説明

画像読取装置、黒補正実行可否判定プログラム

【課題】連続した原稿読取であっても必要最小限の黒補正で済み、原稿読取サイクルを短縮する。
【解決手段】黒補正は、CCDラインセンサ26Dの温度−暗時出力特性の変動を補正する機能であり、横軸(x軸)にCCDラインセンサの周囲温度を、縦軸(y軸)CCDラインセンサ26Dの暗時出力をとると、周囲温度の上昇に対して、暗時出力が対数的に比例して大きくなっていく。CCDラインセンサ26Dの濃度変化を予測又は実測して、この黒補正の実行の可否判定を行うことで、読取インタバルにおける黒補正を必要最小限に抑えることで、光源110の連続読取時間の短縮化を図った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、黒補正実行可否判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置では、原稿読取サイクルを短縮して生産性を向上することが要求される。
【0003】
例えば、入力される光の量に応じて電荷を蓄積して、この蓄積された電荷量に応じた電気信号を出力する複数の画素が直線的に配列された光電センサを対象としたシェーディング補正に関し、特許文献1では、画像品質を確保しつつ連続読み取りでの生産性を上げることが開示されている。この特許文献1には、基準白板を読み取って補正する(白補正する)前に画像データの基準となる黒オフセットデータを取得しておく(黒補正しておく)必要があることも記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、黒基準板を用いてランプを点灯させたままで黒補正することが提案されている。
【特許文献1】特開2007−251797公報参照
【特許文献2】特開平7−177669号公報参照
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、本構成を有しない場合に比べて、連続した原稿読取であっても必要最小限の黒補正で済み、原稿読取サイクルを短縮することができる画像読取装置、黒補正実行可否判定プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、原稿に対して一方向に配列され、当該原稿画像からの光量に応じた電気信号をそれぞれ出力する複数の読取画素を備えた光電センサと、読取指示に基づき、原稿画像を前記光電センサにより読み取って、画像データを得る読取制御手段と、前記光電センサの各読取画素への入力光量が0のときの電気信号出力である暗時出力を、前記配列方向の各読取画素を、予め定めた範囲内に補正する黒補正を実行する黒補正手段と、複数の原稿を読み取る場合にはその原稿間の読取間隔時間が予め定めた時間以内のとき、前記黒補正手段による黒補正を実行するか否かを判定する黒補正実行判定手段と、
を有している。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記読取指示後の少なくとも1枚目の原稿は、原稿の読取数量に関係なく前記黒補正手段による黒補正を実行する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記黒補正実行判定手段が、前記読取指示に関連して設定される読取時の白黒又はカラー設定情報、2値又は多値の設定情報、原稿画質設定情報、複写枚数設定情報(例えば、1枚の原稿から何枚複写するか)、又はデータ保存設定情報(例えば、高圧縮、標準、低圧縮を含む出力ファイル形式設定情報)、解像度及び倍率設定情報、定型かMix原稿指定の少なくとも1つの設定情報に基づいて判定し、この判定の結果、カラー設定、多値設定、写真原稿設定、複写枚数設定が、予め定めた枚数以上、低圧縮保存設定、予め定めた解像度以上、Mix原稿読取の少なくとも1つに該当するときに前記黒補正手段による黒補正を原稿毎に実行する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記黒補正実行判定手段が、前記光電センサの読取画素を、実際に原稿画像を読み取るための実用画素(例えば、有効画素)、外部光量に影響されないように読取面が遮蔽された遮蔽画素(例えば、光シールド画素)、常に一定の電気信号を出力するダミー画素(例えば、空送り画素)に分類し、前記光電センサ及びその周辺温度に起因する前記実用画素の絶対差を、前記遮蔽画素の出力と前記ダミー画素の出力の差分で相殺し、この絶対差の相殺後における各実用画素の相対差に基づいて黒補正を実行するか否かを判定する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、原稿に対して一方向に配列され、当該原稿画像からの光量に応じた電気信号をそれぞれ出力する複数の読取画素を備えた光電センサを用いて、読取指示に基づき、原稿画像を前記光電センサにより読み取って、画像データを得るときの光電センサから出力される電気信号の補正の1つとして、前記光電センサの各読取画素への入力光量が0のときの電気信号出力である暗時出力を、前記配列方向の各読取画素を、予め定めた範囲内に補正する黒補正を実行する際に、複数の原稿を読み取る場合にはその原稿間の読取間隔時間が予め定めた時間以内のとき、前記黒補正手段による黒補正を実行するか否かを判定する、ことをコンピュータに実行させる黒補正実行可否判定プログラムである。
【0011】
請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の発明において、前記読取指示後の少なくとも1枚目の原稿は、原稿の読取数量に関係なく前記黒補正を実行する。
