説明

画面データ配信システム、サーバ、クライアント端末、画面データ配信方法、及びプログラム

【課題】ウィンドウの切り替え操作の結果の表示時間を短縮する。
【解決手段】サーバが表示させようとしている表示データを、ネットワークを介してクライアント端末に送出し、クライアント端末に表示させる画面データ配信システムであって、サーバは、サーバが表示させようとしている複数のウィンドウのうち、複数のウィンドウが重畳して画面に表示されることにより、非表示となっている領域を有するウィンドウの画像データを、ウィンドウの全体が表示される前に送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面データ配信システム、サーバ、クライアント端末、画面データ配信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバの表示部の画面のデータをクライアント端末に転送してクライアント端末の表示部に表示するクライアントシステムにおいて、サーバの表示部に表示された全画面のデータではなく、現在表示された画面と1枚前に送った画面との差分のデータのみを送信する方式がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の発明は、「画面データ送信装置」に関するものであり、具体的には「第1の画面フレームに含まれる複数のブロックの各々について、前記第1の画面フレームよりも前の第2の画面フレームに含まれ、対応する位置にあるブロックと所定量以上の差分があるか否かを検出する差分検出手段と、前記差分検出手段の検出結果が肯定的であるブロックのデータを送信する送信手段と、前記第1の画面フレームが前記差分検出手段による検出にかけられる前に、前記第1の画面フレームに含まれる或るブロックと、前記第2の画面フレームに含まれ、前記或るブロックと対応する位置にあるブロックとの間で前記所定量以上の差分が発生するように、前記第1の画面フレームに含まれる前記或るブロックの少なくとも1つの画素のレベルを変更する画素レベル変更手段と、を備える」ものである。
【0004】
図9(a)〜(c)は、画面転送型シンクライアントシステムにおいて転送される画面ブロックを説明するための説明図であり、図10(a)〜(c)は、画面転送型シンクライアントシステムにおいて転送される画面ブロックを説明するための説明図である。
【0005】
例えば、第nフレームが図9(a)に示すようなものであり、第(n+1)フレームで図9(b)に示すように新たなWindow(以下、ウィンドウと表記)701が現れた場合、図9(c)に示すようなウィンドウ701を含むブロック群703の画面データが符号化されて送信される。
【0006】
また、例えば、自動車705が第nフレームで図10(a)に示すような位置にあり、第(n+1)フレームで図10(b)に示すような位置にある場合には、図10(c)に示すような、自動車705が走り去った後の背景を含むブロック群707と新たに自動車705を含むこととなったブロック群709の画面データが符号化されて送信される。
【0007】
ここで、「ウィンドウ」とは、例えばパソコンの操作画面内にそれぞれ独立した小さな矩形状の画面(表示領域)を用意して、その画面の中に画像や文書を表示する機能もしくはその矩形状の表示領域をいう。Windows(登録商標)やMac(登録商標)のOS(Operation System)等のパソコン用OSでは一般的に利用される表示方式である。
ウィンドウのデザインや機能はOSやアプリケーションソフトによって異なるが、通常タイトルバーがあって、サイズ調整用のボタンやウィンドウを閉じるボタン等を有する。個々のウィンドウはユーザが自由に移動させたり、サイズを変更させたり、重ねて表示させたりすることができる。
【0008】
特許文献1に記載の発明によれば、所定の差分以上の差分がない画面ブロックのデータも送信することが可能となるので、所定の差分以上の差分がある画面ブロックが多いために劣化した状態で送信された画面をシンクライアント側に高画質に送信しなおすことが可能になるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−224847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1に記載の発明では、サーバ装置が実行するアプリケーションのウィンドウを操作することで差分が多く発生する場合がいくつか考えられる。すなわち、
(1)前面に表示させるウィンドウを変更する操作、
(2)前面に表示されているウィンドウを閉じる、または最小化する操作、
(3)前面に表示されているウィンドウを移動することで、背面に位置するウィンドウが表示されるようにする操作、
が挙げられる。
