説明

画像読取装置および画像形成装置

【課題】適切な焦点距離を確保して読取精度を向上させることができる画像読取装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置130は、用紙Pが搬送される用紙搬送路と、用紙Pの主面Pfを読み取る読取部21と、用紙Pの裏面Pr側に配置されたガイド部31と、ガイド部31に形成された貫通孔32を介して用紙Pを吸引する吸引部41と、読取部21に設けられ、読取部21から出射される光と用紙Pによって反射される光とが通過する開口部とを備える。ガイド部31は、開口部と対向する位置に読取領域が設けられ、貫通孔32は、用紙Pの搬送方向Xにおいて、読取領域より上流側の領域および下流側の領域に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙の主面を読み取る読取部を備える画像読取装置および画像読取装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙などの平面で構成された原稿を画像データとして読み取るスキャナ装置は、多種多様なものが考案されている。一般には、原稿を読み取る読取部が画像読取装置に固定されており、搬送された原稿を読み取るものが主に開発されている。このような画像読取装置では、コンタクトガラスを介して、読取部が原稿の画像を読み取っているが、搬送条件によっては、原稿とコンタクトガラスとの間隔が変動するため、画像を鮮明に読み取れないという課題がある。
【0003】
そこで、上述した課題を解決するために、原稿を搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトに設けられた貫通孔を介して原稿を吸引する吸引部とを備える画像読取装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−246252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の画像読取装置では、吸引された状態で搬送された原稿がコンタクトガラスに密着してしまうため、コンタクトガラスに汚れが付着する虞があった。また、読取部は、原稿のコンタクトガラスに接する主面を読み取るが、原稿の裏面が露出しているため、周囲の明るさによって、画像の読取精度が低下する虞があった。
【0006】
また、特許文献1に記載の画像読取装置では、原稿の吸引されている面を読み取るために、搬送ベルトとイメージセンサとが同一のケースに収納されているので、読取部のサイズ、配置などを自由に設計できないという課題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、用紙を吸引してガイド部に密着させることにより、適切な焦点距離を確保して読取精度を向上させ、用紙の下地の影響を考慮せずに用紙の主面を読み取ることができる画像読取装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像読取装置は、用紙が搬送される用紙搬送路と、前記用紙の主面を読み取る読取部とを備える画像読取装置であって、前記用紙の裏面側に配置されたガイド部と、前記ガイド部に形成された貫通孔を介して前記用紙を吸引する吸引部と、前記読取部に設けられ、前記読取部から出射される光と前記用紙によって反射される光とが通過する開口部とを備え、前記ガイド部は、前記開口部と対向する位置に読取領域が設けられ、前記貫通孔は、前記用紙の搬送方向において、前記読取領域より上流側の領域および下流側の領域に設けられていることを特徴とする。
【0009】
この構成によると、用紙を吸引してガイド部に密着させることによって、用紙が浮くことを防止するので、適切な焦点距離を確保することができ、読取精度を向上させることができる。また、用紙の裏面が読取領域に密着しているので、用紙の下地の影響を考慮せずに主面を読み取ることができる。
【0010】
本発明に係る画像読取装置は、前記読取部は、前記搬送方向と直交する読取方向へ前記用紙の主面に沿って移動することを特徴とする。
【0011】
この構成によると、読取方向へ移動することによって、簡易な構成の読取部で用紙の主面全体を読み取ることができる。
【0012】
本発明に係る画像読取装置では、前記貫通孔は、前記読取方向において、前記読取領域の外側に設けられていることを特徴とする。
【0013】
この構成によると、読取方向における読取領域の外側にさらに貫通孔を設けることによって、用紙の端部を吸引させることで用紙を確実にガイド部に密着させることができる。
【0014】
本発明に係る画像読取装置では、前記読取領域は、前記用紙の裏面に対向する読取平面に設けられていることを特徴とする。
【0015】
この構成によると、用紙の下地が平面であるので、焦点距離を一定に維持することができる。
【0016】
本発明に係る画像読取装置では、前記貫通孔は、前記読取平面に設けられていることを特徴とする。
【0017】
この構成によると、用紙は読取平面に密着し、読取平面に沿って搬送されるので、読取領域で用紙が浮き上がることを防止できる。
【0018】
本発明に係る画像読取装置では、前記ガイド部は、前記搬送方向における上流側の端部に、前記用紙搬送路から離れる方向に傾斜した傾斜部が設けられていることを特徴とする。
【0019】
