説明

画像記録装置

【課題】トレイ体の蓋が大きく撓むことを防止できると共に、蓋の撓みとセカンドトレイの移動における摺動性とのバランスを取ることを目的とする。
【解決手段】画像記録装置は、プリンタ筐体に着脱自在に装着されるトレイ体50を備える。トレイ体50は、下段のメイントレイ60と、中段のセカンドトレイ70と、蓋である上段の排紙トレイ80とを備える。セカンドトレイ70は、スライド可能に設けられている。排紙トレイ80は、回動可能に設けられている。排紙トレイ80は、回動中心である回動軸突部84と脚である前壁82との間に設けられた突出リブ85を備える。突出リブ85の先端とセカンドトレイ70に設けられた第1鍔片71A及び第2鍔片72Eの上面との間には、間隙88が形成されている。排紙トレイ80が撓むと突出リブ85が第1鍔片71A、第2鍔片72Eの上面と当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイ体に収容された被記録媒体を搬送して画像を記録する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被記録媒体が載置可能なトレイ体と、このトレイ体が装着される本体と、を備えた画像記録装置が提供されている。本体は、トレイ体に載置された被記録媒体を給送する給送部と、この給送部によって給送された被記録媒体に画像を記録する記録部と、画像記録後の被記録媒体を排出する排出部と、を収容している。給送部は、例えば、給送ローラである。
【0003】
また、画像記録装置には、トレイ体が、被記録媒体をそれぞれ載置可能なメイントレイ及びセカンドトレイを備えた構成を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。例えば、メイントレイにはA4、B5サイズの記録用紙が載置され、セカンドトレイには葉書が載置される。このトレイ体は、メイントレイの上方に配置されたセカンドトレイがスライド可能にメイントレイに支持された構成を有している。セカンドトレイは、給送ローラが当接する位置と、給送ローラから離間した位置との間でメイントレイの上方をメイントレイの載置面に沿ってスライドする。画像記録装置は、セカンドトレイの位置により、メイントレイから被記録媒体を給送するか、セカンドトレイから被記録媒体を給送するかを変える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−230777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セカンドトレイが設けられたトレイ体を有する画像記録装置において、セカンドトレイの上方の少なくとも一部を覆う蓋をトレイ体に設け、メイントレイと蓋との間の空間をセカンドトレイがスライドする構成を採用することが考えられる。しかしながら、セカンドトレイの操作のために蓋とメイントレイとにおいてトレイ体が上下に掴み持たれることが想定され、ユーザがトレイ体を掴み持つことによって蓋が大きく撓んだり、セカンドトレイの摺動性が悪くなったりする虞が生じる。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、蓋が大きく撓むことを防止できると共に、蓋の撓みとセカンドトレイの移動における摺動性とのバランスを取ることができる画像記録装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明の画像記録装置は、本体と、この本体に装着され、且つ、第1被記録媒体及び第2被記録媒体が載置可能なトレイ体と、このトレイ体に載置された被記録媒体を送り出す給送部と、この給送部により送り出された被記録媒体に画像を記録する記録部と、上記トレイ体の上方に位置し、上記記録部で画像が記録された被記録媒体を排出する排出部と、この排出部から排出された被記録媒体を支持可能な排紙載置面を有する排紙受け部と、を備えている。
【0008】
上記トレイ体は、第1被記録媒体が載置可能な第1載置面を有する第1トレイと、第2被記録媒体が載置可能な第2載置面を有し且つ上記第1載置面の上方を上記第1載置面に沿ってスライド可能に設けられており、上記給送部が第2被記録媒体を送り出す第1位置及び上記給送部が第1被記録媒体を送り出す第2位置にスライドにより移動する第2トレイと、上記第2姿勢にある上記第2トレイの少なくとも一部の上方を覆い上記第2トレイの上方に配置された蓋と、を備えている。
【0009】
この蓋は、上記第1トレイに回動可能に支持されており、上記第1載置面に沿う第1姿勢及び上記第1載置面に対して起立する第2姿勢に回動により姿勢変化する基部と、この基部において、回動中心から回動の径方向へ離間された位置に設けられており、上記第1姿勢において上記第1トレイと当接する当接部と、上記基部において、回動中心と上記当接部との間に配置されており、上記第1姿勢において上記第2トレイへ向かって突出され、上記基部が上記第2位置にある上記第2トレイ側へ撓むように変形すると、当該第2トレイに当接する突出部と、を備えている。
【0010】
本発明の画像記録装置は、上記基部の回動中心と上記当接部との間に上記突出部が設けられており、この突出部は、上記蓋が撓むことで上記第2トレイに当接するから、上記第1トレイと上記蓋とにおいて上記トレイ体がユーザにより掴まれ、上記回動中心と上記当接部とを支点として上記蓋が撓んだとしても、上記突出部が上記第2トレイに当接することで上記蓋がそれ以上撓むことを防止でき、また、上記蓋の撓みが、上記突出部が上記第2トレイに当接しない程度の小さい撓みである場合は、上記突出部により上記第2トレイの移動が阻害されることがなく、その結果、上記突出部の突出寸法の分だけ上記蓋の撓みを抑制できると共に、上記蓋の撓みと上記第2トレイの移動における摺動性とのバランスを取ることができる。
【0011】
