説明

畦成形機

【課題】 従来の畦成形機の畦成形部は、1つの円錐体によって畦の成形がなされるため、水分や土質による盛土の高さや性質に対応させた角度を保つことができない課題があった。
【解決手段】畦成形部3は、1つの駆動回転軸30を含む複数の回転軸と、それぞれの回転軸に設けられたスプロケット32、33と、スプロケット32、33間に回転可能に掛け渡されるエンドレスチェーン34と、エンドレスチェーン34に連続して取り付けられる複数の畦成形羽根36、37によって形成される畦押圧面とを有する畦成形機によって解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トラクタに装着される畦成形機に関する。詳細には、走行機の後部に装着され、掘削爪を有して回転する耕耘ロータによって土を盛り上げる前処理部と、前処理部によって盛られた土を畦に成形する畦成形部とを有する畦成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、畦成形機に関する装置は、多数提案されている。例えば、特許第2564230号公報(関連技術1)には「牽引車に付設されて該牽引車の進行方向に順次畦を成形する畦成形機であって、畦成形部2に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置3と、畦成形部2に盛られた土を締め固めて畦を成形する畦成形装置4とを具え、該畦成形装置4は、畦と直交する軸線回りに回転せしめられ且つその上側周面が牽引車の進行方向に回転するようにその回転方向が設定されて畦上面を成形する丸軸からなる回転体33を具え、畦上面の内縁を成形する回転体内端には、内方に向かって大径となる円錐面を具えた畦内側面成形用の内側回転板36が連設され、該内側回転板36と回転体33とは一体に回転するものとなされており、又単位時間当たりの牽引車の進行長さをL1、回転体33の円周をL2、単位時間当たりの回転体の回転数をNとしたとき、N×L2>L1の関係が充足されるようになされていることを特徴とする畦成形機」の記載がある。
【0003】
また、特許第3564621号公報(関連技術2)には、「トラクタに連結機構により機枠を連結し、該機枠に畦上に土を盛り上げる盛土機構を設け、該盛土機構の上方にカバー部材を設け、該盛土機構の進行方向後方位置に整畦体を設けてなり、上記整畦体は畦上面及び畦一方斜面に適合する連続した線分を母線とする周側面を有する縦軸を備えた回転体状に成形されて該縦軸に対して横回りに回転するように設けられていることを特徴とする整畦機、及び上記整畦体を強制回転させる回転機構を設けて構成した整畦機等の記載がある。
【0004】
上述したような従来の畦成形機は、関連技術1の「盛られた土を締め固めて畦を成形する畦成形装置4」が「回転体33、内側回転板36、外側回転板39」等の回転によって畦を成形するが、この畦成形装置4の回転は1つの「回転軸30」を中心に回転させられる構造である。同様に従来技術2の「整畦機」は、畦を成形する「整畦体12」が「上回転部分13と下回転部分14」とを有するが、この「整畦体12」の回転は回転機構15に駆動される1本のロータ軸12aを中心に回転する構造である。
【0005】
更に、従来の畦成形機における畦成形部分、例えば関連技術1では、「畦成形装置4の内側回転板36と外側回転板39」、先行技術2の「「整畦体12の上回転部分13と下回転部分14」の形状は、全て円錐面又は円錐台面からなっていた。
【0006】
また、本願出願人は、特願2007−043993号によって「走行機の後部に装着され、掘削爪を設け回転する耕耘ロータによって土を盛り上げる前処理部と、前処理部によって盛られた土を畦に成形する畦成形部とを有する畦成形機において、畦成形部は、複数の回転軸と、複数の回転軸間に回転可能に掛け渡されて畦を成形する無端体とを有することを特徴とする畦成形機(関連技術3)」を出願している。
【特許文献1】特許第2564230号公報(関連技術1)
【特許文献2】特許第3564621号公報(関連技術2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
畦成形機は、回転ロータ等の回転掘り上げ装置からなる前処理部によって盛り上げられた土を、走行方向後方に位置する畦成形部の回転によって圧して畦を成形する。そして、従来技術1及び2に例示されるような畦成形機における畦成形部は、1つの回転軸によって回転される円錐面又は円錐台面形状からなる畦成形面を有していた。
