説明

畦塗り機の整畦体

【課題】畦を整形する整畦体を有する畦塗り機において、整畦体の内、畦の上面を整形する上面整畦部に、畦上面の表層土を圧密させる機能を持たせることに加え、余剰の土を法面側へ寄せる機能を持たせる。
【解決手段】軸回りの回転により畦40の法面40bを整形する、円錐台形状の法面整畦部2と、その先端に連結されて法面整畦部2と共に回転し、畦40の上面40aを整形する上面整畦部3からなる整畦体1を備える畦塗り機において、
上面整畦部3の表面に、その先端部から法面整畦部2側まで螺旋状の溝4を連続的に形成する。
溝4に、回転の向きの前方から後方へかけて先端部側から法面整畦部3側へ向かう傾斜を付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は畦を整形する整畦体を有する畦塗り機において、整畦体の内、畦の上面を整形する上面整畦部に、畦上面の表層土を圧密させる機能を持たせた畦塗り機の整畦体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
畦塗り機の整畦体は円錐台形状の法面整畦部とその先端に連結される円筒形状の上面整畦部を持ち、畦塗り機の走行時に軸回りに回転することにより前処理体が先行して緩めた旧畦の土を新たに法面と上面を有する畦として整形する。その際、整畦体は畦塗り機の走行速度より速い速度で転動し得る回転速度を与えられることで、スリップ回転することにより法面と上面を転圧し、表層土を圧密させる働きをする。
【0003】
整畦体がスリップ回転することで、法面整畦部と上面整畦部が畦の法面と上面の双方に圧力を加えるため、表層土が圧密させられ、整形された畦の安定性が確保される。このことから、整畦体から畦の法面と上面に圧力を与えられる程、引き締まった畦を整形することができることになる(特許文献1参照)。
【0004】
但し、土は上面から作用する圧力によって法面側へ滑ろうとし、そのときの反力を法面整畦部が受けることができるため、上面整畦部によって上面から圧力を与えるだけでも畦に対する一定の締め固め効果を得ることはできる(特許文献2、3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2000−37106号公報(請求項1、段落0013、0019、図3、図4、図7〜図9)
【特許文献2】特開2006−55121号公報(請求項1、段落0021〜0022、図2、図3)
【特許文献3】特許第3163269号公報(請求項6、段落0063〜0067、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜3のいずれも、整畦体回転時の落差や段差を利用して畦上面を叩くことにより土に動的な圧力を与えるため、表層土を乱す、あるいは飛散させる可能性がないとは言えない。土を飛散させれば、整形の完了している隣接する畦に影響を与える可能性もある。
【0007】
また畦上面の土を圧密させる上では土の密度を上げることが有効であるため、上面の土を周辺へ排除することなく、法面側へ寄せることができれば、土の圧密効果が向上すると考えられる。しかしながら、特許文献1〜3では整畦体の軸回りの回転のみを利用して畦上面に圧力を与えるに留まるため、上面の土を法面側へ寄せることを期待することはできない。
【0008】
本発明は上記背景より、畦上面の土に静的に圧力を与え、余剰の土を法面側へ寄せることを可能にする畦塗り機の整畦体を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明の整畦体は、軸回りの回転により畦の法面を整形する、円錐台形状の法面整畦部と、その先端に連結されて法面整畦部と共に回転し、畦の上面を整形する上面整畦部からなる整畦体を備える畦塗り機において、
前記上面整畦部の表面に、その先端部から前記法面整畦部側まで螺旋状の溝が連続的に形成されていることを構成要件とする。
【0010】
上面整畦部の表面に形成される螺旋状の溝は具体的には請求項3に記載のように、上面整畦部が回転する向きの前方から後方へかけて先端部側から法面整畦部側へ向かう傾斜の付いた溝を言う。上面整畦部の溝は連続的に形成されるから、上面整畦部を上方から見たときにも、正面、または背面から見たときにも溝の向きに違いは表れない。例えば整畦体(上面整畦部)が転動する向きに畦塗り機が進行する場合、整畦体は平面上、畦塗り機の進行の向きに回転するから、回転する向きとは、畦塗り機の進行の向きであり、その前方は畦塗り機の進行方向前方を指す。
【0011】
