説明

画像記録装置および画像記録装置の制御方法

【課題】画像記録装置において、出力された帳票の摘みやすさを確保すると同時に、記録媒体の無駄を排除する。
【解決手段】画像記録装置において、最後の帳票の搬送量を必要最低限の長さに抑えるべく、続けて帳票を出力しない場合、すなわち、複数枚の帳票を連続して出力するときの最後の帳票を出力する場合、または、1枚だけ帳票を出力する場合に、その帳票について、出力する帳票の画像の記録を行った後、記録媒体に記録された画像の長さに応じて設定された搬送量、または先頭の空白長および記録媒体に記録された画像の長さに応じて設定された搬送量の搬送を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を記録する画像記録装置、および、画像記録装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置などの出力装置として種々の画像記録装置が知られている。一例として、顧客からの注文に応じて厨房等において使用される、記録媒体としてロール紙を用いたプリンタがある。そのようなプリンタでは、通常、ロール紙の幅方向を行方向として印字を行い、ロール紙を紙送りすることによって次行の印字を順次行っている。
【0003】
このようなプリンタにおいては、ロール紙に記録する画像の長さに応じて、種々の長さの帳票が出力される。そのため、プリンタによって小さな帳票を出力する場合、排出口から出力された帳票を手で摘みにくい、といった問題があった。
【0004】
特許文献1に記載された従来技術においては、この問題を解決するために、出力する帳票に続けて次の帳票を出力しない場合には、出力する帳票の画像の記録および所定の帳票長さの搬送を行った後で、さらに予め設定された追加搬送量の搬送を行ってから、ロール紙をカッタなどにより切断させるようにしている。
【0005】
図15(a)、(b)は、従来技術による、プリンタの排出口から排出されるロール紙の出力形態を示す平面図である。図15(a)は○で示される印字文字等の行数が1行である場合(例えば、注文商品が単品である場合)、同図(b)は行数が5行である場合(例えば、注文商品が複数である場合)を示す。図15(a)において、個々の、帳票としての伝票1510、1520、1530には、注文された料理の名称と数量、注文した客のテーブル番号、人数等が印字されている。また、同図中のCは後述のカッタ装置により形成された切込を示し、個々の伝票1510、1520、1530は、切込Cにより綴り伝票1500としてプリンタより排出される。図15(a)中の上向きの矢印はロール紙の排出方向(順方向)を示す。
【0006】
図15(a)には、伝票1530の後に伝票1510が図示されているが、この伝票1510は、次の綴り伝票1500を出力する際の先頭の伝票となる。つまり、一連の伝票1510、1520、1530が出力された状態では、伝票1530はプリンタ内部のロール紙の先頭に繋がっている。従って、綴り伝票1500を、伝票1530と1510の間の切込みCで切り取った場合に、2番目の伝票1510が、次の綴り伝票1500を出力する際の先頭の伝票となる。
【0007】
図15(a)においては、個々の伝票1510、1520、1530の長さが異なっている。図中Lpは印字の長さ、Lsは後述の印字ヘッド、カッタ装置間に相当する長さであり、プリンタの機構上ロール紙の先頭部分がLsだけ空白となることが避けられない。Lfが上述の追加搬送量である。以下、従来技術の伝票1510、1520、1530がこのような長さになることの理由を説明する。
【0008】
プリンタは、ロール紙を搬送しながら印字ヘッドで長さLpだけ印字し、基本的に伝票1510、1520、1530の出力毎にカッタ装置によって切込Cを入れる。ここで、伝票が綴りの最後のとなる1530の場合には長さLfだけ余計に搬送した後切込Cを入れる。このことにより、伝票1530は短い印字長にも関わらず手で摘まみやすい長さ、例えば、20mmの長さとなる。
【0009】
つまり、本従来技術によれば、排出口と綴り伝票1500との位置関係が図15(a)に図示するようになり、最後に出力された帳票1530が排出口からより長く出ているので手で摘みやすくなる。
【0010】
ところが、本機構のように構成すると、図15(b)に図示したように、印字長Lpが長い伝票1560、1570、1580を印字する場合にも、長さLfだけ追加搬送される。伝票が顧客に配布するレシートなどの場合には、この追加搬送部分に店舗のロゴなどを印刷することも一般的に行われている。しかしながら、プリンタが厨房等において使用される、いわゆるキッチンプリンタの場合には、そのようなロゴの印刷は必要ない。かかる場合においては、Lpがすでに手で摘まみやすい長さとなっているにもかかわらず、長さLfだけ白紙を繰り出すことになり、この白紙部分が無駄となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−149357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上述べたとおり、特許文献1に開示された従来技術においては、多種多様な長さの帳票に対し一律の搬送量で追加搬送を行ってから切断している。しかしながら、画像を記録した時点で必要な長さを有している場合には、追加搬送がなくとも十分に手で摘むことが可能である。従って、特許文献1に開示された従来技術においては、追加搬送された記録媒体の白紙部分の無駄排除という観点からは未だ不十分であるという問題点を有していた。
【0013】
本発明は、上記従来技術の画像記録装置が抱える問題点を解決するもので、出力された帳票の摘みやすさを確保すると同時に、記録媒体の無駄を排除することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1にかかる画像記録装置は、記録媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、前記搬送経路上に設けられ、前記記録媒体に画像を記録する記録部と、前記記録部における記録が終了し搬送された前記記録媒体の切断を行うための切断部と、前記記録媒体の搬送、前記記録媒体への記録および前記記録媒体の切断を制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記切断部によって前記記録媒体の切断すべき位置を定めるに際し、前記記録媒体に記録された画像の長さに応じて、記録終了後にさらに搬送すべき前記記録媒体の搬送量を決定することを特徴とする。
【0015】
請求項1にかかる画像記録装置によれば、記録された画像の長さによって記録媒体の追加搬送の要否が判断され、必要な場合には記録された画像の長さに応じて必要最低限の長さだけ搬送されて、手で摘まむのに必要最低限の長さで排出口から出ているので、一律に追加搬送することによる記録媒体の無駄が排除される。
