説明

画像除去装置

【課題】 画像形成物質を除去した後の記録媒体の耳折れに起因する不具合の発生を防止することができる画像除去装置を提供する。
【解決手段】 画像除去装置100が、耳折れ修正手段である耳折れ修正部25を有するので、記録媒体である用紙Pについて画像除去装置100が取り扱う前に耳折れが発生していても、耳折れを修正することができ、画像除去装置100で画像形成物質を除去した後の用紙Pが耳折れのない状態とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成物質によって表面に画像が形成されたシート状の記録媒体から画像形成物質を除去する画像除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式やインクジェット方式などの画像形成装置によって表面に画像が形成された転写紙などのシート状の記録媒体の表面から、画像を形成する画像形成物質を除去する画像除去装置が特許文献1などに提案されている。
画像が形成された記録媒体は、書類等として取り扱われた後に不要となると使用済みの記録媒体として廃棄処分されることが一般的である。このように、使用済みの記録媒体を廃棄処分することは、記録媒体の材料となる資源の浪費に繋がる。このような使用済みの記録媒体から画像除去装置によって表面上の画像形成物質を除去することにより、記録媒体を画像形成装置などで再利用することが可能になり、記録媒体の材料となる資源の消費量の抑制を図ることができる。
【0003】
【特許文献1】特開平10−278380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像除去装置を用いて記録媒体上の画像形成物質を除去する前の記録媒体としては、シート状の記録媒体の角が折れる、いわゆる、耳折れが発生した状態となっている場合がある。また、ユーザーが画像除去しようとする記録媒体はユーザーが作成した書類等として取り扱われた後に不要となったものであるため、記録媒体に耳折れが発生している可能性が高い。
記録媒体に耳折れが発生したまま画像物質を除去し、再利用の記録媒体として画像形成装置での画像形成に用いると、耳折れが原因となって、紙詰まりや、レジスト不良、スキューなどの搬送不良が発生するおそれがあった。また、記録媒体に耳折れが発生したままの状態であると、搬送不良以外の不具合も生じる可能性が高まる。例えば、画像形成装置が再利用の記録媒体であることを識別するために、記録媒体の端部に切り欠きを設けたり識別マークを付与したりすることがある。このような記録媒体の切り欠きや識別マークのある端部に耳折れが発生すると再利用の記録媒体か否かの識別を誤るおそれがある。さらに、シート状の記録媒体を重ねて管理する場合、記録媒体に耳折れがあると、記録媒体を重ねた束の嵩の増加や耳折れの部分が他の記録媒体に引っかかるなど、記録媒体の束の管理を阻害する現象が発生しやすくなる。
【0005】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、画像形成物質を除去した後の記録媒体の耳折れに起因する不具合の発生を防止することができる画像除去装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、画像形成物質からなる画像が表面に形成されたシート状の記録媒体から画像形成物質を除去する画像除去装置において、該画像除去装置内を搬送される記録媒体に発生している耳折れを修正する耳折れ修正手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像除去装置において、記録媒体から画像形成物質を除去する画像除去手段と、該画像除去手段に記録媒体を供給する記録媒体供給手段と、該画像除去手段によって画像形成物質の除去がなされた記録媒体を装置外に排出する記録媒体排出手段とを有し、上記耳折れ修正手段は、該記録媒体供給手段で供給されてから該記録媒体排出手段で排出されるまでの間の記録媒体搬送経路に配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像除去装置において、記録媒体の上記記録媒体搬送経路内での搬送方向について、上記耳折れ修正手段は上記画像除去手段に対して搬送方向上流側に配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像除去装置において、上記記録媒体供給手段は、画像除去しようとするシート状の記録媒体を収容し、上記画像除去手段に記録媒体を少なくとも一枚毎に供給するものであり、該記録媒体供給手段から供給された記録媒体を該画像除去手段に搬送するための供給搬送手段と、該画像除去手段によって画像形成物質の除去がなされた記録媒体を収容する排出手段と、該画像除去手段によって画像形成物質の除去がなされた記録媒体を該排出手段に搬送する排出搬送手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の画像除去装置において、上記画像除去手段は、記録媒体上の画像形成物質を加熱する加熱手段と、記録媒体の画像が形成された面と接触して該加熱手段によって加熱された画像形成物質を記録媒体上から転写させて画像形成物質を記録媒体上から剥離させる画像剥離部材を備える画像剥離手段と、該画像剥離部材が記録媒体と接触する位置で該画像剥離部材に記録媒体を重ね合わせて加圧する加圧手段とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の画像除去装置において、上記耳折れ修正手段によって耳折れが修正され得る領域にある記録媒体を保持または搬送する耳折れ修正部搬送部材を備え、耳折れが発生している記録媒体に対して該耳折れ修正手段が作用させる力の大きさは、該修正部搬送部材と記録媒体との最大静止摩擦力から記録媒体を搬送するために要する力を引いた力の大きさ以下であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5または6の画像除去装置において、上記耳折れ修正手段は、耳折れ修正部材として記録媒体の耳折れ部位を摺擦する接触型の耳折れ修正部材を備えるものであり、該耳折れ修正部材で記録媒体の耳折れ部位を摺擦することにより耳折れ部位を戻すことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の画像除去装置において、上記耳折れ修正部材の耳折れ部位摺擦部が記録媒体の搬送方向下流側の耳折れ部位を摺擦するとき、該耳折れ部位摺擦部の記録媒体の搬送方向についての移動速度が記録媒体の搬送速度よりも大きくなる耳折れ修正部材を備えることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項7または8の画像除去装置において、記録媒体の耳折れ部位を摺擦する上記耳折れ修正部材の耳折れ部位摺擦部が記録媒体の搬送方向上流側の耳折れ部位を摺擦するとき、該耳折れ部位摺擦部の記録媒体の搬送方向についての移動速度が記録媒体の搬送速度よりも小さくなる耳折れ修正部材を備えることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項7の画像除去装置において、記録媒体の耳折れ部位を摺擦する上記耳折れ修正部材の耳折れ部位摺擦部が記録媒体の搬送方向下流側の耳折れ部位を摺擦するときに該耳折れ部位摺擦部の記録媒体の搬送方向についての移動速度が記録媒体の搬送速度よりも大きく、該耳折れ部位摺擦部が記録媒体の搬送方向上流側の耳折れ部位を摺擦するときに該耳折れ部位摺擦部の記録媒体の搬送方向についての移動速度が記録媒体の搬送速度よりも小さくなる耳折れ修正部材を備えることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項7、8、9または10の画像除去装置において、記録媒体の耳折れ部位を摺擦する上記耳折れ修正部材の耳折れ部位摺擦部が、記録媒体の搬送方向下流側端部近傍と記録媒体の搬送方向上流側端部近傍との少なくとも一方のみに接触することを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項7、8、9、10または11の画像除去装置において、上記耳折れ修正部材は、回転軸と該回転軸に対して非対称な形状で該回転軸を中心に回転可能で、且つ、記録媒体の耳折れ部位を摺擦可能な偏心摺擦部材を備えることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1、2、3、4、5または6の画像除去装置において、上記耳折れ修正手段は、記録媒体の耳折れ部位に風圧を作用させることが可能な風圧発生手段を備える耳折れ修正部材を備えるものであり、該耳折れ修正部材で記録媒体の耳折れ部位に風圧を作用させることにより耳折れ部位を戻すことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項13の画像除去装置において、上記風圧発生手段は、記録媒体の搬送方向下流側端部近傍と記録媒体の搬送方向上流側端部近傍との少なくとも一方のみに風圧を作用させることを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項7、8、9、10、11、12、13又は14の画像除去装置において、上記耳折れ修正部材によって耳折れの修正が成される箇所を通過する記録媒体を挟んで両側に位置するように該耳折れ修正部材が配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15の画像除去装置において、上記耳折れ修正手段が、記録媒体の耳折れ部位を戻すように作用する耳折れ修正部材と、少なくとも記録媒体の耳折れ部位の折れ線となっていた箇所に液体成分を付与することができる液体付与手段とを備え、該耳折れ修正手段は、該耳折れ修正部材が記録媒体に作用する位置、及び、該液体付与手段が記録媒体に液体成分を付与する位置よりも記録媒体の搬送方向下流側に、記録媒体を加熱・加圧することができる加熱・加圧手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項16の画像除去装置において、上記液体付与手段は、液体成分を記録媒体に向けて噴出するスプレーノズルと、該スプレーノズルから噴出させる液体成分を収容する液体容器と、該液体容器から該スプレーノズルまで液体成分を送るための液体搬送管と、該スプレーノズルに気流を発生させる気流発生手段と、該気流発生手段で発生させた気流をスプレーノズルまで導く気流誘導管とを有することを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、請求項13または14に記載の画像除去装置において、上記風圧発生手段は気流を発生させ、その気流を記録媒体の耳折れ部位に当てることにより耳折れ部位に風圧を作用させるものであり、上記耳折れ修正手段は、該風圧発生手段と、該風圧発生手段が発生させる気流に液体成分を付与することができる液体付与手段と、該風圧発生手段が記録媒体に風圧を作用させる位置よりも記録媒体の搬送方向下流側に、記録媒体を加熱・加圧することができる加熱・加圧手段とを備え、記録媒体の耳折れ部位に液体成分を含ませた気流を当てることによって風圧を作用させ、耳折れ部位を修正するものであることを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、請求項16、17、または18に記載の画像除去装置において、上記加熱・加圧手段は、上記画像除去手段よりも記録媒体の搬送方向上流側に配置されたローラ対からなり、該ローラ対は、ローラ表面を加熱するローラ加熱手段を備えた加熱ローラと、金属製の芯金及び弾性材料からなる表面層から形成される加圧ローラとからなり、該加熱ローラまたは該加圧ローラの少なくとも何れか一方のローラに駆動を伝達する駆動手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項20の発明は、請求項16、17、18または19に記載の画像除去装置において、上記画像除去手段は、記録媒体上の画像形成物質を加熱する加熱手段と、記録媒体の画像が形成された面と接触して該加熱手段によって加熱された画像形成物質を記録媒体上から転写させて画像形成物質を記録媒体上から剥離させる画像剥離部材を備える画像剥離手段と、該画像剥離部材が記録媒体と接触する位置で該画像剥離部材に記録媒体を重ね合わせて加圧する加圧手段とを備え、該画像除去手段を上記加熱・加圧手段として兼用することを特徴とするものである。
また、請求項21の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20の画像除去装置において、上記耳折れ修正手段に対して記録媒体の搬送方向上流側に記録媒体の耳折れの有無を検知する耳折れ検知手段と、該耳折れ検知手段により耳折れが有ることを検知された場合のみ、該耳折れ修正手段が作動するように制御する制御手段とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項22の発明は、請求項21の画像除去装置において、上記耳折れ検知手段は、検知領域における記録媒体の有無を検知する検知部材を備え、記録媒体の搬送方向に対して直交する方向である記録媒体の幅方向について、記録媒体の幅方向の中央部が通過する位置を検知領域とする中央検知部材と、記録媒体の幅方向の端部が通過する位置を検知領域とする端部検知部材との検知結果を比較し、中央検知部材では記録媒体が有ることを検知したタイミングで端部検知部材が記録媒体はないと検知したときに記録媒体に耳折れが有ることを検知することを特徴とするものである。
また、請求項23の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21の画像除去装置において、記録媒体の上記記録媒体搬送経路内での搬送方向について、上記耳折れ修正手段に対して搬送方向下流側に配置され、記録媒体から画像形成物質を除去する画像除去手段と、該耳折れ修正手段に対して搬送方向下流側、且つ、該画像除去手段に対して搬送方向上流側に記録媒体の耳折れの有無を検知する修正下流側耳折れ検知手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項24の発明は、請求項23の画像除去装置において、上記修正下流側耳折れ検知手段によって、耳折れがないと検知された場合には上記画像除去手段へと記録媒体を搬送し、耳折れがあると検知された場合には、上記耳折れ修正手段によって耳折れを修正する位置よりも搬送方向上流側まで記録媒体を戻して、この記録媒体に対して該耳折れ修正手段での耳折れの修正を再度実行する制御を行う制御手段を有し、該制御手段は、該修正下流側耳折れ検知手段によって耳折れがあると検知され、該耳折れ修正手段での耳折れの修正を再度実行された記録媒体に対して、該修正下流側耳折れ検知手段による二回目の耳折れの有無の検知を行い、該修正下流側耳折れ検知手段による二回目の検知で、耳折れがないと検知された場合には該画像除去手段へと記録媒体を搬送し、耳折れがあると検知された場合には、記録媒体は画像除去を行わずに記録媒体排出手段によって装置外に排出する制御を行うことを特徴とするものである。
また、請求項25の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24の画像除去装置において、記録媒体の上記記録媒体搬送経路内での搬送方向について、上記耳折れ修正手段に対して搬送方向下流側に配置され、記録媒体から画像形成物質を除去する画像除去手段と、該耳折れ修正手段に対して搬送方向下流側、且つ、該画像除去手段に対して搬送方向上流側に記録媒体の耳折れの有無を検知する修正下流側耳折れ検知手段と、該修正下流側耳折れ検知手段に対して搬送方向下流側、且つ、該画像除去手段に対して搬送方向上流側に配置され、該修正下流側耳折れ検知手段によって検知される位置を通過後の記録媒体の搬送経路を、記録媒体が該画像除去手段に向かう第一搬送経路、または、該画像除去手段を通らずに装置外に向かう第二搬送経路に切り替えることができる搬送経路切り替え手段をと有し、該耳折れ修正手段によって一回以上の所定回数の耳折れの修正が行われた後、該修正下流側耳折れ検知手段によって耳折れがあることが検知された記録媒体を該第二搬送経路に搬送するように該搬送経路切り替え手段を制御する制御手段を有することを特徴とするものである。
【0007】
上記請求項1乃至25の画像除去装置においては、耳折れ修正手段を有するので画像の除去を行う記録媒体について画像除去装置が取り扱う前に耳折れが発生していても、耳折れを修正することができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1乃至25の発明によれば、耳折れが発生していた記録媒体の耳折れを修正することができるので、画像形成物質を除去した後の記録媒体が耳折れのない状態とすることができ、耳折れに起因する不具合の発生を防止することができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を画像除去装置に適用した一実施形態について説明する。
図1は画像除去装置の基本構成を説明するフローチャートである。図1に示すように画像除去装置は、記録媒体から画像を除去する画像除去手段と、記録媒体を供給する供給手段と、供給手段によって供給された記録媒体を画像除去手段搬送する供給搬送手段とを備える。さらに、画像除去手段によって画像の除去がなされた記録媒体を排出手段に搬送するための排出搬送手段と、排出搬送手段によって搬送されてきた記録媒体を装置外部へ排出する排出手段とを備える。
供給手段は、画像を除去しようとしているシート状の記録媒体を少なくとも一枚毎に供給搬送手段に供給するものである。また、排出手段は、画像の除去がなされた記録媒体をユーザーが手に取りやすい位置に設けられた収納容器へ排出するものである。
【0010】
本実施形態の画像除去装置では、耳折れが発生した記録媒体の耳折れを修正する耳折れ修正手段を、図1に示す供給手段から排出手段までの間に有する。記録媒体に耳折れが発生したままの状態では、画像形成装置内での搬送不良が発生しやすいだけでなく、画像除去装置内での搬送不良も発生しやすくなる。このため耳折れ修正手段は画像除去装置内の記録媒体搬送経路の中で極力上流側に設けられていることが好ましく、図1に示すフローチャートでは、供給手段と、供給搬送手段との間に耳折れ修正手段が設けられていることが好ましい。
【0011】
本実施形態のおいて、「耳折れ」とは、長方形のシート状の記録媒体の四隅近傍に発生する記録媒体の折れのことを指し、通常平面状となる記録媒体表面に対して耳折れによって起き上がっている三角形状の部位を耳折れ部位と呼ぶ。このような記録媒体の耳折れは、画像形成装置外、画像除去装置外で表面に画像が形成された記録媒体をユーザーが書類などとして取り扱っている間に発生しやすい。耳折れが発生した状態の記録媒体を再利用して、画像形成装置で画像形成を行おうとすると、この耳折れが原因となって、紙詰まり、レジスト不良、スキューなどの搬送不良が発生しやすくなる。本実施形態の「耳折れの修正」とは、先に述べた耳折れ部位を通常の記録媒体と同様の状態に修正する、すなわち、起き上がった三角形状の面を記録媒体表面と同一平面上となるように修正することを指す。
また、図1中の供給手段及び排出手段は、以下の説明では、それぞれ記録媒体供給手段及び記録媒体排出手段である。
【0012】
次に図2を用いて本発明を適用した画像除去装置の一例の概略について説明する。
図2は、本実施形態の画像除去装置100の概略構成図である。
画像除去装置100は、給紙トレイ12、記録媒体供給手段である給紙コロ13、耳折れ修正手段として耳折れ修正部25、供給搬送手段である供給ローラ対27及び搬送ガイド26、画像除去手段である画像除去部11等を備える。さらに、排出搬送手段である排出搬送ローラ対22、記録媒体排出手段である排紙ローラ対24、及び排紙トレイ23等を備える。
【0013】
給紙トレイ12は、画像除去しようとする記録媒体である用紙Pを収容する容器であり、給紙コロ13は給紙トレイ12内の用紙Pを一枚毎に耳折れ修正部25へと送り出す。耳折れ修正部25を通過した用紙Pは、搬送ガイド26及び供給ローラ対27によって画像除去部11へと搬送される。画像除去部11で画像形成物質が除去された用紙Pは、排出搬送ローラ対22によって搬送され、排紙ローラ対24によって、排紙トレイ23に排出される。排紙トレイ23に排出された用紙Pは排紙トレイ23に収容される。また、給紙コロ13は、用紙Pを一枚毎に耳折れ修正部25へと送り出すためのローラ状の部材である。
なお、図2の画像除去装置100の耳折れ修正部25は耳折れを修正する構成の一例を示したものであって、図2に示す例が耳折れを修正する構成の最良の形態を表すものではない。
【0014】
次に、画像除去部11について説明する。
画像除去部11は、用紙P上の画像形成物質の転写を受け、用紙Pから画像形成物質を剥離させる画像剥離部材としての剥離ベルト18と、加圧手段としての加圧ローラ19とを備える。また、用紙Pから転写された画像形成物質を剥離ベルト18から除去する剥離ベルトクリーニング装置20を備える。剥離ベルト18は、内部に熱源としてのハロゲンランプ14を備えるアルミニウム製の加熱手段である加熱ブロック15、テンションローラ16及びクリーニングバックアップローラ17の3つの張架部材によって張架される無端ベルトである。加熱ブロック15、テンションローラ16及びクリーニングバックアップローラ17の3つの張架部材と、これらに張架される無端ベルトである剥離ベルト18とによって画像剥離手段である剥離ベルトユニット10を構成する。また加圧ローラ19は搬送される用紙Pと剥離ベルト18とを加熱した状態で加圧するために剥離ベルト18を挟んで加熱ブロック15と対向し、剥離ベルト18に加圧する。剥離ベルトクリーニング装置20は、剥離ベルト18の表面上の画像形成物質を除去するためのスパイラル状クリーニングブレード28、剥離ベルト18から除去された画像形成物質を回収して収納する回収容器21等を備える。
【0015】
剥離ベルト18としては、アルミニウム、ニッケル、ステンレスなどの金属、または、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アラミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン等の高分子化合物から成るものを用いることができる。