従って上面整畦部表面の溝が回転の向きの前方側から後方側へかけて法面整畦部側へ向かう傾斜とは、整畦体、すなわち上面整畦部の回転時に回転に伴い、溝内に存在する土がスクリューコンベア式に法面整畦部側へ運ばれる向きに形成されていることを言う。
【0012】
溝の傾斜は上面整畦部(整畦体)の回転により畦上面の土を法面側へ送り込む向きであるが、畦塗り機の進行の向きとは必ずしも関係ない。上面整畦部は原則的に畦塗り機の進行の向きに転動するように回転し、その場合には、図1−(a)に示すように溝は左ねじの向きに形成される。但し、畦塗り機の進行の向きと逆回りに上面整畦部が転動する場合には、図1−(b)に示すように溝は右ねじの向きに形成されることになる。いずれの場合も、上面整畦部表面の溝が軸回りの回転により土を法面整畦部側へ送り込む向きに形成されていることで、畦上面に存在する余剰土は上面整畦部の回転によって整形中の法面側へ送り込まれることになる。
【0013】
溝が連続的に形成とは、上面整畦部表面の溝が途切れることなく法面整畦部側まで連続して形成されていることの他、一部に溝の不連続部分があっても、全体として連続的とみなせる程度に断続的に形成されていることを含む。溝を有する上面整畦部は例えば円筒形の原形を有する素材の外周面を螺旋状に削り取る、あるいは外部から強制的に加圧することにより形成される。または1ピッチの素線間に空隙がなく、容易に曲げ変形しない程度の剛性を有するコイルスプリングがそのまま上面整畦部として使用される。いずれの場合も素材の材質は問われず、金属材料、または合成樹脂等が使用される。
【0014】
上面整畦部の溝の回転によって法面側へ送り込まれた余剰土は法面を整形する法面整畦部によって法面に塗り付けられ、圧密されるため、上面整畦部が畦上面を転圧することと併せ、畦全体の土の圧密効果が向上する。結果として、崩壊(滑り破壊)し易い土質の土からなる畦においても法面を強固に仕上げることが可能である。同時に畦上面と法面の表面を平滑に仕上げることが可能であり、見栄えが向上する。
【0015】
特に請求項2に記載のように螺旋状の溝が上面整畦部から法面整畦部の一部にまで連続的に形成されている場合には、図2−(a)に示すように法面整畦部まで送り込まれた土が法面にまで誘導され、そのまま連続的に法面整畦部によって法面に押圧されるため、上面整畦部と法面整畦部との境界で土を停滞させることがない。法面整畦部の一部にまで形成とは、円錐台形の径の小さい頂部寄りの一部の区間(後述の連結部22に相当)にまで螺旋状の溝が形成されることを言う。
【0016】
請求項1〜3では上面整畦部が軸回りの回転により畦上面を静的に押圧するため、打撃力を与える場合のように動的に押圧する場合と異なり、上面の土砂を飛散させることがない。土砂の飛散がないことで、隣接し、整形の終了している畦に及ぼす影響もない。
【0017】
前記のように余剰土が法面側へ送り込まれる際には、上面整畦部がスリップ回転することで、溝間の表面が鉛直下方へ転圧するため、畦上面の土も圧密されることになる。このとき、畦上面に接触する範囲は上面整畦部の先端部から法面整畦部側へかけて連続的に形成されている溝によって軸方向に複数の山に区分されているため、この山の部分が上面整畦部の軸方向に均等に押圧し、畦上面を圧密することになる。
【0018】
特に請求項4に記載のように上面整畦部の表面における溝間の部分(山)が表面側に向かって凸の曲面をなしている場合には、溝によって区分された山部分が円弧面状をなすため、回転による畦上面の押圧効果が向上する利点がある。この場合、上面整畦部の表面の山部は軸方向には回転により上面整畦部の先端側から法面整畦部側へ繰り返し、流れていくため、表面の山部が凸の曲面をなすことによる転圧効果が上面整畦部の全長に亘って期待される。
【発明の効果】
【0019】
整畦体を構成し、畦の上面を整形する上面整畦部の表面に、その先端部から法面整畦部側まで螺旋状の溝を連続的に形成することで、畦上面の余剰土を法面整畦部まで送り込むことができるため、畦を形成する土の密度を上げ、強固な畦を仕上げることができる。また上面整畦部は回転によって上面の土を法面側へ送り込みながら、上面を静的に転圧するため、動的に転圧する場合のように土の飛散を招くことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0021】
図1は軸回りの回転により畦40の法面40bを整形する、円錐台形状の法面整畦部2と、その先端に連結されて法面整畦部2と共に回転し、畦40の上面40aを整形する上面整畦部3からなる整畦体1を備える畦塗り機において、上面整畦部3の表面に、その先端部から法面整畦部2側まで螺旋状の溝4が連続的に形成されている整畦体1単体の概要を示す。