(2) 上記蓋は上記排紙受け部であり、上記第1姿勢において上記排紙載置面が上記第1載置面に沿い、上記第2姿勢において上記排紙載置面が上記第1載置面に対して起立するものであることが望ましい。上記排紙受け部が上記トレイ体に形成されるものであっても、上記排紙受け部が上記第2トレイと別体で形成されることで、上記排紙受け部を上記排出部に近付けることができる。上記排紙受け部を上記排出部に近付けることができるから、画像記録後の被記録媒体が、表裏が反転して排出されたり、折れ曲がったりすることがなく、その結果、画像記録後の被記録媒体を上記蓋で正常に受けることができる。
【0012】
(3) 上記突出部は、上記第1姿勢において、上記第2トレイのスライド方向及び上記突出部の突出方向と交差する第1方向において対向して配置された一対を含むものであることが望ましい。上記スライド方向と交差する上記第1方向の両端部においてトレイ体はユーザに掴まれることが想定され、この両端部において上記蓋が大きく撓むことを防止でき、その結果、上記蓋の破損を確実に防止することができる。
【0013】
(4) 上記突出部は、上記第1方向へ延びるリブであることが望ましい。上記突出部を利用して上記蓋の剛性を高めることができるからである。
【0014】
(5) 上記第2トレイは、上方に配置された上記基部側に露出され且つスライドのための外力を受けることができる操作レバーを更に備え、上記基部は、上記操作レバーを露出させる露出部を備えたものであることが望ましい。ユーザに上記第2トレイを容易に移動させることができるからである。
【0015】
(6) 上記操作レバーは、上記第1方向における上記トレイ体の一方側に配置されており、上記一対の突出部のうち、上記第1方向における他方側に配置された一方の第1突出部と上記第2トレイとの第1間隙は、上記一対の突出部の他方の第2突出部と上記第2トレイとの第2間隙より広いものであることが望ましい。上記操作レバーが配置された上記一方側は、ユーザにより掴まれることが想定され難く、上記他方側がユーザにより掴まれることが想定され、上記第1間隙が、上記第2間隙より広く設定されることにより、上記一方側と他方側とにおいて、上記蓋の撓みと上記第2トレイの移動における摺動性とのバランスをそれぞれ取ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像記録装置は、上記蓋が大きく撓むことを防止できると共に、上記蓋の撓みと上記第2トレイの移動における摺動性とのバランスを取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】画像記録装置本体の斜視図である。
【図2】プリンタ部の模式的な断面図である。
【図3】メイントレイの斜視図である。
【図4】セカンドトレイが給送位置にある状態におけるトレイ体の斜視図である。
【図5】セカンドトレイが退避位置にある状態におけるトレイ体の斜視図である。
【図6】セカンドトレイ及び排紙トレイが開かれた状態でのトレイ体の斜視図である。
【図7】排紙トレイが開かれた状態でのトレイ体の斜視図である。
【図8】セカンドトレイの分解斜視図である。
【図9】(A)はトレイ体の平面図で、(B)は、(A)におけるAA断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面が参照されて本発明の実施形態が説明される。本実施形態では、図1の画像記録装置本体11と、この画像記録装置本体11に装着される図4のトレイ体50と、を備えた画像記録装置10が説明される。画像記録装置本体11は、図1に示されたように外形が概ね直方体状となる形状に形成されている。画像記録装置本体11の高さ方向が上下方向7と定義され、奥行き方向が前後方向8と定義され、幅方向が左右方向9と定義され、以下説明がされる。また、トレイ体50は画像記録装置本体11に装着されているものとして以下説明がされる。
【0019】
[画像記録装置本体11の概略構成]
画像記録装置本体11は、プリンタ筐体12と、このプリンタ筐体12の上面に載置されたスキャナ筐体13と、このスキャナ筐体13の上面に載置された原稿カバー14と、を備えている。つまり、画像記録装置10は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能等を有する、いわゆる複合機である。プリンタ筐体12は請求項に記載の本体に相当する。
【0020】
プリンタ筐体12は、トレイ体50(図4参照)が出し入れされる開口12Aを前面の下部に備えている。また、プリンタ筐体12は、トレイ体50を前後方向8に沿ってスライド可能に支持する不図示のガイドレールを備えている。トレイ体50は、プリンタ筐体12から完全に取り外せるようにプリンタ筐体12に支持されてもよいし、スライドの前後に渡ってプリンタ筐体12に支持されてもよい。また、プリンタ筐体12は、被記録媒体54に画像を記録する後述のプリンタ部15(図2参照)を上部に収容している。被記録媒体54は、例えば、記録用紙や、光沢紙や、葉書などである。
【0021】
スキャナ筐体13は、原稿カバー14を開閉可能に支持している。スキャナ筐体13は、載置された不図示の原稿を原稿カバー14と共に挟んで保持する。保持された原稿の画像は、スキャナ筐体13に収容されたフラットベッドスキャナなどにより走査され、画像データとして取り込まれる。スキャナ及びプリンタ部15の制御は、不図示の制御回路により行われる。制御回路は、図1に示された複数個の入力ボタン16やパソコンなどの外部機器から入力された情報によりスキャナやプリンタ部15の動作を制御して、画像の取り込みや画像の記録を行う。
【0022】
[プリンタ部15]
