画像読取装置
【課題】電磁波を効果的に吸収する機能を備えた画像読取装置を提供する。
【解決手段】スキャナ台板1の上に電磁波吸収シート12が設けられ、その上に、CCD基板4と、CCDユニット2と、CCDレンズ3とが設けられている。CCD基板4、CCDユニット2、およびCCDレンズ3を囲む板金(筐体)10がスキャナ台板1に取付けられている。板金10は、半球型(ドーム型)のものが使用されている。CCD基板4から放射状に発する電磁波ノイズは、板金10で反射した後、電磁波吸収シート12に吸収される。板金10は、その曲面で反射した電磁波が電磁波吸収シート12の一点(A点)に集まるように、その曲率が調整されている。これによりCCDレンズ3の周辺に電磁波ノイズを集約することができ、電磁波吸収シート12から発生する熱を利用して、CCDレンズ3の結露が防止される。
【解決手段】スキャナ台板1の上に電磁波吸収シート12が設けられ、その上に、CCD基板4と、CCDユニット2と、CCDレンズ3とが設けられている。CCD基板4、CCDユニット2、およびCCDレンズ3を囲む板金(筐体)10がスキャナ台板1に取付けられている。板金10は、半球型(ドーム型)のものが使用されている。CCD基板4から放射状に発する電磁波ノイズは、板金10で反射した後、電磁波吸収シート12に吸収される。板金10は、その曲面で反射した電磁波が電磁波吸収シート12の一点(A点)に集まるように、その曲率が調整されている。これによりCCDレンズ3の周辺に電磁波ノイズを集約することができ、電磁波吸収シート12から発生する熱を利用して、CCDレンズ3の結露が防止される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像読取装置に関し、特に電磁波を吸収する機能を有する画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置(MFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機、複合機など)には、原稿を読み取るためのスキャナ部が設けられている。スキャナ部は、CCDを含む画像読取装置を備えている。
【0003】
読み取られた原稿情報は、CCDレンズを伴うCCDユニットを通過し、CCD基板にて画像データに変換される。特に寒冷環境でマシンを使用した場合、急激な周辺環境温度の変化でCCDレンズの表面に結露が発生してしまう課題があった。そこで、結露を防止するために、専用の防湿ヒータを設けるなどの措置を施していた。
【0004】
また、CCD基板からは不要輻射ノイズが発生しており、加えてCCD基板およびCCDレンズユニットを覆う板金には、一般的に直方体の板金が用いられる。そのため、EMI(Electro magnetic interference)の観点でいうと、板金内でノイズが多重反射し、増幅により板金隙間からノイズが漏洩していた。
【0005】
その対策としては、基板内にノイズフィルタを設けたり、ビス、板バネ、その他シールド部材を用いてシールド効果を高める等の措置を施しているが、漏洩する不要輻射ノイズに関しては苦慮している。
【0006】
図10は、CCD基板、CCDレンズ、およびCCDユニットを覆う板金の構造について示した図である。
【0007】
図を参照して、スキャナ台板1の上にCCD基板4と、CCDユニット2と、CCDレンズ3と、直方体板金5とが取付けられている。
【0008】
CCDユニットを覆う板金5は、直方体のものが使用されており、ビーム受光のための板金穴6を有した構造となっている。板金5は、図のように上からかぶせる構造となっており、固定用に数点ビスが使用される。
【0009】
図11は、CCD基板から発する不要輻射ノイズが板金内で伝播する様子について示した図である。
【0010】
直方体の板金5内では、ノイズが多重反射し、増幅されている。さらに増幅されたノイズは、板金隙間(ビス間)から漏洩している。
【0011】
下記特許文献1は、電子部品から発生する熱と電磁波ノイズを、熱および電磁ノイズ兼用の対策部品で放熱し、かつ電磁波を吸収する電子機器を開示している。
【0012】
特許文献2は、使用状況に応じて専用の防湿ヒータをONさせることで、画像読取装置の結露防止を行なう技術を開示する。
【0013】
特許文献3は、高周波ノイズを吸収するために、基板上にL(インダクタンス)成分と、C(キャパシタンス)成分とを持たせる基板構造を開示する。
【特許文献1】特開2001−326492号公報
【特許文献2】特開2002−176518号公報
【特許文献3】特開平6−53046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
結露防止のために用いられる防湿ヒータは、ユーザの希望によりオプションとして後付けされることが多い。この場合、ヒータ設置による部品点数の増加や、作業性の問題がある。
【0015】
