畦塗り機の整畦体用羽根板及びそれを使用した整畦体
【課題】畦の法面を整形する法面整畦部と、複数枚の羽根板を有し、畦の上面を整形する上面整畦部とを備える整畦体を装着した畦塗り機において、上面整畦部の羽根板によって畦上面から法面へかけての表面を連続的に、特に曲面に仕上げることを可能にする。
【解決手段】法面整畦部2と、本体となる支持部材31とその周面に接続される複数枚の羽根板32を有し、法面整畦部2の軸方向先端部に連結されて法面整畦部2と共に回転する上面整畦部3とを備え、畦塗り機10に装着される整畦体1において、
支持部材31に接続される接続部32aと、接続部32aに連続し、上面整畦部3の回転方向下流側に張り出す張出部32bとを有し、少なくとも張出部32bの法面整畦部2側の端部に、上面整畦部3の回転方向上流側から下流側へかけて上面整畦部3側から法面整畦部2側へ接近する形状をし、法面整畦部2に重なる移行部32dを形成する。
【解決手段】法面整畦部2と、本体となる支持部材31とその周面に接続される複数枚の羽根板32を有し、法面整畦部2の軸方向先端部に連結されて法面整畦部2と共に回転する上面整畦部3とを備え、畦塗り機10に装着される整畦体1において、
支持部材31に接続される接続部32aと、接続部32aに連続し、上面整畦部3の回転方向下流側に張り出す張出部32bとを有し、少なくとも張出部32bの法面整畦部2側の端部に、上面整畦部3の回転方向上流側から下流側へかけて上面整畦部3側から法面整畦部2側へ接近する形状をし、法面整畦部2に重なる移行部32dを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は畦を整形する整畦体を有する畦塗り機において、整畦体の内、畦の上面を整形する上面整畦部に、畦上面から法面へかけての表面を連続的に仕上げる機能を持たせた整畦体用羽根板、及びそれを使用した整畦体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
畦塗り機の整畦体は円錐台形状の法面整畦部とその軸方向先端に連結される円筒形状の上面整畦部を持ち、畦塗り機の走行時に軸回りに回転することにより前処理体が先行して緩めた旧畦の土を新たに法面と上面を有する畦として整形する。整畦体は畦塗り機の走行速度より速い速度で転動し得る回転速度が与えられ、スリップ回転することで、畦の法面と上面を転圧し、表層土を圧密させる機能を発揮する(特許文献1参照)。
【0003】
整畦体がスリップ回転することで、法面整畦部と上面整畦部が畦の法面と上面の双方に圧力を加えるため、引き締まった畦を整形することができる。土は上面から作用する圧力によって法面側へ滑ろうとし、そのときの反力を法面整畦部が受けることができるため、上面整畦部によって上面から圧力を与えるだけでも畦に対する一定の締め固め効果を得ることはできる(特許文献2参照)。
【0004】
但し、特許文献1、2では、整畦体が回転するときの落差や段差を利用して畦上面を叩くことにより土に動的な圧力を与えるため、表層土を乱す、あるいは飛散させる可能性がある。
【0005】
これに対し、上面整畦部の外周に接続される、特許文献1のような複数枚の羽根板を屈曲させ、1枚の羽根板が2段階に畦上面に接触する形状にすることで、円筒面を有する羽根板を畦上面に接触させる場合より羽根板による土への加圧効果を高める方法がある(特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−37106号公報(請求項1、段落0013、0019、図3、図4、図7〜図9)
【特許文献2】特開2006−55121号公報(請求項1、段落0021〜0022、図2、図3)
【特許文献3】特許第3997473号公報(請求項1、段落0008、0012〜0014、図3、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3のように屈曲した羽根板を畦上面に接触させる方法によれば、上面整畦部の軸方向を向いた凸条部を挟んで羽根板表面の向きが相違することで、凸条部がない連続した平面、もしくは曲面を有する羽根板を用いる場合より、軸回りの回転時に畦上面に接触する面積が小さくなる。この結果、畦上面に接触するときに土に与える圧力が大きくなり、加圧効果が高まる利点を有するとされている(段落0012)。
【0008】
特許文献3では法面(側面)整畦部にも周方向に互いに重なり、放射方向に凸条部が形成された羽根板を接続しているが、上面整畦部から法面整畦部へ移行する境界部分では双方の羽根板が不連続になるため、上面整畦部の羽根板と法面整畦部の羽根板のいずれかが畦上面と畦法面に同時に跨ることはない。従っていずれかの羽根板によって畦の上面と法面を同時に押圧することができず、畦上面と法面(側面)の境界部分を畦の幅方向に連続した表面に仕上げることが難しい。
【0009】
特に上面整畦部の羽根板は法面整畦部より畦側に位置する関係で、畦上面への接触時には法面整畦部から畦法面側へ押圧されようとするが、上面整畦部の羽根板に軸方向の全長に亘って凸条部が形成されているため、法面整畦部から押圧されたときに曲面をなすように湾曲することはできない。
【0010】
上面整畦部の羽根板が法面整畦部に押圧され、強制的に畦側へ湾曲しようとすれば、上面整畦部から法面整畦部までの範囲で、凸条部の角度が広がり、凸条部がなくなろうとする結果、羽根板の周方向下流側の縁が畦の表面(上面と法面)に接触するときに畦側を向く。このため、上面整畦部の転動に伴い、縁が畦表面から離脱しようとするときに、畦表面を蹴り、畦表面にその幅方向を向く線状の痕跡を残す可能性がある。また羽根板が軸方向の不特定の位置で屈曲することが想定されるため、その屈曲した部分が畦上面を押圧する結果、畦の表面に平面状の痕跡を残す可能性がある。
【0011】
本発明は上記背景より、畦上面から法面へかけての表面を連続的に仕上げることを可能にする上面整畦部の羽根板とそれを使用した上面整畦部を有する整畦体を提案するものである。
【0012】
請求項1に記載の発明の畦塗り機の整畦体用羽根板は、軸回りの回転により畦の法面を整形する法面整畦部と、本体となる支持部材とその周面に接続される複数枚の羽根板を有し、前記法面整畦部の軸方向先端部に連結されて法面整畦部と共に回転し、畦の上面を整形する上面整畦部とを備え、畦塗り機に装着される整畦体の前記上面整畦部を構成する羽根板であり、
前記支持部材に接続される接続部と、この接続部に連続し、前記上面整畦部の回転方向下流側に張り出す張出部とを有し、少なくともこの張出部の前記法面整畦部側の端部に、前記上面整畦部の回転方向上流側から下流側へかけて前記上面整畦部側から前記法面整畦部側へ接近する形状をし、前記法面整畦部に重なる移行部が形成されていることを構成要件とする。
【0013】
「本体となる支持部材」とは、上面整畦部の本体を構成する支持部材のことを言う。支持部材自体は円柱状、多角柱状、円錐台状、角錐台状等に形成され、支持部材の周面(表面)が閉塞した形状であるか、開放した形状であるかは問われない。支持部材が開口のない板から構成される場合には周面が閉塞した形状になり、枠材から構成される場合には開放した形状になる。
【0014】
「回転方向上流側」とは、上面整畦部が軸回りに回転するときに回転の向きの前方側(畦表面に先行して接触する側)を指す。「移行部が回転方向上流側から下流側へかけて上面整畦部側から法面整畦部側へ接近する形状をする」とは、回転方向上流側から下流側へかけて上面整畦部の軸方向の長さが大きくなる形状を成すことを言い、この形状から移行部は例えば三角形状や台形状等に形成され、少なくとも法面整畦部側の一部は法面整畦部の表面に畦側から重なる。法面整畦部が複数枚の羽根板から構成される場合には、移行部は羽根板に重なる。移行部の軸方向の長さは回転方向上流側から下流側へかけて次第に大きくなる(漸増する)場合と、段階的に大きくなる場合がある。
【0015】
「法面整畦部に重なる」とは、移行部が法面整畦部の表面に直接重なる(接触する)場合と、空隙を置いて重なる場合があることを言う。移行部が法面整畦部の表面との間に空隙を置いて重なることは、上記のように移行部が、もしくは張出部から移行部へかけての部分が湾曲した状態で羽根板が製作されることにより実現される。この場合、上面整畦部の羽根板は整畦体の回転時に法面整畦部の羽根板から畦側へ押圧されることで、法面整畦部(の羽根板)の表面に重なって面で、もしくは線で接触する。従って整畦体が回転していない状態では、必ずしも上面整畦部の羽根板が法面整畦部の羽根板に接触している必要はない。
【0016】
「少なくとも張出部の法面整畦部側の端部に移行部が形成される」とは、移行部が張出部の範囲に形成される場合と、接続部から張出部に亘って形成される場合があることを言う。上記のように移行部は回転方向上流側から下流側へかけて法面整畦部側へ接近する形状を成すから、全体的には張出部の範囲に占める割合が大きい。
【0017】
法面整畦部が複数枚の羽根板から構成される場合には、その複数枚の羽根板は上面整畦部と同じく、回転に伴って畦上面に与える押圧力を増大させるために、回転方向上流側に位置する羽根板が下流側に位置する羽根板の上流側の端部を覆うように組み合わせられるから、2枚の羽根板が周方向に隣接する部分では、上流側に位置する羽根板が下流側に位置する羽根板の表面側に重なる。すなわち、上流側に位置する羽根板の表面が下流側に位置する羽根板の表面より上面整畦部側に位置し、上流側の羽根板の表面と下流側の羽根板の表面との間には段差が生ずる。この関係で、法面整畦部の上流側に位置する羽根板との干渉を回避する上では、上面整畦部の羽根板の移行部は張出部の範囲から法面整畦部側へ張り出すように形成されることが合理的である。
【0018】
図1等に示すように上面整畦部を構成する1枚の羽根板の移行部が例えば法面整畦部を構成する2枚の羽根板に跨る場合には、移行部は法面整畦部の上流側の羽根板から下流側の羽根板に重なることになる。上記のように法面整畦部の2枚の羽根板間には段差があるから、移行部の法面整畦部側の縁(端部)が法面整畦部の上流側の羽根板表面上の点と下流側の羽根板表面上の点を結ぶ(通る)曲線を描くような形状をしていれば、移行部の法面整畦部側の縁(端部)は法面整畦部の2枚の羽根板の表面に同時に接触する状態になる。上面整畦部の法面整畦部側の縁(端部)が法面整畦部の表面に接触しながら、移行部の軸方向の長さが上流側から下流側へかけて次第に大きくなる場合には、移行部は三角形状になり、移行部の軸方向の長さが途中から一定になれば、移行部は台形状になる。
【0019】
移行部はそれがない場合の、例えば長方形状の羽根板に付加的に接続されるか、一体となった形で連続し、上面整畦部から法面整畦部に跨ることで、畦に対しては上面から法面に跨り、連続して接触する。移行部が、整形状態が不連続になり易い畦上面から法面までの範囲に連続して接触することで、畦上面から法面へかけて表面を平滑に、連続的に仕上げることが可能になる。
【0020】
特に移行部は整畦体の回転時に、法面整畦部の表面への接触により上面整畦部の軸方向の先端側から法面整畦部へかけての範囲で、法面整畦部の表面に沿い、上面整畦部の軸側が凸となり、畦側が凹となるように湾曲するため(図1、図6〜図8−(a))、畦の整形時には上面整畦部の羽根板は畦の上面から法面にかけての範囲を曲面に仕上げることになる(図8−(b))。上面整畦部の支持部材に接続される接続部と移行部を除いた部分である張出部は上面整畦部の軸に対して軸側が凹となる曲面を形成するのに対し、張出部から移行部へかけての部分は上面整畦部の周方向を向いた平面に対して軸側が凸となる曲面を形成する(図6〜図11)。
【0021】
移行部を持たない羽根板の場合には、上面整畦部と法面整畦部が独立してそれぞれ畦の上面と法面を整形することから、完成する畦の上面と法面がそれぞれ平面になるため、その境界部分が多角柱状になり、境界部分に角が出ることになる。上面と法面の境界部分に突出した角部は農作業中に外力を受け易い上、上面からの荷重により、または角部への衝撃力の作用により崩壊し易い難点がある。これに対し、本発明では上面整畦部の移行部が法面整畦部に跨り、畦の上面と法面の境界部分を曲面に仕上げることで、角部の突出がなくなるため、崩壊に対する安定性が格段に向上する利点がある。
【0022】
また移行部は法面整畦部の表面に重なることで、分離している上面整畦部と法面整畦部との境界部分の空隙を移行部が表面側から閉塞するため、この部分から上面整畦部の本体部である支持部材の内部、あるいは上面整畦部と法面整畦部との接続部分に土砂が進入することを抑制する働きをする。
【0023】
移行部はまた、上面整畦部の一部であることで、上面整畦部の回転に伴って畦上面に接近し、接触するときに支持部材の周面に重なろうとするため、法面整畦部の羽根板に重なることと併せて、畦上面上の土を法面整畦部側へ流す働きをする。加えて法面整畦部の羽根板と共に、あるいは法面整畦部の羽根板の一部として畦上面と法面の境界部分における土を均し、畦の内部側へ圧密させる働きをする。結果的に畦上面と畦法面の境界部分における土が連続的に、均等に押圧されるため、不連続になる事態が回避される。
【0024】
特許文献3では上面整畦部の羽根板の法面整畦部側の端部が上流側から下流側へかけて上面整畦部側から法面整畦部側へ接近する形状をしているようにも見えるが、上面整畦部の羽根板は法面整畦部の表面には重なっていないため、上面整畦部の羽根板が畦の上面から法面へかけての範囲で連続した曲面を形成することは困難である。仮に上面整畦部の羽根板端部の一部が法面整畦部の表面に接触することがあるとしても、畦の整形時(整畦体の回転時)に一部のみ、例えば下流側の一部のみが接触し、他の部分が接触しないとすれば、その一部に法面整畦部から過大な圧力が集中するため、羽根板の一部が早期に損傷し易い不利益がある。
【0025】
これに対し、本発明の移行部は前記のように整畦体の回転時に、法面整畦部表面への接触により上面整畦部の軸方向中途位置から法面整畦部へかけての範囲で、法面整畦部の表面に沿い、上面整畦部の軸側が凸となり、畦側が凹となるように湾曲する(図9、図11)。このことから、移行部における法面整畦部側の縁の全長において法面整畦部に接触可能であるため、移行部の縁の一部への過大な圧力の作用はなく、羽根板の損傷を早める要因は排除されている。
【0026】
前記の通り、上面整畦部の羽根板が法面整畦部の表面に面で、もしくは線で接触することは、整畦体が回転している状態で得られればよく、少なくとも線で接触することで、移行部が法面整畦部に接触することにより法面整畦部から受ける反力は分散されるため、縁に圧力が集中することは回避され、損傷の可能性も低下している。
【0027】
支持部材に接続される接続部から回転方向下流側に張り出す張出部は支持部材の表面形状に倣い、全体として表面側に凸(支持部材側に凹)の曲面(湾曲面)、もしくは屈曲面を形成するが、移行部は法面整畦部の表面に接触することで、張出部に対して逆向きに、すなわち支持部材とは反対側に湾曲、もしくは屈曲しようとする。この関係で、移行部と張出部の境界部分の曲げ剛性がその境界部分における湾曲を阻害しない程度でなければ、特許文献3と同様に羽根板軸方向の不特定の位置が屈曲する可能性がある。
【0028】
羽根板がその材料特性や肉厚等に起因して張出部との境界位置で屈曲する可能性がある場合には、例えば移行部に、法面整畦部の表面に接触したときに、表面側へ湾曲可能な弾性を与えることで(請求項2)、移行部と張出部の境界部分における曲げ剛性を緩和することができる。ここでの「表面」は羽根板自身の表面を指し、上面整畦部の軸(支持部材)の反対側を指す。この結果、不特定位置での屈曲を回避し、屈曲した部分が畦上面を押圧し、畦表面に痕跡を残す事態の発生を回避することが可能になる。羽根板自体に例えば薄肉の鋼板その他の金属板、あるいは合成樹脂板等、曲げ剛性の低い材料を使用すれば、羽根板自身が表面側へ湾曲可能な弾性を保有する。
【0029】
移行部を法面整畦部の表面への接触時に湾曲させる上では、必ずしも移行部に湾曲可能な弾性を与える必要はなく、羽根板の成形(成型)時に移行部が法面整畦部の表面に接触した状況を想定した曲面を移行部に与えておくことによっても、張出部から移行部へかけての範囲を湾曲させることが可能である(図9、図11)。
【0030】
「表面側へ湾曲可能な弾性」とは、羽根板の法面整畦部への接触によりその表面形状に倣って支持部材の反対側へ弾性変形し、その変形状態で、法面整畦部側へ復元しようとする復元力により法面整畦部の表面に密着している状態を言う。上面整畦部の羽根板は前記のように支持部材に重なる範囲では支持部材側が凹の曲面を形成するが、張出部と移行部を羽根板の周方向に見れば、張出部から移行部へかけての範囲は支持部材側に凸の曲面になる。