この構成によると、ガイド部の端部に傾斜部が設けられているので、ガイド部の端部と読取部との間隔が広くなり、用紙を取り込む際に生じる紙詰まりなどを回避することができる。
【0020】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る画像読取装置を備える画像形成装置であって、前記用紙に画像を形成する画像形成部を備え、前記読取部は、前記画像形成部で形成された画像を読み取ることを特徴とする。
【0021】
この構成によると、画像読取装置を備えることによって、画像形成部で形成された画像を精度よく読み取ることができる。
【0022】
本発明に係る画像形成装置では、前記画像形成部は、用紙に複数の色検知パターンを形成し、前記読取部は、前記色検知パターンの用紙における位置を読み取ることを特徴とする。
【0023】
この構成によると、色検知パターンの用紙における位置を読み取ることによって、色検知パターン同士の間隔を把握することで、画像の重ね合わせ精度を確認することができる。
【0024】
本発明に係る画像形成装置では、前記画像形成部は、用紙に複数の色検知パターンを形成し、前記読取部は、前記色検知パターンの階調を読み取ることを特徴とする。
【0025】
この構成によると、色検知パターンの階調を読み取ることによって、画像形成装置で画像形成した際、用紙に実際に形成された画像の階調を把握することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る画像読取装置によると、用紙を吸引してガイド部に密着させることによって、用紙が浮くことを防止するので、適切な焦点距離を確保することができ、読取精度を向上させることができる。また、用紙の裏面が読取領域に密着しているので、用紙の下地の影響を考慮せずに主面を読み取ることができる。
【0027】
また本発明に係る画像形成装置によると、上記構成の画像読取装置を備えることによって、画像形成部で形成された画像を精度よく読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像読取装置の要部斜視図である。
【図2】図1のガイド部および吸引部を抜き出して示す平面図である。
【図3】図2の矢符A−Aでの断面図である。
【図4】図1のガイド部および吸引部を抜き出して示す図であって、ガイド部の変形例を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像形成ユニットの概略構成を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す側面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像読取装置で読み取る画像の一例(その1)を示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る画像読取装置で読み取る画像の一例(その2)を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態に係る画像読取装置について、図面を参照して説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の要部斜視図である。
【0031】
本発明の実施の形態に係る画像読取装置130は、用紙Pが搬送される用紙搬送路S(後述する図5参照)と、用紙Pの主面Pfを読み取る読取部21と、用紙Pの裏面Pr側に配置されたガイド部31と、ガイド部31に形成された貫通孔32を介して用紙Pを吸引する吸引部41と、読取部21に設けられ、読取部21から出射される光と用紙Pによって反射される光とが通過する開口部24(後述する図2参照)とを備える。ガイド部31は、開口部24と対向する位置に読取領域33(後述する図2参照)が設けられ、貫通孔32は、用紙Pの搬送方向Xにおいて、読取領域33より上流側の領域および下流側の領域に設けられている。なお、以下では、用紙Pの主面Pfと直交する方向を焦点方向Zと呼ぶ。また、焦点方向Zにおいて、用紙Pを基準とした主面Pf側を上方と呼び、用紙Pを基準とした裏面Pr側を下方と呼ぶことがある。また、用紙搬送路Sにおける上流側を上流側と略し、用紙搬送路Sにおける下流側を下流側と略すことがある。
【0032】
この構成によると、用紙Pを吸引してガイド部31に密着させることによって、用紙Pが浮くことを防止するので、適切な焦点距離を確保することができ、読取精度を向上させることができる。また、用紙Pの裏面Prが読取領域33に密着しているので、用紙Pの下地の影響を考慮せずに主面Pfを読み取ることができる。
【0033】
画像読取装置130は、用紙搬送路Sに沿って配置され、用紙Pを搬送する上流側ローラ51を備える。読取部21は、搬送方向Xと直交する読取方向Yへ用紙Pの主面Pfに沿って移動する。この構成によると、読取方向Yへ移動することによって、簡易な構成の読取部21で用紙Pの主面Pf全体を読み取ることができる。
【0034】
画像読取装置130は、搬送方向Xにおける上流側および下流側が開口された支持筐体131を備える。つまり、用紙搬送路Sに沿って搬送される用紙Pは、支持筐体131の内部を通過する。支持筐体131には、読取部21、ガイド部31、吸引部41、および上流側ローラ51が取り付けられている。
【0035】