また、加圧ローラ19としては、表面にシリコンゴム、フッ素ゴム、ポリウレタンゴムなどの弾性部と、ステンレス、アルミニウム、鉄などの芯金とからなるローラ部材を用いる。バネや水圧、空気圧などを用いた不図示の加圧機構によって、加圧ローラ19は剥離ベルト18に対して加圧されている。
【0016】
用紙P上の画像形成物質は、加熱ブロック15によって加熱された剥離ベルト18と接触することにより加熱される。このとき、画像形成物質を表面に担持する用紙Pは、画像形成物質が剥離ベルト18に接触した状態で剥離ベルト18とともに加圧ローラ19によって加圧される。用紙P上の画像形成物質は、加熱及び加圧されることにより、用紙Pから剥離ベルト18に熱転写される。
図2に示すように、加熱ブロック15と加圧ローラ19とが対向する位置に対して、用紙Pの搬送方向下流側に、加熱ブロック15はエッジ部を備える。このエッジ部は半径が1〜5[mm]程度の曲率となっており、加熱ブロック15に張架される剥離ベルト18はこの曲率に沿って表面移動するため、用紙Pの剛性によって用紙Pと剥離ベルト18とが分離される。
【0017】
用紙Pから剥離ベルト18に転写された画像形成物質は、剥離ベルト18の表面移動によって、剥離ベルト18とスパイラル状クリーニングブレード28との対向部に到達する。ここで、剥離ベルト18上の画像形成物質は回転するスパイラル状クリーニングブレード28によって掻き落とされて、回収容器21に溜められる。一方、画像形成物質が除去された用紙Pは、排出搬送ローラ対22によって搬送され、排紙ローラ対24によって排紙トレイ23に排出される。
【0018】
図2に示す画像除去装置100では、本発明に使用することができる画像除去手段として、用紙P上の画像を形成する画像形成物質を画像剥離部材である剥離ベルト18に転写して除去する方法を用いる画像除去部11を備えている。図2では、画像除去手段の一例として、用紙P上の画像を形成する画像形成物質を画像剥離部材である剥離ベルト18に熱転写して除去する方法を用いる画像除去部11を示している。画像剥離部材としては、表面に粘着性の組成物が付与されたものを使用することもできる。
用紙Pから画像形成物質を除去する他の方法としては、画像が形成された用紙Pの表面を、ブラシ、ブレード、凹凸表面を有する研磨材によって擦ることにより画像形成物質を用紙P表面から除去する摺擦除去法が挙げられる。
さらに、画像が形成された用紙Pに対して界面活性剤を含む水溶液中や有機溶媒中でブラシ、ブレード、綿布などを表面に有するローラによって摩擦することにより、洗浄して画像形成物質を除去する方法も使用することができる。
【0019】
本発明には、上述した何れの画像形成物質除去方法も適用できるが、特に、図2を用いて説明したように画像形成物質を画像剥離部材に熱転写して除去する方法を用いることが好ましい。この場合の画像形成物質としては熱可塑性または熱溶融性の画像形成物質を用いる。そして、用紙P上の画像を形成する画像形成物質を画像剥離部材に接着して、画像剥離部材と用紙Pとを分離することにより、用紙P上の画像形成物質を画像剥離部材に転写し、用紙P上から画像形成物質を除去する。この方法では、用紙P上の画像を形成する画像形成物質を良好に除去することができ、且つ、画像除去装置の構成も比較的簡単なものとなり、画像除去の機能の信頼性も得られる。
【0020】
本実施形態において、給紙コロ13を搬送方向上流側、排紙ローラ対24を搬送方向下流側とする。そして、「用紙Pの先端部」とは用紙Pが画像除去装置100内で搬送状態にあるとき、搬送方向に対して下流側の用紙Pの一辺近傍の部分を指す。また、「用紙Pの後端部」とは搬送状態にあるときの用紙Pの搬送方向に対して上流側の一辺近傍の部分を指す。
【0021】
次に、本実施形態の画像除去装置100で表面上の画像の除去がなされる記録媒体である用紙Pについて説明する。
用紙Pとしては上質紙、中質紙、アート紙、合成紙、プラスチックフィルム等の画像形成に使用される一般的な記録媒体も用いることができるが、本実施形態の用紙Pとしてはリユーザブルメディアを用いる。このリユーザブルメディアとは、一般的な記録媒体に比べて、その表面上に形成された画像情報を容易に除去することができる記録媒体である。詳しくは、一般的な記録媒体に用いられるような、紙、合成紙、プラスチックフィルム等を基体とし、その表面または表面近傍に画像形成物質との定着強度が一般的な記録媒体よりも低くなるような組成物を設けたものを用いる。また、画像形成物質が用紙Pの表面から内部に浸透、または表面上の凹部に進入してしまうと、用紙Pから画像形成物質を除去が困難となるため、画像形成物質の浸透、進入を防止するための組成物を表面近傍に設けたものも用いられる。
【0022】
リユーザブルメディアの具体例としては、以下の物を挙げることができる。
表面にシリコン樹脂、シランカップリング剤などのシリコン化合物を含む組成物を設けたシート。カルナウバワックス、蜜蝋、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス等のワックス類を含む組成物を設けたシート。フッ素化したアルキル基を有するアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル重合体あるいはフッ素化されたアルキル基を含む海面活性剤を含む組成物を設けたシート。アルキルケテンダイマーやアルケニル無水コハク酸などの紙のサイジング剤を一般の紙に用いられる量よりも著しく添加量を多くして抄紙した紙やこれらのサイジング剤を含む組成物を表面近傍に設けたシート。高級アルキル基やアルケニル基を含む界面活性剤やオレフィン−無水マレイン酸重合体ケン化物を含む組成物を設けたシート。
【0023】
上述したリユーザブルメディアの例の中でも、オレフィン−無水マレイン酸重合体ケン化物を含む組成物を設けたシートは、画像形成物質とリユーザブルメディアとの接着性を適度に調節することが可能になる。このため、画像形成時には画像形成物質の定着性を確保しながら、画像除去装置でのリユーザブルメディアからの画像形成物質の除去を容易にすることができる。さらに、繰り返し使用の耐久性に優れ、水を媒体とした塗布液とすることができ、製造時における安全性を確保することができる。よって、リユーザブルメディアとしてオレフィン−無水マレイン酸重合体ケン化物を含む組成物を設けたシートを用いることが好ましい。
【0024】
リユーザブルメディアの表面近傍には、その表面と画像形成物質との接着力を調節したり、上述した化合物を固定化したりするため、表面を平滑化するために高分子化合物を用いることができる。リユーザブルメディアの表面と画像形成物質との接着性を低下させたり、リユーザブルメディアの表面と画像形成物質との濡れ性を低下させたりするための化合物としては樹脂化合物を混合した組成物を設けることができる。この樹脂化合物としては、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、ポリエスチレン・ブタジエン樹脂エマルジョン、デンプン、酸化デンプン、エステル化デンプン等を挙げることができる。
【0025】
本実施形態で用いることができるリユーザブルメディアの基材としては、上述したように一般的な記録媒体で用いられるような、紙、合成紙、プラスチックフィルム等を用いることができる。この基材の材料には特に制限はないが、画像形成物質との接着強度を低下したり、画像形成物質の浸透、進入を防止したりするための組成物を目止め層のない普通紙に塗布する場合には、画像を形成する面に、0.5〜15[g/m]の付着量、特に2.0〜6.0[g/m]の付着量となるように塗布することが好ましい。この範囲よりも少ない付着量では紙の表面近傍にある凹部や穴部に画像形成物質が浸透または侵入し易く、画像形成物質の除去が困難になり、画像除去装置で画像物質を除去する処理の後に用紙P上に画像形成物質が残留するおそれがある。用紙P上に画像形成物質が残留すると、リユーザブルメディアである用紙Pの繰り返し使用回数が制限されてしまう。一方、上述した範囲よりも多い付着量では画像形成物質の定着性を確保することが困難と成りやすい。さらに、用紙Pの表面平滑度が高くなり過ぎて画像形成装置や画像除去装置の内部で用紙Pを搬送することが困難になる恐れがある。
【0026】
合成紙やプラスチックフィルムを基材とするリユーザブルメディアも用いることはできるが、これらは通常化石資源を原材料とするので、紙を基材とする場合に比べて環境負荷が大きくなってしまう欠点がある。また、電子写真記録方式の画像形成装置では、用紙Pが帯電してしまうことにより、ユーザーが用紙Pを触るときに電撃を受ける問題や用紙P同士で静電気力が作用して画像形成装置や画像除去装置の排出部で用紙Pのスタックが困難になる問題などが生じやすい。
紙を基材とする場合には、紙に目止め層を設けた後、画像形成物質との接着強度を低下させたり、画像形成物質の浸透または進入を防止したりするための組成物を設けたリユーザブルメディアも本実施形態の用紙Pに用いることができる。目止め層には上述した樹脂化合物をバインダーとし、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、ポリスチレン架橋体、ポリアクリル樹脂架橋体などの顔料を分散せしめた組成物を用いることができる。
合成紙やプラスチックフィルムを基材とする場合や、目止め層を設けた紙を使用する場合には、画像形成物質との接着強度を低下したり、画像形成物質の浸透、進入を防止したりするための組成物の付着量を少なくしても、組成物を用紙Pの表面上に均一に付与することができる。よって、この場合には用紙Pと画像形成物質との接着強度を低下したり、画像形成物質の浸透、進入を防止したりするための組成物質を2.0[g/m]以下としても良好な画像形成物質の除去が可能となる。
【0027】
用紙Pとしてリユーザブルメディアを用いる場合、用紙Pがリユーザブルメディアであることを示す再利用識別手段の付与がなされた用紙Pを用いてもよい。
リユーザブルメディアであることを示す再利用識別手段としては、従来の公知の物を用いることができる。すなわち、シート状の用紙Pの一部または全面を認識可能な染料・顔料等で着色したり、画像形成装置で読み取り可能なバーコードを印刷したり、バーコード以外のマークを印刷したものであっても良い。着色する色材は、可視光を吸収するものの他に、紫外線や赤外線を吸収するもの、蛍光を発するもの、磁気インクでもよい。また、電磁波に感応するICチップであっても良い。このような再利用識別手段は、用紙P表面上に形成される画像情報を活用するときに画像に重なって邪魔することがないように用紙Pの端部近傍に設けられたものが好ましく、また、画像除去する時には消失しないものが好ましい。
【0028】
また、シート状の端部近傍に再利用識別手段を設けたリユーザブルメディアを用紙Pとして用いる場合、再利用で画像を形成する画像形成装置が再利用識別手段を識別可能な装置であっても、再利用識別手段を設けた部分が耳折れとなると、再利用識別手段を識別できなくなるおそれがある。これに対して本実施形態の画像除去装置100であれば耳折れ修正部25を備えているため、画像を除去する前の用紙Pに耳折れが発生していても画像を除去して用紙Pを装置外に排出するときには用紙Pは耳折れがない状態となる。このため、用紙Pの再利用識別手段を設けた位置に耳折れが発生しても、再利用で画像を形成する画像形成装置で再利用識別手段を識別できなくなることを防止することができる。
【0029】
画像除去装置100では記録媒体搬送経路の記録媒体供給手段である給紙コロ13と画像除去手段である画像除去部11との間の記録媒体搬送経路内に、耳折れ修正手段である耳折れ修正部25が配置されている。言い換えると、記録媒体搬送経路の用紙Pの搬送方向について画像除去部11に対して搬送方向上流側に配置されている。画像が形成された状態の用紙Pの、画像が形成されている部分に耳折れが発生し、耳折れが発生した状態のまま画像除去部11で画像形成物質の除去を行うと、耳折れで隠れた部分に定着している画像が除去されにくく残留するおそれがある。画像除去装置100では、耳折れ修正部25で耳折れを修正した後に画像除去部11で画像形成物質の除去を行うため、用紙Pの画像が形成された個所に耳折れが発生していても、画像が残留することを防止することができる。
【0030】
また、用紙Pとして画像形成物質に対する定着性を低下させたリユーザブルメディアを用いることにより、画像除去の工程で用紙Pに剥離液を付与する必要がなく、簡素な構成の装置で画像を除去することができる。しかし、リユーザブルメディア上の画像を除去する画像除去装置では一般的な記録媒体との区別をする必要がある。リユーザブルメディア上から画像を除去する画像除去装置の用紙Pとして一般的な記録媒体が混入すると、画像形成物質と記録媒体との接着力が大きいため、剥離ベルト18と用紙Pとを加熱・加圧後に両者を分離することができず、画像除去装置100内で搬送不良となるおそれがある。また、剥離ベルト18と用紙Pとを分離することができなくなるような不具合が生じた場合、剥離ベルト18が使用不可能となるおそれがある。そこで、リユーザブルメディアであることを識別可能なように識別マークが付与されているものが有る。この識別マークが用紙P上に形成される画像の邪魔とならないようにするには、用紙Pの端部近傍に識別マークを付与することが有利であるが、識別マークを付与した端部に耳折れが生じると識別マークが隠れてしまうおそれがある。耳折れにより識別マークが隠れてしまうと、画像除去装置100や再利用時の画像形成装置で識別マークを検出できず、識別不良となる可能性が有る。これに対して画像除去装置100は耳折れ修正部25を備えているので、識別マークを付与した端部に耳折れが発生しても耳折れを耳折れ修正部25で耳折れを戻すことによって識別不良を防止することができる。
【0031】
次に、用紙Pの保持及び搬送に悪影響を及ぼすことなく、耳折れを修正する原理について説明する。
図3は画像除去装置100で用紙Pの保持及び搬送に悪影響を及ぼすことなく、耳折れを修正する原理の説明図である。図3(a)は用紙Pの先端部に生じた耳折れ部位Eを修正する場合の説明図であり、図3(b)は用紙Pの後端部に生じた耳折れ部位Eを修正する場合の説明図である。なお、図3中矢印A方向が用紙Pの搬送方向である。
【0032】
図2の画像除去装置100では給紙コロ13、供給ローラ対27、排出搬送ローラ対22、排紙ローラ対24等の複数の搬送ローラが用紙Pに対して搬送力を付与している。そして、タイミングによっては複数の搬送ローラが用紙Pに搬送力を付与する。図3では説明を簡略にするために、あるタイミングで耳折れ修正部25によって耳折れが修正され得る領域にある一枚の用紙Pに対して搬送力を付与する部材として耳折れ修正部搬送部材である搬送ローラ1と表現する。図3で示す搬送ローラ1に該当する図2中の部材は、記録媒体搬送経路における用紙Pの位置によって異なる。詳しくは、用紙Pの先端部のみが耳折れ修正部25に到達した状態では搬送ローラ1に該当する部材は給紙コロ13であり、用紙Pの後端部のみが耳折れ修正部25にある状態では、詳細は後述する耳折れ修正部25が備える加圧ローラ対42が搬送ローラ1に該当する部材である。また、用紙Pの先端側が加圧ローラ対42と接触し、用紙Pの後端側が給紙コロ13と接触する状態では、加圧ローラ対42と給紙コロ13とが搬送ローラ1に該当する部材である。
【0033】
用紙Pが搬送手段である搬送ローラ1に搬送される状態にあるときには、搬送ローラ1の周速度と用紙Pの搬送速度とは等しく、搬送ローラ1と用紙Pとの両者は静止摩擦力によって保持されている。静止摩擦係数が作用している間は用紙Pの保持・搬送状態に影響はない。しかし、用紙Pを搬送するために要する力が搬送ローラ1と用紙Pとの静止摩擦力の最大値である最大静止摩擦力を超えると搬送ローラ1の周速と用紙Pの移動速度とに速度差が生じ、用紙Pの保持・搬送状態に悪影響を及ぼすことになる。
【0034】
図3の説明図では、用紙Pを搬送するために用紙Pを押し出す力である搬送力F1が働く。用紙Pに対して搬送力F1が働いているときには、用紙Pと搬送ローラ1との間には搬送摩擦力T1が働いている。搬送摩擦力T1は、搬送力F1と同じ大きさで逆向きの力である。
【0035】
図3(a)のように用紙Pの先端部に生じた耳折れ部位Eを修正する場合、先端部の耳折れ部位Eに対して耳折れを修正するために作用する力(以下、耳折れ修正力と呼ぶ)F2が用紙Pの搬送方向に働く。そして、耳折れ修正力F2が作用しているときには、用紙Pと搬送ローラ1との間には耳折れ修正時に作用する摩擦力である耳折れ修正摩擦力T2が働いている。耳折れ修正摩擦力は耳折れ修正力F2と同じ大きさで逆向きの力である。
図3(a)の場合、
(搬送摩擦力T1)+(耳折れ修正摩擦力T2)>(搬送ローラ1と用紙Pとの間の最大静止摩擦力)
すなわち、
(搬送力F1)+(耳折れ修正力F2)>(搬送ローラ1と用紙Pとの間の最大静止摩擦力)
となると、用紙Pと搬送ローラ1とがスリップを起こし、用紙Pの搬送速度が変動することになる。
このため、下記の式(1)を満たす耳折れ修正力F2を、用紙Pの先端部の耳折れ部位Eに作用させることによって用紙Pの保持・搬送状態に悪影響を及ぼすことなく、耳折れ部位Eを修正することができる。
(搬送力F1)+(耳折れ修正力F2)≦(搬送ローラ1と用紙Pとの間の最大静止摩擦力)・・・・(1)
【0036】
一方、図3(b)のように用紙Pの後端部に生じた耳折れ部位Eを修正する場合、後端部の耳折れ部位Eに対して耳折れを修正するために作用する耳折れ修正力F2が用紙Pの搬送方向とは逆の方向に働く。そして、耳折れ修正力F2が作用しているときには、用紙Pと搬送ローラ1との間には耳折れ修正力F2と同じ大きさで、且つ逆向きの力である耳折れ修正摩擦力T2が働いている。
図3(b)の場合、
(搬送摩擦力T1)+(耳折れ修正摩擦力T2)>(搬送ローラ1と用紙Pとの間の最大静止摩擦力)
すなわち、
(搬送力F1)+(耳折れ修正力F2)>(搬送ローラ1と用紙Pとの間の最大静止摩擦力)
となると、用紙Pと搬送ローラ1とがスリップを起こし、用紙Pの搬送速度が変動することになる。このため、下記の式(2)を満たす耳折れ修正力F2を、用紙Pの後端部の耳折れ部位Eに作用させることによって用紙Pの保持・搬送状態に悪影響を及ぼすことなく、耳折れ部位Eを修正することができる。
(搬送力F1)+(耳折れ修正力F2)≦(搬送ローラ1と用紙Pとの間の最大静止摩擦力)・・・・(2)
【0037】
次に、耳折れ修正部25が備える耳折れ修正部材を設ける位置について説明する。用紙Pに発生する耳折れは用紙Pの先端部または後端部の幅方向(搬送方向に直交する方向)の両端、すなわち、用紙Pの四隅に主に発生する。従って、本実施形態の画像除去装置100の耳折れ修正部25が備える耳折れ修正部材は、少なくとも用紙Pの先端部および後端部における両端を摺擦せしめるものであれば良い。詳しくは、用紙Pの幅方向両端より0[cm]〜5[cm]、用紙Pの先端および後端より0[cm]〜5[cm]の範囲を摺擦可能な部材であることが好ましい。
【0038】
〔実施例1〕
次に、耳折れ修正部25の一つ目の実施例(以下、実施例1と呼ぶ)について説明する。
図4は実施例1の耳折れ修正部25の概略説明図である。図4(a)は、給紙トレイ12、給紙コロ13及び耳折れ修正部25の上面模式図であり、図4(b)これを側方から見た側方模式図である。
図4に示す実施例1の耳折れ修正部25は、記録媒体である用紙Pの搬送方向下流側端部(先端部)に発生した耳折れ部位を摺擦し、修正するために設けられた接触型の耳折れ修正部材としてのブラシローラ対41を備えている。ブラシローラ対41を回転させる修正部材駆動手段であるローラ回転モータ40及び制御部60は用紙Pの搬送速度よりも速い周速度でブラシローラ対41を回転させる。また、ブラシローラ対41によって用紙Pの他の部分と同一平面になるように修正された耳折れ部位Eが再度起き上がらないように、用紙Pを加圧する加圧ローラ対42を備える。加圧ローラ対42はバネや水圧、空気圧などを利用した不図示の加圧構造によってローラ対を構成する二つのローラが押圧し合い、2つのローラの間を通過する用紙Pに対して加圧するものである。
【0039】
図4及びその説明では、耳折れ修正部材としてブラシローラ対41を例に挙げたが、実施例1で用紙Pの先端部の耳折れを修正するために、適用可能な耳折れ修正部材としてはこれに限るものではない。
図5に、実施例1に適用可能な耳折れ修正部材の例を示す。
【0040】
図5(a)は表面が多孔質のスポンジやゴム等のような柔らかい材料からなるローラ状の耳折れ修正部材であり、図5(b)はローラ面全体がブラシ状の耳折れ修正部材である。図5(c)は円筒状の二つの部材の間に用紙Pが通過できる程度の間隙を設けた耳折れ修正部材であり、図5(d)は角柱状、図5(e)はブレード状の二つの部材の間に用紙Pが通過できる程度の間隙を設けた耳折れ修正部材である。
【0041】
図5中のαで示す図5(a)及び図5(b)のローラ状の耳折れ修正部材は、部材自体は移動しないが耳折れ部位Eと摺擦する部分である耳折れ部位摺擦部が、用紙Pの搬送速度よりも速い速度で移動するものである。図5(a)及び図5(b)のようにローラ状のものであれば、用紙Pの搬送速度よりも速い周速となるように、且つ、用紙Pの搬送速度や紙質に影響を与えない力で耳折れ部位摺擦部が移動するようにローラ回転モータ40がローラ状の部材を回転駆動する。耳折れ部位摺擦部により用紙Pの耳折れ部を摺擦し、耳折れ部に力を加えるものである。耳折れ部位摺擦部は図5(a)ではローラ表面であり、図5(b)ではローラ表面に設けられたブラシである。
【0042】
図5中のβで示す図5(c)、図5(d)、図5(e)及び図5(f)の耳折れ修正部材は、耳折れ修正部材全体が移動することにより、用紙Pの先端部の耳折れ部位を摺擦するものである。これらは、耳折れ修正部材全体が用紙Pの搬送方向に移動することにより、耳折れ修正部材の耳折れ部位摺擦部が搬送方向に移動しながら用紙Pの耳折れ部を摺擦し、耳折れ部に力を加えるものである。図5(c)、図5(d)及び図5(e)では2つの部材の間隙近傍が耳折れ部位摺擦部となる。図5(f)では2つの支持体にそれぞれ固定されたフィルム状の部材が耳折れ部位摺擦部となる。また、耳折れ修正部材と耳折れ部位Eとが接触するときに最も早く接触する点が、耳折れの頂点よりも先に耳折れの内側の面(谷折れの内面)に接触するような形状をしたものが好ましい。
【0043】
次に、実施例1で説明した耳折れ修正部材がブラシローラ対41である耳折れ修正部25での耳折れの修正について説明する。
