説明

畦塗り機

【課題】適切な畦塗り作業ができる畦塗り機を提供する。
【解決手段】畦塗り機は、トラクタに連結する機体を備える。機体には、土を耕耘して盛り上げる盛土体およびこの盛土体による盛土を締め固めて畦を形成する畦形成体を回転可能に設ける。機体には、下端部が圃場表面部に刺さり込んだ状態で進行方向に移動する方向輪26を上下動可能に設ける。機体には、方向輪26の機体に対する上下動を規制するロック状態および方向輪26の機体に対する上下動を許容するロック解除状態に選択的に切り換え可能なロック手段91を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切な畦塗り作業ができる畦塗り機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された畦塗り機が知られている。
【0003】
そして、この従来の畦塗り機は、図18に示されるように、走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結される機体1と、機体1に設けられ土を耕耘して盛り上げる盛土体2と、機体1に設けられ盛土体2にて盛り上げられた盛土を締め固めて畦を形成する畦形成体3と、機体1に設けられ下端部が圃場表面部に刺さり込んだ状態で進行方向に移動する方向輪4とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−246750号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図19(a)および(b)に示されるように、圃場の隅部における圃場表面部には、例えばロータリーによる残耕部分等の硬い部分が生じる場合がある。
【0006】
この場合、従来の畦塗り機では、図20に示されるように、方向輪4が圃場表面部の硬い部分に刺さり込まずにこの硬い部分上に乗り上げ、畦形成体3が適正な高さ位置から上方に浮き上がってしまうため、適切な畦塗り作業ができないおそれがある。
【0007】
また、図21(a)および(b)に示されるように、圃場の隅部における圃場表面部には、例えばコンバインの旋回による土寄り部分等の高い部分が生じる場合がある。
【0008】
この場合も、従来の畦塗り機では、図22に示されるように、方向輪4が圃場表面部の高い部分に乗り上げ、畦形成体3が適正な高さ位置から上方に浮き上がってしまうため、適切な畦塗り作業ができないおそれがある。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、適切な畦塗り作業ができる畦塗り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の畦塗り機は、走行車に連結される機体と、この機体に設けられ、土を盛り上げる盛土体と、前記機体に設けられ、前記盛土体にて盛り上げられた盛土を締め固めて畦を形成する畦形成体と、前記機体に上下動可能に設けられ、下端部が圃場表面部に刺さり込んだ状態で進行方向に移動する方向輪と、この方向輪の前記機体に対する上下動を規制するロック状態および前記方向輪の前記機体に対する上下動を許容するロック解除状態に選択的に切り換えられるロック手段とを備えるものである。
【0011】
請求項2記載の畦塗り機は、請求項1記載の畦塗り機において、方向輪を下方に向けて付勢する方向輪付勢手段と、方向輪の機体に対する下動を規制して前記方向輪を下限位置に位置決めする下限位置決め手段とを備え、機体が持ち上げられた場合には、前記方向輪が前記方向輪付勢手段の付勢力に基づいて前記機体に対して前記下限位置まで下動し、ロック手段をロック解除状態からロック状態に切り換えることが可能な状態となるものである。
【0012】
請求項3記載の畦塗り機は、請求項1または2記載の畦塗り機において、方向輪は、ロックピン用孔部を有し、ロック手段は、前記ロックピン用孔部への挿入により方向輪の機体に対する上下動を規制するロック状態に切り換えられかつ前記ロックピン用孔部からの抜出により前記方向輪の前記機体に対する上下動を許容するロック解除状態に切り換えられるロックピンにて構成されているものである。
【0013】
請求項4記載の畦塗り機は、請求項3記載の畦塗り機において、ロックピンをロックピン用孔部に向けて付勢するピン付勢手段を備えるものである。
【0014】
請求項5記載の畦塗り機は、請求項1または2記載の畦塗り機において、方向輪は、少なくとも互いに平行な回動アームを介して機体に上下動可能に設けられ、ロック手段は、前記回動アームとの係合により前記方向輪の前記機体に対する上下動を規制するロック状態に切り換えられかつ前記回動アームとの係合解除により前記方向輪の前記機体に対する上下動を許容するロック解除状態に切り換えられるロック部材にて構成されているものである。
【0015】