また、CCD周りではEMIの観点からも、安易に部品を追加することは難しく、EMI対策部品(ビス、板バネ)によるコストアップが現状の課題として挙げられる。
【0016】
また、ヒータを設置すると、ヒータ稼動用の電力が別途必要となり、省エネ対策としても問題である。
【0017】
このように従来の方法では、省エネを満足したCCDレンズの防湿と、CCD基板およびCCDレンズユニットを覆う板金内のノイズ対策とを両立させることができなかった。
【0018】
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、電磁波を効果的に吸収する機能を備えた画像読取装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、画像読取装置は、画像読取りのための制御基板と、画像読取りのためのレンズと、制御基板の位置とレンズの位置とに跨って配置される、制御基板からの電磁波を吸収するための電磁波吸収シートとを備える。
【0020】
好ましくは電磁波吸収シートは、制御基板とレンズとの下部に配置される。
【0021】
好ましくは制御基板、レンズ、および電磁波吸収シートは、筐体内の同一の空間に配置される。
【0022】
好ましくは筐体の内面は、制御基板から発生する電磁波を、電磁波吸収シートのレンズの近傍の部分に向かわせる形状を有する。
【0023】
好ましくは筐体の形状は、ドーム形状、ドーム近似形状、およびトンネル形状のいずれかである。
【0024】
この発明の他の局面に従うと、画像読取装置は、画像読取りのための制御基板と、画像読取りのためのレンズと、少なくともレンズの位置の近傍に配置される、制御基板からの電磁波を吸収するための電磁波吸収体と、制御基板、レンズ、および電磁波吸収体を囲む筐体とを備え、筐体は、その内部の電磁波を、レンズの位置の近傍に配置される電磁波吸収体に向けて反射させる構造を有する。
【発明の効果】
【0025】
これらの発明に従うと、電磁波を効果的に吸収する機能を備えた画像読取装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
[第1の実施の形態]
【0028】
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像読取装置の斜視図であり、図2は、画像読取装置を板金穴11側から見た構成を説明するための図である。
【0029】
図を参照して、スキャナ台板1の上に電磁波吸収シート12が設けられ、その上に、CCD基板(画像読取制御基板)4と、CCDユニット2と、CCDレンズ3とが設けられている。また、CCD基板4、CCDユニット2、およびCCDレンズ3を囲む板金(筐体)10がスキャナ台板1に取付けられている(なお、図では構成を分かりやすくするため、板金10を透明で表わしている)。
【0030】
CCDユニットを覆う板金10は、半球型(ドーム型)のものが使用されており、ビーム受光のための板金穴11を有した構造となっている。板金10は、図のように上からかぶせる構造となっており、固定用に数点ビスが使用される。
【0031】
図3は、板金10内の電磁波ノイズの伝播を説明するための図である。
【0032】
図中の太い矢印は、電磁波ノイズの発生源から電磁波ノイズが進む方向を示している。この電磁波ノイズは、電磁波吸収シート12に直接吸収されるものであり、直接波と呼ぶ。CCD基板4やCCDレンズ3の下部に電磁波吸収シート12を配置することで、CCD基板4からの直接波が電磁波吸収シート12に吸収される。
【0033】
また図中の細い矢印は、CCD基板4から放射状に発する電磁波ノイズの進む方向を示している。この電磁波ノイズは、板金10で反射した後、電磁波吸収シート12に吸収されるものであり、反射波と呼ぶ。
【0034】
板金10は、その曲面で反射した電磁波が電磁波吸収シート12の一点(A点)に集まるように、その曲率が調整されている。これによりA点周辺に電磁波ノイズを集約することができ、配置した電磁波吸収シートで効率よくノイズを吸収することができる。
【0035】
また、A点は、CCDレンズ3の真下に設定されている。A点の直上にCCDレンズ3を配置することで、電磁波吸収シート12でノイズを吸収した際に発生する上昇熱がCCDレンズ3に照射される。
【0036】
図4は、ノイズを吸収し始めて一定時間後の電磁波吸収シートの温度分布を示す図である。
【0037】
ドーム型板金により、ノイズをA点周辺に集約させることで、その付近の温度が高くなっている様子が示されている。これにより、より高い熱量をCCDレンズ3へ照射することができる。
【0038】
このように本実施の形態では、CCD基板4から発生する電磁波ノイズを電磁波吸収シート12を用いて吸収させる。電磁波ノイズ吸収の際に電磁波吸収シート12から発生する熱を利用して、CCDレンズ3の結露を防止する。結露を防止するために、電磁波吸収シート12の配置位置と大きさは調整される。