【0031】
移行部に「表面側へ湾曲可能な弾性」を与えることは、具体的には移行部に、上面整畦部の軸方向に少なくとも法面整畦部側の端部が法面整畦部の表面に接触可能な長さを与えることで可能になる(請求項3)。移行部がその表面側へ湾曲可能な弾性を有することは、回転時の法面整畦部への接触により湾曲する場合と、羽根板の成型時に予め湾曲している場合を含む。
【0032】
前記のように移行部は整畦体が回転していない状態で、法面整畦部の表面に接触する場合と接触しない場合があるが、移行部に法面整畦部の表面に接触可能な長さを与え、羽根板の軸方向の長さを大きくすることで、移行部を含めた羽根板全体の曲げ剛性が低下し、法面整畦部への接触により容易に曲げ変形することが可能であるため、強制的に曲げ変形させる場合のような不連続な屈曲部分の発生が回避される。
【0033】
上面整畦部を構成する複数枚の羽根板は全体として支持部材の表面を覆う状態で、支持部材の表面にその周方向に間隔を置いて接続されるため(請求項7)、羽根板の張出部は支持部材の表面に接続される接続部から回転方向下流側へ周面の接線方向に張り出し、上面整畦部を軸方向に見れば、複数枚の羽根板は巴状に配列する。このため、上面整畦部の回転に伴い、羽根板が畦上面から離脱しようとするときには、羽根板が弾性を有することで、復元力によって畦上面の土を跳ね上げることが想定されるが、羽根板の張出部の周方向先端部に支持部材側へ湾曲、もしくは屈曲した返し部を形成することで(請求項4)、土の跳ね上げを抑制、もしくは防止することが可能である。
【0034】
張出部の周方向先端部は上面整畦部の回転方向下流側の端部であり、張出部は支持部材側へ凹の曲面を形成し得ることから、「支持部材側へ湾曲、もしくは屈曲する」とは、周方向先端部をそれ以外の張出部の部分より大きい曲率で湾曲させる、もしくは屈曲させることを言い、返し部の形成によって周方向先端部は支持部材側を向く(図9、図10)。
【0035】
例えば羽根板の張出部の先端部がそれ以外の部分と同一の曲率である(羽根の張出部が先端部まで一様の曲面、もしくは平面である)場合、先端部が畦上面から離脱するときに、弾性変形状態から急激に復元するときの反力により畦上面の土を畦側へ弾くことが考えられる。
【0036】
これに対し、張出部の周方向先端部に支持部材側へ湾曲等した返し部が形成されていることで、図5に鎖線で示すように先端部が離脱するまで畦上面に接触した状態を維持することができる。特に返し部の畦上面側の表面が凸の曲面を形成していることで、上面整畦部の回転に伴う畦上面からの離脱時には返し部の畦側の表面が畦上面に接触したまま、あるいは畦上面上を滑りながら畦上面から浮上しようとするため、土を弾くことなく均すことが可能である。
【0037】
前記の通り、上面整畦部の羽根板は移行部において法面整畦部の表面に重なることで、畦上面から法面へかけて表面を平滑に、連続的に仕上げる働きをするため、法面整畦部に接触した状態にあるときには移行部、もしくは移行部から張出部へかけての部分が法面整畦部の表面に沿って一様に湾曲することが望ましい。従って張出部の周方向先端部に形成される返し部は移行部の湾曲状態への弾性変形を阻害しない形態に形成されることが適切である。一方、張出部の周方向先端部に返し部を形成した場合には、その先端部の周方向を向いた軸線回りの曲げ剛性が高まるため、周方向の軸線回りには羽根板を曲げ変形させにくくなる。
【0038】
そこで、張出部の周方向先端部における返し部の湾曲、もしくは屈曲の度合いを上面整畦部の軸方向先端側から法面整畦部側へかけて次第に小さくすることにより(請求項5)、更には張出部の周方向先端部における返し部を張出部から移行部付近までに形成することにより(請求項6)、張出部先端部で土の均し効果を維持しながら、移行部を法面整畦部の表面に沿って自然に曲げ変形させることが可能になる。「軸方向先端側」とは、上面整畦部の軸方向両端部の内、法面整畦部に接続されない側の端部を指す。
【0039】
「返し部の湾曲、もしくは屈曲の度合い」とは、返し部の曲率、もしくは張出部の表面(畦に接触する側の面)と返し部の表面(畦に接触する側の面)とのなす角度のことを言い、「度合いが小さくなる」とは、図9、図10に示すように曲率、もしくは角度が次第に小さくなり、0に近づくことを言う。
【0040】
返し部の湾曲等の度合いが上面整畦部の軸方向先端側から法面整畦部側へかけて次第に小さくなることで、移行部、または張出部の途中から移行部までの範囲で羽根板が曲げ変形を阻害する要因がなくなるため、移行部、または張出部から移行部にかけての範囲は法面整畦部の表面への接触によってその表面の曲面に沿って曲げ変形し易くなる。張出部から移行部までの中途位置で返し部の曲率等が0に近づけば、返し部の湾曲等による曲げ変形への影響が出なくなり、その範囲で羽根板が曲げ変形可能であるから、「移行部付近」とは、羽根板を軸方向に見たときの張出部の中途から移行部の中途までの区間を指す。
【0041】
前記のように上面整畦部の複数枚の羽根板は全体として支持部材の表面を覆う状態で、支持部材の表面にその周方向に間隔を置いて接続されることにより上面整畦部を構成する。複数枚の羽根板が全体として支持部材を覆うとは、上面整畦部が回転するときに、常にいずれかの羽根板が畦上面に接触する状態になるように複数枚の羽根板が支持部材を覆うことを言う。支持部材が例えば多角柱状である場合には、支持部材の側面部分が畦上面に対向するときと稜線部分が畦上面に対向するときのいずれも、支持部材と畦上面との間に羽根板が介在する状態になることを言う。
【0042】
具体的には羽根板が、多角柱状の場合の支持部材のいずれかの側面に重なって接続される接続部と、この接続部に連続し、上面整畦部の回転方向下流側に隣接する側面側へ張り出す張出部からなり、この張出部が上面整畦部の回転方向下流側に位置する羽根板の接続部を覆う状態になることにより、複数枚の羽根板が全体として支持部材を覆う形になる。回転方向下流側は上面整畦部が軸回りに回転するときに回転の向きの後方側であり、回転方向下流側の羽根板は畦上面には、相対的に上流側である回転の向きの前方側に位置する羽根板の後に接触する。前記の通り、支持部材は多角柱状である必要はないが、多角柱状の場合には、羽根板の接続部を支持部材に安定して接続し易い相性の良さがある。
【0043】
支持部材が多角柱状の場合、いずれかの羽根板が畦上面に接触する状態となるように、羽根板が支持部材の表面を覆うことで、多角柱状の支持部材の稜線部分が畦上面を押圧するときと、側面部分が畦上面を押圧するときのいずれのときにも直接的には羽根板を介して畦上面を押圧することになる。
【0044】
複数枚の羽根板が全体として支持部材を覆う状態は、上面整畦部が回転し、少なくとも1枚の羽根板が畦上面に接触しているときに得られればよいが、例えば羽根板が支持部材の外周側へ凸となる曲面を形成していれば、上面整畦部の回転中に羽根板が支持部材を覆う状態を得易い。羽根板が接続部と張出部からなる場合には、張出部が支持部材の外周側へ凸となる曲面を形成していればよい。
【0045】
羽根板の張出部が接続部と同一の平面をなして張り出す場合には、上面整畦部の回転中に羽根板の全面がほぼ同時に畦上面に接触し易く、羽根板の一部が土と接触している時間が長くなるため、平面が畦上面の土を引き摺る可能性がある。これに対し、張出部が支持部材の外周側へ凸の曲面をなすことで、各羽根板が円筒面の一部に近い形状を形成し、羽根板の一部が土と接触している時間が短くなるため、羽根板は土を引き摺ることなく、スリップ回転により同一箇所を曲面によって連続的に均すことができることになる。
【0046】
上面整畦部が例えば多角柱状の支持部材と支持部材の側面に重なって接続される弾性を有する羽根板から構成される場合には、畦上面に直接、接触する羽根板は支持部材の形状に倣って変形しながら畦上面を押圧する。一方、支持部材は断面上の中心位置を一定にしたまま回転するから、中心から多角柱の稜線までの距離と側面までの距離が相違するため、稜線部分が押圧するときと、側面部分が押圧するときとでは圧力に差が生じ、稜線部分から押圧するときに圧力が大きくなる。
【0047】
従って上面整畦部は支持部材の稜線部分の外周側に位置する羽根板から畦上面を押圧するときと、側面部分の外周側に位置する羽根板から畦上面を押圧するときとで異なる圧力で畦上面を押圧するため、多角柱状の支持部材と組み合わせられることで、スリップ回転することにより同一地点を羽根板から2通りの圧力で加圧することが可能である。
【0048】
同一地点を2通りの圧力で加圧できることで、畦上面を締め固める効果と畦を長さ方向に均等に仕上げる効果が得られ、土質、あるいは土の含水量の差異に関係なく、畦上面の表層土を適度に圧密させながら、均質に仕上げることが可能になる。含水量が多ければ、圧密により余剰水は自然に土から排除される。
【0049】
ここで、多角柱状の支持部材の稜線部分(角部分)が直接、畦上面に接触する場合には、稜線部分から畦上面に与える圧力が側面部分からの圧力より大きいため、羽根板が均した土を稜線部分の両側に押し出すように作用し、畦上面に稜線部分の痕跡として溝が形成されることが想定される。このことは多角形状の表面を形成する特許文献3の凸条部にも言える。
【0050】
これに対し、請求項7では多角柱状の支持部材と組み合わせられることで、複数枚の羽根板が全体として支持部材の表面を覆うことで、支持部材の稜線部分から畦上面を押圧するときに羽根板が圧力を分散させる作用を果たすため、稜線部分から畦上面を押圧し、締め固めながらその圧力を分散させ、土を均等に均すことが可能になっている。
【0051】
特に上面整畦部の本体である支持部材が多角柱状の多面体である場合には、支持部材自体が半径方向及び周方向に高い剛性を有し、ねじり剛性も高く、半径方向と周方向への圧力に対して変形しにくい性質を有するため、支持部材自体が反力に対して高い安定性を保有する。このため、畦上面の押圧時に羽根板から十分な反力を与えることができる上、支持部材自体が変形しにくいことで、羽根板からの加圧効果が確実に発揮され、想定通りの圧力を与えることが可能である。
【0052】
支持部材に必要とされる曲げ剛性とねじり剛性はそれを構成する板(プレート)の板厚を一定以上に設定することで確保されるが、支持部材の端面を閉塞する板や内接する板を付加することで剛性は格段に向上する。
【0053】
更に多角柱状の場合、支持部材が多面体であることで、ボルト等を用いて羽根板を支持部材に接合する上で、支持部材との十分な接触面積を確保することができるため、羽根板自体の変形に対する安定性が向上し、損傷に対する耐久性が高まる。
【0054】
特に羽根板の張出部がその周方向に、その羽根板が接続されている支持部材の側面から回転方向下流側の側面を超える長さを有している場合には、支持部材の稜線部分に2枚の羽根板が重なるため、羽根板が畦上面を均す上で、支持部材の稜線部分に1枚の羽根板が位置する場合より羽根板による畦上面への圧力を分散させることが可能であり、畦上面を平滑に仕上げる効果が向上する。
【0055】
例えば多角柱状の支持部材の稜線部分が直接、畦上面に接触する場合には、稜線部分からの圧力が集中的に畦上面に作用するが、支持部材の稜線部分に2枚の羽根板が重なることで、稜線部分から畦上面に与える圧力の分散効果が増すことになる。また羽根板は弾性を有する(曲げ変形可能な)板であるから、2枚の羽根板が重なる場合には、畦上面に直接、接触する上面整畦部の表面の曲率が羽根板が1枚の場合より小さくなり、曲面が緩やかになるため、畦上面の均し効果も向上し、より平滑に仕上げることが可能である。
【0056】
また複数枚の羽根板が全体として支持部材の表面を覆う状態にあることで、あるいは羽根板の張出部が上面整畦部の回転方向下流側に位置する羽根板の表面を覆う状態にあることで、上流側に位置する羽根板の下流側の部分が下流側に位置する羽根板の接合部を覆う(被覆する)状態が得られるため、羽根板の接合部分に土が入り込み、接合部分の損傷を早める可能性が低下し、損傷が抑制される。
【0057】
羽根板は上面整畦部の使用状態では支持部材の外周に固定された状態にあるが、支持部材に対して着脱自在に接続されていれば、上面整畦部の清掃に加え、損傷、もしくは摩耗した羽根板の交換に対応可能になる。具体的には羽根板と支持部材のいずれか一方に係合部が突設され、他方にこの係合部が係合可能な被係合部が形成され、係合部と被係合部が互いに係合することにより、羽根板は支持部材の側面に着脱自在に接続される。
【0058】
係合部は羽根板の支持部材側の面と、支持部材の羽根板側の面のいずれかに形成され、被係合部は係合部に対向する側の面に形成される。係合部と被係合部は互いに係合したときに、羽根板を支持部材に接続した状態を維持できる関係を持てばよく、例えば係合部が被係合部に係合したときに、係合部が羽根板の離脱の向き、すなわち支持部材の軸方向、もしくは径方向に被係合部に係合すればよい。係合部は後述の、羽根板を支持部材に押さえ付けるための接合部材に形成されることもあり、その場合、係合部は羽根板を貫通して支持部材側へ突出することにより羽根板に突設されることになる。この場合、係合部は支持部材に形成される被係合部に係合する。
【0059】
羽根板の支持部材への接続が係合部と被係合部の係合によって行われることで、羽根板の支持部材への接続作業と分離作業が単純化され、上面整畦部の清掃や羽根板の交換作業の効率が向上する。
【0060】
係合部が被係合部に係合するのみで、羽根板が支持部材への接合状態での安定性を確保できない場合には、羽根板は係合部において被係合部に係合した状態で、羽根板のいずれかの部分において直接、もしくは間接的に支持部材にボルト等により接合されることにより支持部材への接合状態での安定性が向上する。羽根板の支持部材への接合に上記した接合部材が使用される場合には、羽根板は間接的に支持部材にボルト等により接合されることになる。
【0061】
係合部が被係合部に係合したときには、係合の離脱の向きに羽根板が支持部材から分離する可能性があるから、係合の離脱を拘束するように、例えば羽根板をその外周側からプレート等の接合部材により支持部材側へ押さえ付けた状態で、接合部材を支持部材にボルト接合すれば、係合の離脱が確実に防止される。接合部材は支持部材の側面に当接、もしくは側面と端面に当接する形をし、支持部材に対しては側面、もしくは端面にボルトが螺入することにより着脱自在に接合される。
【発明の効果】
【0062】
上面整畦部の本体となる支持部材に接続される接続部と、接続部から回転方向下流側に張り出す張出部とを有し、少なくとも張出部の法面整畦部側の端部に、回転方向上流側から下流側へかけての範囲に上面整畦部側から法面整畦部側へ接近し、法面整畦部に重なる移行部を形成するため、移行部が整畦体の回転時に、法面整畦部の表面への接触により畦側が凹となるように羽根板が湾曲することができる。この結果、畦の上面から法面にかけての範囲を曲面に仕上げることができ、畦の上面から法面までの範囲に角部を突出させることがないため、崩壊に対する安定性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0064】
図1−(a)〜(d)は軸回りの回転により、図4、図5に示す畦70の法面を整形する円錐台形状の法面整畦部2と、本体となる支持部材31とその周面に接続される複数枚の羽根板32を有し、法面整畦部2の軸方向先端部に連結されて法面整畦部2と共に回転し、畦70の上面(以下、畦上面)70aを整形する上面整畦部3とを備え、畦塗り機10に装着される整畦体1の構成例を示す。
【0065】
上面整畦部3を構成する羽根板32は支持部材31に接続される接続部32aと、この接続部32aに連続し、上面整畦部3の回転方向下流側に張り出す張出部32bとを有し、少なくともこの張出部32bの法面整畦部2側の端部に、上面整畦部3の回転方向上流側から下流側へかけて上面整畦部3側から法面整畦部2側へ接近する形状をし、法面整畦部2に重なる移行部32dが形成される。羽根板32は接続部32aと張出部32bと移行部32dの3領域に区分される。羽根板32の詳細は後述する。
【0066】
畦塗り機10は基本的に図13に示すようにトラクタの後部に3点リンクヒッチ機構を介して連結される、並列する連結フレーム11、11と、並列する連結フレーム11、11を互いに畦塗り機10の幅方向に連結するヒッチフレーム12と、ヒッチフレーム12の後方に鉛直軸回りに揺動自在に連結されるオフセットフレーム13から構成される。