読取部21は、搬送方向Xに沿って配置された連結軸23を介して支持筐体131に取り付けられている。つまり、読取部21は、連結軸23に沿って移動することで、読取方向Yへ移動する。また、読取部21は、ガイド部31の上方に配置され、読取センサ22(後述する図5参照)を備える。
【0036】
読取センサ22は、内部に図示しない発光素子および受光素子を備える。また、読取センサ22は、光が通過する構造とされた円状の開口部24が設けられている。なお、本実施の形態では、開口部24に内部への埃の侵入を防止する防塵ガラスがはめ込まれている。また、受光素子は、開口部24の上方に配置されており、発光素子は、受光素子の周囲を囲むように複数配置されている。つまり、開口部24の周縁から均等に光が出射される構成とされている。発光素子から出射された光は、開口部24を通過し用紙Pによって反射され、再度、開口部24を通過し受光素子によって受光される。読取部21は、受光素子の受光量に基づいて、用紙Pの画像等を読み取る。なお、発光素子から出射された光は、読取領域33のみに照射され、貫通孔32には照射されない。
【0037】
ガイド部31および吸引部41については、後述する図2および図3を参照して説明する。
【0038】
上流側ローラ51は、ガイド部31の上流側に配置されている。また、上流側ローラ51は、支持筐体131に支持されたローラであり、連結された駆動手段(図示しない。例えば、ステッピングモーター、DCモーター等)によって回転駆動し、用紙Pを挟んで回転して用紙Pをガイド部31へ搬送する。
【0039】
ガイド部31の下流側には、上流側ローラ51と同様の構成とされた下流側ローラ52(後述する図5参照)が配置されている。つまり、上流側ローラ51から搬送された用紙Pは、ガイド部31に沿って搬送され、下流側ローラ52では、搬送されてくる用紙Pを一旦停止させて、用紙Pの先端をそろえる。その後、上流側ローラ51および下流側ローラ52を回転させて用紙Pが搬送される。
【0040】
図2は、図1のガイド部および吸引部を抜き出して示す平面図であって、図3は、図2の矢符A−Aでの断面図である。
【0041】
ガイド部31は、平面視において、長辺が読取方向Yに沿って配置された矩形状とされている。本実施の形態では、2つの吸引部41が、読取方向Yに沿って並べて配置されており、吸引部41は、ガイド部31の下方に取り付けられている。
【0042】
ガイド部31の上方の表面には、読取平面34、傾斜部35a、および排紙傾斜部35bが設けられている。傾斜部35aは、搬送方向Xにおける上流側の端部に設けられ、排紙傾斜部35bは、搬送方向Xにおける下流側の端部に設けられている。また、傾斜部35aは、ガイド部31の搬送方向Xにおける上流側の端部に向かうに従って、用紙搬送路Sから離れる方向に傾斜しており、排紙傾斜部35bは、ガイド部31の搬送方向Xにおける下流側の端部に向かうに従って、用紙搬送路Sから離れる方向に傾斜している。本実施の形態では、傾斜部35aおよび排紙傾斜部35bは、直線的に傾斜した平面とされているが、これに限定されず、端部に向かうに従って、傾斜が大きくなるように形成された曲面としてもよい。ガイド部31の上方の表面のうち、傾斜部35aおよび排紙傾斜部35b以外の部分は、用紙Pの裏面Prに対して平行な読取平面34とされている。
【0043】
上述したように、ガイド部31は、搬送方向Xにおける上流側の端部に、用紙搬送路Sから離れる方向に傾斜した傾斜部35aが設けられている。この構成によると、ガイド部31の端部に傾斜部35aが設けられているので、ガイド部31の端部と読取部21との間隔が広くなり、用紙Pを取り込む際に生じる紙詰まりなどを回避することができる。
【0044】
また、ガイド部31の上方の表面、特に、読取平面34は、白色とされていることが望ましい。つまり、読取領域33全体を同じ色で統一することによって、読取領域33全体で一様な読取精度を確保することができる。
【0045】
読取領域33は、用紙Pの裏面Prに対向する読取平面34に設けられていることが望ましい。この構成によると、用紙Pの下地が平面であるので、焦点距離を一定に維持することができる。なお、読取平面34のうち、どの程度の範囲を読取領域33とするかは、適宜選択すればよい。また、読取領域33は複数に分割されていても構わない。
【0046】
貫通孔32は、読取平面34に設けられていることが望ましい。この構成によると、用紙Pは読取平面34に密着し、読取平面34に沿って搬送されるので、読取領域33で用紙Pが浮き上がることを防止できる。なお、貫通孔32は、読取領域33内には設けられていない。
【0047】
また、図2には、平面視において、ガイド部31に投影した開口部24を示す。読取部21を移動させることによって、開口部24が読取方向Yへ移動する。読取部21は、用紙Pの主面Pfのうち、開口部24の下方に位置する部分を読み取り、読取部21の移動と用紙Pの搬送とを繰り返して用紙Pの主面Pf全体を読み取る。
【0048】
ガイド部31の内部は空洞とされており、貫通孔32は、ガイド部31の上方の表面から内部まで貫通する形状とされている。
【0049】
本実施の形態では、複数の貫通孔32が、読取方向Yに沿って並べて配置されており、搬送方向Xにおいて、読取領域33より上流側の領域および下流側の領域にそれぞれ2列設けられている。つまり、貫通孔32は、読取領域33の上流側の端から傾斜部35aまでの領域と、読取領域33の下流側の端から排紙傾斜部35bまでの領域とに設けられている。なお、貫通孔32の数は、適宜調整することができる。
