フッ素系樹脂等]、各種のゴム(例えば、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)により構成される。中間転写ベルト22は、ステンレス等の金属材料により構成してもよい。中間転写ベルト22は、単層構成でもよいし、積層構成でもよい。また、中間転写ベルト22は、フッ素樹脂・シリコーンゴム等の離型性の材料により表面層を有していてもよい。
【0152】
各記録ヘッド14は、張力が掛けられて回転支持された中間転写ベルトにおける非屈曲領域上で、且つ中間転写ベルト22表面とヘッドのノズル面との距離が例えば0.7mm以上1.5mm程度にして配置されている。
【0153】
転写装置16は、中間転写ベルト22を挟んで対向配置された一対の加圧ロール16A,16Bを含んで構成されている。
【0154】
本実施形態に係る記録装置102では、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aを吐出し、中間転写ベルト22上に形成された被硬化層12Bに当該インク滴14Aを付与する。
【0155】
この際、インクジェット記録ヘッド14によるインク滴14Aの吐出は、張力が掛けられて回転支持された中間転写ベルト22における非屈曲領域上で行われる。つまり、ベルト表面がたわみのない状態で被硬化層12Bにインク滴14Aの吐出がなされる。
【0156】
これら以外は、第1実施形態に記載の態様が適用されるので、説明を省略する。
【0157】
図3は、第3実施形態に係る記録装置を示す構成図である。
【0158】
第3実施形態に係る記録装置103は、図3に示すように、第1実施形態において、インク滴14Aによる画像が形成された被硬化層12Bを記録媒体Pへ転写する前に、当該被硬化層12Bを半硬化させる刺激を供給する第2の刺激供給装置24をさらに配置した形態である。
【0159】
第2の刺激供給装置24は、例えば、中間転写ドラム10の回転方向におけるインクジェット記録ヘッド14よりも下流側であって、転写装置16よりも上流側に配置されている。
【0160】
第2の刺激供給装置24は、照射装置18のごとく、画像記録用組成物12A(これにより形成された被硬化層12B)に紫外線を照射する紫外線照射装置を適用する。
【0161】
第2の刺激供給装置24における紫外線照射条件は、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aを付与された中間転写ドラム10上の被硬化層12Bが、半硬化した状態で転写装置16により記録媒体Pに転写される条件であれば、特に制限はなく、硬化性樹脂前駆体種、被硬化層の厚みなどに応じて選択し得る。
【0162】
本実施形態においては、第2の刺激供給装置24をインクジェット記録ヘッド14よりも下流側であって転写装置16よりも上流側に配置しているが、第2の刺激供給装置24をインクジェット記録ヘッド14よりも上流側に配置してもよい。
【0163】
ここで、「半硬化した状態」とは、画像記録用組成物が、前記「硬化された状態」には達していないが、中間転写体に供給した時よりも硬化され完全な液体状態ではない状態をいう。「半硬化した状態」の確認方法の1つとしては、以下の方法が挙げられる。具体的には、被硬化層12Bに浸透性の用紙(例えば普通紙)を重ねた場合、荷重をかけない時は被硬化層12Bが用紙側に全く転写されず、200g荷重をかけたときに一部転写された場合を、「半硬化した状態」と判断する。
【0164】
以上説明した本実施形態に係る記録装置103では、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aを吐出し、中間転写ドラム10上に供給された被硬化層12Bに当該インク滴14Aを付与した後、第2の刺激供給装置24により、当該被硬化層12Bを半硬化させる。そして、転写装置16により当該被硬化層12Bを記録媒体Pに転写する。この転写の際、被硬化層12Bは、半硬化の状態、つまりある程度剛性を持った状態で記録媒体Pに転写される。
【0165】
これら以外は、第1実施形態に記載の態様が適用されるので、説明を省略する。
【0166】
図4は、第4実施形態にかかる記録装置を示す構成図である。
【0167】
第4実施形態に係る記録装置104は、図4に示すように、記録媒体Pに画像を直接形成する形態(直接記録方式)である。
【0168】
