説明

畦塗り機

【課題】トラクタに装着する畦塗り機で遠隔操作により少なくとも畦形成部の回転を変更することができる畦塗り機を提供することを目的とする。
【解決手段】トラクタ200に装着して畦塗り作業を行う畦塗り機において、耕耘軸61aを回転させて圃場の土を盛り上げる耕耘部61と、前記耕耘部の進行方向後方で回転しながら盛り土を締め固めて新畦を形成する畦形成体62と、遠隔操作可能な操作部81と、操作部81の操作信号を受信し畦形成体62の回転を制御する制御部41とを有し、操作部81の操作により、畦形成体62の回転を耕耘部61との回転とは独立して変更可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畦塗り機に関し、特に、畦塗り作業を行う際に様々な土質や水分条件に合わせて、より最適な状態で作業が可能なトラクタに装着する畦塗り機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタに装着して畦塗り作業を行う畦塗り機は、トラクタからのPTO(Power Take off)動力により作業部に備える前処理部と畦形成部を回転させて畦塗りを行う。この場合、作業部の前処理部と畦形成部が所定の回転数になるよう、一定の減速比で減速・分岐されて伝達される。したがって、土質や水分条件に合わせて畦形成部の回転数を調整すると、前処理部の回転数もそれに伴って変化してしまう。
【0003】
また、これ以外に、油圧発生装置を備え、その油圧によりモータを駆動して各作業部を回転させるものが知られている。
【0004】
特許文献1〜5には、前処理部や畦形成部を調節する機構を有する畦塗り機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−4号公報
【特許文献2】特開平7−274610号公報
【特許文献3】特開平10−127105号公報
【特許文献4】特開2003−230302号公報
【特許文献5】特開2009−254291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
畦塗り機としては、前処理部は耕耘部としてこれを回転させて旧畦(圃場)の土を盛り上げ、畦形成部はディスク部としてこれを回転させて盛り上げた土をディスク部をスリップさせながら畦を成形する方式の構造のものが強固な畦とすることができる。そして、特にディスク部の回転数は、畦形成に大きな影響を与え、様々な土質や水分条件に合わせて変更させて対応したいが、従来は、ディスク部の回転数を変化させると、前処理部の耕耘部の回転数も変化してしまい、土の盛り上げに影響を与えた。さらに、ディスク部の回転数は、トラクタに乗車したまま、無段階に操作を行い圃場の条件にあった回転数に迅速かつ的確に対応することが好ましい。
【0007】
上記の特許文献1〜3に記載の畦塗機は、畦形成部が振動式のものである。さらに、特許文献4の畦形成機は、前処理部と畦形成部のそれぞれの回転数は別々に制御されない構成となっている。さらに、特許文献5の畦塗り機は、歯車の交換によりディスク部の回転数をかえられるが、遠隔で即座に行うことができない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて、トラクタに装着する畦塗り機で遠隔操作により少なくともディスク部の回転を独立して変更することができる畦塗り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の畦塗り機は、トラクタに装着して畦塗り作業を行う畦塗り機において、耕耘軸を回転させて圃場の土を盛り上げる耕耘部と、前記耕耘部の進行方向後方で回転しながら盛り土を締め固めて新畦を形成する畦形成体と、遠隔操作可能な操作部と、前記操作部の操作信号を受信し前記畦形成体の回転を制御する制御部とを有し、前記操作部の操作により、前記畦形成体の回転を前記耕耘部との回転とは独立して変更可能であることを特徴とする。
さらに本発明の畦塗り機は、前記制御部は、前記操作部の操作信号を受信し前記耕耘軸の回転も制御し、前記操作部の操作により、前記耕耘軸の回転を変更可能であることを特徴とする。
【0010】
さらに本発明の畦塗り機は、油圧回路を有し、前記油圧回路は、トラクタからの動力を入力する油圧ポンプと、前記耕耘軸を回転させる油圧モータと、前記畦形成体を回転させる可変油圧モータとを具備し、前記操作部の操作により、前記可変油圧モータを制御して前記畦形成体の回転を変更可能であることを特徴とする。
【0011】