【0050】
ガイド部31の下方の表面には、2つの裏面貫通孔36が設けられており、裏面貫通孔36は、ガイド部31の下方の表面から内部まで貫通する形状とされている。
【0051】
本実施の形態では、ガイド部31の内部は空洞とされていたが、これに限定されず、貫通孔32と裏面貫通孔36とが連結されていればよい。つまり、貫通孔32から裏面貫通孔36まで空気が流れる経路が形成されていればよい。
【0052】
吸引部41は、例えば、シロッコファンであって、内部にファン(羽根)42を備える。吸引部41の上方には吸引孔43が設けられ、吸引部41は、裏面貫通孔36と吸引孔43とが一致するようにガイド部31に取り付けられている。また、吸引部41の側面には、排気孔44が設けられている。吸引部41は、ファン42を回転させることによって、吸引孔43から吸い込んだ空気を排気孔44から排出する。その結果、吸引孔43から空気が吸い込まれるので、貫通孔32を介して用紙Pが吸引される。
【0053】
次に、ガイド部31の変形例について説明する。本発明の実施の形態に係る画像読取装置130では、図2に示すガイド部31に代えて、図4に示すガイド部31の変形例を用いてもよい。
【0054】
図4は、図1のガイド部および吸引部を抜き出して示す図であって、ガイド部の変形例を示す平面図である。なお、図4における矢符A−Aでの断面図は、図3と同様であるので省略する。
【0055】
変形例では、読取方向Yにおいて、読取領域33の外側に貫通孔が設けられている点で、図2に示すガイド部31と異なる。なお、以下では、図2に示すガイド部31と図4に示すガイド部31の変形例との相違点を明確にするため、読取方向Yにおいて、読取領域33の外側に設けられた貫通孔を読取貫通孔37と呼ぶ。
【0056】
ガイド部31は、読取方向Yにおいて、読取領域33の外側に読取貫通孔37を備える。つまり、読取方向Yにおける読取領域33の外側にさらに貫通孔32が設けられている。この構成によると、読取貫通孔37を備えることによって、用紙Pの端部を吸引させることで用紙Pを確実にガイド部31に密着させることができる。
【0057】
読取貫通孔37は、貫通孔32と同様にして読取平面34に設けられ、ガイド部31の上方の表面から内部まで貫通する形状とされている。
【0058】
本実施の形態では、複数の読取貫通孔37が、読取方向Yにおけるガイド部31の両端部に設けられている。つまり、平面視において、読取領域33は、貫通孔32および読取貫通孔37に周囲を囲まれている。なお、読取貫通孔37の数は、適宜調整することができる。また、さらに多くの読取貫通孔37を設ける際には、読取領域33の面積を適宜調整すればよい。
【0059】
図5は、本発明の実施の形態に係る画像形成ユニットの概略構成を示す説明図である。
【0060】
画像形成ユニットは、用紙搬送路Sにおける上流から順に配置された画像形成装置100、画像読取装置130、および後処理装置150で構成されている。なお、画像形成装置100の詳細については、後述する図6を参照して説明する。
【0061】
本発明の実施の形態に係る画像読取装置130では、用紙搬送路Sは、上述した読取部21を経由する経路と経由しない経路とに分岐しており、再度合流する構成とされている。つまり、用紙搬送路Sで搬送された用紙Pを読み取るか否かは、適宜選択することができる。上述した支持筐体131は、画像読取装置130の筐体に取り付けられている。また、後処理装置150は、用紙Pが排出される排出トレイ151を備える。
【0062】
図6は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す側面図である。
【0063】
画像形成装置100は、装置本体110および自動原稿処理装置120を備え、外部から伝達された画像データに応じて、所定の用紙(原稿)に対して多色及び単色の画像を形成する。
【0064】
装置本体110は、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、および定着ユニット7を備える構成とされている。
【0065】
上述した構成に加えて、画像形成装置100は、原稿の画像を読み取る原稿読取装置90と、原稿が載置される原稿載置台92とを備えている。原稿読取装置90は、装置本体110の上部に設けられている。原稿載置台92は、透明ガラスで形成され、原稿読取装置90の上側に設けられている。
【0066】
自動原稿処理装置120は、原稿載置台92の上側に取り付けられており、原稿載置台92の上に自動で原稿を搬送する。また、自動原稿処理装置120は、装置本体110と自動原稿処理装置120とを連結する軸回りに回動自在に構成され、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
【0067】
本画像形成装置において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローに設定され、これらによって4つの画像ステーションが構成されている。
【0068】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図6に示すようなチャージャ型の他、接触型の帯電器(例えば、ローラ型やブラシ型)を用いることができる。