【0067】
オフセットフレーム13の前進方向後方側の先端位置からは畦塗り機10の幅方向に連結材14が張り出し、この連結材14とヒッチフレーム12との間に、オフセットフレーム13と平行にリンクフレーム15が架設され、双方に回動自在に連結される。オフセットフレーム13はこのリンクフレーム15とヒッチフレーム12、及び連結材14によって平行リンクを構成し、ヒッチフレーム12とオフセットフレーム13の先端位置との間に架設され、双方に連結されるシリンダ16の伸縮によってヒッチフレーム12に対してオフセット自在になる。
【0068】
ヒッチフレーム12のトラクタ側にはトラクタのPTO軸にユニバーサルジョイント等を介して連結されるギアボックス17が固定され、PTO軸からの動力はギアボックス17の入力軸に伝達され、入力軸からギアボックス17内の駆動軸を経てオフセットフレーム13の内部を通じ、オフセットフレーム13の先端に軸支された従動軸18に伝達される。
【0069】
畦塗り機10の作業機50は図14に示すように主にオフセットフレーム13先端の従動軸18と同軸で、従動軸18から動力を伝達される伝動軸55を有する駆動ボックス51に連結される整畦体1と、駆動ボックス51から整畦体1に対して進行方向前方側へ張り出し、整畦体1の整形に先だって旧畦の土砂を緩める前処理体52から構成される。前処理体52は駆動ボックス51から動力を受けて回転する畦切り爪52aを有し、作業機50の走行中、整畦体1の前方位置で畦切り爪52aが旧畦の土砂を切り崩して緩めることで、整畦体1による整形の準備をする。
【0070】
図13に示すように連結材14の、リンクフレーム15との連結部分には整畦体1側へ張り出すアーム53が連結され、このアーム53と、駆動ボックス51との間に、作業機50を畦塗り機10に対して揺動させる作業機用シリンダ54が架設され、双方に連結される。作業機50はこの作業機用シリンダ54の伸縮によって作業姿勢の制御を行う。
【0071】
駆動ボックス41内には前記伝動軸55から動力が伝達される回転軸が配置され、この回転軸に整畦体1の法面整畦部2が連結される。法面整畦部2は回転軸の回転によって回転し、同時に上面整畦部3が回転する。
【0072】
法面整畦部2は例えば図2に示すように複数枚の扇形をした羽根板21を半径方向の直線部分で互いに連結することにより全体として円錐台形状に形成され、その先端位置である中心部には複数枚の羽根板21を連結する際の位置決めの基準になり、上面整畦部3と連結されるための連結部22が配置される。連結部22は法面整畦部2から上面整畦部3側へ突出した状態にある。
【0073】
図面では図4、図5に示すように法面整畦部2の回転に伴い、回転方向上流側から下流側へかけて畦70の法面(以下、畦法面)70bを押圧する力が次第に増加するよう、相対的に上流側に位置する羽根板21の、下流側の羽根板21側の端部を下流側に位置する羽根板21に上面整畦部3側から重ねて複数枚の羽根板21を組み合わせているが、必ずしもその必要はない。畦70の断面形状を図8−(b)に示す。隣接する羽根板21、21が重なる場合も、重ならない場合も隣接する羽根板21、21間には段差が形成されない場合もある。隣接する羽根板21、21間に段差が形成される場合は、後述のように移行部32dの形状に関係(影響)する。
【0074】
図示する場合、隣接する羽根板21、21は連結部22の羽根板21側に形成されている保持部22bに重なって支持され、両羽根板21、21間に段差が形成された状態で、互いに溶接等により接合される。この場合、両羽根板21、21間に段差が形成されることで、各羽根板21の表面と畦法面70bとの間の距離は上流側から下流側へかけて次第に小さくなるため、各羽根板21の畦側の表面が畦法面70bを押圧する力は法面整畦部2の回転により上流側から下流側へかけて次第に大きくなり、畦法面70bを締め固める効果がある。
【0075】
連結部22の上面整畦部3側の端面には上面整畦部3とのボルト7等による連結のためのねじ孔22aが形成されており、上面整畦部3は図3−(a)に示すようにそれを軸方向に貫通するボルト7がねじ孔22aに螺入することによって連結部22に連結される。ボルト7は上面整畦部3の全長を貫通する必要はなく、上面整畦部3の先端側の端面からボルト7が単に挿通する挿通孔を形成し、その先の法面整畦部2寄りにボルト7が螺合するねじ孔を形成しておくことで、ボルト7の長さを短縮することができる。
【0076】
上面整畦部3の連結部22への連結にボルト7を使用する場合には、上面整畦部3を交換可能に連結することができる利点があるが、上面整畦部3と連結部22との連結はこの他、上面整畦部3と連結部22のいずれか一方の外周面に雄ねじを形成し、他方の内周面に雌ねじを形成しておくことで、上面整畦部3を軸回りに回転させ、直接、連結部22に交換可能に連結することもできる。
【0077】
図1−(a)〜(d)は前記の通り、法面整畦部2と上面整畦部3を連結して構成され、畦塗り機10に装着される整畦体1の構成例を、図4は上面整畦部3の軸方向先端側の端面を示す。上面整畦部3は法面整畦部2の連結部22に連結される支持部材31と、支持部材31の周方向(回転方向)に間隔を置いて接続される複数枚の羽根板32から構成される。図1−(a)、(b)の一点鎖線は上面整畦部3、すなわち整畦体1の回転中心を示し、その回りの矢印は回転の向きを示す。
【0078】
図4に示すように上面整畦部3の本体を構成する支持部材31の本体部31aは基本的に1枚の、もしくは複数枚のプレートを折り曲げ加工することにより、あるいは複数枚のプレートを組み立て、互いに溶接することにより多角柱状、円柱状、角錐台状、円錐台状等の形状に形成される。この他、多角柱、多角錐台の稜線、または円柱、円錐台の母線に相当する部位に枠材を配置する骨組み構造により支持部材31の本体部31aが形成される場合もある。これらの場合、軸方向両端の底面に相当する部分には、面材が配置されることもあれば、角錐台形の場合に、底面の各辺に相当する部分に枠材が配置されることもある。
【0079】
本体部31aの軸方向両側の端部、または端部と軸方向中間部には本体部31aが中空であることによる剛性不足を補うためと、羽根板32を接合するための補剛板31bが配置され、本体部31aに接合される。図面では図3−(a)に示すように上面整畦部3の軸方向先端側の端面と法面整畦部2寄りの中間部に補剛板31bを配置し、端面に配置された補剛板31bを、羽根板32を固定するために利用している。
【0080】
補剛板31bは本体部31aに内接した状態で、または本体部31aの端面に接触した状態で、溶接やボルト接合等の手段により本体部31aに接合される。プレートからなる本体部31aの側面部分は剛性を確保する上では盲板が望ましいが、軽量化を図る目的で側面部分の一部に開口が形成されることもある。
【0081】
補剛板31bには上面整畦部3を法面整畦部2の連結部22に連結するためのボルト7が挿通する挿通孔31cが形成される。補剛板31bにはまた、接合部材4を用いて羽根板32を補剛板31bに当接させ、その状態で接合部材4を貫通するボルト5により補剛板31b接合するためのねじ孔31dが形成されている。図4ではねじ孔31dを断面上の中心に関して円弧状の長孔に形成することで、ボルト7の、連結部22のねじ孔22aへの位置調整を行えるようにしている。
【0082】
図4は上面整畦部3の支持部材31の断面が正八角形である場合を示しているが、支持部材31の断面形状は必ずしも正多角形である必要はない。支持部材31の断面が多角形状であれば、支持部材31(多角形)の稜線部分と側面部分で畦上面70aを押圧することができるから、図5に示すように各側面の幅が相違する多角形であることもある。但し、支持部材31が正多角形であれば、上面整畦部3の回転時に一定の時間的間隔で稜線部分と側面部分から畦上面70aを押圧することができる。
【0083】
羽根板32は畦上面70aに接触したときに支持部材31の外形に沿って弾性変形し、畦上面70aから離脱するにつれて元の形状に復元する弾性を有するポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂や鋼板等の金属材料等から成形され、支持部材31の側面部分に着脱自在に接合される。羽根板32は予め支持部材31の外周に接続された状態で、支持部材31の外周面に沿って表面側に凸となる曲面を形成するように成型されている場合もあり、その場合は畦上面70aに接触したときの弾性変形量は僅かになる。
【0084】
図面では羽根板32の支持部材31への接続状態での安定性を確保する(羽根板32を支持部材31から離脱させない)ために、羽根板32の外周側に上記した接合部材4を配置し、接合部材4を支持部材31に接合することにより羽根板32を支持部材31に着脱自在に接続している。図面では特に接合部材4に、羽根板32を支持部材31(本体部31a)の側面に押さえ付けた状態で、支持部材31に接続しながら、支持部材31の端面に接合されている補剛板31bに接合する機能を持たせている。
【0085】
図面ではまた、羽根板32と支持部材31との着脱自在な接続作業を単純にするために、いずれか一方に、他方に係合する係合部を形成し、他方に係合部が係合する被係合部を形成している。上記のように図面では羽根板32の支持部材31への接続を補うために接合部材4を使用していることから、接合部材4に係合部43を形成し、支持部材31に被係合部33を形成しているが、接合部材4の係合部43が羽根板32を貫通し、支持部材31側へ突出することで、羽根板32に係合部43を突設したことと同等になる。
【0086】
接合部材4に係合部43を形成した場合、図3−(a)に示すように接合部材4は羽根板32の表面に重なる当接部41と、支持部材31の端面に接合されている補剛板31bに重なる接合部42の2部分からなり、当接部41の羽根板32側の面と、支持部材31(本体部31a)の側面のいずれか一方に、他方に係合する係合部43が突設される。図3−(b)は(a)の係合部43部分の拡大図である。ここでは上記のように接合部材4の当接部41に係合部43を形成し、支持部材31の側面に被係合部33を形成しているが、逆の場合もある。
【0087】
接合部材4に係合部43を形成したことに伴い、支持部材31(本体部31a)の側面には係合部43が係合する被係合部33が形成される。係合部を支持部材31に形成した場合には、羽根板32、もしくは接合部材4に被係合部が形成される。また接合部材4に係合部43を形成したことに伴い、図3−(b)に示すように羽根板32の接続部32aには係合部43が挿通する挿通孔32fが形成されるが、係合部43は羽根板32の支持部材31側の面に突設されることもあり、その場合には、接合部材4の当接部41は羽根板32を単純に支持部材31に押さえ付ける働きをする。
【0088】
係合部43は軸部43aの先端側(支持部材31側)に頭部43bを有するピン形の形状をし、被係合部33は係合部43の頭部43bが挿通可能な挿通孔33aと、この挿通孔33aに連続し、係合部43の軸部43aが移動(スライド)自在な長孔状の溝33bを有する開口状の形状を有する。係合部43には頭部43bを有するピンやボルト等が使用される。
【0089】
接合部材4の支持部材31(本体部31a)への装着時には、係合部43の頭部43bが羽根板32に形成されている挿通孔32fを貫通し、被係合部33の挿通孔33aを貫通して軸部43aまで挿通する。その状態で軸部43aが被係合部33の溝33bに沿って移動(スライド)することで、頭部43bが溝33bに、軸方向一方側と径方向外周側へ係合した状態になり、接合部材4が支持部材31に接続された状態になる。接合部材4の離脱時には、接続時とは逆に、軸部43aを溝33bに沿って移動(スライド)させ、頭部43bを挿通孔33aから抜き出すことにより支持部材31から外される。
【0090】
接合部材4の接合部42には接合部材4を補剛板31bに接合するためのボルト5が挿通する挿通孔42aが形成され、接合部材4はこの接合部42の挿通孔42aを貫通し、補剛板31bに螺入するボルト5によって補剛板31bに接合される。
【0091】
接合部材4の当接部41が羽根板32を支持部材31の側面に押さえ付けた状態で、接合部42が支持部材31の補剛板31bに接合されることで、羽根板32が支持部材331に一体化し、上面整畦部3が形成される。支持部材31に羽根板32が一体化した上面整畦部3は図3−(a)に示すように前記した法面整畦部2の連結部22に直接、連結される芯材6にボルト7により接合されることにより法面整畦部2と一体化する。
【0092】
芯材6は円筒形の本体61の内周側に軸方向に間隔を置いて配置された、剛性を確保するための複数枚の、挿通孔を有するフランジ62が接合されて形成される。土質条件によってはこの芯材6を上面整畦部3として使用することも可能である。上面整畦部3は支持部材31の端面に接合されている補剛板31bと芯材6のフランジ62を貫通し、法面整畦部2の連結部22に形成されているねじ孔22aに到達するボルト7がねじ孔22aに螺入することにより芯材6に接合される。図3−(c)は図3−(a)に示す上面整畦部3の補剛板313b側の端面を示す。図1−(a)〜(d)は法面整畦部2に上面整畦部3が一体化した整畦体1の外観を示している。
【0093】
上面整畦部3の羽根板32は図4に示すように支持部材31のいずれかの側面に重なって接続される接続部32aと、これに連続し、支持部材31の回転方向下流側に隣接する側面(羽根板32)側へ張り出す張出部32bからなり、張出部32bはその幅方向に上面整畦部3の回転方向下流側に位置する羽根板32の接続部32aを覆う長さを有する。
【0094】
具体的には羽根板32の張出部32bはその周方向に、その羽根板32が接続されている支持部材31の側面から回転方向下流側に隣接する側面を超える長さを有している。すなわち羽根板32の張出部32bの下流側の端部はその側に隣接する側面の稜線部分を超え、更に隣接する側面にまで跨る長さを有し、上面整畦部3の転動時には図5に示すように2枚の羽根板32が重なった状態で、進行方向前方に存在する畦上面70a上の土を羽根板32の下に巻き込みながら、スリップ回転する。
【0095】
図5は正多角形でない支持部材31を持つ上面整畦部3が畦上面70a上を転動しているときの様子を示す。羽根板32の張出部32bの下流側の端部がその側に隣接する側面の稜線部分を超える長さを有することで、羽根板32が畦上面70aを押圧するときには、複数枚の、図面では2枚の羽根板32が重なった状態になり、支持部材31からの圧力は複数枚の羽根板32を介して畦上面70aに伝達されることになる。
【0096】
羽根板32は接続部32aにおいて上記した接合部材4によって支持部材31の側面に重なり、断面上の中心側へ押し付けられた状態で支持部材31に接合される。接続部32aは面で支持部材31の平面をなす側面に重なった状態で接合されることで、接合部材4によって支持部材31に拘束された状態にある。この状態で、張出部32bは支持部材31の外周側へ凸となる円筒面等の曲面を形成し、支持部材31に対して曲げ(弾性)変形可能な状態にある。
【0097】
張出部32bが支持部材31の外周側へ凸となる曲面を形成することで、張出部32bは畦上面70aに接触したときに、支持部材31の中心からその稜線までの距離を半径とする円弧面を有する円筒に近い形状になる。
【0098】
前記のように張出部32bが周方向に回転方向下流側に隣接する側面を超える長さを有することと、支持部材31の外周側へ凸となって湾曲することで、上面整畦部3の転動時には2枚の羽根板32が重なって土を羽根板32の下に巻き込み始め、羽根板32の回転方向下流側に先端部32cが畦上面70aから離脱するまで、土を曲面で均すことになる。このとき、上面整畦部3はスリップ回転するため、畦上面70aは圧密され、表面は平滑に仕上げられる。
【0099】
上面整畦部3の転動時には上面整畦部3の断面上の中心位置が一定に保たれることで、支持部材31の稜線部分が畦上面70aに接近し、押圧しようとするときと、側面部分が接近し、押圧しようとするときとでは、羽根板32からの押圧力に差が生じ、稜線部分が押圧しようとするときの圧力が大きくなる。
【0100】
この関係で、支持部材31の稜線部分から羽根板32を介して畦上面70aを押圧するときに土をより大きい圧力で加圧し、側面部分から羽根板32を介して押圧するときにはそれより小さい圧力で加圧するため、上面整畦部3は2通りの圧力で畦上面70aを圧密することができる。また上面整畦部3は移動速度より大きい速度で畦上面70a上を転動(スリップ回転)するため、畦上面70aを下方へ加圧しながら、表面を均質に均すことになる。
