説明

画像読み取り装置、及び、画像読み取り方法

【課題】ADFスキャナにおいて、1つのモーターでADF部と画像読み取り部が搭載されたキャリッジとの2つの異なる機構を駆動する場合に、それぞれの機構の駆動時に適切なモーター冷却を行う。
【解決手段】キャリッジ部を駆動部により駆動して、停止状態の原稿から画像の読み取りを行う第1モードと、原稿搬送部を前記駆動部により駆動して、停止状態の画像読み取り部の位置に前記原稿を搬送しながら画像の読み取りを行う第2モードと、の制御を行う制御部と、を備え、前記原稿を読み取ったデータから画像データを形成する画像読み取り装置であって、前記制御部は、前記第1モードでは、第1の発熱パラメータを用いて前記駆動部の発熱量を算出し、前記第2モードでは、前記第1の発熱パラメータとは異なる第2の発熱パラメータを用いて前記駆動部の発熱量を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置、及び、画像読み取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿を読み取って画像データを形成する画像読み取り装置(スキャナ)が知られている。このような画像読み取り装置の一つとして、原稿を移動させながら画像の読み取りを行うADFスキャナがある。一般に、ADFスキャナには、原稿を搬送するADF(オートドキュメントフィーダー)部と、搬送される原稿から画像を読み取る画像読み取り部とが備えられている。そして、原稿を読み取る方法として、ADF部を駆動して原稿を搬送しながら画像を読み取る方法と、画像読み取り部が搭載されたキャリッジを移動させることで原稿台にセットされた原稿から画像を読み取る方法とがある。ADFスキャナを用いてこのような2種類の読み取り方法を行うにあたり、ADF部の駆動とキャリッジ(画像読み取り部)の駆動とを1つのモーターで行うことによって、部品数・コストの削減や製品の小型化を実現することができる。
【0003】
なお、1つのモーターで2つの異なる機構を駆動する技術として、印字ヘッドを載置したキャリッジの駆動と、被印字用紙の搬送を行う用紙送り機構の駆動とを1つのモーターで実現するプリンターが提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58−33487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ADFスキャナにおいて、1つのモーターによってADF部とキャリッジ(画像読み取り部)との2つの異なる機構を駆動する場合、ADF部の駆動時とキャリッジの駆動時とではモーターにかかる負荷や環境条件等が異なるため、モーターの発熱状況も異なる。そのため、モーターを冷却する際には、2つの機構のうち、駆動されている方の機構に合わせて冷却の仕方を変更する必要がある。つまり、ADF部の駆動時とキャリッジの駆動時とで、それぞれの状況に応じて適切な冷却を行う必要がある。
【0006】
しかし、特許文献1等では、駆動される機構の違いによるモーターの発熱状況の変化について考慮されておらず、冷却の仕方を変更することについても考慮されていない。そのため、2つの機構の両方の場合について、共に適切な条件となるようにモーターの冷却を行うことは困難であった。
【0007】
本発明では、ADFスキャナにおいて、1つのモーターでADF部と画像読み取り部が搭載されたキャリッジとの2つの異なる機構を駆動する場合に、それぞれの機構の駆動時に適切なモーター冷却を行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための主たる発明は、原稿を搬送する原稿搬送部と、前記原稿から画像を読み取る画像読み取り部と、前記画像読み取り部を支持しつつ移動させるキャリッジ部と前記原稿搬送部及び前記キャリッジ部を駆動する駆動部と、前記キャリッジ部を前記駆動部により駆動して、停止状態の前記原稿から画像の読み取りを行う第1モードと、前記原稿搬送部を前記駆動部により駆動して、停止状態の前記画像読み取り部の位置に前記原稿を搬送しながら画像の読み取りを行う第2モードと、の制御を行う制御部と、を備え、前記原稿を読み取ったデータから画像データを形成する画像読み取り装置であって、前記制御部は、前記第1モードでは、第1の発熱パラメータを用いて前記駆動部の発熱量を算出し、前記第2モードでは、前記第1の発熱パラメータとは異なる第2の発熱パラメータを用いて前記駆動部の発熱量を算出する、ことを特徴とする画像読み取り装置である。
【0009】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1A及び図1Bは、画像形成装置1の外観斜視図である。
【図2】画像読取部30による画像読み取り方法を説明する図である。
【図3】キャリッジ部40の構成を表す概略図である。
【図4】ADF駆動モードにおいてADF部50により原稿が搬送される様子を説明する図である。
【図5】コントローラー60の構成を表す概略図である。
【図6】図6Aは、キャリッジ駆動モード時の動作について説明する図である。図6Bは、ADF駆動モード時の動作について説明する図である。
【図7】第1実施形態におけるモーター41の発熱量を制限するためのフローを表す図である。
【図8】モーター41の発熱温度T_sumの説明図である。