さらに本発明の畦塗り機は、油圧回路を有し、前記油圧回路は、トラクタからの動力を入力する油圧ポンプと、油圧バルブと、前記耕耘軸を回転させる第1の油圧モータと、前記畦形成体を回転させる第2の油圧モータとを有し、前記操作部の操作により、前記油圧バルブを制御して前記第2の油圧モータの回転を変更し前記畦形成体の回転を変更可能であることを特徴とする。
【0012】
さらに本発明の畦塗り機は、トラクタからの動力を入力して発電する発電機と、前記発電機が発電した電力を利用して前記耕耘軸を回転させる第1の電動モータと、前記発電機が発電した電力を利用して前記畦形成体を回転させる第2の電動モータとを有し、前記操作部の操作により、前記第2の電動モータを制御して前記畦形成体の回転を変更可能であることを特徴とする。
さらに本発明の畦塗り機は、前記操作部の操作により、前記第1の電動モータを制御して前記耕耘軸の回転を変更可能であることを特徴とする。
【0013】
さらに本発明の畦塗り機は、トラクタからの動力を分岐する動力分岐部と、変速の比率を変更可能なトランスミッションとを有し、前記動力分岐部により分岐された一方の動力は前記耕耘軸へ伝達され、前記動力分岐部で分岐された他方の動力は前記トランスミッションを介して前記畦形成体に伝達され、前記操作部の操作により、前記トランスミッションを制御して前記畦形成体の回転を変更可能であることを特徴とする。
【0014】
さらに本発明の畦塗り機は、トラクタからの動力を分岐する動力分岐部と、油圧回路とを有し、前記油圧回路は、油圧ポンプと、前記畦形成体を回転させる可変油圧モータとを具備し、前記動力分岐部により分岐された一方の動力は前記耕耘軸へ伝達され、前記動力分岐部により分岐された他方の動力は前記油圧ポンプに伝達され、前記操作部の操作により、前記可変油圧モータを制御して前記畦形成体の回転を変更可能であることを特徴とする。
【0015】
さらに本発明の畦塗り機は、トラクタからの動力を分岐する動力分岐部と、発電機と、前記発電機が発電した電力を利用して前記畦形成体を回転させる電動モータとを有し、前記動力分岐部により分岐された一方の動力は前記耕耘軸へ伝達され、前記動力分岐部により分岐された他方の動力は前記発電機に伝達され、前記操作部の操作により、前記電動モータを制御して前記畦形成体の回転を変更可能であることを特徴とする。
【0016】
さらに本発明の畦塗り機は、前記耕耘部の回転を検知する第1の回転センサと、前記畦形成体の回転を検知する第2の回転センサとを有し、前記操作部は、前記耕耘軸と前記畦形成体の回転に関する情報を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、畦塗り機において、トラクタに装着する畦塗り機で遠隔操作により少なくとも畦形成部の回転を独立して変更することができ、様々な土質や水分条件に合わせて、より最適な状態で畦塗り作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1の畦塗り機の一例を示す平面図である。
【図2】実施例1の畦塗り機の制御例を表すブロック図である。
【図3】実施例1の畦塗り機の他の制御例を示すブロック図である。
【図4】実施例2の畦塗り機の一例を示す平面図である。
【図5】実施例2の畦塗り機の制御例を表すブロック図である。
【図6】実施例3の畦塗り機の一例を示す平面図である。
【図7】実施例3の畦塗り機の制御例を表すブロック図である。
【図8】実施例4の畦塗り機の一例を示す平面図である。
【図9】実施例4の畦塗り機の制御例を表すブロック図である。
【図10】実施例5の畦塗り機の一例を示す平面図である。
【図11】実施例5の畦塗り機の制御例を表すブロック図である。
【図12】実施例6の畦塗り機の一例を示す平面図である。
【図13】実施例6の畦塗り機の変化の各状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、実施例1の畦塗り機の一例を示す平面図である。図2は、実施例1の畦塗り機の制御例を表すブロック図である。
【0021】
実施例1の畦塗り機は、装着部50を図示を省略したトラクタ200の後部に装着する。一方、作業部60は、前方に前処理部である耕耘部61を有し、後方に畦形成部であるディスク部62を有する。また、これらは、フレーム部63に取り付けられている。そして、装着部50とフレーム部63との間は、二つのアーム55、56により連結されており、これらにより平行リンクが形成されている。この平行リンクにより、作業部60をオフセット移動可能とし、トラクタ200より側方に出して作業するか、また、中央に移動させて格納させるかを選択することができる。また、平行リンクに取り付けられたシリンダ58を作動させると平行リンクを自動で動かすことが可能となる。