請求項6記載の畦塗り機は、請求項1ないし5のいずれか一記載の畦塗り機において、方向輪は、機体に対して上下位置調整可能となっているものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、方向輪の機体に対する上下動を規制するロック状態および方向輪の機体に対する上下動を許容するロック解除状態に選択的に切り換えられるロック手段を備えるため、例えば圃場の隅部等でロック手段をロック解除状態に切り換えて方向輪の機体に対する上下動を許容することにより畦形成体を適正な高さ位置に維持でき、よって、適切な畦塗り作業ができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、機体が持ち上げられた場合には、方向輪が方向輪付勢手段の付勢力に基づいて機体に対して下限位置まで下動し、ロック手段をロック解除状態からロック状態に切り換えることが可能な状態となるため、ロック手段を容易に切り換えることができる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、ロック手段はロックピン用孔部への挿入により方向輪の機体に対する上下動を規制するロック状態に切り換えられかつロックピン用孔部からの抜出により方向輪の機体に対する上下動を許容するロック解除状態に切り換えられるロックピンにて構成されているため、このロックピンにて方向輪の機体に対する上下動を適切に規制できる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、ロックピンをロックピン用孔部に向けて付勢するピン付勢手段を備えるため、ロック手段をより一層容易に切り換えることができる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、ロック手段は回動アームとの係合により方向輪の機体に対する上下動を規制するロック状態に切り換えられかつ回動アームとの係合解除により方向輪の機体に対する上下動を許容するロック解除状態に切り換えられるロック部材にて構成されているため、このロック部材にて方向輪の機体に対する上下動を適切に規制できる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、方向輪は機体に対して上下位置調整可能となっているため、畦の高さ等に適切に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態に係る畦塗り機の要部背面図である。
【図2】同上畦塗り機の概略平面図である。
【図3】(a)が同上畦塗り機のロック手段のロック状態時を示す図で、(b)が同上畦塗り機のロック手段のロック解除状態時を示す図である。
【図4】同上畦塗り機の方向輪取付部の側面図である。
【図5】同上畦塗り機の方向輪の棒状部の背面図である。
【図6】同上畦塗り機の方向輪の棒状部の側面図である。
【図7】同上畦塗り機による畦塗り作業時の説明図であり、(a)が側面図で、(b)が背面図である。
【図8】図7に続く説明図であり、(a)が側面図で、(b)が背面図である。
【図9】図8に続く説明図であり、(a)が側面図で、(b)が背面図である。
【図10】図9に続く説明図であり、(a)が側面図で、(b)が背面図である。
【図11】本発明の他の実施の形態に係る畦塗り機の要部背面図である。
【図12】同上畦塗り機の支持部材の背面図である。
【図13】同上畦塗り機の支持部材の側面図である。
【図14】同上畦塗り機による畦塗り作業時の説明図で、(a)が側面図で、(b)が背面図である。
【図15】図14に続く説明図であり、(a)が側面図で、(b)が背面図である。
【図16】図15に続く説明図であり、(a)が側面図で、(b)が背面図である。
【図17】図16に続く説明図であり、(a)が側面図で、(b)が背面図である。
【図18】従来の畦塗り機の概略側面図である。
【図19】圃場の隅部を示す図であり、(a)が平面図で、(b)が断面図である。
【図20】従来の畦塗り機の概略側面図である。
【図21】圃場の隅部を示す図であり、(a)が平面図で、(b)が断面図である。
【図22】従来の畦塗り機の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0024】
図2において、11は畦塗り機で、この畦塗り機11は、走行車であるトラクタ12の後部に連結された状態で、トラクタ12の前進走行により圃場の畦に沿って進行方向である前方に移動しながら畦塗り作業(畦修復作業)をする。
【0025】
トラクタ12は、エンジン等を搭載したトラクタ本体13を備えている。トラクタ本体13の前部には左右1対の前輪(図示せず)が設けられ、後部には左右1対の後輪14が設けられている。また、トラクタ本体13の後端部には、油圧機構(図示せず)によって作動して上下回動する油圧式のヒッチ部である3点リンクヒッチ部(作業機昇降支持装置)16およびエンジンからの動力で回転するPTO軸(図示せず)が設けられている。
【0026】
畦塗り機11は、図2に示されるように、トラクタ12の後部の3点リンクヒッチ部16にクイックカプラ20を介して連結された機体21を備えている。
【0027】
また、畦塗り機11は、機体21に回転可能に設けられ回転しながら田面等の圃場表面部および修復前の畦(元畦)の土を耕耘して畦上に盛り上げるロータリ式の耕耘体である盛土体22と、機体21に回転可能に設けられ盛土体22の後方で回転しながら盛土体22にて盛り上げられた盛土を締め固めて新たな畦(新畦)を形成する畦形成体23と、機体21に回転可能に設けられ盛土体22の前方で回転しながら畦上面を削る上面削り体24とを備えている。なお、盛土体22、畦形成体23および上面削り体24にて、畦塗り作業をする作業部25が構成されている。
【0028】
さらに、畦塗り機11は、機体21に鉛直方向に沿って上下動可能に設けられ下端部が圃場表面部に刺さり込んだ状態で進行方向である前方に移動する方向輪26を備えている。方向輪26は、畦塗り作業時における作業部25の左右方向に関する位置ずれを防止するためのものである。
【0029】
機体21は、トラクタ12の後部の3点リンクヒッチ部16にクイックカプラ20を介して連結された固定機枠31と、作業部25および方向輪26を支持する可動機枠32と、固定機枠31と可動機枠32とを連結する連結手段33とを有している。連結手段33は、例えば互いに平行な左右1対の連結アーム(平行リンク)34にて構成されている。