【図9】比較例におけるモーター41の発熱量を制限するためのフローを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
原稿を搬送する原稿搬送部と、前記原稿から画像を読み取る画像読み取り部と、前記画像読み取り部を支持しつつ移動させるキャリッジ部と前記原稿搬送部及び前記キャリッジ部を駆動する駆動部と、前記キャリッジ部を前記駆動部により駆動して、停止状態の前記原稿から画像の読み取りを行う第1モードと、前記原稿搬送部を前記駆動部により駆動して、停止状態の前記画像読み取り部の位置に前記原稿を搬送しながら画像の読み取りを行う第2モードと、の制御を行う制御部と、を備え、前記原稿を読み取ったデータから画像データを形成する画像読み取り装置であって、前記制御部は、前記第1モードでは、第1の発熱パラメータを用いて前記駆動部の発熱量を算出し、前記第2モードでは、前記第1の発熱パラメータとは異なる第2の発熱パラメータを用いて前記駆動部の発熱量を算出する、ことを特徴とする画像読み取り装置。
【0012】
このような画像読み取り装置によれば、ADFスキャナにおいて、1つのモーターでADF部と画像読み取り部が搭載されたキャリッジとの2つの異なる機構を駆動する場合に、それぞれの機構の駆動時に適切なモーター冷却を行うことができる。
【0013】
かかる画像読み取り装置であって、前記駆動部が前記キャリッジ部に搭載されることが望ましい。
このような画像読み取り装置によれば、キャリッジを移動させることにより、2種類の機構の駆動が可能となり、画像読み取り装置の小型化や、部品点数を少なくすることでコストを低減することができる。
【0014】
かかる画像読み取り装置であって、前記第1モードでは、前記第1の発熱パラメータを用いて算出された前記駆動部の発熱量に基づいて、前記駆動部の発熱を制限し、前記第2モードでは、前記第2の発熱パラメータを用いて算出された前記駆動部の発熱量に基づいて、前記駆動部の発熱を制限することが望ましい。
このような画像読み取り装置によれば、各モードに対応して算出された発熱量に基づいてモーターの発熱制限を行うことができるので、いずれのモードにおいても適切に発熱量を抑制することができる。
【0015】
かかる画像読み取り装置であって、画像読み取り動作中に前記原稿搬送部または前記キャリッジ部の駆動を停止させる休止時間を設けることにより、前記駆動部の発熱を制限することが望ましい。
このような画像読み取り装置によれば、モーター駆動を途中で停止させることで冷却時間を設け、モーターの放熱による冷却を促進することができる。
【0016】
かかる画像読み取り装置であって、前記第1モードにおいて前記駆動部の発熱を制限する際には、前記キャリッジ部が、画像読み取り動作開始時の元の位置まで移動してから、前記休止時間に応じて前記キャリッジ部の駆動を停止することが望ましい。
このような画像読み取り装置によれば、キャリッジが移動中に突然停止したりすることがないので、キャリッジ駆動部の故障であるとユーザーに誤認されることを抑制できる。
【0017】
かかる画像読み取り装置であって、前記第2モードにおいて前記駆動部の発熱を制限する際には、前記休止時間を複数に分割して、前記原稿搬送部が前記原稿を搬送する動作中の所定のタイミング毎に、分割された前記休止時間に応じて前記ADF部の駆動を停止することが望ましい。
このような画像読み取り装置によれば、原稿が搬送中に突然長時間停止したりすることがないので、ADF部の故障であるとユーザーに誤認されることを抑制できる。
【0018】
かかる画像読み取り装置であって、画像読み取り動作開始時における前記駆動部の初期の発熱量が、前回の画像読み取り動作時の前記駆動部の温度に基づいて算出されることが望ましい。
このような画像読み取り装置によれば、前回動作時の温度を今回の動作における温度算出に反映させることができるので、より正確な発熱量を予測できる。
【0019】
また、原稿搬送部によって原稿を搬送することと、画像読み取り部によって前記原稿から画像を読み取ることと、キャリッジ部によって前記画像読み取り部を支持しつつ移動させることと、駆動部によって前記原稿搬送部及び前記キャリッジ部を駆動することと、制御部によって、前記キャリッジ部を前記駆動部により駆動して、停止状態の前記原稿から画像の読み取りを行う第1モードと、前記原稿搬送部を前記駆動部により駆動して、停止状態の前記画像読み取り部の位置に前記原稿を搬送しながら画像の読み取りを行う第2モードと、の制御を行うことと、を有する画像読み取り方法であって、前記制御部は、前記第1モードでは、第1の発熱パラメータを用いて前記駆動部の発熱量を計算し、前記第2モードでは、前記第1の発熱パラメータとは異なる第2の発熱パラメータを用いて前記駆動部の発熱量を計算する、ことを特徴とする画像読み取り方法が明らかとなる。
【0020】
===画像読み取り装置の基本的構成===
本実施形態において用いられる画像読み取り装置1及びその駆動方法について説明する。画像読み取り装置1は原稿から画像を読み取って画像データを生成するスキャナ(画像読み取り)機能を有する。本実施形態では画像を読み取る方法として、画像読み取り部が搭載されたキャリッジを移動させながら画像の読み取りを行う「キャリッジ駆動モード」と、オートドキュメントフィーダー(以下、ADFとも呼ぶ)を用いて原稿を自動的に搬送しながら画像の読み取りを行う「ADF駆動モード」とがある。両モードの詳細は後で説明する。
