画像読取装置
【課題】専用のHPセンサーを用いることなく、基準パターン付近で画像ノイズが検出されても、確実に基準パターンを検出してホームポジションを決定する画像読取装置を提供する。
【解決手段】電源投入時には、不揮発性メモリを参照して(S701)、キャリッジ204の第1領域に所在していたら(S702:YES)、キャリッジ204を読取り方向に移動させる(S703)。移動距離が距離LNに達したら(S704:NO)、キャリッジ204を戻り方向へ移動させる(S705)。その後、及び、キャリッジ204の第2領域に所在するときは(S702:NO)、基準位置RPを探索しながらキャリッジ204を戻り方向へ移動させる(S705)。基準位置RPを検出したら(S706:YES)、戻り方向に距離LHPだけ移動して、キャリッジ204をホームポジションに到達させる(S707)。
【解決手段】電源投入時には、不揮発性メモリを参照して(S701)、キャリッジ204の第1領域に所在していたら(S702:YES)、キャリッジ204を読取り方向に移動させる(S703)。移動距離が距離LNに達したら(S704:NO)、キャリッジ204を戻り方向へ移動させる(S705)。その後、及び、キャリッジ204の第2領域に所在するときは(S702:NO)、基準位置RPを探索しながらキャリッジ204を戻り方向へ移動させる(S705)。基準位置RPを検出したら(S706:YES)、戻り方向に距離LHPだけ移動して、キャリッジ204をホームポジションに到達させる(S707)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関し、特に、簡素な構成でキャリッジをホームポジションへ移動させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置は、例えば、読取りガラス上に載置された原稿を照明する光源と、原稿からの反射光を受光するラインセンサーと、を備えたキャリッジを副走査方向に移動させながら原稿を読み取る。原稿を正しい位置で読み取るには、キャリッジを正確に位置制御する必要がある。このため、電源投入時などにキャリッジを一旦、ホームポジションに移動させ、ホームポジションからの変位を検出する制御が行われる。
【0003】
このような制御をより安価な構成で実現するために、例えば、原稿読取り範囲よりも幅広のキャリッジを設け、当該キャリッジの移動経路上であって、原稿読取り範囲外に基準パターンを設置しておき、ラインセンサーにて基準パターンを検出することによって、ホームポジションへ移動させる技術が提案されている(特許文献1を参照。)。このようにホームポジションを検出するためにラインセンサーを併用すれば、別途、センサー(以下、「HPセンサー」という。)を設ける必要がないので、画像読取装置の部品コストや製造コストを削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−74603号公報
【特許文献2】特開2003−75933号公報
【特許文献3】特開平5−188486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画像形成装置に対する小型化、省スペース化の要求は高く、様々な部品を高密度に実装しなければならない都合上、基準パターンの周辺においても、画像ノイズを発生させる構成にせざるを得ない場合がある。
例えば、自動原稿搬送装置(ADF: Automatic Document Feeder)を用いてシートスルー方式で原稿を読み取る場合には、原稿を読取りガラス面に押し付ける原稿押え部材と読取りガラスとの間に原稿を通過させるために、読取りガラス面に対して原稿押え部材を支持する支持部材を設ける必要がある。
【0006】
この支持部材をラインセンサーが検出してしまうと、それが画像ノイズとなって基準パターンを正確に検出できないおそれがある。
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、専用のHPセンサーを用いることなく、基準パターン付近で画像ノイズが検出されても、確実に基準パターンを検出してホームポジションを決定する画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像読取装置は、シートスルー読取り用の第1のガラス台、並びに第1のガラス台に対して副走査方向に並設された手置き原稿用の第2のガラス台上の原稿の画像面に光を照射する光源を有し、副走査方向に移動可能なキャリッジと、該光源から照射された前記原稿の反射光を受光するイメージセンサーと、前記イメージセンサーによる読取り範囲のうちの原稿読取り範囲に対して主走査方向の外側であって、かつ、第2のガラス台と第1のガラス台との間に、イメージセンサーにより読み取り可能に配置された基準パターンと、前記イメージセンサーにより基準パターンを検出して、第2のガラス台側と第1のガラス台側との何れにキャリッジが存在するかを示す所在情報を生成する所在情報生成手段と、生成された前記所在情報を記憶する不揮発性の記憶手段と、電源投入時に記憶手段に記憶されている所在情報を参照して、第2のガラス台側ならば、イメージセンサーにて基準パターンを検出しながらキャリッジを第1のガラス台側へ向かって移動させ、第1のガラス台側ならばキャリッジを一旦、イメージセンサーにて基準パターンを検出することなく第2のガラス台側へ所定距離だけ移動させてから、イメージセンサーにて基準パターンを検出しながら第1のガラス台側へ向かって移動させる第1の移動手段と、イメージセンサーにて検出された基準パターンの位置を用いてキャリッジをホームポジションに移動させる第2の移動手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このようにすれば、イメージセンサーを利用して基準パターンを検出するので、専用のHPセンサーを用いる必要が無い。また、電源投入時にキャリッジが第1のガラス台側に所在する場合においては、一旦、第2のガラス台側へキャリッジを移動させることによって、画像ノイズによる影響を回避し、確実に基準パターンを検出して、ホームポジションを決定することができる。更に、基準パターンは、イメージセンサーの読取り範囲のうち原稿読取り範囲外に配置されるので、無限にある原稿パターンによる誤検出を考慮する必要が無い。
【0009】
この場合において、電源投入時に記憶手段に記憶されている所在情報が第1のガラス台側である場合、キャリッジを第2のガラス台側へ移動させる前記所定距離は、キャリッジが最も第1のガラス台側に位置していても、キャリッジを基準パターンよりも第2のガラス台側に移動させることができる長さとするのが望ましい。
また、電源投入直後に記憶手段に記憶されている所在情報が第1のガラス台側であり、キャリッジを第2のガラス台側に向かって移動中に、濃度エッジを検出した後、キャリッジを第2のガラス台側に所在していると判定し得る距離の間において輝度変化が無ければ、キャリッジの移動距離が前記所定の移動距離に達していなくても、キャリッジを第1のガラス台側へ向かって移動させるように第1の移動手段を制御する制御手段を備えれば、キャリッジを第2のガラス台側に向かって移動中に、所定距離において輝度変化が無ければ、キャリッジをADF読み取りガラス側へ向かって移動させるので、キャリッジをホームポジションへ移動させるための所要時間を短縮することができる。
【0010】
また、キャリッジの可動範囲における第1のガラス台側端から基準パターンまでキャリッジを移動させる間にイメージセンサーにて検出し得る最大エッジ数を記憶する最大エッジ数記憶手段と、電源投入直後に記憶手段に記憶されている所在情報が第1のガラス台側であり、キャリッジを第2のガラス台側に向かって移動中に、イメージセンサーにて検出されたエッジ数が最大エッジ数に達したら、キャリッジの移動距離が前記所定の移動距離に達していなくても、キャリッジを第1のガラス台側へ向かって移動させるように第1の移動手段を制御する制御手段と、を備えれば、キャリッジをホームポジションへ移動させるための所要時間を短縮することができる。
【0011】
また、シートスルー読取り時に原稿を搬送するADF部の開閉状態を検出する検出手段と、電源投入時に、ADF部が開状態であることが検出され、かつ、記憶手段に記憶されている所在情報を参照して、第1のガラス台側ならば、イメージセンサーにて基準パターンを検出しながらキャリッジを第2のガラス台側へ向かって移動させるように第1の移動手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。電源投入時にADF部が開状態にある場合には、基準パターンの誤検出が発生し難いので、一旦、第2のガラス台側へ移動しなくても、基準パターンを精度良く検出して、より早くキャリッジをホームポジションへ移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の主要な構成を示す斜視図である。
【図2】画像読取り部100の主要な構成を示す断面図である。
【図3】画像読取り部100の主要な構成を示す下面図である。
【図4】画像形成装置1の制御系の主要な構成を示すブロック図である。
【図5】キャリッジ204の可動領域を示す図である。
【図6】キャリッジ204の所在情報を不揮発性メモリ410に記憶する処理を示すフローチャートである。
【図7】電源投入時にキャリッジをホームポジションHPへ移動させる処理を示すフローチャートである。
【図8】スリットガラス201及びプラテンガラス202の周辺の構成を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【図9】イメージセンサー206による検出例を示す図である。
【図10】電源投入時におけるキャリッジ204の位置ごとに、ホームポジションへの移動経路を示す模式図であって、(a)〜(d)はそれぞれホームポジション、第1領域側の端部、第2領域における境界位置P近傍及び第2領域側の端部にキャリッジが所在する場合である。
【図11】ADF部が開状態にあるときのイメージセンサー206による検出例を示す図である。
【図12】本発明の変形例に係る処理を示すフローチャートである。
【図13】ADF部120の開閉状態を検知するスイッチを示す図であって、(a)はADF部120の閉状態を示し、(b)は開状態を示す。
【図14】HP検出処理#1を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る画像読取装置の実施の形態について、画像形成装置を例に取り、図面を参照しながら説明する。
[1] 画像形成装置の構成
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