【0101】
図面ではまた、羽根板32の張出部32bの周方向先端部32c、すなわち回転方向下流側の先端部32cとそれ以外の張出部32bと境界部分に返し部32eを形成し、この返し部32eを張出部32bより大きい曲率で支持部材31側へ湾曲、もしくは屈曲させることで、図5に示すように張出部32bの周方向先端部32cが畦上面70aから離脱するときに、この先端部32cが土を跳ね上げないようにしている。
【0102】
張出部32bは畦上面70aから離脱する直前には強制的に曲げ変形しているから、例えば張出部32bが周方向に一様の曲率を有している場合には、離脱しようとするときに、先端部32cが復元力によって急激に畦上面70aから跳ね上がることが想定される。これに対し、返し部32eの形成により張出部32bの先端部32cが他の部分より大きい曲率で湾曲等することで、先端部32cが畦上面70aに接触したまま、あるいは畦上面上を滑りながら畦上面から浮上しようとするため、土を跳ね上げることがなくなる。
【0103】
羽根板32の張出部32bの法面整畦部2側の端部には、図1に示すように上面整畦部3の回転方向上流側から下流側へかけて上面整畦部3側から法面整畦部2側へ接近する形状をした移行部32dが形成されている。移行部32dは主に張出部32bの端部位置から形成されるが、接続部32aと張出部32bに亘って形成されることもある。
【0104】
法面整畦部2を構成する複数枚の羽根板21はその回転方向下流側に位置する羽根板21が上流側に位置する羽根板21の背面に重なって組み合わせられることから、相対的に上流側に位置する羽根板21が上面整畦部3寄りに位置する。この関係で、法面整畦部2の相対的に上流側に位置する羽根板21との衝突を回避するために、移行部32dは上面整畦部3の回転方向上流側から下流側へかけて上面整畦部3の軸方向の長さが大きくなり、図1−(a)〜(d)に示すように三角形状、台形状、もしくは翼状、あるいはこれらに近い形状に形成される。
【0105】
図1−(a)、(b)、(d)中の破線は羽根板32の張出部32bと移行部32dの境界位置を示すが、移行部32dが張出部32bに連続し、張出部32bの一部として一体的に形成されている場合には、破線は実際には表れない。移行部32dは張出部32bとは別体の部品を張出部32bに連結することによっても形成される。移行部32dは図示するように法面整畦部2の羽根板21に上面整畦部3側、すなわち畦70側から重なり、例えば三角形状、もしくは台形状等の場合には、めくれを防止するために角部が落とされ、移行部32dの外形線は曲線状になる。
【0106】
上面整畦部3の回転に伴って羽根板32の張出部32bが畦上面70aに接触し、畦上面70aに押されて支持部材31の周面(側面部分と稜線部分)に重なるときに、移行部32dも畦上面70aに押されるため、法面整畦部2の羽根板21の表面に重なろうとする。この結果、図8−(a)に示すように張出部32bから移行部32dへかけての範囲が羽根板21の表面に倣って湾曲しようとするため、湾曲した張出部32bから移行部32dへかけての範囲が畦法面70bと畦上面70aを畦70の内部側へ押圧し、畦法面70bから畦上面70aへかけての部分が(b)に示すように曲面状に整形される。
【0107】
このとき、畦上面70a上の土は法面整畦部2側へ流されるため、畦上面70aと法面の境界部分における土は均等な圧力で均され、畦70の内部側へ圧密させられることになる。畦上面70aと法面の境界部分における土が均されることで、畦70の上面70aと法面との境界(面)が不連続になることがなくなる。図8−(a)は図6、図7に示す上面整畦部3の羽根板31と同じく、張出部32bから移行部32dへかけての範囲が予め湾曲している羽根板31を示しているが、弾性変形によって湾曲する場合も図8−(a)と同様の形状に湾曲し、図8−(b)に示す畦70を整形する。
【0108】
図6は図1−(a)に示す整畦体1を上面整畦部3の中心寄りの位置から見た様子を、図7は図6における上面整畦部3と法面整畦部2との境界部分を拡大した様子を示す。ここに示すように上面整畦部3の羽根板32は法面整畦部2の2枚の羽根板21、21に跨った状態で、移行部32dにおいて羽根板21に重なるから、移行部32dの法面整畦部2側の縁(端部)は上流側の羽根板21の表面と下流側の羽根板21の表面に接触するか、接触し得る状態になる。
【0109】
移行部32dの縁が羽根板21の表面に接触し得る状態は、移行部32dが法面整畦部2の表面に沿った曲面形状に形成された状態で、羽根板32が成型されている場合に得られる。移行部32dは法面整畦部2への接触によって曲面形状に弾性変形することもあり、その場合、羽根板32は必ずしも曲面を形成した状態で成型される必要はなく、平坦な板状に成型されていればよい。
【0110】
羽根板32は少なくとも移行部32dが整畦体1の回転時(使用時)に、畦70と法面整畦部2との間に挟まれることで、法面整畦部2の表面に接触すればよく、そのときに張出部32cから移行部32dへかけての範囲が畦70側へ凹の曲面を形成すればよい。張出部32cから移行部32dへかけての範囲が畦70を押圧するときの状態を図8−(a)に示す。
【0111】
ここに示すように羽根板32の移行部32dは整畦体1の回転に伴う法面整畦部2への接触により畦70側が凹となる曲面を形成するため、図8−(b)に示すように畦70の上面70aから法面70bにかけての範囲(肩部)は曲面になる。この曲面は上面整畦部3の周方向に配列する複数枚の羽根板32が連続的に畦70を押圧することで、畦70の長さ方向に連続することになる。
【0112】
図9、図11はそれぞれ一枚の羽根板32の表面(畦70側の面)と背面(支持部材31側の面)の様子を示す。ここでは支持部材31の軸方向の長さと同等程度の長さを有する平坦な接続部32aと、接続部32aから周方向に張り出し、支持部材31側へ湾曲した張出部32bと、張出部32b、もしくは接続部32aと張出部32bから法面整畦部2側へ突出する移行部32dを有する形態で、例えばポリエチレン等から射出成型等によって製作された羽根板32を示す。移行部32dは上面整畦部3側が凸(畦70側が凹)となる曲面を形成している。
【0113】
図9中、移行部32d側にある、支持部材31の周方向の破線は移行部32dとそれ以外の部分との境界を便宜的に示しているが、ここでは移行部32dを接続部32aから張出部32bまでの範囲に亘って法面整畦部2側へ形成している。接続部32aの周方向の幅は支持部材31の表面に重なって接続されるのに十分な大きさを持てばよいため、張出部32bの幅より小さいが、接続部32aの幅の範囲から移行部32dを形成することで、法面整畦部2との接触面積を稼ぎ、変形時に法面整畦部2から受ける反力を分散させる結果、移行部32dの曲げ変形を生じさせ易くする利点を有する。
【0114】
図9では特に、接続部32aから張出部32bの周方向中途までの区間における移行部32dの法面整畦部2側の縁を平面上、直線状に形成し、張出部32bの周方向中途から先端部32cまでの区間の縁を法面整畦部2の羽根板21の表面形状(曲面)に沿った曲線状に形成することにより、移行部32dの縁が全長に亘って法面整畦部2の羽根板21の表面に接触し得るようにしている。
【0115】
図9の例では張出部32bの回転方向下流側の先端部に支持部材31側へ湾曲、もしくは屈曲した返し部32eが形成されているが、この返し部32eの湾曲、もしくは屈曲の度合い(曲率、もしくは角度)は上面整畦部3の軸方向先端側から法面整畦部2側へかけて次第に小さくなっており、張出部32bから移行部32d付近まで形成されている。図9のC−C線、B−B線、A−A線の断面を図10−(a)〜(c)に示すが、返し部32eの曲率、もしくは角度は上面整畦部3の軸方向先端寄りで大きく、法面整畦部2寄りで小さくなり、移行部32dの範囲ではその範囲で移行部32dが支持部材31の反対側へ湾曲可能なように、ほとんど0に近い大きさになっている。
【0116】
移行部32dの範囲において返し部32eの曲率、もしくは角度が0に近いことで、その範囲では返し部32dの存在が張出部32bから移行部32dへかけての範囲の曲げ変形を阻害する要因になることがないため、羽根板32が法面整畦部2への接触により弾性変形する場合には、その変形箇所に弾性変形が抵抗なく生ずることが可能になっている。
【0117】
図12−(a)〜(e)は図1に示す上面整畦部3が畦上面70a上を転動し、1回転するときの様子を示す。上面整畦部3は畦上面70aから断面上の中心までの高さを一定に保持したまま回転する。上面整畦部3の断面上の中心位置は図1、図5に示すように支持部材31の稜線部分と畦上面70aとの間に2枚の羽根板32が挟み込まれる程度の高さに設定される。
【0118】
図12−(a)は上面整畦部3を構成する支持部材31の側面部分が畦上面70a側を向いている状況を示す。このとき、支持部材31の側面部分は畦上面70aから浮いた状態にあり、その側面部分に固定された羽根板32の接続部32aの外周側に、その上流側の側面に固定された羽根板32の張出部32bが重なり、畦上面70aを適度の圧力で押圧する。
【0119】
支持部材31の側面部分と畦上面70aとの間には間隔があるから、支持部材31に関して外周側に位置する羽根板32の張出部32bは畦上面70aとの間で外周側へ凸の曲面状に弾性変形しながら土を押圧する。この状況では畦上面70a側を向いた支持部材31の側面部分の外周側に張出部32bが位置する羽根板32の先端部32cは下流側の羽根板32の張出部32bに接触している。このとき、先端部32cは湾曲等していることで、先端が下流側の羽根板32の張出部32bに当接し、その先端部32cを有する羽根板32自身を下流側の羽根板32から突き放そうとするため、その先端部32cを有する羽根板32の張出部32bが円弧面等、外周側へ凸の曲面状に弾性変形させることに寄与している。
【0120】
図12−(b)は(a)から10°上面整畦部3が回転した状況を示す。このとき、支持部材31の稜線部分が畦上面70aを押圧し始め、この稜線部分に押されて下流側の羽根板32を介して上流側の羽根板32の張出部32bが押し潰され、畦上面70aを(a)の状況より大きい圧力で押圧する。この状況では張出部32bにおいて畦上面70aに接触している羽根板32の上流側に位置する羽根板32の先端部32cが畦上面70aから離脱しようとしている。
【0121】
図12−(c)は(b)から更に10°上面整畦部3が回転し、支持部材31の稜線部分が支持部材31の中心のほぼ真下に位置し、稜線部分が畦上面70a側に最も接近した状況を示す。このときには支持部材31の稜線部分が畦上面70aに最も接近しているから、(b)に続いて畦上面70aを最も大きい圧力で押圧する。(b)から(c)へ移行する過程で、畦上面70aに接触している羽根板32の上流側にある羽根板32の先端部32cは畦上面70aから離脱しているが、上記の通り、張出部32bの周方向の先端部32cは畦上面70a上を滑りながら離脱している。
【0122】
図12−(d)は(c)から更に10°上面整畦部3が回転し、支持部材31の稜線部分が支持部材31の中心の真下を通過し、稜線部分が畦上面70aを押圧し続けている状況を示す。(c)から(d)へ移行する間が最も畦上面70aに大きい圧力を与えるときになる。
【0123】
図12−(e)は(d)から更に10°上面整畦部3が回転し、(a)の状態から累積で40°回転し、(a)の直前の状況に至った様子を示す。このときには、支持部材31の稜線部分が畦上面70aから離れ、側面部分が羽根板32を介して畦上面70aを押圧する状況へ移行しつつある。図5に示す上面整畦部3の支持部材31は正八角形状であり、内角が135°で、外角が45°であるから、上面整畦部3は中心の回りに45°回転すれば、(a)の状態に復帰する。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】(a)、(b)は法面整畦体に上面整畦部を接合して製作された整畦体を示した斜視図、(c)は(a)、もしくは(b)の端面図、(d)は側面図である。
【図2】整畦体の法面整畦部の例を示した斜視図である。
【図3】(a)は上面整畦部と法面整畦部との接合例を示した断面図、(b)は(a)の鎖線円部分の拡大図、(c)は(a)の端面図である。
【図4】正多角柱状の支持部材に羽根板を接合した上面整畦部の構成例を示した端面図である。
【図5】正多角柱状でない支持部材に羽根板を接合した上面整畦部の構成例と畦上面との関係を示した端面図である。
【図6】図1−(a)を上面整畦部の中心寄りの位置から見た様子を示した斜視図である。
【図7】図6における上面整畦部と法面整畦部との境界部分を拡大した様子を示した斜視図である。
【図8】(a)は上面整畦部の羽根板が畦側に回り込んだときの様子を示した斜視図、(b)は上面整畦部の羽根板によって整形された畦の断面を示した斜視図である。
【図9】上面整畦部の羽根板の表面(畦側の面)を示した斜視図である。
【図10】(a)〜(c)は図7−(a)のそれぞれC−C線、B−B線、A−A線の断面図である。
【図11】上面整畦部の羽根板の背面(支持部材側の面)を示した斜視図である。
【図12】(a)〜(e)は図1に示す上面整畦部が畦上面上を転動し、1回転するときの様子を示した端面図である。
【図13】畦塗り機全体の構成例を示した平面図である。
【図14】畦塗り機の作業機を示した平面図である。
【符号の説明】
【0125】
1……整畦体、
2……法面整畦部、21……羽根板、22……連結部、22a……ねじ孔(ボルト7用)、22b……保持部(羽根板用)、
3……上面整畦部、31……支持部材、31a……本体部、31b……補剛板、31c……挿通孔(ボルト7用)、31d……ねじ孔(ボルト5用)、
32……羽根板、32a……接続部、32b……張出部、32c……先端部、32d……移行部、32e……返し部、32f……挿通孔、
33……被係合部、33a……挿通孔、33b……溝、
4……接合部材、41……当接部、42……接合部、42a……挿通孔(ボルト5用)、43……係合部、43a……軸部、43b……頭部、
5……ボルト(接合部材4と補剛板31bとの接合用)、
6……芯材、
7……ボルト(上面整畦部3と法面整畦部2の接合用)、
10……畦塗り機、11……連結フレーム、12……ヒッチフレーム、13……オフセットフレーム、14……連結材、15……リンクフレーム、16……シリンダ、17……ギアボックス、18……従動軸、
50……作業機、51……駆動ボックス、52……前処理体、52a……畦切り爪、53……アーム、54……作業機用シリンダ、55……伝動軸、
70……畦、70a……上面、70b……法面。
【技術分野】
【0001】
本発明は畦を整形する整畦体を有する畦塗り機において、整畦体の内、畦の上面を整形する上面整畦部に、畦上面から法面へかけての表面を連続的に仕上げる機能を持たせた整畦体用羽根板、及びそれを使用した整畦体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
畦塗り機の整畦体は円錐台形状の法面整畦部とその軸方向先端に連結される円筒形状の上面整畦部を持ち、畦塗り機の走行時に軸回りに回転することにより前処理体が先行して緩めた旧畦の土を新たに法面と上面を有する畦として整形する。整畦体は畦塗り機の走行速度より速い速度で転動し得る回転速度が与えられ、スリップ回転することで、畦の法面と上面を転圧し、表層土を圧密させる機能を発揮する(特許文献1参照)。
【0003】
整畦体がスリップ回転することで、法面整畦部と上面整畦部が畦の法面と上面の双方に圧力を加えるため、引き締まった畦を整形することができる。土は上面から作用する圧力によって法面側へ滑ろうとし、そのときの反力を法面整畦部が受けることができるため、上面整畦部によって上面から圧力を与えるだけでも畦に対する一定の締め固め効果を得ることはできる(特許文献2参照)。
【0004】
但し、特許文献1、2では、整畦体が回転するときの落差や段差を利用して畦上面を叩くことにより土に動的な圧力を与えるため、表層土を乱す、あるいは飛散させる可能性がある。
【0005】