【0021】
図1A及び図1Bに画像形成装置1の外観斜視図を示す。画像読み取り装置1は、本体部10と、画像読み取り部30と、キャリッジ部40と、ADF部50と、制御部60とを備える。
【0022】
本体部10は筺体11と、原稿台12と、原稿台カバー13とを有する。筺体11はその内部に画像読み取り部30、キャリッジ部40、及び制御部60を格納する。また、筺体内部には後述するラックギア111、ガイドレール112、及び、ADF駆動ギア輪列113が備えられており、筺体11の前面部には、操作パネルが備えられている。筺体11の上面には図1Bに示されるように原稿台12が設けられる。原稿台12はガラス板等の透明な板である。このガラス板の上に原稿を載せてセットすることで、原稿台12の下部に設置された画像読み取り部30によってガラス板(原稿台12)を透して画像を読み取ることができる。原稿台カバー13は筺体11の上部に接続され、図1A及び図1Bに示されるように開閉可能となっている。後述するADF駆動モードでは原稿台カバー13が閉じられ、図1Aの状態で画像の読み取りが行われる。一方、キャリッジ駆動モードでは画像読み取り動作の開始前に原稿台カバー13を開いて図1Bの状態とし、原稿台12に原稿をセットした後、原稿台カバー13を閉じて画像の読み取りを行う。原稿台カバー13の上部にはADF部50が設置されている。
【0023】
画像読み取り部30は、筺体10の内部で、上述の原稿台12を介して原稿と対向する位置に設けられ、制御部60からの画像読み取り命令に従って、原稿から画像を読み取る。図2に、画像読取部30による画像読み取り方法を説明する図を示す。画像読取部30は、光源31と、ミラー32と、レンズ33と、受光センサー34とを有する。光源31は原稿台12のガラス板を通して原稿台12上にセットされた原稿に光を照射する。原稿で反射された光は、ミラー32によって進路を変更しながらレンズ33へと導かれる。ミラー32は複数設けられており、これらのミラー32による反射を繰り返すことで原稿からレンズ33までの距離を調整することができる。なお、図中の破線は反射光の軌跡を示している。レンズ33を透過した反射光は焦点が調整された状態で受光センサー34により受光される。
【0024】
本実施形態において、光源31は、例えばRGBの三色の発光ダイオード(以下、LEDとも言う)を有する。そして、各色のLEDが順番に切り替わりながら発光して、レッド(R)、グリーン(G)、及びブルー(B)の光が所定周期で順次発せられ、これによって、原稿で反射された反射光はRGBの各色成分に色分解された状態で受光センサー34に入射する。受光センサー34は、光信号を電気信号に変換するフォトダイオード等の複数の光電変換素子が、図1Aの主走査方向に沿って列状に配置されたリニアCCDセンサーにより構成されている。これによって、主走査方向の画像を読み取ることが可能である。そして、画像読取部30を主走査方向と交差する副走査方向に移動させることで、副走査方向の画像を読み取ることができる。なお、受光センサー34は密着型イメージセンサー(CISイメージセンサー:Contact Image Sensor)の構成を採用することもできる。
【0025】
キャリッジ部40は、画像読み取り部30を支持しながら、原稿台12にセットされた原稿と平行に副走査方向に沿って移動させる。
【0026】
図3にキャリッジ部40の構成を表す概略図を示す。キャリッジ部40は画像読み取り部30支持部とモーター支持部から構成される。画像読み取り部30支持部は画像読み取り部30を支持し、モーター支持部はモーター41と、ギア輪列42とを支持する。また、キャリッジ部40は筺体11内部で副走査方向に沿って設置されたガイドレール112によって支持される。そして、副走査方向を移動する際には該ガイドレール112に案内されながら移動する。
【0027】
本実施形態では、モーター41としてステッピングモーターが用いられる。モーター41が回転すると、モーター41の出力軸に取り付けられたウォームギアを介してギア輪列42が回転する。そして、筺体11の内部で副走査方向に沿って設置されたラックギア111とギア輪列42が噛み合うことにより、キャリッジ部40全体がラックギア111に沿って副走査方向を左右に移動する。すなわち、モーター41は、画像読み取り部30を搭載したキャリッジ40を副走査方向に沿って移動させるための駆動部としての機能を有する。モーター41の駆動制御は、制御部60からの制御信号によって行われる。また、モーター41は回転方向を自在に変更することができ、回転方向を変更することでキャリッジ40の移動方向を変更する。
【0028】
なお、ADF駆動モードでは、後述するように、ギア輪列42はラックギア111から外れ、ラックギア111に隣接して設けられるADF駆動ギア輪列113と噛み合う。これにより、ADF駆動モードにおいては、画像読み取り部30(キャリッジ40)は副走査方向の移動を停止した状態で画像の読み取りを行う。
【0029】