図10に示すように表示部の表示データ100にウィンドウ110、120を表示し、全画面をキャプチャして差分データを送るシステムでは、ウィンドウを変更する操作、閉じる操作、最小化操作、移動操作を行うと、変化領域が大きくなって、データ量が大きくなり、操作した結果の表示が遅くなったり、劣化したりする。
【0011】
そこで、本発明の目的は、ウィンドウの切り替え操作の結果の表示時間を短縮することができる画面データ配信システム、サーバ、クライアント端末、画面データ配信方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、サーバが表示させようとしている表示データを、ネットワークを介してクライアント端末に送出し、該クライアント端末に表示させる画面データ配信システムであって、前記サーバは、前記サーバが表示させようとしている複数のウィンドウのうち、前記複数のウィンドウが重畳して画面に表示されることにより、非表示となっている領域を有するウィンドウの画像データを、該ウィンドウの全体が表示される前に送出することを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記サーバは、前記複数のウィンドウを識別するための識別情報を前記クライアント端末に送ることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記サーバは、前記クライアント端末に前記ウィンドウの表示順位を通知する通知手段と、前記ウィンドウのデータを送信するための送信手段とを備え、前記クライアント端末は、前記ネットワークの待機中に前記ウィンドウのデータを受信する受信手段を備え、前記サーバから通知された前記ウィンドウの表示順位及び前記識別情報に基づいて複数のウィンドウを前記表示手段に重畳表示させることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記サーバは、前記サーバが表示させようとしている画面をキャプチャする画面キャプチャ部と、前記画面キャプチャ部がキャプチャした表示データ及び前記ウィンドウの画像データを送信データにエンコードするエンコーダ部と、前記送信データを前記クライアント端末に送信する送信部とを備え、前記送信データには、デコードして表示するか画面データバッファに保存するかを示す識別フラグと、エンコードしたウィンドウを識別するための識別子と、エンコードしたウィンドウのデータと、が含まれることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記サーバは、所定の値より差分領域が少ない場合、最前面に表示されていないウィンドウの画像データをキャプチャし、保存する画面データバッファと、前記キャプチャしたウィンドウの画像データは種別フラグとして保存する他のバッファと、を備え、前記キャプチャしたウィンドウを識別する値がさらに他の識別子に指定することを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1から5の何れか一項記載の発明において、前記サーバは、他のウィンドウの背面に位置し、非表示となっているウィンドウが露出するように表示を切り替えると、前記クライアント端末に前記画面データバッファ内の最前面のウィンドウのデータを表示するようにコマンドを送信するようにしたことを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記クライアント端末は、前記コマンドを受信すると、前記画面データバッファ内を検索し、前記識別子をキーとして前記非表示になっているウィンドウのデータを取得し、表示手段に表示するようにしたことを特徴とする。
【0019】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、前記サーバは、前記画面バッファから取得した前記ウィンドウのデータを前記非表示になっているウィンドウの領域に適用し、差分領域の検出を行い、前記差分領域についてエンコードし、データを前記クライアント端末に送信するようにしたことを特徴とする。
【0020】
請求項9記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項記載の発明において、前記クライアント端末の表示手段が前記サーバから送られるウィンドウの一部を切り出して部分表示する場合において、現在部分表示しているウィンドウに接する領域のデータを予め送信しておくことを特徴とする。
【0021】