プリンタ部15は、図2に示されたように、トレイ体50に収容された被記録媒体54をトレイ体50から送り出す給送機構20と、この給送機構20により送り出された被記録媒体54を搬送する搬送装置30と、この搬送装置30により搬送される被記録媒体54に画像を記録する記録部40と、この記録部40や搬送装置30やスキャナなどを駆動させる不図示の駆動部と、を備えている。この駆動部は、複数個のモータと、このモータの駆動力を搬送装置30やスキャナなどに伝達する駆動伝達機構と、を備えている。モータは上述の制御回路により駆動制御される。給送機構20は請求項に記載の給送部に相当する。記録部40は請求項に記載の記録部に相当する。
【0023】
給送機構20は、プリンタ筐体12に固定されたフレームなどに回転可能に支持され上述の駆動部により回転される棒状の回転軸21と、この回転軸21に一端が支持されたアーム22と、このアーム22の他端に回転可能に支持された左右一対の給送ローラ23と、を備えている。
【0024】
アーム22は、回転軸21を中心に回動可能に回転軸21に一端が支持されている。したがって、給送ローラ23が取り付けられたアーム22の他端は、回転軸21を中心としたアーム22の回動により上下に変位する。つまり、給送ローラ23は上下に変位可能である。アーム22は、後述されるように、トレイ体50がプリンタ筐体12(図1参照)に脱着される際に、トレイ体50のメイントレイ60の右の側壁62に設けられた第1摺接面62C又はセカンドトレイ70に設けられた第2摺接面72C(図4参照)に摺接することで回動し、給送ローラ23をトレイ体50に収容された第1被記録媒体54A又は第2被記録媒体54B(図2参照)に当接させる。
【0025】
給送ローラ23は、アーム22に取り付けられた不図示の伝達ギアにより回転軸21の回転が伝達されることで回転する。制御回路は、被記録媒体54(図2参照)が後方に送り出される向きにモータを介して給送ローラ23を回転させる。後方に送り出された被記録媒体54は、以下に説明される搬送装置30により搬送される。
【0026】
[搬送装置30]
搬送装置30は、図2に示されたように、搬送路31と、搬送ローラ対32及び排紙ローラ対33と、を備えている。搬送路31は、複数個のガイド部材36及びプラテン37により形成されている。搬送路31は、トレイ体50の後端を起点に、トレイ体50の上方に向かって湾曲した後、前方に向かって直線状に延びるように形成されている。プラテン37は、トレイ体50の上方に配置されており、直線状に延びる部分の一部を形成している。
【0027】
[搬送ローラ対32、排紙ローラ対33]
搬送ローラ対32は、図2に示されたように、上述の駆動部により回転される駆動ローラ32Aと、この駆動ローラ32Aに従動する従動ローラ32Bと、を備えている。排紙ローラ対33は、上述の駆動部により回転される駆動ローラ33Aと、この駆動ローラ33Aに従動する従動ローラ33Bと、を備えている。搬送ローラ対32は、プラテン37の後方に配置されており、排紙ローラ対33は、プラテン37の前方に配置され、トレイ体50の前後方向8の中央部の上方に位置する。搬送ローラ対32の駆動ローラ32A及び排紙ローラ対33の駆動ローラ33Aは、上述の制御回路により、被記録媒体54を前方に向かって搬送する向きに回転される。被記録媒体54は、搬送ローラ対32と排紙ローラ対33との少なくとも一方によりプラテン37上を搬送され、以下に説明される記録部40により画像が記録される。
【0028】
[記録部40]
記録部40は、プラテン37の上方に配置されたキャリッジ41と、このキャリッジ41に保持されたヘッド42と、を備えている。キャリッジ41は、不図示のガイドレールにより、左右方向9に沿って移動可能に支持されている。記録部40は、プラテン37上を通過する被記録媒体54に向けてヘッド42からインクを吐出する。左右方向9に沿う記録部40の移動と前方への被記録媒体54の搬送とにより、記録部40は、被記録媒体54のほぼ全面に画像を記録することができる。なお、インクにより画像を記録する記録部40の代わりに、トナーにより画像を記録する記録部が用いられてもよい。
【0029】
画像が記録された被記録媒体54は、排紙ローラ対33から排出され、以下に説明されるトレイ体50で受けられる。画像記録後の被記録媒体54を排出する排紙ローラ対33は、請求項に記載の排出部に相当する。
【0030】
[トレイ体50]
トレイ体50は、図4に示されたように、メイントレイ60と、このメイントレイ60の上方に位置するセカンドトレイ70と、このセカンドトレイ70の上方に位置する排紙トレイ80と、を備えており、外形が扁平な直方体状に形成されている。トレイ体50の厚み方向がトレイ体50の上下方向51と定義され、トレイ体50の奥行き方向がトレイ体50の前後方向52と定義され、トレイ体50の幅方向がトレイ体50の左右方向53と定義され、以下説明がされる。なお、トレイ体50がプリンタ筐体12に装着された状態において、上下方向7と上下方向51、前後方向8と前後方向52、及び、左右方向9と左右方向53は一致する。トレイ体50は請求項に記載のトレイ体に相当し、メイントレイ60は請求項に記載の第1トレイに相当し、セカンドトレイ70は請求項に記載の第2トレイに相当し、排紙トレイ80は請求項に記載の蓋及び排紙受け部に相当する。
【0031】
[メイントレイ60]
メイントレイ60は、図3に示されたように、第1被記録媒体54A(図2参照)が載置可能な矩形板状の底61と、左右の側壁62と、後壁63と、前壁64と、を備えており、上部が開口する箱状に形成されている。メイントレイ60の内底面61Aに第1被記録媒体54Aが載置される。内底面61Aは請求項に記載の第1載置面に相当する。また、第1被記録媒体54Aは請求項に記載の第1被記録媒体に相当する。
【0032】
後壁63は、底61の後端から後方斜め上に向かって延びるように底61に対して傾斜している。上述の給送機構20(図2参照)により送り出される第1被記録媒体54Aは、後壁63の内側面に摺接することで後方斜め上に向かう。すなわち、後壁63は、第1被記録媒体54Aを搬送路31(図2参照)に案内する機能を有している。また、後壁63は、図4に示されたように、後述のセカンドトレイ70が備える嵌合片71Bが嵌る左右一対の切欠63Aを備えている。この切欠63Aは、後壁63の上端から略矩形状に切り欠かれている。切欠63Aは、後述されるセカンドトレイ70の左右方向53における位置決めを行う機能を有している。
