説明

画像読取装置、および画像読取方法

【課題】画像読取装置において、キャリッジやADFの加減速期間の画像読み取りを行った場合にも安定した画質を得るための技術を提供する。
【解決手段】イメージセンサーを有する画像読取装置は、キャリッジもしくはADFのモーターの定速期間において、モーターの所定の回転量毎に、第1シフトパルスを出力する制御を行う。一方、モーターの加速期間および減速期間において、モーターの所定の回転量毎に、第1シフトパルスを出力し、さらに、第1シフトパルスから所定時間が経過した場合に第2シフトパルスを出力する制御を行う。そして、モーターの加速期間および減速期間において、第1シフトパルスによりイメージセンサーから出力されたデータを破棄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、および画像読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージスキャナー等の画像読取装置として、キャリッジ(以下、「CR」と呼ぶことがある。)を一定速度で移動させながら、原稿の画像データをイメージセンサーにより読み取るものがある。また、画像読取装置として、ADF(Auto Document Feeder)機能を備え、ADFにより原稿を一定速度で搬送させながら、所定位置に静止させたイメージセンサーにより原稿の画像データを読み取るものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−245124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、画像読取装置の小型化、画像読み取りの高速化等の要望に伴い、CR移動やADFによる原稿の搬送(紙送り)の速度が一定速度である定速領域以外の加速領域や減速領域においても、イメージセンサーによる画像読み取りが必要となりつつある。
【0005】
CRを高速移動させた場合、CRの移動の開始から終了までに、加速領域、定速領域、減速領域を経る。また、ADFにより原稿を高速に搬送した場合も、原稿の移動の開始から終了までに、加速領域、定速領域、減速領域を経る。なお、「領域」は、適宜「期間」と読み替えても良い。
【0006】
しかしながら、従来の画像読取装置は、加減速領域における画像読み取りを想定していない。仮に、加減速領域においても画像の読み取りを行った場合、副走査方向の原稿の所定領域(例えば、1ライン分の領域)の読み取りに必要な、CRの移動時間もしくは原稿の移動時間は、定速領域よりも長い。その結果、イメージセンサーに電荷が蓄積される時間が定速領域と比べて長くなり、読み取り画質が不安定となる。
【0007】
そこで、本願発明は、画像読取装置において、加減速領域の画像読み取りを行った場合にも安定した画質を得るための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための本発明の第1態様は、画像読取装置であって、光電変換素子に蓄積された電荷をシフトパルスによってシフトレジスターへ転送するイメージセンサーと、前記イメージセンサーの画像読み取り位置を変化させるキャリッジを移動させるためのモーターと、シフトパルスの出力タイミングを制御するシフトパルス制御手段と、シフトパルス毎に前記イメージセンサーから出力されたデータを取得して処理するデータ処理手段と、を備え、前記シフトパルス制御手段は、前記モーターの定速期間において、前記モーターの所定の回転量毎に、第1シフトパルスを出力する制御を行い、前記モーターの加速期間および減速期間において、前記モーターの所定の回転量毎に、前記第1シフトパルスを出力し、さらに、前記第1シフトパルスから所定時間が経過した場合に第2シフトパルスを出力する制御を行い、前記データ処理手段は、前記モーターの加速期間および減速期間において、前記第1シフトパルスにより前記イメージセンサーから出力されたデータを破棄する、ことを特徴とする。
【0009】
上記の課題を解決するための本発明の第2態様は、画像読取装置であって、原稿の搬送するためのモーターを備えたADFと、光電変換素子に蓄積された電荷をシフトパルスによってシフトレジスターへ転送するイメージセンサーと、シフトパルスの出力タイミングを制御するシフトパルス制御手段と、シフトパルス毎に前記イメージセンサーから出力されたデータを取得して処理するデータ処理手段と、を備え、前記シフトパルス制御手段は、前記モーターの定速期間において、前記モーターの所定の回転量毎に、第1シフトパルスを出力する制御を行い、前記モーターの加速期間および減速期間において、前記モーターの所定の回転量毎に、前記第1シフトパルスを出力し、さらに、前記第1シフトパルスから所定時間が経過した場合に第2シフトパルスを出力する制御を行い、前記データ処理手段は、前記モーターの加速期間および減速期間において、前記第1シフトパルスにより前記イメージセンサーから出力されたデータを破棄する、ことを特徴とする。