【0008】
図12(a)、図12(b)は従来の1つの回転軸によって矢印R方向に回転される畦成形部をほぼ上方から見た作用説明図であり、図12(a)は円錐体Caの直径が相対的に大きいものの畦成形部、図12(b)は円錐体Cbの直径が相対的に小さいものの畦成形部である。畦成形機の矢印T方向の走行により前処理部で放り上げられ盛り上げられた土Sを円錐面で掻き込んで行くが、盛り上げられた土Sの高さ、幅が同じ場合、図12(a)のように円錐体Caの直径が大きいと盛土の掻き込み角度θaが小さくなり、盛土Sが逃げないで掻き込まれ押し固まれる。逆に図12(b)のように円錐体Cbの直径が小さいと盛土Sの掻き込み角度θbが大きくなるため、盛土が前方に押し戻され易くなり、掻き込みにくくなり、成形される畦の硬度が確保できない課題があった。
【0009】
したがって、大きな直径の円錐体を有する畦成形部の方が好ましいが、大きな直径の円錐体からなる畦成形部を装備すると、従来より大きく重い円錐体を有する畦成形部と、この円錐体を回転させるためのより大きな駆動力が必要となり、伝動機構に負担が掛かり耐久性が劣るとともに全体の装置がコンパクトにできない課題があった。特に円錐体の直径を大きくすると、走行機の移動時や回転時に他所に当接しやすく扱いにくくなる課題があった。
【0010】
更に、従来は1つの回転軸に設けられた同軸の円錐体によって畦の成形がなされるため、水分や土質による盛土の高さや性質に対応させた角度を保つことができない課題があった。すなわち、盛土の水分や性質が異なると前処理部による盛土の高さなどが変化し、盛土の掻き込み角度が変わってしまい、成形された畦の硬度に影響を与える課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、走行機の後部に装着され、掘削爪を設け回転する耕耘ロータによって土を盛り上げる前処理部と、前処理部によって盛られた土を畦に成形する畦成形部とを有する畦成形機において、
畦成形部は、1つの駆動回転軸を含む複数の回転軸と、それぞれの回転軸に設けられたスプロケットと、スプロケット間に回転可能に掛け渡されるエンドレスチェーンと、エンドレスチェーンに連続して取り付けられる複数の畦成形羽根によって形成される畦押圧面とを有することを特徴とする畦成形機を提案する。
【0012】
また、畦成形羽根によって形成される畦押圧面が、エンドレスチェーンから2つの異なる方向に向いており、互いの畦押圧面の成す角度が畝の上面と斜面の角度である0011欄に記載の畦成形機を提案する。
【0013】
更に、畦成形部が、1つの駆動回転軸の前方に前方回転軸を設け、かつ駆動回転軸を中心に前方回転軸を回動可能に設けた畦成形部である0011又は0012欄に記載の畦成形機を提案する。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、畦成形部に、1つの駆動回転軸を含む複数の回転軸と、それぞれの回転軸に設けられたスプロケットと、スプロケット間に回転可能に掛け渡されるエンドレスチェーンと、エンドレスチェーンに取り付けられる複数の畦成形羽根によって形成される畦押圧面とを有し、畦成形羽根によって形成される畦押圧面が、エンドレスチェーンから2つの異なる方向に向いており、互いの畦押圧面の成す角度が畝の上面と斜面の角度であることによって、畦成形面をコンパクトな小径面とすることにより扱いやすさを確保するとともに、図11の説明図に示すように盛土の掻き込み角度を小さくすることができ、成形される畦の硬度を確保することができる効果がある。
【0015】
更に、エンドレスチェーンに取付けられる方向の異なる2種類の畦成形羽根の互いに成す角度が、畝の上面と斜面の角度であることによって確実かつ容易に畦を成形することができる。
【0016】
また、エンドレスチェーンに畦成形羽根が取付けられていることにより、無端状の長円錐面の回転を容易に行なうことができ、かつ耐久性を向上させることができる。
【0017】