【0039】
また、CCD基板4から発生する電磁波ノイズを、配置した電磁波吸収シート12に効率良く吸収させるために、CCD基板4およびCCDレンズユニット2を覆う板金をドーム型としている。CCD基板4から放射状に発する電磁波ノイズは、ある一点の周辺に集約させられる。集約によって、その点における電磁波吸収シート12の熱量を高めることができ、CCDレンズ3の結露をいち早く解決することができる。
【0040】
すなわち本実施の形態によると、CCD基板4およびCCDレンズ3に跨るように、CCDユニット2の下部に電磁波吸収シートを配置し、放射される電磁波をCCDレンズ3の位置付近に集中させて吸収させることで、CCDレンズ3の防湿とノイズ対策とを両立させることができる。
【0041】
また、電磁波吸収シート12を配置することで、CCD基板4から発生する不要輻射ノイズが板金10内で多重反射して増幅することを抑制できる。また、電磁波吸収シート12の配置位置を、CCD基板4およびCCDレンズ3に跨るようにすることで、ノイズ吸収を効率的に行なうことが出来る。
【0042】
また、別途ヒータなどを設ける必要がなくなるため、省エネを満足させることができる。
【0043】
[第2の実施の形態]
【0044】
図5は、本発明の第2の実施の形態における画像読取装置の斜視図であり、図6は、画像読取装置を板金穴21側から見た構成を説明するための図である。
【0045】
この実施の形態では、板金20として半球(ドーム)を近似させた形状のものが用いられる。すなわち、曲面(図6の点線)ではなく平面(図6の実線)の集合により板金20は形成される。板金10は、その複数の平面で反射した電磁波が電磁波吸収シート12の一点(A点)に集まるように、平面の角度が調整されている。
【0046】
図7は、ノイズを吸収し始めて一定時間後の電磁波吸収シートの温度分布を示す図である。
【0047】
半球近似型板金により、ノイズをA点周辺に集約させることで、その付近の温度が高くなっている様子が示されている。これにより、第1の実施の形態と同様に、より高い熱量をCCDレンズ3へ照射することができる。
【0048】
[第3の実施の形態]
【0049】
図8は、本発明の第3の実施の形態における画像読取装置の斜視図である。
【0050】
この実施の形態では、板金30としてトンネル形状のものが用いられる。すなわち、板金30はCCDユニット2を覆う半円筒形状の部分と、その両端部に位置する曲面部分とから形成される。ビーム受光のための板金穴31は、当該曲面部分に形成される。板金10は、板金内で反射した電磁波が、CCDレンズ3の光軸方向に伸びる電磁波吸収シート12の一点(A点)を通るライン上に集まるように、内壁部分が調整されている。
【0051】
図9は、ノイズを吸収し始めて一定時間後の電磁波吸収シートの温度分布を示す図である。
【0052】
トンネル型板金により、ノイズをA点を通るライン周辺に集約させることで、その付近の温度が高くなっている様子が示されている。これにより、第1および第2の実施の形態と同様に、より高い熱量をCCDレンズ3へ照射することができる。
【0053】
[実施の形態における効果]
【0054】
以上のように、本実施の形態における画像読取装置(およびそれを用いた画像形成装置)では、電磁波吸収シートでノイズを吸収する際に発生する熱を利用して、CCDレンズの結露を防止するため、専用の防湿ヒータが不要である。これにより、部品点数削減によるコストダウンを図ることができる。
【0055】
また、電磁波吸収シートの配置により電磁波ノイズ吸収と結露防止を両立させることができ、EMI、省エネ対策としても効果的である。
【0056】
すなわち、レンズの位置の近傍に配置される電磁波吸収シートに向けて電磁波を反射させる構造を有するドーム型板金(もしくはその近似形状の板金、またはトンネル状板金)を用いることで、多重反射による電磁波ノイズ増幅を防ぐことができるとともに、発生した電磁波ノイズをCCDレンズ下部周辺の電磁波吸収シートに集約させ、その周辺の熱量を高めることができる。これにより、CCDレンズの結露をいち早く、且つ効率的に解決することができる。
【0057】
[その他]
【0058】
なお、CCDレンズに熱量を与えるための構造を作るのであれば、電磁波吸収シートは、少なくともCCDレンズの近傍(好ましくはレンズの真下)に存在すればよく、また、CCD基板からの直接波を吸収する構造を作るのであれば、電磁波吸収シートは、少なくともCCD基板の近傍(好ましくはCCD基板の真下)に存在すればよい。また、両者の構造を合わせて、CCDレンズの近傍およびCCD基板の近傍のそれぞれに、1つずつの電磁波吸収体を備える構成としてもよい。
【0059】
本発明はMFP、ファクシミリ装置、複写機などの画像形成装置に対して実施することができる。
【0060】
