説明

留置針

【課題】 少ない部品数で構成しても、内針を除去したときの血液の逆流を防止すると共に、輸液のためにオスルアー部を接続するときに流路を形成できる留置針を提供する。
【解決手段】 留置針1は、オスルアー部4の一端が挿入されオスルアー部4を介して液体が流入される流入口21と液体が流出される流出口22とを有する円筒状の外針基2と、外壁が外針基2の内壁に密接するように配設され、流出口22から流入口21へ液体が逆流することを阻止する円筒状の逆止弁3とを備える。外針基2には、オスルアー部4が挿入されて逆止弁3が流出口22側に押動されたときに、逆止弁3を径方向に押圧して逆止弁3の外周側に液体の流路を形成する突部2a,2bを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外針基内に逆止弁を備える留置針に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人工透析、輸液又は輸血などを行なう場合に、患者の身体に穿刺した内針を抜いたときには外針基内で血液が逆流することを阻止し、薬剤又は血液を輸液するときには輸液される液体の流路を形成する留置針が知られている(特許文献1)。特許文献1の留置針は、流入口から流出口へ液体が流れる円筒状の外針基と、この外針基の内部に配設され、流出口から流入口へ液体が逆流することを阻止する逆止弁と、逆止弁の開閉操作をするため、外針基内に摺動自在に配設されたプッシャーと、一端を外針基の流入口に挿入することでプッシャーを押動し逆止弁を導通状態にする輸液側コネクタのオスルアー部とを備える。
【0003】
この留置針を用いて患者の体内に輸液する場合、まず、外針基の流出口から内針の先端が突出した状態で患者の身体に穿刺し、穿刺後に内針を抜いた後の血液の逆流を逆止弁が阻止する。その後、輸液するときには、オスルアー部の一端を外針基の流入口に挿入してプッシャーを押動し、逆止弁を導通状態にすることで流路を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−263197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の逆止弁は、逆止弁の開閉操作をするためだけにプッシャーのような部品を備えているため、部品数が多くなり、製造コストが増加する。
【0006】
そこで、本発明は、少ない部品数で構成しても、内針を除去した際の血液の逆流を防止すると共に、輸液のためにオスルアー部を接続するときに流路を形成できる留置針を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の留置針は、輸液側コネクタのオスルアー部の一端が挿入されオスルアー部を介して液体が流入される流入口と液体が流出される流出口とを有する円筒状の外針基と、外壁が外針基の内壁に密接するように配設され、流出口から流入口へ液体が逆流することを阻止する円筒状の逆止弁とが設けられ、逆止弁を、オスルアー部が挿入されていない状態では流入口側の第1位置に位置させ、オスルアー部が挿入された際には流出口側の第2位置に移動させるものであり、外針基に、逆止弁が第2位置に移動した際に逆止弁を径方向に押圧して逆止弁の外周側に液体の流路を形成する突部を設けることを特徴とする。
【0008】
本発明の留置針によれば、逆止弁がオスルアー部が外針基の流入口に挿入される前の第1位置に位置するときは、逆止弁が流出口から流入口へ液体が逆流することを阻止するため、外針基の流出口から内針の先端が突出した状態で患者の身体に穿刺し、穿刺後に内針を抜いた後の血液の逆流を阻止することができる。
【0009】
また、逆止弁は、オスルアー部が外針基の流入口に挿入されると第2位置に移動し、突部によって径方向に押圧される。これによって、オスルアー部から流出した薬剤又は血液などの液体が流出口へ流れる流路が逆止弁の外周側に形成される。このため、従来のように、逆止弁を開閉するためだけのプッシャーのような部品を不要にし、部品数を少なくすることができる。
【0010】