【0010】
ここで、上記のいずれかの画像読取装置であって、前記シフトパルス制御手段は、前記第2シフトパルスから前記第1シフトパルスまでの間の時間が、前記所定時間よりも小さくなった場合に、加速期間におけるシフトパルスの制御を定速期間におけるシフトパルスの制御に切り替える、ことを特徴としていてもよい。
【0011】
上記の課題を解決するための本発明の第3態様は、画像読取装置における画像読取方法であって、前記画像読取装置は、光電変換素子に蓄積された電荷をシフトパルスによってシフトレジスターへ転送するイメージセンサーと、前記イメージセンサーの画像読み取り位置を変化させるキャリッジを移動させるためのモーターと、シフトパルスの出力タイミングを制御するシフトパルス制御手段と、シフトパルス毎に前記イメージセンサーから出力されたデータを取得して処理するデータ処理手段と、を備え、前記シフトパルス制御手段は、前記モーターの定速期間において、前記モーターの所定の回転量毎に、第1シフトパルスを出力する制御を行うステップと、前記モーターの加速期間および減速期間において、前記モーターの所定の回転量毎に、前記第1シフトパルスを出力し、さらに、前記第1シフトパルスから所定時間が経過した場合に第2シフトパルスを出力する制御を行うステップとを行い、前記データ処理手段は、前記モーターの加速期間および減速期間において、前記第1シフトパルスにより前記イメージセンサーから出力されたデータを破棄するステップを行う、ことを特徴とする。
【0012】
上記の課題を解決するための本発明の第4態様は、画像読取装置における画像読取方法であって、前記画像読取装置は、原稿の搬送するためのモーターを備えたADFと、光電変換素子に蓄積された電荷をシフトパルスによってシフトレジスターへ転送するイメージセンサーと、シフトパルスの出力タイミングを制御するシフトパルス制御手段と、シフトパルス毎に前記イメージセンサーから出力されたデータを取得して処理するデータ処理手段と、を備え、前記シフトパルス制御手段は、前記モーターの定速期間において、前記モーターの所定の回転量毎に、第1シフトパルスを出力する制御を行うステップと、前記モーターの加速期間および減速期間において、前記モーターの所定の回転量毎に、前記第1シフトパルスを出力し、さらに、前記第1シフトパルスから所定時間が経過した場合に第2シフトパルスを出力する制御を行うステップとを行い、前記データ処理手段は、前記モーターの加速期間および減速期間において、前記第1シフトパルスにより前記イメージセンサーから出力されたデータを破棄するステップを行う、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態である画像読取装置1の概略構成を示す図である。
【図2】モノクロ読み取りにおける、加速領域および定速領域におけるシフト信号の制御を説明する図である。
【図3】第1実施形態の特徴を有さない場合の、モノクロ読み取りにおける、加速領域および定速領域におけるシフト信号の制御を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の第1実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態である画像読取装置1の概略構成を示す図である。画像読取装置1は、例えば、スキャナー、コピー機、複合機等の装置である。
【0016】
画像読取装置1は、被読取媒体である原稿を載せるための上向きの原稿台50と、原稿台50を上から覆うカバー51とを備える。カバー51は、原稿台50にヒンジ機構を介して結合しており、開閉可能である。原稿台50には、原稿を載置するための透明な画像読取面52と、ADF40により搬送された原稿を読み取るための透明なADF用画像読取面53が設けられている。
【0017】
ADF用画像読取面53の上側には、カバー51と一体となってADF40が設けられている。ADF40は、読み取り対象の原稿を載せるための給紙トレイ41、ADF40内部に形成された搬送路42、給紙トレイ41上の原稿を搬送路42に沿って搬送して排紙トレイ45へ排出するための複数の搬送ローラー43、排紙された原稿を載せるための排紙トレイ45、上記の各搬送ローラー43を回転させるモーター44(例えば、ステッピングモーター)を有する。
【0018】