【0033】
左右の側壁62は、セカンドトレイ70を支持するためのガイドレール部66と、排紙トレイ80を支持するための軸受孔62Aと、をそれぞれ備えている。ガイドレール部66は、前後方向52における前側では側壁62の内側面側に設けられており、その上面にてセカンドトレイ70を支持し、後側では側壁62に前後方向52に沿った溝として設けられており、その溝の内部にてセカンドトレイ70を支持している。ガイドレール部66は、前後方向52に沿ってスライド可能に後述のセカンドトレイ70を支持する。軸受孔62Aは、側壁62を貫通し、後述される排紙トレイ80の回動軸突部84が挿入されている。軸受孔62Aは、前後方向52における側壁62の中央部と後端部との間に設けられている。
【0034】
また、右側の側壁62は、前後一対のロック孔62Bを備えている。ロック孔62Bは、後述されるように、セカンドトレイ70のスライド部71を固定する機能を有している。
【0035】
また、右側の側壁62は、前方に向かうに従って下がる第1摺接面62Cを上面の一部として備えている。セカンドトレイ70が後述の退避位置である場合において、トレイ体50がプリンタ筐体12から引き出されると、上述のアーム22(図2参照)がこの第1摺接面62Cに摺接することで給送ローラ23が上に持ち上げられる。セカンドトレイ70が後述の退避位置にある場合において、トレイ体50がプリンタ筐体12に装着されると、アーム22が第1摺接面62Cに摺接することで給送ローラ23が下方に移動し、給送ローラ23が第1被記録媒体54Aに当接する。
【0036】
メイントレイ60の底61には、載置される第1被記録媒体54A(図2参照)の位置合わせを行うサイドガイド機構18及びリアガイド機構19が設けられている。サイドガイド機構18及びリアガイド機構19の構成は、セカンドトレイ70に設けられたサイドガイド機構120及びリアガイド機構110(図8参照)の構成とほぼ同じであるから、ここでは説明が省略される。
【0037】
[セカンドトレイ70]
セカンドトレイ70は、図8に示されたように、左右方向53に長い矩形板状のスライド部71と、第2被記録媒体54B(図2参照)が載置される矩形板状の回動部72と、を備えている。第2被記録媒体54Bは、図8におけるスライド部71の上面と回動部72の上面である第2載置面72Aに載置される。第2載置面72Aは請求項に記載の第2載置面に相当する。また、第2被記録媒体54Bは請求項に記載の第2被記録媒体に相当する。なお、第1被記録媒体54Aと第2被記録媒体54Bとは、種類が異なっていてもよいし、同じ種類であってもよい。
【0038】
[スライド部71]
スライド部71の左右の両端からは、メイントレイ60に設けられた上述のガイドレール部66(図3参照)に支持される第1鍔片71Aがそれぞれ突出している。第1鍔片71Aが側壁62に設けられた溝状のガイドレール部66を滑ることにより、スライド部71は前後方向52に沿って移動する。すなわち、スライド部71はメイントレイ60に前後方向52に沿ってスライド可能に支持されている。前後方向52は、請求項に記載のスライド方向に相当する。
【0039】
スライド部71の後端部には左右一対の嵌合片71Bが設けられている。嵌合片71Bは、スライド部71の後端から後方斜め上に向かって突出し、後述されるように、セカンドトレイ70が給送位置にあるときに、メイントレイ60の後壁63に設けられた上述の切欠63A(図4参照)に嵌り、給送位置におけるセカンドトレイ70の左右方向53の位置決めを行う。また、スライド部71には、回動部72を回動可能に支持する第1支持部71Cが左右両部にそれぞれ設けられている。
【0040】
スライド部71の右部にはロック機構100が設けられている。ロック機構100は、ロック部材101と、保持部102と、不図示の第1ばねと、連結バー103と、第2支持部104と、リリースレバー105と、不図示の伝達機構と、を備えている。ロック部材101は、保持部102により左右方向53に沿って移動可能に支持されている。第1ばねは、ロック部材101を右向きに付勢する。 第2支持部104は、連結バー103の一端を回動可能に且つ前後方向52に沿って移動可能に支持する。連結バー103は、スライド部71から前向きに突出した姿勢と、スライド部71から上向きに突出した姿勢との間で回動し、スライド部71から前向きに突出した姿勢において前後方向52に沿って移動する。リリースレバー105は、連結バー103がスライド部71から前向きに突出した姿勢において、連結バー103の先端部から上向きに突出している。
【0041】
伝達機構は、ユーザによりリリースレバー105が図8の前方に向かって移動されると、連結バー103の移動に連動してロック部材101を第1ばねの付勢力に抗して左向きに移動させ、図8に示された突出姿勢から退出姿勢にロック部材101を姿勢変化させる。
【0042】
突出姿勢にあるロック部材101がメイントレイ60の右側壁62に設けられた前後一対のロック孔62Bの一方に嵌ることでスライド部71は前後方向52に沿った移動が不能となり、メイントレイ60に固定される。すなわち、スライド部71は、ロック部材101が前側のロック孔62Bに嵌った前方位置と、ロック部材101が後側のロック孔62Bに嵌った後方位置との間でスライドし、上記両位置においてそれぞれロックされる。
【0043】
[回動部72]
矩形板状に形成された回動部72の左右両端からは、左右一対の第2鍔片72Eがそれぞれ突出している。この第2鍔片72Eは、上述の第1鍔片71Aと共にメイントレイ60に設けられたガイドレール部66(図3参照)の上面に支持される。すなわち、回動部72は、スライド部71と共にスライド可能にメイントレイ60に支持されている。