本発明においては、突部を流入口側から流出口側に向けて円弧状に突出させ、逆止弁に流入口側で且つ突部側の壁部に、当該逆止弁が突部によって径方向に押圧されたときにオスルアー部の開口から流出口側に向けて投影した領域内を避ける形状の切欠きを設けることが好ましい。これによって、逆止弁は、第2位置に移動した際に、切欠き側の側面が突部の傾斜に沿うように変形される。このため、逆止弁の移動を滑らかにすることができ、オスルアー部が挿入される際の抵抗を小さくできる。また、切欠きは、突部側に設けられているため、傾斜に沿う側壁の面積が小さくなる。更に、切欠きは、第2位置に移動した際に当該逆止弁が突部によって径方向に押圧されてオスルアー部の開口から流出口側に向けて投影した領域内を避ける形状であるので液体の流路を確保できる。このため、オスルアー部から流出した薬剤又は血液などの液体が流出口へ流される液体の流入抵抗が小さく、円滑な輸液を行なうことができる。
【0011】
本発明においては、逆止弁の流出口側の端部を先細りのテーパ状に形成することが好ましい。これによって、突部が逆止弁を径方向に押圧しやすくなり、逆止弁を押動するときの抵抗を小さくできる。更に、突部が流入口側から流出口側に向けて円弧状に突出している場合において、逆止弁は、この円弧状の縁に沿うように変形しやすくなる。
【0012】
本発明においては、逆止弁が第2位置に移動した際には、突部と外針基の内壁とで逆止弁を挟持させることが好ましい。これによれば、押圧された逆止弁の弾性によって、外針基に挿入されたオスルアー部を流入口側に押動することを防止できる。
【0013】
更に、逆止弁が挟持されることで、オスルアー部を抜いた後であっても、逆止弁は第2位置に留まったままとなる。従って、逆止弁が、外針基内の第1位置に位置するときにはオスルアー部を挿入する前であり、外針基内の第2位置に位置するときにはオスルアー部を挿入した後であることを判別することができる。これによって、例えば、人工透析、輸液又は輸血などのためにオスルアー部を挿入した後か否かを逆止弁の位置によって判別でき、留置針1の再使用を防止しやすくなる。
【0014】
本発明においては、逆止弁は、弾性体で形成されており、第2位置に移動した後に、オスルアー部が外針基から外れた場合には、当該逆止弁の弾性力によって第1位置に戻るように突部と外針基の内壁との距離を設定することもできる。この場合には、オスルアー部を抜いた後に再度逆流を防止したい場合には、逆止弁が第1位置に戻ることで再度逆流を防止することができる。
【0015】
本発明においては、突部を2つの板状片で構成し、オスルアー部の開口から流出口側に向けて投影した領域外に位置させることが好ましい。突部は、逆止弁を径方向に押圧して逆止弁の外周側に液体の流路を形成するため、逆止弁及び2つの板状片のいずれもオスルアー部の開口から流出口側に向けて投影した領域外に位置する。従って、オスルアー部から流出した薬剤又は血液などの液体が流出口へ流される液体の流入抵抗が小さく、円滑な輸液を行なうことができる。
【0016】
本発明において、突部は、外側の側面がオスルアー部の開口から流出口側に向けて投影した領域よりも外針基の内壁側になるようにすると共に、オスルアー部の開口から流出口側に向けて投影した領域内を避けるように空間が設けられることもできる。また、この場合においては、突部を断面U字状に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の留置針の実施形態を表す分解斜視図。
【図2】本実施形態の逆止弁の(a)正面図、(b)右側面図、(c)平面図、(d)底面図、(e)背面図、(f)右背面側からの斜視図を表す図。
【図3】本実施形態の内針を穿刺している状態の留置針の(a)外針基の軸線中心の断面図、(b)A−A線断面図を表す図。
【図4】本実施形態の穿刺後に内針を抜いた状態の留置針の(a)外針基の軸線中心の断面図、(b)B−B線断面図を表す図。
【図5】本実施形態のオスルアー部を挿入している状態の留置針の(a)外針基の軸線中心の断面図、(b)C−C線断面図、(c)D−D線断面図を表す図。