なお、上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像読取装置の斜視図である。
【図2】画像読取装置を板金穴11側から見た構成を説明するための図である。
【図3】板金10内の電磁波ノイズの伝播を説明するための図である。
【図4】ノイズを吸収し始めて一定時間後の電磁波吸収シートの温度分布を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態における画像読取装置の斜視図である。
【図6】画像読取装置を板金穴21側から見た構成を説明するための図である。
【図7】ノイズを吸収し始めて一定時間後の電磁波吸収シートの温度分布を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態における画像読取装置の斜視図である。
【図9】ノイズを吸収し始めて一定時間後の電磁波吸収シートの温度分布を示す図である。
【図10】CCD基板、CCDレンズ、およびCCDユニットを覆う板金の構造について示した図である。
【図11】CCD基板から発する不要輻射ノイズが板金内で伝播する様子について示した図である。
【符号の説明】
【0062】
1 スキャナ台板
2 CCDユニット
3 CCDレンズ
4 CCD基板
5 直方体板金
6 板金穴
10 半球型板金
11 板金穴
12 電磁波吸収シート
20 半球近似型板金
21 板金穴
30 トンネル型板金
31 板金穴
【技術分野】
【0001】
この発明は画像読取装置に関し、特に電磁波を吸収する機能を有する画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置(MFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機、複合機など)には、原稿を読み取るためのスキャナ部が設けられている。スキャナ部は、CCDを含む画像読取装置を備えている。
【0003】
読み取られた原稿情報は、CCDレンズを伴うCCDユニットを通過し、CCD基板にて画像データに変換される。特に寒冷環境でマシンを使用した場合、急激な周辺環境温度の変化でCCDレンズの表面に結露が発生してしまう課題があった。そこで、結露を防止するために、専用の防湿ヒータを設けるなどの措置を施していた。
【0004】
また、CCD基板からは不要輻射ノイズが発生しており、加えてCCD基板およびCCDレンズユニットを覆う板金には、一般的に直方体の板金が用いられる。そのため、EMI(Electro magnetic interference)の観点でいうと、板金内でノイズが多重反射し、増幅により板金隙間からノイズが漏洩していた。
【0005】
その対策としては、基板内にノイズフィルタを設けたり、ビス、板バネ、その他シールド部材を用いてシールド効果を高める等の措置を施しているが、漏洩する不要輻射ノイズに関しては苦慮している。
【0006】
図10は、CCD基板、CCDレンズ、およびCCDユニットを覆う板金の構造について示した図である。
【0007】
図を参照して、スキャナ台板1の上にCCD基板4と、CCDユニット2と、CCDレンズ3と、直方体板金5とが取付けられている。
【0008】
CCDユニットを覆う板金5は、直方体のものが使用されており、ビーム受光のための板金穴6を有した構造となっている。板金5は、図のように上からかぶせる構造となっており、固定用に数点ビスが使用される。
【0009】
図11は、CCD基板から発する不要輻射ノイズが板金内で伝播する様子について示した図である。
【0010】
直方体の板金5内では、ノイズが多重反射し、増幅されている。さらに増幅されたノイズは、板金隙間(ビス間)から漏洩している。
【0011】
下記特許文献1は、電子部品から発生する熱と電磁波ノイズを、熱および電磁ノイズ兼用の対策部品で放熱し、かつ電磁波を吸収する電子機器を開示している。
【0012】
特許文献2は、使用状況に応じて専用の防湿ヒータをONさせることで、画像読取装置の結露防止を行なう技術を開示する。
【0013】
特許文献3は、高周波ノイズを吸収するために、基板上にL(インダクタンス)成分と、C(キャパシタンス)成分とを持たせる基板構造を開示する。
【特許文献1】特開2001−326492号公報
【特許文献2】特開2002−176518号公報
【特許文献3】特開平6−53046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
結露防止のために用いられる防湿ヒータは、ユーザの希望によりオプションとして後付けされることが多い。この場合、ヒータ設置による部品点数の増加や、作業性の問題がある。
【0015】
また、CCD周りではEMIの観点からも、安易に部品を追加することは難しく、EMI対策部品(ビス、板バネ)によるコストアップが現状の課題として挙げられる。
【0016】