【0044】
回動部72は、回動中心が連結バー103の回動中心及び軸受孔62Aにより回動可能にメイントレイ60に支持された後述の排紙トレイ80の回動中心とほぼ一致するように、スライド部71に設けられた上述の第1支持部71Cに回動可能に支持されている。回動部72は、第2載置面72Aが上面となってメイントレイ60の内底面61A(第1載置面)に当該第2載置面72Aが沿う倒伏位置と、第2載置面72Aがメイントレイ60の内底面61Aに対して起立する起立位置との間で回動により移動する。
【0045】
図4に示されたように、スライド部71が後方位置にあり、回動部72が上述の倒伏位置である場合のセカンドトレイ70の位置が給送位置と称され以下説明がされる。また、図5に示されたように、スライド部71が前方位置にあり、回動部72が倒伏位置である場合のセカンドトレイ70の位置が退避位置と称され以下説明がされる。給送位置は、請求項に記載の第1位置に相当する。退避位置は、請求項に記載の第2位置に相当する。以下、特に断らない限り、回動部72は倒伏位置にあるとして説明がされる。なお、セカンドトレイ70が給送位置にあると、第2載置面72Aが給送機構20の給送ローラ23と対向する。その結果、第2載置面72Aに載置される第2被記録媒体54Bが記録部40に向かって給送される。また、セカンドトレイ70が退避位置にあると、メイントレイ60の内底面61A(第1載置面)が給送機構20の給送ローラ23と対向する。その結果、内底面61Aに載置される第1被記録媒体54Aが記録部40に向かって給送される。
【0046】
図8に示されたように、回動部72は、リリースレバー105が下方から挿入される挿通孔72Bを右部に備えている。この挿通孔72Bの前側の周壁の上面から上向きに操作レバー73が突出している。この操作レバー73は、挿通孔72Bに下方から挿入されたリリースレバー105と前後方向52において対向している。ユーザは、操作レバー73を支点にリリースレバー105を指で前に引き寄せ、ロック部材101をロック孔62Bから外した後、前後方向52に沿って操作レバー73及びリリースレバー105を動かし、セカンドトレイ70をスライドさせる。スライド部71が上述の前方位置又は後方位置に到達した後、ユーザがリリースレバー105を離すことで上述の第1ばねに付勢されたロック部材101がロック孔62Bに嵌る。操作レバー73及びリリースレバー105は請求項に記載の操作レバーに相当する。また、操作レバー73及びリリースレバー105が設けられたトレイ体50の右側は、請求項に記載の一方側に相当する。
【0047】
回動部72は、連結バー103の下方に位置する支持蓋72D(図6参照)を備えている。つまり、セカンドトレイ70は、回動部72とリリースレバー105とが一体で回動でき、且つ、リリースレバー105が回動部72に対して前後方向52に沿って移動可能な構成を有している。
【0048】
また、回動部72は、第2摺接面72Cを上面の一部として備えている。この第2摺接面72Cは、回動部72の右部に設けられており、前方に向かうに従って下がるように傾斜している。第2傾斜面72Cは、セカンドトレイ70が給送位置にある場合において、トレイ体50をプリンタ筐体12に対して脱着する際にアーム22が摺接する。つまり、第2摺接面72Cは、メイントレイ60に設けられた第1摺接面62Cと同様に、トレイ体50の脱着の際に給送ローラ23を上下させる機能を有している。
【0049】
給送位置において、セカンドトレイ70に載置された第2被記録媒体54B(図2参照)に給送ローラ23が当接し、第2被記録媒体54Bが搬送路31に送り出され、画像が記録される。退避位置において、メイントレイ60に載置された第1被記録媒体54A(図2参照)に給送ローラ23が当接し、第1被記録媒体54Aが搬送路31に送り出され、画像が記録される。つまり、ユーザは、セカンドトレイ70をスライドさせることにより、画像が記録される被記録媒体54を変えることができる。
【0050】
図8に示されたように、回動部72にはリアガイド機構110とサイドガイド機構120とが設けられている。リアガイド機構110は、前後方向52に沿ってスライド可能に回動部72に支持されたリアガイド111を備えている。ユーザは、リアガイド111を摘んで移動させることにより、第2載置面72Aに載置された第2被記録媒体54B(図2参照)を、スライド部71に設けられた上述の嵌合片71Bとリアガイド111とで前後方向52に挟む。
【0051】
サイドガイド機構120は、回動可能に回動部72に支持されたピニオンギア121と、このピニオンギア121の左右両側に配置された左右一対のサイドガイド122と、このサイドガイド122に一端が結合され、他端部においてピニオンギア121とそれぞれ噛み合う左右一対のラックギア123と、左側のサイドガイド132と連結されたつまみ124と、を備えている。つまみ124は、左右方向53に沿ってスライド可能に設けられている。
【0052】
つまみ124がユーザにより右向き又は左向きに移動されることにより、左側のサイドガイド122及びラックギア123が右向き又は左向きに移動する。この左側のラックギア123の移動により、ピニオンギア121が回転し、ピニオンギア121が回転することにより、ピニオンギア121と噛み合っている右側のラックギア123及び右側のサイドガイド122が左向き又は右向きに移動する。すなわち、一対のサイドガイド122は、互いに近づく向き又は互いに離れる向きに連動して移動する。ユーザは、つまみ124を移動させることにより、第2載置面72Aに載置された第2被記録媒体54Bを左右一対のサイドガイド122で挟む。
【0053】
[排紙トレイ80]