【図6】突部を(a)断面U字状、(b)断面O字状で形成する変形例を表す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態の留置針1を表す分解斜視図である。この留置針1は、中身を視認可能な合成樹脂を材料として円筒状に形成された外針基2と、弾性体であるゴムを材料として円筒状に形成された逆止弁3と、軟質材料を用いて管状に形成されたオスルアー部4とを備える。
【0019】
外針基2は、両端に内部で導通された開口部を有しており、一端の開口部(図1の右方の開口部)を、薬剤又は血液などの液体を輸液するときにオスルアー部4の一端が挿入されて液体が流入される流入口21とし、他端の開口部(図1の左方の開口部)を、流入口21から流入された液体を流出する流出口22とする。また、外針基2の内部には、外壁が外針基2の内壁に密接するように逆止弁3が配設されている。
【0020】
外針基2の流入口21にはオスルアー部4の一端が挿入されるため、流入口21の内径は、オスルアー部4の外径以上に形成されている。また、オスルアー部4の端部が逆止弁3の内部に入ることを防止するため、逆止弁3の流入口21側の端部の内径は、オスルアー部4の外径より小さく形成されている。このため、挿入されたオスルアー部4の一端が外針基2内に配設された逆止弁3の流入口21側の端部に当接した状態で更に押し込まれることにより、逆止弁3を流入口21側から流出口22側に向かって押動できる。
【0021】
外針基2は、内部に逆止弁3が配設されている胴部23と、胴部23に比べて小径であり胴部23から突出するように設けられた外針支持部24とから構成される。胴部23の一端には流入口21があり、他端は外針支持部24が突出している。また、外針支持部24の胴部23側とは逆側の一端には流出口22がある。
【0022】
外針支持部24の流出口22には、外針25の一端が挿着されている。外針25は軟質部材で管状に形成されており、内針26を外針基2の流入口21から摺動自在に挿入できる。内針26は、中実且つ針状に形成されており、外径を外針25の内径とほぼ同じに形成している。このため、内針26の外側面と外針25の内側面との間の隙間をほぼ無くすことができ、管状すなわち中空の外針25の穿刺時の抵抗を弱めることができる。
【0023】
外針基2の胴部23の図1の上方の内壁には、流入口21側から流出口22側に向けて円弧状に突出した2つの板状片2a,2bが外針基2と一体に設けられている。この2つの板状片2a,2bは、逆止弁3が2つの板状片2a,2bに当接する位置よりも流入口21側に配設しても、逆止弁3の流入口21側の一端が外針基2の流入口21からはみ出さないような位置に設けられている。また、2つの板状片2a,2bは、互いに空間を設けて平行に並べられており、流入口21に挿入されたオスルアー部4の開口から流出口22側に向けて投影した領域外に位置するように設けられている。
【0024】
次に、図2を参照して逆止弁3の形状について説明する。図2は、逆止弁3の形状を表す図であり、図2(a)は正面図(図1の左側、すなわち流出口22側から見た図)、図2(b)は右側面図、図2(c)は平面図、図2(d)は底面図、図2(e)は背面図、図2(f)は右背面側からの斜視図である。
【0025】
図2に示されるように、逆止弁3の外針基2の流出口22側の端部には、先細りのテーパ状に形成されたテーパ面31を備える。テーパ状の先端部には、一文字状のスリット32が設けられ、このスリット32は、流出口22側から流入口21側への液体の逆流を阻止するように形成されている。尚、スリット32は、一文字状である必要はなく、十文字状又はY字状であってもよい。留置針1を人体に穿刺するときには、内針26がスリット32に貫通した状態の留置針1を用いる。スリット32は、内針26が貫通した状態であっても、流出口22側から流入口21側への液体の逆流を阻止可能となっている。また、逆止弁3のスリット32は、内針26を抜いた後、逆止弁3の弾性によって閉じられる。このため、内針26を抜いた後であっても、流出口22側から流入口21側への液体の逆流を阻止できる。
【0026】
また、逆止弁3には、流入口(21)側で且つ突部(2a,2b)側の壁部に台形状の切欠き33が設けられている。
【0027】