【0069】
露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3の表面を、入力された画像データに応じて露光し、感光体ドラム3の表面に画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。詳しくは、露光ユニット1には、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3に導くためのレンズやミラー等の光学要素が配置されている。
【0070】
露光ユニット1としては、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)、ELやLED等の発光素子をアレイ状に並べた書込み装置(例えば、書込みヘッド)を用いることができる。
【0071】
現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーにより顕像化する。
【0072】
クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3の表面に残留したトナーを、除去・回収する。
【0073】
中間転写ベルトユニット6は、感光体ドラム3の上側に配置され、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、および中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。なお、中間転写ローラ64は、YMCK用の各色の画像ステーションに対応して4本設けられている。
【0074】
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、および中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して、中間転写ベルト61の表面を所定方向(図中矢符D方向)に移動させるように構成されている。
【0075】
中間転写ベルト61は、それぞれの感光体ドラム3に接触するように設けられ、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト61の上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。中間転写ベルト61は、例えば、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0076】
中間転写ローラ64は、感光体ドラム3のトナー像を、中間転写ベルト61に転写するための転写バイアスを与える。中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を間にして感光体ドラム3とは反対側に回転可能に支持されている。中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。
【0077】
中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施の形態では、転写電極としてローラ形状を使用しているが、ブラシ形状などを用いることができる。
【0078】
上述したように、各感光体ドラム3上で各色のトナーによって顕像化されたトナー像は、中間転写ベルト61に積層される。積層された各色のトナー像は、中間転写ベルト61の回転によって移動し、用紙と中間転写ベルト61との接触位置に配置された2次転写ユニット10によって用紙上に転写される。
【0079】
中間転写ベルト61と2次転写ユニット10の転写ローラ10aとは、相互に圧接されてニップ域を形成している。転写ローラ10aには、トナーを用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、ニップ域を定常的に形成するために、転写ローラ10または中間転写ベルト駆動ローラ62のいずれか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等々)としている。
【0080】
ところで、中間転写ベルト61上のトナー像が用紙に完全に転写されず、中間転写ベルト61上にトナーが残存することがある。残存トナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となる。
【0081】
このため、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって、残存トナーが除去・回収されるように構成されている。例えば、中間転写ベルトクリーニングユニット65には、クリーニング部材として中間転写ベルト61に接触するクリーニングブレードが備えられており、中間転写ベルト61に対向する位置(つまり、中間転写ベルト61の従動ローラ63とは反対側)で支持されている。
【0082】
画像形成装置100は、さらに、給紙カセット81、手差し給紙カセット82、中継ユニット140を備えている。給紙カセット81は、画像形成に使用する用紙Pを蓄積しておくためのトレイであり、露光ユニット1の下側に設けられている。また、手差し給紙カセット82にも画像形成に使用する用紙を置くことができる。中継ユニット140は、画像形成された用紙Pを画像読取装置130に搬送するための装置であり、装置本体110に設けられている。