図6は、先端部に耳折れが生じた用紙Pが図4を用いて説明した耳折れ修正部25を通過する直前の模式図である。図6(a)は、給紙トレイ12、給紙コロ13及び耳折れ修正部25の上面模式図であり、図6(b)は側方から見た側方模式図である。
図7は、先端に耳折れが生じた用紙Pが耳折れ修正部25を通過して耳折れが修正される工程を説明する模式図である。
給紙トレイ12に収容された耳折れが発生した状態の用紙Pは、図7(a)に示すように、給紙コロ13によって耳折れ部位Eを起こすために設けられたブラシローラ対41へと搬送される。ブラシローラ対41の二つのブラシローラの間に搬送された用紙Pは、図7(b)に示すようにブラシローラのブラシとしての起毛部41aによって摺擦される。起毛部41aに摺擦されることによって折れ曲がっていた部位が次第に起こされ、図7(c)に示すように耳折れのない平面状の用紙Pとなる。
【0044】
実施例1のようにブラシローラ対41を用いて耳折れを修正する場合、ブラシローラ対41の2つのブラシローラの周速度を用紙Pの搬送速度(給紙コロ13の周速度)より速く設定する。これにより、耳折れが生じた用紙P全体が搬送される速度よりもブラシローラの表面の起毛部41aによって力が加わった耳折れ部位Eの速度のみが相対的に速くなるため、折れ曲がった耳折れ部位Eを容易に起こすことができる。耳折れ部位Eが起こされ平面状に修正された用紙Pは、耳折れ部位Eだった部分が再度起き上がらないように用紙Pを加圧する加圧ローラ対42を通って、耳折れを修正する工程は完了となる。
【0045】
〔実施例2〕
次に、耳折れ修正部25の二つ目の実施例(以下、実施例2と呼ぶ)について説明する。
図8は実施例2の耳折れ修正部25の概略説明図である。図8(a)は、給紙トレイ12、給紙コロ13、及び、耳折れ修正部25の上面模式図であり、図8(b)はこれを側方から見た側方模式図である。
図8に示す実施例2の耳折れ修正部25は、記録媒体である用紙Pの搬送方向上流側端部(後端部)に発生した耳折れ部位Eを摺擦し、修正するために設けられた耳折れ修正部材としての修正ガイド72を備えている。また、修正ガイド72の搬送方向上流側には給紙コロ13によって搬送される用紙Pを修正ガイド72に案内する修正部案内ガイド71を備える。さらに、修正ガイド72の搬送方向下流側には修正ガイド72によって修正された耳折れ部位Eが再度起き上がらないように、用紙Pを加圧する加圧ローラ対42を備える。
用紙Pは給紙コロ13、加圧ローラ対42等の搬送部材によって搬送されるため、耳折れ修正部材が図8に示すような搬送経路中に固定された部材であっても、用紙Pの後端部の耳折れ部位Eに力を作用させることができる。実施例2の修正ガイド72では通過する用紙Pの耳折れ部位Eが接触し得る箇所が耳折れ部位摺擦部である。
【0046】
図8及びその説明では、耳折れ修正部材として修正ガイド72を例に挙げたが、実施例2で用紙Pの後端部の耳折れを修正するために適用可能な耳折れ修正部材としてはこれに限るものではない。
図9に実施例2に適用可能な耳折れ修正部材の例を示す。
図8を用いて説明した修正ガイド72と同様の例としては図9中のβで示す図9(c)の円筒状の部材、図9(d)の角柱状の部材、図9(e)のブレード状の部材、図9(f)のフィルム状部材などが挙げられる。図9中のβで示す耳折れ修正部材は搬送経路中に固定するものに限らず、これらの耳折れ修正部材が用紙Pの搬送速度よりも遅い移動速度で用紙Pの搬送方向と同方向に移動するものであっても良い。
【0047】
また、用紙Pの後端部の耳折れ部位Eに力を加えて用紙Pの搬送速度よりも耳折れ部位Eの移動速度を相対的に遅くする部材であっても良い。このような部材としては、図9のαで示す図9(a)のゴムやスポンジから成る弾性ローラや図9(b)のブラシローラ対などがある。このようなローラ状の部材の表面移動方向が用紙Pの搬送方向に対して逆になるようにローラ状の部材を回転させても良いし、用紙Pの搬送速度(給紙コロ13の周速度)よりも遅い周速度でローラ状の部材を順回転させても良い。
【0048】
また、図9のβで示す円筒状の部材、角柱状の部材、ブレード状の部材、支持体に固定されたフィルム状の部材を、用紙Pの搬送方向とは逆方向に移動可能とする修正部材駆動手段を設けても良い。また、耳折れ修正部材と耳折れ部位Eとが接触するときに最も早く接触する点が、耳折れの頂点よりも先に耳折れの内側の面(谷折れの内面)に接触するような形状をしたものが好ましい。
【0049】
次に、実施例2で説明した耳折れ修正部材が修正ガイド72である耳折れ修正部25での耳折れの修正について説明する。
図10は、後端部に耳折れが発生した用紙Pが耳折れ修正部25を通過して耳折れが修正される工程を説明する模式図である。
図10(a)は、後端部に耳折れ部位Eが発生している用紙Pが、耳折れ修正部25を通過しきる直前の模式図であり、耳折れ部位Eが修正ガイド72に接触したときを示す図である。図10(a)の状態から用紙Pが搬送方向に移動した状態を図10(b)に示す。用紙Pが供給搬送手段である供給ローラ対27と加圧ローラ対42とによって搬送されることで、耳折れ部位E以外の用紙Pの搬送速度に比べて、耳折れ部位Eの速度が相対的に遅くなる。その結果、耳折れ部位Eが修正ガイド72によって摺擦され、耳折れ部位Eの折れ曲がった部分を容易に起こし、図10(c)に示すような耳折れのない平面状の用紙Pとなる。修正ガイド72に対して搬送方向下流側には、修正ガイド72が摺擦して平面状とした耳折れ部位Eが起き上がって再度耳折れ部位とならないように、用紙Pを折れ部位Eが起こされ平面状に修正された用紙Pは、耳折れ部位Eだった部分が再度起き上がらないように用紙Pを加圧する加圧ローラ対42を通って、耳折れを修正する工程は完了となる。
【0050】
〔実施例3〕
次に、耳折れ修正部25の三つ目の実施例(以下、実施例3と呼ぶ)について説明する。
図11は実施例3の耳折れ修正部25の概略説明図である。図11(a)は、給紙トレイ12、給紙コロ13、及び、耳折れ修正部25の上面模式図であり、図11(b)はこれを側方から見た側方模式図である。
実施例1の耳折れ修正部25は用紙Pの搬送方向下流側端部(先端部)に発生した耳折れ部位Eを修正するものであり、実施例2の耳折れ修正部25は用紙Pの搬送方向上流側端部(後端部)に発生した耳折れ部位Eを修正するものであった。一方、実施例3の耳折れ修正部25は一つの接触型の耳折れ修正部材を用いて、用紙Pの搬送方向上流側端部(後端部)に発生した耳折れ部位Eと用紙Pの搬送方向下流側端部(先端部)に発生した耳折れ部位Eとを共に修正するものである。実施例3の修正ブレード73では通過する用紙Pの耳折れ部位Eが接触し得る箇所が耳折れ部位摺擦部である。
【0051】
図11に示す実施例3の耳折れ修正部25は、記録媒体である用紙Pの先端部および後端部に生じた耳折れ部位Eを摺擦するために設けられた、ブレード状の耳折れ修正部材としての修正ブレード73を備える。また、修正ブレード73の搬送方向下流側には修正ブレード73によって修正された耳折れ部位Eが再度起き上がらないように、用紙Pを加圧する加圧ローラ対42を備える。さらに、修正ブレード73を用紙Pの搬送速度よりも速い速度で搬送方向下流側(加圧ローラ側)に移動させることができ、且つ、修正ブレード73を搬送方向上流側(給紙コロ側)へ移動させることができる修正部材駆動手段としての修正部材平行移動モータ70と制御部60とを備える。修正ブレード73が用紙Pよりも速い速度で搬送方向下流側に移動して用紙Pの先端を追い抜くことにより、用紙Pの先端部に耳折れ部位Eが発生している場合の耳折れを修正することができる。また、用紙Pの先端部を追い抜いた後に修正ブレード73が搬送方向上流側に移動して、上下で対向する修正ブレード73の間を用紙Pが通過することにより用紙Pの後端部に耳折れ部位Eが発生している場合の耳折れを修正することができる。なお、図11中の矢印Cは耳折れ修正部材である修正ブレード73が用紙Pの搬送方向について上流側及び下流側に、搬送経路に対して平行移動するように移動可能であることを示す。
【0052】
図11及びその説明では耳折れ修正部材として修正ブレード73を例に挙げたが、実施例3で用紙Pの先端部及び後端部の耳折れを修正するために適用可能な耳折れ修正部材としてはこれに限るものではない。実施例3で用いる耳折れ修正部材は、用紙Pの搬送速度や紙質に影響を与えない力で耳折れ部位Eを摺擦し、用紙Pの耳折れ部位Eを起き上がらせる力を作用せしめるものであれば良い。
図12に実施例3に適用可能な耳折れ修正部材の例を示す。
図11を用いて説明した修正ブレード73と同様の例としては図12中のβで示す図12(c)の円筒状の部材、図12(d)の角柱状の部材、図12(e)のブレード状の部材、図12(f)のフィルム状部材などが挙げられる。図12のβで示す耳折れ修正部材を備え、修正部材平行移動モータ70によって耳折れ修正部材を搬送方向に対して平行に移動可能であれば、図11の耳折れ修正部25と同様に用紙Pの先端部と後端部とのいずれの耳折れも修正することができる。また、耳折れ修正部材と耳折れ部位Eとが接触するときに最も早く接触する点が、耳折れの頂点よりも先に耳折れの内側の面(谷折れの内面)に接触するような形状をしたものが好ましい。
【0053】
また、図12のαに示す図12(a)のゴムやスポンジから成る弾性ローラや図12(b)のブラシローラ対のように、耳折れ修正部材自体は移動せず、表面移動によって耳折れを修正する耳折れ修正部材も適用可能である。図12中の(a)または(b)のローラ状の耳折れ修正部材では2つのローラの間を用紙Pの先端部が通過するまでは耳折れ部位Eと摺擦する耳折れ部位摺擦部であるローラ表面近傍が、用紙Pの搬送方向と同方向で用紙Pの搬送速度よりも速い速度で移動する。すなわち、図12中左側から右側に向かう方向が用紙Pの搬送方向である場合、図12(a)の弾性ローラや図12(b)のブラシローラ対は矢印Dで示す回転方向で、用紙Pの搬送速度よりも速い周速で回転する。ここで、用紙Pの先端部に耳折れ部位Eが発生している場合は、耳折れの修正がなされる。そして、用紙Pの後端部が2つのローラの間を通過するときには、ローラの回転方向が逆転し、図12中の矢印F方向に回転する。ここで、用紙Pの後端部に耳折れ部位Eが発生している場合は、耳折れの修正がなされる。用紙Pの後端部が二つのローラの間を通過するときはローラの回転方向を逆回転とするものに限らず、図12中の矢印Dで示す回転方向のまま回転速度を遅め、ローラの周速が用紙Pの搬送速度よりも遅くなるようにしても良い。
【0054】
次に、実施例3で説明した耳折れ修正部材が修正ブレード73である耳折れ修正部25での耳折れの修正について説明する。
図13は、先端部及び後端部に耳折れが発生した用紙Pが耳折れ修正部25を通過して耳折れが修正される工程を説明する模式図である。
図13(a)は、先端部および後端部に耳折れの生じた用紙Pが給紙コロ13によって給紙トレイ12から給紙され、先端部耳折れ部位Efが耳折れ修正部材である修正ブレード73の上下で対向するブレードの間を通過した状態を示す図である。用紙Pの先端部が修正ブレード73の間隙を通過すると図13(b)に示すように修正ブレード73は用紙Pの搬送方向に移動する。このとき、用紙Pの搬送速度(給紙コロ13の周速度)よりも修正ブレード73の移動速度が相対的に速く駆動されるため、耳折れ修正部材に接した耳折れ部位が摺擦されて先端部耳折れ部位Efを起こすことができる。そして、修正ブレード73の間隙を形成する部分が用紙Pの先端部を追い抜くことにより、図13(c)のように先端耳折れ部位Efが発生していた用紙Pを戻した状態に修正することができる。そして、戻した状態に修正された先端部耳折れ部位Efが、再度、耳折れとならないように、加圧ローラ対42によって用紙Pの先端部耳折れ部位Efが発生した箇所を加圧する。これにより、図13(d)のように用紙Pの先端部に生じていた先端部耳折れ部位Efを修正することができる。先端部耳折れ部位Efを修正するときは図13(c)に示すように、用紙Pの先端が加圧ローラ対42のニップに入る直前まで修正ブレード73によって用紙Pが摺擦されるように駆動されることが好ましい。これにより、戻した状態となった先端部耳折れ部位Efが起き上がって再度耳折れとなることを防止することができる。
【0055】
用紙Pの先端部が加圧ローラ対42を通過した後も引き続き用紙Pは搬送手段によって搬送される。このとき、図13(e)に示すように、用紙Pの搬送方向とは逆方向に修正ブレード73を移動させることにより、修正ブレード73によって用紙Pの後端部に後端部耳折れ部位Ebを摺擦することができる。この結果、後端部耳折れ部位Ebを戻した状態にすることができる。そして、後端部耳折れ部位Ebを戻した状態の用紙Pが加圧ローラ対42を通過することによって、図13(f)のように後端部耳折れ部位Ebを修正することができる。なお、修正ブレード73によって後端部耳折れ部位Ebを戻すときには、修正ブレード73を搬送方向の逆向きに移動させるものに限らず、修正ブレード73が移動しないように保持するようにしても良い。あるいは、用紙Pの搬送速度よりも遅い速度で用紙Pと同じ向きに移動させてもよい。
【0056】
用紙Pが耳折れ修正部25を通過する間に、修正ブレード73が図13を用いて説明したように移動することにより、用紙Pの先端部耳折れ部位Efと後端部耳折れ部位Ebとを共に修正することができる。
【0057】
〔実施例4〕
次に、耳折れ修正部25の四つ目の実施例(以下、実施例4と呼ぶ)について説明する。
図14は実施例4の耳折れ修正部25の概略説明図である。図14(a)は、給紙トレイ12、給紙コロ13、及び、耳折れ修正部25の上面模式図であり、図14(b)はこれを側方から見た側方模式図である。
実施例4の耳折れ修正部25は、用紙Pの先端部及び後端部のみで接触型の耳折れ修正部材が用紙Pを摺擦するものである。
【0058】
図14に示す実施例4の耳折れ修正部25は、記録媒体である用紙Pの先端部及び後端部に生じた耳折れ部位Eを摺擦するために設けられた、ローラ状の耳折れ修正部材としての修正ローラ対31を備える。また、修正ローラ対31の搬送方向下流側には修正ローラ対31によって修正された耳折れ部位Eが再度起き上がらないように、用紙Pを加圧する加圧ローラ対42を備える。さらに、用紙Pの先端部及び後端部のみで耳折れ修正部材である修正ローラ対31が用紙Pに接触するように、修正ローラ対31の位置を制御する修正部材位置制御手段を備える。図14に示す耳折れ修正部25の修正部材位置制御手段は、駆動することにより修正ローラ対31を近接または離間する修正部材接離モータ30と修正部材接離モータ30の駆動を制御する制御部60とから構成される。また、修正ローラ対31の回転させる修正部材駆動手段はローラ回転モータ40と制御部60とから構成される。
【0059】
図14中の修正ローラ対31に記した矢印Gは、修正部材接離モータ30を駆動させることにより、修正ローラ対31の上下で対向するローラ部材が近接または離間する動作が可能であることを示す。この動作は、上下で対向するローラ部材の間を通過する用紙Pの表面に対して近づいたり、遠ざかったりする動作であれば良い。他の例としては、耳折れ修正部材の耳折れ部位摺擦部が用紙P表面に接触するように、耳折れ修正部材を振り子のように動作せしめ、耳折れ部位を摺擦するものであっても良い。また、実施例4の修正ローラ対31は、ローラ回転モータ40及び制御部60によって用紙Pが搬送されるときに通過する仮想平面である搬送面に対して対称に駆動するように制御されていることが望ましい。耳折れ修正部材である修正ローラ対31を耳折れ部位Eに接触させるタイミングは、用紙Pの搬送速度(給紙コロの周速度)や搬送される用紙Pのサイズ、修正ローラ対31の位置などの情報に基づいて容易に設定することができる。
【0060】
図15に、実施例4に適用可能な耳折れ修正部材の例を示す。
図15(a)は表面が多孔質のスポンジやゴム等のような柔らかい材料なるローラ状の耳折れ修正部材であり、図15(b)はローラ面全体がブラシ状の耳折れ修正部材である。図15(c)は円筒状の二つの部材の間に用紙Pが通過できる程度の間隙を設けた耳折れ修正部材である。また、図15(d)は角柱状、図15(e)はブレード状の二つの部材の間に用紙Pが通過できる程度の間隙を設けた耳折れ修正部材である。
図15(a)〜(f)の何れの耳折れ修正部材を用いる場合も、図14を用いて説明した耳折れ修正部25のように、上下で対向する耳折れ修正部材を修正部材位置制御手段によって近接または離間が可能なように構成する。
【0061】
図15(a)は、耳折れ摺擦部となるローラ表面がスポンジやゴムなどの柔らかな部材から成るローラ部材、図15(b)は、ローラ表面全体にブラシ状の部材が備えられたブラシローラ部材である。図15のαで示す図15(a)及び図15(b)のローラ型の耳折れ修正部材は、用紙Pの先端部及び後端部では耳折れ部位Eを摺擦するように、時計周りあるいは反時計回りに回転するようにローラ回転モータ40及び制御部60によって制御がなされる。
図15のβで示した各例を用いる場合は、用紙Pの先端部及び後端部では耳折れ部位Eを摺擦して耳折れを修正するように、用紙Pの搬送方向に対して順方向あるいは逆方向に耳折れ修正部材全体を移動させる修正部材駆動手段を設ける。
【0062】
図16に、実施例4に適用可能で修正部材位置制御手段が不要な耳折れ修正部材である修正ローラ対31の例を示す。図16(a)は修正ローラ対31の回転が停止した状態を示す説明図であり、図16(b)は修正ローラ対31が回転している状態を示す説明図である。
図16に示す例は、回転軸が固定されているローラ型の部材である修正ローラ対31であって、ローラ内部の回転軸に備えられたバネ33と、バネ33の先端に取り付けられた用紙摺擦部材32とを備える。また、用紙摺擦部材32がローラ面の外側に出入りできるよう備えられたスリットを有する円筒状部材34を備える。さらに、ローラ型の部材を用紙Pの搬送方向に対して順方向及び逆方向に回転させることができる、図14で示した耳折れ修正部25と同様のローラ回転モータ及び制御部から構成される修正部材駆動手段を備える。図16に示す修正ローラ対31を用いる場合は、上下で対向するローラ部材の間を用紙Pの先端部が通過するときには用紙Pの搬送方向に対して順方向にローラ部材を回転させ、用紙Pの後端部が通過する場合には逆方向に回転させる。
【0063】
図16(a)に示すように、静止時には用紙摺擦部材32は円筒状部材34の内側に収納されており、上下で対向するローラ部材の間を搬送される用紙Pには用紙摺擦部材32が接触しない。一方、修正ローラ対31が回転駆動すると、図16(b)に示すように遠心力よって用紙摺擦部材32が円筒状部材34に設けられたスリットから円筒状部材34の外側へ突出する。このとき、用紙摺擦部材32が用紙Pの先端部及び後端部の少なくとも耳折れ部位Eを摺擦できる位置に、修正ローラ対31の回転軸が固定されている。
図16のような修正ローラ対31であれば、図15の(a)〜(f)で示した例の耳折れ修正部材を適用するときには必要であった耳折れ修正部材を鉛直方向移動可能とする修正部材位置制御手段が不要となる。すなわち図14で示した耳折れ修正部25が備える修正部材接離モータ30が不要となり、制御部60によって制御する駆動源がローラ回転モータ40のみでよくなる。このため、簡易な駆動・制御の構成で用紙Pの先端部及び後端部の摺擦が可能となる。
また、耳折れ修正部材と耳折れ部位Eとが接触するときに最も早く接触する点が、耳折れの頂点よりも先に耳折れの内側の面(谷折れの内面)に接触するような形状をしたものが好ましい。
【0064】
次に、実施例4で説明した耳折れ修正部材が修正ローラ対31である耳折れ修正部25での耳折れの修正について説明する。
図17は、先端部及び後端部に耳折れが発生した用紙Pが耳折れ修正部25を通過して耳折れが修正される工程を説明する模式図である。
修正ローラ対31の上下で対向するローラ部材の間に用紙Pの先端部が近づく前は、図17(a)に示すように修正ローラ対31のローラ部材は用紙Pに接触しない位置となっている。用紙Pの先端部が修正ローラ対31の間を通過するときには、図17(b)の矢印Hで示すように上下で対向するローラ部材が近接するように移動し、耳折れ部位摺擦部であるローラの表面が用紙Pに接触する。このとき、修正ローラ対31は図17(b)中の矢印Dで示すように用紙Pの搬送方向に対して順方向に表面移動するように回転駆動する。これにより、用紙Pの先端部耳折れ部位Efが修正ローラ対31によって摺擦されて、用紙Pの先端耳折れ部位Efが発生していた部分を戻した状態に修正することができる。そして、戻した状態に修正された先端部耳折れ部位Efが再度耳折れとならないように加圧ローラ対42によって用紙Pを加圧する。これにより、用紙Pの先端部に生じていた先端部耳折れ部位Efを修正することができる。
用紙Pの先端部が通過した後は、図17(c)中の矢印Iで示すように上下で対向するローラ部材が離間するように移動し、ローラ部材が用紙Pに接触しない位置に移動する。
【0065】
用紙Pの後端部が修正ローラ対31の上下で対向するローラ部材の間を通過する場合も同様である。図17(d)〜図17(f)に示すように、用紙Pの後端部が修正ローラ対31の間を通過するときのみ、修正ローラ対31のローラ部材が近接し、用紙Pを摺擦することができる位置まで修正ローラ対31が移動する。なお、図17(e)に示すように、用紙Pの後端部が修正ローラ対31の間を通過するとき、修正ローラ対31は図17(e)中の矢印Fで示すように用紙Pの搬送方向に対して逆方向に表面移動するように回転駆動する。これにより、後端部耳折れ部位Ebが修正ローラ対31によって摺擦されて用紙Pの後端耳折れ部位Ebが発生していた部分を戻した状態になり、加圧ローラ対42で加圧することで後端部耳折れ部位Ebが修正される。
【0066】
用紙Pの表面全体を耳折れ修正部材で摺擦すると耳折れ部位摺擦部と用紙Pとの摺擦時の摩擦よって、耳折れ修正部材が磨耗し劣化するおそれがある。さらに、用紙Pとして表面に定着性を低下させる組成物が付与されているリユーザブルメディアを用いる場合は、耳折れ修正部材との摺擦により表面の定着性を低下させる組成物が脱落するおそれがある。
実施例4の修正ローラ対31のように、用紙Pの先端部及び後端部のみを摺擦する耳折れ修正部材を用いることにより、用紙Pの端部に発生する耳折れを修正しつつ、耳折れ修正部材の磨耗による劣化を抑制することができる。さらに、用紙Pとしてリユーザブルメディアを用いる場合は、表面の表面の定着性を低下させる組成物が脱落することを抑制することができるので、リユーザブルメディアの使用回数の延長を図ることができる。ここで耳折れ修正部材に摺擦される用紙Pの先端部及び後端部は磨耗による劣化は生じるものの、用紙Pの端部には画像があまり形成されないため、再利用時の画像形成への影響は少ない。