記録装置104は、例えば、記録媒体P上にアニオン性の吸液材料と外部からの刺激(エネルギー)により硬化する硬化性樹脂前駆体とを含有する画像記録用組成物12Aを供給して画像記録用組成物12Aにより形成された被硬化層12Bを形成する溶液供給装置12と、被硬化層12B上にインク滴14Aを吐出し画像Tを形成するインクジェット記録ヘッド14と、被硬化層12Bを硬化する刺激を供給する照射装置18と、を含んで構成されている。
【0169】
また記録装置104は、上記記録媒体Pを搬送する搬送ベルト13を備えている。搬送ベルト13としては、例えば、第2実施形態における中間転写ベルト22として記載の無端ベルトが用いられる。搬送ベルト13は、例えば、3つの支持ロール13Aにより内周面側から張力を掛けつつ回転可能に支持されて配設されている。搬送ベルト13は、回転移動することにより、収容容器(図示略)などから送られてきた記録媒体Pを矢印の方向に搬送する。
【0170】
記録装置104では、まず溶液供給装置12により、搬送ベルト13によって搬送されている記録媒体Pの表面上に、画像記録用組成物12Aを供給して被硬化層12Bを形成する。次に、所定の画像情報に基づき、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aを吐出し、記録媒体P上に形成された被硬化層12Bにインク滴14Aを付与することにより画像Tを形成する。最後に照射装置18によって被硬化層12Bを硬化させることにより、インク滴14Aによる画像Tの含まれる硬化層が記録媒体Pに形成される。
【0171】
これら以外は、第1実施形態に記載の態様が適用されるので、説明を省略する。
【0172】
以上説明した上記いずれの実施形態に係る記録装置では、画像記録用組成物12Aを中間転写ドラム10、中間転写ベルト22、または記録媒体Pに塗布して被硬化層12Bを形成する。そして、この被硬化層12Bにインク滴14Aを付与して画像Tを形成した後(第1実施形態乃至第3実施形態においては、さらに記録媒体Pへ転写した後)、画像Tが形成された被硬化層12Bに紫外線を照射して完全に硬化させる。この際、被硬化層12Bが硬化することにより硬化層となる。このため、記録媒体Pが非浸透媒体であるか浸透媒体であるかを問わず、多様な記録媒体Pに対して、画像形成がなされる。
【0173】
そして、本実施の形態においては、画像記録用組成物12Aとして、上記に説明した画像記録用組成物を用いることから、記録媒体P上に形成された硬化層の該記録媒体Pへの接着性が維持されつつ、且つ、該硬化層の可とう性の向上が図れると考えられる。
【実施例】
【0174】
以下、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例により特に制限されるものではない。尚、以下において「部」とは、特に断りのない限り質量基準である。
【0175】
〔実施例1〕
−画像記録用組成物の調製−
まず、下記材料の混合物を調製した。
・2官能基を有するポリオールウレタンプレポリマー(商品名:M1600,東亜合成社製,官能基としてアクリレートを有する,数平均分子量30000)・・・10質量%
・ラウリルアクリレート(疎水性モノマー(sp値8.7))(東亜合成社製)
・・・10質量%
・他疎水性モノマーとしてTMP−3EOTAc(新中村化学工業社製) ・・・40質量%
・エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド変性・3官能アクリルモノマー(商品名 :TEGO2200N(デグサ社製),HLB=11)(3官能アクリレート紫外線硬化性モノマー,界面活性剤) ・・・5質量%
【0176】
次に、上記混合物に、吸液成分としてアクアリックCS7s(日本触媒)架橋スルホン酸変性ポリアクリル酸ナトリウムを中心粒径2.8μmにボールミル粉砕し分球したものを30質量%添加した後、ボールミル攪拌により48時間混合させた。さらに、重合開始剤としてIC184(チバスペシャリティーケミカルズ)5質量%加えて、画像記録用組成物A1を作製した。
【0177】
―インクの調製―
・カーボンブラック 5部
・スチレン−アクリル酸−アクリル酸ブチルエステル共重合体 1.5部
・グリセリン 25部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 6部
・オキシエチレンオレイルエーテル 0.5部
上記組成を混合し、さらに純水およびNaOHを加えて調製したのち、2μmフィルターでろ過し、黒色インクを得た。