【0030】
また、機体21は、連結アーム34を固定機枠31に対して回動させるための第1伸縮体である第1シリンダ36と、可動機枠32を連結アーム34に対して回動させるための第2伸縮体である第2シリンダ37とを有している。第1シリンダ36および第2シリンダ37は、いずれも油圧等の流体圧で伸縮する流体圧シリンダ、例えば電動油圧シリンダにて構成されている。
【0031】
そして、図2に示されるように、この畦塗り機11は、圃場の隅部では、トラクタ12の前進旋回走行により圃場の畦に沿ってその畦の終端部まで前方に移動しながら畦塗り作業をするものである。このため、圃場の隅部では、両シリンダ36,37が制御手段にて制御され、作業部25が所望の作業姿勢を維持したまま畦の終端部まで前方に移動する。
【0032】
固定機枠31は、走行車連結部であるトラクタ連結部38を有し、このトラクタ連結部38がトラクタ12の3点リンクヒッチ部16にクイックカプラ20を介して連結されている。また、固定機枠31は、左右方向中央部に軸支部39を有し、この軸支部39にて入力軸(図示せず)が回転可能に支持され、この入力軸がトラクタ12のPTO軸にジョイント等の動力伝達手段を介して接続されている。
【0033】
可動機枠32には、盛土体22、畦形成体23および上面削り体24がそれぞれ回転可能に設けられている。
【0034】
盛土体22は、可動機枠32の軸支部にて回転可能に支持され入力軸側からの動力で回転する前後方向の回転軸と、この回転軸に放射状に取り付けられた複数の耕耘爪である盛土爪とを有している。なお、盛土体22の盛土爪の上方部が可動機枠32の盛土体カバー部にて覆われている。
【0035】
畦形成体23は、可動機枠32の軸支部にて回転可能に支持され入力軸側からの動力で回転する左右方向の回転軸41と、この回転軸41の先端側に取り付けられたディスク等の畦形成部材42とを有している。
【0036】
畦形成部材42は、回転軸41と一体となって回転しながら盛土体22による盛土を締め固めて田面側である圃場表面部側に向って下り傾斜面状の畦側面を形成する略円錐台状の畦側面形成部(いわゆる側面ディスク)43と、この畦側面形成部43の縮径側端部に一体に連設され回転軸41と一体となって回転しながら盛土体22による盛土を締め固めて水平面状の畦上面を形成する略円柱状(中空でも中実でもよい)の畦上面形成部(いわゆる上面ローラ)44とを有している。なお、畦形成体23の畦側面形成部43の上方部が可動機枠32の畦形成体カバー部にて覆われている。
【0037】
上面削り体24は、可動機枠32のチェーンケース部45にて回転可能に支持され盛土体22側からの動力で回転する前後方向の回転軸と、この回転軸に方向状に取り付けられた複数の削り爪とを有している。なお、上面削り体24の削り爪の上方部が可動機枠の上面削り体カバー部にて覆われている。
【0038】
また、図1に示されるように、機体21の可動機枠32は方向輪取付部51を有し、この方向輪取付部51に方向輪26が上下動可能、すなわち例えば上下方向に移動可能に取り付けられている。
【0039】
方向輪取付部51は、図1、図3および図4等に示されるように、細長板状のアーム部52を有し、このアーム部52の後端部には上下面が開口した略4角筒状のホルダ部である筒状部53が設けられ、この筒状部53には正面視略コ字状のピン支持部であるコ字状部54が右側方に向って突設されている。筒状部53の上下方向略中央部には、2つの孔部55が形成されている。コ字状部54は、上下に互いに離間対向する上板56および下板57と、上板56の右端部と下板57の右端部とを連結する連結板58とにて構成されている。連結板58の略中央部には、1つの孔部59が形成されている。
【0040】
方向輪26は、図1、図5および図6に示されるように、上下方向長手状の棒状部61を有し、この棒状部61の上端部にはハンドル等の把持部62が左側方に向って突設されている。棒状部61の下端部には左右方向の支軸部63が左側方に向って突設され、この支軸部63の先端部には略円形状の回転輪部64がその支軸部63を中心として回転可能に設けられている。
【0041】
回転輪部64は、外周側下端部が圃場表面部に刺さり込んだ状態で、圃場表面部から力を受けて支軸部63を中心として回転しながら前方に移動するものである。回転輪部64は、略円錐台状の本体部分65と、この本体部分65の拡径側の外周端部に径方向外方に向って突設され圃場表面部に挿入される略円形環状の板状部分66とにて構成されている。
【0042】
なお、回転輪部64は、図2に示すように、前端側ほど畦側に位置するように若干傾斜したものでもよいが、必ずしも傾斜させる必要はない。
【0043】
また、棒状部61は、例えば略4角柱状の棒状部材にて構成されている。棒状部61の上部には、この棒状部61の前後面に貫通した前後方向長孔状の複数(例えば4つ)の上下位置調整用上孔部71が上下方向に等間隔をおいて並ぶように設けられている。同様に、棒状部61の下部には、この棒状部61の前後面に貫通した前後方向長孔状の複数(例えば4つ)の上下位置調整用下孔部72が上下方向に等間隔をおいて並ぶように設けられている。
【0044】
さらに、棒状部61の上部には、この棒状部61の左右側面に貫通した左右方向長孔状の複数(例えば4つ)のロックピン用孔部73が上下方向に等間隔をおいて並ぶように設けられている。上の2つのロックピン用孔部73は、棒状部61のうち互いに隣り合う上下位置調整用上孔部71間の部分に設けられている。