本実施の形態に係る画像形成装置は、複写機、スキャナー、プリンター、ファックスなどの機能を有するAIO(All In One)型の複合機(MFP: Multi Function Peripheral)であり、図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す斜視図である。図1に示されるように、画像形成装置1は、スキャナー部110と、スキャナー部110へ原稿を自動搬送するADF部120と、スキャナー部110が生成した画像データ等に基づいて記録シート上にトナー像を形成する画像形成部130と、を備えている。
【0014】
ADF部120は、原稿トレイ121に載置された原稿をスキャナー部110に自動的に供給する。スキャナー部110は、ADF部120によって供給される原稿や、スキャナー部110にセットされた原稿を光学的に読み取ることによって画像データを生成する。また、画像形成部130には、プリンター部131と、プリンター部131の下側に設けられた給紙部132とが設けられており、給紙部132によって記録シートがプリンター部131に供給される。
【0015】
プリンター部131では、スキャナー部110にて生成された画像データ、あるいは、ネットワークを介して送られる画像データに基づいて、周知の電子写真方式によって、記録シート上にトナー画像をプリントする。プリンター部131によって画像がプリントされた記録シートは、スキャナー部110と画像形成部130との間に設けられた排紙トレイ133上に排出される。
【0016】
また、スキャナー部110の正面側部分には、操作パネル111が設けられている。操作パネル111には、文字、数字等の入力のための複数のキーが設けられたキー入力部112と、指示メニュー、取得した画像に関する情報等が表示される表示部113とが設けられている。表示部113は、例えば液晶パネルによって構成されている。
画像形成部130は、更に、スキャナー部110やADF部120が生成した画像データ等を記憶する記憶部134や、公衆回線を経由して画像データ等のファクシミリ送受信を行う通信部135を備えている。通信部135が受信した画像データ等も記憶部134に記憶される。
【0017】
なお、以下においては、スキャナー部110及びADF部120をまとめて画像読取り部100という
[2] 画像読取り部100の構成
次に、画像読取り部100の構成について更に詳しく説明する。
図2は、画像読取り部100の主要な構成を示す断面図である。図2に示されるように、ADF部120が備える原稿トレイ121には、載置された原稿Dを検出する原稿検出センサー211が設けられている。原稿トレイ121上の原稿Dは、ピックアップローラー212によって搬送路214に向かって送り出され、更に、レジストローラー213によって搬送路214を経由してプラテンローラー215の上部に搬送される。ピックアップローラー212は、実線で示した退避位置と破線で示した給紙位置とに移動可能になっており、原稿Dを搬送路214に送り出す場合には、上方の退避位置から原稿トレイ121上の原稿Dに圧接される下方の給紙位置に移動する。
【0018】
プラテンローラー215の上部には搬送ローラー216が圧接されており、下部には搬送ローラー217が圧接されている。原稿Dは、搬送ローラー216、217とプラテンローラー215との間を通過することによって、プラテンローラー215の外周面の略半周に沿って搬送され、スキャナー部110の原稿画像読取位置上を通過して、排紙ローラー対218にまで搬送される。排紙ローラー対218は、原稿Dを原稿排出トレイ(図示せず)上に排出する。
【0019】
なお、ピックアップローラー212、レジストローラー213及びプラテンローラー215はADF駆動モーター219によって駆動される。また、プラテンローラー215の下方には、搬送ローラー217からスキャナー部110の原稿画像読取位置へ搬送される原稿Dを検出するレジストセンサー220が設けられている。
スキャナー部110は、線状光源205およびイメージセンサー(所謂、ラインセンサー。)206が搭載されたキャリッジ204が設けられている。キャリッジ204は、主走査方向に沿って長く延びた形状になっており、長手方向における両端部がガイドレール(図示せず)にスライド可能に支持されている。キャリッジ204は、ベルト、ワイヤー、プーリ等によって構成された駆動伝達部208を介して、画像読取モーター207により副走査方向に沿って、矢印A方向や矢印B方向に往復移動する。画像読取モーター207はパルス制御されるパルスモーターによって構成されており、駆動信号のパルス数に基づいて、キャリッジ204を所定の距離だけ移動させることができる。
【0020】
スキャナー部110の上面には、主走査方向に沿って形成されたスリット内に配置されているコンタクトガラス(以下、「スリットガラス」という)201と、プラテンガラス202とが設けられている。スリットガラス201は、ADF部120によって原稿Dを搬送しながら読み取る場合(シートスルー方式)における原稿読取り位置に配置されており、ADF部120にて搬送される原稿Dがスリットガラス201上を通過する。プラテンガラス202は、スリットガラス201に対して矢印A方向に所定の間隔をあけて配置されており、画像が読み取られる原稿が手置き載置される。
【0021】
キャリッジ204に搭載されたイメージセンサー206は、主走査方向に沿って配置された複数の光電変換素子を有するCCD(Charge Coupled Device)によって構成されている。線状光源205は、直線状に延びるキセノンランプ、LED等によって構成されており、イメージセンサー206に平行な状態でキャリッジ204に搭載されている。線状光源205は、スリットガラス201上を通過する原稿またはプラテンガラス202上に載置された原稿に対して光を照射し、原稿から反射される光が、スリットガラス201またはプラテンガラス202を介してイメージセンサー206によって受光される。原稿からの反射光を受光したイメージセンサー206は原稿画像の濃淡に対応した画像データを出力する。この画像データは、イメージセンサー206を構成する複数の画素間でのバラツキを補正するために、シェーディング補正されるとともにデジタルデータに変換される。
【0022】
スリットガラス201とプラテンガラス202との間には、イメージセンサー206から出力される画像データをシェーディング補正する際の基準データを取得するための基準板(シェーディング板)203が設けられている。図3は、スキャナー部110を下方(キャリッジ204側)から見た下面図である。図3に示されるように、基準板203は、キャリッジ204と同程度の長さの長方形状の平板な部材であって、線状光源205から照射される光を長手方向の全体にわたってイメージセンサー206に反射する。基準板203は、原稿読み取り範囲全体に亘って白色である一方、原稿読取り範囲外においては、スリットガラス201側に位置する白色基準面203aと、プラテンガラス202側に位置する黒色基準面203bとが副操作方向に隣接している。白色基準面203aと黒色基準面203bとの境界部分は主走査方向に沿った直線状になっており、この境界部分が、キャリッジ204をホームポジションに位置決めするための基準位置RPになっている。
【0023】
[3] 制御系の構成
次に、画像形成装置1の制御系の構成を、キャリッジ204をホームページに位置決めするための制御に必要な構成に着目して説明する。
図4は、画像形成装置1の制御系の主要な構成を示すブロック図である。図4に示されるように、画像形成装置は、スキャナー部110やADF部120、画像形成部130、通信部135の他に情報処理部400を備えている。
【0024】
情報処理部400は、制御装置401を備えている。また、制御装置401は、データ書き込み部402、CPU(Central Processing Unit)403及びRAM(Random Access Memory)404を備えており、CPU403はRAM404を作業用記憶領域として制御プログラムを実行する。このようなCPU403の制御の下、データ書き込み部402は、キャリッジ204の位置決めを行うためのデータを後述のように、不揮発性メモリ410に書き込む。
【0025】
また、制御装置401は、キー入力部112にてユーザーからの操作入力を受け付けたり、表示部113にてユーザーに対する情報表示を行ったりする。データ通信制御部411は、LAN(Local Area Network)やUSB(Universal Serial Bus)、パラレルインターフェイス、シリアルインターフェイスによって他の機器と行うデータ通信を制御する。この際、LAN端子413、USB端子414、パラレルインターフェイス端子415及びシリアルインターフェイス端子416を有するデータ入出力手段412が用いられる。
【0026】
制御装置401は、スキャナー部110の画像読取モーター207を制御してキャリッジ204を適当な位置へ移動させたり、イメージセンサー206が出力する画像データを画像メモリ134に格納したりする。また、制御部401は、ADF部120のADF駆動モーター219を制御して、スキャナー部110のスリットガラス201上に原稿を通過させながら、イメージセンサー206に203を読み取って、基準位置RPを検出する。
【0027】
制御装置401は、画像形成部130を制御して、プリンター部131にトナー画像を記録シート上に形成させて、排紙トレイ133上に排出させる。
[4] キャリッジ204の位置制御
次に、キャリッジ204の位置制御について説明する。
本実施の形態に係る画像形成装置1は、副走査方向についてキャリッジ204が所定位置Pのどちら側に所在しているかを示す所在情報を予め不揮発性メモリ410に記憶しておき、電源投入時に所在情報を参照してキャリッジ204をホームポジションへ移動させる。
【0028】
このため、以下においては、キャリッジ204の位置制御を、キャリッジ204の所在情報を不揮発性メモリ410に記憶する処理と、電源投入時における処理とに分けて説明する。
(1) 所在情報記憶処理
まず、キャリッジ204の所在情報を不揮発性メモリ410に記憶する処理について説明する。
【0029】
図5は、キャリッジ204の可動領域を示す図である。図5に示されるように、本実施の形態においては、キャリッジ204の可動領域を、基準位置RPからプラテンガラス202側寄りの位置Pを境界位置として、スリットガラス201側を第1領域とし、プラテンガラス202側を第2領域とする。また、基準位置RPからスリットガラス201側に距離LHPだけ離れた位置をホームポジションHPとする。ホームポジションHPから境界位置Pまでは距離Lareaだけ離れている。
【0030】
本実施の形態においては、キャリッジ204の所在情報として、キャリッジ204が第1領域と第2領域との何れの領域に所在しているかを1ビットのデータで表現して不揮発性メモリ410に記憶する。すなわち、第1領域に所在する場合に「1」を記憶し、第2領域に所在する場合に「0」を記憶する。