更に又、複数の回転軸である駆動回転軸と前方回転軸との間で、駆動回転軸を中心に前方回転軸を回動可能に設けたことにより、盛土の掻き込み角度を変更させることができ、水分や土質による盛土の高さや性質に対応させた角度を保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明の実施形態について、畦成形機の平面図である図1、畦成型機の後面図である図2、同じく畦成形部の斜視図である図3及び図4、同じく畦成形部の部分拡大斜視図である図5、同じく1つの畦成形羽根の斜視図である図6と図7、同じく一組みの畦成形羽根の斜視図である図8、同じく畦成形羽根によって畦を成形する断面説明図である図9、畦成形機の動力の伝動を示す動力伝達説明図である図10、この発明の回転される畦成形部をほぼ上方から見た作用説明図である図11に基づいて説明する。
【0019】
この発明の1つの実施形態である畦成形機は、トラクタに連結する装着フレーム1と、装着フレーム1に対して回動軸20を中心に水平方向に回動可能かつ伸縮可能な支持フレーム2と、支持フレーム2の回動端側に設けられる畦成形部3及び前処理部5と、装着フレーム1と支持フレーム2間に伸縮自在に掛け渡される伸縮ロッド25と、トラクタからの動力を伝達する伝達機構6とを有する。
【0020】
装着フレーム1は、トラクタとの装着部であるロアピン10とトップブラケット11によってトラクタ後部の三点リンクヒッチに連結される。装着フレーム1は、トラクタ後側で回動軸20によって支持フレーム2を回動可能に装着している。支持フレーム2は、装着フレーム1の上部との間に設けた伸縮可能な伸縮ロッド25によって伸縮可能に連結している。伸縮ロッド25は、支持フレーム2の回動軸20より走行方向の前方の位置で装着フレーム1に位置する第1ピン25aと、支持フレーム2のパイプフレーム21の上部に設けた第2ピン25bとの間に伸縮自在に掛け渡したものである。この実施形態では伸縮ロッド25は、ターンバックル構造で中央胴体枠の両端に左ネジ、右ネジ軸を差し込んだもので、左右のネジ軸端が第1ピン25aと第2ピン25bとに固着されており、中央胴体を回転することにより、伸縮ロッド25の長さを伸縮する。伸縮ロッド25の他の実施形態として電動シリンダや油圧シリンダ等のような伸縮可能な部材ならばよい。
【0021】
支持フレーム2は、前端に支持フレームボス22を設けて装着フレーム1の後部略中心部に設けた回動軸20に水平方向に回動自在に支持されている。支持フレーム2は中間部のパイプフレーム21を介しての回動端側に畦成形部3及び前処理部4を配設してなる。パイプフレーム21は支持フレーム2の外周を摺動自在に構成している。支持フレーム2の回動は、支持フレームボス22に設けた固定板23の適宜位置に適宜数設けた係合孔23aにロックピン24が係合して支持フレーム2の水平方向の回動を阻止可能である。
【0022】
畦成形部3は、複数の回転軸である駆動回転軸30、前方回転軸31、駆動スプロケット32、従動スプロケット33、斜面側内周補助部材38、上面側内周補助部材39,エンドレスチェーン34、斜面成形羽根36と上面成形羽根37の2種類からなる畦成形羽根35とを有する。なお、この明細書、特許請求の範囲、要約書において用語「スプロケット」は、ローラーチェーンと噛合可能なギア、鎖歯車等の部材を含む。
【0023】
畦成形部3は、この実施形態では、二本の回転軸である駆動回転軸30と前方回転軸31とが走行方向と交差する方向に互いに平行に設けられており、駆動回転軸30に設けられた駆動スプロケット32と前方回転軸31に設けられた従動スプロケット33を設け、駆動スプロケット32と従動スプロケット33間にエンドレスチェーン34を回転可能に掛け渡している。エンドレスチェーン34は、ローラーチェーンから成り、図8に示すように一組のチェーンリンク340を多数連続してエンドレスチェーン34を形成している。一組のチェーンリンク340は、両側の板状体341間の内側(図8では上側)に2つのローラー342を設け、外側(図8では下側)に2孔からなる羽根取付部343を設けている。
【0024】
エンドレスチェーン34に2種類の畦成形羽根35である斜面成形羽根36と上面成形羽根37を取付けている。この実施形態ではエンドレスチェーン34を成形する各一組のチェーンリンク340の一つおきに方向の異なる2種類の畦成形羽根35である斜面成形羽根36と上面成形羽根37が取付けられている。他の実施形態では、各一組のチェーンリンク340の全て、又は2つおき、3つおき以上適宜の間隔で取り付けてもよい。
【0025】