【0045】
なお、互いに隣り合う上下位置調整用上孔部71間の距離と、互いに隣り合う上下位置調整用下孔部72間の距離と、互いに隣り合うロックピン用孔部73間の距離とは、いずれも同じ距離に設定されている。
【0046】
ここで、図1に示されるように、方向輪26の棒状部61は機体21の可動機枠32の方向輪取付部51の筒状部53内に上下動可能に嵌合挿入され、複数の上下位置調整用上孔部71の中から選択された一の上下位置調整用上孔部71には上脱着ピン76が挿入されている。
【0047】
そして、上脱着ピン76が機体21の筒状部53の上端面に当接することにより、棒状部61の筒状部53に対する下動が規制されて方向輪26が下限位置に位置決めされる。つまり、方向輪26の機体21に対する下動を規制して方向輪26を下限位置に位置決めする下限位置決め手段75が上脱着ピン76にて構成されている。
【0048】
また、方向輪26の棒状部61のうち筒状部53の下面開口から下方に向って突出した部分の外周側には、上下に互いに離間対向する上ばね受体81および下ばね受体82が棒状部61の外周面に沿って上下動可能に設けられている。上ばね受体(上側皿部材)81および下ばね受体(下側皿部材)82は、いずれも同じ略円形環状のもので、対向面側にばね受凹部81a,82aが形成されている。
【0049】
そして、上ばね受体81と下ばね受体82との間には、方向輪26を下方に向けて常時付勢するコイル状の方向輪付勢手段である方向輪付勢ばね83が棒状部61の外周面の一部を覆うように設けられている。つまり、方向輪付勢ばね83の上端部が上ばね受体81のばね受凹部81aに当接し、方向輪付勢ばね83の下端部が下ばね受体82のばね受凹部82aに当接している。
【0050】
下ばね受体82は、上下位置調整用上孔部71に対応するように複数の上下位置調整用下孔部72の中から選択された一の上下位置調整用下孔部72に挿入された下脱着ピン77にて下方から支持されている。そして、この図1の状態では、下ばね受体82および下脱着ピン77を介して方向輪26を下方に向けて付勢する方向輪付勢ばね83は、略自然長の状態となっている。
【0051】
また、この図1の状態では、方向輪26の機体21に対する上下動がロック手段91にて規制された状態となっている。
【0052】
つまり、畦塗り機11は、方向輪26の機体21に対する上下動を規制するロック状態および方向輪26の機体21に対する上下動を許容するロック解除状態に選択的に切り換えられるロック手段91と、このロック手段91の状態をロック状態からロック解除状態へおよびロック解除状態からロック状態へと切り換えるための操作手段である遠隔操作手段92とを備えている。
【0053】
ロック手段91は、ロックピン用孔部73への挿入により方向輪26の機体21に対する上下動を規制するロック状態に切り換えられかつロックピン用孔部73からの抜出により方向輪26の機体21に対する上下動を許容するロック解除状態に切り換えられるロックピン93にて構成されている。
【0054】
ロックピン93は、機体21の方向輪取付部51のコ字状部54に左右方向に移動可能に取り付けられ、コイル状のピン付勢手段であるピン付勢ばね94によってロックピン用孔部73に向けてつまり左方向に向けて常時付勢されている。ピン付勢ばね94は、ロックピン93の鍔部93aと連結板58の孔部59の周辺部58aとの間にロックピン93の外周面の一部を覆うように設けられている。つまり、ピン付勢ばね94の一端部である左端部がロックピン93の軸方向中間部に位置した鍔部93aに当接し、ピン付勢ばね94の他端部である右端部が連結板58の孔部59の周辺部58aに当接している。
【0055】
また、遠隔操作手段92は、先端部がロックピン93に取り付けられたワイヤ95と、このワイヤ95の基端部に取り付けられた操作レバー(図示せず)とを有している。ワイヤ95は、定位置に固定されたワイヤ保持部96にて保持されている。操作レバーは、作業者がトラクタ12に乗ったまま操作可能な位置に配設されている。
【0056】
そして、作業者が操作レバーをロック方向に手動で操作すると、ロックピン93は、ピン付勢ばね94の付勢力によって左方向に移動することにより、ロックピン用孔部73、筒状部53の両孔部55およびコ字状部54の孔部59に挿入されたロック状態となる(図1および図3(a)に示す状態)。
【0057】
また、作業者が操作レバーをロック解除方向に手動で操作すると、ロックピン93は、ピン付勢ばね94の付勢力に抗して右方向に移動することにより、一方の孔部55およびロックピン用孔部73から抜き出されたロック解除状態となる(図3(b)に示す状態)。
【0058】
次に、畦塗り機11の作用等について図面を参照して説明する。
【0059】
前進通常作業時には、図7(a)および(b)に示すように、ロック手段91を構成するロックピン93がロック状態に切り換えられ、このロックピン93にて方向輪26の棒状部61が機体21の筒状部53に対して固定(ロック)される。
【0060】
このため、このロックピン93のロック状態時には、機体21の筒状部53に対する方向輪26の棒状部61の上下動が規制され、方向輪26が機体21に対して上下動せず、方向輪26と畦形成体23との位置関係が維持される。
【0061】
そして、この状態で、トラクタ12が前進走行して畦塗り機11が元畦に沿って進行方向である前方に移動すると、上面削り体24にて元畦の畦上面が削られて雑草等が除去され、この上面削り体24の後方では盛土体22にて圃場表面部および元畦の土が耕耘されて元畦上に盛り上げられ、この盛土体22の後方では畦形成体23にて盛土が締め固められて新畦が形成される。