【0083】
装置本体110には、給紙カセット81および手差し給紙カセット82の用紙を転写ローラ10aや定着ユニット7を経由させて中継ユニット140に送るための主搬送路S1が設けられている。給紙カセット81および手差し給紙カセット82から中継ユニット140までの主搬送路S1に沿って、ピックアップローラ11a〜11b、レジストローラ13、2次転写ユニット10、および定着ユニット7が配置されている。
【0084】
搬送ローラ12a〜12dは、用紙の搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。なお、用紙搬送路Sは、主搬送路S1の他、スイッチバック搬送路S2および反転搬送路S3によって構成されている。搬送ローラ12bは、用紙排出口に配置されている。
【0085】
ピックアップローラ11aは、給紙カセット81および手差し給紙カセット82の端部近傍に備えられ、給紙カセット81から用紙を1枚ずつ主搬送路S1に供給する呼び込みローラである。
【0086】
レジストローラ13は、給紙カセット81および手差し給紙カセット82から搬送されている用紙を一旦保持し、感光体ドラム3上のトナー像の先端とシートの先端とを合わせるタイミングで用紙を転写ローラ10aに搬送する。
【0087】
定着ユニット7は、用紙を挟んで回転するヒートローラ71および加圧ローラ72を備え、さらに、ヒートローラ71を外部から加熱するための外部加熱ベルト73が設けられている。
【0088】
ヒートローラ71は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御手段によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ72とともにトナーをシートに熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。
【0089】
また、装置本体110には、現像器2にトナーを供給するトナー供給部66が設けられている。なお、トナー供給部66は、YMCK用の各色の画像ステーションに対応して4つ設けられている。
【0090】
上述した画像形成装置100では、片面画像形成の際には、給紙カセット81および手差し給紙カセット82から搬送される用紙が、搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送される。次に、レジストローラ13によって用紙が中間転写ベルト61上のトナー像と同期を取って2次転写ユニット10に搬送され、転写ローラ10aによって用紙にトナー像が転写される。その後、用紙が定着ユニット7を通過するとき、用紙に転写された未定着トナーが熱で溶融・固着され、用紙上に定着される。トナー像が定着された用紙は、搬送ローラ12bを経て中継ユニット140へ搬送される。
【0091】
一方、両面画像形成の際には、上述した片面画像形成が終了し、定着ユニット7を通過した用紙Pは、スイッチバック搬送路S2で搬送ローラ12bに挟持された状態で、搬送ローラ12bが逆回転することによって、用紙搬送路Sにおける上流側端部が前になるように搬送ローラ12cおよび搬送ローラ12dで反転搬送路S3に搬送される。そして、反転搬送路S3に搬送された用紙Pは、2次転写ユニット10より上流側に導かれた後、レジストローラ13を経て、裏面に画像形成され、中継ユニット140へ搬送される。
【0092】
上述したように、画像形成装置100は、用紙Pに画像を形成する画像形成部(特に、2次転写ユニット10)を備える。読取部21は、画像形成部で形成された画像を読み取る。この構成によると、画像読取装置130を備えることによって、画像形成部で形成された画像を精度よく読み取ることができる。なお、本実施の形態では、画像形成部は、中間転写ベルトユニット6および2次転写ユニット10に相当する。
【0093】
次に、本発明の実施の形態に係る画像読取装置130で読み取る画像について説明する。
【0094】
図7は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置で読み取る画像の一例(その1)を示す平面図である。
【0095】
用紙Pの主面Pfには、ブラック検知パターンGk、シアン検知パターンGc、マゼンタ検知パターンGm、およびイエロー検知パターンGyを1組とした色検知パターンGが行列状に配置されている。なお、本実施の形態では、色検知パターンGは、それぞれ同一の方向に延びる直線状とされている。また、ブラック検知パターンGk、シアン検知パターンGc、マゼンタ検知パターンGm、およびイエロー検知パターンGyは、それぞれ予め設定された間隔で配置されている。
【0096】
色検知パターンGは、それぞれの色に対応する画像ステーションによって画像形成されている。ここで、各色に対応する4つの感光体ドラム3を同期して回転させるが、回転速度のズレなどが生じると、中間転写ベルト61の上のトナー像に位置ズレが生じる。トナー像の位置ズレが生じたとき、色検知パターンGは、予め設定された間隔と異なる間隔で用紙Pに画像形成される。
【0097】
読取部21は、色検知パターンGの用紙Pにおける位置を読み取る。この構成によると、色検知パターンGの用紙Pにおける位置を読み取ることによって、色検知パターンG同士の間隔を把握することで、画像の重ね合わせ精度を確認することができる。