【0022】
耕耘部61は、耕耘爪等が取り付けられた耕耘軸61aを回転して旧畦(圃場)の土を盛り上げていく。なお、耕耘軸61aの回転方向は、状況に応じてどの方向でも採用できる。また、ディスク部62は、横方向を回転軸として、進行速度より速く回転させて、盛り上げた土をスリップさせながら畦形状に形成していく。ディスク部62は、例えば、円錐部62aや円筒部62b等により構成され、円錐部62aであればこの部分が畦の法面に対応する。また、円錐部62aの中央に円筒部62bを取り付ければ、畦の上面を形成する部分とすることができる。また、円錐部62aや円筒部62bには、畦を強固にするために、例えば、スパイラル形状のロータ、弾性部材を用いたディスク、段差を用いたディスク等を用いてもよい。
【0023】
次に、耕耘部61とディスク部62の回転と制御について説明する。
【0024】
装着部50に備える入力軸10には、トラクタのPTOによる動力が入力される。入力軸10の動力はミッションケース1を介して回転速度を変更し油圧回路100に有する油圧ポンプ12を作動させる。油圧回路100では、作動油タンク13の油が循環し油圧モータ15や可変油圧モータ16を作動させる。また、油圧回路100には、油圧バルブ14を有し、リリーフバルブなどにより油圧回路100の油圧が一定圧以上とならないようにする。ミッションケース1や油圧ポンプ12、作動油タンク13は、装着部50側に取り付ければ、重心を前側にしてトラクタとの重量バランスを良くすることができる。
【0025】
油圧モータ15は、耕耘部61かその付近に備えられ、耕耘軸61aを回転させるための油圧モータである。油圧モータ15の回転を耕耘軸61aの回転に合わせるための変速機を介してもよい。また、耕耘部61には、耕耘軸61aの回転を検知する第1回転センサ6も備えられる。
【0026】
可変油圧モータ16は、ディスク部62かその付近に備えられ、ディスク部62を回転させるための油圧モータである。可変油圧モータ16は、回転速度を変えられる可変機構を有しているもので、例として、可変容量型油圧モータが挙げられる。可変油圧モータ16の回転をディスク部62の回転に合わせるための変速機を介してもよい。また、ディスク部62には、ディスク部62の回転を検知する第2回転センサ7も備えられる。
【0027】
操作部81は、トラクタ200などに配置可能とし、スイッチ等を有し有線又は無線により遠隔で操作を行えるにようになっている。さらに、操作部81は、表示部を有し制御部41からの情報を受信し各回転センサ6、7の情報に基づく現在の畦塗り機の状態(耕耘軸61aやディスク部62の回転数等)を表示させるようにしてもよい。これにより作業者は、畦塗り機の状態を確認しながら作業や操作をすることができる。
【0028】
制御部41は、電子デバイス等で構成されて、各回転センサ6、7からの情報を受信し、さらに、操作部81からの操作信号を受けて、可変油圧モータ16の制御を行う。なお、制御部41は、操作部81側でも、畦塗り機側でも、どちらに設置されていてもよい。
【0029】
トラクタ200を操作している作業者は、畦塗り作業中に、圃場の条件などを考慮して、ディスク部62の回転を変えたい場合、操作部81を操作する。すると、操作信号は、制御部41に送られ、制御部41では、可変油圧モータ16の圧油供給量を変化させるなどして可変油圧モータ16の回転数を変更する。この際、第2回転センサ7の情報を加味して(フィードバック)制御してもよい。これにより、作業者は、遠隔で、即座に、かつ無段階にディスク部62の回転数を変更させることができる。
【0030】
なお、作業者は、トラクタ側においてトラクタのPTOの回転数を調整することで、油圧ポンプ12の回転数を変化させ、油圧モータ15(耕耘部61)と可変油圧モータ16(ディスク部62)の両方の回転を一度に変化させることもできる。この他、油圧モータ15を可変油圧モータとしてディスク部62と同様に耕耘軸61aの回転を独立して制御させることも可能である。
【0031】
図3は、実施例1の畦塗り機の他の制御例を示すブロック図である。図2との違いは、ディスク部62の油圧モータを(可変機構を有さない)油圧モータ18として、油圧バルブ17で油圧モータ18の制御を行う点である。すなわち、油圧バルブ17には、油圧モータ18の流量を制御する比例流量制御弁等17bを有して、制御部41’からの制御信号は、油圧バルブ17へ送られる。油圧バルブ17では、比例流量制御弁等17bの制御により、油圧モータ18の回転数を制御する。また、シリンダ58を油圧バルブ17と接続し、油圧バルブ17に方向切替弁等17aも有しておけば、シリンダ58の制御も同時に行うことができる。すなわち、作業者は、操作部81’により、作業部60のオフセット移動の操作も可能となる。