また、ヒータを設置すると、ヒータ稼動用の電力が別途必要となり、省エネ対策としても問題である。
【0017】
このように従来の方法では、省エネを満足したCCDレンズの防湿と、CCD基板およびCCDレンズユニットを覆う板金内のノイズ対策とを両立させることができなかった。
【0018】
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、電磁波を効果的に吸収する機能を備えた画像読取装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、画像読取装置は、画像読取りのための制御基板と、画像読取りのためのレンズと、制御基板の位置とレンズの位置とに跨って配置される、制御基板からの電磁波を吸収するための電磁波吸収シートとを備える。
【0020】
好ましくは電磁波吸収シートは、制御基板とレンズとの下部に配置される。
【0021】
好ましくは制御基板、レンズ、および電磁波吸収シートは、筐体内の同一の空間に配置される。
【0022】
好ましくは筐体の内面は、制御基板から発生する電磁波を、電磁波吸収シートのレンズの近傍の部分に向かわせる形状を有する。
【0023】
好ましくは筐体の形状は、ドーム形状、ドーム近似形状、およびトンネル形状のいずれかである。
【0024】
この発明の他の局面に従うと、画像読取装置は、画像読取りのための制御基板と、画像読取りのためのレンズと、少なくともレンズの位置の近傍に配置される、制御基板からの電磁波を吸収するための電磁波吸収体と、制御基板、レンズ、および電磁波吸収体を囲む筐体とを備え、筐体は、その内部の電磁波を、レンズの位置の近傍に配置される電磁波吸収体に向けて反射させる構造を有する。
【発明の効果】
【0025】
これらの発明に従うと、電磁波を効果的に吸収する機能を備えた画像読取装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
[第1の実施の形態]
【0028】
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像読取装置の斜視図であり、図2は、画像読取装置を板金穴11側から見た構成を説明するための図である。
【0029】
図を参照して、スキャナ台板1の上に電磁波吸収シート12が設けられ、その上に、CCD基板(画像読取制御基板)4と、CCDユニット2と、CCDレンズ3とが設けられている。また、CCD基板4、CCDユニット2、およびCCDレンズ3を囲む板金(筐体)10がスキャナ台板1に取付けられている(なお、図では構成を分かりやすくするため、板金10を透明で表わしている)。
【0030】
CCDユニットを覆う板金10は、半球型(ドーム型)のものが使用されており、ビーム受光のための板金穴11を有した構造となっている。板金10は、図のように上からかぶせる構造となっており、固定用に数点ビスが使用される。
【0031】
図3は、板金10内の電磁波ノイズの伝播を説明するための図である。
【0032】
図中の太い矢印は、電磁波ノイズの発生源から電磁波ノイズが進む方向を示している。この電磁波ノイズは、電磁波吸収シート12に直接吸収されるものであり、直接波と呼ぶ。CCD基板4やCCDレンズ3の下部に電磁波吸収シート12を配置することで、CCD基板4からの直接波が電磁波吸収シート12に吸収される。
【0033】
また図中の細い矢印は、CCD基板4から放射状に発する電磁波ノイズの進む方向を示している。この電磁波ノイズは、板金10で反射した後、電磁波吸収シート12に吸収されるものであり、反射波と呼ぶ。
【0034】
板金10は、その曲面で反射した電磁波が電磁波吸収シート12の一点(A点)に集まるように、その曲率が調整されている。これによりA点周辺に電磁波ノイズを集約することができ、配置した電磁波吸収シートで効率よくノイズを吸収することができる。
【0035】
また、A点は、CCDレンズ3の真下に設定されている。A点の直上にCCDレンズ3を配置することで、電磁波吸収シート12でノイズを吸収した際に発生する上昇熱がCCDレンズ3に照射される。
【0036】
図4は、ノイズを吸収し始めて一定時間後の電磁波吸収シートの温度分布を示す図である。
【0037】
ドーム型板金により、ノイズをA点周辺に集約させることで、その付近の温度が高くなっている様子が示されている。これにより、より高い熱量をCCDレンズ3へ照射することができる。
【0038】
このように本実施の形態では、CCD基板4から発生する電磁波ノイズを電磁波吸収シート12を用いて吸収させる。電磁波ノイズ吸収の際に電磁波吸収シート12から発生する熱を利用して、CCDレンズ3の結露を防止する。結露を防止するために、電磁波吸収シート12の配置位置と大きさは調整される。
【0039】