【0062】
このとき、方向輪26は、回転輪部64の板状部分66の下端部が圃場表面部に所定の刺さり込み深さ(挿入深さ)Hをもって刺さり込んだ状態で進行方向に沿って前方に移動しながら、作業部25の左右方向に関する位置ずれを防止する。なお、方向輪26の刺さり込み深さHは、例えば略50mmである。
【0063】
ここで、例えば図19(a)および(b)に示すように、圃場の隅部における圃場表面部に硬い部分(ロータリーによる残耕部分等)があった場合には、トラクタ12に乗った作業者は、方向輪26が硬い部分に到達する前に、トラクタ12に乗ったまま、遠隔操作手段92の操作レバーをロック解除方向に手動で操作する。
【0064】
すると、図8(a)および(b)に示すように、ロックピン93は、ワイアに引っ張られてピン付勢ばね94の付勢力に抗して右方向に移動し、一方の孔部55およびロックピン用孔部73から抜き出されたロック解除状態となり、方向輪26の機体21に対する固定が解除される。このため、このロックピン93のロック解除状態時には、機体21の筒状部53に対する方向輪26の棒状部61の上下動が許容される。
【0065】
そして、図9(a)および(b)に示すように、トラクタ12の前進旋回走行により、方向輪26が硬い部分に到達すると、方向輪26の回転輪部64の板状部分66の下端部が硬い部分に刺さり込まずにこの硬い部分上に乗り上げ、方向輪26の棒状部61が方向輪付勢ばね83の付勢力に抗して機体21の筒状部53に対して上動する。
【0066】
その結果、機体21の高さ位置は一定であり、この機体21にて支持された畦形成体23は適正な高さ位置(上下位置)に維持され、この適正な高さ位置に位置した畦形成体23にて盛土が適切に締め固められる。
【0067】
そして、トラクタ12の前進旋回走行により畦の終端部まで畦塗り作業をした後、図10(a)および(b)に示すように、トラクタ12の3点リンクヒッチ部16によって機体21を方向輪26の下端部が圃場表面部から離れる位置(非作業位置)まで持ち上げる。
【0068】
すると、方向輪26は、この方向輪26の自重および方向輪付勢ばね83の付勢力に基づいて機体21に対して下限位置まで下動し、その結果、畦塗り機11は、ロックピン93をロック解除状態からロック状態に切り換えることが可能な状態となる。つまり、上脱着ピン76が機体21の筒状部53の上端面に当接してこの上脱着ピン76にて方向輪26の機体21に対する下動が規制されることにより、ロック解除状態のロックピン93が方向輪26の棒状部61のロックピン用孔部73と対向した状態となる。
【0069】
そして、この状態で、トラクタ12に乗った作業者が遠隔操作手段92の操作レバーをロック方向に手動で操作すると、ロックピン93は、ピン付勢ばね94の付勢力によって左方向に移動し、一方の孔部55およびロックピン用孔部73に挿入されてもとのロック状態となる。
【0070】
なお、例えば図21(a)および(b)に示すように、圃場の隅部における圃場表面部に高い部分(コンバインの旋回による土寄り部分等)があった場合においても、トラクタ12に乗った作業者が、方向輪26がその高い部分に到達する前に遠隔操作手段92の操作レバーをロック解除方向に手動で操作して、ロックピン93をロック状態からロック解除状態に切り換えれば、方向輪26が機体21に対して上動し、畦形成体23は適正な高さ位置に維持される。
【0071】
また、前進通常作業の途中で、必要に応じて、ロックピン93をロック状態からロック解除状態に切り換えることも可能である。
【0072】
そして、このような畦塗り機11によれば、方向輪26の機体21に対する上下動を規制するロック状態および方向輪26の機体21に対する上下動を許容するロック解除状態に選択的に切り換えられるロック手段91を備えるため、例えば圃場表面部に硬い部分や高い部分が生じ易い圃場の隅部等でロック手段91をロック解除状態に切り換えて方向輪26の機体21に対する上下動を許容することにより畦形成体23を適正な高さ位置に維持でき、よって、畦形成体23が畦から浮き上がるようなことがなく、安定かつ適切な畦塗り作業ができる。
【0073】
また、トラクタ12の3点リンクヒッチ部16で機体21が持ち上げられた場合には、方向輪26がその自重および方向輪付勢ばね83の付勢力に基づいて機体21に対して下限位置まで下動し、ロック手段91をロック解除状態からロック状態に切り換えることが可能な状態となるため、ロック手段(ロックピン)91とロックピン用孔部73との位置合わせが不要で、ロック手段91をロック状態へ容易に切り換えることができる。
【0074】
さらに、ロック手段91はロックピン用孔部73への挿入により方向輪26の機体21に対する上下動を規制するロック状態に切り換えられかつロックピン用孔部73からの抜出により方向輪26の機体21に対する上下動を許容するロック解除状態に切り換えられるロックピン93にて構成されているため、このロックピン93にて方向輪26の機体21に対する上下動を適切に規制できる。
【0075】
また、ロックピン93をロックピン用孔部73に向けて直接付勢するピン付勢ばね94を備えるため、ロック手段91をロック状態へより一層容易に切り換えることができる。
【0076】
さらに、畦の高さ等に対応できるように、脱着ピン76,77を挿入する孔部71,72の変更によって方向輪26が機体21に対して段階的に上下位置調整可能となっており、方向輪26の下限位置が複数の中から選択されたどの下限位置であっても、方向輪26を下限位置決め手段75にて下限位置に位置決めすれば、ロックピン93をロック状態に切り換えることができる。