なお、実施例1のブラシローラ対41のように用紙Pの先端部の耳折れ部位Eを修正する耳折れ修正部材であれば、用紙Pの先端部が通過するときのみに、ブラシローラ対41を用紙Pと接触し得る位置に移動させるようにしても良い。また、実施例2の修正ガイド72のように用紙Pの後端部の耳折れ部位えを修正する耳折れ修正部材であれば、用紙Pの後端部が通過するときのみに、修正ガイド72を用紙Pと接触し得る位置に移動させるようにしても良い。
【0067】
〔実施例5〕
次に、耳折れ修正部25の五つ目の実施例(以下、実施例5と呼ぶ)について説明する。
図18は実施例5の耳折れ修正部25の概略説明図である。図18(a)は、給紙トレイ12、給紙コロ13、及び、耳折れ修正部25の上面模式図であり、図18(b)はこれを側方から見た側方模式図である。
実施例5の耳折れ修正部25は、実施例4と同様に用紙Pの先端部及び後端部のみで接触型の耳折れ修正部材が用紙Pを摺擦するものである。実施例5は、回転軸に対して非対称な耳折れ修正部材を備え、その回転によって用紙Pの先端部及び後端部のみに耳折れ修正部材が接触するように耳折れ修正部材を駆動・制御する点で実施例4と異なる。
【0068】
図18に示す実施例5の耳折れ修正部25は、記録媒体である用紙Pの先端部および後端部に生じた耳折れ部位Eを摺擦するために設けられた、回転軸51aと、回転軸51aに対して非対称な形状で回転軸51aを中心に回転可能な偏心摺擦部材51とを備える。実施例5の耳折れ修正部25では耳折れ修正部材は回転軸51aと偏心摺擦部材51とから構成する。また、偏心摺擦部材51の搬送方向下流側には偏心摺擦部材51によって修正された耳折れ部位Eが再度起き上がらないように、用紙Pを加圧する加圧ローラ対42を備える。さらに、用紙Pの先端部及び後端部が偏心摺擦部材51と対向する搬送経路を通過させるときのみに偏心摺擦部材51を回転させ、偏心摺擦部材51の表面が用紙Pの先端部および後端部を摺擦できるように駆動・制御する修正部材駆動手段としての偏心部材回転モータ50と制御部60とを備える。
【0069】
図19に実施例5に適用可能な偏心摺擦部材51の例を示す。
偏心摺擦部材51の例としては、図19(a)の円柱状のローラ状部材、図19(b)の楕円状のローラ状部材、図19(c)の角柱状の回転体、図19(d)のローラの一部にブラシ状の摺擦部位を設けた部材、図19(e)の回転軸を有する棒状または円柱状の軸部の側面にフィルム状の摺擦部を有する部材などが挙げられる。
図19(a)〜図19(e)では何れも実線が偏心摺擦部材51の耳折れ部位摺擦部が用紙Pに接するときの状態を示しており、回転軸51a周りに記した破線矢印は、時計回り・反時計回りともに回転することが可能であることを示す。また、いずれの例を偏心摺擦部材51として用いる場合でも、用紙Pの先端部及び後端部のみにおいて耳折れ部位摺擦部が用紙Pと接触するように偏心部材回転モータ50を制御部60が制御する。実施例5における偏心摺擦部材51は、シート状の用紙Pが搬送されるときに通過する仮想平面である搬送面に対して対称に駆動するように制御されることが望ましい。また、耳折れ修正部材である偏心摺擦部材51の耳折れ部位摺擦部を用紙Pの先端部及び後端部に接触させるタイミングは、用紙Pの搬送速度(給紙コロの周速度)や搬送される用紙Pのサイズ、偏心摺擦部材51の大きさ、回転速度、位置などの情報に基づいて容易に設定することができる。また、耳折れ修正部材が耳折れ部位に最も早く接触する点が、耳折れの頂点よりも先に内側の面(谷折れの内面)に接触するような形状をした部材が好ましい。
【0070】
次に、実施例5で説明した耳折れ修正部材が偏心摺擦部材51である耳折れ修正部25での耳折れの修正について説明する。
図20は、先端部及び後端部に耳折れが発生した用紙Pが耳折れ修正部25を通過して耳折れが修正される工程を説明する模式図である。
上下二つの偏心摺擦部材51の間に用紙Pの先端部近づく前は図20(a)のように偏心摺擦部材51は用紙Pに接触しない位置となっている。用紙Pの先端部が偏心摺擦部材51の間を通過するタイミングにあわせて偏心部材回転モータ50が駆動し、図中矢印Jで示すように偏心摺擦部材51の表面移動方向が用紙Pの搬送方向と同じ方向となるように、偏心摺擦部材51が順回転する。この回転によって図20(b)に示すように用紙Pの先端部が偏心摺擦部材51の間を通過するときのみ、偏心摺擦部材51の耳折れ部位摺擦部である摺擦面が用紙Pに接触する。このとき、偏心摺擦部材51の摺擦面が用紙Pの先端部を摺擦し、図20(c)に示すように先端部耳折れ部位Efを戻した状態に修正することができる。そして、戻した状態に修正された先端部耳折れ部位Efが再度耳折れとならないように加圧ローラ対42によって用紙Pを加圧する。これにより、用紙Pの先端部に生じていた先端部耳折れ部位Efを修正することができる。また、用紙Pの先端部が通過した後には、偏心摺擦部材51が用紙Pに接触しない位置となるまで偏心部材回転モータ50を駆動し、偏心摺擦部材51を回転させる。
【0071】
図20(d)〜図20(f)に示すように、用紙Pの後端部が偏心摺擦部材51の間を通過する場合も同様である。用紙Pの後端部が偏心摺擦部材51の間を通過するタイミングに合わせて、偏心部材回転モータ50が駆動し、図中矢印Kで示すように偏心摺擦部材51の表面移動方向が用紙Pの搬送方向と逆方向となるように、偏心摺擦部材51が逆回転する。この回転によって図20(e)に示すように用紙Pの後端部が偏心摺擦部材51の間を通過するときのみ偏心摺擦部材51の摺擦面が用紙Pに接触する。このとき、偏心摺擦部材51の摺擦面が用紙Pの先端部を摺擦し、図20(f)に示すように後端部耳折れ部位Ebを戻した状態に修正することができる。そして、戻した状態に修正された後端部耳折れ部位Ebが再度耳折れとならないように加圧ローラ対42によって用紙Pを加圧する。これにより、用紙Pの後端部に生じていた後端部耳折れ部位Ebを修正することができる。また、用紙Pの後端部が通過した後には、偏心摺擦部材51が用紙Pに接触しない位置となるまで偏心部材回転モータ50を駆動し、偏心摺擦部材51を回転させる。
【0072】
〔実施例6〕
次に、耳折れ修正部25の六つ目の実施例(以下、実施例6と呼ぶ)について説明する。
図21は実施例6の耳折れ修正部25の概略説明図である。
実施例1〜実施例5では、剛体または弾性体を用紙Pの耳折れ部位Eに接触させて摺擦することにより用紙Pに発生した耳折れを修正する接触型の耳折れ修正部材を備える耳折れ修正部25について説明した。一方、実施例6の耳折れ修正部25は、圧縮空気噴出機構による耳折れ修正手段である。これは、風圧発生手段である圧縮空気噴出機構により圧縮した空気を噴出させることによって生じる風圧を、用紙Pの耳折れ部位Eに作用させることにより用紙Pに発生した耳折れを修正する非接触型の耳折れ修正部材を備えるものである。このような耳折れ修正部材としては、用紙Pの先端部または後端部の少なくとも一方の端部に生じた耳折れ部位Eに対して空気を噴出することが可能に設けられたノズルと、ノズルに圧縮した空気を送るための管と、このノズルを通して空気を送り出すために空気を圧縮する空気圧縮手段と、空気圧縮手段に作り出された圧縮空気を解放するためのバルブを備えたものが挙げられる。このような構成とすることによって、空気圧縮手段により作り出された圧縮空気をノズルから噴出させることにより、耳折れ部位Eに風圧を作用させることができ、接触型の耳折れ修正部材と同様に、非接触で耳折れの修正を行うことができる。このように、実施例6の耳折れ修正部25では、圧縮した空気を噴出して耳折れ部位に風圧を作用させることによって接触型の耳折れ修正部材と同様に耳折れの修正を行うことができる。
【0073】
実施例6のように、圧縮空気噴出機構による耳折れ修正手段では、上述の式(1)や式(2)の条件を満たし、用紙Pの耳折れ部位Eを戻した状態にするために必要十分な量の圧縮空気を送り出す。このように、用紙Pの耳折れ部位Eを戻した状態にするために必要十分な量の圧縮空気の量を送り出すように制御されていることが好ましい。
また、空気圧縮手段で消費されるエネルギー、空気圧縮手段を備えるために要するコスト、空気圧縮手段から生じる騒音の観点から、空気圧縮手段は必要なタイミングのみ駆動されることが望ましい。すなわち、用紙Pの先端部のみまたは後端部のみの耳折れ部位Eを修正するのであれば、修正する対象の端部がノズルによる空気の噴出位置を通過するときのみ空気圧縮手段を駆動させるのが望ましい。また、用紙Pの先端部と後端部との耳折れ部位Eを共に修正するものであれば、用紙Pの先端部および後端部が空気の噴出位置を通過するタイミングでのみ空気圧縮手段を駆動させるのが望ましい。
また、上記の必要なタイミングのみに空気圧縮手段を駆動させるものに限らず、上記の必要なタイミングのみにバルブを開放するように、バルブを駆動・制御するようにしてもよい。すなわち、用紙Pの先端部のみ、または後端部のみの耳折れ部位Eを修正するのであれば、修正する対象の端部がノズルによる空気の噴出位置を通過するときのみ空気圧縮手段で作り出された圧縮空気を解放させるようバルブを駆動・制御するようにしてもよい。また、用紙Pの先端部と後端部との耳折れ部位Eを共に修正するものであれば、用紙Pの先端部および後端部が空気の噴出位置を通過するタイミングでのみ空気圧縮手段で作り出された空気を解放させるようバルブを駆動・制御するようにしてもよい。
【0074】
次に図21を用いて圧縮空気を耳折れ部位Eに噴出する機構を備えた、実施例6の耳折れ修正部25について説明する。
図21に示すように、実施例6の耳折れ修正部25は、用紙Pの先端部及び後端部に生じた耳折れ部位Eに圧縮空気を噴出することによって風圧を作用させるための圧縮空気噴出手段であるノズル93を備える。また、ノズル93から噴出する空気を圧縮する風圧発生手段としての空気圧縮手段であるポンプ91と、ポンプ91によって圧縮した空気をノズル93まで導くホース94、ホース94とポンプ91との接続部の開閉を行うバルブ92を備えている。ノズル93は、圧縮空気を噴出位置に集中して噴出する形状となっていることが好ましく、用紙Pの耳折れ部位Eに圧縮空気を集中して噴出することができる。実施例6の耳折れ修正部25のノズル93は、バルブ92からホース94を通じて到達した圧縮空気を噴出位置に集中して噴出する形状となっており、用紙Pの先端部及び後端部が噴出位置に到達したタイミングでのみ圧縮空気を集中して噴出する。図21で説明する実施例6の耳折れ修正部では、ノズル93、ポンプ91、ホース94及びバルブ92などによって風圧発生手段を構成する。
用紙Pの搬送方向について、ノズル93から噴出される圧縮空気が集中する噴出位置の搬送方向下流側には、ノズル93から噴出される圧縮空気によって修正された耳折れ部位Eが再度起き上がらないように用紙Pを加圧する加圧ローラ対42を備える。さらに、外部からの画像除去開始信号に応じてポンプ91の駆動、バルブ92の開閉、給紙コロ13の駆動などを制御する制御手段としての制御部60を備える。このような構成で、用紙Pの先端部及び後端部が噴出位置に到達したタイミングでのみバルブ92を開くよう駆動・制御することで、用紙Pの先端部及び後端部の耳折れ部位Eのみに風圧を作用させ、耳折れ部位Eを修正することができる。
【0075】
図21に示すように、圧縮空気を噴出するノズル93は用紙Pの搬送面の上下に備えられていることが好ましい。また、図21に示すように用紙Pの搬送面の上下のノズル93から圧縮空気を噴出する場合、上下のノズルは用紙Pの搬送面に対して対称に設置されていることが好ましく、圧縮空気がノズルから噴出されるタイミング及び量は等しいことが好ましい。さらに、用紙Pの先端部および後端部が加圧ローラ対42によって加圧される直前まで、ノズル93から圧縮空気を噴出しつづけるようにポンプ91及びバルブ92を駆動・制御することが好ましい。
実施例6の耳折れ修正部25のように、用紙Pの耳折れ部位Eに対してノズル93から空気を噴出して、風圧によって耳折れ部位Eを戻すものであれば、接触型の耳折れ修正部材のように用紙Pを摺擦する必要がなく、耳折れ修正部25を構成する部材が用紙Pとの摺擦により劣化することを防止することができる。さらに、実施例1〜5のように耳折れ摺擦部材が用紙Pを摺擦しないので、用紙Pがリユーザブルメディアである場合の用紙P上に付与された画像形成物質に対する定着性を低下せしめる組成物の脱落などのリユーザブルメディア表面の磨耗劣化を防止することができる。これにより、リユーザブルメディアの使用回数の延長を図ることができる。さらに、ノズル93の形状および配置、また風圧を発生させるタイミングを制御することによって用紙Pの耳折れ部位Eに風圧によって作用する力を集中させることができるため、耳折れを修正する走査が用紙Pの搬送に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0076】
次に、実施例6の風圧発生手段である圧縮空気噴出機構を備えた耳折れ修正部25での耳折れの修正について説明する。
図22は、先端部に耳折れが発生した用紙Pが実施例6の耳折れ修正部25を通過して耳折れが修正される工程を説明する模式図である。
図22(a)のように用紙Pがノズル93からの吐出位置に近づく前は、ノズル93からの圧縮空気の噴出を停止しておく。その後、不図示の入力部から入力される画像除去操作開始の入力信号に応じて、ポンプ91において圧縮空気の準備を開始するように制御部60がポンプ91を制御する。そして、図22(b)のように用紙Pの先端部が吐出位置を通過するタイミングでノズル93から圧縮空気が噴出されるように、制御部60はバルブ92を開放する。ノズル93から圧縮空気が噴出されることにより、用紙Pの先端部の耳折れ部位Eに用紙Pの搬送方向と同方向の風圧が作用して用紙P先端部の耳折れ部位Eを戻した状態に修正することができる。そして、戻した状態に修正された用紙Pの先端の耳折れ部位Eが再度耳折れとならないように加圧ローラ対42によって用紙Pを加圧する。これにより、用紙Pの先端部に生じていた耳折れ部位Eを修正することができる。このとき、圧縮空気によって耳折れ部位Eが戻されて加圧ローラ対42に到達する前の用紙Pの先端部で、再度耳折れ部位Eが起き上がってこないように、用紙Pが加圧ローラ対42に到達するまでは、ノズル93から圧縮空気を噴出し続けるように、ポンプ91及びバルブ92を制御することが好ましい。図22(c)に示すように、用紙Pの先端部が噴出位置を通過して加圧ローラ対42に到達すると、ノズル93からの圧縮空気の噴出を停止するようにポンプ91及びバルブ92を制御する。
【0077】
図22では、圧縮空気を噴出して用紙Pの先端部に発生した耳折れ部位Eを修正する構成について説明した。用紙Pの後端部に発生した耳折れを修正する場合は、図22に示す耳折れ修正部25に用紙Pの後端部の耳折れに用紙Pの搬送方向とは逆方向の風圧が作用するように圧縮空気を噴出可能な後端修正ノズルを設けることで、用紙Pの後端部の耳折れを修正することができる。この場合、後端修正ノズルの吐出位置を用紙Pの後端が通過するタイミングで、バルブ92が開放するように制御する。また、先端修正ノズルのホースの向きを変える駆動手段を備え、用紙Pの後端部の耳折れに用紙Pの搬送方向とは逆方向に風圧が作用するように駆動手段の動作を制御したものであってもよい。また、用紙Pの後端部には圧縮空気を噴出しない構成としては、用紙Pの先端部への圧縮空気の噴出が終わるとバルブを閉鎖するもので、実施例2で説明したような後端部の耳折れを修正する接触型の耳折れ修正部材によって用紙Pの後端部の耳折れを修正するものであっても良い。
【0078】
実施例1〜実施例5の接触型の耳折れ修正部材や実施例6の圧縮空気噴出手段は、用紙Pの搬送面を挟んで搬送面に対して略対称に設けた例を示している。このとき、接触型の耳折れ修正部材または圧縮空気噴出手段から用紙Pに印加される力の大きさ、向きが搬送面を挟んで等しく印加されるように、接触型の耳折れ修正部材または圧縮空気噴出手段を駆動・制御することが好ましい。
【0079】
〔実施例7〕
次に、耳折れ修正部25の7つ目の実施例(以下、実施例7と呼ぶ)について説明する。
図23は、実施例7の耳折れ修正部25の概略説明図である。
実施例7の耳折れ修正部25は、記録媒体である用紙Pの先端部および後端部に生じた耳折れ部位Eを摺擦するために設けられた、ブレード状の耳折れ修正部材としての修正ブレード73と、少なくとも用紙Pの耳折れ部位の折れ線となっていた箇所に液体成分である水を付与することができる、液体成分付与手段としての水分付与装置300とを備える。さらに、耳折れ修正部25は、水分付与装置300によって水分が付与された用紙Pを加熱・加圧する加熱加圧ローラ対310を備える。加熱加圧ローラ対310は、図23に示すように、耳折れ修正部材である修正ブレード73が用紙Pを摺擦する位置、及び、水分付与装置300が、用紙Pに水分を付与する位置よりも用紙Pの搬送方向下流側に、配置されている。そして、少なくとも用紙Pの耳折れ部位の折れ線となっていた箇所を加熱・加圧する。
図23では、画像除去装置100の記録媒体供給手段である給紙トレイ12及び給紙コロ13から加熱加圧ローラ対310までの部分を示しており、加熱加圧ローラ対310に対して用紙Pの搬送方向下流側には、図2を用いて説明した画像除去装置100のように、供給搬送手段である供給ローラ対27(図23では不図示)が配置されている。供給ローラ対27よりも用紙Pの搬送方向下流側の構成は図2を用いて説明した実施形態と同様のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。なお、加熱加圧ローラ対310が供給ローラ対27の供給搬送手段としての機能を兼ねる構成としても良い。
【0080】
図23に示した画像除去装置100は、給紙トレイ12、給紙コロ13、及び耳折れ修正手段として耳折れ修正部25を備える。給紙トレイ12は、画像の除去をしようとする記録媒体である用紙Pを収容する容器であり、給紙コロ13は給紙トレイ12内の用紙Pを一枚毎に耳折れ修正部25へと送り出す。耳折れ修正部25を通過した用紙Pは、図23では図示を省略した画像除去部11へと搬送される。
図23に示す画像除去装置100の耳折れ修正部25が備える耳折れ修正部材として、図11を用いて説明した実施例3と同様に、修正ブレード73と、修正ブレード73を用紙Pの搬送方向に対して平行に移動させる修正部材平行移動モータ70とを備える。
なお、液体成分付与手段と、加熱・加圧手段と、を備える耳折れ修正部25が備える耳折れ修正部材としては、図23に示した修正ブレード73に限るものではなく、実施例1〜5に記載の何れの耳折れ修正部材も適用可能である。また、実施例6のように、耳折れ修正部材として圧縮空気噴出機構を備える耳折れ修正部25も適用可能である。
【0081】
液体成分付与手段としては、図23の水分付与装置300のように、いわゆる「霧吹き」と同じ原理を利用したものが好ましい。このような構成の一例である水分付与装置300は、水分を貯留する液体容器である水分タンク301、及び、用紙Pの耳折れ部位に水分を噴出するためのスプレーノズル302を備える。また、水分付与装置300は、水分タンク301内の水分をスプレーノズル302へ送るための液体搬送管としての水分ホース303と、スプレーノズル302に圧縮した空気を送るための気流誘導管である気流ホース304とを備える。さらに、水分付与装置300は、スプレーノズル302に送る圧縮した空気を作り出すための気流発生手段であるスプレーポンプ305と、気流ホース304とスプレーポンプ305との接続部の開閉を行うスプレーバルブ306からなる。このような構成とすることで、水分タンク301内の水分を霧状にして用紙Pの耳折れ部位の折れ線に吹き付けることができる。
【0082】
つぎに、水分付与装置300に用いることのできるスプレーノズル302について説明する。
図24は、スプレーノズル302の説明図である。図24(a)は、スプレーノズル302の斜視説明図、図24(b)は、スプレーバルブ302を開放する前の状態の説明図、図24(c)は、スプレーバルブ302を開放した状態の説明図、そして、図24(d)は、水分を噴霧している状態の説明図である。
スプレーノズル302としては、図24(a)のように、第一接続口302bから噴出口302aまでの管内径の一部を鼓状に狭め、狭めた部分に噴出口302a及び第一接続口302bとは別に第二接続口302cを設けた構造のものを用いることができる。そして、図24(b)に示すように、第一接続口302bにはスプレーポンプ305から圧縮した空気が送られる気流ホース304が接続され、第二接続口302cには水分タンク301内からつながる水分ホース303が接続される。このように、スプレーポンプ305及び水分タンク301をスプレーノズル302に接続することにより、いわゆる霧吹きの基本的な構成とすることができる。
図23のスプレーポンプ305で圧縮された空気は、スプレーバルブ306が閉じられているとき、大気圧p0よりも高い圧力p1で圧縮される。またこのとき、図24(b)に示すように、水分タンク301、スプレーノズル302、及び、気流ホース304の内部は大気開放されているので、圧力は全て大気圧p0、流速は0である。
スプレーバルブ306が開かれると、スプレーポンプ305内で圧縮された空気は、スプレーポンプ305内の圧力がp0となるまで、気流ホース304、スプレーノズルを経由する気流が発生する。このとき、第二接続口302cの近傍の流速をVとすると、第二接続口302および水分ホース303内における気圧は、ベルヌーイの定理より、気流のない大気圧p0よりも低い圧力p2となる。よって、水分タンク301の気圧p0>水分ホース303内の圧力p2となるため、図24(d)に示すように、圧力勾配により水分タンク301内の水分が吸い上げられる。吸い上げられた水は、圧縮空気の空気流Vに衝突するため、霧状となって噴出口302aより噴出される。
空気の圧力をp、空気の密度をρ、気流の流速をv、高さをz、重力加速度をgとした場合、ベルヌーイの定理より、以下の(3)式の関係が成り立つ。
(1/2)ρv+ρgz+p=const. ・・・・(3)
【0083】
図23の画像除去装置100が備える制御部60は、外部からの画像除去開始信号に基づいて、スプレーポンプ305の駆動、スプレーバルブ306の開閉、給紙コロ13の駆動、修正ブレード73の平行移動モータ70の駆動等を制御する。このような構成として、用紙Pの先端部及び後端部が噴出位置に到達したタイミングでのみスプレーバルブ306を開き、さらに、用紙Pの先端部及び後端部が修正ブレード73の間隙を通過するタイミングで、修正ブレード73を平行移動させるよう駆動・制御することで、用紙Pの先端部及び後端部の耳折れ部位のみに水分を付与し、耳折れ部位を摺擦することができる。