次に、図3〜図5を参照して、上記のように構成された留置針1の作動について説明する。ここで、図3及び図4で示されるときの逆止弁3の位置が、本発明の第1位置に該当し、図5で示されるときの逆止弁3の位置が、本発明の第2位置に該当する。まず本実施形態の留置針1を人体に穿刺する場合について説明する。
【0028】
図3は、人工透析、輸液又は輸血などを行なう場合に患者の体内に輸液するために留置針1を人体に穿刺する際、内針26が外針25から突出しているときの外針基2及び逆止弁3の状態を示す図であり、図3(a)は外針基2の軸線中心の断面図であり、図3(b)は図3(a)のA−A線断面図である。
【0029】
図3に示されるように、施術者は、内針26が、外針基2の流入口21、逆止弁3のスリット32、2つの板状片2a,2bの間に設けられた空間、及び外針25を介して先端部分を外針25から突出した状態の留置針1を用いて、患者の体内に内針26と外針25を穿刺する。
【0030】
留置針1を人体に穿刺した後に、内針26を外針基2から抜いたときの外針基2及び逆止弁3の状態が図4に示される。図4(a)は図3(a)と同様に外針基2の軸線中心の断面図であり、図4(b)は図4(a)のB−B線断面図である。内針26を外針基2から抜くことで、血液が患者の体内から外針25の内部を通って外針基2の胴部23に逆流してくる。
【0031】
上述したように、逆止弁3の外壁が外針基2の胴部23の内壁に密着していると共に、逆止弁3のスリット32が流出口22側から流入口21側への液体の逆流を阻止するように形成されている。このため、本実施形態の留置針1によって、外針基2の胴部23に逆流した血液が、逆止弁3の流出口22側の端部よりも流入口21側に流れることが阻止される。
【0032】
内針26を外針基2から抜いた後、オスルアー部4を外針基2の流入口21に挿入したときの外針基2及び逆止弁3の状態が図5に示される。図5(a)は、図3(a)及び図4(a)と同様に外針基2の軸線中心の断面図であり、図5(b)は図5(a)のC−C線断面図であり、図5(c)は図5(a)のD−D線断面図である。図5の破線は、オスルアー部4の開口から流出口22側に向けて投影した領域を示す。
【0033】
逆止弁3は、外針基2に挿入されたオスルアー部4の端部によって、流入口21側の第1位置から流出口22側の第2位置に向かって押動される。この押動の途中で、逆止弁3のテーパ面31が形成されている側の端部が2つの板状片2a,2bに当接する。この状態で更に流出口22側に向かって押し込まれることで、逆止弁3は、切欠き33側の側面が2つの板状片2a,2bによって径方向に押圧され、2つの板状片2a,2bの円弧状の側面に沿うように変形する。逆止弁3は、この変形と共に、2つの板状片2a,2bと外針基2の内壁とに挟まれることで径方向断面が図5(b)に示されるような略U字状に変形し、逆止弁3の外周側に液体の流路を形成する。
【0034】
また、切欠き33が2つの板状片2a,2b側に設けられているため、傾斜に沿う側壁の面積が小さくなる。これによって、図5(a)及び図5(c)に示されるように、オスルアー部4の開口から流出口22側に向けて投影した領域内(図5(a)の破線)に、切欠き33によってできる空間が位置しているため、逆止弁3の壁部が輸液のときの流路を妨げることがない。また、2つの板状片2a,2bは、流入口21に挿入されたオスルアー部4の開口から流出口22側に向けて投影した領域外に位置するように空間を設けている。このため、2つの板状片2a,2bは、輸液のときの流路を妨げることがない。
【0035】
従って、流入口21から流入してきた液体が、逆止弁3の切欠き33によってできる空間を通り、2つの板状片2a,2bの間に設けられた空間を通って、流出口22に流出する。このように、逆止弁3が第2位置に位置している際には、2つの板状片2a,2b及び切欠き33によって、オスルアー部4の開口から流出口22側に向けて投影した領域内に流路を妨げる妨害物が存在しないため、流される液体の流入抵抗が小さく、円滑な輸液を行なうことができる。
【0036】