請求項10記載の発明は、サーバが表示させようとしている表示データを、ネットワークを介してクライアント端末に送出し、該クライアント端末に表示させる画面データ配信システムに用いられるサーバであって、前記サーバは、前記サーバが表示させようとしている複数のウィンドウのうち、前記複数のウィンドウが重畳して画面に表示されることにより、非表示となっている領域を有するウィンドウの画像データを、該ウィンドウの全体が表示される前に送出するための送信手段を備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項11記載の発明は、サーバが表示させようとしている表示データを、ネットワークを介してクライアント端末に送出し、該クライアント端末に表示させる画面データ配信方法であって、前記サーバは、前記サーバが表示させようとしている複数のウィンドウのうち、前記複数のウィンドウが重畳して画面に表示されることにより、非表示となっている領域を有するウィンドウの画像データを、該ウィンドウの全体が表示される前に送出することを特徴とする。
【0023】
請求項12記載の発明は、サーバが表示させようとしている表示データを、ネットワークを介してクライアント端末に送出し、該クライアント端末に表示させる画面データ配信システムのコンピュータに、前記サーバが、前記サーバが表示させようとしている複数のウィンドウのうち、前記複数のウィンドウを重畳して画面に表示させる手順、非表示となっている領域を有するウィンドウの画像データを、該ウィンドウの全体が表示される前に送出させる手順、を実行させることを特徴とする。
【0024】
請求項13記載の発明は、サーバが表示させようとしている表示データを、ネットワークを介してクライアント端末に送出し、該クライアント端末に表示させる画面データ配信システムのクライアント端末のコンピュータに、受信手段が、前記ネットワークの待機中に前記ウィンドウのデータを受信する手順、表示手段が、前記サーバから通知された前記ウィンドウの表示順位に基づいて複数のウィンドウを一部が露出するように重畳表示する手順、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ウィンドウの切り替え操作の結果の表示時間を短縮することができる画面データ配信システム、サーバ、クライアント端末、画面データ配信方法、及びプログラムの提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る画面データ配信システムの一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示した画面データ配信システムに用いられる送信データ400の構成図の一例である。
【図3】(a)〜(d)は、図1に示した画面データ配信システムのクライアント端末の表示部に表示される画面の一例である。
【図4】図1に示した画面配信システムの動作を示すシーケンス図の一例である。
【図5】図1に示した画面配信システムの動作を示すシーケンス図の他の一例である。
【図6】(a)、(b)は、図1に示した画面データ配信システムのクライアント端末の表示部に表示される画面の他の一例である。
【図7】図1に示した画面配信システムの動作を示すシーケンス図の他の一例である。
【図8】(a)〜(c)は、本発明に係る画面データ配信システムの他の実施の形態を示す説明図である。
【図9】(a)〜(c)は、画面転送型シンクライアントシステムにおいて転送される画面ブロックを説明するための説明図である。
【図10】(a)〜(c)は、画面転送型シンクライアントシステムにおいて転送される画面ブロックを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
<構 成>
図1は、本発明に係る画面データ配信システムの一実施の形態を示すブロック図である。
図1に示すシステムは、サーバ200、ネットワーク260、及びクライアント端末300を有する。
サーバ200は、制御部210、画面キャプチャ部220、エンコーダ部230、送信部240、及び画面データバッファ250を有する。
【0028】
通知手段としての制御部210は、サーバ200を統括制御する機能を有するものであり、例えば、マイクロプロセッサが挙げられる。制御部210は、画面キャプチャ部220にサーバ200が表示する画面をキャプチャさせ、キャプチャされた表示データをエンコーダ部230でエンコードし、送信部240からエンコードされた送信データ400をクライアント端末300に送信する。
【0029】
ここで、「デスクトップ」とは、Windows(登録商標)やMac(登録商標)等のOSを起動させたときに表示される基本となる操作画面である。このデスクトップによりファイルの操作やアプリケーションソフトの起動等を行うことができる。
【0030】
図2は、図1に示した画面データ配信システムに用いられる送信データ400の構成図の一例である。
図2に示すように送信データ400にはすぐにデコードして表示するか、画面データバッファ350に保存するかを示す識別フラグ410(例えば、D、P)と、エンコードしたウィンドウとを識別するための識別子420(0x00000000,0x00000001,0x0000002等)と、エンコードされた画面データ430と、が含まれる。
【0031】