【0077】
次に、本発明の他の実施の形態を図11ないし図17を参照して説明する。
【0078】
この他の実施の形態に係る畦塗り機11の機体21の可動機枠32は、方向輪取付部51を有しておらず、方向輪26は、互いに平行な上下1対の回動アーム(平行リンク)101および支持部材102を介して、機体21の可動機枠32に上下動可能、すなわち例えば上下方向に移動可能に取り付けられている。
【0079】
なお、この方向輪26の棒状部61には、この棒状部61の前後面に貫通した前後方向長孔状の複数(例えば6つ)の上下位置調整用孔部103が上下方向に等間隔をおいて並ぶように設けられている。
【0080】
支持部材102は、上下面が開口した略4角筒状のホルダ部である筒状部104と、板部105から右側方に向って突出する左右方向の上下1対のアーム取付軸部106と、板部105から右側方に向って突出する左右方向のガススプリング取付軸部107とを有している。筒状部104の上部および下部には、孔部108が形成されている。
【0081】
そして、方向輪26の棒状部61は支持部材102の筒状部104内に上下動可能に嵌合挿入され、複数の上下位置調整用孔部103の中から選択された一の上下位置調整用孔部103およびこれに対向させた孔部108に脱着ピン110が挿入され、この脱着ピン110にて棒状部61が筒状部104に対して固定されている。なお、脱着ピン110を挿入する上下位置調整用孔部103を変更することにより、方向輪26が機体21に対して段階的に上下位置調整可能となっている。
【0082】
また、回動アーム101の前端部が可動機枠32の軸部111に回動可能に取り付けられ、回動アーム101の後端部が支持部材102のアーム取付軸部106に回動可能に取り付けられている。
【0083】
さらに、機体21の可動機枠32と支持部材102との間には、その支持部材102を介して方向輪26を下方に向けて付勢する方向輪付勢手段であるガススプリング112が設けられている。
【0084】
ガススプリング112は、シリンダ本体部113と、このシリンダ本体部113内に出入りするロッド部114とを有している。シリンダ本体部113の基端部が可動機枠32の軸部115に回動可能に取り付けられ、ロッド部114の先端部が支持部材102のガススプリング取付軸部107に回動可能に取り付けられている。なお、図示しないが、この方向輪付勢手段は、コイル状のばね等でもよい。
【0085】
また、機体21の可動機枠32には、方向輪26の機体21に対する下動を規制して方向輪26を下限位置に位置決めする下限位置決め手段116が設けられている。この下限位置決め手段116は、可動機枠32に固設された例えばゴム製或いは樹脂製等の位置決め板117にて構成されている。つまり、下側の回動アーム101が位置決め板117に当接することにより、回動アーム101の可動機枠32に対する下動が規制されて方向輪26が下限位置に位置決めされる。
【0086】
そして、トラクタ12の3点リンクヒッチ部16にて機体21が非作業位置まで持ち上げられた場合には、方向輪26がその自重およびガススプリング112の付勢力に基づいて機体21に対して下限位置まで下動し、ロック手段91をロック解除状態からロック状態に切り換えることが可能な状態となる。
【0087】
ここで、このロック手段91は、下側の回動アーム101の被係合部101aとの係合により方向輪26の機体21に対する上下動を規制するロック状態に切り換えられかつ下側の回動アーム101の被係合部101aとの係合解除により方向輪26の機体21に対する上下動を許容するロック解除状態に切り換えられるフック状の係合部材であるロック部材121にて構成されている。
【0088】
ロック部材121は、機体21の軸部122にこの前後方向の軸部122を中心として左右方向に回動可能に取り付けられている。ロック部材121には、下側の回動アーム101の被係合部101aと係脱可能に係合する係合凹部123が形成されている。
【0089】
また、ロック部材121を回動させるための遠隔操作手段92は、ロック部材121に回動可能に取り付けられた第1アーム124と、この第1アーム124に軸126を介して回動可能に連結された第2アーム125と、この第2アーム125に連動手段を介して取り付けられた操作レバー(図示せず)とを有している。この操作レバーは、作業者がトラクタ12に乗ったまま操作可能な位置に配設されている。
【0090】
そして、作業者が操作レバーをロック方向に手動で操作すると、ロック部材121は、軸部122を中心として左方向に回動することにより、係合凹部123と下側の回動アーム101の被係合部101aとが係合したロック状態となる。
【0091】
また、作業者が操作レバーをロック解除方向に手動で操作すると、ロック部材121は、軸部122を中心として右方向に回動することにより、係合凹部123と下側の回動アーム101の被係合部101aとの係合が解除されたロック解除状態となる。
【0092】
なお、この畦塗り機11のその他の構成は上記一実施の形態に係る畦塗り機11と基本的に同じである。
【0093】
そして、この畦塗り機11の作用等を説明すると、前進通常作業時には、図14(a)および(b)に示すように、ロック手段91を構成するロック部材121がロック状態に切り換えられ、このロック状態のロック部材121と位置決め板117とにて下側の回動アーム101が上下から挟持され、その結果、方向輪26が回動アーム101および支持部材102を介して機体21に対して固定(ロック)される。