また、CCD基板4から発生する電磁波ノイズを、配置した電磁波吸収シート12に効率良く吸収させるために、CCD基板4およびCCDレンズユニット2を覆う板金をドーム型としている。CCD基板4から放射状に発する電磁波ノイズは、ある一点の周辺に集約させられる。集約によって、その点における電磁波吸収シート12の熱量を高めることができ、CCDレンズ3の結露をいち早く解決することができる。
【0040】
すなわち本実施の形態によると、CCD基板4およびCCDレンズ3に跨るように、CCDユニット2の下部に電磁波吸収シートを配置し、放射される電磁波をCCDレンズ3の位置付近に集中させて吸収させることで、CCDレンズ3の防湿とノイズ対策とを両立させることができる。
【0041】
また、電磁波吸収シート12を配置することで、CCD基板4から発生する不要輻射ノイズが板金10内で多重反射して増幅することを抑制できる。また、電磁波吸収シート12の配置位置を、CCD基板4およびCCDレンズ3に跨るようにすることで、ノイズ吸収を効率的に行なうことが出来る。
【0042】
また、別途ヒータなどを設ける必要がなくなるため、省エネを満足させることができる。
【0043】
[第2の実施の形態]
【0044】
図5は、本発明の第2の実施の形態における画像読取装置の斜視図であり、図6は、画像読取装置を板金穴21側から見た構成を説明するための図である。
【0045】
この実施の形態では、板金20として半球(ドーム)を近似させた形状のものが用いられる。すなわち、曲面(図6の点線)ではなく平面(図6の実線)の集合により板金20は形成される。板金10は、その複数の平面で反射した電磁波が電磁波吸収シート12の一点(A点)に集まるように、平面の角度が調整されている。
【0046】
図7は、ノイズを吸収し始めて一定時間後の電磁波吸収シートの温度分布を示す図である。
【0047】
半球近似型板金により、ノイズをA点周辺に集約させることで、その付近の温度が高くなっている様子が示されている。これにより、第1の実施の形態と同様に、より高い熱量をCCDレンズ3へ照射することができる。
【0048】
[第3の実施の形態]
【0049】
図8は、本発明の第3の実施の形態における画像読取装置の斜視図である。
【0050】
この実施の形態では、板金30としてトンネル形状のものが用いられる。すなわち、板金30はCCDユニット2を覆う半円筒形状の部分と、その両端部に位置する曲面部分とから形成される。ビーム受光のための板金穴31は、当該曲面部分に形成される。板金10は、板金内で反射した電磁波が、CCDレンズ3の光軸方向に伸びる電磁波吸収シート12の一点(A点)を通るライン上に集まるように、内壁部分が調整されている。
【0051】
図9は、ノイズを吸収し始めて一定時間後の電磁波吸収シートの温度分布を示す図である。
【0052】
トンネル型板金により、ノイズをA点を通るライン周辺に集約させることで、その付近の温度が高くなっている様子が示されている。これにより、第1および第2の実施の形態と同様に、より高い熱量をCCDレンズ3へ照射することができる。
【0053】
[実施の形態における効果]
【0054】
以上のように、本実施の形態における画像読取装置(およびそれを用いた画像形成装置)では、電磁波吸収シートでノイズを吸収する際に発生する熱を利用して、CCDレンズの結露を防止するため、専用の防湿ヒータが不要である。これにより、部品点数削減によるコストダウンを図ることができる。
【0055】
また、電磁波吸収シートの配置により電磁波ノイズ吸収と結露防止を両立させることができ、EMI、省エネ対策としても効果的である。
【0056】
すなわち、レンズの位置の近傍に配置される電磁波吸収シートに向けて電磁波を反射させる構造を有するドーム型板金(もしくはその近似形状の板金、またはトンネル状板金)を用いることで、多重反射による電磁波ノイズ増幅を防ぐことができるとともに、発生した電磁波ノイズをCCDレンズ下部周辺の電磁波吸収シートに集約させ、その周辺の熱量を高めることができる。これにより、CCDレンズの結露をいち早く、且つ効率的に解決することができる。
【0057】
[その他]
【0058】
なお、CCDレンズに熱量を与えるための構造を作るのであれば、電磁波吸収シートは、少なくともCCDレンズの近傍(好ましくはレンズの真下)に存在すればよく、また、CCD基板からの直接波を吸収する構造を作るのであれば、電磁波吸収シートは、少なくともCCD基板の近傍(好ましくはCCD基板の真下)に存在すればよい。また、両者の構造を合わせて、CCDレンズの近傍およびCCD基板の近傍のそれぞれに、1つずつの電磁波吸収体を備える構成としてもよい。
【0059】
本発明はMFP、ファクシミリ装置、複写機などの画像形成装置に対して実施することができる。
【0060】
なお、上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像読取装置の斜視図である。
【図2】画像読取装置を板金穴11側から見た構成を説明するための図である。
【図3】板金10内の電磁波ノイズの伝播を説明するための図である。