【0012】
請求項7に記載の発明は、前記請求項5又は請求項6に記載の発明において、前記黒補正を実行するか否かを、前記読取指示に関連して設定される読取時の白黒又はカラー設定情報、2値又は多値の設定情報、原稿画質設定情報、複写枚数設定情報、又はデータ保存設定情報、解像度及び倍率設定情報、定型かMix原稿指定の少なくとも1つの設定情報に基づいて判定し、この判定の結果、カラー設定、多値設定、写真原稿設定、複写枚数設定が、予め定めた枚数以上、低圧縮保存設定、予め定めた解像度以上、Mix原稿読取の少なくとも1つに該当するときに前記黒補正手段による黒補正を原稿毎に実行する。
【0013】
請求項8に記載の発明は、前記請求項5又は請求項6に記載の発明において、前記黒補正を実行するか否かの判定が、前記光電センサの読取画素を、実際に原稿画像を読み取るための実用画素、外部光量に影響されないように読取面が遮蔽された遮蔽画素、常に一定の電気信号を出力するダミー画素に分類し、前記光電センサ及びその周辺温度に起因する前記実用画素の絶対差を、前記遮蔽画素の出力と前記ダミー画素の出力の差分より変化量を求め、この変化量が、あらかじめ定めた値を超えた場合は実用画素の黒補正を実行するか否かを判定する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、連続した原稿読取であっても必要最小限の黒補正で済み、原稿読取サイクルを短縮することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、前回の原稿読取からの経過時間に関係なく、1枚目の原稿読取時の画質を維持することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、読取指示に関連して設定される読取時の白黒又はカラー設定情報、読取後の複写又はデータ保存設定情報、読取枚数設定情報、解像度設定情報指定の少なくとも1つの設定情報に基づいて、精度よく黒補正の実行可否を予測することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、光電センサの温度特性に基づいて、精度よく黒補正の実行可否を決定することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、連続した原稿読取であっても必要最小限の黒補正で済み、原稿読取サイクルを短縮することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、前回の原稿読取からの経過時間に関係なく、1枚目の原稿読取時の画質を維持することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、読取指示に関連して設定される読取時の白黒又はカラー設定情報、読取後の複写又はデータ保存設定情報、読取枚数設定情報、解像度設定情報指定の少なくとも1つの設定情報に基づいて、精度よく黒補正の実行可否を予測することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、光電センサの温度特性に基づいて、精度よく黒補正の実行可否を決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[第1の実施の形態]
(画像読取装置の概略)
図1には、画像読取装置100が示されている。
【0023】
画像読取装置100は、筐体102で覆われた矩形状の本体部104と、当該本体部104の上部に配置されたフィーダ部106とを有する。
【0024】
本体部104の上部は開口されており、透明ガラス板製の原稿台108が取り付けられている。
【0025】
原稿台108の下部(本体部104の内部)には、画像読取装置本体側ラインセンサモジュール26が配置されている。
【0026】
この画像読取装置本体側ラインセンサモジュール26は、原稿台108に置かれた原稿110に対して光を照射する光源27と、その反射光を略90°反射させるミラーとが取り付けられた第1のユニット26Aと、第1のユニット26Aのミラーから受けた光を2段階で略180°反射させる一対のミラーが取り付けられた第2のユニット26Bと、第2のユニット26Bからの光を集光する光学系26Cと、光学系の結像位置に配置されたCCDラインセンサ26Dと、を備えている。
【0027】
原稿台108に置かれた原稿110の画像を読み取る場合には、第1のユニット26Aと第2のユニット26Bとが相互に同期をとりながら、第1のユニット26Aの移動距離の1/2だけ第2のユニット26Bを移動させることで、光路長を一定とし、CCDラインセンサ26Dへ結像させる。
【0028】
図1に示される如く、フィーダ部106は、複数枚の原稿110を重ねて置くことが可能な原稿積載部112が設けられている。
【0029】
原稿積載部112は、中央部を中心に回転する構造となっており、このため図1の左端側が上下に移動する。
【0030】
原稿積載部112に積載された原稿110は、その最上層から順番に予め複数のガイド板114によって形成された搬送路に沿って搬送されるようになっている。すなわち、搬送路の適宜位置には、ガイド板114が寸断されて、搬送ローラ対116が設けられている。また、搬送路の適宜位置には、原稿検出センサ118が取り付けられている。原稿検出センサ118は、原稿110の先端又は後端を検出する。
【0031】
ここで、原稿積載部112の左端側が上昇すると、最上層の原稿110が送出ローラ120と接触し、この送出ローラ120及び搬送ローラ対116がモータ(図示省略)の駆動力で回転すると、原稿110は搬送路に沿って搬送される。