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項2にかかる画像記録装置は、請求項1にかかる画像記録装置において、前記記録媒体の先頭の空白長を記憶する記憶部をさらに備え、前記制御部は、前記記録部により前記記録媒体に画像を記録した後、前記切断部によって切断することで帳票を出力し、出力する帳票に続けて次の帳票を出力しない場合には、前記切断部によって前記記録媒体の切断すべき位置を定めるに際し、前記先頭の空白長および前記記録媒体に記録された画像の長さに応じて、記録終了後にさらに搬送すべき前記記録媒体の搬送量を決定することを特徴とする。
【0017】
請求項2にかかる画像記録装置によれば、続けて帳票を出力しない場合、すなわち、複数枚の帳票を連続して出力するときの最後の帳票を出力する場合、または、1枚だけ帳票を出力する場合に、その帳票について、出力する帳票の画像の記録を行った後、先頭の空白長および記録媒体に記録された画像の長さに応じて設定された搬送量の搬送を行う。
【0018】
かかる構成によれば、最後の帳票は必要最低限の長さだけ搬送され、手で摘まむのに必要最低限の長さで排出口から出ているので、一律に追加搬送することによる記録媒体の無駄が排除される。
【0019】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項3にかかる画像記録装置は、請求項1または2に記載の画像記録装置において、出力すべき帳票についての複数のデータを記憶する一時記憶部をさらに有し、前記制御部が、前記複数のデータの個々の大きさに応じて、前記複数のデータの出力順序を入れ替えることを特徴とする。
【0020】
請求項3にかかる画像記録装置によれば、記録媒体の無駄がさらに削減されるという効果を奏することができる。
【0021】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項4にかかる画像記録装置の制御方法は、記録媒体を搬送経路に沿って搬送しつつ前記記録媒体に画像を記録し、引き続き前記記録媒体を切断するための切断部に対応させて前記記録媒体の切断位置を定める画像記録装置の制御方法であって、前記記録媒体の切断位置を定めるに際し、前記記録媒体に記録された画像の長さに応じて、記録終了後にさらに搬送すべき前記記録媒体の搬送量を決定することを特徴とする。
【0022】
請求項4にかかる画像記録装置の制御方法によれば、記録された画像の長さによって記録媒体の追加搬送の要否が判断され、必要な場合には記録された画像の長さに応じて必要最低限の長さだけ搬送されて、手で摘まむのに必要最低限の長さで排出口から出ているので、一律に追加搬送することによる記録媒体の無駄が排除される。
【0023】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項5にかかる画像記録装置の制御方法は、請求項4にかかる画像記録装置の制御方法において、前記切断部における切断とともに帳票を作成し、出力する帳票に続けて次の帳票を出力しない場合には、記憶部に記憶させておいた前記記録媒体の先頭の空白長および前記記録媒体に記録された画像の長さに応じて、記録終了後にさらに搬送すべき前記記録媒体の搬送量を決定することを特徴とする。
【0024】
請求項5にかかる画像記録装置の制御方法によれば、続けて帳票を出力しない場合、すなわち、複数枚の帳票を連続して出力するときの最後の帳票を出力する場合、または、1枚だけ帳票を出力する場合に、その帳票について、出力する帳票の画像の記録を行った後、先頭の空白長および記録媒体に記録された画像の長さに応じて設定された搬送量の搬送を行う。
【0025】
かかる構成によれば、最後の帳票は必要最低限の長さだけ搬送され、手で摘まむのに必要最低限の長さで排出口から出ているので、一律に追加搬送することによる記録媒体の無駄が排除される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、画像記録装置が停止するときに最後に出力された帳票の長さが、記録媒体に記録された画像の長さに応じて設定された長さだけ、あるいは先頭の空白長および
記録媒体に記録された画像の長さに応じて設定された長さだけ長いので、出力された帳票の摘みやすさを確保すると同時に、記録媒体の無駄を排除することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1(a)】本発明の実施形態1にかかるプリンタの斜視図である。
【図1(b)】本発明の実施形態1にかかるプリンタの平面図である。
【図2】本発明の実施形態1にかかるプリンタの断面図である。
【図3(a)】本発明の実施形態1にかかるプリンタの概略構成を示す説明図である。
【図3(b)】本発明の実施形態1にかかるプリンタの各部長さを示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態1にかかる注文管理システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図5(a)】本発明の実施形態1にかかるプリンタの1枚伝票が排出された状態を示す平面図である。
【図5(b)】本発明の実施形態1にかかるプリンタの複数枚伝票が排出された状態を示す平面図である。
【図6(a)】本発明の実施形態1にかかる伝票の出力動作を示すフローチャートの前半部である。
【図6(b)】本発明の実施形態1にかかる伝票の出力動作を示すフローチャートの後半部である。
【図7(a)】本発明の実施形態1にかかるプリンタの伝票印字直後の状態を示す説明図である。
【図7(b)】本発明の実施形態1にかかるプリンタのL1だけ搬送した後の状態を示す説明図である。
【図7(c)】本発明の実施形態1にかかるプリンタの伝票印字直後の状態を示す説明図である。
【図7(d)】本発明の実施形態1にかかるプリンタのL1だけ搬送した後の状態を示す説明図である。
【図7(e)】本発明の実施形態1にかかるプリンタの伝票切り取り後の状態を示す説明図である。
【図7(f)】本発明の実施形態1にかかるプリンタの追加搬送後の状態を示す説明図である。
【図7(g)】本発明の実施形態1にかかるプリンタの伝票切り取り後の状態を示す説明図である。
【図7(h)】本発明の実施形態1にかかるプリンタのL1だけ搬送した後の状態を示す説明図である。
【図7(i)】本発明の実施形態1にかかるプリンタの伝票切り取り後の状態を示す説明図である。
【図8(a)】本発明の実施形態1にかかるプリンタから排出された短印字長伝票が複数枚伝票の場合の構成例を示す平面図である。
【図8(b)】本発明の実施形態1にかかるプリンタから排出された短印字長伝票が1枚伝票の場合の構成例を示す平面図である。
【図8(c)】本発明の実施形態1にかかるプリンタから排出された長印字長伝票が複数枚伝票の場合の構成例を示す平面図である。