【0098】
図8は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置で読み取る画像の一例(その2)を示す平面図である。
【0099】
用紙Pの主面Pfには、ブラック検知パターンGk、シアン検知パターンGc、マゼンタ検知パターンGm、およびイエロー検知パターンGyで構成された色検知パターンGが行列状に配置されている。なお、本実施の形態では、色検知パターンGは、それぞれ1辺が2mmの正方形状とされている。また、ブラック検知パターンGk、シアン検知パターンGc、マゼンタ検知パターンGm、およびイエロー検知パターンGyは、階調が段階的に変化するようにそれぞれ所定の間隔で形成されている。
【0100】
読取部21は、色検知パターンGの階調を読み取ることによって、L***色空間での座標値を読取結果として出力する。この構成によると、画像形成装置100で画像形成した際、用紙Pに実際に形成された画像の階調を把握することができる。
【0101】
また、画像形成装置100は、読取部21の読取結果に基づいて、画像形成時の出力の校正(画質調整)を行ってもよい。なお、画質調整とは、印刷画質濃度の変化や色調の変化といった出力画像の画質変化等を調整することをいう。具体的に画質調整とは、画像形成装置100の指令値に対して、用紙Pに実際に形成された画像(出力)が異なっている場合に、所望の画像が得られるように指令値に補正することをいう。例えば、画像形成装置100が所定の階調の画像を形成しようとした際に、所定の階調よりも濃い画像が形成された場合には、出力を小さくすることによって、所定の階調の画像が形成されるように補正する。
【0102】
なお、本発明の実施の形態に係る画像読取装置130で読み取る画像は、色検知パターンGだけに限定されず、文章や写真などを読み取ってもよい。
【符号の説明】
【0103】
21 読取部
22 読取センサ
24 開口部
31 ガイド部
32 貫通孔
33 読取領域
34 読取平面
35a 傾斜部
35b 排紙傾斜部
37 読取貫通孔
41 吸引部
51 上流側ローラ
52 下流側ローラ
100 画像形成装置
130 画像読取装置
G 色検知パターン
S 用紙搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が搬送される用紙搬送路と、前記用紙の主面を読み取る読取部とを備える画像読取装置であって、
前記用紙の裏面側に配置されたガイド部と、
前記ガイド部に形成された貫通孔を介して前記用紙を吸引する吸引部と、
前記読取部に設けられ、前記読取部から出射される光と前記用紙によって反射される光とが通過する開口部とを備え、
前記ガイド部は、前記開口部と対向する位置に読取領域が設けられ、
前記貫通孔は、前記用紙の搬送方向において、前記読取領域より上流側の領域および下流側の領域に設けられていること
を特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記読取部は、前記搬送方向と直交する読取方向へ前記用紙の主面に沿って移動すること
を特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像読取装置であって、
前記貫通孔は、前記読取方向において、前記読取領域の外側に設けられていること
を特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載の画像読取装置であって、
前記読取領域は、前記用紙の裏面に対向する読取平面に設けられていること
を特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像読取装置であって、
前記貫通孔は、前記読取平面に設けられていること
を特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1つに記載の画像読取装置であって、
前記ガイド部は、前記搬送方向における上流側の端部に、前記用紙搬送路から離れる方向に傾斜した傾斜部が設けられていること
を特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1つに記載の画像読取装置を備える画像形成装置であって、
前記用紙に画像を形成する画像形成部を備え、
前記読取部は、前記画像形成部で形成された画像を読み取ること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置であって、
前記画像形成部は、用紙に複数の色検知パターンを形成し、
前記読取部は、前記色検知パターンの用紙における位置を読み取ること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7に記載の画像形成装置であって、
前記画像形成部は、用紙に複数の色検知パターンを形成し、
前記読取部は、前記色検知パターンの階調を読み取ること
を特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−74402(P2013−74402A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210967(P2011−210967)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】