【0032】
搬送路は、図1のフィーダ部106の左端でガイド板114に沿って搬送され、一旦、前記本体部104での表面側画像読取部122に接近した後、徐々に離れる経路をたどり、前記原稿積載部110の図1の下部に設けられた排出トレイ部126への排出部まで形成されている。
【0033】
表面側画像読取部122は、フィーダ部106を用いて原稿110の画像(表面)の画像を前記CCDラインセンサ26Dによって読み取る際に、第1のユニット26Aが位置決めされる位置である。
【0034】
なお、第1のユニット26Aは、前記表面側画像読取部122に位置決めされる他、待機位置(ホームポジション)、白バランス調整位置(ホワイトリファレンスポジション)に位置決めされる。
【0035】
搬送路における表面側画像読取部122と、排出トレイ部126への排出部の間には、裏面側画像読取部128が設けられている。この裏面側画像読取部128の前記搬送路の図1の上側には、フィーダ部側ラインセンサモジュール28が取り付けられている。
【0036】
フィーダ部側ラインセンサモジュール28は、複数の光電変換素子が設けられたセンサチップが原稿110の搬送方向と交差(直交)する方向に配列されて形成されるCIS(コンタクト・イメージ・センサ)28Aと、CIS28の検出面(画像読取面)に対峙して配置されたSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)28Bとを備え、これらが筐体28Cに収容されている。このCIS28Aでは、原稿110の裏面(裏面側画像読取部128での搬送路上では、上面)の画像を読み取る。
【0037】
(読取制御系のハード構成)
図2には、第1の実施の形態に係る画像読取装置100の制御装置である読取制御コントローラ10の概略図が示されている。
【0038】
読取制御コントローラ10は、画像読取に関する処理を総括管理し、かつ制御するメインコントロール部12を備えている。
【0039】
メインコントロール部12は、CPU14、RAM16、ROM18、I/O(入出力部)20、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス22を有している。
【0040】
I/O20には、読取駆動系制御部24が接続されている。読取駆動系制御部24は、原稿110を搬送しながら読み取る際のフィーダ部106(図1参照)の駆動系、原稿台108に載せられて位置決めされた原稿110の画像を読み取るための光学系移動部等の駆動系を制御する。
【0041】
CPU14は、ROM18に格納された読取制御を行うための各種プログラムを読み出して、後述する処理の実行を行う。尚、当該プログラムをCD−ROM等の搬送可能な記憶媒体に格納して提供することも可能である。
【0042】
前記I/O20には、前記CCDラインセンサ26D、並びに、前記フィーダ部106に取り付けられたCIS28Aが接続されている。
【0043】
ところで、原稿110の両面に画像が形成されており、この両面を読み取る場合には、フィーダ部106における表面画像読取部122に第1のユニット26Aを移動させる。この位置では、原稿110を前記搬送路の一方向へ搬送することによって、一方の面(下面/表面)の画像をCCDラインセンサ26で読み取り、他方の面(上面/裏面)の画像をCIS28で読み取る。
【0044】
また、I/O20には、UI(ユーザ・インターフェイス)30が接続されている。UI30は、ユーザーからの入力指示を受け付け、かつユーザーへ画像処理に関する情報を報知する役目を有している。
【0045】
さらに、I/O20には、ハードディスク32が接続されている。ハードディスク32は、例えば、読取データを記憶する役目を有している。
【0046】
ここで、第1の実施の形態では、CCDラインセンサ26Dを対象として、各読取毎に実行している黒補正及び白補正の簡略化を図るようにした。
【0047】
白補正とは、CCDラインセンサ26Dの出力信号における経時光量変動補正であり、表面側読取位置122で光源27を点灯させ、予め定めた端部の白色基準板を読み取り、この読み取ったときの出力値をシェーディング時にあらかじめ採取してある基準白レベル平均値に合わせるように補正する。
【0048】
黒補正とは、CCDラインセンサ26Dの読取面(画素)に光が一切入力されないときの出力値を各画素間、又は各画素の平均値が目標レベルとなるように調整するものである。
【0049】
ところで、高速画像読取では、原稿110を連続して読み取る場合、読取インタバル(原稿110と原稿110の間の搬送時間)を短くして原稿読取サイクルを短縮する要求がある。
【0050】
しかしながら、読取インターバル時に前記白補正及び黒補正を実行する場合、読取インターバル>白補正時間+黒補正時間でなければならない。
【0051】
さらに、詳細に言えば、白補正時間及び黒補正時間は、以下の時間が必要となっている。
【0052】
(白補正時間)→光源27のオン安定待ち時間+白補正データ採取+補正時間
(黒補正時間)→光源27のオフ安定待ち時間+黒補正データ採取+補正時間
特に、黒補正は、CCDラインセンサ26Dの温度−暗時出力特性(図3参照)の変動を補正する機能であり、アナログ処理回路でラインクランプを毎回実施していれば補正可能であるが、ラインクランプでは、1ライン内の暗時出力むらは補正することができない。
【0053】