【0084】
耳折れの修正がなされた後の耳折れ部位を加熱・加圧する加熱・加圧手段を設けるのは次の理由による。すなわち、耳折れが修正された記録媒体である用紙Pを加熱・加圧することにより、特に水分を付与した耳折れ部位においては、用紙Pに付与された水分が蒸発し、いわゆるアイロンと同様の効果が得られる。このため、水分を付与しない場合よりも、耳折れとなっていた部位を強力に伸ばすことができるためである。
加熱・加圧手段としては、種々の方式を用いることができるが、図23に示す加熱加圧ローラ対310のように、水分付与装置300や耳折れ修正ブレード73よりも搬送方向下流側から画像除去手段よりも搬送方向上流側の搬送経路中に配置されたローラ対であることが好ましい。加熱加圧ローラ対310は、ローラ表面を加熱する加熱手段を備えた金属製の加熱ローラと、金属製の芯金とゴム製の弾性部材からなる表層を有する加圧ローラとを備える。また、2つのローラの少なくとも一方を他方に向けて加圧する不図示の加圧手段を備え、いずれか一方のローラに記録媒体を画像除去手段に搬送するための駆動力を加えるための駆動手段である駆動モータ311を備える。
このような構成とすることによって、金属製のローラと表層にゴム層を有するローラの接する部分にニップが形成されるので、ニップ内で水分を付与された記録媒体を加熱・加圧することができる。さらに、駆動手段によってローラを回転させるため、加熱・加圧しながら記録媒体を搬送経路下流側へと搬送することが可能となる。
【0085】
液体成分付与手段が記録媒体に液体を付与する位置については、図23に示したように耳折れ修正部材よりも搬送方向上流側で気体成分を付与することが可能となるように設置したものに限るものではない。少なくとも、耳折れの修正がなされた後の耳折れ部位を加熱・加圧する加熱・加圧手段よりも搬送方向上流側に設けられていればよい。
例えば、図23で示した耳折れ修正ブレード73よりも搬送方向下流側で、且つ、加熱加圧ローラ対310よりも搬送方向上流側の搬送経路を通過する用紙Pに液体成分である水分を付与することが可能となるように、スプレーノズル302が設けられた構成であっても良い。
【0086】
〔実施例8〕
次に、耳折れ修正部25の8つ目の実施例(以下、実施例8と呼ぶ)について説明する。
図25は、実施例8の耳折れ修正部25の概略説明図である。
実施例8の画像除去装置100は、図21及び図22を用いて説明した実施例6と同様に、用紙Pの耳折れ部位に対して空気を噴出することが可能に設けられたスプレーノズル302と、空気圧縮手段であるポンプ91と、ポンプ91によって圧縮した空気をスプレーノズル302まで導くホース94、ホース94とポンプ91との接続部の開閉を行うバルブ92等を備えた風圧発生手段を備える。この風圧発生手段は気流を発生させ、その気流を記録媒体の耳折れ部位に当てることにより耳折れ部位に風圧を作用させるものである。また、実施例8の耳折れ修正部25は、この風圧発生手段に加えて、風圧発生手段が発生させる気流に液体成分である水分を付与することができる液体付与手段である水分付与装置300を備える。さらに、耳折れ修正部25は、水分が付与された気流による風圧が作用することによって水分が付与された用紙Pを加熱・加圧する加熱加圧ローラ対310を備える。加熱加圧ローラ対310は、図25に示すように、水分が付与された気流による風圧が作用し、用紙Pに水分が付与される位置よりも用紙Pの搬送方向下流側に配置されている。そして、少なくとも耳折れ部位の折れ線となっていた箇所を含むように用紙Pを加熱・加圧する。
このように、実施例8の画像除去装置100が備える耳折れ修正部25は、用紙Pの耳折れ部位に水分を含ませた気流を当てることによって風圧を作用させ、耳折れ部位を修正するものである。
図25では、画像除去装置100の記録媒体供給手段である給紙トレイ12及び給紙コロ13から加熱加圧ローラ対310までの部分を示しており、加熱加圧ローラ対310に対して用紙Pの搬送方向下流側には、図2を用いて説明した画像除去装置100のように、供給搬送手段である供給ローラ対27(図25では不図示)が配置されている。供給ローラ対27よりも用紙Pの搬送方向下流側の構成は図2を用いて説明した実施形態と同様のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。なお、加熱加圧ローラ対310が供給ローラ対27の供給搬送手段としての機能を兼ねる構成としても良い。
【0087】
図25に示すように、実施例8の耳折れ修正部25の風圧発生手段が備えるスプレーノズル302としては、図24で説明したスプレーノズル302と同様の部材を用いることができる。詳しくは、スプレーノズル302の第一接続口302bに、ポンプ91、バルブ92及びホース94からなる風圧発生手段を接続し、さらに、スプレーノズル302の第二接続口302cに水分を貯留する水分タンク301からつながる水分ホース303からなる水分付与装置300を接続する。
このように、実施例8の耳折れ修正部25では、スプレーノズル302を備える風圧発生手段と、水分付与装置300とによって耳折れ修正部材を構成し、耳折れの修正がなされた後の耳折れ部位を加熱・加圧する加熱加圧ローラ対310を備える。
このように構成することによって、ポンプ91で圧縮された空気がバルブ92で開放されホース94を経てスプレーノズル302を通過するときに、図24で説明したように、水分タンク301内の水分が吸い上げられ霧状となって圧縮空気と共に噴出される。これにより、風圧により耳折れ修正部位Eを修正すると同時に、耳折れ部位に水分を付与することができる。そして、加熱加圧ローラ対310によって加熱・加圧することによって用紙Pに付与された水分が蒸発し、耳折れ部位を伸ばすことが可能となる。
また、図25に示すように、スプレーノズル302は、実施例6と同様に、用紙Pの搬送面の上下に備えられていることが好ましい。そして、図25に示すように用紙Pの搬送面上下のスプレーノズル302から水分を付与した圧縮空気を噴出する場合、上下のノズルは用紙Pの搬送面に対して対称に設置されていることが好ましく、水分を付与した圧縮空気がスプレーノズル302から噴出されるタイミング及び量は等しいことが好ましい。さらに、用紙Pの先端部および後端部が加熱加圧ローラ対310によって加熱・加圧される直前まで、スプレーノズル302から圧縮空気を噴出しつづけるようにポンプ91及びバルブ92を駆動・制御することが好ましい。
【0088】
図25の画像除去装置100が備える制御部60は、外部からの画像除去開始信号に基づいて、ポンプ91の駆動、バルブ92の開閉、給紙コロ13などの駆動を制御する。このような構成として、用紙Pの先端部および後端部がスプレーノズル302の間隙を通過するタイミングでバルブ92を開放するように駆動・制御する。すなわち、用紙Pの先端部が圧縮空気の噴出位置に到達するとスプレーノズル302からの圧縮空気の噴出を開始し、用紙Pの先端部が圧縮空気の噴出位置を通過して加熱加圧ローラ対310に到達すると、スプレーノズル302からの圧縮空気の噴出を停止するようにバルブ92を駆動・制御する。また、用紙Pの後端部が圧縮空気の噴出位置を通過するタイミングでも同様にバルブ92を駆動・制御する。このように、圧縮空気の噴出の開始、および、停止が成されるように、ポンプ91及びバルブ92を制御する。これにより、用紙Pの先端部及び後端部の耳折れ部位のみに水分が付与された気流の風圧を作用させることができる。
【0089】
〔実施例9〕
次に、耳折れ修正部25の9つ目の実施例(以下、実施例9と呼ぶ)について説明する。
図26は、実施例9の耳折れ修正部25の概略説明図である。
実施例9の画像除去装置100で画像が除去される記録媒体としての用紙Pは、その表面上に形成された画像が熱可塑性の画像形成物質からなるものである。この画像除去装置100の画像除去手段である画像除去部11は、用紙P上の画像形成物質を加熱する加熱手段と、用紙Pの画像が形成された面と接触し、加熱手段によって加熱された画像形成物質を用紙P上から転写させて画像形成物質を用紙P上から剥離させる画像剥離部材を備える画像剥離手段と、を備える。さらに、画像剥離部材が用紙Pと接触する位置で画像剥離部材に用紙Pを重ね合わせて加圧する加圧手段を備える。また、実施例9の画像除去装置100は、少なくとも用紙Pの耳折れ部位の折れ線となっていた箇所に液体成分である水を付与することができる、液体成分付与手段としての水分付与装置300を備え、水分付与装置300によって水分が付与された用紙Pを加熱・加圧する加熱・加圧手段を備える。そして、実施例9の画像除去装置100では、画像除去部11を加熱・加圧手段として兼用する。
【0090】
図26では、耳折れ修正部25に水分付与装置300を備えた画像除去装置100の、記録媒体供給手段である給紙トレイ12及び給紙コロ13から画像除去部11までを示している。画像除去部11よりも用紙Pの搬送方向下流側の構成は、図2を用いて説明した実施形態と同様のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
実施例9の耳折れ修正部25は、耳折れ修正部材として実施例8と同様のものを備え、水分を含ませた気流による風圧を用紙Pの耳折れ部位に作用させることで耳折れ部位を修正するものである。
しかし、耳折れ部位の修正がなされた後の耳折れ部位を加熱・加圧する加熱加圧ローラ対310が設けられていないという点で、実施例8とは異なる。なお、耳折れ修正部材としては、図26に示した実施例8と同じものに限るものではなく、実施例1から実施例5に記載の接触型の耳折れ修正部材、実施例6に記載の非接触型の耳折れ修正部材のいずれにおいても適用可能である。
【0091】
実施例9に適用可能な画像除去手段である画像除去部11としては、図2を用いて説明した、熱可塑性の画像形成物質で形成された画像を、画像剥離部材に熱転写することにより除去するのものである。剥離部材としては、図2の剥離ベルト18ような画像剥離部材としてベルト状の部材を用いたものに限るものではなく、例えばローラ状の剥離部材であっても良い。このような画像除去部11には、用紙P上の熱可塑性の画像形成物質からなる画像を熱溶融状態とした状態で、画像剥離部材に熱転写するために、用紙P上の画像形成物質を加熱する加熱手段と、画像剥離部材が記録媒体と接触する位置で該画像剥離部材に記録媒体を重ね合わせて加圧する加圧手段が備えられている。図26においては、剥離ベルト18が画像剥離部材に、加熱ブロック15が加熱手段に、加圧ローラ19が加圧手段に該当する。
このように、画像除去部11に設けられた加熱ブロック15と加圧ローラ19とによって、実施例7および実施例8で説明した耳折れ修正部25に備えられた加熱加圧ローラ対310と同様に、水分付与装置300により水分が付与された耳折れ部位を加熱・加圧することができる。このため、画像除去部11の加熱ブロック15及び加圧ローラ19とは別に加熱・加圧手段を設けることなく、耳折れとなっていた部位を強力に伸ばすことができる。
【0092】
本実施形態のように、耳折れ修正手段である耳折れ修正部25を備える画像除去装置100では、用紙Pが耳折れ修正部25に到達する前に用紙Pに耳折れが生じている否かを検知する耳折れ検知手段を備えていてもよい。
図27は、耳折れ検出手段と耳折れ修正手段とを備えた画像除去装置の基本構成を説明するフローチャートである。図27に示すように、この画像除去装置は、記録媒体から画像を除去する画像除去手段と、画像を除去しようとする記録媒体を収容し、供給する供給手段と、供給手段によって供給された記録媒体を画像除去手段に搬送する供給搬送手段を備える。さらに、画像除去手段によって画像の除去がなされた記録媒体を排出手段に搬送するための排出搬送手段、排出搬送手段によって搬送されてきた記録媒体を装置外部へ排出して、装置外部でこの記録媒体を収容する排出手段を備える。供給手段は、画像を除去しようとしているシート状の記録媒体を収容し、少なくとも一枚毎に供給搬送手段に供給するものである。また、排出手段は、画像の除去がなされた記録媒体をユーザーが手に取りやすい位置に設けられた収納容器へ排出するものである。
これらの点は図1を用いて説明した基本構成と共通し、供給手段と画像除去手段との間に記録媒体の耳折れを修正する耳折れ修正手段を有し、この耳折れ修正手段よりも記録媒体搬送方向の上流側に耳折れを検知する耳折れ検知手段を有する点で図1とは異なる。耳折れ検知手段は搬送される用紙Pに耳折れが在るか否かを判別するものであり、この耳折れ検知手段は、画像除去装置内の記録媒体搬送経路中で極力上流側に配置されていることが好ましい。また、図27でフローチャートを示す画像除去装置は、耳折れ検知手段によって用紙Pに耳折れが発生していることを検知された場合に、耳折れ修正手段が作動するように耳折れ修正手段を制御する不図示の制御手段を備えている。
【0093】
〔実施例10〕
次に、耳折れ検知手段を備える実施例(以下、実施例10と呼ぶ)について説明する。
図28は耳折れ検知手段を備えた画像除去装置の供給手段から耳折れ修正手段までを示した模式図である。耳折れ修正手段よりも用紙Pの搬送方向下流側の構成は図2を用いて説明した実施形態と同様のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
図28に示した画像除去装置100は、給紙トレイ12、記録媒体供給手段である給紙コロ13、耳折れ修正手段として耳折れ修正部25、供給搬送手段である供給ローラ対27等を備える。給紙トレイ12は、画像を除去しようとする記録媒体である用紙Pを収容する容器であり、給紙コロ13は給紙トレイ12内の用紙Pを一枚毎に耳折れ修正部25へと送り出す。耳折れが発生している用紙Pは耳折れ修正部25を通過した用紙Pは、供給ローラ対27によって不図示の画像除去部へと搬送される。
【0094】
図28に示す画像除去装置100の耳折れ修正部25は、耳折れ修正部材として実施例3と同様に修正ブレード73と修正ブレード73を用紙Pの搬送方向に対して平行に移動させる修正部材平行移動モータ70とを備える。また、画像除去装置100は、耳折れ修正部25に対して用紙Pの搬送方向上流側で給紙コロ13から用紙Pが送られる直後の記録媒体搬送経路に、耳折れ検知手段としての耳折れ検知センサ200を配置している。さらに、画像除去装置100は、耳折れ検知センサ200の検知信号を受信し、その検知信号に基づいて修正部材平行移動モータ70の駆動を制御する制御手段としての制御部60を備える。制御部60は、耳折れ検知センサ200の検知信号に基づいて「耳折れあり」と判断された場合にのみ修正部材平行移動モータ70を駆動する。
なお、耳折れ検知センサ200を備える画像除去装置100の耳折れ修正部25としては、耳折れ修正部材としては修正ブレード73に限るものではなく、実施例1〜5に記載の何れの耳折れ修正部材も適用可能である。また、実施例6のように、圧縮空気噴出機構を備える耳折れ修正部25も適用可能である。
【0095】
次に、耳折れ検知手段である耳折れ検知センサ200の一例について図29を用いて説明する。
図29は、耳折れ検知センサ200の説明図である。図29(a)及び図29(b)は耳折れが発生していない用紙Pの先端部が耳折れ検知センサ200上を通過するときの説明図である。また、図29(c)及び図29(d)は耳折れが発生している用紙Pの先端部が耳折れ検知センサ200上を通過するときの説明図である。
図29に示すように、耳折れ検知センサ200は給紙トレイ12から給紙コロ13によって用紙Pが搬送される直後の記録媒体搬送経路中に設けられている。耳折れ検知センサ200は、搬送される用紙Pの光反射特性を検出する光学センサを用紙Pの幅方向(搬送面内で搬送方向に直交する方向)における中央と両端が通過する箇所に備える。この光学センサは、少なくとも用紙Pの先端部および後端部における中央および両端が通る箇所に配置されている。図29の耳折れ検知センサ200では、中央の光学センサを第一センサ201、搬送方向左側(図中上側)の光学センサを第二センサ202、そして、搬送方向右側(図中下側)の光学センサを第三センサ203とする。
【0096】
耳折れ検知センサ200は、用紙Pの中央が通過する位置に設置された第一センサ201で検知される光量と、用紙Pの両端が通過する位置に配置された第二センサ202及び第三センサ203でそれぞれ検知された光量とを比較する。そして、第一センサ201で得られた光量値と等しい光量値が第二センサ202及び第三センサ203で得られた場合は「耳折れなし」、第一センサ201で得られた光量値と異なる光量値が第二センサ202と第三センサ203との少なくとも一方で得られた場合には「耳折れあり」と判定する。このような、耳折れの有無を判定する耳折れ判定手段としての機能は図28で示す制御部60が備える。制御部60は耳折れ判定手段としての判定結果に基づいて修正部材平行移動モータ70の駆動を制御する。
【0097】
図29(b)のように、耳折れが発生していない用紙Pが耳折れ検知センサ200上を通過すると、第一センサ201から得られる光量値と第二センサ202及び第三センサ203の光量値とが等しくなる。詳しくは、第一センサ201と第二センサ202の光量値が等しいため用紙Pの搬送方向左側は「耳折れなし」との判定がなされ、第一センサ201と第三センサ203との光量値も等しいため用紙Pの搬送方向右側も「耳折れなし」との判定がなされる。そして、「耳折れなし」と判定がなされた用紙Pが耳折れ修正部25を通過するときには耳折れ修正部25は作動せず、用紙Pは画像除去手段である画像除去部11へと送られる。
【0098】
一方、図29(d)のように、耳折れが発生している用紙Pが耳折れ検知センサ200上を通過すると、第一センサ201から得られる光量値に対して、第二センサ202または第三センサ203のうちの耳折れが発生している側のセンサの光量値が異なる。詳しくは、耳折れが発生している用紙Pの搬送方向左側が通る箇所に配置された第二センサ202と第一センサ201との光量値が異なるため用紙Pの搬送方向左側は「耳折れあり」との判定がなされる。また、耳折れが発生していない用紙Pの搬送方向右側が通る箇所に配置された第三センサ202と第一センサ201との光量値が等しいため用紙Pの搬送方向右側は「耳折れなし」との判定がなされる。そして、「耳折れあり」との判定がなされた用紙Pが耳折れ修正部25を通過するときには耳折れ修正部25が作動し、用紙Pは耳折れの修正がなされて画像除去部11へと送られる。また、耳折れ修正部25の耳折れ修正部材が用紙Pの搬送方向右側と搬送方向左側とで別部材でそれぞれ独立して駆動可能である場合は、耳折れが発生している側(図29(d)では用紙Pの搬送方向左側)のみの耳折れ修正部材を作動させても良い。
なお、図29に示す耳折れ検知センサ200では光反射特性を検知する光学センサを使用しているが、光透過特性を検知する光学センサであっても良い。
【0099】
〔実施例11〕
次に、耳折れ修正部25に液体成分付与手段を備える構成で、耳折れ検知手段を備える実施例(以下、実施例11と呼ぶ)について説明する。
図30は、実施例11の画像除去装置100の供給手段から耳折れ修正手段までを示した模式図である。耳折れ修正手段よりも用紙Pの搬送方向下流側の構成は図2を用いて説明した実施形態と同様のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
図30に示した画像除去装置100は、記録媒体供給手段である給紙トレイ12及び給紙コロ13、耳折れ修正手段として耳折れ修正部25、供給搬送手段である供給ローラ対27等を備える。給紙トレイ12は、画像を除去しようとする記録媒体である用紙Pを収容する容器であり、給紙コロ13は給紙トレイ12内の用紙Pを一枚毎に供給ローラ対27(図30では不図示)へと送り出すためのローラ状の部材である。図30に示す画像除去装置100には、耳折れ修正部25に対して用紙Pの搬送方向上流側で給紙コロ13から用紙Pが送られる直後の記録媒体搬送経路に、耳折れ検知手段としての耳折れ検知センサ200を配置している。
【0100】
耳折れ修正部25は、耳折れ検知センサ200よりも下流側、供給ローラ対27よりも上流側の搬送経路中に設けられており、耳折れ修正部材として実施例7と同様に修正ブレード73と、修正ブレード73を用紙Pの搬送方向に対して平行に移動させる修正部材平行移動モータ70とを備える。また、液体成分付与手段である水分付与装置300を備え、水分付与装置300は、水分を貯留する水分タンク301と、用紙Pの耳折れ部位に水分を噴出するためのスプレーノズル302とを備える。また、水分付与装置300は、水分タンク301内の水分をスプレーノズル302へ送るための水分ホース303と、スプレーノズル302に圧縮した空気を送るための気流ホース304とをそなえる。さらに、水分付与装置300は、圧縮した空気を作り出すための圧縮空気発生手段としてのスプレーポンプ305と、気流ホース304とスプレーポンプ305との接続部の開閉を行うスプレーバルブ306とを備える。
【0101】
また、耳折れ修正部25は、水分付与装置300によって水分が付与され、耳折れの修正がなされたあとの用紙Pを加熱・加圧する加熱加圧ローラ対310と、加熱加圧ローラ対310を駆動する駆動モータ311とを備える。加熱加圧ローラ対310は、図23に示すように、耳折れ修正部材である修正ブレード73が用紙Pを摺擦する位置、及び、水分付与装置300が用紙Pに水分を付与する位置、に対して用紙Pの搬送方向下流側の搬送経路中に配置されている。そして、少なくとも用紙Pの耳折れ部位の折れ線となっていた箇所を加熱・加圧する。
なお、本実施例においては、耳折れ修正部材として実施例1〜6に記載のいずれにおいても適用可能である。また、耳折れ修正手段として耳折れ修正部材のほかに液体成分付与手段と加熱・加圧手段とを備える場合には、実施例7および実施例8に記載のものが使用できる。また、画像除去手段として、熱可塑性の画像形成物質で形成された画像を、画像剥離部材に熱転写することにより除去するのものを用いる場合においては、実施例9のように、画像除去部11によって用紙Pを加熱・加圧するようにしてもよい。
【0102】