また、キャリッジ204の所在情報とは別にキャリッジ204の現在位置が画像読取りモーター(パルスモーター)207のパルスカウントによって管理される。具体的には、キャリッジ204がホームポジションHPにあるときのパルスカウントPCOUNTIRMを0として、プラテンガラス202側へ移動する場合にはパルスカウントPCOUNTIRMをカウントアップし、スリットガラス201側へ移動する場合にはパルスカウントPCOUNTIRMをカウントダウンする。このようにすれば、ホームポジションHPから距離Lareaだけ移動するために要するパルスカウントPCOUNTareaよりもパルスカウントPCOUNTIRMが少ないか、等しければ、すなわち、
PCOUNTarea ≦ PCOUNTIRM
ならば、キャリッジ204は第1領域にあると判定される。また、逆に、
PCOUNTarea > PCOUNTIRM
ならば、キャリッジ204は第2領域にあると判定される。
【0031】
図6は、キャリッジ204の所在情報を不揮発性メモリ410に記憶する処理を示すフローチャートである。図6に示されるように、管理装置401は、ステップS601からS607までの処理を繰り返す。すなわち、まず、管理装置401は、パルスカウントPCOUNTIRMを参照して(S601)、PCOUNTarea以上ならば(S602:YES)、所在情報Inewを「1」にする(S603)。さもなければ(S602:NO)、所在情報Inewを「0」にする(S604)。
【0032】
次に、不揮発性メモリ410に記憶されている所在情報Ioldを参照して(S605)、パルスカウントPCOUNTIRMから得られた所在情報Inewと比較する。所在情報Inewと所在情報Ioldとが異なっていたら、キャリッジ204の所在が変化したと考えられるので、所在情報Inewを不揮発性メモリ410に記録する(S607)。2つの所在情報が一致した場合(S606:YES)やステップS607の処理の後、ステップS601へ進んで、上記の処理を繰り返す。
【0033】
この場合において、ステップS601からステップS607までの処理を一定周期で繰り返しても良い。また、何らかの事象を契機として、上記処理を実行しても良い。上のようにすれば、キャリッジ204の現在の所在を、不揮発性メモリ410に記憶されている所在情報に精度よく反映することができる。
また、PCOUNTIRMを不揮発性メモリ410に繰り返し記憶すれば、キャリッジ204のより正確な位置を記録することができる一方、不揮発性メモリ410の記憶内容を頻繁に更新しなければならない。このため、不揮発性メモリ410に書き換え回数の制限があるときには、上述のように所在情報を記憶させた方が、不揮発性メモリ410の寿命を延長することができる。また、不揮発性メモリ410への書き込みエラーの可能性も低下させることができる。
【0034】
(2) 電源投入時の処理
次に、画像形成装置1の電源投入時にキャリッジをホームポジションHPへ移動させる処理について説明する。
図7は、電源投入時にキャリッジをホームポジションHPへ移動させる処理を示すフローチャートである。図7に示されるように、電源投入時には、管理装置401は不揮発性メモリ410を参照して所在情報を読み出し(S701)、所在情報が「1」ならば(S702:YES)、すなわち、キャリッジ204の所在が第1領域であれば、画像読取モーター207を駆動してキャリッジ204を読取り方向に移動させる(S703)。
【0035】
キャリッジ204を読取り方向に移動させる際には、後述のような理由から、基準位置RPの検出は行わない。なお、読取り方向とは、第1領域(スリットガラス201)から第2領域(プラテンガラス202)へ向かう方向(図2における矢印A方向。)であって、プラテンガラス202上に載置された原稿を読み取る際にキャリッジ204が移動する方向に等しいので、「読取り方向」という。
【0036】
そして、画像読取りモーター207のパルス数を計数して、キャリッジ204の移動距離が所定の距離LN未満であれば(S704:YES)、キャリッジ204を読取り方向へ移動させ続ける(S703)。キャリッジ204の移動距離が距離LNに達したら(S704:NO)、キャリッジ204を戻り方向へ移動させる(S705)。戻り方向とは、プラテンガラス202上に載置された原稿を読み取った後にキャリッジ204をホームポジションHPに戻す方向(図2における矢印B方向。)である。また、所定の距離LNとは、キャリッジ204の可動領域内における第1領域側の端部位置から境界位置Pまでの距離である。
【0037】
なお、不揮発性メモリ410から読み出した所在情報が「0」である場合には(S702:NO)、直ちにキャリッジ204を戻り方向へ移動させる(S705)。キャリッジ204を戻り方向に移動させる際には、併せて、イメージセンサー206による読取りを行い、基準位置RPを探索する。
その後、キャリッジ204が白色基準面203aと黒色基準面203bとの境界を検出することによって、基準位置RPを検出するまで(S706:NO)、キャリッジ204を戻り方向へ移動させ続ける(S705)。基準位置RPが検出されたら(S706:YES)、更に、戻り方向に距離LHPだけ移動させる(S707)。これによって、キャリッジ204がホームポジションまで移動させられる。
【0038】
なお、ステップS706にて基準位置RPを検出しないまま、キャリッジ204を後述の距離RT以上移動させた場合には、線状光源205やイメージセンサー206、画像読取りモーター207等に何らかの以上があると考えられるので、キャリッジ204の移動を停止させてエラーを検出した旨を操作パネル111に表示する等のエラー処理を実行しても良い。
【0039】
図8は、スリットガラス201及びプラテンガラス202の周辺の構成を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。また、図8(a)、(b)間の部材の対応関係が破線で示されている。図8に示されるように、ADF部120には、シートスルー方式で原稿を読み取る際、原稿をスリットガラス201に押し付ける原稿押え部801が設けられている。原稿押え部801は、板金やマイラー等で構成されている。
【0040】
また、原稿押え部801がスリットガラス201に密着していると、スリットガラス201上で原稿を通過させることができないので、原稿押え部801には支え部802が設けられている。原稿押え部801とスリットガラス201との間の距離の精度を向上させるために、支え部802をスリットガラス201に当接させる必要上、スリットガラス201はプラテンガラス202よりも主走査方向における長さが大きくなっている。
【0041】
支え部802は、原稿を通紙させる必要上、当然ながら、原稿読取り範囲外に配置されなければならない一方、ADF部120の大型化を避けるためには、支え部802をできるだけ原稿読み取り範囲に近づける必要がある。同様の理由から、基準板203の黒色基準面203bも可能な限り原稿読み取り範囲に近づけなければならない。すなわち、支え部802がスリットガラス201に当接する位置と黒色基準面203bとが主走査方向において重なり合うことになる。その結果、イメージセンサー206にて黒色基準面203bを検出する際に、スリットガラス201に当接した支え部802も検出され、基準位置RPの検出を誤るおそれがある。
【0042】
図9は、イメージセンサー206による検出例を示す図である。図9において、パターン900はイメージセンサー206によって検出された画像であり、グラフ901は、当該画像のうち基準位置RPを検出するために参照されるラインのCCD出力値を示している。図9に示されるように、支え部802によるCCD出力差D1は、白色基準面203aと黒色基準面203bとの間のCCD出力差D2に近い値をとるので、基準位置RPの誤検出を招くおそれがある。
【0043】
これに対して、図7のフローチャートに示したように、電源投入時にキャリッジ204が第1領域にある場合には、一旦、キャリッジ204を第2領域へ移動させてから基準位置RPを検出すれば、支え部802によりノイズの影響を避けて、精度良く基準位置RPを検出することができる。詳述すれば、電源投入時にキャリッジ204がホームポジションにある場合には、まず、キャリッジ204を第2領域へ向かって距離LNだけ移動させた後、第1領域へ移動しながら基準位置RPを探索し、更に、基準位置RPからホームポジションHPへ移動する(図10(a))。
【0044】
また、電源投入時にキャリッジ204が可動領域内における第1領域側の端部に位置している場合にも、まず、キャリッジ204を第2領域へ向かって距離LNだけ移動させた後、第1領域へ移動しながら基準位置RPを探索し、更に、基準位置RPからホームポジションHPへ移動する(図10(b))。キャリッジ204は、可動領域内における第1領域側の端部を越えて境界位置Pから離れることは無い。従って、電源投入時にキャリッジ204が第1領域内のどこに位置していても、第2領域へ向かって距離LNだけ移動させれば、キャリッジ204を確実に第2領域に到達させることができる。
【0045】
また、上述のように、電源投入時にキャリッジ204が第2領域に位置している場合には、基準位置RPを探索しながら第1領域へ向かってキャリッジ204を移動させる(図10(c)、(d))。特に、電源投入時にキャリッジ204が可動領域内における第2領域側の端部にある場合には、当該端部から基準板203のスリットガラス201側端部に至る距離RTだけ移動させないと、確実に基準位置RPを検出することができない。
【0046】
したがって、第2領域から第1領域へ向かう戻り方向にキャリッジを移動させながら基準位置RPを探索する場合には、上述のエラー判定を行う前に、少なくとも距離RTだけキャリッジを移動させる必要がある。
[5] 変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
【0047】
(1) 上記実施の形態においては、電源投入時には常に図7に示した処理を実行する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、これに代えて以下のようにしても良い。
すなわち、上記実施の形態においては、電源投入時にキャリッジ204が第1領域にある場合には、一旦、キャリッジ204を第2領域に移動させることによって、スリットガラス201に当接した原稿押え部801の支え部802による基準位置RPの誤検出を回避しているため、その分だけ原稿の読取りが遅れてしまう。
【0048】
一方、プラテンガラス202上に原稿を載置して読み取る必要上、ADF部120は開閉可能になっている。ADF部120が開状態にあるときは原稿押え部801の支え部802はスリットガラス201に当接していないので、支え部802に起因する基準位置RPの誤検出が発生するおそれはない。図11は、イメージセンサー206による検出例を示す図である。図11において、パターン1100は、ADF部120が開状態にしたときにイメージセンサー206によって検出された画像であり、グラフ1101は、当該画像のうち基準位置RPを検出するために参照されるラインのCCD出力値を示している。