また、画像読取装置1は、原稿台50の下に、CCD等のイメージセンサー11、LED等の光源12、イメージセンサー11および光源12を搭載したキャリッジ10、キャリッジ10の往復移動を制御するキャリッジ駆動部20、イメージセンサー11からのアナログ信号をデジタル信号に変換して制御部30へ出力するA/D変換部13、画像読取装置1の全体を制御し、画像を読み取るための種々の処理を行う制御部30を有する。なお、キャリッジ10はイメージセンサー11を必ずしも運搬する必要はなく、画像読取装置の所定位置に備えられたイメージセンサーに、読み取った画像を結像させるように構成された光学系を備えたものとしてもよい。
【0019】
キャリッジ10は、イメージセンサー11および光源12を副走査方向およびその逆方向に運搬する。キャリッジ10は、画像読取面52およびADF用画像読取面53に対し平行なガイド用のシャフト等にスライド自在に取り付けられており、キャリッジ駆動部20のモーター21により回転するベルトにより牽引され、往復移動をする。ADF40により原稿を搬送させながら読み取りを行う場合、キャリッジ10は、ADF用画像読取面53の下の所定位置に固定される。
【0020】
キャリッジ駆動部20は、キャリッジ10に取り付けられたベルトを回転させるためのモーター21(例えば、DCモーター)と、モーター21の回転量に応じてパルスを出力するエンコーダー22とを備えている。キャリッジの20の移動量は、エンコーダー22の出力値に基づいて制御される。
【0021】
イメージセンサー11は、原稿に反射した光を受光し、受光量に応じた電荷を蓄積し、画像読取データ(電気信号)として、制御部30に送る。
【0022】
イメージセンサー11は、主走査方向に並んだ複数のセンサーチップからなる。各センサーチップは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーと同様の構成を備えている。すなわち、各センサーチップは、光電変換素子(フォトダイオードPD)と、シフトゲートと、シフトレジスターと、を備える。そして、光電変換素子に蓄積された電荷を、シフトゲートを開通させてシフトレジスターへ転送し、シフトレジスターにより電荷を順次移動させながら出力する。
【0023】
シフトゲートの開通(電荷の転送)は、シフトパルス(後述する主制御部33からの信号)の印加に応答して行われる。ここで、光電変換素子は、常時、光の受光量に応じて電荷を蓄積しているため、電荷のシフトレジスターへの転送タイミングが、次の発光色の光についての電荷を蓄積する開始タイミングとなる。そして、シフトレジスターに転送された電荷は、シフトレジスターの末端の出力部により、電気信号(アナログデータ)に変換されて、A/D変換部13に送られる。
【0024】
なお、イメージセンサー11は、CCDイメージセンサーに限られず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーであってもよい。
【0025】
光源12は、赤色LED、緑色LED、青色LEDからなり、RGBの3色の光を発生する。本実施形態では、モノクロ読み取りの場合、光源12は、1ライン分の原稿の読み取りを行うため、緑色LEDによりG色の光を発生する。カラー読み取りの場合、光源12は、1ライン分の原稿の読み取りを行うため、赤色LED、緑色LED、青色LEDの順に光を発生する。各色のLEDの発光時間は、色ごとに予め定められており、点灯してからその定められた時間が経過したときに、消灯する。なお、モノクロ読み取りの場合にも、赤色LED、緑色LED、青色LEDを用いて、同時もしくは所定の順に発光させるようにしてもよい。
【0026】
A/D変換部13は、イメージセンサー11からのアナログ信号をデジタル信号に変換して制御部30へ出力する。
【0027】
制御部30は、画像処理部32と、主制御部33と、インターフェイス(I/F)部37とを有する。
【0028】
画像処理部32は、A/D変換部13から出力された画像データに、所定のデジタル画像処理(例えば、シェーディング補正、ガンマ補正など)を施し、主制御部33に出力する。
【0029】
主制御部33は、ADF40のモーター44の回転を制御し、加速期間、定速期間、減速期間における原稿の搬送を制御する。主制御部33は、例えば、各ステップ間の時間間隔を示す情報を格納した制御テーブルを用いて、モーター44の加速期間、定速期間、減速期間を制御する。
【0030】
また、主制御部33は、モーター21の回転を制御し、加速期間、定速期間、減速期間におけるキャリッジ10の移動を制御する。主制御部33は、例えば、キャリッジ駆動部20の駆動回路を用いて、モーター21の加速期間、定速期間、減速期間を制御する。
【0031】
また、主制御部33は、加速期間、定速期間、減速期間におけるイメージセンサー11の画像読み取りを制御する。具体的には、ADF40のモーター44の所定の回転量またはエンコーダー22から出力されるパルスに基づくモーター21の所定の回転量に合わせて、イメージセンサー11に対してシフトパルスの供給を行い、光電変換素子に蓄積された電荷のシフトレジスターへの転送タイミング(次の電荷蓄積の開始タイミング)を制御する。なお、後述するように、加速期間および減速期間におけるシフトパルスの制御を行うため、主制御部33は、タイマーを備える。また、主制御部33は、イメージセンサー11が読み取ったデータのA/D変換部13への転送を制御する。