サーバ200の制御部210は、差分領域が少ない場合に、最前面に表示されていないウィンドウ120の表示データ(ウィンドウ120の画像データ)をキャプチャし、キャプチャした画像データを画面バッファ25に保存すると共に、エンコードし、クライアント端末300に送信する。このときウィンドウ120の送信データは、種別フラグとして画面データバッファ350に保存するように指定され、ウィンドウ120を識別する値が識別子420に指定される。
ここで、「キャプチャ」には表示部に表示される表示データを保存する「キャプチャ」と、画面の一部を構成するウィンドウの画像データを保存する「キャプチャ」との2種類ある。
【0032】
画面キャプチャ部220は、画面全体の表示データを取り込むキャプチャ機能を有するものである。さらに、画面キャプチャ部220は、ウィンドウの画像データをキャプチャする機能も有する。それぞれの機能は独立してても良い。また、それぞれソフトウェアで実現されても良い。この場合、キャプチャ処理は制御部310が行う。
【0033】
エンコーダ部230は、画面キャプチャ部220がキャプチャした表示データをエンコードする機能と、ウィンドウの画像データをキャプチャした画像データをエンコードする機能とを備える。なお、エンコーダ部230は、ソフトウェアで実現されていても良い。この場合、制御部210がエンコード処理を実行する。
【0034】
送信手段としての送信部240は、エンコードされた表示データやウィンドウの画像データをネットワーク260に送信する機能を有する。
【0035】
画面データバッファ250は、キャプチャしたウィンドウの画像データを保管する機能を有し、例えば、HDD(Hard Disk Drive)が挙げられる。
【0036】
クライアント端末300は、制御部310、受信部320、デコーダ部330、表示部340、及び画面データバッファ350を有する。
【0037】
クライアント端末300は、種別フラグ410にすぐに表示されるよう指定された場合、画面データ430をデコーダ部330でデコードし、表示部340で表示を行う。
種別フラグ410に画面データバッファ350に保存するように指定された場合は、デコーダ部330でデコードした画面データを画面データバッファ350に保存する。
【0038】
制御部310は、クライアント端末300を統括制御する機能を有するものであり、例えば、マイクロプロセッサが挙げられる。
【0039】
受信部320は、サーバ200からネットワーク260を介して送信される表示データやウィンドウの画像データデータを受信する機能を有する。
【0040】
デコーダ部330は、受信した表示データやウィンドウの画像データをデコードする機能を有する。なお、デコーダ部330はソフトウェアで実現されていても良い。この場合、制御部310がデコード処理を実行する。
【0041】
表示手段としての表示部340は、デコーダ部330でデコードされた表示データを表示する。例えばウィンドウを一部が露出するように重畳表示する機能を有するものであり、例えば、液晶表示パネル(もしくはプラズマディスプレイ、有機EL(EL)ディスプレイ)が挙げられる。
【0042】
画面データバッファ350は、デコードされたウィンドウの画像データを保存する機能を有し、例えば、HDD(Hard Disk Drive)が挙げられる。
【0043】
<動 作>
次に図1に示した画面データ配信システムの動作について述べる。
図3(a)〜図3(d)は、図1に示した画面データ配信システムのクライアント端末の表示部に表示される画面の一例である。
【0044】
画面データ配信システムは、サーバ200の画面全体の表示データを、ネットワーク260を介してクライアント端末300に配信する。
画面全体の表示データは、複数のウィンドウで構成されている場合があり、クライアント端末300の表示部340に一部が露出するようにウィンドウが重畳表示されることがある。
【0045】
すなわち、図3(a)のように、クライアント端末の表示部のデスクトップ100には、ウィンドウ120の上に、ウィンドウ120の一部が露出するようにウィンドウ110が重畳表示されている。ウィンドウ120の図3(d)に示す部分は、図3(b)に示すウィンドウ110の背面に位置し、非表示となる領域であり、デスクトップ100には表示されていない。
【0046】
本画面配信システムは、ウィンドウ120の表示状態が変わる。(例えば、ウィンドウ120全体が表示される)表示領域が拡大する(ウィンドウ120全体が表示される)前に、サーバ200がクライアント端末300にウィンドウの表示順位を通知し、ウィンドウの画像データを送信する。
例えば、サーバからクライアント端末に送出されてキャプチャされた表示データ(表示データではない)の更新が少ない場合に送信すればよい。
特許文献1のように更新された領域(矩形)を抽出しているため、更新が少ない場合にはネットワークの帯域があいていて、データを送るのに都合が良い。