ADF部50は原稿カバー13上に設けられ、ADF駆動モード時に、原稿を画像読み取り部30の位置に搬送しながら、画像を読み取らせる。図4はADF駆動モードにおいてADF部50により原稿が搬送される様子を説明する図である。図1A及び図4に示すように、ADF部50は原稿トレイ55、及び、ADF内部に複数の搬送ローラーを有する。原稿トレイ55には不図示の原稿センサーが設けられている。制御部60から画像読み取り命令が発せられた時点で原稿トレイ55上に原稿がセットされていると、原稿センサーによって原稿が検出され、「ADF駆動モード」が選択される。ADF駆動モードが選択された場合、搬送ローラーが回転を開始して、原稿がADF部50の内部に搬送される。なお、制御部60から画像読み取り命令が発せられた時点で原稿トレイ55上に原稿が検出されなければ「キャリッジ駆動モード」が選択され、キャリッジ部40の駆動が開始される。
【0030】
原稿トレイ55からADF内部に搬送された原稿は、搬送ローラーによって原稿カバー13の裏側へと搬送される。そして、原稿台12を挟んで画像読み取り部30と対向する位置を通過する際に、画像読み取り部30による画像の読み取りが行われる。(図4参照)。画像が読み取られた後の原稿は搬送ローラーによってADF外部へと導かれ、原稿カバー上部に設けられた排出トレイ(図1参照)に排出される。
【0031】
ADF部50内部の搬送ローラーはキャリッジ部40に設けられたモーター41によって駆動される。つまり、モーター41は、キャリッジ部40の駆動部としての機能の他に、ADF駆動時に原稿を搬送するための駆動力を与える駆動部としての機能も有する。モーター41の動作の詳細は後で説明する。
【0032】
コントローラー60は、モーター41の回転方向や回転速度を制御してキャリッジ部40やADF部50を駆動させたり、画像読み取り部30に原稿を読み取らせたりする。また、コントローラー60は、原稿トレイ55に設けられた原稿センサーからの信号によって駆動対象となるユニット(本実施形態においてはキャリッジ部40またはADF部50)の選択も行う。
【0033】
図5にコントローラー60の構成を表す概略図を示す。図に示すように、コントローラー60は、CPU61、ROM62、RAM63、EEPROM64、ASIC65、モータードライバー66等を具備していて、これらが例えばバス等の伝送路67を介して相互に接続されている。また、制御部60は、コンピューターCOMに接続されている。そして、これらのハードウエアと、ROM62やEEPROM64に記憶されているソフトウエア及び/又はデータの協働、又は特有の処理を行う回路や構成要素の追加等によって、モーター41の制御等が行われる。
【0034】
なお、CPU61は電源がOFFの状態でも時刻を測定できるRTC(Real Time Clock)機能を有する。本実施形態において、RTCは、画像読み取り装置1の電源がOFFされてから次にONとなるまでの経過時間を測定するのに用いられる。
【0035】
<キャリッジ部40とADF部50の駆動について>
本実施形態の画像読み取り装置1では、単一のモーター41を用いて「キャリッジ駆動モード」及び「ADF駆動モード」の2種類の動作が実現される。以下、各ユニットの駆動及び各モードの切り替え方法について説明する。
図6Aはキャリッジ駆動モード時の動作について説明する図である。図6BはADF駆動モード時の動作について説明する図である。
【0036】
「キャリッジ駆動モード」で原稿台12の上にセットされた原稿から画像を読み取る場合には、キャリッジ40に搭載された画像読み取り部30を副走査方向に移動させて画像の読み取りを行う。つまり、位置を固定された原稿に対して、キャリッジ40(画像読み取り部30)を移動させることによって画像の読み取りを行う。キャリッジ部40の駆動時は、キャリッジ部40に設けられたギア輪列42と、筺体11に設けられたラックギア111とが噛み合うことによって、ガイドレール112に沿ってキャリッジ部40が移動する。すなわち、ギア輪列42がラックギア111の歯の範囲(以下、キャリッジ駆動領域とも呼ぶ)にある場合は、キャリッジ部40の駆動が行われる。
【0037】
これに対して、「ADF駆動モード」では、停止した状態の画像読み取り部30の位置に原稿を自動的に搬送しながら画像の読み取りを行う(図4参照)。つまり、移動する原稿に対して、位置が固定された画像読み取り部30(キャリッジ40)によって画像の読み取りを行う。原稿が自動的に搬送されるため、原稿を原稿台12の上にセットする動作を省略して画像を読み取りたい場合、例えば、原稿枚数が多く、1枚1枚をいちいち原稿台12にセットすることなく画像の読み取りを行いたい場合などに有効である。
【0038】
ADFの駆動は、ADF駆動ギア輪列113を回転することによって行われる。ADF駆動ギア輪列113は、図6Bのようにラックギア111に隣接して設けられ、ラックギア111のギア列の直線上にADF駆動ギア輪列113のギアが並ぶ位置に配置される。副走査方向を移動するキャリッジ部40がキャリッジ駆動領域を通り過ぎて、隣接するADF駆動ギア輪列113の領域に到達すると、キャリッジ部40に設けられたギア輪列42はラックギア111を外れてADF駆動ギア輪列113と噛み合う。これにより、キャリッジ部40は副走査方向の移動を停止してADF駆動ギア輪列113を回転させる。ADF駆動ギア輪列113の出力軸はADF部の搬送ローラーと接続されている。したがって、モーター41の回転により、ギア輪列42及びADF駆動ギア輪列113を介してADF部50の搬送ローラーを回転駆動することができる。そして、キャリッジ部40(画像読み取り部30)が停止した位置(図6B参照)において、ADF部50により搬送される原稿の読み取りが行われる。