【0032】
また、主制御部33は、また、イメージセンサー11の読み取り動作に合わせて、光源12の点灯、消灯を制御する。
【0033】
上記の主制御部33は、例えば、演算装置であるCPU34と、プログラム等が記録されたROM35と、メインメモリーとしてデータ等を一時的に格納するRAM36とを備えたコンピューターで構成することができる。もちろん、各処理を専用に行うように設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってもよい。
【0034】
I/F部37は、各種の外部装置や入出力装置とのデータの送受信を制御する。I/F部37は、例えば、プリンター、ファクシミリ、ホストコンピューター、ハードディスク、フラッシュメモリー等のポータブルな記憶媒体等と接続される。
【0035】
以上、画像読取装置1の概略構成を説明したが、本願発明の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られない。また、一般的な画像読取装置が備える他の構成を排除するものではない。例えば、モーター44は、DCモーターであってもよい。また、モーター21は、ステッピングモーターであってもよい。
【0036】
また、上記した各構成要素は、画像読取装置1の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。画像読取装置1の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0037】
次に、主制御部33により行われる画像の読み取り制御について説明する。
【0038】
上述したように、本実施形態では、主制御部33は、加速期間、定速期間、減速期間における画像読み取りを制御する。なお、キャリッジ10の移動による画像読み取りと、ADF40を用いた原稿の搬送による画像読み取り、のいずれにおいても、主制御部33は、イメージセンサー11に同様の制御を行う。
【0039】
図2は、モノクロ読み取りにおける、加速領域および定速領域におけるシフト信号の制御を説明する図である。図3は、第1実施形態の特徴を有さない場合の、モノクロ読み取りにおける、加速領域および定速領域におけるシフト信号の制御を説明する図である。なお、光源点灯のタイミングおよび長さ、シフト信号の出力タイミングは、図示する間隔に限定されるものではない。
【0040】
図2に示すように、定速領域において、主制御部33は、時間T(1ライン分の電荷蓄積に適切な時間として予め定められた時間=蓄積された1ライン分の電荷の出力に必要な時間)毎に、イメージセンサー11に対してシフト信号を出力する。具体的には、主制御部33は、モーター44のステップ数に基づいて、1ライン分の原稿の搬送距離(所定ステップ数、モーター44の回転量)ごとに、シフト信号を出力する。または、主制御部33は、エンコーダー22の出力に基づいて、1ライン分のキャリッジ10の移動距離(モーター21の回転量)ごとに、シフト信号を出力する。
【0041】
定速領域においては、1ライン毎の原稿の搬送または1ライン毎のキャリッジ10の移動にかかる時間は一定である。従って、1ライン分の原稿の搬送または1ライン分のキャリッジ10の移動距離に同期してシフト信号を出力することにより、時間T=1ライン分の原稿の搬送または1ライン分のキャリッジ10の移動にかかる時間となる。
【0042】
主制御部33は、時間T毎にイメージセンサー11から出力されるライン単位の画像データを、有効な画像データとしてRAM36に格納する。このように、定速領域においては、主制御部33は、1ライン中に1シフトの制御を行う。
【0043】
一方、加速領域においては、定速領域と比べて原稿の搬送速度またはキャリッジ10の移動速度が遅い。そのため、図3に示すように、1ライン分の原稿の搬送または1ライン分のキャリッジ10の移動距離に同期してシフト信号を出力した場合、1ライン毎に、時間T+時間αの間、イメージセンサー11に電荷が蓄積されることとなる。その結果、時間α分のノイズ電荷が有効データに含まれてしまい、画質が落ちる。なお、時間αは、原稿の搬送速度またはキャリッジ10の移動速度が加速されるにつれて短くなる(減速されるにつれて長くなる。)。
【0044】