畦成形羽根35は、多数の斜面成形羽根36と、多数の上面成形羽根37からなり、それぞれ1つ1つの羽根は金属や硬質合成樹脂等の素材で形成される。
【0026】
それぞれ1つの斜面成形羽根36は、図6に示すように平面状の畦斜面押圧面360と、畦斜面押圧面360の畦成形部3の周回進行方向へ位置し畦斜面押圧面360から外方向に折曲して成形される平面状の進行補助面361と、ローラーチェーン34の取付部であるチェーン取付部362とからなる。チェーン取付部362は、2つの孔を設けた板状体からなり、チェーンリンク340の板状体341の羽根取付部343の外側に接して羽根取付部343の2つの孔にボルトナット344により取り付けられる。
【0027】
それぞれ1つの上面成形羽根37は、図7に示すように平面状の畦上面押圧面370と、畦上面押圧面370の畦成形部3の周回進行方向へ位置し畦上面押圧面370から畦成形部3の内側へ折曲して成形される平面状の進行補助面371と、畦上面と畦斜面の交差部分を成形する中間面372と、ローラーチェーン34に取り付けられるチェーン取付部373とからなる。チェーン取付部373は、2つの平行な円筒を有しており、チェーンリンク340の両側の板状体341の外側に設けられる羽根取付部343の間に挿入して2つの孔にボルトナット344により取り付けられる。
【0028】
1つの斜面成形羽根36と1つの上面成形羽根37が、エンドレスチェーン34の1つのローラーチェーン340に図8、図9に示すように2つの異なる方向に向いて取り付けられ、これらが多数連続するローラーチェーン340に取り付けられ多数の連続する斜面成形羽根36と多数の連続する上面成形羽根37によって無端体のような畦形成面を形成する。すなわち斜面成形羽根36の畦斜面押圧面360と、上面成形羽根37の畦上面押圧面370の成す角度が、畝の上面と斜面の角度となるように取付けられて畦形成面が形成されている。
【0029】
1つの斜面成形羽根36と1つの上面成形羽根37は、2つを一体的に構成してエンドレスチェーン34に取り付けてもよい。
【0030】
駆動回転軸30は、駆動スプロケット32と、斜面側内周補助部材38aと上面側内周補助部材39aを設けており、駆動スプロケット32は、エンドレスチェーン34に噛合している。駆動回転軸30は、基部側に畦成形部駆動ケース69内に設けられる伝動スプロケット69cを設けており、伝達機構6によって伝動される駆動回転力によって回転する。
【0031】
前方回転軸31は、従動スプロケット33と、斜面側内周補助部材38bと上面側内周補助部材39bを設けており、エンドレスチェーン34の回転を従動スプロケット33によって受け従動的に回転する。
【0032】
前方回転軸31は、駆動回転軸30の前方に設けられ、駆動回転軸30を中心として斜め方向に回動可能である。この前方回転軸31の回動は、畦成形機の走行中に駆動回転軸30に対して任意の角度で固定されて作業することも可能であり、また畦成形機の作業中に駆動回転軸30に対して揺動できる自由回動可能であるように設定することもできる。前方回転軸31を駆動回転軸30に対して回動しないように固定する場合は、畦成形部支持フレーム40に取り付けられる扇形状の固定用フランジ41の係合孔41aと、畦成形駆動ケース69に取り付けられた固定用基台42の出没可能な固定突起42aとの係合によって行なう。固定用フランジ41は扇状板状体の弧辺部に複数の係合孔41aを設け、畦成形部支持フレーム40に取り付けられており、駆動回転軸30を回動中心として回動可能である。固定用フランジ41を適宜角度に回動させ、1つの係合孔41aに固定突起42aを挿入することによって前方回転軸31は、駆動回転軸30を中心とする回動をその角度で固定される。別の実施例として、固定突起42aの代りに、固定用基台42に雌ネジ孔を成形して、係合孔41aにボルトを挿入固定用フランジ41を固定させてもよい。
【0033】
駆動回転軸30には、斜面側内周補助部材38aと上面側内周補助部材39aが取り付けられ、前方回転軸31には斜面側内周補助部材38bと上面側内周補助部材39bが取り付けられる。斜面側内周補助部材38aと38bは、輪形部材から成り、斜面成形羽根36の先端側の内周面と摺動するように回転し、上面側内周補助部材39aと39bは、輪形部材から成り、上面成形羽根37の先端側の内周面と摺動するように回転する。
【0034】