【0094】
このため、このロック部材121のロック状態時には、機体21に対する方向輪26の上下動が規制され、方向輪26が機体21に対して上下動せず、方向輪26と畦形成体23との位置関係が維持される。
【0095】
そして、この状態で、トラクタ12が前進走行して畦塗り機11が元畦に沿って進行方向である前方に移動すると、上面削り体24にて元畦の畦上面が削られて雑草等が除去され、この上面削り体24の後方では盛土体22にて圃場表面部および元畦の土が耕耘されて元畦上に盛り上げられ、この盛土体22の後方では畦形成体23にて盛土が締め固められて新畦が形成される。このとき、方向輪26は、回転輪部64の板状部分66の下端部が圃場表面部に所定の刺さり込み深さHをもって刺さり込んだ状態で進行方向に沿って前方に移動しながら、作業部25の左右方向に関する位置ずれを防止する。
【0096】
ここで、例えば図19(a)および(b)に示すように、圃場の隅部における圃場表面部に硬い部分(ロータリーによる残耕部分等)があった場合には、トラクタ12に乗った作業者は、方向輪26が硬い部分に到達する前に、トラクタ12に乗ったまま、遠隔操作手段92の操作レバーをロック解除方向に手動で操作する。
【0097】
すると、図15(a)および(b)に示すように、ロック部材121は、軸部122を中心として右方向に回動することにより、係合凹部123と下側の回動アーム101の被係合部101aとの係合が解除されたロック解除状態となり、方向輪26の機体21に対する固定が解除される。このため、このロック部材121のロック解除状態時には、方向輪26の機体21に対する上下動が許容される。
【0098】
そして、図16(a)および(b)に示すように、トラクタ12の前進旋回走行により、方向輪26が硬い部分に到達すると、方向輪26の回転輪部64の板状部分66の下端部が硬い部分に刺さり込まずにこの硬い部分上に乗り上げ、1対の回動アーム101が機体21に対して上方に回動し、方向輪26が支持部材102と一体となってガススプリング112の付勢力に抗して機体21に対して上動する。
【0099】
その結果、機体21の高さ位置は一定であり、この機体21にて支持された畦形成体23は適正な高さ位置(上下位置)に維持され、この適正な高さ位置に位置した畦形成体23にて盛土が適切に締め固められる。
【0100】
そして、トラクタ12の前進旋回走行により畦の終端部まで畦塗り作業をした後、図17(a)および(b)に示すように、トラクタ12の3点リンクヒッチ部16によって機体21を方向輪26の下端部が圃場表面部から離れる位置(非作業位置)まで持ち上げる。
【0101】
すると、方向輪26は、この方向輪26の自重およびガススプリング112の付勢力に基づいて機体21に対して下限位置まで下動し、その結果、畦塗り機11は、ロック部材121をロック解除状態からロック状態に切り換えることが可能な状態となる。つまり、下側の回動アーム101が位置決め板117の上面に当接してこの位置決め板117にて方向輪26の機体21に対する下動が規制されることにより、ロック解除状態のロック部材121の係合凹部123が下側の回動アーム101の被係合部101aと対向した状態となる。
【0102】
そして、この状態で、トラクタ12に乗った作業者が遠隔操作手段92の操作レバーをロック方向に手動で操作すると、ロック部材121は、軸部122を中心として左方向に回動することにより、係合凹部123と下側の回動アーム101の被係合部101aとが係合したもとのロック状態となる。
【0103】
なお、例えば図21(a)および(b)に示すように、圃場の隅部における圃場表面部に高い部分(コンバインの旋回による土寄り部分等)があった場合においても、トラクタ12に乗った作業者が、方向輪26がその高い部分に到達する前に遠隔操作手段92の操作レバーをロック解除方向に手動で操作して、ロック部材121をロック状態からロック解除状態に切り換えれば、方向輪26が機体21に対して上動し、畦形成体23は適正な高さ位置に維持される。
【0104】
また、前進通常作業の途中で、必要に応じて、ロック部材121をロック状態からロック解除状態に切り換えることも可能である。
【0105】
そして、このような畦塗り機11であっても、上記一実施の形態と同様、方向輪26の機体21に対する上下動を規制するロック状態および方向輪26の機体21に対する上下動を許容するロック解除状態に選択的に切り換えられるロック手段91を備えるため、例えば圃場表面部に硬い部分や高い部分が生じ易い圃場の隅部等でロック手段91をロック解除状態に切り換えて方向輪26の機体21に対する上下動を許容することにより畦形成体23を適正な高さ位置に維持でき、よって、畦形成体23が畦から浮き上がるようなことがなく、安定かつ適切な畦塗り作業ができる。
【0106】
また、トラクタ12の3点リンクヒッチ部16で機体21が持ち上げられた場合には、方向輪26がその自重およびガススプリング112の付勢力に基づいて機体21に対して下限位置まで下動し、ロック手段91をロック解除状態からロック状態に切り換えることが可能な状態となるため、ロック手段(ロック部材)91と下側の回動アーム101との位置合わせが不要で、ロック手段91をロック状態へ容易に切り換えることができる。
【0107】
さらに、ロック手段91は回動アーム101との係合により方向輪26の機体21に対する上下動を規制するロック状態に切り換えられかつ回動アーム101との係合解除により方向輪26の機体21に対する上下動を許容するロック解除状態に切り換えられるロック部材121にて構成されているため、このロック部材121にて方向輪26の機体21に対する上下動を適切に規制できる。