そこで、本実施形態では、図2に示すように、加速領域において、主制御部33は、1ライン分の原稿の搬送または1ライン分のキャリッジ10の移動距離ごとに同期したシフト信号(基準シフト信号)に加え、当該シフト信号の出力タイミングから時間T経過後にもシフト信号を出力する。すなわち、1ライン中に、2回シフト信号を出力する。この2番目のシフト信号(調整シフト信号)の出力タイミングは、タイマーを用いて基準シフト信号から時間Tを計測することにより決定すればよい。
【0045】
主制御部33は、1ライン中の2番目のシフト信号により、イメージセンサー11から出力される画像データ(時間T分のデータ)を、有効な画像データとしてRAM36に格納する。一方、1ライン中の1番目のシフト信号により、イメージセンサー11から出力される画像データ(1つ前のラインにおける時間α分のデータ)を、無効な画像データとして読み捨てる。このように、加速領域においては、主制御部33は、1ライン中に2シフトの制御を行う。
【0046】
なお、主制御部33は、1ライン分の原稿の搬送または1ライン分のキャリッジ10の移動距離ごとに時間αを計測し、例えば、時間T>時間αとなった場合に、2シフト制御を1シフト制御に切り替えればよい。
【0047】
また、減速領域については図示していないが、加速領域と同様に、主制御部33は、2シフトの制御を行う。定速領域から減速領域への切り替えは、例えば、原稿の終端ラインまで読み取りが終了した時であってもよいし、読み取りが終了済みの位置から原稿の終端までの長さが、減速領域におけるキャリッジ10もしくは原稿の移動量と等しくなった時であってもよい。
【0048】
以上、本発明の一実施形態について説明した。本実施形態によれば、画像読取装置において、加減速領域の画像読み取りを行った場合にも安定した画質を得るための技術を提供することができる。
【0049】
なお、上記の本発明の実施形態は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。多くの代替物、修正および変形例が当業者にとって明らかである。
【0050】
例えば、モノクロの画像読み取り制御だけでなく、カラーの画像読み取り制御の場合にも、加減速領域においてシフト信号の数を増やしてもよい。
【0051】
具体的には、定速領域では、主制御部33は、光源12を、赤色LED、緑色LED、青色LEDの順に発光させる。また、赤色LED、緑色LED、青色LEDの点灯に対応させて、イメージセンサー11にシフト信号を出力する。具体的には、1ライン分の原稿の搬送または1ライン分のキャリッジ10の移動距離ごとに同期したシフト信号(R色に対応する基準シフト信号)を出力し、基準シフト信号からタイマーで所定時間を計測することにより、2番目のシフト信号(G色に対応)、3番目のシフト信号(B色に対応)を出力する。すなわち、定速領域においては、主制御部33は、1ライン中に3シフトの制御を行う。
【0052】
一方、加速領域および減速領域では、主制御部33は、1ライン中の3番目のシフト信号の出力タイミングから所定時間経過後にもシフト信号を出力する。すなわち、1ライン中に、4回シフト信号を出力する。この4番目のシフト信号(調整シフト信号)の出力タイミングは、タイマーを用いて3番目のシフト信号からの所定時間を計測することにより決定すればよい。
【0053】
主制御部33は、1ライン中の4番目のシフト信号により、イメージセンサー11から出力される画像データ(3番目のシフト信号から所定時間分のB色の光に対応するデータ)を、有効な画像データとしてRAM36に格納する。一方、1ライン中の1番目のシフト信号により、イメージセンサー11から出力される画像データ(1つ前のラインにおける4番目のシフト信号から次のラインの1番目のシフト信号まで間のデータ)を、無効な画像データとして読み捨てる。このように、加速領域および減速領域においては、主制御部33は、1ライン中に4シフトの制御を行う。これにより、B色の光に対応するデータにノイズ電荷が含まれなくなる。
【符号の説明】
【0054】
1:画像読取装置、10:キャリッジ、11:イメージセンサー、12:光源、13:A/D変換部、20:キャリッジ駆動部、21:モーター、22:エンコーダー、30:制御部、32:画像処理部、33:主制御部、34:CPU、35:ROM、36:RAM、37:I/F部、40:ADF、41:給紙トレイ、42:搬送路、43:搬送ローラー、44:モーター、45:排紙トレイ、50:原稿台、51:カバー、52:画像読取面、53:ADF用画像読取面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置であって、
光電変換素子に蓄積された電荷をシフトパルスによってシフトレジスターへ転送するイメージセンサーと、
前記イメージセンサーの画像読み取り位置を変化させるキャリッジを移動させるためのモーターと、
シフトパルスの出力タイミングを制御するシフトパルス制御手段と、
シフトパルス毎に前記イメージセンサーから出力されたデータを取得して処理するデータ処理手段と、を備え、