図30に示す画像除去装置100には、耳折れ修正部25に対して用紙Pの搬送方向上流側で給紙コロ13から用紙Pが送られる直後の用紙Pの搬送経路に、耳折れ検知手段としての耳折れ検知センサ200を配置している。さらに、画像除去装置100には、耳折れ検知センサ200の検知信号を受信し、その検知信号に基づいて修正部材平行移動モータ70の駆動と、加熱加圧ローラ対310の駆動モータ311の駆動とを制御する制御手段としての制御部60を備える。制御部60は、耳折れ検知センサ200の検知信号に基づいて「耳折れあり」と判断された場合にのみ修正部材平行移動モータ70、および加熱加圧ローラ対310の駆動モータ311を駆動する。
なお、耳折れ検知センサ200を備える画像除去装置100の耳折れ修正部25としては、耳折れ修正部材としては修正ブレード73に限るものではなく、実施例1〜5に記載の何れの耳折れ修正部材も適用可能である。また、実施例6のように、圧縮空気噴出機構を備える耳折れ修正部25も適用可能である。
実施例11の耳折れ検知センサ200としては、図29を用いて説明した実施例10の耳折れ検知センサ200と同様のものを用いることができる。そして、制御部60は耳折れ判定手段としての判定結果に基づいて修正部材平行移動モータ70および加熱加圧ローラ対310の駆動モータ311の駆動を制御する。
【0103】
本実施形態のように、耳折れ修正手段である耳折れ修正部25を備える画像除去装置100では、用紙Pが耳折れ修正部25を通過した後の用紙Pに耳折れが残っているか否かを検知する修正下流側耳折れ検知手段を備えていてもよい。
以下、修正下流側耳折れ検知手段としての第二耳折れ検知手段を有する画像除去装置について説明する。
図31は、耳折れ修正手段に対して、用紙Pの搬送方向下流側に第二耳折れ検知手段を有する画像除去装置の基本構成を説明するフローチャートである。
図31に示す画像除去装置は、記録媒体から画像を除去する画像除去手段と、画像を除去しようとする記録媒体を収容し、供給する供給手段と、供給手段によって供給された記録媒体を画像除去手段に搬送する供給搬送手段とを備える。さらに、画像除去手段によって画像の除去がなされた記録媒体を排出手段に搬送するための排出搬送手段、排出搬送手段によって搬送されてきた記録媒体を装置外部へ排出して、装置外部でこの記録媒体を収容する排出手段を備える。供給手段は、画像を除去しようとしているシート状の記録媒体を収容し、少なくとも一枚毎に供給搬送手段に供給するものである。また、排出手段は、画像の除去がなされた記録媒体をユーザーが手に取りやすい位置に設けられた収納容器へ排出するものである。さらに、供給手段と画像除去手段との間に記録媒体の耳折れを修正する耳折れ修正手段を有し、この耳折れ修正手段よりも記録媒体搬送方向の上流側に耳折れを検知する耳折れ検知手段を有する。また、図31でフローチャートを示す画像除去装置は、耳折れ検知手段によって用紙Pに耳折れが発生していることを検知された場合に、耳折れ修正手段が作動するように耳折れ修正手段を制御する不図示の制御手段を備えている。
これらの点は図27を用いて説明した基本構成と共通し、耳折れ修正手段よりも記録媒体搬送方向の下流側に耳折れを検知する第二耳折れ検知手段を有する点で図27とは異なる。図31でフローチャートを示す画像除去装置は、第二耳折れ検知手段を有することにより、耳折れ修正手段から画像除去手段に至るまでの搬送経路中で、記録媒体の耳折れが修正されたか否かを確認することができる。また、この画像除去手段が備える不図示の制御手段は、第二耳折れ検知手段の検知結果に応じて、記録媒体の搬送や画像除去手段での画像の除去などを制御する。
【0104】
次に、修正下流側耳折れ検知手段である第二耳折れ検知手段を備える画像除去装置の動作について説明する。
図32は、第二耳折れ検知手段を備える画像除去装置の一連の動作を示したフローチャートである。
図32に示すように、供給手段(a)によって供給された記録媒体は(S1)、耳折れ検知手段(b)において、耳折れがあるか否かを判定される(S2)。ここで、「耳折れなし」と検知された記録媒体については、第二耳折れ検知手段に対して搬送方向下流側の供給搬送手段(c)により、図32のフローチャートに示されていない画像除去手段の画像除去部へ搬送され(S3)、画像除去部で画像の除去がなされる。画像の除去がなされた記録媒体は排出搬送手段によって排出手段へ搬送される。
一方、耳折れ検知手段(b)において、「耳折れあり」と検知された記録媒体は、耳折れ修正手段(d)において、耳折れの修正がなされる(S4)。耳折れ修正手段(d)において耳折れの修正がなされた記録媒体は、耳折れ修正手段の下流側に設けられた第二耳折れ検知手段(e)において、記録媒体の耳折れ部位が確実に修正されたか否か(再度耳折れとなっていないか)を判定される(S5)。
第二耳折れ検知手段(e)で「耳折れなし」と判定された記録媒体は、第二耳折れ検知手段に対して搬送方向下流側の供給搬送手段(c)により、画像除去手段の画像除去部へ搬送され(S3)、画像除去部で画像の除去がなされ、排出搬送手段によって排出手段へ搬送される。
第二耳折れ検知手段(e)で「耳折れあり」と判定された記録媒体は、第二耳折れ検知手段(e)での耳折れの検知が一回目である場合は、第二耳折れ検知手段に対して搬送方向上流側の供給搬送手段(f)の動作によって、耳折れ修正手段(d)の上流まで戻される(S7)。そして、再度、耳折れ修正手段(d)において耳折れの修正が成される。
第二耳折れ検知手段(e)で検知された後、耳折れ修正部(d)に戻され、耳折れの修正が成された記録媒体は、第二耳折れ検知手段(e)において、耳折れが修正されたか否かの2回目の判定を受ける。ここで「耳折れなし」と判定された記録媒体は、第二耳折れ検知手段に対して搬送方向下流側の供給搬送手段(c)により、画像除去手段の画像除去部へ搬送され(S3)、画像除去部で画像の除去がなされ、排出搬送手段によって排出手段へ搬送される。一方、「耳折れあり」と判定された記録媒体は、排出搬送手段(g)によって搬送され、画像除去処理を受けることなく排出手段へと送られる。
【0105】
〔実施例12〕
次に、第二耳折れ検知手段を備えた画像除去装置の実施例(以下、実施例12と呼ぶ)を説明する。
図33は、実施例12に係る画像除去装置100の概略構成図である。
図33に示すように、実施例12の画像除去装置100は、耳折れ検知センサ200とは別に、第二耳折れ検知手段である第二耳折れ検知センサ400を備える。第二耳折れ検知センサ400としては、図28及び図29を用いて説明した実施例10や、図30を用いて説明した実施例11に記載の耳折れ検知センサ200と同じ構成のものを用いることができる。
第二耳折れ検知センサ400は、耳折れ修正部25から画像除去部11に至るまでの搬送経路中に設けることで適用可能であるが、耳折れ修正部25の下流側直後の搬送経路中に設けられていることが望ましい。なお、画像除去部11から用紙Pの搬送方向下流側の構成は、図2を用いて説明した実施形態と同様のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
【0106】
図33に示す画像除去装置100の耳折れ修正部25は、図25を用いて説明した実施例8に記載のものと同様の耳折れ修正部25を備えている。詳しくは、図24で説明したスプレーノズル302を備え、スプレーノズル302の第一接続口302bに空気圧縮手段であるポンプ91、バルブ92及びホース94からなる風圧発生手段を接続し、さらに、スプレーノズル302の第二接続口302cに水分を貯留する水分タンク301からつながる水分ホース303を備える水分付与装置300を接続する。さらに、耳折れ修正部25は、水分が付与された気流による風圧が作用することによって用紙Pに水分が付与され、耳折れ部位の耳折れの修正がなされた後の用紙Pを加熱・加圧する加熱加圧ローラ対310を備える。
実施例12では、耳折れ修正部25として風圧発生手段を備えた構成について説明したが、第二耳折れ検知手段を備えた画像除去装置の耳折れ修正部25としてはこれに限るものではなく、実施例1から実施例5に記載の何れの耳折れ修正部材も適用可能である。
また、第二耳折れ検知手段を備えた画像除去装置の耳折れ修正部25が備える液体成分付与手段及び加熱・加圧手段についても、実施例12の形態に限るものではなく、実施例7および実施例8に記載の何れの形態も適用可能である。また、画像除去手段として、熱可塑性の画像形成物質で形成された画像を、画像剥離部材に熱転写することにより除去するのものを用いる場合においては、実施例9のように、画像除去部11によって用紙Pを加熱・加圧するようにしてもよい。
【0107】
実施例12の画像除去装置100では、耳折れ検知センサ200および第二耳折れ検知センサ400の検知信号を受信し耳折れの有無を判定する耳折れ判定手段としての機能は、図33で示す制御部60が備える。また、制御部60は、判定結果に基づき、図32に示した動作フローチャートに従って、記録媒体供給手段に設けられた給紙コロ13、耳折れ修正部25に設けられたポンプ91およびバルブ92、加熱・加圧手段である加熱加圧ローラ対310の駆動モータ311の回転方向、画像除去部11に設けられた加圧ローラ19の加圧する動作を制御する機能も備える。
耳折れ修正部25において耳折れの修正がなされた用紙Pが、第二耳折れ検知センサ400において「耳折れあり」と判断された場合、制御部60は、この検知信号に基づいて、耳折れ修正部25によって耳折れを修正する前の位置まで、好ましくは、用紙Pの先端が耳折れ検知センサ200によって耳折れの有無を判定されるときの位置まで、搬送中の用紙Pを搬送経路の上流側に戻すように、給紙コロ13の不図示の駆動手段および加熱加圧ローラ対310の駆動モータ311の動作を制御する。
耳折れ検知センサ200まで戻された用紙Pは、耳折れ修正部25で耳折れの修正がなされた後、再度、第二耳折れ検知センサ400において耳折れが修正されたか否かの判定を受ける。ここで、再び「耳折れあり」と判定された場合、制御部60は、この検知信号に基づいて、画像除去部11の加圧ローラ19の加圧する動作を解除するように制御する。加圧ローラ19の加圧する動作を解除した状態では、用紙Pは剥離ベルト18に接着しないので、用紙Pは画像除去が行われることなく画像除去部11を通過し、排紙トレイ23へと搬送される。
【0108】
〔実施例13〕
次に、第二耳折れ検知手段を備えた画像除去装置に、第2の記録媒体排出手段を設けた搬送経路を備えた画像除去装置の実施例(以下、実施例13と呼ぶ)を説明する。
図34は、実施例13に係る画像除去装置100の概略構成図である。
図34に示すように、実施例13の画像除去装置100は、第二耳折れ検知手段である第二耳折れ検知センサ400を備える。また、第二耳折れ検知センサ400に対して用紙Pの搬送方向下流側には、用紙Pが画像除去部11を通過して排紙トレイ23に向かう第一搬送経路206と、第一搬送経路206とは別に、用紙Pが画像除去部11を通過せずに第二排紙トレイ211に向かう第二搬送経路216とを備える点で実施例11の画像除去装置100とは異なる。
第一搬送経路206は、図2を用いて説明した画像除去装置100が備えるものと同様の画像除去部11、排出搬送手段である排出搬送ローラ対22、記録媒体排出手段である排紙ローラ対24、及び排紙トレイ23等を備える。一方、第二搬送経路216は、画像除去装置100の外部に設けられた第二排紙トレイ211と、用紙Pを第二排紙トレイ211へと搬送するための第2の記録媒体排出手段である第二排出搬送ローラ対212、第二排紙ローラ対213、搬送ガイド214とを備える。また、第二耳折れ検知センサ400による検知位置を通過した用紙Pの搬送経路を、第一搬送経路206または第二搬送経路216に切り替える搬送経路切り替え手段である搬送経路切り替え部材215を備えている。
【0109】
図34に示す画像除去装置100の耳折れ修正部25は、図25を用いて説明した実施例8に記載のものと同様の耳折れ修正部25を備えている。詳しくは、図24で説明したスプレーノズル302を備え、スプレーノズル302の第一接続口302bに空気圧縮手段であるポンプ91、バルブ92及びホース94からなる風圧発生手段を接続し、さらに、スプレーノズル302の第二接続口302cに水分を貯留する水分タンク301からつながる水分ホース303を備える水分付与装置300を接続する。さらに、耳折れ修正部25は、水分が付与された気流による風圧が作用することによって水分が付与され、耳折れ部位の耳折れの修正がなされた後の用紙Pを加熱・加圧する加熱加圧ローラ対310を備える。
実施例13では、耳折れ修正部25として風圧発生手段を備えた構成について説明したが、第二耳折れ検知手段を備えた画像除去装置の耳折れ修正部25としてはこれに限るものではなく、実施例1から実施例5に記載の何れの耳折れ修正部材も適用可能である。
また、第二耳折れ検知手段を備えた画像除去装置の耳折れ修正部25が備える液体成分付与手段及び加熱・加圧手段についても、実施例12の形態に限るものではなく、実施例7および実施例8に記載の何れの形態も適用可能である。また、画像除去手段として、熱可塑性の画像形成物質で形成された画像を、画像剥離部材に熱転写することにより除去するのものを用いる場合においては、実施例9のように、画像除去部11によって用紙Pを加熱・加圧するようにしてもよい。
【0110】
実施例13の画像除去装置では、耳折れ検知センサ200および第二耳折れ検知センサ400の検知信号を受信し、その検知信号に基づいて、記録媒体供給手段に設けられた給紙コロ13の駆動手段の動作、耳折れ修正部25に設けられたポンプ91およびバルブ92の動作、加熱加圧ローラ対310の駆動モータ311の回転方向、第二耳折れ検知センサ400の下流側に設けられた搬送経路切り替え部材215の駆動手段の動作を制御する制御手段である制御部60を備える。
図34に示す画像除去装置100では、搬送経路切り替え部材215は回転軸を有するくさび型の形状であり、図示されていない駆動手段によって、軸を中心として動作可能とした形態のものを図示している。搬送経路切り替え部材215の形状および動作はこれに限るものではなく、搬送経路切り替え部材215より下流側に設けられた2つの搬送経路のいずれか一方に用紙Pを搬送できるよう、搬送経路を切り替えられるものであれば、適用可能である。
【0111】
図35は、第二耳折れ検知センサ400の検知結果に応じて用紙Pが搬送される様子の説明図である。
図35(a)は、第二耳折れ検知センサ400において「耳折れなし」と判定された用紙Pが、画像除去部11が配置された第一搬送経路206へと搬送されている様子を示した模式図である。図35(b)は、第二耳折れ検知センサ400において、2回目の耳折れ検知結果においても「耳折れあり」と判定された用紙Pが、第二搬送経路216を経て第二排紙トレイ211へと搬送されている様子を示した模式図である。実施例13の画像除去装置100においても、実施例12と同様に耳折れ修正部25において耳折れの修正がなされた用紙Pが、第二耳折れ検知センサ400での一回目の判定で、「耳折れあり」と判断された場合、制御部60はこの検知信号に基づいて、耳折れ修正部25によって耳折れを修正する前の位置まで、好ましくは、用紙Pの先端が耳折れ検知センサ200によって耳折れの有無を判定されるときの位置まで、搬送中の用紙Pを搬送経路の上流側に戻すように、給紙コロ13の不図示の駆動手段および加熱加圧ローラ対310の駆動モータ311の動作を制御する。耳折れ検知センサ200まで戻された用紙Pは、耳折れ修正部25で耳折れの修正がなされた後、再度、第二耳折れ検知センサ400において耳折れが修正されたか否かの判定を受ける。このように、第二耳折れ検知センサ400において行われる、耳折れが修正されたか否かの2回目の判定結果が、先に述べた2回目の耳折れ検知結果である。
【0112】
第二耳折れ検知センサ400での耳折れ検知結果が「耳折れなし」と判定された場合、第二耳折れ検知センサ400からの信号に基づいて制御部60は、搬送経路切り替え部材215が図35(a)の状態となるように動作を制御する。これによって、耳折れのない用紙Pのみを画像除去部11へと搬送することが可能となる。一方、第二耳折れ検知センサ400での2回目の耳折れ検知結果が「耳折れあり」と判定された場合、第二耳折れ検知センサ400からの信号に基づき、制御部60は、搬送経路切り替え部材215が図35(b)の状態となるように動作を制御する。これによって、耳折れ修正部25で耳折れの修正が成されなかった用紙Pは、第二搬送経路216へと搬送され、第二排紙トレイ211に排出される。
【0113】
実施例7、8、9、11、12及び13の画像除去装置100では、液体成分付与手段として水分を用紙Pに付与する水分付与装置300を備えた構成について説明した。ここで用紙Pに付与する液体としては、水分に限るものではない。例えば、リユーザブルメディアを製造する際に表面に付与する化合物を含む液体、または溶媒を使用してもよい。上述したリユーザブルメディアとして、オレフィン−無水マレイン酸重合体ケン化物を含む組成物を設けたシートを用いる場合、水以外の液体の例としては、「オレフィン−無水マレイン酸重合体ケン化物を含む組成物」と同じ化合物を溶質とし、水を媒体とした塗布液を使用することができる。
なお、塗布液の濃度は、リユーザブルメディアを製造するときに調整する塗布液の濃度よりも低い濃度のものでも使用可能であるが、塗布液の濃度が低くても、室温では粘度が高くなることが想定される。このため、このような塗布液を上述した水分付与装置300のような液体付与手段を用いて用紙Pに付与しようとすると、液体付与手段の構成に加えて塗布液の粘度を下げるための加熱・攪拌する手段が必要になること、ホースやノズルが目詰まりすることなどの問題も生じる可能性がある。よって、塗布液の溶媒としては「水」を使用することが好ましい。
【0114】
以上、本実施形態によれば、画像除去装置100が、耳折れ修正手段である耳折れ修正部25を有するので、記録媒体である用紙Pについて画像除去装置100が取り扱う前に耳折れが発生していても、耳折れを修正することができる。このため、画像除去装置100で画像形成物質を除去した後の用紙Pを耳折れのない状態とすることができる。これにより、用紙Pの再利用時において、画像形成装置内での搬送不良、用紙Pがリユーザブルメディアであることを示す識別マークの識別不良、用紙Pの束の管理を阻害する等、耳折れに起因する不具合の発生を防止することができる。
【0115】
また、耳折れ修正部25は画像除去装置100内の記録媒体供給手段である給紙コロ13から記録媒体排出手段である排紙ローラ対24までに用紙Pが通過する記録媒体搬送経路内に配置されているため、画像除去装置100で画像の除去がなされた画像除去装置100の外に排出された用紙Pは耳折れがない状態とすることができる。
【0116】
また、耳折れ修正部25は画像除去手段である画像除去部11に対して用紙の搬送方向上流側に配置されている。このため、耳折れが原因となって引き起こされる画像の残留を防止することができる。さらに、耳折れ修正部25を画像除去装置100内の記録媒体搬送経路の極力上流側に配置することにより、画像除去装置内でのジャムやスキュー、レジスト不良などの用紙Pの搬送不良が発生することを防止することができる。すなわち、ユーザーが用紙Pに耳折れが生じていることに気付かずに供給トレイにセットした場合であっても、画像除去装置内でのジャムやスキュー、レジスト不良などの用紙Pの搬送不良が発生することを防止することができる。
【0117】
また、画像除去装置100が備える記録媒体供給手段は、画像の除去をしようとするシート状の記録媒体である用紙Pを収容する給紙トレイ12と、画像除去手段である画像除去部11に用紙Pを少なくとも一枚毎に供給する給紙コロ13とからなる。また、画像除去装置100は、給紙トレイ12から給紙コロ13によって供給された用紙Pを画像除去部11に搬送するための供給搬送手段である供給ローラ対27及び搬送ガイド26を有する。また、画像除去部11によって画像形成物質の除去がなされた記録媒体を収容する排出手段である排紙ローラ対24及び排紙トレイ23と、画像除去部11によって画像形成物質の除去がなされた用紙Pを排紙ローラ対24に向けて搬送する排出搬送手段である排出搬送ローラ対22とを有する。このように、各部材を配置することにより、画像除去部11よりも上流側に耳折れ修正部25を設ける構成を実現することができる。
【0118】
また、画像除去部11は、用紙P上の画像を形成する画像形成物質を加熱手段である加熱ブロック15と、用紙Pの画像が形成された面と接触して加熱ブロック15によって加熱された画像形成物質を用紙P上から転写させて画像形成物質を用紙P上から剥離させる画像剥離部材である剥離ベルト18とを備える画像剥離手段としての剥離ベルトユニット10を有し、剥離ベルト18が用紙Pと接触する位置で剥離ベルト18に用紙Pを重ね合わせた状態で加圧する加圧手段である加圧ローラ19を備える。これにより、用紙P上の画像形成物質が熱可塑性の画像形成物質であれば、用紙P上の画像の除去を行うことができる。
記録媒体から画像形成物質を除去する画像除去手段としては、図2を用いて説明した画像除去装置100ように、画像形成物質を画像剥離部材に熱転写して除去する方法を用いることが好ましい。この方法では、記録媒体上の画像を形成する画像形成物質を良好に除去することができ、且つ、画像除去装置の構成も比較的簡単なものとなり、画像除去の機能の信頼性も得られる。しかしながら、この方法を用いた画像除去装置においては、記録媒体に耳折れ部位が生じたままの状態で画像除去部に記録媒体が挿入された場合には、画像剥離部材に記録媒体が密着したまま分離することができなくなり、画像剥離部材が使用不可能になる、という不具合が生じるおそれがある。本実施形態の画像除去装置100では、画像除去部11が画像形成物質を画像剥離部材である剥離ベルト18に熱転写して除去する方法である画像除去装置で、画像除去部11よりも上流側に耳折れ修正部25を設けることにより、上述した画像除去装置が使用不可能になる不具合を未然に回避することができるので、画像除去装置の信頼性をより高めることが可能となる。
【0119】
また、図3に示すように、耳折れ修正部25によって耳折れが修正され得る領域にある用紙Pを保持または搬送する修正部搬送部材としての搬送ローラ1を備え、耳折れ修正手段が用紙Pに対して作用させる力の大きさを、用紙Pと搬送ローラ1との最大静止摩擦力から搬送ローラ1が用紙Pを搬送するために要する力を引いた力の大きさ以下とすることにより、用紙Pと搬送ローラ1とが滑る(用紙Pと搬送ローラ1との間でスリップが生じる)ことを防止することができ、用紙Pの保持・搬送状態に悪影響を及ぼすことなく耳折れ部位Eを修正することが出来る。これにより、画像除去装置100内でジャムやスキュー、レジストずれ、などの搬送不良の発生を防止することができる。