【0022】
畦塗り機本体10は基本的に図6に示すようにトラクタの後部に3点リンクヒッチ機構を介して連結される、並列する連結フレーム11、11と、並列する連結フレーム11、11を互いに畦塗り機の幅方向に連結するヒッチフレーム12と、ヒッチフレーム12の後方に鉛直軸回りに揺動自在に連結されるオフセットフレーム13から構成される。
【0023】
オフセットフレーム13の畦塗り機本体10後方側の先端位置からは畦塗り機本体10の幅方向に連結材14が張り出し、この連結材14とヒッチフレーム12との間に、オフセットフレーム13と平行にリンクフレーム15が架設される。オフセットフレーム13はこのリンクフレーム15とヒッチフレーム12、及び連結材14によって平行リンクを構成し、ヒッチフレーム12とオフセットフレーム13の先端位置との間に架設され、双方に連結される油圧シリンダ16の伸縮によってヒッチフレーム12に対してオフセット自在になる。
【0024】
ヒッチフレーム12のトラクタ側にはトラクタのPTO軸にユニバーサルジョイント等を介して連結されるギアボックス17が固定され、PTO軸からの動力はギアボックス17の入力軸に伝達され、入力軸からギアボックス17内の駆動軸を経てオフセットフレーム13の内部を通じ、オフセットフレーム13の先端に軸支された従動軸18に伝達される。
【0025】
畦塗り機の作業機30は図7に示すように主にオフセットフレーム13先端の従動軸18と同軸で、従動軸18から動力を伝達される伝動軸35を有する駆動ボックス301に連結される整畦体1と、駆動ボックス301から整畦体1に対して進行方向前方側へ張り出し、整畦体1の整形に先だって旧畦の土砂を緩める前処理体302から構成される。前処理体302は駆動ボックス301から動力を受けて回転する畦切り爪302aを有し、作業機30の走行中、整畦体1の前方位置で畦切り爪302aが旧畦の土砂を切り崩して緩めることで、整畦体1による整形の準備をする。
【0026】
図6に示すように連結材14の、リンクフレーム15との連結部分には整畦体1側へ張り出すアーム33が連結され、このアーム33と、駆動ボックス301との間に、作業機30を畦塗り機本体10に対して揺動させる作業機用油圧シリンダ34が架設され、双方に連結される。作業機30はこの作業機用油圧シリンダ34の伸縮によって任意の方向に向けられる。
【0027】
駆動ボックス301内には前記伝動軸35から動力が伝達される回転軸が配置され、この回転軸に整畦体1の法面整畦部2が連結される。法面整畦部2は回転軸の回転によって回転し、同時に上面整畦部3が回転する。
【0028】
法面整畦部2は例えば図8に示すように複数枚の扇形をした羽根板21をその直線部分で互いに連結することにより全体として円錐台形状に形成され、その先端位置である中心部には複数枚の羽根板21を連結する際の位置決めの基準になり、上面整畦部3と連結されるための連結部22が配置される。連結部22は法面整畦部2から上面整畦部3側へ突出した状態にある。
【0029】
連結部22の上面整畦部3側の端面には上面整畦部3とのボルト5b等による連結のためのねじ孔22aが形成されており、上面整畦部3は図3−(b)に示すようにそれを軸方向に貫通するボルト5bがねじ孔22aに螺入することによって連結部22に連結される。ボルト5bは上面整畦部3の全長を貫通する必要はなく、上面整畦部3の先端側の端面からボルト5bが単に挿通する挿通孔を形成し、その先の法面整畦部2寄りにボルト5bが螺合するねじ孔を形成しておくことで、ボルト5bの長さを短縮することができる。
【0030】
上面整畦部3の連結部22への連結にボルト5bを使用する場合には、上面整畦部3を交換可能に連結することができる利点があるが、上面整畦部3と連結部22との連結はこの他、上面整畦部3と連結部22といずれか一方の外周面に雄ねじを形成し、他方の内周面に雌ねじを形成しておくことで、上面整畦部3を軸回りに回転させ、直接、連結部22に交換可能に連結することもできる。
【0031】
図2−(a)は前記の通り、上面整畦部3から法面整畦部2の先端部までにかけて溝4を連続的に形成した場合の整畦体1と、整畦体1が回転しているときの畦上面40aの土の移動の様子を示す。(a)は溝4の傾斜が鉛直に近く、回転軸とのなす角度が90°に近い場合の例を示しているが、溝4の傾斜は任意に設定され、(b)に示すように回転軸とのなす角度を45°程度にすることもある。溝4の傾斜が水平に近い程、上面整畦部3が1回転する間の土の移動距離(リード)を稼ぐことができる利点がある。