図3に示される如く、横軸(x軸)にCCDラインセンサの周囲温度を、縦軸(y軸)CCDラインセンサ26Dの暗時出力をとると、周囲温度の上昇に対して、暗時出力が対数的に比例して大きくなっていくことがわかる。このように、CCDラインセンサ26Dの暗時出力は温度変化に敏感であるため、高画質が要求される読取モードでは、黒補正を完全に省略することはできない。逆に黒補正を原稿毎に実施すると、読取インターバル<白補正時間+黒補正時間処理となるモードでは、生産性が低下してしまう。
【0054】
しかし、温度がある程度低く、かつその変化が少ないときは、暗時出力の変化が少ないということができるため、暗時出力の変化が少ない場合は、原稿毎に黒補正を実施する必要がないと言える。
【0055】
第1の実施の形態では、読取モードや原稿画質設定より、高画質か高速かどちらの読取モードであるか、読取インターバル>白補正時間+黒補正時間処理となるかどうかを判断し、黒補正を実施するのに十分な読取インターバルがあると予測される場合は、黒補正を実施する。
【0056】
逆に、黒補正を実施するのに十分な時間がなく、高画質を要求されず、暗時出力の画質への影響がない予測される場合は、黒補正を省略することにより、原稿110の連続読取時間の短縮化を図った。なお、第2の実施の形態では、CCDラインセンサ26Dの温度変化による暗時出力電圧の変動を実測し、黒補正の実行の可否判定を行うことで、読取インターバルにおける黒補正を必要最小限に抑えている(詳細後述)。
【0057】
図4は、第1の実施の形態に係るメインコントロール部12(図2参照)における、画像読取並びに黒補正実行可否判定に関する制御を機能的に示したブロック図である。なお、各ブロック図は、あくまでも機能別に示したものであり、ハード構成を言及するものではない。
【0058】
UI30は、画像読取指示部150に接続されており、この画像読取指示部150に対して画像読取指示信号を出力する。
【0059】
画像読取指示部150では、画像読取指示信号を解析し、原稿110の読取形態(両面か片面か)を認識する。画像読取指示部150は、センサ選択部152に接続されており、前記認識した読取形態を送出する。センサ選択部152では、受信した読取形態に基づいて、適用するセンサを選択する。
【0060】
第1の実施の形態では、原稿110の片面読み取りの場合、ユーザーによる原稿110の置き場所によって、フィーダ部106を利用するか、原稿台108を利用するかが選択可能である。一方、原稿110の両面読み取りの場合、原稿110はフィーダ部106に置くことで実行可能である。すなわち、画像読取パターンには、以下のパターンがある。
(パターン1) 片面読み取り、原稿台に位置決め。
(パターン2) 片面読み取り、フィーダ部106の原稿積載部112に積載。
(パターン3) 両面読み取り、フィーダ部106の原稿積載部112に積載。
【0061】
パターン1は、適用されるセンサは、CCDラインセンサ26Dである。原稿台108に原稿110を置き、読取指示があると、第1のユニット26Aと第2のユニット26Bとが相互に同期をとりながら、第1のユニット26Aの移動距離の1/2だけ第2のユニット26Bを移動させることで(副走査)、光路長を一定とし、原稿110の表面画像をCCDラインセンサ26Dへ結像させる。
【0062】
パターン2は、適用されるセンサは、CCDラインセンサ26Dである。フィーダ部106の原稿積載部112に原稿110を置き、読取指示があると、第1のユニット26Aが表面側画像読取部122へ位置決めされ、その後、原稿110が搬送路に沿って移動し、表面側画像読取部122を通過することで(副走査)、原稿110の表面画像を前記CCDラインセンサ26Dへ結像させる。
【0063】
パターン3は、適用されるセンサは、CCDラインセンサ26DとCIS28Aである。フィーダ部106の原稿積載部112に原稿110を置き、読取指示があると、第1のユニット26Aが表面側画像読取部122へ位置決めされ、その後、原稿110が搬送路に沿って移動し、表面側画像読取部122を通過することで(副走査)、原稿110の表面画像を前記CCDラインセンサ26Dへ結像させる(表面読取)。なお、この表面は搬送路上で下向きとなった面である。次いで、原稿110が搬送路に沿ってさらに移動し、裏面側画像読取部128を通過することで(副走査)、原稿110の裏面画像を前記CIS28Aへ結像させる(裏面読取)。なお、この裏面は搬送路上で上向きとなった面である。
【0064】
図4に示される如く、センサ選択部152は読取実行制御部154に接続されている。センサ選択部152では、片面読み取りか両面読み取りか、並びに原稿110が置かれた場所は、原稿台108かフィーダ部106の原稿積載部112か、等に基づく、画像読取パターン情報を読取実行制御部154へ送出する。
【0065】
読取実行制御部154は、読取駆動系制御部24に接続されており、この読取駆動系制御部24へ、光源27の点灯、消灯制御、原稿110の搬送制御、第1のユニット26Aや第2のユニット26Bの移動制御等を指示する。また、読取実行制御部154には、原稿検出センサ118が取り付けられ、フィーダ部106における原稿110の搬送状態(搬送位置)を認識する。
【0066】
さらに、読取実行制御部154は、読取時期制御部156に接続されている。
【0067】
読取時期制御部156は、データ取得部158に接続されている。データ取得部158には、前記CCDラインセンサ26D及びCIS28Aが接続されている。
【0068】
読取時期制御部156は、読取時期制御部154からの指示に基づいて、CCDラインセンサ26D及びCIS28Aにおける読取開始信号並び読取終了信号をデータ取得部158へ送出する。
【0069】