【0049】
図11に示されるように、ADF部120が開状態にあるときは、白色基準面203aと黒色基準面203bとの間のCCD出力差D2に近い値をとる箇所が無いので、基準位置RPの誤検出を招くおそれはない。したがって、ADF部120が開状態ならば、第1領域に所在するキャリッジ204を第2領域へ移動させることなく、基準位置RPを探索することによって、ホームポジションへの移動に要する時間を短縮することができる。
【0050】
このため、本変形例においては、電源投入時に、まず、ADF部120の開閉状態を確認して、基準位置RPの誤検出のおそれの有無を判定する。図12は、本変形例に係る処理を示すフローチャートである。図12に示されるように、管理装置401は、電源を投入されると、ADF部120の開閉状態を確認する(S1201)。図13は、ADF部120の開閉状態を検知するスイッチを示す図であって、(a)はADF部120の閉状態を示し、(b)は開状態を示す。
【0051】
図13に示されるように、開閉検知スイッチ1301は、ADF部120が閉状態にあるときはスキャナー部110内に押し込まれ、ADF部120が開状態にあるときはスキャナー部110から突出するように、ADF部120側へ付勢されている。このように開閉検知スイッチ1301が上下動することによってADF部120の開閉状態が検知される。
【0052】
確認の結果、ADF部120が開状態であれば(S1202:YES)、HP検出処理#1を実行する(S1203)。また、ADF部120が閉状態であれば(S1202:YES)、HP検出処理#2を実行する(S1203)。
ADF部120が閉状態であるときは、原稿押え部801の支え部802がスリットガラス201に当接しているので、基準位置RPの誤検出を防止するために、HP検出処理#2として上記実施の形態の図7に示した処理が実行される。ADF部120が開状態にあるときは、図14のフローチャートに示されるように、HP検出処理#1が実行される。
【0053】
すなわち、管理装置401はまず不揮発性メモリ410を参照して、キャリッジ204の所在情報を読み出す(S1401)。読み出した所在情報が「1」ならば、すなわち、キャリッジ204が第1領域に所在していたら(S1402:YES)、画像読取りモーター207を駆動して、キャリッジ204を読取り方向へ移動させながら(S1403)、基準位置RPの検出を行う。基準位置RPが見つかっていない場合には(S1404:NO)、ステップS1403に進んで、キャリッジ204を更に読取り方向へ移動させながら、基準位置RPを探索する。基準位置RPが検出されたら(S1404:YES)、キャリッジ204を基準位置RPから戻り方向に距離LHPだけ移動させて(S1407)、処理を終了する。
【0054】
一方、不揮発性メモリ410から読み出した所在情報が「0」で、キャリッジ204が第2領域に所在していたら(S1402:YES)、キャリッジ204を戻り方向へ移動させながら(S1405)、基準位置RPの検出を行う。この場合も同様に、基準位置RPが見つかっていない場合には(S1406:NO)、ステップS1405に進んで、キャリッジ204を更に戻り方向へ移動させながら、基準位置RPを探索する。基準位置RPが検出されたら(S1406:YES)、キャリッジ204を基準位置RPから戻り方向に距離LHPだけ移動させて(S1407)、処理を終了する。
【0055】
このようにすれば、電源投入時にADF部120が開状態であって、かつ不揮発性メモリ410に記録されている所在情報が「1」である場合には、キャリッジ204をより早くホームポジションへ移動させることができる。したがって、より早く原稿の読み取りを開始したり、原稿を複写する場合にはFCOT(First Copy Out Time)を短縮できたりする等、ユーザーの利便性に資することができる。
【0056】
なお、本変形例においても、上記実施の形態において説明したようにエラー処理を行っても良い。すなわち、ステップS1403、S1404において基準位置を検出しないまま読取り方向に距離LN以上、キャリッジ204を移動させた場合には不具合の発生が疑われるので、エラー処理を実行しても良い。また、ステップS1405、S1406においても、基準位置を検出しないまま戻り方向に距離RT以上、キャリッジ204を移動させた場合には不具合の発生が疑われるので、エラー処理を実行しても良い。
【0057】
(2) 上記実施の形態においては、電源投入時に不揮発性メモリ410から読み出した所在情報が第1領域ならば、必ずLNだけ第2領域側へキャリッジ204を移動させる場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、次のようにしても良い。
例えば、図9のような読取りパターンが得られると予め分かっている場合には、すなわち、第1領域から第2領域に向かってキャリッジ204を移動させると、まず、白領域から黒領域へのエッジであって濃度変化の大きなエッジが2つであり、また、基準板203の第2領域側においては濃度変化がほとんど無いことが予め分かっている場合がある。
【0058】
そのような場合には、白領域から黒領域への濃度変化の大きなエッジを検出したことや、或いは濃度変化がほとんど無い領域が所定以上、連続することを検出したことを契機として、第2領域側へキャリッジ204を移動させ始めても良い。このようにすれば、電源投入時におけてキャリッジ204が第1領域どこに所在しているか関わらず、必ずLNだけ第2領域へ移動させるのと比較して、キャリッジ204の移動距離を縮小する可能性がある。したがって、ホームポジションを早く検出することができるので、その後の画像読取りを早期に開始することができる。
【0059】
(3) 上記実施の形態においては、キャリッジ204と共にイメージセンサー206を移動させる場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、キャリッジ204外にイメージセンサー206を固定配置しても良い。すなわち、キャリッジ204に搭載した線状光源にて原稿を照明し、その反射光をミラーによってイメージセンサー206へ導く構成を採用しても、本発明の効果を得ることができる。
【0060】
(4) 上記実施の形態においては、モノクロ画像読取装置を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、カラー画像読取装置に本発明を適用しても同様の効果を得ることができる。
また、上記実施の形態においては、AIO型の複合機に本発明を適用する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、スキャナー装置や複写装置、ファクシミリ装置などの単機能機に本発明を適用して、その効果を得ることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る画像読取装置は、簡素な構成でキャリッジをホームポジションへ移動させる装置として有用である。
【符号の説明】
【0062】
1…………画像形成装置
100……画像読取り部
110……スキャナー部
120……ADF部
201……スリットガラス
202……プラテンガラス
204……キャリッジ
203……基準板
203a…白色基準面
203b…黒色基準面
205……線状光源
206……イメージセンサー
207……画像読取モーター
401……制御装置
410……不揮発性メモリ
801……原稿押え部
802……支え部
1301…開閉検知スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関し、特に、簡素な構成でキャリッジをホームポジションへ移動させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置は、例えば、読取りガラス上に載置された原稿を照明する光源と、原稿からの反射光を受光するラインセンサーと、を備えたキャリッジを副走査方向に移動させながら原稿を読み取る。原稿を正しい位置で読み取るには、キャリッジを正確に位置制御する必要がある。このため、電源投入時などにキャリッジを一旦、ホームポジションに移動させ、ホームポジションからの変位を検出する制御が行われる。
【0003】
このような制御をより安価な構成で実現するために、例えば、原稿読取り範囲よりも幅広のキャリッジを設け、当該キャリッジの移動経路上であって、原稿読取り範囲外に基準パターンを設置しておき、ラインセンサーにて基準パターンを検出することによって、ホームポジションへ移動させる技術が提案されている(特許文献1を参照。)。このようにホームポジションを検出するためにラインセンサーを併用すれば、別途、センサー(以下、「HPセンサー」という。)を設ける必要がないので、画像読取装置の部品コストや製造コストを削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−74603号公報
【特許文献2】特開2003−75933号公報
【特許文献3】特開平5−188486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画像形成装置に対する小型化、省スペース化の要求は高く、様々な部品を高密度に実装しなければならない都合上、基準パターンの周辺においても、画像ノイズを発生させる構成にせざるを得ない場合がある。
例えば、自動原稿搬送装置(ADF: Automatic Document Feeder)を用いてシートスルー方式で原稿を読み取る場合には、原稿を読取りガラス面に押し付ける原稿押え部材と読取りガラスとの間に原稿を通過させるために、読取りガラス面に対して原稿押え部材を支持する支持部材を設ける必要がある。
【0006】
この支持部材をラインセンサーが検出してしまうと、それが画像ノイズとなって基準パターンを正確に検出できないおそれがある。