【図8(d)】本発明の実施形態1にかかるプリンタから排出された長印字長伝票が1枚伝票の場合の構成例を示す平面図である。
【図9】本発明の実施形態2にかかる再配列前のトランザクションデータの構造である。
【図10】本発明の実施形態2にかかる再配列後のトランザクションデータの構造である。
【図11】本発明の実施形態3にかかるプリンタの斜視図である。
【図12】本発明の実施形態3にかかるプリンタの概略構成を示す説明図である。
【図13】本発明の実施形態3にかかる伝票の出力動作を示すフローチャートである。
【図14(a)】本発明の実施形態3にかかるプリンタの追加搬送を要する場合の概略構成を示す説明図である。
【図14(b)】本発明の実施形態3にかかるプリンタの追加搬送を要しない場合の概略構成を示す説明図である。
【図15(a)】従来技術にかかるプリンタから短い伝票が排出された場合のロール紙の出力形態を示す平面図である。
【図15(b)】従来技術にかかるプリンタから長い伝票が排出された場合のロール紙の出力形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明にかかる画像記録装置および画像記録装置の制御方法の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
本実施形態では、用紙の幅方向にライン状のサーマルヘッドを配設した感熱式のサーマルプリンタに本発明を適用した構成例を示す。なお、本実施形態においては、ロール紙は順方向にのみ送り出され、逆方向には送り出されないものを想定している。
【実施例1】
【0030】
図1(a)は、本実施形態にかかる画像記録装置としてのサーマルプリンタ100の外観を示す斜視図であり、図1(b)は同平面図である。サーマルプリンタ100の外観は上ケース110、下ケース120、排出部130、表示・操作パネル140より構成される。
【0031】
サーマルプリンタ100は、感熱紙をロール状に巻回したロール紙S(図3(a))を記録媒体とし、発熱素子を備えたサーマルヘッドによりロール紙Sに文字を含む画像を印刷すなわち記録するプリンタである。本実施形態のサーマルプリンタ100は、一例として、レストラン等の飲食店における注文管理システムの一部として、厨房に配置されて使用される。店員が顧客の注文を入力すると、いわゆるキッチンプリンタとしてその注文を印字したチケット形態の伝票を出力するものである。
【0032】
排出部130は、印字の終了した伝票がサーマルプリンタ100の本体より繰り出される部位であり、ユーザーはその繰り出された印字済みの伝票を手で摘まんで取り出す。
【0033】
また、表示・操作パネル140は、サーマルプリンタ100の動作状態を表示したり、ユーザーがプリンタ100の設定、用紙のフィード等を操作したりする部位である。表示・操作パネル140の表示部位には、例えばLCDが用いられる。
【0034】
凹状に形成された排出部130の奥まった位置に、排出口250(図2)が開口している。排出口250は、サーマルプリンタ100の上面より奥まった位置で、画像が印字されたロール紙Sをほぼ垂直方向に排出する。
【0035】
従って、排出口250から排出された伝票がある程度の長さを有していないと、限られた容積の排出部130内で、手で摘まんで取り出しにくい。
【0036】
図2は、図1(b)におけるA−A断面図であり、本実施形態にかかるサーマルプリン
タ100の断面図である。図2中には、記録媒体としてのロール紙Sの搬送経路を、仮想線Xで示してある。
【0037】
図2において、210はロール紙保持部、220はサーマルヘッド、230はプラテンローラー、240はカッタ装置、250は排出口、260は用紙センサを示す。
【0038】
ロール紙保持部210は、長さ方向に沿ってロール状に巻回されたロール紙Sを回転可能な状態で保持する。これによって、ロール紙Sをロール紙保持部210から引き出し可能な状態とすることができる。ロール紙Sはロール紙保持部210に、いわゆるペーパードロップイン方式で装填されてもよい。
【0039】
このロール紙保持部210に収容されたロール紙Sの先端は、上方に引き出されて案内され、プラテンローラー230によって搬送される。プラテンローラー230は、プラテン駆動モータ412(図4)により回転駆動されるロール型のプラテンであり、ロール紙Sをサーマルヘッド220との間で挟持して搬送する。
【0040】
サーマルヘッド220は、プラテンローラー230に対向して配置され、プラテンローラー230とともに記録部を構成し、サーマル方式による印字をおこなう。サーマルヘッド220は、たとえばライン状に配列された複数の感熱素子(図示略)を備えている。この感熱素子が、ばね(図示略)の付勢力によって、プラテンローラー230との間に挟持されたロール紙Sに押しつけられるよう配置されている。
【0041】
サーマル方式のサーマルヘッド220を用いた印字に際しては、サーマルヘッド220とプラテンローラー230との間に感熱紙などの感熱発色性を有する記録媒体としてのロール紙Sを介在させ、サーマルヘッド220が備える感熱素子に選択的に通電することによって該当する感熱素子を選択的に発熱させロール紙S上に小さな点(ドット)を発色させる。このドットにより、文字、図形などをあらわすことができる。
【0042】
なお、記録部は、上記サーマル方式に限るものではなく、インクジェット方式などの他のノンインパクト方式、ドットインパクトプリントヘッドを用いたインパクト方式を採用した印字をおこなうものなどであってもよい。
【0043】
カッタ装置240は、固定刃320と可動刃330(図3(a))とを備えており、可動刃330は、カッタ駆動モータ418(図4)によって、搬送経路X上のロール紙Sを横切る方向に往復動可能に設けられている。そして、固定刃320に対して可動刃330が移動することによって搬送されてきたロール紙Sをカットすなわち切断する。本カッタ装置240が、切断部を構成する。
【0044】
カットの方式には、ロール紙Sを完全に分離するフルカットの他に、ロール紙Sの一部(例えば、ロール紙Sの中央部分の一点)を残した切断方式である、パーシャルカットがある。パーシャルカットによれば、ロール紙Sの幅方向の一部が切り残されるため、プリンタから出力される帳票は排出口につながった状態で出力され、排出口から落下することがないので、紛失や汚損を防止できる。本実施例においては、いずれのカット方式を採用してもよい。
【0045】
カットされて、チケット形態となった伝票は、排紙口250から排出される。
【0046】
また、プラテンローラー230の上流側近傍の搬送路には、紙の有無を検出する用紙センサ260が配設されている。用紙センサ260は、プラテンローラー230とサーマルヘッド220との間にロール紙Sがあるか否かを検出するセンサであり、例えば、反射型