これにより、データ取得部158は、読取時期制御部156によって管理された期間、選択されたセンサ(CCDラインセンサ26D及びCIS28Aの少なくとも一方)からの読取データを取得する。
【0070】
データ取得部158は、シェーディング調整部160に接続されており、取得した読取データをこのシェーディング調整部160へ送出する。
【0071】
シェーディング調整部160には、取得した読取データ(生データ)を、例えば出荷前に検査したセンサのシェーディング調整データや電源投入直後、一定時間経過後に取得したデータに基づいて調整する。
【0072】
シェーディング調整部160で調整された読取データは、図示しない各種画像処理がなされた後、読取データ出力部164を介して、例えば、ハードディスク32等へ送出される。
【0073】
ところで、前記データ取得部158は、CCDラインセンサ出力補正制御部170のAGC(オートゲインコントロール)実行部172に接続され、前記CCDラインセンサ26Dから読み取ったデータ(CCDデータ)をこのAGC実行部172へ送出する。
【0074】
AGC実行部172では、前記CCDデータのゲインコントロールを実行する(増幅)。
【0075】
AGC実行部172では、図5(A)に示されるCCDデータ(生データ)にゲインコントロールをかけて、図5(B)に示す各画素の諧調を設定する(AD変換)。この場合、ホワイトバランスの変動分を考慮し、例えば、8ビット(0〜255)の諧調であれば、白色基準読取時の最大値を240程度の値とする。
【0076】
AGC実行部172は、AOC(オートオフセットコントロール)実行部174に接続され、AGC実行部172において、ゲインコントロールされたデータを送出する。
【0077】
AOC実行部174では、前記ゲインコントロールされたデータのオフセットコントロールを実施する。
【0078】
AOC実行部174では、図5(B)に示されるAGC実行部172からの出力データの最低値を0レベルに補正する(図5(C)参照)。
実際には、0レベルへのデータ飽和を防止するため0〜255(255が白という定義)の階調であれば、例えば、10に合わせた後、10減算するという手法をとる。
【0079】
AOC実行部174は、白補正/黒補正実行部176に接続されている。黒補正/白補正実行部176では、AOC実行部174から受けたゲインコントロール、及びオフセットコントロールされたCCDデータを対象として、前述した白補正と黒補正が実行され、CCDラインセンサ出力補正制御部170からデータ取得部158へ出力補正データがフィードバックされる。
【0080】
ここで、CCDラインセンサ出力補正制御部170には、黒補正実行可否判定部178が設けられている。この黒補正実行可否判定部178は、従来、原稿110と原稿110の間の読取インタバル毎に実行していた黒補正の実行可否を判定し、この判定結果を前記白補正/黒補正実行部178へ送出することで、黒補正の実行を必要最小限とする役目を有している。
【0081】
第1の実施の形態では、この黒補正実行可否判定部178には、前記画像読取指示部150が接続されている。画像読取指示部150からは、UI30から入力された画像読取のための以下の情報が入力されるようになっている。
読取形態情報(情報1)、読取色情報(情報2)、原稿画質設定情報(情報3)、2値又は多値画像設定情報(情報4)、データ利用情報(情報5)読取方法(情報6)、複写枚数情報(情報7)、解像度と倍率情報(情報8)
(情報1) 読取形態情報
画像読取の際に、フィーダ部106を利用するか、プラテン(原稿台108)を利用するかの情報である。この情報は、フィーダ部106に原稿が搭載されたかどうかで判別される。
【0082】
(情報2) 読取色情報
光源110を読み取るとき、カラーで読み取るか、白黒で読み取るかの情報である。
【0083】
(情報3) 原稿画質、読取画質設定情報
(情報4)2値又は多値画像の設定情報
(情報5) データ利用情報
読み取ったデータをコピーするか、データ送信、データ保存するかの情報、又は、データ保存が、高圧縮、標準、低圧縮かの情報
(情報6)読取方法設定情報
原稿のミックスサイズ原稿指定や、両面片面の情報である。
【0084】
(情報7) 複写枚数情報
原稿110のそれぞれに対して、何枚出力するかという情報である。
【0085】
(情報8) 解像度及び倍率設定情報
読取解像度、倍率に基づく、露光周期、読取速度の情報である。
【0086】
文字/写真、文字、写真、地図といった原稿のタイプや高精度か高速などの画質調整の情報である。
【0087】
前記黒補正実行可否判定部178では、上記各種情報1〜情報8の一部又は全部を用いて、黒補正の実行可否を判定する。
【0088】
この黒補正実行可否の判定は、図6(A)に示される如く、まず原稿110の連続読取か否かのしきい値で、原稿間の黒補正実行可否判定対象と黒補正実行可否判定非対象とに分類し、その後、各種情報から読取インターバル>白補正時間+黒補正時間と予測される場合は、原稿毎に黒補正を実施し、高速読取で読取インターバル<白補正時間+黒補正時間と予測される場合は、黒補正不要とする(図6(B)の(1)→(2)→(3)の順にしぼり込み制御)。なお、図6(B)において、各領域の割合が、しぼり込む割合を示すものではない。
【0089】
白補正/黒補正実行部176では、この黒補正実行可否判定部178からの実行可否判定情報に基づいて、黒補正を実行することになる。
【0090】
以下に第1の実施形態の作用を図7及び図8のフローチャートに従い説明する。
【0091】
図7は、画像読取制御のメインルーチンである。