【0039】
なお、ADF駆動モードからキャリッジ駆動モードに切り替える際には、モーター41を逆回転にすればよい。モーター41が逆回転すると不図示の遊星ギアがADF駆動ギア輪列113との噛み合いから外れて、ADF駆動ギア輪列113の回転を止める。ADF駆動ギア輪列113が回転しないため、ギア輪列42は、キャリッジ駆動領域まで副走査方向を移動し、再びラックギア111と噛み合う。これによって、ADF駆動状態からキャリッジ駆動状態に切り替わる。
【0040】
<モーター41の発熱量について>
ところで、キャリッジ部40またはADF部50を駆動することによって、モーター41は発熱する。キャリッジ駆動モード時においては、キャリッジ部40が副走査方向を往復運動する際に周囲の空気を攪拌しながら移動するため、キャリッジ部40と共に移動するモーター41を冷却することができる。
一方、ADF駆動モード時は前述のようにキャリッジが停止しているため冷却が不十分となり、キャリッジ駆動モード時と比べてモーター41の放熱性が損なわれる。また、ADF駆動ギア輪列113等の配置(レイアウト)によっては、ADF駆動時にモーター41が筺体11とキャリッジ部40に囲まれた狭い空間で、熱がこもりやすくなる場合もある。さらに、ADF駆動時は原稿の搬送動作を行うので、キャリッジ駆動時よりも多くの電流を消費し、発熱しやすくなる。
つまり、モーター41の発熱特性及び放熱特性は、キャリッジ駆動時とADF駆動時とで大きく異なる。
【0041】
===第1実施形態===
第1実施形態では、モーター41の発熱量をキャリッジ駆動モード時とADF駆動モード時とで分けて算出する。そして、各々の場合の発熱量に応じてモーター41の動作を休止させる「休止時間」を設ける。これにより、モーター41の発熱量を適切に制限する。
【0042】
<発熱量制限の方法>
図7にモーター41の発熱量を制限するためのフローを示す。
【0043】
(S101:初期設定)
はじめに、初期設定が行われる。画像読み取り装置1の電源がONされると、EEPROM64に記録されていた前回動作時におけるモーター41の温度ΔT_sum(EE)、及び、前回電源がOFFされた時点からの経過時間Tpが呼び出される。そして、前回電源がOFFされてから今回電源がONされるまでの時間経過による放熱量を計算し、現在におけるモーター41の温度ΔT_sumが算出される。この値が初期設定温度としてEEPROM64に記録され、画像読み取り動作が開始される。なお、S101の処理が終了した段階で経過時間Tpはゼロとして初期化される。
【0044】
(S102:実効電流値の算出)
画像読み取り動作が開始された後は、モーター41に流れる実効電流値I_curが、CPU61により1分毎に算出される。実効電流値を1分毎に算出するのは、後の工程(S104・S107等)で実効電流値から時間経過に対する発熱温度の変化量を算出するためである。なお、電流を算出する間隔は1分には限られず、もっと短くてもよいし、長くてもよい。
【0045】
実効電流値I_curの算出には、設定電流値に対する実効電流値を定めた定数表が利用される。当該定数表は、画像読み取り装置1の製造段階においてあらかじめ実験的に調査した電流値に基づいて作成されたものであり、制御部60のRAM63に記憶されている。CPU61は、本実施形態で用いられるモーター41(ステッピングモーター)の特性に合わせて作成・記憶された定数表を用いて、設定電流値に基づいて実効電流値I_curを算出する。
【0046】
(S103:駆動モードの判断)
続いて、現在の動作が「キャリッジ駆動モード」であるか、「ADF駆動モード」であるかが判断される。つまり、モーター41がキャリッジ部40とADF部50とのどちらのユニットを現在駆動しているのかが判断される。前述のように、本実施形態では「キャリッジ駆動モード」と「ADF駆動モード」とで、モーター41の発熱・放熱特性が異なる。したがって、発熱量を適切に制限するためには、それぞれのモードについて別々にモーター41の発熱温度を算出する必要がある。そこで、S103において現在のモーター41の動作状況を判断する。
【0047】
現在の動作モードの判断は、制御部60から画像読み取り命令が発せられた時点において、原稿トレイ55上に原稿がセットされているか否かによって行われる。前述のように、画像読み取り装置1では原稿トレイ55に設けられた原稿センサーが原稿を感知した場合はADF駆動モードが選択され、原稿を感知しない場合はキャリッジ駆動モードが選択される。したがって、画像読み取り動作が開始された時点において、原稿が原稿トレイ55にセットされているか否かによって動作モードを判断することができる。
【0048】
S103により、キャリッジ駆動モードと判断された場合はS104へ進み、キャリッジ駆動モード時の発熱温度の算出が行われる(S104)。一方、ADF駆動モードと判断された場合はS107へ進み、ADF駆動モード時の発熱温度の算出が行われる(S107)。
【0049】
(S104:キャリッジ駆動モード時のモーター41の推定発熱温度算出)
S104ではキャリッジ駆動モード時におけるモーター41の推定発熱温度が算出される。発熱温度の算出は以下のようにして行われる。