前記シフトパルス制御手段は、
前記モーターの定速期間において、前記モーターの所定の回転量毎に、第1シフトパルスを出力する制御を行い、
前記モーターの加速期間および減速期間において、前記モーターの所定の回転量毎に、前記第1シフトパルスを出力し、さらに、前記第1シフトパルスから所定時間が経過した場合に第2シフトパルスを出力する制御を行い、
前記データ処理手段は、
前記モーターの加速期間および減速期間において、前記第1シフトパルスにより前記イメージセンサーから出力されたデータを破棄する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
画像読取装置であって、
原稿の搬送するためのモーターを備えたADFと、
光電変換素子に蓄積された電荷をシフトパルスによってシフトレジスターへ転送するイメージセンサーと、
シフトパルスの出力タイミングを制御するシフトパルス制御手段と、
シフトパルス毎に前記イメージセンサーから出力されたデータを取得して処理するデータ処理手段と、を備え、
前記シフトパルス制御手段は、
前記モーターの定速期間において、前記モーターの所定の回転量毎に、第1シフトパルスを出力する制御を行い、
前記モーターの加速期間および減速期間において、前記モーターの所定の回転量毎に、前記第1シフトパルスを出力し、さらに、前記第1シフトパルスから所定時間が経過した場合に第2シフトパルスを出力する制御を行い、
前記データ処理手段は、
前記モーターの加速期間および減速期間において、前記第1シフトパルスにより前記イメージセンサーから出力されたデータを破棄する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像読取装置であって、
前記シフトパルス制御手段は、
前記第2シフトパルスから前記第1シフトパルスまでの間の時間が、前記所定時間よりも小さくなった場合に、加速期間におけるシフトパルスの制御を定速期間におけるシフトパルスの制御に切り替える、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
画像読取装置における画像読取方法であって、
前記画像読取装置は、
光電変換素子に蓄積された電荷をシフトパルスによってシフトレジスターへ転送するイメージセンサーと、
前記イメージセンサーの画像読み取り位置を変化させるキャリッジを移動させるためのモーターと、
シフトパルスの出力タイミングを制御するシフトパルス制御手段と、
シフトパルス毎に前記イメージセンサーから出力されたデータを取得して処理するデータ処理手段と、を備え、
前記シフトパルス制御手段は、
前記モーターの定速期間において、前記モーターの所定の回転量毎に、第1シフトパルスを出力する制御を行うステップと、
前記モーターの加速期間および減速期間において、前記モーターの所定の回転量毎に、前記第1シフトパルスを出力し、さらに、前記第1シフトパルスから所定時間が経過した場合に第2シフトパルスを出力する制御を行うステップとを行い、
前記データ処理手段は、
前記モーターの加速期間および減速期間において、前記第1シフトパルスにより前記イメージセンサーから出力されたデータを破棄するステップを行う、
ことを特徴とする画像読取方法。
【請求項5】
画像読取装置における画像読取方法であって、
前記画像読取装置は、
原稿の搬送するためのモーターを備えたADFと、
光電変換素子に蓄積された電荷をシフトパルスによってシフトレジスターへ転送するイメージセンサーと、
シフトパルスの出力タイミングを制御するシフトパルス制御手段と、
シフトパルス毎に前記イメージセンサーから出力されたデータを取得して処理するデータ処理手段と、を備え、
前記シフトパルス制御手段は、
前記モーターの定速期間において、前記モーターの所定の回転量毎に、第1シフトパルスを出力する制御を行うステップと、
前記モーターの加速期間および減速期間において、前記モーターの所定の回転量毎に、前記第1シフトパルスを出力し、さらに、前記第1シフトパルスから所定時間が経過した場合に第2シフトパルスを出力する制御を行うステップとを行い、
前記データ処理手段は、
前記モーターの加速期間および減速期間において、前記第1シフトパルスにより前記イメージセンサーから出力されたデータを破棄するステップを行う、
ことを特徴とする画像読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−44783(P2011−44783A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190015(P2009−190015)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】