【0092】
ステップ200では、画像読取指示があったか否かが判断され、否定判定された場合は、このルーチンは終了する。
【0093】
また、ステップ200で肯定判定されると、ステップ202へ移行してAGC処理を実行し、次いでステップ204へ移行してAOC処理を実行し、ステップ206へ移行してシェーディング調整を行う(図5参照)。
【0094】
なお、202、204、206の処理は、先に述べたように電源投入時等に実施されていれば、画像読取指示後に実施しなくてもよい。すなわち、電源投入直後や、スタンバイ状態で一定時間経過後に、読取ユニットの位置のイニシャライズを行った後、AGC処理(ステップ202)、次いでAOC処理(ステップ204)した後、CCDラインセンサ26Dのシェーディング調整を実行する(ステップ206)。このときのシェーディング調整とは、CCDラインセンサ26Dで白基準板を読み取ったときのデータをメモリに保存し、原稿画像を読取る際には、このデータで正規化してシェーディング補正を実施する。この時、同時に白補正の基準となる白基準板中央の読取データ平均値を採取する。
【0095】
ステップ202、204,206が電源投入時等に実行されている場合は、ステップ200の指示後、まず、白基準板の位置に第1のユニットを移動させる。
【0096】
次のステップ208では、原稿検知位置から第1のユニット26Aを白基準板の下に移動し、ステップ210へ移行して、1枚目の原稿110の画像読取のために黒補正(1ライン)を実行し、ステップ212へ移行する。このとき、光源27は、消灯状態である。この場合の黒補正(1ライン)とは、複数ライン分のランプ消灯データを1ライン分の画像メモリに取り込んで、原稿画像読取時に画素毎に減算する方式である。メモリを用いないで各画素共通のオフセット値を減算してもよいが、メモリを使った各画素減算方式は1ライン内のムラを補正することができる。
【0097】
ステップ212では、光源27の点灯を開始し、ステップ214へ移行して中央白レベル補正を実行して、次いでステップ216へ移行して光源27を消灯する。
【0098】
次のステップ218では、第1のユニット26Aを読取位置(例えば、フィーダ部106を用いて画像読取を行う場合は、表面側読取位置122)へ移動して、次いでステップ220で光源27の点灯を開始し、ステップ222へ移行する。
【0099】
ステップ222では、端部白レベル補正を実行し、ステップ224へ移行して原稿読取を開始する(例えば、フィーダ部106の駆動系の動作を開始して、搬送路に沿って光源110を搬送する)。
【0100】
ステップ224で原稿読取処理が終了すると、ステップ226へ移行して次の原稿があるか否かが判断され、否定判定されると、このルーチンは終了する。
【0101】
また、ステップ226で肯定判定されると、ステップ228へ移行して、黒補正が必要か否かが判断される。
【0102】
このステップ228での判断は、光源110の連続読取状態に基づいてしぼり込む(図6(B)の(1)の状態から(2)の状態へのしぼり込み)
更に、UI30からの各種情報から、読取インターバル>白補正時間+黒補正時間と予測される場合は、黒補正を必要と判断し、高速読取で読取インターバル<白補正時間+黒補正時間となる場合は、黒補正不要と判断する。(例えば、図6(B)の(2)の状態から(3)の状態へのしぼり込み)
この各種情報とは、読取形態情報(情報1)、読取色情報(情報2)、原稿画質設定情報(情報3)、2値又は多値画像設定情報(情報4)、データ利用情報(情報5)読取方法(情報6)、複写枚数情報(情報7)、解像度と倍率情報(情報8)であり、ステップ228では、これらの情報の一部又は全部に基づいて、黒補正の要否を判断する。
この各種情報からの判断の目安としては、以下のように考えられる。
(予測1) フィーダ部106を利用したときは、連続読取であり、黒補正が必要であると予測する。
(予測2) カラー読取は、画質を高めるため黒補正が必要であると予測する。
(予測3) 原稿タイプが写真の場合は、画質を高めるための黒補正が必要であると予測する。
(予測4) 読み取りモードが多値である場合は、画質を高めるための黒補正が必要であると予測する。
(予測5) 読み取ったデータをコピーする方が、データ送信するのみよりも高画質が要求されるため、黒補正を行う必要があると予測する。
(情報6)読取方法の原稿ミックスサイズがある場合は、読取インターバルが長くなるため、黒補正を実施する時間があると予測する
(予測7) 原稿一枚からの複写枚数が大量であれば、読取インターバルが長くなるため、高速で読取る必要がなく、黒補正を実施する時間があると予測する。
(予測8) 解像度と倍率設定から、読取速度と露光周期が決まり、読取インターバルに対しての白補正時間+黒補正時間の大小を予測する。
【0103】
このステップ228で肯定判定されると、黒補正実行が確定し、ステップ234へ移行する。
【0104】
また、ステップ228で否定判定されると、黒補正実行可否判定対象であると判断し、ステップ230へ移行する。
【0105】
ステップ230では、黒レベル変動量を検出する。
【0106】
図7のステップ232では、黒レベル許容範囲内か否かが判断され、肯定判定された場合は、黒補正の実行が不要であると判断され、ステップ222へ戻る。
【0107】
また、ステップ232で否定判定された場合は、黒補正の実行が必要であると判断され、ステップ234へ移行する。
ステップ228で黒補正不要と判断された場合は、ステップ230と232を実施せずに、ステップ222に移行してもよい。
【0108】