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、専用のHPセンサーを用いることなく、基準パターン付近で画像ノイズが検出されても、確実に基準パターンを検出してホームポジションを決定する画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像読取装置は、シートスルー読取り用の第1のガラス台、並びに第1のガラス台に対して副走査方向に並設された手置き原稿用の第2のガラス台上の原稿の画像面に光を照射する光源を有し、副走査方向に移動可能なキャリッジと、該光源から照射された前記原稿の反射光を受光するイメージセンサーと、前記イメージセンサーによる読取り範囲のうちの原稿読取り範囲に対して主走査方向の外側であって、かつ、第2のガラス台と第1のガラス台との間に、イメージセンサーにより読み取り可能に配置された基準パターンと、前記イメージセンサーにより基準パターンを検出して、第2のガラス台側と第1のガラス台側との何れにキャリッジが存在するかを示す所在情報を生成する所在情報生成手段と、生成された前記所在情報を記憶する不揮発性の記憶手段と、電源投入時に記憶手段に記憶されている所在情報を参照して、第2のガラス台側ならば、イメージセンサーにて基準パターンを検出しながらキャリッジを第1のガラス台側へ向かって移動させ、第1のガラス台側ならばキャリッジを一旦、イメージセンサーにて基準パターンを検出することなく第2のガラス台側へ所定距離だけ移動させてから、イメージセンサーにて基準パターンを検出しながら第1のガラス台側へ向かって移動させる第1の移動手段と、イメージセンサーにて検出された基準パターンの位置を用いてキャリッジをホームポジションに移動させる第2の移動手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このようにすれば、イメージセンサーを利用して基準パターンを検出するので、専用のHPセンサーを用いる必要が無い。また、電源投入時にキャリッジが第1のガラス台側に所在する場合においては、一旦、第2のガラス台側へキャリッジを移動させることによって、画像ノイズによる影響を回避し、確実に基準パターンを検出して、ホームポジションを決定することができる。更に、基準パターンは、イメージセンサーの読取り範囲のうち原稿読取り範囲外に配置されるので、無限にある原稿パターンによる誤検出を考慮する必要が無い。
【0009】
この場合において、電源投入時に記憶手段に記憶されている所在情報が第1のガラス台側である場合、キャリッジを第2のガラス台側へ移動させる前記所定距離は、キャリッジが最も第1のガラス台側に位置していても、キャリッジを基準パターンよりも第2のガラス台側に移動させることができる長さとするのが望ましい。
また、電源投入直後に記憶手段に記憶されている所在情報が第1のガラス台側であり、キャリッジを第2のガラス台側に向かって移動中に、濃度エッジを検出した後、キャリッジを第2のガラス台側に所在していると判定し得る距離の間において輝度変化が無ければ、キャリッジの移動距離が前記所定の移動距離に達していなくても、キャリッジを第1のガラス台側へ向かって移動させるように第1の移動手段を制御する制御手段を備えれば、キャリッジを第2のガラス台側に向かって移動中に、所定距離において輝度変化が無ければ、キャリッジをADF読み取りガラス側へ向かって移動させるので、キャリッジをホームポジションへ移動させるための所要時間を短縮することができる。
【0010】
また、キャリッジの可動範囲における第1のガラス台側端から基準パターンまでキャリッジを移動させる間にイメージセンサーにて検出し得る最大エッジ数を記憶する最大エッジ数記憶手段と、電源投入直後に記憶手段に記憶されている所在情報が第1のガラス台側であり、キャリッジを第2のガラス台側に向かって移動中に、イメージセンサーにて検出されたエッジ数が最大エッジ数に達したら、キャリッジの移動距離が前記所定の移動距離に達していなくても、キャリッジを第1のガラス台側へ向かって移動させるように第1の移動手段を制御する制御手段と、を備えれば、キャリッジをホームポジションへ移動させるための所要時間を短縮することができる。
【0011】
また、シートスルー読取り時に原稿を搬送するADF部の開閉状態を検出する検出手段と、電源投入時に、ADF部が開状態であることが検出され、かつ、記憶手段に記憶されている所在情報を参照して、第1のガラス台側ならば、イメージセンサーにて基準パターンを検出しながらキャリッジを第2のガラス台側へ向かって移動させるように第1の移動手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。電源投入時にADF部が開状態にある場合には、基準パターンの誤検出が発生し難いので、一旦、第2のガラス台側へ移動しなくても、基準パターンを精度良く検出して、より早くキャリッジをホームポジションへ移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の主要な構成を示す斜視図である。
【図2】画像読取り部100の主要な構成を示す断面図である。
【図3】画像読取り部100の主要な構成を示す下面図である。
【図4】画像形成装置1の制御系の主要な構成を示すブロック図である。
【図5】キャリッジ204の可動領域を示す図である。
【図6】キャリッジ204の所在情報を不揮発性メモリ410に記憶する処理を示すフローチャートである。
【図7】電源投入時にキャリッジをホームポジションHPへ移動させる処理を示すフローチャートである。
【図8】スリットガラス201及びプラテンガラス202の周辺の構成を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【図9】イメージセンサー206による検出例を示す図である。
【図10】電源投入時におけるキャリッジ204の位置ごとに、ホームポジションへの移動経路を示す模式図であって、(a)〜(d)はそれぞれホームポジション、第1領域側の端部、第2領域における境界位置P近傍及び第2領域側の端部にキャリッジが所在する場合である。
【図11】ADF部が開状態にあるときのイメージセンサー206による検出例を示す図である。
【図12】本発明の変形例に係る処理を示すフローチャートである。
【図13】ADF部120の開閉状態を検知するスイッチを示す図であって、(a)はADF部120の閉状態を示し、(b)は開状態を示す。
【図14】HP検出処理#1を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る画像読取装置の実施の形態について、画像形成装置を例に取り、図面を参照しながら説明する。
[1] 画像形成装置の構成
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
本実施の形態に係る画像形成装置は、複写機、スキャナー、プリンター、ファックスなどの機能を有するAIO(All In One)型の複合機(MFP: Multi Function Peripheral)であり、図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す斜視図である。図1に示されるように、画像形成装置1は、スキャナー部110と、スキャナー部110へ原稿を自動搬送するADF部120と、スキャナー部110が生成した画像データ等に基づいて記録シート上にトナー像を形成する画像形成部130と、を備えている。
【0014】
ADF部120は、原稿トレイ121に載置された原稿をスキャナー部110に自動的に供給する。スキャナー部110は、ADF部120によって供給される原稿や、スキャナー部110にセットされた原稿を光学的に読み取ることによって画像データを生成する。また、画像形成部130には、プリンター部131と、プリンター部131の下側に設けられた給紙部132とが設けられており、給紙部132によって記録シートがプリンター部131に供給される。
【0015】
プリンター部131では、スキャナー部110にて生成された画像データ、あるいは、ネットワークを介して送られる画像データに基づいて、周知の電子写真方式によって、記録シート上にトナー画像をプリントする。プリンター部131によって画像がプリントされた記録シートは、スキャナー部110と画像形成部130との間に設けられた排紙トレイ133上に排出される。
【0016】
また、スキャナー部110の正面側部分には、操作パネル111が設けられている。操作パネル111には、文字、数字等の入力のための複数のキーが設けられたキー入力部112と、指示メニュー、取得した画像に関する情報等が表示される表示部113とが設けられている。表示部113は、例えば液晶パネルによって構成されている。
画像形成部130は、更に、スキャナー部110やADF部120が生成した画像データ等を記憶する記憶部134や、公衆回線を経由して画像データ等のファクシミリ送受信を行う通信部135を備えている。通信部135が受信した画像データ等も記憶部134に記憶される。
【0017】
なお、以下においては、スキャナー部110及びADF部120をまとめて画像読取り部100という
[2] 画像読取り部100の構成
次に、画像読取り部100の構成について更に詳しく説明する。
図2は、画像読取り部100の主要な構成を示す断面図である。図2に示されるように、ADF部120が備える原稿トレイ121には、載置された原稿Dを検出する原稿検出センサー211が設けられている。原稿トレイ121上の原稿Dは、ピックアップローラー212によって搬送路214に向かって送り出され、更に、レジストローラー213によって搬送路214を経由してプラテンローラー215の上部に搬送される。ピックアップローラー212は、実線で示した退避位置と破線で示した給紙位置とに移動可能になっており、原稿Dを搬送路214に送り出す場合には、上方の退避位置から原稿トレイ121上の原稿Dに圧接される下方の給紙位置に移動する。
【0018】
プラテンローラー215の上部には搬送ローラー216が圧接されており、下部には搬送ローラー217が圧接されている。原稿Dは、搬送ローラー216、217とプラテンローラー215との間を通過することによって、プラテンローラー215の外周面の略半周に沿って搬送され、スキャナー部110の原稿画像読取位置上を通過して、排紙ローラー対218にまで搬送される。排紙ローラー対218は、原稿Dを原稿排出トレイ(図示せず)上に排出する。
【0019】
なお、ピックアップローラー212、レジストローラー213及びプラテンローラー215はADF駆動モーター219によって駆動される。また、プラテンローラー215の下方には、搬送ローラー217からスキャナー部110の原稿画像読取位置へ搬送される原稿Dを検出するレジストセンサー220が設けられている。
スキャナー部110は、線状光源205およびイメージセンサー(所謂、ラインセンサー。)206が搭載されたキャリッジ204が設けられている。キャリッジ204は、主走査方向に沿って長く延びた形状になっており、長手方向における両端部がガイドレール(図示せず)にスライド可能に支持されている。キャリッジ204は、ベルト、ワイヤー、プーリ等によって構成された駆動伝達部208を介して、画像読取モーター207により副走査方向に沿って、矢印A方向や矢印B方向に往復移動する。画像読取モーター207はパルス制御されるパルスモーターによって構成されており、駆動信号のパルス数に基づいて、キャリッジ204を所定の距離だけ移動させることができる。
【0020】