また、逆止弁3が第2位置に位置しているときに、2つの板状片2a,2bと外針基2の内壁とによって、逆止弁3を挟持するように突部としての2つの板状片2a,2bが形成されている。このため、逆止弁3が第2位置に達することで、施術者がオスルアー部4の押動を止めたとしても、逆止弁3は第2位置に留まったままとなる。従って、径方向に押圧されている逆止弁3の弾性によって、外針基2に挿入されたオスルアー部4を流入口21側に押動することを防止できる。
【0037】
更に、オスルアー部4を抜いた後であっても、逆止弁3は第2位置に留まったままとなる。換言すると、留置針1の使用後にオスルアー部4を抜いた後であっても逆止弁3は第2位置に留まったままとなる。このため、逆止弁3が、外針基2内の第1位置に位置するときにはオスルアー部4を挿入する前であり、外針基2内の第2位置に位置するときにはオスルアー部4を挿入した後であることを判別することができる。
【0038】
更に、上述したように、外針基2は、中身を視認可能な材料で形成されているため、逆止弁3が第1位置にあるか(オスルアー部4を挿入する前か)、第2位置にあるか(オスルアー部4を挿入した後か)を視覚的に簡単に判別することができる。これによって、使用済みの留置針1を再使用することを防止しやすくなる。但し、外針基2が中身を視認可能ではない材料で形成されているものであってもよい。この場合には、流入口21側から流出口22側へ向かって見ることで逆止弁3の位置を確認すればよい。
【0039】
以上のように、本実施形態の留置針1は、逆止弁3の開閉操作をするためだけにプッシャーのような部品を備えることなく少ない部品数で構成しても、留置針1を人体に穿刺して内針26を除去した際の血液の逆流を防止できると共に、輸液をする際にはオスルアー部4を外針基2に挿入することで、突部としての板状片2a,2bによって、輸液する液体の流路を形成できる。
【0040】
また、本実施形態の留置針1は、逆止弁3に台形状の切欠き33を設けている。これによって、逆止弁3が、2つの板状片2a,2bと外針基2の内壁とに挟まれることで径方向断面が変形しているときに、逆止弁3の壁部が輸液のときの流路を妨げず、流される液体の流入抵抗が小さく、円滑な輸液を行なうことができる。
【0041】
なお、本実施形態では、2つの板状片2a,2bを平行に並べたが、必ずしも平行に並べる必要はなく、オスルアー部4の開口から流出口22側に向けて投影した領域内に2つの板状片2a,2bが位置しなければよい。例えば、外針基2の内周壁側からハの字状に突出する形状であってもよい。
【0042】
また、本実施形態では、突部を2つの板状片2a,2bで構成したがこれに限るものではない。例えば、図6に示されるように、突部を1つ設け、突部の外側の側面が、オスルアー部4の開口から流出口22側に向けて投影した領域よりも外針基2の内壁側になるようにすると共に、オスルアー部4の開口から流出口22側に向けて投影した領域内を避けるように繰り抜くなどによって空間を設けてもよい。例えば、図6(a)に示されるように1つの突部2cを断面U字状に形成して空間2caを設けたり、図6(b)に示されるように1つの突部2dを繰り抜いて断面O字状に形成し空間2daを設けてもよい。図6は、外針基2内の突部のみを示す斜視図であり、左側が流出口22側となっている。これによっても、輸液する液体の流路を形成できる。
【0043】
また、本実施形態では、突部としての2枚の板状片2a,2bを、外針基2の内壁とで逆止弁3を挟持するように形成しているがこれに限らない。オスルアー部4を抜いた後に、逆止弁3の弾性力によって外針基2内の第2位置から第1位置に移動可能なように突部と外針基2の内壁との距離を設定し、この距離になるような大きさに突部を形成してもよい。これによって、オスルアー部4を抜いた後に再度逆流を防止したい場合には、逆止弁3が第1位置に戻り、再度逆流を防止することができる。このように、本発明の留置針は、オスルアー部4を抜いた後に、再使用を防止できる留置針と再度逆流を防止できる留置針とのいずれか片方を提供でき、使用者が目的に応じて選択することができる。
【0044】