【図4】ノイズを吸収し始めて一定時間後の電磁波吸収シートの温度分布を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態における画像読取装置の斜視図である。
【図6】画像読取装置を板金穴21側から見た構成を説明するための図である。
【図7】ノイズを吸収し始めて一定時間後の電磁波吸収シートの温度分布を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態における画像読取装置の斜視図である。
【図9】ノイズを吸収し始めて一定時間後の電磁波吸収シートの温度分布を示す図である。
【図10】CCD基板、CCDレンズ、およびCCDユニットを覆う板金の構造について示した図である。
【図11】CCD基板から発する不要輻射ノイズが板金内で伝播する様子について示した図である。
【符号の説明】
【0062】
1 スキャナ台板
2 CCDユニット
3 CCDレンズ
4 CCD基板
5 直方体板金
6 板金穴
10 半球型板金
11 板金穴
12 電磁波吸収シート
20 半球近似型板金
21 板金穴
30 トンネル型板金
31 板金穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取りのための制御基板と、
画像読取りのためのレンズと、
前記制御基板の位置と前記レンズの位置とに跨って配置される、前記制御基板からの電磁波を吸収するための電磁波吸収シートとを備えた、画像読取装置。
【請求項2】
前記電磁波吸収シートは、前記制御基板と前記レンズとの下部に配置される、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御基板、前記レンズ、および前記電磁波吸収シートは、筐体内の同一の空間に配置される、請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記筐体の内面は、前記制御基板から発生する電磁波を、前記電磁波吸収シートの前記レンズの近傍の部分に向かわせる形状を有する、請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記筐体の形状は、ドーム形状、ドーム近似形状、およびトンネル形状のいずれかである、請求項3または4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
画像読取りのための制御基板と、
画像読取りのためのレンズと、
少なくとも前記レンズの位置の近傍に配置される、前記制御基板からの電磁波を吸収するための電磁波吸収体と、
前記制御基板、前記レンズ、および前記電磁波吸収体を囲む筐体とを備え、
前記筐体は、その内部の電磁波を、前記レンズの位置の近傍に配置される前記電磁波吸収体に向けて反射させる構造を有する、画像読取装置。
【請求項1】
画像読取りのための制御基板と、
画像読取りのためのレンズと、
前記制御基板の位置と前記レンズの位置とに跨って配置される、前記制御基板からの電磁波を吸収するための電磁波吸収シートとを備えた、画像読取装置。
【請求項2】
前記電磁波吸収シートは、前記制御基板と前記レンズとの下部に配置される、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御基板、前記レンズ、および前記電磁波吸収シートは、筐体内の同一の空間に配置される、請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記筐体の内面は、前記制御基板から発生する電磁波を、前記電磁波吸収シートの前記レンズの近傍の部分に向かわせる形状を有する、請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記筐体の形状は、ドーム形状、ドーム近似形状、およびトンネル形状のいずれかである、請求項3または4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
画像読取りのための制御基板と、
画像読取りのためのレンズと、
少なくとも前記レンズの位置の近傍に配置される、前記制御基板からの電磁波を吸収するための電磁波吸収体と、
前記制御基板、前記レンズ、および前記電磁波吸収体を囲む筐体とを備え、
前記筐体は、その内部の電磁波を、前記レンズの位置の近傍に配置される前記電磁波吸収体に向けて反射させる構造を有する、画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−124482(P2009−124482A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296837(P2007−296837)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]