ステップ234では、光源27の点灯を終了し、次いでステップ236へ移行して黒補正を実行する。
【0109】
ステップ236での黒補正が終了すると、ステップ238へ移行して、光源27の点灯を開始してステップ222へ戻る。
【0110】
[第2の実施の形態]
以下に第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同一構成部分については、同一の符号を付してその構成の説明を省略する。
【0111】
第2の実施形態の特徴は、黒補正実行可否判定部における判定を予測ではなく、CCDラインセンサ26Dにおける温度変化実測値に基づくことにある。
【0112】
図8に示される如く、黒補正実行可否判定部178は、AOC実行部174に接続されており(図8の矢印180参照)、このAOC実行部174からCCDデータが入力されるようになっている。
【0113】
すなわち、黒補正実行可否判定部178には、光源110を読み取る毎のCCDラインセンサ26Dからの出力データが入力される。
【0114】
図9(A)に示される如く、CCDラインセンサ26Dは、主走査方向に沿って、ダミー画素領域(前)Pd、遮蔽画素領域Ps、実用画素領域Pj、ダミー画素(後)Pdに分類することができる。
【0115】
ダミー画素領域(前)Pd、ダミー画素領域(後)Pdは、文字通りダミー画素であり、実存しない、言い換えれば出力データが一切変動しない領域である。
【0116】
遮蔽画素領域Psは、読取面が遮蔽されているため、光は一切入らないが、CCDラインセンサ26Dの暗時出力により周辺温度の変化による出力データが変化する領域である。
【0117】
実用画素領域Pjは、実際に原稿画像を読み取る領域であり、入力される光量によって出力データが変化する領域である。
CCDラインセンサ26Dが温度変動によって出力変動することは、図3を用いて説明したとおりであるが、
通常は、CCDラインセンサ26Dの周辺温度の変化による出力データが変化を補正するため、
図9(B)のタイミングチャートに示される如く、遮蔽画素データ取込用クランプ信号により、遮蔽画素領域でクランプ(同期接地)することにより、実用画素領域から暗時出力の影響を除去できるようになっている。
しかし、CCDラインセンサ26Dのチップ内で温度差がある場合、例えば両端部の温度差が大きい場合は、図9(B)のように温度が変動すると両端で暗時出力に大きな差が発生し、遮蔽画素領域のクランプでは補正できない、1ライン内のムラが発生してしまうため、黒補正を実施する必要がある。
まず、CCDラインセンサ26Dにおける温度変動前と温度変動後のダミー画素Pdを基準とした遮蔽画素領域Psの出力データ(絶対データ)を取得する。
【0118】
温度変動前とは、例えば、CCDラインセンサ26Dが常温(約25℃)で安定しているときであり、温度変動後とは、連続して画像読取が開始されたときである。
【0119】
そこで、前記ダミー画像領域Pdの出力(不変)を基準とした、遮蔽画素領域Psの出力変動分が相対オフセット分であることを利用して、CCDラインセンサ26Dの温度変動分を得る。
【0120】
遮蔽画素領域は、ランプ点灯状態であっても、黒レベルを出力するため、ランプを点灯した状態で、黒レベル変動量検出を実施することができるため、画像読み取り中でもリアルタイムで検出することができ、ランプを消灯する必要がなく、生産性に影響を及ぼさない。
【0121】
黒補正実行可否判定部178では、前記のようにして得られた温度変動が予め定めたしきい値と比較され、黒補正の実行の可否を判定する。
黒補正は、1ラインの平均値を元に実施してもよいが、面内ムラを補正するためには、1ラインのデータを取り込んで画素毎に補正することが望ましい。
【0122】
なお、第2の実施の形態では、CCDラインセンサ26Dの温度変動の実測値に基づいて黒補正の実行可否を判定しているが、第1の実施の形態で示したように、黒補正実行可否判定部178が画像読取指示部150から各種情報を取得して、この各種情報に基づく予測制御を併用してもよい(図8の鎖線矢印182参照)。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】第1の実施の形態に係る画像読取装置の概略図である。
【図2】第1の実施の形態に係る画像読取装置の制御装置である読取制御コントローラの概略図である。
【図3】CCDラインセンサにおける周囲温度−出力変動特性図である。
【図4】第1の実施の形態に係るメインコントロール部における、画像読取並びに黒補正に関する制御を機能的に示したブロック図である。
【図5】AGC及びAOCにおけるCCD出力データの変換状態を示す特性図である。
【図6】黒補正実行可否のしぼり込み手順を示す概念図である。
【図7】第1の実施の形態に係る画像読取制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態に係るメインコントロール部における、画像読取並びに黒補正に関する制御を機能的に示したブロック図である。
【図9】(A)はCCDラインセンサの読取面の平面図、(B)は読取画素(ダミー画素、遮蔽画素、実用画素)の出力データ特性を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0124】
10 読取制御コントローラ
12 メインコントロール部
14 CPU
16 RAM
18 ROM
20 I/O(入出力部)
22 バス
24 読取駆動系制御部
26 画像読取装置本体側ラインセンサモジュール
26A 第1のユニット
26B 第2のユニット
26C 光学系