【実施例2】
【0032】
図4は、実施例2の畦塗り機の一例を示す平面図である。図5は、実施例2の畦塗り機の制御例を表すブロック図である。実施例2の畦塗り機について、装着部50や作業部60、フレーム部63、アーム55、56の構成は、実施例1と同様である。
【0033】
次に、耕耘部61とディスク部62の回転と制御について説明する。
【0034】
装着部50に備える入力軸10には、トラクタのPTOによる動力が入力される。入力軸10の動力はミッションケース2を介して回転速度を変更し発電機20に伝達し発電される。この電力は、制御部42へ送られ、各電動モータ21、22の電源となる。また、余った電力は、バッテリ24へ充電され、必要に応じ各電動モータ21、22の電源となり、安定した電力の供給を可能とする。さらに、太陽電池などの追加発電手段23を備えて、各電動モータ21、22の電源としたり、バッテリ24に充電させたりしてもよい。ミッションケース2や発電機20、バッテリ24は、装着部50側に取り付ければ、重心を前側にしてトラクタとの重量バランスを良くすることができる。
【0035】
第1電動モータ21は、耕耘部61かその近傍に備えられ、耕耘軸61aを回転させるためのモータである。第1電動モータ21の回転を耕耘部61の回転に合わせるための変速機を介してもよい。
【0036】
第2電動モータ22は、ディスク部62かその近傍に備えられ、ディスク部62を回転させるためのモータである。第2電動モータ22の回転をディスク部62の回転に合わせるための変速機を介してもよい。
【0037】
操作部82や、制御部42、第1回転センサ6、第2回転センサ7の構成は基本的に実施例1(操作部81、制御部41)と同様である。ただし、制御部42は、第1電動モータ21と第2電動モータ22の制御を行う点は実施例1と異なる。
【0038】
トラクタ200を操作している作業者は、畦塗り作業中に、圃場の条件などを考慮して、ディスク部62の回転を変えたい場合、操作部82を操作する。すると、操作信号は、制御部42に送られ、制御部42では、第2電動モータ22の回転数を変更する。この際、第2回転センサ7の情報を加味して(フィードバック)制御してもよい。これにより、作業者は、遠隔で、即座に、かつ無段階にディスク部62の回転数を変更させることができる。さらに、操作部82の操作により、第1電動モータ21側の制御もできるようにすれば、遠隔で耕耘部61の回転数を変えることもできる。
【実施例3】
【0039】
図6は、実施例3の畦塗り機の一例を示す平面図である。図7は、実施例3の畦塗り機の制御例を表すブロック図である。
【0040】
実施例3の畦塗り機について、装着部50や作業部60、アーム55、56の構成は実施例1と基本的に同じであるが、フレーム部64の内部に動力を伝達させるための構造を有している点が異なる。
【0041】
装着部50に備える入力軸10には、トラクタのPTOによる動力が入力される。入力軸10の動力はミッションケース3を介して回転速度を変更し動力分岐部25に伝達される。さらに、動力分岐部25に伝達された動力は分岐して、一方は伝動部を介するなどして、耕耘部61へ送られ、他方は、伝動部を介するなどして、さらに、トランスミッション26を介してディスク部62へ送られる。なお、ミッションケース3は必要に応じて設けられ、装着部50側に配置されても動力分岐部25側に配置されてもよい。
【0042】
具体的には、入力軸10は、装着部50に備えられ、動力分岐部25はフレーム部64に備えられている。この間は、ジョイント68や第2入力軸70を介している。ジョイント68を介して第2入力軸70に伝達された動力は、動力分岐部25において、第1駆動軸71と第2駆動軸75に分岐される。ここで、動力分岐部25は、例えば、ギアを組み合わせた構造で実現することができる。第1駆動軸71の動力は、第1チェーン72を介して、耕耘軸61aへ伝達される。また、第2駆動軸75の動力は、第2チェーン76、第3駆動軸77を介してトランスミッション26へ伝達される。
【0043】
フレーム部64の構成はこれらを支持する構成となっており、ギアケース110、第1フレームパイプ111、第1チェーンケース112、第2フレームパイプ115、第2チェーンケース116、第3フレームパイプ117等で構成することができる。