これに対し、上面整畦部の外周に接続される、特許文献1のような複数枚の羽根板を屈曲させ、1枚の羽根板が2段階に畦上面に接触する形状にすることで、円筒面を有する羽根板を畦上面に接触させる場合より羽根板による土への加圧効果を高める方法がある(特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−37106号公報(請求項1、段落0013、0019、図3、図4、図7〜図9)
【特許文献2】特開2006−55121号公報(請求項1、段落0021〜0022、図2、図3)
【特許文献3】特許第3997473号公報(請求項1、段落0008、0012〜0014、図3、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3のように屈曲した羽根板を畦上面に接触させる方法によれば、上面整畦部の軸方向を向いた凸条部を挟んで羽根板表面の向きが相違することで、凸条部がない連続した平面、もしくは曲面を有する羽根板を用いる場合より、軸回りの回転時に畦上面に接触する面積が小さくなる。この結果、畦上面に接触するときに土に与える圧力が大きくなり、加圧効果が高まる利点を有するとされている(段落0012)。
【0008】
特許文献3では法面(側面)整畦部にも周方向に互いに重なり、放射方向に凸条部が形成された羽根板を接続しているが、上面整畦部から法面整畦部へ移行する境界部分では双方の羽根板が不連続になるため、上面整畦部の羽根板と法面整畦部の羽根板のいずれかが畦上面と畦法面に同時に跨ることはない。従っていずれかの羽根板によって畦の上面と法面を同時に押圧することができず、畦上面と法面(側面)の境界部分を畦の幅方向に連続した表面に仕上げることが難しい。
【0009】
特に上面整畦部の羽根板は法面整畦部より畦側に位置する関係で、畦上面への接触時には法面整畦部から畦法面側へ押圧されようとするが、上面整畦部の羽根板に軸方向の全長に亘って凸条部が形成されているため、法面整畦部から押圧されたときに曲面をなすように湾曲することはできない。
【0010】
上面整畦部の羽根板が法面整畦部に押圧され、強制的に畦側へ湾曲しようとすれば、上面整畦部から法面整畦部までの範囲で、凸条部の角度が広がり、凸条部がなくなろうとする結果、羽根板の周方向下流側の縁が畦の表面(上面と法面)に接触するときに畦側を向く。このため、上面整畦部の転動に伴い、縁が畦表面から離脱しようとするときに、畦表面を蹴り、畦表面にその幅方向を向く線状の痕跡を残す可能性がある。また羽根板が軸方向の不特定の位置で屈曲することが想定されるため、その屈曲した部分が畦上面を押圧する結果、畦の表面に平面状の痕跡を残す可能性がある。
【0011】
本発明は上記背景より、畦上面から法面へかけての表面を連続的に仕上げることを可能にする上面整畦部の羽根板とそれを使用した上面整畦部を有する整畦体を提案するものである。
【0012】
請求項1に記載の発明の畦塗り機の整畦体用羽根板は、軸回りの回転により畦の法面を整形する法面整畦部と、本体となる支持部材とその周面に接続される複数枚の羽根板を有し、前記法面整畦部の軸方向先端部に連結されて法面整畦部と共に回転し、畦の上面を整形する上面整畦部とを備え、畦塗り機に装着される整畦体の前記上面整畦部を構成する羽根板であり、
前記支持部材に接続される接続部と、この接続部に連続し、前記上面整畦部の回転方向下流側に張り出す張出部とを有し、少なくともこの張出部の前記法面整畦部側の端部に、前記上面整畦部の回転方向上流側から下流側へかけて前記上面整畦部側から前記法面整畦部側へ接近する形状をし、前記法面整畦部に重なる移行部が形成されていることを構成要件とする。
【0013】
「本体となる支持部材」とは、上面整畦部の本体を構成する支持部材のことを言う。支持部材自体は円柱状、多角柱状、円錐台状、角錐台状等に形成され、支持部材の周面(表面)が閉塞した形状であるか、開放した形状であるかは問われない。支持部材が開口のない板から構成される場合には周面が閉塞した形状になり、枠材から構成される場合には開放した形状になる。
【0014】
「回転方向上流側」とは、上面整畦部が軸回りに回転するときに回転の向きの前方側(畦表面に先行して接触する側)を指す。「移行部が回転方向上流側から下流側へかけて上面整畦部側から法面整畦部側へ接近する形状をする」とは、回転方向上流側から下流側へかけて上面整畦部の軸方向の長さが大きくなる形状を成すことを言い、この形状から移行部は例えば三角形状や台形状等に形成され、少なくとも法面整畦部側の一部は法面整畦部の表面に畦側から重なる。法面整畦部が複数枚の羽根板から構成される場合には、移行部は羽根板に重なる。移行部の軸方向の長さは回転方向上流側から下流側へかけて次第に大きくなる(漸増する)場合と、段階的に大きくなる場合がある。
【0015】
「法面整畦部に重なる」とは、移行部が法面整畦部の表面に直接重なる(接触する)場合と、空隙を置いて重なる場合があることを言う。移行部が法面整畦部の表面との間に空隙を置いて重なることは、上記のように移行部が、もしくは張出部から移行部へかけての部分が湾曲した状態で羽根板が製作されることにより実現される。この場合、上面整畦部の羽根板は整畦体の回転時に法面整畦部の羽根板から畦側へ押圧されることで、法面整畦部(の羽根板)の表面に重なって面で、もしくは線で接触する。従って整畦体が回転していない状態では、必ずしも上面整畦部の羽根板が法面整畦部の羽根板に接触している必要はない。
【0016】
「少なくとも張出部の法面整畦部側の端部に移行部が形成される」とは、移行部が張出部の範囲に形成される場合と、接続部から張出部に亘って形成される場合があることを言う。上記のように移行部は回転方向上流側から下流側へかけて法面整畦部側へ接近する形状を成すから、全体的には張出部の範囲に占める割合が大きい。
【0017】
法面整畦部が複数枚の羽根板から構成される場合には、その複数枚の羽根板は上面整畦部と同じく、回転に伴って畦上面に与える押圧力を増大させるために、回転方向上流側に位置する羽根板が下流側に位置する羽根板の上流側の端部を覆うように組み合わせられるから、2枚の羽根板が周方向に隣接する部分では、上流側に位置する羽根板が下流側に位置する羽根板の表面側に重なる。すなわち、上流側に位置する羽根板の表面が下流側に位置する羽根板の表面より上面整畦部側に位置し、上流側の羽根板の表面と下流側の羽根板の表面との間には段差が生ずる。この関係で、法面整畦部の上流側に位置する羽根板との干渉を回避する上では、上面整畦部の羽根板の移行部は張出部の範囲から法面整畦部側へ張り出すように形成されることが合理的である。
【0018】
図1等に示すように上面整畦部を構成する1枚の羽根板の移行部が例えば法面整畦部を構成する2枚の羽根板に跨る場合には、移行部は法面整畦部の上流側の羽根板から下流側の羽根板に重なることになる。上記のように法面整畦部の2枚の羽根板間には段差があるから、移行部の法面整畦部側の縁(端部)が法面整畦部の上流側の羽根板表面上の点と下流側の羽根板表面上の点を結ぶ(通る)曲線を描くような形状をしていれば、移行部の法面整畦部側の縁(端部)は法面整畦部の2枚の羽根板の表面に同時に接触する状態になる。上面整畦部の法面整畦部側の縁(端部)が法面整畦部の表面に接触しながら、移行部の軸方向の長さが上流側から下流側へかけて次第に大きくなる場合には、移行部は三角形状になり、移行部の軸方向の長さが途中から一定になれば、移行部は台形状になる。
【0019】
移行部はそれがない場合の、例えば長方形状の羽根板に付加的に接続されるか、一体となった形で連続し、上面整畦部から法面整畦部に跨ることで、畦に対しては上面から法面に跨り、連続して接触する。移行部が、整形状態が不連続になり易い畦上面から法面までの範囲に連続して接触することで、畦上面から法面へかけて表面を平滑に、連続的に仕上げることが可能になる。
【0020】
特に移行部は整畦体の回転時に、法面整畦部の表面への接触により上面整畦部の軸方向の先端側から法面整畦部へかけての範囲で、法面整畦部の表面に沿い、上面整畦部の軸側が凸となり、畦側が凹となるように湾曲するため(図1、図6〜図8−(a))、畦の整形時には上面整畦部の羽根板は畦の上面から法面にかけての範囲を曲面に仕上げることになる(図8−(b))。上面整畦部の支持部材に接続される接続部と移行部を除いた部分である張出部は上面整畦部の軸に対して軸側が凹となる曲面を形成するのに対し、張出部から移行部へかけての部分は上面整畦部の周方向を向いた平面に対して軸側が凸となる曲面を形成する(図6〜図11)。
【0021】
移行部を持たない羽根板の場合には、上面整畦部と法面整畦部が独立してそれぞれ畦の上面と法面を整形することから、完成する畦の上面と法面がそれぞれ平面になるため、その境界部分が多角柱状になり、境界部分に角が出ることになる。上面と法面の境界部分に突出した角部は農作業中に外力を受け易い上、上面からの荷重により、または角部への衝撃力の作用により崩壊し易い難点がある。これに対し、本発明では上面整畦部の移行部が法面整畦部に跨り、畦の上面と法面の境界部分を曲面に仕上げることで、角部の突出がなくなるため、崩壊に対する安定性が格段に向上する利点がある。
【0022】
また移行部は法面整畦部の表面に重なることで、分離している上面整畦部と法面整畦部との境界部分の空隙を移行部が表面側から閉塞するため、この部分から上面整畦部の本体部である支持部材の内部、あるいは上面整畦部と法面整畦部との接続部分に土砂が進入することを抑制する働きをする。
【0023】
移行部はまた、上面整畦部の一部であることで、上面整畦部の回転に伴って畦上面に接近し、接触するときに支持部材の周面に重なろうとするため、法面整畦部の羽根板に重なることと併せて、畦上面上の土を法面整畦部側へ流す働きをする。加えて法面整畦部の羽根板と共に、あるいは法面整畦部の羽根板の一部として畦上面と法面の境界部分における土を均し、畦の内部側へ圧密させる働きをする。結果的に畦上面と畦法面の境界部分における土が連続的に、均等に押圧されるため、不連続になる事態が回避される。
【0024】
特許文献3では上面整畦部の羽根板の法面整畦部側の端部が上流側から下流側へかけて上面整畦部側から法面整畦部側へ接近する形状をしているようにも見えるが、上面整畦部の羽根板は法面整畦部の表面には重なっていないため、上面整畦部の羽根板が畦の上面から法面へかけての範囲で連続した曲面を形成することは困難である。仮に上面整畦部の羽根板端部の一部が法面整畦部の表面に接触することがあるとしても、畦の整形時(整畦体の回転時)に一部のみ、例えば下流側の一部のみが接触し、他の部分が接触しないとすれば、その一部に法面整畦部から過大な圧力が集中するため、羽根板の一部が早期に損傷し易い不利益がある。
【0025】
これに対し、本発明の移行部は前記のように整畦体の回転時に、法面整畦部表面への接触により上面整畦部の軸方向中途位置から法面整畦部へかけての範囲で、法面整畦部の表面に沿い、上面整畦部の軸側が凸となり、畦側が凹となるように湾曲する(図9、図11)。このことから、移行部における法面整畦部側の縁の全長において法面整畦部に接触可能であるため、移行部の縁の一部への過大な圧力の作用はなく、羽根板の損傷を早める要因は排除されている。
【0026】
前記の通り、上面整畦部の羽根板が法面整畦部の表面に面で、もしくは線で接触することは、整畦体が回転している状態で得られればよく、少なくとも線で接触することで、移行部が法面整畦部に接触することにより法面整畦部から受ける反力は分散されるため、縁に圧力が集中することは回避され、損傷の可能性も低下している。
【0027】
支持部材に接続される接続部から回転方向下流側に張り出す張出部は支持部材の表面形状に倣い、全体として表面側に凸(支持部材側に凹)の曲面(湾曲面)、もしくは屈曲面を形成するが、移行部は法面整畦部の表面に接触することで、張出部に対して逆向きに、すなわち支持部材とは反対側に湾曲、もしくは屈曲しようとする。この関係で、移行部と張出部の境界部分の曲げ剛性がその境界部分における湾曲を阻害しない程度でなければ、特許文献3と同様に羽根板軸方向の不特定の位置が屈曲する可能性がある。
【0028】
羽根板がその材料特性や肉厚等に起因して張出部との境界位置で屈曲する可能性がある場合には、例えば移行部に、法面整畦部の表面に接触したときに、表面側へ湾曲可能な弾性を与えることで(請求項2)、移行部と張出部の境界部分における曲げ剛性を緩和することができる。ここでの「表面」は羽根板自身の表面を指し、上面整畦部の軸(支持部材)の反対側を指す。この結果、不特定位置での屈曲を回避し、屈曲した部分が畦上面を押圧し、畦表面に痕跡を残す事態の発生を回避することが可能になる。羽根板自体に例えば薄肉の鋼板その他の金属板、あるいは合成樹脂板等、曲げ剛性の低い材料を使用すれば、羽根板自身が表面側へ湾曲可能な弾性を保有する。
【0029】
移行部を法面整畦部の表面への接触時に湾曲させる上では、必ずしも移行部に湾曲可能な弾性を与える必要はなく、羽根板の成形(成型)時に移行部が法面整畦部の表面に接触した状況を想定した曲面を移行部に与えておくことによっても、張出部から移行部へかけての範囲を湾曲させることが可能である(図9、図11)。
【0030】
「表面側へ湾曲可能な弾性」とは、羽根板の法面整畦部への接触によりその表面形状に倣って支持部材の反対側へ弾性変形し、その変形状態で、法面整畦部側へ復元しようとする復元力により法面整畦部の表面に密着している状態を言う。上面整畦部の羽根板は前記のように支持部材に重なる範囲では支持部材側が凹の曲面を形成するが、張出部と移行部を羽根板の周方向に見れば、張出部から移行部へかけての範囲は支持部材側に凸の曲面になる。
【0031】
移行部に「表面側へ湾曲可能な弾性」を与えることは、具体的には移行部に、上面整畦部の軸方向に少なくとも法面整畦部側の端部が法面整畦部の表面に接触可能な長さを与えることで可能になる(請求項3)。移行部がその表面側へ湾曲可能な弾性を有することは、回転時の法面整畦部への接触により湾曲する場合と、羽根板の成型時に予め湾曲している場合を含む。
【0032】
前記のように移行部は整畦体が回転していない状態で、法面整畦部の表面に接触する場合と接触しない場合があるが、移行部に法面整畦部の表面に接触可能な長さを与え、羽根板の軸方向の長さを大きくすることで、移行部を含めた羽根板全体の曲げ剛性が低下し、法面整畦部への接触により容易に曲げ変形することが可能であるため、強制的に曲げ変形させる場合のような不連続な屈曲部分の発生が回避される。
【0033】
上面整畦部を構成する複数枚の羽根板は全体として支持部材の表面を覆う状態で、支持部材の表面にその周方向に間隔を置いて接続されるため(請求項7)、羽根板の張出部は支持部材の表面に接続される接続部から回転方向下流側へ周面の接線方向に張り出し、上面整畦部を軸方向に見れば、複数枚の羽根板は巴状に配列する。このため、上面整畦部の回転に伴い、羽根板が畦上面から離脱しようとするときには、羽根板が弾性を有することで、復元力によって畦上面の土を跳ね上げることが想定されるが、羽根板の張出部の周方向先端部に支持部材側へ湾曲、もしくは屈曲した返し部を形成することで(請求項4)、土の跳ね上げを抑制、もしくは防止することが可能である。
【0034】
張出部の周方向先端部は上面整畦部の回転方向下流側の端部であり、張出部は支持部材側へ凹の曲面を形成し得ることから、「支持部材側へ湾曲、もしくは屈曲する」とは、周方向先端部をそれ以外の張出部の部分より大きい曲率で湾曲させる、もしくは屈曲させることを言い、返し部の形成によって周方向先端部は支持部材側を向く(図9、図10)。
【0035】
例えば羽根板の張出部の先端部がそれ以外の部分と同一の曲率である(羽根の張出部が先端部まで一様の曲面、もしくは平面である)場合、先端部が畦上面から離脱するときに、弾性変形状態から急激に復元するときの反力により畦上面の土を畦側へ弾くことが考えられる。
【0036】
これに対し、張出部の周方向先端部に支持部材側へ湾曲等した返し部が形成されていることで、図5に鎖線で示すように先端部が離脱するまで畦上面に接触した状態を維持することができる。特に返し部の畦上面側の表面が凸の曲面を形成していることで、上面整畦部の回転に伴う畦上面からの離脱時には返し部の畦側の表面が畦上面に接触したまま、あるいは畦上面上を滑りながら畦上面から浮上しようとするため、土を弾くことなく均すことが可能である。
【0037】
前記の通り、上面整畦部の羽根板は移行部において法面整畦部の表面に重なることで、畦上面から法面へかけて表面を平滑に、連続的に仕上げる働きをするため、法面整畦部に接触した状態にあるときには移行部、もしくは移行部から張出部へかけての部分が法面整畦部の表面に沿って一様に湾曲することが望ましい。従って張出部の周方向先端部に形成される返し部は移行部の湾曲状態への弾性変形を阻害しない形態に形成されることが適切である。一方、張出部の周方向先端部に返し部を形成した場合には、その先端部の周方向を向いた軸線回りの曲げ剛性が高まるため、周方向の軸線回りには羽根板を曲げ変形させにくくなる。