画像除去装置100では、記録媒体である用紙Pを、供給、搬送、及び排出を行う手段が、給紙コロ13、供給ローラ対27、排出搬送ローラ対22、及び、排紙ローラ対24からなり、部材による摩擦力によって、保持または搬送し、供給、搬送、及び排出を行うものである。そして、耳折れ修正部25において耳折れ部位Eを修正するために作用せしめる力が、耳折れ部位Eを修正するタイミングで用紙Pを保持または搬送している部材と用紙Pとの摩擦力よりも弱い力となるようにして、用紙Pの保持および搬送状態に悪影響を及ぼすことなく耳折れを修正するものとしている。これにより、用紙Pを搬送しながら耳折れを修正することができるので、ジャムやスキュー、レジスト不良などの搬送不良の発生を起こすことなく、かつ、画像除去装置100の処理性能を落すことなく耳折れ修正を行うことができる。
【0120】
また、実施例1から実施例5の耳折れ修正部25は、耳折れ修正部として用紙Pの耳折れ部位Eを摺擦する接触型の耳折れ修正部材を備え、この接触型の耳折れ修正部材の耳折れ部位摺擦部で用紙Pの耳折れ部位Eを摺擦することにより耳折れ部位を元に戻すことができる。また、用紙Pに耳折れ摺擦部材を摺擦させることで耳折れ部位Eを戻す構成であれば、耳折れ修正部25を比較的な簡素な構成部品で構成することができ、小型化やコスト削減を図ることができる。さらに、摺擦によって耳折れ部位Eを戻すため騒音の発生も少ない。
【0121】
特に、実施例1のように耳折れ修正部材がブラシローラ対41であり、ブラシローラ対41の耳折れ部位摺擦部である起毛部41aが用紙Pの搬送方向下流側である用紙Pの先端部の耳折れ部位Eを摺擦するときに起毛部41aの用紙Pの搬送方向についての移動速度であるブラシローラ対41の周速度が、用紙Pの搬送速度よりも大きくなるようにブラシローラ対41を回転させることによって、用紙Pの先端部に生じた耳折れ部位Eを戻すことができるだけでなく、用紙Pの表面を傷つけたり、用紙Pの表面近傍に設けられている画像形成物質との定着強度が一般的な記録媒体よりも低くなるような組成物の脱落を防ぐこともできる。これにより、用紙Pの先端部に耳折れ部位Eが発生していても、再利用時には耳折れがない状態となり、画像除去装置100内の耳折れ修正部25よりも搬送方向下流側の記録媒体搬送経路、並びに、再利用するときの画像形成装置内の記録媒体搬送経路での搬送不良を防止することができる。画像除去装置100のように耳折れ修正部25の搬送方向下流側に画像除去部11がある場合は画像除去する前に耳折れを修正するので、耳折れによって画像の一部が隠されることによって発生する画像の残留を防ぐことができる。さらに、用紙Pの搬送速度よりも大きくなるようにブラシローラ対41を回転させることによって、用紙Pの搬送を行いながら耳折れ部位Eの修正を行うことができるため、耳折れ部位Eを修正するときに搬送中の用紙Pを停止させる必要がなく、画像除去装置100での画像除去処理の高速化を図ることができる。また、耳折れ修正部材としては、図4に示したブラシローラ対41のほかにも、図5で示した、何れの形状の部材でも同様の効果が得られる。
【0122】
特に、実施例2のように耳折れ修正部材が画像除去装置100に固定された修正ガイド72であれば、用紙Pの搬送方向上流側である用紙Pの後端部の耳折れ部位Eを摺擦するとき、修正ガイド72の移動速度は用紙Pの搬送速度よりも小さくなる。用紙Pの搬送速度よりも小さい移動速度の部材が耳折れ部位Eに接触して摺擦することにより、搬送方向とは逆方向の力が耳折れ部位Eに作用することになり、用紙Pの後端部に生じた耳折れ部位Eを戻すことができる。これにより、用紙Pの後端部に耳折れ部位Eが発生していても、再利用時には耳折れがない状態となり、画像除去装置100内の耳折れ修正部25よりも搬送方向下流側の記録媒体搬送経路、並びに、再利用するときの画像形成装置内の記録媒体搬送経路での搬送不良を防止することができる。画像除去装置100のように耳折れ修正部25の搬送方向下流側に画像除去部11がある場合は、画像除去する前に耳折れを修正するので、耳折れによって画像の一部が隠されることによって発生する画像の残留を防ぐことができる。さらに、用紙Pの後端部の耳折れは用紙Pの搬送によって修正がなされ、用紙Pの搬送を行いながら耳折れ部位Eの修正を行うことができるため、耳折れ部位Eを修正するときに搬送中の用紙Pを停止させる必要がなく、画像除去装置100での画像除去処理の高速化を図ることができる。なお、修正ガイド72のように画像除去装置100に固定されて用紙Pの搬送方向に停止した部材に限らず、用紙Pの搬送方向と同方向に移動し、用紙Pの搬送速度よりも移動速度が遅い部材であっても用紙Pの搬送速度よりも移動速度が小さい部材が耳折れ部位Eを摺擦することになり、実施例2の図8を用いて説明した構成と同様に用紙Pの後端部に発生した耳折れ部位Eを戻すことができる。さらに、用紙Pの搬送方向と逆方向に移動する部材であっても用紙Pの搬送方向についての移動速度が搬送速度よりも小さい部材が耳折れ部位を摺擦することになり、実施例2の図8を用いて説明した構成と同様に用紙Pの後端部に発生した耳折れ部位Eを戻すことができる。このような耳折れ修正部材としては、図8に示した修正ガイド72のほかにも、図9に示した耳折れ修正部材の何れの形状においても同様の効果が得られる。
【0123】
特に、実施例3のように耳折れ修正部材が修正ブレード73であり、用紙Pの先端部の耳折れ部位Efを摺擦するときに用紙Pの搬送方向について用紙Pの搬送速度よりも修正ブレード73を速く移動させることによって、用紙Pの先端部に生じた耳折れ部位Efを戻すことができる。さらに、修正ブレード73が用紙Pの後端部の耳折れ部位Efを摺擦するときに修正ブレード73を用紙Pの搬送方向とは逆方向に移動させることにより、用紙Pの搬送方向とは逆方向の力が耳折れ部位Ebに作用することになり、用紙Pの後端部に生じた耳折れ部位Ebを戻すことができる。このような修正ブレード73であれば、一つの部材で用紙Pの先端部の耳折れ部位Efと後端部の耳折れ部位Ebとを共に戻すものがあれば耳折れ修正部25の構成が簡素となり、用紙Pに耳折れが発生していることで生じる不具合を防止しつつ、画像除去装置100の小型化及び低コスト化を図ることができる。また、耳折れ修正部材としては、図11に示した修正ブレード73のほかにも、図12で説明した、何れの耳折れ修正部材でも同様の効果が得られる。
【0124】
特に、実施例4のように耳折れ修正部材が修正ローラ対31であり、用紙Pの先端部及び後端部が通過するタイミングのみ修正ローラ対31の二つのローラ部材が近接して用紙Pの耳折れ部位Eを摺擦することにより、用紙Pの端部に発生する耳折れを修正しつつ、耳折れ修正部材である修正ローラ対31の磨耗による劣化を抑制することができる。このような耳折れ修正部材としては、図14に示した修正ローラ対31のほかにも、図15および図16に示した耳折れ修正部材の何れの形状においても同様の効果が得られる。
【0125】
特に、実施例5のように耳折れ修正部材として、回転軸51aと回転軸51aに対して非対称な形状で回転軸51aを中心に回転可能で用紙Pの耳折れ部位を摺擦可能な偏心摺擦部材51とを備え、偏心摺擦部材51と用紙Pとが接触し得る位置を用紙Pの先端部及び後端部が通過するタイミングで偏心摺擦部材51が用紙Pを摺擦するように偏心摺擦部材51を回転駆動する。これにより、用紙Pの先端部または後端部に発生した耳折れ部位Eを修正することができる。さらに、用紙Pの先端部及び後端部を除く部分が、偏心摺擦部材51と用紙Pとが接触し得る位置を通過するタイミングでは、偏心摺擦部材51が用紙Pを摺擦する位置から回転させて偏心摺擦部材51が用紙Pに接触しないか、接触してもほとんど摩擦力が生じない状態とすることができる。このように、回転操作という単純な動作で用紙Pの先端部及び後端部のみで用紙Pを摺擦することができるため、画像除去装置100の小型化及び低コスト化を図ることができる。部又耳折れ修正部材としては、図18に示した偏心摺擦部材51のほかにも、図19に示した耳折れ修正部材のいずれの形状においても同様の効果が得られる。
【0126】
特に、実施例6のように、用紙Pの耳折れ部位Eに風圧を作用させることが可能な風圧発生手段としての圧縮空気噴出手段であるノズル93とを備える耳折れ修正部材で、用紙Pの耳折れ部位Eに風圧を作用させることにより耳折れ部位Eを戻すことにより、用紙Pの耳折れ部位Eを戻すことができる。また、風圧により耳折れ部位Eを戻すため、接触型の耳折れ修正部材と異なり、耳折れ修正部25の部材と用紙Pとを摺擦することがないため、耳折れ修正部25が備える部材が磨耗劣化することを防止することができるため、耳折れ修正部25の長寿命化を図ることができる。さらに、耳折れ摺擦部材が用紙Pを摺擦しないので、用紙Pがリユーザブルメディアである場合の用紙P上に付与された画像形成物質に対する定着性を低下せしめる組成物の脱落などのリユーザブルメディアが磨耗劣化することを防止することができる。これにより、リユーザブルメディアの使用回数の延長を図ることができる。
【0127】
また、用紙Pの先端部と後端部とがノズル93が圧縮空気を噴出する位置を通過するタイミングのみでノズル93から圧縮空気が噴出されるようにポンプ91及びバルブ92を制御することにより、用紙Pの先端部又は後端部に発生し得る耳折れ部位Eを戻すことができ、且つ、不要なときは圧縮空気を噴出することを停止するため、ノズル93からの空気噴射に伴う不要な騒音の発生を抑制することができる。さらに、用紙Pの先端部または後端部が通過するタイミング以外の時間帯にポンプ91によって空気圧を蓄積することが可能となり、小型で安価な装置で、強い風圧を発生されることができ、この風圧で用紙Pの耳折れを戻すことができる。
【0128】
また、実施例1〜6の何れの耳折れ修正部材においても、耳折れの修正が成される箇所を通過する用紙Pを挟んで両側に位置するように耳折れ修正部材を設けることにより、耳折れ部位Eが用紙Pの二つの面のどちらに折れこんでいても耳折れ部位Eを戻すことができる。さらに、通過する用紙Pを挟んで用紙Pの面を挟んで略対象となるように耳折れ修正部材を設けることにより、用紙Pの両面から略同時に耳折れ修正動作による力が加えられ、用紙Pの両面から加わる圧力が略同一となるため、用紙Pの搬送方向を曲げることを防止することができ、耳折れ修正操作に伴う用紙Pのジャムやスキューの発生を防止することができる。
【0129】
また、実施例7及び実施例8の画像除去装置100では、耳折れ修正手段である耳折れ修正部25が、記録媒体である用紙Pの耳折れ部位を戻すように作用する耳折れ修正部材である修正ブレード73と、少なくとも用紙Pの耳折れ部位の折れ線となっていた箇所に液体成分である水分を付与することができる液体付与手段である水分付与装置300とを備える。さらに、実施例7の耳折れ修正部25は、修正ブレード73が用紙Pに作用する位置、及び、水分付与装置300が用紙Pに水分を付与する位置よりも用紙Pの搬送方向下流側に、少なくとも耳折れ部位の折れ線となっていた箇所を含むように用紙Pを加熱・加圧することができる加熱・加圧手段である加熱加圧ローラ対310を備える。
このような画像除去装置100では、耳折れが生じている用紙Pが給紙トレイ12にセットされたとしても、水分付与装置300によって用紙Pの耳折れ部位の折れ線に水分が付与され、耳折れ修正部材である修正ブレード73によって耳折れの修正がなされた後、加熱加圧ローラ対310により加熱・加圧される。これにより、いわゆるアイロンを用いたシワ伸ばしと同様の効果が得られるので、水分を付与せずに耳折れ修正部材で耳折れの修正を行った場合よりも、耳折れ修正がなされた後の耳折れ部位が強力に伸ばされるので、耳折れ修正がなされた後の耳折れ部位が再び起き上がって耳折れ部位となる可能性をより小さくすることができる。したがって、耳折れ修正部25より下流側に設けられた画像除去部11や排紙トレイ23までの搬送の過程での耳折れに起因するジャム等の搬送不良を防止することができる。さらに、用紙Pを再度、画像形成に用いるときの画像形成装置内での紙搬送中に用紙Pに耳折れが生じていることによって発生する、ジャム等の搬送不良、画像形成不良を未然に防ぐことができる。
【0130】
特に、実施例7の画像除去装置100は、液体付与手段である水分付与装置300は、水分を用紙Pに向けて噴出するスプレーノズル302と、スプレーノズル302から噴出させる水分を収容する液体容器である水分タンク301と、水分タンク301の底からスプレーノズル302につながり、スプレーノズル302まで水分を送るための水分ホース303と、スプレーノズル302に気流を発生させる気流発生手段であるスプレーポンプ305と、スプレーポンプ305で発生させた気流をスプレーノズル302まで導く気流ホース304とを有する。なお、スプレーポンプ305は、圧縮した空気をスプレーノズル302に送ることによって気流を発生させる圧縮空気発生手段である。なお、圧縮空気発生手段としてはピストンを用いてもよい。
このように、水分付与装置300を、ピストンまたはポンプからなる構成とすることにより、水分を付与する手段を比較的簡素な構成部品で構成することができ、小型化やコスト削減を図ることができる。さらに、スプレーノズル302を用いることにより、少量の水分を霧状にして噴き付けることができるので、耳折れ部位近傍の広い範囲に水分を付与することが可能となる。
【0131】
特に、実施例8の画像除去装置100は、スプレーノズル302、ポンプ91、ホース94、及びバルブ92等を備える風圧発生手段は、気流を発生させ、その気流を記録媒体の耳折れ部位に当てることにより耳折れ部位に風圧を作用させるものであり、耳折れ修正部25は、風圧発生手段と、風圧発生手段が発生させる気流に液体成分である水分を付与することができる液体付与手段である水分付与装置300とを備える。さらに、風圧発生手段が用紙Pに風圧を作用させる位置よりも用紙Pの搬送方向下流側に配置された、少なくとも用紙Pの耳折れ部位の折れ線となっていた箇所を加熱・加圧することができる加熱加圧ローラ対310を備える。そして、実施例8の耳折れ修正部25では、用紙Pの耳折れ部位に水分を含ませた気流を当てることによって風圧を作用させ、耳折れ部位を修正するものである。
そして、実施例8のように、非接触型の耳折れ修正部材である風圧発生手段を備えた耳折れ修正部25で、用紙Pの耳折れ部位に水分を付与する手段を設ける場合に、耳折れ修正部材に備えられている圧縮空気噴出機構の空気圧縮手段であるポンプ91を、スプレーノズルに気流を発生させる気流発生手段として用いることができるので、水分を付与する手段を備えた耳折れ修正部25を、より簡素な構成とすることができる。これにより、小型で安価な装置を実現するとともに、用紙Pの耳折れ部位に対して水分が付与された強い風圧を噴き付けることができるため、この風圧によってより確実に耳折れを戻すことができる。
【0132】
また、実施例7及び実施例8に示す耳折れ修正部25が備える加熱・加圧手段は、画像除去手段である画像除去部11よりも用紙Pの搬送方向上流側に配置されたローラ対からなる加熱加圧ローラ対310である。また、加熱加圧ローラ対310は、ローラ表面を加熱するローラ加熱手段を備えた加熱ローラと、金属製の芯金及び弾性材料からなる表面層から形成される加圧ローラとからなる。さらに、加熱ローラまたは加圧ローラの何れか一方のローラに駆動を伝達する駆動手段である駆動モータ311を有する。このような加熱加圧ローラ対310を有することにより、水分を付与した用紙Pの加熱・加圧を施すことができるだけでなく、搬送経路の下流側へと用紙Pを搬送する、搬送力を付与することが可能となる。これにより、耳折れ修正部25において用紙Pが滞ることがなく、効率よく耳折れ修正の一連の処理を行うことができる。
【0133】
特に、実施例9の画像除去装置100では、画像除去手段である画像除去部11は、用紙P上の画像形成物質を加熱する加熱手段である加熱ブロック15と、用紙Pの画像が形成された面と接触して加熱ブロック15によって加熱された画像形成物質を用紙P上から熱転写させて画像形成物質を用紙P上から剥離させる画像剥離部材である剥離ベルト18を備える剥離ベルトユニット10を備え、剥離ベルト18が用紙Pと接触する位置で剥離ベルト18に用紙Pを重ね合わせて加圧する加圧手段である加圧ローラ19を備え、画像除去部11が水分付与装置300によって用紙Pに付与された水分を蒸発させ、用紙Pの耳折れを修正する、加熱・加圧手段として兼用するものである。
実施例9のように、画像除去部11が、用紙P上の熱可塑性の画像形成物質からなる画像を熱溶融状態とした状態で、画像剥離部材に熱転写するものである場合においては、用紙P上の画像形成物質を加熱する加熱ブロック15と、画像剥離部材に記録媒体を重ね合わせて加圧する加圧ローラ19とを備えている。このため、ので、耳折れ修正部25としては、実施例1〜6に記載の耳折れ修正部材と、少なくとも耳折れ部位の折れ線に水分を付与する水分付与装置300とを備えた構成とすることにより、実施例7および実施例8と同様の効果を得ることができる。よって、実施例7および実施例8のように耳折れ修正部25に加熱・加圧手段を設けなくとも、画像除去部11に備えられた加熱ブロック15を有する剥離ベルトユニット10と加圧ローラ19とにより、水分付与装置300によって付与された水分を蒸発させながら耳折れを修正することができる。また、耳折れ修正部25に加熱・加圧手段を設けなくとも、耳折れ修正部25に対して搬送方向下流側に設けられた画像除去部11や排紙トレイ23までの搬送を行うことができる。また、水分を付与しないものに比べて耳折れの修正をより確実に行うことができるので、用紙Pを画像形成装置で使用した場合に、画像形成装置内での搬送中の用紙に耳折れがあることによって発生するおそれがある、ジャム等の搬送不良、画像形成不良を未然に防ぐことができる。さらには、耳折れ修正手段に加熱・加圧手段を設ける必要が無いので、耳折れ部位の修正に要するエネルギー消費を低減することができ、かつ、耳折れ修正部25の構成を簡素にすることができる。
【0134】
また、実施例10および実施例11の画像除去装置では、耳折れ修正部25に対して用紙Pの搬送方向上流側に用紙Pの耳折れの有無を検知する耳折れ検知手段としての耳折れ検知センサ200を備えることにより、耳折れ部位Eが発生している用紙Pを把握することができる。さらに、耳折れ部位Eが発生していることを検知した用紙Pが通過するときのみ耳折れ修正部25を作動させることにより、接触型の耳折れ修正部材を備える耳折れ修正部25であれば、耳折れ修正部材の耳折れ摺擦部の磨耗劣化、及び、用紙Pの磨耗劣化を防止することができる。特に、用紙Pがリユーザブルメディアである場合は、用紙Pの表面に付与された画像形成物質の定着性を低下させる組成物が耳折れ修正部材との摩擦により脱落することを防止でき、リユーザブルメディアの使用回数の延長を図ることができる。また、実施例6のようにノズルから圧縮空気を噴出する耳折れ修正部25であれば、空気を排出するときの不要な騒音の発生を防止しつつ、空気圧縮手段であるポンプ91を連続して使用することによる、ポンプ91の劣化を防止することができる。
【0135】
また、耳折れ検知センサ200が、検知領域に於ける用紙Pの有無を検知する検知部材として、用紙Pの幅方向の中央部が通過する位置を検知領域とする中央検知部材としての第一センサ201と、用紙Pの幅方向端部が通過する位置を検知領域とする端部検知部材としての第二センサ202及び第三センサ203とを備え、第一センサ201の検知結果と第二センサ202または第三センサ203の検知結果とを比較し、第一センサ201では用紙Pがあることを検知したタイミングで第二センサ202または第三センサ203の検知結果が用紙Pはないと検知したときに用紙Pに耳折れが発生していることを検知する。このように、耳折れ検知センサ200は簡素な構成で耳折れを検知することができるので、耳折れ検知センサ200を備えた画像除去装置100を、小型、安価な構成で信頼性良く耳折れを修正することができる。
【0136】
また、実施例12および実施例13の画像除去装置100は、記録媒体である用紙Pの記録媒体搬送経路内での搬送方向について、耳折れ修正手段である耳折れ修正部25に対して搬送方向下流側に配置され、用紙Pから画像形成物質を除去する画像除去手段である画像除去部11と、耳折れ修正部25に対して搬送方向下流側、且つ、画像除去部11に対して搬送方向上流側に用紙Pの耳折れの有無を検知する修正下流側耳折れ検知手段である第二耳折れ検知センサ400を有する。これにより、耳折れ修正部25を通過したにも関わらず、耳折れ部位が修正されていない用紙Pを検出することができる。
【0137】
また、実施例12および実施例13の画像除去装置100は、制御手段である制御部60は、第二耳折れ検知センサ400によって、耳折れがないと検知された場合には画像除去部11へと用紙Pを搬送し、耳折れがあると検知された場合には、耳折れ修正部25によって耳折れを修正する位置よりも搬送方向上流側まで用紙Pを戻して、この用紙Pに対して耳折れ修正部25での耳折れの修正を再度実行する制御を行う。さらに、制御部60は、第二耳折れ検知センサ400によって耳折れがあると検知され、耳折れ修正部25での耳折れの修正を再度実行された用紙Pに対して、第二耳折れ検知センサ400による二回目の耳折れの有無の検知を行う。そして、第二耳折れ検知センサ400による二回目の検知で、耳折れがないと検知された場合には画像除去部11へと用紙Pを搬送する。一方、耳折れがあると検知された場合には、用紙Pは画像除去を行わずに記録媒体排出手段である排紙ローラ対24(実施例13では第二排紙ローラ対213)によって装置外の排紙トレイ23(実施例13では第二排紙トレイ211)に排出する制御を行う。
このように、実施例11および実施例12の画像除去装置100は、耳折れ修正部25の下流側直後に、耳折れ修正部25において、用紙Pの耳折れが修正されたか否かを確認するための第二耳折れ検知センサ400を備え、制御部60が、第二耳折れ検知センサ400の検知信号を受信し、その検知信号に基づいて、用紙Pを画像除去部11に搬送するか、画像除去を行わず、用紙Pをそのまま排紙トレイへ送るか、を判定することが可能である。このような構成とすることで、耳折れ修正部25において耳折れの修正がなされた後の用紙Pに耳折れ部位が生じていたとしても、用紙Pに耳折れ部位が生じていることによって発生するジャム等の搬送不良、画像残留を防ぐことができる。特に、画像除去部11に、画像形成物質を剥離部材に熱転写する方式を適用した画像除去装置100においては、用紙Pに耳折れ部位が生じたままの状態で画像除去部11に用紙Pが挿入された場合に生じるおそれのある、剥離部材に用紙Pが密着したまま分離することができなくなる、というトラブルを回避することができる。