【0044】
トランスミッション26は、変速の比率を変更できる変速機であり、例えば、シフター付トランスミッションやトルクコンバータ、CVT(ベルト・チェーン・トロイダル)、遊星歯車機構等を選択して構成することができる。また、シフター27を付設すれば手動による設定も可能である。
【0045】
操作部83や、制御部43、第1回転センサ6、第2回転センサ7の構成は基本的に実施例1(操作部81、制御部41)と同様である。制御部43は、トランスミッション26の制御を行う点は実施例1と異なる。
【0046】
トラクタ200を操作している作業者は、畦塗り作業中に、圃場の条件などを考慮して、ディスク部62の回転を変えたい場合、操作部83を操作する。すると、操作信号は、制御部43に送られ、制御部43では、トランスミッション26を制御して第3駆動軸77とディスク部62との間の変速の比率を変更する。この際、第2回転センサ7の情報を加味して、(フィードバック)制御してもよい。これにより、作業者は、遠隔で、即座に、ディスク部62の回転数を変更させることができる。
【0047】
なお、作業者は、トラクタのPTOの回転数を調整することで、耕耘部61とディスク部62の両方の回転を一度に変化させることもできる。
【実施例4】
【0048】
図8は、実施例4の畦塗り機の一例を示す平面図である。図9は、実施例4の畦塗り機の制御例を表すブロック図である。
【0049】
実施例4の畦塗り機について、装着部50や作業部60、アーム55、56の構成は実施例1と基本的に同じであるが、フレーム部65の内部に動力を伝達させるための構造を有している点が異なる。
【0050】
装着部50に備える入力軸10には、トラクタのPTOによる動力が入力される。入力軸10の動力はミッションケース4を介して回転速度を変更し動力分岐部30に伝達される。動力分岐部30に伝達された動力は分岐して、一方は、伝動部を介するなどして耕耘部61へ送られ、他方は油圧回路101に有する油圧ポンプ31へ送られ油圧ポンプ31を作動させる。油圧回路101では、作動油タンク13の油が循環し可変油圧モータ33を作動させる。また、油圧回路101には、リリーフバルブ32を有し油圧回路101の油圧が一定圧以上とならないようにする。なお、ミッションケース4は必要に応じて設けられる。
【0051】
具体的には、入力軸10と動力分岐部30は、装着部50に備えられる。そして、動力分岐部30と作業部60に設けられた第2入力軸70の間は、ジョイント68により接続されている。動力分岐部30からジョイント68を介して第2入力軸70に伝達された動力は、ベベルギア78を介して、第1駆動軸71、第1チェーン72などを介して、耕耘軸61aへ伝達される。
【0052】
フレーム部65の構成はこれらを支持する構成となっており、ギアケース110、第1フレームパイプ111、第1チェーンケース112等で構成することができる。
【0053】
可変油圧モータ33は、実施例1(可変油圧モータ16)と同様である。さらに、操作部84や、制御部44、第1回転センサ6、第2回転センサ7の構成は基本的に実施例1(操作部81、制御部41)と同様である。制御部44は、可変油圧モータ33の制御を行う点は実施例1と異なる。
【0054】
トラクタ200を操作している作業者は、畦塗り作業中に、圃場の条件などを考慮して、ディスク部62の回転を変えたい場合、操作部84を操作する。すると、操作信号は、制御部44に送られ、制御部44では、可変油圧モータ33の圧油供給量を変化させるなどして可変油圧モータ33の回転数を変更する。この際、第2回転センサ7の情報を加味して(フィードバック)制御してもよい。これにより、作業者は、遠隔で、即座に、かつ無段階にディスク部62の回転数を変更させることができる。
【0055】
なお、作業者は、トラクタのPTOの回転数を調整することで、耕耘部61の回転を調整することができる。
【実施例5】
【0056】
図10は、実施例5の畦塗り機の一例を示す平面図である。図11は、実施例5の畦塗り機の制御例を表すブロック図である。
【0057】
実施例5の畦塗り機について、装着部50や作業部60、フレーム部65、アーム55、56について実施例4と同様である。
【0058】