【0178】
―中間転写体の調製―
厚さ83μmのポリイミドシームレスベルト(日東電工製 遠心成形半導電ベルト)に、ダイコーターを用いて、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を塗布(厚み33μm)し、中間転写体とした。
【0179】
上記中間転写体を、図1に示す構成の記録装置に、中間転写ドラム10として装着し、中間転写体上に、上記に調製した画像記録用組成物A1を23μmの厚みで連続塗布して被硬化層を形成した。そして、この被硬化層上に、上記黒色インクによって、100%のベタと、2dotの太さの線画像を印字(解像度1200×1200dpi、ドロップサイズ2pL)した後に、加重1kgで記録媒体(OK金藤トップコート紙)へ転写した。そして、この記録媒体上の、画像の印字された被硬化層へ、紫外線を照射(160Wのハロゲンランプで5秒間)し、該被硬化層を硬化させて硬化層とした。
【0180】
<評価>
下記測定及び評価を行った。
【0181】
(硬化層の厚み)
記録媒体に形成された硬化層の厚みを測定した。測定結果を表1に示した。
【0182】
(硬化層のショアD硬度)
記録媒体に形成された硬化層のショアD硬度を測定した。測定結果を表1に示した。
なお、硬化層のショアD硬度は、JISK7215に記載されている方法に準拠して行い、島津社製ダイナミックス微小硬度計DUH−201Sを用いて行った。
【0183】
(耐水性)
記録媒体に形成された硬化層上に水滴を1滴滴下し60秒後にウエスでふきとった後の、目視変形の残渣状態を下記の評価基準で評価した。評価結果を表1に示した。
・G1:へこみ・滴下跡の痕跡が殆どない場合。
・G2:へこみ・滴下跡の痕跡が目視で確認される場合。
・G3:へこみ・滴下跡が顕著である場合。
【0184】
(碁盤目試験)
記録媒体上に形成された硬化層について、JIS K5400に準じて碁盤目試験を行ってセロテープ(登録商標)により記録媒体から剥離し、剥離せずに記録媒体上に残存した硬化層の残骸の個数を数えた。結果を表1に示した。
なお、この碁盤目試験の結果は、表1に示した「残個数」の値が大きいほど、硬化層の記録媒体への密着性(接着性)が高いことを示す。
【0185】
(接着強度)
記録媒体上に形成された硬化層について、22℃、55%RHの環境下でJIS K6301に準じた剥離試験を行い、記録媒体からの剥離強度を測定した。なお、この剥離試験において用いる短冊状試験片の大きさは、幅25mm、長さ90mm、とした。また、引張り速度は10mm/分とした。測定結果を表1に示した。
【0186】
(折曲試験)
記録媒体上に形成された硬化層について、180°に折曲げて折り目をつけ、下記評価基準で評価を行った。
・G1:折り目はなく、変形後も回復性がある場合。
・G2:折り目は残るがクラックがなく、変形跡が残る場合。
・G3:折り目に沿って硬化層にクラック及び変形痕跡が残る場合。
【0187】
(転写効率)
以下の方法により、被硬化層の記録媒体への転写効率(%)を測定した。
予め単位面積(10×10cm)当りの中間転写ベルトの質量を測定し、この上に硬化性溶液を塗布した際の塗膜の質量、用紙へ転写し硬化した後の中間転写ベルトの質量から求めた。測定結果を表1に示した。
【0188】
(接着性)
接着性については、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂からなる用紙(王子タック社製、商品名PETC50)と、ポリポロピレン(PP)樹脂からなる用紙(王子タック社製ユポ80)の2種類の記録媒体を用意し、各々の記録媒体について、以下の方法により硬化層の記録媒体への接着性を評価した。
なお、評価基準は、以下のとおりとした。
初期塗布重量に対して、光硬化後の樹脂シートの転写重量を秤量し、前後の重量比率から塗布重量に対する転写重量からの比率を転写効率とした。そして、転写効率に応じて下記評価基準で評価した。
・G1:転写効率が95%以上である場合。
・G2:転写効率が80%以上である場合。
・G3:転写効率が80%未満である場合。
【0189】
(画像部の印字ムラの評価)
X−Rite968(X−Rite社製)を用いて濃度測定を行い、以下の基準により、形成された画像の印字ムラの発生度合いを評価した。
・G1:画像部内の任意の10箇所(打滴濃度の異なる部分)の濃度測定を行い、最大濃度と最小濃度との差が0.05以下である場合。