排紙トレイ80は、図4〜7に示されたように、排紙ローラ対33から排出される第1被記録媒体54A及び第2被記録媒体54Bを支持可能な矩形板状の基部81と、前壁82と、左右の側壁83と、この左右の側壁83の後端部から左右方向53に沿って互いに離れる向きに突出している左右一対の回動軸突部84と、を備えている。図4における基部81の上面である排紙載置面81Aにおいて被記録媒体54を支持する。基部81は請求項に記載の基部に相当し、排紙載置面81Aは請求項に記載の排紙載置面に相当する。排紙トレイ80は、セカンドトレイ70が給送位置及び退避位置にあっても、その上方の少なくとも一部を覆うように形成されており、蓋としても機能する。排紙トレイ80によって、メイントレイ60やセカンドトレイ70への埃の侵入や、トレイ体50又は画像記録装置の運搬時に被記録媒体や載置面等が傷つくことを抑制することができる。
【0054】
回動軸突部84は、メイントレイ60の左右の両側壁62に設けられた上述の軸受孔62Aに上記側壁62の内側面側から挿入されている。回動軸突部84と軸受孔62Aとにより、排紙トレイ80は、図4,5に示された受け姿勢と、図6,7に示された補給姿勢との間で回動可能にメイントレイ60に支持されている。排紙トレイ80は、受け姿勢において、基部81の排紙載置面81Aがメイントレイ60の内底面61A(第1載置面)に沿い、補給姿勢において、排紙載置面81Aがメイントレイ60の内底面61Aに対して起立する。受け姿勢は、請求項に記載の第1姿勢に相当し、補給姿勢は、請求項に記載の第2姿勢に相当する。なお、基部81は、受け姿勢においてメイントレイ60の内底面61Aと平行でなくともよく、排出される被記録媒体54を受けることができる程度に内底面61Aに沿っていればよい。
【0055】
上述されたように、画像記録後の被記録媒体54を排出する排紙ローラ対33は、前後方向8におけるトレイ体50の中央部の上方に配置されており、また、回動軸突部84が挿入される軸受孔62Aは、前後方向52における側壁62の中央部と後端部との間に設けられている。したがって、トレイ体50がプリンタ筐体12に装着された状態において、受け姿勢における排紙トレイ80の基部81の後部は、排紙ローラ対33の下方に位置しており、排紙ローラ対33から排出された画像記録後の被記録媒体54を排紙トレイ80で受けることができる。排紙ローラ対34から排出された画像記録後の被記録媒体54は、排出の向きにおける先端、即ち前端が受け姿勢における排紙載置面81A又は先に排出された被記録媒体54を滑り、基部81の上に積み重なっていく。
【0056】
排紙トレイ80の前壁82は、受け姿勢において上下方向51における下端がメイントレイ60の前壁64の上端に当接する。排紙トレイ80は、メイントレイ60の前壁64により前壁82が支持され、メイントレイ60の側壁62により回動軸突部84が支持されることで、受け姿勢で保持される。つまり、排紙トレイ80の前壁82は基部81の脚の機能を有しており、排紙トレイ80の上下方向51における位置決めをしている。この前壁82は、排紙トレイ80の回動中心である回動軸突部84から径方向に離間しており、請求項に記載の当接部に相当する。排紙トレイ80の基部81を支える脚である前壁82が回動中心である回動軸突部84から離間して設けられることにより、排紙トレイ80のがたつきを抑えることができる。
【0057】
基部81は、第1露出窓86及び第2露出窓87を備えている。第1露出窓86は、図4における基部81の右部を貫通し、図4における前後方向52に延びる長孔状に形成され、セカンドトレイ70のスライドの前後に渡って上述の操作レバー73及びリリースレバー105をトレイ体50の外部に露出させる。ユーザは、第1露出窓86を介して操作レバー73及びリリースレバー105を操作することでセカンドトレイ70をスライドさせる。ここにおいて、操作レバー73及びリリースレバー105は、排紙載置面81Aよりも上に突出しないように設けられている。従って、排紙ローラ対33から排出された画像記録後の被記録媒体54は、排紙載置面81Aを滑る際に操作レバー73及びリリースレバー105に引っ掛かることがない。第1露出窓86は請求項に記載の露出部に相当する。
【0058】
第2露出窓87は、図4における基部81の後端部の左右方向53の中央部を貫通し、上述のリアガイド111をトレイ体50の外部に露出させる。なお、第1露出窓86や第2露出窓87の代わりに切欠により操作レバー73やリアガイド111が露出される構成を採用することもできる。
【0059】
図7に示されたように、基部81には左右一対の突出リブ85が設けられている。この突出リブ85は、排紙載置面81Aに対する基部81の裏面の左右両部の端寄りに、基部81の縦方向55に沿って延びるように回動軸突部84が形成された位置から前方に向かって設けられており、基部81から下方に向かって突出している。この突出リブ85によって、基部81や回動軸突部84の形成部の強度が高められる。突出リブ85は、排紙トレイ80が受け姿勢であって、セカンドトレイ70の回動部72が倒伏位置である場合において、セカンドトレイ70に設けられた上述の第1鍔片71A又は第2鍔片72Eと上下方向51において対向する。突出リブ85は、回動中心である回動軸突部84と、基部81を支える脚である前壁82との間に設けられ、且つ、排紙トレイ80の受け姿勢においてセカンドトレイ70に向かって基部81から突出する。突出リブ85は、請求項に記載の突出部に相当する。また、突出リブ85が対向する左右方向53は請求項に記載の第1方向に相当する。一対の突出リブ85が対向する面は、セカンドトレイ70の側面と接触することで、左右方向53におけるそれぞれの位置決め及びセカンドトレイ70のスライドを案内するガイドの役割も果たしている。なお、画像記録装置本体11に形成された別部材に干渉しないために、排紙トレイ80には左右両端部側において凹みが形成されており、突出リブ85は、その凹みの角部に該当する位置から突出している。
【0060】