光センサが用いられる。
【0047】
図3(a)は本実施の形態にかかるプリンタの概略構成を示す説明図であり、前述の図2に関する説明中の主要部を抜き出して図示したものである。図中、310は印字部、320は固定刃、330は可動刃、340はケースの一部、符号Sはロール紙、符号Pは当該ロール紙Sにおける印字領域を示す。
【0048】
また、図3(b)は、図3(a)において、後の説明において必要となる部位の長さを図示するものである。すなわち、Lsは、印字を開始するに際してロール紙Sの先頭部分に存在する空白行の長さ、Lpは印字した長さ、そして、L1は記録部310からカッタ装置240までの長さ、L2はカッタ装置240から排出口250までの長さを示す。
【0049】
図4は、本発明の実施形態にかかるサーマルプリンタ100を含む注文管理システムの構成を示す機能ブロック図である。
【0050】
この図4に示す注文管理システム400は、サーマルプリンタ100と、サーマルプリンタ100が設置された店舗において接客担当者が客からの注文を入力するハンディターミナル402と、ハンディターミナル402により入力された注文に関するデータを蓄積及び処理する注文管理サーバ404と、注文管理サーバ404に蓄積されたデータに基づいて、サーマルプリンタ100に対して印字を指示するトランザクションデータを送信するホストコンピュータ406と、を備えて構成される。ハンディターミナル402と注文管理サーバ404とは無線通信回線により接続され、注文管理サーバ404とホストコンピュータ406、および、ホストコンピュータ406とプリンタ100とは有線通信回線により接続されている。
【0051】
注文管理システム400では、接客担当者が客からの注文を受けてハンディターミナル402を操作し、注文の内容と、注文した客のテーブル番号や人数等の情報を入力すると、この入力された情報は、注文管理サーバ404に送信され、注文管理サーバ404において集計される。同時に、注文管理サーバ404は、新たな注文に関するデータがハンディターミナル402から送信されたことに対応して、その新たな注文の内容をサーマルプリンタ100によって印字出力するため、ホストコンピュータ406に対して新たな注文の内容に関するデータを送信する。
【0052】
ホストコンピュータ406は、注文管理サーバ404から送信された新たな注文に関するデータをもとに、サーマルプリンタ100に送信するトランザクションデータを生成する。このトランザクションデータは、綴り伝票800(図5(a)、(b))を印字するためのデータであり、ハンディターミナル402により注文として入力された内容に対応し、注文された料理の名称と注文数量、注文した客のテーブル番号、人数等の情報を、伝票毎に配列したデータである。トランザクションデータにおいては、各伝票のデータの間にカット指示データが含まれ、さらに、当該トランザクションデータ中の最終(末尾)の伝票のデータには、最後の伝票であることを示すデータが付加される場合がある。
【0053】
次にサーマルプリンタ100の制御機構を図2、図3(a)、(b)に図示した構成との関係において説明する。
【0054】
制御部408は図示しない、CPUを中心とする制御回路基板からなり、用紙センサ260、プラテン駆動モータ412、サーマルヘッド220、カッタ駆動モータ418、RAM420に接続される。さらに、プラテン駆動モータ412には、プラテンの回転数を計数する回転数カウンタ414が接続される。この制御部408が上記各部を制御することにより、綴り伝票800(図5(a)、(b))が出力される。
【0055】
用紙センサ260には図示しないセンサ部が取り付けられている。プラテンローラー230とサーマルヘッド220に挟持されセットされたロール紙Sは、該センサ部によって検出され、ロール紙Sの交換時等にロール紙Sの有無を判別することができる。
【0056】
プラテン駆動モータ412は、例えばステッピングモータにより構成され、制御部408から入力される駆動パルスに従って、パルス数に対応する角度だけ回転し、プラテンローラー230を回転させる。従って、プラテン駆動モータ412の回転数を回転数カウンタ414により計数することにより印字行数、すなわち印字長を求めることができる。
【0057】
プラテン駆動モータ412は、プラテンローラー230とともに搬送部を構成する。
【0058】
カッタ駆動モータ418はカッタ装置240に配され、制御部からの信号により駆動されて、ロール紙Sの切断、例えば、パーシャルカットを実施する。
【0059】
RAM420は、上述のプラテン駆動モータ412の回転数、あるいは後述のロール紙Sの先頭空白長を記憶するための記憶部を構成する。
【0060】
図5(a),(b)は、本実施形態にかかるプリンタの伝票が排出された状態を示す平面図である。
【0061】
図5(a)は伝票810のみが出力された状態を示し、図5(b)は伝票810に続けて伝票820、830が出力された状態を示す。
【0062】
サーマルプリンタ100は、綴り伝票800を印字出力した時点で停止するので、ユーザーは、停止したサーマルプリンタ100の排出部130から当該綴り伝票の一部または全部を取り上げ、切込Cの切り残しを引きちぎる。
【0063】
このとき、図5(a)に示すように、1片の伝票810が排出口250から出ている状態では、この伝票が短ければ、排出部130内にほぼ収まってしまう。また、図5(b)に示すように、伝票810と、この伝票810に続く伝票820および伝票830が排紙口250から出ている状態では、先頭の伝票810は排出部130の外に出るものの、排紙口250に最も近い伝票830は排出部130内に収まっている。
【0064】
このように、排紙口250から排出される伝票810、820、830のサイズが小さいと、これらの伝票が紙溜まりの排出部130の奥に留まって、手で摘みにくいことが考えられる。
【0065】
本実施形態のサーマルプリンタ100では、上述のように綴り伝票800の末尾の伝票810または830に、長さLfの追加搬送を行うことで、伝票830の画像が紙溜まりの排出部130の前方に搬送されるようにしている。これにより、伝票のサイズが小さくても手で摘みやすくなり、サーマルプリンタ100の利便性を向上させている。
【0066】
他方、印字長が比較的長く、伝票810あるいは830が長い場合には、すでに伝票自体が手で摘まめる長さ、あるいはそれに近い長さとなっているので、上記のように空白を設けるとロール紙Sの無駄が生ずる。
【0067】
従って、本実施形態のサーマルプリンタ100では、上記に加え、長い伝票の場合には、その先頭空白長、および印字長の長さに応じて追加搬送量Lfを決めている。これにより、さらに用紙の無駄を排除することができるのである。
【0068】
以下、本実施例にかかるサーマルプリンタ100の動作およびその機構について、図6(a)、(b)、図7(a)〜(i)、図8(a)〜(d)を参照しながら説明する。