本画面配信システムは、ユーザがマウスやキーボード(いずれも図示せず)の操作を行っている間の時間(例えば数秒)を利用して、サーバ200がクライアント端末300にウィンドウの表示順位を通知し、ウィンドウのデータを送信し、クライアント端末300は、ネットワークの待機中にウィンドウのデータを受信し、サーバ200から通知されたウィンドウの表示順位に基づいて複数のウィンドウを表示部に一部が露出するように重畳表示する。
【0047】
マウスの操作やキーボードの操作中はネットワークを流れるデータが少なく、一般的な100BASE-TXのネットワークでは100Mビット/秒の余裕がある。従来はネットワークが空いていてもそのまま待機していたが、本願はこのネットワークの空いた状態を利用してウィンドウのデータをサーバからクライアント端末に送信すると共にサーバからクライアント端末に送信の通知を行うものである。
【0048】
このように、重畳して表示されることで、表示されていない領域を有する画面を事前にクライアント端末に通知しておくことにより、切り替え操作の結果を表示する時間を短縮することができる。
【0049】
図4は、図1に示した画面配信システムの動作を示すシーケンス図の一例である。
図4に示すシーケンス図は、画面が切り替わらず、かつ変化領域(他のウィンドウの背面に位置し、非表示となっている領域)の面積が閾値以上の場合を示しており、図3(a)〜(d)に対応している。
【0050】
ここで、ネットワーク260を用いて画面のデータを送る際、ネットワーク260を100BASE-TXの速度100Mビット/秒のネットワークとし、1秒間に10枚の画像を送るとすると、1枚あたりのデータ量は10Mビットとなる。この値を閾値とし、この閾値と比較してデータ量が小さいときに画像データをサーバからクライアント端末に送る。
【0051】
まず、サーバ200の制御部210が画面キャプチャ部220に表示データのキャプチャを要求すると(ステップS1)、画面キャプチャ部220は、デスクトップ全体の画面である表示データをキャプチャする(ステップS2)。
デスクトップ全体の画面である表示データをキャプチャすると、キャプチャデータを制御部210に送る(ステップS3)。
制御部210は、前回画面と評価領域とを検出し(ステップS4)、エンコーダ部230にエンコード要求を行う(ステップS5)。
エンコーダ部230は、エンコードを行ってエンコードデータを制御部210に送る(ステップS6)。
制御部210は、送信部240に送信要求を行い(ステップS7)、送信部240は、送信データ400を、クライアント端末の受信部320に送信する(ステップS8)。
【0052】
受信部320は、送信データを制御部310に送り(ステップS9)、制御部310はデコーダ部330にデコード要求を行う(ステップS10)。
デコーダ部330はデコードしたデータを制御部310に送り、制御部310は表示部340に表示要求を送り(ステップS11)、表示部340は図3(a)に示すウィンドウをデスクトップ内に表示する。このとき、ウィンドウ110の背面に位置し、非表示となって表示されない領域(図3(d))のデータは送信済みであるため、ユーザが操作する場合には表示時間を短縮することができる。
【0053】
図5は、図1に示した画面配信システムの動作を示すシーケンス図の他の一例である。
図5に示すシーケンス図は、画面が切り替わらず、かつ変化領域(他のウィンドウの背面に位置し、非表示となっている領域)の面積が閾値未満の場合を示しており、図3(a)〜(d)に対応している。
サーバ200の制御部210は、画面キャプチャ部220にキャプチャ要求を行うと(ステップS21)、画面キャプチャ部220は、画面の一部を構成する、指定されたウィンドウ画像をキャプチャし(ステップS22)、キャプチャした画像データを制御部210に送る(ステップS23)。
制御部210は、エンコーダ部230にエンコード要求を行い(ステップS24)、エンコーダ部230は制御部210にエンコードデータを送る(ステップS25)。
制御部210は、送信部240に送信要求を行い(ステップS26)、送信部240は制御部210に応答すると共に、クライアント端末300の受信部320に送信データ400を送信する(ステップS27)。
【0054】
受信部320は、制御部310に送信データを送信すると(ステップS28)、制御部310は受信部320に応答すると共にデコーダ部330にデコード要求を行う(ステップS29)。
デコーダ部330は制御部310に応答すると、制御部310は画面データバッファ350にデータの保存要求を行う(ステップS30)。
【0055】
以上の動作を行うことによりウィンドウの切替操作時の表示時間を短縮することができる。
なお、本実施の形態では、前面に表示されているウィンドウ110と背面に表示されているウィンドウ120との表示を切り換える場合で説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ウィンドウ110を移動させることによって、ウィンドウ120が全体表示される場合や、ウィンドウ110が最小化されたり、閉じられたり、ウィンドウ120が全体表示されるような状態に変化した場合も同様である。