スキャナー部110の上面には、主走査方向に沿って形成されたスリット内に配置されているコンタクトガラス(以下、「スリットガラス」という)201と、プラテンガラス202とが設けられている。スリットガラス201は、ADF部120によって原稿Dを搬送しながら読み取る場合(シートスルー方式)における原稿読取り位置に配置されており、ADF部120にて搬送される原稿Dがスリットガラス201上を通過する。プラテンガラス202は、スリットガラス201に対して矢印A方向に所定の間隔をあけて配置されており、画像が読み取られる原稿が手置き載置される。
【0021】
キャリッジ204に搭載されたイメージセンサー206は、主走査方向に沿って配置された複数の光電変換素子を有するCCD(Charge Coupled Device)によって構成されている。線状光源205は、直線状に延びるキセノンランプ、LED等によって構成されており、イメージセンサー206に平行な状態でキャリッジ204に搭載されている。線状光源205は、スリットガラス201上を通過する原稿またはプラテンガラス202上に載置された原稿に対して光を照射し、原稿から反射される光が、スリットガラス201またはプラテンガラス202を介してイメージセンサー206によって受光される。原稿からの反射光を受光したイメージセンサー206は原稿画像の濃淡に対応した画像データを出力する。この画像データは、イメージセンサー206を構成する複数の画素間でのバラツキを補正するために、シェーディング補正されるとともにデジタルデータに変換される。
【0022】
スリットガラス201とプラテンガラス202との間には、イメージセンサー206から出力される画像データをシェーディング補正する際の基準データを取得するための基準板(シェーディング板)203が設けられている。図3は、スキャナー部110を下方(キャリッジ204側)から見た下面図である。図3に示されるように、基準板203は、キャリッジ204と同程度の長さの長方形状の平板な部材であって、線状光源205から照射される光を長手方向の全体にわたってイメージセンサー206に反射する。基準板203は、原稿読み取り範囲全体に亘って白色である一方、原稿読取り範囲外においては、スリットガラス201側に位置する白色基準面203aと、プラテンガラス202側に位置する黒色基準面203bとが副操作方向に隣接している。白色基準面203aと黒色基準面203bとの境界部分は主走査方向に沿った直線状になっており、この境界部分が、キャリッジ204をホームポジションに位置決めするための基準位置RPになっている。
【0023】
[3] 制御系の構成
次に、画像形成装置1の制御系の構成を、キャリッジ204をホームページに位置決めするための制御に必要な構成に着目して説明する。
図4は、画像形成装置1の制御系の主要な構成を示すブロック図である。図4に示されるように、画像形成装置は、スキャナー部110やADF部120、画像形成部130、通信部135の他に情報処理部400を備えている。
【0024】
情報処理部400は、制御装置401を備えている。また、制御装置401は、データ書き込み部402、CPU(Central Processing Unit)403及びRAM(Random Access Memory)404を備えており、CPU403はRAM404を作業用記憶領域として制御プログラムを実行する。このようなCPU403の制御の下、データ書き込み部402は、キャリッジ204の位置決めを行うためのデータを後述のように、不揮発性メモリ410に書き込む。
【0025】
また、制御装置401は、キー入力部112にてユーザーからの操作入力を受け付けたり、表示部113にてユーザーに対する情報表示を行ったりする。データ通信制御部411は、LAN(Local Area Network)やUSB(Universal Serial Bus)、パラレルインターフェイス、シリアルインターフェイスによって他の機器と行うデータ通信を制御する。この際、LAN端子413、USB端子414、パラレルインターフェイス端子415及びシリアルインターフェイス端子416を有するデータ入出力手段412が用いられる。
【0026】
制御装置401は、スキャナー部110の画像読取モーター207を制御してキャリッジ204を適当な位置へ移動させたり、イメージセンサー206が出力する画像データを画像メモリ134に格納したりする。また、制御部401は、ADF部120のADF駆動モーター219を制御して、スキャナー部110のスリットガラス201上に原稿を通過させながら、イメージセンサー206に203を読み取って、基準位置RPを検出する。
【0027】
制御装置401は、画像形成部130を制御して、プリンター部131にトナー画像を記録シート上に形成させて、排紙トレイ133上に排出させる。
[4] キャリッジ204の位置制御
次に、キャリッジ204の位置制御について説明する。
本実施の形態に係る画像形成装置1は、副走査方向についてキャリッジ204が所定位置Pのどちら側に所在しているかを示す所在情報を予め不揮発性メモリ410に記憶しておき、電源投入時に所在情報を参照してキャリッジ204をホームポジションへ移動させる。
【0028】
このため、以下においては、キャリッジ204の位置制御を、キャリッジ204の所在情報を不揮発性メモリ410に記憶する処理と、電源投入時における処理とに分けて説明する。
(1) 所在情報記憶処理
まず、キャリッジ204の所在情報を不揮発性メモリ410に記憶する処理について説明する。
【0029】
図5は、キャリッジ204の可動領域を示す図である。図5に示されるように、本実施の形態においては、キャリッジ204の可動領域を、基準位置RPからプラテンガラス202側寄りの位置Pを境界位置として、スリットガラス201側を第1領域とし、プラテンガラス202側を第2領域とする。また、基準位置RPからスリットガラス201側に距離LHPだけ離れた位置をホームポジションHPとする。ホームポジションHPから境界位置Pまでは距離Lareaだけ離れている。
【0030】
本実施の形態においては、キャリッジ204の所在情報として、キャリッジ204が第1領域と第2領域との何れの領域に所在しているかを1ビットのデータで表現して不揮発性メモリ410に記憶する。すなわち、第1領域に所在する場合に「1」を記憶し、第2領域に所在する場合に「0」を記憶する。
また、キャリッジ204の所在情報とは別にキャリッジ204の現在位置が画像読取りモーター(パルスモーター)207のパルスカウントによって管理される。具体的には、キャリッジ204がホームポジションHPにあるときのパルスカウントPCOUNTIRMを0として、プラテンガラス202側へ移動する場合にはパルスカウントPCOUNTIRMをカウントアップし、スリットガラス201側へ移動する場合にはパルスカウントPCOUNTIRMをカウントダウンする。このようにすれば、ホームポジションHPから距離Lareaだけ移動するために要するパルスカウントPCOUNTareaよりもパルスカウントPCOUNTIRMが少ないか、等しければ、すなわち、
PCOUNTarea ≦ PCOUNTIRM
ならば、キャリッジ204は第1領域にあると判定される。また、逆に、
PCOUNTarea > PCOUNTIRM
ならば、キャリッジ204は第2領域にあると判定される。
【0031】
図6は、キャリッジ204の所在情報を不揮発性メモリ410に記憶する処理を示すフローチャートである。図6に示されるように、管理装置401は、ステップS601からS607までの処理を繰り返す。すなわち、まず、管理装置401は、パルスカウントPCOUNTIRMを参照して(S601)、PCOUNTarea以上ならば(S602:YES)、所在情報Inewを「1」にする(S603)。さもなければ(S602:NO)、所在情報Inewを「0」にする(S604)。
【0032】
次に、不揮発性メモリ410に記憶されている所在情報Ioldを参照して(S605)、パルスカウントPCOUNTIRMから得られた所在情報Inewと比較する。所在情報Inewと所在情報Ioldとが異なっていたら、キャリッジ204の所在が変化したと考えられるので、所在情報Inewを不揮発性メモリ410に記録する(S607)。2つの所在情報が一致した場合(S606:YES)やステップS607の処理の後、ステップS601へ進んで、上記の処理を繰り返す。
【0033】
この場合において、ステップS601からステップS607までの処理を一定周期で繰り返しても良い。また、何らかの事象を契機として、上記処理を実行しても良い。上のようにすれば、キャリッジ204の現在の所在を、不揮発性メモリ410に記憶されている所在情報に精度よく反映することができる。
また、PCOUNTIRMを不揮発性メモリ410に繰り返し記憶すれば、キャリッジ204のより正確な位置を記録することができる一方、不揮発性メモリ410の記憶内容を頻繁に更新しなければならない。このため、不揮発性メモリ410に書き換え回数の制限があるときには、上述のように所在情報を記憶させた方が、不揮発性メモリ410の寿命を延長することができる。また、不揮発性メモリ410への書き込みエラーの可能性も低下させることができる。
【0034】
(2) 電源投入時の処理
次に、画像形成装置1の電源投入時にキャリッジをホームポジションHPへ移動させる処理について説明する。
図7は、電源投入時にキャリッジをホームポジションHPへ移動させる処理を示すフローチャートである。図7に示されるように、電源投入時には、管理装置401は不揮発性メモリ410を参照して所在情報を読み出し(S701)、所在情報が「1」ならば(S702:YES)、すなわち、キャリッジ204の所在が第1領域であれば、画像読取モーター207を駆動してキャリッジ204を読取り方向に移動させる(S703)。
【0035】
キャリッジ204を読取り方向に移動させる際には、後述のような理由から、基準位置RPの検出は行わない。なお、読取り方向とは、第1領域(スリットガラス201)から第2領域(プラテンガラス202)へ向かう方向(図2における矢印A方向。)であって、プラテンガラス202上に載置された原稿を読み取る際にキャリッジ204が移動する方向に等しいので、「読取り方向」という。
【0036】
そして、画像読取りモーター207のパルス数を計数して、キャリッジ204の移動距離が所定の距離LN未満であれば(S704:YES)、キャリッジ204を読取り方向へ移動させ続ける(S703)。キャリッジ204の移動距離が距離LNに達したら(S704:NO)、キャリッジ204を戻り方向へ移動させる(S705)。戻り方向とは、プラテンガラス202上に載置された原稿を読み取った後にキャリッジ204をホームポジションHPに戻す方向(図2における矢印B方向。)である。また、所定の距離LNとは、キャリッジ204の可動領域内における第1領域側の端部位置から境界位置Pまでの距離である。
【0037】
なお、不揮発性メモリ410から読み出した所在情報が「0」である場合には(S702:NO)、直ちにキャリッジ204を戻り方向へ移動させる(S705)。キャリッジ204を戻り方向に移動させる際には、併せて、イメージセンサー206による読取りを行い、基準位置RPを探索する。