【0050】
一般に、発熱量Qは、式Q=k・W(k:仕事Wを発熱に換算するための係数)により求められる。ここで、W=i・R・tである。つまり、Q=k・i・R・tとなる。このため、CPU61はS102にて1分毎に求められた電流値I_curに基づいて、1分毎の発熱量Q_curを求めることができる。更に、CPU61は、1分毎の発熱量Q_curを積分することによって、単位時間毎(ここでは1分間毎)の発熱量Q_sigmaを求めている。発熱量Q_sigmaの初期値はS101にて設定されたΔT_sumから求められる値であり、ここでは説明の簡略化のためにゼロとする。また、発熱量Q_sigmaは単位時間を経過する毎にリセットされる。したがって、モーター41が単位時間中に1度も駆動されなかったときは、発熱量Q_sigmaは「0」となる。
【0051】
次に、CPU61は、1分間の発熱量Q_sigmaを発熱温度ΔT_newに換算する。ΔT_newは、式ΔTnew=Kc・Q_sigmaにより求められる。ここで、Kcはキャリッジ駆動モードにおける発熱量Qから発熱温度ΔT_newへの変換係数であり、画像読み取り装置1の製造工程における予備実験により求められた値である。製造工程で求められた係数Kcは、キャリッジ駆動モードの発熱パラメータとしてRAM63に記憶されている。
【0052】
図8は、総発熱温度T_sumの説明図である。図に示すように、最初の1分間の通電による発熱温度をΔT1_new、次の1分間の通電による発熱温度をΔT2_new、さらに次の1分間の通電による発熱温度をΔT3_newとする。最初の発熱温度ΔT1_newは、時間経過とともに放熱曲線にそって下降し、1分後には自然放熱によりΔT1_oldに低下する。よって、2分目の総発熱温度ΔT2_sumは、ΔT2_sum=ΔT1_old+ΔT2_newで表される。また、2分目の総発熱温度ΔT2_sumは、時間経過とともに放熱曲線に沿って下降し、その1分後には自然放熱によりΔT2_oldに低下する。よって、3分目の総発熱温度ΔT3_sumは、ΔT3_sum=ΔT2_old+ΔT3_new で表される。
【0053】
ここで、ΔT_sumが1分後に放熱曲線に沿って下降して達する発熱温度ΔT_oldは、放熱係数K1cを用いて、ΔT_old=K1c・ΔTsumとして表される。放熱係数K1cは、前述のKcと同様、画像読み取り装置1の製造工程における予備実験により求められ、キャリッジ駆動モードの発熱パラメータとしてRAM63に記憶されている。
【0054】
最新の総発熱温度ΔTn_sumは、前回の総発熱温度ΔTn-1_sumに放熱係数K1を掛けた値に、最新の発熱温度ΔTn_newを加えることにより算出され、式ΔTn_sum=K1・ΔTn-1_sum+ΔTn_newにより求められる。なお、この総発熱温度ΔTn_sumは、モーター41の蓄熱による温度上昇分になる。CPU61は、室温に総発熱温度ΔTn_sumを加算して、キャリッジ駆動時におけるモーター41の推定発熱温度ΔTn_sum(C)を算出する。このように発熱パラメータKc及びK1cを用いることで、キャリッジ駆動モードにおける推定温度を精度よく算出することが可能となる。
【0055】
(S105・S106:休止時間の設定)
制御部60は、S104で算出されたモーター41の推定温度ΔTn_sum(C)が所定の閾値TH(C)を超えたとき、発熱制限制御を行いながらモーター41を駆動する。すなわち、制御部60は、モーター41の推定温度が所定の温度を超えたとき(S105)、モーター41の間欠的な駆動の間に休止時間を挿入し、モーター41の間欠的な駆動の間隔を広げることで発熱制限を行う(S106)。この発熱制限制御によれば、モーター41の発熱を抑え、モーター41が高温になるのを防止することができる。
【0056】
なお、キャリッジ駆動モードでは、キャリッジ部40が副走査方向を往復運動して、画像読み取り動作開始時における初期位置(ホームポジション)に戻った時に休止時間を設けるのが望ましい。キャリッジ部40が移動している最中に休止時間を設けて、途中でキャリッジの移動を停止させると、ユーザーはキャリッジ部40が故障によって停止したものと誤認するおそれがある。このような誤認を防止するために、キャリッジ部40が初期位置に戻ってから休止させるものとする。
【0057】
(S107〜S109:ADF駆動モード時の発熱制限)
ADF駆動モードにおける発熱制限も、キャリッジ駆動モードにおける発熱制限(S104〜A106)の方法と基本的に同様である。
【0058】
但し、モーター41の発熱・放熱特性が異なるため、発熱量Qから発熱温度ΔT_newへの変換係数K、及び、放熱係数K1は、キャリッジ駆動モード時(S104)とは異なるものを用いる。すなわち、ADF駆動モード時における変換係数Ka、及び放熱係数K1aを用いて、ADF駆動モードの推定発熱温度ΔTn_sum(A)が算出される(S107)。なお、Ka、K1a共に、画像読み取り装置1の製造工程における予備実験により求められ、ADF駆動モードの発熱パラメータとしてRAM63に記憶されている。
【0059】