【0108】
また、畦の高さ等に対応できるように、脱着ピン110を挿入する孔部103の変更によって方向輪26が機体21に対して段階的に上下位置調整可能となっており、方向輪26の下限位置が複数の中から選択されたどの下限位置であっても、方向輪26を下限位置決め手段116にて下限位置に位置決めすれば、ロック部材121をロック状態に切り換えることができる。
【0109】
なお、上記いずれの実施の形態においても、圃場の隅部ではトラクタ12を前進旋回走行させて作業部25のみを畦に沿って進行方向(前方)に移動させる構成について説明したが、例えば作業部25が180度回動してリターン状態になるリターン式のものとして、圃場の隅部ではトラクタ12をバック走行させてリターン状態の作業部25のみを畦に沿って進行方向(後方)に移動させる構成でもよい。
【0110】
また、ロック手段91の状態が手動で切り換えられる構成には限定されず、モータやシリンダ等の駆動手段或いは連動手段等を用いて、ロック手段91の状態が自動的に切り換わるようにしてもよい。
【0111】
例えばリターン式の畦塗り機11において作業部25が180度回動してリターン状態になる場合に、リンク機構等の連動手段によって、ロック手段91がロック状態からロック解除状態に自動的に切り換わる構成でもよい。
【0112】
また例えば操作ボックスで作業部25をリターン状態にする操作に基づいて、ロック手段91がロック状態からロック解除状態に自動的に切り換わる構成でもよい。
【0113】
さらに例えばトラクタ12の前進旋回走行の際に連結アーム34の回動等に連動するように、リンク機構等の連動手段によって、ロック手段91がロック状態からロック解除状態に自動的に切り換わる構成でもよい。
【0114】
また例えばトラクタ12の前進旋回走行の開始の操作に基づいて、ロック手段91がロック状態からロック解除状態に自動的に切り換わる構成でもよい。
【0115】
さらに例えば圃場表面部の硬い部分(固い部分)や高い部分を検知する検知手段を備え、この検知手段の検知に基づいてロック手段91がロック状態からロック解除状態に自動的に切り換わる構成でもよい。
【0116】
また、方向輪26が機体21に対して上下方向の平行移動によって上下動する構成には限定されず、方向輪26が機体21に対して上下方向の回動によって上下動する構成等でもよい。
【符号の説明】
【0117】
11 畦塗り機
12 走行車であるトラクタ
21 機体
22 盛土体
23 畦形成体
26 方向輪
73 ロックピン用孔部
75 下限位置決め手段
83 方向輪付勢手段である方向輪付勢ばね
91 ロック手段
93 ロックピン
94 ピン付勢手段であるピン付勢ばね
101 回動アーム
112 方向輪付勢手段であるガススプリング
116 下限位置決め手段
121 ロック部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車に連結される機体と、
この機体に設けられ、土を盛り上げる盛土体と、
前記機体に設けられ、前記盛土体にて盛り上げられた盛土を締め固めて畦を形成する畦形成体と、
前記機体に上下動可能に設けられ、下端部が圃場表面部に刺さり込んだ状態で進行方向に移動する方向輪と、
この方向輪の前記機体に対する上下動を規制するロック状態および前記方向輪の前記機体に対する上下動を許容するロック解除状態に選択的に切り換えられるロック手段と
を備えることを特徴とする畦塗り機。
【請求項2】
方向輪を下方に向けて付勢する方向輪付勢手段と、
方向輪の機体に対する下動を規制して前記方向輪を下限位置に位置決めする下限位置決め手段とを備え、
機体が持ち上げられた場合には、前記方向輪が前記方向輪付勢手段の付勢力に基づいて前記機体に対して前記下限位置まで下動し、ロック手段をロック解除状態からロック状態に切り換えることが可能な状態となる
ことを特徴とする請求項1記載の畦塗り機。
【請求項3】
方向輪は、ロックピン用孔部を有し、
ロック手段は、前記ロックピン用孔部への挿入により方向輪の機体に対する上下動を規制するロック状態に切り換えられかつ前記ロックピン用孔部からの抜出により前記方向輪の前記機体に対する上下動を許容するロック解除状態に切り換えられるロックピンにて構成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の畦塗り機。
【請求項4】
ロックピンをロックピン用孔部に向けて付勢するピン付勢手段を備える
ことを特徴とする請求項3記載の畦塗り機。
【請求項5】
方向輪は、少なくとも互いに平行な回動アームを介して機体に上下動可能に設けられ、
ロック手段は、前記回動アームとの係合により前記方向輪の前記機体に対する上下動を規制するロック状態に切り換えられかつ前記回動アームとの係合解除により前記方向輪の前記機体に対する上下動を許容するロック解除状態に切り換えられるロック部材にて構成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の畦塗り機。
【請求項6】
方向輪は、機体に対して上下位置調整可能となっている
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の畦塗り機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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