・G2:画像部内の任意の10箇所(打滴濃度の異なる部分)の濃度測定を行い、最大濃度と最小濃度との差が0.1以下である場合。
・G3:画像部内の任意の10箇所(打滴濃度の異なる部分)の濃度測定を行い、最大濃度と最小濃度との差が0.1を超える場合。
【0190】
(画像部の濃度ムラの評価)
上記記録媒体上に形成された硬化層上の画像の濃度ムラを目視にて確認した。評価基準は以下の通りである。評価結果を表1に示した。
【0191】
G1:ハイライト画像の濃度ムラが、全く見られない。
G2:ハイライト画像の濃度ムラが若干見られるが、実用上問題ないレベル。
G3:ハイライト画像の濃度ムラが所々見られるが、実用上問題ないレベル。
G4:ハイライト画像の濃度ムラが著しく見られ、実用上問題となるレベル。
【0192】
〔実施例2〕
実施例1で調製した画像記録用組成物A1におけるウレタンプレポリマー(商品名:M1600)を、ポリエステルウレタンプレポリマー(商品名:M6100,東亜合成社製,官能基としてジアクリレート基を有する,数平均分子量10000)に代えた画像記録用組成物A2を調製した以外は、実施例1と同じ製法で、記録媒体上に硬化層を形成し、実施例1と同じ試験を行った。評価結果を表1に示した。
【0193】
〔実施例3〕
実施例1で調製した画像記録用組成物A1におけるウレタンプレポリマー(商品名:M1600)を、ウレタンプレポリマー(商品名CN3211,大阪有機化学社製,官能基としてジアクリレート基を有する,数平均分子量25000)に代え、疎水性モノマーとしてエチルヘキシルアクリレート(ダイセル社製,商品名,sp値9.0)を更に加えた画像記録用組成物A3を調製した以外は、実施例1と同じ製法で、記録媒体上に硬化層を形成し、実施例1と同じ試験を行った。評価結果を表1に示した。
【0194】
〔実施例4〕
実施例1で調製した画像記録用組成物A1において疎水性モノマーとして用いたラウリルアクリレート((sp値8.7)(東亜合成社製))に代えて、イソボニルメタクリレート(東亜合成社製,商品名:IBXMA,sp値9.6)を用いて、画像記録用組成物A4を調製した以外は、実施例1と同じ製法で、記録媒体上に硬化層を形成し、実施例1と同じ試験を行った。評価結果を表1に示した。
【0195】
〔実施例5〕
実施例1で調製した画像記録用組成物A1において疎水性モノマーとして用いたラウリルアクリレート((sp値8.7)(東亜合成社製))を用いないことによって、疎水性モノマーを含まない構成の画像記録用組成物A5を調製した以外は、実施例1と同じ製法で、記録媒体上に硬化層を形成し、実施例1と同じ試験を行った。評価結果を表1に示した。
【0196】
〔比較例1〕
実施例1で調製した画像記録用組成物A1におけるウレタンプレポリマー(商品名:M1600)を用いないことによって、ウレタンプレポリマーを含まない構成の画像記録用組成物B1を調製した以外は、実施例1と同じ製法で、記録媒体上に硬化層を形成し、実施例1と同じ試験を行った。評価結果を表1に示した。
【0197】
〔実施例6〕
−画像記録用組成物の調製−
まず、下記材料の混合物を調製した。
・ポリエチレングリコール系ウレタンアクリレート(商品名:EBECRY2000,ダイセル・サイテック製,数平均分子量8000,3官能アクリレート) ・・10質量%
・3官能のトリメチロールプロパンポリプロピレンオキサイド変性トリアクリレート(商品名:M321,東亜合成社製) ・・・25質量%
・疎水性モノマーとして、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートTMP−3EOn=1TAc(新中村化学工業社製) ・・・25質量%
・エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド変性・3官能アクリルモノマー(商品名 :TEGO2200N(デグサ社製),HLB=11)(紫外線硬化性モノマー,界面活性剤) ・・・5質量%
【0198】
次に、上記混合物に、吸液成分としてアクアリックCS7s(日本触媒)架橋スルホン酸変性ポリアクリル酸ナトリウムを中心粒径2.8μmにボールミル粉砕し分球したものを30質量%添加した後、ボールミル攪拌により48時間混合させた。さらに、重合開始剤としてIC184(チバスペシャリティーケミカルズ)5質量%加えて、画像記録用組成物A6を作製した。
【0199】