図9に示されたように、突出リブ85における基部81の上記裏面からの突出寸法は、排紙トレイ80が受け姿勢であって、セカンドトレイ70の回動部72が倒伏位置である場合において、突出リブ85の先端(下端)とセカンドトレイ70の第1鍔片71A及び第2鍔片72Eの上面との間に間隙88が形成されるように設定される。間隙88は請求項に記載の間隙に相当する。
【0061】
左側の第1突出リブ85Aと第1鍔片71A及び第2鍔片72Eの上面との間の第1間隙88は、操作レバー73が設けられた側と同じ右側の第1突出リブ85Bと第1鍔片71A及び第2鍔片72Eの上面との間の第2間隙88Bよりも大きく設定されている。すなわち、上記第1突出リブ85Aにおける上記突出寸法は、第2突出リブ85Bにおける上記突出寸法よりも小さく設定されている。第1突出リブ85Aは請求項に記載の第1突出部に相当し、第2突出リブ85Bは請求項に記載の第2突出部に相当し、第1間隙88Aは請求項に記載の第1間隙に相当し、第2間隙88Bは請求項に記載の第2間隙に相当する。さらに、排紙トレイ80が所定量撓んだ状態で、少なくとも第2突出リブ85Bがセカンドトレイ70の第1鍔片71A及び第2鍔片72Eと接触するように、第2突出リブ85Bの上記突出寸法が設定されている。所定量撓んだ状態とは、少なくとも排紙トレイ80が破損しない程度であり、排紙トレイ80の材料や形状によって適宜設定されるものである。
【0062】
[トレイ体50の動作]
最初に、トレイ体50が机などに置かれて操作レバー73及びリリースレバー105がユーザにより操作された場合のトレイ体50の動作について説明がされる。ユーザによりリリースレバー105と操作レバー73とが摘まれることでロック部材101がロック孔62Bから退出する。リリースレバー105と操作レバー73とが摘まれたまま前向き又は後ろ向きにユーザによりリリースレバー105と操作レバー73とが動かされることで、セカンドトレイ70は退避位置から給送位置に、又は、給送位置から退避位置にスライドする。スライド後、ユーザがリリースレバー105から指を離すと、ロック部材101は、不図示の第1ばねの付勢力により右向きに押され、ロック孔62Bに嵌る。
【0063】
次に、トレイ体50の左部がユーザの左手に上下に掴み持たれてユーザの右手により操作レバー73及びリリースレバー105が操作された場合のトレイ体50の動作について説明がされる。ユーザによりトレイ体50左部が上下に強く掴み持たれ、回動軸突部84と前壁82とを支点に排紙トレイ80が撓んだ場合、上述の突出リブ85がセカンドトレイ70の第1鍔片71A又は第2鍔片72Eに当接する。突出リブ85が第1鍔片71A又は第2鍔片72Eに当接することで、それ以上排紙トレイ80が撓むことが防止され、トレイ体50が壊れることが防止される。突出リブ85が第1鍔片71A又は第2鍔片72Eに当接しない程度に弱く掴み持たれた場合は、突出リブ85によりセカンドトレイ70のスライドが阻害されることがない。なお、突出リブ85の形成位置が左右方向53における端部側であることから、ユーザによって掴み持たれる位置に近くなり、撓み防止がより確実となる。
【0064】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、セカンドトレイ70が給送姿勢又は退避姿勢に姿勢変化されることにより、給送ローラ23により送り出される被記録媒体54を、メイントレイ60の底61に載置された第1被記録媒体54A、又は、セカンドトレイ70の回動部72に載置された第2被記録媒体54Bに変えることができる。
【0065】
また、本実施形態では、セカンドトレイ70と排紙トレイ80とが別部材であることにより、セカンドトレイ70のスライドにより排紙トレイ80が移動せず、排紙トレイ80の高さ位置をセカンドトレイ70よりも高くして排紙ローラ対33に近付けることができ、その結果、排出された画像記録後の被記録媒体54をトレイ体50で正常に受けることができる。また、排紙トレイ80によりトレイ体50内に埃などが侵入することを防止することができる。つまり、排紙トレイ80は、排出された画像記録後の被記録媒体54を受ける排紙受け部の機能と、トレイ体50の蓋としての機能とを併せ持つ。
【0066】
また、本実施形態では、突出リブ85が排紙トレイ80に設けられたことにより、排紙トレイ80が大きく撓むことを防止できると共に、突出リブ85の突出寸法により、排紙トレイ80の撓みと、セカンドトレイ70のスライドにおける摺動性と、のバランスを左右両部においてそれぞれ取ることができる。
【0067】
また、左右一対の突出リブ85が設けられることにより、トレイ体50の左部と右部とのいずれがユーザにより掴み持たれても、排紙トレイ80が大きく撓むことを防止できると共に、排紙トレイ80の撓みとセカンドトレイ70のスライドにおける摺動性とのバランスを取ることができる。
【0068】
また、操作レバー73及びリリースレバー105がトレイ体50の左右両部の一方に設けられることにより(本実施形態では右部)、当該一方側(右側)がユーザにより掴み持たれることが想定し難くなり、ユーザにより掴み持たれることが想定される他方側(左側)における上述の第1間隙88Aを一方側(右側)における第2間隙88Bよりも大きく設定することで、当該一方側と他方側とのそれぞれにおいて、排紙トレイ80の撓みの抑制と、上記第2トレイのスライドにおける摺動性とのバランスを取ることができる。
【0069】
また、突出リブ85が縦方向55に延びる形状に形成されたことにより、突出リブ85を利用して排紙トレイ80の基部81の剛性を高めることができる。
【0070】
上述の実施形態では、排紙トレイ80の前壁82がメイントレイ60の前壁64と当接することで排紙トレイ80がメイントレイ60に支持される構成が説明されたが、排紙トレイ80が前壁82以外でメイントレイ60に支持される構成が採用されてもよい。例えば、突出リブ85よりも前側であって回動軸突部84から離れている箇所にて排紙トレイ80の排紙載置面81Aの裏面から突出する図6,7の突出部89をメイントレイ60の側壁62に当接させることでメイントレイ60に排紙トレイ80を支持させることができる。この突出部89によって、排紙トレイ80の上下方向51における位置決めが可能となる。なお、このように一部分で排紙トレイ80とメイントレイ60とが当接するように構成されることで、排紙トレイ80やメイントレイ60に反りが生じても、確実に当接させることができるため、ガタが発生し難くなる。