【0038】
そこで、張出部の周方向先端部における返し部の湾曲、もしくは屈曲の度合いを上面整畦部の軸方向先端側から法面整畦部側へかけて次第に小さくすることにより(請求項5)、更には張出部の周方向先端部における返し部を張出部から移行部付近までに形成することにより(請求項6)、張出部先端部で土の均し効果を維持しながら、移行部を法面整畦部の表面に沿って自然に曲げ変形させることが可能になる。「軸方向先端側」とは、上面整畦部の軸方向両端部の内、法面整畦部に接続されない側の端部を指す。
【0039】
「返し部の湾曲、もしくは屈曲の度合い」とは、返し部の曲率、もしくは張出部の表面(畦に接触する側の面)と返し部の表面(畦に接触する側の面)とのなす角度のことを言い、「度合いが小さくなる」とは、図9、図10に示すように曲率、もしくは角度が次第に小さくなり、0に近づくことを言う。
【0040】
返し部の湾曲等の度合いが上面整畦部の軸方向先端側から法面整畦部側へかけて次第に小さくなることで、移行部、または張出部の途中から移行部までの範囲で羽根板が曲げ変形を阻害する要因がなくなるため、移行部、または張出部から移行部にかけての範囲は法面整畦部の表面への接触によってその表面の曲面に沿って曲げ変形し易くなる。張出部から移行部までの中途位置で返し部の曲率等が0に近づけば、返し部の湾曲等による曲げ変形への影響が出なくなり、その範囲で羽根板が曲げ変形可能であるから、「移行部付近」とは、羽根板を軸方向に見たときの張出部の中途から移行部の中途までの区間を指す。
【0041】
前記のように上面整畦部の複数枚の羽根板は全体として支持部材の表面を覆う状態で、支持部材の表面にその周方向に間隔を置いて接続されることにより上面整畦部を構成する。複数枚の羽根板が全体として支持部材を覆うとは、上面整畦部が回転するときに、常にいずれかの羽根板が畦上面に接触する状態になるように複数枚の羽根板が支持部材を覆うことを言う。支持部材が例えば多角柱状である場合には、支持部材の側面部分が畦上面に対向するときと稜線部分が畦上面に対向するときのいずれも、支持部材と畦上面との間に羽根板が介在する状態になることを言う。
【0042】
具体的には羽根板が、多角柱状の場合の支持部材のいずれかの側面に重なって接続される接続部と、この接続部に連続し、上面整畦部の回転方向下流側に隣接する側面側へ張り出す張出部からなり、この張出部が上面整畦部の回転方向下流側に位置する羽根板の接続部を覆う状態になることにより、複数枚の羽根板が全体として支持部材を覆う形になる。回転方向下流側は上面整畦部が軸回りに回転するときに回転の向きの後方側であり、回転方向下流側の羽根板は畦上面には、相対的に上流側である回転の向きの前方側に位置する羽根板の後に接触する。前記の通り、支持部材は多角柱状である必要はないが、多角柱状の場合には、羽根板の接続部を支持部材に安定して接続し易い相性の良さがある。
【0043】
支持部材が多角柱状の場合、いずれかの羽根板が畦上面に接触する状態となるように、羽根板が支持部材の表面を覆うことで、多角柱状の支持部材の稜線部分が畦上面を押圧するときと、側面部分が畦上面を押圧するときのいずれのときにも直接的には羽根板を介して畦上面を押圧することになる。
【0044】
複数枚の羽根板が全体として支持部材を覆う状態は、上面整畦部が回転し、少なくとも1枚の羽根板が畦上面に接触しているときに得られればよいが、例えば羽根板が支持部材の外周側へ凸となる曲面を形成していれば、上面整畦部の回転中に羽根板が支持部材を覆う状態を得易い。羽根板が接続部と張出部からなる場合には、張出部が支持部材の外周側へ凸となる曲面を形成していればよい。
【0045】
羽根板の張出部が接続部と同一の平面をなして張り出す場合には、上面整畦部の回転中に羽根板の全面がほぼ同時に畦上面に接触し易く、羽根板の一部が土と接触している時間が長くなるため、平面が畦上面の土を引き摺る可能性がある。これに対し、張出部が支持部材の外周側へ凸の曲面をなすことで、各羽根板が円筒面の一部に近い形状を形成し、羽根板の一部が土と接触している時間が短くなるため、羽根板は土を引き摺ることなく、スリップ回転により同一箇所を曲面によって連続的に均すことができることになる。
【0046】
上面整畦部が例えば多角柱状の支持部材と支持部材の側面に重なって接続される弾性を有する羽根板から構成される場合には、畦上面に直接、接触する羽根板は支持部材の形状に倣って変形しながら畦上面を押圧する。一方、支持部材は断面上の中心位置を一定にしたまま回転するから、中心から多角柱の稜線までの距離と側面までの距離が相違するため、稜線部分が押圧するときと、側面部分が押圧するときとでは圧力に差が生じ、稜線部分から押圧するときに圧力が大きくなる。
【0047】
従って上面整畦部は支持部材の稜線部分の外周側に位置する羽根板から畦上面を押圧するときと、側面部分の外周側に位置する羽根板から畦上面を押圧するときとで異なる圧力で畦上面を押圧するため、多角柱状の支持部材と組み合わせられることで、スリップ回転することにより同一地点を羽根板から2通りの圧力で加圧することが可能である。
【0048】
同一地点を2通りの圧力で加圧できることで、畦上面を締め固める効果と畦を長さ方向に均等に仕上げる効果が得られ、土質、あるいは土の含水量の差異に関係なく、畦上面の表層土を適度に圧密させながら、均質に仕上げることが可能になる。含水量が多ければ、圧密により余剰水は自然に土から排除される。
【0049】
ここで、多角柱状の支持部材の稜線部分(角部分)が直接、畦上面に接触する場合には、稜線部分から畦上面に与える圧力が側面部分からの圧力より大きいため、羽根板が均した土を稜線部分の両側に押し出すように作用し、畦上面に稜線部分の痕跡として溝が形成されることが想定される。このことは多角形状の表面を形成する特許文献3の凸条部にも言える。
【0050】
これに対し、請求項7では多角柱状の支持部材と組み合わせられることで、複数枚の羽根板が全体として支持部材の表面を覆うことで、支持部材の稜線部分から畦上面を押圧するときに羽根板が圧力を分散させる作用を果たすため、稜線部分から畦上面を押圧し、締め固めながらその圧力を分散させ、土を均等に均すことが可能になっている。
【0051】
特に上面整畦部の本体である支持部材が多角柱状の多面体である場合には、支持部材自体が半径方向及び周方向に高い剛性を有し、ねじり剛性も高く、半径方向と周方向への圧力に対して変形しにくい性質を有するため、支持部材自体が反力に対して高い安定性を保有する。このため、畦上面の押圧時に羽根板から十分な反力を与えることができる上、支持部材自体が変形しにくいことで、羽根板からの加圧効果が確実に発揮され、想定通りの圧力を与えることが可能である。
【0052】
支持部材に必要とされる曲げ剛性とねじり剛性はそれを構成する板(プレート)の板厚を一定以上に設定することで確保されるが、支持部材の端面を閉塞する板や内接する板を付加することで剛性は格段に向上する。
【0053】
更に多角柱状の場合、支持部材が多面体であることで、ボルト等を用いて羽根板を支持部材に接合する上で、支持部材との十分な接触面積を確保することができるため、羽根板自体の変形に対する安定性が向上し、損傷に対する耐久性が高まる。
【0054】
特に羽根板の張出部がその周方向に、その羽根板が接続されている支持部材の側面から回転方向下流側の側面を超える長さを有している場合には、支持部材の稜線部分に2枚の羽根板が重なるため、羽根板が畦上面を均す上で、支持部材の稜線部分に1枚の羽根板が位置する場合より羽根板による畦上面への圧力を分散させることが可能であり、畦上面を平滑に仕上げる効果が向上する。
【0055】
例えば多角柱状の支持部材の稜線部分が直接、畦上面に接触する場合には、稜線部分からの圧力が集中的に畦上面に作用するが、支持部材の稜線部分に2枚の羽根板が重なることで、稜線部分から畦上面に与える圧力の分散効果が増すことになる。また羽根板は弾性を有する(曲げ変形可能な)板であるから、2枚の羽根板が重なる場合には、畦上面に直接、接触する上面整畦部の表面の曲率が羽根板が1枚の場合より小さくなり、曲面が緩やかになるため、畦上面の均し効果も向上し、より平滑に仕上げることが可能である。
【0056】
また複数枚の羽根板が全体として支持部材の表面を覆う状態にあることで、あるいは羽根板の張出部が上面整畦部の回転方向下流側に位置する羽根板の表面を覆う状態にあることで、上流側に位置する羽根板の下流側の部分が下流側に位置する羽根板の接合部を覆う(被覆する)状態が得られるため、羽根板の接合部分に土が入り込み、接合部分の損傷を早める可能性が低下し、損傷が抑制される。
【0057】
羽根板は上面整畦部の使用状態では支持部材の外周に固定された状態にあるが、支持部材に対して着脱自在に接続されていれば、上面整畦部の清掃に加え、損傷、もしくは摩耗した羽根板の交換に対応可能になる。具体的には羽根板と支持部材のいずれか一方に係合部が突設され、他方にこの係合部が係合可能な被係合部が形成され、係合部と被係合部が互いに係合することにより、羽根板は支持部材の側面に着脱自在に接続される。
【0058】
係合部は羽根板の支持部材側の面と、支持部材の羽根板側の面のいずれかに形成され、被係合部は係合部に対向する側の面に形成される。係合部と被係合部は互いに係合したときに、羽根板を支持部材に接続した状態を維持できる関係を持てばよく、例えば係合部が被係合部に係合したときに、係合部が羽根板の離脱の向き、すなわち支持部材の軸方向、もしくは径方向に被係合部に係合すればよい。係合部は後述の、羽根板を支持部材に押さえ付けるための接合部材に形成されることもあり、その場合、係合部は羽根板を貫通して支持部材側へ突出することにより羽根板に突設されることになる。この場合、係合部は支持部材に形成される被係合部に係合する。
【0059】
羽根板の支持部材への接続が係合部と被係合部の係合によって行われることで、羽根板の支持部材への接続作業と分離作業が単純化され、上面整畦部の清掃や羽根板の交換作業の効率が向上する。
【0060】
係合部が被係合部に係合するのみで、羽根板が支持部材への接合状態での安定性を確保できない場合には、羽根板は係合部において被係合部に係合した状態で、羽根板のいずれかの部分において直接、もしくは間接的に支持部材にボルト等により接合されることにより支持部材への接合状態での安定性が向上する。羽根板の支持部材への接合に上記した接合部材が使用される場合には、羽根板は間接的に支持部材にボルト等により接合されることになる。
【0061】
係合部が被係合部に係合したときには、係合の離脱の向きに羽根板が支持部材から分離する可能性があるから、係合の離脱を拘束するように、例えば羽根板をその外周側からプレート等の接合部材により支持部材側へ押さえ付けた状態で、接合部材を支持部材にボルト接合すれば、係合の離脱が確実に防止される。接合部材は支持部材の側面に当接、もしくは側面と端面に当接する形をし、支持部材に対しては側面、もしくは端面にボルトが螺入することにより着脱自在に接合される。
【発明の効果】
【0062】
上面整畦部の本体となる支持部材に接続される接続部と、接続部から回転方向下流側に張り出す張出部とを有し、少なくとも張出部の法面整畦部側の端部に、回転方向上流側から下流側へかけての範囲に上面整畦部側から法面整畦部側へ接近し、法面整畦部に重なる移行部を形成するため、移行部が整畦体の回転時に、法面整畦部の表面への接触により畦側が凹となるように羽根板が湾曲することができる。この結果、畦の上面から法面にかけての範囲を曲面に仕上げることができ、畦の上面から法面までの範囲に角部を突出させることがないため、崩壊に対する安定性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0064】
図1−(a)〜(d)は軸回りの回転により、図4、図5に示す畦70の法面を整形する円錐台形状の法面整畦部2と、本体となる支持部材31とその周面に接続される複数枚の羽根板32を有し、法面整畦部2の軸方向先端部に連結されて法面整畦部2と共に回転し、畦70の上面(以下、畦上面)70aを整形する上面整畦部3とを備え、畦塗り機10に装着される整畦体1の構成例を示す。
【0065】
上面整畦部3を構成する羽根板32は支持部材31に接続される接続部32aと、この接続部32aに連続し、上面整畦部3の回転方向下流側に張り出す張出部32bとを有し、少なくともこの張出部32bの法面整畦部2側の端部に、上面整畦部3の回転方向上流側から下流側へかけて上面整畦部3側から法面整畦部2側へ接近する形状をし、法面整畦部2に重なる移行部32dが形成される。羽根板32は接続部32aと張出部32bと移行部32dの3領域に区分される。羽根板32の詳細は後述する。
【0066】
畦塗り機10は基本的に図13に示すようにトラクタの後部に3点リンクヒッチ機構を介して連結される、並列する連結フレーム11、11と、並列する連結フレーム11、11を互いに畦塗り機10の幅方向に連結するヒッチフレーム12と、ヒッチフレーム12の後方に鉛直軸回りに揺動自在に連結されるオフセットフレーム13から構成される。
【0067】
オフセットフレーム13の前進方向後方側の先端位置からは畦塗り機10の幅方向に連結材14が張り出し、この連結材14とヒッチフレーム12との間に、オフセットフレーム13と平行にリンクフレーム15が架設され、双方に回動自在に連結される。オフセットフレーム13はこのリンクフレーム15とヒッチフレーム12、及び連結材14によって平行リンクを構成し、ヒッチフレーム12とオフセットフレーム13の先端位置との間に架設され、双方に連結されるシリンダ16の伸縮によってヒッチフレーム12に対してオフセット自在になる。
【0068】
ヒッチフレーム12のトラクタ側にはトラクタのPTO軸にユニバーサルジョイント等を介して連結されるギアボックス17が固定され、PTO軸からの動力はギアボックス17の入力軸に伝達され、入力軸からギアボックス17内の駆動軸を経てオフセットフレーム13の内部を通じ、オフセットフレーム13の先端に軸支された従動軸18に伝達される。
【0069】
畦塗り機10の作業機50は図14に示すように主にオフセットフレーム13先端の従動軸18と同軸で、従動軸18から動力を伝達される伝動軸55を有する駆動ボックス51に連結される整畦体1と、駆動ボックス51から整畦体1に対して進行方向前方側へ張り出し、整畦体1の整形に先だって旧畦の土砂を緩める前処理体52から構成される。前処理体52は駆動ボックス51から動力を受けて回転する畦切り爪52aを有し、作業機50の走行中、整畦体1の前方位置で畦切り爪52aが旧畦の土砂を切り崩して緩めることで、整畦体1による整形の準備をする。
【0070】
図13に示すように連結材14の、リンクフレーム15との連結部分には整畦体1側へ張り出すアーム53が連結され、このアーム53と、駆動ボックス51との間に、作業機50を畦塗り機10に対して揺動させる作業機用シリンダ54が架設され、双方に連結される。作業機50はこの作業機用シリンダ54の伸縮によって作業姿勢の制御を行う。
【0071】
駆動ボックス41内には前記伝動軸55から動力が伝達される回転軸が配置され、この回転軸に整畦体1の法面整畦部2が連結される。法面整畦部2は回転軸の回転によって回転し、同時に上面整畦部3が回転する。
【0072】
法面整畦部2は例えば図2に示すように複数枚の扇形をした羽根板21を半径方向の直線部分で互いに連結することにより全体として円錐台形状に形成され、その先端位置である中心部には複数枚の羽根板21を連結する際の位置決めの基準になり、上面整畦部3と連結されるための連結部22が配置される。連結部22は法面整畦部2から上面整畦部3側へ突出した状態にある。
【0073】
図面では図4、図5に示すように法面整畦部2の回転に伴い、回転方向上流側から下流側へかけて畦70の法面(以下、畦法面)70bを押圧する力が次第に増加するよう、相対的に上流側に位置する羽根板21の、下流側の羽根板21側の端部を下流側に位置する羽根板21に上面整畦部3側から重ねて複数枚の羽根板21を組み合わせているが、必ずしもその必要はない。畦70の断面形状を図8−(b)に示す。隣接する羽根板21、21が重なる場合も、重ならない場合も隣接する羽根板21、21間には段差が形成されない場合もある。隣接する羽根板21、21間に段差が形成される場合は、後述のように移行部32dの形状に関係(影響)する。