【0069】
図6(a)、(b)は、本発明の実施形態にかかる伝票の出力動作を示すフローチャートであり、図7(a)〜(i)は、本発明の実施形態にかかる伝票の出力動作におけるプリンタの概略構成を示す説明図であり、図8(a)〜(d)は、本発明の実施形態にかかるプリンタから排出される伝票の構成例を示す平面図である。
【0070】
まず、本実施例の特徴的な動作の概略は以下のとおりである。
【0071】
トランザクションデータを受信すると、サーマルプリンタ100は、プラテン駆動モータ412の回転数カウンタ414により、個々の伝票の印字長に対応した回転数を計数しながら、カットを入れつつ印字していく。
【0072】
ひとかたまりの綴り伝票データの受信が完了すると、前記回転数カウンタの値Nを印字長に変換した印字長Lp、直前の伝票出力時に記憶しておいた先頭空白長Lsの値を勘案して、排出口から出ている伝票の長さと手で摘まむのに必要最低限の長さ(ハンドリング最低長、例えば、20mm)Lminとを比較し、追加搬送量Lfの長さを決定して追加搬送する。
【0073】
ひとかたまりの綴り伝票データの受信完了後の動作は、ひとかたまりのデータに含まれる伝票の数が1枚であるか、2枚以上であるかにより異なる。2枚以上の場合には伝票を連続して印字していけばよいので、前記の先頭空白長Lsを考慮する必要がないからである。
【0074】
図6(a)、(b)を参照して、制御部408が行う伝票の出力動作を説明する。電源を入れるとサーマルプリンタ100は「待機状態」状態になっている(S600)。
【0075】
サーマルプリンタ100の使用開始時に、ユーザーはその必要があれば初期設定を行う(S602〜S606)。初期設定は、操作パネルに設けられた初期設定ボタンにより、ユーザーが初期設定指示を行うようにしてもよい。
【0076】
初期設定指示が検出されると、サーマルプリンタ100はロール紙Sをカットし、RAM420の先頭空白長Lsの記憶領域にL1を記憶して、Lsを更新する。使用開始時には、印字部310とカッタ装置240の間の領域は必然的に空白となるからである。
【0077】
その後の連続使用に際しては、上記初期設定の必要はない。
【0078】
次にトランザクションデータを受信すると(S608)、サーマルプリンタ100は伝票の数を計数する変数iを1に設定し(S610)、1番目の伝票1の印字を開始するとともに、プラテン駆動モータ412の回転数カウンタ414によりプラテン駆動モータ412の回転数のカウントを開始する(S612)。
【0079】
トランザクションデータ中の伝票1のデータの印字終了データを受信すると(S614)、サーマルプリンタ100は、その時の回転数カウンタ414の値N1を、RAM420の記憶領域に記憶する(S616)。この時のサーマルプリンタ100の状態を図7(a)に図示する。図において符号Pで示される点線は、サーマル紙S上への印字領域を示す。
【0080】
次に、回転数カウンタ414の値N1の値に比例乗数kを掛けて、データ1の印字長Lp1を計算する。すなわち、
Lp1=kN1 ・・・ (数1)
となる(S618)。
【0081】
比例乗数kは回転数カウンタ414の値N1を印字長Lp1に換算する係数であり、あらかじめ回転数と印字長との関係から計算しておけばよい。
【0082】
次に、LT1に上記Lp1を代入し、LTiのうちのLT1を設定する(S620)。LTiは、後述において、伝票を2枚以上印字する場合のカット位置の計算に用いる変数である。
【0083】
ついで、サーマルプリンタ100は、印字した伝票1が最終伝票であるか否か判断する(S622)。最終伝票であるか否かの判断は、ホストコンピュータ406からトランザクションデータが送信される際に、当該伝票に最終伝票である旨のデータが付加されているか否かで判断してもよい。
【0084】
また、別法として、個々の伝票の印字終了後、規定時間のウエイト・タイムを設け、該規定時間内にホストコンピュータ406が次の伝票データを送信してこなかった場合に、当該伝票を最終伝票と判断するようにしてもよい。
【0085】
上記判断の結果、当該伝票1が最終伝票である場合、ひとかたまりのデータに含まれる伝票の数は1枚である。この場合には、カットを適正に行うためにL1だけロール紙を搬送した後カットし(S624〜S626)、回転数カウンタ414をクリヤし(S628)、LpにLp1を代入する(S630)。この時のサーマルプリンタ100の状態を図7(b)に図示する。図中の符号Cは切込の位置を示す。
【0086】
その後、追加搬送量Lfを算出するS664以降のステップへと進むが、上記のLpは、そのLfを算出するステップで用いられる。
【0087】
一方、前記判断の結果、伝票1が最終伝票でない場合は、ひとかたまりのデータに含まれる伝票の数は複数枚である。この場合には、トランザクションデータ中の伝票の数を計数する変数iを「1」だけインクリメントし(S632)、連続伝票、すなわち綴り伝票の印字ステップである、S634〜S662のステップへと進む。
【0088】
まず、回転数カウンタ414をクリヤした後、伝票iの印字を開始すると同時に回転数カウンタ414で新たに回転数Niを計数する(S634〜S636)。
【0089】
次に、伝票iのデータが終了すると(S638)、その時の回転数カウンタの値NiをRAM420に記憶し(S640)、(数1)と同様に、Lpi=kNiとして、伝票iの印字長Lpiを算出する(S642)。
【0090】
ついで、LTiを次式により計算する。
【0091】
LTi=Σ(j:j=1〜i−1)Lp(j−1) ・・・ (数2)
Σ(j:j=1〜i−1)は、Lp1からLp(i−1)までの和である。
【0092】
このLTiを用いて、以下に述べるように、連続帳票の場合のカット位置を決めていく。
【0093】
伝票iが印字し終わった後はL1だけ搬送してカットを行うが、伝票iを連続して印字、カットしていく場合には、L1だけの搬送は次の伝票i+1を印字しながら行えばよい。従って、伝票i+1の印字の途中で伝票iのカットを行う必要がある。
【0094】
上記のLTiはこの動作のための変数であり、サーマルプリンタ100が印字を開始してからLTi+L1の位置ごとにカットを行ってしていくと(S648)、Lp1+L1、Lp1+Lp2+L1、Lp1+Lp2+Lp3+L1、・・・の位置でカットがなされることになり、隙間なく連続カットしていくことができる。
【0095】
ここで、S646で、Lp(i−1)とL1の大小関係を判断しているのは、伝票i−1の印字長Lp(i−1)がL1より小さい場合には、伝票i−1の先端がカッタに到達していないため、Lp(i−1)に対してL1だけ搬送してカットするとL1−Lp(i−1)だけ無駄な余白が生ずるので、この場合はカットをスキップし、後続の伝票の印字によりL1だけ進んだのちカットを行うようにするためのステップである。本ステップは、さらに白紙部分の無駄を削減しようとするものであり、省略してもさしつかえない。