【0056】
[第2の実施の形態]
図6(a)、(b)は、図1に示した画面データ配信システムのクライアント端末の表示部に表示される画面の他の一例である。
図6(a)に示す状態から図6(b)に示す状態にウィンドウを切替えた場合、サーバ200の制御部210は、クライアント端末300に画面でデータバッファ350内のウィンドウ120の画像データを表示するようにコマンドを送信する。
クライアント端末300の制御部310は、画面データバッファ350内を検索し、識別子420としてウィンドウ120の画像データを取得し、表示部340に表示する。
【0057】
サーバ200は、画面データバッファ250から取得したウィンドウ120の画面データをウィンドウ120の領域に適用し、差分領域の検出を行い、差分領域についてエンコードし、表示データをクライアント端末300に送信する。
【0058】
図7は、図1に示した画面配信システムの動作を示すシーケンス図の他の一例である。
図7に示すシーケンス図は、画面が切り替わり、かつ変化領域(他のウィンドウの背面に位置し、非表示となっている領域)の面積が閾値以上の場合を示しており、図6(a)、(b)に対応している。
サーバ200の制御部210は、送信部240に受信データバッファの表示要求を行い(ステップS41)、送信部240は、クライアント端末300の受信部320に受信データバッファの表示要求を行い(ステップS42)、受信部320は制御部310に信号を送ると、制御部310は画面データバッファ350にウィンドウデータ取得を行い(ステップS43)、画面データバッファ350はウィンドウデータを制御部310に送り、制御部310は表示部340に表示要求を行い(ステップS44)、これを受けて表示部340はウィンドウを表示する。これと同時に、サーバ200の制御部210は、ウィンドウデータ取得要求を画面データバッファ250に行い(ステップS45)、画面データバッファ250は制御部に応答する。
【0059】
サーバ200の制御部210は、基準画面に取得したウィンドウを合成し(ステップS46)、画面キャプチャ部220に表示データのキャプチャを要求すると(ステップS47)、画面キャプチャ部220はデスクトップをキャプチャし(ステップS48)、制御部210に表示データのキャプチャデータを送る(ステップS49)。
制御部210は、基準画面と評価領域とを検出し(ステップS50)、エンコーダ部230にエンコード要求を行い(ステップS51)、エンコーダ部230は制御部210にエンコードデータを送る(ステップS52)。
制御部210は、送信部240に送信要求を行い(ステップS53)、送信部240はクライアント端末300の受信部320に送信データ400を送信する(ステップS54)。
受信部320は、送信データを制御部310に送り(ステップS55)、制御部310は受信部320に応答信号を送ると共に、デコーダ部330にデコード要求を行う(ステップS56)。
デコーダ部330は、デコードしたデータを制御部310に送ると、制御部310は、表示部340に表示要求を行い(ステップS57)、表示部340はデコードしたデータに基づくウィンドウを表示する。
【0060】
以上の動作を行うことによりウィンドウの切替操作時の表示時間を短縮することができる。
【0061】
[第3の実施の形態]
図8(a)〜(c)は、本発明に係る画面データ配信システムの他の実施の形態を示す説明図である。
第3の実施の形態の第1の実施の形態との相違点は、クライアント端末がサーバからのウィンドウのデータの一部を切り出して表示する点である。
これはサーバに比べてクライアント端末の解像度が低い場合、もしくはミニノートパソコンのように画面サイズが小さい(例えば、10型以下)の場合、サーバからのウィンドウのうち例えば左上1/4程度の大きさしか表示できないような場合である。
【0062】
図8(a)に示すサーバのウィンドウのうち領域A1、A2が最初にクライアント端末の表示部に表示され、ユーザがマウス操作やキーボード操作によりスクロールを行っている間にサーバからクライアント端末に領域A3のデータを送信すると共に、領域A3のデータを送信することを通知する。
これにより、ウィンドウの切り替え操作時の表示時間を短縮することができる。
【0063】
以上において、差分のデータを送信するシステムでは、ユーザのウィンドウの操作により送信されるデータ量が大きく変動(例えば、ウィンドウの最大化、最小化時に差分のデータ量が大きくなる等)差分のデータ量が少ない場合、ネットワークの帯域に余裕ができる。ネットワークの帯域に余裕がある状態で、次に表示される可能性がある画面のデータを送信することで、クライアント端末の操作性を改善することができる。
【0064】
<プログラム>