【0138】
特に、実施例12の画像除去装置では、画像除去部11が、用紙P上に形成された画像形成物質を熱転写により除去する画像除去手段であり、制御部60は、第二耳折れ検知センサ400の検知結果に基づいて、画像除去部11の加圧する手段の動作を解除するよう制御している。このため、耳折れ修正部25において耳折れが修正されなかった用紙Pが画像除去部11に搬送されたとしても、剥離部材である剥離ベルト18に用紙Pを密着させないよう制御されるので、剥離ベルト18に用紙Pが密着したまま分離できなくなる、というトラブルを回避することができる。
【0139】
特に、実施例13の画像除去装置100は、第二耳折れ検知センサ400に対して搬送方向下流側、且つ、画像除去部11に対して搬送方向上流側に位置し、第二耳折れ検知センサ400によって検知される位置を通過後の用紙Pの搬送経路を、用紙Pが画像除去部11に向かう第一搬送経路206、または、画像除去部11を通らずに装置外に向かう第二搬送経路216に切り替えることができる搬送経路切り替え手段である搬送経路切り替え部材215を有する。そして、制御部60は、耳折れ修正部25によって二回の耳折れの修正が行われた後、第二耳折れ検知センサ400によって耳折れがあることが検知された用紙Pを第二搬送経路216に搬送するように搬送経路切り替え部材215を制御する。
このように実施例13の画像除去装置100は、第二耳折れ検知センサ400から画像除去部11に至る第一搬送経路206とは別に設けられた、第二耳折れ検知センサ400から画像除去装置100の外部の第二排紙トレイ211へと記用紙Pを搬送するための第二搬送経路216と、用紙Pが搬送される搬送路を切り替える、搬送経路切り替え部材215と、第二耳折れ検知センサ400の検知結果に基づいて、搬送経路を切り替えるように搬送経路切り替え部材215の動作を制御する制御部60とを有する。そして、耳折れ修正部25において、一回以上の所定回数の耳折れ修正の処理を受けたにも関わらず、耳折れ部位の修正がなされなかった用紙Pについては、第二搬送経路216に搬送されるように搬送経路切り替え部材215の動作を制御することができるので、耳折れ部位が生じたままの用紙Pが、画像除去部11に挿入されることを確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】画像除去装置の基本構成を説明するフローチャート。
【図2】本実施形態の画像除去装置の概略構成図。
【図3】耳折れを修正する原理の説明図、(a)は用紙の先端部に耳折れが生じた場合の説明図、(b)は用紙Pの後端部に耳折れが生じた場合の説明図。
【図4】実施例1の耳折れ修正部の概略説明図、(a)は上面模式図、(b)は側方模式図。
【図5】実施例1に適用可能な耳折れ修正部材の例の説明図。
【図6】先端部に耳折れが生じた用紙が実施例1の耳折れ修正部を通過する直前の模式図、(a)は上面模式図、(b)は側方模式図。
【図7】実施例1の耳折れ修正部で用紙の耳折れが修正される工程を説明する模式図、(a)は用紙Pの耳折れ部位が戻る力が作用する直前を示す説明図、(b)は用紙の耳折れ部位が戻る力が作用している状態を示す説明図、(c)は用紙の耳折れ部位に戻る力が作用し終わった直後の状態を示す説明図。
【図8】実施例2の耳折れ修正部の概略説明図。(a)は上面模式図、(b)は側方模式図。
【図9】実施例2に適用可能な耳折れ修正部材の例の説明図。
【図10】後端部に耳折れが発生した用紙が実施例2の耳折れ修正部を通過して耳折れが修正される工程を説明する模式図、(a)は用紙が耳折れ修正部を通過しきる直前の説明図、(b)は、修正ブレードによって用紙の後端部の耳折れ部位が戻されつつある状態の説明図、(c)用紙が耳折れ修正部を通過した直後の説明図。
【図11】実施例3の耳折れ修正部の概略説明図。(a)は上面模式図、(b)は側方模式図。
【図12】実施例3に適用可能な耳折れ修正部材の例の説明図。
【図13】先端部と後端部とに耳折れが発生した用紙が実施例3の耳折れ修正部を通過して耳折れが修正される工程を説明する模式図、(a)は用紙の先端部が修正ブレードの間を通過した状態を示す図、(b)は用紙の先端部の耳折れが修正ブレードによって修正される状態の説明図、(c)は用紙の先端部の耳折れが修正ブレードによって修正された状態の説明図、(d)は用紙の先端が加圧ローラ対を通過した状態の説明図、(e)修正ブレードが用紙の搬送方向とは逆方向に移動して用紙の後端部の耳折れ部位を修正する状態の説明図、(f)用紙が耳折れ修正部を通過した直後の説明図。
【図14】実施例4の耳折れ修正部の概略説明図。(a)は上面模式図、(b)は側方模式図。
【図15】実施例4に適用可能な耳折れ修正部材の例の説明図。
【図16】実施例4に適用可能で修正部材位置制御手段が不要な耳折れ修正部材である修正ローラ対の説明図、(a)は修正ローラ対が停止した状態、(b)は修正ローラ対が回転している状態を示す説明図。
【図17】先端部と後端部とに耳折れが発生した用紙が実施例4の耳折れ修正部を通過して耳折れが修正される工程を説明する模式図、(a)は修正ローラ対に用紙の先端部が近づく前の説明図、(b)用紙の先端部が修正ローラ対の位置に到達した状態の説明図、(c)は用紙の先端部が修正ローラ対の位置を通過した状態の説明図、(d)は修正ローラ対に用紙の後端部が近づく前の説明図、(e)用紙の後端部が修正ローラ対の位置に到達した状態の説明図、(f)用紙の後端部が修正ローラ対の位置を通過した状態の説明図。
【図18】実施例5の耳折れ修正部の概略説明図。(a)は上面模式図、(b)は側方模式図。
【図19】実施例5に適用可能な耳折れ修正部材の例の説明図。
【図20】先端部と後端部とに耳折れが発生した用紙が実施例5の耳折れ修正部を通過して耳折れが修正される工程を説明する模式図、(a)は偏心摺擦部材に用紙の先端部が近づく前の説明図、(b)用紙の先端部が偏心摺擦部材の位置に到達した状態の説明図、(c)は用紙の先端部が偏心摺擦部材の位置を通過した状態の説明図、(d)は偏心摺擦部材に用紙の後端部が近づく前の説明図、(e)用紙の後端部が偏心摺擦部材の位置に到達した状態の説明図、(f)用紙の後端部が偏心摺擦部材の位置を通過した状態の説明図。
【図21】実施例6の耳折れ修正部の概略説明図。
【図22】実施例6の耳折れ修正部で用紙の耳折れが修正される工程を説明する模式図、(a)は用紙の先端部に風圧が作用する直前を示す説明図、(b)は用紙の先端部に風圧が作用している状態を示す説明図、(c)は用紙の先端部に風圧が作用し終わった直後の状態を示す説明図。
【図23】実施例7の耳折れ修正部の概略説明図。
【図24】スプレーノズルの説明図、(a)は、スプレーノズルの斜視説明図、(b)は、霧吹きの原理を利用した水分付与装置の例の説明図、(c)は、スプレーノズル中に、空気が流されたときの、スプレーノズル内の説明図、(d)は、スプレーノズルの噴出口から水分が霧状となって出る状態の説明図。
【図25】実施例8の耳折れ修正部の概略説明図。
【図26】実施例9の耳折れ修正部の概略説明図。
【図27】耳折れ検出手段と耳折れ修正手段とを備えた画像除去装置の基本構成を説明するフローチャート。
【図28】耳折れ検知手段を備えた実施例10の画像除去装置の供給手段から耳折れ修正手段までを示した模式図。
【図29】耳折れ検知センサの説明図、(a)は耳折れが発生していない用紙の先端が耳折れ検知センサの上を通過する直前の説明図、(b)は耳折れが発生していない用紙の先端が耳折れ検知センサの上を通過している状態の説明図、(c)は耳折れが発生している用紙の先端が耳折れ検知センサの上を通過する直前の説明図、(d)は耳折れが発生している用紙の先端が耳折れ検知センサの上を通過している状態の説明図。
【図30】実施例11の耳折れ修正部の概略説明図。
【図31】耳折れ検出手段、耳折れ修正手段および第二耳折れ検知手段を備えた画像除去装置の基本構成を説明するフローチャート。
【図32】第二耳折れ検知手段を備える画像除去装置の一連の動作を示したフローチャート。
【図33】実施例12に係る画像除去装置の概略構成図。
【図34】実施例13に係る画像除去装置の概略構成図。
【図35】実施例13の画像除去装置で、第二耳折れ検知センサの検知結果に応じて用紙が搬送される様子の説明図、(a)は、耳折れなしとの検知結果の場合の説明図、(b)は、耳折れありとの検知結果の場合の説明図。
【符号の説明】
【0141】
1 搬送ローラ
10 剥離ベルトユニット
11 画像除去部
12 給紙トレイ
13 給紙コロ
15 加熱ブロック
18 剥離ベルト
19 加圧ローラ
22 排出搬送ローラ対
23 排紙トレイ
24 排紙ローラ対
25 耳折れ修正部
26 搬送ガイド
27 供給ローラ対
28 スパイラル状クリーニングブレード
30 修正部材接離モータ
31 修正ローラ対
41 ブラシローラ対
50 偏心部材回転モータ
51 偏心摺擦部材
60 制御部
72 修正ガイド
73 修正ブレード
100 画像除去装置
200 耳折れ検知センサ
206 第一搬送経路
211 第二排紙トレイ
212 第二排出搬送ローラ対
213 第二排紙ローラ対
214 搬送ガイド
215 搬送経路切り替え部材
216 第二搬送経路
300 水分付与装置
301 水分タンク
302 スプレーノズル
302a 噴出口
302b 第一接続口
302c 第二接続口
303 水分ホース
304 気流ホース
305 スプレーポンプ
306 スプレーバルブ
310 加熱加圧ローラ対
311 駆動モータ
400 第二耳折れ検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成物質からなる画像が表面に形成されたシート状の記録媒体から画像形成物質を除去する画像除去装置において、
該画像除去装置内を搬送される記録媒体に発生している耳折れを修正する耳折れ修正手段を有することを特徴とする画像除去装置。
【請求項2】
請求項1の画像除去装置において、
記録媒体から画像形成物質を除去する画像除去手段と、
該画像除去手段に記録媒体を供給する記録媒体供給手段と、
該画像除去手段によって画像形成物質の除去がなされた記録媒体を装置外に排出する記録媒体排出手段とを有し、
上記耳折れ修正手段は、該記録媒体供給手段で供給されてから該記録媒体排出手段で排出されるまでの間の記録媒体搬送経路に配置されていることを特徴とする画像除去装置。
【請求項3】
請求項2の画像除去装置において、
記録媒体の上記記録媒体搬送経路内での搬送方向について、上記耳折れ修正手段は上記画像除去手段に対して搬送方向上流側に配置されていることを特徴とする画像除去装置。
【請求項4】
請求項3の画像除去装置において、
上記記録媒体供給手段は、画像除去しようとするシート状の記録媒体を収容し、上記画像除去手段に記録媒体を少なくとも一枚毎に供給するものであり、
該記録媒体供給手段から供給された記録媒体を該画像除去手段に搬送するための供給搬送手段と、
該画像除去手段によって画像形成物質の除去がなされた記録媒体を収容する排出手段と、
該画像除去手段によって画像形成物質の除去がなされた記録媒体を該排出手段に搬送する排出搬送手段とを有することを特徴とする画像除去装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の画像除去装置において、
上記画像除去手段は、記録媒体上の画像形成物質を加熱する加熱手段と、記録媒体の画像が形成された面と接触して該加熱手段によって加熱された画像形成物質を記録媒体上から転写させて画像形成物質を記録媒体上から剥離させる画像剥離部材を備える画像剥離手段と、該画像剥離部材が記録媒体と接触する位置で該画像剥離部材に記録媒体を重ね合わせて加圧する加圧手段とを備えることを特徴とする画像除去装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5の画像除去装置において、
上記耳折れ修正手段によって耳折れが修正され得る領域にある記録媒体を保持または搬送する耳折れ修正部搬送部材を備え、
耳折れが発生している記録媒体に対して該耳折れ修正手段が作用させる力の大きさは、該修正部搬送部材と記録媒体との最大静止摩擦力から記録媒体を搬送するために要する力を引いた力の大きさ以下であることを特徴とする画像除去装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6の画像除去装置において、
上記耳折れ修正手段は、耳折れ修正部材として記録媒体の耳折れ部位を摺擦する接触型の耳折れ修正部材を備えるものであり、該耳折れ修正部材で記録媒体の耳折れ部位を摺擦することにより耳折れ部位を戻すことを特徴とする画像除去装置。
【請求項8】
請求項7の画像除去装置において、
上記耳折れ修正部材の耳折れ部位摺擦部が記録媒体の搬送方向下流側の耳折れ部位を摺擦するとき、該耳折れ部位摺擦部の記録媒体の搬送方向についての移動速度が記録媒体の搬送速度よりも大きくなる耳折れ修正部材を備えることを特徴とする画像除去装置。
【請求項9】
請求項7または8の画像除去装置において、
記録媒体の耳折れ部位を摺擦する上記耳折れ修正部材の耳折れ部位摺擦部が記録媒体の搬送方向上流側の耳折れ部位を摺擦するとき、該耳折れ部位摺擦部の記録媒体の搬送方向についての移動速度が記録媒体の搬送速度よりも小さくなる耳折れ修正部材を備えることを特徴とする画像除去装置。
【請求項10】
請求項7の画像除去装置において、
記録媒体の耳折れ部位を摺擦する上記耳折れ修正部材の耳折れ部位摺擦部が記録媒体の搬送方向下流側の耳折れ部位を摺擦するときに該耳折れ部位摺擦部の記録媒体の搬送方向についての移動速度が記録媒体の搬送速度よりも大きく、該耳折れ部位摺擦部が記録媒体の搬送方向上流側の耳折れ部位を摺擦するときに該耳折れ部位摺擦部の記録媒体の搬送方向についての移動速度が記録媒体の搬送速度よりも小さくなる耳折れ修正部材を備えることを特徴とする画像除去装置。
【請求項11】
請求項7、8、9または10の画像除去装置において、
記録媒体の耳折れ部位を摺擦する上記耳折れ修正部材の耳折れ部位摺擦部が、記録媒体の搬送方向下流側端部近傍と記録媒体の搬送方向上流側端部近傍との少なくとも一方のみに接触することを特徴とする画像除去装置。
【請求項12】
請求項7、8、9、10または11の画像除去装置において、
上記耳折れ修正部材は、回転軸と該回転軸に対して非対称な形状で該回転軸を中心に回転可能で、且つ、記録媒体の耳折れ部位を摺擦可能な偏心摺擦部材を備えることを特徴とする画像除去装置。
【請求項13】
請求項1、2、3、4、5または6の画像除去装置において、
上記耳折れ修正手段は、記録媒体の耳折れ部位に風圧を作用させることが可能な風圧発生手段を備える耳折れ修正部材を備えるものであり、該耳折れ修正部材で記録媒体の耳折れ部位に風圧を作用させることにより耳折れ部位を戻すことを特徴とする画像除去装置。
【請求項14】
請求項13の画像除去装置において、
上記風圧発生手段は、記録媒体の搬送方向下流側端部近傍と記録媒体の搬送方向上流側端部近傍との少なくとも一方のみに風圧を作用させることを特徴とする画像除去装置。
【請求項15】
請求項7、8、9、10、11、12、13又は14の画像除去装置において、
上記耳折れ修正部材によって耳折れの修正が成される箇所を通過する記録媒体を挟んで両側に位置するように該耳折れ修正部材が配置されていることを特徴とする画像除去装置。
【請求項16】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15の画像除去装置において、
上記耳折れ修正手段が、記録媒体の耳折れ部位を戻すように作用する耳折れ修正部材と、少なくとも記録媒体の耳折れ部位の折れ線となっていた箇所に液体成分を付与することができる液体付与手段とを備え、
該耳折れ修正手段は、該耳折れ修正部材が記録媒体に作用する位置、及び、該液体付与手段が記録媒体に液体成分を付与する位置よりも記録媒体の搬送方向下流側に、記録媒体を加熱・加圧することができる加熱・加圧手段を備えることを特徴とする画像除去装置。
【請求項17】
請求項16の画像除去装置において、
上記液体付与手段は、液体成分を記録媒体に向けて噴出するスプレーノズルと、該スプレーノズルから噴出させる液体成分を収容する液体容器と、該液体容器から該スプレーノズルまで液体成分を送るための液体搬送管と、該スプレーノズルに気流を発生させる気流発生手段と、該気流発生手段で発生させた気流をスプレーノズルまで導く気流誘導管とを有することを特徴とする画像除去装置。
【請求項18】
請求項13または14に記載の画像除去装置において、
上記風圧発生手段は気流を発生させ、その気流を記録媒体の耳折れ部位に当てることにより耳折れ部位に風圧を作用させるものであり、
上記耳折れ修正手段は、該風圧発生手段と、該風圧発生手段が発生させる気流に液体成分を付与することができる液体付与手段と、該風圧発生手段が記録媒体に風圧を作用させる位置よりも記録媒体の搬送方向下流側に、記録媒体を加熱・加圧することができる加熱・加圧手段とを備え、
記録媒体の耳折れ部位に液体成分を含ませた気流を当てることによって風圧を作用させ、耳折れ部位を修正するものであることを特徴とする画像除去装置。
【請求項19】
請求項16、17、または18に記載の画像除去装置において、
上記加熱・加圧手段は、上記画像除去手段よりも記録媒体の搬送方向上流側に配置されたローラ対からなり、
該ローラ対は、ローラ表面を加熱するローラ加熱手段を備えた加熱ローラと、金属製の芯金及び弾性材料からなる表面層から形成される加圧ローラとからなり、
該加熱ローラまたは該加圧ローラの少なくとも何れか一方のローラに駆動を伝達する駆動手段を有することを特徴とする画像除去装置。
【請求項20】
請求項16、17、18または19に記載の画像除去装置において、
上記画像除去手段は、記録媒体上の画像形成物質を加熱する加熱手段と、記録媒体の画像が形成された面と接触して該加熱手段によって加熱された画像形成物質を記録媒体上から転写させて画像形成物質を記録媒体上から剥離させる画像剥離部材を備える画像剥離手段と、該画像剥離部材が記録媒体と接触する位置で該画像剥離部材に記録媒体を重ね合わせて加圧する加圧手段とを備え、
該画像除去手段を上記加熱・加圧手段として兼用することを特徴とする画像除去装置。
【請求項21】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20の画像除去装置において、
上記耳折れ修正手段に対して記録媒体の搬送方向上流側に記録媒体の耳折れの有無を検知する耳折れ検知手段と、該耳折れ検知手段により耳折れが有ることを検知された場合のみ、該耳折れ修正手段が作動するように制御する制御手段とを備えることを特徴とする画像除去装置。
【請求項22】
請求項21の画像除去装置において、
上記耳折れ検知手段は、検知領域における記録媒体の有無を検知する検知部材を備え、記録媒体の搬送方向に対して直交する方向である記録媒体の幅方向について、記録媒体の幅方向の中央部が通過する位置を検知領域とする中央検知部材と、記録媒体の幅方向の端部が通過する位置を検知領域とする端部検知部材との検知結果を比較し、中央検知部材では記録媒体が有ることを検知したタイミングで端部検知部材が記録媒体はないと検知したときに記録媒体に耳折れが有ることを検知することを特徴とする画像除去装置。
【請求項23】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21の画像除去装置において、
記録媒体の上記記録媒体搬送経路内での搬送方向について、上記耳折れ修正手段に対して搬送方向下流側に配置され、記録媒体から画像形成物質を除去する画像除去手段と、
該耳折れ修正手段に対して搬送方向下流側、且つ、該画像除去手段に対して搬送方向上流側に記録媒体の耳折れの有無を検知する修正下流側耳折れ検知手段とを有することを特徴とする画像除去装置。
【請求項24】
請求項23の画像除去装置において、
上記修正下流側耳折れ検知手段によって、耳折れがないと検知された場合には上記画像除去手段へと記録媒体を搬送し、耳折れがあると検知された場合には、上記耳折れ修正手段によって耳折れを修正する位置よりも搬送方向上流側まで記録媒体を戻して、この記録媒体に対して該耳折れ修正手段での耳折れの修正を再度実行する制御を行う制御手段を有し、
該制御手段は、該修正下流側耳折れ検知手段によって耳折れがあると検知され、該耳折れ修正手段での耳折れの修正を再度実行された記録媒体に対して、該修正下流側耳折れ検知手段による二回目の耳折れの有無の検知を行い、
該修正下流側耳折れ検知手段による二回目の検知で、耳折れがないと検知された場合には該画像除去手段へと記録媒体を搬送し、耳折れがあると検知された場合には、記録媒体は画像除去を行わずに記録媒体排出手段によって装置外に排出する制御を行うことを特徴とする画像除去装置。
【請求項25】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24の画像除去装置において、
記録媒体の上記記録媒体搬送経路内での搬送方向について、上記耳折れ修正手段に対して搬送方向下流側に配置され、記録媒体から画像形成物質を除去する画像除去手段と、
該耳折れ修正手段に対して搬送方向下流側、且つ、該画像除去手段に対して搬送方向上流側に記録媒体の耳折れの有無を検知する修正下流側耳折れ検知手段と、
該修正下流側耳折れ検知手段に対して搬送方向下流側、且つ、該画像除去手段に対して搬送方向上流側に配置され、該修正下流側耳折れ検知手段によって検知される位置を通過後の記録媒体の搬送経路を、記録媒体が該画像除去手段に向かう第一搬送経路、または、該画像除去手段を通らずに装置外に向かう第二搬送経路に切り替えることができる搬送経路切り替え手段をと有し、
該耳折れ修正手段によって一回以上の所定回数の耳折れの修正が行われた後、該修正下流側耳折れ検知手段によって耳折れがあることが検知された記録媒体を該第二搬送経路に搬送するように該搬送経路切り替え手段を制御する制御手段を有することを特徴とする画像除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2008−254928(P2008−254928A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63633(P2008−63633)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】