【0096】
次に、サーマルプリンタ100は、印字した伝票iが最終伝票であるか否か判断する(S650)。
【0097】
最終伝票でない場合には、S632へと進み、引き続き伝票を印字する。
【0098】
上記判断の結果、当該伝票iが最終伝票である場合には、その時のiの値を変数Xに代入し、カットを適正に行うためにL1だけロール紙を搬送した後カットし(S652〜S656)、回転数カウンタ414をクリヤし(S658)、LpにLpxを代入する(S660)。この時のサーマルプリンタ100の状態は図7(b)のようになっている。
【0099】
次に、Lsに0を代入して、Lsを更新する(S662)。複数の伝票が綴り伝票として連続して出力される場合には、追加搬送量Lfを算出するに際し先頭空白長Lsを考慮する必要がないからである。
【0100】
その後、追加搬送量Lfを算出するS664以降のステップへと進むが、上記のLpは、そのLfを算出するステップで用いられる。
【0101】
以下、追加搬送量Lfを算出する手順について説明する。
【0102】
まず、先頭空白長LsをRAM420から読み出す(S664)。このLsは、直前の伝票出力において設定された先頭空白長Lsか、S606もしくはS662で更新されたLsである。
【0103】
次に、前記Lsと、上述において求められている印字長Lpと、ハンドリング最低長Lminと、記録部310からカッタ装置240(図3(a)、(b))までの長さL1と、カッタ装置240から排出口250までの長さL2の相互の関係に応じて場合分けする(S666)。
【0104】
まず、図7(c)に図示する、
Ls+Lp<L2 ・・・ (数3)
が成り立つ場合である。この場合は、印字長が短く(例えば、単品データの場合)、印字後ロール紙Sが排出口から出ていない場合に相当する。
【0105】
かかる場合において、Lfだけ追加搬送した場合のサーマルプリンタ100の状態を図
7(d)に図示する。同図からLfは、
Lf=Lmin−Lp−Ls+L2 ・・・(数4)
と求まるので(S670)、サーマルプリンタ100はこの長さLfだけ追加搬送を行う(S672)。
【0106】
図7(d)の符号Cは切込の位置であり、綴り伝票を切り取った後のロール紙Sの先頭の状態は図7(e)のようになっている。
【0107】
その後、図7(e)のLs1で示された先頭空白長を求める(S674)。
【0108】
同図より、Ls1=Lf+L1であるから、(数4)を代入して、
Ls1=Lmin−Lp−Ls+L1+L2・・・(数5)
となる。このLs1を次のLsとし、RAM420に記憶して、Lsを更新する(S674)。
【0109】
以上の動作後、サーマルプリンタ100はその動作を停止し、「待機状態」状態(S600)へと戻る。
【0110】
ここで、綴り伝票の場合、排出口250より排出されたロール紙Sの状態は図8(a)のように、伝票が1枚の場合、排出口250より排出されたロール紙Sの状態は図8(b)のようになっている。図8(a)、(b)には、図7(d)に対応した、排出口250、カッタ装置240の位置を図示している。
【0111】
図8(a)、あるいは(b)に図示するように、最後の伝票830あるいは810は比較的短いため、排出口250より出る長さをハンドリング最低長Lminにすべく、Lfだけ追加搬送している。従って、伝票830あるいは810自体は短いにもかかわらず、ユーザーが排出口において摘まみやすい長さとなっている。
【0112】
また、印字長Lpの長さに応じて追加搬送量Lfを必要最低限の長さとしているので、ロール紙Sの無駄も削減される。
【0113】
次に、図7(b)に図示する状態において、
0≦Ls+Lp−L2<Lmin ・・・ (数6)
が成り立つ場合である。
【0114】
この場合は、印字後ロール紙Sが排出口250から出ているが、その出ている長さが、ハンドリング最低長Lminより短い場合に相当する。
【0115】
かかる場合における追加搬送を行った後のサーマルプリンタ100の状態は図7(f)のようになる。本図を参照して計算すると、追加搬送量Lfは(数4)と、先頭空白長Ls2は(数5)と同様の計算式となる。従って、以下、上記の図7(c)の場合と同様の処理をすればよい。
【0116】
なお、図7(f)の符号Cは切込の位置であり、綴り伝票を切り取った後のロール紙Sの先頭の状態は図7(g)のようになっている。
【0117】
次に、図7(b)図示する状態において、
Ls+Lp−L2≧Lmin ・・・ (数7)
が成り立つ場合である。
【0118】
この場合は、印字後ロール紙Sが排出口250から出ており、しかもその出ている長さが、ハンドリング最低長Lminより長い場合に相当する。
【0119】
かかる場合においては、サーマルプリンタ100の状態は図7(h)のようになっているので、追加搬送する必要がない。従って、追加搬送量Lfは、
Lf=0 ・・・(数8)
である。また、先頭空白長Ls3は、図7(h)より、
Ls3=L1 ・・・ (数9)
となるから、このLs3を次の伝票を出力する際の先頭空白長Lsとすべく、RAM420に記憶して、Lsを更新する(S668)。
【0120】
以上の動作後、サーマルプリンタ100はその動作を停止し、「待機状態」状態(S600)へと戻る。
【0121】
図7(h)の符号Cは切込の位置であり、綴り伝票を切り取った後のロール紙Sの先頭の状態は図7(i)のようになっている。
【0122】
綴り伝票の場合、排出口250より排出されたロール紙Sの状態は、図7(h)に対応して図8(c)のようになっている。
【0123】
同様に、伝票が1枚の場合、排出口250より排出されたロール紙の状態は図8(d)のようになっている。
【0124】
なお、図8(c)、(d)には、図7(h)に対応した、排出口250、カッタ装置240の位置を図示している。
【0125】
図8(c)、あるいは(d)に図示するように、最後の伝票880あるいは860は、排出口250から出ている長さがハンドリング最低長Lminより長いので、追加搬送を行わない。本実施例では、このように、印字長によって追加搬送量Lfの有無を判断しているので、白紙部分が必要最低限に抑えられ、ロール紙Sの無駄が削減されるという効果を奏するのである。
【実施例2】
【0126】
本実施例は、実施例1について、さらにロール紙Sの無駄の削減を図ったものである。
【0127】
本実施例では、ハンディターミナル402から注文管理サーバ404を経由してホストコンピュータ406のバッファメモリに蓄積されるトランザクションデータ中の、個別の伝票データの一部を入れ替えることを趣旨とする。
【0128】
実施例1の説明でも述べたとおり、追加搬送量Lfは、綴り伝票の最後の伝票の印字長Lpの長さに依存する。すなわち、図6(b)を参照して、S664で読み出したLpが長ければ長いほどS666での判断の後S668に進む可能性が、あるいはS670に進んだとしても、S670で求めた追加搬送量Lfの値が小さくなる可能性が高くなる。