画像記録用組成物として、画像記録用組成物A6を調製した以外は、実施例1と同じ製法で、記録媒体上に硬化層を形成し、実施例1と同じ試験を行った。評価結果を表1に示した。
【0200】
〔実施例7〕
実施例6で調製した画像記録用組成物A6において用いた「ポリエチレングリコール系ウレタンアクリレート」に代えて、ポリプロピレン変性ポリエステル系2官能ウレタンアクリレート(商品名 EBCERYL270,ダイセルサイテック製、数平均分子量1500)10質量%を用いて画像記録用組成物A7を調製した以外は、実施例1と同じ製法で、記録媒体上に硬化層を形成し、実施例1と同じ試験を行った。評価結果を表1に示した。
【0201】
〔実施例8〕
実施例6で調製した画像記録用組成物A6において用いた「ポリエチレングリコール系ウレタンアクリレート」に代えて、EBECRYL8804(ダイセルサイテック製ポリエステル系ジアクリレート、分子量1200)10質量%を用いて画像記録用組成物A8を調製した以外は、実施例1と同じ製法で、記録媒体上に硬化層を形成し、実施例1と同じ試験を行った。評価結果を表1に示した。
【0202】
〔実施例9〕
実施例6で調製した画像記録用組成物A6において用いた「ポリエチレングリコール系ウレタンアクリレート」に代えて、EBECRYL12(ダイセルサイテック製ポリエーテル系ウレタンジアクリレート分子量1000)10質量%を用いて画像記録用組成物A9を調製した以外は、実施例1と同じ製法で、記録媒体上に硬化層を形成し、実施例1と同じ試験を行った。評価結果を表1に示した。
【0203】
【表1】

【0204】
表1に示すように、比較例に比べて、実施例では硬化層の可とう性の向上がみられた。また、比較例に比べて、実施例では硬化層の記録媒体への接着性も向上していた。
【符号の説明】
【0205】
10 中間転写ドラム(中間転写体),12 溶液供給装置,12A 画像記録用組成物,12B 被硬化層,14 インクジェット記録ヘッド,16 転写装置,16A 加圧ロール,16B 加圧ロール,18 照射装置,22 中間転写ベルト(中間転写体),24 第2の照射装置,101 記録装置,102 記録装置,103 記録装置,104 記録装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸液成分と、
紫外線硬化性モノマーと、
界面活性剤と、
官能基を有するウレタンプレポリマーと、
を含有した画像記録用組成物。
【請求項2】
前記ウレタンプレポリマーが、プロピレンオキサイド構造を含む請求項1に記載の画像記録用組成物。
【請求項3】
前記ウレタンプレポリマーが、エチレンオキサイド構造を含む請求項1または請求項2に記載の画像記録用組成物。
【請求項4】
官能基を有し、溶解度パラメータが9.6以下の疎水性モノマーを更に含有した請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像記録用組成物。
【請求項5】
前記疎水性モノマーが、プロピレンオキサイド構造及びプロピレンオキサイド構造の少なくとも一方を有する請求項4に記載の画像記録用組成物。
【請求項6】
中間転写体と、
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像記録用組成物を前記中間転写体へ供給する供給装置と、
前記中間転写体上に供給された前記画像記録用組成物により形成された被硬化層に、水性溶媒を含む液滴を吐出する吐出装置と、
前記液滴の吐出された前記被硬化層を前記中間転写体から記録媒体へ転写する転写装置と、
前記被硬化層へ紫外線を照射する照射装置と、
を備えた記録装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像記録用組成物を記録媒体へ供給する供給装置と、
前記記録媒体上に供給された前記画像記録用組成物により形成された被硬化層に、水性溶媒を含む液滴を吐出する吐出装置と、
前記液滴の吐出された前記被硬化層へ紫外線を照射する照射装置と、
を備えた記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−183735(P2011−183735A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53248(P2010−53248)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】