【0032】
図3−(a)は上面整畦部3として素線の線径が大きく、1ピッチの素線同士が接触している形態のコイルスプリングを使用した場合を示す。既製品としてのコイルスプリングを使用する場合、コイルスプリングはボルトが螺合するためのねじ孔を持たないため、法面整畦部2の連結部22には溶接等、ボルトに依らない方法で接合される。
【0033】
図3−(b)は円筒形の原形を有する素材3Aの外周面に図4−(a)、(b)に示すように転造盤を利用し、外部から強制的に加圧することにより螺旋状の溝4を形成した場合の例を示す。図4−(a)は素材3Aの直径方向両側に円筒形のダイス(丸ダイス)50を配置し、この両側のダイス50、50を同一の向きに回転させることで、逆向きに回転する素材3Aに螺旋状の溝4を形成する方法である。(b)は2枚の板状のダイス(平ダイス)50、50間に素材3Aを挟み込み、一方のダイス50を平行移動させることで、素材3Aに溝4を形成する方法である。素材3Aの外周面に溝4を形成する方法はこの他、素材3Aを軸回りに回転させながら、その外周面に直接、切削による切り込みを入れる方法もある。
【0034】
図5−(a)は筒部31aの一方の端面にフランジ31bが形成された円筒状の芯材31と、その外周に巻き付けられるコイル状の表面材32から上面整畦部3を形成しながら、上面整畦部3を法面整畦部2に連結する場合の作業要領を示す。
【0035】
コイル状の表面材32は例えばアクリル樹脂等、合成樹脂の丸棒、または金属製の丸棒や角棒等の棒材を加熱し、コイル状に曲げ加工することにより成型される。合成樹脂は金属材料より土の付着性が小さい性質を持つため、畦上面40aの土を法面40b側へ送り込む機能を有する上面整畦部3としての適性が高い。図5では簡略化のために、表面材32の素線が板状であるように表わしているが、実際には素線の形状は棒状になっている。
【0036】
表面材32の軸方向両端に位置する1ピッチの素線の端面は法面整畦部2の先端位置に固定されている受け材23、及び芯材31のフランジ31bとの接触面積を確保するために平坦面に切り落とされる。表面材32の軸方向両端に位置する1ピッチの素線には、それぞれに対向する芯材31のフランジ31bと、法面整畦部2先端位置の受け材23にボルト5aによって接合されるための挿通孔32aが形成される。各挿通孔32aに対応した芯材31のフランジ31b、及び受け材23にもそれぞれ挿通孔31c、23aが形成される。
【0037】
受け材23は法面整畦部2の先端位置の、連結部22との境界位置に固定され、連結部22は受け材23の表面から芯材31側へ突出する。連結部22の軸方向の端面には芯材31のフランジ31bを貫通し、表面材32の内部(中空部)を挿通するボルト5bが螺合するためのねじ孔22aが形成される。ボルト5bは芯材31のフランジ31bの中心寄りに形成された挿通孔31dを貫通する。
【0038】
連結部22は芯材31の筒部31aに内接する等、筒部31aの内周側に挿入され、筒部31aとの間で重なり代を確保する。芯材31は筒部31aと連結部22との重なり代を調整した状態で連結部22に接合され、上面整畦部3の軸方向の長さは筒部31aと連結部22との重なり代の長さで決まる。この筒部31aと連結部22との重なり代の長さによって、芯材31の挿通孔31dを貫通し、連結部22のねじ孔22aに螺入する上記のボルト5bの螺合長さ(締め付け量)が決まる。
【0039】
上面整畦部3の軸方向の長さは筒部31aと連結部22との重なり代の他、図5−(b)に示すように筒部31aの長さを変えることによっても変えられる。このように筒部31aの長さが相違する複数本の芯材31を用意しておくことで、整形すべき畦上面40aの幅に対応した上面整畦部3を形成することが可能である。また筒部31aの長さが相違する芯材31毎に、筒部31aと連結部22との重なり代を調整することで、上面整畦部3の長さの微調整が行われる。
【0040】
表面材32はコイルスプリング状に形成され、軸方向に伸縮可能な状態にあるため、筒部31aと連結部22との重なり代の調整に追従する。ボルト5bの長さが短い(螺合長さが大きい)程、表面材32は軸方向に圧縮されるため、表面材32の素線間が密になり、素線間距離(ピッチ)が短縮される。
【0041】
ボルト5bのねじ孔22aへの締め付けが完了した時点で、芯材31の筒部31aの端面が受け材23に当接すれば、ボルト5bの過剰な締め付けが防止される上、締め付け状態での表面材32と芯材31の安定性が確保される。