26D CCDラインセンサ
27 光源
28 フィーダ部側ラインセンサモジュール
28A CIS(コンタクト・イメージ・センサ)
28B SLA(セルフォック・レンズ・アレイ)
28C 筐体
28D 透明板
28E ガイド板(プラテン)
30 UI(ユーザ・インターフェイス)
32 ハードディスク
100 画像読取装置
102 筐体
104 本体部
106 フィーダ部
108 原稿台
110 原稿
112 原稿積載部
114 ガイド板
116 搬送ローラ対(搬送手段)
118 原稿検出センサ
120 送出ローラ(搬送手段)
122 表面側画像読取部
126 排出トレイ部
128 裏面側画像読取部
150 画像読取指示部
152 センサ選択部
154 読取実行制御部
156 読取時期制御部
158 データ取得部
160 シェーディング調整部
164 読取データ出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿に対して一方向に配列され、当該原稿画像からの光量に応じた電気信号をそれぞれ出力する複数の読取画素を備えた光電センサと、
読取指示に基づき、原稿画像を前記光電センサにより読み取って、画像データを得る読取制御手段と、
前記光電センサの各読取画素への入力光量が0のときの電気信号出力である暗時出力を、前記配列方向の各読取画素を、予め定めた範囲内に補正する黒補正を実行する黒補正手段と、
複数の原稿を読み取る場合にはその原稿間の読取間隔時間が予め定めた時間以内のとき、前記黒補正手段による黒補正を実行するか否かを判定する黒補正実行判定手段と、
を有する画像読取装置。
【請求項2】
前記読取指示後の少なくとも1枚目の原稿は、原稿の読取数量に関係なく前記黒補正手段による黒補正を実行する請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記黒補正実行判定手段が、前記読取指示に関連して設定される読取時の白黒又はカラー設定情報、2値又は多値の設定情報、原稿画質設定情報、複写枚数設定情報、又はデータ保存設定情報、解像度及び倍率設定情報、定型かMix原稿指定の少なくとも1つの設定情報に基づいて判定し、この判定の結果、カラー設定、多値設定、写真原稿設定、複写枚数設定が、予め定めた枚数以上、低圧縮保存設定、予め定めた解像度以上、Mix原稿読取の少なくとも1つに該当するときに前記黒補正手段による黒補正を原稿毎に実行する請求項1又は請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記黒補正実行判定手段が、
前記光電センサの読取画素を、実際に原稿画像を読み取るための実用画素、外部光量に影響されないように読取面が遮蔽された遮蔽画素、常に一定の電気信号を出力するダミー画素に分類し、
前記光電センサ及びその周辺温度に起因する前記実用画素の絶対差を、前記遮蔽画素の出力と前記ダミー画素の出力の差分より変化量を求め、
この変化量が、あらかじめ定めた値を超えた場合は実用画素の黒補正を実行するか否かを判定する請求項1又は請求項2記載の画像読取装置。
【請求項5】
原稿に対して一方向に配列され、当該原稿画像からの光量に応じた電気信号をそれぞれ出力する複数の読取画素を備えた光電センサを用いて、読取指示に基づき、原稿画像を前記光電センサにより読み取って、画像データを得るときの光電センサから出力される電気信号の補正の1つとして、
前記光電センサの各読取画素への入力光量が0のときの電気信号出力である暗時出力を、前記配列方向の各読取画素を、予め定めた範囲内に補正する黒補正を実行する際に、
複数の原稿を読み取る場合にはその原稿間の読取間隔時間が予め定めた時間以内のとき、前記黒補正手段による黒補正を実行するか否かを判定する、
ことをコンピュータに実行させる黒補正実行可否判定プログラム
【請求項6】
前記読取指示後の少なくとも1枚目の原稿は、原稿の読取数量に関係なく前記黒補正を実行する請求項5記載の黒補正実行可否判定プログラム。
【請求項7】
前記黒補正を実行するか否かを、前記読取指示に関連して設定される読取時の白黒又はカラー設定情報、2値又は多値の設定情報、原稿画質設定情報、複写枚数設定情報、又はデータ保存設定情報、解像度及び倍率設定情報、定型かMix原稿指定の少なくとも1つの設定情報に基づいて判定し、この判定の結果、カラー設定、多値設定、写真原稿設定、複写枚数設定が、予め定めた枚数以上、低圧縮保存設定、予め定めた解像度以上、Mix原稿読取の少なくとも1つに該当するときに前記黒補正手段による黒補正を原稿毎に実行する請求項5又は請求項6記載の黒補正実行可否判定プログラム。
【請求項8】
前記黒補正を実行するか否かの判定が、
前記光電センサの読取画素を、実際に原稿画像を読み取るための実用画素、外部光量に影響されないように読取面が遮蔽された遮蔽画素、常に一定の電気信号を出力するダミー画素に分類し、
前記光電センサ及びその周辺温度に起因する前記実用画素の絶対差を、前記遮蔽画素の出力と前記ダミー画素の出力の差分より変化量を求め、
この変化量が、あらかじめ定めた値を超えた場合は実用画素の黒補正を実行するか否かを判定する請求項5又は請求項6記載の黒補正実行可否判定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−171511(P2010−171511A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9940(P2009−9940)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】