以上で説明した本発明にかかる画面データ配信システムは、コンピュータで処理を実行させるプログラムによって実現されている。コンピュータとしては、例えばパーソナルコンピュータやワークステーションなどの汎用的なものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。よって、一例として、プログラムにより本発明を実現する場合の説明を以下で行う。
【0065】
サーバが表示させようとしている表示データを、ネットワークを介してクライアント端末に送出し、クライアント端末に表示させる画面データ配信システムのコンピュータに、サーバが、サーバが表示させようとしている複数のウィンドウのうち、複数のウィンドウを重畳して画面に表示させる手順、非表示となっている領域を有するウィンドウの画像データを、ウィンドウの全体が表示される前に送出させる手順、を実行させるサーバ用プログラムが挙げられる。
【0066】
また、サーバが表示させようとしている表示データを、ネットワークを介してクライアント端末に送出し、クライアント端末に表示させる画面データ配信システムのクライアント端末のコンピュータに、受信手段が、ネットワークの待機中に前記ウィンドウのデータを受信する手順、表示手段が、サーバから通知されたウィンドウの表示順位に基づいて複数のウィンドウを一部が露出するように重畳表示する手順、を実行させるクライアント端末用プログラムが挙げられる。
【0067】
これにより、プログラムが実行可能なコンピュータ環境さえあれば、どこにおいても本発明にかかる画面データ配信システムを実現することができる。
このようなプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶されて
いてもよい。
<記憶媒体>
ここで、記憶媒体としては、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD−R(CD Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)などのコンピュータで読み取り可能な記憶媒体、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、FeRAM(強誘電体メモリ)等の半導体メモリやHDD(Hard Disc Drive)が挙げられる。
【0068】
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0069】
200 サーバ
210、310 制御部
220 画面キャプチャ部
230 エンコーダ部
240 送信部
250、350 画面データバッファ
260 ネットワーク
300 クライアント端末
320 受信部
330 デコーダ部
340 表示部
400 送信データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバが表示させようとしている表示データを、ネットワークを介してクライアント端末に送出し、該クライアント端末に表示させる画面データ配信システムであって、
前記サーバは、
前記サーバが表示せようとしている複数のウィンドウのうち、前記複数のウィンドウが重畳して画面に表示されることにより、非表示となっている領域を有するウィンドウの画像データを、該ウィンドウの全体が表示される前に送出することを特徴とする画面データ配信システム。
【請求項2】
前記サーバは、
前記複数のウィンドウを識別するための識別情報を前記クライアント端末に送ることを特徴とする請求項1記載の画面データ配信システム。
【請求項3】
前記サーバは、
前記クライアント端末に前記ウィンドウの表示順位を通知する通知手段と、前記ウィンドウのデータを送信するための送信手段とを備え、
前記クライアント端末は、前記ネットワークの待機中に前記ウィンドウのデータを受信する受信手段を備え、前記サーバから通知された前記ウィンドウの表示順位及び前記識別情報に基づいて複数のウィンドウを前記表示手段に重畳表示させることを特徴とする請求項2記載の画面データ配信システム。
【請求項4】
前記サーバは、前記サーバが表示させようとしている画面をキャプチャする画面キャプチャ部と、前記画面キャプチャ部がキャプチャした表示データ及び前記ウィンドウの画像データを送信データにエンコードするエンコーダ部と、前記送信データを前記クライアント端末に送信する送信部とを備え、
前記送信データには、デコードして表示するか画面データバッファに保存するかを示す識別フラグと、エンコードしたウィンドウを識別するための識別子と、エンコードしたウィンドウのデータと、が含まれることを特徴とする請求項1または2記載の画面データ配信システム。
【請求項5】
前記サーバは、所定の値より差分領域が少ない場合、最前面に表示されていないウィンドウの画像データをキャプチャし、保存する画面データバッファと、
前記キャプチャしたウィンドウの画像データは種別フラグとして保存する他のバッファと、を備え、