【0042】
芯材31のフランジ31bと、それに対向する表面材32の1ピッチの素線はこれらの挿通孔31c、32aを貫通する長さを有するボルト5aにより連結される。同様に受け材23とそれに対向する表面材32の1ピッチの素線はそれぞれのねじ孔23aと挿通孔32aを貫通する長さのボルト5aによって連結される。
【0043】
表面材32が受け材23と芯材31のフランジ31bに連結され、芯材31が連結部22に連結された状態で、上面整畦部3が完成する。このときの上面整畦部3の剛性、及びそれに起因する畦上面40aの土への圧力、ピッチ(リード)、軸方向の全長等の特性は表面材32自身の素材に基づく性質に加え、芯材31の筒部31aの長さによって自由に調整することができる。このため、図5−(b)に示すように筒部31aの長さが相違する複数の芯材31を用意しておけば、畦40の土質に応じて上面整畦部3の剛性等を現場において変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】上面整畦部の外周に溝を形成した整畦体単体の概要を示した立面図である。
【図2】(a)は上面整畦部の溝を法面整畦部にまで形成した場合の畦上面の土の流れを示した立面図、(b)は溝のなす角度を水平に近い大きさにした場合の上面整畦部の形成例を示した立面図である。
【図3】(a)はコイルスプリングを使用した場合の上面整畦部の例を示した斜視図、(b)は円筒形の素材の外周面に加圧により溝を形成した場合の例を示した斜視図である。
【図4】(a)、(b)は円筒形の素材に溝を形成する転造盤による加工例を示した斜視図である。
【図5】(a)は円筒状の芯材と、その外周に巻き付けられるコイル状の表面材から上面整畦部を形成する場合の製作例を示した斜視図、(b)は筒部の長さが相違する他の芯材を示した斜視図である。
【図6】畦塗り機全体の構成例を示した平面図である。
【図7】畦塗り機の作業機を示した平面図である。
【図8】整畦体の法面整畦部の例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1……整畦体、
2……法面整畦部、21……羽根板、22……連結部、22a……ねじ孔、23……受け材、23a……ねじ孔、
3……上面整畦部、
31……芯材、31a……筒部、31b……フランジ、31c……挿通孔(ボルト5a用)、31d……挿通孔(ボルト5b用)、
32……表面材、32a……挿通孔、3A……上面整畦部の素材、
4……溝、
5a……ボルト(表面材32との連結用)、5b……ボルト(連結部22との連結用)、
10……畦塗り機本体、
11……連結フレーム、12……ヒッチフレーム、13……オフセットフレーム、14……連結材、15……リンクフレーム、16……油圧シリンダ、17……ギアボックス、18……従動軸、
30……作業機、301……駆動ボックス、302……前処理体、302a……畦切り爪、
33……アーム、34……作業機用油圧シリンダ、35……伝動軸、
40……畦、40a……上面、40b……法面、
50……ダイス。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸回りの回転により畦の法面を整形する、円錐台形状の法面整畦部と、その先端に連結されて法面整畦部と共に回転し、畦の上面を整形する上面整畦部からなる整畦体を備える畦塗り機において、
前記上面整畦部の表面に、その先端部から前記法面整畦部側まで螺旋状の溝が連続的に形成されていることを特徴とする畦塗り機の整畦体。
【請求項2】
前記螺旋状の溝は前記上面整畦部から前記法面整畦部の一部にまで連続的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の畦塗り機の整畦体。
【請求項3】
前記溝は回転の向きの前方から後方へかけて先端部側から前記法面整畦部側へ向かう傾斜が付けられていることを特徴とする請求項1、もしくは請求項2に記載の畦塗り機の整畦体。
【請求項4】
前記上面整畦部の表面における溝間の部分は表面側に向かって凸の曲面をなしていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の畦塗り機の整畦体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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