また、休止時間の有無を判断する閾値THは、ADF駆動モード用の閾値TH(A)を用いる。すなわち、制御部60は、S107で算出されたモーター41の推定温度が閾値TH(A)を超えたとき(S108)、発熱制限制御を行いながらモーター41を駆動する(S109)。なお、キャリッジ駆動モードにおける閾値TH(C)と、ADF駆動モードにおける閾値TH(A)とは同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0060】
キャリッジ駆動モードでは、キャリッジ部40が初期位置に戻った時点で休止時間を設けると説明したが(S106)、ADF駆動モードでは原稿の搬送動作に応じて休止時間を分割する。例えば、ADFによる原稿の搬送動作では、はじめに原稿が給紙され、原稿の読み取り位置を合わせる頭出しが行われた後、実際の読み取りが行われ、読み取られた原稿はADF外部へと排紙される。このように、給紙/頭出し/読み取り/排紙の各動作の直前に休止時間を分割して短期間ずつの休止時間を設ける。各動作の間に長い休止時間を設けると、搬送動作が途中で中断されたように見えるため、ユーザーはADF部50が故障したものと誤認するおそれがある。そこで、ADFによる原稿搬送過程の各動作間で休止時間を分割して設けるものとする。なお、休止時間分割のバランスはユーザー自身で変更できるようにしてもよい。
【0061】
(S110:停止動作)
画像の読み取り動作が完了したら、画像読取装置1の停止動作を行う。本実施形態の画像読取装置1では、今回運転時の発熱の影響を次回の運転時に反映させることで適切な発熱制限を行うようにしている。そのため、停止動作を行う際に、今回算出された発熱温度ΔT_sum(A)またはΔT_sum(C)が、最終発熱温度ΔT_sum(EE)としてEEPROM64に保存される。また、CPU61は、電源がOFFされた瞬間から次に電源がONされる瞬間までの経過時間Tpを計測し、EEPROM64に保存する。これらの値は、前述の(S101)にて説明したように、次回の運転時におけるモーター41の初期温度を算出する際に用いられる。
【0062】
===比較例===
参考に、キャリッジ駆動モードとADF駆動モードとで、モーターの発熱の計算を共通とする場合の画像読み取り装置を比較例として示す。
【0063】
図9は比較例におけるモーター41の発熱量を制限するためのフローを表す図である。比較例では、第1実施形態のS103に相当する処理がなく、キャリッジ駆動モードとADF駆動モードとでどちらのモードが選択されているかは判断されない。そしてS203において発熱計算が行われるが、算出される推定発熱温度ΔTn_sumはキャリッジ駆動モードとADF駆動モードとで共通の発熱温度として算出される。つまり、発熱量Qから発熱温度ΔT_newへの変換係数K、及び、放熱係数K1は、キャリッジ駆動モードとADF駆動モードとで共通の値が用いられる。そして、S204において両モードに共通の閾値THと算出された推定発熱温度ΔTn_sumが比較され、ΔTn_sum>THとなる場合は、S205において発熱制限処理を行う。なお、駆動モードの判断がなされていないため、休止時間の設定も両モードで共通のものとなり、発熱温度ΔTn_sumが閾値THを越えた瞬間に、動作中のユニットを強制的に休止させる。その他の動作については第1実施形態の場合と同様である。
【0064】
前述のように、キャリッジ駆動モードとADF駆動モードとでは発熱特性・放熱特性がそれぞれ異なるため、それぞれのモードに対応した発熱制限処理が必要である。しかし、比較例の場合は各モードで共通の発熱制限処理を行うので、モーターの発熱制限が不十分となったり、無駄な休止時間を設けたりすることになる。例えば、キャリッジ駆動モードに合わせた発熱制限値では、ADF駆動モードにおいては休止時間が短く、十分にモーターを冷却することができなくなるおそれがある。また、ADF駆動モードに合わせた発熱制限値では、キャリッジ駆動モードにおいては休止時間が長く、キャリッジを無駄に停止させることにより画像読み取り時間が遅くなることがある。
【0065】
===まとめ===
本実施形態の画像読取装置では、画像読み取り部30を搭載したキャリッジ部40とADF部50との異なる2つの機構を、1つのモーター41によって駆動させる。そして、モーター41がキャリッジ部40を駆動する際(キャリッジ駆動モード)の推定発熱温度ΔTn_sum(C)と、モーターがADF部50を駆動する際(ADF駆動モード)の推定発熱温度ΔTn_sum(A)とを別々に算出する。
【0066】
これにより、両モード時のモーターにかかる負荷の大きさや、放熱条件の違いに対応して、モーターの正確な発熱量を得ることができる。各モードについて算出された発熱量に応じて最適な休止時間を設けることで、画像読み取り動作中にモーターを適切に冷却させることができる。
【0067】
===その他の実施形態===
一実施形態としての画像読取装置を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0068】
<モーターについて>
上述の実施形態において、モーター41としてステッピングモーターを使用するものとして説明しているが、モーター41はステッピングモーターには限られない。例えばDCモーターを使用することも可能である。
DCモーターを使用した場合、モーター使用時の負荷から実効電流値を算出することが可能となるため、製造段階の予備実験等によりで実効電流値の定数表を作成する必要が無く、また、該定数表を制御部のRAMに記録しておく必要もない。また、エンコーダーを用いることで、画像読み取り動作中に、モーターが取り付けられたキャリッジの移動位置を検出することも可能となる。