【0129】
そこで、本実施例では、ホストコンピュータ406において、バッファメモリに蓄積されるトランザクションデータ中の個別の伝票データの長さを認識し、最長の伝票データがトランザクションデータの最後尾になるように伝票データを再配列し、サーマルプリンタ100に送信するようにする。
【0130】
図9に、再配列前のトランザクションデータの構造、図10に再配列後のトランザクシ
ョンデータの構造を図示する。アドレス001〜005のかたまりは、ひとつのトランザクションデータ、すなわちひとつの綴り伝票のデータを示し、綴り伝票データに含まれる個々の伝票データの面積は、当該伝票データの大きさを概念的に示している。
【0131】
すなわち、図9においては、アドレス003の最長の伝票データ003がトランザクションデータの中央に配置されている一方、最短の伝票データ005が最後尾に配置されている。従って、このままサーマルプリンタ100に送信し印字させると、最短の伝票データ005によって追加搬送量Lfが決定されるので、当該Lfが比較的大きな値となり、サーマル紙に余白が余計に生ずる。
【0132】
そこで本実施例においては、図10に図示するように、最長の伝票データ003が最後尾に配置されるように伝票データを入れ替えてサーマルプリンタ100に送信するようにする。
【0133】
そうすることにより、比較的長い伝票データによりLfが決定されることになるから、その値は0か、あるいは比較的小さな値となり、白紙部分がさらに抑えられ、ロール紙Sの無駄がさらに削減されるという効果を奏することができるのである。
【0134】
なお、上記実施例においては、ホストコンピュータ406においてトランザクションデータの再配列を行うようにしているが、これを、ホストコンピュータ406からサーマルプリンタ100がトランザクションデータを受信した後、サーマルプリンタ100の制御部408において再配列を行うようにしてもよい。
【実施例3】
【0135】
本実施例は、オートカッタを有さない場合の実施例である。実施例1のサーマルプリンタ100は、カッタ装置が可動刃と固定刃を有するいわゆるオートカッタ付サーマルプリンタの実施例であった。サーマルプリンタには、このオートカッタの代わりに、排出口近傍に固定カッタを設け、ユーザーが手で該固定カッタにロール紙Sを沿わせて移動することにより切断を行う簡易タイプがある。
【0136】
そのようなタイプのサーマルプリンタ1100の外観を図11に図示する。
【0137】
図11において、1110は上ケース、1120は下ケース、1130は排出口、1140は固定カッタ、1150は表示・操作パネルを示す。
【0138】
図11のサーマルプリンタ1100の概略構成を示す説明図を図12に図示する。図12において、1210はロール紙保持部、1220はサーマルヘッド、1230はプラテンローラー、1240は印字部、1130は排出口、1140は固定カッタ、1270はケースの一部を示す。符号Sはサーマル紙、Pは印字領域、Lpは印字長、L3は排出口1130、印字部1240間の距離を示す。
【0139】
本発明の実施形態にかかるサーマルプリンタ1100を含む注文管理システムの構成は、サーマルプリンタ1100ではカッタ駆動モータ418を有さないこと以外、図4に図示したサーマルプリンタ100の機能ブロック図と同様である。
【0140】
サーマルプリンタ1100に本発明を適用した場合の動作およびその機構について、図13、図14(a),(b)を参照しながら説明する。
【0141】
図13は、本発明の実施形態にかかる伝票の出力動作を示すフローチャートであり、図14(a),(b)は、本発明の実施形態にかかる伝票の出力動作におけるプリンタの概
略構成を示す説明図である。
【0142】
図13を参照して、電源を入れるとサーマルプリンタ1100は「待機状態」状態になっている(S1300)。
【0143】
サーマルプリンタ1100はトランザクションデータを受信すると(S1302)、プラテン駆動モータ412の回転数カウンタ414(図4)により、印字長に対応した回転数を計数しながら、伝票を印字していく(S1304)。
【0144】
トランザクションデータ中の伝票データの印字終了データを受信すると(S1306)、サーマルプリンタ1100は、その時の回転数カウンタ414の値Nを、RAM420の記憶領域に記憶する(S1308)。この時のサーマルプリンタ1100の状態は図12に図示したようになっている。すなわち、図12は印字を終了した直後の状態を図示している。
【0145】
次に、サーマルプリンタ1100は、ユーザーが適正なカットを行えるようL3+Lcの長さだけロール紙Sを搬送する(1310)。L3は排出口1130、印字部1240間の距離であり、Lcは切りしろである。この時のサーマルプリンタ1100の状態を図14(a)に図示する。
【0146】
次に、サーマルプリンタ1100は、回転数カウンタ414をクリヤした後(S1312)、RAM420より回転数カウンタの値Nを読み出し(S1314)、前述の(数1)と同様にLp=kNとして、これを印字長Lpに変換する(S1316)。
【0147】
比例乗数kは回転数カウンタ414の値Nを印字長Lpに換算する係数であり、あらかじめ回転数と印字長との関係から計算しておけばよいことは前述のとおりである。
【0148】
次にサーマルプリンタ1100は、印字長Lp、切りしろLcと、ハンドリング最低長Lminの関係から、追加搬送の要否を判定する(S1318)。
【0149】
まず、図14(a)に図示する、
Lp+Lc<Lmin ・・・ (数10)
が成り立つ場合である。
【0150】
この場合は、排出口1130より出ている伝票の長さがハンドリング最低長Lminに達していないので、次式により追加搬送量Lfを求める(S1320)。
【0151】
Lf=Lmin−Lp−Lc ・・・ (数11)
次に、サーマルプリンタ1100は、Lfだけ追加搬送を行って(S1322)、当該トランザクションデータに対応する動作を停止し、「待機状態」状態(S1300)へと戻る。
【0152】
次に、図14(b)に図示する、
Lp+Lc≧Lmin ・・・ (数12)
が成り立つ場合である(S1318)。
【0153】
この場合は、すでに排出口1130からハンドリング最低長Lmin以上の長さの伝票が出ているから、追加搬送をせずにトランザクションデータに対応する動作を停止し、「待機状態」状態(S1300)へと戻る。
【0154】
以上述べたとおり、本実施例では、一律に追加搬送することなく、印字長Lpによって追加搬送量Lfの要否を判断し、必要な場合には印字長Lpに応じて追加搬送量Lfを決定しているので、白紙部分が必要最低限に抑えられ、ロール紙Sの無駄が削減されるという効果を奏するのである。
【0155】