装着部50に備える入力軸10には、トラクタのPTOによる動力が入力される。入力軸10の動力はミッションケース5を介して回転速度を変更し動力分岐部35に伝達される。さらに、動力分岐部35に伝達された動力は分岐して、一方は、伝動部を介するなどして耕耘部61へ送られ、他方は発電機36に伝達し発電される。この電力は、制御部45へ送られ、電動モータ37の電源となる。また、余った電力は、バッテリ39へ充電され、必要に応じ電動モータ37の電源となり、安定した電力の供給を可能とする。さらに、太陽電池などの追加発電手段38を備えて、電動モータ37の電源としたり、バッテリ39に充電させたりしてもよい。ミッションケース5や発電機36、バッテリ39は、装着部50側に取り付けて、重心を前側にしてトラクタとの重量バランスを良くすることができる。耕耘部61へ送られる動力については、実施例4と同様である。
【0059】
電動モータ37は、ディスク部62近傍に備えられ、ディスク部62を回転させるためのモータである。電動モータ37の回転をディスク部62の回転に合わせるための変速機を介してもよい。
【0060】
操作部85や、制御部45、第1回転センサ6、第2回転センサ7の構成は基本的に実施例1(操作部81、制御部41)と同様である。制御部45は、電動モータ37の制御を行う点は実施例1と異なる。
【0061】
トラクタ200を操作している作業者は、畦塗り作業中に、圃場の条件などを考慮して、ディスク部62の回転を変えたい場合、操作部85を操作する。すると、操作信号は、制御部45に送られ、制御部45では、電動モータ37の回転数を変更する。この際、第2回転センサ7の情報を加味して(フィードバック)制御してもよい。これにより、作業者は、遠隔で、即座に、かつ無段階にディスク部62の回転数を変更させることができる。
【0062】
なお、作業者は、トラクタのPTOの回転数を調整することで、耕耘部61の回転を調整することができる。
【実施例6】
【0063】
図12は、実施例6の畦塗り機の一例を示す平面図である。図13は、実施例6の畦塗り機の変化の各状態を示す平面図である。
【0064】
実施例6では、畦塗り機の形態を変えた場合の適用について述べる。制御の方法は、実施例1の図2を例に説明する。
【0065】
実施例6の畦塗り機は、装着部50’を図示を省略したトラクタ200の後部に装着する。一方、作業部60’は、前方に前処理部である耕耘部61’を有し、後方に畦形成部であるディスク部62’を有する。装着部50’と作業部60’の間は、中間フレーム95により二つの支点95a、95bを介して連結されている。図12の作業状態から、第1シリンダ91を作動させる(縮ませる)と、中間フレーム95と作業部60’が装着部50’側の支点95aを中心に回動し、作業部60’は、内側へオフセット移動して、図13(a)の格納状態となる。図13(a)の状態から、第2シリンダ92を作動させる(伸ばす)と、リンク機構96の作用もあり、作業部60’が作業部60’側の支点95bを中心に効率よく回動し、耕耘部61’とディスク部62’が逆の向きになり図13(b)のリターン作業の状態となる。この状態で、トラクタ200をバックさせながら畦を塗ることで、圃場の隅を塗ることができる。
【0066】
耕耘部61’とディスク部62’の作用は実施例1と同様である。
【0067】
この畦塗り機に、実施例1と同様に油圧回路100を有して、操作部81を操作して、可変油圧モータ16を制御することで、作業者は、遠隔で、即座に、かつ無段階にディスク部62’の回転数を変更させることができる。特に、リターンによるバック作業時(図13(b))は、例えば、トラクタによって前進とバックで設定可能な車速が異なること等があり、この場合は、ディスク部62’の回転を調整して、より強固な畦を形成することができる。
【0068】
また、実施例6の畦塗り機に実施例1〜5の他の制御(図3、5、7、9、11)も適用できる。なお、油圧回路を有する場合は、第1シリンダ91と第2シリンダ92も合わせて制御してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1、2、3、4、5 ミッションケース
6 第1回転センサ
7 第2回転センサ
10 入力軸
12、31 油圧ポンプ
14、17 油圧バルブ
15、18 油圧モータ
16、33 可変油圧モータ
17a 方向切替弁等
17b 比例流量制御弁等
20、36 発電機
21 第1電動モータ
22 第2電動モータ
24、39 バッテリ
25、30、35 動力分岐部
26 トランスミッション
27 シフター
32 リリーフバルブ
37 電動モータ
41、41’42、43、44,45 制御部
50 装着部
55 第1アーム
56 第2アーム
58 シリンダ
60、60’ 作業部
61、61’ 耕耘部
61a 耕耘軸
62、62’ ディスク部
63、64、65 フレーム部
81、81’、82、83、84、85 操作部