【0074】
図示する場合、隣接する羽根板21、21は連結部22の羽根板21側に形成されている保持部22bに重なって支持され、両羽根板21、21間に段差が形成された状態で、互いに溶接等により接合される。この場合、両羽根板21、21間に段差が形成されることで、各羽根板21の表面と畦法面70bとの間の距離は上流側から下流側へかけて次第に小さくなるため、各羽根板21の畦側の表面が畦法面70bを押圧する力は法面整畦部2の回転により上流側から下流側へかけて次第に大きくなり、畦法面70bを締め固める効果がある。
【0075】
連結部22の上面整畦部3側の端面には上面整畦部3とのボルト7等による連結のためのねじ孔22aが形成されており、上面整畦部3は図3−(a)に示すようにそれを軸方向に貫通するボルト7がねじ孔22aに螺入することによって連結部22に連結される。ボルト7は上面整畦部3の全長を貫通する必要はなく、上面整畦部3の先端側の端面からボルト7が単に挿通する挿通孔を形成し、その先の法面整畦部2寄りにボルト7が螺合するねじ孔を形成しておくことで、ボルト7の長さを短縮することができる。
【0076】
上面整畦部3の連結部22への連結にボルト7を使用する場合には、上面整畦部3を交換可能に連結することができる利点があるが、上面整畦部3と連結部22との連結はこの他、上面整畦部3と連結部22のいずれか一方の外周面に雄ねじを形成し、他方の内周面に雌ねじを形成しておくことで、上面整畦部3を軸回りに回転させ、直接、連結部22に交換可能に連結することもできる。
【0077】
図1−(a)〜(d)は前記の通り、法面整畦部2と上面整畦部3を連結して構成され、畦塗り機10に装着される整畦体1の構成例を、図4は上面整畦部3の軸方向先端側の端面を示す。上面整畦部3は法面整畦部2の連結部22に連結される支持部材31と、支持部材31の周方向(回転方向)に間隔を置いて接続される複数枚の羽根板32から構成される。図1−(a)、(b)の一点鎖線は上面整畦部3、すなわち整畦体1の回転中心を示し、その回りの矢印は回転の向きを示す。
【0078】
図4に示すように上面整畦部3の本体を構成する支持部材31の本体部31aは基本的に1枚の、もしくは複数枚のプレートを折り曲げ加工することにより、あるいは複数枚のプレートを組み立て、互いに溶接することにより多角柱状、円柱状、角錐台状、円錐台状等の形状に形成される。この他、多角柱、多角錐台の稜線、または円柱、円錐台の母線に相当する部位に枠材を配置する骨組み構造により支持部材31の本体部31aが形成される場合もある。これらの場合、軸方向両端の底面に相当する部分には、面材が配置されることもあれば、角錐台形の場合に、底面の各辺に相当する部分に枠材が配置されることもある。
【0079】
本体部31aの軸方向両側の端部、または端部と軸方向中間部には本体部31aが中空であることによる剛性不足を補うためと、羽根板32を接合するための補剛板31bが配置され、本体部31aに接合される。図面では図3−(a)に示すように上面整畦部3の軸方向先端側の端面と法面整畦部2寄りの中間部に補剛板31bを配置し、端面に配置された補剛板31bを、羽根板32を固定するために利用している。
【0080】
補剛板31bは本体部31aに内接した状態で、または本体部31aの端面に接触した状態で、溶接やボルト接合等の手段により本体部31aに接合される。プレートからなる本体部31aの側面部分は剛性を確保する上では盲板が望ましいが、軽量化を図る目的で側面部分の一部に開口が形成されることもある。
【0081】
補剛板31bには上面整畦部3を法面整畦部2の連結部22に連結するためのボルト7が挿通する挿通孔31cが形成される。補剛板31bにはまた、接合部材4を用いて羽根板32を補剛板31bに当接させ、その状態で接合部材4を貫通するボルト5により補剛板31b接合するためのねじ孔31dが形成されている。図4ではねじ孔31dを断面上の中心に関して円弧状の長孔に形成することで、ボルト7の、連結部22のねじ孔22aへの位置調整を行えるようにしている。
【0082】
図4は上面整畦部3の支持部材31の断面が正八角形である場合を示しているが、支持部材31の断面形状は必ずしも正多角形である必要はない。支持部材31の断面が多角形状であれば、支持部材31(多角形)の稜線部分と側面部分で畦上面70aを押圧することができるから、図5に示すように各側面の幅が相違する多角形であることもある。但し、支持部材31が正多角形であれば、上面整畦部3の回転時に一定の時間的間隔で稜線部分と側面部分から畦上面70aを押圧することができる。
【0083】
羽根板32は畦上面70aに接触したときに支持部材31の外形に沿って弾性変形し、畦上面70aから離脱するにつれて元の形状に復元する弾性を有するポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂や鋼板等の金属材料等から成形され、支持部材31の側面部分に着脱自在に接合される。羽根板32は予め支持部材31の外周に接続された状態で、支持部材31の外周面に沿って表面側に凸となる曲面を形成するように成型されている場合もあり、その場合は畦上面70aに接触したときの弾性変形量は僅かになる。
【0084】
図面では羽根板32の支持部材31への接続状態での安定性を確保する(羽根板32を支持部材31から離脱させない)ために、羽根板32の外周側に上記した接合部材4を配置し、接合部材4を支持部材31に接合することにより羽根板32を支持部材31に着脱自在に接続している。図面では特に接合部材4に、羽根板32を支持部材31(本体部31a)の側面に押さえ付けた状態で、支持部材31に接続しながら、支持部材31の端面に接合されている補剛板31bに接合する機能を持たせている。
【0085】
図面ではまた、羽根板32と支持部材31との着脱自在な接続作業を単純にするために、いずれか一方に、他方に係合する係合部を形成し、他方に係合部が係合する被係合部を形成している。上記のように図面では羽根板32の支持部材31への接続を補うために接合部材4を使用していることから、接合部材4に係合部43を形成し、支持部材31に被係合部33を形成しているが、接合部材4の係合部43が羽根板32を貫通し、支持部材31側へ突出することで、羽根板32に係合部43を突設したことと同等になる。
【0086】
接合部材4に係合部43を形成した場合、図3−(a)に示すように接合部材4は羽根板32の表面に重なる当接部41と、支持部材31の端面に接合されている補剛板31bに重なる接合部42の2部分からなり、当接部41の羽根板32側の面と、支持部材31(本体部31a)の側面のいずれか一方に、他方に係合する係合部43が突設される。図3−(b)は(a)の係合部43部分の拡大図である。ここでは上記のように接合部材4の当接部41に係合部43を形成し、支持部材31の側面に被係合部33を形成しているが、逆の場合もある。
【0087】
接合部材4に係合部43を形成したことに伴い、支持部材31(本体部31a)の側面には係合部43が係合する被係合部33が形成される。係合部を支持部材31に形成した場合には、羽根板32、もしくは接合部材4に被係合部が形成される。また接合部材4に係合部43を形成したことに伴い、図3−(b)に示すように羽根板32の接続部32aには係合部43が挿通する挿通孔32fが形成されるが、係合部43は羽根板32の支持部材31側の面に突設されることもあり、その場合には、接合部材4の当接部41は羽根板32を単純に支持部材31に押さえ付ける働きをする。
【0088】
係合部43は軸部43aの先端側(支持部材31側)に頭部43bを有するピン形の形状をし、被係合部33は係合部43の頭部43bが挿通可能な挿通孔33aと、この挿通孔33aに連続し、係合部43の軸部43aが移動(スライド)自在な長孔状の溝33bを有する開口状の形状を有する。係合部43には頭部43bを有するピンやボルト等が使用される。
【0089】
接合部材4の支持部材31(本体部31a)への装着時には、係合部43の頭部43bが羽根板32に形成されている挿通孔32fを貫通し、被係合部33の挿通孔33aを貫通して軸部43aまで挿通する。その状態で軸部43aが被係合部33の溝33bに沿って移動(スライド)することで、頭部43bが溝33bに、軸方向一方側と径方向外周側へ係合した状態になり、接合部材4が支持部材31に接続された状態になる。接合部材4の離脱時には、接続時とは逆に、軸部43aを溝33bに沿って移動(スライド)させ、頭部43bを挿通孔33aから抜き出すことにより支持部材31から外される。
【0090】
接合部材4の接合部42には接合部材4を補剛板31bに接合するためのボルト5が挿通する挿通孔42aが形成され、接合部材4はこの接合部42の挿通孔42aを貫通し、補剛板31bに螺入するボルト5によって補剛板31bに接合される。
【0091】
接合部材4の当接部41が羽根板32を支持部材31の側面に押さえ付けた状態で、接合部42が支持部材31の補剛板31bに接合されることで、羽根板32が支持部材331に一体化し、上面整畦部3が形成される。支持部材31に羽根板32が一体化した上面整畦部3は図3−(a)に示すように前記した法面整畦部2の連結部22に直接、連結される芯材6にボルト7により接合されることにより法面整畦部2と一体化する。
【0092】
芯材6は円筒形の本体61の内周側に軸方向に間隔を置いて配置された、剛性を確保するための複数枚の、挿通孔を有するフランジ62が接合されて形成される。土質条件によってはこの芯材6を上面整畦部3として使用することも可能である。上面整畦部3は支持部材31の端面に接合されている補剛板31bと芯材6のフランジ62を貫通し、法面整畦部2の連結部22に形成されているねじ孔22aに到達するボルト7がねじ孔22aに螺入することにより芯材6に接合される。図3−(c)は図3−(a)に示す上面整畦部3の補剛板313b側の端面を示す。図1−(a)〜(d)は法面整畦部2に上面整畦部3が一体化した整畦体1の外観を示している。
【0093】
上面整畦部3の羽根板32は図4に示すように支持部材31のいずれかの側面に重なって接続される接続部32aと、これに連続し、支持部材31の回転方向下流側に隣接する側面(羽根板32)側へ張り出す張出部32bからなり、張出部32bはその幅方向に上面整畦部3の回転方向下流側に位置する羽根板32の接続部32aを覆う長さを有する。
【0094】
具体的には羽根板32の張出部32bはその周方向に、その羽根板32が接続されている支持部材31の側面から回転方向下流側に隣接する側面を超える長さを有している。すなわち羽根板32の張出部32bの下流側の端部はその側に隣接する側面の稜線部分を超え、更に隣接する側面にまで跨る長さを有し、上面整畦部3の転動時には図5に示すように2枚の羽根板32が重なった状態で、進行方向前方に存在する畦上面70a上の土を羽根板32の下に巻き込みながら、スリップ回転する。
【0095】
図5は正多角形でない支持部材31を持つ上面整畦部3が畦上面70a上を転動しているときの様子を示す。羽根板32の張出部32bの下流側の端部がその側に隣接する側面の稜線部分を超える長さを有することで、羽根板32が畦上面70aを押圧するときには、複数枚の、図面では2枚の羽根板32が重なった状態になり、支持部材31からの圧力は複数枚の羽根板32を介して畦上面70aに伝達されることになる。
【0096】
羽根板32は接続部32aにおいて上記した接合部材4によって支持部材31の側面に重なり、断面上の中心側へ押し付けられた状態で支持部材31に接合される。接続部32aは面で支持部材31の平面をなす側面に重なった状態で接合されることで、接合部材4によって支持部材31に拘束された状態にある。この状態で、張出部32bは支持部材31の外周側へ凸となる円筒面等の曲面を形成し、支持部材31に対して曲げ(弾性)変形可能な状態にある。
【0097】
張出部32bが支持部材31の外周側へ凸となる曲面を形成することで、張出部32bは畦上面70aに接触したときに、支持部材31の中心からその稜線までの距離を半径とする円弧面を有する円筒に近い形状になる。
【0098】
前記のように張出部32bが周方向に回転方向下流側に隣接する側面を超える長さを有することと、支持部材31の外周側へ凸となって湾曲することで、上面整畦部3の転動時には2枚の羽根板32が重なって土を羽根板32の下に巻き込み始め、羽根板32の回転方向下流側に先端部32cが畦上面70aから離脱するまで、土を曲面で均すことになる。このとき、上面整畦部3はスリップ回転するため、畦上面70aは圧密され、表面は平滑に仕上げられる。
【0099】
上面整畦部3の転動時には上面整畦部3の断面上の中心位置が一定に保たれることで、支持部材31の稜線部分が畦上面70aに接近し、押圧しようとするときと、側面部分が接近し、押圧しようとするときとでは、羽根板32からの押圧力に差が生じ、稜線部分が押圧しようとするときの圧力が大きくなる。
【0100】
この関係で、支持部材31の稜線部分から羽根板32を介して畦上面70aを押圧するときに土をより大きい圧力で加圧し、側面部分から羽根板32を介して押圧するときにはそれより小さい圧力で加圧するため、上面整畦部3は2通りの圧力で畦上面70aを圧密することができる。また上面整畦部3は移動速度より大きい速度で畦上面70a上を転動(スリップ回転)するため、畦上面70aを下方へ加圧しながら、表面を均質に均すことになる。
【0101】
図面ではまた、羽根板32の張出部32bの周方向先端部32c、すなわち回転方向下流側の先端部32cとそれ以外の張出部32bと境界部分に返し部32eを形成し、この返し部32eを張出部32bより大きい曲率で支持部材31側へ湾曲、もしくは屈曲させることで、図5に示すように張出部32bの周方向先端部32cが畦上面70aから離脱するときに、この先端部32cが土を跳ね上げないようにしている。
【0102】
張出部32bは畦上面70aから離脱する直前には強制的に曲げ変形しているから、例えば張出部32bが周方向に一様の曲率を有している場合には、離脱しようとするときに、先端部32cが復元力によって急激に畦上面70aから跳ね上がることが想定される。これに対し、返し部32eの形成により張出部32bの先端部32cが他の部分より大きい曲率で湾曲等することで、先端部32cが畦上面70aに接触したまま、あるいは畦上面上を滑りながら畦上面から浮上しようとするため、土を跳ね上げることがなくなる。
【0103】
羽根板32の張出部32bの法面整畦部2側の端部には、図1に示すように上面整畦部3の回転方向上流側から下流側へかけて上面整畦部3側から法面整畦部2側へ接近する形状をした移行部32dが形成されている。移行部32dは主に張出部32bの端部位置から形成されるが、接続部32aと張出部32bに亘って形成されることもある。
【0104】
法面整畦部2を構成する複数枚の羽根板21はその回転方向下流側に位置する羽根板21が上流側に位置する羽根板21の背面に重なって組み合わせられることから、相対的に上流側に位置する羽根板21が上面整畦部3寄りに位置する。この関係で、法面整畦部2の相対的に上流側に位置する羽根板21との衝突を回避するために、移行部32dは上面整畦部3の回転方向上流側から下流側へかけて上面整畦部3の軸方向の長さが大きくなり、図1−(a)〜(d)に示すように三角形状、台形状、もしくは翼状、あるいはこれらに近い形状に形成される。
【0105】
図1−(a)、(b)、(d)中の破線は羽根板32の張出部32bと移行部32dの境界位置を示すが、移行部32dが張出部32bに連続し、張出部32bの一部として一体的に形成されている場合には、破線は実際には表れない。移行部32dは張出部32bとは別体の部品を張出部32bに連結することによっても形成される。移行部32dは図示するように法面整畦部2の羽根板21に上面整畦部3側、すなわち畦70側から重なり、例えば三角形状、もしくは台形状等の場合には、めくれを防止するために角部が落とされ、移行部32dの外形線は曲線状になる。
【0106】
上面整畦部3の回転に伴って羽根板32の張出部32bが畦上面70aに接触し、畦上面70aに押されて支持部材31の周面(側面部分と稜線部分)に重なるときに、移行部32dも畦上面70aに押されるため、法面整畦部2の羽根板21の表面に重なろうとする。この結果、図8−(a)に示すように張出部32bから移行部32dへかけての範囲が羽根板21の表面に倣って湾曲しようとするため、湾曲した張出部32bから移行部32dへかけての範囲が畦法面70bと畦上面70aを畦70の内部側へ押圧し、畦法面70bから畦上面70aへかけての部分が(b)に示すように曲面状に整形される。