【0069】
<制御部について>
制御部60は、上述の実施の形態のものには限られず、例えばASIC65のみでモーター41の制御を司るように構成しても良く、また、これら以外に種々の周辺機器が組み込まれた1チップマイコン等を組み合わせて、制御部60を構成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0070】
10 画像読取装置、11 筺体、12 原稿台、13 原稿台カバー、
111 ラックギア、112 ガイドレール、113 ADF駆動ギア輪列
30 画像読み取り部、31 光源、32 ミラー、33 レンズ、
34 受光センサー、40 キャリッジ部、41 モーター、42 ギア輪列、
50 ADF部、55 原稿トレイ、60 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送する原稿搬送部と、
前記原稿から画像を読み取る画像読み取り部と、
前記画像読み取り部を支持しつつ移動させるキャリッジ部と
前記原稿搬送部及び前記キャリッジ部を駆動する駆動部と、
前記キャリッジ部を前記駆動部により駆動して、停止状態の前記原稿から画像の読み取りを行う第1モードと、前記原稿搬送部を前記駆動部により駆動して、停止状態の前記画像読み取り部の位置に前記原稿を搬送しながら画像の読み取りを行う第2モードと、の制御を行う制御部と、
を備え、前記原稿を読み取ったデータから画像データを形成する画像読み取り装置であって、
前記制御部は、
前記第1モードでは、第1の発熱パラメータを用いて前記駆動部の発熱量を算出し、
前記第2モードでは、前記第1の発熱パラメータとは異なる第2の発熱パラメータを用いて前記駆動部の発熱量を算出する、ことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読み取り装置であって、
前記駆動部が前記キャリッジ部に搭載されることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像読み取り装置であって、
前記第1モードでは、前記第1の発熱パラメータを用いて算出された前記駆動部の発熱量に基づいて、前記駆動部の発熱を制限し、
前記第2モードでは、前記第2の発熱パラメータを用いて算出された前記駆動部の発熱量に基づいて、前記駆動部の発熱を制限することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像読み取り装置であって、
画像読み取り動作中に前記原稿搬送部または前記キャリッジ部の駆動を停止させる休止時間を設けることにより、前記駆動部の発熱を制限することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像読み取り装置であって、
前記第1モードにおいて前記駆動部の発熱を制限する際には、
前記キャリッジ部が、画像読み取り動作開始時の元の位置まで移動してから、前記休止時間に応じて前記キャリッジ部の駆動を停止することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項6】
請求項4に記載の画像読み取り装置であって、
前記第2モードにおいて前記駆動部の発熱を制限する際には、
前記休止時間を複数に分割して、
前記原稿搬送部が前記原稿を搬送する動作中の所定のタイミング毎に、分割された前記休止時間に応じて前記ADF部の駆動を停止することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の画像読み取り装置であって、
画像読み取り動作開始時における前記駆動部の初期の発熱量が、
前回の画像読み取り動作時の前記駆動部の温度に基づいて算出されることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項8】
原稿搬送部によって原稿を搬送することと、
画像読み取り部によって前記原稿から画像を読み取ることと、
キャリッジ部によって前記画像読み取り部を支持しつつ移動させることと、
駆動部によって前記原稿搬送部及び前記キャリッジ部を駆動することと、
制御部によって、前記キャリッジ部を前記駆動部により駆動して、停止状態の前記原稿から画像の読み取りを行う第1モードと、前記原稿搬送部を前記駆動部により駆動して、停止状態の前記画像読み取り部の位置に前記原稿を搬送しながら画像の読み取りを行う第2モードと、の制御を行うことと、
を有する画像読み取り方法であって、
前記制御部は、
前記第1モードでは、第1の発熱パラメータを用いて前記駆動部の発熱量を計算し、
前記第2モードでは、前記第1の発熱パラメータとは異なる第2の発熱パラメータを用いて前記駆動部の発熱量を計算する、ことを特徴とする画像読み取り方法。

【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−90007(P2012−90007A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233891(P2010−233891)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】