前処理部5は、畦成形部3の走行方向前方に位置し、後述する前処理部駆動回転軸50に設けられた回転して土を掘削して盛り上げる回転する耕耘ロータ(掘削爪)51とからなる。
【0035】
装着フレーム1は、中央部の下方にトラクター出力軸(図示せず)からの駆動力を畦成形部3と前処理部5とに伝達する伝達機構6を装備している。図10に示されるように伝達機構6はトラクタ出力軸と連結する入力軸61と、入力軸61と連結するダブル広角ジョイント(ユニバーサルジョイント)62と、ダブル広角ジョイント(ユニバーサルジョイント)62の他端と連結する入力伝達ケース64の第1伝動軸63と、第1伝動軸63から畦成形部3と前処理部5とまで駆動力を伝動する以下の各部材からなる。
【0036】
第1伝動軸63は、入力伝達ケース64内に設けられるスプロケット64aとスプロケット64c間に掛け渡されるチェーン64bにより第2伝動軸65に連結される。第2伝動軸65は、前処理部駆動ケース66内に設けられるスプロケット66a及びベベルギアボックス67内のベベルギア67aに連結している。前処理部駆動ケース66内に設けられるスプロケット66aは、スプロケット66cとの間に掛け渡されるチェーン66bにより前処理部5の前処理部駆動回転軸50に駆動力は伝達される。
【0037】
第2伝動軸63は、ベベルギアボックス67内のベベルギア67a、第3伝動軸67b、ベベルギア67cを介して第4伝動軸68に連結している。第4伝動軸68は、畦成形部駆動ケース69内に設けられるスプロケット69aとスプロケット69c間に掛け渡されるチェーン69bを介してスプロケット69cの回転軸である駆動回転軸30に連結される。
【0038】
次にこの発明の作動について説明する。トラクタに牽引される畦成形機は、走行方向に対して支持フレーム2をほぼ90度角水平方向に位置させてトラクタの側方に畦成形部3をオフセットさせ固定して畦成形作業を行なう。支持フレーム2は、伸縮ロッド25を適宜伸縮させて支持フレーム2のパイプフレーム21を移動させオフセット量を調節する。固定板23の適宜の係合孔23aとロックピン24を係合して回動不能にしその姿勢に固定する。
【0039】
畦成形部3は、予め前方回転軸31を駆動回転軸30に対して一定の角度を保ち回動しないように固定するため、畦成形部支持フレーム40に取り付けられる扇形状の固定用フランジ41の適宜の係合孔41aに固定突起42を挿入して好ましい角度で固定する。
【0040】
図示されていないがトラクタ出力軸(PTO軸)からの駆動回転力は、伝動機構6である畦成形機の入力軸61へ伝達され、ダブル広角ジョイント(ユニバーサルジョイント)62、入力伝達ケース64の第1伝動軸63へ伝達される。更に第1伝動軸63から、入力伝達ケース64内に設けられるスプロケット64a、チェーン64b、スプロケット64cを介して第2伝動軸65に伝達される。第2伝動軸65は、前処理部駆動ケース66内に設けられるスプロケット66a、チェーン66b、スプロケット66cを介して前処理部5の前処理部駆動回転軸50に駆動回転力は伝達され、前処理部5の回転ロータ(掘削爪)51を回転させて、トラクターの走行により土を掘削し旧畦に盛り上げていく。(図11の矢印T方向への走行)
【0041】
第2伝動軸65は、ベベルギアボックス67内のベベルギア67a、第3伝動軸67b、ベベルギア67cを介して第4伝動軸68に駆動回転力を伝達し、第4伝動軸68は、畦成形部駆動ケース69内に設けられるスプロケット69a、チェーン69b、伝動スプロケット69cを介して駆動回転軸30を回転駆動する。
【0042】
駆動回転軸30の回転により駆動スプロケット32が回転し、駆動スプロケット32と従動スプロケット33間に掛け渡されているエンドレスチェーン34を回転させて、エンドレスチェーン34に取り付けられている斜面成形羽根36と上面成形羽根37をエンドレス回転させる。(図11の矢印R1、矢印R2方向へ回転)
【0043】
多数の連続する斜面成形羽根36の畦斜面押圧面360と、多数の連続する上面成形羽根37の畦上面押圧面370によって形成される畦形成面が畝の上面と斜面の角度となるため畦の斜面と上面が形成されている。
【0044】
多数の連続する斜面成形羽根36と、多数の連続する上面成形羽根37の回転は、外周側(羽根先端部側)に内周から斜面側内周補助部材38a、38bと、上面側内周補助部材39a、39bによって支持されているので畦形成面が内側に歪むことがない。