【0071】
また、突出リブ85は、左右のいずれか一方の側に形成されていてもよい。また、突出リブ85は、一様に延びた形状ではなく、複数に分割されていてもよい。また、突出リブ85の上記突出寸法は、前後方向52において一定でなくてもよい。例えば、前後方向52における中央部の突出寸法が最も小さくなるような弧状に突出リブ85が形成されてもよい。また、左右の突出リブ85A、85Bは、第1間隙88Aと第2間隙88Bとが同程度の大きさとなるように形成されてもよい。
【0072】
また、上述の実施形態では、第1鍔片81A及び第2鍔片82Eで突出リブ85を受ける構成が説明されたが、第1鍔片81A及び第2鍔片82E以外のセカンドトレイ70の部分で突出リブ85を受ける構成が採用されてもよい。
【0073】
また、上述の実施形態では、排紙トレイ80が、排出された被記録媒体54を受ける排紙受け部としての機能と、トレイ体50内に侵入した埃などを防ぐ蓋としての機能とを併せ持つ構成が説明されたが、トレイ体50に蓋が設けられ、トレイ体50の上方においてプリンタ筐体12に排紙受け部が設けられた構成が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0074】
12・・・プリンタ筐体(本体)
20・・・給送機構(給送部)
33・・・排紙ローラ対(排出部)
40・・・記録部(記録部)
50・・・トレイ体(トレイ体)
54A・・第1被記録媒体(第1被記録媒体)
54B・・第2被記録媒体(第2被記録媒体)
60・・・メイントレイ(第1トレイ)
61A・・内底面(第1載置面)
70・・・セカンドトレイ(第2トレイ)
72A・・第2載置面(第2載置面)
73・・・操作レバー(操作レバー)
80・・・排紙トレイ(蓋)
81・・・基部(基部)
81A・・排紙載置面(排紙載置面)
82・・・前壁(当接部)
85・・・突出リブ(突出部)
88・・・間隙(間隙)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
上記本体に装着され、且つ、第1被記録媒体及び第2被記録媒体が載置可能なトレイ体と、
上記トレイ体に載置された被記録媒体を送り出す給送部と、
上記給送部により送り出された被記録媒体に画像を記録する記録部と、
上記トレイ体の上方に位置し、上記記録部で画像が記録された被記録媒体を排出する排出部と、
上記排出部から排出された被記録媒体を支持可能な排紙載置面を有する排紙受け部と、を備え、
上記トレイ体は、
第1被記録媒体が載置可能な第1載置面を有する第1トレイと、
第2被記録媒体が載置可能な第2載置面を有し且つ上記第1載置面の上方を上記第1載置面に沿ってスライド可能に設けられており、上記給送部が第2被記録媒体を送り出す第1位置及び上記給送部が第1被記録媒体を送り出す第2位置にスライドにより移動する第2トレイと、
上記第2姿勢にある上記第2トレイの少なくとも一部の上方を覆い上記第2トレイの上方に配置された蓋と、を備え、
上記蓋は、
上記第1トレイに回動可能に支持されており、上記第1載置面に沿う第1姿勢及び上記第1載置面に対して起立する第2姿勢に回動により姿勢変化する基部と、
上記基部において、回動中心から回動の径方向へ離間された位置に設けられており、上記第1姿勢において上記第1トレイと当接する当接部と、
上記基部において、回動中心と上記当接部との間に配置されており、上記第1姿勢において上記第2トレイへ向かって突出され、上記基部が上記第2位置にある上記第2トレイ側へ撓むように変形すると、当該第2トレイに当接する突出部と、を備えたものである画像記録装置。
【請求項2】
上記蓋は上記排紙受け部であり、上記第1姿勢において上記排紙載置面が上記第1載置面に沿い、上記第2姿勢において上記排紙載置面が上記第1載置面に対して起立するものである請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記突出部は、上記第1姿勢において、上記第2トレイのスライド方向及び上記突出部の突出方向と交差する第1方向において対向して配置された一対を含むものである請求項1又は2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記突出部は、上記スライド方向へ延びるリブである請求項1から3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記第2トレイは、
上方に配置された上記基部側に露出されており、スライドのための外力を受けることができる操作レバーを更に備え、
上記基部は、上記操作レバーを露出させる露出部を備えたものである請求項1から4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記操作レバーは、上記第1方向における一方側に配置されており、
上記一対の突出部のうち、上記第1方向における上記基部の他方側に配置された一方の第1突出部と上記第2トレイとの第1間隙は、上記一対の突出部の他方の第2突出部と上記第2トレイとの第2間隙より広いものである請求項5に記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−76870(P2012−76870A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223031(P2010−223031)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】