【0107】
このとき、畦上面70a上の土は法面整畦部2側へ流されるため、畦上面70aと法面の境界部分における土は均等な圧力で均され、畦70の内部側へ圧密させられることになる。畦上面70aと法面の境界部分における土が均されることで、畦70の上面70aと法面との境界(面)が不連続になることがなくなる。図8−(a)は図6、図7に示す上面整畦部3の羽根板31と同じく、張出部32bから移行部32dへかけての範囲が予め湾曲している羽根板31を示しているが、弾性変形によって湾曲する場合も図8−(a)と同様の形状に湾曲し、図8−(b)に示す畦70を整形する。
【0108】
図6は図1−(a)に示す整畦体1を上面整畦部3の中心寄りの位置から見た様子を、図7は図6における上面整畦部3と法面整畦部2との境界部分を拡大した様子を示す。ここに示すように上面整畦部3の羽根板32は法面整畦部2の2枚の羽根板21、21に跨った状態で、移行部32dにおいて羽根板21に重なるから、移行部32dの法面整畦部2側の縁(端部)は上流側の羽根板21の表面と下流側の羽根板21の表面に接触するか、接触し得る状態になる。
【0109】
移行部32dの縁が羽根板21の表面に接触し得る状態は、移行部32dが法面整畦部2の表面に沿った曲面形状に形成された状態で、羽根板32が成型されている場合に得られる。移行部32dは法面整畦部2への接触によって曲面形状に弾性変形することもあり、その場合、羽根板32は必ずしも曲面を形成した状態で成型される必要はなく、平坦な板状に成型されていればよい。
【0110】
羽根板32は少なくとも移行部32dが整畦体1の回転時(使用時)に、畦70と法面整畦部2との間に挟まれることで、法面整畦部2の表面に接触すればよく、そのときに張出部32cから移行部32dへかけての範囲が畦70側へ凹の曲面を形成すればよい。張出部32cから移行部32dへかけての範囲が畦70を押圧するときの状態を図8−(a)に示す。
【0111】
ここに示すように羽根板32の移行部32dは整畦体1の回転に伴う法面整畦部2への接触により畦70側が凹となる曲面を形成するため、図8−(b)に示すように畦70の上面70aから法面70bにかけての範囲(肩部)は曲面になる。この曲面は上面整畦部3の周方向に配列する複数枚の羽根板32が連続的に畦70を押圧することで、畦70の長さ方向に連続することになる。
【0112】
図9、図11はそれぞれ一枚の羽根板32の表面(畦70側の面)と背面(支持部材31側の面)の様子を示す。ここでは支持部材31の軸方向の長さと同等程度の長さを有する平坦な接続部32aと、接続部32aから周方向に張り出し、支持部材31側へ湾曲した張出部32bと、張出部32b、もしくは接続部32aと張出部32bから法面整畦部2側へ突出する移行部32dを有する形態で、例えばポリエチレン等から射出成型等によって製作された羽根板32を示す。移行部32dは上面整畦部3側が凸(畦70側が凹)となる曲面を形成している。
【0113】
図9中、移行部32d側にある、支持部材31の周方向の破線は移行部32dとそれ以外の部分との境界を便宜的に示しているが、ここでは移行部32dを接続部32aから張出部32bまでの範囲に亘って法面整畦部2側へ形成している。接続部32aの周方向の幅は支持部材31の表面に重なって接続されるのに十分な大きさを持てばよいため、張出部32bの幅より小さいが、接続部32aの幅の範囲から移行部32dを形成することで、法面整畦部2との接触面積を稼ぎ、変形時に法面整畦部2から受ける反力を分散させる結果、移行部32dの曲げ変形を生じさせ易くする利点を有する。
【0114】
図9では特に、接続部32aから張出部32bの周方向中途までの区間における移行部32dの法面整畦部2側の縁を平面上、直線状に形成し、張出部32bの周方向中途から先端部32cまでの区間の縁を法面整畦部2の羽根板21の表面形状(曲面)に沿った曲線状に形成することにより、移行部32dの縁が全長に亘って法面整畦部2の羽根板21の表面に接触し得るようにしている。
【0115】
図9の例では張出部32bの回転方向下流側の先端部に支持部材31側へ湾曲、もしくは屈曲した返し部32eが形成されているが、この返し部32eの湾曲、もしくは屈曲の度合い(曲率、もしくは角度)は上面整畦部3の軸方向先端側から法面整畦部2側へかけて次第に小さくなっており、張出部32bから移行部32d付近まで形成されている。図9のC−C線、B−B線、A−A線の断面を図10−(a)〜(c)に示すが、返し部32eの曲率、もしくは角度は上面整畦部3の軸方向先端寄りで大きく、法面整畦部2寄りで小さくなり、移行部32dの範囲ではその範囲で移行部32dが支持部材31の反対側へ湾曲可能なように、ほとんど0に近い大きさになっている。
【0116】
移行部32dの範囲において返し部32eの曲率、もしくは角度が0に近いことで、その範囲では返し部32dの存在が張出部32bから移行部32dへかけての範囲の曲げ変形を阻害する要因になることがないため、羽根板32が法面整畦部2への接触により弾性変形する場合には、その変形箇所に弾性変形が抵抗なく生ずることが可能になっている。
【0117】
図12−(a)〜(e)は図1に示す上面整畦部3が畦上面70a上を転動し、1回転するときの様子を示す。上面整畦部3は畦上面70aから断面上の中心までの高さを一定に保持したまま回転する。上面整畦部3の断面上の中心位置は図1、図5に示すように支持部材31の稜線部分と畦上面70aとの間に2枚の羽根板32が挟み込まれる程度の高さに設定される。
【0118】
図12−(a)は上面整畦部3を構成する支持部材31の側面部分が畦上面70a側を向いている状況を示す。このとき、支持部材31の側面部分は畦上面70aから浮いた状態にあり、その側面部分に固定された羽根板32の接続部32aの外周側に、その上流側の側面に固定された羽根板32の張出部32bが重なり、畦上面70aを適度の圧力で押圧する。
【0119】
支持部材31の側面部分と畦上面70aとの間には間隔があるから、支持部材31に関して外周側に位置する羽根板32の張出部32bは畦上面70aとの間で外周側へ凸の曲面状に弾性変形しながら土を押圧する。この状況では畦上面70a側を向いた支持部材31の側面部分の外周側に張出部32bが位置する羽根板32の先端部32cは下流側の羽根板32の張出部32bに接触している。このとき、先端部32cは湾曲等していることで、先端が下流側の羽根板32の張出部32bに当接し、その先端部32cを有する羽根板32自身を下流側の羽根板32から突き放そうとするため、その先端部32cを有する羽根板32の張出部32bが円弧面等、外周側へ凸の曲面状に弾性変形させることに寄与している。
【0120】
図12−(b)は(a)から10°上面整畦部3が回転した状況を示す。このとき、支持部材31の稜線部分が畦上面70aを押圧し始め、この稜線部分に押されて下流側の羽根板32を介して上流側の羽根板32の張出部32bが押し潰され、畦上面70aを(a)の状況より大きい圧力で押圧する。この状況では張出部32bにおいて畦上面70aに接触している羽根板32の上流側に位置する羽根板32の先端部32cが畦上面70aから離脱しようとしている。
【0121】
図12−(c)は(b)から更に10°上面整畦部3が回転し、支持部材31の稜線部分が支持部材31の中心のほぼ真下に位置し、稜線部分が畦上面70a側に最も接近した状況を示す。このときには支持部材31の稜線部分が畦上面70aに最も接近しているから、(b)に続いて畦上面70aを最も大きい圧力で押圧する。(b)から(c)へ移行する過程で、畦上面70aに接触している羽根板32の上流側にある羽根板32の先端部32cは畦上面70aから離脱しているが、上記の通り、張出部32bの周方向の先端部32cは畦上面70a上を滑りながら離脱している。
【0122】
図12−(d)は(c)から更に10°上面整畦部3が回転し、支持部材31の稜線部分が支持部材31の中心の真下を通過し、稜線部分が畦上面70aを押圧し続けている状況を示す。(c)から(d)へ移行する間が最も畦上面70aに大きい圧力を与えるときになる。
【0123】
図12−(e)は(d)から更に10°上面整畦部3が回転し、(a)の状態から累積で40°回転し、(a)の直前の状況に至った様子を示す。このときには、支持部材31の稜線部分が畦上面70aから離れ、側面部分が羽根板32を介して畦上面70aを押圧する状況へ移行しつつある。図5に示す上面整畦部3の支持部材31は正八角形状であり、内角が135°で、外角が45°であるから、上面整畦部3は中心の回りに45°回転すれば、(a)の状態に復帰する。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】(a)、(b)は法面整畦体に上面整畦部を接合して製作された整畦体を示した斜視図、(c)は(a)、もしくは(b)の端面図、(d)は側面図である。
【図2】整畦体の法面整畦部の例を示した斜視図である。
【図3】(a)は上面整畦部と法面整畦部との接合例を示した断面図、(b)は(a)の鎖線円部分の拡大図、(c)は(a)の端面図である。
【図4】正多角柱状の支持部材に羽根板を接合した上面整畦部の構成例を示した端面図である。
【図5】正多角柱状でない支持部材に羽根板を接合した上面整畦部の構成例と畦上面との関係を示した端面図である。
【図6】図1−(a)を上面整畦部の中心寄りの位置から見た様子を示した斜視図である。
【図7】図6における上面整畦部と法面整畦部との境界部分を拡大した様子を示した斜視図である。
【図8】(a)は上面整畦部の羽根板が畦側に回り込んだときの様子を示した斜視図、(b)は上面整畦部の羽根板によって整形された畦の断面を示した斜視図である。
【図9】上面整畦部の羽根板の表面(畦側の面)を示した斜視図である。
【図10】(a)〜(c)は図7−(a)のそれぞれC−C線、B−B線、A−A線の断面図である。
【図11】上面整畦部の羽根板の背面(支持部材側の面)を示した斜視図である。
【図12】(a)〜(e)は図1に示す上面整畦部が畦上面上を転動し、1回転するときの様子を示した端面図である。
【図13】畦塗り機全体の構成例を示した平面図である。
【図14】畦塗り機の作業機を示した平面図である。
【符号の説明】
【0125】
1……整畦体、
2……法面整畦部、21……羽根板、22……連結部、22a……ねじ孔(ボルト7用)、22b……保持部(羽根板用)、
3……上面整畦部、31……支持部材、31a……本体部、31b……補剛板、31c……挿通孔(ボルト7用)、31d……ねじ孔(ボルト5用)、
32……羽根板、32a……接続部、32b……張出部、32c……先端部、32d……移行部、32e……返し部、32f……挿通孔、
33……被係合部、33a……挿通孔、33b……溝、
4……接合部材、41……当接部、42……接合部、42a……挿通孔(ボルト5用)、43……係合部、43a……軸部、43b……頭部、
5……ボルト(接合部材4と補剛板31bとの接合用)、
6……芯材、
7……ボルト(上面整畦部3と法面整畦部2の接合用)、
10……畦塗り機、11……連結フレーム、12……ヒッチフレーム、13……オフセットフレーム、14……連結材、15……リンクフレーム、16……シリンダ、17……ギアボックス、18……従動軸、
50……作業機、51……駆動ボックス、52……前処理体、52a……畦切り爪、53……アーム、54……作業機用シリンダ、55……伝動軸、
70……畦、70a……上面、70b……法面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸回りの回転により畦の法面を整形する法面整畦部と、本体となる支持部材とその周面に接続される複数枚の羽根板を有し、前記法面整畦部の軸方向先端部に連結されて法面整畦部と共に回転し、畦の上面を整形する上面整畦部とを備え、畦塗り機に装着される整畦体の前記上面整畦部を構成する羽根板であり、
前記支持部材に接続される接続部と、この接続部に連続し、前記上面整畦部の回転方向下流側に張り出す張出部とを有し、少なくともこの張出部の前記法面整畦部側の端部に、前記上面整畦部の回転方向上流側から下流側へかけて前記上面整畦部側から前記法面整畦部側へ接近する形状をし、前記法面整畦部に重なる移行部が形成されていることを特徴とする畦塗り機の整畦体用羽根板。
【請求項2】
前記移行部は前記法面整畦部の表面に接触したときに、表面側へ湾曲可能な弾性を有していることを特徴とする請求項1に記載の畦塗り機の整畦体用羽根板。
【請求項3】
前記移行部は前記上面整畦部の軸方向に、少なくとも前記法面整畦部側の端部が前記法面整畦部の表面に接触可能な長さを有していることを特徴とする請求項1、もしくは請求項2に記載の畦塗り機の整畦体用羽根板。
【請求項4】
前記張出部の周方向先端部に前記支持部材側へ湾曲、もしくは屈曲した返し部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の畦塗り機の整畦体用羽根板。
【請求項5】
前記張出部の周方向先端部における返し部の湾曲、もしくは屈曲の度合いは前記上面整畦部の軸方向先端側から法面整畦部側へかけて次第に小さくなっていることを特徴とする請求項4に記載の畦塗り機の整畦体用羽根板。
【請求項6】
前記張出部の周方向先端部における返し部は前記張出部から前記移行部付近まで形成されていることを特徴とする請求項5に記載の畦塗り機の整畦体用羽根板。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の複数枚の羽根板が全体として前記支持部材の表面を覆う状態で、前記支持部材の表面にその周方向に間隔を置いて接続され、前記上面整畦部が構成されていることを特徴とする畦塗り機の整畦体。
【請求項1】
軸回りの回転により畦の法面を整形する法面整畦部と、本体となる支持部材とその周面に接続される複数枚の羽根板を有し、前記法面整畦部の軸方向先端部に連結されて法面整畦部と共に回転し、畦の上面を整形する上面整畦部とを備え、畦塗り機に装着される整畦体の前記上面整畦部を構成する羽根板であり、
前記支持部材に接続される接続部と、この接続部に連続し、前記上面整畦部の回転方向下流側に張り出す張出部とを有し、少なくともこの張出部の前記法面整畦部側の端部に、前記上面整畦部の回転方向上流側から下流側へかけて前記上面整畦部側から前記法面整畦部側へ接近する形状をし、前記法面整畦部に重なる移行部が形成されていることを特徴とする畦塗り機の整畦体用羽根板。
【請求項2】
前記移行部は前記法面整畦部の表面に接触したときに、表面側へ湾曲可能な弾性を有していることを特徴とする請求項1に記載の畦塗り機の整畦体用羽根板。
【請求項3】
前記移行部は前記上面整畦部の軸方向に、少なくとも前記法面整畦部側の端部が前記法面整畦部の表面に接触可能な長さを有していることを特徴とする請求項1、もしくは請求項2に記載の畦塗り機の整畦体用羽根板。
【請求項4】
前記張出部の周方向先端部に前記支持部材側へ湾曲、もしくは屈曲した返し部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の畦塗り機の整畦体用羽根板。
【請求項5】
前記張出部の周方向先端部における返し部の湾曲、もしくは屈曲の度合いは前記上面整畦部の軸方向先端側から法面整畦部側へかけて次第に小さくなっていることを特徴とする請求項4に記載の畦塗り機の整畦体用羽根板。
【請求項6】
前記張出部の周方向先端部における返し部は前記張出部から前記移行部付近まで形成されていることを特徴とする請求項5に記載の畦塗り機の整畦体用羽根板。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の複数枚の羽根板が全体として前記支持部材の表面を覆う状態で、前記支持部材の表面にその周方向に間隔を置いて接続され、前記上面整畦部が構成されていることを特徴とする畦塗り機の整畦体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−119319(P2010−119319A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294113(P2008−294113)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】
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