【0045】
このように畦成形部3を作動させてトラクターの走行によって盛土の高さに対して相対的な掻き込み角度θ1、或いは土質や水分によって最適な掻き込み角度θ1をもって好ましい硬度の畦を成形する。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この発明は、水分や土質の異なる圃場に対応でき、かつコンパクトで経済的な畦作業機として利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の1つの実施形態である畦成形機の平面図
【図2】同じく畦成形機の後面図
【図3】同じく畦成形機の畦成形部の斜視図
【図4】同じく畦成形機の畦成形部の斜視図
【図5】同じく畦成形機の畦成形部の部分拡大斜視図
【図6】同じく1つの畦成形羽根である斜面成形羽根の斜視図
【図7】同じく1つの畦成形羽根である上面成形羽根の斜視図
【図8】同じく一組みの畦成形羽根の斜視図
【図9】同じく畦成形羽根によって畦を成形する断面説明図
【図10】畦成形機の動力の伝動を示す動力伝達説明図
【図11】この発明の回転される畦成形部の作用をほぼ上方から見た作用説明図
【図12】(a)従来の1つの回転軸によって回転される円錐体の径が大きな畦成形部をほぼ上方から見た作用説明図 (b)従来の1つの回転軸によって回転される円錐体の径が小さな畦成形部をほぼ上方から見た作用説明図
【符号の説明】
【0048】
1 装着フレーム
10 ロアピン
11 トップブラケット
2 支持フレーム
20 回転軸
21 パイプフレーム
22 支持フレームボス
23 固定板
23a 係合孔
24 ロックピン
25 伸縮ロッド
25a 第1ピン
25b 第2ピン
3 畦成形部
30 駆動回転軸
31 前方回転軸
32 駆動スプロケット
33 従動スプロケット
34 エンドレスチェーン(ローラーチェーン)
340 1つのチェーンリンク
341 板状体
342 ローラー
343 羽根取付部
344 ボルトナット
35 畦成形羽根
36 畦斜面成形羽根
360 畦斜面押圧面
361 進行補助面
362 チェーン取付部
37 畦上面成形羽根
370 上面押圧面
371 進行補助面
372 中間面
373 チェーン取付部
38a、38b 斜面側内周補助部材
39a、39b 上面側内周補助部材
40 畦成形部支持フレーム
41 固定用フランジ
41a 係合孔
42 固定用基台
42a 固定突起
5 前処理部
50 前処理部回転軸
51 耕耘ロータ(掘削爪)
6 伝動機構
61 入力軸
62 ダブル広角ジョイント(ユニバーサルジョイント)
63 第1伝動軸
64 入力伝達ケース
64a スプロケット
64b チェーン
64c スプロケット
65 第2伝動軸
66 前処理部駆動ケース
66a スプロケット
66b チェーン
66c スプロケット
67 ベベルギアボックス
67a ベベルギア
67b 第3伝動軸
67c ベベルギア
68 第4伝動軸
69 畦成形駆動ケース
69a スプロケット
69b チェーン
69c 伝動スプロケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機の後部に装着され、掘削爪を設け回転する耕耘ロータによって土を盛り上げる前処理部と、前処理部によって盛られた土を畦に成形する畦成形部とを有する畦成形機において、
畦成形部は、1つの駆動回転軸を含む複数の回転軸と、それぞれの回転軸に設けられたスプロケットと、スプロケット間に回転可能に掛け渡されるエンドレスチェーンと、エンドレスチェーンに連続して取り付けられる複数の畦成形羽根によって形成される畦押圧面とを有することを特徴とする畦成形機。
【請求項2】
畦成形羽根によって形成される畦押圧面が、エンドレスチェーンから2つの異なる方向に向いており、互いの畦押圧面の成す角度が畝の上面と斜面の角度である請求項1に記載の畦成形機。
【請求項3】
畦成形部が、1つの駆動回転軸の前方に前方回転軸を設け、かつ駆動回転軸を中心に前方回転軸を回動可能に設けた畦成形部である請求項1又は請求項2に記載の畦成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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