その後、キャリッジ204が白色基準面203aと黒色基準面203bとの境界を検出することによって、基準位置RPを検出するまで(S706:NO)、キャリッジ204を戻り方向へ移動させ続ける(S705)。基準位置RPが検出されたら(S706:YES)、更に、戻り方向に距離LHPだけ移動させる(S707)。これによって、キャリッジ204がホームポジションまで移動させられる。
【0038】
なお、ステップS706にて基準位置RPを検出しないまま、キャリッジ204を後述の距離RT以上移動させた場合には、線状光源205やイメージセンサー206、画像読取りモーター207等に何らかの以上があると考えられるので、キャリッジ204の移動を停止させてエラーを検出した旨を操作パネル111に表示する等のエラー処理を実行しても良い。
【0039】
図8は、スリットガラス201及びプラテンガラス202の周辺の構成を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。また、図8(a)、(b)間の部材の対応関係が破線で示されている。図8に示されるように、ADF部120には、シートスルー方式で原稿を読み取る際、原稿をスリットガラス201に押し付ける原稿押え部801が設けられている。原稿押え部801は、板金やマイラー等で構成されている。
【0040】
また、原稿押え部801がスリットガラス201に密着していると、スリットガラス201上で原稿を通過させることができないので、原稿押え部801には支え部802が設けられている。原稿押え部801とスリットガラス201との間の距離の精度を向上させるために、支え部802をスリットガラス201に当接させる必要上、スリットガラス201はプラテンガラス202よりも主走査方向における長さが大きくなっている。
【0041】
支え部802は、原稿を通紙させる必要上、当然ながら、原稿読取り範囲外に配置されなければならない一方、ADF部120の大型化を避けるためには、支え部802をできるだけ原稿読み取り範囲に近づける必要がある。同様の理由から、基準板203の黒色基準面203bも可能な限り原稿読み取り範囲に近づけなければならない。すなわち、支え部802がスリットガラス201に当接する位置と黒色基準面203bとが主走査方向において重なり合うことになる。その結果、イメージセンサー206にて黒色基準面203bを検出する際に、スリットガラス201に当接した支え部802も検出され、基準位置RPの検出を誤るおそれがある。
【0042】
図9は、イメージセンサー206による検出例を示す図である。図9において、パターン900はイメージセンサー206によって検出された画像であり、グラフ901は、当該画像のうち基準位置RPを検出するために参照されるラインのCCD出力値を示している。図9に示されるように、支え部802によるCCD出力差D1は、白色基準面203aと黒色基準面203bとの間のCCD出力差D2に近い値をとるので、基準位置RPの誤検出を招くおそれがある。
【0043】
これに対して、図7のフローチャートに示したように、電源投入時にキャリッジ204が第1領域にある場合には、一旦、キャリッジ204を第2領域へ移動させてから基準位置RPを検出すれば、支え部802によりノイズの影響を避けて、精度良く基準位置RPを検出することができる。詳述すれば、電源投入時にキャリッジ204がホームポジションにある場合には、まず、キャリッジ204を第2領域へ向かって距離LNだけ移動させた後、第1領域へ移動しながら基準位置RPを探索し、更に、基準位置RPからホームポジションHPへ移動する(図10(a))。
【0044】
また、電源投入時にキャリッジ204が可動領域内における第1領域側の端部に位置している場合にも、まず、キャリッジ204を第2領域へ向かって距離LNだけ移動させた後、第1領域へ移動しながら基準位置RPを探索し、更に、基準位置RPからホームポジションHPへ移動する(図10(b))。キャリッジ204は、可動領域内における第1領域側の端部を越えて境界位置Pから離れることは無い。従って、電源投入時にキャリッジ204が第1領域内のどこに位置していても、第2領域へ向かって距離LNだけ移動させれば、キャリッジ204を確実に第2領域に到達させることができる。
【0045】
また、上述のように、電源投入時にキャリッジ204が第2領域に位置している場合には、基準位置RPを探索しながら第1領域へ向かってキャリッジ204を移動させる(図10(c)、(d))。特に、電源投入時にキャリッジ204が可動領域内における第2領域側の端部にある場合には、当該端部から基準板203のスリットガラス201側端部に至る距離RTだけ移動させないと、確実に基準位置RPを検出することができない。
【0046】
したがって、第2領域から第1領域へ向かう戻り方向にキャリッジを移動させながら基準位置RPを探索する場合には、上述のエラー判定を行う前に、少なくとも距離RTだけキャリッジを移動させる必要がある。
[5] 変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
【0047】
(1) 上記実施の形態においては、電源投入時には常に図7に示した処理を実行する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、これに代えて以下のようにしても良い。
すなわち、上記実施の形態においては、電源投入時にキャリッジ204が第1領域にある場合には、一旦、キャリッジ204を第2領域に移動させることによって、スリットガラス201に当接した原稿押え部801の支え部802による基準位置RPの誤検出を回避しているため、その分だけ原稿の読取りが遅れてしまう。
【0048】
一方、プラテンガラス202上に原稿を載置して読み取る必要上、ADF部120は開閉可能になっている。ADF部120が開状態にあるときは原稿押え部801の支え部802はスリットガラス201に当接していないので、支え部802に起因する基準位置RPの誤検出が発生するおそれはない。図11は、イメージセンサー206による検出例を示す図である。図11において、パターン1100は、ADF部120が開状態にしたときにイメージセンサー206によって検出された画像であり、グラフ1101は、当該画像のうち基準位置RPを検出するために参照されるラインのCCD出力値を示している。
【0049】
図11に示されるように、ADF部120が開状態にあるときは、白色基準面203aと黒色基準面203bとの間のCCD出力差D2に近い値をとる箇所が無いので、基準位置RPの誤検出を招くおそれはない。したがって、ADF部120が開状態ならば、第1領域に所在するキャリッジ204を第2領域へ移動させることなく、基準位置RPを探索することによって、ホームポジションへの移動に要する時間を短縮することができる。
【0050】
このため、本変形例においては、電源投入時に、まず、ADF部120の開閉状態を確認して、基準位置RPの誤検出のおそれの有無を判定する。図12は、本変形例に係る処理を示すフローチャートである。図12に示されるように、管理装置401は、電源を投入されると、ADF部120の開閉状態を確認する(S1201)。図13は、ADF部120の開閉状態を検知するスイッチを示す図であって、(a)はADF部120の閉状態を示し、(b)は開状態を示す。
【0051】
図13に示されるように、開閉検知スイッチ1301は、ADF部120が閉状態にあるときはスキャナー部110内に押し込まれ、ADF部120が開状態にあるときはスキャナー部110から突出するように、ADF部120側へ付勢されている。このように開閉検知スイッチ1301が上下動することによってADF部120の開閉状態が検知される。
【0052】
確認の結果、ADF部120が開状態であれば(S1202:YES)、HP検出処理#1を実行する(S1203)。また、ADF部120が閉状態であれば(S1202:YES)、HP検出処理#2を実行する(S1203)。
ADF部120が閉状態であるときは、原稿押え部801の支え部802がスリットガラス201に当接しているので、基準位置RPの誤検出を防止するために、HP検出処理#2として上記実施の形態の図7に示した処理が実行される。ADF部120が開状態にあるときは、図14のフローチャートに示されるように、HP検出処理#1が実行される。
【0053】
すなわち、管理装置401はまず不揮発性メモリ410を参照して、キャリッジ204の所在情報を読み出す(S1401)。読み出した所在情報が「1」ならば、すなわち、キャリッジ204が第1領域に所在していたら(S1402:YES)、画像読取りモーター207を駆動して、キャリッジ204を読取り方向へ移動させながら(S1403)、基準位置RPの検出を行う。基準位置RPが見つかっていない場合には(S1404:NO)、ステップS1403に進んで、キャリッジ204を更に読取り方向へ移動させながら、基準位置RPを探索する。基準位置RPが検出されたら(S1404:YES)、キャリッジ204を基準位置RPから戻り方向に距離LHPだけ移動させて(S1407)、処理を終了する。
【0054】
一方、不揮発性メモリ410から読み出した所在情報が「0」で、キャリッジ204が第2領域に所在していたら(S1402:YES)、キャリッジ204を戻り方向へ移動させながら(S1405)、基準位置RPの検出を行う。この場合も同様に、基準位置RPが見つかっていない場合には(S1406:NO)、ステップS1405に進んで、キャリッジ204を更に戻り方向へ移動させながら、基準位置RPを探索する。基準位置RPが検出されたら(S1406:YES)、キャリッジ204を基準位置RPから戻り方向に距離LHPだけ移動させて(S1407)、処理を終了する。
【0055】
このようにすれば、電源投入時にADF部120が開状態であって、かつ不揮発性メモリ410に記録されている所在情報が「1」である場合には、キャリッジ204をより早くホームポジションへ移動させることができる。したがって、より早く原稿の読み取りを開始したり、原稿を複写する場合にはFCOT(First Copy Out Time)を短縮できたりする等、ユーザーの利便性に資することができる。
【0056】
なお、本変形例においても、上記実施の形態において説明したようにエラー処理を行っても良い。すなわち、ステップS1403、S1404において基準位置を検出しないまま読取り方向に距離LN以上、キャリッジ204を移動させた場合には不具合の発生が疑われるので、エラー処理を実行しても良い。また、ステップS1405、S1406においても、基準位置を検出しないまま戻り方向に距離RT以上、キャリッジ204を移動させた場合には不具合の発生が疑われるので、エラー処理を実行しても良い。
【0057】