前記キャプチャしたウィンドウを識別する値がさらに他の識別子に指定することを特徴とする請求項3記載の画面データ配信システム。
【請求項6】
前記クライアント端末は、前記種別フラグに表示されるように指定されると、前記ウィンドウのデータを前記表示手段に表示するためデコードするデコーダ部と、
前記種別フラグに前記画面のデータバッファに保存するように指定された場合、前記デコーダ部でデコードしたウィンドウのデータを保存する画面データバッファ部と、を備えたことを特徴とする請求項1から4の何れか一項記載の画面データ配信システム。
【請求項7】
前記サーバは、他のウィンドウの背面に位置し、非表示となっているウィンドウが露出するように表示を切り替えると、前記クライアント端末に前記画面データバッファ内の最前面のウィンドウのデータを表示するようにコマンドを送信するようにしたことを特徴とする請求項1から5の何れか一項記載の画面データ配信システム。
【請求項8】
前記クライアント端末は、前記コマンドを受信すると、前記画面データバッファ内を検索し、前記識別子をキーとして前記非表示になっているウィンドウのデータを取得し、表示手段に表示するようにしたことを特徴とする請求項6記載の画面データ配信システム。
【請求項9】
前記サーバは、前記画面バッファから取得した前記ウィンドウのデータを前記非表示になっているウィンドウの領域に適用し、差分領域の検出を行い、前記差分領域についてエンコードし、データを前記クライアント端末に送信するようにしたことを特徴とする請求項7記載の画面データ配信システム。
【請求項10】
前記クライアント端末の表示手段が前記サーバから送られるウィンドウの一部を切り出して部分表示する場合において、現在部分表示しているウィンドウに接する領域のデータを予め送信しておくことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の画面データ配信システム。
【請求項11】
サーバが表示させようとしている表示データを、ネットワークを介してクライアント端末に送出し、該クライアント端末に表示させる画面データ配信システムに用いられるサーバであって、
前記サーバは、
前記サーバが表示させようとしている複数のウィンドウのうち、前記複数のウィンドウが重畳して画面に表示されることにより、非表示となっている領域を有するウィンドウの画像データを、該ウィンドウの全体が表示される前に送出するための送信手段を備えたことを特徴とするサーバ。
【請求項12】
サーバが表示させようとしている表示データを、ネットワークを介してクライアント端末に送出し、該クライアント端末に表示させる画面データ配信システムに用いられるクライアント端末であって、
前記クライアント端末は、前記ネットワークの待機中に前記ウィンドウのデータを受信する受信手段を備え、前記サーバから通知された前記ウィンドウの表示順位に基づいて一部が露出するように重畳表示することを特徴とするクライアント端末。
【請求項13】
サーバが表示させようとしている表示データを、ネットワークを介してクライアント端末に送出し、該クライアント端末に表示させる画面データ配信方法であって、
前記サーバは、
前記サーバが表示させようとしている複数のウィンドウのうち、前記複数のウィンドウが重畳して画面に表示されることにより、非表示となっている領域を有するウィンドウの画像データを、該ウィンドウの全体が表示される前に送出することを特徴とする画面データ配信方法。
【請求項14】
サーバが表示させようとしている表示データを、ネットワークを介してクライアント端末に送出し、該クライアント端末に表示させる画面データ配信システムのコンピュータに、
前記サーバが、
前記サーバが表示させようとしている複数のウィンドウのうち、前記複数のウィンドウを重畳して画面に表示させる手順、
非表示となっている領域を有するウィンドウの画像データを、該ウィンドウの全体が表示される前に送出させる手順、
を実行させることを特徴とするサーバ用プログラム。
【請求項15】
サーバが表示させようとしている表示データを、ネットワークを介してクライアント端末に送出し、該クライアント端末に表示させる画面データ配信システムのクライアント端末のコンピュータに、
受信手段が、前記ネットワークの待機中に前記ウィンドウのデータを受信する手順、
表示手段が、前記サーバから通知された前記ウィンドウの表示順位に基づいて複数のウィンドウを一部が露出するように重畳表示する手順、
を実行させることを特徴とするクライアント端末用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−204089(P2011−204089A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71828(P2010−71828)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】