なお、本実施形態のプリンタは、上記の構成に限定されるものではなく、種々の変形例や応用例が適用可能である。
【0156】
例えば、本実施形態では排出部がプリンタの上部に設けられ、用紙が略垂直に排出される態様を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、排出部が側面等に設けられ、用紙が水平に排出される態様にも適用可能である。
【0157】
また、本実施形態ではサーマル方式を前提に、記録媒体として感熱紙を例示して説明したが、他のノンインパクト方式、あるいはインパクト方式に対応した適宜な用紙の適用が可能である。
【0158】
本実施形態では、パーシャルカットとして中央部分の一点を切り残す方式を例示して説明したが、任意の位置、例えば端を切り残すようにしてもよい。また、本実施形態では、切断装置として固定刃、可動刃を用いたカッタ装置を例示して説明したが、回転可能な丸刃を用いた切断装置を適用してもよい。
【0159】
さらに、本発明の適用範囲は、プリンタに限らず、プリンタを備えた他の電子機器に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0160】
100 サーマルプリンタ
110 上ケース
120 下ケース
130 排出部
140 表示・操作パネル
210 ロール紙保持部
220 サーマルヘッド
230 プラテンローラー
240 カッタ装置
250 排出口
260 用紙センサ
310 印字部
320 固定刃
330 可動刃
340 ケースの一部
400 注文管理システム
402 ハンディターミナル
404 注文管理サーバ
406 ホストコンピュータ
408 制御部
412 プラテン駆動モータ
414 回転数カウンタ
418 カッタ駆動モータ
420 RAM
800、850、1500、1550 綴り伝票
810、820、830、860、870、880、1510、1520、1530、1560、1570、1580 伝票
1100 サーマルプリンタ
1110 上ケース
1120 下ケース
1130 排出口
1140 固定カッタ
1150 表示・操作パネル
1210 ロール紙保持部
1220 サーマルヘッド
1230 プラテンローラー
1240 印字部
1270 ケースの一部
C 切込
X ロール紙搬送経路
S ロール紙
P 印字領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送経路上に設けられ、前記記録媒体に画像を記録する記録部と、
前記記録部における記録が終了し搬送された前記記録媒体の切断を行うための切断部と、前記記録媒体の搬送、前記記録媒体への記録および前記記録媒体の切断を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記切断部によって前記記録媒体の切断すべき位置を定めるに際し、前記記録媒体に記録された画像の長さに応じて、記録終了後にさらに搬送すべき前記記録媒体の搬送量を決定することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記記録媒体の先頭の空白長を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記記録部により前記記録媒体に画像を記録した後、前記切断部によって切断することで帳票を出力し、出力する帳票に続けて次の帳票を出力しない場合には、前記切断部によって前記記録媒体の切断すべき位置を定めるに際し、前記先頭の空白長および前記記録媒体に記録された画像の長さに応じて、記録終了後にさらに搬送すべき前記記録媒体の搬送量を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
出力すべき帳票についての複数のデータを記憶する一時記憶部をさらに有し、前記制御部が、前記複数のデータの個々の大きさに応じて、前記複数のデータの出力順序を入れ替えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
記録媒体を搬送経路に沿って搬送しつつ前記記録媒体に画像を記録し、引き続き前記記録媒体を切断するための切断部に対応させて前記記録媒体の切断位置を定める画像記録装置の制御方法であって、
前記記録媒体の切断位置を定めるに際し、前記記録媒体に記録された画像の長さに応じて、記録終了後にさらに搬送すべき前記記録媒体の搬送量を決定することを特徴とする画像記録装置の制御方法。
【請求項5】
前記切断部における切断とともに帳票を作成し、出力する帳票に続けて次の帳票を出力しない場合には、記憶部に記憶させておいた前記記録媒体の先頭の空白長および前記記録媒体に記録された画像の長さに応じて、記録終了後にさらに搬送すべき前記記録媒体の搬送量を決定することを特徴とする請求項4に記載の画像記録装置の制御方法。

【図1(a)】
image rotate

【図1(b)】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3(a)】
image rotate

【図3(b)】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5(a)】
image rotate

【図5(b)】
image rotate

【図6(a)】
image rotate

【図6(b)】
image rotate

【図7(a)】
image rotate

【図7(b)】
image rotate

【図7(c)】
image rotate

【図7(d)】
image rotate

【図7(e)】
image rotate

【図7(f)】
image rotate

【図7(g)】
image rotate

【図7(h)】
image rotate

【図7(i)】
image rotate

【図8(a)】
image rotate

【図8(b)】
image rotate

【図8(c)】
image rotate

【図8(d)】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14(a)】
image rotate

【図14(b)】
image rotate

【図15(a)】
image rotate

【図15(b)】
image rotate


【公開番号】特開2012−196863(P2012−196863A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62240(P2011−62240)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(507351883)シチズン・システムズ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】