(2) 上記実施の形態においては、電源投入時に不揮発性メモリ410から読み出した所在情報が第1領域ならば、必ずLNだけ第2領域側へキャリッジ204を移動させる場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、次のようにしても良い。
例えば、図9のような読取りパターンが得られると予め分かっている場合には、すなわち、第1領域から第2領域に向かってキャリッジ204を移動させると、まず、白領域から黒領域へのエッジであって濃度変化の大きなエッジが2つであり、また、基準板203の第2領域側においては濃度変化がほとんど無いことが予め分かっている場合がある。
【0058】
そのような場合には、白領域から黒領域への濃度変化の大きなエッジを検出したことや、或いは濃度変化がほとんど無い領域が所定以上、連続することを検出したことを契機として、第2領域側へキャリッジ204を移動させ始めても良い。このようにすれば、電源投入時におけてキャリッジ204が第1領域どこに所在しているか関わらず、必ずLNだけ第2領域へ移動させるのと比較して、キャリッジ204の移動距離を縮小する可能性がある。したがって、ホームポジションを早く検出することができるので、その後の画像読取りを早期に開始することができる。
【0059】
(3) 上記実施の形態においては、キャリッジ204と共にイメージセンサー206を移動させる場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、キャリッジ204外にイメージセンサー206を固定配置しても良い。すなわち、キャリッジ204に搭載した線状光源にて原稿を照明し、その反射光をミラーによってイメージセンサー206へ導く構成を採用しても、本発明の効果を得ることができる。
【0060】
(4) 上記実施の形態においては、モノクロ画像読取装置を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、カラー画像読取装置に本発明を適用しても同様の効果を得ることができる。
また、上記実施の形態においては、AIO型の複合機に本発明を適用する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、スキャナー装置や複写装置、ファクシミリ装置などの単機能機に本発明を適用して、その効果を得ることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る画像読取装置は、簡素な構成でキャリッジをホームポジションへ移動させる装置として有用である。
【符号の説明】
【0062】
1…………画像形成装置
100……画像読取り部
110……スキャナー部
120……ADF部
201……スリットガラス
202……プラテンガラス
204……キャリッジ
203……基準板
203a…白色基準面
203b…黒色基準面
205……線状光源
206……イメージセンサー
207……画像読取モーター
401……制御装置
410……不揮発性メモリ
801……原稿押え部
802……支え部
1301…開閉検知スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートスルー読取り用の第1のガラス台、並びに第1のガラス台に対して副走査方向に並設された手置き原稿用の第2のガラス台上の原稿の画像面に光を照射する光源を有し、副走査方向に移動可能なキャリッジと、
該光源から照射された前記原稿の反射光を受光するイメージセンサーと、
前記イメージセンサーによる読取り範囲のうちの原稿読取り範囲に対して主走査方向の外側であって、かつ、第2のガラス台と第1のガラス台との間に、イメージセンサーにより読み取り可能に配置された基準パターンと、
前記イメージセンサーにより基準パターンを検出して、第2のガラス台側と第1のガラス台側との何れにキャリッジが存在するかを示す所在情報を生成する所在情報生成手段と、
生成された前記所在情報を記憶する不揮発性の記憶手段と、
電源投入時に記憶手段に記憶されている所在情報を参照して、第2のガラス台側ならば、イメージセンサーにて基準パターンを検出しながらキャリッジを第1のガラス台側へ向かって移動させ、
第1のガラス台側ならばキャリッジを一旦、イメージセンサーにて基準パターンを検出することなく第2のガラス台側へ所定距離だけ移動させてから、
イメージセンサーにて基準パターンを検出しながら第1のガラス台側へ向かって移動させる第1の移動手段と、
イメージセンサーにて検出された基準パターンの位置を用いてキャリッジをホームポジションに移動させる第2の移動手段と、を備える
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
電源投入時に記憶手段に記憶されている所在情報が第1のガラス台側である場合、キャリッジを第2のガラス台側へ移動させる前記所定距離は、キャリッジが最も第1のガラス台側に位置していても、キャリッジを基準パターンよりも第2のガラス台側に移動させることができる長さである
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
電源投入直後に記憶手段に記憶されている所在情報が第1のガラス台側であり、キャリッジを第2のガラス台側に向かって移動中に、濃度エッジを検出した後、キャリッジを第2のガラス台側に所在していると判定し得る距離の間において輝度変化が無ければ、キャリッジの移動距離が前記所定の移動距離に達していなくても、キャリッジを第1のガラス台側へ向かって移動させるように第1の移動手段を制御する制御手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
キャリッジの可動範囲における第1のガラス台側端から基準パターンまでキャリッジを移動させる間にイメージセンサーにて検出し得る最大エッジ数を記憶する最大エッジ数記憶手段と、
電源投入直後に記憶手段に記憶されている所在情報が第1のガラス台側であり、キャリッジを第2のガラス台側に向かって移動中に、イメージセンサーにて検出されたエッジ数が最大エッジ数に達したら、キャリッジの移動距離が前記所定の移動距離に達していなくても、キャリッジを第1のガラス台側へ向かって移動させるように第1の移動手段を制御する制御手段と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
シートスルー読取り時に原稿を搬送するADF部の開閉状態を検出する検出手段と、
電源投入時に、ADF部が開状態であることが検出され、かつ、記憶手段に記憶されている所在情報を参照して、第1のガラス台側ならば、イメージセンサーにて基準パターンを検出しながらキャリッジを第2のガラス台側へ向かって移動させるように第1の移動手段を制御する制御手段と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項1】
シートスルー読取り用の第1のガラス台、並びに第1のガラス台に対して副走査方向に並設された手置き原稿用の第2のガラス台上の原稿の画像面に光を照射する光源を有し、副走査方向に移動可能なキャリッジと、
該光源から照射された前記原稿の反射光を受光するイメージセンサーと、
前記イメージセンサーによる読取り範囲のうちの原稿読取り範囲に対して主走査方向の外側であって、かつ、第2のガラス台と第1のガラス台との間に、イメージセンサーにより読み取り可能に配置された基準パターンと、
前記イメージセンサーにより基準パターンを検出して、第2のガラス台側と第1のガラス台側との何れにキャリッジが存在するかを示す所在情報を生成する所在情報生成手段と、
生成された前記所在情報を記憶する不揮発性の記憶手段と、
電源投入時に記憶手段に記憶されている所在情報を参照して、第2のガラス台側ならば、イメージセンサーにて基準パターンを検出しながらキャリッジを第1のガラス台側へ向かって移動させ、
第1のガラス台側ならばキャリッジを一旦、イメージセンサーにて基準パターンを検出することなく第2のガラス台側へ所定距離だけ移動させてから、
イメージセンサーにて基準パターンを検出しながら第1のガラス台側へ向かって移動させる第1の移動手段と、
イメージセンサーにて検出された基準パターンの位置を用いてキャリッジをホームポジションに移動させる第2の移動手段と、を備える
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
電源投入時に記憶手段に記憶されている所在情報が第1のガラス台側である場合、キャリッジを第2のガラス台側へ移動させる前記所定距離は、キャリッジが最も第1のガラス台側に位置していても、キャリッジを基準パターンよりも第2のガラス台側に移動させることができる長さである
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
電源投入直後に記憶手段に記憶されている所在情報が第1のガラス台側であり、キャリッジを第2のガラス台側に向かって移動中に、濃度エッジを検出した後、キャリッジを第2のガラス台側に所在していると判定し得る距離の間において輝度変化が無ければ、キャリッジの移動距離が前記所定の移動距離に達していなくても、キャリッジを第1のガラス台側へ向かって移動させるように第1の移動手段を制御する制御手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
キャリッジの可動範囲における第1のガラス台側端から基準パターンまでキャリッジを移動させる間にイメージセンサーにて検出し得る最大エッジ数を記憶する最大エッジ数記憶手段と、
電源投入直後に記憶手段に記憶されている所在情報が第1のガラス台側であり、キャリッジを第2のガラス台側に向かって移動中に、イメージセンサーにて検出されたエッジ数が最大エッジ数に達したら、キャリッジの移動距離が前記所定の移動距離に達していなくても、キャリッジを第1のガラス台側へ向かって移動させるように第1の移動手段を制御する制御手段と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
シートスルー読取り時に原稿を搬送するADF部の開閉状態を検出する検出手段と、
電源投入時に、ADF部が開状態であることが検出され、かつ、記憶手段に記憶されている所在情報を参照して、第1のガラス台側ならば、イメージセンサーにて基準パターンを検出しながらキャリッジを第2のガラス台側へ向かって移動させるように第1の移動手段を制御する制御手段と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−93806(P2013−93806A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236033(P2011−236033)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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