また、本実施形態では、逆止弁3の切欠き33を台形状に設けているがこれに限らない。切欠き33によって液体の流路を確保できればよく、切欠き33の形状としては、U字状、矩形及び三角形などであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…留置針、2…外針基、2a,2b…板状片(突部)、21…流入口、22…流出口、3…逆止弁、33…切欠き、4…オスルアー部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液側コネクタのオスルアー部(4)の一端が挿入され該オスルアー部(4)を介して液体が流入される流入口(21)と該液体が流出される流出口(22)とを有する円筒状の外針基(2)と、
外壁が前記外針基(2)の内壁に密接するように配設され、前記流出口(22)から前記流入口(21)へ液体が逆流することを阻止する円筒状の逆止弁(3)とを備え、
前記逆止弁(3)は、前記オスルアー部(4)が挿入されていない状態で流入口(21)側の第1位置にあり、前記オスルアー部(4)が挿入された際には流出口(22)側の第2位置に移動されるものであり、
前記外針基(2)は、前記逆止弁(3)が前記第2位置に移動した際に、前記逆止弁(3)を径方向に押圧して前記逆止弁(3)の外周側に液体の流路を形成する突部(2a,2b、2c又は2d)が設けられていることを特徴とする留置針(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の留置針(1)において、
前記突部(2a,2b、2c又は2d)は、前記流入口(21)側から前記流出口(22)側に向けて円弧状に突出し、
前記逆止弁(3)は、前記流入口(21)側で且つ前記突部(2a,2b、2c又は2d)側の壁部に、当該逆止弁(3)が前記突部(2a,2b、2c又は2d)によって径方向に押圧されたときに前記オスルアー部(4)の開口から前記流出口(22)側に向けて投影した領域内を避ける形状の切欠き(33)が設けられていることを特徴とする留置針(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の留置針(1)において、前記逆止弁(3)は、前記流出口(22)側の端部が先細りのテーパ状に形成されていることを特徴とする留置針(1)。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の留置針(1)において、前記突部(2a,2b、2c又は2d)は、前記逆止弁(3)が前記第2位置に移動した際には、前記突部(2a,2b、2c又は2d)と前記外針基(2)の内壁とで前記逆止弁(3)を挟持することを特徴とする留置針(1)。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の留置針(1)において、前記逆止弁(3)は、弾性体で形成されており、前記第2位置に移動した後に、前記オスルアー部(4)が前記外針基(2)から外れた場合には、当該逆止弁(3)の弾性力によって前記第1位置に戻るように前記突部(2a,2b、2c又は2d)と前記外針基(2)の内壁との距離が設定されていることを特徴とする留置針(1)。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の留置針(1)において、前記突部(2a,2b)は、2つの板状片(2a,2b)で構成され、前記オスルアー部(4)の開口から前記流出口(22)側に向けて投影した領域外に位置していることを特徴とする留置針(1)。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の留置針(1)において、前記突部(2c、2d)は、外側の側面が、前記オスルアー部(4)の開口から前記流出口(22)側に向けて投影した領域よりも前記外針基(2)の内壁側になるようにすると共に、前記オスルアー部(4)の開口から前記流出口(22)側に向けて投影した領域内を避けるように空間が設けられていることを特徴とする留置針(1)。
【請求項8】
請求項7に記載の留置針(1)において、前記突部(2c)は、断面U字状に形成されていることを特徴とする留置針(1)。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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