91 第1シリンダ
92 第2シリンダ
95 中間フレーム
96 リンク機構
100、101 油圧回路
200 トラクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着して畦塗り作業を行う畦塗り機において、
耕耘軸を回転させて圃場の土を盛り上げる耕耘部と、前記耕耘部の進行方向後方で回転しながら盛り土を締め固めて新畦を形成する畦形成体と、遠隔操作可能な操作部と、前記操作部の操作信号を受信し前記畦形成体の回転を制御する制御部とを有し、
前記操作部の操作により、前記畦形成体の回転を前記耕耘部との回転とは独立して変更可能であることを特徴とする畦塗り機。
【請求項2】
請求項1記載の畦塗り機において、
前記制御部は、前記操作部の操作信号を受信し前記耕耘軸の回転も制御し、
前記操作部の操作により、前記耕耘軸の回転を変更可能であることを特徴とする畦塗り機。
【請求項3】
請求項1記載の畦塗り機において、
油圧回路を有し、前記油圧回路は、トラクタからの動力を入力する油圧ポンプと、前記耕耘軸を回転させる油圧モータと、前記畦形成体を回転させる可変油圧モータとを具備し、
前記操作部の操作により、前記可変油圧モータを制御して前記畦形成体の回転を変更可能であることを特徴とする畦塗り機。
【請求項4】
請求項1記載の畦塗り機において、
油圧回路を有し、前記油圧回路は、トラクタからの動力を入力する油圧ポンプと、油圧バルブと、前記耕耘軸を回転させる第1の油圧モータと、前記畦形成体を回転させる第2の油圧モータとを有し、
前記操作部の操作により、前記油圧バルブを制御して前記第2の油圧モータの回転を変更し前記畦形成体の回転を変更可能であることを特徴とする畦塗り機。
【請求項5】
請求項1記載の畦塗り機において、
トラクタからの動力を入力して発電する発電機と、前記発電機が発電した電力を利用して前記耕耘軸を回転させる第1の電動モータと、前記発電機が発電した電力を利用して前記畦形成体を回転させる第2の電動モータとを有し、
前記操作部の操作により、前記第2の電動モータを制御して前記畦形成体の回転を変更可能であることを特徴とする畦塗り機。
【請求項6】
請求項5記載の畦塗り機において、
前記操作部の操作により、前記第1の電動モータを制御して前記耕耘軸の回転を変更可能であることを特徴とする畦塗り機。
【請求項7】
請求項1記載の畦塗り機において、
トラクタからの動力を分岐する動力分岐部と、変速の比率を変更可能なトランスミッションとを有し、前記動力分岐部により分岐された一方の動力は前記耕耘軸へ伝達され、前記動力分岐部で分岐された他方の動力は前記トランスミッションを介して前記畦形成体に伝達され、
前記操作部の操作により、前記トランスミッションを制御して前記畦形成体の回転を変更可能であることを特徴とする畦塗り機。
【請求項8】
請求項1記載の畦塗り機において、
トラクタからの動力を分岐する動力分岐部と、油圧回路とを有し、前記油圧回路は、油圧ポンプと、前記畦形成体を回転させる可変油圧モータとを具備し、前記動力分岐部により分岐された一方の動力は前記耕耘軸へ伝達され、前記動力分岐部により分岐された他方の動力は前記油圧ポンプに伝達され、
前記操作部の操作により、前記可変油圧モータを制御して前記畦形成体の回転を変更可能であることを特徴とする畦塗り機。
【請求項9】
請求項1記載の畦塗り機において、
トラクタからの動力を分岐する動力分岐部と、発電機と、前記発電機が発電した電力を利用して前記畦形成体を回転させる電動モータとを有し、前記動力分岐部により分岐された一方の動力は前記耕耘軸へ伝達され、前記動力分岐部により分岐された他方の動力は前記発電機に伝達され、
前記操作部の操作により、前記電動モータを制御して前記畦形成体の回転を変更可能であることを特徴とする畦塗り機。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の畦塗り機において、
前記耕耘部の回転を検知する第1の回転センサと、前記畦形成体の回転を検知する第2の回転センサとを有し、前記操作部は、前記耕耘軸と前記畦形成体の回転に関する情報を表示することを特徴とする畦塗り機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−85536(P2012−85536A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232336(P2010−232336)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】